この作品には一部の方に苦手な表現が出てくる事を、あらかじめお断りしておきます。
※にじファンからの移転になります。(この作品は二次創作です。一次創作物と原作者様。及び出版社様とは一切関係ありません。)
作品の内容に、残酷な表現とダークな思考が入る事をあらかじめお断りしておきます。苦手な方はそれを踏まえた上でお読みください。
暖かい――。最初に思った事はそれだけだった。他に感じるものも無くただただ暖かい。人に抱きしめられている様な、母親に抱きしめられている様な、そんな言葉が思い浮かぶ。時を忘れる程の暖かさの中でふと、私がここに居る事を感じる。
私? そう、私だ。”私”は誰だっただろうか。思い出したいけれど、強烈に思い出してはいけないと忌避感が襲ってくる。なぜだろう。そもそもここはどこだろうか。”私”は私だと思われるものを動かす。
手……? 足……? 頭……? 知っているもの。そう、これは人の形。無様ながらも人の形を動かして辺りの様子を探ってみる。やはり、暖かい。
暫く経つと人の形の私は、何か暖かい水の中に居る事が分かった。水の中とはどう言う事だろうか。なぜかここに居るのはいけない事だと分かる。けれども私の指先はその感触を確かめる様に動きだす。それはさらさらとしているかと思えばべとべとしている様な、なんとも言いがたい。しかし暖かい事に変わりは無かった。
そういえば水の中に居るのに呼吸はしなくても大丈夫なのだろうか。意識して口元を動かす。しかし口から空気は出ない。出てくるのは指先に触れたものと同じ水。そこで唐突に理解する。つまり私はこの温かい水の中で”育てられている”のだと。
(ここはどこ――)
声に成らない声を上げる。しかし水の中で声が出るはずも無く、虚しく水が流れるだけ。ならば現状について考えなくてはいけない。幸いにも”人の形の私”は考えられるだけの知能が発達してきたらしい。そう私だ。
大丈夫、もう思い出せる。”私”は人の形ではなくヒトだった。”私”はどこにでも居る様な高校生。この言い方だと今時のテレビに出て来る様な、髪を染めてちょっとしたメイクをした女子高生を思い出させてしまう様な気がする。どちらかと言えばそんなタイプではなく地味なタイプ。表向きは。裏向きはマンガ好きのちょっとしたコレクター。その私の知識からすれば、もしかしてこれは『転生』というヤツなのではないだろうか?
転生――。言葉にしたらたった二文字ながらなんて重い言葉。何の前触れも無く目覚めれば別人で別の人生。私は事故にあった覚えも無ければ死んだ覚えも無い。ただ記憶が消されただけ? その可能性もあるだろう。そう、思い出さなくてはいけない。私が誰なのか。そしてここは何処なのか確認しなくてはならない。
しかし暖かさの中で猛烈な睡魔が襲ってくる。同時に、知ってはいけないという強烈な忌避感も。なぜそこまで思い出すなと私の身体は言うのだろうか。思い出してはいけないのだろうか。
(私は――)
だめだ……。身体が眠りを要求してくる。やがて暖かい水に包まれながら。眠りに付く。きっと目覚めたら思い出せる。それからこの世界を見て回ろう。出来る事ならば帰りたいけれど、本当に『転生』ならばきっと無理。ならば『前世』の知識を活かそう。そう固く誓いながら眠りに付いた。
突然に意識が覚醒する。”この世界の私”が生まれるのだろうか。一体どんな私なのだろう。出来れば前と同じく女の子が良い。男の子になりたくない訳ではないけれど、何もしないまま死んでしまったであろう”前の私”への未練はある。
生まれるのはやはり苦しいのだろうか。出産は鼻からスイカを出す痛みなんて聞いた覚えがあるけれど、生まれてくる方も痛いのかもしれない。痛いのは嫌だなぁと思いながらも、忘れていた事を思い出す事にする。まず名前『相沢小春』。大丈夫、思い出せる。そうなるとこの世界の名前を素直に受け入れられないかもしれない。
ふと違和感を覚える。なんだろう、何か嫌なものを感じる。これを知ってはいけない。私の心がそう言っている。でも身体はそうではない、これを知れという。そして使い仕えよ。
仕える? 一体誰に? 何の事か分からず考えて居ると、突然にキィィンと甲高い音が聞こえる。これは何? 違う、私はこれを知っている。正確には私ではなく私の身体が知っている。これは『信号』だと身体が答える。
嫌な予感が止まらない。しかしこれを拒否してはならないと私の身体が言っている。何故? どうして? 知りたくない! 知りたくないのに、知らなければならないと、身体が悲鳴を上げる。
自己と問答しているのも束の間、突然に温かい水が失われていく。
(いったいなにが!?)
