東方Project ~異形の玄武が幻想入り~ (フジパンホンジコミ)
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序章
Prolog


俺の周りには真っ白な空間が広がっていた。

 

何もない、何も感じないそのことが俺に恐怖を植えつけてくる。

 

俺は怖くなり走りだした。

 

しかし走っても走っても端のほうが見えてこない。

 

「ここは一体どこなんだよ!?」

 

「ここは時と空間の狭間じゃよ。」

 

声がしたので俺は振り返る。

 

そこには、白い髪に白いヒゲ、極めつけに白い服だ。

 

「あんた、何者だ。」

 

「儂か、儂は所謂、神と呼ばれているものじゃ。」

 

「・・・あんた頭おかしいんじゃないの、病院行って見てもらったら。」

 

「お前さん何げに非道いこと言うのう。」

 

「俺の家の家訓が『思ったことは素直にいうこと』だからな。」

 

「成程、お前さんかなり純粋な魂をしているわけじゃ。」

 

「純粋な魂?」

 

「おお、お前さんはかなりの善行をしていたのであろう。」

 

目の前の爺さんが言ったことには覚えがある。

 

「確かに学校の掃除を校長先生と一緒にしたり、地域のごみ捨てをやってたくらいかな。」

 

「そのぐらいしていれば大したもんじゃ。」

 

「でもやってたのは小学5年から高校3年までですよ。」

 

「諺にあるじゃろう『塵も積もれば山となる』と」

 

「ふーん、っでその自称神様は俺に何の御用なんですか。」

 

「儂は本物じゃて、まあそれは後にしてお前さん自分の状態がどうなってるのかわかっとるか。」

 

「全然。」

 

あえて俺は胸を張りながら言ってみた。

 

「はぁーお前さんわな、死んだんじゃよ。」

 

言っていることがわからない。

 

「爺さん、冗談はよしてくれ。俺がいつ死んだって。」

 

「今日じゃ、今日の会社の帰り道に車に惹かれそうになった子供を助けて。」

 

「あ」

 

俺はそのときの記憶を思い出してしまった。

 

「あ、ああああああああああああああああ」

 

死んだ。

 

俺は死んだんだ。

 

じゃあここに居る俺は一体なんなんだ。

 

「落ち着かんか!?」

 

目の前の爺さんからすごい威圧感を感じた。

 

「お前さんが死んだのには理由がある。」

 

「その理由って。」

 

「最近、神々が退屈しのぎの遊びと称して、理由をつけて勝手に殺し、別世界に転生させるといったことをやっとたんじゃ。」

 

そのことを聞いて俺は腸が煮えくり返るほどの怒った。

 

「なんだよそれ!?じゃあ何か俺達は神様の遊び道具だってことかよ!?」

 

俺は目の前の爺さんに怒りをぶつけることしかできなかった。

 

「本当にすまん。」

 

爺さんが土下座をして誤ってきた。

 

「許されることではないことわわかっておる、じゃが儂にはこうしてお前さんに謝ることしかできない。」

 

俺はその爺さんの姿を見て、自分の身内が仕出かした事が本当に許せないんだと。

 

「頭上げてくれよ爺さん。」

 

爺さんは頭を上げて俺の顔を見た。

 

「確かに許せることじゃないけど、爺さんはそんな俺に誤りに来てくれた。おそらく他の人達にもそうしてきたんだろ。」

 

「ああ、儂にはこれしかできんからな。」

 

「俺はそんな爺さんを信用してもいいって感じちまったんだよ。」

 

「こんな儂を信用してくれるのか。」

 

俺は笑みを浮かべて爺さんに応えた。

 

「当たり前だ。」

 

そしたら爺さんがその場でお礼を言ってきた。

 

「ありがとう・・・」と

 

俺はこの後どうすればいいのか爺さんに訪ねた。

 

「なあ俺ってこのあとどうすりゃいいの?」

 

「そうさなお前さんをここに居ることを他の者に知られるわけには行かん。よってお前さんにも転生してもらう。」

 

「転生ってことは俺がどこの世界に行けるのか決められるわけ。」

 

「ああ、そして3つだけお前さんの願いを叶えよう。」

 

「マジ!?」

 

願いって言ってもなどうしよー

 

うん?そうだアレにしてもらおう。

 

「決まったよ。」

 

「ほうずいぶん早いのう。で行く世界と3つの願いはなんじゃ」

 

「まず行く世界は東方Projeの世界で、一つ目の願いで俺をガメラにしてくれ。」

 

「東方の世界かあそこは危険が多いところだぞ。それでもいいんじゃな。」

 

「ああ、東方地霊殿以外は知らないけど、何とかしてみせるさ。」

 

「そうか。・・・それにしてもガメラとはお前さんも物好きなやつじゃよな。」

 

「いいだろ別に好きなんだから。」

 

「してどっちのガメラじゃ。」

 

どっちって・・・ああそういうことか。

 

「平成三部作の方のガメラで。」

 

「相分かった。」

 

「二つ目は能力を『熱を操る程度の能力』にして欲しい。三つ目は原作開始よりも前にしてくれ。」

 

「それでいいんじゃな。」

 

「ああ。」

 

「ではお前さんを東方の世界に送るぞ。」

 

俺の足元が光り始めた。

 

「爺さんありがとな。」

 

「例を言わなければならんのは儂の方じゃ。」

 

「じゃあ行ってきます。」

 

「そういやお前さんの名前を聞いてなかった。」

 

「俺の名前、俺の名は亀山 玄武だ。」

 

そして俺は爺さんの前から消えた。

 

「玄武よ、お前さんの幸せを儂はここで願っておるぞ。」




こんにちはフジパンホンジコミです。
この度私が作成した小説を読んでくれてありがとう。
時折グダグダな内容になるかもしれませんが応援よろしくお願いします。


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1億5千万年前

 

目を開けると白い空間はなく青空が広がっていた。

 

どうやら着いたようだな。

 

ん?おおーこの腕は正しくガメラのものだ!!しかもガメラ3のガメラの形態だ。

 

「グオオオオオー(さてまずは体を鳴らしってっと。)」

 

うん?

 

「ガアアアアアー!?(しゃべれてねーし!?)」

 

お、落ち着けまずはどこかに移動しよう、うんそうしよう。

 

ん、なんかあそこミョーな物があるなあ、行ってみるか。

 

俺はノッシノッシと歩いてやってきたらそこは都市だった。

 

「グウウウウウウウ(これってまさかアトランティスなのか、スッゲーやっぱ実在してたんだ。)」

 

俺はどこかに入口がないか探した。

 

そして入口を見つけたのはいいが俺自身が大きすぎて入れない。

 

「ゴアアアアアアア(どうすりゃいいわけ!?)」

 

そしたらいきなり俺の体が光り始めた。

 

気づいたら人の姿をしていた。

 

あー良かったさあアトランティスにレッツゴー。

 

 

 

アトランティス内部

 

 

「へー廃れたにしちゃ機能してんだな。」

 

俺はそこらじゅう歩き回ってみた。

 

「っていうか今いつの時代なんだ、東方の原作前がどれ来かわからんがガメラの場合だったら相当昔のはず。」

 

俺は傍にあったモニターの電源を入れた。

 

ブーン

 

「おっほーすげーな現代の最新科学なんて目じゃないシロモンだぞこれ。」

 

さて何から検索しようかな・・・そういや俺これの使い方がわからん。

 

「しまったーこれどう動かすんだよ、しかもなんだよこの文字はわけわからんぞ。」

 

しかしこの文字を見ていたらふと頭に言葉が浮かんだ。

 

「モニターを見るときは離れてみてねって現代で使われてるのと同じじゃーん。」

 

待てよ言葉がわかるってことだから、この文字がこれでこれがアレだから・・・うんなんとかなるな。

 

グウウウゥゥゥ

 

「そういや腹減った。何か食物ってあるのか」

 

やっばーい、これじゃー原作始まる前に俺死んじゃう。

 

 

ゴト

 

 

「誰かいるのか。」

 

俺は物音のした方に歩いていった。

 

そしたらいきなり

 

「キュアアアーーーーー!」

 

あいつが現れた。

 

 

ガメラの天敵・・・ギャオスが

 

 

「うおっ!そうだアトランティスがこうなったのはこいつらのせいだったな!?」

 

アトランティスが滅びたのはギャオスが原因だったのを思い出す。

 

「いきなり実践で試すしかないってことかよ!?」

 

一言言えば俺は一般人だったんだ。

 

今起きていることが怖くて仕方なかったがこれを選んだのは俺なんだ迷っている暇はない

 

俺はギャオスの前に飛び出した。

 

「ええーいこうなりゃやけくそだー! くらえプラズマ火球ー!!」

 

 

シーン

 

 

あ、まだ能力の扱い方知らねーまんまだ。

 

「キュアーーーーーーー!」

 

ギャオスがまっすぐこっちに飛んできた。

 

「く、くるなぁー!!」

 

俺は無意識に右手を前に出した瞬間、頭に能力の使用法が浮かび上がった。

 

「間にあえー!?」

 

右手の前に自分の顔よりも大きい火の玉ができた。

 

俺は無我夢中でそれを発射した。

 

ドゴーーーーーーン

 

「キュアアアアアアアア!!!」

 

ギャオスは俺の放ったプラズマ火球で粉々に吹き飛んだ。

 

「た、助かったー。」

 

俺はその場で腰を抜かしてしまった。

 

開始早々ひどい目にあったが、おかげで能力の使い方がわかった。

 

 

グウウウウウ

 

 

「そういや飯探してたんだっけ。」

 

そのあと俺は食い物がないか散策したところ地下の部屋を見つけ降りていくとそこで果物や野菜が栽培されさらには牛などの動物が飼育されていた。

 

どうやらこういった施設の電力は生きていたらしく自動で栽培や飼育を行っていたらしい。

 

「よかったーこれでなんとかなるな。あとは訓練施設かないかな。」

 

そう思い近くにあったパネルで検索したところ少し離れたところに訓練施設があるのを確認した。

 

あれ俺ってこんなに早くパネルをタッチできたっけ。

 

まぁいーか。

 

さーて何を食べようかな。

 

この時俺は初めて動物を殺して調理した。(ちなみにギャオスは対象外としている。)

 

心の中で『ごめん』と謝り、感謝の意を込めて泣きながら食べた。

 

 

 

そして1億年の月日が流れた。

 

 

 

俺はこの1億年間で様々なことができるようになった。

 

今では能力は完璧に扱えるし、体術の方もいい感じに仕上がった。

 

まだマナの扱いに離れてはいないがこれから徐々に慣れていこうと思っている。

 

あとはガメラの姿と人の姿に切り替えができるようになったしガメラ自体の大きさも変えることができるようになった。

 

大変だったのはガメラの技だ。

 

プラズマ火球を繰り出す工程がわかっていないとできないのが難点だったが、今ではある1つの技を除いて技を繰り出すことができる。

 

一番嬉しかったのがアトランティスで使われていた金属オリハルコンの精製に成功したことだ。

 

もうこれが出来上がったときは、思わず泣いちゃったね。

 

もちろん修行してただけじゃなくギャオスの駆逐もしていた。

 

おかげで俺の住んでいるこの地域のギャオスはあらかた駆除した。

 

