行別ここすき者数
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履歴はこちら。
(0) 今日の俺はミニスカートのメイド服を着ている、無理やり渡された白のガーターストッキング付き。
(0) バニースーツよりマシだったので快諾したのは言うまでもない。
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(0) ふぐりを探し始めて1週間が経つ、クエストなんてそっちのけで一人で草原へと来ている。
(0) スライムしか居ない草原をずっと歩いているのだけどお目当てのユニークモンスターである青色のスライムは見当たらない。
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(0) 「ふぐりー! ふぐりー! どこだー! お前が居ないと今日も寝られないんだー!!」
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(0) フレイには毎日『クエスト行きましょうよ』と誘われているが毎日8時間しか眠れなくなったこの身体にはふぐりが必須。
(0) 町でチンコを探すも文字が読めず、周囲からは『痴女』と呼ばれる始末。
(0) あれを握らないと精神が持たない。
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(0) 「ふぐりー! ふぐりー!」
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(0) もう今日は1時間位探している。
(0) 歩きながら探していると少し離れたところに木々の隙間に誰か居た、遠目からでも青髪で耳が尖がっている事が分かる。
(0) ツーンとする匂いが漂ってくるのは何故だろう。
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(0) こちらを視認するとそれは駆け寄って来た。
(0) レザーアーマーを着こなし背には弓がある。
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(0) テンプレ的な見た目に思わず『エルフだ!!』と思ってしまった。
(0) 初めて見たエルフは胸が大きく自分と同じ位の美人だった。
(0) 近づいてくるたびに鉛筆の芯を濃縮したようスメルが漂ってくる。
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(0) 「は、初めまして、僕はアイギスって言います、あの、その……道に迷ってしまって…町はどこにあるのでしょうか?」
(0) 「こんちわー、俺はミソギ、町ならここを真っ直ぐ行けば着くよ、一緒に行く?」
(0) 「えぇ! いいのですか? けど僕……そのエルフなので……大丈夫ですか?」
(0) 「いや、別に? 特に何も思わないけどー」
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(0) 芯・僕っ娘エルフ・アイギスの体臭は社会人だった時の上司を思い出す。
(0) 良い上司だった、俺の為に残業してくれたり一緒に飲みに連れて行ってくれた。
(0) ちょっと体臭がアレだったけど俺にとって懐かし…くはないけど別に不快じゃない。
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(0) 「んじゃー行くか―、あ、けどちょっとだけ待ってくれない? 探し物があるんだよ」
(0) 「探し物ですか? どんな物なんでしょう、お礼に一緒に探しますよ!」
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(0) 顔を近づけて、俺の顔を見ながら一緒に探してくれると言って来る。
(0) だけどその口から漂う匂いはドブのような香りがする。
(0) なんだかちょっと興奮してきた。
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(0) 「あぁ、ブルースライムって言うユニークモンスターだよ、特徴は青色なんだ、すげぇ大事でさ」
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(0) 「えぇ? ブルースライムを探しているんですか? それなら僕の通って来た場所にいましたよ! あそこの木の枝に引っ掛かってました」
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(0) 場所を指を差し視線を送ると木々の中だ。
(0) ありがたい、超ありがたい、滅茶苦茶探してたんだ。
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(0) 「マジか! ありがとう!! ふぐりー待っててくれよぉぉぉ!! 今迎えに行くからなぁぁぁ!」
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(0) ふぐりが見つかれば今日は10時間眠る事が出来る。
(0) これで毎日フレイから『ダメ人間ー!プフゥー!』と煽られなくて済む。
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(0) そのままハイテンション駆け出すと彼女の言う通り木の枝に引っかかってるふぐりを見つけた。
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(0) 1週間位ここで引っ掛かっていた為か少し元気がなさそうに萎んでいる。
(0) まるで真夏日の俺のふぐりのような状態。
(0) 腰に付けた木剣の先でツンツンと突っつくと『ポトン』と落ちてきた。
(0) プルプルと震えて俺へと飛びついてくる。
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(0) ……可愛い奴め!! もう手放さないぞ! お前が居ない毎日が辛かったんだぞ、主に服装とフレイの煽りでな。
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(0) テンション高めで再会を喜ぶ。
