第二章完結にあたって…

「今までは、どうして虎などになったかと怪しんでいたのに、この間ひょいと気が付いて見たら、己はどうして以前、人間だったのかと考えていた。これは恐しいことだ。今少し経てば、己の中の人間の心は、獣としての習慣の中にすっかり埋れて消えて了うだろう。ちょうど、古い宮殿の礎が次第に土砂に埋没するように。そうすれば、しまいに己は自分の過去を忘れ果て、一匹の虎として狂い廻り、今日のように途で君と出会っても故人と認めることなく、君を裂き喰ろうて何の悔も感じないだろう。一体、獣でも人間でも、もとは何か他のものだったんだろう。初めはそれを憶えているが、次第に忘れて了い、初めから今の形のものだったと思い込んでいるのではないか? いや、そんな事はどうでもいい。己の中の人間の心がすっかり消えて了えば、恐らく、その方が、己はしあわせになれるだろう。だのに、己の中の人間は、その事を、この上なく恐しく感じているのだ。ああ、全く、どんなに、恐しく、哀しく、切なく思っているだろう!」

『山月記』中島敦


さて、そういうわけで『The Unlimited Horizon』ついに第二章が完結の運びとなりました。これも読者の皆様方のご愛顧・ご愛読のお陰でありまして、作者としても伏して御礼申し上げる次第でございます。
……長かった。本当に、本当に……長かった。実にトータル五十話にもなりまして、最後まで付いてこられた読者の方には敬意の念が堪えません。
前半ひたすらドラマで後半ひたすらエロシーンというバランス崩壊上等なイカれた構成でしたからね!!
実はこれ、第一章と同じで半年くらいで終わらせる予定だったんだぜ……?
実際は実に二年半、想定の五倍の長さになりました。馬鹿か?

流石に作者としても気力と体力の限界に挑戦し続けるような日々が続いていたこともありまして、しばらくはお休みを戴こうと思います。
今後の予定ですが、連載の傍ら溜めに溜めた短編のネタを消化していきたいなー、などと思っております。
ざっと5、6本くらいは話のストックがあるのでそれをどうにか片付けていきたいですね。

勿論、『UH』の方もこれで終わりとか、そんなわけはございません。
全体で言うと起承転結の『起』の字がギリギリ終わったか終わってないか屈来の塩梅ですからね!!
まだまだ続きます!!まだまだ終わりません!!なんてこった/(^o^)\!!
取り敢えず一番近い予定としては……主人公であるリオが関与しない代わりに、世界観を膨らますための閑話を幾つかまとめた『閑章』とも言うべきパートを挟むことになると思います。この世界韓で書けるネタ、あるいは書くべきネタはたくさんありますのでね。
『第三章』はそれからになると思います。

――――さて、『第二章・過去編その1』はまだまだ未熟な頃のリオの物語でした。同時にこれは今の彼女の根幹がどういう風に生まれたのかについての物語でもありました。
その上でどういう風に今の彼女が育まれたのか、どういう風に自分自身の本質と折り合いをつけていったのか、そちらについては『第四章・過去編その2』で語られることになるでしょう。
そして、『第三章・現代編その2』では第一章で見られたのと同じ、奔放で冷酷でそして自由を愛する肉食獣が如き少女として成長したリオの活躍をお見せできればと思います。
あと、そろそろメインヒロインも出さないといけないしね。

ではでは長くなりましたが、ここらで一旦筆をおかせていただきます。
別の短編、或いは連載でお会いいたしましょう。



追伸:
『UH』という作品に関して何か質問や知りたい事等ございましたら、作品・活動報告の感想欄にでもお願いいたします。
個別にもお答えする予定ですが、量がそれなりに多いようでしたらQ&A集でも作って纏めてお答えいたします。


日時:2020年05月21日(木) 22:01

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