その時にガメラの姿っで戦っていたため気づかなかったがほかの人にその様子を見られていたらしく、その強さから守護神とも言われ始めた。

 

あと原作どうりに地上にいた一部の人たちは月に移住していったんだよな。

 

俺にはわからんね自分の生まれた星を離れて別の場所に行くなんて。

 

はっきり言って俺は嫌いだなそういうの。

 

あ、あと残念なこともあった。

 

俺の住んでいるアトランティスが徐々に水没していっているのがわかったんだ。

 

もともと大きな島のようなものだったからな、時折ある地震のせいで海底部分が崩れてしまってこのような状況になったわけだ。

 

俺はここから離れるつもりはないので、急いでアトランティスの重要施設のとこだけ補強を施した。

 

そしてアトランティスは海の底に沈んだ。

 

その年号は人の生まれる1万2千年前だった。

 

俺は原作開始までやることがないから眠りにつくことにした。

 

しかし俺はギャオスはすべて駆逐したと思っていたが俺の知らないところでギャオスたちは耐久卵を産んでいた事に気づくことができなかった。

 

さらに言えば超古代文明の人たちの生き残りが残した物によって俺のことは語り継がれるとはこの時思いもしなかった。



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1章 紅魔郷編
幻想入り


ピロピロピロピロ

 

ゴソゴソ

 

 

「うーん、あと500年は寝かせて。」

 

 

今眠っていた人物は目覚ましを消し再び寝ようとしていた。

 

ウィーンガシャガチャン

 

ガンガンガンガン

 

もうひとつの目覚ましが起動したのだがそれでも起きる気配がない。

 

ウィーン ウィーン

 

ガシャーン ガシャーン

 

 

「うるせー静かに寝かせろ!?」

 

 

起き上がりと同時にプラズマ火球をぶちかました。

 

 

「ふーこれでやっと眠れる。」

 

 

そう言ってその人物は再び布団に潜り込んだ。

 

 

「ってそーだった。原作開始の一週間前にセットしてたのすっかり忘れてた。」

 

 

いやー危ないとこだったもう少しで寝坊するとこだった。

 

さてとまずわ幻想郷の場所を特定しないとなぁ。ずぇったい見つけたるぞー。

 

そして俺は2時間の探索でついに幻想郷を発見することができた。

 

 

「み、見つけたー、ううー長かった1億5千万年は長かった。」

 

 

今までの苦労が目に浮かんでくる。

 

 

「おっとぐずぐずしてらんないな、早く幻想郷に行く準備をしないと。」

 

 

俺はルンルン気分で準備を始めた。

 

 

「よーし準備は万端、ふふふ今日この日のために作っておいたこの転送装置を幻想郷の方にもセットすれば自由に行き来できる。」

 

 

さあいくぞー

 

 

「スイッチーオン」

 

 

あれ

 

 

「スイッチオン」

 

 

なぜだ・・・なぜ転移しないんだー

 

あ、座標入れるの忘れてた。

 

ピポパポピ

 

 

「これで良し、さあ気を取り直してスイッチオン」

 

 

ブオーーーーン

 

キィィィィン

 

 

「いざ幻想郷に転移。」

 

ピシューン

 

 

幻想郷某所

 

 

ピシューン

 

 

 

「到着っと、さーてここはどこかな。」

 

 

俺は辺りを見渡したら、そこは岩だらけの世界。

 

 

「ここってもしかして地底なのか。」

 

 

なんだか俺にとっては住みやすい世界だな。

 

俺は適当な洞窟を作りその中に転送装置をおいた。

 

 

「この辺りをもう少し探索してみるか。」

 

 

俺が周りを見渡しながら歩いているといきなり地震が起き始めた。

 

 

「うおっと!!!こりゃおおきいな今は動かないほうがいいな。」

 

 

数分して地震が止んだ。

 

 

「今の地震かなりのものだったな。どっか崩れたんじゃないのか。」

 

 

そう思いながら探索を続けた。

 

案の定、崩れている箇所を見つけた。しかもかなりの規模で。

 

 

「こりゃ迂回しないとダメだな。」

 

 

俺は迂回しようと歩き始めたとき、何かが聞こえた。

 

俺は聞こえてくる何かを聞き捉えようと意識を耳に集中した。

 

 

「だ・・・れ・・・かた・・・す・・・け・・・て」

 

「!?」

 

 

聞こえてきたのはかすかな声しかもこの落石の場所から。

 

 

「待ってろ!?今助けるから頑張ってくれ!?」

 

 

俺は慎重に岩を崩さないように上の方から退かし始めた。

 

俺から何分たったかわからないがかなりの岩をどけることができた。

 

そして俺は呼びかけて相手がどこにいるのか探していた。

 

 

「どこだー!?いたら返事をしてくれー!?」

 

 

俺は必死になって辺りを見回していたら、一箇所だけ岩がカタカタと動いている箇所があった。

 

 

「そこか!?」

 

 

俺はそこまで駆けつけ岩をどけていった。

 

俺は心の中で間に合え間に合ってくれと叫びながら岩をどけていった。

 

そして大きな岩を退け切ったところにひとりの少女が埋まっていた。

 

俺はその少女を瓦礫の中から引っ張り出した。

 

 

「大丈夫か!?返事をしろ!?」

 

 

俺は彼女の体を見渡した。

 

所々に出血のひどい場所がある。このままじゃ助からないと思った。

 

そしたらその少女が俺の袖をつかみこう言った。

 

死にたくないと。

 

俺はその言葉を聞きすぐ行動に移した。

 

 

「死なせない、死なせてたまるものか!?」

 

 

そう言って俺は彼女を抱き上げて転送装置のところまで走っていった。

 

だが俺は気づいていなかった彼女が誰だったのか。

 

 

 

――――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

私はその時買い物を終え帰りの最中だった。

 

その時大きな地震が起きて私はバランスを崩してしまい倒れてしまった。

 

そしたら岩盤が崩れてきて私は生き埋めの状態になってしまった。

 

息苦しく体中痛くてどうすることもできないと実感したときは、もうだめだと思った。

 

そしたら

 

 

「こりゃ迂回しないとダメだな。」

 

 

と声が聞こえてきたので必死に叫び続けたが傷の痛みのせいでうまくしゃべることができなかった。

 

それでも私は声を振り絞って

 

 

「だ・・・れ・・・かた・・・す・・・け・・・て」

 

 

といった。

 

そしたら私の声に気づいてくれて。

 

岩を退かして行ってくれた。

 

でも岩を退かしただけでは私の位置まではわからないらしい。

 

私は唯一動かすことのできる左手で場所を知らせた。

 

そして私を引っ張り出してくれた。

 

引っ張り出してくれたのは男性だった。

 

しかし私の傷はどれもが致命傷だったので助からないと自分でも思った。

 

でも私は嫌だった。

 

怖かった。

 

だから彼の袖をつかんでこう言った。

 

 

「死にたくないと。」

 

 

彼は私が言ったことに驚いたあと、私を抱えて走りだした。

 

絶対に死なせないと死なせてたまるものかと彼の心が叫んでいたのをかすかに読み取った。

 

そしてそのあとのことは私の記憶にはなかった。

 

 

 

ピッピッピッピッ

 

 

 

「う、うーん、ここは・・・どこですか。」

 

 

私が目を開けると白い天井が見えた。

 

私は起き上がろうとしたが体中が痛くてダメだった。

 

 

「起きたのか・・・だが無理しない方がいい。」

 

 

私の近くの椅子に男の人が座っていた。

 

この人なのでしょうか私を助けてくれたのは。

 

 

「あの、ありがとうございます、助けていただいて。」

 

「それにしても良かったよ、間に合って。」

 

「私・・・生きてるんですよね。」

 

「ああ」

 

 

私は自分が涙を流しているのに気づいた。

 

そしたら彼が私に近づいてきて、私を抱き起こし抱きしめてくれた。

 

 

「我慢することはない。ここには俺しかいないから。」

 

「!?」

 

 

もう私は限界だった。

 

 

「ヒック、う、うわああああああああああん。」

 

 

涙腺が決壊したように次から次えと涙が出てくる。

 

 

「すごく・・・ぐす・・・怖かったです・・・ヒック・・・苦しくてもうダメなんじゃないかって」

 

 

彼何も言わなかったが私のことを抱きしめてくれていた。

 

それから数分泣き続けてようやく落ち着くことができました。

 

 

「すみません、お洋服、涙で汚してしまって。」

 

「ああ、気にしなくていい。」

 

 

ふふ優しい方なんですね、そういえば

 

 

「あの、お名前を聞いてもよろしいですか。」

 

「俺か?俺は亀山 玄武、お嬢さんのお名前は。」

 

 

そ、そんなお嬢さんだなんて言われたの初めてです。

 

 

私は頬を赤くして応えた。

 

 

「私は古明地さとりと申します。」

 

「うん、笑顔が可愛いいな。」

 

「!?///」

 

 

私は彼に見られないように顔を背けた。

 

 

「?」

 

 

こ、この人は思ったことをズバズバ言いますね。

 

か、顔を直視できません。

 

しかもなんですか心の中でも同じように思っているなんて。

 

まるで表裏のない人です。

 

 

「あ、あの聞いてもいいですか。」

 

「何だい。」

 

「どうしてあそこにいたんですか。」

 

「ああ、あそこらへんを探索していたらたまたまあそこに出たんだよ。」

 

 

私は能力を駆使して彼の心を読んだが今言った言葉と一字一句間違うことなく思っていた。

 

 

「そうなんですか。」

 

「俺も聞くけど君の場合は?」

 

「私は買い物の帰りだったんです。」

 

「成程ね。」

 

 

どうやら納得してくれてるみたいですね。

 

 

「もうひとつ聞いていいかい。」

 

「何ですか?」

 

「君、人間じゃないだろ。」

 

「!?・・・ど、どうしてそう思うのですか。」

 

「どうしてって言われても君の左胸に浮かんでいるの見れば誰だってそう思うんじゃないかな。」

 

 

この人だったら大丈夫じゃないかなって思ったのですがやはりこの人もほかの人と同じだと思ってしまった。

 

 

「どうした、どこか具合が悪いのか?」

 

「いいえ、そうじゃありません。」

 

 

信じたい。この人の真っすぐな心を信じてみたいと。

 

私は決心して自分のことを話した。

 

さとり妖怪であること。

 

心を読む力があること。

 

地底で嫌われていること。

 

 

「以上が私のことです。」

 

「なるほどねぇ。」

 

 

彼は腕を組んで頷いていた。

 

 

「気味悪いですよね。」

 

「いや全然。」

 

 

なんでこの人は怖がらないの!普通だったら避けたがるはずなのに!

