行別ここすき者数
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履歴はこちら。
(0) 太陽は頂点を差してて、絶好のお天気日和。
(0) ここはスライムがプルプルと跳ねまわる草原。
(0) 赤髪のローブを着た少女と、黒髪のバニーガール姿の少女がそこにいた。
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(0) 片方は元気一杯に木製の杖を振り回し炎の魔術を放つ。
(0) もう片方はドス黒いオーラを纏い、買って貰った木剣を八つ当たり気味に振り回している。
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(0) スライムはお構いなく、前衛のバニーガールへと体当たりを慣行する。
(0) バニーガールの少女は左手でそれを掴み地面へと叩きつけている。
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(0) 黒髪少女の心は荒れていた。
(0) 服屋からここまでの道のりに、羞恥心が限界へと達していた。
(0) それはまるで拷問なような距離。
(0) その道中は顔面は真っ赤に染まり、肩をブルブルと震わせて、右手は痙攣したように何かを揉みまくっていた。
(0) ぴっちぴちサイズのノーパンパンストバニーガール姿で、ここまで歩いて来たのだ。
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(0)
(0) 「お家帰りたい……けどチンコない……」
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(0) そう呟く俺は、変態的な思考はチンコ以外に持っては居ない。
(0) 比較的性癖がノーマルな男の精神を持つ俺は、ノーパンパンストバニーガールと言う恰好に少しだけ慣れて来てしまっていた。
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(0) 歪む性癖、だけど心の中で芽生える快感に男としての矜持がそれが許さない。
(0) なのにこれを着ないとフレイの発狂が発動してしまうジレンマ。
(0) 荒んでいく精神はもう臨界点が近い。
(0) 発狂するまでのカウントダウンはもう始まっている。
(0)
(0) いつも右手にあった精神安定物である物体は、腰に付けたポーチの中だった。
(0) 今は木剣を握り締めている為、無言で振り回す事でしかこの鬱憤を晴らすことは出来なかった。
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(0) バニーガール姿の少女が木剣でベチベチと最後のスライムを叩いていると『パチン』と音を立てて爆ぜる。
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(0) もう周囲にスライムの姿はない。
(0) これで最後の様だった。
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(0) 「スライムがいなくなっちゃったわねー」
(0) 「……」
(0) 「魔物を倒すとギルドカードに表示されるのよ!ほら」
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(0) 笑顔で駆け寄りながらギルドカードを差し出してくるフレイ。
(0) それを俺へと見せるように差し出してくる。
(0) そこには『スライム討伐数9/10』と書かれていた。
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(0) 「……おぉ、すごいなこれ」
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(0) 討伐した数がフレイの魔法のようなギルドカードに書かれている。
(0) それを眺めていると、ちょっとだけ気持ちを持ち直してしまう。
(0) それは男なら一度は夢見た、ファンタジー世界に来た事による不思議な光景だからだろう。
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(0) 木剣を腰に差し直し、自身のカードをポーチから取り出す。
(0) そこにはフレイと同じように『スライム討伐数9/10』と書かれていた。
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(0) 「おぉ!こっちにも書いてある!」
(0) 「当たり前じゃないの………まさかぁぁぁぁ?? そんな事も知らなかったのぉぉぉぉ??? プフゥー!」
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(0) 口に手を当ててナチュラルに煽るフレイ。
(0) すぐさま俺は左手をポーチへ突っ込みふぐりを握り締めた。
(0) それを痙攣するような速度で揉みしだくと荒れた心が修復されていく。
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(0) もうそろそろふぐりの耐久が心配になって来た。
(0) 壊れたら、また新しいふぐりを探さなきゃいけない……。
(0)
(0) 無言でそれを行う俺を見て、フレイは『何をしてるの?』と首を傾げて聞いてくる。
(0) 『フレイの煽りに心が荒んできて来ているんだよ』とは口が裂けても言えない俺は。
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(0) 「……別になにも……もっ!?」
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(0) ふぐりを握りつつ、その瞬間突然稲妻のような物が、俺の中へと駆け巡る。
(0) それはある種の閃き、またの名を天啓と呼ぶ。
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(0) 普通の精神を持つ者ならばそれをやるべきではない。
(0) だが衝動が抑えきれなかった。
(0) それほど俺の心は荒み切ってしまっていた。
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(0) 思い立ったが吉日と言う言葉に習う。
(0) 俺はフレイへと満面の笑顔を作り、お願いしてみる事にした。
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(0) 「……なぁフレイ、こっち来て欲しいんだけども……」
(0) 「何? 何? どうしたの? まさかスライム相手にケガでも……プフゥー!!」
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(0) 精神をガリガリ削られているけど、これから持ち直す為に我慢する。
(0)
(0) 「……ちょっと手を出してくれないか? 片手で良いからさ!」
(0) 「いいわよ……はい、どうぞ!」
(0)
(0) 俺はポーチから桃ほどのサイズのふぐりを取り出す。
(0) 何やら訳も分からずフレイは、こちらへと手を出している。
(0)
(0) その手へとふぐりを両手でギュっと握り締めさせた。
(0) フレイは特に警戒することなくふぐりを握っている。
