行別ここすき者数
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(0)『これはゼース選手 なすすべなしか!!?
(0)テツロウ選手は鉄壁の固め技でゼース選手を拘束しているー!!』
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(0)いいぞ 小僧ォー!!!
(0)そのまま決めちまえー!!!
(0)ゼースをぶっ倒せー!!!
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(0)いつの間にか観客達の声は哲郎のためのものになっていた。
(0)この男、よほど周りから恨みを買っていたのか と哲郎は思った。
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(0)応援はありがたいが、今はそれどころではない。今 彼ができるのはゼースにさっさと降参を言わせることだけだった。
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(0)「さぁ もう一度言いますよ。
(0)懸命な判断を。 敗北を認めてください!!!」
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(0)哲郎は追い討ちをかけるようにさらにゼースの両足を引きつける。
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(0)「………ヘヘッ」
(0)「!!?」
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(0)今、ゼースは不気味に一笑した。
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(0)「……お前は……やっぱり未熟だぜ。
(0)相手が勝ちを確信した時に敗北してる。
(0)それが俺のやり方よ。」
(0)「何を言ってるんです!!?」
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(0)「………上を見るんだな。」
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(0)ゼースの言葉につられて哲郎、そしてアナウンサーや観客達も上を見上げた。
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(0)「!!!?」
(0)「ヘヘッ 気づいた時にゃ もう遅い。」
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(0)『あっ、あれはまさか━━━━━━━━』
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(0)場内全員が見上げた上空に、巨大な魔法陣が展開されていた。
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(0)「食らいなァ!!!!!
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(0)《黒之霹靂 》!!!!!」
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(0)チュドォン!!!!!
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(0)魔法陣から放たれた落雷が、哲郎を直撃した。
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(0)『き、決まったァーーーー!!!!!
(0)なんとゼース選手、あの体勢から無詠唱で、高度魔法を放って見せたァーーー!!!!』
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(0)落雷による土煙がだんだん晴れていき、ゼースはよろけながら歩いてきた。
(0)その背中は酷く爛れている。
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(0)「ハァハァ………ハハッ ざまぁねぇな。
(0)こっちだってな、ハナから無事で済むなんて思っちゃいねぇよ。それがこの魔界コロシアムだ。」
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(0)『まさに肉を切らせて骨を断つ
(0)自らの背中を代償に、テツロウ選手の固め技から逃れ、強烈な反撃を決めたゼース選手。
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(0)そう。黒之霹靂 。
(0)魔界公爵家 イギア家の血を引くものが、苦痛と難行を乗り越えて初めて使うことを許される高度魔法のひとつ。それを無詠唱で放って見せたのです。
(0)これが大会優勝候補の実力か!!?』
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(0)落雷による土煙はまだ完全に晴れていなかった。
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(0)「悪かったなァ 大人気なく必殺しちまってよ。
(0)まぁこれが魔界コロシアムの恐ろしさよ。」
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(0)ゼースが話している最中も土煙が晴れていく。
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(0)「……………!!!!? バカな!!!!!」
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(0)哲郎が立っていた。 服はボロボロだが、体は土の汚れが多少着いているだけで傷らしい傷は付いていなかった。
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(0)まだ試合が見られることに観客達のボルテージも再び盛り上がる。
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(0)「……申し訳ない。あの程度の技で勝った気になってしまって。やっぱり僕はまだ無知だったようだ。」
(0)「そんなバカな!!! 一体どんな手を使った!!!?」
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(0)ゼースは哲郎がノーダメージであることを認めようとしなかった。認めることは彼の中の誇りが許さなかった。
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(0)「…このラグナロクにあるものは、魔法だけですか?」
(0)「何の事だ!?」
(0)「他に 人知を超えたものは何かありませんか?そう 例えば………
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(0)特殊能力とか。」
(0)「!!!? ま、まさか………!!!!」
(0)「そう。持ってるんですよ。【適応】。
(0)それが僕が授かった能力の名前です。」
(0)「適応!!?」
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(0)「僕はその能力と何年もの鍛錬で、いかなる攻撃をも無効にする適応力を手にしたのです。 あなたの黒之霹靂 はもう効きません!!!」
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(0)「嘘だ!!! デタラメだ!!!! そんなものが存在するかァァ!!!!!」
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(0)ゼースは感情に任せてたくさんの魔法陣を展開した。
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(0)「食らえ!!! 《迅雷槍 》!!!!!」
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(0)魔法陣から無数の雷が槍の雨のようになって、哲郎に襲いかかった。
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(0)『出たァー!!! またしてもゼース選手、高度魔法を無詠唱で発動。
(1)これはどう切り抜ける!!? テツロウ・タナカ!!!』
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(0)哲郎はゼースに向かって走り込んだ。
(0)雷が彼の体を襲うが、やはりダメージは与えられない。彼が感じたのもピリッとした感覚だけだった。
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(0)そのままゼースとの距離を詰め、体勢を崩して拳を叩き込んだ。
(0)ゼースは吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
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(0)『こ、ここに来てジョルトブロォーーー!!!!
(0)前かがみに拳を放ち、全体重を乗せる一撃必殺の拳!!!
(0)その随意が今、ゼース選手に炸裂したァー!!!!』
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(0)ゼースはまだ地面に倒れ伏している。鼻から酷く血を垂れ流し、のたうち回っている。
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(0)『効いています。効きまくっています!!
(0)ゼース選手、立つことができない!!!』
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(0)その隙を見逃すはずもなく、哲郎は止めを加えようと近づいていく。
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(0)しかし、ゼースが隙をついて哲郎の足をすくった。体勢の崩れた哲郎に対し、
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(0)グサッ 「!!!!」
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(0)『さ、刺した!! 刺しました!!!
(0)ゼース選手 遂にテツロウ選手に決定的な一撃を打ち込んだ!!!』
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(0)哲郎の腹に剣が深々と刺さっている。
(0)予想外の事態に驚きを隠せない。
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(0)「さぁ、お前がさっき言ったことがデタラメだって証明してやんよ。
(0)体内を防御してみろ!!!」
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(0)バチバチバチ!!!
(0)哲郎の腹を貫いていた剣から放電が始まった。その電気は次第に大きくなっていく。
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(0)『こ、これはなんという攻撃だ!!!
(0)相手の体内に直接 魔法を流し込む!!!
(0)これは決まったかァー!!!?』
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(0)ゴッ!!!!
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(0)ゼースの顎に哲郎の拳が直撃した。
(0)脳をゆらされてゼースは地面に倒れた。
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(0)「何………だとォ………!!!!」
(0)「だから言ったでしょ。僕には効かないと。まぁ、あなたが全力を出すというならまだわかりませんがね。」