ワンサマー・オブ・ナイト (Bloo-D)
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始まり
0-プロローグ


ヒロインとの初の出会い、そして一夏の回想


「お前、こんなところで何をしてるんだ?」

 

一夏「さあ…俺にもさっぱり……」

 

目を覚ました先で目にしたのは今まで見たことの無い風景に動物……いや、馬は流石に違うな……

っと更に金色の長い髪の女性、しかもスタイルも良いし綺麗な人だ。

けど肝心なのはこの状況がまだ理解出来てない事のみだ。

 

一夏「あの…俺、今の状況全くもって整理出来てないんですけど…ここは……っと言いますか…あなたは……?」

 

「私か?普通聞く方から名乗るのが常識だと思うが…まあ状況が整理出来ないのなら仕方あるまい。

私はこの国、アストロリアス王国の姫で近衛騎士団団長のミルドレット・アストロリアスだ。ミールと呼んでくれ。

そう言うお前は?」

 

ヘェ〜、この人お姫様なんだ。道理で綺麗なんだ……

って、見惚れてる場合じゃないぞ俺!ちゃんと自己紹介しないと!

 

一夏「え〜と……織斑…一夏です。でも……“織斑”って名字は、あまり好きじゃないんです……」

 

ミール「えっ、何故だ?何か嫌な思い出があるのか?」

 

はい…その通りです……でもあまりにもショックな事があり過ぎたので何も言いたくないんです……

 

ミール「黙っている所から察するに、何か嫌なことでもあったのだな?

だが、自分で全て抱え込むのは流石に良くないぞ。私が力になってやるから、全て話すといい」

 

えっ、聞いてくれるんですか?

 

ミール「そんな顔しなくとも聞いてやるぞ。何せ私は姫にして騎士なのだからな」

 

そっか……なら、この人なら…言ってもいいな……

 

一夏「それが……」

 

俺は今までにあった話を、そのミールと言うお姫様に語り明かした。

 

_______________________

 

 

俺は小さい頃に実姉と一緒に親に捨てられ、以来姉がバイトで家計を助け、俺は家事全般で家庭を助けるとした。そんなに裕福な生活では無かったけど、それでも幸せだった。

けれどそんな時にある出来事が俺の…いや、家族の運命を変える事となった。

 

今から10年くらい前に篠ノ之束博士が発表したインフィニット・ストラトス、通称“IS”。それは宇宙空間での活動を想定して開発されたマルチフォーム・スーツ。しかしこいつは女性にしか反応しないことが欠点故に、発表された当初は全く注目されなかったが……

 

日本を射程距離内とするミサイルの配備された全ての軍事基地のコンピュータを何者かが一斉にハッキングして、2341発以上のミサイルを日本に向けて発射。その約半数を搭乗者不明のIS《白騎士》が迎撃した上、捕獲もしくは撃破しようと各国が送り込んだ大量の戦闘機や戦闘艦等の軍事兵器の大半を無力化。この一連の騒動は後のちに『白騎士事件』と呼ばれる事件により、従来の兵器を凌駕するISの圧倒的な性能が世界中に知れ渡り、千冬姉はISによる世界大会(モンド・グロッソ)で総合優勝及び格闘部門で優勝し、世界最強の女性(ブリュンヒルデ)の称号を手にして世界中の女性達から英雄視されるようになったけど、それに対して俺への扱われ方は極めて最悪だった。

 

俺は男というだけで虐待されて、たとえ良い結果を出しても……

“織斑千冬の弟だから出来て当然だ”

とかで誰も褒めたりはしない。しかも今まで親しかった友達も急に……

“お前のせいで不幸になったんだ!”

とか言って殴りかかってきて、皆それを嘲笑いながら眺めてるだけで、みんな俺の事を“織斑千冬の付属品”とか呼んで出来損ない扱いする始末だった。

 

そして俺の唯一の心の支えだった姉は……

“悪いなクソガキ、ブリュンヒルデ様はテメェの事を見捨てちまったみたいなんでな。恨みはネェがここで死んでもらうぜ”

ドイツでの第二回モンド・グロッソで応援に行った際に俺は誘拐されて、その誘拐先で俺は殺された。

攫った理由は千冬姉にモンド・グロッソで優勝させないためだったみたいだけど、その千冬姉は決勝にまで勝ち上がったそうで俺は千冬姉に失望した。

 

それから俺は死んだかと思うと目を覚ました先が、アストロリアス王国という国でそのお姫様だった。

 

_______________________

 

 

ミール「そうだったのか、それはさぞ辛かっただろうな……」

 

ええ辛いですよ……もう泣きたいくらいに辛いですよ……

 

ミール「良し分かった、それを聞いたからにはお前を放っておくわけにはいかない。

ならば私のもとに来ると良い。そうすれば食べるのと寝るのには困らんし、何よりみんながお前を認めるだろう」

 

えっ?こんな俺を……

 

一夏「いいんですか?こんな出来損ないなんかに……」

 

ミール「何を言うか!お前はちゃんとしたシッカリ者だ!お前はちゃんと努力してる、お姉さんを助けてる、それは立派なシッカリ者だ!私ならそんな弟がいれば誇りに思う!!

それを出来損ないなぞ言うのは愚者共がする行いだ!そんな不届き者が居るならば、私が一人残らず成敗してくれる!!」

 

一夏「!」

 

この人…本気で俺の事を……まるで…太陽みたいな…本当のお姉さんみたいだ……

 

一夏「それじゃあ…宜しくお願いします……ミルドレットさん……」

 

ミール「ああっ、宜しくな。後一つ、私のことは“ミール”と呼べ。それとお前は今から、私の大事な弟とする。

イイな?」

 

一夏「はい…ミールさん……」

 

こうして、先の分からぬ俺の物語が始まった……




書いてみたはイイけどなんかイマイチだな……
今度は戦闘シーンとか入れてみようと思いますが、期待に応えられるかどうか心配です……


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1-双天の炎騎士

一夏が異世界に来て一年経った辺りの話…の訓練

本来ならどこかの国との戦いでも書こうと思ってたのですが、それだとややこしくなるかと思いあえて訓練描写にしました

あと他作品キャラも登場します


あれから一年くらいが経過したある日のアストロリアス王国……

 

≪キンッ≫

 

ミール「うおっ!?強くなったなイチカ。

流石は私の弟だ」

 

イチカ「“双天の炎騎士”とか呼ばれるようになったからには、強くならなきゃどうしようも無いでしょ?

それに、ミール姉さんの弟になった以上は尚更ですし」

 

ミール「ふっ、それもそうだな。

ならば“疾風の姫騎士”と呼ばれる私としても、負けるわけにはいかないな!」

 

イチカ「それを聞けてよかったですよ、久々に本気出せますから!」

 

≪カンカンカンッ≫

 

 

俺、織斑一夏は今幸せだった。

 

ミール姉さんが言ってた通りみんな親切だし、何より国を治めてる王妃様から……

“娘がとてもあなたを気に入っているから受け入れるし、私達も大歓迎するわ。

これからはこのアストロリアス王国を、あなたの大事な故郷だと思いなさい”

っと言われて王族入りして“イチカ・ヴァレンス・アストロリアス(ヴァレンスはアストロリアス王国の王族のウチの一つで、ミール姉さんも本名はミルドレット・ヴァレンス・アストロリアスだそう)”という名を貰い、ミール姉さんの弟として、良き理解者として傍らに居ると誓った。

 

更に俺はミール姉さんに守られてばかりいるのが情けない気がして何か力になれないか相談したところ……

“それならば騎士の称号を手にして騎士団に入ると良い。特に私の近衛騎士団にもう一人くらい力のある騎士が欲しいと思ってたところだったんだ”

こんな感じで誘われた俺は騎士の心得について学んで騎士団に入った。最初は今まで経験したことの無かった訓練に戸惑ったけど、ここ(アストロリアス王国)に来てから半年経った時……

“あなたの心に強い炎が見えます、それに強い覚悟も……

わたしはそんなあなたに惹かれ現れました。是非わたしと契約させて下さい”

突然現れた炎の精霊イフリートから精霊契約を求められて契約を交わし、今では炎を操る能力を使えるようになった。

 

そして今では"身に纏った者に天の奇跡を与える"と言われる“双天の鎧”を身に纏い、更にスピアーみたいな2本の剣“双天の刃”を武器に戦い、誰もが俺を“双天の炎騎士”と呼んでいる。

 

 

ミール「はぁあああああああ!!」

 

一方のミール姉さんは王国の近衛騎士団団長を務めてる上に、風の精霊シルフと契約を結んで風を操る能力で戦うさまから“疾風の姫騎士”の二つ名で国中…いや、この世界(異世界センチネル)中から恐れられてるらしい……

 

イチカ「うぉおおおおおおお!!」

 

でも俺もイフリートと契約してから成長して、今ではミール姉さんの補佐を行う副団長の座に就いた身である以上は簡単に負けることなんてあってはならない。

 

ミール「風神剣!」

 

イチカ「爆炎剣!」

 

≪ズガァアアアアアアア!≫

 

渾身の一撃を叩き込んだは良いけど、そのせいで辺りは土煙に覆われて視界が効かなくなってしまった。

 

イチカ「はぁ…はぁ……」

 

ヤバイな…ミール姉さん強えぇ……

 

ミール「……」

 

膝が地面についてるけど息切れはしてないな……やっぱり強いなミール姉さん……

 

ミール「本当に強くなったなイチカ、それでこそ私の自慢の弟だ」

 

イチカ「ありがとうございますミール姉さん。

でもコントロールがまだ不完全だから、まだまだだよ」

 

確かに自己流で特訓して来たけど、今の俺は前より強くなったって実感はある。でもミール姉さんの隣りに立つにはまだ力不足だと俺的に思ってる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

ユーリ「おいおい、そのわりには随分と余裕そうな顔じゃないか?なんなら俺とも手合わせしてくんねぇか?」

 

ジュディス「あらいいわね、最近は盗賊狩りばっかりで飽きて来たところなのよ」

 

相変わらず怖いな…2人共……

この2人は近衛騎士団の斬り込み1番隊隊長のユーリさんと2番隊隊長のジュディスさん。2人共実力あって騎士団に入ったのはいいけど、結構な戦闘狂で団長のミール姉さんでも扱いに困ってるそう。

それとユーリさんは人間だけど、ジュディスさんはエルフの…その中でも珍しい穏やかな種族のクリティア族出身で、ジュディスさんはその中でかなり猪突猛進とかで族から追放されて、それから勧誘を受けて近衛騎士団に入った身らしい。

 

ティア「2人共、お喋りはそこまでにしておきなさい。

副団長が困ってるわよ」

 

おお…天の助けが……

 

ユーリ「冗談だよ。別に好きで挑んだりしねぇよ」

 

ジュディス「それもそうね。でも、彼がその気なら本当にやってたけどね」

 

心臓に悪いな…この2人は……

 

ティア「全くあの2人は、冗談なのか本気なのかわからないわね」

 

イチカ「ですね」

 

ティア「っというよりも、あなたも情けないわよ。

初めて会った時と変わらないなんて、恥ずかしくないの?」

 

イチカ「う……」

 

ティアさん優しいけど、厳しい……

このティアさんは近衛騎士団で魔法を使っての後方支援に優れてて、しかも歌も得意でミール姉さん達の友人らしい。

けれど姉さん達とは違って厳しいのは正直否めない……

 

 

クロエ「グランツの言う通りだぞイチカ、お前は今でも充分強いだろう?少しは誇らしく思わないのか?」

 

イチカ「そう言うクロエ姉さんは感情的になり過ぎだと思うよ。

この間の盗賊の件だって__」

 

クロエ「なっ、何言ってるんだイチカ!あれはあの場にイルバーンが居ただけで__」

 

ユーマ「クロエ、それって“僕があの場に居たら駄目だった。”ってこと?」

 

クロエ「いやそう言う訳じゃ!」

 

手合わせ終わりに話し掛けて来たのは、ミール姉さんの妹のクロエ姉さん、本名はクロエ・ヴァレンス・アストロリアス。但しクロエ姉さんはヴァレンス流剣術の師範だから、単にクロエ・ヴァレンスで名が知れてるそう……

でも感情的になりやすいから時々敵との場に居合わせた仲間も巻き添えにしちゃうのが日常茶飯事。横からつっ掛かって来たユーマもその一人だ。

 

 

ソニア「全く、これで騎士だなんて……騎士団団長の姉と副団長の弟を持つ立場として、恥ずかしく思わないの?」

 

クロエ「それは…ごもっともだが__」

 

リンナ「ほほ〜、そのさまでは一生騎士止まりのまま出世出来ませんな」

 

クロエ「何だとメイフィールド!覚悟は出来てるのか?!」

 

リンナ「残念ながらそうはいきませ〜ん♪」

 

クロエ「逃げるな腰抜けめ!正々堂々勝負しろ!!」

 

今度はユーマの知人で王族出身でもあるソニアさんと、その友達のリンナさん。まあリンナさんは人をからかうのが好きでよくクロエ姉さんをいじって追いかけっこを毎日繰り広げてるけど……

 

キリカ「あの二人は相変わらず仲が良ろしいですね」

 

ユーマ「いや、あれはリンナがからかってるだけだと思うけど」

 

確かにね……

 

 

フリーゼ「やれやれ、マトモな輩が居ないわね。あなたのところの騎士達は」

 

イチカ「まあ確かに、でも…ティアさんはその中でもマトモだからいいですが……」

 

フリーゼ「あら、それって“私はマトモじゃない。”ってことじゃないの?」

 

イチカ「いやそんなことはないですよ!フリーゼさんも真面目で立派な人ですから!!」

 

フリーゼ「あら嬉しいわ!流石は私の弟ね♪」

 

ミール「ちょっとフリーゼ!イチカは私の弟だぞ!!」

 

フリーゼ「何言ってるのかしら?こんなのは一早くイチカの心を手にした者が勝つのよ♪」

 

ミール「そんなワケないだろ?!」

 

また始まったよ……

今度はミール姉さんの幼馴染みで大臣を務めるフリーゼさん。国で唯一の女性大臣ってだけあってか国内じゃ人気の的。けれど俺を弟扱いしてその都度ミール姉さんと衝突してが日常茶飯事だから正直もうやめてほしい……

 

 

フリーゼ「そういえばイチカ、王妃殿下があなたと話がしたいとか言ってたわよ」

 

イチカ「えっ、王妃様が?」

 

フリーゼ「そうよ、後で会うといいわ」

 

イチカ「判りました」

 

王妃様が俺に何の用だろう……?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

王妃様の謁見室にて……

 

王妃「ごめんなさいね、いきなり呼び出しちゃって。

何せあなたが最近幸せそうだってフリーゼから聞いたから確かめておこうと思ったのよ」

 

イチカ「そうでしたか」

 

何だと思えばそれか……心配して損した……

 

王妃「それと、イチカ君は今年でいくつになるのかしら?」

 

イチカ「えっ?じゅ…15…ですが、それがどうかしましたか?」

 

俺の歳なんか聞いてどうするんだ……?

 

王妃「ならば…そろそろ婚約者を見つけなきゃならないわね♪」

 

えっ、婚約者……?

 

王妃「何をとぼけた顔してるのかしら?

あなたが王族入りした以上、何れこの国を治める王となるためにも婚約者は必要な事よ。

知らないの?」

 

イチカ「いやそんな事を言われましても__!」

 

≪バタンッ!≫

 

ミール「ちょっと母上!一体どういうことですかそれは?!」

 

王妃「あらミール、随分行儀悪くなったわね。ノックもしないで部屋に入るなんて、お母さんビックリしちゃったわ」

 

ミール「とてもそうには見えませんでしたよ!それよりも何故イチカの婚約者を見つける話になるのですか?!

イチカは今騎士としての道を歩んでいるのですよ!それにイチカは王位継承権は__!」

 

王妃「確かにイチカ君に王位継承権は無いわ。でも、大臣達は、“イチカにも未来の妻を迎える必要がある。”って言ってるからそういう訳にも行かないのよ」

 

ミール「どうせフリーゼからの差し金じゃないのですか?!既にもとは取れてるのですよ!!」

 

王妃「もとよりミールが悪いのよ。20になったっていうのに婿を迎えようともしないから__」

 

ミール「それは騎士としての仕事が忙しいからで__!」

 

王妃「それは言い訳にしかならないわよミール、いやならすぐにでも婿を迎えなさい」

 

ミール「ですが!」

 

あの……お2人とも…俺の意思は……?

俺の話だったっていうのにミール姉さんが間に入ってきての親子喧嘩が勃発。

ってかこれ俺の問題だってのに勝手に話進めるのやめてくれませんか……?

 

ミール「だったらイチカはどうなんだ?!」

 

イチカ「えっ!?」

 

王妃「そうね、私達だけで言い争うのは流石にイチカ君のためにもならないわね。

イチカ君、あなたはどうなの?お嫁さんは?」

 

イチカ「そ…それは……」

 

俺的にいえば……

 

イチカ「ミール姉さんと結ばれるのなら……」

 

ミール「えっ、私か!?」

 

イチカ「えっ?はっ!」

 

王妃「今、“ミールがお嫁さんならいい。”って言ったわねイチカ君?」

 

うおぉおおおお!俺としたことがあぁああああ!!

つい口に出てしまったあぁああああああああ!!

 

王妃「よし!そうと決まればすぐ結婚式をもよおさないといけないわね!すぐに大臣達を集めて会議を開かなくては!!」

 

ミール「ちょっ…ちょっと待って下さい母上!」

 

王妃「それでは…アデュー♪!」

 

≪パタンッ≫

 

「「……」」

 

 

そう言って王妃様は部屋から出て行って、俺はミール姉さんと2人っきりに……

てかさっきの告白紛いな一言のせいで声出したくない……てか正直穴があったら入りたい……

 

ミール「えっと〜、イチカ……?」

 

イチカ「はい……?」

 

ミール「私の事…そんなに…好き…だったか?

妻にしたい程に……」

 

イチカ「……ミール姉さんみたいに強くなりたいと思ってた時は…そんな感情は無かったけど……ずっと一緒に居るうちに好きになっててそれで……」

 

ミール「そ…そうか……」

 

マズイ…マジで居心地悪い……早くここから出たい……

 

ミール「別に…いやじゃないが……私の未来の婿がイチカなら…いいぞ……///」

 

へっ……?

 

イチカ「いま…なんて……?」

 

ミール「い…イチカが私の夫になるなら私はいいぞ!何せ私もお前が好きなのだからな!」

 

イチカ「えっ…えっ///!?」

 

ウソ……ミール姉さんと両想いだった…なんて……

 

イチカ「こんな…俺でも…いいんですか?」

 

ミール「ああ…勿論だ…姉としても女としてもお前が好きだ///」

 

イチカ「……俺もですミール姉さん……世界中の誰よりも…愛してます……///」

 

「「……」」

 

それから沈黙が流れたものの、その空気をどうにかすることは俺に…いや俺たちには出来なかった。

理由は勿論、恥ずかしいから……///

 

 

 

その翌日、俺とミール姉さんの結婚式が執り行われて国中がお祭り騒ぎになり、ミール姉さんはフリーゼさん達と俺を巡って取り合いの決闘を繰り広げた……




ハア……なんだかんだで書いてたら5000文字辺りまで書いちゃったなぁ……

オマケになんか後味が足りない気がする……

ところで次回はどうしよう……


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設定

唐突かもしれませんが、世界観とキャラ(以降登場するキャラふくめて)確定させようと思い用意しました(一応ですが……)


世界観

 

異世界センチネル:

広さは地球くらいあり、大国のアストロリアス王国を中心に様々な国家や種族がひしめき合う。

対立する国家は少なからず存在するが、アストロリアス王国を含めた殆どの国家は同盟や条約を締結して平和を保っているが、世界征服を目論むロンバルディア帝国はアストロリアスと幾度も軍事衝突を繰り返している。

 

 

 

国家

 

アストロリアス王国:

センチネルのほぼ中央にある大国。

一夏が来るずっと前は、多くの王侯国家からなる小国だったが、ヴァレンス公国が近隣諸国を取り込み、又は合併して今の姿となり、当時の王家は王族の一員として国王の補佐を務めてる。

センチネルの中では一番の大国で、国家元首は国王だが、執政は国民から選出された議員から構成される国民議会と王族出身の大臣達の助言の元で王妃が執り行う。

軍隊には国民皆兵の常備軍と王族直属の近衛騎士団があり、常備軍はソニアが…近衛騎士団はミルドレットが指揮を執っている。

 

ウェルラント王国:

アストロリアス王国と隣り合わせに接する国でセンチネル全域で暮らすエルフの故郷。この国では種族差別が皆無に等しい為クリティアやダークエルフを含めた多くの種族が暮らしている。

資源が豊富な国家であるが故にロンバルディア帝国に領土を狙われてるがためにアストロリアス王国と同盟を組み、侵略を防いでいる。

 

ロンバルディア帝国:

センチネル北方の大国。センチネル全域の征服を目論んでいて強行的な南下を繰り返し、アストロリアスやウェルラントといった国々への侵略行為を繰り返していて、更に各地の種族間の争いにも介入している。

 

 

 

種族

 

人間以外に、精霊,エルフ,オーク,ドワーフなど多種多様で互いに調和しながら暮らしてるが、中には過激な者達がいて、度々種族間の争いが起きている。そしてその争いには、裏でロンバルディア帝国が関与している場合が多い。

 

 

 

キャラ

 

イチカ・ヴァレンス・アストロリアス:

原作の織斑一夏。ミルドレットと出会って今の名を貰い、彼女の役に立とうと近衛騎士団に入った。イフリートとの契約で炎を操る能力を得た。

騎士団きっての二刀流使いで二つ名は双天の炎騎士。

ミルドレットの前で告白紛いな発言をして両想いという形で彼女と結婚した。

毎日の訓練を欠かさないが、ヒロイン達から取り合いの対象にされて困っている。

 

ミルドレット・ヴァレンス・アストロリアス:

本作のヒロインで、ハーレムキャラその一。アストロリアス王国の王位第一継承者でクロエの姉で近衛騎士団団長を務めている。シルフとの契約で風を操る能力を得ていて、細剣による高速剣技から疾風の姫騎士と呼ばれてる。

イチカと両想いで結婚し、弟としても夫としても大事にしてるが、フリーゼ達とイチカの取り合いを繰り広げてる為苦労が絶えない。

 

クロエ・ヴァレンス・アストロリアス:

ハーレムキャラその二。

ミルドレットの妹でイチカの姉でもある。

ヴァレンス家に古くから伝わるヴァレンス流剣術の継承者で師範。人の名は苗字で呼ぶ方だが、家族は…特にイチカの場合は呼び捨てである。

騎士であることが唯一の誇りで正義感が強いが、冗談を真に受け易くしかも猪突猛進な性格で味方を巻き込んだ騒動を起こす。

フリーゼ程では無いもののイチカが好きで、周りより一歩引いた立ち位置で取り合いをしている。但し、時々思い切った行動を取ることもある。

 

フリーゼ・グレーテル:

ハーレムキャラその三。

アストロリアス王国唯一の女性大臣で国民から人気のある女性。

ミルドレッドとは幼馴染みという関係で、彼女を負かそうとイチカを自分の弟扱いしてたが、彼がミルドレットと結婚してからは自分の男にしようとよく彼女と取り合いを繰り広げてる。

 

ユーリ・ローウェル:

近衛騎士団の斬り込み隊の1番隊隊長。

王都の下町の産まれで、イチカと仲が良いが血の気が多い。

 

ジュディス:

近衛騎士団斬り込み隊の2番隊隊長。

ユーリとは旧知の仲でウェルラント王国出身。

それあってユーリとコンビを組んで行動することが多い。

 

ティア・グランツ:

ハーレムキャラその四。

近衛騎士団の後方支援部隊指揮官。

魔法による後方支援を得意とする術師だがれっきとした騎士でミルドレットとフリーゼの友人。

感情を表に出したりすることは滅多に無いが可愛いモノに目がない。

イチカには厳しいところがあるも恋心を抱いている。

 

ユーマ・イルバーン:

王国常備軍に属する軍人で騎士だが、優しい性格があってイチカとは仲が良い。

軍人ではあるが弱々しい性格もあり周りの空気に振り回されがち……

キリカとは将来を誓い合った仲で関係は良好。

 

ソニア・ブランシュ:

ハーレムキャラその五。

王国常備軍の指揮官で王族出身の騎士。

王位継承権は無いものの王族である為、一般に“ソニア嬢”と呼ばれている。

雷の精霊ヴォルトとの契約で雷を操る能力を得て、雷撃の嬢騎士の二つ名を持つ。

イチカのことを良き弟のように思ってるが、同時に好意も抱いている。

 

リンナ・メイフィールド:

ウェルラント王国出身のエルフで、キリカとは幼馴染みという関係にある。

ユーマとキリカとの仲は認めているものの、時にはユーマに思いを寄せながらもはぐらかしたりして、本質が掴めない。

趣味はクロエをいじることで、よくいじっては追いかけっこを始めるのが日常茶飯事。

 

キリカ・トア・アルマ:

ウェルラント王国出身のエルフ。

イチカ達とは歳がそう離れていないため仲が良く、特にユーマとは将来を誓い合った仲であるせいかユーマと一緒にいる時間が一番多い。しかし箱入り娘であるせいか世間慣れしていない。

レスティの妹だが、本人がシスコン故にユーマを認めていないことを理由に兄には冷たい。

 

エクセラ・ノア・アウラ:

ハーレムキャラその六。

元はロンバルディア帝国の皇帝の娘で帝国軍最高司令官だったのだが、イチカとの戦闘で敗北したことと、皇帝である父の狂気ぶりに嫌気がさしてイチカ達に寝返った。

現在はアストロリアスで公爵の身分を持ち、近衛騎士団に属する騎士として過ごしている。

 

ヴィタリー・トゥイニャーノフ:

ハーレムキャラその七。

アストロリアス随一の頭脳を持つ王国の科学者で医療にも精通している。

イチカ専属のメンタルカウンセラーでもあり、イチカに好意を寄せる者の1人でもある。

 

レスティ・セラ・アルマ:

ウェルラントのエルフ騎士団を指揮する騎士団長でキリカの兄。

妹思いなシスコンでユーマとキリカとの関係を認めておらずよくユーマを目の敵にする。その為妹のキリカから冷たい扱いを受けている。

 

王妃:

アストロリアス王国を治める王でイチカの良き理解者。

ミルドレットとクロエの母でイチカのことも自分の息子の様に慕っている。

争いの絶えないセンチネルが一刻でも早く平和になることを祈っており、侵略を繰り返すロンバルディアへの対抗策にウェルラントと同盟を組むことを決意した張本人でもある。

民を大事に思う姿勢で国民のみならずセンチネル全体から“賢王”と呼ばれ、広く慕われている。

 

 

敵キャラ

 

ゲオルグ・ザルバード:

ロンバルディアの軍司令官で将軍。

かつてはエクセラの部下だったが、エクセラ自身が帝国から抜け出たために彼が事実上の帝国軍最高司令官を務めている。

皇帝からの命令に忠実な男だが、底知れぬ野心の持ち主でもある。

 

ゼスト・グレアム:

ゲオルグの部下で帝国の騎士。

帝国軍内で最強最悪と称される狂戦士。“このセンチネルで己自身が一番強い”と過信する自信家であり、その自信に違わない程の力を持つが、イチカとの一騎打ちで敗北後はイチカを倒す事のみを生き甲斐とする様になる。

 

ヨアヒム・ルーベンス:

帝国一の魔導学者で科学者。

生体医学や魔導研究を専門とする帝国屈指の天才だが、その才能はヴィタリーに遠く及ばない。

研究のためならどんな犠牲もいとわないマッドサイエンティストだが、同胞の命を危険に晒す様な研究は絶対にしない性格でもある。

 

ベアトリス・イルマ:

帝国に身を置くダークエルフ。

元はキリカ達とは親しい仲であったものの、現在は考えが合わないことを理由に帝国側についている。

 

ネビリム:

帝国に仕える巫女。

大昔は四大精霊を従えセンチネルに君臨してた冥府の神だったが、精霊達の離反と当時の勇者達に倒されて死んだ過去を持つ。そんな彼女をセンチネル征服を目論む皇帝がヨアヒムの魔導科学によって蘇らせ、現在は蘇生された見返りに帝国のセンチネル征服を手助けする巫女となったが、彼女が帝国に手を貸す本当の理由は、自身を倒したセンチネルの民への復讐だった。

精霊の力は四大精霊の離反によって失ったが、現在では魔導科学の副産物として僅かながらに力を行使出来るようになった。

 

デューク・バンタレイ:

帝国軍の騎士で公爵の身分を持つ将軍。

元はアストロリアスの騎士でユーリとは顔馴染みだったが、ある時を境に祖国を裏切って帝国についた経歴を持つ。

 

皇帝:

言わずと知れたロンバルディアを統治している国家元首にして、センチネル全域の征服を目論む人物でエクセラの父親。

子供に恵まれなかった為彼女に深く溺愛し、世界平和の為見事な政治手腕で“賢帝”と称されていたが、ある時を境に性格が豹変、目的のためなら大事な娘を犠牲にすることすら厭わない冷酷非情な男となり、そのせいでエクセラから嫌われる一因となった。




今のところ登場確定なメンバーを紹介しましたが、これでもまだ増えると思います(特に原作キャラ)……
それまでは上記で我慢してください……
オリキャラの悪役も考えてましたが、どうしても他作品のキャラが出てしまう為ヤメました。

次回はロンバルディアの侵略を舞台に書こうと思います。
*とはいえ、エクセラは既にイチカ達の仲間という設定の上で…ですが……


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2-帝国の侵攻(前編)

最初は戦闘シーンを書こうと思いましたが、前振りも兼ねて開戦直前の話まで書こうと思います


ミール姉さんと結婚してから数日後……

 

イチカ「この!」

 

ユーリ「なんの!」

 

≪キンッキンキンキンッ≫

 

ユーリ「流石は副団長様だな、だが……

幻狼斬!」

 

≪ザンッ≫

 

イチカ「ぐうっ!

やったな!やられたらやり返す……○返○だ!

崩襲剣!!」

 

≪ゾンッ≫

 

ユーリ「うぉっ!?」

 

今はユーリさんと決闘中。とはいえ、あくまで訓練でやってるから手加減もちゃんとしてる。

互いに腕試しし、互いに力を高め合う為にミール姉さんが取り入れたそうでこれが結構騎士団で反響だった。ユーリさん達が“退屈凌ぎにはなる”ってワケでほぼ毎日やって殆ど倒しちゃって怒られてはいるけど、常備軍の騎士達も腕試しに来るから、俺も退屈しないし休憩になったらみんなとお喋り出来るからミール姉さんの発案には感謝しきりだ。

ただ気に入らないのは……

 

ミール「こらフリーゼ!あなたってばまた私の夫を__!!」

 

フリーゼ「あら、いつも不注意で不用心なあなたがイケナイんじゃない。

この“デカパイ”」

 

ミール「なんだとぉ〜?!

この“チッパイ”めぇ〜!!」

 

「「うぅうううう!!」」

 

突然乱入して来て俺を部屋へ連れてこうとするフリーゼさんと、それを阻止しようとしていつも言い争いを繰り返すミール姉さん。

もういい加減にして欲しいものだな……

 

ーーーー

 

士官「ブランシュ様にミルドレット姫様!大変です!!」

 

ソニア「どうしたの急に?」

 

ミール「何かあったのか?」

 

士官「国境警備隊からの報告によりますと、ロンバルディア帝国が再び我が国に侵攻して来たとの通報が!!」

 

ソニア「なんですって!?」

 

ミール「ロンバルディアめ、性懲りも無くまた攻めて来たのか。

判った、では直ちに作戦会議を開く。常備軍の幹部を集めよ」

 

士官「はっ!承知しました!!」

 

 

ミール「みんな、訓練はここまでだ!これより緊急対策会議を開く!騎士団及び常備軍の指揮官や隊長はすぐに集まれ!!」

 

クロエ「全くあの無法な侵攻ばかり繰り返す愚か者共め!わたしが剣で成敗してくれる!!」

 

ユーリ「へいへい、言われなくとも分かってるさ」

 

ジュディス「ふふ、思いっきり身体を動かす時が来たみたいね。最近訛ってたところなのよ」

 

ティア「知らないわよそんなのは。

ほらイチカ、早くしないと置いてくわよ」

 

イチカ「言われずとも行きますよ」

 

平穏な訓練は常備軍士官からの突然の一報で終わり、みんなの後について作戦会議室へ急いだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

王妃「どうやらまたみたいね」

 

エクセラ「そのようですね。我が父上が本当に多大な迷惑を掛けて、申し訳ありません」

 

王妃「いえいえ、何もあなたが謝る必要はないわ」

 

イチカ「そうですよ。エクセラさんも被害者ですから、気にしないでください」

 

エクセラ「それはそうだが……」

 

このエクセラさん、実はセンチネル征服を企んでるロンバルディア皇帝の娘で軍の指揮官だった。

けれどアストロリアスへの侵攻を俺達に阻止されて、更に大昔倒された女神“ネビリム”復活のための生贄にされそうになって親と決別して俺らの側に付いた。

そのためどっちかといえばエクセラさんも、れっきとした被害者と同じだ。

 

 

ソニア「とにかく、今は侵入して来た帝国軍をなんとかしないと」

 

ユーマ「そうだね、放って置いたら何をやらかすのかわからないしね。なんとか追い出さないと」

 

ソニア「報告によると、帝国軍はタルヴァ川に沿って南下し、今は北部の小さな町“アバルチャ”の北西13kmの地点の平地“マヌエル平原”に陣を展開してるそうよ」

 

ミール「マヌエル平原は広さは400ヘクタールもある広大な平原でしかも地盤が硬く、しかも草木が所々に茂るだけで遮るものが何もない辺鄙なところだから守備にも攻撃にも適した土地ね」

 

ティア「侵攻軍の数はせいぜい3~4万、しかも帝国が誇る精鋭部隊らしいわ。これは厄介ね」

 

イチカ「かなりの大軍ですね。しかし、大軍なら一瞬でも態勢を崩そうものなら纏め直すのに時間が掛かりますから……常備軍と騎士団主力で敵陣に突入し、敵が我らとの戦闘に油断した時に斬り込み隊とウェルラント騎士団が背面から奇襲を仕掛ければ__」

 

ユーリ「“幾ら大軍だろうが敵は混乱する”っか?」

 

イチカ「その通りです」

 

ジュディス「いいんじゃない?わたしは好きよ、その手の戦い方は」

 

クロエ「後ろから不意打ちなど卑怯な策は騎士がとるべきではないが、無法な侵略を繰り返す敵に情けを掛けては騎士の恥だしな」

 

ソニア「名案じゃない?わたしはイチカの提案に賛成するわ」

 

キリカ「わたくしも賛成ですわ、大軍を相手にするには効果的な作戦だと思います」

 

ユーマ「キリカがそう言うのなら、僕も喜んで賛成するよ」

 

レスティ「フン。ユーマの言い分は納得出来んが、キリカが言うのなら私も賛同する」

 

ミール「決まりだな、ではそれで行こう。

では30分後に出撃する!各隊早急に準備せよ!!」

 

『おおおお〜〜〜〜!!!!!!』

 

一般人からすれば気が萎える程に長い長いミーティングの末に作戦が決まり、俺達は準備に掛かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして30分後……

 

士官「全隊の準備、完了致しました!いつでもどうぞ!」

 

ミール「うむ、全隊!前へ!進めぇ!!」

 

出撃準備を万全に備えた俺達は王都から出撃。

迎撃部隊の数はおよそ1万。数では帝国軍に劣るものの、皆数多の戦闘を経験した歴戦の勇士ばかりで実力なら帝国軍に引けを取らない。

 

 

『わあぁああああ!!!!!!』

「皆さ〜ん、どうか頑張ってくださ〜い!」

「きゃ〜、炎騎士様〜♪!」

「ロンバルディアの奴らを追い払って下さいね〜!」

 

目的地のマヌエル平原への道中に国民達からの声援にヤル気をもらいながらも進軍を続け……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

2日後の夕暮れ、マヌエル平原の南からの出入り口“ガキエル峠”の目前に到着。

この峠は標高2000メートル級の山が点在してて、中部から北部へ向かう際に立ちはだかる一番の難所だが、ここさえ越えればマヌエル平原はすぐそこだ。

 

ミール「よし、今日はここで夜営して明日に備えよう」

 

休憩を入れながら進出したものの、夜中というわけで今晩はここで明かし明日に備えることとなった。

全員でその場にテントを張ってそれぞれの寝床を作り、一夜を明かす。みんなそれぞれ寝るとこは決まっていて、俺はというと……

 

ーーーー

 

ミール「なんか…お前と野宿とは…初めてだな……」

 

イチカ「そういえば、ここのところ出撃してませんでしたしね」

 

ミール姉さんと一緒。

まあ一応夫婦って関係だから仕方ないけどね……

 

ミール「本当なら営みでもしたいとこだが、明日は早いからまた今度にするか」

 

イチカ「そう…ですね」

 

ミール姉さんが言ってる営みとは勿論、“夜のアレ”のこと。

とはいえ言ったら何かと問題になりそうだから言わないけど……

とにかく、明日は夜明け前には作戦に移るからそんな事をしていて明日起きれなくなってしまうからまた今度に……

 

ミール「というかイチカ、お前は私の夫なのだから、2人っきりの時くらい敬語なしで喋れんのか?」

 

イチカ「そんな事言われましても、ミール姉さんが俺より歳上ですし……」

 

因みに俺、結婚はしたけど未だ“姉さん”呼びしている。それも仕事以外ではだ。その事を注意されるのは毎度の話で、俺個人としてはその呼び方の方が何かと落ち着くから一向に直さない。

 

ミール「はぁ…全く……仕方ない。

だが今後は2人っきりの際は“ミール”と呼べ、イイな?」

 

イチカ「はい……」

 

けど厳格なミール姉さんはそれが気に入ってなくて、結局これからは呼び捨てすることになってしまった。

まあ、本人がそう言うのなら仕方ないけど……

 

 

ミール「とにかく寝よう、おやすみ」

 

イチカ「おやすみなさい」

 

さっきも言ったけど、明日はホントに早いから今日はここで寝た。

 

ーーーー

 

のだけど……

 

「「「……」」」

 

何故かソニアさんとエクセラさんに呼ばれて一緒に寝ることになった。

その理由は……

 

ソニア「ごめんなさいイチカ、何せエクセラが“今晩だけでもいいから、どうしてもイチカと一緒にいたい”って言うから」

 

イチカ「いやいや、別に構いませんよ」

 

単純にこんなモンだ。

 

エクセラ「それはいいが、あのミールを説得するのは骨を折ったんじゃなかったのか?結構な頑固者と聞くぞ」

 

イチカ「まあそれはそうですが、なんとか了承してくれましたよ」

 

エクセラ「ならよいがな……」

 

ミール姉さんに関しては説得には確かに骨を折った。第一、“あのエクセラと一緒だなんて絶対ダメ!”っとか言って中々首を縦に振ってくれなかったけど、ソニアさんが一緒だと伝えて説得したら案の定承諾してくれた。

ただ、あの承諾には何か裏があると思うとなんだか怖くなってしまう……

 

 

エクセラ「まあとにかくだ。我が…もとより、わたしが君を呼んだのはだな……」

 

イチカ「はぁ」

 

エクセラ「え〜と…その……」

 

普段は気丈に振る舞う感じで喋ってるエクセラさんだけど、今回に限っては妙に歯切れが悪い。

どうしたんだろう?

