殺伐としていない、おそらくは本当の英雄の物語
▼文章、ストーリー、描写などについての紹介など
この作品の主人公は非常に強いが、しかし圧倒的な力で敵を爽快に薙ぎ倒していったりクロス先の世界を蹂躙したりするタイプではない。
かといって、力があるのに使おうともせずに意味もなくひたすら隠す謙虚さの意味を取り違えてるとしか思えないようなタイプでもない。
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目立つのは好きだけど力を誇示するような下品な目立ち方は好きでなくて、あっと驚くような演出でみんなを楽しませたいというエンターティナーな気質。
それでいて、間違いなく英雄性もあってたまに戦うときも格好いいという不思議な男。
引き出しはすごく広く深い感じで、八十話超えてもまだ底が見えず毎回新鮮な驚きを周囲に提供している。
好みは分かれそうだけど、自分はこの主人公大好きである。
ゼロ魔の世界にもよく溶け込んで、ルイズとかキュルケとかみんなと楽しくやってるようだ。
タバ冒のトーマスとか、ちょっと珍しい人物が準レギュラー的な立ち位置になったりもしている。
タバサやシエスタにはちょっと惚れられてる感もある、特にタバサのほうに。
本人はコボルドなので人間の女性と友人を超える関係を持つことに興味はなさそうだけど、心理描写が丁寧なのでそっちのほうも応援したくなる。
D&Dという古典的なファンタジー作品世界から来ているだけあって、すこし古めかしいけれど、正しく英雄の物語という感じ。
ドラゴンを小指一本で倒すのも格好いいけれど、ドラゴンと仲良くなって悪事をやめさせるのも英雄的だと思う人には是非お勧めしよう。
▼読む際の注意事項など
ディーキンが戦ってるところを見たい人は、なかなか戦わないのでじれったいかも。
ガチで戦ってるのは61話とか。圧倒的に強いのですぐに決着がつくけど、爽快に勝ってくれる。
彼がエンターティナーな感じを出してるのは48話とか。心温まる感じだ。
サクサクと話を先に進めていってほしい人にもあまり向かないだろう。
かといってだらだらしているわけではなく、毎回話の先は気になって楽しみにしている。
じっくりまったり、丁寧な話を読んでいきたい人向けかな。
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踊る降魔帝/2016年05月31日(火) 21:18/★ (参考になった:34/ならなかった:12)