声に成らない声を上げて、口から肺に溜まった温かい水を吐き出す。それと同時に身体を覆っていたものが全て剥がれ、真に生まれたままの姿で落ちる。
痛みは無かった。ただそこにあるのはこれまでと違って冷たい水。生まれた瞬間に水に落とし入れるなんて、ずいぶん酷い親なのだろうか。訳の分からないまま浅い水辺で身体を動かす。腕は動く。足も動く。頭も動く。ふと、使ったことが無い身体の一部に気付く。……しっぽ? それに頭の上の大きな耳?
「――なにこれ」
今度は声が出た。訳が分からずに自分の身体を見る。絶句した。指は四本で先に鋭い爪があるのはまだいい。しかし指や肘、そして膝の関節に節がある。さらに黒い尻尾と三角形の耳。訳がわからない。一体私は何に生まれてきたのだろう。
再びキィィンと甲高い音が聞こえる。一体これは何だろうか。いや、否定したいだけでもう分かっている。これが蟻の『信号』だと言う事に。私は蟻として生まれて来てしまった。何故という言葉の前に強烈な絶望感に襲われる。そう、あの『キメラアント』だ。全く持って訳が分からない。
違う、私は分かりたくない。この現実に。これから私が起こさなくてはいけない『現実』を理解したくない。
しかし無情にも『信号』は聞こえる。目の前の二メートル近い巨大な女王様から。
<――お前は、ルプラシェナ。巣に近付くものを排除しろ>
頭に響く――。それも強烈に。目の前の女王様に強烈な眩暈と拒否感を覚える。しかし私は『蟻』。何故逆らう事が出来様か……。苦しい。辛い。逃げ出したい。今すぐここから逃げて人里へ行きたい。でも私は『蟻』。私のこの姿が、この身体が、そしてヒトの心がそれを拒絶する。
だから、今は頷く。はい女王様と。
目覚めて直ぐ横にもう一匹のネコが居た。その姿を見て親近間と共に軽い恐怖を覚える。
(――ネフェルピトー!)
その姿に躊躇いを覚えつつも、よく観察してみる。……雌だったのか。私と同じように肘と膝の関節には節がある。これは原作と同じ。彼女は私と違って金の耳と尻尾。黒い私と並べば栄えはするだろうけれども、人間からみたら恐怖でしかないだろう。
そういえば、もしかしなくても彼女と私は姉妹と言う事になるのだろうか? 一瞬考えてから、まさかと笑い飛ばす。人間の価値観を『蟻』に求める事自体がナンセンス。
彼女をじっと見て居ると、スッと立ち上がってどこかへ行こうとする。やはり私と同じ命令を与えられたに違いない。王が生まれるまでの間、女王様の命令は絶対。ならば私も巣を守る事になるだろう。巣の中に居ようとはとても思えないけれど……。
「来ないのかニャ?」
不思議そうな眼をしてこちらへと問い掛けてくる彼女に対して、どこに? と短く答える。するとおかしなものを見る様な顔をして服を着ると答えた。
あぁ、なるほど。羞恥心はあるのだろう、多分。私だって裸のまま巣の周りをうろつくのはごめんだ。近くに寄ってきたペンギンの様な師団長。ペギーと名乗る彼について行く。
そこにはむせ返る様な血の匂いが漂っている。ところが私の身体のせいか、不思議と拒否感が沸いてこない。野生の蟻だからだろうか。そんな自分に吐き気がする。気持ち悪い。
あたり一面はNGLの人間から盗ったものが沢山、無造作に置かれていた。当然のようにネフェルピトーは物色して服を着ていく。何で着方が分かるのだろう。いや、私だって服の着方くらいは分かるけれども、まさか私の様に”前世”の人格があるわけではないだろう。となれば、彼女の元になった人間の記憶のおかげと言う事だろうか。考えてもしょうがない、私も服を着よう。
出来る限り関節を隠したい。指先は手袋でも有れば良いのだろうけれど、いざという時に爪が使えなければ意味が無い。思わず嘲笑が漏れる。こんなところまで既に蟻になってしまった私が苦しい。既に侵入者に対して絶対の敵意を持ってしまっている。ありえない。こんなのは私じゃない。
あぁ……私は蟻だった……。
適当に服を見繕うと意外と沢山あった。袖が大きく開いた黒いブラウスの様なものに、すこしボロな布を足元まで隠れるサーキュラースカートの様にして肘と膝の関節を隠す。どちらも布地が多くだぼっとしたもの。自分の身体と尻尾を隠したい。そんな願望からこの服を選んだ。
「――はははははっ!」
どこからか狂った様な笑い声が聞こえた。いやこれは歓喜? 変な『信号』も送られてくる。
<――ラモットの様子が変>
そんな『信号』だった。ラモットとは誰だっただろうか。『HUNTER×HUNTER』の主要キャラと展開の大体は思い出せるが、ラモットなんてキャラは居ただろうか。考え込んで居るとネフェルピトーが面白いものでも見付けたかの様に進んでいく。彼女の楽しそうな後ろ姿を見ると、段々と展開を思い出してきた。