 

エクセラ「ここまで付いて来て言うのも何だが、正直前の同胞と一戦交えるのにはいささか抵抗があってな…それで勇気を分けて欲しくてな……」

 

どうもおかしい、こんなハッキリしないエクセラさんは初めてだ。

っと思ったら……

 

 

エクセラ「い…イチカぁ!」

 

イチカ「えぇ…エクセラさん!?」

 

イキナリ顔を上げて、俺に飛び込む感じに口付けして来た。

え…チョット、マジでどうなってんの……?

 

エクセラ「い…イチカ……」

 

イチカ「は…はい……」

 

エクセラ「わ…私を抱いてくれ///!!」

 

イチカ「えっ、ええっ///!?」

 

突然の出来事に頭の中が混乱する中でエクセラさんの口から発せられた言葉についテンパってしまった。

エクセラさんが言ってるのは正しく、言ってる通りの言わば…“子作り”だ……

 

イチカ「てか俺、ミール姉さんと結婚しましたけどまだ童貞ですよ?それでもいいんですか?」

 

ソニア「えっ、イチカまだ童貞なの?

なら頂いちゃいなさいよ、イチカの側に立つ絶好の機会よ」

 

イチカ「って何でソニアさんは脱いじゃってるんですか?!」

 

ソニア「だって私もイチカか好きなのよ。なのにミールが全然隙をくれないから、この機会にお近付きになろうと思ってね」

 

っていつの間に服を脱いで下着姿になんかなってるソニアさん。ミール姉さん程じゃないけど胸大っきぃい……

って……!

 

イチカ「そのためだけに呼んだんですか?!」

 

エクセラ「まぁ半分は正解だがもう半分は違う。何せイチカから勇気を分けて欲しいのは事実だ、そのためにも頼む」

 

イチカ「そんな事を言われても……」

 

ソニア「イチカは、私のこと嫌い?」

 

イチカ「いや好きですが……」

 

エクセラ「だったらいいだろう?イチカにしか頼めないのだ、頼む」

 

さらに気付かぬ内に下着も脱いだソニアさんにエクセラさん、もうダメだ…理性がもたない……

 

イチカ「分かりました、じゃあ好きにしちゃいますね」

 

エクセラ「ああよろしく、けど初めてだから優しくな」

 

ソニア「私もお願い」

 

イチカ「勿論です」

 

ゴメンなさいミール姉さん……

二人からの誘惑に我慢しきれなくなった俺はついに抵抗を諦めて流れに乗っちゃうことにしちゃった。

 

そして好意は夜遅くまで続いた。

 

ーーーーーーーーーー

 

翌日の夜明け前の時間帯……

 

ミール「イチカ、何か言うことある?」

 

イチカ「すみませんでした……」

 

ミール「ソニアどころかエクセラまで抱いちゃってしかも童貞あげるなんて、あなた私の夫である自覚あるのか?段々変態と化して来たな」

 

イチカ「面目ありません……」

 

二人を抱いた事がミール姉さんにばれてしまった。抱くくらいならマダシも、王族のソニアさんと帝国皇女のエクセラさんを汚してオマケに童貞まであげたのだからもうタダで済まされる話なんかじゃない……

 

ミール「まぁ今怒っても仕方ないわね。だってこれから出陣するんだし、今は勘弁するわ。けど、帰った時は覚えてなさいよ?」

 

イチカ「わかりました……」

 

とはいえ今はテントの片付けやら朝食の準備等で忙しいからとりあえず不問にはなったけど、王都に戻ってからシゴかれるとなると震えが止まらなくなる……

 

ユーマ「まさか、あのイチカがね……」

キリカ「今でも信じられませんね……」

レスティ「全く、妻が居ながら他の女と肌を合わせるとはなんと恥知らずな輩だ」

クロエ「不埒め……」

ティア「自業自得ね」

ユーリ「まぁ人間時には素直になるべきもんだ、イチカも男なんだからいいじゃねぇか」

ジュディス「そうね、男って強欲だものね」

 

みんな好き勝手に言って……

一方のソニアさんとエクセラさんは……

 

ソニア「イチカ、結構激しかったわね///」

エクセラ「全くだ、あれはクセになってしまうな。また機会があれば相手して欲しいものだ///」

 

チョットチョット…せめて一人くらいフォローしてよ……

 

 

ミール「全くイチカ!チョット来い!

貴様の腐れ切った精神!私が直々にシゴいてやろう!!」

 

イチカ「チョット待って!なんでそんな__!」

 

ミール「問答無用!!」

 

イチカ「うわあぁああああ!!」

 

それから俺はミール姉さんに連れられて徹底的に搾り取られてしまうのだった。




まぁなんかヤラシイとこも入っちゃいました。
何かあればやってるシーンR版で出そうかと思ってます。
*追記:
書くのはあまり得意ではないので、誤字脱字報告は積極的にお願いします。


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3-帝国の侵攻(後編)

ようやくマトモな戦い風景へ……
けれど内容はあまり期待しないでください……


てなワケでミール姉さんからキツ〜イお仕置きをくらった後……

 

ユーリ「そろそろだな。ホンじゃ、俺らは先に場所取りさせてもらうぜ」

 

ジュディス「そうね、向こうに気付かれないようにしなきゃね」

 

レスティ「やれやれ、こんな奴らと組まされるとは気が引けん」

 

敵の不意をつく為に俺達は行動を起こし、ユーリさんとジュディスさんの斬り込み隊とウェルラント騎士団は明けきらない空の闇に紛れて先発。

それに対して残りの俺らは夜明けとともに敵を攻撃する。

 

ーーーー

 

そして日の出……

 

ソニア「こっちの準備も完了よ」

 

ミール「よし、出陣だ!」

 

俺達も部隊の隊列を組ませて本隊も出陣。

本隊の数は、奇襲部隊の4千を引き抜いておよそ6千。ミール姉さんとクロエ姉さん、そして俺とソニアさんとエクセラさんを先頭に楔型の陣形を組んでいる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

そしてそれから1時間が経過した頃……

 

≪ワアァアアアア!!!!!!≫

 

峠を越えて帝国軍と激突し、マヌエル平原では大乱戦となった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

≪カンカンカンッ!≫

 

帝国兵1「隙ありいぃいいいい!」

 

帝国兵2「炎騎士覚悟おぉおおおお!」

 

イチカ「フンッ、甘いな!

爆炎連焼!!」

 

≪ザンッ!≫

 

「「ぐぎゃあぁああああ!!!!!!」」

 

みんなが順調に戦ってる中、俺の方は帝国兵が二人がかりで掛かって来たものの返り討ち。

当然だけどね……

 

 

≪ザシャッ≫

 

「オメェが炎騎士様だな?」

 

イチカ「そうだけど、お前誰?」

 

「はっ!俺さまを知らねえのか炎騎士様よぉ?!

俺の名はゼストだ!世界最強のゼストさまだよ!!」

 

イチカ「ゼスト?…、あぁ〜…エクセラさんが言ってた帝国最強の騎士か」

 

ゼスト「その通りだ!だが俺さまは帝国最強なんかじゃねぇ!世界最強だ!!分かったか?!」

 

そんな中現れたのは、帝国最強の騎士ゼストだった。前にエクセラさんから何度か聞いたくらいだけど結構強いらしい。

 

 

ゼスト「まあとにかくだ!俺さまがここへ出向いたのは他でもねぇ!俺さまの目的はただ一つ、テメェを殺る為だ炎騎士!!」

 

俺を殺る?本気か?

自慢じゃないけど俺強いよ。

 

ゼスト「おいテメェ、さっきから俺さまを睨み付けやがって、ムカムカしてくんだよ!!」

 

ウッゼェ…マジウゼ……

 

ゼスト「てなワケでテメェを一発で殺ってやるから覚悟しやがれ!」

 

イチカ「いいだろう、望むところだ!

来るなら来い!返り討ちにしてくれる!!」

 

なんか流される形にはなっちゃったけど、俺の方は後に引けない真剣勝負が展開されようとしていた。

 

ーーーー

 

エクセラ「やはりお前もいたか、ゲオルグ」

 

ゲオルグ「おやエクセラ様、今まで行方知れずで心配しましたよ。

一体どちらで油をうっていたのですか?」

 

エクセラ「ほ〜う、それが敵に寝返った者に対して言う口か?」

 

ゲオルグ「そうでしたか?これは失敬」

 

エクセラ「(相変わらずだなコイツは、聞いててイライラして来る)」

 

その頃、エクセラは以前の部下のゲオルグと再会。本人は冷静を装ってるが、ゲオルグの腰の低い態度が気に入らず、イライラが収まらない。

 

 

ゲオルグ「ところでエクセラ様、今でも遅くはありません。

我ら帝国軍に戻ってはいただけないでしょうか?今ならわたくし自身陛下に直訴して差し上げますよ」

 

エクセラ「悪いが我は、もうお前達など信用しない。

今の我は新たな友に恵まれて幸せなのだ、それにイチカも我に全面的に協力している上に全幅の信頼を置いてくれておるのだ。

よって我は、もうソナタらのところへは一生戻らぬ」

 

そんな中でゲオルグが話し出したのは、エクセラに帝国に戻って来て欲しいという願いだった。

しかし……

 

ゲオルグ「そうですか。本当なら穏便に済ませたかったのですが、仕方ありません。でしたら、力づくで引き戻すと致しましょう」

 

エクセラ「よかろう、出来たらな。

だが、残念だがソナタでは我に敵わぬ。それを証明して見せようぞ」

 

結果はエクセラの硬い意思に弾かれ、ついにゲオルグは実力行使と言わんばかりに剣を抜いてエクセラに斬りかかり、エクセラ自身も槍で応戦にかかった。

 

ーーーー

 

キリカ「あなたは……ベアトリス!」

 

ユーマ「えっ、前にキリカが言ってたあの?!」

 

ベアトリス「あらキリカ、随分見ないウチにたくましくなったわね」

 

一方のキリカとユーマは、キリカの昔の馴染みのベアトリスとばったりはち会った。

 

 

キリカ「あなた、どうして帝国についたのですか?」

 

ユーマ「僕は2人の仲をよく知らないけど、キリカの言ってる通りだ!お前だって、帝国の横暴ぶりくらい知っているだろ?!」

 

ベアトリス「確かに知ってるけど、前にも言わなかった?“考えが合わない”って」

 

キリカ「くっ、ならばその考えを…覆す他ありませんね!」

 

ベアトリス「あら出来るのかしら?あなた1人なんかで?」

 

ユーマ「1人なんかじゃない!キリカには僕が居る!!」

 

キリカ「ユーマ///」

 

ベアトリス「やれやれ、お遊びしてる暇は無いのだけど、あなた達がそう言うのなら、お相手してあげるわ。怪我しても恨まないでね?」

 

ユーマ「それはこっちの台詞だ!」

 

こっちもこっちでエクセラ達と同じような展開となり戦闘へ突入。

 

ーーーー

 

≪キンキンキンッ!≫

 

ミール「やれやれ、流石にやるわね」

 

ソニア「そうね、でも今は持ち堪えないと」

 

こっちの2人の相手はそれ程強いてだれではないが……

 

 

帝国兵3「こぉんのぉおおおお!」

 

ミール「?!」

 

ティア「そうはさせないわ。

ホーリーランス!」

 

≪ズドドドドッ!≫

 

帝国兵3「ぐへっ!」

 

後方から支援するティアに助けられて、九死に一生を得るパターンが何度かあった。

 

 

クロエ「姉さん、大丈夫ですか!?」

 

ミール「ああっ、大丈夫だ。ティアが助けてくれた。

それよりイチカは?」

 

クロエ「少し離れたところでゼストと戦っています」

 

ソニア「ゼストと戦ってるの?!」

 

クロエ「はい」

 

ティア「よりによって厄介な騎士がお守りにいたみたいね。

まあ、イチカなら心配ないだろうけれど」

 

ミール「ちょっとティア!イチカが心配じゃないのか?!」

 

ティア「ええっ、イチカは強いから問題無いわよ。

何を神経質になる必要があるのよ」

 

ミール「まぁ…確かに……」

 

ソニア「とにかく頑張りましょう、そろそろよ」

 

ミール「そっ…そうだな……頃合いだろうな」

 

戦闘が始まっておよそ2時間が経過、そろそろ彼ら(迎撃部隊)の作戦が始まろうとしていた……

 

ーーーーーーーーーー

 

≪キンッ!≫

 

ゼスト「けっ!流石に簡単には殺られてくんねぇようだな!」

 

イチカ「悪いが俺を甘く見てたら痛い目にあうぜ!」

 

ゼスト「そうみてぇだな!だがな、最後に勝つのは俺さまだ!!」

 

こっちは剣と銃の乱舞が続くも一向に決着がつかない。

けれどその分楽しいけどな。

 

 

その時……

 

≪わあぁああああ!≫

 

帝国兵の方でなんか騒いでる。何があったのだろうか?

 

帝国兵4「うわ!?後ろからアストロリアスの兵が!」

 

帝国兵5「それだけじゃない!ウェルラントの騎士団までいるぞ!」

 

帝国兵6「い、いきなりだと!?

うわ!誰か助けてくれ!突破されたぞ!!」

 

喚いているのかよく分んないけど、多分奴らの後方に隠れてたユーリさん達が作戦通り奇襲攻撃をかけたのだろう。

 

ユーリ「そらそら!モタモタしてたら叩き潰しちまうぜ!」

 

ジュディス「うふふ、ヤられても恨まないでね♪」

 

レスティ「キリカに手を出そうとする不埒者には容赦はせぬぞ!」

 

帝国兵7「うわあぁああ!コッチに来るぞぉおお!!」

 

帝国兵8「とても敵わない!逃げろぉおお!!」

 

やっぱりユーリさん達だった。潜んでた山を駆け降りて帝国軍に激しい攻撃を浴びせて敵はスッカリ混乱状態に陥っていた。

 

ーーーー

 

ゲオルグ「何?伏兵だと?

そんな報告は受けてないぞ」

 

エクセラ「そんなに落ち着いていても良いのか?自分の兵の統制が乱れて混乱しているぞ」

 

ゲオルグ「むっ、仕方あるまい。幾ら大軍でも隙を付かれてはザマもない、一旦撤退せざるを得まい」

 

エクセラ「ふむ、相変わらずか。まあお前らしいがな……」

 

それまでエクセラと刃を交えてたゲオルグだったが、この時になって収拾がつかなくなり撤退を決意。

ゲオルグは剣をおさめると、逃げるようにその場から去って行った。

 

ーーーー

 

帝国兵9「撤退だ!全軍撤退しろ!!」

 

≪わあぁああああ!≫

 

 

ゼスト「チッ!こんな時に撤退だと!?

俺さまはんな命令なんざ受けねぇぞ!!」

 

イチカ「何余所見してんだよ!

火炎裂空!!」

 

≪ザンッ!≫

 

ゼスト「げっ!しまった!」

 

イチカ「まだまだ行くぞ!

紅蓮剣!!」

 

≪ドガッ!≫

 

ゼスト「ぐお?!」

 

さっきまで俺との一騎討ちに集中してたゼストだけど、帝国軍の撤退に油断したゼストに攻撃を叩き込む。

 

ゼスト「ちぃっ、テメェ!よくもこのゼストさまを本気で怒らせてくれたな!マジで許さねぇぞ!!」

 

悪いけどそうはいかないぜ!

 

 

イチカ「これで決める!

お前なぞ一刀両断で終わらせてやる!

イグナイト…キャリバー!!」

 

≪ズガアァアアアア!≫

 

ゼスト「うがあぁああああ!?

ば…ば……バカなあぁああああ!!」

 

両手の剣を炎の力で一本の大剣に変え、紅蓮の業火を纏った剣でゼストを斬り裂いてやった。

決着はついた、俺の…いや俺達の勝ちだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

ゼスト「く…クソ…クソがあ!」

 

イチカ「往生際が悪いな、いい加減認めたらどうだ?」

 

ゼスト「そうはいくか!俺さまはゼッテ〜にテメェを認めねぇ!!」

 

怪我したっていうのに、まるで子供みたいに現実を認めない帝国最強騎士のゼスト。自信家ならそう簡単に認められないのは判るけど、聞き分け程度は出来てて欲しい。

 

 

ベアトリス「ゼスト、あなた炎騎士にヤられて大怪我負ったのに何やってるのよ。早くしなさい」

 

ゼスト「うるせえ!俺さまはゼッテ〜こいつをぶっ潰す!」

 

ベアトリス「あんまり怒ると傷口深くなるわよ。イイから早くしなさい」

 

ゼスト「そうはいくか!ぶっ潰すまで帰んねぇぞ!!」

 

ベアトリス「言い訳は不要」

 

ゼスト「チクショウ〜〜!!

覚えとけよ!この借りは百倍にして返してやるからな!!」

 

そこへやって来たのは前にも会ったベアトリス、いつまでも駄々言ってるゼストを迎えに来たらしく、喚き散らすゼストそっちのけに、本人は彼を連れて戦場の土煙りに紛れて消えていった。

 

 

≪うおぉおおおお!!!!!!≫

 

その後の戦場を包んだのは歓喜だった。

領内に侵入して来た敵を追い払った喜びだった。自らの強さを知らしめた喜びでもあった。

それから俺達はその後の報告で帝国軍は領内を出て本土に撤退して行った報を受けてその日のウチに引き上げ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日の王都は喜びに満ち溢れ、人々は俺らの勝利を讃えたのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

けれど俺に待ってるのは賞賛でも何でもなく……

 

 

ミール「さ〜てイチカ、よくも私を差し置いて他の女と寝てくれたものだな。

覚悟は出来てるだろうな!」

 

イチカ「〜〜?!」

 

ミール姉さんからの長い長い説教だった。




本当のところならデュークさんやネビリムさんを登場させるつもりだったのですが、長過ぎるのは良くないと思って次の機会にします。
次回に関してはヴィタリーさん登場。イチカ、またしても他の女を寝取る…っという展開のつもり

追記:ミールさんのキャラ設定があやふやだったかもしれないのでここで説明します。
ミールさんは、某エロゲの『◯◯の女騎士』に登場する女騎士(“オークの出来そこない”でピンと来た方はネットを検索)を素材にしており、金髪隻眼の他にはスタイル抜群で言うなればボッキュンボン(胸のサイズはせいぜいH程度、スリーサイズは表示しないので残りは察して下さい)、身長は原作のイチカより高い175cmくらい。


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4-フラグ

今回で残りのヒロインをd…いやその前にどうぞ


ロンバルディアの侵攻軍を国外へ追い払って数週間が経過……

 

フリーゼ「ねえミール、イチカを貸して」

 

ミール「貸すわけ無いだろが!イチカは私の大事な夫なのだぞ!!」

 

フリーゼ「いいじゃない、減るモノじゃないだし」

 

ミール「私との大事な時間が減る!!」

 

朝っぱらにも関わらず俺を取り合って争うミール姉さんとフリーゼさん。

てかまだ5時くらいなのに喧嘩するのマジやめてくれませんか……?

 

 

≪コンコン≫

 

「お忙しいところ、失礼します」

 

そんな時にやって来たのは、城に仕える侍従だった。

 

イチカ「どうかしましたか?」

 

侍従「イチカ様、いつものカウンセラー様がお見えになりました」

 

イチカ「ああっ、もうその日でしたか」

 

用を聞いたら、それは俺のカウンセリングの事を伝えに来てくれたみたいだった。

 

侍従「イチカ様。あまりご本人をお待たせしてはいけませんから、早くお来しになって下さいませ」

 

イチカ「分かりました。着替え次第すぐに行きますから、チョット待ってくれませんか?」

 

侍従「畏まりました」

 

そう侍従さんに言って、俺はミールさん達の喧嘩で着崩れた寝着を脱いで私服(Tシャツと短パン)に着替える。

 

 

ミール「なぁイチカ、どうしても行くのか?」

 

イチカ「そんな事言われても、相手を待たせるワケにはいかないし。何よりずっと世話になってる人だからねぇ……」

 

ミール「まぁ…それを言われては仕方あるま__」

 

フリーゼ「けれどフラグは建てちゃダメよ。イチカはモテてるんだから、これ以上ライバルを増やさないでね」

 

イチカ「えっ…ええっ!?」

 

ミール「チョット待て!それはどういう意味だフリーゼ?!」

 

フリーゼ「あら知らないの?

イチカはソニアとエクセラはまだいいけど、ティアやクロエからも好かれてるのよ。勿論、イチカのカウンセリング担当のあのトゥイニャーノフからもね」

 

ミール「何、クロエも私の夫を狙ってたのか?!

っというよりもイチカ!私という立派な妻がいながら、いつの間にそんな愛人関係を築くようになったのだ!?それとも私では不満なのか?!」

 

イチカ「イヤイヤイヤイヤ決してそんなワケじゃ__!」

 

フリーゼ「そうじゃない?だってミールったらその大きな胸しか誇れるところないじゃない。イチカだって男なんだし、たくさんの女性としたい気持ちだってあるでしょ?」

 

イチカ「な…何言ってるんですか一体!!」

 

ミール「おいフリーゼ!私は胸しか誇れるのが無いとは聞き捨てならんぞ!!

私より胸が小さいクセに偉そうなことを言うな!!」

 

フリーゼ「なんですって?!

上等じゃない!だったらどっちがイチカの妻に相応しいのか、白黒はっきりさせようじゃない!!」

 

ミール「望むところだ!お前なぞ、ギットンギットンにしてやるんだから!!」

 

「「ぐぬぬぬぬ……!」」

 

またこれか、てかもういい加減に…って、原因俺か。っていうより喧嘩しないでくださいよ。

って仕方ないか、この2人なに言っても聞かないし、ホッといて行こっと。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

それから侍従さんに案内されながら、城のある部屋に入った。そこは“カウンセリングルーム”と札の掛けられた部屋、ここが俺がカウンセリングを受ける部屋だ。

 

 

イチカ「失礼します」

 

ヴィタリー「ようこそ、イチカくん」

 

専属のカウンセラーは“王国の頭脳”と名高いヴィタリーさん、本来は科学者として多くの発明を世に送り出した国内でもセンチネル全域で有名な人。それだけでなく医療にも詳しくて俺の専属として城に出入りしている。

 

ヴィタリー「思えば久しぶりのカウンセリングだね」

 

イチカ「1ヶ月ぶりですかね、このところ出撃とかでてんてこ舞いでしたし」

 

ヴィタリー「確かに、この前なんか帝国軍がやって来たからね」

 

イチカ「オマケに妙な因縁とかつけられましたし」

 

ヴィタリー「ああ〜、ゼストの事?それは当然だと思うわ、何せ本人は根っきりの自信家らしいから、あなたに負けたのが気に食わずリベンジを果たそうとするに違いないわ」

 

イチカ「はぁ……」

 

これが強き者の宿命ってやつなのかな?

 

ーーーー

 

ヴィタリー「まあそれはいいんだがイチカくん、早速本題に移ろうかしら」

 

イチカ「はい、お願いします」

 

ヴィタリー「けどその前に……」

 

イチカ「へっ?……なっ!?」

 

それから本題のカウンセリングが始まるのかと思いきや、突然ヴィタリーさんに口付けされてしまった。しかも舌を絡ませる濃厚なディープキスだ。オマケに……

 

≪ゴクゴク……≫

 

口移しされる感じに何かを飲まされた。

 

イチカ「ハア…ハア……ヴィタリーさん…一体何を?」

 

ヴィタリー「媚薬よ、しかもとびっきり強力な」

 

イチカ「媚薬!?なんでそんなの飲ませるんですか!?」

 

ヴィタリー「何せ君はモテモテなのでね、それで何故そこまでモテるのか研究したくて飲ませたのだよ。その方がキット素直になると思ってな」

 

チョットチョット!人を実験の道具にしないでくださいよ!っというか欲求も一部混ざって__!

 

 

≪バタンッ!≫

 

フリーゼ「話は聞かせてもらったわよ!」

 

イチカ「フリーゼさん!」

 

良かった〜、天の助けが__!

 

フリーゼ「ならわたしも混ぜなさい、それでなら認めてもいいわよ」

 

ヴィタリー「喜んで♪」

 

イチカ「裏切り者ぉおおおお!!」

 

今更考えてみれば、フリーゼさんは最初から宛にならない人物だったのを忘れてた。

 

フリーゼ「っと、いうワケで……♡」

 

ヴィタリー「シッカリデータを取らせてもらうわね♡」

 

イチカ「えっチョット……うわぁああああ!!」

 

それから俺は二人に襲われる形にヤッてしまうこととなった。

 

ーーーーーーーーーー

 

それからかれこれ一時間程経過した後……

 

クロエ「イチカ、どういうつもりだ?」

 

イチカ「それは……」

 

クロエ「納得のいかない説明をしたら、どうなるのか判ってるのか?!」

 

イチカ「うう……」

 

ティア「……」

 

いつまで経っても出てこないから様子を見に来たクロエ姉さんに、俺とフリーゼさんとヴィタリーさんが営んでるところを見られて連れ出され、二時間に渡る説教をされながら正座させられている。余談だけど服は着ている。

 

 

ティア「その辺りにしておきましょうよ、イチカもこれで懲りたでしょうし」

 

クロエ「しかしだな!」

 

ティア「これくらい説教されてれば、誰だって反省するわよ。それに、イチカもイチカで、アソコが我慢出来ないみたいだし」

 

イチカ「えっ?って、うわっ!?」

 

するとティアさん、何をするのかと思えば、急に俺のアレをズボンから引き摺り出した。

 

クロエ「ぐ…グランツ!いきなり何をするんだそんなの///!」

 

ティア「いいじゃない。それに、凄いカチカチよ」

 

イチカ「や…やめて///!」

 

クロエ姉さんが恥ずかしさで顔を覆う中、ティアさんは何食わぬ顔で俺のアレをヤラシイ手つきでしごき出した。

 

イチカ「やめてください!これ以上は!」

 

ティア「いいわよ、やめてあげるわ。でもその代わりに、私とクロエを抱きなさい。それが条件よ」

 

クロエ「チョット待てグランツ!何故私まで巻き込まれなければならんのだ?!」

 

ティア「あなたね、イチカが好きなのにその素振りは良くないんじゃない?」

 

クロエ「しかしな!!」

 

ティア「確かにイチカにはミールが居るけど、そんな理由で諦めていいの?もっと素直になりなさいよ」

 

クロエ「た…だが……」

 

ティア「ならこのままイチカに自分の想い伝えられないまま失恋してもいいの?」

 

クロエ「それは流石に……」

 

ティア「だったら素直になるべきよ。それとも、騎士に二言でもあるのかしら?」

 

クロエ「くっ!…イイだろう、だったら素直になるなりやってやろうじゃないか!!」

 

イチカ「チョット待てよ!何だよこの展開は!」

 

何かチョッピリ良い話が入って来たものの殆どフリーゼさんと同類、これじゃあティアさんも宛にならない。

 

 

クロエ「じゃ…じゃあ……///」

 

ティア「好きにしてもいいけど、最初は優しくね♡」

 

イチカ「は…はい……」

 

さっきまで抵抗してた俺だったけど、薬の効力のせいか抑えが効かなくなってそのまま流れに乗って二人を抱くこととなった。

 

ーーーーーーーーーー

 

更に一時間後……

 

ミール「イチカ、自分が何をしたのか判ってるのかしら?」

 

イチカ「いやですから__」

 

ミール「言い訳なんか聞きたくない!!」

 

今度はミール姉さんに見つかって私室に連れ込まれての説教。こっちはクロエ姉さんより長い三時間の説教でしかも今回は服を着させてくれなかった。そのため今は全裸って惨めな姿だ。

マジで恥ずかしい///

 

 

ミール「さて。これまでの行い、どう償うつもり?もはや私を愛してるのかってレベルの話よ?私はただの飾りなのかしら?」

 

イチカ「違います!本当に愛してます!!」

 

ミール「嘘よ!今まで他の女を抱いて来たクセに!!」

 

イチカ「本当ですよ!嘘じゃないです!!」

 

ミール「だったら証明しなさいよ!!」

 

イチカ「じゃ…じゃあ……」

 

今の俺に出来るとすれば……

 

イチカ「俺からミール姉さんを襲ってはダメですか?それも俺が…いやミール姉さんが満足するまで」

 

ミール「本当に出来るの?言っとくけど、今の私は生半可な覚悟で満足出来る程愚かじゃないわよ?」

 

イチカ「本当です!無理でもやります!ミール姉さんの為なら命だって要りません!!」

 

ミール「そう?ならばいいわよ、やってみなさい///」

 

イチカ「はい///」

 

そんなワケで俺はミール姉さんをベットに押し倒してやりまくった。時間が経つのを忘れる程に……

 

ーーーー

 

四時間後……

 

ミール「フゥ…どうやら、愛してるのは本当だったわね。あんなに私を滅茶苦茶にしちゃうからには」

 

イチカ「当然ですよ、だってここに来てからミール姉さんを思ってオナッてましたから」

 

ミール「そうか。しかもあんなに行為が上手くなってたとはな」

 

イチカ「皆さんのおかげですよ、自然と身体に染み付いてました」

 

ミール「ならばいいか」

 

本当にミール姉さんが満足するくらい…いや、それ以上ヤッてしまった。何回したのか忘れたけど、憶えてる限りでは十回はまず越える。それにみんなとの行為で教わった技で圧倒して、終いには敬語を忘れてミール姉さんを呼び捨てにして本人が気を失う程にヤッてしまった。

 

 

ミール「あのくらい好きならば許そう、それに私を呼び捨てにしてたからな。これからもそうして欲しい」

 

イチカ「分かったよ、ミール。それと、もう少ししてもいいかな?まだ満足出来て無いんだ」

 

ミール「全く、本当に鬼畜だな。まあいいぞ、それだけ私が好きなら喜んで受け入れよう、だがさっきより激しくしてよ?」

 

イチカ「そのつもりだよ♡」

 

それから俺はミール姉…じゃなくてミールとの愛を確かめ合ってまた行為にふけった。それは寝食を忘れる程の長く激しい営みとなった。




まあ薬のせいとはいえ、これでヒロイン全員攻略したイチカ。やった〜イチカ!これで君も、立派なスケベ大魔王…じゃなくて攻略王だ!!\(^o^)/

ここまで来るとなんか物足りないのでR版(ほぼ○ッ○スシーン限定)でも出そうかと思ってるのですが、イマイチ決心がつきません。そこで皆さんから意見を参考にどうするか検討したいと思ってますので、お待ちしています(基本的に皆さんの意見を尊重します)。

次回は…イチカ、現実世界への帰還の予兆。アレが発見される……


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5-発見と亡国との会合

あの日ミールを抱いてからは俺の生活はスッカリ変わった。

毎日毎日皆が俺とシたくて取り合い、時には平等というワケで全員で交わったりと、謂わば淫行のオンパレードの毎日。

まぁ自分から言うのも何だけど、それでもストレス発散にもなるし、何より楽しみが増えたからイイけど……

そんな毎日が続き、この世界に来て2年目の年に入って1ヶ月も経っていないある日、それは突然やって来た。

 

 

 

ミール「変な残骸?」

 

士官「はっ。

南部の田舎町“ラタトゥイユ”の郊外で、朽ちた異形の残骸が転がっていたそうなのですが、何でも人の様に見える鉄の塊らしく、町の住人達が気になって地方の守備隊に報せたそうです」

 

ソニア「それで、その残骸はどうしたの?」

 

士官「現在は周辺に落ちてた破片も回収し終え、解析の為にトゥイニャーノフ博士の研究所に運び込まれ解析を急いでいるのですが、なにぶん損傷が激しい上に核らしき装置も複雑な構造故に、解析はほぼ不可能だと」

 

イチカ「あのヴィタリーさんもお手上げだなんて、珍しいですね」

 

フリーゼ「そうね、この国一番の頭脳の持ち主なのに」

 

士官「ですが、発見当初の形から、博士が独自に仮説を立てながら、試行錯誤の末にその残骸の元の姿を模型にしたらしく、今こちらにご用意されています」

 

ソニア「そうなの?なら見せてもらえるかしら?」

 

士官「畏まりました、直ちにお運び致します」

 

何か分んないけど、妙にヤな気がするのは気の所為かな?

 

 

それから士官がヴィタリーさんと一緒に運び込んで来たのは、何か見憶えのあるメカスーツにも見えるロボットのような物体だった。

 

ミール「これか、確かに変な機械のような物体ね」

 

ヴィタリー「はい。私は何かの兵器だと思ったのですが、それにしては殺傷性の低い装備しかありませんでしたから、そうじゃないと解釈してから行き詰まってしまいました」

 

ミール「成る程、それは悩んでも仕方ないわね」

 

ヴィタリー「そうなんですよ。しかもそれだけではなくもっと謎な事がありましてね」

 

イチカ「謎?」

 

ヴィタリー「それがホンの微かに反応があるため、後日実験として男女100人にその残骸に触れてもらった結果、女性にはほぼ全員反応したのですが、男性には全く反応しなかったんです」

 

フリーゼ「ますます謎が深まるわね。でも、もう少し情報が欲しいわね。引き続き解析を依頼出来るかしら?」

 

ヴィタリー「勿論です、全力を尽くします」

 

あの姿形で女性にしか反応しないとなると、もしや……

 

 

ミール「どうしたのイチカ、何か思い当たることでもあるの?」

 

イチカ「俺と初めて会った時に、ISのことは話したっけ?」

 

ミール「IS?インフィニット・ストラトスのこと?」

 

イチカ「そうそれ。多分その残骸ってのは、朽ち果てたISなのかもしれないんだよ」

 

ミール「えっ!?でも、それを証明する証拠は無いのよ!博士もお手上げなんだし、それで決めつけるのは流石に良くないわよ!」

 

イチカ「確かにそうだ。けど、その残骸が女性にしか反応がないのなら可能性はあると思う。何せISは、女性しか反応しないんだ。けれど、それを証明する証拠が無いのも事実だし」

 

何れにしても、得られたのは新たな謎程度だ。

 

 

だが、新たな進展を告げる報は、その翌日。しかも夜も明けきらない時に入って来た。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

イチカ「えっ?その残骸の持ち主が見つかった?!」

 

ヴィタリー「そうなんだ、私が研究所に戻ってすぐにな」

 

ソニア「いきなり現れるなんてね、驚いちゃうわ」

 

ヴィタリー「確かに驚いたが、それ以外にこの世界について詳しく知らない上に、私の所で働かせて欲しいと言って来てね。それでどうするか迷って、皆さんに意見を仰ごうかと思いましてね」

 

ミール「成る程ね。でも、わざわざこんな早い時間に来なくてもいいんじゃない?私もイチカとの営みし損ねちゃったじゃない……」

 

ヴィタリー「それは……謝りますが、何せその人達がイチカくんにどうしても会いたいとか言うから仕方なく伺う事になり、彼女達は別の部屋に待ってもらっています」

 

えっ?彼女達?一人とかじゃなく多人数なの?!

 

ソニア「人達って、単に一人じゃないの?っというより、相手は何人なの?」

 

ヴィタリー「6人です。大人3人と学生2人と子供1人で全員女性です。特に一人が、イチカくんに過敏に反応しているのですが、会いますか?」

 

イチカ「なんか…その反応してる人が気になりますが、折角来てもらったのに追い返すのは良くありませんしね。面会だけでもしましょうか」

 

ミール「まぁそうだな。確かに蹴って追い出して、敵にまわすのは得策ではないしな、それが最善の判断だな」

 

まあというワケで会うことになったが、この後修羅場が待ち受けていようとは、ここにいる誰もが予想出来なかったのが、俺達の最大の失策だった。

 

ーーーー

 

そして……

 

「離せオータム!邪魔をするな!」

 

オータム「落ち着けってエムよ!オメェが先走る気持ちは分んなくもねぇが、状況考えろよ!」

 

「そうよエム。ここで問題を起こせば、私の立場が悪くなるだけよ。ここは抑えなさい」

 

エム?「そうはいくか!こいつを殺さなきゃ私の存在意義が無くなるんだ!!」

 

オータム「だぁ〜も~う〜、うっせぇ〜なぁ!!」

 

何故こうなった……?

もうそれしか出ない。何があったかだって?早い話が、ヴィタリーさんがその持ち主達6人を連れて来たのはいいんだけど、その中の子供(?)が『織斑一夏あぁああああ!』って叫びながら襲い掛かろうとした途端に仲間に取り押さえられて今に至る、ってのが現状だ。って、俺誰に向かって説明してるんだっけ?まぁそれより……

 

 

エム?「お前さえ居なければ私が!!」

 

オータム「だから暴れんなっつうの!!」

 

エム?「うるさい離せ!!」

 

俺何かしたか?

 

イチカ「俺何か悪いことしました?」

 

「いえ、あなたは悪くはないわ」

 

オータム「ただコイツが、オメェに個人的な恨みがあるだけだ。気にすんな」

 

あっ、そうですか……って!!

 

 

イチカ「お前俺を撃ったあいつか?!」

 

オータム「ああっ、オメェを撃ったのは間違い無くオレだ……」

 

「「「「「!?」」」」」

 

その一言を聞いたミールとソニアとヴィタリーさん、そして事態を聞いて駆け付けたフリーゼさんとクロエ姉さんが即座に反応した。

 

クロエ「何だと!?っということが貴様らが!!」

 

ヴィタリー「イチカくんを誘拐した上に殺した張本人!」

 

ソニア「許せない!!」

 

フリーゼ「わたし達の大事なイチカにそんな事を!もう我慢出来ないわ!!」

 

ミール「交渉決裂よ!我が大事な夫に酷い目に遭わせたら、どんな目に遭うかその身で思い知りなさい!!」

 

ヤバ、この人達武器を…ってヴィタリーさんそんな細い身体のどこに大鎌なんざ隠してんすか?!っというかそんな事より止めなきゃ!!

 

イチカ「チョットみんな待ってってば!ここはとにかく落ち着きましょうよ!!」

 

ミール「何だイチカ、何故そんな奴らの肩を持つのだ?!」

 

ソニア「そうよイチカ!そんな人達許しちゃダメよ!!」

 

クロエ「不埒な悪党共は、死ななきゃそのイかれた頭は治らんのだぞ!!」

 

どんな考え持ったらそんな答えが出てくんすか?!ってかそれより……!!

