3号機 2019年10月21日(月) 05:05 (Good:3/Bad:0) 11話 報告
はじめまして。
とりあえず最新話まで読みました。
閲覧数とお気に入り数が伸び悩んでいるということでしたので、私なりに、こういうところに原因あるのではないか、と考え、書き込んでおります。
(120行省略されています)
結構、きつめのことを書きます。
不快に思ったら、申し訳ありません。
本作の悪いところ① 主人公・緑葉ナツへの感情移入のしにくさ
前提として、現代の小説作品、特にライトノベルは、キャラクター小説であることがほとんどです。
どんなにお話しがつまらなくても、また荒唐無稽な物語であっても、登場人物が魅力的であれば、読者は最後まで読んでくれます。
では、どんなキャラクターが魅力的なのか、ということについてですが、私個人としては、感情移入が出来ること、ではないかと思います。
「この主人公カッケー!」とか、「俺、こいつ嫌いだわ」といった、感情移入を自然と誘うキャラが、いわゆる魅力的なキャラクター、ということなんだと思います。
そういった観点から主人公、緑葉ナツを見ると、どうもそういった感情移入をさせてくれない。「こいつはいったい何なんだ?」、「良い奴なのか? 悪い奴なのか?」といった疑問ばかりが浮かび、気持ちを寄せることが難しいです。好きにも、嫌いにもなれないまま話が進んでいき、自分はいま、いったい何を読んでいるのだろう? と、茫然としてしまいます。
いったいなぜなのか。
原因について考えてみたところ、まず思い浮かんだのが、ナツのバックボーン描写の薄さです。
ナツは第一話から登場していますが、彼がどんな人物なのかが、ほとんど書かれていない。
第二話、第三話も同様で、ナツという人物のことがよく分からないまま物語が進んでいったばかりか、学年別トーナメントでは突然、トリックスター然とした行動を取り始め、読む側としては、いよいよ混乱の極みに達してしまいました。「こいつ、何、考えて行動しているの? さっぱり分からないんだが」と。
人間は本質的に保守的な生き物です。
自分の理解の及ばない存在に対しては、感情移入のしようがありません。
思うに、第一話でナツの過去について、少しでも何かエピソードを書くべきでした。
人間は経験によって作られる生き物です。
ナツは過去にこんな経験をしている。だから、こういう事態に遭遇したとき、こう考え、そしてこう反応(行動)する。そうやって色々な経験をした結果、いまのような人格となった。そんな描写が必要だったと思います。
ましてや、第一話で紹介されたナツの年齢は二十代後半。
10代の頃の残り香がそろそろ消え、これから成熟した大人へと進化していく年齢です。
これまでにどんなことがあって、これからはどういった道に進みたいのか。
読者としては、かなり気になることなのに、一向に明かされる気配がなく、人によってはフラストレーションさえ溜まってしまうのではないかと危惧されます。
作品の演出の都合上、(たとえば記憶喪失などの設定があるので)過去の描写が難しい、というのであれば、ナツの内面描写をもう少し丁寧にするべきだったと思います。
私が読んだ限り、ナツはある事象に対して感想を述べるだけで、どうしてそういう感想を抱くにいたったのか、を説明してくれません。
そのあたりをもっと掘り下げると、こういう考え方をもったキャラなんだな、と親しみやすさが湧くと思います。
あるいは、ナツというキャラを謎めいたままにしておきたい、ということで、そういった内面描写をあえて避けているのであれば、周囲の人間……たとえば藤川という人物を詳細に描写することで、彼の目を通して、緑葉ナツとはこういう人物である、ということを伝えるといいと思います。
藤川は過去にこういう経験をしている。だから、こういうときには、こう考える。それに対し、ナツはまた別な感想を抱く。……こんな具合に、藤川とナツの差を見せることで、読者の想像力をかき立てる作戦が考えられます。
悪い点② 作品全体のコンセプトがわかりにくい
大前提として、何を読むか、というのは読者の側に決定権があります。
そして、読者には、好みや気分というものがあります。「私は推理小説が好きだ」、「いまは恋愛小説を読みたい気分だ」といったことです。
そういう観点からいうと、緑葉物語のコンセプトは非常に分かりづらい。主人公からして、どんな人物なのかがよく分かりませんからね。
読者としては、自分の好みに合っているのか、いまの気分に合致しているのか、が明確化されている作品じゃないと、手を出しにくいです。
悪い点③ 何を伝えたいのかよく分からない物語の構成
緑葉ナツという人物のことがよく分からないまま話が進んでいくため、このエピソードを通して、フレイアさんが読者に伝えたいこと、というのが分かりにくいです。
ネタバレ防ぎのために、詳細ははぶきますが、たとえば学年別トーナメント編では何を一番に伝えたかったのか。
この編の主役とも呼べる相川さんが、今後も活躍するよ! という布石を読者に見せたかったのか。
それとも、このエピソードを通して、緑葉ナツとはこういう人間なんだ、ということを伝えたかったのか。
後者だとすれば、なぜ、ナツは彼女を応援するような行動を取ったのか、具体的な描写がされていないため、フレイアさんの意図はまったく伝わっていない、ということになってしまいます。
悪い点④ 緑葉どうでしょう編
失礼ながら、全期間のUA数を分析させていただきました。
2019年10月21日現在、20話以降の閲覧数が伸び悩んでいるように見受けられます。20話といえば、緑葉どうでしょう編がスタートした回です。
上述のように、ナツという人間のことがよく分からないまま、ISキャラの出ないエピソードが始まってしまったために、読者離れが起きてしまったもの、と考えられます。
今更なことなのかもしれませんが、読者がナツに対し気持ちを寄せられない現状でのオリキャラのみのエピソード回は、時期尚早だったと思います。
