行別ここすき者数
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履歴はこちら。
(0) 翌日、花咲ダンジョン最奥にて。
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(0) ここは見た目からして草原、ボスエリアと言っても何か大きな扉があって、中に構えているなどと言うことは無い。
(0) その代わりボスエリアには、草が一本も生えていないのだ。
(0) 強いて言うのなら学校のグラウンド、入れば地獄の体育が始まってしまう。
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(0)「ふぅ……よし」
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(0)『スキル 鈍器 LV1 を獲得しました』
(0)『鈍器LV1 により ストライク を習得しました』
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(0) ウィンドウへ手を翳し選択、お目当てのスキル。
(0) 筋肉の助言に従い、鈍器スキルを習得した。
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(0)―――――――――――
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(0)鈍器 LV1
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(0) 打撃系武器の威力が1.1倍
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(0) アクティブスキル
(0) ストライク 習得条件:鈍器 LV1
(0) 消費MP5
(0) 質量を利用した横の殴打
(0) 威力 自分の攻撃力×1.5倍
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(0) 冷却時間 3秒
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(0)―――――――――――
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(0) 『スキル累乗』とはまた別の、新たなアクティブスキル。
(0) 『鈍器』自体に攻撃への補正がかかるのは驚いたが、つまりはこの名前を叫べば技が発動するのだ、そう本に書いてあった。
(0) 冷却時間はそのまま、二度目を発動するまでに必要な、待機時間か。
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(0) ……一度も使わないでボス戦に挑むのは危険かもしれない。
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(0) 丁度横にスライムがふよふよ震えていたので、掴んで放り投げ
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(0)「『ストライク』」
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(0) ぐいっと、何もしていないのに体が勝手に動き出す。
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(0) 輝くカリバーがスライムの中心をしかと捉え、衝撃を受け爆散。
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(0)「うへぇ……」
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(0) ねちゃぁ……っとしたスライムが顔面にぶっかかり、そのまま消滅。
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(0) もう十分だ、大体わかった。
(0) スキルという物の強力さ、十分に理解できた。
(0) あまり試し打ちをしていてもMPが無くなるだけ、もしボス戦で0になりましたなんて目も当てられない。
(0) さっさと突入しよう。
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(0) あ、でもその前に。
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(0)「いただきます」
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(0) ポケットから食べなれたそれを取り出し、口に放り込む。
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(0) カリ……コリ……
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(0) そこら辺に落ちている苦くて、渋くて、酸っぱい希望の実。
(0) レベル10というその制限ギリギリ、今まで知られていないのだから、復活する可能性は笑ってしまう程低確率なのだろう。
(0) それでもこの実はこの一週間私の食事として、そして私の未来を切り開く希望に繋がった。
(0) だから食べた、願掛けだ。
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(0) 私は勝ち続ける、さいきょーになる。
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(0) でもやっぱり不味いので水で流した。
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(0)◇
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(0) 足を踏み入れた瞬間、雰囲気が変わったのを理解する。
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(0) 首の後ろがちりちりと灼け、何者かに見つめられているような、全身を這う不気味な感覚。
(0) しかし何もいない。まるで私と何者かが戦う闘技場の様に、黒々とした円形の大地がそこにはある、
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(0) サク、サク、と慎重に足を進め、三分の一ほどまで差し掛かった瞬間
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(0) ドンッ!
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(0) 影が落ちたと思いきや、空中から巨大な壁が落ちてきた。
(0)「……っ! 『鑑定』!」
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(0)――――――――――――――
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(0)種族 スウォーム・ウォール
(0)名前 ジャマイカ
(0)LV 5
(0)HP 200 MP 37
(0)物攻 27 魔攻 11
(0)耐久 50 俊敏 1
(0)知力 7 運 11
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(0)――――――――――――――
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(0) ヤバい、めっちゃ強いではないか。
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(0) 名前がある辺り一概にボスと言っても個体差があるのか、写真で見た同族よりも黒々としている。
(0) 大きさは縦横共に二メートルほど、でこぼことしてスライムが重なった跡があり、子供が泥を重ねて作った壁みたいだ。
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(0) そして何よりもHPと耐久が異常に高い、まさにボスといった風貌。
(0) 100ですら見た事が無いレベルなのに、突然200だなんて何を考えているんだ。
(0) これは不味い、筋肉は行けるだなんて言っていたが、想像以上に強そう……
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(0) ……と、ここまでちょっと距離を取って考えていたのだが、スウォームはピクリとも動かない。
(0) もしかして本当に壁で、攻撃とか一切してこないのかな……?
(0) それならとんだ見掛け倒しじゃないか。
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(0) 最初の緊張感から外れ、気の緩みまくった私はホイホイ近寄って
(0)「そりゃっ……!?」
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(0) カリバーを振ろうとした瞬間、拳の様に太い棒が壁から高速で伸びた。
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(0) 速い……!?
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(0)「げ……ぇ……」
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(0) ミシ、と骨が軋み、後ろへ吹っ飛ばされる。
(0) ゴロゴロと回る視界の中、自分の失敗を悟った。
(0) ああ、やってしまった。戦いの最中だというのに、どうしてそう簡単に気を許してしまうのか。
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(0)「ステータス……オープン……!」
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(0)結城 フォリア 15歳
(0)LV 10
(0)HP 12/28 MP45/50
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(0)――――――――――――――
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(0) 鑑定してみれば、そこにはたった一撃で半分を切った己の貧弱なHP。
(0) 耐久が高くてよかった、下手すれば即死だったかもしれない。
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(0) くらくらと頭が揺れ、視界がぼんやりと定まらない。
(0) 痛む腹を抑えながら立ち上がり、奴を見て見ればいまだに動くことは無く、ただそこに立ち尽くしている。
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(0) 成程、こうやって調子に乗って寄ってきた初心者を、手痛い攻撃でぶっ飛ばしてきたわけだ。
(0) 今の痛みで十分に目は覚めた。あいにくと私は俊敏に自信がある、ちまちま削って逃げる作戦で行こう。
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(0) 全力で駆け寄り、横に素振り。
(0) 激しい衝撃が腕を伝い泣きそうになるが、気にせずそのまま走り去る。
(0) 足を止めればあの一撃が来て、今度喰らってしまえばもう二度と立つことは出来ない。仲間がいれば回復なども出来るだろうが、私にそんなものはないのだ。
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(0) 足元へ背後から迫る棒、それを蹴り飛ばしそのまま前転。
(0) 無事攻撃の範囲外へ離れることに成功した。
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(0)――――――――――――――
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(0)種族 スウォーム・ウォール
(0)名前 ジャマイカ
(0)LV 5
(0)HP 184/200 MP 37
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(0)――――――――――――――
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(0) ……先はまだ長そうだ。
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(0) 腕と手首をぐるぐるとまわし、短く息を吐く。
(0) 一撃喰らえば死ぬ、そのくせ相手のHPは未だ多く、戦いの終わりは見えない……だというのに、なんだか楽しくなってきた
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(0) 私はもしかしたらマゾだったのかもしれない。