『貧乏くじの引き方』追編完結を迎えて。

 活動報告を書くのは初めてになります。艦これ二次創作『貧乏くじの引き方』追編二十五話にて一旦の完結を迎えることができました。感想、評価など有難うございます。
折角なのでこちらでも登場人物のやらストーリーについてなど触れておこうかな、という次第です。



『提督』華見京香について。

 本作主人公にしてTHE・後付け設定の塊。名前すら最初は決まっておらず、追編を二、三話ほど書いた辺りで深海棲艦化周辺の設定と共に生えてきました。


【挿絵表示】


名前のネタ元は駆逐艦曙艦長、「花見弘平」氏。

彼女に限らず、名有りの登場人物は全て艦娘に縁のある人物から捩った名を付けています。色々と調べ持っての細かい仕込みでしたが、お気づき頂けたでしょうか。

 プロトタイプでは曙ではなく球磨の適合試験脱落者となっており、現設定とは違い彼女は艦娘化実験の被験者でもありませんでした。
 艦娘化の際に幾つかの試験を受ける必要があり、試験を突破ののち艤装との接続が成功すれば晴れて艦娘となる、みたいなイメージで考えていて、彼女は最後の接続試験で適正値に及ばず脱落。その後紆余曲折あり、指揮している艦隊に幼なじみである叢雲が着任、という初期設定でした。
プロトタイプ通りの場合は恐らく日常系メインの話になってたんじゃないかな、と思います。性格面は今と大きくは変わらずと言った感じですが、書いていく内に悲劇のヒロイン要素が盛られていったような気がします。

 造形に関しては、最初「狂言回し」としての役割以上を考えていなかったため、キャラに癖を付け過ぎないように気を付けつつ、どこかで使えそうなネタを蒔く形で動かしていました。成り損ない、という点に関してもあの時点では「艦娘になれなかった」以上の意味はなかったんですよね。叢雲の鈴に関しても最初にぼんやりとイメージがあったのでひとまず描写だけ入れていたという感じです。
 しかし船酔い周りが固まってからは速いもので、あれよあれよという間に「人体実験の被験者(志願)」「艦娘化に失敗して半ば深海棲艦化している」辺りの設定が生えてきました。後は話の進行に合わせて略歴を詰めたりしつつというところ。後半意識したのは「とにかく心を折らないこと」追編入って直ぐで二度ほど弱音吐かせたりしたので、残りパートは全部抱えてもらおうかな、と。『悲劇のヒロイン要素』を前に出し過ぎないよう気を付けていました。

 その結果として凄いペースで明石共々被害担当になっていったオチ。貧乏くじを引くのはお前じゃねえ、と思いつつ。彼女に関しては他に「過去」や「未来」についてなども考えてはいるので、何らかの形で出したいところ。



『曙、紫子(電)、最上、深雪』について。

 本作前半のメイン級を担当した三名と、本編ボスの深雪さまです。最上と曙の因縁として本作を書き始めたため、二人の関係性はおおよそ固まっていましたが、出自やら何やらは本編進行に合わせて決まっていきました。オリジナル、クローン、シグでそれぞれ船酔いの罹りやすさが異なっている(クローン>シグ>オリジナルの割合で発症者が出る)という設定もあるんですが特にそれを描くシーンがなかったため割愛しています。
 ちなみに最上は正真正銘のオリジナルですが、曙は追編で書いた内容(深海棲艦の亡骸から回収された)より以前に一度死亡しており、そもそも最初は人間でした。要するに元々シグだったのが戦闘で死亡、深海棲艦化しその後運良く艦娘に戻れた、という感じです。一人が罹れば連鎖的に発症者が出る、という傍迷惑な条件だけあれば進行上問題ないのでこの辺りも書いていませんでしたが。
 京香と曙がそっくりな理由についてはPixivなどに投稿している出張編
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=49492002
に書いている通り、艦娘それぞれに外見等の雛形となった少女がいて、曙の雛形が京香である、というところから来ています。本編終了後に関してはぶつくさ言いながらも京香の補佐などしつつ事務仕事でもやっていることでしょう。
 関係する四人の名前の元ネタは