そうだ、ここで『念能力』が『キメラアント』にバレる。
思い出してみれば彼女の『オーラ』は見えた。と言っても原作でカイトやノヴが言っていた様な禍々しい感じには見えなかった。むしろ爽やかな『オーラ』。あまりにも人間離れした自分に気が付いて、ははっと嘲る様に笑う。なんだ、本当に私は『蟻』じゃないか。なんて気持ち悪い。
『信号』を頼りに貯蔵庫に向かう。やっぱり居た、ポックルだ。これから彼は殺される。今は骨の中に隠れているけれども、既に私に見つかっている。どうしてやろうか。ふと残忍な自分に気付く。それでも『蟻』にはなってもヒトの心は捨てたくない。私は私。まだ私で居られる可能性を模索したい。
しかし彼を救う方法は無いだろう。私が気付いていて彼女が気付かないはずはない。目を合わさないように気配を探ると、彼は私にも目を向けている様だった。どう見えているのか気にはなったが、きっと碌な感想は帰ってこないのだろう。彼女に引きずり出される彼を見ながら、自分の感情に嫌悪する。こんな事が平気になってしまったら人間ではなくなってしまうと。
「強化系、変化系、放出系、操作系、具現化系、特質系という六つの系統があり――」
ネフェルピトーに頭蓋を破壊され、針によって操られるポックルが念能力について語っていく。私が知っている知識を思い出すだけでも、念能力の奥の深さとその強力な実用性は恐ろしい。それによってより強い『蟻』を生むだろう。そしてあの最強の『王』を生む……。恐ろしいと思う反面、なんて素晴らしいと思う私が居る。なんて気持ち悪い。
念能力の系統を調べる『水見式』を見ると、やはり原作の通り葉を枯らすネフェルピトー。彼女の能力は恐らく原作のままなのだろう。原作より強いか弱いのかは分からない。しかし、恐ろしく強いとは思えない。……馬鹿みたい。つまり私もそういう存在に近いと言う事か。これでは主人公達の絶望がより強くなってしまうだろう。それならそれで、一度見せに行くのも良いかもしれない。どんな反応をするのか見てみたい。なんて嗜虐心で、口元が緩む。
「護衛軍員殿。試してみてはいかがですか」
ペンギンの姿の蟻、ペギーが話しかけてくる。チラリと目を送ると何か怯えた様子のラモット。彼は原作の通り、彼女に恐怖しているのだろう。それが二匹。その絶望感は計り知れないものになっているのだろう。なんて酷い世界。
「ルプラシェナ。女王様から頂いた名前よ」
『こはる』を名乗る気になれなかった。それは私の名前だけど、私の名前じゃない。今の私が名乗るべき名前ではないのだし、名乗る事で何かが穢れてしまうって思った。
複雑な表情を見せる私に、理解できない様な目線をペギーが送ってくる。大丈夫。理解して欲しいと思わないから。恐らく、私の事を真に理解できる相手は『蟻』の中にも『ヒト』の中にも居ないだろう。『異邦人』と言うだけではなく、突然ネフェルピトーの姉妹として生まれてしまった私。誰がこんな境遇を分かってくるというのか。
若干卑屈な表情をしながら、コップに満たされた水と浮かべられた一枚の葉を前にして、両手でコップの両脇を包む様に水見式の儀式に挑む。既に『オーラ』は感じられる。『纏』、『練』、『絶』などの基本は問題ないだろう。感覚で分かる。なんて酷い世界。
『練』をして『オーラ』を放出すると、突然葉っぱが燃え上がる。なるほど……。当たり前と言えば当たり前だけれど、やはり特質系。直属護衛軍と王は全員そうなのだろう。何だか酷く納得してしまった。ずいぶんと理不尽なはずなのに、『キメラアント』と言う事実がそれを霞ませる。
あぁ、なんて気持ちの悪い――。
しばらくして、兵隊蟻達の念の『精孔』開けが始まった。ラモットが大喜びで兵隊を殴っている。随分と楽しそうだ。けれども私の姉妹様はつまらなそうに見ている。彼女を見て居ると、ピクリと耳が動く。ニヤリと笑って外を眺める。一体何に気付いたのかと考えれば直ぐに答えは出た。
カイトとゴン達だ。
彼女が気付いていながら私が気付けないと言う事は、私は円が苦手と言う事だろうか? それとも彼女特有の、アメーバ状の巨大な円が既に捕らえた? そのうち円の練習をしてみよう。
確かめてくると言って外へ向かう。正直、カイトが殺される所なんて見たくない。けれどもここで私がゴンやキルアに姿を見せるのは効果があるかもしれない。もしかしたら折れてしまうだろうか。『苛めてみたい』そんな悪戯心が沸いてくる。我ながらとんだ性悪女に生まれ変わったものだ。
そんな事を考えて居ると、いつの間にか彼女が居なくなっている事に気付く。行動が早すぎる。私も猫だけれど、彼女はもっと本能的なのだろう。遊びたくてたまらない。そんな顔をしていた。
