引退ウマ娘のセカンドキャリア
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作者:空洞丸
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人でもウマ娘でも、輝かしい青春のあとには、現実が待っている
毎年末、TBS系列で『プロ野球戦力外通告・クビを宣告された男達』という番組が放送される。
凌雲の志を胸にプロ野球の世界へ飛び込んだものの、心ならずも結果を出せず戦力外通告――つまりクビを宣告された男たちが、現役続行の最後の望みをかけ、合同トライアウトに挑む。その合否結果はもちろんのこと、どこからもオファーのなかった選手が、拾ってくれる球団をなおもあきらめずに探すか、それとも家族のためにユニフォームを脱いで第二の人生を始めるか、その苦渋の決断を下すまでを包み隠さず放送する同番組は、野球中継で日ごろ目にする輝かしい世界の裏に、こんなにも苦しい現実が横たわり、そして数えきれない人々の涙が流されていることを教えてくれる。
物心ついたときから競技に全知全能を傾注してきた選手たちが、突如として一介の社会人としてゼロからキャリアをスタートさせるのは、決して容易なことではない。まして、それまで年俸何千万あるいは億単位で稼いで、周囲から蝶よ花よとスター扱いされてきた一流のアスリートが、上司と先輩と顧客に頭を下げ、「いまはこんな仕事やってるんだ」と陰口を叩かれる屈辱を味わい、それでいて現役時代よりケタがひとつ、あるいはふたつ少ない年収に甘んじねばならないのだ。メジャーリーグのプロ野球選手が引退後5年以内に約80%が自己破産することを考えれば、「社会復帰」の難しさは察するにあまりある。
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