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(0) 「ふぐりぃぃぃ!! 探したぞぉぉぉ!! お前が居ない夜は寂しかったよぉぉぉ!!」
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(0) ふぐりを揉みまくる、そうすると心が洗われるような感覚に陥る。
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(0) ふぐりは俺の本当のふぐりのような揉み心地なのだ、男時代は毎日揉んでいたから間違いない。
(0) しゃがんで頬擦りしながらポーチへと仕舞うと1週間履き続けた靴下の匂いが漂ってくる。
(0) 皮のブーツから漂ってくる足の匂いはアイギスだった。
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(0) 「良かったですね! それじゃ、町までお願いします!」
(0) 「あぁ、本当にありがとうな! マジで助かったよ!! んじゃ行くぞー」
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(0) ふぐりが見つかって本当に良かった、これで俺の精神が壊れる事はない。
(0) フレイの煽りや衆人観衆の視線にも耐える事が出来るようになる。
(0) さらにはステータスさんのせいで魔術が魔法に昇華する可能性がある。
(0) 危なすぎてあんまり使えない魔術へのフラストレーションも発散する事が出来る。
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(0) 俺は意気揚々と町まで向かう、その足取りは軽かった。
(0) アイギスの足は臭かった、興奮した。
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(0) ◇
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(0) 町まで到着するとアイギスがお礼を告げて来る。
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(0) 「本当に助かりました! ミソギさん、ありがとうございます! 初めてです、僕の事を臭いと言わない人に出会ったのは……」
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(0) アイギスは顔を赤くして俺へと詰め寄って来る。
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(0) 確かに匂うけど俺にとっては顔を顰めるほどの匂いじゃない。
(0) 寧ろそれを補うほどの顔の美しい造形に大きい胸。
(0) そして僕っ娘と言う属性モリモリのエルフが臭いなんてメリットに成り得るのでは?と思う。
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(0) 「匂いなんて生まれ持った物だし俺は別に気にしないぞー」
(0) 「エヘヘ……そう言って貰えたの初めてです……ミソギさんいい人ですね! だけど何故メイド服の恰好しているのですか? どこかにお仕えしているとか」
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(0) お仕えではなく逆の事ならしている。
(0) 毎日フレイにご飯を作って貰ったり奢ってもらったりしてグータラ過ごしてる。
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(0) 「いや、そういう訳じゃないんだ、安くて防御が高いから着てるんだ、深い意味はないんだよ」
(0) 「そ、そうなんですね、その、凄く似合ってる思ってしまって」
(0) 「あ、うん、どうも……ほら、俺って冒険者なんだよ? 今は木剣しかないけどその内ロングソードとか使う予定だし……」
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(0) 言っててちょっと悲しくなって来る。
(0) 俺って超弱いからなぁ。
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(0) 「そうなんですね、剣士なのですか、わかりませんでした…」
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(0) まぁロングソードなんて重すぎて持てないんだけどな。
(0) 頑張ってショートソード……無理だわ、ナイフならいける。
(0) その内二刀流でナイフとか持って見たいなぁ……恰好良く逆手に持って見たい。
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(0) 「ああ、それじゃーな! また何かあったら早朝位にギルドへ来ると大抵居るから用事あるならそこで待っててくれよー」
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(0) 「はい! その時はよろしくお願いします!」
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(0) 手を振り別れたアイギスとを背にして家へと帰る。
(0) 道行く人から『例の痴女だ』と小さく聞こえて来る、やはりこのフリフリの付きまくったメイド服は凄く目立つ。
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(0) 今日もフレイは一人で寂しくお留守番しているだろう。
(0) だってフレイってギルドで噂されているのだ『心折りに来る魔術師』って。
(0) 可哀想だけど事実なのだ、ふぐりがなければ俺の心も折れていただろう。
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(0) そして俺は『黒髪バニーの痴女』と言う不名誉なあだ名で呼ばれている。
(0) この間、今の俺より年下だろう少年に『お姉さんいくらですか?』と聞かれてしまった。
