ホワイトグリントの装甲の下は、盾のようなモビルスーツでしたか。ZGMFシリーズの先駆けである、ホワイトグリントが超音速の『盾』。フリーダムが機動力を兼ね備えた『砲』。ジャスティスがややオールマイティ寄りの格闘戦に長けた『剣』。そして集大成のプロヴィデンスが（ややフリーダムやジャスティスに比べると）機動力が落ちたものの、出力・攻撃力・防御力・機動性を両立させた大火力の『火』。

こういう流れで見ると、どれもコンセプトやザフト陣営の試行錯誤ぶりや、進化の流れが見えて面白いですね。

アスカ一家がまだ避難していなかった事で、地球軍との戦いは一旦お預け。原作じゃ薬でラリって、機体性能にものを言わせて考えなしに暴れまわってばかりいた狂戦士の三バカが、アズラエルの変化やリークの教育により、やや我の強い一面や思春期特有の血の気の多さや向こう見ずな部分はありながらも、状況を読んで最適な判断をするなど、兵士としても戦士としても一流のそれに変化しているのが喜ばしい限りです。彼らはある意味ではアズラエルによるもう一つの『メビウスライダー隊』なわけですから、こりゃこの後の戦いもラリーは勿論キラやトール、ムウさんも苦戦を強いられそうですな。

ただ、こうなるとまだ（メビウスライダー隊には）新入りのアスランが付いていけるかどうかが心配です。一応ザフトアカデミーを首席で卒業し、一握りのトップガンしか着れない赤服の一員でありながら、（人類最強のコーディネイターという出生の秘密もありますが）地球軍の中では掃き溜めのように見なされ、異端児・はみ出し者といったアウトサイダー的存在でもあったクラックスのクルーやメビウスライダー隊に揉まれながら、正規の訓練も受けず現場の叩き上げで強くなり、自分達をも圧倒するまでに強くなったキラや、（原作ではシールド投げで撃沈したのに）ナチュラルでありながら人外クラスまで強くなったトールに付いていけるか…。アスランの今後にはもう「頑張れ！」と激励するしかありません。

どうやら、アスカ一家も助かりラリーの背中を見て、シンの運命が決まったようですな。

思い返せばシンは、原作では戦禍に巻き込まれて家族を目の前で失い、戦争をする人間たちを異常なまでに嫌い、特に（シンの目線で見れば）地球軍の要求を突っぱねて理念を優先したオーブのアスハ家を元凶の一人として見做していましたが、そのトラウマがバイアスになって「戦争を止める」事だけに主眼を置きすぎて、「どうやって戦争を止めるか」の過程までは考えていなかったように思えます。それを教えてくれる大人も周囲に居ませんでしたしね。

だからデュランダル議長を妄信し、レイに良いように使われて、あんな状況に流される形で暴走してしまったのでしょう。元々あまり頭で考えるより先に身体が先に動いてしまうタイプですから。

まだ親の必要な年ごろに孤児になってしまい、やさぐれ自暴自棄になったのでしょうがね。

でも、今回は両親もマユも生存しましたし、ラリーのような「か弱い一般市民を守るための軍人になる」という原作のような曖昧でぼんやりとした幻想ではない、明確な目標が出来たわけですからね。

それに、メビウスライダー隊に感化され、今なお共に戦っているＰＪこと、パトリック・Ｊ・ホーク隊長の娘であるルナマリア＆メイリン姉妹とも、今でこそニアミスでありますが、どこかで邂逅して伝手やコネを得られそうな予感もします。

何れにせよ、またラリーやメビウスライダー隊の活躍を目の当たりにし、新たなSEEDを持つ者が、本来あるべき正しき大人として、そして次なる英雄への第一歩を踏み出しそうな予感がします。運命の出会いを果たしたシンは、どこへ向かうのか？

頑張れ、少年！！

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