行別ここすき者数
小説本体の文章上でダブルクリックするとボタンが表示され、1行につき10回まで「ここすき」投票ができます。
履歴はこちら。
(0) ——サモントン。デックス家本邸。
(0)
(0)
(0)
(0) 緑化推進によって自然と一体化した庭園を、ラファエルは心底機嫌が悪そうに歩き続ける。道端に生える雑草も、庭を彩る花も、女神像を象って成長した樹木さえも等しく『汚物』を見るように蔑み、その隣にいる『随行員』として同伴しているハインリッヒへと話しかけた。
(0)
(0)「今更呼び出すなんて、どんな意味があるのかしら」
(0)
(0)「……分かっていらっしゃるのでしょう?」
(0)
(0)「…………そうね。ちょっと八つ当たりしたかっただけ」
(0)
(0) その言葉は本心なのだろう。ラファエルは本邸の扉の前に辿り着くと、まるで突き飛ばすように豪快に扉を開けた。
(0)
(0)
(0)
(0) ——お帰りなさいませ、ラファエル様。
(0) ——お帰りなさいませ、ハインリッヒ様。
(0)
(0)
(0)
(0) 本邸の扉を開けた先には、デックス家が数多く雇う従者が男女問わず列を揃えて傅いでいた。総督の孫娘というだけなのに、まるで神様みたいに扱われる態度を見て、ラファエルは改めて吐き気を覚えるほど自国の民に嫌悪感を示す。
(0)
(0)
(0)
(0) ——こんな奴らだって久しく忘れてたわ。
(0)
(0)
(0)
(0) 視察団代表として新豊州に赴いた頃、元々はラファエルの側にいた付き人の存在が頭にチラつきながらラファエルは心の中で毒を吐く。
(0)
(0)
(0)
(0) ——こいつら全員揃ってイエスマン。
(0) ——「死ね」といえば本当に「死ぬ」ような重度の信仰者。
(0) ——『知恵』を持つのに『知恵』を放棄した人間未満。
(0)
(0)
(0)
(0) ラファエルは心底怪訝な表情を浮かべてシミ一つない、埃一つない、お話のように整い過ぎたカーペットを通る。道中、従者の一人が「ご案内させていただきます」と提案するが、ラファエルは従者を一瞥すると「邪魔」とだけ吐き捨てて目指すべき場所へと向かい続ける。
(0)
(0) いかにも機嫌が悪いと主張するように大股で、かつ腕も大きく振り、しかも早足で向かう。
(0)
(0) そして辿り着く——。自分が今回呼び出された理由について話し合う場所、デックス本邸の食堂だ。ここでラファエルは『ある人物達』と食事を共にしながら今後について決めなければならない。
(0)
(0)
(0)
(0) それは——『方舟計画』についてと——。
(0)
(0) ——ラファエルの今後についてだ。
(0)
(0)
(0)
(0) 意を決してラファエルは食堂への扉も開けた。アンティーク製の縦長ダイニングテーブルとチェアが左右に五つずつ、そして奥と手前に一つずつと合計12席。その内三つの席に、ラファエルがよく知る人物達が言葉も交わさず、態度も変えず、ただ『そこにいる』だけという人間というより銅像の方が正しいと思えるほどに静かに座っていた。
(0)
(0) 右奥から向かって二番目——。上座の定義からすれば、一番身分が低い位置には金色にも近い茶髪の色黒な少年がいる。続いて右側の一番目には青髪の程よく色気を持った好青年がいる。どちらも美男子の部類に入るほど顔は整っており、芸術肌で美的センスが冴えているラファエルでさえも、身内とかのお世辞は抜きにして世界でも十本指に入るぐらいだ。
(0)
(0) しかし中でも一番異質なのは、左側一番目の『最も高い上座』にいる赤髪で緋色の瞳を持った中肉中背の中性的な少年だ。だが『少年』なのは見た目だけであり、この中にいる誰よりも一番の歳上であり、ラファエルがこの世で誰よりも捉えきれない人物。人でありながら人にあらず、神でありながら神にあらずな正体不明の異様な存在。
(0)
