フェイク番外編イチ 彼女はすべてが正反対
「あーあー」
「ぐっ! 貴様……!」
あの島にあった船で出て、何事もなく奇跡的に偶然次の島に着いたは良い。
―――けれど、まさかオリジナルの記憶にあるやつと再会するだなんて思わなかったな。
「下等種族の分際で、この俺の頭を踏むなど……ぐう!!」
「うるせーよ。お前またナミの故郷を荒そうとしてたくせによく言うぜ」
アーロン。オリジナルとしての心が深く拒絶する敵の一人。
いや、反省とかしてたんなら何も言わなかったし、反応もしなかった。
でも着いた先の島で普通に人間相手に喧嘩を売っては脱獄してきただの麦わらのことを憎んでるだの、東の海に用があるだのいろいろと聞きたくないことを言うこいつに腹が立っただけ。
クローンの私としても、うるさいなって思ったし。
「あの女の知り合いか!? いや待て、その顔……麦わらの妹か貴様!!!」
「んなわけねーだろばーか」
私はクローンだよ。
まあそれを言うつもりはないけれど。
「あー……でもさぁ、私って本当に一人だと何も出来ないんだよねぇ」
仲間もいないし、あの男のクローンだし。
「私を連れてってくれる足が必要なんだ。船はあるけど航海士はいない。ここに着いたのも偶然で、幸運だった。だからさ?」
「ぐっ……」
アーロンの頭を踏みつけて、ニッコリと笑う。
「お前、私の仲間になれ」
「ふっ……ざけるな、下等種族がぁぁ!!!」
ふざけてはいないさ。ただ、私の目の前でオリジナルの感情の逆鱗に触れたお前が悪い。
「大丈夫! 仲間にさせてやるよ!」
「その前に殺す!! 殺してやるぞ、下等種族!!」
ニコッとした私の笑みに見覚えでもあるのか、アーロンは青筋を立ててこちらを睨み付けていたけれど……まあ、オリジナルの力を受け継ぐ私に太刀打ちできないのは当たり前だ。
アーロンと戦ったときよりも後。もっと強くなった頃に、私は作られたのだから。
だからほら、調教してやるよ。
二度と腹の立つようなことを言えない身体にしてやるから覚悟しときなさい。
ねえ、自称高等種族。
絶望に歪むお前の目はどんな色をしてるんだろうな。
それを見てもきっと私は悲しまないけど。
日時:2018年04月09日(月) 03:52
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