 

 

「心を読む妖怪なんですよ!?」

 

 

私は疑問に思っていた言葉を吐き出す。

 

 

「俺はそんな細かいことは気にしない。」

 

「じゃあなんでそんな私と接しようとするんですか!」

 

「ほおっておくことができないって思ったからだよ。君を嫌いになる理由なんてないしな。それに俺にも似たような力があるし。」

 

 

彼が言ったことに私は驚いた。

 

 

「テレパティアっていうのがあってね相手と心の会話ができるようになる力があるんだよ。」

 

「心の会話ですか。」

 

「そう。相手の心を見たり自分の心を見せたりすることができる。」

 

 

相手の心だけでなく、自分の心さえ見せる力があるなんて。

 

 

「でもどうしてそんな力が。」

 

「俺も人間じゃないし妖怪でもないからそこは何とも言えないな。もともとあった力だし。」

 

「・・・人間じゃないってどういうことですか。」

 

 

彼が黙り込んでしまった。

 

彼の心を見たら話したらいいのか話さないほおがいいか迷っていた。

 

 

「あの、別にはなさなくってもいいのですよ。」

 

「そうはいかん君だけ話して俺のことは話さないのはフェアじゃない。」

 

「亀山さん。」

 

 

彼の心にはもう迷いがなかった。

 

 

「俺はね1億5千万年前に存在した超古代文明アトランティスの科学者たちに作られた生物兵器なんだよ。」

 

「生・・・物・兵・・・・・器」

 

 

私は驚愕するしかなかった。彼が人間たちの手で作られた存在であることに。

 

 

「この施設もアトランティスの技術で作らたんだ。というよりかはここはアトランティスの内部なんだけどね。」

 

「え、ここがあのアトランティスなんですか。」

 

「アトランティスを知ってるの?」

 

「ええ、私は読書が好きでいろいろな本を読んだりするんですよ。その中にアトランティスのことについて書かれた本を読んだことがありました。」

 

「そんなのがあるんだ。」

 

「ええ、その本に大昔の壁画が描かれていたのを覚えています。」

 

「壁画に描かれているのはどんなの?」

 

「大きな鳥と二足歩行の亀のようなものが描かれていました。」

 

・・・・

 

・・

 

彼の思考が止まってしまいましたね。

 

心の中も真っ白です。

 

 

「・・か・・・の・・れ・・・・だよ。」

 

「・・・あのもう一回言ってくださいますか。」

 

「いや・・・だからね・・・その壁画に描かれてる亀ってのはおそらく・・・俺のことだよ。」

 

 

あれが?

 

あの亀のようなものが彼だというんですか。

 

とてもじゃありませんが信じられませんでしたが彼が説明してくれた。

 

曰く、亀のような姿の方が本来の姿なのだと。そして古代の人々からは神と呼ばれていたらしい。

 

人型は仮初の姿であると。

 

ため息を吐きたくなりますね。

 

もしかしたらかなりすごい人に助けられたのではないかと私は思った。

 



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守護神と覚妖怪

 

 

「ほら、あーん。」

 

「じ、自分で食べれます。」

 

「左手しか使えないのに我が儘言わない。けが人なんだから素直に言うことを聞け。」

 

 

なぜこのようになったか。

 

 

 

一時間前

 

 

 

二人が自分たちのことを話したあとさとりはあることに気づいた。

 

 

「そういえば、私の治療をしたのって、亀「玄武でいいよ。」、げ、玄武さんなんですか。」

 

「ここにはおれしかいないからな。」

 

 

玄武がそう答えるとさとりは次第に顔を赤くしていきこう言った。

 

 

「じゃあ、わ、私の裸をみ、見たってことですよね。」

 

 

‥‥‥

 

・・・・

 

・・

 

 

 

カァーーーー

 

 

 

玄武は顔を真っ赤にし、近くにあった壁に頭をぶつけだした。

 

 

「ヌオーッ!?(ガン)なんということをー(ドガン)女性の(バコン)裸を(バキ)見てしまったなんて(メキョ)。」

 

 

しかし玄武は視福だったなと思っていた。

 

 

それを読み取ったさとりは頬を染めながらジト目で玄武の心に突き刺さるようなことを言い放った。

 

 

「エッチ」

 

「ぐふっ」

 

「スケベ」

 

「ガハッ」

 

「変態」

 

「・・・」

 

 

 

バタン

 

 

 

玄武は心臓を抑えながら地面に倒れた。

 

玄武がビクンビクンと動いているその様子をさとりは面白そうに見ていた。

 

 

「ふふふ、冗談ですよ。」

 

「へ?」

 

「助けてもらった恩人なんですよ。先程のはなぜか言わなければいけなかったように感じたから言ったまでです。」

 

「そ、そうなのかー。」

 

 

その時、服のことで玄武は思い出した。

 

 

「ちょっと待ってろ。」

 

 

玄武はこの病室から走って出て行った。

 

 

「ほんと不思議な方ですね。彼といると自分が抱えていた悩みを吹き飛ばしてくれそうに感じてしまいます。」

 

 

さとりは、自分が頬を赤く染めいた事に気づいた。

 

 

「な、なぜ彼のことを考えてるんですか私は、まだ出会ったばかりだというのに。それにこの気持ちは何なんでしょう。」

 

 

さとりは彼のことを忘れようと頭を左右に振った。

 

しかし彼のことが頭から離れなかった。

 

さとりは彼が戻ってくるまで悩み続けた。

 

 

 

 

――――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

「お待たせ、食事と服を持ってきたよ。」

 

 

彼はお盆を台に乗せ、折り畳んだ私の服を渡してきた。

 

私の服は血みどろでボロボロだったのに数時間でこんなに綺麗になるものなのですか。

 

 

「さとりの着ていた服はボロボロすぎて処分したよ。」

 

「じゃあこの服は?」

 

「さとりの服をスキャンして、アトランティスの技術で復元して作った服さ。」

 

「確かに服の形状は似ていますが手触りというか材質自体が異なりますね。どんな材質で出来ているんですか。」

 

「ふふーん、俺の服と同じでオリハルコンを糸状にしてから編んで作ってあるんだよ。」

 

 

私は空いた口が塞がらなかった。

 

 

「伝説上の金属を服の材料に使いますか普通。」

 

「何より頑丈だから破れる心配もないしいいじゃないか。」

 

 

私はため息を吐き、彼には己の常識は全く通用しないと実感してしまった。

 

 

 

クゥゥゥゥ

 

 

 

 

病室にそんな音がかすかに聞こえた。

 

私は穴があったら入りたい気持ちでいっぱいだった。

 

まさかこんな状況でお腹がなるとは思ってもみなかった。

 

 

「はははー確かにこんな時間だからお腹もすくよな。」

 

 

そして彼は立ち上がり先程台に乗せたお盆を私のもとに持ってきた。

 

 

「温かいうちに食べるといいよ。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

 

私は頬が暑くなるのを感じた。

 

私はお盆に乗ったご飯を食べようとしたが利き手ではないので食べづらかった。

 

それを見かねた彼が私から箸を取り茶碗を手に持ってご飯をすくって私の口の前に持ってきた。

 

 

「ほら、あーん。」

 

「じ、自分で食べれます。」

 

「左手しか使えないのに我が儘言わない。それにけが人なんだから素直に言うことを聞け。(因みにこれはさっきのお返しだけどな)」

 

「さっきのお返しってなんですか!ううっ、わ、わかりました、あ、あーん。」

 

 

私は恥ずかしい気持ちでいっぱいになりながら彼にご飯を食べさせてもらった。

 

 

「包帯は明日の朝取り替えるから。」

 

「いろいろとありがとうございます。」

 

「いいって、それじゃあお休み。」

 

「はいおやすみなさい。」

 

 

彼はお盆を持って部屋から退室した。

 

私はベットに寝転がりあることを考えていた。

 

 

「そういえばこいしたちは大丈夫でしょうか。」

 

 

そう私が心配しているのはもう一つ地霊殿にいる妹のこいしやペットのお燐やお空のことだ。

 

おそらく私を探しているのではないかと考えている。

 

 

「明日・・・彼に‥‥‥はな・・さ・・・・なきゃ。」

 

 

私は相当疲れていたらしくそのまま眠ってしまった。

 

しかし地底の方で大きな事件になっているとは思いもよらなかった。

 

 

 

地底の方では

 

 

 

「お空、そっちはどう。」

 

「うにゅうダメ全然見つからない。」

 

「さとり様どこにいちゃったの。」

 

 

猫耳と二又のしっぽが生えた赤毛の少女の名は火焔猫 燐、火車の妖怪である。

 

その隣にいる鳥の羽を生やした黒髪の少女の名は霊烏路 空、地獄ガラスの妖怪。

 

二匹ともさとりのペットである。

 

主であるさとりがなかなか帰ってこないので探しているのだ。

 

そこに―――

 

 

「お燐にお空こんなとこで何してるの?」

 

 

二人は後ろを振り返った。

 

そこには、帽子を被り、さとりと同じようなサードアイを持った少女がいた。

 

 

「「こいし様!?」」

 

 

そうさとりの妹であるこいしがいた。

 

 

「あたしらもいるんだけどね。」

 

 

その後ろには四人の人影が見えた。

 

額に一本の星のマークが入った角、体操服の様な服にスカートを履いた女性。

 

黒い上着にこげ茶色のジャンパースカートを着ているおだんごにもポニーテールにも見える髪型をした少女。

 

桶に入ったツインテールの少女。

 

ペルシアンドレスに似た服を着た少女。

 

 

「勇儀さん、ヤマメ、キスメ、パルスィどうしてここに。」

 

「どうしてって昨日宴会していてね。で今はその帰り。」

 

「そしたらあたふたしてるアンタラを見つけたってわけ。」

 

「(コクコク)」

 

 

ヤマメとパルスィが自分たちの経緯を話した。

 

 

「でどうして二人がこんなところにいるの?確か今は仕事のはずだけど」

 

 

こいしが二人に聞いてきた。

 

 

「実は‥‥‥」

 

 

お燐は、こいし達に事情を説明した。

 

 

「はぁ!?さとりの奴が行方不明。」

 

「はい、さとり様昨日の買い物から帰ってきてないんです。」

 

「でも、昨日の昼過ぎに旧都で買い物してるのを私とキスメが見かけたけど。」

 

 

勇儀は顎に手を当て考えていた。

 

 

「(買い物をしていたのはヤマメとキスメが見たってことだからおそらくは)買い物の帰り道で何かあったか。」

 

 

その時犬の鳴き声が聞こえてきた。

 

 

 

ワンワン ワンワン

 

 

 

お燐はそのの声を聞き振り返った。

 

 

「なにか向こうで見つけたみたい!」

 

 

お燐は走り出した。

 

 

「あ!?お燐待ってよー。」

 

 

お空もそのあとに続いて走り出した。

 

 

「あたしらも行くよ。」

 

 

全員頷き二人のあとを追いかけた。

 

 

「・・・お姉ちゃん。」

 

 

こいしはとても不安でしょうがなかった。

 

しかしのその不安が現実のものになるとは思いもしなかった。

 

お燐たちに追いつき、全員で見たのは地霊殿までの通り道に岩盤が崩れた箇所があった。

 

 

「ここって昨日の地震で崩れたとこじゃない?」

 

 

ヤマメがなぜ案内された場所がここなのか不思議に思った。

 

その岩盤の間から一匹の犬が何かを加えてこちらに来た。

 

 

「さとり様はどうしたの?それに咥えてるのは何?」

 

 

 

クゥーン

 

 

 

お燐は手を出して犬が咥えている物を受け取った。

 

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

 

全員には見覚えのある色だった。

 

血の色でくすんでいたが分かってしまった。

 

これがさとりの服の一部だと。

 

 

「「さとり様!?」

 

「お姉ちゃん!?」

 

 

三人はいてもたってもいられず崩れた岩盤のところに行った。

 

