へっぽこのやんごとなき事情

二月某日

私はその日会社から配られた四月までのスケジュール表を見て愕然とした。

「どこもかしこも真っ黒じゃあないか」

配られたスケジュール表には本来あるはずの赤い数字も青い数字も書かれていなく、代わりに数字の下には活字がこれでもかと羅列されていた。
私は激怒した。必ず、彼の邪智暴虐の課長に物申さなくてはならない。
私には人事はわからぬ。私はただの平社員であった。仕事を嫌い、こっそりと就業中にハーメルンを見てきた。だからサボることについては人一倍に敏感であった。
私は他の平社員達のデスクを越え課長の元にたどり着いた。

「課長。休みがないです」

課長は言った。

「知っている」
「三月はまだ分かります。年度末だし決算が山ほどあると知っているから。しかし、四月は別です。他部所の応援で休日が全部潰れてしまっているじゃないですか」
「仕事に区別はない。今のうちに色々経験を積むことが大切なのだよ」
「それに、なんですか。月火水木金金金って」
「それは私のユーモアだ」
「驚いた。課長は乱心しましたか」
「日曜日があるから人は休むのだ。日曜日がなければ休みようが無いだろう」

課長は辺りを憚る小さな声で呟いた。

「それに、花金が三日連続であると思えば楽しい気分にならないか?」
「なるわけが無いでしょう」

私は嘲笑した。
嘲笑した後、悔しくて地団駄を踏んだ。

「神様だって七日に一日は休みました」
「君は神と同じぐらい有能だと言うのか。神より無能ならば神より動きたまえ」

私はちらと平社員の方を向くが私と同じぐらいの若者は首を振った。

「それとも、君は係長という曖昧で雀の涙ほどしか出ない手当てと引き換えに残業代を無に帰したいとでも言うのかい?」

課長は低い声音でそう言った。

「そんな無茶苦茶な」
「無茶苦茶なことがまかり通る会社なんだ。適当に役職を与えれば残業代が浮く。まあ、若いうちの無茶はきっと財産になる。大丈夫、人間は考える葦だ。四月までは強風に身を委ね、五月になったら立ち上がれるさ」

私は手も足も出せなかった。
理性が、立場が、給料がそれを阻んだのだ。

私は五月までは更新できないだろう。数少ない読者達は一人また一人と減り、帰ってきた私を忘却の彼方へと押しやってしまうであろう。
私は負けたのだ。課長よ、どうとも勝手にするがよい。

とぼとぼとデスクに戻り、私は足を投げ出した。




脚色してますがこんな感じで本日がゴールデンウィーク前の最後の更新でした。
毎日忙しいのに更新している方は本当にすごいと思います。
読んで頂いている方には申し訳ありませんが、次の更新は本当に未定となります。


日時:2017年02月24日(金) 23:02

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