魔神柱だった とは

まずは拙作のご読了、ありがとうございました。

恒例の解説蛇足、もとい後書きとなります。逆かな?

この話は、もちろんFate/Grand Orderの亜種特異点である禁忌降臨庭園セイレムが元となった二次創作であります。
が、副題というか3割くらいはオズの魔法使いの二次創作でもあるのかもしれません。

そこで、登場人物たちとその役割を改めて説明しておこうと思います。


〇アン・パットナム / 魔法使いオズ(ペテン師オズ)

 ここでいうアン・パットナムは転生してきた"彼"でも、魔神柱オセでもなく、セイレムに存在していたアン・パットナム及びその母親のアン・パットナムを指します。
 彼女は自らの所に辿り着いた二つの魂、"彼"とオセに道を与えます。
 自らの娘に自らの魂を縫い付ける、などと言った行為は彼女自身の行動であり、同時に"彼"とオセの行動であったといえるくらいには混ざり合っていますが、自らの夫(父親)にたいして罪悪の念を抱いているのは彼女だけになりますね。

 さて、オズの魔法使いのネタバレになりますが、作中で、"オズの魔法使い"、という人物に魔法は使えません。他国のペテン師。それがオズの正体です。ただ、その話術によって巧みに利用された作中主人公一行は、その過程でしっかり"答え"を得ます。
 ペテン師であっても"答え"は出せるのです。ただ、魔法が使えませんから、作中主人公一行を"帰す"事は出来ませんでした。

 今作でも同じように、アン・パットナムは"彼"を帰すことも、オセを飛ばす事もできません。
 ただ道を作り、出来る存在を手繰り寄せる事で、結果的に願いを叶えることが出来ました。
 これが彼女の役割でした。


〇ベティ・パリス / 臆病なライオン

 本来、史実上のベティ・パリスはアビゲイルの従妹として、セイラムで起きる魔女裁判の告発者になります。原作で欠片も出てこないのはカーター(ラウム)が引き取ったからですね。
 頼る相手のいなくなったベティは、アンを頼りました。オズであるアンを。
 臆病で気弱で、頭が少し回らなくてすぐ調子に乗るし、大人に偏見があって理解を捨てている……まさに、オセの見てきた"人間"そのもの。
 故に彼女が前を向き、歩みだし、理解をしようとさえすれば、オセの見たかった「相互理解を拒んだ人間が変容していく様」を見せる(願いを叶える)ことが出来ます。

 オズの魔法使いの臆病なライオンもまた、"勇気"を欲してオズを頼りました。
 ベティの役割は自らの心の在り方を変える事。また、彼の存在を呼び出すためにアンを告発する事。こちらはラウムの舞台での役割ですね。

 最終的にベティは「最初」、つまりラウムが来ていない時点での記憶を取り戻し、しっかり追加の人生を生きて、アンと共に"帰り"ます。
 臆病なライオンは群れに帰り、愛犬トトと一緒に作中主人公は"家"へと帰った……とまぁ、そんな感じですね。


〇シャルル=アンリ・サンソン / カカシ男

 原作FGOでは"過去の清算"と"ラヴィニアの罪の象徴"、"アビゲイルの善性の象徴"のような役割をしていた彼ですが、今作ではもう一つの役割を担ってもらいました。
 
 オズの魔法使いにおける案山子男です。
 案山子男はオズの元に"頭脳"を授けてもらいに向かいます。
 
 TRPG的に言えば"クトゥルフ神話技能"、もしくは"門の魔術"。物理的に首、精神的には記憶。
 どれも失うはずだった頭脳をオズが授けた、という逆説的なものになっているので、わかり難かったと思います。
 サンソンでなければいけなかった理由は上記のものと、もう一つ。
 彼が最後を見届ける者であるから、というもの。案山子とはそういうものでありますし、"自らの意思で動けなかった"という点が通じています。
 
 最終的にサンソンは実体のない"彼"の代わりに東の悪い魔女から得た銀の靴の踵を鳴らします。
 合流を果たしたアン達を"帰し"、自らもカルデアへと帰りました。
 この「代わって靴を鳴らす」は完全オリジナル、FGOにもオズの魔法使いにもない展開ですね。
 

