ヘスティアさんの言動は、初めに出会った眷属がスピネルだったから、原作におけるベルくんへの執着は薄れていると解釈したからあんまり違和感無かった。

スピネルの持つご都合主義も、最終的にベルくんと同じくらいのステイタスにあるってところと、魂とかいろいろ代償にして、しかもベルくんより長い間努力をしてたという描写もあるから妥当かなと思った。

最期の展開も、原作のヘスティアさんのベルくんへの執着心の大部分がスピネルに向けられているものだと考えると、納得できるものだと思った。

故人だと思ってた人間が、しかもすれ違ったまま死んだ最初の眷属が、他の眷属より優先されてしまうのは間違っているだろうか？
いくらヘスティアさんと言えど、公正明大でかつ、人間関係に一切偏りを出さないような性格じゃない。その偏りがこの作品ではスピネルに向いただけだ。

だから、原作のベルくん第一主義なヘスティアさんに馴れていると違和感があるのかもしれない。
自分は原作を3年くらい前に一回読んだっきりだから、ヘスティアさんの解像度が低く、だから多少のキャラ崩壊のようなこの作品を違和感なく読めたのかもしれない。


スピネルの罪は精算されていない点を許せるかどうかがこの作品最大の評価の別れ目だろう。

自分はこの作品の主人公はスピネルだから、スピネルのハッピーエンドということで許せた。ただ、ベルくんを主人公と見ると、ベルくんのバットエンドだから許せない。という意見もあってしかるべきだとは思う。


最期の展開を美しき家族愛と見るか、オリキャラのご都合主義と見るかで180度印象が変わるのかもしれない。


ダンまちをあまり読んでない、あるいはまったく知らない人にこそ読んで欲しい作品だと思った。

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いや、主人公が情緒赤ちゃんなのもヘスティアの対応が悪かったのもわかる。ヘスティアは首根っこ掴んでも主人公に説教するべきだったし、主人公のことをもっと考えて行動するべきだった。ベル君を拾う時は相談するべきだったし、なんなら主人公を拾った時点で別のファミリアの手を借りるべきだったんよな。ミアハとかタケミカヅチとかへファイストスなんかは親身になって相談を聞いてくれただろうし、傷ついた主人公の扱いについて適切な方法を提示してくれたはず。
それを差し引いても、主人公は酷いけどさ。
悪堕ち主人公は好きだけど、これは悪堕ちというより文字通り『ガキの癇癪』でしかないからね。そりゃ主人公に魅力を感じないわ。ベル相手にズルズル言ってるだけで全然成長しないし。
てか、主人公は自分が不幸のどん底もどん底にいると思ってるけど、その考えがもう自分のことしか考えてないんだよ。ベル君に光に焼かれる影の気持ちが分かるまいとか言ってたけど、主人公と同じ環境に置かれていた子なんてごまんといるだろうし、逃げ出せずに今も囚われている子や、逃げそうとして殺された子、逃げ出した先でさらに酷い目にあっている子がいなかったとでも？　そういう子からしたら主人公だって十分嫉妬の対象だし、光の世界で生きる手段を得たのに自分でそれを放棄したとして死ぬほど恨まれても仕方がない。
なにより、自由を奪われやりたくないことをやらされて、そんな道具扱いが苦しくて辛くて逃げた先で自分を救ってくれたヘスティアを本質的には『自分の幸福を作るための自分専用の道具』としかみていないってのが最高に愉快。結局、自分を何よりも優先してくれる優しくて甘い道具が欲しかっただけで、ヘスティアのことなんて微塵も愛してなかったし大切でもなかったんだよな。
自分を救ってくれたヘスティアがどんな神でどんな相手に対して慈悲を発揮するかなんて救われた自分が一番知っているはずなのにね。ベル君を見捨てられないってわかってたはずなのにね。
自己愛、我儘、癇癪、嫉妬、八つ当たり、暴走、傲慢。この辺りを網羅しちゃってるんだから、そら救われないはずなのよ。
けど、この作品ではなんか最後にちょっと救われてる感を出している。非常にもやる。盛大にもやる。

そう、この作品はベル君曇らせでも主人公曇らせでもヘスティア曇らせでもなく、読者曇らせだったんだよ！！
最高の読後感の悪さをありがとう。おかげで意地でも自分の作品では主人公を幸せにしたくなりました。

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