(0) デックス家だけでなく、サモントンという学園都市に根付く『宗教思想』の体現者とも言える絶対的な現人神にして『天使長』の名を冠する化身。
(0)
(0)
(0)
(0) その名は『ミカエル・デックス』——。
(0)
(0) デックス家における次期最高責任者という立場におり、サモントンの次期総督と名高いラファエルの『従兄弟』だ。
(0)
(0)
(0)
(0)「ハインリッヒ。ここからは身内だけの話だから待ってなさい」
(0)
(0) ラファエルの言葉に、ハインリッヒは従者らしく「了解しました」と素直に従い、速やかに食堂の扉を閉めた。
(0)
(0) これで食堂にいるのは四人だけ。四人に会話などは起こらず、ただ沈黙だけが場を包む。そこには疎外感や壁というものはなく、人間なのにも関わらずただ単純に機械的に『開始』を待っているだけだ。
(0)
(0) ラファエルはサモントンに戻ってから何度目か分からぬ溜息を吐きながら、自分が座るべき左側二番目の席へと腰を置いた。
(0)
(0) それが合図になる。沈黙を通していた三人は、一斉にラファエルへと視線を合わせた。その視線には共通して『人間味』がなかった。全員が逸脱した意思を持ってラファエルを見定めている。一歩間違えれば、瞳の奥にある慈悲や慈愛といった物を全てを溢すような鋭い視線を持って。
(0)
(0)「…………随分とお早い到着ですね、ラファエル姉さん」
(0)
(0)「……『ウリエル』」
(0)
(0) 色黒の少年『ウリエル・デックス』は気さくながらも、どこかお面のように張り付いた気味の悪い笑顔を浮かべてラファエルを最初に迎え入れた。
(0)
(0) 座席の位置からも分かる通り、ウリエルはこの中で最も立場が低くラファエルより一つ年下の従弟だ。昔はよく一緒にごっこ遊びをしたりと可愛がっていた弟分だ。その時は無邪気に勉学に励む普通の少年だったが、数年ぶりに面と向かって会った今では、その笑顔に潜む真意を見定められないほど『デックス』に相応しい風体になったとラファエルは感じてしまう。
(0)
(0)「……今日は私達四人だけ?」
(0)
(0)「叔父様の御眼鏡に合う子はまだまだ発展途上だからね。あの子達は僕よりも若いし、まだ義務教育も終えていない……姉さんが気に病むことじゃないさ」
(0)
(0)「気にしてないわよ。それより早く用事を済ませなさい。私は無駄口を交わす理由も、余裕も、時間も、義務も、責務も、忍耐もないの」
(0)
(0)「いやぁ〜〜、相変わらずツンデレちゃんで安心したよ。新豊州で俗世に染まったと聞いて、純真で綺麗な君が汚れたんじゃないかと心配してたから」
(0)
(0)「……口を塞いでくれない? 『ガブリエル』」
(0)
(0)「つれないねぇ。従兄として本当に、心の底から、本気で心配しているだけなのに」
(0)
(0) 青髪の青年『ガブリエル』は飄々とした態度で、まるで兄貴分のように「頼って欲しいなぁ」と言いたげに満面の笑顔を浮かべてラファエルと話す。
(0)
(0) 胡散臭い笑顔だが、ガブリエルの言葉には一言一句嘘偽りも冗談もない。本当にこいつは自分のことを心配していることをラファエルは知っている。何せ幼年期の頃、一番ラファエルの戯れに付き合ってくれたのがガブリエルなのだから。サモントン総督である叔父に続いて、博物館や歴史館に最も同伴してくれたのはガブリエルだし、何ならテーブルマナーや教育、果てには自転車やバイクの乗り方まで教えてくれたのはガブリエルだ。一つ年上なだけなのに、ラファエルの実質的な教育係になるほどに裏がない人格であり、同時に人徳もある人物だ。
(0)
(0) しかしそれはそれとして、詐欺師のように人の心に踏み込む笑顔が一番気持ち悪いと思いながらも、ラファエルはこの場において最も力を持つ人物へと視線を合わせた。
(0)
(0)「…………おはよう、ラファエル」
(0)