 

イチカ「一人差し置いてみんな戦う気無さそうですから落ち着きましょうよ!下手したら俺らの立場が危うくなるかもしれませんよ!!」

 

「「「「「う……」」」」」

 

結果俺が止める感じでみんな落ち着き、俺らは彼女らの話を聞くとした。

 

ーーーー

 

イチカ「それで、一体どうしてここへ?」

 

「それだけど、私が説明するわ。って考えてみれば、私達まだ名乗って無かったわね。私はスコール・ミューゼル、亡国企業のトップでこの子達のリーダーよ」

 

オータム「オレはオータム、文字通り“織斑一夏”をここへ飛ばした元凶だ。流石に今になって申し訳なく思ってるから、許してくれ。ほらエム、お前も」

 

エム?「チッ!

私は織斑マドカ、普段は“エム”と呼ばれている。私は幼い頃に両親に連れられ、お前と千冬のせいで家を出ることになったのを知って2人を恨んでいる。

……まぁ恨みは消えないが、状況が仕方ないからスコールに従うがな……」

 

「アリーシャ・ジョセスターフ、第二回モンド・グロッソの決勝で千冬と戦ったイタリアの国家代表よ。けど、亡国に入ったから、今は元だけどね」

 

「ダリル・ケイシーよ、アメリカの代表候補生。でも本当は、亡国のメンバーでミューゼルの娘で本名はレイン・ミューゼルよ、そのところは宜しく」

 

「フォルテ・サファイア、ギリシャの代表候補生だけど、私も亡国に与してるからわたしも元なんだけどね。

あと、私とダリルは付き合ってますので、そのつもりで」

 

何かそうそうたるメンバーだな、てか同性愛者が2人って……

 

スコール「ダリルとフォルテは気にしなくてもいいわ。あの二人子供の時からそうだから」

 

まさかのそっち系かよ……

 

スコール「それより、本題に移さなきゃね。

実は……」

 

それはそれで置いとく形で、ミューゼルさんは何があったか話してくれた。

 

____________________

 

 

何でも俺を殺した後、世界中の国の警察や軍隊が総出で亡国を駆り立てていた。特に実姉の織斑千冬が、俺を殺された事を特に怒って亡国を探し回っていて、彼女らは逃げ回るので精一杯だった。

その中でマドカは織斑千冬を殺そうと呑んで掛かっていたのだが、それを阻止しようとするオータムともみ合いになって遂に取り囲まれ、捕縛される直前で光に包まれてこの世界の湖にいたとの話だった。

 

身体が汚れてたから水浴びでもしようかと思った矢先に魔物に襲われ、魔物の攻撃が偶然所持してたIS“ラファール・リヴァイブ”に命中して爆発。魔物は爆発に巻き込まれたがみんなは無事だったみたい。けれどISは使い物にならない程にボロボロだったから止むを得ず放棄することにしてその場を去ったが、後になってそのISを回収して研究しようとした者がいたから、その者達に残骸の持ち主が自分達だと言えば何かしらの処置はしてくれるだろうと踏んで頼みこんだはいいが、その道中で俺の名を聞いて“もしかしたら”とヴィタリーさんの研究所についてヴィタリーさんに俺に会いたい事を頼んで現在に至る。

 

 

との話だった。

 

_____________________

 

 

ミール「話を聞くからに、相当苦労したのだな」

 

フリーゼ「それに各国の警察や軍隊まで動くなんてね。イチカの実姉さん、どれだけ凄いのよ」

 

スコール「まぁ世界最強の女性とか言われてチヤホヤされてるけど、あの子ったら弟くんにしか興味ないのよね」

 

クロエ「まさか実姉殿からも好かれてるとは、かなりの天然ジゴロだな」

 

イチカ「えっ?」

 

ソニア「イチカは気にしなくていいわよ。それより、あなた達なんでイチカに会いたいって思ったの?」

 

オータム「そりゃあまぁ…申し訳ない気持ちがあったからさ、違ったならいいが本人なら謝っておかなきゃって思ってな」

 

スコール「それに私達、行くあてが無いのよ。ISの事なら知ってるから、協力しつつこの世界で働こうと思ったのよ。勿論マドカは私達が説得するから心配しなくていいから」

 

ミール「本当かしら?イマイチ信用出来ないわね」

 

スコール「そう思われても仕方ないわ。でも罪悪感があるのは事実よ」

 

ソニア「謂わば、罪滅ぼしの為に働きたいと?」

 

スコール「そうよ」

 

クロエ「だが、どちらにしても信用するワケにはいかないな」

 

ヴィタリー「確かに、イチカくんは人気者だからね」

 

何か話がいや〜な方向に転がってる気が……

って俺がなんとか言わなきゃこの状況は解決されないか。

 

 

イチカ「俺は、信じても良いと思います」

 

ミール「チョット待ってよ!この人達はあなたを殺した人達なのよ!!」

 

イチカ「分かってる。でも、この人達の言ってる事は信用出来ると思うんだ。それに、ISの事も謎のままなんだし」

 

ミール「協力してくれれば、得られるものは大きい」

 

イチカ「その通り」

 

ヴィタリー「成る程、確かに私の研究は行き詰まっていたから、彼女らは有能な人材。今後の研究にも役に立つわ。だったら、私もイチカくんに賛成するわ」

 

ミール「……、仕方ないわね。私もイチカに賛成だ」

 

クロエ「姉さんが言うのならば私も賛成だ」

 

ソニア「私もよ」

 

フリーゼ「私もね」

 

全員賛成、これで決まりだ。

 

イチカ「それでは亡国の皆さんは今後、ヴィタリーさんの指導の下働き、ISに関しての技術提供をお願いします」

 

『任せて(りょーかい)(フン!)』

 

イチカ「ヴィタリーさん、この人達の事はあなたにお任せします。宜しくお願いします」

 

ヴィタリー「分かりました、イチカくんが言うのなら喜んで引き受けるわ」

 

っという感じで、亡国の人達はヴィタリーさんに任せる事になり、以降のIS研究は大きく前進することとなった。




なんか亡国のメンバー紹介とか書いてたら、普段より長くなってしまった……

お決まりのスコールとオータムとマドカはまだしも、ダリルとフォルテとアリーシャの3名は早期での登場にし、更にイチカ達に組みする形にしました。

言っておきますが、実姉の千冬さんはイチカが誘拐された事を政府から知らされずに第二回モンド・グロッソの決勝に出場して、優勝後にイチカの誘拐と殺された事を聞かされて、仇を打とうと亡国を追い続けていた。とはいえイチカが死んだとは信じておらず、もし本人と生きて会えたならよりを戻したいとも考えている設定。

さぁ……次回はイチカ、現実世界へと帰還する。現在に関しては来月中に原作に入ろうと思っています。
マドカの性格も改変して登場させます。
*フラグは…あえて言いません。読者の皆様で察して下さい……


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設定Ⅱ

最初は一気に帰還への話を書こうと思いましたが、その前に亡国のメンバーと今後登場するキャラについての設定を固めておこうと急遽予定を変更することにしました。
更にISもまとめて書くことにしました。(但し、イチカの専用ISは原作に入ってから紹介しようと思ってます)
*原作キャラについては、原作編に入ってから投稿しようと思います。


IS

 

騎士シリーズ:

原作に登場する『黒騎士』がモデル。

ヴィタリーの研究所のIS開発部門で独自に設計開発された近接戦及び中距離戦特化型の第三世代IS。

姿は原作の黒騎士とほぼ同じだが、背部は『サイレント・ゼフィルス』の蝶を連想するデザインではなく、第二形態の福音の様にエネルギーの翼が生えた姿である。

基本装備は原作の『黒騎士』と同じだが、パイロットの以前のIS、もしくはパイロットに合わせて異なる後付装備を有する。

主にテストパイロットと研究員(後にイチカも所有することとなる。)の専用ISで「黒騎士」,「嵐騎士」,「凶騎士」,「氷騎士」以外にも姉妹機が存在するが、スコールとオータムは愛着もあってか前から持ってたISを所有している。

 

黒騎士:

マドカ自身の専用ISで、騎士シリーズの一番機。外見は上記の通りで全体が黒く塗装されている。

他の騎士型とは異なり6機のビットを装備しているどちらかといえば中距離戦型ではあるが、性能では凶騎士の方が上である事に加えテストベッドである為、装備は騎士型の中では貧弱な部類に入る。

 

嵐騎士:

アリーシャの専用ISにして騎士型の二番機。外見は黒騎士同様上記の通りで、全体が黄緑で塗装されている。

騎士型の中では近接戦闘に最も特化した機体で、基本装備以外に身の丈以上にもなる長い長剣2本と防御装備として大型シールドを2基搭載されている。

 

凶騎士:

レインの専用ISにして騎士型の三番機。外見は上記の通りで、全体がダークグレーで塗装が施されている。

他の騎士型は普通に「○○騎士(きし)」と読むのに対し、こちらは英語読みで「凶騎士(マッドナイト)」である。

基本装備以外には23mmガトリング砲と誘導式対戦車ミサイル24発、更に誘導式の48連装57mmロケット弾ランチャーが搭載されている。

 

氷騎士:

フォルテの専用ISで騎士型の四番機。外見は上記の通りで、全体が雪の結晶をあしらった水色で塗装されている。

基本装備以外に、フォルテの以前のIS『コールド・ブラッド』の能力が受け継がれており、『コールド・ブラッド』と同じ戦い方が可能となった。

 

 

キャラ 亡国組

 

スコール・ミューゼル:

亡国企業のトップにして実動部隊の指揮官。

オータムとは恋人という関係(所謂レズ)でイチカは単に友人という概念でしかない。

センチネルに来てからはヴィタリーの研究所でISの研究開発の責任者として働き、現在はトゥイニャーノフ研究所のIS開発部門室長を勤めている。

専用ISは「ゴールデン・ドーン」

 

オータム・ローウェル:

原作のオータム。

ある時イチカと共に研究所に来たユーリから自分と同じオーラを感じ取って、本人からの了承を得てローウェルの名を名乗るようになった。

上記の通りスコールとは恋人という関係で、スコール同様にイチカは友人という概念でしかない。しかしイチカを殺した事への自負心はあり、たまに一緒に飲みに行ったりとかの関係はある。

トゥイニャーノフ研究所ではスコールを補佐する任にあり、IS開発部門室長補佐という立場を持つ。

専用ISは「アラクネ」

 

マドカ・ヴァレンス・アストロリアス:

原作の織斑マドカ。

最初はイチカへの怒りはあったものの、ヴィタリーの教育があって恨みは消え、今ではすっかりブラコンと化した。

イチカが王族に属する立場にあった為、マドカ自身も王族入りすることとなり、今の名を持つこととなった。更にイチカと同じ様に近衛騎士団へと入ってクロエの下へ弟子入りして騎士の心構えと剣術を学び、クロエを“師匠”と呼んでいる。

専用ISは「黒騎士」

 

アリーシャ・ジョゼフィーヌ:

原作のアリーシャ・ジョセスターフ。

最初はスコールの下でIS研究に携わっていたものの、後に国の為に貢献したいと思い王妃に頼んで伯爵の座を獲得し、新たにジョゼフィーヌと名乗ることにした。現在ではトゥイニャーノフ研究所のIS開発部門研究員を務めつつ、IS開発部門のテストパイロット兼開発部門代表パイロットとしてISの腕を磨いている。

専用ISは「嵐騎士」

 

レイン・ミューゼル:

原作のダリル・ケイシー。とはいえ原作とは異なり、スコールの娘という設定。

今の名のままでは自分は変われないと思い、思い切って昔の名を捨てて本名を名乗る事に決めた。それでもフォルテへの思いは捨てずに今でも恋人関係でいる。

現在はIS開発部門のテストパイロット兼開発部門代表候補パイロットとしてアリーシャ同様にISの腕を磨いている。

専用ISは「凶騎士」

 

フォルテ・ジョゼフィーヌ:

原作のフォルテ・サファイア。

レインと同様の考えを持って今の名を捨て、アリーシャの娘として今の名を名乗っている。上記の通りレインとは恋人関係にある。

現在の地位はIS開発部門のテストパイロット兼開発部門代表候補パイロットとして、レインと同じくISの腕を磨いている。

専用ISは「氷騎士」

 

 

キャラ 味方

 

フレン・シーフォ:

近衛騎士団の隊長の一人。

ユーリとは小さい頃からの仲で、ユーリと同じく王都の下町の生まれ。

騎士としての誇りを持ちつつ、真面目で誠実で正義感もある有能な騎士だが、クロエ並に頑固な堅物で自分の意見は自身が妥協しない限りまげない。

更に極度の味音痴で料理が下手(本人に自覚無し)な上、その標的は常にイチカである故に、隊長留まりで作戦会議には一切呼ばれない。

 

 

敵キャラ

 

バルバトス・ゲーティア:

大昔、ネビリムを倒そうと活躍していた当時の勇者達相手に、たった一人で互角以上に渡り合ったとされる、センチネルの歴史に深く刻まれている太古の凶戦士。

勇者に倒されて以降長い間眠り続けていたが、イチカの血に反応して覚醒。アストロリアスにもロンバルディアにも属さない第三勢力として、イチカを倒そうとその命を付け狙う。

 

 




とりあえずこのくらいにします。
*これ以上増えたら埒が明かなくなる為。
加えて言うと、フレンとバルバトスの登場は原作編に入ってからの登場になります。

次回こそは現実世界への帰還の話。イチカ、行き先で問題を起こす(原作知ってる方は察して下さい)。


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6-帰還と問題

やっと原作が見えて来たけど、その前にもう一話くらい書かなきゃな……
それではどうぞ……


亡国の人達が来てだいたい一ヶ月が経った。

あの人達のお陰でヴィタリーさんの研究はコアの解析が完了し、更にそのコアを元に新たなコアを完成、これの量産に着手している。

それに先立ちスコールさんを室長とするIS開発研究部門が研究所内に創設され、現在は第2世代のデータから第3世代が開発されて、アリーシャさん等がテストパイロットとしてデータ採取に着手している。

 

 

あっそうそう、マドカの事だけど、最初はやっぱ険悪感持たれてたものの、今じゃすっかり改心してしかも……

 

マドカ『お兄ちゃん〜♪えへへ〜♪♪』

 

どっかのアニメとかにいそうなブラコンへと化した。

まっ、仲良くなれたから良いけどね……

 

 

 

ところで、俺は今になっても気になることがある。

それを今回、スコールさんに聞こうと思って今日はヴィタリーさんの研究所へと足を運んだ。今回はミールも一緒だ。

 

 

スコール「それで、今日は何の用かしら?」

 

イチカ「いや、前に聞いた話で確認したいことがありましてね。それで今回はミールにも同行してもらいました」

 

スコール「前に聞いた話?」

 

イチカ「最初に会った時、“この湖にいた”って言ってましたよね?」

 

スコール「ええっ、そうよ」

 

イチカ「その湖って、ラタトゥイユのすぐ近くの湖じゃないのですか?」

 

スコール「そうだけど、それが何かしら?」

 

ミール「実は、私とイチカが最初に会ったのが、ラタトゥイユの近くにある湖“マホエラ湖”なんだ」

 

スコール「えっ、どういうこと?

つまり、何が言いたいの?」

 

イチカ「つまり、その“マホエラ湖”が、現実世界と異世界センチネルを行き来する出入りかもしれないっという事ですよ」

 

スコール「何ですって!?」

 

目的はただ一つ、その湖が現実世界と通じているかだ。

それならわざわざ研究所に立ち寄らずに直接行って確かめるべきなんだが……

 

ミール「ただ、証拠が無いから、実際に行って確かめないと分からないのよ」

 

イチカ「それで確かめる為に向かうところなんですけど、俺は2年近くこの世界にいましたから、現実世界に関しては最近のところは全く分からないんです」

 

スコール「つまり、水先案内をして欲しいってことかしら?」

 

イチカ「その通りです」

 

早い話がこれだ。2年の間に世間が変わっているのなら今のまま行ったら絶対大変なことになるだろうから案内人がどうしても欲しいんだ。

 

スコール「分かったわ、それなら私が行くわ。他のみんなはあまり外に出ないから、詳しいのは私くらいしか居ないからね」

 

っというワケで俺らはその湖へと急いだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ミール「着いたわ」

 

イチカ「ここが」

 

ミール「そう、マホエラ湖よ」

 

スコール「本当に久しぶりね」

 

王都近郊のヴィタリーさんの研究所から馬で1時間要して、南部にあるマホエラ湖へと到着した。

このマホエラ湖はアストロリアス国内で最も綺麗な湖と言われ、水の透明度も良く底が見える程水質が良い湖だ。しかも寒い日でも水温は20度前後で安定していて、冬場でも水浴びに来る人がいることでも有名な湖だ。

 

 

スコール「けれど、問題はどうするの?」

 

イチカ「そこなんですよね〜……」

 

問題はどうしたら向こう(現実世界)へ行けるかだ。何せ手段も準備もせずに来たからこの場で思い付く事を実行してみる他無い。

 

イチカ「水の中に入ったら行けるかも知れませんが……」

 

ミール「でも、もし向こうの世界へ行けたとしても、行ってる最中にロンバルディアが攻めて来たら大変よ」

 

今更だが、ミールの言う通りそれもある。

何か良い方法があれば……

 

スコール「ならトゥイニャーノフ博士から受け取ったこれをつかってみる?」

 

そう言ってスコールさんが差し出したのは、極普通の腕時計だった。

 

イチカ「これは?」

 

スコール「博士の言ってた話だと、これを腕に着けて年月日と時間を設定すれば、その年月日と時間の向こうの世界へ飛べるそうよ」

 

ミール「えっ、博士が用意したの?」

 

スコール「そうよ、“向こうの世界へ行けるのか確かめに行く。”って言ったら、“ならこれを持って行け。”って言われてね」

 

ヴィタリーさん、いつの間にこんなスゲェもん作ったのかよ。科学の力ってスゲ〜〜……

って……

 

ミール「ならここまで来る必要無かったんじゃない?」

 

イチカ「確かに……」

 

わざわざここまで来た1時間が勿体無く感じてしまう……

 

 

イチカ「まぁそれより、使ってみますか」

 

ミール「そうね」

 

スコール「これで使えなかったらシメシがつかないし」

 

それはさて置き、本当に使えるのか試しに起動させてみた。

 

≪ピッピッ……≫

 

イチカ「よし、OK」

 

スコール「こっちも完了」

 

俺とスコールさんは準備出来た。

しかし……

 

イチカ「俺が代わりにやろうか?」

 

ミール「ゴメンなさい、使い方が分からないから」

 

機械なんて一度も触った事のないミールは大苦戦、けれど俺が手助けしてどうにかなった。

 

 

イチカ「それでは……」

 

ミール「行きましょうか」

 

スコール「ええ」

 

セットした時間は、俺がここへ来て2年目の20XX(何年かは言いません。後が面倒になるので……)年2月17日の午前10時頃。但し飛ぶ先までは設定出来ないらしく、飛んだ先が海とかだったらマジでヴィタリーさんを恨むつもりだ。

 

「「「ジャンプ!!」」」

 

そう3人で言ったと同時に装置の左端のジャンプボタンを押した。すると俺らは光に包まれて途端に意識が遠退いてしまった。

 

______________________

 

 

そして、意識が戻ったその先は……

 

≪ワイワイガヤガヤ≫

 

「「「……」」」

 

多くの車や人が行き交い、辺りに高いビルが立ち並ぶとある大都市。ただどこもかしこも日本語で書かれた看板やらあったから、今いるのは日本の何処かの大都市ってくらいだ。

 

ミール「ここが、イチカの生まれ育った世界か。かなり活気溢れた世界だな」

 

スコール「確かにそうね。でも日本はこの世界でも最も女尊男卑の考えが強い国なのよ。何せ、ISの生みの親と世界最強の女性の生まれ故郷はこの日本なんだから」

 

ミール「そうか、ではイチカの事は極力注意せねばならぬな」

 

スコール「そういうことよ」

 

2年経っても全く変わらんのか、この世界は……

 

スコール「さっ、とにかく歩きましょう。このまま立ってばかりじゃ面白くもないし」

 

ミール「それもそうね。行きましょ、イチカ」

 

イチカ「おう……」

 

なんか知らないけど、嫌な予感がするのは気の所為か?

そう思いながら歩き出したが、この後その予感が的中しようとは夢にも思わなかった。

 

ーーーーーーーーーーー

 

歩き出してせいぜい1時間が経過……

 

別に楽しいって程でも無いけど、久々の休日みたいで満足はしている。食べ物屋を回ったり洋服屋に行って服を試着したりと、その最中に多くの鋭い視線を感じたが、それはあえて無視することにした。下手に騒ぎを起こせば厄介な展開になるからだ。

そんな時……

 

ーーーー

 

ミール「ねえ、あれは何かしら?」

 

スコール「あらっ、あれは……」

 

ミールの視線の先にあったのは、見るからにISだった。それも2機だ。

 

スコール「あれは第二世代の訓練機、打鉄ね。どうやら、みんな自由に触れる様に置かれてるみたいね」

 

ミール「ヘェ〜、ねえ行こうよイチカ。私達も触ってみましょ」

 

イチカ「おいおい、それで反応でもしたらどうする気だ?」

 

ミール「大丈夫よ、ほら早く」

 

イチカ「っておい!」

 

俺は触るのは正直気が引けるのだが、ミールが完全に本気な目に変わってて俺でも流れに乗るしかなかった。

何が起こるかも知らずに……

 

 

ミール「じゃあ私から」

 

警備員「どうぞ」

 

一応だが見張りの人は居るんだな、当然かもしれんが……

それより、まずミールがISに手を当てた。

 

≪パアァアアアア……≫

 

機械音を立てながら動き出した、やっぱミールにも反応するのか。

 

ミール「折角だから、イチカも触っちゃいなさいよ」

 

イチカ「えっ、でも俺男だぞ?」

 

スコール「いいんじゃない?

良い経験になると思うわよ」

 

ハア、確かに。なら触ってみっか。

 

イチカ「では……」

 

警備員「どうぞ」

 

≪トンッ≫

 

手を当てた、ヤッパリなんともならない。

っと思った次の瞬間……

 

≪パアァアアアア……≫

 

イチカ「えっ?」

 

ミール「えっ?」

 

スコール「嘘?」

 

ミールの時と同じように、ISが機械音を立てながら動き出した。

ってこれ、反応してんのか!?俺男なのに?!

 

 

ミール「チョットこれ、マズイんじゃあ?」

 

スコール「ええマズイわね、これは……」

 

警備員「君…というより君達、我々と一緒に来てくれないか?」

 

これはヤバイ状況になって来た。気付けば俺達は警備員と他にもいた警察に辺りを取り囲まれてる状況になっていた。

 

ミール「ど…どうする?」

 

イチカ「そりゃ勿論……」

 

答えは一つ。

 

スコール「勿論?」

 

イチカ「逃げるが勝ちだ!!」

 

≪ダダッ!≫

 

ミール「ってイチカ待ってよ!!」

 

≪ダダッ!≫

 

スコール「あなた達!案内人の私を置いて行かないで!!」

 

≪ダダッ!≫

 

とにかく逃げるしかない。

 

警備員「待ちなさい!我々と一緒に来てくれ!!」

 

≪ダダッ!≫

 

 

その後警察やら、ちょうど現場でISの取材に来ていたカメラマンからの執拗な追跡に悩まされながらも、ヴィタリーさんの装置を起動してセンチネルへと戻った。

 

______________________

 

 

目が覚めた場所はマホエラ湖の畔、時刻は陽が傾いた夕方の時間帯だった。

 

イチカ「ハァ…ハァ……やっと…撒いた……」

 

ミール「ハァ……イチカ…何故ああもならなきゃならなかったのだ……?」

 

イチカ「“触れ”とか言ったのミールじゃないか……」

 

ずっと逃げ回ってばかりいたから、息が切れてて、正直言葉を返すだけで辛い……

 

スコール「もう今日は帰って寝ましょう……流石に疲れたわ……」

 

ミール「賛成…だ……」

 

イチカ「そう…ですね……ハァ…ハァ……帰って寝て…今日あった事忘れましょう」

 

そんなワケで疲れながらも、王都に戻ったのはすっかり陽も落ちた夜だった。王都に入ってすぐに分かれてスコールさんは研究所に、俺とミールは王城へと帰りベッドに入って眠りについた。




ハァ……こんな感じです……
大体の方が思った通りの展開だったかと思います。

*急いで書いた感じですから、誤字脱字の報告は積極的にお願いします。

さあ次回はまさかの事態、現実世界からとある人物がやって来る(とはいえ、千冬さんでも束さんでもなくば、幼馴染み組でもありません)


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7-交渉

原作に入る前なのに、お気に入り登録数が100件突破!
まさかこんな沢山の人にお気に入り登録して頂けるとは、感謝しかありません……(´Д` )



現実世界へと、謂わば里帰りみたいなことをした翌日の昼前。俺はまたヴィタリーさんの研究所へとやって来た。

理由は、“俺が本当にISを動かせるのか?”をテストするタメだ。何せ、昨日の一件をスコールさんがヴィタリーさんに話したことが引き金になって、史上初の男性IS操縦者の誕生となれば大事だから、その前にISを動かせるか確かめる必要があるのだ。

一方のスコールさんは、現実世界に残していた亡国の生き残りや機材等をセンチネルへ移すために、人手を集めて今朝出発して今は留守だ。

昨日使った例の装置は、その日のうちにヴィタリーさんが改良を加えて、今度は行き先も設定出来るようにしたらしいから、取り敢えず一安心。

 

 

ヴィタリー「では始めようか」

 

そんなワケで用意されたのは、思いの外第二世代のIS“ラファール・リヴァイヴ”だ。第三世代もここ(IS開発研究部門)では多く開発されてるけど、いきなりそんなの触らせるのは流石に良くないという魂胆でコイツで試すこととなった。

っていうか、“昨日のはマグレであって欲しい。”その言葉がただ頭の中をぐるぐる回っている。

あれはマグレだったんだ、システムのトラブルだったんだ。そうだ、それに違いない!だから今度ばかりは反応する筈が無い!!

 

ヴィタリー「イチカくん、早くしてくれんか?」

 

イチカ「あっ、すみません」

 

って実験で来てたの忘れてた!

……、とにかくISに触ればいいんだな。

 

≪トンッ≫

 

取り敢えずISに触った。ここまでは良い、問題はここから……

 

≪パアァアアアア……≫

 

ISがあの時と同じように、機械音と共に光り出した。

やはり、ISが俺に反応してるのは間違いない。

 

ヴィタリー「やはり、反応があるんだな」

 

イチカ「じゃあ、俺もISに乗れるってことですかね?」

 

ヴィタリー「そういうことになるかな?

だが、イチカくんの身体検査の結果は至って普通の男と変わらないそうだからな。何故かな?」

 

ヴィタリーさんはそう言いながら、事前に行なった身体検査の結果を確認して頭を抱え込んだ。やっぱりヴィタリーさんでもお手上げみたいだ。

それにしても、なんで男の中で俺だけがISに反応するのか?理由は分からず、謎は深まるばかり。

それから俺は、ヴィタリーさん達と研究所内で昼食を済ませてから王城へと戻った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

王城の王妃様の謁見室。そこには王妃様以外にミール、更にクロエ姉さんやソニアさん、そしてティアさんとフリーゼさんが今日の検査結果を聞こうと待っていた。

 

王妃「早速だけどイチカ君、今日あった検査の結果を報告してくれるかしら?」

 

イチカ「はい、それが……」

 

 

そして俺は今日あった結果を全て報告した。

 

王妃「やはり、イチカ君には反応するのね」

 

ミール「けれど、何故イチカには反応するのか不思議ね」

 

ソニア「そうよね、イチカも男なのに」

 

クロエ「実の姉上が関係しているんじゃないんですか?

イチカの実姉は世界最強の女性とか聞きましたよ」

 

フリーゼ「確かにそうだけど、それが決め手になるとは限らないわ」

 

ティア「そうね、明確な証拠も無いし。何よりトゥイニャーノフ博士がお手上げなら、私達にも解決出来ないわ」

 

確かにな。

 

ーーーー

 

≪ガチャッ≫

 

スコール「お忙しいところ、失礼します」

 

そんな中、部屋へ入って来たのはスコールさんだった。

 

王妃「どうかしましたか?こちらは今取り込み中ですから、後でなら伺えるのですが」

 

スコール「それは勿論承知です。ですが、どうしても皆様とお会いしたい方がお見えになっておりまして」

 

ミール「今じゃなきゃダメなのかしら?」

 

スコール「はい。“どうしても今で無くてはならない。”っと、本人が納得しないもので……」

 

ソニア「誰かしら、知ってる人は居ないの?」

 

王妃「私も知らないわね。皆さんがご存知な方かしら?」

 

スコール「残念ながら、ここにいる方で知ってる方は居ないでしょうね」

 

フリーゼ「私は王妃殿下のスケジュールは熟知してるけど、今の時間帯に面会のある者は居ないわよ」

 

なんか会いたい人が来てるそうだけど、心当たりのある人は誰もいない。

 

クロエ「じゃあ誰が……」

 

王妃「構わないわ、お通し下さい」

 

そんな誰なのかも分からない中、その空気を破ったのは王妃様自身だった。

 

ミール「えっ、本気ですか母上!もしかすれば賊かも知れぬのですよ!!」

 

イチカ「そうですよ!ここは我らにお任せを!!」

 

王妃「それも一つの手でしょう。しかしながら、この国の責任者はこの私です。どうするかは私自身が判断します」

 

賊の可能性も少なからずあり得るから必死に止めようとしたけど、王妃様は口を聞かずに相手を招き入れることにした。

 

 

そして……

 

「大変お忙しい中に勝手な御無礼をお許し下さい王妃殿下、どうしても皆様と話がしたく参ったものですから」

 

入って来たのは60歳くらいで上下共スーツのご老人だった。

 

王妃「それは構いませんが、随分変わった格好ですね。あなたは、何者ですか?」

 

「まだ名乗っていませんでしたね、これは失礼を致しました。

私はあなた方で言う異世界、地球より参りました轡木 十蔵(くつわぎ じゅうぞう)。IS学園の学園長を務めております」

 

どうやらこのご老人、何でもこの前現実世界で見たISに乗る人達を育成する学校の偉い人だったみたい。

ってことは、ひょっとして俺に関して話に来たのか?ってかどうやってここへ?

 

ミール「IS学園?何なのそれ?」

 

スコール「IS操縦者を育成する学園よ。この人はそこの最高責任者ってわけ」

 

クロエ「そんなところの責任者が何故ここにいるんだ?」

 

ソニア「もしかして……」

 

スコール「ごめんなさい、それについては私が説明するわ。実は……」

 

それからスコールさんはワケを語りだした。

 

_____________________

 

 

なんでも向こう(現実世界)で亡国狩りを逃れたアジトから、生き残った人間とISやその修理等に必要な機材を運び出してこっち(センチネル)へ戻ろうとした時、偶然亡国のアジトを突き止めてやって来たIS学園の部隊と遭遇して戦闘になり、目的は果たしたもののスコールさんはソイツらに捕まってしまったみたい。

それでこれから学園へ連行される矢先にこの学園長が姿を現して、“君は織斑 一夏の居場所を知っているね?この前テレビに君の顔が写っていたから分かるのだよ。

もし私を一夏君に合わせてもらえるのなら、君を自由にしよう。どうかな?”

っとか言われて、“ならばあなただけが来るのなら合わせても良いわよ。あなた一人で、来るのならね?”ってスコールさんが返した返事に本人が了承してこっちに連れて来て今に至る、らしい……

 

_______________________

 

 

ミール「成る程、これは厄介ね」

 

ソニア「そうなると話を聞かないワケにはいかないけど、聞いたら聞いたで面倒ね」

 

フリーゼ「確かに。もし対応を誤れば、イチカが人体実験の材料にされるのもあり得るしね」

 

十蔵「とんでもございません、そのような考えは全くありません。ですが、織斑 一夏君を…いえイチカ君にIS学園に入って頂きたいので、その交渉に伺ったワケです」

 

イチカ「えっ、俺…というより、自分ですか?」

 

十蔵「その通りですイチカ君、君は男性で唯一ISを使える方。出来れば我がIS学園でISについて学んで頂こうと思いまして」

 

それかよ……

 

ミール「それはとても出来ない。何せイチカは私の大事な夫だし、騎士団の副団長だ。

それにそんな事の為だけに長期間国を留守にしてもらっては、ロンバルディアが攻めて来た時に居ないのでは、我が国としても近隣国家としても危険だ」

 

ソニア「そうね。確かにイチカは重要な戦力だから、いざという時に不在は困るわね」

 

確かにな。

でも、もう一度学生時代に戻りたいって気持ちも捨て切れなかったしな。

だけどロンバルディアが来た時には流石に困るしな……

 

十蔵「それはここへ来る道中に何度と聞きました。私としても、我々の身勝手な理由であなた方にとって重要なイチカ君を引き抜くわけにはいきません」

 

王妃「それではどうなさるおつもりで」

 

十蔵「我がIS学園は全寮制ですが、イチカ君にはこちら側から通学して頂き、こちらで何かあればそちらを優先して頂きます。更に、何かあった時にあなた方へご連絡出来るよう、連絡役を兼ねて護衛に最低お一人付けて頂きたいのです」

 

ミール「成る程な、それなら悪い話ではないな。それで、連絡役兼護衛はこちらで選べば良いのか?」

 

十蔵「勿論です、そうして頂けると助かります」

 

ソニア「それはまだしも、ここで私達と話したことはどうするのですか?まさか、口外すると言いませんよね?」

 

十蔵「滅相もありません、そのようなことは決して致しません。ですが、どこで話したか問われるかと思われますが……」

 

オイオイ、そんで“異世界で話した”やら言えば厄介なことになるぞ!どうするんだよ!!

