思ったこと

ご存じのとおり、ガルパンの戦車道試合には、野球ルールブック形式の
「戦車道ルール」が設定されており、試合はあくまでこの架空のルールに従って戦われます。

ガルパンの二大ルールといえば「男子禁制」と「1945年8月15日縛り」ですが、
前者とことなり、後者については作品世界の中で登場人物が読むことのできる冊子で定められています。

1945年8月15日ルールの内容を列挙すると、このようになります。

・戦車道の試合に参加できる戦車は、1945年8月15日までに設計が完了し、試作に着手していた戦車。
(戦車の定義は特にないが、特殊カーボン防護を乗員室内部全面に施すことができなければならない。
 つまり、カールのように砲がむきだしなのは論外で、オープントップのM18やジャクソンもダメ)
・同時期に上記の戦車に搭載される予定だった部材だけが使用可能。
 この場合、車体と部材が上記の条件を満たしていれば、組み合わせは自由で、(国籍などの理由で)
 あり得ない組み合わせであってもよい。(とんでもないキメラ戦車もOK。ただし、作れるのなら)
・試作戦車については、連盟と要協議。
(P虎やマウスなんかが該当すると思われる。類推解釈すればボツ戦車や未成戦車もあり)
・部品などが調達不能などの理由で当時のままが再現できないものは、連盟が認める範囲で改造可。
(無線機の真空管や、エンジンの消耗部品などだろうと思われる。アセンブリそのものが製造施設もろとも
 消滅している場合は、代替物を使ってもいいともとれる。ヘッドライトはみんなLEDになってるかも)

そうすると、戦車に関していえばグレーゾーンのものがいくつか出てきます。
設計開始が戦中で、運用開始が戦後のものです。
筆者の知る限り、以下の3車種がグレーゾーンです。

・T-54(ソ)△
1946年型(砲塔が鏡餅じゃないタイプ)であれば、「1945年8月15日までに設計完了、試作着手」に該当するので、連盟が認可すればいいと思われます。

・IS-4(ソ)△
量産型は1947年に製造されているので不可です。
試作型オブイェークト701-1~5の5両に関しては、完成が基準日以前ですからOKです。(PANZER2006年10月号)
オブイェークト701-6(量産原型)については、基準日以前に設計完了していないと思われます。

・A41重巡航戦車/センチュリオン(英)かぎりなく黒に近いグレー
センチュリオンMkⅠは、設計完了が基準日以後なので、初めから不可です。
したがってセンチュリオン「中戦車」に関しては、「ナンバー持ち」は、全部アウトです。
プロトタイプ・センチュリオンであるA41重巡航戦車については20両存在しますが、8月15日以前に完成したのは
6号車までの第1ロットです。7~20号車については設計完了時期と完成時期がが1945年のいつなのか不明です。
したがって明確に違反にならないと断言できるのは、A41の6号車までです。
また「センチュリオン」という制式名が制定されたのは1946年です。
したがって、私の解釈では、愛里寿車はナンバーレスですが、センチュリオンと名乗っている時点で「黒」になります。
MkⅠをベースに、いろいろいじっているようです。
カール同様、ミスター文科省の画策と考えるのが妥当でしょう
(申し訳ありませんが、この部分は下記の理由により、次の通り変更いたします)

追記:cvhiryuu様のご教示により、センチュリオンMk.Ⅱまで範囲を広げて再度調査してみました。
その結果、以下のことがわかりました。
① A41試作型の完成と同時に、生産型を「センチュリオンMk.Ⅰ及びセンチュリオンMk.Ⅱ」を命名することが決定していた。
② A41の第16号車までは、1945年8月15日には存在していた。(日付不明)
③ 1945年1月に完成していたのは、第1~8号車。
④ Mk.Ⅱの砲塔は、1945年1月にはモックアップが完成し、生産型の砲塔もそのままの形で制作された。
以上のことから、次の可能性がでてきます。
① 愛里寿車「A41センチュリオン」が試作第10、12、14、16号車のいずれかで、事後的にセンチュリオンMk.Ⅰと改名されたものであるなら、白ということになる。(ただし証拠はない)
② なんと、センチュリオンMk.Ⅱは、T-54/1946年型と同じく「設計完了/試作着手」に該当するので、生産が戦後であっても戦車道で使用できる。

