原作未読でも楽しめた芸能界の『業界・お仕事』もの
はじめに、私自身が原作未読のため今まで本作をスルーしていたのですが、評価数に釣られて読んだところ睡眠時間を削るレベルでハマってしまいましたので、同じ境遇の方への推薦として筆を執らせて頂きました(ハーメルンの評価精度ヤバイですね…)
▼文章、ストーリー、描写などについての紹介など
原作は週刊少年ジャンプにて連載中。「天才女優と鬼才監督の出会いから始まる、1本の映画を巡るアクターストーリー(公式web引用)」の紹介文のとおり、ドラマ・映画・演劇業界が作品の舞台であり、ここに美術担当としてオリ主たる英二君が絡むことで話が展開されていきます。
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先ず、本作を推すうえで外せないのがオリ要素である特撮ですね。英二君は特撮畑で10年以上活躍しているベテラン美術担当であり、制作目線での特撮ネタが語られることがしばしばあります。
11話『疲れが命を削るぞ中盤戦』のあとがきに作者さんが参考文献とした書籍が書かれているのですが、その数なんと70冊超。しかもこれで一部だというのだから、ぶっちゃけ引くレベルです。(褒め言葉)
web小説界隈では、参考文献に頼り過ぎた結果wikiコピペなどと揶揄されるような作品をしばしば目にするのですが、少なくとも本作でそのような印象は受けませんでした。
英二君(=作者さん)が門外漢の作中人物(=私のような読者)へ分かりやすく、ユーモラスに説明する気配りが感じられ、かつ問題解決の舞台装置として上手にプロットに組み込まれています。
英二君の口から、ときに楽しげに、ときに先達への畏敬たっぷりに、ときに忌々しげに訓戒のように語られる特撮ネタは、作者さんの特撮愛が確かに感じられます。
特撮通の方はもちろん、私のような門外漢の方にも強くオススメできます。 おそらく『SHIROBAKO』『バクマン』『NEW GAME!』のような業界・お仕事ものがお好きな方であれば楽しめるのではないでしょうか。
次に、ネタバレにつき多くは語りませんが、ほぼ名無しのような脇役も含めた原作キャラの掘り下げが秀逸です。原作が比較的若い作品ということもあり、公式キャラ設定はまだ薄い部分が多いのですが、そこが上手い具合に補完されています。
とくに、才能に恵まれなかった脇役達が天才と凡人の差に悩みながらも、力強く歩んでいく姿は一見の価値ありです。
この辺り、ジャンプ本誌よりも『友情・努力・勝利(≒成長)』を感じさせてくれます。
最後に外せないのが、先の読めない恋愛展開でしょうか。
有能美術監督たる英二君は、周囲の女優達から好意を向けられています。しかしながら、作中において直接的な恋愛感情の描写はただの一度も無く、『プライベートの友人』『仕事における戦友』といった要素と複雑に絡み合っている状態です。
しかも英二君やヒロイン格の子達は、芸術家にありがちな、ぶっとんだ恋愛観や人生観を持っている曲者ぞろいで、ときには『病み』や『闇』を感じさせてくれます(笑)。この辺りの一筋縄ではいかない恋愛模様もこの先の楽しみな要素です。
▼読む際の注意事項など
1話における文章量と情報量が凄まじく多いです。スナック感覚で読むには不向きです。
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mocca/2019年01月20日(日) 23:00/★ (参考になった:108/ならなかった:6)