ほかの四人も頷いて岩盤のところに行った。

 

四人が岩盤のところに来てみると座り込んだ三人を見つけた。

 

勇儀たちはそこに駆け寄った。

 

そこで見たのは、おびただしいほどの血痕と壊れた買い物かご、野菜や果物の残骸だった。

 

 

「・・・そん・な・・こんなのって・・・ないよ。」

 

「さと・・・り・様。」

 

「‥・‥」

 

 

三人とも放心状態で目に光が点っていなかった。

 

 

「見てられないね。」

 

「ええ。」

 

 

勇儀とパルスィは悲しげな表情をしていた。

 

 

「(フルフルフル)」

 

 

キスメは涙を流しながらヤマメに抱きついた。

 

 

「キスメ。」

 

 

ヤマメも泣きながらキスメを抱き返した。

 

そんなところに

 

 

「あんたらここで何してるだ?」「皆さんどうしたんですか?」

 

 

声のした方に勇儀達は振り向くと

 

そこに玄武と車椅子に乗せられたさとりがいた。

 

 



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再開と芽生えた気持ち

 

 

 

玄武とさとりが地底に行く前

 

 

「え、妹やペットたちに今の状況を知らせたい?」

 

「はい、あの子達のことですからきっと私のことを探しています。それに」

 

 

さとりが考えてることはなんとなくわかった。

 

 

「事故現場を見てしまったらってことだろ。」

 

「ええ、もしあんなの見てしまったらと思うと考えたくないんです。」

 

 

俺はどうしようか迷っている。

 

今さとりは安静にしないといけない状態だ。

 

無理に連れて行くことはできないし、かと言って俺だけが行っても絶対に間違えられて襲われるだろう。

 

やっぱさとりを連れて行くしかないのか。

 

そしたらさとりの体に影響を与えないようにするにはどうしたらいいだろう。

 

そうだ!?あれがあるじゃないか。あれを使えばなんとかなる。

 

 

「ちょっと待っててくれ。」

 

「え、ええわかりました。」

 

 

俺は急いで部屋から出て、研究室に来た。

 

 

「えーっとあれはどこに置いたっけ。」

 

 

俺はあたりを探し回りようやくお目当てのモノを見つけた。

 

 

「これがあれば大丈夫だな。」

 

 

俺はそれを持って研究室をあとにした。

 

 

「済まないな、遅れてしまって。」

 

「いいえ、でお目当てのモノは見つかったんですか?」

 

「ああ、さとりにはこれをつけていてもらいたい。」

 

俺はさとりにそれを見せた。

 

そうオリハルコンでできた勾玉だ。

 

 

「こいつは特殊な勾玉でね俺の力を共有することができるんだ。」

 

「つまりこれを身につけていれば玄武さんの力が使えるようになるんですか?」

 

「訓練次第だけどね、でも訓練せずに持っているだけでも治癒力を上げてくれる。」

 

 

そう言って俺は勾玉のペンダントとしてさとりの首にかけた。

 

 

「これだったら外に連れて行ける。」

 

「じゃあ」

 

「ああいこう、地底に。」

 

 

そして今現在

 

 

「あんたらここで何してるだ?」「皆さんどうしたのですか?」

 

 

勇儀達は声のした方を向くと驚いて声が出なかった。

 

玄武の側には車椅子に乗せられたさとりがいた。

 

怪我を負って痛々し姿だったが生きていてくれたことが何よりも嬉しかった。

 

 

「勇儀さん、これはどうしたんですか。」

 

「あーあたしらのことはいいからあんたの妹とペット二人をどうにかしてくれ。」

 

「わかりました。玄武さんお願いします。」

 

「あいわかった。」

 

 

玄武はそう答えるとさとりの乗っている車椅子ごと持ち上げこいしたちの方に向かった。

 

勇儀は玄武の背中を見ていた。

 

それに気づいたパルスィは勇儀に話しかけた。

 

 

「どうしたの勇儀?」

 

「いやさとりと一緒にいたあの男なんだけどね。」

 

「あの男がどうしたの?」

 

「そこが見えなかった・・・」

 

「へ?」

 

「あいつ相当強いよ。」

 

 

勇儀が笑みを浮かべていた。

 

 

 

玄武さんにこいし達のところに連れてきてもらいましたが、三人とも目に生気がありませんでした。

 

私のせいで三人を悲しませてしまったことが苦しかった。

 

 

「玄武さんここでいいですよ。」

 

「わかった。」

 

 

私は平らなところを選んで降ろしてもらった。

 

そして三人に声をかけた。

 

 

「こいし、お燐、お空。」

 

 

すると三人は私の方を向いた。

 

目を見開いて、ずっと私の方を見ていた。

 

そしてこいしが私に話しかけてきた。

 

 

「おね・・・え・ちゃ・・ん」

 

「ええ、私はここにいますよ。」

 

 

三人は私の声を聞いたとたん私に向かって走り出しだ。

 

そして私に抱きついてきた。

 

少々傷にしみましたが我慢しました。

 

 

「お姉ちゃん・ひっく・・お姉ちゃん。」

 

「「さ゛と゛り゛さま~。」」

 

 

私は三人を離さないように左手で精一杯抱きしめました。

 

 

 

数分後

 

 

 

「ほらもう泣き止んで。」

 

 

私は三人を慰めている。

 

三人は頷いて私から離れた。

 

 

「ところでお姉ちゃん。」

 

「何ですか。」

 

「そこの人誰?」

 

 

そこの人・・・ああ彼のことですね。

 

 

「彼は私の命の恩人です。彼がいなかったら私は助かっていませんでしたから。」

 

 

三人は彼の方に顔を向け、見つめていた。

 

 

「「「お姉ちゃん(さとり様)を助けてくれてありがとう(ございます)。」」」

 

「助けた甲斐があるってもんだ。」

 

 

彼は笑いながらそう言った。

 

 

「それでこれからどうするんだい。」

 

 

勇儀さんが私たちに近づいて話しかけてきた。

 

 

「まずはここをどうにかしないと。」

 

「そうですねここをこのような状態のままほおっておくわけにはいきません。」

 

「それだったらあたしらも手伝うよ。」

 

「そいつは助かる。」

 

「あたしは星熊 勇儀。あんたは?」

 

「俺は亀山 玄武だ。」

 

 

なぜでしょう勇儀さんと彼のやり取りを見ているとなんだかムカムカしてきます。

 

この気持ちは本当に何なんでしょうか。

 

 

――――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

作業が終わり、俺達は地霊殿にやってきた。

 

勇儀達は作業が終わると同時にそれぞれの場所に帰っていったためこの場にはいない。

 

地霊殿のさとりの寝室に俺たちはいる。

 

 

「改めてお礼をいいます。私を助けてくれてありがとうございます。」

 

「俺は助けたかったから助けたんだ。」

 

「でも私は覚妖怪ですよ。」

 

「助けるのに種族は関係ないよ。」

 

「ほんとに素直な人なんですね玄武さんは。」

 

 

俺とさとりが話をしていたら他の三人も混じってきた。

 

 

「私、古明地 こいし。お姉ちゃんと同じ覚妖怪だよ。」

 

「あたいは火焔猫 燐、火車の妖怪。でこっちは霊烏路 空、地獄ガラスの妖怪。あたいらはさとり様のペット。」

 

「うにゅ。」

 

 

三人から自己紹介してもらったんだから俺もしないとな。

 

 

「俺は亀山 玄武。人間でも妖怪でもないがよろしく。」

 

 

三人はすこし驚いていた。

 

 

「妖怪じゃないの?」

 

「片手で岩持ち上げてたのに?」

 

「うにゅ?」

 

 

俺は三人に質問攻めにあっていたが、さとりが気を利かせてくれた。

 

 

「ほら彼が困ってるからそこまでにしときなさい。」

 

「「「はーい」」」

 

 

そう言って三人は部屋から出ていった。

 

 

「すみませんね。」

 

「なに、いい子達じゃないか。」

 

「ありがとうございます。・・・あの私からも質問いいですか。」

 

「構わないが、何が聞きたいんだい。」

 

「玄武さんはこの後どうするんですか。」

 

「俺は地上に行ってみようと考えてるよ。」

 

「地上に・・・ですか?」

 

 

さとりは驚いていた。

 

そりゃそうだろうな。

 

 

「でも地上と地底は干渉を禁止しているんですよ。」

 

「それは妖怪同士じゃないのか。妖怪じゃない俺が地上に行っても大丈夫だろう。」

 

「あなたが地上に行ってしまったら私は寂しいです。」

 

 

えーっとさとりさん、もしかして拗ねてらっしゃるのですか?

 

拗ねてる顔も可愛いな。

 

 

「拗ねてません。」

 

「いや、その膨れっ面はどう見ても拗ねてるでしょ。」

 

「拗ねてませんってば。」

 

「大丈夫だよ。ずっと地上にいるってわけじゃない。俺は暖かいところが好きでね活動拠点を地底にすればいいし、それに勾玉がある。」

 

「この勾玉ですか?」

 

 

さとりは掌に勾玉を載せる。

 

 

「そいつは通信機にもなっていてね。それがあればいつどこにいても俺と会話ができる。」

 

「便利なんですね。」

 

「これは俺たち二人の秘密な。」

 

 

さとりは一瞬キョトンとしたが

 

 

「はい。」

 

 

笑顔で答えた。

 

それからと言うものの俺はさとりの怪我が治るまで地霊殿に泊まりさとりの世話をした。

 

まぁ結構いろんなハプニングがあったよなー。

 

まあそれもいい思い出か。

 

 

そして―――

 

 

「じゃあ行こうとするかね。」

 

「もう行くんですか?もう少しゆっくりして言ってもいいのですよ。」

 

「それでもいいんだけど、何やら地上の方でなにか起きようとしているのを感じたんた。」

 

「そう・・・ですか。気をつけてください。あといつでもここに帰ってきてください。私はここで待っているので。」

 

「ああ、地上で起きたことたくさん聞かせてやるよ。」

 

「それと、こっちに来てくれませんか。」

 

「なんだ?」

 

 

なんだろうな。

 

さとりに近寄ったら俺の頬になにか柔らかいものが触れた。

 

 

「いってらっしゃい。」

 

 

さとりの顔を見ると頬を赤く染めていた。

 

え、いまのってまさかキ・・・スされたのか。

 

俺は自分の頬が赤くなるのを感じた。

 

 

「い、行ってきます。」

 

 

俺は両手足を同時に出しながら部屋を出ていった。

 

 

彼が部屋から出て言って私は顔を真っ赤に染めた。

 

そして自分の気持ちがなんなのかはっきりわかった。

 

今まで誰かを好きになったことなんてありませんでしたけど、彼と出会って芽生えた気持ち。

 

 

「これが、恋・・・なんですね。」

 

 

 



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プロフィール

亀山 玄武

 

 

 

 

 

本作の主人公。

 

