ARIASS省察

つい先日書き終えたばかりの『ビフォア・ゴールド』は、アリシアさんの成長期にスポットを当てた作品となりました。まだ見習いのウンディーネだった若い頃の、彼女の恋の逸話が、ネオ・ヴェネツィアとは別の島を舞台にして、主に彼女の内面に重点を置いて描かれています。今は黄金に等しいアリシアさんの過去を暗示するつもりで、上記の題を付けました。

作者は粗筋を事前に準備して置き、本作に取り組んだのですが、ぶっちゃけ気乗りしませんでした。第一に着想とその勢いで粗筋を書いて、その後それに肉付けをしていって、小説としてあるべき形へと整えて行ったのですが、粗筋を見るたびに、「こんな話をおれは書かないといけないのか」、と半ばうんざり思いました。その粗筋は自分で作ったんですがね。

どうしてうんざり思ったかと言いますと、あまりにも話の内容が甘ったるすぎるからです。しかしそれは仕方のないことかも知れません。恋愛をメインに据えたストーリーなので、話の内容が甘ったるくなるのは異とするに足りないことと思います。しかし甘味を濃くしすぎました。もっとマイルドにするべきでした。とはいえ、その濃度の調節は、作者の力に余ることで、どうしようもありませんでした。3話目あたりより、作者はいっそ本作は頓挫させ、こっそり削除してしまおうかと何度も考えたものですが、乗りかかった船なので、どうにかこうにか最後まで書き切りました。せっかく粗筋を作ったのですし、完成させないと勿体ないですしね。

作品にはいくつか矛盾や齟齬がありますが、あるいは気付けていないだけでいくつもそれがあるかも知れませんが、その粗は、一介のファンの拙い二次創作に過ぎないので、そのまま直さずに放置しようと思います。
作品では、アリシアさんを煮え切らない感じに描いてしまいましたが、彼女の内面は、描写が足りないと思われるところがあるし、また書いた描写の内には不正確と思しきものが見受けられるけれど、それなりに丁寧に描けただろうという誇負を、作者は勝手に持っています。
余計なことですが、作中恣意的に、原作に反して、アリシアさんがカエルが苦手だというようなことを描きましたが、その描写を作者は何となく気に入っています。食べ物にせよ昆虫にせよ、ある人物に苦手なものがあるというのは、彼/彼女の人間味を感じさせてくれるポイントですね。カエルが苦手なアリシアさんって、結構チャーミングじゃありません?

しかし本作は欠点の多い反省すべき作品です。その反省を活かして、次作はより優れたものにしたいと思います。いつ書くのかはまったく未定ですけどね。

以上、『ビフォア・ゴールド』の省察でした。


日時:2017年05月05日(金) 02:04

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