〇魔神柱オセ / ブリキ男

 原作FGOでは冠位時間神殿にて終結した英霊たちに「脅威と疑念」を覚えて自己崩壊する魔神柱です。
 オセ、ウォソ、ウォズ、そしてオズ。様々な呼び方のあるこの悪魔は、召喚されたときはヒョウの姿であり、人間の姿になる事もできます。教養、神学などに優れ、隠された物事から真実を導き出す能力を持っている他、人間に狂気を与える事もできます。
 また、オセに与えられた王冠を被ると、なんでも出来るような感覚に陥り、今まで信用してきたものを捨てて、自らの力を過信し始めるといいます。

 オズの魔法使いにおけるブリキ男を担いました。
 ブリキ男は心を欲します。オセは人間としての心、在り方、その感情を理解したく、オズを頼りました。
 
 オセはまだそれを手に入れていません。アンや"彼"と共に"帰った先"で、それを手に入れる事でしょう。
 その後帰ってくるかどうかはわかりませんが。

 オセの導き出した方法。それは、ソロモンに倣う、というものでした。
 単なる人間へと堕ちたソロモン王は、オセの感じた「疑念」の答えを知っていた、と思ったが故の判断。
 そのために輪廻の畔へと向かいますが、彼の独力では人間への転生は難しく、ちょうどその時畔にいた"彼"と出会い、アン・パットナムへと至ります。
 
 悪魔故に契約を大事にし、わざわざベティを迎えに来るくらいには律儀な性格をイメージしています。


〇"彼" / ドロシー(ドロテオ)

 転生タグ、性転換タグ、オリ主タグの要素たる現実世界からの転生者です。
 原作知識を持ち、何かの原因で死に、輪廻の畔で釣りをしていた男。
 本名だとかどういう生前だとか、そういう話は一切出てきません。ただ、"帰り道を知っている"存在としての役割を持ちます。

 オズの魔法使いにおける主人公ドロシーを担いました。
 最後の方のドロテオはドロシーの男性名なので、この二つは同一と考えてください。
 ドロシーは東の悪い魔女を殺し、北の良い魔女に導かれ、西の悪い魔女を殺す役割を持っていました。
 そして最後に家に帰る、という役割も。

 オセと出会い、その魂の在り方を貸し与え、アン・パットナムへと転生し、二人に"帰り道"を示しました。
 オセとアン・パットナムがヨグ=ソトースの力で行きたがっていたのは異聞ではなく現実の方なのです。
 彼のいた世界に帰る事。それが願いでした。


〇ティテュバ(シバの女王) / 東の悪い魔女

 エルサレムから見たシバ王国(とされる場所)は東にあります。
 まぁそんな感じで、東の悪い魔女がティテュバでありシバの女王であり、という役どころに落ち着きました。


〇キルケー / 北の良い魔女

 エルサレムから見たギリシアは北、ということでこの役所。
 良い魔女かどうかはおいておいてください。でも良い魔女ですよきっと。


〇アビゲイル・ウィリアムズ / 西の悪い魔女
 
 これまたエルサレムから見たマサチューセッツは西なので、西の悪い魔女の役所。
 悪い魔女……悪い子? とかく、そういう役所でした。


〇ラヴィニア・ウェイトリー / 南の良い魔女

 作中で明言は一切されませんでしたが、帰り道を示す南の良い魔女はラヴィニアが担っています。
 そもそもラヴィニア・ウェイトリーという存在はダニッチの怪において色々と悲惨……というかノアの非道によってスポットライトさえまともに当たらずに万霊節前夜祭に姿を消してしまうのですが、まぁその辺は原作を読んでもらうとして。

 彼女はアビゲイルと幸せに手を繋いで終了、ということで、それほど深くアンにかかわっては来ませんでしたが、一応セイレムを出るまではアンの庇護下にあり、ラウムをオセが食ったのはそういった理由にあります。
 ノアとの約束ですね。
 

 解説はこんな所でしょうか。
 他、わからない点あったら聞いていただけると助かります。自分でも解説し忘れている部分がありそうなので。

 それでは。


日時:2020年02月20日(木) 10:30

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