 

フリーゼ「その際はどうするおつもりで?」

 

十蔵「その件については考えがございます。

実は一週間程前に、ロシア連邦が保有する樺太と千島列島全域を放棄すると発表し、現在までその領有について各国首脳会議で揉めていたのです。これを機にその二つをあなた方アストロリアス側の領土として、新国家の建設を考えているのですが……」

 

ミール「つまり、それで誤魔化すと?」

 

十蔵「その通りです」

 

クロエ「信用出来ないな、そんな事が出来るとは到底思えん」

 

確かにな……

 

十蔵「ご心配無く。私は顔が広いので、私の一言さえあれば、明日にも実行出来ます」

 

王妃「うーん……イマイチ信じ難いのですが、あなたがそう言うのなら、お任せしますわ」

 

十蔵「ありがとうございます」

 

そう言って相手は帰って行った。

 

ーーーー

 

イチカ「大丈夫なのでしょうか?」

 

正直不安だ、信じて良いのかわからない。

 

王妃「私も信じていませんが、ここはあの方にお任せするとしましょう」

 

良いのかな?まあ、そう言うのなら別に否定しないけど……

 

イチカ「それで、付き添いは誰に?」

 

王妃「そうね……ミールにしましょうかしら?」

 

ミール「えっ、私ですか?」

 

王妃「ええっ。あなたはイチカの事を誰よりも知ってるし、何よりもイチカ君の奥さんだからね」

 

ミール「でも、私は機械とかは苦手ですが……」

 

イチカ「俺もミールが一緒なら良いよ、その方が俺も安心出来るし。それに、分からなければスコールさん達が教えてくれるだろうしね」

 

スコール「そうね、だったら構わないわよ。一から全て教えてあげるわ」

 

ミール「……、分かった。だったら行こう、イチカと一緒に」

 

イチカ「宜しく、ミール」

 

ミール「ああっ、お互いな」

 

そんなワケでこれで大方決まった。

更にその後、念の為にマドカも一緒に行くことが決まった。

更に後日、あの轡木さんから樺太と千島列島の件が通ったことが告げられ、更にその直後、俺がISを使えることが地球全体に発表されて俺は…いや俺達はIS学園へ通うことが決まった。




出来ることならミルドレットの顔とか書いて作品内に貼ろうとか思うのですが、絵の才能が無いから書こうと思っても仕方ないんですよね……(-_-)
っというワケで次回はとうとう原作編へと突入…なのですがまず、特別編として帝国側のキャラの話とか書こうと思います


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原作編 Ⅰ
特別編


原作に入る前に番外編としてこんなの書いてみました。

最後のを除いて全て会話のみなので、描写等は皆様の想像にお任せします。


【帝国の者達】

 

 

 

ゲオルグ「やれやれ、またしても撤退とはな」

 

デューク「呆れたな、お前達には」

 

ゲオルグ「何だと?」

 

デューク「“今度ばかりはどうしても無謀だ”っとあれ程言ったにも関わらず、忠告を無視して手酷くやられて逃げ出すとはな。

オマケに、帝国最強と名高いゼストもこのザマか」

 

ゼスト「あぁん?!テメェみてぇな戦いに参加したりもしねぇ臆病者風情に言われたかねぇな!!」

 

デューク「お前のような敗残者ごときに言われたくは無いな」

 

ゼスト「んだとテメェ!!」

 

ゲオルグ「よさんかゼスト、敗走したのは紛れもない事実だ。否定したところで立場が危うくなるだけだ」

 

ゼスト「アンタもアンタだろうが!オメェが撤退なんざ命令しなけりゃ今頃あの炎騎士を血祭りにしてたってのによ!!」

 

ゲオルグ「言い訳なんか聞きたくもない。

ベアトリス、ゼストを医務室に連れて行け。抵抗しようものなら、手足の1,2本なら折っても構わんぞ。後で治せばいいのだからな」

 

ベアトリス「了解」

 

ゼスト「畜生!離せ!離せぇええええ!!」

 

 

ゲオルグ「それにしても、何故あいつの面倒を見なくてはならぬのだ?」

 

デューク「ゼストのことか?」

 

ゲオルグ「当たり前だ。あんな手の掛かる奴、お前やネビリムのお守りにすればいいものを……」

 

ネビリム「それは出来ない相談ね」

 

デューク「お前、一体いつからそこに居たんだ?」

 

ネビリム「ゼストが連れてかれたところからよ。

言っておくけど、あんな聞き分けも行儀も悪い五月蝿い坊やなんか要らないわよ。別に一人でも問題ないし」

 

ゲオルグ「あのな……」

 

デューク「私は部下は足りてるし、何よりあんな暴れ馬を手懐けられるのはお前だけなんだぞゲオルグ」

 

ゲオルグ「チョット待て、ではゼストの面倒をさせられているのは……」

 

ネビリム「あなたしかあの坊やに言うことを聞かせられないからよ、人間って皮肉ね」

 

ゲオルグ「……(なんだ、この擦り付けられてる感覚は?)」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【帝国の者達②】

 

 

 

ゲオルグ「おいヨアヒム」

 

ヨアヒム「おやおやこれはゲオルグさん、また珍しいお客ですね。

なんですかご用件は?」

 

ゲオルグ「ゼストのことだ、あいつを手懐けるのに散々骨を折ってるのだぞ。

なんとかあいつの性格を変えられるような薬やらなんやら作れんのか?」

 

ヨアヒム「それは無理な相談ですね。記憶を無くさせる薬は難なく作れますが、性格となりますとそうは実験しない限りは出来ませんね」

 

ゲオルグ「だったら早く実験すればいいだろ。この国、もとい軍には実験材料になる輩が幾らでも居るだろが」

 

ヨアヒム「何言っているのですかあなたは!そんな事出来る筈が無いでしょ!!」

 

ゲオルグ「お前な、これまで多くの輩を実験台にしておいてその言動は無いんじゃないか?」

 

ヨアヒム「あれは帝国外からの捕虜達だったから良いですが、同胞をそんな実験に使うつもりは毛頭ありません!」

 

ゲオルグ「お前、そこだけは徹底してるのだな……」

 

ヨアヒム「何ですか一体!人のやり方にケチつけるのですかあなたは!!」

 

ゲオルグ「はぁ、もういい……」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【帝国の者達③】

 

 

 

皇帝「フン。ゲオルグめ、軍最高指揮官にも関わらず敗走するとは、役立たずが」

 

ネビリム「仕方ないことではありませんか?」

 

皇帝「何だと?」

 

ネビリム「あの男は平民上がりの将軍でエクセラとやらの元部下。軍隊の指揮の才はあっても、いざ部隊が混乱すれば撤退しか出来ない男ですからね」

 

皇帝「確かに、あの帝国の裏切り者で売国奴な親不孝者の配下ならそれもそうか。ではあのような能無しは死刑に処すかルーベンスの実験材料にすれば……」

 

ネビリム「水をさすようで申し訳ありませんが、あの者が居なくてはゼストの坊やは自分勝手に暴走して、何れはあなたの座をも奪い来るかもしれませんよ。それでもよろしいのですか?」

 

皇帝「むっ、それは余としても困るな」

 

ネビリム「それにあのヨアヒムとかいう奴は、“同胞らを実験道具に使わない”っと言ってましたし。

オマケに、ゲオルグ以外に軍最高指揮官になりたいという輩は一人もいないのですよ?」

 

皇帝「なんだと?捕虜共を実験台に使うときは目の色変えてやりたがると言うのに、図々しい奴め。

それよりも、軍最高指揮官にはバンタレイ公爵に首を挿げ替えれは良いだろ?奴は軍事には優れた才能を持つ男の筈だぞ?」

 

ネビリム「それはそうなのですが、本人は“私がやるよりゲオルグの方が向いている”と言っているのです」

 

皇帝「はぁ、やむを得まい……。

では軍最高指揮官の座はあのゲオルグに任せるしかあるまい……」

 

ネビリム「適切な判断ですね(ふふっ、いい調子ね。これなら、センチネルの蛆虫共に復讐する頃にはスッカリ心も身体も深淵の闇に囚われてることでしょうね)」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【王国の者達】

 

 

 

フレン「あっ、ユーリじゃないか」

 

ユーリ「ん?フレンか、どうしたんだ?」

 

フレン「実は、たった今野菜スープを作ってみたからご馳走したくなってね。しかも副団長からの梃入れもあるから、味に関しては自信があるよ」

 

ユーリ「本当か?の割りにはスープが紫色に変色してやがるぞ、オマケに妙な匂いもすんだが……」

 

 

イチカ「あれ?ユーリさんにフレンさん、こんな所でどうしたんですか?」

 

ユーリ「!(何でこんなタイミングの悪いとこに来るんだよ!)」

 

フレン「これは副団長、実はこの前副団長から教わったスープを作ってみたのですが、如何ですか?」

 

イチカ「本当ですか?では一口」

 

ユーリ「チョット待てえぇええええ!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【王国の者達②】

 

 

 

ミール「イチカ!イチカは何処だ、無事なのか?!」

 

ヴィタリー「心配は無用です、イチカくんは今応急処置中です。命に別状ありません」

 

クロエ「まさかと思って強力な胃腸薬を常備しておいたのが功を奏しましたよ。何せイチカときたら、よりによってたった一口で轟沈したとローウェルが言ってましたし」

 

ヴィタリー「私は医療も詳しいから色々な患者を診断してきましたが、あそこまで皮膚が麻痺して酷く痙攣を起こすような患者は初めて見ました。

余程残酷な料理…もとい、食中毒だったのでしょうね」

 

ミール「なんということだ、可哀相に…イチカ……」

 

 

ユーマ「すみませんが急病人を搬送しますので、道を開けてください!」

 

ティア「すぐに治療してあげるから、それまでの辛抱よイチカ」

 

イチカ「……(ああっ…お花畑が見える……)」

 

ミール「イチカ、頼むから目をあけてくれ!イチカ!イチカあぁああ!!」

 

 

クロエ「それにしてもイチカのヤツ、相変わらず警戒もしないとは……仲間とはいえ気を抜き過ぎにも程があるぞ」

 

ヴィタリー「以降は、フレン隊長は他の人と料理をしてもらった方がよろしいのでは?」

 

クロエ「そうだなトゥイニャーノフ、私の方から姉さんに進言しておく。

待ってろよイチカ、お前の犠牲は…絶対無駄にしないからな!」

 

ヴィタリー「チョット、イチカくん辛うじて生きてますよ?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【王国の者達③】

 

 

 

イチカ「うへ〜〜、危うく三途の川渡るとこだった……。

っというか何入ってたんだ、あのスープは?

まだお腹がムカムカするし、頭痛が治らない……」

 

ティア「ホントあなたって、仲間だからって警戒もしないなんて、情けないわね」

 

イチカ「でも…確かに俺が手伝ってマトモな味になったってのに……なんでああも酷くなるわけ?」

 

ティア「あなた知らないの?フレンったら、ユーリ曰く殺人兵器並の味覚を持つ悪魔らしいわよ。しかも本人自覚が無いから、料理でも作れば一瞬で世界が血で染まるらしいわ」

 

イチカ「そんな話、聞いたこと無いんですけど……」

 

ティア「これ結構有名な話よ、あのミールも騎士団全体に注意するよう呼び掛けてるのだけど、今回は明らかに自業自得よ」

 

イチカ「うう……」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【王国の者達④】

 

 

 

イチカ「なあマドカ」

 

マドカ「どうしたのお兄ちゃん?」

 

イチカ「前に言ってた俺と姉さんを恨んでた理由についてなんだけど……」

 

マドカ「ああっ、あれね。

実はパパとママはね、私と千冬お姉ちゃんに愛情をたっぷり注いでたそうなんだけど、お兄ちゃんには愛情どころかご飯もあげなかったそうなの。“わたし達は女の子が欲しかったのに”って理不尽な理由でね。

それを千冬さんが黙っていなくて、“私の大事な家族に愛情を与えないお前達など、親でも家族でもない!今すぐ出て行け!!”って怒鳴って殴られた事を理由に、パパとママは私を連れて家を出たの。これが、お兄ちゃんと千冬さんを恨んでた理由よ。

でも、今考えてみれば、お兄ちゃんに愛情を注がなかったパパとママが憎いけどね」

 

イチカ「そうだったのか。それでマドカが亡国企業に入ったのはなんで?」

 

マドカ「世界を回ってる時に、パパとママが亡国企業に勧誘を受けたのがキッカケよ。でもそれから暫くして、パパとママは亡くなったわ、企業内であった実験の爆発に巻き込まれてね」

 

イチカ「そうなのか」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【凶戦士の復活】

 

 

 

センチネルの遥か東にあるとある遺跡。

 

そこに封印されるかのように埋葬されてる戦士がいた。

 

名はバルバトス・ゲーティア。彼は大昔、当時のセンチネルを支配していたネビリムを討ち取ろうと活躍していた勇者達相手にたった一人で挑んだとされる戦士。

 

バルバトスは誰かの為に戦ったワケではない。

『タダ強い戦士と戦いたい』

それがバルバトスが戦う唯一の理由だった。

 

バルバトスはごく普通の人間であるにも関わらず、人間離れした力と戦闘能力を有していて、幾度も勇者達と互角以上に渡り合ったとされる。

 

しかし、バルバトスは勇者達の手で討ち取られ、古代人はバルバトスが二度と復活出来ないよう何重にも遺跡に封印を施して埋葬したとされている。

 

せめて安らかに眠るようにと願いを籠めて……

 

 

だが……

 

≪ドクン……≫

 

『む?』

 

≪ドクン……≫

 

『なんだこの鼓動は?』

 

≪ドクン……≫

 

『この渇きは?』

 

≪ドクン……≫

 

『そうだ、俺が求めるのはこんな牢屋みたいな棺に眠り続けることではない。俺の渇きを癒す者だ』

 

≪ドクン……≫

 

『そうだこの鼓動は、俺の渇きを癒す者が現れた証だ』

 

≪ドクン……≫

 

『俺はここで永遠に縛られる存在などではない』

 

≪ドクン…ドクン…ドクン……≫

 

『俺は自由だ!俺の居場所は…ここではない!!』

 

≪カッ!ズドガアァアアアア……!≫

 

 

長き時の流れで朽ち果て、脆くなった遺跡と封印はバルバトスの力を抑え付けることが出来ずに崩壊。

その崩壊した遺跡から、身の丈もある巨大な斧を片手にバルバトスが姿を現した。

 

バルバトス「ぶるあああああああああああああああああああああああああああああああッ!!

俺は!俺の渇きを癒すために!再び蘇ったぞ!!

待っていろ!双天の鎧を纏う勇者よ!今度こそ貴様を殺し尽くしてくれるわ!!

フハハハハハハハハハハ!!!」

 

太古に封印された凶気の戦士バルバトス。己の欲望を満たすために……今…復活した……

 




なんか日常的な話も書きましたが、結局イチカ達の話に加え、先へと繋がるような話も書いてみました。

次回は…原作キャラの特別編、主に男性初のIS操縦者が発覚する辺りの話でも書こうと思います。


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特別編 Ⅱ

今回は原作キャラの話、とはいえモップさんの話が最も長いのですが……


【セッシー】

 

 

 

セシリア「全く!幾らISを使えるからと神聖な領域たるIS学園に入学させるとは、IS乗りへの冒涜ですわ!!」

 

チェルシー「まあセシリア様、そう気を悪くなされては折角の美人像が台無しですよ」

 

セシリア「そんな事気にしてる場合ではありませんわ!問題なのは、“下等な男風情がISを使えること”ですのよ!!」

 

 

チェルシー「そんなことを言ってて宜しいのですか?相手は新国家の方とはいえ、立派で聡明な騎士にして王子様でもあるのですよ?」

 

セシリア「えっ?それは本当ですの!?」

 

チェルシー「ええ勿論、オマケに顔も良いし考えは硬いですし、セシリア様の理想にピッタリ合うお方ですよ」

 

セシリア「気が変わりましたわチェルシー!早速おめかしをしなくては!!」

 

チェルシー「それでこそ由緒正しきオルコット家のご令嬢ですわ(やはりセシリア様は扱い易いですね)」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【モップ】

 

 

 

箒「はぁ……」

 

とある一室に一人の女性が大きな溜め息をついていた。彼女の名は篠ノ之箒、ISを開発した束博士の実の妹だ。

彼女は今…と言うよりもある時までは“重要人物保護プログラム”による日本政府の方針で日本各地を転々と移住させられていた。

 

ある時までは……

 

 

そのある時に至るまではまず、彼女の過去から話していかねばならない。

__________

 

彼女の実家は“篠ノ之神社”という神社で住職をしつつ、敷地の一角にある剣術道場の師範を務める家柄だった。

 

そのため、幼い頃から剣道をたしなんでおり、実力は大の大人相手に互角に渡り合うとかなりのものだった。

 

初志貫徹で頑固一徹、尚且つ日進月歩の性格な彼女は日々鍛錬を怠らず、己が気を許した相手以外では素っ気ない態度を取っている。

 

気を許したある一人を除けば……

 

 

その人物の名は織斑一夏。

彼女の姉が本人の姉と親しかった上に、一夏の姉が道場によく顔を見せていた為、一夏とは顔馴染みだった。

 

彼女にとって織斑一夏とは理想的な男性だった。

歳は変わらないが剣の腕は強く、箒とも良い勝負が出来る程の実力者だった。

 

箒は織斑一夏に恋をした。

彼女はそれまで、彼程の実力を持つ男は剣道師範にして自分の父を除いて知らなかった。

 

 

その為彼女は一夏を独占しようと、彼に近づく者は姉と自分の家族を除いてほぼ力づくで追い返していた。

更に一夏が家に帰る時もまとわり付き、彼といる時間を作ろうと本人の意思を無視して無理矢理剣道場に通わせたりなどして、挙句自分がやった罪を彼になすり付けて自分はただ“自分は悪くない、悪いのは一夏だ”という始末だった。

 

だが、彼女は分かっていた。

そんなことをしても、得をするのは自分だけで一夏本人はただ友達も作れずに孤立することくらいは……

しかし、彼女はそのことは口に出して言うことが出来なかった。

“もしそんなことを本人の前で言ってしまえば、一夏は一生自分を避けるのではないか”と思って彼女は言えなかった。

 

彼と別れた以降も……

 

 

彼女は小学4年で一夏と別れることとなった。

 

理由は、彼女の姉がISを発表し、姉がISに必要なコアを467個目を作った矢先に姿を消し、唯一姉と連絡がとれる彼女が、政府の思惑で強制的に親と離れて、誰にも気付かれない遠い所へ移り住むことになったのだ。

 

それを聞いた彼女はせめて今まで言えずいたことだけでも一夏に打ち明けておこうと思ったが、政府の役人はそんなことは許さなかった。

 

もしそれで彼女の居場所が知られたら困るからだ。

 

それで止むを得ず彼女は、想い人の一夏に何も言えずに別れた。

またいつか、彼と逢えることを祈って……

 

 

だが神様は非情だった。

 

箒は想い人の一夏が死んだことを、偶々観ていた第二回モンド・グロッソのテレビ中継で知った。

 

生憎死体は見つからなかったが、ドイツ軍が誘拐現場に突入した際にみつかった多量の血痕が、一夏本人の血液とほぼ一致したのが決定打となり、ドイツ軍と政府は織斑一夏は誘拐先で撃たれ死亡したと決定づけて捜査を打ち切ったそうだ。

 

けれど、彼女が最も気に食わなかったのは政府の対応だった。実は織斑一夏が誘拐されたという事実を、その時のモンド・グロッソに出場していた日本代表にして一夏の姉の織斑千冬が決勝まで勝ち上がる前に政府は知っていた。

 

なんと一夏を誘拐した誘拐犯が、丁寧に教えていたのだ。

 

けれど政府はそれを無視した、『織斑千冬の弟が誘拐されたくらいで、そのことを姉の千冬に伝える必要は無い』と、人の命より自分達の利益を優先して簡単に切り捨てたのだ。

 

それを知った箒は激情し、「自分達の私利私欲の為に人の命を勝手に切り捨てる貴様らなぞ二度と信用しない!もう私は、篠ノ之束の妹でも何でも無い!よって私は…お前たちには縛られない!!」っと暴言を吐いて今まで伸ばしていてロングヘアだった自分の髪を、肩辺りで切ってショートヘアにした。

 

それは今まで自分の本心を何も言えなかった自分への戒めと同時に、一夏に対する彼女なりの償い方だった。

 

 

その後彼女は姉の助力で政府に圧力をかけて要人保護プログラムを解除させ、自分は実家の篠ノ之神社へ帰り、後に“倉持技研”というIS企業からスカウトを受け、『家族に一切迷惑を掛けない』ことを条件に入社し、現在は倉持技研の企業代表にして日本国家代表候補生として活躍している。

 

 

これが篠ノ之箒だ。

__________

 

箒「一夏…私は…お前への罪をシッカリ償えてるか……?」

 

彼女は二度と逢えないであろう想い人にむけそう呟いた。

彼女としては、彼女なりに過去の自分に決別を誓い、二度と同じ誤ちはしないと心に決めた気だった。

ただそれでも罪悪感だけはそうとはいかない。彼女は何度も何度も天国から自分を見ているであろう一夏に謝ってきたが、それで本人が許してくれるなど流石の本人も思ってはいない。

 

箒「せめて…生きていれば……」

 

彼女はいつもそう呟いている。

前に一夏の姉から、『一夏は死んでいない、だから望みを捨てるな』っと言われたことがあったが、彼女は当の本人を信用していないからのらりくらりと交わしたくらいでそれから連絡も何もしていない。

そんな彼女が何気無くテレビをつけた時、あるニュースが彼女の目に止まった。

 

『臨時ニュースをお伝えします。先週日曜日の○○デパートで開催されたIS展示会でISを動かした男性は、先程国連の安全保障理事会の採択で建国された新国家、“アストロリアス王国”の第一王子のイチカ・ヴァレンス・アストロリアスであることが明らかとなりました。

これに対し国際IS委員会は……』

 

箒「えっ、一夏?」

 

そのニュースの人物の名前と写真、それは死んだと言われた織斑一夏と瓜二つな顔の青年だった。

 

箒「ま…まさか…な……(だが、もし本物なら…逢えたらいいな……)」

 

一瞬戸惑った箒だったが、別人だと思いつつ、本物であって欲しい気持ちが混み上がるのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【鈴】

 

 

 

鈴「なんであたしがIS学園に入れないのよ?!」

 

幹部「それは我々が入学を勧めたのに、“君が行かない”と言ったからじゃないか」

 

幕僚「そうですね」

 

 

鈴「さっき見たあの男のニュース見て気が変わったのよ!だから行かせて欲しいのよ!!」

 

幹部「そんな事を言われてもな、我々も最近は忙しいからそんなことを急に言われても困るな」

 

幕僚「そうですね」

 

 

≪ズガアァアアアア!≫

 

鈴「あたしも強行手段は取りたくないので、おねがいしますね、お・じ・さ・ま?」

 

幹部「分かったすぐ上に話すとしよう。だが今からだと4月には到底間に合わんからそのつもりでな……」

 

幕僚「そう…ですね……」

 

鈴「分かりゃ良いのよ、それじゃお願いね(一夏かどうか分かんないけど待ってなさいよ、一発思いっきりぶん殴ってやるんだから!)」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【シャル】

 

 

 

「シャルロット、あなたには重要な任務を与えるわ」

 

シャルロット「なんでしょうか、社長婦人様?」

 

社長婦人「あなたにはIS学園に入学し、例の男のデータ入手と誘拐を命令するわ」

 

シャルロット「えっ!?

そんなの無理ですよ!IS学園の警備が厳重なことくらいあなたでもよくご存知な筈です!!」

 

社長婦人「ええ分かってるわ、そのくらい。

でもいいのかしら?もしやらないのなら、あなた自身がどうなるかくらい分かるでしょ?」

 

シャルロット「それは……」

 

社長婦人「分かってるのならやりなさい、これは社長命令でもあるのよ。良い?」

 

シャルロット「承知しました……」

 

社長婦人「それと、IS学園への編入…もとい入学は5月以降になるから、そのつもりで」

 

シャルロット「分かりました……」

 

 

社長婦人「フン、もしあいつが(社長の)愛人の娘じゃなかったら、すぐに始末出来たというのに……」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【黒ウサギ】

 

 

 

クラリッサ「隊長、先程軍司令部より司令書が届きました」

 

ラウラ「うむ、読め」

 

クラリッサ「ヤー、『本日をもって、シュヴァルツェ・ハーゼ隊長 ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐をIS学園へ編入させることが決定された。

追記:編入は5月始めからなので、それまでに必要な準備をされたし』以上」

 

ラウラ「今まで興味無かったから拒否を続けていたが、選りに選ってこんな時に強引に進めるとはな」

 

クラリッサ「私もどうかとは思いましたが、恐らく…例のニュースで上が独自に決定したのでしょうね」

 

ラウラ「世界初の男性IS操縦者か?」

 

クラリッサ「ヤー」

 

ラウラ「確かにあれは驚いたな。しかも、建国されたばかりの極東の国の王子とはな」

 

クラリッサ「どうも都合が良過ぎるのでは?」

 

ラウラ「それは言えるな。しかし、上が決定した以上は従わざるを得まいな」

 

クラリッサ「そうですね」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【楯無】

 

 

 

虚「お嬢さま、先程日本政府からこのような通達が」

 

楯無「えっ、何て?」

 

虚「何でも…『新国家のアストロリアスより世界初のISを使える男が誕生したがどうも日本人にしか見えない。

詳しく調べて調査結果を提出してもらいたい』との事です」

 

楯無「そんなのは政府の専門機関で調べれば良いじゃない、何でこんな暗部専門のとこに頼むのよ?」

 

虚「それが、今政府直属の専門機関は調査の為アストロリアスへ出払っているらしく、国内かつIS学園に通う我々に依頼したそうです」

 

楯無「それにしても強引ね。第一、アストロリアスは確か外人の入国を禁止している国よ。よく行かせる気になるわね」

 

虚「もし日本人なら、即刻連れ帰ってデータ取りの為の実験に使うのでは?」

 

楯無「それもあり得るわね、それだけは何とか阻止しないと」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【簪】

 

 

 

本音「ねえかんちゃん、遊ぼうよ〜」

 

簪「どうせ本音なんか、いつも私を振り回してばっかりで疲れるから、一人でしなさいよ」

 

本音「え〜、一人じゃ寂しいしやだよ〜」

 

簪「はあ…もう……」

 

 

本音「そういえばかんちゃん、あのニュース見た〜?」

 

簪「あのニュース?」

 

本音「ほらほら〜、最近話題のイッチーだよ〜」

 

簪「それって、世界初の男性IS操縦者のこと?」

 

本音「そうだよ〜、王子様で〜、しかも立派な騎士だって聞いたよ〜」

 

簪「ふ〜ん(テレビで顔見たけど、格好良かったわね。同じ学校に行くみたいだし、声でもかけてみたいな……)」

 

本音「ほえ〜?かんちゃんどうしたの〜、遊ぼうよ〜?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【チッフー】

 

 

 

真耶「そういえば織斑先生」

 

千冬「何だ山田先生?(クソッ、疲れてるというのに!)」

 

真耶「テレビで騒がれてるあの人、聞いてますか?」

 

千冬「誰だ一体?」

 

真耶「世界で唯一ISを使える男性のことですよ」

 

千冬「いや、全然知らんが……」

 

真耶「そうですか?でもその男性の顔テレビに映ってたのですが、前に織斑先生から見せてもらった弟さんと顔がよく似てるのですよ」

 

千冬「!(何だと、っということは、一夏が生きてるのか!?だったらすぐ調べなければ!!)」

 

 

真耶「ってあの、織斑先生!一体どちらに?!」

 

千冬「急用を思い出した!悪いが先に上がらせてもらう!!(なら早速あいつに連絡せねば!)」

 

真耶「ってチョ……!

もう、また私が先生の溜まった書類片付けなきゃならないなんて……」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【大天災】

 

 

 

束「えっ、なんで!?どういうこと!?」

 

『繰り返し、お伝えします。

先週日曜日の○○デパートで開催されたIS展示会で偶然ISを動かした男性が、今日未明建国された樺太と千島列島からなる新国家、アストロリアス王国の第一王子のイチカ・ヴァレンス・アストロリアスであることが判明しました』

 

束「いっくんと同じ顔のヤツ…っということは、コイツは今までちーちゃんが探してたいっくんだったり……」

 

 

クロエ・クロニクル「束様」

 

束「何〜、クーちゃん?」

 

クロエ・クロニクル「先程千冬様から束様宛の伝言を預かっておりますが……」

 

束「あ〜、分かってるよ〜。テレビのイッくんだよね〜?

束さんが調べて置くから、『ソイツから適当に血液やら皮膚の皮やらコッチに送って欲しい』って伝えておいて」

 

クロエ・クロニクル「畏まりました」

 

 

束「さ〜て、コッチもイッくんのこと調べなきゃね〜」




こう書いてみると、モップさんのとこ書き過ぎたな……
こうも長いと贔屓してるとか読者から思われちゃうかな〜?(−_−;)

追記:クーちゃんの件はもう一人クロエがいる為、コッチのクロエはフルネーム扱いにしてみました。


まぁそれはさて置き、次回こそは原作の話へ突入、過去との再会。
どうなるかやら……


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8-入学

原作の第1巻の最初ら辺のお話し……
それではどうぞ!


IS学園、そこはIS操縦者を育成するための世界でただ一つの学園にして国際的教育機関。

そんなところに、俺とミールとマドカは入学することになった。

のだけど……

 

ティア「こうして制服を着るのは士官学校の卒業以来ね」

 

ミール「言われてみればそうだな。思えば懐かしいな、あの時が」

 

クロエ「私なんか剣の修行していたら誤って教官を斬ろうとした時がありましたよ」

 

何故かマドカが来ずにクロエ姉さんとティアさんが来ている。しかもみんなIS学園指定の制服だ。ただ制服の改造は許されてるらしくみんなオリジナリティーある改造をしている。

ミールは胸元を開いて胸が見えるような感じでしかもスカートの後ろが長くなっている。

ティアさんは両袖の根本を切って分離し、制服はレオタードみたいにしたらしいけど、それだと流石に変態にしか見えないと言うワケで短めのスカートを履いてる。けど、ストッキングをガーターベルトで止めてしかもナイフを何本も隠してるそう……

クロエ姉さんに関しては、黒くて腰まであるマントを除けば一見ごく普通の制服にしか見えないのだが、制服の下は何故かタイツ。理由は、これが無いと落ち着かないからだとか……

ま、俺のは改造してないけど(男子生徒が俺だけってワケで)特注らしいし……

 

 

イチカ「そういえばマドカはどうしたんですか?まさかと思いますが、“叩きのめして本人が動けなくなった”っとかじゃありませんよね?」

 

ミール「そんなワケないだろ。そんな理由だったら、今頃エクセラまで来てたぞ」

 

ティア「マドカは別件で出られなくなったから、私達は代わりで来たのよ。

何でも日本政府の馬鹿連中が特殊部隊を樺太に送ったらしいからね」

 

クロエ「それで私達が出る事になったワケだ。もとよりマドカ本人は、“昔の因縁なんかに会いたくない”っと言って始めからヤル気が無かったそうだがな」

 

そうだったのか、ってかマドカお前…その別件を言い訳に出ないだなんて言わないよな?

それはさて置き、もうすぐHRの時間なんだけど、今俺らがいる場所は学園長室。なんでも学園長が俺らに用があるらしいが、一体何の用だろか?

 

 

十蔵「これは皆さん、長らくお待たせしましたことをお詫び申し上げます」

 

ミール「それは構わないが、一体何の用で?」

 

十蔵「先程、日本政府がイチカくんの素性を突き止めようと、特殊部隊を派遣させてたとの情報が入りましたもので」

 

やっぱそれなのか……

 

ティア「それならばこちらも聞いてるわ。それに、もう返り討ちにして追い返しただろうしね」

 

十蔵「この度は誠に申し訳ありません。たった今日本政府に強く抗議しておきましたので、これでもう今回のような件は起こらないと思われます」

 

話を聞くからに、日本政府の犯した所業についての謝罪だった。

まぁ、別に本人は悪くないから良いけどさ……

 

 

クロエ「それで、話はそれだけなのか?」

 

十蔵「いえ、もう一つだけごさいます」

 

もう一つ、何だろう?

 

十蔵「実はあなた方が一年間所属する1年1組なのですが、担任を務めますのが織斑千冬教諭なのです」

 

「「「「えっ?」」」」

 

それを聞いた俺らは唖然となった。出来れば会いたくもなければクラス担任であって欲しくなかったのに、何故か担任が姉さんだなんて……

 

ティア「それは一体、どういう風の吹き回しなのかしら……?」

 

十蔵「本当なら他のクラスにしたかったのですが、織斑教諭がどうしても『わたしのクラスで預からせてもらう!』ッと言って聞かなかったもので、止むを得ずそうしたのです」

 

ミール「それなら仕方ないが、これに乗じて益々付け上がって来られては困るな」

 

十蔵「確かにそれは考えました。そこで、本人にはある条件を出して意見を呑むことにしました」

 

条件?

 

十蔵「“まず第一に、イチカくんらに一切の危害を加えず、且つ干渉をしない。

第二に、学校行事に参加させるかしないかは、私とアストロリアス側の賛同で決めること。

第三に、もしこちらの承認もなく勝手な行動をとったその時は状況関係なくして厳罰に処する。”

っといった条件を突き付けましたから大丈夫でしょうが、もし何かあれば即座にご連絡してください。いつでも飛んで行きますから」

 

成る程なそれなら流石に文句は言えまいか……

 

十蔵「これで以上です。何か質問はありますか?」

 

イチカ「1組の担任は織斑教諭のみなのですか?ならば本人が付け上がる可能性は少なくも無いと思いますが?」

 

十蔵「心配には及びません。1組には他に、副担任の山田先生が居ますから問題はごさいません」

 

イチカ「ならば良いですけどね」

 

ただ不安が残るな……

 

 

十蔵「ではそろそろHRの時間です、それでは3年間宜しくお願いします」

 

イチカ「こちらこそ、宜しくお願いします」

 

不安はあるものの、時間が無いから取り敢えず先へと急ぐことにした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

1年1組の教室……

 

 

 

イチカ「なんなの、この珍獣を見るかのような視線は?」

 

ミール「私にもさっぱり分からんな」

 

ティア「っというか、イチカが目立ち過ぎるんじゃない?」

 

クロエ「確かにな。もとより、こんな最前列の中央とは……」

 

どうも落ち着かん……何せ、ここ(IS学園)は男が一人しかいないのは仕方ないとはいえ、物凄く目立つところに席があるのは流石に辛い……

 

ーーーー

 

「は~い、みなさん。席に着いて下さ~い」

 

そんな中で教室に入って来たのはここの担任らしき人だった。

この人が先生なのか?

っていうか高校生くらいにしか見えないのは、俺だけか……?

 

「皆さん入学おめでとうございます。

本日から皆さんの副担任をします、山田真耶といいます。

皆さん、これから1年間よろしくお願いしますね」

 

『……』

 

この人が副担任ね、チョット頼りなさそう……

ってかみんな静まり返ってるんだけど大丈夫か?

 

 

真耶「え〜と……ではまず自己紹介をしてもらいましょうか。

最初はヴァレンスくん、お願いします」

 

イチカ「はい」

 

まず俺からか。

 

イチカ「新国家アストロリアス王国の第一王子で王国軍の騎士を務める、イチカ・ヴァレンス・アストロリアスだ。

趣味は料理とマッサージでハイキングも好きだ。

それと、あまりしつこくてややこしい奴が嫌いだから、そのつもりで」

 

まあ我ながら良い出来だろう……

 

『きゃあぁああああああああ♪♪!!!』

 

刹那、耳を覆いたくなる程の強烈な黄色い声が響いた。

 

生徒1「カッコいい♪!しかもイケメンよイケメン♪!!」

 

生徒2「しかも王子様よ!一気にお近づきになるチャンスよ!!」

 

生徒3「アタシ地球に生まれて良かった♪!!」

 

おいおい、なんか1人どっかの芸人みたいな発言してないか?

ってそれより……

 

イチカ「ほらほら、そんな騒いでると次に進まないぞ。

ミール、次頼んだ」

 

ミール「任せておけ」

 

これ以上騒いでもらうと埒が明かなそうなので、ここはミールに譲るとする。

 

 

ミール「私はアストロリアス王国の第二王妃で王国軍騎士団団長のミルドレット・ヴァレンス・アストロリアス、私のことはミールと呼んでくれ。

みんなとは歳が五つ程違うが、ISが使えることに加え、ISの知識が無い事を理由に皆と同じ1年として入学することとなった。

それと、イチカは私の大事な夫だから、手を出そうと思ってた輩は諦めろよ?」

 

相変わらずだな…ミールは……

 

『えぇええええええ……!!?』

 

さっきまでの空気は何処へやらみたいな感じに早変わり、やっぱ言葉の力って怖いね……

 

生徒4「そんな…既婚だなんて……」

 

生徒5「この世はなんて理不尽なんだ……そして神様は何故こうも非情なのか……」

 

生徒6「よし…殺そう……」

 

おい何かヤバイこと言ってる奴が居るぞ!

ってか次!次行こう!!

 

 

クロエ「次は私だな。クロエ・ヴァレンス・アストロリアス、騎士の名門ヴァレンス家の娘の一人でミールお姉さんの妹だ。

これからよろしくな」

 

コッチもそうか……

 

 

ティア「最後は私ね、私はティア・グランツ。アストロリアス王国軍の騎士にして軍人で、階級は軍曹よ。

ミールとは小さい頃からの仲でよく考え方の違いで衝突したりもするけど、それでも立派な幼馴染みよ。

これからよろしくね」

 

まあ…皆こんな感じか……

 

ーーーー

 

その時……

 

 

≪ヒュンッ!≫

 

奇襲あり!

 

≪キンッ!≫

 

俺は咄嗟に腰に付けている剣で、振り下ろされてきたものに構えて防いだ。降り下ろされてたのはただの出席簿だが、剣で割れないとかだと鉄が入ってるのは確かだな……

それより……

 

イチカ「教え子に向かって暴力とは関心いきませんね」

 

千冬「お前が訳の分からんことを言ったからしたんだ」

 

イチカ「訳の分からない?仰っている意味が分かりませんね?」

 

千冬「お前の名前は織斑一夏だ、訂正してもう一度やれ馬鹿が」

 

本当に嫌だ、願いが叶うならここから立ち去って2度とここへは来たくはない……

 

イチカ「可笑しなことを言いますね。俺は…というより、自分の名はイチカ・ヴァレンス・アストロリアスです。あなたの知る織斑一夏とは全くの別人ですよ?」

 

千冬「教師に対していい度胸だな貴様」

 

ウザ…こいつゼスト以上にウゼ……

 

 

イチカ「それ以上言うなら、腕ずくで分からせる他ありませんね」

 

千冬「下らんな、お前ごときが勝てると思ってるのか?」

 

イチカ「あなたよりは強いですよ?自信過剰にならないことですね」

 

千冬「貴様…言わせておけば!」

 

ミール「待てイチカ、お前が手を出す必要は無い。こいつのような分からず屋の愚か者は、私自ら叩き伏せてくれる」

 

ティア「ミール、イチカを侮辱されたのに怒るのは分からなくもないけど、だからってあなたがやることはないわ。

私がこの女を倒すから」

 

クロエ「いいや!ここは私、ヴァレンス家の騎士の誇りにして剣術師範のクロエ・ヴァレンスにお任せ下さい!!」

 

挑発して決闘に持ち込もうと思ったら、ミール達が間に入って我こそはと相手を倒そうと名乗り出て来た。

 

 

真耶「皆さん!構内での決闘は禁止ですから争わないで下さい!全てこちらで処理しますから落ち着いて下さい!!」

 

結局山田先生が割って入って事はおさまりHRはなんとか終わった。




箒のとこまで書こうと思いましたが、この前5000文字くらい書いたので今回はこの辺で……

さて次回は箒との再会……


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9-旧友との再会

箒に加えてセシリアさんもご登場……


それから授業を受けた後の放課……

 

 

 

生徒1「あの子よ、世界で唯一ISを使える男性って」

 

生徒2「確か展示会でIS起動させちゃたらしいって」

 

生徒3「世界的な大ニュースだったもんね」

 

生徒4「それから消息不明だったらしいけど、まさか王子様だったなんてね」

 

生徒5「やっぱり入って来たんだ」

 

廊下には他の教室から湧いて来たのか女子の大群が……

 

生徒6「ねえあなた話し掛けなさいよ?」

 

生徒7「わたしいっちゃおうかしら?お嫁さんが居ても、お近づきなるチャンスだし」

 

生徒8「待ってよ!まさか抜け駆けする気じゃないでしょうね?!」

 

オマケに教室にはクラスメイトが俺の話ばっかり。

ちょっとは静かにしてくれ……

 

 

ミール「随分と人気者ね、イチカは」

 

ティア「無理も無いでしょうね。何せ、世界で唯一ISを使える男性はイチカしか居ないもの。気になるのは仕方ないわ、それにお嫁の座を奪おうとする者もね」

 

ミール「何だと!?」

 

クロエ「確かに、イチカはカッコいいから気になっても仕方ないだろな。

ベッドでも凄いし」

 

ティア「確かに、ベッドの上でイチカに勝てる女は一人も居ないでしょうね。

特に、妻には他より激しくて強烈な行為が待ってるものね」

 

ミール「それはあり得るな、断固として阻止せねば」

 

って考えてみれば、頼みの綱のミール達がこれじゃどっちみちダメか……

 

ーーーー

 

「取り込み中に申し訳ない」

 

「「「「ん?」」」」

 

「私はクラスメイトの篠ノ之箒だ。一夏…じゃなくてヴァレンス君に用があるのだけど……」

 

イチカ「そんな丁寧にしなくてもいい。それと、俺のことはイチカって呼んでくれ」

 

箒「分かった、イチカ」

 

声を掛けられたから顔を向けてみれば、そこにいたのは箒だった。

なんでこんな時に……って、なんか前より丸くなったような……

 

 

ミール「それで、私の夫に何の用だ?まさかと思うが……」

 

箒「待った待った!別にそんなつもりで声をかけたワケじゃありません!ただ話しがしたいだけなんです!!」

 

クロエ「話?イチカにか?」

 

箒「そうです!場合によっては皆さんも一緒でいいです!けどここじゃ話しづらいから場所を変えたいのですよ!!」

 

話、何のことだ?

まさか今まで行方知れずだった理由とか?

 

ティア「信用は出来ないけど、皆と一緒なら別にいいんじゃない?」

 

ミール「そうね、だったらいいわ」

 

箒「本当ですか!?」

 

クロエ「但し、これからはそんなよそよそしい態度はとらなくていいぞ。何せ同じ学年なんだからな」

 

箒「わ…わかった、そうする」

 

なんか流される感じに話進められた気がするのは気の所為かな?

