1.5章ダイジェストという名のネタ帳。

 聖闘士候補生の少年――盟。
 イタリアにて黄金聖闘士の一人、蟹座(キャンサー)デスマスクの指導を受けていた彼のもとに、ある日一通の手紙が届いた。
 差出人の名は海斗。かつて城戸光政により世界中から集められた百人の孤児たちの一人であり、幼き日を共に過ごした、盟にとっては兄弟とも呼べる相手である。
 手紙に書かれた内容はただ一言――女神を探せ。
 女神とは誰の事か?
 何処を探せと言うのか?
 次々と浮かぶ疑問。しかし、それに答えを返してくれる者はいない。
 手紙の事を知ったデスマスクは盟に好きにしろと言った。そして――

「丁度いい。最終試験だ。結果を出せば、お前の欲しがっていた聖衣(ご褒美)をくれてやる」

 そう言い残して聖域(サンクチュアリ)へと向かった。
 デスマスクにはあの一文で理解できたのだろう。ただ、それを盟に対して説明する気が全く無い。それだけの事。
 放任主義はいつもの事かと、盟はイタリアを離れ日本へと渡る。



 2学期も残すところあと2週間となったその日、東京の郊外にある秋田集英高校に一人の転校生の姿があった。
 学年は1年、クラスはB組。紫がかった銀色の髪、学校指定の詰襟の学生服は胸元を開くようにして着崩され、シルバーのネックレスやチェーンを身に着けたその姿は周囲の生徒たちから明らかに浮いている。
 担任である初老の男性教師からクラスメイトへの自己紹介を進められた彼は、鼻歌交じりに黒板へと向かう。

城戸盟(きどめい)だ。気軽に盟って呼んでくれ。ま、短い間になるとは思うが――ヨロシクな」



 ホームルームが終わると盟の周りに多くのクラスメイトが集まっていた。
 季節外れの転校生自体が珍しい事もあるが、一見すると粗暴な印象を与える盟の、その実気さくな性格や人当たりの良さが知れると、各々が抱いていた警戒心は薄れ自然とこうして人が集まる。
 そんな中、その輪に加わらず数少ない困惑を示していたのが火場瑠衣(ひばるい)月代明菜(つきしろあきな)である。

「えらい人気ね~。こりゃ、ちょっと時間を置いたほうがいいんじゃない?」

「……うん。本当は早く伝えたいけど。さすがにあの中には入れないかな」

 集団から少し離れたところで明菜はため息をつき、瑠衣は肩を落としていた。

「それにしたってマンガじゃあるまいし。何? ピンチのところを助けてくれた気になるあの人は転校生? しかも同じクラスって……」

「アハハ……。こんな偶然ってあるんだねぇ。わたしもビックリだよ~」

 話をするのは次の休憩の時間にでも。そう結論を出した二人は、この後の授業に備えるために自分たちの机に戻ろうとして――



 二人の前に立ち塞がったのは先日絡んできた男子生徒たちであった。
 周囲を威嚇し、睨み付けながら瑠衣のもとへと詰め寄る彼らには、皆どこか切羽詰まったような怯えも見せていた。
 瑠衣の手を掴み、強引に外へと連れ出そうとする彼らに対し、怪訝に思いながらも仕置きが足りなかったかと立ち上がる盟。
 だが、それよりも早く明菜が動いた。
 打ち、捻り、投げる。盟をして見事と思わせる動きで明菜が彼らを叩き伏せ瑠衣を救い出す。
 にわかに沸き立つ教室。
しかし、異変はその直後に起きる。

 苦痛に呻き蹲った彼らの口から人とは思えぬ、まるで獣のような叫びが発せられたのだ。
 声だけではない。その姿も、まるでホラー映画の狼男のように異形のものへと変化する。
 その光景を目の当たりにした明菜の口から零れ出た獣鎧士(ビースト)という言葉。
 異形の鎧を身に纏い変貌した彼らは人を超えた、聖闘士に匹敵する力を見せて瑠衣と明菜に襲い掛かる。
 二人を守るために立ち向かう盟。
 どうにか彼らを校庭へと叩き出す事に成功したが、聖闘士ではない今の盟には決定打足るものがない。
 蓄積するダメージと疲労が徐々に盟を窮地へと追いやっていく。
 その盟の窮地を救ったのは、銀色の輝きであった。校舎の屋上から放たれた一本の矢だ。
 銀色に輝く聖衣にも似た鎧を身に纏った少女――明菜の放った矢であった。
 盟は自らを月衛士(サテライト)と称した明菜と力を合わせ、獣鎧士(ビースト)と化した彼らを撃退する事に成功する。
 
 
 
 獣鎧士とは何か、一般人であったはずの彼らの身に何が起こったのか。
 なぜ瑠衣が狙われたのか、明菜の口から語られる瑠衣の秘密とは。

 邪神復活を目論む悪しき者たちに、新たなる若き聖闘士――盟が立ち向かう。





 と、1.5章はこんなノリで考えていました。
 以下ネタ帳。

 この章のラスボスはエリスの邪精霊。エリス復活のために高い小宇宙を持つ者を生贄に捧げようとしていました。
 で、生贄役こと瑠衣の正体は女神ヘスティア。
 女神ヘスティアは炉の神、つまり家を守る→家族の帰りを待つ存在と想定しましたので、戦う力や聖闘士といった独自の戦力は持っていません。
 闘争心や野心もなく、故に他のオリンポスの神々にとっては庇護対照のお姉ちゃんと設定。
 名字の火場はかまど的なサムシング。
 そんな放っておけないお姉ちゃんのためにアルテミスが瑠衣への護衛として送ったのが明菜です。
 名字の月代は月に替わって的なサムシング。
 モブさんは中ボス的に再登場して盟と明菜を追い込みます。
 お約束のように瑠衣が連れ去られ、その後を追って明菜が離脱。
 俺に任せろと残った盟も大ピンチ、次回に続くでデスマスク登場。
 盟に髪の毛座の聖衣を授けて高みの見物。
 雑魚の相手は雑魚で十分と言い残してログアウト。
 盟、怒りの鬼蒼焔を放ちモブさん終了。
 明菜と合流して邪精霊と決戦へ。
 半覚醒状態の瑠衣の加護を受け、なんやかんやで大勝利。




「ンハハッ。ようやっと見~っけた。美味しそうな――林檎ちゃん」

 と、謎の人物の独白で1.5章終了。チャプター2へ続く。



 以上をもちまして1.5章終了という事で先に進もうと思います。
 
 


日時:2015年12月13日(日) 01:18

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返信コメント

gilgan

先に進むって事は続きがあるんですねやったー


日時:2016年02月04日(木) 18:24

龍頭竜尾

ネタでも更新うれしい、ネタとはいえないワクワク感さすがです、本編まっています


日時:2015年12月26日(土) 00:05

多騎雄大

おー、お久しぶりです。もう更新無いかなと、思っていたので嬉しいです。


日時:2015年12月13日(日) 10:26



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