惜しいな、と思う点① 女体化薬の扱い
第一話でナツの運命を決定づけてしまった女体化薬についての扱いが軽すぎるように思います。
このアイテム、作品のメインに据え置いてもいいような材料だと思います。
飲むだけで性別を変えられる薬。いったい、鶴屋家はどういった考えから、この薬を作ったのか。
性同一性障害に悩む人たちにとって、これは福音となるでしょう。
反対に、一部の過激な思想家や宗教家からは、自然の摂理に反している、性風紀が乱れる、などの反発が予想されます。
犯罪者が逃亡のために悪用する恐れもあります。
作中でも書かれているように、この薬を使えば、最強兵器だって扱えるようになります。
こんな小説的に面白そうなアイテムが軽く扱われているのは、ちょっと勿体ないなあ、と思いました。
惜しいな、と思う点② 草は生やさない方が……
私個人としては、そういう表現もありだな、とは思います。
ですが、人によっては、小説におけるそういった感情表現を好まない方もいます。
見るのも嫌、ということで、読むのを辞めてしまった人もいるかもしれません。
草が生えているという一点のみを理由に、この作品が正当に評価されないのは残念だと思います。
色々と書きましたが、最後に、良かった点を。
良かったと思う点① くせのない、読みやすい文章
一部の日本語の使い方がおかしいこと(第三話の「~というか乗りたくない」のところなど)を除けば、非常に読みやすい、平易な文章だと思います。
フレイアさんは、文章を書く力そのものはあるのでしょう。
それだけに、その文章力を活かしきれていないことが、残念に思えてしまいます。
良かったと思う点② 情景描写の巧みさ
内面描写が不足しているな、と思う一方で、情景についての描写は上手い、と感じました。
ご自身、戦闘シーンは難しい、とおっしゃっていますが、違和感なく読める文章だったと思います。
良かったと思う点③ 原作キャラがちゃんと仕事している
オリキャラのみの『緑葉どうでしょう』編は別として、原作キャラも適度に出番が用意されていること。その際のキャラクター描写について、原作でも描かれていたキャラの魅力を上手く引き出しているな、と感心させられました。
「箒さん!大丈夫なのですか!?」
「だ、大丈夫かどうかと聞かれたら、大丈夫では、ないが…」
この何気ない会話を読んで、ああ、たしかに箒だったらこう返答しそうだな、と思いました。
原作キャラの特徴をよくつかんでいるな、と感心しております。
長文失礼いたしました。
文章の雰囲気自体はわりと好みなので、お身体に気をつけながら、執筆していただけたらな、と思います。
▲短縮する
返信:フレイア 2019年10月21日(月) 23:48
3号機さん。ご長文での提言ならびに感想ご意見ありがとうございます。おかげでだいぶ胃がキリキリしてます。
まず、この緑葉物語、実はIS編の前に第1部的なお話が存在していて、本来そちらを先に執筆して(緑葉ナツや藤川、鶴屋のこと。緑葉が女体化するキッカケになった薬の詳細を掘り下げる役割も1部で受け持つ予定だった)第2部のIS編に入るはずでした。
しかしIS編の方が予想以上に筆が進み、話数が溜まりに溜まり「第2部→第1部に構成を変更するかな」という結論に至り、こんなことになってしまいました。
はっきり言って自分でも『中途半端なスタート』だと自覚しており、緑葉や藤川、西園寺といったオリキャラの説明もどこかで導入すべきでした。今後どこかで言及できる話を作れるよう、努力していきます。
また『緑葉どうでしょう編』は正直に申し上げますと完全に自己満の結晶体みたいなお話なのです。3号機さんの仰る通り、せめてもう少し緑葉のことを掘り下げてからこのエピソードを投稿すべきでした。そして今後の話で草は消します。以前投稿した話の中にあるやつもなるべく早めに消す予定です。
個人的な話になるのですが、実は以前にも数話投稿しておりまして、そこでも感想は確認できたのですがそれに精神が耐えきれず一度作品を全て削除して改めて再投稿、という過去がこの緑葉物語にはあります。
今回も3号機さんから感想がきたとき「また胃が痛くなる思いを、吐き気をもよおす思いをしなくてはならないのか」と感想を見るのが恐くなるくらいに、恥ずかしい話トラウマになっていました。
しかし蓋を開けて見てみると改善点は勿論、何より良いところも評価してくれてる、というのがとても嬉しかったです。
緑葉物語は『書きたい話をとことん書いて何が何でも何年かけても完結させる』を目標にしてやっております。
何年かかるかは分かりませんが、絶対に完結させる意気込みでやっていきます。もう精神が折れてからの全話削除なんて真似はしません………………多分。
これからの予定ですが、『緑葉どうでしょう編』は次回で終わりです。
話のストックは20話以上あるのですが、その間に緑葉や藤川のことについて言及したお話を入れることができたら入れ、予定していた話を一部削除または後ろの方へ持っていくなどの措置を行う予定です。相川さんと彼氏くんのイチャイチャも今後さらに激しくなると思います()
そしてさらに先の話になると、第2部のIS編が終わり次第第1部の方へ突入。こちらは一応ストックが10話ほどあるのですが、再構築して投稿していき、第2部→第1部ときて、第3部に入る予定です。
まだ第1部や第3部の構想や詳細を明かすことは出来ません。
ただ言ってしまえば、第2部のIS編も第1部も全て第3部への布石です。それくらい個人的には第3部に気合を入れています。が、とりあえずまずは無事にIS編を終わらせてからの話になります。そこまで連載が続いていればの話なのですが…。
拙いナメクジメンタルな物書きの私ですが、今度とも『緑葉物語』を応援していただければ幸いです。改めてお礼申し上げます。
3号機さん、長文での意見提言、本当にありがとうございました。