万魔殿小ネタ解説、11〜15話編

 長期休止に入ったので、今までの小ネタなどを書いていきます。

・第11話

>>『日本の』ハイセイコーこそ、NHKマイルカップから日本ダービーへ進むローテーションで敗戦を喫しているのだから。

 とはいえ、ハイセイコー現役当時はまだこのくらいのローテーションは一般的と言ってよいものでした。
 オグリキャップやダイタクヘリオスの無茶なローテもたびたび言及されますが、当時は今よりも厳しいローテで走ることは多かったようです。
 なお、当時はNHKマイルカップはまだGⅠではなく、NHK杯というGⅡのレースで、距離も2000m。なにより日本ダービーのトライアルとして開催されていました。
 現在、NHKマイルカップ→日本ダービーという中2週の厳しいローテーションは「競走馬としての能力が落ちる前に実績を積み、種牡馬としての価値を上げる」という理念の基、このローテーションを多用していた調教師の名を取って『松国ローテ』と呼ばれています。
 『松国ローテ』を走った競走馬のうち、NHKマイルカップと日本ダービーの双方を制覇したのは僅か2頭。
 サンデーサイレンス、ディープインパクトによって発生しかけている血の閉鎖に立ち向かう『最強の大王』キングカメハメハと、ダイワスカーレットとウオッカのハナ差の大激戦となった天皇賞で3着に続いたディープスカイのみです。
 ウマ娘に縁のある競走馬で『松国ローテ』に挑んだのは、例えばアグネスタキオンと一時覇を争い、アグネスデジタル衝撃の天皇賞制覇の裏でチャンピオンズカップの前身、ジャパンカップダートで世界のダート馬たちから勝利を奪い、「日本には白いセクレタリアトがいる」と言わしめた『扉を叩く者』クロフネや、先日登場が発表されたウオッカの父、『睥睨する破壊神』タニノギムレットがいますが、クロフネはNHKマイルカップに勝利したものの日本ダービーでは5着、タニノギムレットはダービー馬にこそなれたものの、皐月賞とNHKマイルカップではどちらも3着に敗れています。
 なにより、これら4頭がいずれも故障によって競技生命を絶たれていることから、どれほど過酷なローテーションなのかがわかります。それと同時に4頭がみな種牡馬としてGⅠ馬を輩出する大成功を収めていることから、松国調教師の思惑自体は決して間違いではなかったと言えるでしょう。

 今日開催される第89回日本ダービーには、NHKマイルカップでダノンスコーピオンに敗れながらも2着という好成績を残したダイワメジャー産駒にしてキングカメハメハの孫、マテンロウオリオンが出走します。彼の『松国ローテ』の結末と今後にも注目が集まりますね。

>>こちらも応えねば無作法というもの

 シリアスなシーンでも漫画からセリフを流用してくるハクタイセイ。

>>あー、トレーナーお酒飲んでるの

 タバコの予定だったが黒い人がその辺り気を遣わないのは解釈違いで変更に。

・第12話

>>分家にいつも黒い服を着た芦毛の少女が現れた。

 ご存知の通り現役当時も後半まで黒い毛並みが目立ったメジロマックイーン。メジロマックイーンのメジロカラーと異なる黒い勝負服はこの黒い毛並みを表現したものと考察されています。

>>元々本家筋のウマ娘が、家同士の顔を繋ぐために嫁いだ先で生まれたダイヤの原石。

 メジロマックイーンの母、メジロオーロラはメジロ牧場ではなく他の牧場に預託された先でメジロマックイーンを産みました。
 また、メジロマックイーンの馬主はメジロ牧場ではなく、サブと言えるメジロ商事で登録されています。ただこの理論だとメジロドーベルも分家扱いになりそう。
 なお、血筋的には思いっきり本家筋であり、メジロアサマの直系に当たります。

>>この髪の呪いを断ち切るために、勝つ。

 『芦毛の馬は走らない』論説が覆され始めた最初期。オグリキャップとタマモクロスによる激闘からさほど間を置かない時分で生まれた皐月賞馬でした。

・第13話

>> レコードタイムとラップタイムを参照して区間ごとの目標タイムを算出し、その目標タイムを体内時計のみを頼りになぞりきるか。
>> 自分の出しうる最高速度を維持し続けてもなお尽きないほどのスタミナを蓄え、惜しげもなく注ぎ込むか。
>> 恐怖があるいは快感か、己の体からの危険信号さえ認知できないほどの強い感覚にひたすら没入するか。