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(0) 「それで、このブルースライムが何? アンタの宝物なんじゃないの」
(0) 「それ、ふぐりって言うんだ、プニプニしてて可愛いだろ?」
(0) 「へぇーふぐりねぇ、まぁ確かに可愛いわね!」
(0) 「イヒヒッ!」
(0)
(0) その時俺の脊髄がゾクッっとしたのを感じた。
(0)
(0) 年端も行かない可憐で無知な少女が『アンタのふぐり可愛いわねぇー』と言っている。
(0) そしてか細い綺麗な指で引っ張り揉みしだき手の上で転がす。
(0) その微笑ましい光景に俺の心は劣情を抱いてしまう。
(0)
(0) 「良いふぐりだろ?」
(0) 「そうね! このふぐり、プニプニで良い感触してるわねー!!」
(0)
(0) また背筋がゾクリとするのだが表には出さない。
(0)
(0) 女の子になってチンコを無くし、暴漢を返り討ちにしてバニーガールの恰好で、町を練り歩いてきた。
(0) ……これ位の役得があってもいいじゃんか。
(0) そう思うと途端に笑顔になっていく自分がいる。
(0) 俺はまた、新しい性癖を開拓してしまった……。
(0)
(0) そんな笑顔の俺に、フレイは不思議そうな表情で。
(0) 「どうしたの? すっごい笑顔だけど……」
(0) 「いやぁ、微笑ましいなぁって……」
(0) ……だって俺のふぐりを握ってんだもんよぉぉぉ!!。
(0)
(0) そんな、俺の心とは裏腹に、フレイはふぐりを俺へと差し出してくる。
(0) 「そう? そろそろふぐり返すわね? ……はい!」
(0) 「フヒィ!!」
(0) ……おっと、いかんいかん。
(0) ついつい、変な声が出ちゃった……。
(0)
(0) ふぐりを受け取った俺は、無知な子にイケない事を教える教師の気持ちが理解出来た。
(0) 下手に回数をこなしてしまうと癖になりそうで怖い。
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(0) もう少しだけその光景を見ていたいが仕方ない。
(0) ポーチへとふぐりを仕舞直すと深呼吸する。
(0) 勿論、精神は回復した。
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(0) 「あとスライム1匹でしょ? さっさと終わらせましょ?」
(0) 「ああ!! ラスト1匹頑張るか!!」
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(0) 意気揚々とスライムを探すバニーガールの俺は、元気一杯で歩いて行く。
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(0) ◇
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(0) あと1匹、だが探すと途端に見つからないそれは物欲センサーに近い物を感じる。
(0) 探せど探せど見つからないスライムに、俺はちょっとだけ飽きて来ていた。
(0) 『チンコないかなー』とか、キョロキョロと周囲を見渡すも、やっぱり落ちてない。
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(0) そんな事をしていると、フレイが俺の肩をポンポン叩き、話しかけて来る。
(0) 「ねぇ、ミソギはどこ出身なの?」
(0) 「……え?」
(0) 不意にそう聞かれた。
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(0) 出身地はすぐに答えられるのだけど、この世界にはない場所。
(0) それに本当の事を答えてしまうと『なにそれ?聞いたことないわねー、どんなド田舎ぁぁぁぁ? プフゥー』とか言って煽られるのは目に見えている。
(0)
(0) だから、俺はちょっとだけ悩む振りをしながら。
(0) 「えーと、そうだなー……遠い所……うーん……」
(0) 「うん、うん、それでどこなの?」
(0) そう答えて見たら、フレイはガンガン食いついてくる。
(0) ……どうしよう、日本とか言ってみる? 多分知らないと思うんだけどなぁ。
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(0) 「……うーん……」
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(0) この世界に来てまだ1日も経っていない現状、この世界の地理が全く分からない。
(0) それならば先人の知恵に習って、『東の方?』とか言ってみるのはどうだろうかと考えた。
(0) ゲームやアニメで見た知識だ、それで行こうと思う。
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(0) 「……東の方の大陸だな! なんか和風な所!」
(0) 「へぇーなら円大陸ね! ここはドル王国だからここから真東に円大陸があるのよ!物知りでしょー?」
(0) 「うんうん物知りダナー、フレイは凄いナー」
(0)
(0) 棒読みで褒めるとフレイは嬉しそうに口に手を当て微笑んでいる。
(0) 年相応のその態度に、いつもそうしてれば良いのにと思ってしまう。
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(0) そんな会話をしていると、フレイが突然指を差す。
(0) 「あっ! スライムが居たわ! あれで最後ね」
(0) 刺された指の先には、ゲル状の物体であるスライムが、ポヨンと跳ねてこちらへと向かって来ていた。
(0)
(0) ……スライムは弱い、俺の白い細腕でも簡単に捕まえられるほどだ。
(0) 動きも速くなく体当たりを食らっても痛くない。
(0) さしずめ草原のおやつと言った所だろう。
(0)
(0) 腰の木剣を抜くまでもなく素手で捕まえて投げつけると爆ぜて消える。
(0) だけど何となく恰好を付ける為に木剣を抜いて構えてみる。
(0)
(0) 外見はバニーガールの痴女なのだか精神はやっぱり男の子なのだ。
(0) 恰好付けてスライムを討伐して決めポーズをしてみたい。
(0)
(0) 「今回は俺がやるよ、ちょっと見ててくれ」
(0) 「分かったわ、頑張ってねー」
(0)
(0) フレイは手を振りながら応援してくれている。
(0) 今回は心が落ち着いている。
(0) 通信剣道で教わった奥義を試すには絶好の相手だ。
(0) 木剣を両手で上段に構える、スライムはもう目の前だ。
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(0) 「……奥義!」
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(0) スライムが飛び掛かってくる。
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(0) 「通信剣道! から! たけ! わりぃぃぃ!」
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(0) 大きな声で必殺技を叫びながら木剣をスライム目掛けて振り下ろす。
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(0) ……いっけぇぇぇぇ!!