ということから、センチュリオンについては「上記条件に適合すれば使用可」と改めさせていただきたいと思います。


日時:2017年01月05日(木) 12:39


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返信コメント

エドガー・小楠

いや、そういっていただけると、励みになります。


日時:2017年03月03日(金) 08:34

Brahma

お疲れさまです。勉強になりました。


日時:2017年03月03日(金) 03:20

エドガー・小楠

こちらも「驚愕の新事実」を発見しましたので良かったです。
持っている資料でも、もう一度目を通し直した方が良いようですね。
ありがとうございました。


日時:2016年10月12日(水) 21:17

cvhiryuu

パフェ配れ様

 当方の勝手な指摘に対する、迅速かつ丁重なご対応誠に感謝しております。

 此方も改めて手持ちの資料を読み返した処、以下の点が記載されていました。

 センチュリオンMk.Ⅱ初号車は1945年8月以前にプロトタイプとは別個に製造されていた鋳造砲塔をA41Aの車体に乗せた物で、言わばスペアの車体と砲塔を組み合わせた一品で、プロトタイプとして纏まった形で製造されたものでは無いそうです。
 其れでも正規採用される性能を叩き出し、そのままの形で量産されたのは凄いとしか言いようが有りませんが・・・。
 また、Mk.Ⅰがロイヤル・オードナンスで製造されたのに対して、Mk.Ⅱは其れに加えてヴィッカース・アームストロングでも製造されていたそうです。

 A41とA41Aの車体の相違点を挙げると
1.エンジンを圧縮比を7:1にする事で馬力を向上させたミーティア4Aに変更。
2.最終減速機のギア比を6.94から7.47に変更した為、路上速度が38km/hから34.6km/hに低下。
3.車体前面装甲が57mmから76mmに強化?ただし、この点については、2013年時点でもセンチュリオンの正確な装甲厚は公表されておらず、出回っている数値はMk.Ⅰ時点の推定値と「実際に測ってみた人の体験談」によるもので測り方等によって、差が生じている部分もある。

 また、プロトタイプとMk.Ⅰの関係についても
1.試作11号車はベルギーに出動した6両の中に入っている。
2.Mk.Ⅰの直接の原型は試作12号車である。

 従って、愛里寿のセンチュリオンも試作12号車と全く同じ仕様ならば、センチュリオンMk.Ⅰを名乗れる・・・かもしれません。


 ギリギリまで小型化して、重装甲大火力高速長距離巡航を目指した代わりに車内の余裕が小さく、有効打を受けると容易に爆発するT54-1と対照的な戦車ですが、戦車道で使うなら、キャパシティが大きく、第二次世界大戦中の技術と部品でも戦後型の改造であるレンジングガンの装着や車体前面装甲強化が容易に行えるセンチュリオンMk.Ⅱが良さそうに思います。

 元々大好きだった戦車であることに加えて、Pixivで書いたお話「GuP仮想戦記(現在は「戦車道における砲兵解禁後半年の経緯」のみ公開)」の主役車両候補の1つとして調査した事で、更に好きになりました。

 やはり、イギリスの技術力の底力は凄い、と認識させられました。
 長文失礼しました。


日時:2016年10月12日(水) 18:17

エドガー・小楠

こんばんは。お読みくださりありがとうございます。

レギュレーション上はE-100だけではなく、パーツの製作に着手していた統制車輌計画の全車両が戦車道で使用できるだろうとは思います。
しかしながら、マウス(モイゼ)の扱いを見ておわかりのとおり、水島監督は「超重戦車」というものにはかなり懐疑的なのではないかと思います。
ガルパンが「戦車のモデリングはこれまでになくリアルだが、戦いについてはファンタジー」と評されていることもまったくの事実で、ファンタジーと割り切ったからマウスを出したと考えています。
偉大なる靴屋の息子ことスターリンシリーズに関して言えば、書きましたとおりIS-4の試作型止まりだろうと思います。
IS-8=T-10は、IS-3とは別物ですし。(転輪の数が一組多いです)