それはまだしも、俺らは箒に案内される形で教室を後にした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして案内されたのは屋上のテラス、よくまあこんな広々とした空間があるな……

 

 

箒「ここならいいだろう。

では単刀直入に聞きたい、イチカお前は…織斑一夏なのか?」

 

やっぱそれなのか、はぐらかしてみるかな……

 

イチカ「何故そう思ったのかな?」

 

箒「単なる勘…かな?違うならいいんだ。

だがもし一夏なら、どうしても言わなきゃならないことがあるからな」

 

クロエ「言わなきゃならないこと、それはなんだ?」

 

箒「私は、一夏に酷いことをして来たんだ。

いつも一緒に居たいが為に、暴力であいつの友達を追い返したりして、あいつが学校で孤立する原因を作ってしまったんだ。

馬鹿だよな、私って……そんなことをしても一夏は損するだけなのにな。けどそのことを言えなかった、今でもそうだ。だから私は、一夏に謝らなければならないのだ。どうせ謝っても許してくれるとは思えないけどな……」

 

イチカ「……」

 

箒、お前……

 

箒「違うのなら違うと言ってくれ。ただ私は、本当のところを聞きたいんだ。お前が織斑一夏なのかをな?」

 

……ハア……

 

イチカ「完敗だ、流石は箒だな」

 

箒「やっぱり一夏だったのか、すまない。私は……」

 

イチカ「もういいさ。さっき聞いたし、もう怒ってもいないし」

 

箒「お前が言いたいことは分かった、だがそれでは私がどうしても納得が出来ん。何せ私は、お前にとんでもない罪を……」

 

イチカ「何度も言わせないでくれ。怒ってないって言ったろ?」

 

箒「だが……」

 

やれやれ……

 

イチカ「お前は変わらないな」

 

箒「えっ?」

 

イチカ「頑固なとこだよ」

 

箒「……、そうかもな……それを言われては何も言えないな……」

 

全くな……

 

ーーーー

 

≪キーンコーンカーン≫

 

ミール「イチカ、早くしないと遅れるぞ」

 

イチカ「そうだな、行こ箒」

 

箒「ああっ、改めて宜しくな」

 

イチカ「お互いな」

 

なんか、やっと幼馴染みとしての絆を深められた気がするな……

 

 

ミール「仲むつまじいな」

 

ティア「ええっ。あの二人を見てると思い出すわね、昔の私とあなたとソニアを」

 

ミール「そうだな、懐かしいな」

 

クロエ「姉さんにグランツに皆、早く早く」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

二時限目の授業……

 

 

 

真耶「……であるからして、ISの基本的な運用は現時点においては国家の正式な認証が必要であり、規定より逸脱した運用を行なった場合は国際法に基づき罰せられ……」

 

ISの基礎知識の授業。山田先生の説明って分かり易いから助かるな、俺が騎士を目指してた頃なんか基本“身体に叩き込んで無理矢理頭で覚える”ってのが流儀だったからな……

 

 

真耶「ところでヴァレンスくん、ここまでで何か分からないところはありますか?

分からないところは遠慮せず聞いてくださいね。何せ私は、先生ですから!」

 

胸高らかに言うのはカッコいいけど、なんか意地張ってる子供に見えるのは俺だけ?

 

イチカ「俺は予習復習もしましたから問題ありません」

 

真耶「本当ですか?それなら良かったです!」

 

イチカ「問題は……」

 

真耶「問題は?」

 

そう、問題なのは……

 

ミール「え…え〜と……」

 

コッチだよなぁ……

 

ミール「済まないが、全然分からない……」

 

大体見当付いてたが、やっぱりか……

 

真耶「え…っと……今までの流れで、全部分からないのですか?」

 

ミール「いや、規則とかは分かってるのだが、他の用語がどうしても頭に入らなくて……」

 

ハァ……

 

 

ティア「全く、ミールって前からそうよね?軍や騎士団の規律は良くても、専門的な言葉は全然分からないのは……」

 

ミール「そ…それはだな!」

 

クロエ「そういえば姉さんって身体で憶えるような人柄ですしね、それから考えてみれば……」

 

ミール「何よ?」

 

クロエ「いや別に」

 

ミール「何なのよ一体!気になるじゃない!」

 

ティア「ミールは有事の時以外は単純な事しか出来ない性格だからね。こんな奥さんを持ってるイチカが気の毒ね」

 

ミール「今何と言った?!もう一度言ってみろ!!」

 

ティア「さぁて何のことかしら?記憶に無いわね」

 

ミール「貴様あぁああああ!!」

 

イチカ「ああもう!ここで喧嘩するのは流石に止めろ!!」

 

口喧嘩するのは勝手だけど、これ以上悪化するのは流石にゴメンだから止めに入った。

それからの授業は大体そんなことの繰り返しだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして2度目の放課……

 

 

 

イチカ「あのさ、怒るのはいいけど場所を選んでくれないかな?」

 

ミール「悪かった……」

 

ティア「全くあなたは、クロエとソックリよね」

 

ミール「どこかだ?」

 

ティア「猪突猛進なところよ」

 

ミール「何を言う!そんなことあるワケ……!!」

 

クロエ「思い返せば姉さん、イチカが敵に捕まったって連絡聞いた時に仕事ほっぽり出して救出に行った事ありましたよね?しかも返り討ちに遭いそうになって……」

 

イチカ「それだけは絶対言うな!!」

 

それ俺が騎士団に入ってすぐの話!ってか今になってそれ口に出すのは止めろ!!

 

 

「お取り込み中申し訳ありません」

 

イチカ「えっ?」

 

今度は誰?

又誰かに声掛けられたからその方を向くと、今度は金髪のしかも縦巻きでしかもロールのヤツ……

 

イチカ「どなた様?」

 

「申し遅れました。わたくし、イギリスの代表候補生のセシリア・オルコットと申しますわ」

 

ああっ…英国淑女様か……

 

イチカ「それで、ご用件は?」

 

セシリア「大した事ではありませんわ。ただ、ヴァレンス様とお話しがしたく伺ったものですから」

 

イチカ「えっ?俺?」

 

セシリア「そうです。わたくし実は、あなた様のような一国の騎士様で且つ王子様にお会いするのを夢見ていまして、それで今回同じクラスになれましたからご挨拶に参ったのですわ♪」

 

ああ成る程…そういう系ね……

 

セシリア「それでヴァレンス様、同じクラスとして、これから宜しくお願いしますわ♪」

 

イチカ「それはどうも…っというより、ヴァレンス様って呼び方はチョット困るから、イチカと呼んでくれると有難いな」

 

セシリア「分かりましたわ。では、わたくしのことも、セシリアで構いませんわ」

 

ミール「ならば、私達も呼び捨てでいいぞ」

 

クロエ「折角だから、今まであった私の武勇伝でも聞かせてやりたいな」

 

ティア「あなたはいつもそうね。まぁ兎に角、これから宜しくね。セシリア」

 

セシリア「はい!」

 

なんかまた新しい友達が出来たな。

ってあれ?そういえば俺の友達、女性ばかりしかいない気がするけどなんでかな?

 

 

≪キーンコーンカーン≫

 

セシリア「どうやらお時間のようですね、ではまたお話ししましょうね♪」

 

イチカ「ああこちらこそ」

 

「「「「……」」」」

 

なんか…後ろから冷たい視線が……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

三時限目……なんだけど……

 

 

 

千冬「その前にクラス代表を決めようと思う。クラス代表とは一言で言えば学級委員長で、再来週行われるクラス対抗戦などで大いに活躍してもらう。

自選他薦は問わないぞ」

 

クラスメイト1「はいっ!それじゃヴァレンス君を推薦します!」

 

イチカ「えっ!?」

 

クラスメイト2「わたしもそれがいいと思う!」

 

クラスメイト3「賛成!」

 

クラスメイト4「うんうん!折角男子が居るんだし、持ち上げないと勿体無いよね〜!!」

 

クラスメイト5「そうそう♪」

 

なんか話が逸れてる気がするな。

ってか俺やらないぞ、そんな役目は……

 

イチカ「残念だけど俺はやらないぞ」

 

千冬「言い忘れたが他薦された者に拒否権などない、指名された以上は覚悟してもらう」

 

そんな大事な事ぐらい先に言えよ!

くっそこうなれば打つ手は一つ!!

 

イチカ「ならばミールとクロエ姉さんとティアさんを指名する!」

 

ミール「チョット待てイチカ!どういうつもりだ?!

私達は絶対やらないぞ!!」

 

イチカ「こうなったら道連れにしてやる!」

 

クロエ「イチカ貴様!そんなことを他人に押し付けるとは、それでも騎士か?!」

 

ティア「いいんじゃない別に。勝ったら勝ったらで、負けた人に責任押し付ければいいし」

 

クロエ「む…確かに、それも一理あるな……」

 

おいおい、クロエ姉さん相変わらずだな……

 

 

セシリア「ならば、わたくしは自推してもよろしいですか?」

 

そんな中で名乗りを上げたのは、さっき声を掛けて来たセシリアだった。

 

千冬「別に構わんが、その代わり決闘で代表を決めることになるがいいのか?」

 

セシリア「構いませんわ。それに、わたくし個人としても、イチカさんにお願いがありますし」

 

イチカ「俺に?」

 

一体なんだ?

 

セシリア「イチカさん、誠に私的な事で申し訳ないのですが、わたくしと腕試しをして頂けませんか?」

 

イチカ「理由は?」

 

セシリア「理由は一つ、あなた様の強さをこの目で確かめたいのです。ですので、受けていただけませんでしょうか?」

 

成る程ね、ならば……

 

イチカ「いいよ、但し手加減しないから覚悟はしてくれよ?」

 

セシリア「勿論ですわ♪」

 

思う存分本気で戦わせてもらうから覚悟を決めてもらうぞ。

 

 

箒「ならば織斑先生、私もオルコットさんと同じ理由で自推します」

 

更には箒までもが名乗りを上げて来た。

 

千冬「良かろう、これで話は纏まったな。それでは一週間後の月曜放課後に第3アリーナで行う。各員それぞれ、準備をしておくようにな(ふっ、これを機に一夏の目を覚まさせて、一夏を誑かした奴らは皆海に放り出してくれるわ……)」

 

そんなワケでクラス代表の件はこんな感じで決まり、授業が再会された。




ハァ……書いた書いた……


さぁて……次回は…お昼休み…っと何か……


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10-午後の一時

12時半頃、ようやく午前の授業が終わって昼休みの時間になった……

 

 

 

ミール「フゥ…終わった……こんなに頭を使ったのは騎士団訓練騎士の時以来だわ……」

 

午前中の授業が終わったと同時に机の上で伸びるミール。

ってか一国の姫がそんな事したら恥ずかしいぞ、やれやれ夫の顔が見てみたい…って夫俺だ……

 

 

イチカ「サッサと飯食いに行こうか」

 

ティア「賛成だわ、こんなダラけ者なんかに付き合ってたら幾ら時間があっても足りないわ」

 

ミール「ちょっとティア、それはどういう意味なワケ?」

 

ティア「さあね」

 

ミール「しらっとチラ見してから無視するな!」

 

イチカ「だ〜もう!ミール、簡単に相手の挑発に乗るなよ!ティアもミールを挑発するなよ!!」

 

ミール「うう……」

 

ティア「それは失礼しました」

 

間に入って叱るのはいいけど、何だろう…このやるせない気持ちは……

 

 

セシリア「イチカさん、先ほどは本当に申し訳ありません。わたくし個人の目的の為だけに決闘だなんて」

 

イチカ「構わないさ、別に悪気は無いんだろ?」

 

セシリア「勿論ですわ」

 

イチカ「ならいいさ、寧ろ大歓迎だしな」

 

セシリア「ありがとうございます♪」

 

そんな時にやって来たのはセシリアだった。

どうやら私的な理由で決闘を申し込んだことへの謝罪に来たみたいだけど、俺は別に気にしていないから許してあげた。

 

 

セシリア「ところでイチカさん達は、お昼はどうなさるおつもりで?」

 

イチカ「そうだね、確かここは食堂があった筈だけど、場所がね……」

 

一応山田先生から前持って聞いてはいたけど、どこかは言ってなかったから正直困る話だ。

 

セシリア「それでは、食堂で一緒にランチはいかがでしょうか?わたくし、食堂の場所ご存知ですから案内致しますわ」

 

イチカ「本当?それは助かる」

 

箒「私も同行してもいいだろうか?私だって、オルコットさんと同じ理由で決闘を申し込んだのだからな」

 

セシリア「構いませんわよ。同じ専用機持ちで代表候補生ですもの、仲良くしなくてはなりませんわ。

それと、わたくしのことはセシリアでいいですわ」

 

箒「そうか、なら私も同じでお願いしたい」

 

セシリア「ええっ、それでは参りましょうか」

 

そんなワケで、セシリア達に先導されて俺達は食堂へと向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

イチカ「広いね」

 

ミール「そうだな。軍の食堂も広いといえば広いが、ここはレベルが違う」

 

食堂へやって来て最初に思ったのは、その広さ。騎士団や常備軍が使ってる食堂も広い方だが、ここはレベルが違った。

おそらく2千ほどの人達が入ってもまだ余裕があるくらいの広さで、しかもテラス席まである優雅な時間を楽しめそうな空間だった。

 

 

セシリア「どうしましたのイチカさん?」

 

イチカ「いや、あまりにも広い食堂だなと思ってね」

 

セシリア「当然ですわ。全校生徒おろか先生方もお使いになられる場所ですもの、広いのは当たり前ですわ」

 

イチカ「そうか……」

 

まあ…気にするなってパターンかな?

 

セシリア「さっ、早く行きましょ」

 

イチカ「ああ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

そんなワケで、俺達は食堂内のテーブルを囲んで昼食を摂ることにした。

俺と箒とミールは和風定食でティアさんとクロエ姉さんはナポリタン、そしてセシリアはサンドイッチだった。

 

セシリア「唐突で申し訳ありませんが、イチカさんとミールさんは日本料理ですが、箸の扱いは上手ですの?」

 

ミール「勿論さ、イチカに教えてもらっただけだがな」

 

イチカ「親戚が日本人だから、箸の扱いは上手な方なんでね」

 

セシリア「そうですの。確かに、日本とあなた方の国は近いですものね」

 

まあ実際のところは今でも日本人みたいなものなんだけど、今は偽る形でいるから単なる綺麗事にしかならない言い訳だ。

 

 

箒「それはそうと、イチカ達は肝心の専用機を持ってるのか?まさかと思うが、生身で戦うとは言わないよな?」

 

まあそういう話はやっぱ出て来るよな……

 

イチカ「そんなワケないだろ。まっ、それもあり得るだろうけどね」

 

箒「なっ!?」

 

ミール「でも心配は無いわ。私達も専用機は祖国から用意される事になってるから」

 

クロエ「そうだな。特にイチカは、国内では人気でお気に入りの科学者もいるからな。大して問題は無いだろな」

 

ティア「けど問題なのは、稼動時間じゃない?特に私とクロエは、一番稼動時間が短いのよ」

 

確か、俺は良くてもまあ20分でミールはせいぜい10分、そしてクロエ姉さんとティアさんが5分あるかないかかな……

 

 

セシリア「一つお聞きしますが、皆さんISの方は大丈夫ですの?特にミールさんは」

 

ミール「う……」

 

ティア「そうね、ミールは一番問題よね。規則以外の憶えが悪いし」

 

ミール「ああ……それは、確かに重大な問題だな……」

 

そうなるよな……けど、向こう(センチネル)にはマドカ達がいるから大丈夫だろうけどさ……

 

イチカ「心配は無いだろう、ミールには俺もいるし。何より、本国には優秀な操縦者達がいるしな」

 

箒「そうか、確かみんなは本国から直接登校するのだったな」

 

セシリア「そうでしたわね、スッカリ忘れてましたわ」

 

クロエ「何だと、篠ノ之とオルコットは知ってるのか?私達のことは」

 

箒「無論だ、HR前に学園長から聞いた」

 

セシリア「秘密を守るためとはいえ少し事が過ぎると思ったのですが、仕方のないことだと思って受け入れましたわ」

 

学園長…行動早いな……

 

 

セシリア「それにしても、織斑先生はわたくし達とは大違いですわね」

 

箒「全くだ。幾ら自分の弟と顔が似ているとはいえ、一国の王子に虐待未遂を起こすとは考えられんな。

あの人は最も注意を受けている筈なのに」

 

セシリア「えっ、織斑先生って弟さんがいらしたのですか?」

 

箒「ああ、何せ私は織斑先生の弟とは顔見知りだったからな、顔はよく覚えてる。

しかし、だからってあの行動は無いな」

 

セシリア「同感ですわ。けれど、あの様な問題行動を起こしてよくクビにされませんわね。わたくしの国でしたら即座に解雇されますわよ」

 

イチカ「仕方のないことだと思うぞ、何せ織斑先生は世界最強と呼ばれてる人だ。そんな人をクビにしようものなら、女尊男卑主義の輩が面倒事を起こしてより収拾がつかなくなるだろうから、学園側もしたくても出来ないのだろさ」

 

セシリア「それを言われては文句も言えませんが、このままお咎め無しなんてありませんよね?」

 

ミール「それは無いな。何せ、さっきティアが今朝の一件を学園長に報せたからね」

 

ティア「今頃キツイお説教を喰らってる事でしょうね」

 

クロエ「だといいな」

 

それで済めばいいが、あの人(織斑先生)が納得するとは思えんしな。多分これからも同んなじパターンがあるかもな……

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方……

 

 

 

十蔵「初日から問題を起こしてくれましたね織斑教諭、危害を加えるなとあれ程注意したじゃありませんか」

 

イチカ達が想像していた通り、織斑教諭は学園長から提示されてた条件を破った為に説教を受けていた。

 

千冬「あれは……一夏が悪いのです。一夏がワケの分からん名を言うから……」

 

十蔵「お言葉ですが織斑教諭、彼はあなたが知る織斑一夏では無く、アストロリアスの王子であるイチカ・ヴァレンス・アストロリアスです。

そのことはあなたにもよく知らされてある筈です」

 

千冬「そんな事は無い!あいつは紛れも無くわたしの弟の織斑一夏です!!

わたしが何が何でも、一夏を誑かした雌豚共から一夏を取り返さなくてはならないのです!!」

 

十蔵「その言葉、アストロリアス側が知ったらどうなさるおつもりですか?幾ら私でも、そこまでは責任は取れませんよ?」

 

千冬「あんな蚊トンボごときわたし一人でも……!」

 

十蔵「言っておきますが、あなた一人で相手に出来る者達ではないのですよ?」

 

千冬「う……」

 

十蔵「分かったのでしたら、今回のような事は2度と起こさない事ですね。

本当ならあなたはとっくに解雇されているのですから、これ程良くしている私に感謝するのですよ?」

 

千冬「はい……」

 

最初のところは抵抗してた織斑教諭だったが、学園長相手に勝てるわけも無く脅しに屈する形で打ち負かされる結果となった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

色々あったけど、今日の授業は何とか終わった。

 

帰ろうと思ったそんな時……

 

 

 

「ねえイッチー」

 

イチカ「ん?」

 

全体的にのんびりとした袖長な女子生徒に呼び止められた。

 

イチカ「俺に何か用?って言うか、“イッチー”って?」

 

「うん、イチカだからイッチーだよ。

そうそう、わたしは布仏 本音(のほとけ ほんね)。のほほんさんって呼んでね」

 

イチカ「“のほほん”ね……」

 

確かにのほほんとした人だけど……本名を縮めると“のほほん”になるのがある意味ミラクルだな……

 

 

ミール「それで、私の夫に何か用か?」

 

本音「うん、あるよ。

それと、“ミルミル”と“クロっち”と“ティンティン”にも用があるんだけどね〜」

 

ミール「ミルミル?」

 

クロエ「クロっち?」

 

ティア「ティンティン?」

 

こいつ変な呼び方するな…ちゃんと公私混同とか出来てるのか?

 

本音「イッチーが心配することないよ〜。だってわたし、こう見てもメイドさんなんだし〜」

 

「「「「えぇええええええ!!?」」」」

 

嘘この人これでもメイド!?ってか心読むって一体何者!?

 

本音「何でそんな驚いた顔するのさ〜、ただ見ただけで分かるものだし〜。

それよりも、すぐ終わるから付いて来てくれない?本当すぐ終わるから〜〜」

 

イチカ「わ…分かった…行こうか……」

 

「「「うんうん」」」

 

断わったら後でいや〜な仕返し受けそうで怖いから、大人しくのほほんさんの後を付いて行くことにした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして案内されたのは、1年4組の教室だった。

 

イチカ「え〜と、ここの誰かに用?」

 

本音「うん、そうだよ〜。かんちゃ〜ん、連れて来たよ〜〜」

 

かんちゃん?

 

「う…うん……」

 

その直後に出て来たのは、なんか“守って欲しいオーラ”を醸し出す眼鏡っ娘で美少女だった。

 

イチカ「え〜と、君がかんちゃん?」

 

「うん。けど、それは本音がそう呼んでるだけ。

私の本名は更識 簪(さらしき かんざし)、簪って呼んでね」

 

イチカ「あ…ああ……なら俺らも、呼び捨てでいいから」

 

ミール「まあそうだな」

 

クロエ「同じ学年同士だものな、仲良くするのは当然だ」

 

ティア「そうね」

 

え〜と、のほほんさんとは違って、こっちは頼りなさそうだから、つい気をつかってしまうような……

 

 

イチカ「あ〜、それで俺…元より、俺らに何か用?」

 

簪「うん、二つ用があるの。一つはテレビで見てカッコ良かったから一度お話したかったことと、もう一つはイチカに聞きたいことがあって」

 

イチカ「俺に?」

 

何だろう?

 

簪「イチカって、強いの?」

 

イチカ「まぁ…強いと言えば強いかな?」

 

簪「どうしてイチカは強くいられるの?」

 

聞きたいのってそれか、俺なりに言うなら……

 

イチカ「大切な人達を守りたいから……かな?」

 

簪「大切な人達ってイチカの奥さんや仲間のこと?」

 

イチカ「それもある。けどそれ以外に、民を守りたいのが大きな理由だ」

 

簪「民を…守る?」

 

イチカ「そう、新米騎士の時代にミール達から教わったことがあるんだ。

“力有る騎士は力無き民の為、我が身に宿りし力振るいて、自らの魂犠牲にしてでも大義を成せ。”ってね」

 

簪「それってまさか、ノブレス・オブリージュ(高貴さは義務を強制する)?」

 

イチカ「そう、我がアストロリアスの騎士の鉄の掟にして最大の誇りだ。俺らアストロリアスの騎士達は、それを心掛けて民を守っているのさ、民の幸せの為にね」

 

簪「そうなんだ、凄く格好いいね」

 

イチカ「そうかな///?」

 

そう褒められると、恥ずかしいな……

 

 

簪「ねえイチカ、今度一緒にご飯しようよ。私、本音しか友達居ないから寂しいし」

 

イチカ「勿論さ。同級生なんだから、仲良くしないとね」

 

ミール「そうだな、これから宜しくな」

 

簪「うん♪」

 

本音「良かったね〜かんちゃん、ついにお友達が増えてね〜〜」

 

簪「本音は黙ってて」

 

そういったワケで約束を交わし、俺らは外に出ると人気の無い森の中で転移装置の設定をしてセンチネルに戻った。




はぁ…なんか途中から面倒臭くなって色々飛ばしてる感じがする……

それはさて置き、次回はセンチネルでのとある任務。ついにあいつが姿を現す……


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11-遭遇

センチネルに戻ったのは、別にここから転移した直後ならいつでもいいからってワケでおよそ1時間後の朝9時くらいの時間に戻って来た。

 

戻って最初に取り掛かったのは……

 

 

 

≪カリカリ……≫

 

イチカ「……」

 

執務室に籠っての書類の始末だった。

何故かと言うと、俺も騎士団のナンバー2だから執務をするのは当たり前。っと言うのは建て前で、本当の理由はミールが書類を片付けないから俺が処理を行う為だ。

これは余談にしかならないけど、肝心のミールは別の用事で今王都にはおらず、ソニアさんは常備軍幹部の会議に出席してて忙しい上、他の人達も殆ど別件とかで留守にしてて、今居るとすればモブ騎士とかだ。

 

 

イチカ「はぁ……」

 

終わらない……書類が山の様に溜まってるから終わる気がしない……

 

 

≪コンコンコンッ≫

 

そんな時に部屋のドアを叩く音が聞こえて来た。

一体誰なんだろう?

 

イチカ「どうぞ」

 

≪ガチャッ≫

 

士官「イチカ様、お忙しいところ失礼します」

 

誰かと思えば軍の士官だった。

 

イチカ「どうかしましたか?」

 

士官「実は東方辺境の守備隊の一群が、何者かの手によって壊滅したと報告がありました」

 

イチカ「えっ!?」

 

どうやら今回は部隊壊滅の報だった。

って!壊滅だと!?

 

イチカ「一体どういう事ですか!?詳しく話して下さい!!」

 

士官「は…はいそれが、なんでも森の中で訓練をしていた際に突然現れた謎の男1人によって、4~5人を除いて全員やられたと……」

 

イチカ「何だって!?」

 

大変だ!すぐに部隊を送らなきゃ…って……

 

イチカ「考えてみれば、手空きですぐに動ける有力な騎士って俺だけじゃん……」

 

士官「まさにその通りですイチカ様」

 

参ったな…けど報告を受けた以上は行く他無いか……

 

イチカ「分かった、なら俺1人で行こう。それと、この事は騎士団長らには本人が戻って来た時に伝えて増援軍を派遣して欲しいって伝えてくれますか?」

 

士官「勿論ですが、お一人で大丈夫ですか?」

 

イチカ「何も無いとは思いますが、何かあればすぐに連絡しますので」

 

士官「畏まりました」

 

ならこれで決まりだ。

 

イチカ「では行って参ります」

 

士官「はい…くれぐれもお気を付けて……(本当に大丈夫かな、一人で行って?)」

 

っということで俺は部屋を出て自室で装備を整えて出撃した。

何が待っているかも知らず……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

アストロリアスの東側は、北から流れる風と東の山脈より流れる冷たい風がぶつかるところで、センチネルでは夏場でも冷夏な寒冷地帯が広がる場所だ。

ここらは寒いところだけど、その割には作物の育ちが良いせいか農業が盛んで畑が至るところに点在する場所だ。

 

そして今、そんなのどかな田園地帯を馬に乗って進んでいる。

 

イチカ「静かだな……」

 

王都から離れ、国境にも近いところだからか静かだ。しかも人一人いない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

それはさて置き、目的の東方警備隊の砦に到着。

 

隊長「お待ちしておりました炎騎士様、さあどうぞ」

 

そこで待ってた守備隊長に案内されて中へと進んだ。

 

ーーーーーーーーーー

 

案内された場所は砦の医務室…なんだけど、そこに広がってた光景に思わず顔を覆いたくなってしまった。

並んでいたのは守備隊員の遺体、しかもその数100を下らない程でどれもこれも傷口が深く床は遺体から流れ落ちたと思しき血で一色に染まっていた。

 

イチカ「酷い、一体誰がこんなことを?」

 

隊長「それが我々にもよく分からないのです。彼らが訓練より戻って来るのがあまりに遅いと思って森を探し回って発見した時には既にやられた後で……」

 

イチカ「誰かさえ分からないと?」

 

隊長「そう言うことになります」

 

なんてことだ、こんな酷いことをするなんて、とてもと言って許せない!

 

イチカ「遺体が発見された場所は?」

 

隊長「この砦のすぐ裏に広がる森の中です。ですが、あれから随分時間が経ちますから犯人は何処かへ移動したと思いますが……」

 

イチカ「例え時すでに遅しといえども、犯人が残したでしょう痕跡くらいは残ってる筈です。それに、こんな光景を見せられて黙っているワケには行きません」

 

隊長「そうですか。分かりました、なら自分達も同行します」

 

イチカ「ご厚意は有難いですが結構です。これは俺自身で片を付けます」

 

隊長「えっ、まさか一人で行かれるのですか!?

危険です!もしあなた様に何かあれば、この国の未来が……!!」

 

イチカ「ご心配には及びません。それにここの戦力が僅かな中で唯一残った人員を使うワケには行きませんからね」

 

隊長「……、炎騎士様がそう仰るのでしたら異論はありません。ですが、くれぐれも無茶はしないで下さい」

 

イチカ「はい。それと後ほど増援が来ると思いますので、その時は事情を詳しく説明しておいてください」

 

隊長「はっ、お気を付けて」

 

そういったワケで、俺は手掛かりだけでも見つけようと、砦を出て現場の森へと入って行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その頃の王都……

 

 

 

ミール「何ですって、イチカが!?」

 

士官「はっ、皆様が出払っているということでお一人で出発されまして……」

 

ソニア「止めなかったの?!」

 

士官「それは……」

 

ティア「考えつかなかったのかしら?」

 

士官「率直に言えばそうです」

 

用事から戻った全員がイチカの事で士官を問いただしていた。

 

 

ミール「それで、本人は何も言ってなかったのか?」

 

士官「いえそれが…皆様が戻られましたらこの事をお伝えして欲しい事に加え、増援をお願いするよう頼まれまして」

 

エクセラ「はぁ……こんな事なら私も一緒に残ってるべきだったな」

 

士官からの報告を聞いてエクセラは先程までの自分に後悔した。

実はエクセラは、先程まで王都内を散歩して買い物やら食べ歩きやらしてたのだ。

幾らロンバルディア帝国の元皇女とはいえ、彼女もまた一人の女子。流行りとかは熟知していなきゃならないと、王都の市場をよく散策しているのだ。

 

 

ソニア「ともかく、ぼやいてばかりしてはいられないわ」

 

ミール「そうね、イチカ一人だと何かあるかもしれないしね。

準備が整い次第出撃よ」

 

『はい!』

 

とはいえ、落ち込んではいられないと気持ちを入れ替えた全員は出撃の為準備に入り、1時間後に増援軍200名余を引き連れ出撃した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方……

 

 

 

イチカ「はぁ…結構歩いたな……」

 

犯人の手掛かりを求めて森の中を歩き回っていた。

最初に問題の現場へは向かったけど、そこは犯人の証拠らしきものは何一つ見つからなかった。

元よりその場は地面が5cm位抉られてた程度で殆ど荒れていなかった。それから察するに、戦闘はそれ程経過せずほぼ一瞬で終わったとしか言いようが無いだろう。だが問題なのは、そんな事の出来る手だれが何処にいるかだ。

帝国のゼストにも出来なくは無いだろうけど、ここは東の辺境で王都からせいぜい400km以上離れている。こんなところまで帝国軍が来るのなら、わざわざこんな辺境じゃなくて王都へ通じる北部の主要な道路を通るに違いないからまずあり得ない。

だとすると一体誰なのか?謎は深まるばかりだ。

っと、それはさて置き……

 

 

イチカ「それはいいけど、困ったな……」

 

今俺は森の中で迷っていた。何処も彼処も同じ風景だからどっちがどっちかなのかも分からないから正直今どこへ行こうとしてるのかさえ分からない。

 

そんな時……

 

『主…主聞こえる?』

 

イチカ「えっ、その声はイフリート?」

 

イフリート『気を付けて主、近くに恐ろしい奴がいるわ』

 

普段は全くといって出て来ないイフリートが、珍しくも俺に話し掛けてきた。

ってか、恐ろしい奴って誰なの?

 

イフリート『何でもいいからここから離れて、ここで奴に会ったら戦って無事には済まないわ』

 

おいおい、そんな怖い奴かよ?

それより……

 

イチカ「だったら行くしかないさ。第一、砦の兵を襲った奴かもしれないんだ。おめおめと逃げ出したりなんか出来るものか」

 

イフリート『やめた方がいいわよ。幾ら主でも敵うかやら……』

 

そんな事言われてもなぁ……こんなところで迷ってしまった以上どうすることも出来ないしな……

 

 

そんな中出たのは、一箇所だけ野原のようにひらけた場所。そんなところの中央に、青い鎧を身に纏った大きな斧を持った大男が立っていた。

 

イチカ「あいつは?」

 

イフリート『危険よ!今すぐここから離れて!!』

 

イチカ「そうはいかないよ。何せ奴が犯人かもしれないんだ、声を掛けるくらいはしておかないと」

 

イフリート『でも!!』

 

俺を止めようとするイフリートに構わず、その男に声を掛ける。

 

イチカ「お前、この辺の奴か?」

 

「む?

お前は…間違いない、ヤツと同じ目、ヤツと同じあのオーラ、そしてヤツと同じあの鎧だ。

フフフ…フフフフ…フハハハハハハハ!血が…血が滾るぞ!!」

 

男は振り向いて俺の顔を見ると、何か不敵な笑みを浮かべながら喋り出した。

 

イチカ「お前一体誰だ?いきなり俺の顔見て笑い出して、何者なんだ?」

 

イフリート『彼の名はバルバトス、大昔に勇者パーティと同等に渡りあったとされる凶戦士。

確か、何千年も前に封印された筈なのに何故……?』

 

バルバトス「誰と話してるかは知らんが、くだくだと言わずに俺を楽しませろ。

今日の俺は実に紳士的だ、ラク〜にいかせてやる」

 

イチカ「どうやら、話の通じる相手ではなさそうだな。

ならば腹を括って挑むまでだ!」

 

イフリート『えっ!?チョット待ちなさい!!』

 

勇者パーティと同等に渡り合ったと聞いた俺は、イフリートそっちのけに剣を手に取ってバルバトスに戦いを挑んだ。




まぁ…今回はこのくらいで……


次回はバルバトスとの戦闘……

出来れば年末までに仕上げて投稿したいところですが、果たして間にあうかやら……


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12-激闘と危機

戦闘描写はあまり自信が無いので、期待度10%程度でご覧下さい……


バルバトス「さあ!死合うとするか!!」

 

イチカ「そうは行くか!」

 

バルバトス「スキだらけなんだよぉ!!」

 

≪ブンッ!≫

 

イチカ「ぐっ!」

 

バルバトス「今死ね!すぐ死ね!骨まで砕けろぉ!!」

 

≪ドガッ!≫

 

イチカ「うわ!?」

 

サッサと片付けようと正面から攻撃を仕掛けようとしたけど、大きく薙ぎ払って怯ませ、真下からかち上げられてそこからの連撃で飛ばされてしまった。しかも一撃一撃が重い。

 

イチカ「くっ!」

 

クソッ!ぬかったか!!

 

 

イチカ「ならば、裂空斬!!」

 

≪ザンッ!≫

 

バルバトス「ぬう!」

 

イチカ「更に、火炎裂空!!」

 

≪ゾンッ!≫

 

バルバトス「ぐはぁ!」

 

イチカ「まだまだ行くぞ!空牙昇竜脚!!」

 

≪ザンッ!≫

 

バルバトス「うはぁ!」

 

お返しとばかりに連撃で技を叩き込み……

 

イチカ「これでもくらえ!

燃え上がれ!紅蓮の刃!

荒ぶる王の剣技!魅入る者すべてを解き放つ!

殺劇舞荒剣!!」

 

≪ザンザンゾンッザンザンッ!≫

 

バルバトス「うおぉ!」

 

剣が炎を纏った相手を大きく吹き飛ばす乱舞剣技の大技、殺劇舞荒剣を叩き込んでやった。

 

 

イチカ「どうだ?!」

 

バルバトス「甘いわ!破滅のグランヴァニッシュ!!」

 

≪ドガアァアアアア!≫

 

イチカ「ぐはっ!」

 

やったかと思えば、今度は地面が揺れた思った矢先にトゲが迫り出してやられてしまった。

 

 

バルバトス「フフフ…まぁ少しはやるようだな……」

 

イチカ「この強さから見るとこお前、砦の守備隊を壊滅させた犯人だな?」

 

バルバトス「砦…守備隊?

ああ、あの小物共か。確かにあいつらを殺ったのは俺だ、だが俺の渇きを満たすには至らなかったがなぁ」

 

成る程な…だったら尚更退くワケにも行かんしタダで済ますワケにも行かん!

 

 

イチカ「爆炎剣!」

 

≪ザンッ!≫

 

バルバトス「ぐうぅ!そんなのが通じるものか!

微塵に砕けろッ!ジェノサイドブレイバー!!」

 

≪ドゴオォオオオオ !≫

 

イチカ「うわ!」

 

爆炎剣で攻撃したものの、すぐに反撃を喰らって……

 

バルバトス「まだだ!

覚悟はできたか?!ワールドデストロイヤー!!!」

 

≪ズガアァアアアアアア!≫

 

イチカ「ぐはあぁああ!」

 

更に反撃で怯んだところを狙われて更に連撃を喰らってしまう。

 

バルバトス「貴様の死に場所は…ここだあああぁぁぁぁッ!

ここだ、 ここだ!

ここだあああぁぁぁぁッ!!

ルナシェイドおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

≪ザンッザンッザザンッ!≫

 

イチカ「うわあぁあああああ!!」

 

そこからダメ押しと言わんばかりに強烈な精霊召喚攻撃で大きく吹っ飛ばされた。

 

 

イチカ「つっ!」

 

か…肩に痛みが……今ので斬られたか!

何とか起き上がったけど、さっきの攻撃のせいで肩に激痛が走ってマトモに立ち上がることが出来ない。このままじゃトドメを刺されてしまう。

 

バルバトス「どうした、この程度か?」

 

イチカ「くっ!」

 

いい気になるな!

 

イチカ「紅蓮襲撃!」

 

≪ドゴッ!≫

 

バルバトス「ぬうぅ!」

 

イチカ「鳳凰天駆!」

 

≪ドカッ!≫

 

バルバトス「うおぉ!」

 

ジャンプした後からの蹴りに加え、後方に跳んだ後、炎を纏っての急降下。

そして……

 

イチカ「続けてくらえ!

本気で行くぞ!緋凰絶炎衝!!

