九十七話『逃れられない運命』のあらすじ

別名、忙しい人用九十七話。
若干内容に差異があります。




_________



 夕食後、利奈はディーノと一緒にスパナを訪ねた。
 作業に没頭して食事を忘れていそうなスパナに、おにぎりを差し入れしに行ったのである。

 スパナは正一とともに作業をしていて、利奈が顔を出すと二人とも快く迎えてくれた。

 そこまではよかった。
 だがその次。

 休憩にしようと正一が提案し、スパナが用意したお茶。
 ――正確に言うとスパナが操作したモスカが淹れた緑茶、いや、あれはほうじ茶だったのかもしれない。
 かもしれない、というのはそれを誰も飲めなかったからだ。
 そして飲めなかったのは、それが利奈の手に渡る前にぶちまけられてしまったからだ――ディーノの手によって。

 見えない何かに躓いたディーノがモスカに突撃し、モスカの手にあった湯呑がひっくり返り、それがディーノにぶっかかって――いや、もう、それだけなら大したことはなかったのだ。
 それでディーノが火傷しただけならどれだけよかったか。

 しかし事態はそう簡単には終わらず、ディーノを心配して身をかがめた利奈の目に映ったのは少しずつ巨大化していく亀。
 ディーノの愛亀、エンツィオである。

 一瞬で血の気が引き、その場が混乱の渦に落とされたのは言うまでもない。

 巨大化とともにエンツィオが暴れだし、ディーノは火傷に苦しみながらもなんとかしようとしたが役に立たず、スパナは大切なパソコンを抱えて慌てて隅っこに避難してしまった。
 このままでは部屋どころか基地まで破壊されてしまうと誰もが思った中、正一が素早く機転を利かせた。

(部屋の冷房ガンガンにして動きを抑えたんだよね。……亀が冬眠するなんて知らなかった)

 おかげで何とか騒ぎは収まったが、エンツィオが縮まるまで真冬の寒さを味わう羽目になってしまった。
 そのときの寒気を感じて利奈は腕を震わす。


____



以上です。
冒頭であらすじだけ出すのも面白いなと思って書いたのですが、結局ちゃんと書きましたね……。


日時:2020年02月05日(水) 01:56

<< 今年はやってきた 活動日誌103話ボツ案 >>


返信

    現在:0文字 10~1000文字