曙→華見実莉=「中川実」氏

最上→藤村良=「藤間良」氏

となっています。京香や曙の言う「どういう名前か」については、藤間氏が重巡洋艦最上最後の艦長、という一点につきますので、それ以上は控えておこうかと思います。
 また追編で軽く触れた鈴谷、熊野もシグで、彼女らは水難事故(両親の乗った船が深海棲艦に沈められた)による孤児で、艦娘の適正があったことから軍の保護下に入る形となっています。
名前の由来は

鈴谷→藤村弥千代(フジムラヤチヨ)=柴田弥一郎、藤間良の両氏
熊野→藤村祥子(フジムラショウコ)=西村祥治、藤間良の両氏

といった形で、最上ともども苗字を藤間氏から借用しています。

 続けて紫子。フルネームを羽柴紫子(ハシバ ユカリコ)といい、船酔いのギミック説明並びに本作における艦娘のいち体系であるシグの説明の為に用意したキャラクターです。ある意味深雪とセットと言った方が近いかもしれません。

名前の元ネタは駆逐艦電艦長「渋谷紫郎」氏。

 他の登場人物との関係性としては「京香の初期秘書艦」「艦娘化の際は明石が担当を務めた」辺りでしょうか。彼女と明石の過去についてもおおまかな流れは決まっています。
 艦娘化前は病による半身不随を患っており、調整に関しても半ば自棄に近い形で志願した結果たまたま適正があった、という形。その結果親友が出来て、その親友を自分の手で沈めることになろうとは……。本編後はギクシャクしつつも普通に話したり出来るような距離感に戻るのではないでしょうか。
 ちなみに漢字表記は異なりますが稲妻という紫色の花を付ける花菖蒲があるそうです。花言葉には「優しい心」というものもあるらしく、色々な偶然に助けられたネーミングとなりました。
 彼女に対応する形で設定を掘り下げていく事となった深雪。
フルネームは中原深雪、「中村達平」氏より苗字をお借りしました。
史実にある「電、深雪の事故」をベースに、作中で提示する船酔いの前例として二人の関係を拵えまています。紫子同様にシグであり、調整終了後に配属された鎮守府で紫子と出会い親しくなります。
その後紆余曲折あり、戦闘訓練中の事故で深雪は死亡、遺体は回収されずそのまま深海棲艦化しました。


『明石』および『三特艦』について。

 後付け設定の塊その二。恐らく提督並に設定がもりもり盛られていった気がする明石さんと、彼女の所属部隊である第三艦娘特殊部隊、略称三特艦です。
最初の段階ではゲーム中での立ち位置から単純にメカニックやら医務やらの担当みたいなポジションで出していたんですが、京香の設定追加に合わせて
『お偉いさんの娘を監督者ナシに前線行きって』
『そもそも機密度の高い実験の被験体なんだから監視が無いのはおかしい』
みたいなところから立場が決まって行きました。
 ゲーム開始と同時に登場する艦娘の中で『全てのプレイヤーが共通して顔を見るキャラ』なのが大淀と明石の二人だったこと、本編で少々なりとも動いて喋っていたことからの抜擢となります。キャラ造形はややフランク気味かつ非情になれない、というイメージ。半ほど進んだ辺りで明石が割を食う事が決定したので、それに伴って生じるであろうヘイトを制御する点に気を付けました。
 本編だけで京香が割とヘイトを取るように立ち回っていたことと、そこを含めて彼女を信用しているキャラが存在していたことから「京香を殺しました」→「よし死ね」となると色々展開的にまずいな、という折衝の結果、彼女が追い詰められてる事を複数話で小出しにし、直接それを把握している天龍が現場を目撃する、という流れにしています。追編十九話の舌戦は個人的お気に入りシーンの一つですね。

 続いて三特艦。明石の所属部隊かつ、汚れ仕事も担当しているという形以上の情報をあまり提示していません。ここの司令であり明石の元上官でもある男性、上村謙治と副官の艦娘不知火を中心に艦娘、人間両方の混成で部隊が組まれています。

