ボツ話~学祭の出し物~







「……やっぱさ、喫茶店とかが無難なんじゃない? さっきみたいなメイド喫茶じゃなくても」

「悪くはないですがインパクトには欠けますわね。喫茶店はどこのクラスも考えそうですから」

「メイド喫茶が良いという訳ではないが、喫茶店にするなら何か他のクラスと差別化する要素が欲しいな」

私の発言を聞いて、うーん、とあやかと明日菜が頭を悩ます。周りを見渡すと、他の生徒も自分達と同じようにそれぞれの机を合わせて一つの大きな机を作っていた。顔を見合せながらあーでもないこーでもないと議論する声が教室中に響いている。ネギ先生は一つ一つのグループを見回りながら、意見を聞き、ちょいちょいと口を出していた。


私達は今、学園祭の出し物を決めようとしている。

ついさっきまではハルナや朝倉が勝手にメイド喫茶を実行しようとしていたが、様々な衣装はもはやメイドというよりはコスプレのようなものであり、その経営システムはキャバクラに近かったため、ネギ先生から却下の声が出た。当然である。
その後もクラス全員で話し合ったが一向に意見が纏まらないために、一度いくつかのグループに分かれて意見を絞り、その中から採用するものを探すこととなった。
ネギ先生は、この学園祭に向けていつもよりずっと張り切っているように見えた。明日菜に理由を尋ねて見ると、どうやら彼の姉が学園祭を見に来るらしく、そのためにも一生懸命であるらしい。


「ちょっと! エヴァンジェリンさんも少しは考えたらどうですの!? 」

「……ん?……ああ」

あやかの声により、私と向かい合うように座っているエヴァンジェリンが眠そうな顔を起こした。朱色に染まった右頬が、机に肘をつけ掌の上に頬を乗せていたことをはっきりと示していた。吸血鬼は昼に弱いんだ、と話していたことを私は思い出す。
彼女はとろんとした目を私達に向けて、一息ついた。

「……まぁ、さっきの七海の衣装は悪くなかったな」

「そんな話はしていないが」

エヴァンジェリンは未だに寝惚けているようだ。

先程、私も無理矢理衣装を着せられていた。それは執事服であったためメイド服よりは断然抵抗はなかったが、コスプレ染みた衣装はやはり恥ずかしい。それに、あんなキャバクラのような店だと知っていたら着るつもりもなかった。

「ああ、あの執事の格好か。執事服を選ぶとは早乙女にしちゃいいセンスだったな。あのジャケットは微妙だったが」

「……ほう。やはり見る目があるな、長谷川 千雨」

「そりゃどーも」

「先程の明智さんの姿はしっかりと映像に残してあります」

「よし、後で改良点を探すか」

「脱線しすぎだ」

完全に関係ない話であるし、改良点などを探すのもやめてほしい。もうあんな服を着るつもりはない。
あやかが、ばん、と机を叩いた。

「その話は後でいいでしょう! それよりも学園祭の話ですわ! 」

後でも良くないがな、と私は呟いておく。
エヴァンジェリンは面倒だ、と言いたげな顔をした。

「出し物なんて何でもいいだろう。学生らしく、劇でもやっとけばいい」

出るつもりはないがな、と彼女は続けて言う。

「……劇か。選択肢には入るな」

このクラスは器用な人が多いので小道具や衣装には困らないだろうし、前に出るのを好む人も多いので面白い物が出来る気もする。

「ですが劇となると舞台の用意などの他に練習時間が多く取られますわね。このクラスは部活動やサークル活動でも忙しい人が多いので纏まった練習時間を取るのが難しいかもしれません」

「ならさ! ショーみたいなのにすれば! 個人で出来る奴特技とかを時間に分けて発表したりして! 」

「それだとクラスの出し物としてやる意味なくねーか? 」

「……前年、前々年のデータから、クラスの出し物は大別すると4つほどに分けられます。飲食店、劇、アミューズメント施設、展覧会です」

うーむと再び悩む私達に、茶々丸が有益な情報をくれた。

成る程、展覧会か。
私は、思いきって立ち上がり、自分が思い付いた意見を口に出してみる。

「昆虫館なんてどうだ? 皆でそれぞれ虫を捕まえて、標本にして……」


「却下!! 」


「……だよな」

皆から口を揃えて否定された私は、大人しく席に座り直した。


日時:2015年05月18日(月) 20:48

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返信コメント

末蔵 薄荷

大学で育てた昆虫なら個人で展覧会できるだろうなwww


日時:2015年05月19日(火) 09:38

塩太郎

虫好きなら一度は考えるよねwww


日時:2015年05月19日(火) 01:26

xana

主人公ブレないなぁwww


日時:2015年05月18日(月) 22:02



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