『マジカル・ジョーカー』完結と裏話と自分語り・その2


④キャラ紹介
 主な登場キャラクターを紹介していきます。ただし、単行本の巻頭やアニメ公式サイトにあるような紹介ではなく、各キャラにまつわる裏話の紹介です。

・井瀬文也
 主人公にして、本作最大の加害者にして、悪役。「パロディマシマシ」のコンセプトにするために、コミカルなキャラに設定。特にイケメンである必要はないため、顔つきは、美男美女が集う魔法師の中では下、一般的に見ても中の上程度。深雪の精神干渉系魔法が最強すぎるため、それに原作で唯一対抗できそうなあずさをメインヒロインに据えるにあたり、あんな見た目のあずさとイチャイチャするのが一般的な男子高校生という絵面はどうかと思ったので、かなり幼い容姿に設定。当初は「中学1年生と見間違うほど」にしていたが、途中で面白いからと言う理由で小学生並に変更。
 なんでもできる準最強主人公にしたのは先述の理由から。逆に展開に必要ない能力は徹底的に弱くしようとして、運動神経もなるべく控え目、体格も弱く、精神干渉系魔法には適性が無い、という形に。
 数字落ち「一ノ瀬」については、主人公が強いことの理由付けとして、「実力はあったが別の理由で数字落ちに」ということにするため。あと、達也・深雪と本気で対立して殺し合い、それでも誰も死なずに勝利する、という展開のためにはあのお下品リベンジポルノが必要で、そのためには人体に干渉する魔法が得意と言う設定を付加するため。結果的に、仲間になる将輝と大きな因縁があるという形にもなったため、かなり美味しい設定でした。

・司波達也
 原作主人公で、本作被害者の一人。もし彼が四葉のあれこれに煩わされる環境でなければ、文也とは結局仲良くはなれなかったでしょうが、駿や将輝とは親友になれる気がします。原作の達也はあまり感情移入できない(おそらくわざと原作者がそうしてる)のですが、本作執筆中の僕は、達也に同情していました。
 最終的には文也たちに負けてもらうため、ありとあらゆる言い訳をつけて実力を発揮できないように設定。本作は一応、文也と達也のダブル主人公という形にも見えるように書いています。名前から何から、なるべくこの二人が対照的に映るようにしました。

・中条あずさ
 可愛い。ロリは正義。
 コンセプト達成のために、深雪と戦って勝つためには『コキュートス』を乗り越えなければなりません。あの最強ヒロインの精神干渉系魔法に唯一対抗できそうなのは、あずさだけだと思い、メインヒロインに設定。原作でもコミカルな役回りが多く、本作の雰囲気に実にマッチしていたと思います。『梓弓』という魔法に母性や姉性に近い包容力を感じたので、文也のお姉ちゃん的な幼馴染として設定しました。可愛い。
 また、メインヒロインに据えるにあたって、色々とオリジナル設定を追加しました。あずさの家族については僕が見た限り原作描写が皆無なのですが、幼馴染設定にする以上なにかしらの描写は避けられず、普通に円満家庭、ただし生徒会長になる程の実力を持つ娘を産む程に両親とも強い、という設定にしました。恐らく原作では、魔法師家族特有の、あまり仲の良い家庭ではないと思いますが、井瀬家の円満と言う「異常」と関わるうちに円満家庭になった、という形です。

・森崎駿
 本作被害者の一人。原作一年目前半の噛ませ犬代表。あずさをヒロインに、と決める前に、駿を相棒に、という設定が先に来るほどでした。性格的にも文也との相性は抜群です。執筆中は、達也の次に駿に感情移入していました。
 ただ、原作での描写が夏休みを境に急にほぼゼロ、ダブルセブン編でちょろっと登場という形になるため、オリジナル設定をこれでもかとばかりに付加することになりました。森崎家関連は、「クイック・ドロウ」「ボディーガードが稼業」「百家支流」以外は、ほぼ全部オリジナル設定です。
 達也と深雪に勝つためには、原作の駿では逆立ちしても無理です。そういうわけで、一番二次創作特有の超強化を付与しました。干渉力も可能工程数も平凡だが行使速度は中々、という原作設定を盛りに盛って、『サイオン粒子塊射出』の名手になりました。これ、割と真面目に、CAD使用が前提の魔法師との戦いならば完封できるほどの強さですよ。
 九校戦/仇抗戦編の『ロアー・アンド・ガンナー』の青春ドラマは、なんというか、僕らしくなかった感じがします。