これで沈めーー!」

 

≪ドドドドドドドド!≫

 

バルバトス「うはぁあああ!」

 

炎を纏って地面に降り立ち、高速で大地を駆け抜けて炎を撒き散らす広範囲技。流石のあいつでもこれで痛手は被っただろう……

 

 

イチカ「これ以上は流石に耐え切れん、ひとまず退いて態勢を立て直そう」

 

とはいえ、幾ら俺でもこれ以上の戦闘は危険だから、撒き散らした炎に紛れてその場を離脱する他無かった。

 

ーーーーーーーーーー

 

炎が消えた後、バルバトスは辺りを見回してイチカが消えたことを確認した。

 

バルバトス「チッ、逃したか。まぁいい、それでこそ仕留め甲斐があるというものだ。

フハハハハハハハハハ!!」

 

それからバルバトスは瀕死の虎を探すようにその場を後にした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方……

 

 

 

イフリート『だから言ったじゃない!危険だから離れなさいって!!』

 

イチカ「あ…ああ……そのよう…だな……」

 

俺はイフリートから説教を食らうことになった。無理も無いだろう、何せイフリートからの忠告も聞かずに戦いを挑んでおきながら肩を斬られたりの負傷をしてしまったのだから当然だろう……

その前に……

 

 

イチカ「イフリート、悪いが砦に戻ってこの事を伝えに行ってくれないか?」

 

イフリート『ええっ!?』

 

このままじゃ手に負えないから、イフリートに砦に戻るように言った。理由は勿論、応援を呼ぶためだ。

 

イチカ「今の俺じゃあ足手まといだ、イフリートならバルバトスに気付かれずに砦に戻ることが出来る筈だ。丁度増援が到着してる頃だろうから、すぐに応援を寄越すよう伝えてくれ」

 

イフリート『そんなこと出来ないわよ!もし主に何かあったら、私はどうなるのよ?!』

 

イチカ「そんな事ぐらい分かってる。けど、この状況を打開するには応援を頼むしかない。ここで唯一頼りになるのは、イフリートだけだ」

 

イフリート『けれど……』

 

イチカ「俺は心配ない、いいから行け。このままじゃイフリート諸共皆殺しにされるしかない」

 

イフリート『……分かったわ、主がそう言うのならば従うわ。

でも約束して、わたしが戻って来るまでの間死なないって!』

 

イチカ「勿論さ、約束する」

 

最初のところは流石のイフリートも抵抗したけど、案の定承諾してくれて、イフリートは姿を空気に溶かして俺から離れて行った。

 

 

イチカ「頼むぞ、イフリート。

さぁ、俺もここから離れないとな……」

 

そして俺は、俺を追っているだろうバルバトスと距離を置く為、傷めた肩を抱えながら森の更に奥へと重い足取りで歩んで行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして砦では王都から増援が到着し、ミール達は守備隊長からイチカが犯人特定のために森の中へ入って行った事を告げられた。

その直後、イチカと一緒にいる筈のイフリートが駆け込んで来たのを見たミール等は驚き、それからイチカの現状とバルバトスの話を聞かされるのであった。

 

 

 

ミール「何ですって!?」

 

ソニア「バルバトスが!?でもバルバトスと言えば、この世界のどこかに封印されてた筈なのに、どうして今になって……?」

 

イフリート『そんなことを言ってる場合じゃないのよ!ソイツとの戦闘で、主が負傷したのよ!!』

 

エクセラ「何だと!?」

 

ティア「どこを怪我したの?」

 

イフリート『多分肩のところ、主が痛がってたからそこだと思う。

とにかく急がないと、主がバルバトスに!!』

 

ミール「こうしちゃいられないわ、今すぐ助けに……!」

 

シルフ『待ちなさい、幾ら大事な人がピンチだからって先を急ぐワケにはいかないわ』

 

ヴォルト『そうね、バルバトスが相手となると、わたし達が問題ね……』

 

事の報せを聞いたミールは一刻も早くイチカを救おうと出発しようとしたが、契約精霊のシルフとソニアの精霊ヴォルトに止められた。

 

ミール「何でよ、私の大事な夫を見捨てろとでも言う気?!」

 

シルフ『そうじゃないけど、バルバトスが相手だと考えるべきよ』

 

ヴォルト『その通りだ、バルバトスは冥府の神より離反した四大精霊の力でやっと倒された戦士。四大揃わない今のままで戦うのは命を捨てに行くようなものだ、危険過ぎる』

 

ティア「けれど、今はそんなことを言ってる場合じゃないわ」

 

クロエ「そうだ、イチカは私達にとってもこの国にとっても重要な存在だ。そんなイチカを見殺しにするようなマネをすれば、私達の立場が危うくなることもあり得るのだ。このまま黙って引き下がるワケにはいかない」

 

エクセラ「その通りだ。それに、我々が総出で掛かれば、幾ら太古の凶戦士といえども撃退させることくらい出来る筈だ」

 

ミール「そうよ!それにイチカが私達の助けを必要としてる以上、尚更行かないわけにはいかない!

みんな、全力でイチカを見つけ出し、尚且つバルバトスを倒すわよ!!」

 

『おぉおおおおおおおお!!』

 

だが結局は精霊達の意見を押し切る形となった。

 

イフリート『はぁ……なんと言うか……』

 

シルフ『ポジティブなのか何なのか、分からないわ……』

 

ヴォルト『まぁいいんじゃない?

イフリートの主が死んで皆が悲しい顔するよりはまだマシよ……』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

イチカ「さ…寒い……」

 

歩き回っているウチに辺りは暗くなり、次第に温度が下がって来た。特にこの地域は東の国境付近にそびえる山脈群から流れる冷たい風が気温を下げるから、この辺は昼と夜の気温差が激しいところで今の俺には危険と言ってもいい。っと言うのも、普段の俺はイフリートが体温を調節してくれるから気温の変化にすぐ対処することが出来るけど、今は肝心のイフリートがいない上に服もバルバトスとの戦闘でボロボロになったせいで体温調整が出来ない。このままじゃ寒さに負けて凍え死ぬことだってあり得る。

 

イチカ「けど…諦める…ものか……」

 

けれどイフリートと約束した以上、こんなところでの不名誉な死なんて出来る筈も無い。

オマケにバルバトスが追い掛けてるだろうから夢中で歩き続ける。

 

イチカ「はぁ…はぁ……」

 

けど足取りは重く、しかも意識が朦朧として来た。正直言うところ、今の状態で歩き続けていられるのが奇跡なんじゃないのかと思ってしまう……

 

イチカ「どこか…安全で…隠れられそうな場所を…見つけ…なきゃ……」

 

とにかく今しなきゃならないのは、この寒さを凌げられそうで且つバルバトスにも見つからないような安全な場所だ。

そう思って歩いているうちに……

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

イチカ「……こ…これは……?」

 

何だか遺跡への入り口のような地下へと通じる階段の手前に辿り着いた。正直言うとボロくてここに入ってもアイツ(バルバトス)にヤられる気がしてならない。

 

イチカ「ここに入るしかないか……」

 

けどやっと見つかった隠れられそうな所だから、助かることだけを考えて中へと入った。

けど……

 

≪ズリッ≫

 

イチカ「しまった!うわっ!!」

 

≪ドカドカドカッ……ドサッ≫

 

イチカ「うっ……」

 

足を踏み外して階段から転げ落ち、地下に落ちてしまった。

そこは真っ暗で何も見えない。オマケに動きたくとも、もう手も足も言うことを聞いてくれない……

 

イチカ「俺…このまま…死ぬのか……?」

 

そう思いながら…ゆっくり目を閉じた……真っ暗闇の中で……




はぁ……何か腑に落ちないな……

次回は……予期せぬ出逢い……って感じ……
出来れば年明けまでに仕上げて投稿したいです……


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13-古代の遺産

一方……イチカとは遠く離れたところをミール等は馬を進めていた。

 

 

 

ミール「イチカ、何処にいるんだ?」

 

ティア「恐らくバルバトスから逃れてる筈だから、結局離れてるとは思うわ。そこからは分からないけど……」

 

ソニア「ともかく、前へ進むしかないわね。皆シッカリ目を凝らして辺りを見回して、もしかするとイチカが見つかるかもしれないわ」

 

クロエ「正直あり得んと思うが、万が一っというのもあるしな……」

 

エクセラ「そうだな、もし近くでイチカが倒れてて気付かないで素通りしたら、本人に悪いしな」

 

未だイチカを見つけられない一行は更に森の奥へと進んで行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

そんな時……

 

 

 

イフリート『気を付けて!ヤツが近くにいるわ!!』

 

ミール「何、バルバトスがか?!」

 

クロエ「いた!あそこだ!!」

 

『!!』

 

バルバトス「むう?」

 

クロエの一言に全員がその方向を向くと、そこには確かにバルバトスがいた。

 

ミール「アイツがイチカを!許さん!!」

 

シルフ『あ!待ちなさいってば!!』

 

シルフの注意もそっちのけに、ミールはイチカを傷付けられたことに怒り心頭の状態で飛び込んで行った。

 

 

ミール「バルバトス!よくも私の大事な夫を怪我させてくれたな!タダでは済まさんぞ!!」

 

バルバトス「ん?ああ…アイツの仲間か、また大勢で来たものだな…まあいい。

その方が殺し尽くし甲斐があるってものだしな、フハハハハハ」

 

ティア「残念だけど、あなたの悪運もここまでよ」

 

クロエ「そうだそうだ!何せ私達がここにいるのだからな!!」

 

ソニア「幾らなんでも、あなたにこれ以上勝手な真似はさせないわ!」

 

エクセラ「貴様の愚行、何が何でもここで終わらせてくれる!」

 

バルバトス「フハハハハハ!いいだろう!

丁度今我が飢えを癒したいと思ってたところだったからな!

退屈凌ぎに相手をしてくれるわ!!」

 

イフリート『結局こうなるのね……』

 

シルフ『付いて行けない……』

 

ヴォルト『もう何言っても通用しないみたいだから、流されるままやるしかないね……』

 

更にそこへソニア達も飛び込んで行き、精霊達は最早呆れ気味だった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

イチカ「ん…んん……」

 

俺が目が覚めたのは、さっきの真っ暗な空間ではなく、火の付いた松明が辺りを照らす神殿のようなところだった。

しかも意外なことに……

 

イチカ「あれ?痛みも無いし、服も鎧も綺麗になってる……?」

 

肩の痛みは消え、しかも服も鎧も新品同様みたいになっている。

一体どうなっているんだ?っというか、ここは何処なのかが一番気になる……

 

 

『ここは聖堂です』

 

イチカ「!?」

 

その時、どこからか女性の声が聞こえてきた。それも透き通るような声が……

 

イチカ「聖堂?」

 

『わたしを祀る聖堂、古代の人達がわたくしのために建てた神殿みたいなところですよ』

 

イチカ「神殿…っというよりも、あなたは一体誰ですか?」

 

『あら、まだ名乗っていませんでしたね。わたくしの名はノルンです』

 

イチカ「ノルン?」

 

ノルン『そうです。世界の守護神、世界の守り手と人々が呼んでいます』

 

イチカ「つまりは、神様…になるのですか?」

 

ノルン『そう言うことになります』

 

イチカ「それじゃあ、俺を助けたのは……」

 

ノルン『わたくしです』

 

神様か…けれど、センチネルの神様なんて一度も聞いた事が無かったけれど……

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

ノルン『今まで長話が過ぎてしまいましたので、そろそろ本題に移りましょう。

異世界より召喚されし勇者イチカ、あなたは何人の為に力を得て、そして何人の為にその力を行使しますか?』

 

勇者かどうかは分からないけど…騎士である以上答えは一つ……

 

イチカ「俺は…力無き民の為に力を得て、そして力無き民の為にその力を行使します」

 

ノルン『理由は?』

 

イチカ「力を持つ以上、その力を持つには犠牲が付き纏います。それに力というものは、個人の私利私欲で得て、そして使うようなものではありません。

俺は、そんな者達とは違います。俺は…俺が大事とする仲間、そして俺が大事とする民の為に…力を使います!」

 

ノルン『…ふふ……勇者イチカ、あなたの意識、あなたの覚悟はしかと拝見させてもらいました。

あなたならば、必ずこの世界を平和へ導くことが出来るでしょう』

 

これで…良かったのかな?

 

 

ノルン『勇者イチカ、あなたには特別な餞別を差し上げましょう』

 

イチカ「餞別?いえいえ、いりませんよ餞別なんて」

 

ノルン『そんなことは言わずにどうぞ、きっと今のあなたに役立つ筈です』

 

すると、俺の周りを無数の光が包んで、次第に俺の身体へと溶け込んでいった。その直後、身体中から今までになく力が湧き上がる感覚がしてきた。それも今までとは比べ物にならないほどの大きさだ。

 

イチカ「こ…これは?」

 

ノルン『この世界を平和へ導くための光明と成り得る力です。あなたが守りたいと思う人々の為にお使いください』

 

イチカ「は…はい……」

 

これまさか…試練みたいなものなのかな?でも、合格したようで良かったけどさ……

 

 

ノルン『餞別はもう一つございます。古代の人たちが勇者を守護するために作製した、意思を持つ戦闘ドロイドです。さあ、どうぞお受け取りください』

 

えっ、まだ何かあるの?もう気持ちだけで充分なんですけど……ってか…ドロイド!?

 

≪ゴゴゴゴゴゴ……≫

 

そう思った瞬間、地面が揺れ出し地震かと思った矢先、床の一部が抜け、石で出来た大きな棺が迫り出してきた。

 

イチカ「こ…これが……」

 

恐る恐る中を覗いてみると、そこにはエクセラさんにも見えなくもない美少女…というか美女?

それよりも、長い髪を纏めてる髪飾りのところに身の丈近くもある大きな刃物が付いてるのが一番気になるんだけど……

 

≪スッ…キュイーン≫

 

「適合者の反応を確認、稼動条件オールクリア。

エース級戦闘ドロイド【ケルベロス】、起動します」

 

イチカ「えっ、動いた!?」

 

気になって髪飾りに触ったところ突然機械音と共に、ドロイドが動き出した。

 

「初めましてマスター、私はケルベロスです。以降より、マスターの命に従います」

 

イチカ「えっ?あ…ああ……こちらこそ初めまして」

 

ケルベロスね……立派な名前だな…このドロイドを作った人はとても聡明な人だったんだろな……

 

 

ケルベロス「それでマスター、私は何をすれば宜しいのでしょうか?」

 

イチカ「ああ……じゃあまず外に出ようか、仲間が心配しているだろうし」

 

ケルベロス「畏まりました。では着いて来て下さいマスター」

 

イチカ「お…お願いします……」

 

何か…敬語で言われるのは慣れてるけど、今回だけはなんかそう言うワケにはいかないな…何故だ?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ケルベロス「ここが外です、マスター」

 

イチカ「ど…どうも……」

 

なんか気を使ってしまうな……

ってそれよりも……

 

イチカ「みんなは何処に……?」

 

ケルベロス「マスター、ここから10km先に多数の生命体の反応を確認。おそらくはマスターのお仲間と見て宜しいでしょう」

 

イチカ「本当?!」

 

みんなの事を探そうと思った時に、ケルベロスが何らかの方法で探知してくれたみたい。

 

ケルベロス「それだけではありません、更にもう一つ大きな反応を確認。おそらくは、バルバトスと思われます」

 

イチカ「何!?

良し行こう!みんなを助けに行くんだ!!」

 

ケルベロス「承知しました、マスター」

 

その直後にバルバトスの反応もあると聞いてすぐみんなの元へ向かおうと、ケルベロスを従えて走り出した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方……

 

 

 

バルバトス「ぶるあぁああ!」

 

≪ズドドッ!≫

 

クロエ「うわ!」

 

エクセラ「くそっ!」

 

ミール達はというと、バルバトス一人を相手に苦戦を強いられていた。

 

ミール「お返しだ!

龍爪旋空破!!」

 

≪ザザザザッ!≫

 

バルバトス「ぬうぅ!」

 

ミール「ふん!そう楽にイかせると思うな!

吹き荒れろ狂乱の嵐!

シュタイフェ・ブリーゼ!!」

 

≪ドドドドッ!≫

 

バルバトス「うぉおお!」

 

ミールの猛烈な攻撃と……

 

ティア「あまり無茶したらダメよミール。

メディテーション!!」

 

≪パアァアア≫

 

クロエ「かたじけない、助かる」

 

ティア「お礼なんかいいわよ、とにかく今はバルバトスを倒すのが先決よ。

グランドクロス!!」

 

≪ドンッ!≫

 

バルバトス「ぬおぉ!」

 

ティアが術で支援をするから持ち堪えてはいるが、相手が太古の凶戦士で知られるバルバトスであるせいか、態勢は徐々に乱れつつある。

そんな時……

 

ーーーー

 

「マーシレスハント!!」

 

≪ドドドッ!≫

 

バルバトス「うおぉ!?」

 

『!?』

 

突然の銃撃でバルバトスが怯んだ。

 

ケルベロス「……」

 

イチカ「みんな!」

 

ミール「イチカ!」

 

クロエ「無事だったんだな!」

 

エクセラ「良かった!」

 

ソニア「心配したのよイチカ」

 

ティア「よく帰って来たわね」

 

イチカと共にいるケルベロスからの攻撃だった。

そしてイチカを確認した一堂は揃って本人のもとへ走り寄り、イチカの生還を喜んだ。




出来ればすぐ戦闘に入りたかったのですが、それだと長過ぎてしまうのでここまでにします。

さて、次回こそは戦闘。けれど描写は相変わらず自信がありません……


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14-再戦

再戦とはいえ、バルバトスが一方的に殴られる回です……


イフリート『主!』

 

イチカ「イフリート!」

 

イフリート『心配したのよ!主がもうバルバトスにヤられたと思ってどれ程心配したのか!!』

 

イチカ「ごめんなイフリート、けどこうして帰って来たんだ。だから安心しろ」

 

イフリート『ええ……』

 

特に心配してたのはイフリートだった、もう涙で目元が真っ赤になるくらい心配して泣いてたのだろう。

 

 

ソニア「それよりもイチカ、そっちの人は誰?」

 

そんな時に間に入って来たソニアさんにケルベロスの事を聞かれて、俺はケルベロスをみんなに紹介した。

 

イチカ「ああそうだった。

こっちはケルベロス、何でも戦闘ドロイドらしいんだ。

それで、こっちが俺の仲間達だよケルベロス」

 

ケルベロス「初めまして、私はマスターの守護ドロイドを務めますケルベロスと申します。皆様、これから宜しくお願い致します」

 

ミール「こ…こちらこそ宜しく……って、マスター?」

 

クロエ「イチカの事か?」

 

ティア「そう言うのならそれでいいんじゃない?」

 

ソニア「そ…そうね……あまりの他人の意思に意を表すのは悪いし」

 

エクセラ「ふむ、正直言って深く問いただしたいが、それはバルバトスを倒してからだな」

 

確かにな!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

イチカ「バルバトス、今度こそはケリを付けてやる!」

 

バルバトス「ほぉ。死に損ないか、ま〜だ生きていたか。

まあその方が仕留め甲斐があるからいいがな」

 

イチカ「言っておくが、今度ばかりは違うぞ!」

 

ミール「そうだ!今度は私達がいる!!」

 

クロエ「騎士の名に賭け、今度こそ貴様を葬ってくれる!」

 

ティア「あなたの悪行は、私達が食い止めてみせる」

 

ソニア「どんな事があっても、私達は決してへこたれない!」

 

エクセラ「大切な仲間との友情、大切な仲間との絆こそが、我らを強くする証!」

 

ケルベロス「その強き繋がりがある限り、私達は負けない。そして私達の道を、人々が“正義”と呼ぶことを、しっかりとその身体に刻み込むといい」

 

ケルベロス…ドロイドなのに結構良い事言うな……

 

バルバトス「貴様らァ、こんな所で長々と俺を待たせてるとは随分と良い度胸だな?

鼠のように逃げおおせるかッ!ここで死ぬかッ!!

どちらか選べぇええええええええええええええええええい!!!」

 

そして再び、戦闘が始まった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

バルバトス「さあ来いよ…微塵切りにしてくれるわ!」

 

ケルベロス「そうはいきません、ツインバレット!」

 

≪ガガガガガ!≫

 

バルバトス「うおぉ!」

 

 

エクセラ「良し、絶好のタイミングだ!

裂駆槍!!」

 

≪ドガッ!≫

 

バルバトス「ぬうぅ!」

 

 

エクセラ「まだだ!

瞬殺迅槍衝!!」

 

≪ゾンッ!≫

 

バルバトス「ぐうぅ!」

 

 

エクセラ「これで終わらんぞ!

刹那は夢幻! その一瞬に我が全てをかける!

翔破!裂光閃!!」

 

≪ドガアァアアアア!≫

 

バルバトス「うはぁ!」

 

ケルベロスの銃撃で怯んだバルバトスに、エクセラさんが強烈な連続突き攻撃で先制した。

 

ーーーー

 

ソニア「今度は私の番よ!

雷神剣!!」

 

≪ズドドッ!≫

 

バルバトス「何!?ぬうぅ!」

 

 

ソニア「まだ行くわよ!

説破!!」

 

≪ザンッ!≫

 

バルバトス「ぬおぉ!」

 

 

ソニア「更に……

崩龍斬光剣!!」

 

≪ゾンッ!≫

 

バルバトス「ぐほぉ!」

 

 

ソニア「まだまだこれからよ!

覚悟は良いかしら?

食らいなさい雷を!

ライトニングノヴァ!!」

 

≪ザザアァアアアア!≫

 

バルバトス「ぐはぁ!」

 

今度はソニアさんの攻撃、手加減無い連続攻撃で正直付いて行けない……

 

ーーーー

 

バルバトス「おのれ〜!よくも俺をコケにしおって!!

いい加減に砕けろ……!」

 

クロエ「そうは行かんぞ!

幻晶剣!!」

 

≪ザンッ!≫

 

バルバトス「ぐうぅ!」

 

 

クロエ「秋沙雨!!」

 

≪ドドドドッ!≫

 

バルバトス「うへぇ!」

 

 

クロエ「昇舞神風閃!!」

 

≪ザザザザッ!≫

 

バルバトス「うおぉ!」

 

 

クロエ「懺悔の用意は出来たか?!

覚悟を決めよ…荒ぶる心、無風なる水面(みなも)の如く、鎮まれ……

これがヴァレス流奥義!無想神烈閃!!

斬る!」

 

≪ザザアァアアア!≫

 

バルバトス「ぐわぁ!」

 

続いてはクロエ姉さんによる高速連続剣技で滅多斬り。

けどあれで全く倒れないバルバトスの頑強さを見習いたくなってしまう……

 

ーーーー

 

バルバトス「くっ…くっそ……!

おのれ…おのれおのれえぇええええええええええええええ!!

好き勝手やってしおって!甘く見るなあぁああああああああああ!!

一発で沈めてやるよ!覚悟は出来たか?!

ワールドデストロイヤーーーーー!!!」

 

≪ズガアァアアアアアア!≫

 

イチカ「うおぉ!?」

 

くっ!またあの技か!!

 

ーーーー

 

ティア「やらせないわ。

グランドクロス!」

 

≪ドンッ!≫

 

バルバトス「ぐうぅ!」

 

 

ティア「私達を侮らないことね。

穢れなき風、我らに仇なす者を包み込まん!

イノセント・シャイン!!」

 

≪ガガガガッ!≫

 

バルバトス「ぐはぁ!」

 

っと思えばお返しとばかりにティアの術攻撃が炸裂。

 

ーーーー

 

バルバトス「貴様らあぁああああああああああ!!

俺を馬鹿にするとはいい度胸だなあぁああああああああああ!!

微塵に砕けろッ!

ジェノサイドブレイバー!!!」

 

≪ドゴオォオオオオ !≫

 

クロエ「うわあ!」

 

イチカ「クロエ姉さん?!」

 

そんな時、バルバトスの2度目の反撃でクロエ姉さんがダメージを受けた。

 

 

クロエ「くっ、大丈夫だ!

この程度はボトルさえあれば……!」

 

ミール「ちょっとそれはダメ……!」

 

バルバトス「貴様あぁああああああ!

アイテムなぞ!

使ってんじゃ!!

ねえええええええええええええええええええッ!!!」

 

≪ドガアァアアアア!≫

 

クロエ「ぐわあぁああ!」

 

そしてクロエ姉さんが懐から取り出したペットボトルに入った液体を使おうとした矢先、バルバトスの甲高い声と共に斧での振り上げ攻撃でクロエ姉さんが断末魔の叫びをあげて沈黙した。

 

 

イチカ「クロエ姉さん!?」

 

ミール「はぁ…だから言ったのに……」

 

ティア「バルバトスはアイテム関係を使おうとした瞬間に、今みたいなカウンターを仕掛けるから気を付けてねイチカ。

レイズデッド!」

 

クロエ「う…うう……酷い目にあった……」

 

ご愁傷様です……

 

ーーーー

 

イチカ「ともかく、これは長引かせるワケにはいかないな」

 

ミール「全くだ、早急にキメねばならぬな」

 

 

ケルベロス「ならばヤられる前に叩けばいいだけです。

ツインバレット!!」

 

≪ガガガガッ!≫

 

バルバトス「ぬおぉ!」

 

 

ケルベロス「これで済ましません。

セッシブバレット!!」

 

≪ガガガガガガガガッ!≫

 

バルバトス「くうぅ!」

 

 

ケルベロス「まだ行きます。

スライディングバレット!!」

 

≪ダダダダッ!≫

 

バルバトス「うおぉ!」

 

 

ケルベロス「仕上げはこれです。

輝ける力よ、ここに集いて道を示めさん!これでトドメです!!

はあぁああ!

Xバスター!!!」

 

≪ドドドドドドドドッ!≫

 

バルバトス「おおぉ!」

 

今度はケルベロスの猛烈な銃撃からの魔方陣から無数の光弾攻撃。

あれはあれで痛そうだ……

 

ーーーーーーーーーー

 

ケルベロス「マスター、最後は頼みます」

 

イチカ「お…おう……」

 

とはいえ、大丈夫かな?

 

ミール「不安か?」

 

イチカ「えっ?まあ……」

 

ミール「心配するな、私達がいる。一緒にやろう」

 

イチカ「……」

 

ミール……

 

イチカ「良し、行くぞ!」

 

ミール「ああ!」

 

ミールの言葉で自信を持った俺は一緒に攻撃を叩き込んだ。

 

ーーーー

 

イチカ「裂空斬!」

 

≪ザンッ!≫

 

ミール「秋沙雨!」

 

≪ドドドドッ!≫

 

バルバトス「ぐはぁ!」

 

回転斬りと連続突き。

 

 

イチカ「熱破旋風陣!」

 

≪ゾンッ!≫

 

ミール「絶風刃!」

 

≪ザザザザッ!≫

 

バルバトス「うおぉ!」

 

さらに炎と風の薙ぎ払いと衝撃波。

 

 

ミール「イチカ、合わせて!」

 

イチカ「わ…分かった!」

 

加えて……

 

バルバトス「む?」

 

「「真空千裂破!!」」

 

≪ズドドドドッ!≫

 

バルバトス「うがぁ!」

 

ミールと俺の技を合わせた突きと回転斬り攻撃。

 

 

バルバトス「くおぉ……この力は…一体……」

 

ミール「お前には無い仲間との絆による力だ!

一緒にトドメだイチカ!」

 

イチカ「おう!」

 

バルバトス「!?」

 

 

そして……

 

イチカ「俺の炎と!」

ミール「私の風が!」

イチカ「世界の命運と共に!」

ミール「今交わる!」

イチカ「これが!」

ミール「私達の!」

「「虎牙破斬・咢(こがはざん・あぎと)!!」」

 

≪ズガアァアアアア!≫

 

バルバトス「ぐはぁああああ!」

 

俺がバルバトスを炎の斬撃で斬り上げ、そしてミールが風の連続剣技で追撃、その後左右から咢のように挟撃してバルバトスを倒した。

これで俺達の勝ちだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

バルバトス「くっ…おのれ……

ま〜だ摘み取るには早過ぎるか。だが…貴様こそは、俺の渇きを癒すに相応しき者。今度合間見える時は、必ずや血祭りに上げてやる」

 

そう言ったバルバトスは跡形も無くその場から消え去った。

 

 

イチカ「消えた、倒したのか?」

 

ミール「いえ、バルバトスは時空転移が出来るとされるから、別の時空へ転移したと思うわ。

けど、暫くは仕掛けて来ないと思うわね」

 

ならばいいけどさ……

 

 

ミール「ところで、そっちのケルベロスって娘はどこで見つけたの?」

 

えっ?ああ、ケルベロスか……

 

イチカ「なんでも、ノルンっていう神様を祀ってる聖堂でもらったんだよ。その神様からね」

 

エクセラ「なっ、ノルンを祀る聖堂だと!?今まで誰にも発見されなかったノルンの聖堂が、この森にあるのか!?」

 

イチカ「はい、ここより奥の方に」

 

ミール「なら行きましょうよ!ノルンの聖堂のなんて、過去最大の発見よ!!」

 

ケルベロス「それは無理ですよ」

 

えっ?ケルベロス?

 

クロエ「どうしてなんだ、何か鍵が必要だからとかか?!」

 

ケルベロス「そう言ったものです。より正確に言えば、マスターが訪れた聖堂は、そこに入るに相応しいき素質を持つ者しか入れないのです」

 

ソニア「それじゃあ、その聖堂にはイチカしか入れないってこと?」

 

ケルベロス「簡潔に言えばそうです。ですが今は、マスターが行っても入れるワケではありません。何せノルン様は気まぐれですから、次に入れるのがいつになることやら」

 

そうか…過去最大の発見とか聞いて驚くけど、それなら仕方ないな……

 

 

≪ズキッ!≫

 

イチカ「痛!」

 

『!?』

 

その瞬間、急に治った筈の肩から激痛が走った。

 

ミール「大丈夫なの!?」

 

イチカ「心配には及ばないさ。けど、なんで治った筈の肩が……」

 

ケルベロス「肩に投与された麻酔が切れたのでしょう。衣類はノルン様が新調しましたが、肩に関してはタダ麻酔で痛みを無にしただけですからね」

 

それだけはもっと早く言ってくれよ……

 

ミール「それじゃあ全然大丈夫なんかじゃないだろ!

私が肩を貸すから一緒に馬に乗ろう!!」

 

クロエ「いえ!姉さんは戦いでお疲れでしょうから、ここは私が担当します!!」

 

エクセラ「こんなところで争ってどうするのだ。ここは公平に、私が担うとしよう」

 

ソニア「なんで抜け駆けしようとしてるのよ?!だったら私も立候補するわ!!」

 

ティア「イチカ、こんな人達なんかほっといて行きましょう。キリがないから」

 

イチカ「えっ?……あっ、はい……」

 

ミール「ってティア!なんでどさくさに紛れて抜け駆けしてるのよ?!」

 

ティア「このまま喧嘩してても何も始まらないわよ、とにかく帰りましょう」

 

『うぅううううう!!』

 

 

っとこんな感じに事は収束し、砦の者達に別れを告げて俺らは王都へ帰った。




書いた後に言うのもなんですが……バルバトスが一方的にヤられるのって……つまんないですね……

バルバトス「嫌味かゴラァアア!!」


ってなワケで、次回は年明け辺りに投稿出来たらいいなぁ……


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お正月特別編

イチカ「読者の皆様、明けましておめでとうございます!」

 

『おめでとうございます!!!』

 

ミール「今回は2017年に入って初の公開ということで、特別編をお送りしたいと思います」

 

王妃「そういうことで皆様、誠に勝手ながら、最後までお付き合いくださいね。

それでは、宜しくお願いいたします」

 

『宜しくお願いいたします!!!』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ユーリ「たくよ、この『ワンサマー・オブ・ナイト』が始まってまだ2ヶ月だってのにもう正月かよ。しかも着物なんか着せやがってよ……」

 

ジュディス「いいんじゃない別に。折角お祝いとばかりに立派なご馳走まで出されてるんだし、元気出しましょうよ」

 

ユーリ「そりゃそうだけどよ、だからって着物なんか着る必要はないんじゃないのか?」

 

イチカ「まあいいじゃないですか、折角の祝い事ですし」

 

 

ゼスト「そうそう、折角のめでてぇ日なんだからよう。楽しまねぇと損だぜ」

 

ゲオルグ「その通りだ、我々でさえこのようなお祝い事に呼ばれることは滅多に無いのだからな」

 

デューク「全くだ、さしずめ料理だけでも食べとかないと後で後悔するぞ」

 

ユーリ「別に後悔はしねぇが……って!なんでオメェらまで居るんだよ?!」

 

ヨアヒム「何故って、作者に呼ばれたからに決まってるでしょ」

 

ネビリム「本当なら来る気はなかったんだけど、作者にヘッドハンティングされてからのドナドナよ」

 

皇帝「そういうことだ。それに今回だけは何もしないから心配には及ばん」

 

 

ユーリ「だといいけどよぉ……それより、何もコイツら呼ぶ必要あんのかよ作者さんよ?」

 

Boo-D「呼ばれないよりはマシですよ。それに、他にも居ますし」

 

ユーリ「はぁ?」

 

ーーーー

 

 

セシリア「箒さんの着物姿はとってもお似合いですね」

 

箒「からかわないでくれ、恥ずかしいって///」

 

簪「確かに。箒って胸大きいから恥ずかしがるのは分からなくもないけど、その胸私にも分けて欲しい」

 

箒「恥ずかしいのはそこじゃない!っというかここで胸の話とか出すな!!」

 

本音「かんちゃんは胸小さいからね〜、私分かるよ〜かんちゃんの気持ちが〜」

 

簪「私より胸の大きい本音なんかに言われたくない!」

 

 

千冬「胸が大きいのなら、山田先生も入るな。そのはち切れんばかりの着物のフィット感はわたしでも再現出来んしな」

 

真耶「嬉しいのか悲しいのか分からないです先輩……」

 

 

鈴音「何よ、どいつもこいつも胸の話ばかりしやがって、胸なんかただの『飾り』よ『か・ざ・り』」

 

ラウラ「ほう、どうやらここには私と同じ考えを持つ同胞がいたようだな」

 

鈴音「あたしの気持ちが分かるとすればアンタだけよラウラ」

 

ラウラ「アンドレ!」

 

鈴音「オスカル!」

 

 

シャル「二人共何がしたいのか分からないよ。っていうか、アンドレとオスカルってフランス人なのにどうしてドイツ人のラウラと中国人の鈴がその役なんかやってるの?」

 

 

楯無「あらあら、みんな楽しそうでいいわね」

 

虚「それもそうですよ、折角のお祝い事ですしね。

ですが、あまり羽目を外し過ぎないようお願いしますよ?何せこれが終わったら見ていただく書類が沢山溜まっていらっしゃるのですから」

 

楯無「うう…虚ちゃんのイジワル〜……」

 

ーーーー

 

ユーリ「なんか呼び過ぎじゃねぇか?」

 

Boo-D「まあ細かい事は気にしない気にしない」

 

ユーリ「落ち着かねぇんだ!!」

 

 

ミール「あのユーリが不満だなんて珍しいわね」

 

イチカ「敵キャラまで呼ばれてるのが気に入らないんだと思うよ、何せ……」

 

 

バルバトス「むっ、貴様ら俺の顔を見て何してやがる?」

 

 

イチカ「アイツもいるしな」

 

ミール「そうだったな。っというより、さっきから異様な殺気を感じると思えばあいつのか……」

 

フリーゼ「まあいいじゃない、ここでの争いは作者権限で一切禁止されてるんだし。

それよりイチカ、私も料理作ってみたから食べて」

 

ティア「ねえイチカ、私も腕を振って料理を作ったから食べてみて」

 

イチカ「えっ!?」

 

ミール「ってまた勝手に……!!」

 

クロエ「イチカその…私も作ってみたから向こうで一緒に食べないか///?」

 

イチカ「ええっ!?」

 

ミール「クロエまで何やってるんだ!イチカは私の……!!」

 

エクセラ「何を言っている?世の中には、略奪愛というのがあることくらい知らんのか?」

 

ミール「そういう話はどうだっていい!!」

 

ソニア「いいじゃない、私達だってイチカのことが好きなんだし」

 

ヴィタリー「その通りだ、貴重な存在は独り占めではなく全員で分け合うことだ」

 

ミール「だからって私の大事な夫を種馬扱いなんかにするな!!」

 

ケルベロス「マスター、私もお料理作ってみたので味見して下さい」

 

ミール「ケルベロス、お前もか!!」

 

ーーーー

 

キリカ「あちらの方々は随分と賑やかですね」

 

ユーマ「そうだね、とてもあの中に入りたくないくらいの熱気が漂うのは気になるけど……」

 

リンナ「あの中に入れる方がいるのなら賞賛したいくらいですが……」

 

 

レスティ「くっ、何故キリカがあんな奴と一緒に飯を食べているのだ!」

 

 

リンナ「あちらは別の意味で熱気が溢れていますね」

 

ーーーー

 

オータム「ってぇ…なんで俺たちまで呼ばれなきゃなんないんだ?」

 

スコール「別にいいじゃない、呼ばれないよりはずっとマシよ」

 

マドカ「確かに」

 

アリーシャ「っというか、呼ばれていない人とかいるの?」

 

レイン「いますよ、フレンがね」

 

オータム「はっ?」

 

アリーシャ「えっ、どうして?」

 

フォルテ「なんでも作者が呼ぼうとしたら、突然自分からお祝いの為のご馳走を作るとか言い出したから、作者権限で登場NGをくらったとか……」

 

オータム「やっぱ…呼ばれて来たのが正解だったな……」

 

アリーシャ「ええっ、呼ばなかった者組でフレンの手料理食べさせられてるところだっただろうし……」

 

スコール「適切な判断ね」

 

ーーーー

 

ヴィタリー「それよりもイチカくん、この後別室に来てくれないかしら?だって私、ここ最近ずっとご無沙汰だから、大事なところが疼いて仕方ないのよ」

 

エクセラ「そんなのズルいぞ、“貴重な存在は独り占めではなく全員で分け合うこと”っと言ったのは誰だったかな?」

 

ソニア「だったら私も立候補するわ、私だってイチカとしたいのにミールが邪魔するから出来ないのよ!」

 

イチカ「えっ?」

 

ミール「何を言ってるのよ!イチカは私のだぞ!!」

 

フリーゼ「あら、それはどうかしら?イチカは私のよ、あなただけの物ではないわ」

 

ティア「私だってイチカは渡さないわ、その気になればイチカの子供だって作る気あるから」

 

イチカ「ええっ?」

 

クロエ「イチカ、私とも頼む!もうイチカ以外の男に私の身体を好きにされたくない!!」

 

ケルベロス「マスター、願わくば私とも夜の営みとやらをお願いします」

 

王妃「なら私もイチカを頂いちゃいましょうか、私はもう50超えてるけどまだ元気だし、それにミール達が頑張って営んでるのを見てると、私ももう一人子供が欲しくなってきたし」

 

イチカ「えええっ!?」

 

 

Boo-D「ならば、この部屋を出てすぐ隣の部屋を使ってください。こう言うかと思って、防音壁を備えた部屋を用意しておきましたから♪」

 

イチカ「ちょっと!少しは止めて下さいよ!ってか何そんな部屋わざわざ用意してんすか?!」

 

Boo-D「だって、その方がイチカさん的にも楽しいだろうと思ったから♪」

 

イチカ「全然楽しくねぇよ!!」

 

ミール「っというワケで♪」

 

フリーゼ「一緒に行きましょうイチカ」

 

イチカ「チョット待って!俺は絶対行かないぞ!!」

 

クロエ「文句は……!」

 

エクセラ「言わさん!!」

 

イチカ「いやだあぁああああ!誰か助けてえぇええええええ!!」

 

ーーーー

 

Boo-D「スッキリした♪」

 

ユーリ「半ば厄介払いじゃねぇか!!」

 

Boo-D「まあそんなこと言わずに……」

 

 

イチカ『ぎゃあぁああああああああ!!!』

 

 

Boo-D「向こうも向こうで楽しそうじゃないですか♪」

 

ユーリ「……(サディストかコイツ?)」

 

ーーーー

 

ノルン『初々しいわね、あなた達の主達は』

 

イフリート『確かに私の主なんかまだ十代ですからね』

 

シルフ『私の主なんかイチカにゾッコンですし』

 

