活動報告:04:超能力者に対応する天使の考察

『とある科学の流動源力-ギアホイール-』をお読みいただきありがとうございます。
旧約篇が終了し、区切りが良いため、タイトルの通り超能力者が七大天使に対応するという考察について書き連ねさせていただきます。

なお『流動源力』旧約篇完結までのネタバレを含んでおりますので、ご了承ください。

とあるの原作では当然ながら明らかになってはおりませんし、七大天使に対応しているというのは考察にすぎません。
ですが『流動源力』は超能力者に七大天使が対応しているとして話を組み上げています。
そのため『流動源力』の裏話的な意味として捉えてくださると嬉しいです。

七大天使は文献によってその構成メンバーが変わっており、『ミカエル』『ガブリエル』『ラファエル』は確定していますが、他の四体が文献によって異なります。
ですがここではエノク書を基準として考察していこうと思います。
エノク書とは旧約聖書の偽典であり、天国の仕組みや数々の天使が語られた有名な書物です。

とあるの原作でも『神の右席』として『神の如き者』ミカエル、『神の力』ガブリエル、『神の薬』ラファエル、『神の火』ウリエルが出てきていますが、エノク書では七大天使が『ミカエル』『ガブリエル』『ラファエル』『ウリエル』『ラグエル』『レミエル』『サラカエル(別名:サリエル、またはザラキエル)』となっています。

これを基にすると、超能力者第一位、一方通行は『神の力』ガブリエルに対応すると思われます。

『神の力』ガブリエルはとあるの作中でも聖母マリアに受胎告知をし、ソドムとゴモラの町を焼いた女性型の天使とされています。
天使は基本両性具有とされており、文献によってはガブリエルもそれに該当しています。

ですが前回の考察で作者は一方通行の元は女性であり、能力開発で性別不明となってしまったと考察いたしました。
女性型の天使としても描かれるが、結局のところ性別がはっきりとしない。
その点からして、一方通行は『神の力』ガブリエルが妥当だと判断しました。

それとガブリエルは絵画で純潔の証として百合の花を持たせられて描写されることが多いです。
一方通行は『鈴科百合子』という名前が付けられておりますし、頭に百合の花をつけて登場していることから、一方通行をガブリエルと当てはめました。

第二位、垣根帝督は『流動源力』内でも度々描写されておりましたが、『神の如き者』ミカエルに対応すると思われます。

ミカエルは神の代理人を自負しておりますが、天使長であり、天使の軍団の先頭に立つ存在です。

垣根帝督は未元物質により『無限の創造性』、つまり無限の軍隊を造り上げることができます。
その無限の軍隊のトップに成り得るということから、ミカエルが妥当だと思われます。
また垣根帝督の名前からして、提督というのは船団のトップである事から軍の長たる資格があると考察できるため、ミカエルと当てはめました。

第三位、御坂美琴は『神の慈悲』レミエルに対応すると思われます。

レミエルは『神の雷霆』とも言われ、雷をバックにして描かれることも多いことから、おそらく御坂美琴はレミエルに該当すると思われます。
第一位、第二位よりも考察できる要素が少ないですが、電撃使いと神の雷霆を結びつけるのは十分な要素だとして、レミエルに当てはめました。

第四位、麦野沈利は『神の友人』ラグエルに対応すると思われます。

ラグエルの名前には『神は我が光である』『地球の天使』『世界と光に復讐する』とされています。

その『世界と光に復讐する』というのが、麦野の作中での行動にとても似通っているのです。
滝壺理后は順当に能力が伸びれば『学園個人』と呼ばれる、いわば一つの『世界』へと至ると言われております。
そして滝壺理后が『光』としているのが浜面仕上です。