そのまま出かけてくると言い残して、彼女が出て行った穴からふわりと飛び降りる。周りの山よりも遥かに高い巣から飛び降りたのにも関わらず、膝をクッションに何もなかったかの様に降り立つ。
「――アハハ♪」
思わず笑いが漏れた。なんだこれは? 本当人間じゃない。こんなのが人間であるはずが無い。当たり前だ、私は『キメラアント』の『直属護衛軍』なのだから。心の中で自分をそう攻め立てる。同時に今、そんな事をして居る場合では無いと心が警告音を出してくる。その音に従って、彼女達の音を探す。
どうやら耳は悪くないようだ。数km先に彼女と戦う大きいヒトのような音。それから何かを背負って遠ざかっていく小さなヒトのような音。キルアだ。思わず口元がニヤリと吊りあがる。やはりここは一度顔を見ておくのが良いだろう。後々どうなるかは天のみぞ知ると言う事で、足に『オーラ』を集中して筋力の増強を行う。そして駆け出した。
暫く走っていると、前方の気配が緊張に包まれているのが分かる。確実にこちらに気付いて意識している。彼の事だから逃げの一択だろうけれども、捕まった時は確実にへたり込むだろう。まだ頭の針で警戒心全開の状態のはずだ。原作ではラモットとの戦いで抜いた針だが、ここで抜いたらどうなるのだろうか。そんな悪戯めいた気持ちが浮かび上がる。
「やめておこう――」
そう呟く。下手な事をして原作の流れが変わってしまえば、”私と言う脅威”が増えたせいで、余計に主人公達に勝ち目がなくなってしまうだろう。そう思って少しずつ追いかける足を緩めていく。もう大分巣から離れた。わざわざ追いかける必要も無いし、彼らを殺したいわけでもない。と言うよりは、彼らを殺したらそれこそ”人の形の私”は”私”では要られなくなってしまうだろう。
私の声が聞こえたのだろうか、キルアから伝わってくる緊張が若干和らいだ。私が追いかける足を緩めたのも原因だろう。このままキルアには良い方向に成長してもらいたい。
さて、これからどうするのが良いだろうか。王が生まれて、東ゴルトーに行くのは確定事項だろう。ならばそれまでに私は私の念を磨いて、『発』を作っておくのが良いだろう。そこでふと、生まれ変わってから一度も食事を取っていないことに気が付いた。だからと言って、人間を食べる気には絶対になれない。それをしたらもう”私”は私を許せない。いや、許さない。
ならば、野生の獣を捕らえるのが一番と言う事になるだろう。そう思い立って、耳を使って周囲を探る。すると動物の様な足音が聞こえる。恐らく人間ではない。彼女や私の『オーラ』を感じて留まっていられる人間はまず居ないだろう。ならばやはり獣。
獣はあっさり捕らえられた。猪の様な動物。真実猪なのかもしれない。しかしここで問題が起きた。生で食べる気になんてなれない。このままかぶりついて食べるなんてしたくはないし、出来れば火がほしい。解体するだけならば、この爪で出来るだろう。
そこまで考えて気が付いた。そうだ、燃やせば良い。全部燃えてしまえば良い。こんな世界。こんな気持ちの悪い”私”。爪の先をじっと見つめると、『オーラ』が絡み付いて形を作っていく。まるで私の心を示すかの様に熱を持った黒い爪が出来上がる。これは具現化系? オーラを炎に変えるのは変化系の領分だろう。ならばこその特質系か。何だか妙に納得してしまった。
黒く燃え上がる爪で猪を解体していく。肉が焼ける良い匂い。血の匂いよりも焼ける肉の匂いに喜ぶ自分に安堵する。まだ”私”はヒトの心でいられる事に涙が出そうな思いだった。実際は出なかったのだが。
食事をしながら考える。私はどうやら炎を使えるらしい。水見式の葉が燃えた事から、何となく使えそうな予感はしていたのだが、こうもあっさり出来てしまえば世の中のハンターたちに何だか申し訳ない気分になる。
しかしこれだけではまだ足りないだろう。何が足りないかと言えば、メモリの食い扶ちである。念能力はおのおのの持つ器に合わせて、限界まで能力の製作が可能。となれば、人間になる能力を作れたりしないだろうか? もちろん、心の中の”直属護衛軍の私”が警告音を鳴らしてくる。私達の能力は王のためのものであると。個で使うものではない。王の為に使えと。
王の結末は知って居る。貧者の薔薇(ミニチュアローズ)の毒による死亡。そしてそれに感染した『直属護衛軍』とあの子も死ぬ。ならばせめて私は奇跡を祈ろう。
一握りの奇跡(ミラクルワン)とでも名づけようか。あの最後にはいくら私でも思う事はある。発動条件も制約も死亡。そして込めたオーラの分だけの奇跡がもたらされる。そんな能力が良い。それならば、私自身も含まれる。きっと私も狩られる。その時のために、今からオーラを練っておくのが良いだろう。
「なんの用?」
「いいえ、貴女が思っている様な事ではありません」
