現代の主人公である紅渡の現代編。
現代編の渡の父である紅音也が主人公の22年前の1986年を舞台にした過去編。

この二つの時間軸が同時並行する形で絡んでいくという、二重構造の壮大なドラマが魅力でしたが、この作品でも同じ手法を使われるのですか！いやぁ、これは楽しみですな！

今回の過去パートの話も、『亡国のアキト』の一部のキャラの顔出しや紹介に加え、（本編に比べたら当然ですが）短編ながらも起承転結がはっきりとしており、導入部としては文句ない出来でありました。

『仮面ライダーキバ』では、過去の時代に起こった出来事が、未来である現代の時代にどのような影響を及ぼすのかがオーバーラップする演出が功を奏し、一見すると分かりづらくなりそうな仕組みでも、場面転換の時に時間軸を変えていく事でこれまでにないストーリーに深みを出した例と言えます。

あと、この二つの時代を紡ぐ上で配置された伏線や、謎が散りばめられているのも種明かしの時が待ち遠しくてワクワクさせられますね！

例えば、社会的には死亡扱いになって軍を離脱した原作と違い、彰と結婚したレイラは、少佐→中佐という感じで昇進したのに加え、その後はスマイラスの後を継ぐ形で将軍（恐らく元帥クラス）に就任。

それ以外もありますが、書きだすとキリがないので割愛します。

そして、今回の話で（彰も大きな事は言えませんが）かっぱらいやひったくり、万引きなどをして窃盗で生計を立てていた浮浪児のアヤノは、最初は拗ねた猫のように警戒心と劣等感を露わにしていたけど、現代では便利屋という裏稼業の非合法な仕事ではありますが、窃盗などで金を得るような事はしなくなり、曲がりなりにもきちんとした手段で金を稼ぐようになった所が、現代と過去の考え方や行動の違いや変化、そこに散りばめられた『謎』が見えて面白かったです。

まぁ、アヤノも彰やレイラ並みに結構辛い人生を送っており、第一章のエンディングに登場する姉が子供だった自分を養うべく娼婦として生計を立てていたものの、その行為を同じゲットーに住む仲間から『売国奴』『裏切り者』と罵られて、嬲り殺しにされた過去が小説版で描かれていましたからな。

ナイスバディにも関わらず（普通の女性なら当たり前ですが）、金銭的困窮に陥っても体を売って春をひさぐような真似をしなかったのは、この姉の最期から得た教訓だったのでしょうな。まぁ、窃盗も良くありませんが…。

でも、何かイケナイ趣味の小説を書いてるというのは、原作にはない設定なので、彰と一緒にいるうちに、目覚めてはいけない心の内に眠っていた『何か』が目覚めてしまい、何やら彼女も立派な変人になってしまったようですな。さらにそこに現在居候中のクロヴィスのお耽美な絵が加われば、どんな怪作小説が出来上がっちゃうのか。怖いもの見たさではありますが楽しみです。

『コードギアス』の谷口悟朗監督作品には、キャラクターデザインを担当された木村貴宏先生によるエンドカードが付き物ですが、今回の話では一度は突っぱねたレイラから貰ったパンを、そっぽ向きながら誰もいない場所で腰を下ろして、一人でモグモグ食べてるアヤノの姿が思い浮かびました。

この高いクオリティの様子だと、本編にたまに挟まれる過去編も大いに期待できそうです。続きを大いに期待しております！

執筆頑張ってくださいね！！

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