 上からミホノブルボン、メジロパーマー、カブラヤオーとサイレンススズカを表しています。

>>『笑いながら走るウマ娘』

 史実でも口を開けながら走る癖があったことから、ダイタクヘリオスは『笑いながら走る馬』と呼ばれていました。

>> いつものようにおどけながらダイタクヘリオスは笑う。手に持ったウマホに映る出バ表には、2番人気の文字。
>> 勝てない、勝てるわけない。勝つすべがない。そう言われるほど、ダイタクヘリオスの本能は熱く滾る。

 とはいえ、1番人気の時に勝てず、人気が低いと勝つことからついた『新聞(オッズ)を読む馬』のほうが有名でしょうか。
 自分より前に来られると負けないように先頭に行きたがる真面目な性分と負けん気の強さがあったと言われています。爆逃げの真相です。
 近年同じ性質を持つ牝馬、メイケイエールが注目されていますね。

>>元々得意な最終コーナーでの突き放し

 通称『4角ワープ』は史実のダイタクヘリオスの代名詞。作中でも何度も話題にしていますがダイタクヘリオスは逃げよりも先行の得意な馬で、先行押切や先行抜出で勝っています。

>>あのコーナリングもそうだが、意識的か無意識か全体的に負担の少ない走り方を徹底している

 アニメ二期で採用されていた、陸上選手のようなランニングフォームから。
 さらに元ネタを辿ると、首を下げず高く上げたまま走る癖があった史実に行き着きます。同様の走り方をする馬には、相棒であるメジロパーマーや、黄金世代の一角、キングヘイローがいます。
 ちなみに、首を下げるときの勢いで加速したり首を下げたときの差で距離を稼いで勝てたりするので、首を上げたまま走るのは明確に欠点です。

>>クラシック期に入ってからはともかくジュニア期の出走回数は群を抜いている。

 前述の通り、ダイタクヘリオスもたいがい無茶なローテを走っています。10月デビュー、年末までの3ヶ月間でなんと6レース。特に2戦目から3戦目、5戦目のさざんか賞から阪神3歳ステークスまではどちらも連闘でした。
 なお、史実では阪神3歳ステークスでは2着に敗れています。

>>『バカ』を見て笑っていたはずが、『バカを見る』羽目になりかねない

 自分で考えて「これ上手ぇな」と思ってた。お気に入り。

>>事実、何も考えていないのだが。

 もっと広い観点からだとめちゃくちゃ考えてましたね。
 史実では前述の通り真面目な性分で、引退後は嘘のように落ち着いたという話や、本来は先行が得意だったという話から、『笑いながら走る馬』を押し出した公式キャラの裏に『真面目で計算高い史実』の一面を描写してます。
 もちろんパリピムーブが演技というわけではなく、人間誰しも持つ二面性です。
 キャラを作るときは必ずそういう矛盾を隠し味として入れるようにしています。二次創作だとキャラ崩壊と紙一重なので加減が難しいですがね。

・第14話(閑話)

>>実は肴のほうが先に使われてたんだよ

 諸説ありますが、一説によるとそうらしいです。

>>『ウマ』の娘だから『ウマ娘』じゃなくて、『ウマ娘』って言葉から『娘』って言葉が生まれたんだよ

 逆に考えるんだJOJO。
 実際語源の観点から考えるとこれがしっくり来たので。
 なお、実際は苔むすなどで使われる「()す」に女で年若い女のことを「生す女」と読んだことが語源であるというのが主流だそうです。

>>チゲ鍋、サハラ砂漠

 チゲは朝鮮語で鍋を、サハラはアラビア語で砂漠を意味しています。

・第15話

>>武田主治医

 主治医です。の人。名前は元ネタとされるメジロ牧場牧場長兼獣医であった『メジロの頭脳』こと武田茂男氏より。
 ちなみに、武田氏は現在独立し『㈲武田ステーブル』を設立、2019年フェブラリーステークス優勝馬のインティなどを輩出しています。

>>いや。正直、お前が実力出しきれてないのは俺が未熟だからじゃないかと思っているんだ。
>>トレーナーさんに、自分の担当したウマ娘の中でライアンが1番強かったと、いつまでも言わせる

 メジロライアンのトレーナーのモデルはご存知横山典弘氏。
 上記の発言は両方横山騎手の発言が元ネタ。


日時:2022年05月29日(日) 12:49

<< 長期休止 万魔殿小ネタ解説、16〜20話編 >>

▼コメントを書く

返信コメント

ヒビカリ

各話小ネタありがてぇ…ありがてぇ…
しゅきぃ(デジたんスタンプ並感


日時:2022年05月30日(月) 08:18

セネット

アプリ外の馬使ってる時点でわかってたけど、お馬さんの知識半端ない……


日時:2022年05月29日(日) 15:41



返信

    現在:0文字 10~1000文字