(0)
(0) 『ブンッ!』と言う音と共に空を斬る。
(0) スライムには当たらず地面を抉る。
(0) 標的は俺の頭部に当たり『べちょん』と爆ぜる。
(0)
(0) 「…………」
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(0) 実際は数秒ほどの事なのだけどそれは数十秒に引き伸ばされたような感覚に陥る。
(0) 非情に気まずい空気が流れている。
(0) この後はどうなるかなんて嫌でも分かる。
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(0) 突然後ろから『ブ、ブフゥー』と言う声が聞こえて来る。
(0)
(0) ……やっぱりな! やっぱりな! だろうと思ったよ!!。
(0)
(0) 顔を真っ赤にしつつ後ろを振り返るとフレイが口に手を抑えているのが見える。
(0) 必死に堪えているのだろう事は分かる。
(0) だがその決壊は近い、何故ならフレイの身体が思いっきり震えているからだ。
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(0) 「プ、プフゥー!! から! たけ ! わりぃぃぃ! からのスカッ! プフゥー!!」
(0) 「あああああ!! やめろぉぉぉぉ」
(0) 「から! たけ! わりぃぃぃ! ブンッ、スカッ、べちょん! プフゥー!!!」
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(0) 杖を両手に持って俺の真似をしている。
(0) その姿を見ていると膝から崩れ落ちて顔を両手で塞ぐ。
(0)
(0) 「やめてくれぇぇぇ……」
(0)
(0) 悲痛な声で叫ぶが再度同じように真似をするフレイ。
(0) もう俺の精神ポイントは0だった。
(0)
(0) その時脳内に大音量のファンファーレが響き渡る。
(0)
(0) ---------------------------------------------------------------
(0) レベルアップしました!確認しますか? yes/no ×
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(0)
(0) 「な、何事!?」
(0) 真っ赤な顔を上げて耳を塞ぐ。
(0) フレイは気が付いてないようで未だに唐竹割の真似をしている。
(0) この音は俺にしか聞こえていないみたいだ。
(0)
(0) 気を紛らわしたい俺はとりあえずyesをタッチする。
(0) 現れたステータスウィンドウへと視線を送る。
(0)
(0) --------------------------------------------
(0) サイキョウ・ミソギ Lv100 ×
(0)
(0) スキル
(0) ・変質操作
(0) --------------------------------------------
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(0) 「……え? え? 何だこれ……」
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(0) そこに映るのはLv100と言う数字。
(0) ただのスライムを10匹ほど倒しただけでLv100。
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(0) 「なんだこれ……なんだこれ……」
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(0) 呆然自失でそれを眺める。
(0) 目を閉じてもう一度眺めて見るもLvは100のままだった。
(0) フレイは俺の様子がおかしい事に気が付くと声を掛けて来る。
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(0) 「何? どうしたの?」
(0) 「あ、いやなんかレベルがおかしいんだよ」
(0) 「レベル?そういえばアンタレベル30とか言ってなかった?」
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(0) フレイにはここに来る前にLv30だと伝えている。
(0) その時は『嘘だー』と言われた。
(0) 証拠のステータスを見せるも、フレイには見えないらしい。
(0) 『別に嘘なんて付かなくてもいいのにー』と笑顔で言ってくれたのだが真実だ。
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(0) ステータスにプルプルと指を差してフレイへと視線を送る。
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(0) 「いや、なんかレベル100に…」
(0) 「アタシ、アンタのステータス見えないのよ残念ねープフゥー!!」
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(0) そう言うとまた通信剣道・唐竹割の動作に戻るフレイ。
(0) だが、俺はそれに反応しているどころじゃない。
(0) ……とりあえずウィンドウを閉じて深呼吸しよう。
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(0) 震える指で右上の×ボタンを押した瞬間、また新しいウィンドウが勝手に開く。
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(0) 嘘です(はぁと)。 ×
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(0) 「はぁぁぁぁぁ!!??」
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(0) 俺の魂の叫びが草原へと響き渡った。