なお、スーパーシャーマンについてですが、主砲が戦後フランスのAMX-30用の105mmをぶった切ったものであり、ここでレギュレーションに引っかかってしまいます。
シャーマンに関して言うなら、主砲を76.2mmにして、あとは現地改修で採用した「破壊されたシャーマンからはぎとった装甲板」をつけていいのかを判断してもらう方が現実的かもしれないですね。

むしろ「戦車道」という世界で重要なのは、選手の方だろうと思います。
トップクラスの選手は、おそらく名のある剣豪や、F-1レーサーのようなもので、二流、三流が束になってもまったくかなわないだろうと思います。
空手の某流派では「百人抜き」とか、本当にやりますから。
才能のある者を徹底的に磨き上げる武道と、一定の能力を持った者を大量に用意する軍隊では、「プロ」の意味が違います。
タクシードライバーやトラックドライバーもプロドライバーですが、プロのレーサーと戦っても勝てません。
戦車道の一流選手と、こっちの世界の戦車兵とにも、そのくらいの差があるのではないかと私は考えています。


日時:2016年05月23日(月) 23:37

VI号鷲型

初めまして、ストライクイーグルと申します。
このようなグレーゾーン戦車一覧表はとてもありがたいです。ありがとうございます。
つまり、車体が完成していれば試作戦車もありなのですよね?
ならば、E-100超重戦車やIS-7重戦車等の戦車は大丈夫ですかね?
設計及び製作は期限内ですし、機材の代替が出来るなら可能かと………………(まずあの文科省が黙っていないと思うが……………)
イスラエル軍が魔改造したM51スーパーシャーマンはありなのでしょうか?
車体はM4なのですが、搭載砲は明らかに大戦後の砲です。レギュレーション的にはグレーなのか黒なのか判断がつかないですw


日時:2016年05月23日(月) 22:48

エドガー・小楠

初めまして。よろしくおねがいします。

ロケット弾について言いますと、劇場版でも秋山殿が写真を持ってた「シュトルム・ティーガー」が代表でしょう。
ただ、無誘導のロケット弾は、「面制圧兵器」ですから、戦車道での出番はないと思います。
クーゲルブリッツや、ケーリアンはコストに見あうだけの能力があるかどうかが問題ですね。
すなおにⅣ号H型や、パンターG型を買った方がいいでしょう。
なぜかというと、飛行機相手に徹甲弾撃ってもすぽすぽ抜けちゃいますため、
対空戦車は必ず、被害の大きくなる榴弾を撃つからです。
航空機の機関砲弾も、30mmクラスなら飛行機の防弾版では防げませんから、半分以上炸薬でできてます。
対空砲で唯一徹甲弾なのは、艦載用のCIWSです。それは相手が空飛ぶ爆弾のミサイルだからです。
現代の対空戦車は、対物徹甲弾と対空、対人弾を切り替え装置で打ち分けることができますが、
あくまで、「念のため」です。もちろん主力戦車には通じません。


日時:2016年03月26日(土) 23:25

玉城羽左右衛門

初めて書かせていただきます。
玉城と申す者です。
ほう、こんなになっていたとは…まとめお疲れ様です。

ところで疑問に思ったのですがガルパンってロケット弾とかどうなんでしょうね。
ロケット弾を使用するパンツァーヴェルファーは分類上自走砲に入るのですが…
オープントップが駄目である以上、対空戦車はほとんど封じられますがクーゲルブリッツやケーリアンは対空戦車の中でもオープントップではなく、しっかり装甲に覆われているのですが…どうなんでしょう。
構想上のラーテも非常に気になりますね…
あのラーテは一応、設計は出来てますし…