シャウアプフ。敵に回れば最悪の気狂い知将。されど味方ならば確かに頼もしいのだろう。頭がまともならば。確か彼の能力は感情や意思を色で読み取る。今こうして禅を組んでオーラを練り上げている私にも彼の鱗粉は届いている。正直鬱陶しい。猫の耳は大きいのだからやめて欲しい。中に入るじゃないか。きっとそんな私の気持ちも彼はお見通し。それでもやめる気はないのだろう。
そしてきっとこう言う。『ただ、それだけのこと』と。
私も別に女王様たちに敵対する気はないので、と言うよりも敵対する事は馬鹿らしいとまで感じる。完璧なマインドコントロール。本当に馬鹿みたいだ。だからこそ私の能力を『完全に蟻が勝てる能力』にしてはいけない。シャウアプフやモントゥトゥユピーだって、原作で王を偽っていたのだ。もちろん王に利があると思って居るからこそ偽れる。私もそうだ。なんて気持ちが悪い。
「いつまで邪魔をするの?」
彼がわざとそこに居るのを分かった上で、あえて問い掛ける。
「――ふっ」
気障な笑いを残して去っていく。きっと彼は私の事はある程度お見通しなのだろう。『人間臭い』と。だからなんだと言うのだ。『直属護衛軍』である事に変わりはない。私は来るべき日のために、自分の力を蓄えておく。ただ、それだけのこと。
今私が作った能力は大きく三つ。一つは私のメモリの半分以上を占めている、一握りの奇跡(ミラクルワン)。これは私自身が死んだ時、練りこみ蓄え続けたオーラの分だけ奇跡を起こす。本当に発動するか分からない能力。念のため保険もつけている。それは二つ目の能力にもリンクしている。
二つ目は命の炎(ライフフレア)とでも名付けようか。要はミラクルワンと同質の念を込めて肉を焼いているだけ。つまり私の食事であり、王の食事のためのものでもある。これならば裏切りにはならない。王が絶命した時に何を望むのか、原作ならば予想は付くがこの世界では同じになるとは限らない。……できれば同じになって欲しい。
そして三つ目。黒い爪の炎(ブラックフレア)と赤い玉の炎(レッドフレア)。我ながら単純な名前にしたものだと思うけれど、今更中二病な名前なんて付けようと思わない。今のでも十分痛いと思うけれどね。
レッドフレアが生まれたのは、獣の解体がめんどくさいと思ったことから、丸焼きにしたのがきっかけ。特に苦も無く炎が出た事に我ながらチートだとしか思えない。本当に酷い事だ。それで手ごろな石を暖めて石焼肉の出来上がり。ライフフレアを込めながら食べるそれは、絶望感と快楽を伴う絶品だったとだけ言っておこう。
それから一月半。王が生まれた。分かる。分かってしまう。これは王なのだ。私達が仕えるべき至高の存在であり、唯一無二の王。彼以外にこの世界に王は居ない。女王を蹴散らしながら馳走を用意しろと言う。それでは用意しようではないか。
王へ傾倒し、一切疑う必要が無いと”人の形の私”が応える。そんな私に恐怖と絶望を覚えながらも同時に心に沸く歓喜。あぁ、なんて気持ち悪い。
「王、用意してございます」
そう言ってスカートを摘まみあげてから膝を折り、淑女のような礼を取る。内心笑ってしまう。淑女だって? お前は『蟻』だろう? 何を人間の振りをしているのか。まったくもって愉快でならない。そして絶望せざるをえない。
そんな私の心を知っているのだろうが、それにお構いなくシャウアプフは言葉を続ける。私達四人は王の手足であると。彼から見れば、私が裏切るつもりがないのを知っているわけだし、王のための能力を開発している事から簡単に排除をする事はないだろう。もっとも簡単に殺されてやるつもりはない。
そこまで考えてから、自分の矛盾に気付く。自分は『蟻』を辞めたがっているのに死にたくないと? 『これは傑作だ!』なんてどこかの誰かが言った言葉を思い出した。誰だっただろうか。いや、そんな事よりも今は食事。何の味付けもされていなかった肉団子に、ライフフレアで念を込めた食事が王の目の前にある。
「――悪くはない。が、まだ薄い」
その言葉に一瞬びくっとする。王の望みをかなえ損ねた。その事実が予想以上に私の心を深く抉っている。ただそれだけなら良い。私は『蟻』であって『ヒト』でもある。”王の望みを叶えられずに悲しむ私”を”私”が強烈に嫌悪する。恐ろしい。このままでは私はどうなってしまうのか。
「そなたが作ったものか。光が同じだ」
「はい。王の望みをかなえるべく、オーラを込めました」
王は何と答えるだろうか。要らないと言われればそれまでだろう。要らない……。自分で考えてその言葉が再び心を抉る。やはり恐ろしい。そして同時に王が素晴らしいと感じる。一口食べただけで私の念に辿り着いた。彼はやはり唯一無二の王なのだと理解させられる。本当に恐ろしい。
「ならば嗜好品とすべきものまで精進せよ」
「――っ! 勿体無きお言葉」