ヴォルト『けれど時々強引なところがあるのは否めませんね』

 

『『確かに……』』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

Boo-D「っというワケで読者の皆様!主人公とヒロイン方達が別件で不在の中ですが、とうとうお時間となってしまいました!これからも『ワンサマー・オブ・ナイト』を、宜しくお願い致します!!」

 

『宜しくお願い致します!!』

 

Boo-D「それではまた機会があればお会い致しましょう!ありがとうございました!!」




っというワケで、今回はお正月特別編をお送り致しました。

フレンのご登場はまたいつかというワケで……

フレン「そ…そんな……」orz

さて次回の『ワンサマー・オブ・ナイト』は新たなキャラが登場したので、更に設定もう一つ投稿することにしました。


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設定 Ⅲ

新たにキャラが登場した為もう一つ設定を入れることにしました。
*追記:最後の2人はかなり後に登場します。


用語

 

 

精霊:

センチネルに住む特殊な存在。かつては女神ネビリムに仕えていたとされるが、実際はセンチネルの創造神ノルンに仕えていたと古代の文献に記されている。

精霊には4段階の身分社会で構築されており、精霊達の主であるマクスウェルを長に、その下に地水火風の四大精霊がいて、その下にヴォルトなどの大精霊、更にその下に表立った能力を持たない存在するだけの精霊に分かれている。

精霊の殆どは属性に合わせた能力を持ち、イフリートなら炎、シルフなら風、ヴォルトなら雷を操る能力を持つが、他にも沢山の精霊がいる。四大精霊と称されるイフリートとウンディーネとシルフとノームで、そのウチのイフリートとシルフはイチカ達と共にいるが、残りはどこにいるかは未だ確認されていない。

精霊は単体でも強いが、ある程度の適性を持つ者なら精霊との契約で更なる力を解放出来るとされる。但し、その域へ辿り着いた者は居ないとされる。

*:加えて言うと、精霊はほぼ全員が女性の姿をしている。

 

ドロイド:

太古の時代のセンチネルで作られた人型のアンドロイドのこと。家庭用から戦闘用と多種多様で、一説によれば100万体以上のドロイドがセンチネル各地で人と共に生活していたとされているが、それを証明する証拠は何一つ発見されていないため定かではない。

現在、ドロイドはセンチネルの遺跡から多く発掘されているが、現在の科学技術でも再現不可能なテクノロジーが使われているため実際に修理して稼動させるのは不可能に近い。しかし、例外にもケルベロスは半永久的に稼動するタイプのわりに簡単に修理することが可能である。

 

神:

センチネルには神にまつわる伝承が多く存在し、その中で最も有名なのが創造神と謳われるノルンと冥府の神ネビリムである。

大昔のセンチネルはノルンの力が争いを求める人々の貪欲さ故に弱まり、結果ネビリムの力が強まったことをキッカケにセンチネルはネビリムによって支配される暗黒の時代が何百年も続いたが、ネビリム討伐に動いた勇者達にノルンが力を与えたために最終的にネビリムは滅び、世界は平和を取り戻したとされる。

ノルンを神と崇め彼女を崇拝する者達はセンチネルに多く存在するが、逆にネビリムを崇拝する者達も少なからず存在する。

ノルンやネビリム以外にも神は存在するが、その存在は古代の遺物に記されていない為に人々が認識していなかったりもする。

 

 

国家

 

アストロリアス王国(地球):

イチカ達が異世界の人間である事を隠すために新国家として作られた。作られた当初は樺太と千島列島からなる国家だが、後にロシアとアメリカ国内の(大人の)事情でアリューシャン列島も加わることになった。首都は樺太最大の都市のユジノサハリンスクで、総人口は60万人弱。元々はロシア系の人々が暮らすところだが、ロシア連邦が国家財政危機に陥ったことを理由に放棄した為に現地住民は皆立ち退き、現在はセンチネルより移住したアストロリアスの民が暮らしている。(移住して来た人々は、諸外国に内情が知られることを恐れて皆人間である。)

更に、アストロリアスに関しては一切の情報は新国家である事以外は開示されておらず、秘密を守るために外部からの入国さえも禁じられている。

 

 

IS

 

炎騎士:

イチカの専用ISで、騎士シリーズの五番機。外見は騎士シリーズ共通の姿をしていて、全体が赤く塗装されているのが特徴。

主に黒騎士をモデルに作成された為に武器は基本装備しか持ち合わせていないが、スコールの『ゴールデン・ドーン』とレインの前の専用機の『ヘル・ハウンドver2.5』にあった炎を操る能力を備えていて、最大出力なら国一つを業火で焼き滅ぼすことも不可能ではない。(但し炎騎士には10段階にわたってリミッターが掛けられており、通常は最も出力が抑えられている第1段階で稼動している為、最大出力で稼動することは滅多にない。)

 

風騎士:

ミルドレットの専用ISにして騎士シリーズの六番機。外見は上記の通りで、全体は深緑に塗装されている。

基本装備以外には10本以上の細剣を装備していて、これは場合によってスラスターとして機能する。それ以外にも風を操る能力を持っていて、出力によって大型低気圧を幾つも発生させることが出来る。(こちらも炎騎士同様に10段階のリミッターが掛けられている為、最大出力での稼動は滅多な理由がない限りはあり得ない。)

 

唄騎士:

ティアの専用ISで騎士シリーズの七番機。外見はこちらも上記の通りで、全体は茶色で塗装されている。(本人が茶色が基調の軍服を着ている為。)

基本装備以外には全長2mに及ぶ長い杖を持ち、更に杖の先から光の玉を遠くへ飛ばして攻撃することが可能。更に操縦者が歌を唄う度に機体の攻撃力と防御力が上昇するように設計されている。(本人が歌が得意な事と、ティア自身からの要望で特別に追加された。)それだけでなく多くの短剣を装備していて、これは主に奇襲攻撃用だがその他にスラスターとしても活用出来る。

 

蒼騎士:

クロエの専用ISで騎士シリーズの八番機。外見はこれまで道理の設定で、全体は青く塗装されている。(本人が青色の軍服を着ている為。)

基本装備はあるが、武器は槍の代わりに長剣が備わり、更に戦国武将の鎧兜のような防具が追加されている。

 

 

 

キャラ(精霊含め)

 

イフリート:

炎の精霊で四大精霊の一柱。

全体的に赤く熱血漢と思われがちだが、実際はもっと冷静でお淑やかな性格。イチカと契約を交わした精霊で、イチカと会話することは滅多にない。時々イチカに厳しくするところがあるが、それはあえて本人を心配しているだけで、愛情表現でもなんでもない。

 

シルフ:

風の精霊で四大精霊の一柱。

ミルドレットの契約精霊で彼女の最大の理解者。

仲間を切り捨てるような冷徹な発言が目立つが、それはイチカ達を心配して言うだけで本人は悪気があって言ってるのではない。

 

ヴォルト:

雷の精霊。

ソニアの契約精霊で、彼女と契約する前は本来の力を発揮出来ずにいたが、現在ではその力もとっくに習得してイフリートらに劣らず勝らずの実力者となった。

しかし投げやりなところもあるため、面倒事に直面しても発言せずに流されてしまうのがたまに傷。

 

ノルン:

センチネルを創造したとされる女神でネビリムとは真逆な存在。

かつて、太古の時代に活躍した勇者に人々を導くための試練を与え、その試練に打ち勝った勇者達にネビリムを倒すための力を授けたとされている。

長きに渡り、ノルンを祀るとされる聖堂は古代の文献にも記されず、ずっと謎に包まれていたが、バルバトスとの戦闘で負傷したイチカを助けた上に更なる力を与えた。(但し肩の傷は痛みを無にしてただけで治していない。)

 

ケルベロス:

太古の人々が勇者を守護する目的で作った女性の姿をしたエース級の戦闘形アンドロイド。

2丁のライフルによる遠距離戦を得意とし、更に近接戦闘においては髪飾りに付いた大型ブレードを振り回して戦う。

長い間ノルンの聖堂の棺に安置されていたが、イチカに反応して覚醒。以降イチカを“マスター”と呼んで慕っているが、時にツンデレでもある。

 

ミラ=マクスウェル:

精霊の頂点にいる精霊の主。普段は素性がバレないように人間の姿で人中に溶け込むことが出来る、その為滅多な事がない限り素性がバレることはない。以外と食いしん坊。

精霊ではあるが、いざという時に備えとして剣の腕を独学で磨いた為、剣術にも優れている。

 

 

敵キャラ

 

ダオス:

ネビリムの夫として、センチネルの伝承に登場する魔の神。元々人だった彼がネビリムの慈悲で救われ、その返しに彼女に添い遂げると誓って傍らに立ち続けたとの記録が残されている。

彼がネビリムを勇者達に討ち取られたことに激昂して戦いに挑むも敗北、その後はその魂も古代人達の手によってセンチネルの何処かに封印されたとされてるが……




さて、こんな感じです……

原作キャラ達に関しては、全員が登場した時に紹介したいと思っています。


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15-後日談

今更言うものなんですが……これからも『ワンサマー・オブ・ナイト』をよろしくお願いします


何とかバルバトスを撃退して王都に戻った俺達、早速今回起きた事の全てを王妃殿下に報告する筈なんだけど……

 

ヴィタリー「イチカくんは肩の骨にヒビが入っているから、最低2~3日は絶対安静にしないとダメだぞ」

 

イチカ「うう……」

 

俺は怪我人だから医務室のベッドに寝かされてヴィタリーさんから絶対安静と言われ止むを得ずそうするしかない。

 

ケルベロス「マスター、何か飲み物は要りますか?」

 

イチカ「じゃあ、お茶かなんか頼む」

 

ケルベロス「畏まりました、マスター」

 

まぁ…ケルベロスが身の回りの世話をしてくれるからいいけどさ……

 

 

マドカ「お兄ちゃん、大丈夫?」

 

イチカ「今の所はなんともないよ。ただ、動いたら痛むかも……」

 

ヴィタリー「心配には及びませんよ。安静にしていれば必ず治りますから」

 

マドカ「そうですか、ならお兄ちゃんのことはお願いします」

 

オマケにマドカまで心配してやって来た上に……

 

 

ユーリ「お〜い、大変なことになってんぞ。副団長様が怪我をしたってぇ聞き付けた王都の住人や騎士団や軍の連中が手紙やら書いて持って来たぜ。しかも内容は全部“炎騎士様の怪我がよくなりますように。”だぜ」

 

ジュディス「あら、それだけみんなが心配してくれてるってことでしょ?それは良い事じゃない。

良かったわね、これだけみんながあなたを心配してくれて」

 

イチカ「は…はい……」

 

俺が怪我した報せがすぐ知れ渡って、部屋には応援の手紙で一杯になっていた。

心配してくれてるのは嬉しいけど、なんだろ…このどうしようもない怒りは……?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その頃……

 

王妃「バルバトスですか。しかし、何故今になって……」

 

ソニア「あくまで私個人の推測ではあるのですが、おそらくイチカの反応を頼りに復活したのではないかと思われます。資料によりますと、バルバトスはただ強い者と戦いたいがために勇者パーティに挑んだとありますから……」

 

フリーゼ「イチカと戦いたい為だけに復活したと?」

 

ソニア「多分そうよ」

 

謁見室にて、ミール達が王妃に今回の一件を報告していた。

 

ミール「だとすると、これは厄介な事になりそうね」

 

ティア「確かに。何よりバルバトスは時空転移が可能だそうだし、いきなり王都に姿を現してイチカを襲撃するのもあり得るわ」

 

王妃「ならば、一層警戒する必要がありますね。防衛戦力の補充と増強を考えましょう」

 

ソニア「同感です。このところ各地の守備隊から、部隊の増強要求が絶えませんでしたから」

 

ミール「私も賛成です。国民もイチカの負傷で事の重大さを認識していますし、何より軍の兵力が今足りていませんから、私としても軍の増強は必要不可欠だと思います」

 

今回の件を踏まえ、以前より軍内部で話題となった軍の増強する方針が決定された。

 

フリーゼ「現時点ではそれが適切な判断と言えますが、議会と他の大臣達が何と言うかやら……」

 

「「「「……」」」」

 

だが問題があった。この国の政治は王妃が取り仕切っているのだが、大臣と国民議会両方の承認の無い限りは国政として実施出来ないのだ。オマケに大臣と議会は国民への負担を増やしたくないことを理由に軍備増強に反対して来た為、幾ら事情があるからといって承認してくれるとは限らないのだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

クロエ「イチカ、どうやら軍を増強する案が出て来たそうだぞ」

 

イチカ「無理もないだろうな、俺が騎士団副団長に就任する前からの問題だからな。それにこんな事が起きた以上は仕方ないと思うぞ」

 

クロエ「私も賛成ではあったしな、当然かもな」

 

それを言われては否定出来ないな。

 

ーーーー

 

クロエ「ところでイチカ」

 

イチカ「えっ?…なっ!?」

 

その時クロエ姉さんが何か言ったと思えば、キスをされた。しかもただのキスじゃない、俺の上に乗っかって更にディープキスだ。

って、いきなり何で!?

 

 

クロエ「だ…抱け……」

 

えっ?

 

クロエ「姉さんと毎日やりまくってるのはまだ勘弁出来るが、私を差し置いてグランツ達とやってるのは流石に我慢の限界だ!」

 

はっ!?

 

イチカ「いやそれは……!」

 

クロエ「ならしてないのか最近?」

 

そんな睨まないで下さいよ、恐いですし。

っていうか……

 

イチカ「この前ソニアさんとやりました……」

 

クロエ「なら私も抱け!拒否権はない!もし嫌と言うなら、イチカは腰抜けのヘタレだと皆に言いふらしてやる!!」

 

それだけはマジで勘弁して下さい!!

 

イチカ「分かりましたよ!やればいいんでしょ、やれば!!」

 

クロエ「そうだやればいいんだ!」

 

イチカ「ただ、まだ肩が痛むからそんな激しく出来ないけど……」

 

クロエ「別に構わない、私から動けばいいのだからな。ではやるぞ///」

 

イチカ「は…はい……///」

 

案の定押し切られた俺は流れに流されるしかなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

あれから1時間半後……

 

ミール「まさかと思っていたけど、クロエに抜け駆けされるとは……」

 

ティア「流石にと言って、悔しいわね……」

 

ミール「っというかクロエ!私の大事な夫を取らないでよ!!」

 

クロエ「いやですよ、私だってイチカが好きなんですから!幾ら姉さんの頼みでも譲れません!!」

 

ミール「私とイチカが家族だということを忘れたのか?!」

 

クロエ「私だってイチカと同じ家族ですよ。姉さんの妹ですし、それにイチカのお姉さんという立場でもあるのですから」

 

ミール「ぐうぅ……」

 

俺のお見舞いに来たミールとティアさんに、俺とクロエ姉さんが営んでいるところを見られてしまって今に至る。

 

 

ティア「ところでクロエ、イチカと何回したの?」

 

クロエ「じゅ…10回だが、それがどうした?」

 

ティア「全部、自分から動いてやったの?」

 

クロエ「ああそうだが……」

 

ティア「そんなにやって腰が痛くならないの?」

 

クロエ「いや別に、普段から鍛えているからこの程度はなんともない」

 

確かにクロエ姉さん、全然腰を痛がる気配してなかったからなぁ。凄いな……

って…妊娠したりしないのかって?それはあれだよ…本人が避妊とか望めば何の手間もかからず勝手に出来るから、大して問題なんかないんだぜ★

 

 

ミール「だったら私もやる!」

 

ティア「ミールはいっつもイチカとしてるから我慢しなさい、私が代わりにするから」

 

ミール「イチカは私の夫だぞ!」

 

ティア「それとこれは関係ないわ」

 

ミール「大ありだ!」

 

加えて言うと、ミールを含めた全員は避妊を望んでからしている。ティアさん達はともかく何故ミールも避妊しているのかというと、俺が18になるまでは子供は流石にダメってなワケでそうしている。

 

ーーーー

 

フリーゼ「イチカ、だったら私ともお願い!」

 

えっ?

 

ヴィタリー「なら私も混ぜてくれませんか?もう1ヶ月もご無沙汰ですし」

 

ええっ?

 

エクセラ「イチカ、我も頼む」

 

えええっ?

 

ケルベロス「マスター、私もお願いします」

 

ええええっ!?

 

突然部屋に入って来て俺との行為を望む3人…じゃなくて2人と1体?

ってそれよりも……

 

イチカ「ケルベロスって、人とそんな事して大丈夫なのか?それ以前にケルベロスはドロイドじゃないのか?」

 

ヴィタリー「その件については調べ済みよ。実はケルベロスは見た目と身体の作りも人間の女性と同じなのよ」

 

えっ?っということは……

 

ヴィタリー「ケルベロスも異性と肉体関係を築けるっというワケ」

 

イチカ「はっ!?」

 

おいおいおいおい!なんでそんなとこまで拘ってんだよ製作者!マジぱねぇよ!!

 

 

ミール「正直言って、イチカが他の女を抱くのは許し難いが…皆がイチカを好いているのなら仕方ないな。

ではイチカ、私も頼む///」

 

ティア「私も、満足させてね///」

 

ヴィタリー「イチカくん、私を滅茶苦茶にしてもいいぞ///」

 

ケルベロス「マスター、私を…マスターだけの女にして下さい///」

 

イチカ「えっ、ちょっと待って!ってかクロエ姉さん止めて下さい!!」

 

クロエ「悪いが私はここで失礼する」

 

意気地なし人でなし碌でなしいぃいいいい!!

 

イチカ「お願い待って…ぎゃあぁああああああ!!」

 

頼みの綱のクロエ姉さんに裏切られた俺は官能的に迫るミール達の要望に応えてヤりまくる他なかった……

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

ミール「スッキリした♪」

 

フリーゼ「相変わらず凄いわね、イチカのテクは///」

 

エクセラ「イチカは正しく魔性の男だな。一度行為を味わえばイチカでしか満足出来なくなってしまう///」

 

ヴィタリー「けれど、その方がいいのかもしれませんね///」

 

ティア「そうね、イチカも私達としてる時はずっと気持ち良さそうな顔してるもの。それだけでも満足よ」

 

ケルベロス「私も初めて相手をしていただきましたけど凄い威力でした。やはり、私のマスターはイチカさんだけですね///」

 

それなら良かったけど、ヤり過ぎて身体が動かない……

皆俺を求め過ぎだよ…しかも一人10回以上だなんて、流石に身体がもたないって……

 

ーーーー

 

クロエ「っというより、早く学校へ行きませんか?」

 

ミール「むっ、そうだな。いつでも行けるからといって長いことこちらに居てもキリが無いしな」

 

ティア「賛成するわ。何せイチカにも安息っというのも必要だからね、たまには安息の時間くらい与えるべきよ」

 

そこだけは何かとシッカリしてるよな……

 

 

ミール「では行って来るからな」

 

ティア「お土産楽しみにしていてね」

 

クロエ「じゃあまた改めて来るから」

 

そう言って3人は部屋を後にした。

これで少しは静かに過ごせるだろうな…本当にそうかは分かんないけど……




ケルベロスまで抱いたイチカ、これ以上女の人を抱いてると後ろから刺されたりしませんかね?(彼女いない男性達から……)

では次回は…イチカ不在のIS学園


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16-招待

この回で楯無さんも登場、そして箒と織斑教諭の考えの違い


IS学園……

 

 

 

千冬「何故貴様らが来てあいつ(一夏)は来ないんだ?」

 

ミール「何か問題でも?」

 

千冬「大ありだ!わたしが受け持つクラスの生徒である以上は遅刻も欠席も許さん!

オマケに本人が本国で怪我をして来れなくなったのなら台車に括り付けて来れば我々がなんとかするものなのに!

だからわたしは寮に入ることを勧めたと言うのにそれをやすやす踏みにじりおって!!」

 

ティア「あなたみたいな人は信用出来ないから聞かなかったのよ」

 

千冬「何か言ったか?」

 

ティア「いいえ何も」

 

クロエ「いい加減にして欲しい……」

 

イチカが怪我で来れないのが不服の織斑教諭に問い詰められ、3人は呆れ気味だった。今回の件は既に学園長を通じて教員達に通知されてるのだが、納得のいかない本人はミール等に説明を要求していた。

 

 

ミール「話の内容は学園長から全部聞いてる筈ですよ、“イチカは本国での任務中に負傷して来られなくなった。”と」

 

千冬「そんなのは本国の奴らに任せたらいいじゃないか!よりによって本人が怪我するとは、貴様らの国はどれだけ落ちこぼれなのだ?!」

 

ティア「その発言、我がアストロリアスへの宣戦布告と捉えてもよろしいのでしょうか?幾ら織斑先生がブリュンヒルデと呼ばれてることはご存知ですが、今の発言は流石に無いですね」

 

千冬「一夏を誑かした貴様らごときに言われたくないわ!!」

 

ミール「一夏?知らないわねそんな男は。

もとより、私の夫はあなたが知ってる弟さんとは関係ないので、一緒にしないでほしいですね」

 

千冬「雌豚の分際でえぇええええ!!」

 

真耶「織斑先生、それ以上の発言はやめて下さい!この国を戦争に巻き込むことになりますよ!少しは頭を冷やして下さい!!」

 

話が進むに連れ織斑教諭の暴言もエスカレートして、遂には禁句に等しい言葉まで出た為山田先生が間に入って止める形で事は収まった。

これ以上何も起こらないことを願ったミール達だが、現実はそう甘くはなかった。

 

ーーーー

 

千冬「HRと行くが、その前に本国のヴァレンスに伝えておけ、“クラス代表に備えて、政府がお前に専用機を用意する。”とな」

 

クラスメイト1「えっ、1年のしかもこの時期に専用機ですって!?」

 

クラスメイト2「いいなぁ〜、私も早く専用機欲しい♪」

 

クラスメイト3「ちょっと待って、ヴァレンス君って確かアストロリアス人だよね?それなのに日本政府が外国の人に専用機を用意するなんて……」

 

織斑教諭の口からイチカの専用機を用意する話が出たのだ。

 

 

ミール「織斑先生、専用機なら本国から用意される事で決まってますから。それに、その件は本国からの了解は取ってあるのですか?」

 

千冬「当たり前だろ」

 

ミール「嘘ですね、だったら私達にも通達がある筈ですから。それにイチカは日本人でもないのに何故日本の政府がアストロリアスの人間であるイチカに専用機なんか渡すのですか?」

 

千冬「一夏が日本人だからに決まってるだろう、お前達がわたしの生徒だと言うのなら黙って一夏をこちらに渡せ。勿論拒否権は無いぞ」

 

ミール「下らないですね、あなたは○チ○のヒ○ラ○ですか?幾ら織斑先生が私達の担任だからって、そんな事を押し付ける権利はありませんよ。

それに言っておきますけど、あなたの生徒だからといって、あなたの命令に従うか否かは学園長が決めるのですから、あまり誤解しないことですね」

 

千冬「貴様らは黙ってわたしの言う事に従っていればいいんだ!!」

 

クロエ「付き合い切れん……」

 

ティア「山田先生、この人の事はそちらにお任せします」

 

真耶「任せて下さい、これも私達の仕事ですから」

 

千冬「人の話を聞け!!」

 

織斑教諭の言い草に萎えたミール達は山田先生に本人の処置を任せ、織斑教諭そっちのけに授業を進めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

昼……

 

 

 

ミール「はぁ……昨日以上に疲れた……」

 

箒「仕方ないだろうな、あの織斑先生に詰め寄られては誰だってそうなるものだ」

 

セシリア「それにしてもイチカさんはお怪我をなさっておられるのですよね、出来ればお見舞いに行きたいのですが……」

 

簪「イチカの国って入国禁止だから、行きたくても行けないのが現実なんだよね」

 

食堂でミール達は昨日仲良くなった四組の簪と一緒に食事をしていたが、イチカの事があってなかなか手が進まない。

 

 

ミール「ならば一緒に来ないか?私達の国に」

 

「「「えええっ!?」」」

 

そんな時にミールが発した言葉に箒達3人が驚いた。何せアストロリアスは(秘密を知る為に)外部からの入国は一切禁止されている為、例え各国首脳でさえ立ち入ることが国連の採択で決められているから驚くのは当然のことだ。

 

セシリア「よろしいのですの!?あなた方の国は入国出来ない筈では!?」

 

ミール「確かにそうだ。だが私が本国に言えば皆だったらなんとか出来るさ。但し、秘密は守ってもらうがな」

 

セシリア「勿論守りますわ!」

 

箒「イチカの仕事場とか拝見してみたいな、私も頼む」

 

簪「私も騎士としてのイチカをこの目で見たい」

 

ミール「なら決まりだ、学校終わりに学生寮近くの森に集合だ」

 

「「「うん!(はい!)(ああ!)」」」

 

最初は戸惑ったセシリア達だったが、最後はミールの言葉に全員が同意した。

 

クロエ「いいのですか姉さん、母上が承諾するとは思えませんよ?」

 

ミール「なに、イチカに頼んで母上をゴネ倒すよう伝えておくさ」

 

ティア「だったらなんとかなると思うけど、イチカが気の毒ね……」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

夕方……

 

 

 

一日の授業が終わった放課後……

 

千冬「……」

 

箒「……(急いでいるのに、何故呼び止められなきゃならんのだ?)」

 

織斑教諭に呼び止められた箒は、学生寮の寮長室に連れて来られていた。本当ならすぐに集合場所へ行きたかったという時に呼ばれた本人は怒りが込み上げてきていた。

 

 

箒「一体何の用ですか織斑先生、私はこの後予定があるので要件は手短にお願いしますよ?」

 

千冬「そう慌てるな、それに今ぐらいは“千冬さん”と呼んでもいいのだぞ」

 

箒「お断りします。それに私もあなたと長話していられるほど暇ではないので、サッサと要件を話したらどうですか?(ここは我慢だ、この程度で憤ってはならん)」

 

箒は込み上げてくる怒りを堪えながら話を進める。

 

千冬「せっかちな奴だな、まあいい。なら倉持技研に伝えろ、“一夏の専用機を作れ”とな」

 

箒「はっ?」

 

千冬「何をトボけている、お前は倉持の企業代表なのだから、そのくらいを頼むこと程度出来るだろ?」

 

箒「そんな事は他の企業に任せたらどうですか?それに、今の倉持は、クラス代表に備えての機体のチューンナップに追われて専用機を作る余裕なんかありません。

あとイチカはアストロリアスの人間ですし、本人の専用機は本国で用意される予定なのですから、作る必要はありません」

 

千冬「何を言っている?あいつは日本人だしわたしの弟だ、それにあいつにはわたしの暮桜の後継機を持つ義務があるのだからな、暮桜を作ったお前の企業が専用機を作るに決まってるだろ?」

 

箒「はぁ……(全くこの人ときたら……)」

 

織斑教諭から発せられた言葉に箒は驚き、そして呆れ返った。彼女は正直、織斑教諭と話すのは嫌いだった。以前の箒ならなんとも思わないだろうが、今の彼女にしてみればウザいとしか言いようがないのだ。

 

箒「それを決めるのはイチカ自身であって織斑先生ではありません、それに倉持は先程申し上げた都合のもと専用機なんて用意しません」

 

千冬「わたしに喧嘩を売っているのかお前は?」

 

箒「私が喧嘩を売ってる?織斑先生が私に喧嘩を売っているの間違いではありませんか?

それに私はあなたの安い挑発に乗る程子供ではないので、いっぺん学校に…いえ、幼稚園から人生やり直したらどうですか?最も、今のあなたでは幼稚園からやり直しても無駄でしょうけど……」

 

千冬「小娘風情がいい気になるな!」

 

≪キンッ!≫

 

千冬「!?」

 

箒の言葉についに憤慨した織斑教諭は突然日本刀を取り出して斬り掛かったが、直前で箒が構えた2本の短剣で躱され本人は驚きを隠せなくなった。

 

ーーーーーーーーーー

 

千冬「お前、何故刀を使わないのだ?!篠ノ之流はどうした!?」

 

箒「そんなのはもう捨てましたよ。今の私にしてみれば、昔の私を象徴とする忌まわしき印ですから」

 

千冬「そんなことをして貴様の親が黙っている筈ないだろ?!」

 

箒「親なら既に認めていますよ、“今の私に篠ノ之流は合わない。”と話したらすぐ承知してくれましたよ」

 

千冬「貴様それでも武士か!刀を使わんか!!」

 

箒「あなたがどうしてもと言うのなら抜いて差し上げますよ。但し、抜かなくとも短剣のみであなたを倒せますがね」

 

千冬「減らず口を!やれるものならやってみろ!!」

 

箒「では遠慮なく」

 

織斑教諭からの挑発に乗った箒は攻撃を始めた。

 

ーーーー

 

箒「双牙斬!」

 

≪ザンッ!≫

 

千冬「うわっ!?」

 

箒「業華炯乱!」

 

≪ゾンッ!≫

 

千冬「つうっ!」

 

斬り上げからの高速斬りを見舞い……

 

 

千冬「何故だ…何故わたしが…押されてるのだ?!」

 

箒「人は変わらないままでは、何れ進化し続ける新たな力に押されそして負けるのです。あなたはそんな変わらないままの人と同じです。

今私が、進化し続ける力というのがどれ程の力を生み出すのかお見せしましょう!」

 

千冬「!?」

 

そして……

 

箒「片付ける!

阿頼耶に果てよ!

嵐月流・翡翠!!」

 

≪ザザザアァアアアア!≫

 

千冬「ぐわあぁああああああああ!!」

 

往復するように斬撃と蹴りの連続攻撃の後に斬り抜けて織斑教諭を圧倒した。

 

ーーーーーーーーーー

 

千冬「し…信じられん、わたしがお前ごときに……」

 

箒「言った筈です、“人は変わらないままでは、何れ進化し続ける新たな力に押されそして負ける。”と。そして私は、自身の進化をそして変化を望んでこの剣術“嵐月流”を生み出したのです。

あなたとしてはイチカのつもりでやってるのでしょうがそれは大きな間違いです。普段からイチカを…いえ、織斑一夏を見てやれなかったあなたの責任です。自分の罪を自覚することですね、では私はここで失礼します」

 

そう言って箒は部屋を後にした。

 

 

千冬「……お…おのれ……(わたしが…一夏をちゃんと見てやれなかっただと?違う、あれは気付けなかったからでわたしの責任ではない。そうだ、あれは篠ノ之の言い掛かりなのだ。何も知らないくせに…待ってろ一夏に篠ノ之、お前達は必ずわたしが元に戻してやるからな)」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それから箒は集合場所に着いたのは、すっかり陽も落ちて夜となっていた。織斑教諭に呼ばれたこともあって、指定された時間より大幅に遅れての到着だった。

 

箒「すまない、織斑先生に呼び止められて遅れた」

 

ミール「構わないさ、そんなに長くは待ってはいない」

 

セシリア「その通りですわ。わたくしだってほんの5分前に到着したばかりですもの」

 

ティア「それに、遅れてるのはあなただけではないわ」

 

箒「と言うと?」

 

クロエ「簪が姉に捕まって、なんでも一緒に来ることになったそうで、まだ来ていない」

 

箒「そうだったのか……(簪…お前もお前で不憫だな……)」

 

集合場所に着いた箒は遅れたことを謝るが、自分以外にも簪が遅れてると知って本人が哀れに思ったのであった。

 

 

簪「みんなごめん、遅れちゃって」

 

「はいはーい、簪ちゃんのお姉さんも着いて来ちゃいましたよ〜♪」

 

そこへ簪と共に彼女の姉が遅れてやって来た。

 

箒「そちらが簪の姉さんか、確か名前は……」

 

セシリア「楯無さんですわよ、生徒会長を務めていらっしゃいますわ」

 

楯無「あらあらセシリアちゃん、お姉さんのことを御存知とは感心ね」

 

セシリア「(あの扇子は台詞代わりなのでしょうか?)」

 

箒「(指摘したら余計話がややこしくなるだろうから何も言わないが……)」

 

そう言って本人が開いた扇子には“ご名答!”と書かれてあった。

 

ーーーー

 

簪「ところで、ここからアストロリアスまでどう行くの?」

 

ミール「それなら簡単だ、私かティアかクロエの何れかと腕を組んでくれ」

 

セシリア「腕を?何故そのようなことを?」

 

ティア「置き去りになっても知らないわよ」

 

セシリア「わ、分かりましたわ!すぐ組みますから!!」

 

箒「確かに、ここまで来ての留守番は流石にいやだな」

 

簪「言う通りにするしかなさそうね」

 

楯無「ふふ。女の子同士で腕を組んでなんて、お姉さんなんか恥ずかしくなっちゃうわ♪」

 

そういったワケで、箒はミールと、セシリアはティアと、簪と楯無の二人はクロエと組むことになった。

 

 

箒「それで、ここからどうすると?」

 

ミール「それでは行くぞ、ジャンプ!」

 

ミールの言葉を合図に装置の左端のジャンプボタンを押し、全員はアストロリアスへ…いや、センチネルへと転移した。




なんだかんだで書いたら5000文字超えちゃった、次回くらいはもう少し短くしたい……

それにしても箒さん、あの千冬さん負かすなんて…まじカッケ〜〜!!

っというワケで次回は、センチネルでの一時(仮)……


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17-異世界

ミール「みんな着いたぞ。ここがアストロリアスの王都、“セントラント・ネクトブルク”だ」

 

「「「「……」」」」

 

クロエ「なんだそのギガント級の魔物と対面したような目は?」

 

「「「「魔物!?」」」」

 

ティア「そういえば、みんなが知ってるアストロリアスは地球の方だったわね。ならそんな顔しても別に不思議はないわ」

 

まさにティアの言う通り、今ミール達がいるのはセンチネルの中のアストロリアスであって、地球の方のアストロリアスではない。そのため見たことのない動物…というより種族の者たちに驚いているのだ。

そして、今みんなが居る場所はアストロリアスの王都、しかもその中で多くの人々が集まる市場の一角で、すぐ側を羽の生えていない龍やライオンの姿をした人達が通り過ぎる為、箒達はその光景に唖然となっていた。

 

 

箒「えっと…ここがアストロリアス…なのか?」

 

セシリア「あまりにも…思っていたのより違い過ぎますわ……」

 

簪「でも…アニメに見たような人や動物がいっぱい居る♪♪」

 

楯無「簪ちゃんってホントそれしか興味なくて、お姉さん圧倒されちゃうな……」

 

ただ一人を除いてこんな感じだった。

 

ミール「悪かった、まずは私達の…元よりここの事を詳しく話してあげようか」

 

セシリア「そうですわね、包み隠さず全て聞かせていただきますわ……」

 

箒「確かに、イマイチ状況が掴めていないから納得のいく説明をしてもらいたいな……」

 

ミール「心配するな、そう難しいことは言うつもりなどない。

では話そう、実は……」

 

ーーーー

 

そうしてミールは自分達の…そしてセンチネルの事の全てを語り明かした。

 

セシリア「そのようなことが本当に?

っと言いますか、箒さんは“織斑先生の弟さんと顔見知りだ。”っと言っておられましたから、イチカさんの事は……」

 

箒「ああ、知っている。本来ならあいつが目の前にいるミールと結ばれているという話を聞いて正直気に入らなかったのだがな、私自身もれっきとした加害者だから……」

 

簪「“イチカに強くは言えない。”っというワケ?」

 

箒「その通りだ。だからこそ私は、過去の私自身と決別し、且つ今のイチカの全てを認める事こそが、私なりの本人への償い方だと信じている。だが、織斑先生はそうは思っていないみたいだがな」

 

楯無「確かに、織斑先生は“イチカ君との関係を戻したい”…元より、“イチカ君を取り戻したい”と思っているから、箒ちゃんとは大違いね」

 

セシリア「そうですわね。っというよりも、イチカさんが気の毒に思えますわ」

 

箒「本当なら私がなんとかすべきだったのに、“何故イチカにあんなことをしてしまったのだ?”と、今でも過去の私に問い掛けているのだが、答えは“一夏の側に居たかったから”しか返ってこない」

 

簪「可哀想、織斑先生は何も知らなかったの?」

 

箒「本来なら気付くべきだろう。だがあの人はずっとバイトばかりしていて、一夏の事を心配してる暇なんてなかったのだろうな」

 

簪「バイトばかり?それってどういうこと?」

 

楯無「確か織斑先生の両親は……」

 

箒「一夏の幼い頃に、2人の前から姿を消したそうです。理由は分からないのですが、とにかく織斑先生は一夏を養おうと思ってバイトばかりしていたので一夏の事情には構っている余裕なんてなかったのでしょうね。

ただ、10年近く気付いてやれなかったことには怒りが隠せなかったのですがね……」

 

セシリア「その気持ち、分からなくもありませんわ。

わたくしも小さい頃に親を電車事故で亡くしましたから、織斑先生の苦労は分からないものではありません。ですがそれ以上に、イチカさんが受けてきた仕打ちに対しての怒りと、イチカさんが気の毒に思える同情心が上回っていますが……」

話を聞いた箒らは驚いたが、同時にイチカに対して同情したりもした。

 

ーーーー

 

ミール「さっ、ここにいても仕方ない。イチカのところに行くぞ、付いて来てくれ」

 

「「「「は、はい!!」」」」

 

クロエ「何故皆ハモったのだ?」

 

ティア「聞かない方がイイわ、後がややこしくなるだけだからね」

 

そういったワケで、一同はイチカの居る城へと歩いて行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ケルベロス「マスター、そろそろマスターのご友人が御来しになる時間です」

 

イチカ「ああ、そうだな……」

 

今俺は緊張している。普段はそんな事は無いのだけど、今回だけは違う。何故なら、箒達が俺の見舞いに来るからだ。

それだけならいいが、ここ(センチネルのアストロリアス)へ招待すると聞いた時は驚きを隠せなかった。俺が最初にこの世界に来た時も驚きの連続だったから、箒達も絶対驚くことだろう……

そして俺は今もベッドに寝かされている。当然だけどね……

それで王妃様にその事を話しておくように言われて本人に事情を説明してOKが出たのはよかったけど、代わりに子作りを強要されて10回もヤってしまって正直身がもたない……

せめて子作りなんて王様として下さいよ。っというより、今まで王様に会ったことは一度もないんだけど、王様なんているのかな……?

 

 

≪ガラッ≫

 

ミール「イチカ、身体の具合はどうだ?」

 

イチカ「大分良くはなったよ、後はここから出られたら完璧なんだけどな」

 

箒「それは良かったが、出られんのは気の毒だな」

 

セシリア「そういう時は愛情のこもったお料理を出すと宜しいのですが、ミールさんはお料理って……」

 

ミール「残念だが出来ない……」

 

クロエ「私は出来なくもないが、あくまでサバイバルの為の料理しか出来ないからな……」

 

ティア「唯一出来るのはイチカじゃない?何せ、時々軍の食堂の厨房で切り盛りすることがあるし」

 

ミール「確か厨房係りよりもレパートリーが豊富だと聞いてはいたがな」

 

クロエ「オマケに掃除洗濯といった家事全般も得意な上にマッサージと夜の営みも出来てしまうとは、正にイチカは理想の男だな」

 

イチカ「はは…そりゃあどうも……」

 

これ喜んで良いのか?