元一般人で神様の都合で殺された人。性格は表裏がなく自分が思ったことを即実行するタイプ。

ガメラと東方が大好きで、暇があればガメラのDVDを見ていたり、東方をプレイしたりしていた。

地霊殿のキャラがお気に入りでその中でもさとりが一番のお気に入り。

さとりにマナの操り方を教えるなどしていている。

転生させてもらう時に3つの願いを叶えてもらった。

1つ目がガメラになること、2つ目が能力、3つ目が原作開始前に行くこと。

能力の影響か非常に熱いところを好むため、地底が彼の活動拠点になっている。

ガメラの力と能力のおかげで火、氷、風、雷(プラズマ)を作ることができるようになった。

熱エネルギーを摂取することによって治癒を促進させたり、自分を強化することができる。

しかも任意で相手を氷づけにすることもできる。

当初は、転生者として自分を捉えていたが、自分もこの世界の一部というのを認識してから転生者としてではなくこの星に生きる生物として生きることを選んだ。

 

 

能力1:『熱を操る程度の能力』

 

 

 

その名の通り、熱エネルギーを操ることができる。基本的には熱エネルギーを吸収して炎を発生させる。

しかもそれだけではなく、周囲から熱を奪うことによって空気中の水分を凝結させ氷を作り出すことができたり、周囲に熱を送ることによって、気圧を変化させ風を生み出すことができる。

 

 

能力2:『大地を司る程度の能力』

 

 

大地そのものを支配することのできる能力で、土だけでなく岩や鉱石などを作り出したりすることができる。

 

 

 

性別:男

 

 

年齢:1億5千万歳

 

 

出身地:超古代文明アトランティス

 

 

種族:不明後に神(古代神)

 

 

身長:165cm

 

 

体重:52kg

 

 

好きな食べ物:ハンバーグ

 

 

 

嫌いな食べ物:ない

 

 

 

嫌いな人:能力や種族だけで判断する人

 

     自然を大切にしない人

 

 

 

特技:オリハルコンの生成

 

 

 

二つ名:闘神、ガイアの守護神、異形の玄武

 

 

 

容姿

 

 

優しい目つきに翡翠色の瞳、オールバックで中心部がトサカのように立った黒の短髪

 

 

 

服装

 

 

上着は黒の革ジャンと黒のタンクトップ、ズボンは黒のジーパン

 

靴は黒のブーツを使用

 

 

スペルカード

 

 

烈火球『プラズマ火球』

 

超烈火球『ハイ・プラズマ』

 

烈火追尾球『ホーミング・プラズマ』

 

爆熱拳『バニシング・フィスト』

 

火炎剣『バーナー』

 

氷風『風と氷の洗礼』

 

ラストスペル

 

究極超烈火球『ウルティメイト・プラズマ』

 

 

戦闘形態(本気で戦う時かギャオスと戦う時のみ)

 

 

 

ガメラ

 

 

 

ガメラの形態

 

 

 

通常形態

 

 

飛行形態

 

 

・円盤のように回りながら飛ぶ形態

 

 

・両腕を前に出して飛ぶ形態

 

 

・両腕をヒレ状にして飛ぶ形態

 

 

ガメラ状態の技

 

 

ハード・スラップ

 

 

ラッシング・クロー

 

 

ブレイク・ファング

 

 

エルボー・クロー

 

 

シェル・カッター

 

 

プラズマ火球

 

 

ハイ・プラズマ

 

 

ホーミング・プラズマ

 

 

ウルティメイト・プラズマ(現在使用不能)

 

 

バニシング・フィスト

 

 

バーナー

 

 

 

 

 

古明地 さとり

 

 

本作のヒロイン。

その種族と能力故に地底に追われた覚妖怪の少女。

買い物の途中で落石事故に遭い、死にかけたが丁度通りかかった玄武に助けられ、血の大半を失うが玄武に血を輸血してもらったため、一命は取り留めた。

しかし思いもよらぬことに輸血された血の影響で、玄武の力と能力を扱えるようになり、現在玄武に力と能力の手解きをしてもらっており八雲 紫クラスの実力にまで上り詰めた。

玄武が地底に来る以前は地底中の妖怪(友人を除く)から忌み嫌われていたが、玄武のおかげで今では普通に接してくれるものたちが増えた。

玄武に助けられたことが要因で玄武に恋心を抱き、今では仲睦ましいほどのカップルになった。

 

 

 

能力:『心を読む程度の能力』

    

    原作とさほど変わらないがオリジナル設定としてまだ隠された力があります。

 

   『熱を操る程度の能力』(副次的要因による追加)

   

 

 

性別:女性    

 

 

 

年齢:1200歳

 

 

 

出身地:不明

 

 

 

種族:覚妖怪

 

 

 

身長:155cm

 

 

 

体重:よ(ドゴグシャ)

 

 

 

3サイズ:(メキョバキ)

 

 

 

二つ名:怨霊も恐れ怯む少女

 

 

 

容姿:東方求聞口授を参照

 

 

 

服装:原作通り

 

 

 

スペルカード

 

 

 

想起『テリブルスーヴニール』

 

 

想起『恐怖催眠術』

 

 

脳符『ブレインフィンガープリント』

 

 

心花『カメラシャイローズ』

 

 

その他は相手のトラウマを再現したスペルカードによって変わる。

 

 




どうも作者のフジパンホンジコミです。
実を言うと主人公の設定を考えるのが難しく四苦八苦して考えついたのがこれです。
能力に関しては、NEEDLESSの佐天という人の能力をモデルにしました。
本編によって技やスペルが増えるかもしれないので随時更新していきたいと思います。
これからも応援よろしくお願いします。
10/20:能力追加


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紅霧異変 STAGE 1

 

 

 

「へーあれが幻想郷の人里か。」

 

 

俺、亀山 玄武、地上に来ております。

 

見渡す限り緑に囲まれた綺麗な場所だった。

 

うん地上に出るのは久しぶりだから空気がうまい。

 

しかしあれはビックリしたよなー。

 

そのいきなりさとりにほ、頬にキスされるなんて。

 

 

「でも柔らかかったなーっといかんいかん地上に来たのは違和感を確かめるためだからな。」

 

 

そう思っていた矢先、あたりが赤い霧に包まれた。

 

何だあの赤い霧は。

 

 

「とりあえずこの場を移動しよう。」

 

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

「いやー人型のまま飛べるようになってよかったわ。」

 

 

地霊殿にいるあいだ俺はさとり達からアドバイスをもらいながらスペルカードの作成と飛行の練習をした。

 

教えてもらった代わりにさとりにはマナの操作方法や俺との交信のやり方を教えた。

 

あ、あとこいし達がさとりの首に下げている勾玉を見て、自分たちも欲しいと言ったので渡した。

 

っとそろそろ相手のテリトリーに入るな。

 

さとり達との特訓を無駄にしないように気合を入れていくぞ!

 

俺が紅い霧が出ているところに向かって飛び続けていると、前方に黒いモヤみたいのがふよふよ浮いていた。

 

何だあの黒いモヤは。

 

 

「わはー」

 

 

黒いモヤから少女が出てきた。

 

 

「俺に一体何の様なのかな。」

 

 

俺は少女に訪ねたのだが

 

 

「おにーさんは誰なのだー?」

 

 

逆に質問されてしまった。

 

 

「えっえ?亀山 玄武だけど。」

 

「そーなのかー。」

 

「そーなんです。」

 

「じゃーおにーさんは・・・」

 

 

ニッコリと笑顔を向けて

 

 

「食べてもいい人類なのかー?」

 

「えーっと俺は食べ物じゃないから食べられないよ。」

 

「そーなのかー」

 

 

いやあからさまに落ち込まないでよ!俺が悪いみたいになっちゃうじゃん!

 

 

「えーっとお嬢ちゃ「ルーミアなのだ。」っと、ルーミアはここで何しているのかな?」

 

「お腹が減ったからご飯を探してたのだ。」

 

 

お腹が減ったねぇ。

 

 

「でも全然獲物が見つからないのだ。」

 

 

そりゃそうだろうな今はおかしな事が起きている真っ最中なんだからな。

 

 

「だからお腹すいて我慢ができないから。」

 

 

うんうん。

 

 

「おにーさんを倒して食べるのだー!」

 

「って結局食うのかよ!?」

 

「おとなしく食べられるのだ。」

 

 

そう言って俺に向かって弾幕を放ってきた。

 

 

「俺も食われたくないんでね抵抗させてもらうぞ!」

 

 

俺はルーミアの放った弾幕に当たるように弾幕を放った。

 

弾幕同士はぶつかり合い消滅した。

 

 

「おにーさんなかなかやるのだ。」

 

「はんっ舐めてもらっては困るな。」

 

「私まだ舐めてないよ?」

 

「あーそういった意味で言ったんじゃないんだけどね。」

 

 

ルーミアは不思議そうに俺を見ていた。

 

 

「まあいっか、じゃあこれならどうなのだ!夜符『ナイトバード』」

 

 

スペカを使ってきたか!

 

 

「よっ・・・はっ・・・ほっ・・・あらよっと・・・どうした全然当たってないぞ。」

 

 

俺は軽々と避けてルーミアを挑発した。

 

 

「ぶーなんで当たらないのだー!」

 

「年季が違うからだよ。」

 

 

ドヤ顔で言ってみた。

 

 

「なんかムカつく。」

 

「そんなことより時間切れだ。」

 

 

スペルブレイク

 

 

「あー!おにーさんずるいのだ!」

 

「ずるはしてないぞ。普通に避けてただけだし。」

 

「むー」

 

「今度はこっちの番だ!烈火球『プラズマ火球』」

 

 

手のひらから次々に発射される。

 

 

「さあー避けきってみな!」

 

「うわわわわ・・・ひゃう・・・うわーん怖いのだー。」

 

 

泣かなくてもいいだろ。俺へこんじゃうよ。

 

まあそれは置いといてと、そろそろだな。

 

 

「もう嫌なのだ。(ドン)痛っ・・・なんなのだって・・木?」

 

「残念だったね、お嬢ちゃんがそこに移動してくるのは予測していたよ。」

 

「え?・・・あ」

 

 

ルーミアの目の前にはプラズマ火球が写った。

 

 

 

ドカーーーーーーーン

 

 

「キャアアアアアアア!」

 

 

ルーミアは地面へと落ちていった。

 

 

「ありゃ?やりすぎたな。」

 

 

俺は確かめるためにルーミアのもとに行った。

 

そこには

 

目を回して倒れているルーミアがいた。

 

 

「ふう、無事でなにより。」

 

 

しかしこの状況をどうにかしないとな。

 

 

「どうしようかね。おっ!そうだアレがあったな。」

 

 

俺は懐からあるものを出して、その場で書いた一枚の手紙と一緒にルーミアの近くに置いた。

 

 

「ごめんな。俺、急いでるから。」

 

 

そう言って俺は紅い霧の出処目指して飛んでいった。

 

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

玄武が去ってから数分後

 

 

「うーん、ここはどこなのだ?」

 

 

あれ?私なんでここに寝てるんだろう?

