オケキャス妄想

 私の島におかしなのが流れ着いた。
 変な少年だった。
 大魔女である私に全く敬意を示さない。それどころか馴れ馴れしい。
 私の毒も効かない。何か魔術でも使っているのかと思えばそんなこともない。

「まったく君はなんなんだい?」
「んー、さあ?」

 帰るに帰れないらしいから、気まぐれにおいてやることにした。
 まあ、気まぐれさ。断じてオデュッセウスの戯け者が出ていって寂しいからとかそんなことはない。断じて。

 しかし、彼は良く動いた。必要のないというのに、色々やっていた。その都度、痛い目にあって私が助けるはめになった。
 本当、勘弁してほしい。本当だぞ? 

 果ては船作り。

「そんなに出ていきたいのかい?」
「いつまでもキルケーに世話になってるわけにもいかないからね。それに待ってる人もいるし」
「そうか……」
「それより、お腹すいたからキュケオーン作ってよ」
「最近ますます図々しいな君は」
「キルケーのキュケオーン、美味しいからね」
「ん、それを言われて悪い気はしないね。ほうら、お望みのキュケオーンだ。たーんとお食べー」
「わーい!」

 などと彼が船を作り、私がそれを見るなんて生活は一年くらい続いた。
 彼は一年かけて船を作って見せた。無理だと思っていたのにやりとげたのだ。

「……本当に行くのかい?」
「うん。待ってる人がいるんだ」
「そうか…………ま、まあ、ようやく余計な居候がいなくなるんだ……清々する」
「それについては、ごめん。でも、キルケーがいてくれて良かったよ。オレ一人じゃここまで出来なかっただろうし」
「君があまりに頼りないし、死にそうだったからな。本当良く生きてるよ」
「はは。良く言われるよ」
「……ほら、さっさと行きな、日が暮れると大変だ。あと、耳栓はしっかりとね」
「わかってるよ」

 彼は船を押して海へと向かう。
 行ってしまう。引き留めることは、きっと出来ない。
 
「っ……」

 言うならいまだ。

「…………」

 けれど、私には言えない。

「帰ろう」

 家に。そして、また髪を切ろう。

 出ていく彼に背を向けて歩き出そうとしたとき。

「いや、なにしてるの?」

 腕を掴まれた。

「え?」
「いや、出発って時にどこ行くの?」
「いや、君が出ていくんだから、家に帰るんだが?」
「いやいやいや、ついてきてくれないと困る」
「はい?」

 何を言ってるんだろうか。この子は。

「だってオレ一人だと絶対転覆するし、何よりこんな島にキルケー一人じゃ、寂しいだろうからね。さあ、行こうよ」

 腕を引かれて、私は彼と島を出た。
 あのとき切ってから伸びた髪が、潮風に揺れた――。


「という筋書きはどうですかな!」
「却下だ!」
「おや。おかしいではすなぁ、賛成いただけるものと思っていましたが、どこがお気に召しませんかな?」
「強いて言えば全部だ全部! だいたいなぜ私の過去を演劇にしようとしているんだ!」
「ははは! いやぁ、締切間近に他のことをすると意外なほど捗ることがございましょう?」 
「つまりただの悪ふざけじゃないか! これは破棄させてもらう」

 シェイクスピアから原稿を引たくり自室へ。
 とりあえず隠して……。

「キルケー?」
「うわぁ!?」
「なにしてるの?」
「な、なんでもない。この大魔女に何か用かい?」
「ブーディカさんがおやつ作ったから食べに行こうよ」

 マスターに腕を引かれる。

 すっかりと長く伸びた髪が風に揺れる。


私の脳内意味不明。
オケキャス可愛いよ


日時:2017年12月11日(月) 21:07

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返信コメント

三代目盲打ちテイク

>ぎんりゅう♪さん

そのままキュン死すればよいのだ。死ねば助かる……。

おっと、同志でしたかw

イメージするのは常に最強の自分だ。
だから、引いている自分をイメージするのです……。


日時:2017年12月11日(月) 22:07

ぎんりゅう♪

キュンキュンしすぎてキュン死するとこだった(口から砂糖ザバー

センセの好みの引き出しがことごとくストライクゾーンえぐって来て、ストライクカウント数えるのがめんどくさくなって来ました(ー ー;)

てか、下の方を見たら好み丸かぶりだったw
そりゃ抉りに来るな、うんw

あ、エレちゃんにお供えする石は300個用意しましたが……これでも引けないかもしれないと思うと胃が痛い


日時:2017年12月11日(月) 21:59

三代目盲打ちテイク

>オジマンキマシタさん

それはよかった !


日時:2017年12月11日(月) 21:08

浅漬けの素

可愛かったです。きゅんとしました。


日時:2017年12月11日(月) 20:52

三代目盲打ちテイク

〉ベクセルmk. 5さん

私の好み? 分かりやすいですよ。
年上系、ぽんこつ系、健気系、幸せにしてやりたい系

だいたいここらです
石は170くらいあります。


日時:2017年12月11日(月) 20:23

ベクセルmk. 5

すんごいいい話なんじゃが。
先生の好みが若干わからなくなってきた。(叛骨も人のことを言えない)
そうそう、エレシュキガル来ますよね?石と運の貯蔵は十分ですか?叛骨はベツゲーとイシュタルで使い果たしているので厳しいです。(星5を手に入れたくば、その3倍の石を用意するんだな)
新作に関してはまだ読んでません申し明けございません。けど、今息抜き作品の為の勉強中だから仕方ないよね?(今読んだらFGO書いちゃう)
これからも大変だと思いますが、頑張ってください


日時:2017年12月11日(月) 20:17



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