『世界』である滝壺理后と『光』である浜面仕上に復讐する。

エノク書でのラグエルの描写に等しい行動をしていると思われますので、麦野沈利は『神の友人』ラグエルであると当てはめました。

第五位、食蜂操祈は『神の薬』ラファエルに対応すると思われます。

ラファエルは癒しの天使と呼ばれ、医学に精通しております。

新約で明かされますが、食蜂操祈は過去に上条当麻の痛みを和らげようとして能力を行使していたり、また『アストラル・バディ』では能力行使により酷い群発頭痛に襲われていた帆風潤子の頭の痛みを抑えていたりします。
ラファエルは心や体を癒す天使でありますので、食蜂操祈は『神の薬』ラファエルに当てはめました。

第六位、藍花悦は情報が少ないながらも『神の命令』サリエルに対応すると思われます。

サリエルは神の意志を執行する司令官の役割を果たしていますが、同時に魔術に該当する月の知識を人々に授けた堕天使とされています。

創訳二巻にて本格的に登場した彼は他の超能力者たちと違い、上条と相容れない様子ですし、望む力をイメージして能力を授けるという何らかの力を授けるという能力の特性上、神の意志に背き、自らの独善的な考えで邪法の月の知識を授けたサリエルに当てはめました。

第七位、削板軍覇は『神の火』ウリエルに対応すると思われます。

ウリエルは裁きと予言の解説者、地上の運行、気性、自然現象を司る天使とされており、『根性』という一つの基準で『裁き』を与えているところが該当すると考察しております。

また自然現象は人の手で操る事ができず、人の理解が及ばない思いがけないことが引き起こされます。
世界最大の原石である削板はアレイスターの『計画』にそぐわず、しかもその能力の解析がされていないところから、『神の火』ウリエルに当てはめました。


『流動源力』の主人公である朝槻真守ですが、七大天使に対応する超能力者の考察を基に『光を掲げる者』ルシフェルとしての役割を与えました。

……と言いつつも、義人エノクに対応していたり天使の支配者であるメタトロンの要素も含まれていたりしますが、最初にきちんとした設定として与えたのは『光を掲げる者』ルシフェルです。

旧約篇最終にて明らかになりましたが、真守ちゃんはこの世界ではないどこかの世界に住まう者形や魂がない、意識だけがある存在によって神になるように造り上げられました。

その存在については新約で明らかになりますが、その存在の成り立ちからして真守ちゃんは人間性を失わないで神へと至る必要がありました。

人間とは正の感情も負の感情も持ち合わせており、それがせめぎ合って正義や悪へとなり果てます。
そのため真守ちゃんは正義も悪も肯定する、つまり祈りも悪意も肯定してそのどちらをも持ち合わせる存在として、『光を掲げる者』ルシフェルに当て嵌め、六対一二枚の白と黒の翼を手にしました。

正義も悪も肯定し、祈りも悪意も肯定する。それが傲慢以外の何物でもない。

そのため堕天し、『傲慢』の罪を冠するルシフェルが妥当としました。
それに真守ちゃんは人間性を求められる存在ですが、人類のためにいるべき神ではありません。

人類の敵ともなるし、味方ともなる。もしかしたら人類に牙を剥くかもしれない。

そんな天(人類)に刃向かう様を見せているので、アレイスターは元々当てはめやすかった『光を掲げる者』ルシフェルの役目に当てはめました。

そして『光を掲げる者』ルシフェルは『神の如き者』ミカエルに斬り伏せられる運命です。

ですが元々神さまになるために生まれた真守ちゃんは『光を掲げる者』ルシフェルという弱点を与えられても致命的にはならない。

そのため愛する者の鉄拳制裁(=垣根帝督)がいれば思い直すだろう、とアレイスターは考えております。

ルシフェルには『明けの明星』という別名があり、これはルシフェルの原典である明けの明星神シャヘル(ヘレル・ベン・サハル『暁の輝ける者』)から受け継いだものだとされています。

