『仮面ライダークウガ-白の執行者-』執筆の裏側

『仮面ライダークウガ-白の執行者-』執筆の裏側

はい、こんにちは。スパークリングです。
つい先日、私が執筆しておりました『仮面ライダークウガ』の二次創作、『仮面ライダークウガ-白の執行者-』が完結を迎えましたので、この物語を制作する際の裏話について書いていこうと思います。

さて……まぁ、まずは事の発端と行きましょう。
なぜ私がこの小説を書くことにしたのか。理由はふとしたことでした。
私はどちらかという読み専でして、時折ハーメルンに訪れては面白い小説がないかを探しては読み、そして気に入ったものだけを評価してという感じでした。
あるとき、私が大好きな『仮面ライダー』の小説が読みたいと思って、『仮面ライダー』で調べてみたところ……なんとあっちを見てもこっちを見てもクロスオーバー物ばかりでびっくり。
勿論、クロスオーバーを否定しているわけではありません。面白いものがほとんどなのは事実ですし、私もいくつかお気に入り登録をしています。しかし、「どうして純物が全然ないんだろうな」と思ったのもまた事実でして……。
7月の頭に、友達にこのことを相談したところ、

「だったらおまえが書けばいいんじゃね?www」

と、返ってきました。
ああそうか。その通りだ。
ないんだったら書けばいいじゃない!
それに書いていけばどうして純物が少ないのかの理由もわかるはず! よーっしやったらぁっ!……みたいな変なテンションのまま、軽いノリで私は、人生初の二次創作の執筆・制作にとりかかりました。……しかし。
問題は山積みでした。

さて、どの『仮面ライダー』作品を書こうかなということになりまして。
個人的に特筆して大好きな『仮面ライダー』は、クウガ・ファイズ・ブレイド・カブトの4作品。
まずこの4つの中からセレクトすることに。
最初に選んだのは……ブレイドでした。
じゃあ設定は?
個人的にはオリキャラを入れたいな、と思いました。ブレイドの第1オープニングの最初の歌詞の「たった1人きり君の存在が~」と言うのに肖って。
で、どんな奴にして、どんな役職を設けようか考えた結果……問題が生じました。

仮面ライダーにせよ怪人にせよ、もうすでに数が決まってしまっている(・・・・・・・・・・・・)というとんでもない問題が。

ご存じ仮面ライダー(ブレイド)はトランプをモチーフにしており、4人のライダーと53体のアンデッドによって構成されています。
つまり、オリキャラを入れたくても入れられる枠がないのです! 定員オーバーなんですよ!
2枚目のジョーカーネタは劇場版でやってしまいましたし、トライアルシリーズに紛れ込ませるのはオリ主無双になりそうだから却下。
パラドキサアンデッドも考えましたが……ディケイドの2番煎じになりそうなので却下。
じゃあサブキャラに? いやいや、どうせ書くなら大きいことをしたいじゃない! というわけで却下。
じゃあ主要人物を削る? 完全に原作沿いです、本当にありがとうございました。問答無用で却下。

というわけで、設定で頓挫してしまったため没に。
二次創作、舐めていました。いや、本当に。
書いている皆さんは本当に凄いなと、そしてこれはマジでやらないといけないなと心を入れ替えて再選抜。

色々考えた結果、2回目でクウガにすることが決まりました。
カブトとファイズは、もしかしたら書くかもしれません(設定が決まって、納得のいくような結末を定めたらですが……)。


◎物語の構成
大方のシナリオは以下の通りです。

ゲリザギバス・ゲゲルに挑戦

答えを探すのに苦悩しつつも成功させ『ラ』に昇格

自分が間違っていたことに気が付いて離反

ダグバに勝負を仕掛けて『ン』に覚醒し、勝利する

アルティメットフォームの攻撃を受けて敗北し、そのまま死亡

13年後、転生して雄介と再会。ともに冒険の旅へ

またクウガのオープニングの2番とエンディング、そして最初に書こうと思っていた仮面ライダー(ブレイド)の第1オープニングの歌詞を参考にして物語を形成。本当は歌詞を使って説明をしたいのですが規約違反となってしまいますので、よろしければ各自調べて照らし合わせてみてください。