無意識にその言葉が出た。気持ち悪い。私が私でなくなる。どうしようもない拒絶感と同時に、心の奥底から歓喜が沸き上がってくる。
一生、王には頭が上がりそうに無い――。
そして東ゴルトー。やはりここの宮殿で人間を皆殺し――にはならなかった。
原作の通り、念を使える兵士が居た。そのオーラを凶悪な顔付きで食いつくす王。それを冷静に観察する私の姉妹様。そしてその姿に打ち震えるシャウアプフ。正直キモイ。私の傾倒も気持ち悪いものだがやはり彼はその数段上を行っている。早く死なないかな。モントゥトゥユピーに関しては言う事はない。その辺で食事をして居る。
さて、皆殺しにならなかった理由は簡単。まずはビゼフ長官。これは原作通り、国を乗っ取った後に外交官の代わりが居ないから。そして料理人たちのグループ。彼らを生かしておくのは信じられなかったが理由は私にあった。
王が精進せよと言った通り、料理人を残す様に頼んだらあっさり通った。そして私は基本的に給仕係になった。笑ってしまう。王の食事の為に生き残された人間。『蟻』に料理を教える為に残された人間。当然その顔には絶望色が濃い。
そしてコムギの登場。原作どおり彼女は王と対局をし続けている。私から見ても彼女の軍議に対する思いは異常だと感じる。彼女が現れたと言う事は、きっともうすぐノヴが進入してくる。そうなればそろそろ仕上げをしなくてはならない。
そう王だけではなく、一度で良いからコムギにもライフフレアを食べさせる事。私の能力は王のためのもの。……うっかり自分自身の望みを忘れかけたが、あの結末を迎えたくないのもこの世界で『キメラアント』に生まれついた私の希望の一つ。一度でも彼女に食べさせる事が出来れば、常に王と一緒にいる彼女にも何らかの奇跡を起こせるのではないかと考えている。
ノヴが進入する雨の数日。ネフェルピトーの円が消え、玩具修理者(ドクターブライス)で王の腕を直した日が来た。彼の邪魔をしろ! 知っているならば殺してしまえ。私の中の『蟻』がそう言ってくる。けれど、王の為の料理を作る。そう言って自分を踏み留まらせる。
彼の足音は雨音に隠れながらも聞こえている。すでに一階を走って印を付けている事だろう。私の役目は給仕。そう自分に強く言い聞かせて、駆け出したい足を押さえる。もしこの場にシャウアプフが居たならば、猛然と攻めて来るだろう。
――王の為!
そう言って狂信的なほどに。狂信という言葉も彼には温いだろう。表現する言葉が見つからないほど彼の王への望みは大きい。近くで見ていればよりそれが分かる。彼も私の様に『蟻』の本能にあがらえないのだろう。正直に言う。今の私は王が好きになっている。だからと言ってコムギが憎いわけではない。私のヒトとして残っている倫理観が、彼女は王のためにあるべきだと答える。これは今の私に生まれ変わる前から考えていた事だ。だからこそ、ライフフレアを食べさせてあげたい。
「王、よろしいでしょうか」
現時点で、私以外の三人の『直属護衛軍』は二階に上がるなと厳命がされている。これは原作の様に王の機嫌を損ねたから。私は給仕と言う事で未だ入るなとは言われていない。
「良い、申せ」
「一度、コムギに念の食事を出しても宜しいでしょうか? 至っては王の為になると思っております」
『蟻』として考えるのならば、王のための食事を一人の人間に出すなどもってのほか。ふざけるなとこの場で殺されても何の不思議も無いだろう。そう、初めに会った王ならばきっと私は殺される。または殴り飛ばされるだろう。だが今のコムギに対して心を開き始め、彼女を必要とし始めた今の王ならばきっと頷く。そんな確信めいた予感があった。
跪いた姿勢から顔を上げて王の様子を見る。やはり最初よりも穏やかな顔つきになっている。原作でもそうだったが、物事を高みからしか見れない彼の本能は勿体無かったと思う。もっと多くを知れば共存の道もあったのではないだろうか。
王の様子をただじっと見つめる。私は間違った事を言っていない。これは王のためでありしいてはコムギのため。ただ一つの奇跡に掛けてみたい。そう思ったからだ。
「一度に限り許す。以後は普通の食事にせよ」
「ありがとうございます」
許可がもらえた! まるで自分の幸せの様に心が軽い。これが王の持つカリスマなのだろうか。王が是と言えばそれは全て是である。そんな錯覚を覚える様な気持ちになる。
「王! 何を申されますか!」
そしてやはり来たシャウアプフ。彼からすれば私の行動は信じられない愚行だろう。
彼の言う”下賎な人間”に、至高の王と同じ食事を出すと宣言したのだ。だが、それを分かった上で私はこう言う。
「プフ。王の命に逆らうの?」