(0)「…………おはよう、ミカエル」
(0)
(0) ただ挨拶をしただけで終わった。それだけなのに、ラファエルからすれば気が気でない。彼の言葉一つで、優しく接するガブリエルもウリエルも一変して迫りくる可能性がある立場を力を持っているのだから。
(0)
(0) しかし、それ以降ミカエルから言葉を発することはない。むしろ目を伏せて「我関せず」と淡白な挨拶も相まって徹底的に無干渉だ。思わずラファエルは自ら問いてしまう。
(0)
(0)「…………他に言うことはないの。今回集まったのは私個人の問題もあるんでしょ?」
(0)
(0)「私は君個人の付き合いに言及する気はない。好きにしていいさ。興味もないからね」
(0)
(0)「……まるで私は不要と言いたげね」
(0)
(0) 自分で自分を貶しているようだが、その言葉が含む意味を知るラファエルは喜ぶように笑みを浮かべる。対してミカエルは表情一つ変えず、その『炎』とも『光』とも『星』とも言えない煌めく瞳をラファエルに向けながら言う。
(0)
(0)「そういうわけじゃない。君はとても大事な一員さ。『ラファエル』としても『デックス』としても…………ただ、それと『君個人』は一切の関係はないだろう?」
(0)
(0)
(0)
(0) ——つまり私自身に求めているのは、その名に恥じない『信仰』と『権威』だけということね。
(0)
(0)
(0)
(0) 相変わらず変化しないミカエルからの扱いに、ラファエルは本当に嫌になるほど溜息を吐きながら、誰も口にしないので自分から「本題に入りましょう」と言う。
(0)
(0)「いいのか? 自分で自分の首を絞めるぞ? 久しぶりの再開だ。無駄話に花を咲かせても私は何も言わない」
(0)
(0)「無駄口を交わす理由なんてない、って言ったでしょう」
(0)
(0)「…………そうか。なら望み通り話を始めよう。半月後に行われる『方舟計画』について」
(0)
(0) そこで初めてミカエルは表情を変えた。悲しみを帯びた緋色の瞳は、これから起こる全てを見透かしてるかのように儚げであった。
(0)
(0)「結論から言おう。ラファエル…………君から『執行代表』を剥奪させてもらう」
(0)
(0) ……それはレン達が危惧していた通りの内容だ。『執行代表』の剥奪——ラファエルの新豊州に滞在する理由の消失。つまり実質的な『帰国指示』をミカエルから通達される。
(0)
(0)「『Noblesse Oblige』——。貴族たる者、自らが熟すべき役割が見えないほどラファエルは未熟じゃないだろ?」
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0) ——Noblesse Oblige。
(0)
(0) ——高貴な者の義務。高貴であるゆえ特権を得ている者は、それに応じた義務を負うべきである。
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)「……分かってる。『ラファエル・デックス』として、その義務から逃げることはしない。『執行代表』の剥奪……受け入れるわ」
(0)
(0) それはラファエルにとって最も忌むべき『呪い』にして、最もラファエルを形づける『祝福』の言葉である。
(0)
(0)
(0)
(0) …………
(0) ……
(0)
(0)
(0)
(0) 一方その頃、ハインリッヒは扉の前で目を伏せ静かに思考を巡らせる。今後自分がどう立ち回るべきか否かを。
(0)
(0) 何せハインリッヒが今現在SIDにて研究が行えるのは、ラファエルの付く『随行員』としての立場があるからだ。ハインリッヒ自身の戸籍がサモントンにある以上、ラファエルが帰国してしまえばハインリッヒ個人が新豊州に留まる権利を無くし、強制的に帰国するハメになる。
(0)