 

 

「っ思い出した。確かおにーさんと弾幕ごっこしてそれから・・・」

 

 

私はおにーさんがスペカを発動してからのことを思い出した。

 

 

「・・・そっか負けちゃったんだ。」

 

 

私が落ち込んでいたら、私の近くに手紙とおにぎりが置いてあった。

 

 

「誰のだろう?」

 

 

ん?紙になにか書いてある。

 

 

「えっと『手荒なことして悪かった。お礼としちゃなんだが手紙と一緒においたおにぎりをお嬢ちゃんにやるわ。

 また今度うまい文句せてやるよ。 P.S 亀のおにーさんより』」

 

 

じゃあこれはおにーさんのなんだ。

 

 

「・・・いただきます。」

 

 

パク

 

 

「っ!?美味しいのだ。」

 

 

もぐもぐもぐ

 

 

「また会えたらあそびたいな。その時は絶対負けないのだ!」

 



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紅霧異変 STAGE 2

 

 

ルーミアに勝利した俺は急いで紅い霧の出ている場所に向かっていた。

 

 

「あの湖のむこうか。」

 

 

赤い霧の出処に向かって飛び続けているとまだ遠いいが大きな湖が見えてきた。

 

ちなにに言うと俺の視力は30.0で大抵のものなら見逃すことはない。

 

このまま向かおうとスピードを上げようとした。

 

 

「ちょっといいかしら?」

 

 

すると右側から声がしたので振り向くと、紅白の巫女服を着た少女と黒白の魔法使いの服を着て箒に跨った少女がいた。

 

 

「よう!あんたも異変を解決しに来たやつか。」

 

 

白黒の魔法使いの少女が話しかけてきた。

 

 

「ああ、俺は亀山 玄武。あんたらは?」

 

「私は霧雨 魔理沙。普通の魔法使いだぜ。」

 

「博麗 霊夢。博麗の巫女よ。」

 

 

まさかこの二人に会えるとは思ってもみなかったな。

 

 

「玄武っていたわね?ここまで来たんだから何か掴んでるんじゃないのあんた。」

 

 

おお!霊夢から話しかけてくるとは思わなかった。

 

 

「へえー意外と鋭いな霊夢は。確かに俺の推測ではあの紅い霧が出てるのは湖の向こう側ってなだけだ。」

 

「ふーん。魔理沙の情報と一致しているわね。」

 

「ほれ、私の言ったとおりだろ。」

 

「はいはい、わかったから話をそらさせないで。犯人の特徴なんかは?」

 

「俺もそこまで調べ切れなかった。」

 

「まぁなんとかなるわね。」

 

 

俺達三人はそのまま紅い霧の出処に向かっていった。

 

 

「でかい湖だな。」

 

「霧の湖って言うんだぜ。」

 

「名前の通り一年中霧に包まれてるわ。」

 

 

これが霧の湖か、原作の知識を知っていても実際に見るのとじゃ違うな。

 

 

「あれ見てみなさいよ。あそこが異変の中心みたいね。」

 

「へっ!腕が鳴るぜ。」

 

 

俺は霊夢たちが見ている方向に顔を向けた。

 

その視線の先には紅い霧が立ち昇る館が見えた。

 

 

「上等!」

 

 

俺達はその館に向かおうとしたが

 

 

「ちょっとあんたたち!あたいの縄張りで何してる!」

 

 

そんな声が響いたと思った矢先、何やら青い人影が俺たちの前に割り込んできた。

 

 

「なあ霊夢コイツは?」

 

「ああ、ここに住み着いてる氷精よ。」

 

「ふーん」

 

「あたいのことを無視すんなー!?」

 

 

いきなり弾幕を飛ばしてきた。

 

 

「うおっ!いきなりだな。」

 

「どうすんの?あれの相手誰がする?」

 

「私が行くぜ。」

 

 

どうやら魔理沙が相手をするようだ。

 

 

「そ、じゃあ任せたわ。」

 

 

魔理沙はチルノに突っ込んでいった。

 

さて見物させてもらいましょうかね。

 

 

 

「待たせたな。」

 

 

魔理沙は氷精の前までやってきた。

 

 

「あっちの二人は?」

 

 

チルノは玄武と霊夢を指差して聞いてきた。

 

 

「見学だ。」

 

「ふーんまあいいわ。あたいの強さを見せてやる。」

 

「そうかい、っと私は霧雨 魔理沙。お前は?」

 

「あたいはチルノ。」

 

「そうか・・・行くぜチルノ!」

 

 

魔理沙は弾幕を放った。

 

チルノも負けじと弾幕を撃ち始めた。

 

それから二人は弾幕を撃っては避ける行為を繰り返していた。

 

そして痺れを切らしたチルノがスペルカードを構えた。

 

 

「これでも喰らえー!氷符『アイシクルフォール』」

 

 

チルノから大量の弾幕が放たれた。

 

 

「上等だぜ!攻略してやんよ!」

 

 

迫り来る弾幕を魔理沙は軽々と避けていく。

 

その様子を見ていた見ていたチルノは

 

 

「なんで当たらないのよー!」

 

 

と不貞腐れていた。

 

そしてスペルカードの持続時間が来てしまった。

 

 

「おし、今度は私の番だ!恋符『マスタースパーク』」

 

 

魔理沙が手にした八卦炉から極太のレーザーが発射された。

 

そしてチルノはその膨大なエネルギーに飲みこまれた。

 

 

「きゃああああああ!」

 

 

そして悲鳴を上げながらチルノは湖に落ちた。

 

 

「よっし私の勝ちだぜ。」

 

その様子を見ていた玄武達はそれぞれの思いを口にしていた。

 

 

「全く魔理沙のやつは・・・」

 

 

霊夢はため息を吐いていたが、玄武は魔理沙の戦い方を分析していた。

 

 

「(やはり原作通り、火力重視だな。今のうちに対策を考えておくか。)」

 

 

魔理沙は嬉しそうに霊夢と玄武のそばに帰ってきた。

 

 

「さっ早く先に進もうぜ。」

 

「そうね、早く帰ってゆっくりしたいし。」

 

「だな。」

 

 

俺達はチルノはほおっておきそのまま紅い霧の出ている場所に向かった。

 

 

 

紅い霧の出ている場所に着いた俺達は満場一致で思ったことが一つ。

 

 

「真っ赤ね。」

 

「真っ赤だぜ。」

 

「真っ赤だな。」

 

 

俺たちの目の前には屋敷があった。しかし色が問題だった。

 

そう真っ赤だ。目がチカチカするほど真っ赤なのだ。

 

俺は視力が良すぎるために気持ち悪くなりかけた。

 

 

「早く異変を解決しましょ。目が痛くてしょうがないわ。」

 

「霊夢の意見に賛成。」

 

 

俺達は中に入ろうと進んだら大きな門の前に差し掛かった。

 

しかもその門の前に女性が一人立っていた。

 

俺たちは警戒しながら進んでも相手はなんのアクションも仕掛けてこなかった。

 

俺たちは不思議に思い近づいてみると。

 

 

「クカァァ~、スピ~」

 

「「「寝てるんかい!」」」

 

 

思わずツッコミを入れてしまった。

 

しかしそれでも起きる様子はなかった。

 

 

「どうするよ、これ。」

 

「うーん無視していいんじゃない?寝てるんだし。」

 

 

まぁ霊夢の言うことも正しいが俺としては一戦交えてみたいと思っている。

 

だから俺は寝ている女性の近くまで近づき、デコピンをかました。

 

 

 

パーーーン!

 

 

 

「痛ったぁぁぁぁい!」

 

「「何してんだーーーーお前!?」」

 

 

霊夢と魔理沙が俺の行なったことを見て叫んだ。

 

そして女性は額を抑えてうずくまっていた。

 

 

「・・な、なんなんですかあなたたちは!・・・もっと優しい起こし方ってもんがあるでしょ!」

 

 

オデコを摩りながら立ち上がりコチラを睨めつけていた。

 

 

「「いや、私らに言われても。」」

 

 

霊夢と魔理沙は自分は関係ないと訴えかけるように俺の方を見ている。

 

 

「紅魔館に何の用ですか。そしてあなたたちの目的はなんですか。」

 

 

この館紅魔館というのか。見た目どうりだな。

 

門番の女性が睨んできた。

 

俺たちは3人揃ってこう答えた。

 

 

「「「異変を解決しに来た。」」」

 

 

そうしたら女性の雰囲気が変わった。

 

 

「そうですかならここを通すわけにはいきません。お引き取り願います。」

 

 

何やら構えだした。

 

 

「「「!?」」」

 

 

かなりの殺気だな。しかも殺す気満々だなどう見ても。

 

俺は霊夢たちの前に出て、こう言った。

 

 

「霊夢!魔理沙!コイツは俺が何とかするから早く行け!」

 

 

霊夢と魔理沙は俺の言ったことを理解し、館に飛んでいこうとした。

 

 

「そうはさせません!」

 

 

霊夢と魔理沙の進行を阻止しようとしたが

 

 

「おっとあんたの相手は俺だ。」

 

 

俺が立ち塞がった。

 

 

「くっ!だったらあなたを倒して追いかけるまでです!」

 

 

そう言って拳を繰り出してきた。

 

しかし俺はその拳を片手で受け止めた。

 

 

「なっ!」

 

「おらぁぁ!」

 

 

受け止めた拳を掴んで霊夢達の反対方向に投げ飛ばした。

 

空中でなんとか姿勢をただし着地する女性。

 

俺は霊夢と魔理沙が館に入っていくのを確認して、女性の方に顔を向けた。

 

 

「さぁこれで思う存分やりあえる。」

 

「どうやら最初からこうするつもりだった言い回しですね。」

 

「ああ、あんたとは一戦交えてみたいと思ったからだよ。」

 

 

そして俺は独特の構えをした。

 

ちまみにこの構えは100年かけて編み出した構えだ。

 

その構えをした瞬間、俺は思考を切り替えた。

 

 

「!?(・・・この人・・・強い)一筋縄では浮かないようですね。」

 

「そういうこった、門番のお嬢さん。」

 

「なら全力でいかせていただきます。」

 

 

彼女も本気で構えた。

 

そして俺たちはそれぞれ名乗りを上げた。

 

 

「紅魔館が門番、紅 美鈴」

 

「闘神 亀山 玄武」

 

「「いざ尋常に!」」

 

 

開始と同時に俺達は拳をぶつけ合った。

 

 



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紅霧異変 STAGE 3

 

 

 

「ヤアアアァァァァ!」

 

 

凄まじい攻防が繰り広げられていた。

 

美鈴が攻撃を行い、玄武が防御に徹している。

 

美鈴が押しているように思われるが、実際は違った。

 

 

「(っなんだこの動きは!)」

 

 

自分の攻撃が一度もあたっていないのだ。

 

これが玄武が100年かけて編み出した技の一つ『武王流水掌』

 

流れる水のようにしなやかな動きで美鈴の攻撃を掌で受け流しているのだ。

 

しかし美鈴にはただ守っているようにしか見えなかった。

 

 

「守ってるだけじゃ何も出来ませんよ!」

 

 

一度も攻撃してこないのだから、美鈴は疑った。

 

だがそれが勘違いだったことに美鈴は気づくことになる。

 

今度も攻撃を捌くだけであろうと考えてしまい、攻撃を行った瞬間弾き飛ばされたのだ。

 

美鈴は一瞬何が起こったのかわからなかったがお腹に鋭い痛みがあった。

 

 

「っん・・・くっ・・い、今のは。」

 

 

痛みに耐えお腹を押さえながら立ち上がった。

 

 

「防御主体の技だと思ったら大間違いだ。」

 

「どういう・・・・・ことだ。」

 

「さあな、自分で考えるんだなっ!」

 

 

今度はこちらの番だと思わせるように攻撃を繰り出す玄武。

 

 

「はっ!」

 

「かはっ」

 

「せいっ!」

 

「うっ」

 

「たぁ!」

 

「っく・・・調子に・・・・・のるなぁーーー!」

 

 

美鈴は何度も攻撃を入れられたため少々苛立ちながら蹴りを放った。

 

しかし動きを読まれていたのか先ほどと同じように受け流された。

 

そして追撃するように玄武は脇腹に掌打を打ち込んだ。

 

 

「ふん!」

 

「がはっ」

 

 

盛大に吹き飛ばされる美鈴。

 

なんとか空中で姿勢をただし着地することができた。

 

 

「(つ、強い・・・強いとは分かっていたがここまでとは。)」

 

 

自分を雇ってくれた主以外にもこんな人がいたとは思いもよらなかった。

 

 

「(いや、下手をするとお嬢様以上かもしれない)」

 

 

美鈴は冷や汗を流さずにはいられなかった。

 

 

「(だとしたらこの人をこの場でどうにかしないと)」

 

 

美鈴は考えた。自分が今しなければいけない事を。

 

 

「(私は門番だ。この人をお嬢様のところに行かせないようにするにはここで足止めするしかない!)」

 

 

そう決心した美鈴は門番としての役割を果たそうと玄武に攻撃を仕掛けた。

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

館の中に入った私は霊夢とは別行動をとっている。

 

途中までは良かったんだがメイド服を着た妖精に見つかってから大変だったんだよな。

 

倒しても次々現れるからしんどかったぜ。

 

その後館の中をうろついてみたら広いの何の。

 

この館、こんなに広かったけ?