(0) 相当ショックを受けた俺はその日、家に引き篭もったのは言うまでもない。
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(0) 家のドアを開けるとそこにはフレイがいた。
(0) 優雅にお茶を飲んでいる姿がそこにある。
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(0) 「ミソギお帰りー、ふぐりは見つかった?見つかったなら明日こそクエスト行きましょうよー」
(0) 「ただいまー、んじゃ明日行くか―」
(0) 「やった! ようやくミソギが働くようになるのね! 私嬉しいわ!」
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(0) その言葉にちょっとだけ心に刺さる。
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(0) 俺だって社会人だったのだ、その言葉に思う事はあるのだが事実なので言い返せない。
(0) 仲間であり寄生先でもあるフレイの機嫌を損ねる事なんてしたくない。
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(0) 「……むぅ、まぁ最近ふぐり探してばっかりで何にもしてなかったしな、明日はどこだって着いてくよ」
(0) 「ふふん! 当然よね! はいお茶よ、じゃあ明日はクエストで決定ね? それじゃー魔術と文字のお勉強しましょうか」
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(0) 俺の分のお茶を用意しつつ、フレイはあの時の魔術書と絵本を取り出し机に置く。
(0) ちょっと汚れているのはスライムの粘液でベトベトになった手で触ったからだ。
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(0) 毎日フレイを講師にして勉強している。
(0) 俺から申し出たのを快諾してくれたフレイには頭が上がらない。
(0) その内無詠唱で『プチファイヤー』を撃てる日も来るだろう。
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(0) 「それじゃーまずは魔術の属性のお勉強ね!早く座りなさいなー」
(0) 「フレイせんせー! 今日もよろしくおねがいしまーす!」
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(0) 途中途中で『プフゥー』と煽られながらふぐりを握り楽しい1日が終わるのだった。
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(0) ◇
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(0) 早朝、この時間帯に目覚めるのはステータスさんが大音量でファンファーレを流すから。
(0) もう身体が起きる時間を覚えてしまっている。
(0) 眠い目を開けて起き上がると目の前にはステータスウィンドウが待ち構えている。
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(0) 「……お、おはよう……」
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(0) 0:55…起きました? 0:53…もうちょっと待ってください。
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(0) 「あ、うん、起きた起きた、だからファンファーレ辞めて? マジで、あれ心臓止まるからさ、カウント止めよう? いやホントにさ」
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(0) 起き抜けでいきなりコレだ、俺に安寧の時間はあんまりない。
(0) ステータスを一瞥しながら着替えへと手を伸ばす。
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(0) バニーかメイドかどっちでもいい。
(0) 俺のスーツが帰って来る頃だからそろそろこの服達ともおさらばだ。
(0) これで痴女と呼ばれることもないと思うと感慨深い物はある。
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(0) バニーでお願いします。0:21
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(0) 「あ、うん、分かった、だからファンファーレ止めよう、カウント辞めようぜ? お願いします、な? な?」
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(0) 慌てた俺はすぐさまバニースーツへと着替える。
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(0) もう着慣れた物だ、人前に出るのは少し恥ずかしいのだがもう慣れた……はず?。
(0) 俺って適応力が割と高かったんだなぁ。
(0) さすが俺だ、ファンタジー世界でも全然やっていけるぞ!。
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(0) ポーチと木剣を持ってドアを開けるとフレイが朝飯を食べているのが見えた。
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(0) 「ミソギおはよう! さぁ早く食べて早く行きましょう? ほらほらー」
(0) 「おはよー、んじゃ食ったらすぐギルド行くか」
(0) 「ええ、今日は何するの? 何でもいいわ、またスライムでも構わないわ!」
(0) 「俺も何でも良いや、適当に依頼書掴んでそれにしようぜ!」
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(0) 目の前の朝飯をモシャモシャ食べながら窓を見る。
(0) 今日も良い天気だ、また茶柱が立っているお茶を啜りながら俺の1日が始まった。