(0) そうなってしまえば、ハインリッヒが敬愛かつ一番の興味を唆るレンとは離れ離れになってしまうし、情報生命体として謎が多く残るスターダストやオーシャンについてなど消化不良となってしまう事が多々ある。ハインリッヒとしてはSIDはまだしも、レンからは離れたくないのだ。
(0)
(0)
(0)
(0) ——こうなったらマスターに再生してもらうことを願いつつ、今一度自爆でもするか。
(0)
(0)
(0)
(0) などと物騒な発想を浮かべる中、ハインリッヒの耳に「お久しぶりですね」という声が届いた。ハインリッヒはその声に思わず「げっ」と不満を溢しながら目を開く。
(0)
(0) そこには腕の関節ほどまでに伸ばした金髪を、簡単な後ろ結びをして女性がいた。高身長でスリムなハインリッヒと比べたら低いものの、平均的な女性にしては身長は高い方だ。華奢なラファエルを太ましくしたような身体付きと言えば分かりやすいだろう。
(0)
(0) 白のワイシャツに腰巻きエプロン。手には小箒と塵取りと給仕のような服装をした彼女は「ハインリッヒさん」と、他の従者とは違い『対等』な口調で話しかけてきた。
(0)
(0)「待つだけではお暇でしょう。親睦を深めるためにお茶でもしませんか?」
(0)
(0)「……『モリス』、また雑用をしてたんですか?」
(0)
(0)「はいっ!」
(0)
(0) 彼女の名は『モリス』——。
(0)
(0) ハインリッヒが随行員になってから知り合った人物だ。包容力が高く聡明で義理堅く世話焼きと、優しさが人の形をしたような人格者だ。とはいっても、そういうお世話な所がハインリッヒは苦手意識を持っており、極力話したくない相手でもある。ハインリッヒは根本的にはラファエルと同じくアウトローな感性を持っており、体育会系委員長タイプであるモリスとは馬が合わないのだ。
(0)
(0)「……相変わらずで呆れますわ」
(0)
(0)「あー、すいません……。何分古い人間でして……。未だに掃除機を使うよりも箒を持った方が手に馴染むものでして…………」
(0)
(0)「いや、そう言うことを言ってるのではなく…………いえ、何でもありません」
(0)
(0)「はい? ……あっ、ところでお茶はどうします?」
(0)
(0)「こういう非文明的な部分も苦手なんだ」とハインリッヒは頭を抱えながら「ご一緒させていただきましょう」と面倒臭そうに応えた。
(0)
(0)「……他には誰がいるのでしょうか?」
(0)
(0)「セレサさん、アイスティーナさん…………それに新しく『席』に入った子です」
(0)
(0)「あぁ……歓迎会も兼ねてるのですね」
(0)
(0)「はい!」とモリスは元気に応えるの見て、ハインリッヒは「本当にこいつが……」とさらに頭を抱える。何故ならハインリッヒは彼女の地位を知っているからだ。
(0)
(0) そもそも『十字薔薇軍』こと『ローゼンクロイツ』というサモントンの情報機関に所属するセレサを知り、ハインリッヒと『対等』に話す時点で彼女は有象無象の従者の一人ではない。モリスもまた『ローゼンクロイツ』の一員なのだ。しかし、その地位は他の工作員とは訳が違う。
(0)
(0)
(0)
(0) そもそも『ローゼンクロイツ』とは何なのか——。
(0)
(0) その始まりは15世紀に秘密裏に生まれ、17世紀の初頭にドイツで表に出た『薔薇十字軍(ローゼンクロイツァー)』を基にした組織だ。当時は『人類を死や病といった苦しみから永遠に解放する、つまり不老不死の実現のために120年の間、世界各地で活動を続けてきた』という記載があり『神秘主義』『新プラトン主義』『パラケルススの思想』などの様々な影響を受けてもいると言われている。これについてはハインリッヒ自身が著作した『永遠の智恵の円形劇場』に記載された『エメラルド・タブレット』についても言及していたりするが、とどのつまり『錬金術』だ。世界の——いや宇宙の『真理』を解明することを第一目的にしてると言ってもいい。