 

ーーーー

 

 

クロエ「それはさておきだな」

 

イチカ「えっ、何ですか?」

 

クロエ「お前から私ではない別の女の匂いが漂うのだが……」

 

ギクッ!

 

「「!!」」

 

「「「「!?」」」」

 

ミール「どういうことだイチカ、また私の見てない間に女と抱いたのか?!」

 

イチカ「いやそれは……!!」

 

ティア「ケルベロス、あなた何か知らない?」

 

ケルベロス「それなら王妃様が怪しいですね。マスターの病室に入ってから1時間程も出て来なかったですし、何より部屋から出て来た王妃様が満足気な表情でいましたから」

 

ギクギクッ!

 

ミール「何だとおぉおおおお!!」

 

クロエ「どういうことだ?!私達ならまだしもよりによって母上に手を出すとは!!」

 

イチカ「いやそれは……!」

 

ケルベロス「“ご友人を歓迎する見返りに”と言って陛下の方から襲ったのですよ」

 

「「何いぃいいいいいいい!!?」」

 

ティア「そんなことだろうと思ったわ」

 

ってチョット!1人で納得するな!!

 

ミール「箒達にこいつ(イチカ)は任せたぞ!」

 

箒「えっ、ミールはどこへ?!」

 

クロエ「母上に問い詰めて来るから、煮るなり焼くなり好きにしていいぞ!!」

 

ティア「私は部屋に戻るから、そのつもりで」

 

セシリア「チョットお待ち下さい!そんな急に!!」

 

≪バタンッ!≫

 

ミール達は動揺する俺達を差し置いて部屋から出て行った。

 

 

セシリア「行ってしまいましたね……」

 

箒「そうだな。っというより、イチカは任せたと言われてもどうしようか?」

 

セシリア「わたくしに聞かれても困りますわ……」

 

楯無「そうね。お姉さんとしては、イチカくんがそこまで女性から惹かれるのか気になるから、是非お姉さんも相手にして欲しいわね♪」

 

「「「!?」」」

 

はっ!?

 

簪「ちょっとお姉ちゃん!いきなり何言い出すのよ!!」

 

楯無「だってイチカくんって、いろんな女性から愛されているのよ。気になったりしないのかしら?」

 

箒「それは…気にはなりますが……」

 

セシリア「っというよりもイチカさん、あなたはどのくらいの女性と関係をお持ちに?」

 

イチカ「えっ、えっと……ミールとクロエ姉さんとティアさんを含めて9人……」

 

「「「「……」」」」

 

ちょっと…何で黙るの?!そこは何かツッコンだりコメントしたりするのが定石でしょ!?

 

 

箒「ならば抱かれても良いかな?」

 

はっ!?

 

セシリア「確かに、ミールさん達は好きにしていいと言っておられましたから別に構いませんでしょうね。元より、わたくし達だけがお友達留まりだなんてゴメンですし」

 

はあっ!?

 

簪「ちょっと抵抗があるけど、みんながやるなら私もいいかな……?」

 

はあぁああああっ!?

 

イチカ「おいおいおい!お前ら他に好きな男くらいいないのか?!っというか年頃の娘がそんな事を軽く口に出すな!!」

 

楯無「いいじゃない別に、お姉さん達はイチカくんの事が好きなんだし。それに、私達イチカくんに全てを捧げても後悔も何も無いし」

 

えっ!?

 

箒「確かに」

 

セシリア「わたくしはイチカさんに初めてを捧げても構いませんわ。わたくしの家は由緒正しき貴族の家柄なのですが、イチカさんはわたくしにとっては運命の王子様ですから後悔も何もありませんわ」

 

簪「私もセシリアと同じような理由だから奥さんじゃなくても愛人でも構わないし」

 

チョットチョットチョット!セシリアお前貴族の家ならそれマジでヤバイだろが!!

ってかそっから服脱ぎ出して全裸になるのヤメろ!!

 

イチカ「悪い俺急用思い出し__」

 

「「「「問答無用!!」」」」

 

イチカ「ってぎゃあぁああああああああああ!!!」

 

それから4人の美少女に襲われてヤってしまった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ミール「一体どう言うつもりですか?!私の夫を襲うなんて!!」

 

王妃「いいじゃない、私だってまだ若いのよ。娘にまだまだ負けてなんかいられないからね」

 

クロエ「若いとはいえ、もう50過ぎじゃないですか!それでイチカを襲うなんて恥ずかしいと思わないのですか?!」

 

一方のミールとクロエはというと、王妃を尋問していたが……

 

王妃「クロエ達こそイチカ君に奥さんがいることを知ってる上で襲って恥ずかしくないの?」

 

クロエ「う…それは……」

 

ミール「まさか、そこを突いて来るとは思わなかったな……」

 

痛い所を突かれて縮まる他無かった。

 

 

王妃「ところで、確か今回は向こう(地球)のお友達を連れて来たそうだけど、そのお友達は今どこに?」

 

ミール「ああ…それなら……」

 

その一方で……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

箒「妻を持ってる以上ある程度経験してると思っていたが……///」

 

セシリア「ここまで凄いとは流石に誤算でしたわ……///」

 

簪「イチカは女の人を虜にする理由が分かった気がする……///」

 

楯無「イチカくんって、意外と絶倫で激しいのね、これなら愛人でもいいわね……///」

 

イチカ「……」

 

そのお友達はというと、イチカとお楽しみをしていたのは言うまでもない。




イチカもとうとう原作ヒロインを……羨ましいですなぁ……(´Д` )

では次回は、イチカ達の専用機…のお話(仮名)


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18-専用IS

箒達がアストロリアスに来て色々あったが、今俺らはヴィタリーさんの研究所にいる。何故かって?それは簡単な事、実は箒達との一件の後ヴィタリーさんから専用機完成の報せが入ったから、初期化(フォーマット)と最適化(フィッティング)を兼ねて皆にお披露目したいという訳で訪れている。

因みにだが、肩はスッカリ治っている。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

スコール「いらっしゃいイチカ君。それに皆さんも、待ってたわ」

 

オータム「まさか向こうの連中も来るとはな、大丈夫なのか?」

 

イチカ「本人達は秘密にすると約束してますので大丈夫ですよ。無論、ISの事も」

 

オータム「だったら別に問題ねえか。

付いて来い、こっちだ」

 

そんな感じで俺らは研究室へ案内された。

 

 

案内されたのはISの調整とかで使う整備室、その一角に俺らが使う予定の専用機が置かれてあった。

 

イチカ「これが、俺達の専用機…ですか?」

 

オータム「そうさ、第三世代量産型の騎士シリーズの“炎騎士”、“風騎士”、“蒼騎士”、“唄騎士”だ」

 

スコール「急の連絡だったから完成には骨を折ったけど、良い仕事が出来たから良しとするわ」

 

セシリア「えっ?

お待ちになってください!こちらのISは全て量産型の第三世代なのですの?!」

 

スコール「ええそうよ、それが何?」

 

箒「今現在、量産型第三世代ISの研究と開発は世界各国で行われていますが、コストパフォーマンスや機械的不調などを理由に未だどの国も完成するところが形にもなっていないというのに、こちらではもう完成させているのですか!?」

 

オータム「ああそうさ。正確に言うならここの所長さんが実現させたんだがな、今じゃ専用機どころかISコアの量産まで成功させてんだぜ」

 

簪「嘘?

ISコアに関しては特にブラックボックスに包まれてるから束博士を除いて解明出来る筈が無いのに」

 

スコール「普通ならね、でもここの博士は凄い頭がキレる人だから私達が持ち合わせてる情報を見せたらすぐ解明したのよ。

けれど、そこから先は流石に企業機密だから言えないけど」

 

楯無「この世界の技術の凄さを実感させられた気がするわね……」

 

オータム「おいおい、こんなんで驚くのは早過ぎるぜ。太古の技術の方がもっとスゲェそうだからな」

 

ミール「確かに、一番納得がいくとすれば、イチカの従者をやってるケルベロスかしらね」

 

クロエ「言われてみればあのケルベロスは、太古の時代に作られたドロイドだから、それもそれで驚きですね」

 

箒「えっ!?ケルベロスって、イチカのことを“マスター”とか呼んでたあの人ですか!?全然ドロイドには見えなかったのだが何故!?」

 

ティア「それは分からないわ。でも、古代のセンチネルには空飛ぶお城まであったそうだから驚きの限りだわ。

でも、その技術はとうの昔に失われた物だからケルベロスに至ってはオーパーツ(先史技術)と言えるのは確かかもね。

なのに今の技術で簡単に修理出来るのは呆れちゃうけど」

 

「「「「……」」」」

 

俺とミールとクロエ姉さんとティアさんの専用機を目の当たりにして俺らはまだしも、箒達は特に驚いた。

まあ箒達の世界の常識なんてここ(センチネル)では通用しないから仕方ないとは思うが……

 

イチカ「なんでもいいけど、そろそろ本題に入らないと終わらないぞ」

 

箒「はっ!そうだった!!」

 

セシリア「それより大事なのはイチカさん達の専用機でしたわ!」

 

スコール「それじゃあ、早速フォーマットとフィッティングを済ませるわね。あと、ISスーツも全員分用意してあるから着替えてね」

 

それより大事なのは俺達の専用機の方だから、指示された通りに俺らは動いた。

 

ーーーー

 

それから数分で俺ら4人はISスーツに着替えてISを装着した。

 

≪ピッピッピッ……≫

 

スコール「はい、フォーマットとフィッティング完了。ファーストシフト(一次移行)も同時に済ませておいたからスムーズに動かせると思うわ」

 

イチカ「ありがとうございます」

 

本当にこの人達は仕事が早い。元の仕事柄なのか定かじゃないけど、箒達曰く『フォーマットとフィッティングを済ませた上でファーストシフトへ進むにはプロでさえ丸1時間は絶対掛かる』というところを10分足らずで終わらせたのだから驚くしかないが、今は取り敢えず新たな相棒(専用機)を用意してくれたことを含めて感謝の言葉を述べておく。

 

 

オータム「とはいえ折角だからな、ここ(研究室)のパイロットと模擬戦でもやるか?」

 

イチカ「どうせ自分が戦いたいだけでしょ?」

 

オータム「相変わらず勘が鋭いな。

まぁ別に否定しねぇけどよ」

 

まあいいか、感覚を実感出来るからいいけどさ。

 

イチカ「じゃあお願いします」

 

オータム「おっしゃあ!任せときな!!」

 

ってなワケで、俺達4人は研究室のメンバーと模擬戦をやることになった。

 

ーーーー

 

まずは俺からだ、そして俺の相手を務めるのは……

 

イチカ「まさかと思っていましたが、やっぱりですか」

 

オータム「悪い悪い、別に悪気はねぇんだが、どうしても戦いたいんでな」

 

イチカ「まぁいいですけど」

 

オータムさんだ。とはいえ最初からそうだろうとは思ってたけどな……

 

 

イチカ「んじゃ、始めますか」

 

オータム「そうだな、モタモタやんのは後に悪いし」

 

スコール「準備はいいかしら?

それじゃあ試合始め!」

 

スコールさんの合図と共に試合が始まった。

 

ーーーーーーーーーー

 

≪キンキンッ!≫

 

オータム「やっぱ“双天の炎騎士”の名は伊達じゃねぇな、付け入る隙がまるで無いぜ」

 

イチカ「これでも騎士団副団長ですから、そう簡単にやられるワケにはいかないんですよ」

 

オータム「だろうと思ったぜ。

まぁそうならば、オレとしても戦う価値があるってヤツだ。久々に本気出させてもらうぜ!」

 

イチカ「望むところ!!」

 

剣と剣のぶつかり合い。

じゃなくて相手は蜘蛛みたいな脚で攻撃してるから、剣と蜘蛛脚とのぶつかり合いか?

まぁそれはいいとしてだ……

 

オータム「ええい!これならどうだ?!」

 

≪ダンッ!≫

 

イチカ「うはぁ!…くそっ、負けてられるか!

爆炎剣!!」

 

≪ザンッ!≫

 

オータム「うお!?

くっ!やっぱ強ぇな、まぁ手加減無しなとこは嫌いじゃねぇぜ!」

 

イチカ「それを言うなら!こっちだって、あなたのその荒っぽいけど面倒見の良い様は嫌いになれませんね!!」

 

≪キンッ!≫

 

オータム「はっ!お互い様ってぇヤツか!けどそれも悪くはねぇぜ!!」

 

イチカ「同感です!!」

 

≪カンッ、キンッ!≫

 

ーーーー

 

セシリア「凄過ぎますわ、イチカさんのISは。特にあの炎の攻撃、もしかしたら遠距離攻撃にも使えそうで侮り難いですわ」

 

ミール「そうだろな。元より、あの炎の攻撃はイチカと契約したイフリートによるものだから、場合によってはアウトレンジ攻撃も出来るやもしれんな」

 

セシリア「イフリート!?おとぎ話で御出でになさる火を操る精霊の!?」

 

ティア「その通りよ。加えて言うなら、ミールはシルフと契約してるからイチカと似たような感じよ」

 

セシリア「……」

 

箒「凄いの一言しか出ないな、本当に……」

 

ーーーー

 

≪キンッ!≫

 

オータム「チッ!

初心者に負ける筈がネェと思ってたけど、やっぱ実戦経験者はワケがチゲェぜ」

 

イチカ「経験者ならそっちが上じゃないのですか?」

 

オータム「一応はな、けどオレの場合は奇襲とかそっち系が多くて、本格的な戦闘となると話が別なんだよ」

 

だから応戦する時は、脚か銃辺りだったのか?

 

 

オータム「けれども、これならこれでいい経験になるからいいぜ。来るならドンと来やがれってんだ!」

 

イチカ「何故か知りませんけど、どっかの江戸っ子みたいなキャラ入ってませんか?」

 

オータム「いけねぇ、ウッカリしていつもの性格が出ちまったぜ……」

 

えっ!?あれが(オータムさんの)普段の性格なのか!?

嘘つけ!!!

 

 

イチカ「まあいいか、とにかく。

獅吼爆炎陣!!」

 

≪ドガッ!≫

 

オータム「うわ!」

 

衝撃波と炎による攻撃で相手を一気に突き飛ばして……

 

オータム「くっ!そう来るっつうことは、まさか?!」

 

イチカ「そのまさかですよ!

空を絶つ!これでも喰らえ!

絶破…滅焼撃!!」

 

≪ズガアァアアアア!!≫

 

オータム「うはあぁああああああ!!」

 

炎を宿した剣で相手を突き、熱量を炸裂させて吹き飛ばして終わった。

 

ーーーーーーーーーー

 

オータム「くっそぉ、負けちまったぜ!

けど、久々にいい運動が出来たからいっか」

 

なんと言うか、この人ポジティブだよな……

あれ?この人前からそうだっけ?

まあいいや。

 

 

スコール「全く相変わらず無茶が過ぎるわね二人は。

でも、良いデータが取れたからいいわ。

後もう三人も準備して、サッサと終わらせるから」

 

ミール「なんかその上から目線みたいな発言が気になるが、別にいいか」

 

クロエ「そうですね、あまりモタモタしてたら日が暮れますしね」

 

ティア「そしてイチカから子種成分を摂取しないと干からびちゃうしね」

 

オータム「いやいや、それは無いと思うが……」

 

マドカ「それは言わない方がいいと思いますが?」

 

フォルテ「言ったら裏でフルボッコにされるだけだと思うわ」

 

レイン「ここは黙って聞き流すのが定石ですよ」

 

「「「「……」」」」

 

何だろうか?何処からかドス黒い殺気を感じるような……?

 

それはさて置き、ミール達の模擬戦(ミールの相手はフォルテ、クロエはマドカ、ティアはレイン)も終了しミール達が勝利を握ってその日は終わったけど、俺はオータムさんに頼まれて一緒に酒場に飲みに行く事となった。




とりあえずこんな感じで

次回は…学園にてクラス代表決定戦へ


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19-クラス代表決定戦 Ⅰ

センチネルでの話が大方飛んでますが、これ以上は埒があかないのであえて飛ばします


運命の日が来た。

 

1年1組のクラス代表を決める決闘…いや仁義なき闘いがアリーナで始まろうとしていた。

アリーナの観客席は俺達の武勇を…というか俺の実力を見たいといった者達で満員状態(学園生徒ばかりだが……)だ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして俺はミール、クロエ姉さん、ティアさんと一緒にピット内で待機している。

それはまだいい、問題なのは……

 

イチカ「なんでこんな所に織斑先生がいるんですか?あなたは確か、管制室で山田先生と一緒に高見の見物をする筈では?」

 

千冬「教師に対して随分とした言い様だな」

 

この人がここ(ピット)にいることだ。正直言うこと、邪魔だから出て行って欲しいとこだが、これから試合だという時にそんなことを気にしたら集中力が落ちて試合にならなくなると思ってのことだ。

 

 

まぁそれはよしとして、肝心なのは試合だ。特にどうクラス代表戦を進めるかに関しては、俺らはともかくクラス全体では大いにもめた。

姉さん…もとより織斑先生はトーナメント形式でやればいいと言ったが、そうなったら一人だけ決勝までに3戦やることになるから全員一致で却下された。セシリアはクジ引きで決めるのはどうだと提案して一部は賛成したけど、クジ運によっては一人の人間が同じクジを引きかねないとの意見が出た為これも却下。

そこで俺がリーグ形成で戦う案を出したところこれが承認された。まず最初に戦うのは、俺とセシリアだ。

 

 

ミール「ここは関係者以外立ち入り禁止です。幾ら教師のあなたでも、部外者である以上は出て行ってもらいますよ」

 

千冬「それを言うなら、更識姉妹と布仏も部外者ではないか!」

 

ティア「そちらの三人は、山田先生から前もって許可を取ってあるので問題ありませんよ。無許可のあなたと違って」

 

念を置いて言うが、今は簪やのほほんさんに楯無さんも同じピットに居るが、この三人は山田先生から許可を取ってあるから関係者扱いだからなんの問題もない。故にここで部外者なのは織斑先生のみだ。

 

 

 

クロエ「そろそろ時間だ、準備しろイチカ」

 

イチカ「オッケー」

 

時間が来たみたいで早速、俺は新たな相棒(炎騎士)を纏おうとした。

 

 

千冬「待て」

 

イチカ「何ですか一体、対戦相手…もとより、レディーを待たせるのは紳士的な行いではないのですよ?」

 

千冬「お前には専用機が届くからそれまで待て、フォーマットとフィッティングはまだだが、わたしの弟のお前なら試合中に出来る筈だ」

 

その前にお邪魔虫(織斑先生)から待ったがかかった。俺に専用機が届くとか言ってるけど、既に専用機は持ってるから俺には関係の無い話だ。

 

イチカ「俺はもう専用機を持ってるので必要ありません。それに、あなたの弟でもなんでも無いので、その命令に従う権利は俺にはありません」

 

千冬「そんなガラクタなぞ棄ててしまえ。それにわたしが特別に用意した専用機の方が、より良い性能を持っているのだからな」

 

埒があかないなぁ……

 

真耶『織斑先生は何処ですか〜〜!

管制室に来ていただかないと困りますけど〜〜!!』

 

ふっ、丁度いいや。

 

イチカ「織斑先生、山田先生から呼び出しがあったので早く管制室へ行って下さい。楯無さん、お手数ですが頼みます」

 

楯無「No problem!お安い御用よ、お姉さんにお任せあれ」

 

千冬「何をする更識姉!

おのれ離せ!わたしを誰だと思っているのだ!離せえぇええええええ!!」

 

ミール「ホントにしつこいわね」

 

全くだ。

 

 

イチカ「ほんじゃ、行って来る」

 

ミール「行ってらっしゃい」

 

ティア「おみあげ期待してるわよ」

 

観光に行くんじゃないんだけどなぁ…オイ……

 

イチカ「炎騎士、出撃する!」

 

気に留めても仕方ないから専用機を纏ってピットから出た。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

セシリア「イチカさん、お待ちしておりました」

 

イチカ「ごめん、もしかして待った?」

 

セシリア「とんでもありません。待ったとしてもほんの1,2分くらいですから、気にしないでくださいな」

 

あっ、そう。

とか言ってる割には随分と怪しいな。

まぁいい……

 

 

『男なんかやっちまえぇええええええ!!!』

 

うるせえぇええええええ!!

外野(観客席)の野獣(女尊男卑主義者)が非常にうるせえぇえええええええ!!!

 

セシリア「ああもう!集中力が落ちるのでお黙りになって!でないとここで消し炭にしますわよ!!」

 

『……』

 

あっ、一発で止んだ。

流石セシリアだ、天才だよ。

 

イチカ「よく黙らせられるね、あんな野獣達を」

 

セシリア「それ程でもありませんわ。

これでも代表候補生ですので、泣く子も黙る様な存在にならねば、人々を導くべき代表候補生としての誇りが廃れますわ」

 

イチカ「なる程ね、それを言われたら納得せざるを得ないな」

 

俺個人で言えるのはこんなくらいだ。

 

 

セシリア「それはともかく、始めますか。わたくし達のダンスを」

 

イチカ「そうだな、長話を続けても仕方ないしな。

それじゃあ行くぞ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

箒「まさかとは思ってたが、圧倒的だな」

 

試合が始まってほんの数分しか経過してないが、箒はアリーナでの戦闘に驚かされていた。

セシリアのレーザーを悉く跳ね返し、イチカ自身は炎でセシリアを攻撃して追い詰める。セシリアも反撃にチャンスを何度か伺っていたものの、イチカがそんな隙を見せる筈もなく、一方的にセシリアが追い詰められる状況となっていた。

イチカ達の専用機の実力は大方把握していた箒でも、ベテランの専用機持ちが初心者同然の相手に追い詰められるなど考えるよしもなかった。

 

箒「想像を遥かに上回っているな、流石としか言い様がない。もとよりセシリアの機体が遠距離戦特化型だから仕方ないとはいえなぁ(これは私でも苦戦は間違いなしだな)」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

セシリア「くっ!(わたくしがここまで追い詰められるなど…これは流石に予想外ですわ。この時の為に偏向射撃(フレキシブル)もマスターしたと言うのにそれも効かないなんて、オマケにエネルギーの残量が残り僅かに……)」

 

そのセシリアは今、窮地に立たされていた。前にイチカ達の専用機の実力をその目で確認して、試合の為に急遽偏向射撃も会得したのだが、イチカの前ではただの小細工程度にしかならず、ましてや近接防御用の装備の少ないセシリアでは防御するにも一苦労だ。そのせいでセシリアの専用機のブルー・ティアーズのシールドエネルギーの残量は残り3割をきっている。

 

セシリア「(この不利な状況の中でせめて一矢報いるには……成功するとは思えませんが、この方法しかありませんわ!)」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺とセシリアとの試合は快調だ、本人(セシリア)には悪いけど……

向こうはレーザー攻撃での長距離戦で真価を発揮するタイプだけど、代償に近接戦には不向きらしく、銃剣の様な武器で対処してはくるけど、慣れてないみたいで捌くのなんて造作もない。

 

セシリア「流石のわたくしでも誤算でしたわ、イチカさんの機体がこれ程強いだなんて、想像を遥かに超えてますわ」

 

イチカ「そうでもないさ、これでも初心者なのはセシリアでも知っての通りだ。

ただ戦闘で得た経験を元に動いてるだけだから、それでいえばまだ五分で戦えてるくらいさ」

 

セシリア「そうでしたか、それは失礼いたしました。

ですが、わたくしとてそう容易く負けるワケにはいきませんわ!このセシリア・オルコット、最後の最後まで抗わせていただきますわ!!」

 

それは俺とて同じだ!!

 

 

セシリア「(上手く成功するのを祈るしかありませんわ!)これが、最後まで可能性を信じる…わたくしの足掻きですわ!」

 

≪バシュバシュッ!≫

 

ミサイル攻撃か、だがそんなのは俺には効かないぞ!

 

≪ゾンッ!≫

 

素早い動きでミサイル2発を斬り裂いた、それは良い。

けど……

 

イチカ「煙で周りが見えない……」

 

周りは煙に閉ざされて何も見えない。

 

イチカ「オマケにハイパーセンサーすら使えない」

 

それに加えてセンサーも使用不可能だ、しかも煙はいつまで経っても消えることはない。それから察するところ、さっきのミサイルはチャフを含んだ煙幕弾といったところに違いない。

だとすると考えうるのは……

 

セシリア「捕まえましたわイチカさん!」

 

≪ドガッ!≫

 

イチカ「えっ…うわっ!?」

 

そう考えてた矢先にセシリアが俺にぶつかって来た、かと思えば……

 

【高エネルギー反応確認

ロックオンされました】

 

イチカ「えっ!?」

 

セシリア「この距離なら……」

 

目前にそんな表示が出てセシリアの方を向いてみれば……

 

セシリア「絶対に外しませんわ!!」

 

イチカ「げっ!!」

 

ライフルとビット6機がこっちに向けられていた。しかも今はほぼ密着されてる感じだから躱すことも不可能だ。

 

セシリア「スターライトmkⅢ及びブルー・ティアーズ出力最大!

イチカさん、お覚悟願います!!」

 

≪ドガアァアアアアアア!≫

 

イチカ「うわあぁああああああ!!?」

 

その為セシリアの攻撃をマトモにくらってしまった。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

イチカ「くぅ…油断したか……」

 

流石に今の攻撃は想定外だった。確かにセシリアの専用機は遠距離戦には向いてるけど、まさかその強みを近接戦で使うだなんて予想することなんて出来なかった。それ以外に言い訳がたたないからな。しかも今ので(シールドエネルギーが)7割ももっていかれるとは、恐るべしだ。

 

セシリア「イチカさん、お怪我はありませんか?」

 

イチカ「大丈夫だよ、けどこんな無茶な手で来るとはな。よく考えたものだ」

 

セシリア「わたくしでもこの手は不本意ではありましたわ。でも、少なくとも一矢報いるにはこれしか思いつかなかったものですから」

 

成る程な、確かにさっきまでの戦闘をから考えるに、仕方のないことだろうな。

 

イチカ「まあいいさ、折角良い勝負になって来たところなんだしさ。最後まで全力で行かせてもらうぜ!」

 

セシリア「勿論ですわ!イチカさんがそのつもりなら、わたくしも次の攻撃に全てを賭けますわ!!」

 

そうでなくてはな!!

 

 

イチカ「行くぞ!!」

 

セシリア「望むところですわ!!」

 

互いに武器に力を籠めて距離を詰めていく。

 

イチカ「爆炎剣!!」

 

セシリア「ワルキューレの騎行(ヴァルキリーズ・ライド)!!」

 

≪ズドオォオオオオオオオオ!!≫

 

距離が充分縮まったところで渾身の一撃を叩き込んだ。

一体どうなったのか……

 

真耶『ブルー・ティアーズ!シールドエネルギーエンプティー!!

よって勝者は…ヴァレンス君です!!』

 

『わあぁああああああああああああ!!』

 

勝ったか、良かったぜ。久々に熱くなったよ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

セシリア「参りましたわ、流石はイチカさんですわ」

 

イチカ「そうとも言い切れないさ。何せ最後のセシリアの突撃で2割くらい削られたから、俺も正直危なかったよ」

 

セシリア「そうでしたか。

ですが、今回の試合はわたくしにとって学ぶべき教訓がありましたわ。それを認識させたのは他の誰でもないイチカさんですわ、これだけは感謝の思いで一杯です」

 

イチカ「そう言われるとなんか照れるなぁ///

けどここで長話するのも悪いし、ピットに戻ろうか」

 

セシリア「そうですね、ではまた後ほど」

 

イチカ「ああっ、また後でな」

 

そんなワケで、俺とセシリアはそれぞれのピットへと戻って行った。




ワルキューレの騎行(ヴァルキリーズ・ライド):
インターセプターを装備して、ブルー・ティアーズのビットを全てスラスター扱いにして出力最大で相手に突撃する。
技名はISを纏って空を飛ぶ女性の姿が、何処となくワルキューレに見えた為(個人的な思考)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さて次回は…箒とミルドレットとの勝負を主に書きたいと思います。


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20-クラス代表決定戦 Ⅱ

イチカ「おい作者、ここまで投稿遅れた理由説明しろよ」

ミール「納得のいく説明をしてもらいたいな」

仕事が忙しくて書く暇が無かった、それだけだ

イチカ「ざけんなこの野郎!謝罪くらいしろ!!」

ミール「そうだぞ貴様!イライラ待たされた私達の身にもならんか!!」

ってなワケで、行ってみよ〜〜!!

「「こらあぁああああああ!!!!」」



 セシリア「流石にといって悔しいですわ。幾ら何でも、IS初心者を相手に負けるのは」

 

 箒「それは分からなくもないな。それ以前に、セシリアの専用機は近接用の装備が無さ過ぎなのが、一番の敗因だと思うがな」

 

 セシリア「うぐ…自覚はしてましたが、それを言われては何も言い返ませんわ……」

 

 ピットに戻ったセシリアは先程のイチカとの勝負を思い出しつつ、悔いていた。

 今まで敗北を経験していないセシリアにとってすれば今回が初めての敗北であることに加え、自身の専用機の欠点が露呈するといった学ぶべき教訓が浮き彫りとなり、彼女の肩に将来に影響する大きな重荷がのし掛かっていた。それだけでなく、同じ代表候補生の箒にまで専用機の欠点を指摘されては反論出来る筈もない。

 

 

 箒「だがさっきの試合を見るからに、専用機の性能に関しては大差は無いと思うぞ」

 

 セシリア「えっ、それはどういう事ですの?」

 

 箒「冷静になってよく考えてみろ。確かに向こうの専用機は高性能だが、イチカ達自身は未だIS戦闘に関しては素人レベルだ。それだけならば、さっきの試合はセシリアが勝っていたかもしれない」

 

 セシリア「しかし、現にわたくしは……」

 

 箒「そう、試合に負けた。だが彼らは私達とは違い……」

 

 セシリア「わたくしとは違い……はっ!

 そうでしたわ!イチカさん達は騎士の身でありますから!!」

 

 箒「察しの通り実戦経験がある。その実戦経験と、高性能な専用機の二つが揃えば、如何にIS戦が素人でもプロ並みの戦いが出来る」

 

 セシリア「そうでしたわ。イチカさん達は実際に幾度も戦闘を経験していらっしゃいますから、それを応用すればわたくし達の様な代表候補生どころか、モンド・グロッソに出場出来る国家代表とも互角に渡り合える」

 

 箒「あくまで私個人の意見だが、さっきのイチカの戦いぶりを見るからに、それ以外に説明のしようがないだろう」

 

 だがイチカとセシリアの試合をピット内に設置されてる画面を通じて観戦していた箒は、彼女自身の視点でさっきの試合におけるセシリアの本当の敗因を述べ、セシリア自身もその意見に納得した。

 

 

 セシリア「となりますと、これからの試合も厳しいですわね」

 

 箒「全くだ。私でさえ、一勝出来るどころか、不様に負けるのを防ぐのだけでも精一杯だと思ってるからな。それに次の相手もなかなかの強敵だしな」

 

 セシリア「確か次の試合は、箒さんとミールさんですわね。イチカさんの妻で上司にあたるお方」

 

 箒「ああっ、次の試合も私達代表候補生が不利となるかもしれんな。だが、無謀だと分かっていても全力で挑んでこそ代表候補生の意地と誇りだ。間違っても不様に負けないよう注意せねばな」

 

 そう言いながら箒は自身の専用機を纏った。

 

 セシリア「そのISは箒さんの専用機ですの?」

 

 箒「その通り、紅椿さ」

 

 セシリア「最新鋭機とお聞きしておりましたが、生で見るのは初めてですわ」

 

 箒「無論だ、倉持の技術の推移を集めて組み上げたのがこいつ(紅椿)なのだ。外で顔を出すなら、打鉄辺りさ(言えない…本当は姉さん(束)から無理矢理押し付けられたなどと…だが皆倉持製だと信じてるから別に問題無いか……)」

 

この紅椿だが、表向きは日本初の第三世代機にして最新鋭機とされているが、実際は箒の実姉の束から『就職祝い』にとして送られ…いや、押し付けられた代物だった。しかし、そのような事実が世に知られては『妬む者が現れるのではないか?』と本人が思いあえて倉持製と偽っている。

 

 

箒「(とはいえ、今更そんなことばかり気にしては無駄に集中力が落ちるだけだ。)紅椿、出撃する」

 

だが世間の人々はその情報を真に受けてる為、今のところは問題の無いのが事実。

箒は不安を抱きつつも平然を装いながらピットから出た。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ミール「全くお前ときたら、相変わらず冷や冷やさせおって……

私の夫だとの自覚があるのか?」

 

イチカ「す…すみませんでした……」

 

ティア「そう怒らなくてもいいんじゃないかしら?

お仕置きなんて後でじっくり出来るものだし」

 

クロエ「それに次の試合までそんな時間がないから、早々に準備した方が良いと思いますね」

 

ミール「…それもそうだな、では私も行くか」

 

そう言ったミールは専用機の風騎士を纏ったけど、機械音痴のせいか俺とは違ってぎこちない様だった。

 

 

イチカ「不要だと思うけど、無茶はするなよ?」

 

ミール「ふっ、当然だろ?

とはいえ、お前の幼馴染だからそうともいえんだろうがな」

 

やれやれって言いたくなる程の返答だったけどあえてその感情は伏せておく。要らない事言って本人が悩んだりしたらどうしようもない。

 

 

ミール「では、行って来る!」

 

そう言ったミールは自分の専用機【風騎士】を纏って、勢いよくピットから出て行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ミール「待たせたか?」

 

箒「待ったとしてもほんの一,二分だから問題無い」

 

ミール「ならいいがな」

 

箒「信用されてないな」

 

ミール「恋のライバル同士なら当然だと思うが?」

 

箒「それを言われては何も言えんな……

とはいえ、驚いたな」

 

ミール「何がだ?」

 

箒「私をライバル扱いするところさ」

 

ミール「当たり前じゃないか。それ以前に、私の夫相手に純潔を捧げたのだろ?」

 

箒「まさか…それが目的で……」

 

ミール「そのまさかだ!神妙にお縄につけ!!」

 

箒「ちょっと待って!タンマタンマ!!」

 

ミール「問答無用だ覚悟しろ!!」

 

箒「ひいぃいいいいいい!!(死亡フラグ確定なのか!?)」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それから数分……

 

ミール「ガスティーネイル!!」

 

≪ドガアァアア!≫

 

箒「うわっ!?」

 

 

箒「くそっ!

双覇連散!!」

 

ミール「無駄だ!

エアスラスト!!」

 

≪ガガガガ!≫

 

戦いの主導権を得たミールが風の攻撃で箒を追い詰める状況となり、箒は有効な攻撃を与える事が出来ずに劣勢に立たされていた。

 

箒「くっ!(強い!今まで合間見えた相手の中で一番強いぞ、それにあの技が邪魔で有効打を与えられない。流石はイチカのパートナーと言うべきだが、このまま一方的にやられては面白くはない。この状況を打開する方法は…あれしかあるまい!)」

 

 

ミール「防戦一方だな、それなら一気に決めさせてもらうぞ」

 

箒「そうはいかんぞ、私だってまだ死にたくはないのでな。さっきは効かなかったみたいだが、今度はどうかな?!」

 

ミール「何!?」

 

 

箒「瞬撃必倒!

絶命の太刀…儚く散りさかん……

九の型!絶刑!!」

 

≪ズガアァアアアア!!≫

 

ミール「うはあぁああああああ!?(こ…これは!?さっきとは全く違う凄まじい威力!これが箒の切り札なのか!?)」

 

戦いの主導権を獲得し勝利を確信したミールだったが、箒が双剣の代わりに顕現させた2メートル半ある刀より放たれる9連撃をモロにくらってしまう。

 

ーーーーーーーーーー

 

ミール「くっ!(シールドエネルギーの残量が1割りだと!?威力があり過ぎだろ今の技!!)」

 

箒「どうだ、私の切り札の味は?」

 

ミール「認めざるを得ないだろうな。

それにしても今のはなんだ?お前の剣は、篠ノ之流とやらの派生なのか?」

 

箒「全くもって違う。私が使うのは乱月流、どちらかといえば我流で、しかも本来は短剣二本の技だ。大太刀のもあるが、さっきの通り威力があり過ぎるがゆえに滅多に使わん」

 

ミール「我流か。剣技が滅茶苦茶だから妙だと思ったが、やはりか。

どうやらお前とは、本気にならんと勝てんようだな。なら次の一撃に、私の全てを賭けるまで!」

 

箒「上等だ!その勝負、受けて立つ!!」

 

先程の箒の攻撃の凄まじさに驚きながらも冷静を保つミール。しかしシールドエネルギーを9割も失うとは本人にとっては予期せぬ事態だったようで、本気モードに入ったミールに対し、箒も大太刀で身構える。

 

ーーーーーーーーーー

 

「「はあぁああああああ!!!!」」

 

ミール「龍爪旋空破!!」

 

箒「飛燕猛襲牙!!」

 

スラスターをふかして全速力で互いの距離が縮まった直後に攻撃を潰し合いそして……

 

 

ミール「ふん!そう楽に行かせると思うな!

吹き荒れろ狂乱の嵐!

シュタイフェ・ブリーゼ!!」

 

箒「お前が避ける必要は無い……

何故なら…何処にいても同じだからだ!

嵐月流・荒鷲!!」

 

≪ドカアァアアアアアア!!≫

 

ミールの突風攻撃と、箒の空と大地を引き裂く程の斬撃が激しくぶつかり合い大爆発が起きた。

さて勝負の行方は……

 

 

 

真耶『風騎士と紅椿!同時にシールドエネルギーエンプティー!!

よってこの勝負!引き分け!!』

 

『わあぁああああああああああ!!』

 

両方のシールドエネルギーが同時に無くなったが為に、引き分けで終わった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ミール「痛み分けか。まっ、それも良かろう」

 

箒「ホッ……」

 

ミール「寿命が僅かに延びただけだからな」

 

箒「なっ!?」

 

ミール「っと言うのは冗談だ」

 

箒「どこが冗談だ!全然冗談に聞こえんぞ!

っていうか心臓に悪くて気が気じゃないわ!!」

 

ミール「ははっ、悪かった。

だがこれで、リベンジする理由が出来たな」

 

女d…いや乙女同士の絶対に負けられない戦い(?)は引き分けで終わったが、2人は再戦を望みつつそれぞれのピットへと戻った。




次回はクロエとティア、及びイチカと箒の試合の予定。久々にアイツが御登場


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