行別ここすき者数
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履歴はこちら。
(0) 夢を見た。
(0) まだ両親をパパ、ママと呼んでいて、普通の家庭だった時の夢。
(0) 多分小学生になるより前、初めてショートケーキを食べた。
(0) 二人共笑顔で……
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(0)「――ろ、起きろお嬢ちゃん!」
(0)「……あ」
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(0) 目を開くと真っ白な光が突き刺さり痛い。
(0) 火にも炙られていないところを見ると、地獄ではなさそうだ。
(0) 死んだ私はどうやら、天国にいったらしい。
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(0) 光になれれば、目の前にいたのは筋肉。
(0) なんてことだ、天使というのは凄い美女やイケメンではなく、筋肉ムキムキのハゲゴリラだった。
(0) 衝撃の事実に口を開ける。
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(0)「天使は筋肉ハゲゴリラだった、これは小説の一文になるかもしれない」
(0)「誰が筋肉ハゲゴリラだコラ……その様子じゃ体調に何か問題はなさそうだな」
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(0) どうやら私は別に死んでいないようだ。
(0) 筋肉曰く私は落葉ダンジョンで倒れていたところを、偶然通りかかった探索者によって救出、教会へと運び出されたそうな。
(0) ここは教会に併設されている無料の医療施設、探索者が強力な存在なので国が金を払っているのだ。
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(0) どうしてあんなところに潜ったんだ、筋肉は私に怒るが、私だって本当は入りたくなかった。
(0) 事情を説明したが、パーティの正式な登録をしていないなら、その証明は難しいと渋い顔で告げられた。
(0) そんな気はしていた、でなきゃあまりに躊躇が無さすぎる。
(0) ああ、人間なんて信じるんじゃなかった。
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(0)「これからどうするんだ? ……お前がその気なら、協会の職員として推薦状を書くのもやぶさかじゃないが……」
(0)「いや、探索者としてこれからは一人でやっていく」
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(0) 筋肉の話はあまりにありがたすぎる申し出だったが、私だってクマムシくらいのプライドはある。
(0) ゴミみたいな扱いをされて、少し、いや結構傷付いたし、あいつらは絶対に許せない。
(0) でも今の私だと雑魚だ、多分切り掛かったらその場で肉袋になる。
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(0) だから頑張る。
(0) 今までは体力をつけるだけが目的だったけど、強くなる。強くなってあいつらをボコす。
(0) えーっと強い奴が偉いってのは……焼肉定食? そう、焼肉定食の摂理に従って、私は己の欲望のままに奴らを喰らってみせるのだ。
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(0)「そうか……ほら、これお前の武器だろ?」
(0)「おお、愛しの金属バット」
(0)「悪くない選択肢だ。遠心力を利用すれば弱くてもそこそこの威力が出るからな」
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(0) 筋肉にも褒められた。
(0) 人に褒められたの久しぶりかも、えへへ。
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(0)◇
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(0) まだ体調も完璧じゃない、ここで休んでろ。
(0) 筋肉はそう言ってこの部屋から去っていった、協会の支部長らしく忙しいのだろう。
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(0) さて、人が居なくなったところで確認することがある。
(0) 死ぬ直前か直後か知らないが、聞こえたあの音とスキルについてだ。
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(0)「ステータスオープン」
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(0)―――――――――――
(0)結城 フォリア 15歳
(0)LV 3
(0)HP 10 MP 15
(0)物攻 11 魔攻 0
(0)耐久 23 俊敏 29
(0)知力 3 運 0
(0)SP 0
(0)
(0)スキル
(0)スキル累乗 LV1
(0)悪食 LV5
(0)口下手 LV11
(0)経験値上昇 lv1
(0)
(0)
(0)称号
(0)生と死の逆転
(0)―――――――――――
(0)
(0) やはりというべきか、あれは夢ではなかったらしい。
(0) 気になるのは当然『スキル累乗』『経験値上昇』『生と死の逆転』だろう。
(0) 目の前に出たウィンドウを突けば、各々スキルの詳細も確認できる。
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(0)―――――――――――
(0) 経験値上昇 LV1
(0) パッシブスキル
(0) 経験値を獲得する時、その量を×2倍
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(0) スキル累乗 LV1
(0) パッシブ、アクティブスキルに関わらず、任意のスキルを重ね掛けすることが出来る
(0) 現在重ね掛け可能回数 1
(0)
(0) 生と死の逆転
(0) 死を乗り越え、運命を切り開いた証
(0) 称号獲得者に『経験値上昇』と『ユニークスキル』を付与
(0)―――――――――――
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(0) 成程、このへんてこなスキルや称号たちは、私が死んで生き返ったから手に入ったようだ。
(0) 確か希望の実でLV10以下復活判定だとか言っていたから、そのおかげだろう。
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(0) しかし希望の実で生き返るとは、今まで聞いたことがない。
(0) いったいどれほどの低確率なのか、一個や二個食べたから大丈夫です、という物でもないだろうし、LV10以下でないと判定も出ないとなれば、今まで誰も知らなかったのも当然だ。
(0) 要するに私は、最後の最後に悪運があったという訳らしい。
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(0) 累乗、るいじょー……ぎりぎり覚えている。
(0) 学校で学んだ、同じ数字を掛け合わせると凄い大きい数になる奴だ。
(0) 序盤は足し算が上でも、続けていけば足し算なんか足元にも及ばない桁になるらしい。
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(0) ……もしかして
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(0)「『スキル累乗』発動、対象『経験値上昇』」
(0)
(0) もしかして、もしかしてだ。
(0) 例えばこの『スキル累乗』を発動して、経験値上昇が『×4倍』になったとしたら……
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(0) 『スキル累乗』のLVが上がって、重ね掛けの回数が三回、四回と増えていく時、二倍が四倍、四倍が八倍、八倍が十六倍……ちょっとその先は計算できない。
(0) 算数は苦手なのだ、そもそも勉強できないけど。
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(0)―――――――――――
(0)
(0)経験値上昇 LV1
(0) パッシブスキル
(0) 経験値を獲得する時、その量を【×4倍】
(0) 現在『スキル累乗』発動中
(0)
(0)―――――――――――
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(0)「は、はは……!」
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(0) 心臓が、震えた。
(0) 涙がとめどなく溢れ、全身に力が漲る、
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(0) 私は今、銀杏塩辛に覆われた現実を払拭する、とんでもない力を手に入れてしまったかもしれない。