あなたは『ゾイドバトルストーリー』をご存じだろうか?
▼文章、ストーリー、描写などについての紹介など
1980年代中頃、まだガ〇プラも彩色成形モデル(逆〇のシャアで初めて導入。通称『色プラ』で、当時画期的な接着剤不要、ポリキャップ使用モデル)が導入されるよりも更に前、全国の玩具屋さんには、スペースファンタジーテイストの強いたくさんの『機械獣』達の写真入りの、『動くプラモデル』の箱が、所狭しと並べられていました。
そう、『メカ生体――ゾイド ZOIDS』です。
(26行省略されています)
そして、その数多の機械の獣たちの戦いを、『戦場写真』とともに記録した冊子こそ、今に伝わる戦記、『ゾイドバトルストーリー』です。
これは当時から今に続く惑星Ziの正史において、中央大陸の覇権を掛けて激突した、ヘリック共和国とゼネバス帝国、その二大国家同士の激しい戦いの歴史とゾイド開発史のほんの一瞬を切り取った物語。
中央山脈の地底世界に棲む野生種の『ゴジュラス』を改造し、それを軍事転用していたヘリック共和国は、大型ゾイド『レッドホーン』を擁していた帝国軍に圧倒していた。だが、その優位も対『ゴジュラス』用ゾイドとして開発された大型ゾイド『アイアンコング』の登場によって対等なものとなっていく。
次々に両陣営に投入されていく数多のゾイド達、高速戦闘ゾイド『サーベルタイガー』や『シールドライガー』、そして完成した超弩級ゾイド『ウルトラザウルス』、その圧倒的な侵攻により、皇帝ゼネバスは暗黒大陸へと脱出することとなる。
しかし彼らは、電子戦恐竜型ゾイド『ディメトロドン』を始めとした多数の中小ゾイドと共に中央大陸へと帰還、そしてついに最強の凶獣『デスザウラー』を完成させる。
並居る共和国ゾイドたちを瞬く間に葬りさる『デスザウラー』。そのたった一機の死竜は、共和国首都へと侵攻し、全てを破壊しつくす究極兵器、『荷電粒子砲』を放ち破壊の限りを尽くす。
共和国首都を目前とし、もはや、この凶獣を止める手段はないかと思われたその時、一機の『ウルトラザウルス』がその前に立ちはだかった。一対一では到底勝ち目のない『ウルトラザウルス』は命を賭けた特攻を敢行し、自らの命と引き換えにその巨体によって『デスザウラー』を泥の中へと押し沈め、死の凶獣を仕留めた。
ZAC2044年。陥落した首都から脱出した共和国大統領ヘリックは、ゲリラ戦を展開しつつ、ゼネバス帝国への反攻作戦を推し進める。
そして来るZAC2045年、ヘリック共和国は中央大陸を東西に分かつ、通称『巨大な背骨』と呼ばれる2000mを越える『中央山脈』の攻略を開始する。
そこにあるのは、ゼネバス帝国軍最大の山岳軍事基地。歴戦の勇猛なゾイド乗りと大規模なゾイド兵団。対する共和国もまた、反攻作戦のために準備した大軍団を持ってこの攻略作戦に挑む。
これは惑星Ziに刻まれた歴史のほんの一瞬……ほんの一ページの物語。
極寒の中央山脈で激突した、2大大国のその雌雄を決するまでの戦闘の記録。
そこに生き、そこに戦った戦士たちの、正史に語られることのなかった物語……
▼読む際の注意事項など
この作品は、1988年刊行の小学館『ゾイドバトルストーリー③』に収録された中央山脈戦の、そのサイドストーリーとなっています。絶版となった書籍のため、今この原作を読むことは困難ですが、原作を読まずとも前後のシナリオも要所要所で挿入されておりますので読み解くことは可能です。
当然ではありますが、その後のシリーズとも言える、『新世紀ゾイド』や『ゾイドジェネシス』などの設定は含まれません。(時代が過去の為)
最初期のゾイドを好きな方に是非お勧めしたい作品です。『メカボニカ』好きな方も是非お読みください。
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こもれび/2018年01月17日(水) 15:11/★ (参考になった:4/ならなかった:3)