行別ここすき者数
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履歴はこちら。
(0)「………何度も言ってるだろ!?
(0)お前らに話す事なんか何もねぇ!!!」
(0)「……お前、自分の状況を分かってそう言ってるのか?
(0)悪いがこっちには時間が無い。 このままではもっと手荒な手段を選ぶしか無くなるぞ。」
(0)
(0)エクスの自室でハンマーは椅子に括り付けられて尋問にかけられていた。
(0)哲郎はそれを少し距離をとって見ている。
(0)
(0)尋問及び拷問には一切関与しない という条件で哲郎は彼に協力した。
(0)
(0)心が痛む事ではあるが、そんな事を言っていられないという事も十分に分かっていた。
(0)我儘や無理を通さずに解決出来る問題ならば、自分が関わるまでもなく彼が解決していただろう。
(0)
(0)甘い事を言っている状況では無いという事は十分に分かっている。
(0)
(0)
(0)***
(0)
(0)哲郎は頭の中で少し前にエクスに言われた事を思い出していた。
(0)
(0)「15分だ。
(0)それ以上 口を割らなかったならヤツの拷問に掛かる。
(0)それを見たくなければ 外に出て怪しい者が来ないか見張りでもしていろ。」
(0)「……分かりました。」
(0)
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(0)そして現在、尋問に入って間もなく10分が経とうとしている。
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(0)ハンマーはエクスの質問に依然として黙秘を貫いていた。
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(0)(………あと5分か……………。
(0)もし追っ手がいるならもう近くにいてもおかしくないだろうな……………。
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(0)時間も近いし、外を見回って来るか………。)
(0)
(0)と、哲郎が部屋を後にしようとしたその時、
(0)
(0)
(0)………て貰いに来ました。 「!!!??」
(0)
(0)と、どこからか声が聞こえた。
(0)聞こえてきた方向が分からず、咄嗟に辺りを見回すが、どこにも誰もいる気配がない。
(0)エクスもハンマーにだけ注目していて、声に気づいていないようであった。
(0)
(0)「……彼は返して貰いますよ。
(0)マキム・ナーダ さん。」 「!!!!」
(0)
(0)今度ははっきりと、それこそ方向も鮮明に分かるほどに聞こえた。
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(0)聞こえてきた方向は部屋に通ずる扉の方向。
(0)そこに視線を送った時、哲郎は一瞬 言葉を失った。
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(0)そこに立っていたのは 全身を赤褐色のマントでおおっていた1人の人間だった。
(0)頭部にもフードがかぶさっていて、顔を見ることが出来ない。
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(0)「……………!!!」
(0)「何を黙っているんです?
(0)彼を返して欲しいと言ってるんです。」
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(0)その人間は哲郎に対して敵意の類を一切見せることなく堂々と歩き寄って来た。 その時でさえ 足音は少しもしていない。
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(0)「!!!」
(0)「……おや? 《これ》が気になりますか?」
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(0)目に飛び込んできたフードの中のもの を見て、さらに肝を抜かれた。
(0)それは《仮面》だった。
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(0)そしてその時 哲郎はその人間がマキムとして学園に潜入してラドラのアジトらしき所に忍び込んだ時に居た人間の中の1人だと言う事に気がついた。
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(0)「……そんなに強ばった顔をして頂かなくて結構。 さっきも言ったように あなたには用はありません。」
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(0)その人間は哲郎の顔を覗き込んでそう 小声で呟いた。 その威圧感で《後ろのエクスに助けを危険を知らせる》という単純な動作を行う余裕さえ削がれていた。
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(0)「………私の目的はただ1つ
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(0)そう。」
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(0)突如、 『バオッッ!!!!!』 という突風音が響き、人間が哲郎の前から姿を消した。
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(0)「!!! エクスさん!!!!」
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(0)ほとんど 反射的に哲郎は後ろのエクスの無事を確認した。 しかし、その姿も土埃に覆われて確認できない。
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(0)やがて土埃が晴れていき、エクスが無事に立っていることが確認できた。
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(0)ただし、そこに居たのはエクスだけ だった。
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(0)「 ああっ!!!」
(0)「……………!!!
(0)……お前の言いたいことは分かる。
(0)してやられた。」
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(0)その部屋からハンマーの姿は消えていたのだ。 彼が縛られていた椅子の拘束は強引に外されていた。
(0)恐らく、何か鋭利な刃物のような物で切断されたのだろう と2人は推測した。
(0)
(0)「………すみません!!!
(0)せっかく僕があそこに立っていたのに 早くあなたに危険を知らせるべきでした!!!」
(0)「…………いや、 お前のせいじゃない。
(0)俺が油断していたからだ。 ハンマーの自由を奪って、 すっかり慢心していた…………!!!」
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(0)哲郎とエクスはそれぞれ自分の非を悔いた。
(0)残された2人に出来ることはそれ以外に無かった。
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(0)***
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(0)
(0)「………悪い。 あいつらに合わせる面がねぇよ。こんな手間掛けさせちまって。」
(0)「……………………」
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(0)フードの人間は 抱えているハンマーの謝罪を聞き流していた。
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(0)「お詫びは後で結構です。それに今 あなたがすべき事は謝罪ではない。
(0)帰ったら 彼 テツロウ・タナカ について分かったことを話してもらいますよ。」
(0)「………分かってる。
(0)先に言っておくと、不覚を取っちまったのは完全に俺の慢心だ。 安っぽい挑発に乗ってヤツの策に嵌っちまった。
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(0)だがな、逆を言やァ 対策さえしてれば俺でも負けてなかったって事だ。」
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(0)「………するとつまり?」
(0)「ああ。 そういうこった。
(0)俺がラドラさんにそれを伝えたら、俺たちの勝ちは磐石になるって訳だ。」