「『本物』が持つ色気がない、しょっぱいレスラー」などと評される。
　③（末期）そして辿り着く最後の、本当のファイプロの泥沼。「本物」を作るための果てしない試行錯誤。
この時プレイヤーはプロレスとは己のキャラクターをリング上で余すところなく表現するもの、という言葉の意味を知るでしょう。
各プレイヤーの思い描く理想のファイトスタイルを、人力操作という八百長なしに可能な限り表現できる「本物」を追い求め、
あらゆる設計要素を組み合わせて追求することになる。
一方で、表現できれば弱くてもいいのか、と言われると、これもNO。
ただ強いだけではいけないが、己の美学を表現しつつ、なおかつ最強に近づけなくてはならない。
この命題を成し遂げるために、膨大な時間を費やした廃人が多数存在しました。私もかつてその一人でした。
　そしてこれは、恐らくはある種の「道」を追い求める過程にすべからく重なるものなのではないかと考えます。
　この作品と関連つけるなら、かつての西らは①しかできなかったのでしょう。
そして現在のまほは歪んでいると分かってても②を突き進んでいるのでしょう。
そして①と②を通過し③に至ったのが現在のドゥーチェということではないでしょうか。

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　しほやエリカ達はいわばその刃を鍛えて研いだ者といえるでしょう。製造責任のようなものは決して逃れられないと思います。
(ついでにしほは瀕死のみほを助けるどころかとどめを刺してしまった。瀕死だと気付かなかったから、といえばそれまでですが、
まほと違い気づくべきだった、と責められるのは避けられない）
ただ、全ての罪を負うべきか、と言われるとこれもちょっと違うと思います。
　そうなるとやはり「試合」を「殺し合い」にしてしまった者、生徒会と文科省が結局最大の罪を負うべきなのでしょう。
　確かに杏からすれば、向こう側の手にしていた刃が致命の威力を持つほどに鍛えられていたのは予想外といえるでしょう。
ですが、少なくとも真剣を手にした戦いになってしまっていたのは分かっていたはずですから。
（刑法でいうと、未必の故意を適用し傷害致死ではなく殺人、という感じ）
　文科省としては、最後に最悪の結末が待っていたというべきでしょうか。毎試合背水の陣で戦っていた大洗は名勝負を連発し、
原作通りまさに伝説の大会となっていたはずです（勝敗は関係ない、というかどの道廃艦はする予定だったのは劇場版より。）
しかしみほの自殺で全ては暗転しました。途中過程は全て無視され、最悪の黒歴史と化すのは避けられないでしょう。
（というか、原作通りとしても、始めからやってはならないことをしたのは確かですし）
　原作は本当に運よく勝ち続けたから結果オーライだったのだと判明する、恐ろしい二次創作ですね。

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果たして本当に問題があったのはみほとⅢ号戦車の乗員たちだけなのか？と問えば答えはNOだと思います。
そもそも侵攻ルートが読まれていた＝つまり相手に作戦（手の内）が読まれていた、ということなのですから作戦を立案したであろう隊長のまほさんの不手際もあります。
無論決定打となってしまったのはみほたちですが、ではその後本当ならどうするべきだったのか？確かに10連覇を逃してしまった悔しさは理解できますが、だからと言って「悪いのはあいつらだ。自分たちにはなんの非もない」と思うのは間違いだと思います。せめて誰か一人でも「あなたたちは悪くない」と表立って擁護したり慰めてくれる人がいればこれから先起こるであろう結果も大きく変わったはずです。でもそれができなかったのは黒森峰という組織の在り方と西住流の存在が原因だったからでしょう。

結局みほと小梅ちゃんを除くⅢ号戦車の乗員たちは黒森峰を去ってしまいます。
そして大洗で自分の戦車道を見つけたはずのみほと決勝で相まみえることに。
今作の世界線では黒森峰が大洗を敗り、優勝旗を取り戻しますが、その代償として払うことになったのが、大洗の廃校＝大洗学園艦の住人たちの生活を奪う、そしてみほの全否定、からの死であります。

結果として自分たちが勝ってしまったからみほを死に追い込むことになってしまいました。
だからと言って黒森峰の選手たちを責めればいいのかといえばその限りではないでしょう。
たとえ事情を知っていようがなんであろうが手加減をすれば相手にも失礼、わざと負けるなんてもってのほか。そしてエリカも言ってたように下手をすれば八百長と思われてしまい、戦車道どころかスポーツ（武道）への冒涜になってしまいます。

みほの自殺を知った何人かの黒森峰の生徒たちは悲しんだでしょう。でも正直いって悲しむ資格なんてあるとは思えません。
だって、みほという不穏分子を黒森峰から追放したことで、結果として昨年の雪辱を果たすことができたのですから。
そもそも「西住流に逃げる（後退）の文字はない」と豪語しておきながら、昨年の責任を全てみほたちに押し付け、しほさんもまほさんも「西住流としての面子」や「隊長職で忙しくてみほに構っていられない」と理由をつけてみほへのアフターケアを怠り、都合の悪いことには目を背けました。つまりは“逃げた”んですよ。西住流は。
要するにこれらのことは全て「全部黒森峰と西住流が望んだこと」であり「みほを（死へと）追い込んだのも全て黒森峰と西住流がそうさせた」のですから。

さて、黒森峰の生徒に悲しむ資格はないと言いましたが一人例外がいますね。そう、赤星小梅ちゃんです。
彼女が黒森峰に残り続けた最大の理由は「みほの行動や信念を否定させないため」です。
小梅ちゃんの存在が、少なからずみほの救いにはなったはずです。でも『最悪の事態』は小梅ちゃん一人でカバーできないほど大きかったのが悲しいところ。
みほが自殺したことで、また彼女は病んでしまうでしょう。
「結局自分はみほの救いになれなかった」この事実がこれから先、長きに渡って彼女を苦しめるでしょう。そんな彼女を傍で支えてくれる人はいるのか……。

他の子たちでも考えてみました。
あんこうチームで一番悲しむのは麻子でしょう。両親を失った彼女は、今度は大切な友達を亡くしてしまったのですから…。
みほのことを尊敬しており、決勝でもみほに助けてもらい、そしてみほ流戦車道を忠実に継ぐ者として名高いウサギさんチームのリーダー、澤ちゃんも心に大きな影を落としたでしょう。
事の発端における一人でもあるプラウダの隊長カチューシャ。彼女は根は心優しい人物なので、もしかしたら昨年のことを「自分が卑怯な勝ち方をしたから」「ミホーシャを死に追い込んだ全ての元凶は自分」と後悔するかもしれません。

みほという子は作中でも大勢の人たちを惹きつける魅力溢れる、カリスマ性の高い子です。
そんな彼女の死が、大洗や黒森峰、西住家だけでなく、他の学校の人物たちにもどのような影響を与えたのか……続きを待ちたいと思います。

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