個性『RTA』があまりに無慈悲すぎるヒーローアカデミア
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陽気な囃しには酸鼻な悲劇がよく似合う

 昨今、ハーメルンではRTA風小説というものが流行になりつつあります。良作、駄作、未だ見ぬ作品が今後も次々と産み出されていくのでしょうが、本作はその中でも堂々たる「正統派」と言うべき作品です。

 念のため、RTAとはなんぞやということを軽く説明しておきますと、これは本来ゲームのスーパープレイのことを指します。人力で、如何にして最速クリアないし目標達成するかを競うもので、特にニコニコ動画においては、そこにブラックジョークとスラングに満ちた解説を付与し、実況プレイ風動画と銘打ったものが広く流行していました。
 さて、これは個人的な考えになりますが、実況プレイ風動画のノベライズというものは、書くにあたり、ひとつ大きな問題点があると思われます。それは、「ゲームシナリオと実況が並立しない」という点です。実況プレイ風動画、その本来の醍醐味は、まさにこの並立にあると言って間違いありません。主人公がシナリオを紡ぐさまを、そこにRTAプレイヤーが介入して引っ掻き回したり失敗して嘆いたりするさまを、視聴者は画面の内と外を自由に行き交いし、共に囃し立てて楽しむ趣向なのです。
 それを文章に落としこむ……これはなかなか容易なことではありません。視点移動、それは神たる作者の御業にて行い、我々読者は唯々従うだけ。図式的に言い換えれば、「主人公とプレイヤー/それを見守る視聴者」というトライアングルの関係にあったものが、間に作者を挟み、視聴者は作者を通して主人公とプレイヤーを見る関係へと変わってしまうのです。そこに実況プレイ風動画本来の自由さは見当たらず、頻繁な視点変更が感情移入を妨げるのみ。これではむしろ、コンテンツの旨味を削って退化させたという見方すら可能でしょう。
(11行省略されています)


ヰ宮まいみ/2019年12月06日(金) 07:24/ (参考になった35ならなかった23)


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