・一条将輝
 マサテル。「将輝」は「マサキ」だと僕のパソコンでは変換で出ず、「マサテル」だと出るんですよね。そういうわけで、あだ名がマサテルになりました。ちなみに、先の変換の都合上、執筆中は常にマサテルを変換して将輝と打っているため、彼の名前は僕の脳内でもマサテルになってます。
 司波兄妹に勝つなんて常識的に考えて無理、というのを、なんとか無理ではなくしてくれたつよつよキャラクターです。「一ノ瀬」の関わりも相まって、本作をかなり進めやすくしてくれました。魔法『爆裂』は便利すぎるし強すぎると思います。

・吉祥寺真紅郎
 車で例えると、文也がエンジンとアクセル、将輝と駿が車輪と車体、あずさがブレーキで、真紅郎はハンドルとクラッチだと思っています。5人の中で一番影が薄いですが、真紅郎の「親友」感、すごいいいですよね。本作の土台として支えてくれたキャラで、いなかったら多分完結まで書けませんでした。性格的にも割とバラバラな四人の中で、そのどれにでも属する性格です。
 達也・深雪に勝たなきゃいけないわけですから、文也の影響と言う設定で、親友4人組は全員原作から超強化を得ています。

・司波深雪
 本作最大の被害者。全深雪ファンに謝罪申し上げます。あまり感情的にならない達也では対立関係を維持するのは難しいので、逆に原作一年目では精神不安定だった彼女に、文也との精神的対立を任せました。なんかヘイトを買うキャラになってしまいましたが、なんていうか、深雪はメンヘラヒステリーな方が可愛いと思うんですよね。あと単純にギャグとしても動かしやすいです。
 主人公サイドに対し、あまりにも強すぎるのでお兄様共々、徹底的に状況による弱体化を食らっています。深雪がいなければ達也は勝てたのでは?と思う方もいるかもしれませんが、達也一人ではあの5人+真由美の数の暴力には勝てません。
 文也たちオリキャラの投入、その影響による世界の変化――つまり作者による二次創作の執筆と言う所業によって、一番原作から不幸になったキャラクターでもあります。二次創作するという行為の意味について、特に考えさせられるキャラだな、と思いました。

・七草真由美
 本作第三の主人公で、深雪に次ぐ被害者です。書いている時、一番僕が感情移入したのは彼女です。
 第二話で文也と達也を結びつけたのは、相棒枠の駿と、無理やり連れだした彼女です。実は最初から、ラスト展開に関わる主要中の主要として、物語に参加していたんです。あらゆる事件を一歩引いた場所から見て、それに巻き込まれて苦労する、いわばワトソン君的なキャラとして設定しました。そんな彼女は当初から胃を痛め続け、そして最後の最後についに穴があいたのは、第三の主人公として当然の結末だったわけですね。
 そんな彼女が第二話で最初から主要構造に参画していたというのは、実はまぎれもない偶然です。ラストバトルの流れを詰めているときに、「あれ、これ、この五人だけでは足りないな?」となって、天地上下編を書いている途中から参入が急遽決定しました。そして都合のいいことに、第二話で主要構造に参画し、後述の香澄という存在もあったので、文也たちの最後の仲間として参戦することに、かなりの説得力がありました。
 ちなみに、本作を書いてきた三年ちょいの期間を通して、一番僕の中で好感度が上がったのは真由美です。

・七草香澄
 一応、第二のヒロイン。単純に原作キャラの中でも三本指で好きだったからというのと、性格的にもギャグの中で動かしやすいということで、「優等生と悪戯小僧」編を書いているまさしくその途中で登場が決定しました。真由美がラストバトルに参戦する、という後から考えた無理筋になりそうな展開をまとめてくれたのは、まさしく香澄です。
 九校戦/仇抗戦編では、真由美に代わって、文也たちをはたから見て「異常」や「変化」をごく主観的に観察するワトソン君的な役を引き受けてもらいました。あとのことは全く考えていませんが、「全く変化しないという異常」の中にいる文也とあずさの関係性を今後変えるのは、おそらくこの娘だと思います。そしてそれは間違いなく、香澄にとっては不本意な形に収束するでしょう。
 
・井瀬文雄
 本作で最もご都合主義なキャラクターだと思います。当初は、九校戦/旧交戦編のライバル枠としてだけのつもりだったのですが、展開の整合性を整える役割のために、反則的な性能がどんどん加わっていきました。
 その役割はすなわち、「四葉を引きつける」です。達也・深雪が文也たちと本気で戦う動機が必要なわけですが、それは四葉との対立以外あり得ません。そうなると、四葉は戦力の逐次投入などせず、あの最強戦力を稼働させてくるわけです。そうなった時、文也達5人では勝ち目がありません。なので、他の戦力を引きつけるために、多分文也よりも強いキャラクターとして仕上げました。駿の父・隼も、将輝の父・剛毅も、文也の母・貴代も、あずさの両親も、みんな同じ役回りです。

