ボツ祭

二次創作は気ままにといっても、色々気にしてしまうもの。
投稿速度が早ければ早いほど評価はあがるものの、評価以前に自分が読みたい作品を書いてるわけで……

なんか違うなぁと原稿を千切っては投げ千切っては投げ……
とりあえず更新するつもりありますよと、ボツ案2つ投げます

〈ボツ1〉

 立香ちゃんは気付けば花畑にいた。

(なんだかボーっとする……)

 さわさわと風に揺れる草花に、立香ちゃんもあわせて揺れる。力が入らない。まるで立香ちゃんまでも草花になってしまったかのようだ。

 いや、ここに至っては草花ではないことの方がおかしいのだ。

 力まず、呼吸せず、思考せず、土と同化する。それこそがあるべき姿。
 力が抜け、呼吸が止まり、思考が止まる。

 しかし土へと倒れ込む事はない。

 膝が抜け、爪先が前に出て体を支える。
 ずずりずずりと、前に進む。
 草花が土に帰らず前に進む。不自然で異様なあり得ざる光景。

 強い風が吹く。
 花が散る。
 草が根から千切れる。
 髪が指が耳が皮膚が腕が千切れる。
 断面からは水が滴り、樹液のような蜜が流れる。■はでない。

 ずずり
 ずずり
 ずずり

 それでも前に出る。

「そんな有様で、どこを目指して歩くんだい?」

 声がした。
 いや……耳は風にさらわれた。そもそも草花には聞く事は出来ない。
 しかし、どこ……とは、見渡す限り花畑で……いや、目もないのか、木の(うろ)のようにそこはがらんどうだ。

 それでも、進まないと。

「そんな有様で、なぜ前に進もうとするんだい」

 なぜ……なぜだろう。意味があったような気がするし、意味などなかったような気もする。

 なんだったっけ?
 そう、手を握ったんだ。

「手なんてないのに?」

 断面から新芽が生えて、うぞうぞと大事な何かを吸い取りながら成長していく。幹と葉ができる。いや、元に戻ったのだ、これがあるべき姿なのだから。
 そこに手などない。

 それでもだ。
 私は手を握った。

 ずずり
 ずずり

 重くなった幹を引きずりながら、前に進む。

「そんな有様で、どうして休まないのですか」

 ……そこに、人がいた。

「休んでも良いじゃないですか。先輩はよく頑張りました。ここでゆっくりと休みましょう」

 マシュ。
 声にはならずに葉がざわめくだけ。

 足が、止まった。
 それを見て満足そうに、マシュは微笑んで見せた。

「さぁ先輩、心安らかにぃぃぃいいい!?」

 回し蹴り一閃。

 張りかけた根をブチブチと引きちぎって、風も草も花も切り裂く一撃。
 しかし、マシュっぽいのはそれを紙一重でかわした。

「危ないじゃないか!」
「ぶっ殺すぞ」

 気付けば体は元に戻っていた。
 いや脳無に殴られたからか随分ボロボロで、腕なんてグチャグチャで泣けるほどに痛いが、さっきまでの異常はなくなっていた。
 まぁ泣くより前にこいつを泣かせねばなるまい。よりによって後輩を騙るとは。

