お前らのような駆逐艦がいるか
▼文章、ストーリー、描写などについての紹介など
兄の跡を継いだ女性提督が着任するところから物語は始まります。
彼女は最初の秘書艦として事務能力に長けた艦を希望するのですが、工廠責任者の妖精が妙な熱意を発揮して、やってきたのは雪風でした。
ところが、この雪風が凄まじい。
(16行省略されています)
大戦で培われた経験と、全体を俯瞰する戦術眼。そしてなによりも卓越した技量。
ただの幸運だけで、大戦を最後まで戦い抜いたわけじゃないのです。
とはいえ、慣れない旗艦を任された雪風としてはいっぱいいっぱいで、兵站に悪戦苦闘する日々が始まります。
雪風と島風の掛け合いなど、日常描写も楽しいのですが、戦闘描写もそれぞれの艦の速度や射程などを考慮したものとなっており、読み応えがあります。
雪風の仲間たちも、回避お化けの島風、戦意が高揚すると目が赤くなる夕立、天使の羽黒、気弱な大和など、個性派揃いです。
こう書くと、いかにもキャラ崩壊を起こしているかのようですが、これが不思議と違和感がないのです。
雪風をはじめ登場する艦娘はみな、しっかりと艦これのキャラクターをそのまま留めています。
その上で、史実を反映したキャラの掘り下げもなかなか深く、話ももちろん面白いのですが、この「崩し」と「留め」のバランス感覚が見事だと感じました。
キャラの解釈に説得力があるといいますか、納得させられるだけの筆力があるといいますか、まあこの辺りは個人的な感想なので、異論があるかも知れませんが。
各話の最後に、タイトルにもある業務日誌が綴られているのですが、これもまた良いスパイスになっています。
凛々しくも愛らしい鬼畜艦雪風を、ぜひともご一読下さい。
▼読む際の注意事項など
艦娘同士のガールズラブの要素が少々あるので、苦手な方はご注意を。
▲短縮する
猿童/2014年06月02日(月) 09:55/★ (参考になった:72/ならなかった:4)