行別ここすき者数
小説本体の文章上でダブルクリックするとボタンが表示され、1行につき10回まで「ここすき」投票ができます。
履歴はこちら。
(0)
(0)
(0) ずっと昔から、ぼくには嫌いなものがある。
(0) それは、この時間────夜だ。
(0)
(0) 僕は、夜の包み込む様な闇が嫌いだ。
(0) 人も、モンスターも、剰え光すらも覆い尽くし、そしてそれら全てを自分のものだと言わんばかりに貪る。僕は、そんな夜の傲慢さが忌々しかった。その癖星々の明かりだけは残して雰囲気を演出する所なんて、一体お前は何様なのか。あまりの賢しさに反吐が出る。
(0) 太陽がいない間だけ威張り散らし、世界をなめとってしまう暴食の獣。それが夜だ。
(0)
(0) 僕は、夜の死を直観させる静寂が嫌いだ。
(0) 夜には、声というものが聞こえてこない。人は自然と眠りにつき、恐ろしいモンスターたちもじっと息を潜めて明日を待っている。世界中に無数の命があって、皆が時に傷つけ合い、時に助け合う世界。それこそが生き物のあるべき姿なのに、夜はその行動を阻害する。
(0) 世界の理を破壊し、僕らから繋がりを奪う障害。それが夜だ。
(0)
(0) 僕は、夜の責める様な視線が嫌いだ。
(0) なんにも無いはずなのに、誰もいないはずなのに、夜は、どこかからじっと僕を見つめている。暗闇に浮かぶ瞳は遍在し、決して逃れることなどできはしない。普段はそれでも無視しているけれど、一度それに気がつけばもう頭から離れなくなって、気が狂ってしまいそうになる。
(0) 僕から正気と安寧を奪う。だから、僕は夜が嫌いだ。
(0)
(0) ……でも、僕が一番嫌いな夜は。
(0) 僕の一番畏れる「夜」は。
(0) やはり、あの、悍ましくも気高く、そして強大な、夜襲の狼に違いないのだ。
(0)
(0)
(0) ◇
(0)
(0) そうして僕は、たった一人でベッドに潜る。今日も、心に一片の翳りを残して。
(0)
(0) 無力にその身を震わせながら。
(0) 悔しさに涙を滲ませながら。
(0) 僕は、いつの日か来たる夜明けを待つ。
(0)
(0) ああ、どうか願わくは。
(0)
(0) 君たちが、本当に「未知を進む者」ならば。
(0) 「歩み照らす者」だというならば。
(0)
(0) 開拓者よ。
(0) 僕たちとは違う者たちよ。
(0)
(0) どうか、どうか。
(0)
(0)
(0) あの「夜」に、僕の心に、安寧を───
(0)
(0)
(0) 『ユニーククエスト「襲いくる夜を襲う夜」が開始されました』
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)「………………ありがとう」
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)「………ん？ なあエムル。なんか知らないうちに俺のインベントリに変なアイテム入ってんだけど。これ何か知ってる？」
(0)
(0)
(0)「変なアイテム、ですわー？…………さあ、知らないですわ。サンラクさんのことだからまた何処かで勝手に拾ってきたんだと思うんですわ〜」
(0)
(0)
(0)「よーしエムルーちょっとそこでじっとしてろよー」
(0)
(0)
(0)「けけ、剣は、剣はやめるですわ、せめて拳にしてほしいですわ〜〜〜〜！！！」