 名前の由来は駆逐艦不知火艦長、「中村謙治」氏

となっており、その名の通り不知火とのコンビが基本という位置づけになっています。
ヴェールヌイ(通称ヴェル)、矢矧、朝潮等はなんとなくなイメージでのチョイスです。陽炎型朝潮型辺りは特に銃火器似合いそうですよね、という。
 一応こちらも色々と設定やらを考えてはいます。大まかな任務の傾向であったりキャラごとの立場であったり考え方であったり、色々広げられればとは思っていますがはてさて。


『三笠』について。

 本編で時折名前だけを出していた三笠です。立ち位置としては吹雪や叢雲といったゲームでの初期艦娘を更に遡った所にいる「一人目」の艦娘となっています。京香の祖父である華見中将と接触し、その後深海棲艦や艦娘の存在を人類に伝えた者。実際の在り方からもWW2艦娘の始祖、という形に据えやすいかな、という感じで設定しました。外見も考えていたりはするんですが艤装のデザインに難航中。
 裏設定としては、この世界では人類同士の戦争が少ない代わりに散発的に深海棲艦との戦闘をやっていて、京香らが戦場に出るまでにあった長い期間の断絶で情報などが埋もれてしまっていた、と言う感じです。
戦闘があったという歴史は知っているが、個々の戦闘記録や戦略戦術の継承が不完全だったため、三笠との邂逅までジリ貧になっていたという。
 京香との関係についても色々あり、Pixivの出張編でちょっとビジュアルを出したりしていますが、いずれは作品として出したいなーというところです。


『ほか艦娘』について。

 メインの面子が固まってから、取り敢えずゲームの方で艦隊にいる面々から適当に抜粋していく形で主要キャラがざっくりと決まりました。伊勢日向は他鎮守府からの移動組、金剛はドロップ、長門は建造といった形で、ある程度出番のあるキャラはおおまかなバックボーンを定めています。
自分の場合、下準備がないとキャラが薄くなりがちなのが悩みどころの為、箇条書きで来歴などを設定するようにしています。お陰で、思わせぶりな表現やテキスト等を差し込んでも問題ないと言える程度には各キャラの行動原理などを定められたように思います。
明石がその顕著な例ですが、他では天龍もそうですね。作中で上位に動いてくれたのでお気に入りのキャラでもあります。
 また登場頻度の高かった金剛などに関しては、辞書とGoogle先生片手にスラングや熟語などを逐一調べつつ台詞を入れたりしており、紅茶のこだわり等も自身で飲み比べつつ設定を考えています。長門の本なども含めて、ある程度現実との差異を出しつつそれっぽい小物が用意できればな、と考えての描写でした。


『ストーリー』について。

 上記の京香の段でも触れましたが、初め創作提督で考えていた話は日常系でした。Twitterやpixivなどの艦これ二次を見ることが多くギャグなりコメディなりをやりたいなーというのが先にあったのが主な要因ですね。京香の前は普通に男性提督で何か出来ないか、という感じだったのを覚えてます。
 で、男性提督はそれこそ星の数ほど居るというところから女性提督になりまして、いろいろ考えている最中にskypeチャットで話していた相手が出した「曙は最上に面倒を見させて~」という一言に着想を得ました。
 その後は書きながら設定を煮詰めたり展開を考えたり、としつつ過去話だったり別の登場人物だったり、本編後の話だったりを大雑把に埋めていく方向で大凡の世界観を固めて行きました。
追編序盤までは自ブログからの転載であったためそちらを見てもらう方が早かったりするのですが、サブタイトルの付け方に当時の話数計算の大雑把さがありありと浮かんでいたりします。
京香並びに第五艦娘駐屯地の「未来」の話や三特艦に焦点を絞った話などやりたいとは思っているのですが、遅筆故なかなか進まないのが難儀な所です。



 そんな訳で、追編までについて一通り書かせて頂きました。現在書いている外伝「蒼き鋼」編についても自身なりにいろいろ調べたり頭を捻ったりしつつ進めていきますので、よろしければ今後もお付き合い下さいませ。


日時:2016年06月16日(木) 01:13

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