主人公が刑事だったドライブでさえ、ぼかすしかなかった答えのない永久の命題『どうして人間を殺してはいけないのか?』をテーマとし、その納得のいく答えを女オリ主であるグロンギ、ゴ・ユニゴ・ダが探していく物語。


◎ゲリザギバス・ゲゲル
『6日間で3996人の世間一般で「悪人」と定義されるリントを殺害』という大規模なゲゲルを決行。
刑務所襲撃から始まり、詐欺グループ、麻薬密売グループ及び指定暴力団、カルト宗教団体、悪質な金融会社など、そこに所属している、またはそれに深く関与している人間を次々と殺害。逆に『悪人』以外の基本一般人、警察官、刑務官、医者、警備員は一切殺害せずに、一般人を味方につける。時間を明かしても場所は明かさないという狡猾かつ丁寧で、大胆なゲゲルを仕掛けます。
こんなの、放送なんてできませんよね。社会問題に発展します。
しかーし! これは二次創作! 容赦なくぶっこみ、原作の雰囲気を真似た刑事ドラマと、情報化社会の闇を孕んだリアルさを演出。

さらに主人公であるゴ・ユニゴ・ダがゲゲルをする理由は「自由に生きたいから」という、純粋かつ単純な理由。生き残るためにはゲゲルをせざるを得ず、少しでも人間たちに受け入れてもらおうと画策したのが大きな理由でした。

以上から、彼女は雄介と警察の『天敵』となるようにデザインされており、一条たちは警察の面子を気にする上層部の重圧と、一般市民の民意の板挟みの状態でこの戦いに挑むことになります。


◎主人公の設定
本作の主人公、ゴ・ユニゴ・ダは……『第2の五代雄介』です。
名前である『ユニゴ』は漢字にすると『雄二五』。つまり『雄』介、第『2』、『五』代、というちょっとしたカラクリです。
ただし、立ち位置は真逆になるように徹底しました。

・『人間(リント)サイド』の五代雄介とは対照的に、主人公は『グロンギサイド』の怪人
・『男』の五代雄介とは対照的に、主人公は『女』
・『成人している』五代雄介とは対照的に、主人公は『成人していない』子供
・『笑顔』な五代雄介とは対照的に、主人公は『無表情』
・『日本人』の五代雄介とは対照的に、主人公の外見は『外国人』
・『身体がグロンギ』に近づいていく五代雄介とは対照的に、主人公は『精神が人間(リント)』に近づいていく
・『誰かのために戦う』五代雄介とは対照的に、主人公は『自分のために戦う』
・『人間(リント)の価値観』を持つ五代雄介とは対照的に、主人公は『グロンギの価値観』を持つ

次に性格。
性格は以下の通り、五代雄介とほとんど同じです。

・独特のカリスマを持つ
・理性をはっきりと持ち、戦いは嫌いでなるべく話し合いで解決しようとする
・明確な目的を持って、嫌いな戦いに臨む
・優しく、他人を思える善人
・素直で純粋な性格をしており、物事の本質をしっかりと捉えることができる(ただし序盤はグロンギの価値観に則る)

さて、では階級と立ち位置はどうするか。
これは簡単。『ゴ』です。
問題はどれくらい強くさせるかですが、それは前述したシナリオを円滑にするためにナンバー2という、リーダーであるゴ・ガドル・バには一歩及ばない程度の強さを持った怪人に仕上げました。

怪人体は『ユニゴ』なのでユニコーン種の怪人。
最強3人衆はそれぞれ、『海』『陸』『空』の最強生物をモチーフしていることもありますので、これに被らないよう主人公は『幻』をモチーフにしています。
またこの『幻』には、二次創作の主人公であり、原作からしてみれば幻の存在という意味も含んでおります。
初期のフォームチェンジは全部で3つ。
これはナンバー1のガドルが4つ、あとの2人が2つ形態変化を持っていましたのでその間を取ったのと、怪人体となったときの角の本数。
『格闘体』は1本、『俊敏体』は2本、『剛力体』は3本と1本ずつ増えていき、いずれ彼女が至る『究極体』の本数が4本になるようにしました。