「結構自信あったんだけどなぁ」

 後輩は100倍可愛くて尊い。少なくともそんなドブのような笑い方はしない。はよ戻れ。

「んー君の反応が楽しいから、もう少しこのままでいようかな」

 前蹴り、蹴り上げ、前に出て踵落とし。
 しかし全部避けられる。マシュの皮をかぶるならせめて全部受け止めろ。

「危ないなぁ、もう」

 くそぅ、相手にしても消耗するだけか。
 立香ちゃんは不毛さを確認して一撃を入れることを諦めた。腕が使えない現状ではいくらやっても無理ゲーだ。

「はぁ、さっきの悪趣味な幻術も、その格好も許すから、はやく戻してよ」
「君が起きれば戻れるとも。これは夢だからね」
「……」

 立香ちゃんは察した。こいつは私をここから出す気が無いと。
 後輩の顔でニヤニヤ笑うのが鬱陶しい。思わず睨みつけると、ますます笑みが深くなった。

「君は今、どういう状態にあるか分かってるかい?」
「変態に監禁されてる」
「はは、分かってるだろうに誤魔化そうとするのはお兄さん感心しないなぁ」
「……」
「生きているのが不思議、いや、僕がこっちに引っ張らなければ君の魂は壊れていただろう。それに肉体はまるで血袋だね。今のボロ雑巾のような状態でも幻術で補填してるんだよ」
「……」
「今は君が気絶したのを利用して夢から介入できてるけどね。神秘の薄れた現代ではこれが精一杯さ」
「……」
「夢から覚めればこの細いパスもなくなるから幻術が消える。つまり君は死ぬ」
「……」
「ここにいれば幻術は効いてるからね、そのうち肉体も癒えて生き延びる事が出来る」
「……」
「えーっと……その、もう少し怯えるとかだね。なんで口をあけて間抜け面を晒してるんだい」

 もしかして:心配してる?
 口に出すとクズは心外だという顔をした。

「そりゃそうさ、君は僕のマスターだからね」
「それはカルデアにいるマーリン(サーヴァント)でしょ」

 表情がなくなり、幻術が消える。
 マシュの皮だけではない。
 その下のマーリン(サーヴァント)に見せかける為のかすかなパスが消え、存在感まで切り替わっていく。

「……参ったな、どうも君を過小評価していたようだ」
「向こうは休ませようなんてせずに、まだいけるいけるってワイバーンけしかけてくる外道だから」
「えぇ……」






〈ボツ2〉

 立香ちゃんは、全身タイツの師匠を見た瞬間、全力で土下座した。
 意識が飛んだ時の白昼夢のようなものだと経験から分かっても、体に染み付いた恐怖は裏切れない。

「慢心、油断、恐怖、焦り、侮り……なるほど、修行が足りなかったと見える」

 どおっと滝のように汗が流れる。
 こ、これ白昼夢ですよねっ!?
 そう問いかけたいが言葉にならないほどの威圧感が立香ちゃんを襲う。脳無とか比較にならない。

「人相手なら、英霊相手よりマシだ。だから何とかできる」

 慢心を指摘される。

「捌けるし見える。技のない素人相手ならか、まぁ随分偉くなったものだ」

 油断を指摘される。

「その技も恐怖で曇っていてはな。もっと危ない場面を切り抜けてきたと思ったが」

 恐怖を指摘される。

「ん? なんだ、自覚もないのか。お前のソレは死への恐怖なんかじゃあない、もっと醜悪なものだ」

 ……。

「私やマシュは側にいない」

 ああ……。

「助ける事はない」

 そうだ。あの違和感は……。

『先輩!』

 助けてくれていた。ああいう時に必ず。側にいた。今、彼女は、側にいない。

「マシュはお前をヒーローだなどと(のたま)ったそうだが、助けられる事を期待している貴様がヒーローなどと笑わせる」

 ……そうかもしれない。

「ふん……つまらん人間になったな。残念だ。せめて師として、ここで私が引導を渡してやろう」

 槍が顕現する。魔力が吹き荒れる。
 白昼夢だとか関係なく、ここまで真に迫るならば……いや、スカサハが言うのだから藤丸立香は死ぬのだろう。それでも、だ。

 それでも、私はヒーローになる。

「……ほう」

 私は……情けないかもしれない。助けられる事を期待して、それに自覚のない私は、不快にさせるほど醜悪なのかもしれない。

 それでも私は……私は……信じてもらったから。
 マシュに、信じてもらったから。
 マシュを嘘つきにさせない。

 スカサハが私を殺そうとしたって、死んでやらない。
 何がおきても、誰であっても、私は死なない。邪魔はさせない。

 これは私のヒーローになる物語(紡ぐ英雄譚)だから。

「……」
 ……。
「……」

 だ、だから槍を降ろして欲しいのですが。

「ゲイボルグを前にして死んでやらぬと言われてはなぁ」



以上。
色々理由つけて出そうと思えば出せるけど、これヒロアカなのよね。
2案とも唐突すぎてボツ。


日時:2018年09月13日(木) 18:03


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返信コメント

ねこ村

やーこれはこれで良いと思いますよ
個人的に妄想してたのは「クハハの人」こと恩讐の彼方から来る復讐者が駆けつけるのかなと思ってました


日時:2018年09月23日(日) 14:50

たぬき

シリアスいらないのでシリアル満載期待してみる


日時:2018年09月23日(日) 05:05



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