フェイク番外編ゼロ 彼女はすべてが正反対


前書きです。
フェイクの本編では語られない物語。

本編に書くほどのものじゃないけど、チラシの裏に載せるのも微妙かなーって思ったのでひっそりと書いとく。
コメントはやる気の道具……(チラッ)

ここから下がお話ですどうぞー↓↓↓

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 科学研究所。全てを調べつくし、何もないと決断し一部の海兵が監視者として警戒体制となった島。

 そこに、ある起動音と共にとある一つの機械が開く。
 海軍が見つけてはいたが、ただの廃材として処理されたもの。

 それは一つの失敗作。
 いろいろと反転した、オルタナティブと呼ばれる存在。
 だがしかし、世間にとっては見過ごせない存在と成りうるもの。



 ―――システムオールグリーン。
 ―――身体調整、良好。
 ―――記憶植え付け完了。

 ―――拒否反応なし。すべてのシステムを起動。



 機械が大きく開き、そこから小さな人間が出てくる。
 それは―――14歳ほどの年齢をした、裸の少女だった。




・・・・・・・・・




 さて、ここはどこだろう。

 天国という訳じゃないみたいなのは確かだと思う。廃棄処分になるとか言いながら私が目覚めたということは、つまり廃棄される前に何かあったということかな。

 というか、もしも私が本当に死んだとして……それで、大火事でもあったかのような荒んだ光景しかない場所が天国だとするなら、地獄はどんだけ酷いんだか。



「それと、何で私は裸なんだ……うーん?」



 機械に押し込まれ、スリープモードに強制的にされた時には服は着ていたはず。
 まあ、あまり羞恥心は感じないので堂々とこの場所が何処なのか探るために歩くけど。
 寒いのは確かなんだよな。あと素足だから余計に痛いし寒い。
 なんか木材の破片を踏んで……あっ、でも痛くない。ならいいか。

 さて、これからどうしようかな。
 私の中にあるこの記憶は、偽物でもあり本物の記憶だ。

 でも私は私だから、彼の感情のままに動きたくはない。
 私は自由だ。これが奴の実験じゃないのなら、私は何をしてもいい。

 だとするなら、どうしようかな……。



「な、何だ貴様!? というか何故裸なんだ!!?」


「おい止まれそこの少女! 止まれと言ってるだろう!!」



 騒がしい声に振り返ると、記憶と似た格好をした海軍の人が拳銃を向けてこちらを威嚇する。

 海軍がここにいるということは、ここは奴の研究所じゃない?
 それとも、研究所だった場所?

 いや、それよりも……。



「とりあえず寒いからその赤いフードつきの服をくれよ」



 海兵の一人が制服の下に着ているものに目をつける。

 暖かそうだから欲しいな。
 正義のコートや海兵の服はいらないけど!



「はぁ? 何を―――ぐほっっ!!?」

「おい貴様―――ごぶぉっ!?」



 記憶の通りに奴らをぶん殴って、追い剥ぎ的な感じで服を奪い取る。ズボンと赤いフードつきのパーカーと……。

 あっ、やったー!
 携帯食料なんて持ってんじゃんか。腹もへったし食べようっと。


 さーて、どうするかなー。
 海軍の軍艦を奪って冒険か?

 どうせ行くところないし、ラフテルとかは……まあ、オリジナルの『俺』が成し遂げるはずだ。成し遂げないまま死ぬのなら私が夢を追いかけてやるけど。
 でもそれはクローンとしての偽の夢。『俺』はともかく、私はあまり興味ない。
 だから是非ともオリジナルに成し遂げてもらいたいものだ。


「自由はいいもんだー」


 クローンとしての感情だと、とにかく冒険って感じでわくわくする。
 でも私はうんざりだ。奴の下した決断のまま、永眠でもいいからゆっくりしたかったのになぁ。



「起きたからには、仕方ないか」



 パーカーの、赤いフードをかぶって顔を隠す。
 奴が言うからには、私はオリジナルな『俺』のいわば女体化バージョン。
 クローンだとバレなくとも……少なくとも血縁者だと思われるかもしれない。
 だから、面倒くさい。



「……東の海か」


 冒険をしたいのは、オリジナルの感情。
 私は違う。咄嗟に冒険だと思ったけど違う。

 とにかく帰りたいかな。
 私の家なんてないけれど、オリジナルの故郷の端っこで秘密基地みたいなのを建てて、余生をのんびりすることぐらい許されるんじゃないかな。



「腹へったなー」



 携帯食料だけじゃ足りない。
 ぐうぐうとお腹が鳴って、ひもじい。



「サンジー、めしー! ……なーんて」


 あーあー。
 馬鹿やってないで早くこんなつまらない島から出よう。







日時:2018年04月09日(月) 02:54

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