・一色愛梨
 性格的に見ても「一」の事情を見ても、文也を嫌いそうですよね。当然、転校生・井瀬文也という異分子を際立たせるキャラとしての役回りを演じることになります。個人的に彼女には強いギャグキャラ適性を見出していまして、当初、エリカとの戦いは数行であっさりギャグっぽく決着をつける予定でした。あのような真剣勝負に変更になったのは、『魔法科高校の優等生』を読んでいくうちに、だんだん好きになっていったからです。
 途中、文也となんかよい雰囲気になったりもしましたね。実は、九校戦/仇抗戦編では、香澄の他にも愛梨がヒロインになる予定だったんです。結局そうしなかったのは、『魔法科高校の優等生』の百合オーラが強すぎて、こんなワルガキオリ主に恋なんかさせてたまるか、となったからです。彼女を男とくっつけるヒロインにするからには、相応の覚悟が個人的には必要になってきます。それこそ、最初からメインヒロインとして据えるような。実は、全く別の二次創作で、その構想が頭の中に浮かんでいます。

・五十川沙耶
 本作で最も設定がころころ変わったオリキャラです。元々、優等生と悪戯小僧編で、駿と文也が事件に首を突っ込むためだけに登場したキャラクターです。極度の方向音痴設定も、「いやお嬢様が不良のど真ん中にいくわけないだろ」っていうツッコミを回避するための、思い付きの言い訳でした。気弱設定も、あまりしゃべらせたくなかったので口数少ないことの理由付けでした。
 それが、九校戦/仇抗戦編をやるにあたって、沙耶と言う名前も与えられ、めちゃくちゃ美味しい役回りを演じることになりました。当初は適当に加重系魔法の名手としていたのを、駿のペアにするために移動・加速系の名手に変更。九校戦/旧交戦編でも『バトル・ボード』優勝に。方向音痴設定は困難の解決という青春物語定番展開の理由付けに最適だったのでそのまま採用。見た目とおっぱいについても、美少女キャラに大変身させるための後付けです。こんな行き当たりばったりの化身なのに、我ながらよくあそこまで魅力的に書けたなあ、と思います。




 その他、いっぱい書いたのですが入りきらなかったので、要望があればお書きします。




⑤次回作について
 ポケモンの二次創作の投稿を予定しています。現在半分ほど書き終えていますので、投稿はだいぶ先だと思います。実はこれを書いていたから、本作の筆が一時期長いこと止まっていたんですね。別の作品に途中で浮気してもなんら問題ない完結からの投稿スタイル、本当楽です。作風は、『マジカル・ジョーカー』からだいぶ変えていますが、同じ人間が書いているのであまり変わらないのかもしれません。よろしければ、ご期待ください。あと読んでください。




 では、次の作品か、この活動報告のコメント欄でまたお会いしましょう。


日時:2020年02月18日(火) 01:59

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まみむ衛門

どぐうさん

ありがとうございます!
そうですね。結局、彼が何よりも大事に思っている深雪が1番傷ついてしまったので、達也はなおも呪いというか十字架というか、責任や重荷のようなものを背負うことになっていますが、一方で、「誰も殺さずに済んだ」というのは一つの「救い」なのかな、と思います。勝ったら勝ったで、やはり理不尽な殺害という罪を兄妹で一緒に背負っていくわけですし。どちらに転んでもそうなってしまうのは司馬兄妹の難儀な運命なのかもしれません。
この世界でお兄様が今後四葉として生きるかどうかは分かりませんが、何にせよ、あの最後の夜はその決断に大きな意味を持つかと思います。もしかしたら、最後は、文也たち五人と達也・深雪と親友たち、そこに光宣やリーナなんかも加わって、なんかどデカイハッピーエンドを作り上げることもあるのかな、とも思います。

最後まで楽しんでいただき、ありがとうございました!


日時:2020年02月18日(火) 16:04

どぐう

本当に面白かったです。語彙が追いつかなくて、この一言に全てが集約してしまいそう……!

お兄様に勝てない立ち位置の文也が、原作で噛ませだったキャラクターを引き連れて勝利する構図……印象的だっただけに、その意図が一番大きかったという言葉は「当たってた!」と嬉しくなりました。
そもそも、達也はめちゃくちゃ可哀想だと個人的に思っていたので、あの夜の敗北は、彼にとっては不本意でも「救い」だったのかな……と思います。この世界線のお兄様も四葉として生きるんですかね?

九校戦編の途中まで読んで「絶対面白いぞコレ!」と思ってコメントを送ってから、最終話まで、ずっと期待を裏切られることなく面白かったです。魔法科SSの中でも、私の中で一番最強の作品として「マジカル・ジョーカー」は君臨し続けるでしょう。本当に、ありがとう。


日時:2020年02月18日(火) 12:46



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