オススメのオリジナルテイルズ
▼文章、ストーリー、描写などについての紹介など
───『外は、しんしんと雪が降り続けていた』
物語の始まりは、世界を牛耳る三つの国家、その中のひとつである白銀に覆われた雪国・スヴィエート帝国。その第一皇位継承者・アルエンスは刺客の手から逃れた後に下町の貧民の少女、ルーシェに命を救われる。身分を隠しアルスと名乗った彼は、特別な術・治癒の力を持つ彼女と共に自らの、果ては世界の宿命と向き合い、それを運命に変えていく───。
(25行省略されています)
宿った命、即ち自分の使命、"宿命"は変える事は出来ない。
でもそれを、第三者が介入する事で、"運命" という
運ぶ命に変えられる事は出来るんじゃないか?
宿命と向き合ったり、それを乗り越えて運命に変えた時、改めて自分がどういう人間なのか、どういった人間だったのかが分かる。自分の正直な気持ちが全部出てくる。
俺はそんな気がするんだ。君が俺にそうしてくれたように──────。
本編は短い一文とリズミカルな会話でテンポよくストーリーが進む。テイルズらしいストーリー展開に引き込まれる。
総勢パーティーメンバーは8名と比較的多めだが、キャラクターそれぞれがそれを短所としないほどの個性の強さを持っている。あらすじの立ち絵を見ると分かるが、どのキャラも容姿は被らずに非常にカラフルなメンツとなっている。設定のイラストが凝っているのでキャラクターが掛け合っている姿が想像出来やすい。
敵やサブキャラクターを含めても戦闘スタイルや性格に重なるところがなく、人物で混乱する心配はない。複雑な人間模様、人間らしさがいくつか描かれるものの、それぞれが混線することもないので、広がっていく関係性や意外な事実をすんなりと受け止められる。
ところどころに伏線があり、謎とヒントと解答が適度に明かされていくので、今後の考察も楽しめる。また、謎が明らかになってから再度読み直すと、一度目とは違った視点で物語を見ることができるので時には読み返すこともオススメ。
内容はシリアスな部分が強く印象に残りがちだが、時折はさまれる小休止のような場面はくすりと笑いを誘うもの。おなじみの掛け合いやどこかで見たやりとりも交わされるのでテイルズシリーズをご存じの方にはその既視感も魅力のひとつ。
個性豊かなキャラクター、流れるようなストーリー展開、作り込まれたシナリオ…どれかひとつでも気になるものがあるなら、ぜひテイルズオブフェイティアを読んでみては?
▼読む際の注意事項など
設定集には術技やステータスなどの情報がたくさん詰められていて、作者のこだわりが垣間見える。テイルズゲームファンで、戦闘アクションが好きな方はぜひ設定までみてほしいが、それを必要としない、苦手な方もいるのは事実。特にテイルズを知らない、これはタグにテイルズオブと付ける必要があるのか?と思われる方もいるかもしれません。オリジナルの二次創作なのでそこは予め了承しておいた方がいいです。別に術技集は本編にあまり関係しないものなので。地の文が続く場面もあるが比較的会話文が多めなので注意。
▲短縮する
田中かなた/2016年08月07日(日) 00:40/★ (参考になった:12/ならなかった:18)