 

明らかに外で見た館の大きさより広すぎる。

 

 

「どうなってんだ?」

 

 

私は能力か何かで実際よりも広くしているのだろうと考えた。

 

 

「・・・まぁ今は異変の元凶をどうにかしないとな。」

 

 

私はあちこち怪しいとこがないか調べていたら、地下に向かう階段を見つけた。

 

 

「・・・行ってみるか。」

 

 

地下に降りたまではいいんだがまた長い廊下に出た。

 

しかしちょっと進んだところに大きな扉があった。

 

 

「あの中が怪しいぜ。」

 

 

私は扉の前まで移動し、中に入ってみた。

 

そこには巨大な本棚が無数に並んでいる場所だった。

 

確か図書館だったけか。

 

 

「すっげー・・・」

 

 

おっ!結構珍しー本もあるんだな、これだけあるんだからちょっとだけ拝借して構わないよな。

 

私が本を手に取ろうとした瞬間、後ろから声が聞こえた。

 

 

「ここで何してるのかしら。」

 

 

私は後ろを振り向くと、フワフワと浮いている人影が見えた。

 

 

「もう一度聞くわ・・・ここで何しているの。」

 

「そんなの決まってる、異変の首謀者を探してるのさ。」

 

「ふーん、ちなみにここにはいないわよ。」

 

「やっぱな。」

 

「でも行かせるわけにはいかないからここで倒させてもらうわ。」

 

「へっ!上等だぜ。やれるもんならやってみな。」

 

 

私はスペルカードを取り出した。

 

 

「あなた名前は?」

 

「霧雨 魔理沙だ。あんたは?」

 

「パチュリー・ノーレッジよ。」

 

パチュリーもスペルカードを取り出した。

 

 

一方霊夢の方はというと

 

 

「あーもう!こいつら鬱陶しいわねーどんだけいるのよ!」

 

 

次々現れる妖精にイライラしていた。

 

 

「あんたら・・・しつこいのよ!!」

 

 

御札や針を投げまくって妖精を行動不能にしていく霊夢。

 

そのやりとりは数分続いたがなんとか全部の妖精を行動不能にすることができたのだが。

 

 

「・・・余計な体力を使わされるとは思わなかった。それに御札や針もかなり消費させられたわ。」

 

「妖精たちを差し向けて正解だったようね。」

 

「!?」

 

 

霊夢は声のした方に振り向くと、メイド服を着た銀髪の少女が立っていた。

 

 

「(私が気づかなかったなんて)あんたここの関係者?」

 

 

いきなりこの場所に現れたメイドに話しかける霊夢。

 

 

「この紅魔館でメイド長を務めている十六夜 咲夜よ。」

 

「ふーん、でそのメイド長が私に何の用?」

 

「あなたたちを排除するためにきたのよ。」

 

「物騒なこと言うわね。」

 

 

咲夜は懐からナイフを取り出した。

 

霊夢もお払い棒を構えた。

 

 

「お嬢様の邪魔はさせない!!」

 

「こっちだって早く終わらせてゆっくりしたいのよ!!」

 

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

 

「しつこいな君は」

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ま、まだです。」

 

 

よもや美鈴がここまでタフだとは思わなかった。

 

ギャオスとは違ったしぶとさだ。

 

 

「ここまでしぶとい人にあったのは初めてだ。」

 

「頑丈なのがとりえですから。」

 

「ハァ・・・(正直言ってしんどくなってきたな。)」

 

 

俺はこれからどうしようか考えていたら。

 

 

「隙有り!彩符『彩光乱舞』」

 

 

美鈴がいきなりスペルカードを使用してきた。

 

 

「ちっ、考え事もさせてくれないとは。」

 

 

迫り来る弾幕を俺は避け続ける。

 

 

「まだまだいきますよー気符『地龍天龍脚』」

 

 

おいおい続けてスペルカードを宣言しやがって。

 

 

「卑怯だぞー!?そりゃ枚数制限しなかったけどこれはないだろう!?」

 

「このぐらいしないとあなたは止められなと判断したからです!それに私達さっきまでルール無視して戦ってたじゃないですか」

 

「・・・そうだったな、すっかり忘れていたよ。」

 

 

まさか自分でも忘れていたとは思わなかった。

 

 

「この2枚のスペルカードの弾幕を捌き切れますか。」

 

「上等だ!2枚まとめて攻略してやるよ!?」

 

 

それから俺は次々と迫り来る弾幕を避け続けた。

 

しかしほとんど隙間のないような弾幕だったため、俺も少し冷や汗を流した。

 

 

「ちっ、流石に2枚のスペカ同時は俺でもキツイな。」

 

「どうやらあなたでもこれはきつそうですね。」

 

「(・・・確かにキツイ・・・だが昔のあれに比べたらどうってことはないな。)」

 

 

俺は昔の出来事を思い出していた。

 

そこであることを思いついた。

 

 

「だったらこっちも使わせてもらうぞ!(うまくいってくれ!?)」

 

 

俺は懐からスペルカードを取り出し、宣言した。

 

 

「烈火球『プラズマ火球』!!」

 

 

俺の手から放たれた火球は弾幕に激突し、爆発したがここからが俺の狙いだ。

 

 

「なっ!?」

 

 

そりゃ驚くだろうな。

 

 

「爆発を利用してほかの弾幕を誘爆させたというのですか!?」

 

 

どんどん弾幕の数が減ってきた。

 

そしてすべての弾幕が消滅した。

 

 

「なんとか攻略することができたな。」

 

「・・・やはりあなたはすごい人だ。こんな方法で破られるとは思ってもみませんでした。」

 

「そうかいそれを聴けて嬉しいね・・・だけどそろそろ終わりにしよう、時間もないし。(楽しむことも出来たし)」

 

「そうですか、なら私も最高の技を持って挑みます。」

 

 

美鈴のやつが腰を落としてスペルカードを手に持ち構えた。

 

 

「そっちがその気なら俺もそれに答えないとな。」

 

 

俺もスペルカードを取り出し相手の出方を伺った。

 

 

・・・・・・

 

・・・・

 

・・

 

 

ダッ!!!

 

 

玄武は同時に走りだし、スペルカードを宣言した。

 

 

「三華『崩山彩極砲』!!」

 

「爆熱拳『バニシング・フィスト』!!」

 

 

相手に近づいた瞬間玄武達は技をはなった。

 

 

「ハアアアアアァァァァァ!!」

 

「オラアアアアアァァァァ!!」

 

 

彼らの技がぶつかり合い、凄まじいほどの衝撃が放たれた。

 

その衝撃で門は半壊し、周りの木々も吹き飛び、あたりは砂埃で覆われ何も見えない状況になった。

 

そして徐々に砂埃が収まっていくとそこに立っていたのは、玄武だった。

 

美鈴は仰向けに倒れて気絶していた。

 

 

「気絶してて聴こえていないと思うがいい勝負だった。次に戦う時まで腕を上げておけよ再戦を楽しみにしてるから。」

 

 

そう言って玄武は半壊した門をくぐり館に向かっていった。

 

待っているであろう館の主のもとに。

 

 



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紅霧異変 STAGE 4

今回は霊夢と魔理沙がメインになります。



 

紅魔館のどこかにある部屋

 

 

玉座に座り窓の外を眺めている少女がいた。

 

 

「ふふ、やっと役者が揃ったわね。まあ一人だけ関係ないやつが紛れ込んだけど。」

 

 

その少女はこれから起こる何かを知っているような口ぶりだった。

 

 

「それにしてもこの男何者なのかしらね。美鈴を打ち破るなんて・・・」

 

 

その男のことを気に掛けるように少女はつぶやいた。

 

 

 

紅魔館の中に入った玄武は驚いていた。

 

 

「こりゃたまげたな。館の中は能力か何かで空間を弄ってあるんだな。」

 

 

紅魔館の大きさと中の広さに違和感があり、玄武は何らかの方法で空間を弄っていることを見破った。

 

 

「この館には空間操作系の能力者でもいるのか?しかもこれだけの規模の空間を弄るってのは相当な実力者だな。」

 

 

これを行った能力者とも戦ってみたいと思いつつ、霊夢と魔理沙がどこにいるのか探った。

 

 

「・・・霊夢は2階に、魔理沙は地下の方か。しかも二人共弾幕ごっこ中ってわけか。」

 

 

二人の居場所を突き止めた玄武はどちらに行こうか迷っていた。

 

 

「うーん上の方は霊夢ひとりでもなんとかなるかもしれないが、問題は地下の魔理沙の方だ。」

 

 

地下から感じたドス黒い魔力はなんだ。

 

2階の奥からも相当な魔力を感じたが地下のはそれ以上のヤバさを感じた。

 

 

「ここは魔理沙の方に応援に行ったほうがいいか。」

 

 

そう思った玄武は急いで地下に通じる階段を探し始めた。

 

 

2階の廊下

 

 

霊夢と咲夜のいる廊下はすごいことになっていた。

 

あたりが大量のナイフが突き刺さり、弾幕によって出来た焦げ跡が残っていた。

 

 

「ふっ!」

 

 

咲夜はこれでもかってぐらいにナイフを投げてきた。

 

 

「どこにそんだけのナイフ隠し持ってんのよ!?」

 

 

明らかに持っているナイフの数が半端ではなかったため霊夢は驚いた。

 

 

「それは秘密。」

 

「ちっ」

 

「これはどうかしらメイド秘技『殺人ドール』」

 

 

四方八方から大量のナイフがいきなり出現し、霊夢に向かってきた。

 

霊夢は次から次へと向かってくるナイフを避け続けた。

 

 

「だったら夢符『封魔陣』!」

 

 

霊夢に迫っていたナイフがスペルカードによって消えていく。

 

 

「やるわね。」

 

「それはどうも。」

 