(0)
(0) とはいっても、それは当時の話であり『薔薇十字軍』と『十字薔薇軍』こと『ローゼンクロイツ』では思想も組織形態も違う。『ローゼンクロイツ』は秘密組織ではなく、サモントンが有する情報機関であり、その役目はサモントンの思想形態である『信仰を守り、神に対する畏敬と謙虚を保つことこそ救いとなる』を厳守することだ。つまりそれはサモントンの秩序を守ることも意味している。
(0)
(0) ではサモントンにとっての『秩序』とは何か? もちろん国民全てに『宗教思想』を根付かせて崩壊を防ぐことだ。だが、そんな漠然的な結果だけを求めるだけではいずれは瓦解するのは目に見えており、それはサモントンの『秩序』が崩れることを意味している。であれば、その『漠然的な思想』を形づける『象徴』を守ることが『ローゼンクロイツ』の役割となる。
(0)
(0) つまりそれは現在サモントンを統治し、今の政治体制と宗教思想を生み出したデックス家を守ることを意味している。サモントンの政治体制を『象徴』となるデックス家にいる『天使の名を冠する者』———-ミカエルやラファエルのためにその身を注ぎ尽くすこと。それこそが『ローゼンクロイツ』という組織がある理由だ。
(0)
(0) だが『ローゼンクロイツ』の全構成員がそれに殉じていては、単純な情報機関としては機能しない。さらには保衛局——つまり警察としての立場もあるのだ。国自体に捧げる力を、私物化させるのは政治的に印象は良くない。そこでサモントン総督であるデックス博士は『ローゼンクロイツ』にある『役職』を与えた。
(0)
(0) その名は『位階十席』——。『薔薇十字軍』に派生して生み出された秘密組織『黄金の夜明け団』または『黄金薔薇十字団』と呼ばれる組織の階級を基にした序列だ。それは当時の『薔薇十字協軍』の位階制度の模倣でもある。
(0)
(0) アレンジとして『生命の樹』に対応したセフィラを『十席』と定め、最も階位が高い者から順に『第一位』『第二位』『第三位』…………と役職を与え、必ず『席と順位』を持つ者には『二つ名』が与えられる。レンとあったセレサもその『席と順位』を持つ者だ。『ローゼンクロイツ』の『第二位』————襲名『執行者』————。
(0)
(0)
(0)
(0) ……本人は知らぬことだが、実はソヤも『位階十席』の候補として『ローゼンクロイツ』から目をつけられたことがある。だからこそ国家絡みで直ぐに解放できるよう、分かりやすい地位として『審判騎士』という物が修道会を通して与えられていた。
(0)
(0)
(0)
(0) その『ローゼンクロイツ』でも最高の権威を持つ『位階十席』にして『第一位』——。それこそがモリスが持つ役職。マリルと同じく『ローゼンクロイツ』という組織の実質的な長。
(0)
(0)
(0) セレサが持つ『執行者』や、ソヤの『審判騎士』と同じく二つ名を襲名する者——。
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0) ——『聖騎士』
(0) ——人は彼女を『セイント モリス』と呼ぶ。
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)「ハインリッヒさん。わたくし最近、広報係の仕事も兼ねて『Tmitter』というのを始めたいのですが…………『タブレット』という物はどこで買えばいいのでしょうか?」
(0)
(0)「はぁ…………そうですか……って購入からですか!?」
(0)
(0) とてもそんな人物には見えないとハインリッヒは思いながら『方舟計画』について思いを馳せる。
(0)
(0) 何故なら十中八九、今回選ばれた『執行代表』の『随行員』として同伴するのは間違いなく、現代人の癖に現代に全く適応できていないモリスになると確信しているからだ。