日時:2016年03月26日(土) 23:05

エドガー・小楠

流水郎様

>58式戦車のあつかい
「中華人民共和国」が「製造」している場合は、アウトでしょうね。
なぜなら、その場合は「58式戦車」という形式自体が、1949年以後にしか存在しないからです。
ソ連が作った1945年型までの物を「買って」そういう制式名をつけたというのなら良いでしょう。
しかし、あきらかに「ライセンス生産」ですから、それはないだろうと思います。


日時:2016年02月19日(金) 22:40

エドガー・小楠

センチュリオンに関しては、本当にわかっててやってますね。
電光掲示板では『センチュリオンMkⅠ』ではなく『A41センチュリオン』と表記されてます。
センチュリオンといわなければわからないといえば、そうなんですが。
あれでは、MkⅠもセーフだと思われちゃいますね。
制作側も、プロトタイプのつもりで出しているのでしょう。
ただ、パンフには「センチュリオン」とだけ書いてあるのは、どうかなと思いました。


日時:2016年02月14日(日) 03:43

りふとむ

あの世界なら、グレーゾーン戦車すら無理矢理ねじ込んできそうな……
現に映画でセンチュが出てしまっている以上、作品世界の流れがその方向に向かう可能性が排除できないという(汗)

しかし、センチュがグレーゾーン戦車とは驚きですな。これ、大概の人は知らないんじゃないでしょうかね? 当方も知りませんでしたし……
(資料提供したのがガチのアメリカ軍人(予備役少佐)さんだからなあ……)
スマホ版WOTプレイしてる関係で、WGのニコニコ動画の番組をチェックしてましたが、まだまだ知らない事ばかりなりかな。反省


日時:2016年02月14日(日) 03:01

エドガー・小楠

T-44Vというのは、T-54という番号を割り振られる前の初号車なんではないかと思います。
たしか、たたき台ができてから名前をもらったはずですから。

センチュリオンは、……実は私は劇場版って、ガルパン版「さらば」とか「愛おぼ」かもしれないと思ってますので。本当はわりとどうでもいいです。

カールについていえば……。

……制作側に問いたいですね。
あのオートマチック技術は、1945年8月15日に可能なのかと。
やっとノイマン式の「計算機」と「真・チューリングマシン」が完成したばかりなんですが。
(商品化は、もっとずっと後です。私たちが考える「コンピューター」は20世紀末ですし)


日時:2016年02月08日(月) 20:24

マルシン牌

おおこんなところに一覧表が。
これは分かりやすく良いですね。

ちと疑問点でT54の表記の際T44Vという表記でもあり
なのかなと。

あとカールはオートローダー方式だったので限りなく
黒っぽいグレーだと認識です。この件は資料提供された
宮永氏本人の担当ではないので憶測ですが。
カールは海外のWGミリタリーアドバイザーの方が
担当しているので。

IS4やT10のソ連戦車は皆アウトなのは同意です。
スパパはキメラ改造でどうにかなるかな?とは思うけど。
やはりセンチュリオンは有名ですから。


日時:2016年02月08日(月) 17:40

エドガー・小楠

どうもありがとうございます。

自分も劇場版で疑問に思うまでは、センチュリオンもMkⅠだけはOKだと思っていました。
ある事情で精査する必要がでてきたので、調べてみたら、書いたとおりの事情でした。
放送版で誰も言及しなかったのは、戦中戦車といいきれないからなのでしょう。
劇場版のラスボスがセンチュリオンなのは、M26パーシングのボス、スーパーパーシングが
失敗兵器だったための、苦肉の策だと思ってます。
T-54は、完全に戦後戦車だと思ってましたし、IS-4は、存在自体知りませんでした。
なお、IS-3とそっくりなT-10は、実はIS-8という別な戦車ですから、やっぱりアウトですね。


日時:2016年02月07日(日) 16:11

有部理生

すごい! ガルパンは見てないけど、これだけまとめるのは大変だったでしょう。
これ見ているだけでもかなり面白いですね。


日時:2016年02月07日(日) 15:53



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