と言われれば返す言葉が無いのを知っていながら。卑怯な手段を使う。良いではないか。私自身はこの世界でヒトとして幸せになるチャンスは無い。ミラクルワンが上手い事発動してくれれば万が一の可能性はある。しかしそれは『直属護衛軍』としては最悪の悪手。曲がり間違っても本来発動できる能力ではない。
だからこそ、王の為だと思っているこの行動をシャウアプフに邪魔をされるわけにはいかないのだ。
結果的には私の望み通りになった。もちろんシャウアプフには散々文句を言われたが、そんな事はどうでも良い。私は彼女の為に何かをしてあげたかった。
私が作った料理は、盲目の彼女が食べやすい一口サイズのおにぎりの様なものや、サンドイッチの様なもの。当然コムギは困惑した。私の声を覚えている様で、給仕の際に喚き出したほどだ。
「わ、わだすは、こんな事してもらっだごとねぇですから――」
泣きながら鼻水を啜るコムギに、「あーんして」と良いながら給仕する役得くらいは貰っても良いでしょう? ただでさえ守りたい系の女の子は『蟻』には居ないのだから。ネフェルピトーなんて小猫の皮を被った悪魔なのだから。
そして運命の日。そう、龍の雨が降る日。正確な日にちが分からなかった私は、厨房でその雨を向かえた。当然、厨房の人間に死者は出た。しかし、問題はそこでは無い。私は『直属護衛軍』なのだ。王のところへ行かねばならない。ならば厨房から出てコムギがいる塔へ向かうべき。
耳を澄ますと、すでにネフェルピトーがネテロに殴り飛ばされている所だった。シャウアプフは絶叫を上げて、当然の様に宮殿の二階に向かって飛んでいく。
原作通りならばそれぞれに対応した相手がいる。だが、ここに私というイレギュラーがいる。もしかして見逃されてしまうのだろうか? しかし先を見越したあの日、キルアに私の存在をちらつかせておいた。それに裏切った、と言うのも滑稽だが、師団長たちがネテロに私が居る事を話しているだろう。だからこそ、私に対しても刺客が向けられて居ると考えて良い。
「悪いが、ここで足止めだ」
やはり居た。しかも二人――。漫画の中で良く見知った彼らを正面に見てから、両の手の爪を黒く染め上げていく。これは具現化・強化・変化の複合能力。この爪は敵を引き裂くと共に炎で焼き上げる。だが、彼らにしても爪の攻撃はお手の物だろう。なぜならば目の前にいるのは、銀髪の屈強な男と、黒髪の長身の男。
私が臨戦態勢に入ったと見るや否や、数本の針が飛んでくる。これは小手調べ。当たればどんな変化をさせられるか想像をしたくない代物だ。叩き落しても良いが、触れただけで変化させられる念が篭っていたら堪ったものではない。なので素直に避ける――とはせずに、レッドフレアで焼く。
するとあっさりと針は焼け、地面に溶けた金属だけが落ちていた。それだけでは終わらないと再び針が投げられる、それをもう一度焼くのは愚行だろうか。やや考えた末に大きく間を取って避ける。すると、銀の男の姿が無い。
マズイ! そう思った時には、彼は既に私の背後からその右腕を伸ばしていた。彼に貫かれればそのまま心臓を抜き取られるか、内臓に致命的なダメージを受けるだろう。その鋭い爪先を身体を捻ってかわす。当然腕を振れば当たるのですぐに飛び退く。だが着地を狙って針が飛んでくる。流石に親子、お互いの利点が分かっている。私の身体は連続の回避で硬直しているので、レッドフレアで焼くしかない。とっさに右の手の平から炎を上げると、銀の男は念弾を放ってきた。
そうだ、彼は確か放出系の念弾を使えるはず、それも爆発的な威力。これはまずいと思うのだが、どうしようもない。左手でブラックフレアを発生させて念弾に対処する。これで右腕、左腕共に使った状態のまま。さらに連続して攻撃されれば繰り返しが起きるだけ。この場を対処するには――。
「終わり。案外持ったね」
「――っ!?」
黒い男の声がすぐ側で聞こえた。本当にボソッと話しただけの声だったが、私の耳にはしっかりと聞こえた。一瞬、声が聞こえた右側に向かって振り返ったのが命取りだったのだろうか、左手に突如として刺された様な痛みが走り、そのまま全ての関節が本来とはありえない方向に曲がっていく。
それは激痛となって私の脳に伝わる。そして『蟻』の本能が冷徹な命令を下す。生き残って王に向かうためには、腕を切り落とせば良い。そうすれば変化は収まるはず。その言葉に従って右の爪にブラックフレアを発生させる。
しかしその瞬間、”私”は悪魔の声を聞いてしまった。
(このまま刺されたまま全部曲がってしまえば、死ねる。『蟻』から開放されるわよ)
「――えっ!?」
突然に頭の中に聞こえた声に、状況が分からず硬直してしまう。しかし今優先するべきは王とコムギの安全。そう、私は『直属護衛軍』なのだからここで死ぬ訳にはいかない! 王を守るため、コムギを生かすため! 今すぐ塔に向かわなければいけない!
