達筆中の未完成品
———これはこの世界の住人ならば誰もが知っている世界で一番有名な
———滑稽で愚かな“道化”の
———そしてその
【
———古代、それは神々が降りる前の時代。
その時代に生きる人類は大陸の中心にある大穴から溢れ出た
何故なら
だが、ほんの一握りだけ
だがこれは決して、最初から特別な存在として産まれた男の話ではない。寧ろ、ただただ”英雄“に憧れた“英雄”に成り得ない愚かな一人の男のお話である。
———物語はとある村から始まった。
その村はずれにある風車の前に一人の白髪の少年が立っていた、彼は風車に向かって高らかに叫び出した。
「———さぁ、見つけたぞ!村を脅かす巨人よ!今日は貴様の命日だぁ!」
彼は腰にあるナイフを抜いて、そのまま風車に向けて飛び出した。
「うぉおおおおおおおおおお!!」
《ヒュ〜ッ》
何処からとなく突然に風が吹きはじめた。
吹いた風はそのまま風車を動かし、飛び出した彼はそのまま回った風車の羽に巻き込まれてかなり遠くまでぶっ飛ばされた。
「グハァッ!!!」
飛ばされた少年は悔しいそうに風車を見つめた、そして彼は再び風車に向けて叫び出す。
「あぁ〜、なんて強烈な一撃だ!だが巨人よ、今の攻撃で私を倒せると思うな!私は必ずやこの村を救って見せる!」
そう言って、彼は立ち上がった。そして落としたナイフを拾い上げてそのまま風車に向けて再度飛び出す。
《フォォーーン!!》
だが今度は横から強烈な風が彼を襲った。
「グワァアアアアア!?」
風にぶっ飛ばされた彼は風が来た方向に視線を送ると、そこには杖を構えながらニッコリと笑った山吹色の少女が立っていた。
「おぉー、妹よ!兄の活躍を見に来たのか!」
少女の姿を見て、彼は笑いながらそう言った。
「そんな訳ないでしょ!一体ここで何やってるのこの馬鹿兄さん!」
少女は青筋を浮かべながら彼に怒鳴った、一方、怒鳴られた少年はただ笑っていた。
「フッ、良く聞け妹よ。私はここであの巨人を倒さなければならないのだ!」
少年は自信満々と風車に向けて指を指した、それを見た少女はただただ呆れていた。
「巨人なんてありませんよ、馬鹿な兄さん」
少女は頭を押さえて、呆れた声で少年に言い聞かせた、だがそれでも少年は自信満々で宣言した。
「何を言う!アレこそがこの村を脅かす巨人だ!…………あっ、ちょっと待って痛いです、やめて下さい」
少女は手に持った杖で少年の頭を何度も叩いた、叩かれた彼はようやく普段通りの言葉遣いに戻った。
「今日は一昨日壊した広場の噴水を直す約束でしょ!!」
怒りで涙目になった少女は少年の頭を叩きながらそう言った。
「は、はい!ごめんなさい!すっかり忘れました!」
叩かれた少年は頭を抱えながら、ひたすらに女性に謝った。
「忘れないでよ!馬鹿兄さん!毎回毎回謝る私の身にもなってよ!」
ポカポカと杖で青年を叩く少女、彼女が叩くに使った先端は金属で出来ており少なくないダメージを少年に与えた。
「はい、はいいい!いつも助かりました!だ、だから痛いです!許して!」
少年の悲痛の叫び声でようやく杖を止めた少女、すると彼女はその杖で村がある方向に指した。
「わかったら、行きなさい!今すぐ!」
彼女は村の方向を杖で指しながら少年を睨みつけた。
「わ、わかった!で、でもちょっとだけ待って!」
そう言うと少年は腰にぶら下げた本を手に取った。
「まずは私の勇姿を描かなければならない!—————“英雄”アルゴノゥトは一歩も引かずに強敵たる巨人との戦いに挑んだ。身体中が傷だらけになっていても彼は村の為に戦いそしてその長くに渡る戦いの果て、彼は巨人を倒す事に成功した。っと。うむ、今日も素晴らしいぞ!我が英雄日誌」
彼は先程の出来事を
そんな彼の後に続いた少女は何度目かわからないため息を吐き、ポツリと呟いた。
「……そんなのただの“ホラ話”じゃない」
それから日々が流れ、少年は毎日あいもかわらず“英雄ごっこ”を続けた。
時に「世界を飲み込む大蛇よ!私が相手だ!」と叫びながら川に飛び込んだり。
時に林檎の木を木剣で叩きながら「ハハハ!参ったか!エルダートレントよ!」とはしゃいだり。
時に「世界を恐怖に陥れる漆黒の竜よ!私が相手だ!」と道端に見つけた蜥蜴相手に決闘申し込んだり。
村人達はそんな彼の愚かな行動を見て毎日腹を抱えるほど笑っていた。村に居る子供から年寄りまで誰もが彼の行動に指を指しながら笑っていた。
少年はそんな村人の反応に気にしている素振りも無く、ただひたすらに“英雄”を演じてた。
妹の方は毎日村のあっちこっち走り回って色んな人に謝る日々が続いた。
そんなある日、村人から楽園と呼ばれている王都が”英雄に相応しい猛者達“を探しているとの情報が入った。
その情報を聞いた少年は“英雄”に成る為、妹を連れて王都を目指す旅に出た。
それでもこの時代での旅とは命懸けのものである事に変わりはない。だが彼らは元から旅人である為、彼らはお互いの役割を知っていた。
戦闘力が“ないに等しい”少年は囮として敵の注意を惹きつける、幸い彼の逃げ足だけが”一流“の為、
一方、精霊に愛された妹は”魔法“で延々と敵を葬った、その魔法の威力や性能は高い為ただでさえ”穢れた“彼女は
英雄譚の第二弾です。
ですがここまでです……、物語の本筋自体がかなりうろ覚えなので予め全部見直す必要があるから完成はいつに成ることやら……。
日時:2020年12月22日(火) 05:14
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