映画『君の名は。』を見てつれづれな。
遅ればせながら昨日、ようやく話題の映画『君の名は。』を見ることが出来た。
これを見る前に、私が思ったことは、『ああ、また秒速5センチメートルの悪夢がああ』……などと考えていた。二人の男女のあれやこれやが無情になっていく様ではないかと殆ど頭空っぽな状態で見に行ったので(入れ替わるぐらいは何となく知っていた)、色々と不安があった。
だが、それらは一瞬にして吹き飛んだ。この二人―――三葉と瀧は、これから想い合っていくのだと直感出来たからだ。
以降完全なネタバレ注意。
まだご覧になっていない方は戻ることを推奨、それでも構わないという勇者もどうぞ。
では、十分な間を開けたので感想をば徒然と書き連ねていく。
まず、やはり新海誠といえばと言わんばかりの圧倒的な映像美とカメラワークに圧倒される。この時、最初―――冒頭における映像をただ単に綺麗だと思っていると後々後悔してしまう。
ただ美しいものだからこそそこには何かしらの「恐ろしさ」も含まれているのだとそんな風なことも考えさせられる。
主人公二人―――『宮水 三葉』、『立花 瀧』、二人は地方と都心という正反対な場所に「生まれた」男女であり、特に三葉は滝のように都心に生きる人生に憧れていた。滝の方は特にそういった風な地方に対する入れ込みは無いようだが、ちょろっと見た小説版だけ見ると、それなりに地方―――田舎暮らしにも満足している様子が窺えた。
何日かお互いの『身体』を入れ替えて過ごしていくという変な現象に悩まされつつも、その中でお互いにお互いに無かったものでお互いの環境を変えていくことになる。それは良かれ悪しかれ、変化であり―――同時に二人を『男女』として惹きつけさせていくことにもなる。
特に瀧の方は顕著であり、三葉が地元である『糸守町』にて様々に特別で様々な目で見られていることに対して、持ち前の『喧嘩っ早さ』と恐らく『正義感』で、三葉に対して色々と陰口を叩いていた連中などを黙らせていく。
それは言動であり行動でもあり、とにもかくにも三葉を瀧は『守っていった』。古い因習に囚われて己を出せない少女の心を―――
かたや三葉も憧れの東京暮らし、しかも神社で叫んだとおりのイケメン男子になれたことで色々とハイになりつつも瀧の人間関係を壊さないようにしつつ、同時に瀧の『恋愛』をサポートしていくことになった。それは、瀧が望んだ結果ではないが、それでも彼女なりに、そんな風に自分を守ってくれた男子に対する恩返しでもあったのだろう。
そんなこんなで入れ替わり生活を続けていくうちに―――、お互いの『本当』を、『本音』を知っていった。特に三葉は親友二人以上に瀧に知られた事と、瀧によって与えられた変化がいいものであったからこそ―――三葉は瀧を『意識』する。同時に瀧も今まで憧れていたはずの女性よりも、三葉のことを知り、何より愛おしく感じてしまい、結果としてこの時二人は惹かれあっていった。
だが、そんな入れ替わり生活は突如終わり―――、同時に衝撃的な事実が続々と明らかになる。
その際の瀧の『焦燥感』が画面を通して私に伝わってきた。詳しくは語らないが、この時の瀧はとにかく三葉に会いたい一心であった。
そして探し求めたもの、衝撃的な事実が明らかになっていく……今まで入れ替わりを行っていた少女が『三年前』の『彗星落下』によって死んでいて、同時に彗星落下による災害は瀧にとっても大事に思えていた『糸守町』を消滅させていた事を知る。
『死』というどうしようもない、『克服しようのない』別れ。
『自然災害』というどれだけ論理考証を繰り返しても『予想・予測不可能な』事実。
その二つに打ちひしがれる瀧。だが、彼は諦めなかった。糸守町という『特殊な街』に生まれた三葉と『三年後』に生きる自分とが繋がっていた理由―――ただ単に死に行くサダメであった少女に対する慈悲ではなく、何か―――があるはずなのだと瀧は行動を開始する。
段々と三葉との記憶もおぼろげになる中、一筋の『希望』という―――過去と未来を繋げた『ムスビ』を求めて―――。
そこから先はまぁ割愛するとしても、ようやく『カタワレドキ』に出会えた二人(実は三葉存命中に一度会っている)。そしてそこから彗星災害の悲劇を回避するべく行動を開始―――、そして再び『別れる』二人―――。
お互いの事も忘れてしまい―――、この後の展開は正直、私はヤキモキした。だって秒速のアレが蘇るんだ……。
お互いの事を忘れたとしても、日々を暮しながらも未だに『何か・誰か』を探している二人。飛騨と東京都心という長い距離ではないお互いに都心にいるというのにすれ違う二人。
この時の私の心情はただ一心に願うのみであった。
『頼む!! 二人を会わせてやってくれ!! あんなにまでも想いあって、本来ならば死んでいた少女の運命すらも覆して、同時に多くの人も助けた!! それなのにこんな結末なのか!? 今でも二人は『カタワレ』を求めているんだぞ!! 頼むよ!! 二人を繋げてくれ!!』
本当に手を握りしめながら見ていた。後半は祈るばかりであった。
何度か擦れ違い、『振り返り』お互いの『名前』を呼ぶことも無い二人に―――恐らく私以外にも焦燥感を覚えた人間がいるはずだ。
そしてラスト――――この時に、この『君の名は。』の全てが込められていたのだと確信した。
この後の二人は想像するしかない。
『入れ替わり』の記憶を取り戻していくのか、それとも再び違う関係からスタートするのか……だがそれでも分かることはある。
この二人の『ムスビ』が途切れることは無い―――いや、最初から途切れてはいなかった。求めあった二人はいつか必ずお互いを知る。
その事実こそが三葉と瀧の物語のラストに相応しいと思えた。
次回、見終わってからの思ったことにに続く。
日時:2016年11月14日(月) 02:26
映画『君の名は。』を見終わってからのつれづれな。[ネタバレ注意] >> |