何より彼女の一番の特徴は、並外れたモーフィングパワー、通称『適応能力』と呼ばれる一度受けて耐えきった攻撃に備えて身体が作り替わり、その後は二度と通用しないというチート能力。
これは彼女が「生きたい」という執念の感情から生まれた自己防衛的な能力であり、後のダグバとの戦いではこの能力が応用され、自分の身体を作り替えて『究極体』へと進化を果たしました。
ただし当然穴があり、強力な技になればなるほど適応するのに時間がかかり、一気にダメージが来た場合は身体が耐え切れなくなって死にます。

Q1.格闘体でライジングマイティキックを受けたらどうなりますか?
A,間違いなく死にます。

Q2.原作でドルドを死に追いやった神経断裂弾ですが、もしドルドと同じ6発を初めて受けた場合どうなりますか?
A.間違いなく死にます。

Q3.剛力体でアメイジングマイティキックを受けたらどうなりますか?
A.間違いなく死にます。


◎VSクウガ戦
本作では3回クウガと戦ったユニゴですが、2回の完全勝利を収め、ラスト1回は自らの意思で攻撃を受け続けて敗北します。

実は当初、クウガとの戦いは5回を計画しておりました。
1回目と2回目、5回目は本編通りです。

3回目の戦いも彼女の勝利を飾ります……が、隙を突かれて神経断裂弾を撃たれてしまいます。これにはユニゴも耐えられずに、力なく倒れます。仮死状態に陥ったのです。
すぐさま彼女の身体を解剖するために椿の元へ送られますが、関東医大病院に着いた瞬間に仮死状態が解かれ、「凄い。こんな武器作れるようになった」と言って病院から出ていきます。

4回目は凶悪な通り魔、霧島東二と出くわしたときにクウガと交戦。
アメイジングマイティに覚醒したクウガのアメイジングマイティキックを受け、大ダメージを受けるもぎりぎりで適応し、逃走。そして本編通りに恐喝をしていた人間を殺してゲームクリア。
というシナリオも考えたのです……が。
感想欄のほうに「手加減されて見逃されたのをいいことに、何度も挑戦するって、ヒーローとしてかっこ悪くない?」という意見をいただきまして「確かに」と思い、没にしました。貴重なご意見、本当に感謝します。やっぱりどんなものであれ感想をもらえるって、作者冥利に尽きます。間違いを正すこともできますしね。


そろそろ5000字に到達しますのでここまで。
次回は、実際に執筆してみてどう感じたかについてまとめようと思います。


日時:2022年03月21日(月) 07:34

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返信コメント

ししゅう

こういう設定資料を見るの本当楽しいですね。
また一話から読みたくなりました!


日時:2017年01月08日(日) 21:15

松岡 雅貴

じゃああえて新しいカードを作って新しいライダーを作れば良いんじゃないですか?
ほら、ケルベロスとかいるからありだと思います。


日時:2015年09月16日(水) 23:07

Nフォース

裏設定まで込で素晴らしいですね。次回作があるのでしたら、是非ともまっさきに読みたいものです。


日時:2015年08月30日(日) 23:45

白金

なるほど、そんな裏事情が。

確かにブレイドは難しいですね。仮にトライアルやアンデッドで書いても撃破&封印確定だし。後者に至っては封印したカード=新たな力 だから。

カブトは『キャストオフ』『ライダーデザインのカッコよさ』『クロックアップ』と心を掴まれましたね。なにより飛び蹴りじゃなく『カウンター上段回し蹴りのライダーキック』のインパクトとカッコよさは凄かった。
ファイズのアクセルクリムゾンスマッシュのカッコよさもヤバいですが(ぶち抜いたあと更に数回ぶち抜くっていう超オーバーキルとしか言えない技ですが)。


日時:2015年08月29日(土) 20:05

T・P・R

ブレイドは確かに難しいですね。
それでも無理に登場させるなら、原作で登場しなかった数字のアンデットを独自に想像してオリキャラにするとか……だが、本編に描写すらされずに最初から封印されているアンデットって、カテゴリーAを例外とすれば雑魚確定……大きいことさせるにはいささか以上に役者不足ですね。
何より、10以下は人間体にすらなれないし……


日時:2015年08月28日(金) 23:59



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