(ねぇ、貴女いつからそんなに『蟻』贔屓になったの? ”私”の心は忘れたの?)
「――あ」
唐突に頭が冷める。冷や水を掛けられた様ななんて言葉がピッタリなくらいに、それはもう確りと冷めた。そうだ、ここで私が抵抗しても王は死ぬ。これまでの展開に大きな変わりは無いし、死後の為の対策は打った。それに、私はヒトである私を忘れたくないって、ずっと言っていたではないか。
すると急速に力が抜けていくのが分かる。どうしたのだろうか。
「迷わず成仏しろ」
冷たいながらも確りとした口調で言う。銀の男の右手には、赤く脈打つ”ナニカ”。
あ、そうか……。私、死ぬのか……。
見た瞬間に悟ってしまった。こんな時にチープな表現かもしれないけれど、本当にスローモーションのよう。その赤くキレイなナニカを銀の男の爪が砕く。ふと自分の胸に、こんな私の醜い指先を当てる。
――心音がしない。
確定だ。分かっていた。それでも確認したくなるのは人のさがなのではないかしら?
そのまま痛々しく曲がっていく左手を、右手のブラックフレアで切り落とす。痛みは無かった。むしろ清々しい。こんな腕とようやくおさらば出来るのだ。右腕は落とせない。落とす腕が足りない。それに意識も霞んできた。
誰だっただろうか、頭だけになっても奴らはしばらく生き続けると。カイトかな。彼も確か『蟻』になっていたはず。貴方の意思がハッキリする頃には王も女王も居ない。どうか幸せな人生を。
そしてメルエム。コムギ。こんな性悪女が少しでも歴史を変えてみようと頑張った結果を受け止めて欲しい。最後の最後までなんてわがままな私。本当に気持ち悪い。押し付けておいてなんて酷い。
それでも、二人が平和に共存していける道があればって、そんな夢を見ても良いでしょう?
死を感じる私。爆発的に高まるオーラ。
銀の男と黒い男がそれを見てとっさに離れる。大丈夫、奇跡は害をなさないはず。そしてどうか、出来るなら貴方達も幸せなキルアの未来を願ってあげてください。
皆に一握りの奇跡を――。
この作品を最初に移転する時に思った事は『需要があるのか』と『投稿当時の前書きとあとがき保存してなかったどうしよう』と言う事でした。
主観ですが、にじファンにおいて短編と言う作品そのものがあまり大きな需要が無い印象を筆者は持っております。それでも、3/15のにじファンの最初の規制後、削除に至った自分の作品を読み返して何かを書きたくなって投稿しました。
本作品を書いた時は四月だったのですが、その時にハンター二次小説を色々と読み漁っていて、見事に旅団傾倒作品しか長編で見つからず、あるいは原作沿いテンプレが多く、何か全く違うものを書きたいと考えたことです。さらに、苦しみの一つも無くては幸せな結末は無いと考えた結果、キメラアント化とチートと言う歯車がかみ合いました。
主人公の『こはる』と『ルプラシェナ』のネーミングですが、前者は作品の暗さに相反する明るく可愛らしい名前と言う事で採用しました。後者は、原作の護衛軍の名前に全て半濁音と小さい文字が使われていたため、その点を意識して名前を作りました。
そして最後に『一握りの奇跡』についてどのような結果になったか、それは読者さんの想像に任せようと思います。
にじファンで主人公を早く死なせすぎたと言う感想・指摘を頂いたのですが、主人公は王に傾倒すると同時に、キメラである自分を否定したい死にたがりでもありました。その結果、この時点での死亡エンドと言う結果に落ち着きました。
一応は、続編として本編逆行、クジラ島へネコミミ人間になってゴンを見守るという構想がありましたが、こちらはあくまで構想です。
同時に感想で、そこで綺麗に終わっているので書くべきではないという指摘も頂きました。
この作品は、この短編を持って現時点では完結と考えています。
2013年7月3日(水) 補足を追記。括弧を全て《》から()に変更しました。
補足ですが、今放送されているアニメ版のHUNTER×HUNTERでは、ネフェルピトーは銀髪になっています。恐らくコミック28巻の表紙に合わせたのだと思いますが、この作品では22巻と26巻の表紙を参考にしている為、ネフェルピトーを金色と表現しています。