行別ここすき者数
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履歴はこちら。
(0) ダチョウ君の遺志を受け継ぎ魔石と、ついでに体力の回復も済ませた。
(0) 一家に一台活人剣、ありだね。
(0) SPの効率めちゃくちゃ悪いけど。
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(0) コロンとオレンジに輝く魔石。
(0) ちょっとおいしそう。一口くらい食べても……って、そんなことする余裕ないか。
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(0)「ほいっと」
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(0) ぐっと握り、小さな罅が入ったのを確認してぶん投げる。
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(0) 仲間を食われたダチョウ君の遺志をその身で噛み締めろ!
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(0) 輝きを纏い、まっすぐにその胴体へ吸い込まれる魔石。
(0) でっぷりと太った巨鳥。それを目で追いながらも、体の重さに慣れていないのか、それとも余裕ぶっているのか避ける気配はない。
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(0) 刹那の静寂……耳を劈く爆音!
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(0) 多少離れているはずだが、それでも爆風がこちらの顔を舐め、弾き飛ばされた土が服にまき散らされた。
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(0) 発動したのはシンプルな爆発。
(0) だがそれは消えることなく、巨鳥を薪として一層のこと激しく燃え上がった。
(0) ナパージュ弾だっけ?的な感じ。
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(0) おお……もっさもさの羽がよく燃えてる、すごい熱そう。
(0) 見てるとおなかすいたなぁ……鳥の丸焼きとか食べてみたいかも。
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(0) 燃えてて殴ろうにも殴れないし、近づき手持無沙汰で暫くぼうっと見ていたのだが、なんだか喉に引っかかるような違和感に気付く。
(0) 顎に指、頭に疑問符。
(0) なんだ?
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(0) あ……苦しんでない……!?
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(0)「やば……!」
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(0) 気付きと変化は紙一重、鋭い眼光が深紅のカーテンからこちらを見定める。
(0) 豪炎を切り裂き、その大頭が私を啄もうと飛び掛かってきた。
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(0) キツツキよろしく、しかし絶え間ない地響きを伴って地を穿つ嘴。
(0) 右へ、左へと命がけの反復横跳び。
(0) しかし首の長さも有限、ある程度の距離を取ればそれ以上は伸びず、全身に纏っていた炎をぶるりとかき消し、巨鳥は高々と嘶いた。
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(0) 見た目こそでっぷりと太ってかけ離れた姿だが、これでもちゃんとストーチ 。
(0) 炎の扱いはお手の物ということだ。
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(0) 睨み合い。
(0) 鳥も背中に沿ってたたまれた翼を振り、こちらが何も仕掛けてこないことをけん制する。
(0) なぜ襲ってこないって? 誰が攻撃圏内にわざわざ行くかっての。
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(0)『ケェェェェッ!』
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(0) 巨大な目を引ん剥き勝鬨を上げると、突如としてその体が空中へ浮かんだ。
(0) 支えるのは、その膨らんだ体に見合わぬすらりと長い脚、とはいっても小さな木ほどの太さはあるが。
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(0)「いや立てんのかい」
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(0) 思わず毒づいてしまう。
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(0) 太った体はさぞ重かろうと思っていたのだが、案外軽やかな動きでこちらへと駆け寄ってくる。
(0) もっさもっさとした羽の塊が来る様子はなかなかにファンシーで、どこかコミカルな雰囲気もあった。
(0) 動けるデブ? いや、単純に大量の羽で膨らんでいるだけで、別に太っているわけではないのかもしれない。
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(0) 単純におなかいっぱいで動きたくなかったのね。
(0) 仕方ない、誰にだってそういうときはある。
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(0) それにしてもどうしよう。
(0) 激しく動き回る巨大な胴体、その上ここまで体高があるとなればまともに殴れない。足元に近づくのも爪長くて危ないし……
(0) 熱気にやられて噴き出した汗を拭い払う。
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(0) あ、木登れば顔にも近づけて一石二鳥じゃんね。
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(0)「とうっ! ……むっ」
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(0) びょいーんと跳びあがってしなる枝を握り締めたその時、どこかしっくりこない感覚に戸惑う。
(0) 元々不思議と人肌ほどの温度があった木の表面であるが、今はそれ以上、触っていて熱いと感じる程度には温度が上がっていた。
(0) ずっと触っていれば低温やけどくらい起こしそうだと、早めによじ登って枝の上に立つ。
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(0) うむむ。
(0) いつの間にか燃える葉の色が白くなっているのもそうだが、どうやら気付いていないだけでモンスターの行動だけではなく、もっと小さなことも変化しているらしい。
(0) これ以上熱くなるのなら流石に木の上へ逃げて……なんてことも難しいかも。
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(0) バチンッ!
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(0)「ふぁ!?」
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(0) 目の前の枝が消える。
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(0) バチンッ! バチンッ!
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(0) 突然の消滅は足元から。
(0) 意識外からのそれに最初は気付かなかったがこの巨鳥、跳びあがってその嘴で枝を切り落としていっている。
(0) あまりに巨大な体のせいで狙いが定まっていないが、どこまで鋭利な嘴なのだろうか、滑らかな切断面はうかうかしていた場合の末路を示していた。
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(0) ふざけた奴……!
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(0) 上へ横へと跳んで枝を乗り移れば、あちらも徐々に慣れてきたと見え、次第に正確となっていく突きがすぐ横を突き抜け木片が飛び散る。
(0) このままだジリ貧だ、なんとか手を打たないと。
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(0)――――――――――――――――
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(0)種族 ストーチ
(0)名前 ゼノ
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(0)LV 5600
(0)HP 6324/17843 MP 2221/5451
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(0)――――――――――――――――
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(0) レベルの上昇が止まってる……消化が終わったってとこ?
(0) それよりHPやMPが妙に削れてるのが気になる……さっきの火は対してダメージを受けてなさそうだし、なんでだ?
(0) いや、そうか。モンスターといえど私と同じなんだ。レベルが上がった直後は、まだHPが最大値まで回復していない……!?
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(0)「枝ぁっ!?」
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(0) 確かに先ほどまで枝があったはずなのに、伸ばした右手が空を切る。
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(0) やられた!
(0) ただむやみに私を狙っていただけじゃない、逃げる先まで考えて枝を切り落としていたのか!
(0) まんまと追い込まれたってわけだ。もう、ほんと頭良すぎて嫌になっちゃう。私の頭が悪いだけ?
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(0) 空が遠のき、世界が逆転した。
(0) 天は地に、地は天に。
(0) レベルが上がろうと逆らえない重力の枷が身体を縛り付け、ゆっくりと地面、いや、巨鳥の赤黒い喉奥へ誘う。
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(0) 終わった。