シャヘルは太陽神の対としてなる暁として生まれ、その傲慢さから太陽神に対して反逆しています。

十字教の神に傲慢故にその身をもってして反逆を示す。

真守ちゃんの在り方がここでも当て嵌まります。

そして『流動源力』の感想欄にて考察してくださった方がいらっしゃいますが、超能力者(=七大天使)をまとめる天使の支配者であるメタトロンとしての役割もあったり、メタトロンにその姿を変えたとされる義人エノクにも対応したりしているのは、真守ちゃんが人間性を有した神として完璧な存在であることを求められたためです。

真守ちゃんを神とした存在は何なのか。

それについては新約で解き明かそうと思っておりますので、お楽しみいただければ幸いです。

ここまで『流動源力』を組み上げる上での設定として超能力者を七大天使に当てはめた考察を書き連ねさせていただきました。

旧約篇が無事完結したのは、多くの方が『流動源力』をお読みくださった結果です。

UA、お気に入り、感想、評価。全てが励みとなりました。本当にありがとうございます。

また、誤字報告をしてくださった方も本当にありがとうございました。
作者の語彙の用法が間違ったりしておりましたので、良い勉強になりました。

前回同様、『流動源力』旧約篇で気になることがありましたら、ネタバレにならない範囲でお答えさせて抱きますので、こちらの活動報告にて質問をしていただければ幸いです。

今後とも『流動源力』の連載を続けさせていただきますので、よろしくお願い致します。


日時:2022年01月31日(月) 13:15

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返信コメント

毛糸ー

な、なるほど……素早い返信に、予想以上に詳しい考察と解説をありがとうございます!
今後の小説の描写に役立てていこうと思います!


日時:2023年09月19日(火) 09:59

まるげりーたぴざ

黄金錬成についてとあるのwikiをちょっと見てきたのですが、もしかしたらとあるの世界の錬金術師たちも意外と頭脳派だったかもしれませんね……。(黄金錬成は過去の錬金術師たちが完成させた術式って書いてあった)
何はともあれ錬金術師は二巻でしか出て来ませんし、頭脳派なのか武闘派なのか、その両方なのか……。
考察が分かれそうですが、私は案外武闘派でも面白いかな、と思いました。(補足)


日時:2023年09月19日(火) 09:42

まるげりーたぴざ

とあるの世界で錬金術師は十字教の異端とされる一派、グノーシズムに所属しているので、アウレオルスたち錬金術師も一応は十字教徒なんですよね。
ですが本来錬金術とは近代西洋魔術とは全くの別物、おそらく化学に近いものとして考えられていたはずなんです。

ここからは完全に考察になってしまうのですが、とあるの世界の錬金術師と現実の私たちが想像する錬金術師(フラスコを使って実験する研究者)とは全くの別物だと思います。

グノーシズムは作中で言及がありますが、『人間は精製途中の神であり、己を鍛えあげる事で神の肉体を手に入れ神の業を自在に操る事ができる』という十字教ではかなり異端の発想です。

つまりとあるの世界の錬金術師とは、己の身体を鍛え上げて神のような力を振るえるようにすること、つまり未完成な肉体を完成させることを望んでいる者たちとされています。
(ある意味、学園都市が掲げている『神ならぬ身にて天上の意思に辿り着く者=SYSTEM』に近い)
(ちなみに現実の錬金術師も自身を研究の果てに完成させようとしてるので、合ってるっちゃ合ってる)

そのため想像になってしまいますが、錬金術師は己の身体を鍛え上げて鍛え上げて、神のような力や術式を振るう者になるのかな、と思います。


日時:2023年09月19日(火) 09:26

毛糸ー

ここで聞くのは筋違いかもしれませんが、錬金術師ってどんな戦闘スタイルだったんでしょうね。
今まで出てきた錬金術師はアウレオルスだけだったので、フツーの錬金術師がどんなスタイルで戦うか想像できない……


日時:2023年09月19日(火) 08:07

まるげりーたぴざ

※超能力者の考察には真野隆也様著の『天使と悪魔』という本と森瀬綾様著の『いちばん詳しい「天使」がわかる事典 ミカエル、メタトロンからグノーシスの天使まで』を参考に致しました。


日時:2022年01月31日(月) 13:23



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