「これはかわせるかしら、幻像『ルナクロック』」

 

 

スペルカードを発動した瞬間に既に霊夢の前にナイフが出現した。

 

 

「危ないわね!」

 

 

なんとか反応することができた霊夢。

 

しかしまた同じようにナイフが目の前に出現した。

 

これも弾幕を当てて乗り切ることができた。

 

しかし

 

 

「よそ見してていいのかしら。」

 

 

いつの間にか咲夜は霊夢の後ろに回り込んでいた。

 

しかもナイフが全方向から襲いかかってくるおまけ付き。

 

 

「っ!?」

 

 

これはヤバイと霊夢は思い、スペルカードを発動した。

 

 

「夢符『二重結界』!」

 

 

どうにか結界によってナイフを防ぐことができた。

 

もしスペルカードの発動が遅れていたらと思うと霊夢はゾッとした。

 

 

「まさかこれも防がれてしまうなんて・・・」

 

 

先程まで余裕の表情だったが、険しい表情になってきた。

 

次の手をどうしようかと考えていた咲夜だが、それよりも早く霊夢が動いた。

 

 

「今度はこっちの番ね!」

 

 

そう言って霊夢はスペルカードを発動した。

 

 

「霊符『夢想封印』!!!」

 

「っ!しまっ・・・」

 

 

気づいた時にはあたり一面が弾幕で覆われていた。

 

 

ドカァァァン

 

 

「キャアアア!」

 

 

弾幕は命中し咲夜は廊下の床に叩き落とされた。

 

 

「私の勝ちね。」

 

「くっ!ま・・・さか・・負けるなんて、申し訳・・・ございま・・・せん。お嬢・・さ・・・ま。」

 

 

バタン

 

 

 

咲夜は気絶してしまった。

 

 

「博麗の巫女を舐めるんじゃないわよ。」

 

 

霊夢はさらに奥へと進んでいった。

 

 

一方魔理沙はというと

 

 

未だ図書館でパチュリーと戦っていた。

 

 

「弾幕はパワーだぜ!」

 

 

星型の弾幕があたりにばらまかれた。

 

 

「ゴリ押しじゃ勝てないわよ。火符『アグニシャイン』」

 

 

パチュリーのスペルカードが発動し、巨大な炎の渦が魔理沙を襲った。

 

しかし魔理沙は持ち前のスピードで弾幕を交わし続けた。

 

 

「こっちも行くぜ!魔符『スターダストレヴァリエ』」

 

 

発動したスペルカードにより先ほど出した弾幕よりも大きい星型の弾幕が放たれた。

 

そして二つの弾幕が衝突し、互いに打ち消しあった。

 

 

「っち、相打ちかよ。」

 

「アグニシャインを相殺するなんて・・・」

 

 

魔理沙は悔しそうにしており、パチュリーは驚いていた。

 

 

「だったらこれで終わらせるぜ!」

 

 

そう言って魔理沙は帽子の中から何かを取り出し構えた。

 

それは魔理沙の所持品の一つミニ八卦炉である。

 

 

「これでもくらえぇ!恋符『マスタースパーク』!!」

 

 

スペルカード発動と同時にミニ八卦炉から極太のレーザーが発射された。

 

 

「っ!これはやばいわ、水符『プリンセスウ・・げほっげほっこ・・・こん・な時に。」

 

 

パチュリーはスペルカードを発動させようとしたがここに来て持病の喘息が悪化してしまい発動させることができなかった。

 

パチュリーはなんとか顔を上げ前を見たら巨大なレーザーが目の前まで迫っていた。

 

 

「はぁ・・・運がなかったわね。」

 

 

ため息を吐いた直後パチュリーは極太のレーザーに飲み込まれた。

 

そしてレーザーが消え去り、その射線上にいたパチュリーは気絶していた。

 

 

「私の勝ちだぜ。」

 

 

こうして魔理沙とパチュリーの弾幕ごっこは魔理沙の勝ちで終わった。

 

 

2階の最奥

 

 

霊夢は装飾が施された大きな扉の前にやってきた。

 

 

「ここね。」

 

 

ガチャ

 

 

扉お開けて中に入ると、玉座に座っている少女が目に入った。

 

 

「いらっしゃい、ここまで来れたことを褒めてあげるわ。」

 

「あんたみたいなやつに褒められても嬉しくないわよ。」

 

「あら、それは失礼・・・で私に何の用かしら?」

 

「とぼけてんじゃないわよ。外の紅い霧、あれあんたの仕業でしょ。」

 

「どうしてそう思うのかしら。」

 

「私の勘よ。」

 

「ふーん、勘ね。」

 

 

少女は指を口に当て、なぞる。

 

 

「その紅い霧を私にどうして欲しいの?」

 

「今すぐ止めなさい。」

 

 

霊夢は霧を消すように少女に言った。

 

 

「嫌だと・・・と言ったら?」

 

「力ずくで分からせるまでよ。」

 

 

霊夢はお祓い棒を少女に向けていった。

 

そしたら少女はけらけら笑い出した。

 

しかし次の瞬間笑っていた少女は玉座から姿を消した。

 

そして一瞬のうちに霊夢の後ろに現れ拳を振り上げた。

 

 

「!?」

 

 

なんとか気づき交わすことができた。

 

 

「へぇこれを避けるなんて、ますます気に入ったわ。」

 

 

その少女は二ヤッと笑った。

 

 

「レミリア・スカーレットよ、覚えておいて損はないわよ。」

 

「博麗 霊夢・・・覚えなくていいから」

 

「霊夢ね・・・それじゃ楽しいひと時を過ごしましょう霊夢。」

 

 

レミリアは不気味に笑いこうつぶやいた。

 

 

「だって・・・こんなにも月が赤いのだから。」

 

 

いつの間にか夜になっており、窓から紅い月が見えていた。

 

今まさに霊夢とレミリアの戦いが今始まろうとしていた。

 

そしてもう一つ地下の方で動きがあったのだが誰も気づくことはなかった。

 

 

ちなみに玄武は

 

 

「地下への階段はどこだー!」

 

 

未だに地下に降りる階段が見つからずさまよい続けていた。

 

果たして玄武は無事階段を見つけることができるのだろうか。

 



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紅霧異変 STAGE 5

ついにあの狂気の吸血鬼が登場します。
これからどうなっていくのか。


 

 

 

ドドドドド・・・

 

 

「ええーい、地下に行く階段はどこにあるんだああああぁぁぁ!」

 

 

かれこれ20分くらい走り回っているが階段が見当たらない。

 

 

「早く地下に降りて魔理沙と合流しないといけないのにこんなとこで迷っている場合じゃない。」

 

 

そう思っていたら、頭に声が響いてきた。

 

 

《玄武さん、聞こえますか?聞こえていたら返事をしてください。》

 

 

この声はさとりか?

 

 

《ああ、聞こえているぞ。それよりどうしたんだ?なにか問題でも起きたのか》

 

《そうではなくてですね。今どうしてるのかなと思って。》

 

 

そういうことね。

 

 

《今異変を起こした奴のとこに乗り込んでるとこだ。》

 

《どんなとこなんですか?》

 

《もう目が痛くてしょうがないよ。》

 

《目が痛いというのはどうしてなんですか。》

 

《館全体が真っ赤だった上に、館の中も真っ赤なんだよ。》

 

《・・・それは目にキツイですね。玄武さんにとっては。》

 

 

なんだか哀れみを感じるのは気のせいか?

 

っと今は話し込んでいる場合じゃない。

 

 

《済まない今急いでるところだから話はまたあとにしてくれるか。》

 

《何かあったんですか。》

 

《実はな、ここに来る途中で二人組の女の子と合ってな。さっきまで一緒に行動してたんだよ。》

 

《・・・二人組の・・・女の子とですか・・・それで?》

 

 

あれ?なんか雰囲気が変わったように感じるのはなぜだ。

 

 

《その内の一人がな、地下に行っているんだが・・・》

 

 

なんだか話しかけづらい。

 

 

《・・・続けてください。》

 

 

こっわ、ちょっとマジで怖いんですけど。俺なにか悪いことした。

 

さとりを怒らせるようなことしたのか。

 

 

《玄武さん・・・続きは?》

 

《な、なんというかとてつもなくヤバイのが地下にいるのがわかったんだ。》

 

《それでいま助けに行こうとしている・・・ということですか。》

 

《その通りです。はい。》

 

《・・・・・・・・・》

 

 

なにか喋ってくれー怖くてしょうがないんですけど。

 

ここは誤ったほうがいいな。

 

 

《えっと・・・済まない。》

 

《なんで謝るんですか?》

 

《え?俺が気に障るようなこと言って怒らせたのかなと思って誤ったんだが、違うのか?》

 

《へ?いえ・・・その・・・私の方もすいません。苛立ってしまって。》

 

《いや怒らせてしまった俺が悪いんだから。》

 

 

どうやら元に戻ったなよかったー。

 

 

《ところでさ。》

 

《はい、なんでしょう?》

 

《なんで怒ってたんだ?》

 

《・・・・・・・・・バカ(気づいてくれてもいいじゃないですか)》

 

《何かいった?》

 

《なんでもありません。それで今は地下に向かっている途中なんですね。》

 

《ああ、でも館の中は空間を弄ってあるから広いの何の階段が見つからなくて困っているんだ。》

 

《でしたら廊下の床をブチ抜けばいいんじゃないですか?》

 

《・・・その方法があったか!テンパっててすっかり忘れてた!》

 

《ハァ(一緒に生活してわかったのですがやっぱりどこか抜けてますね)・・・早くしたほうがいいんじゃないですか。》

 

 

そうだった!早く行かないと取り返しのつかないことになる。

 

 

《ありがとうなさとり。帰ったらうまいもの作るから。》

 

《デザート付きですよ。》

 

《了解。》

 

《・・・玄武さん。》

 

《なんだ?》

 

《頑張ってくださいね。帰りを待ってますから。》

 

《おう!》

 

 

こりゃ頑張らないとな!

 

さて地下に行くとしますか。

 

そう言って俺は床に拳を振り下ろした。

 

 

 

図書館内

 

 

 

「へへー大量大量!」

 

 

魔理沙は大きな袋にいろいろな本を入れていっている。

 

 

「ちょ、ちょっと!ここの本は持ち出し禁止よ!」

 

 

パチュリーは魔理沙に怒鳴った。

 

 

「細かいこと気にすんなよパチュリー。」

 

「気にするわよ!それに気安く名前を呼ばないで頂戴!」

 

「そんなこと言うなよ、同じ魔法使いなんだから。」

 

「私は純粋の魔法使いだけどあなたは人間でしょ!」

 

「今はそうだけどいつか本物の魔「ドカーーーーーン!!」ってなんだよいいところで。」

 

 

図書館の一部の壁が吹き飛んでいた。

 

そしてその壁の向こうから黄色い髪に紅い瞳、赤を基調とした服を着た宝石のような結晶を付けた翼を持つ少女が出てきた。

 

 

「パチュリー私にも遊ばせてー。」

 

「フ、フラン!?」

 

 

魔理沙は今現れた少女のことをパチュリーに聞いてみた。

 

 

「なあ、パチュリーあいつ誰なんだ?」

 

「フランドール・スカーレット、ここの館の主の妹で吸血鬼よ。」

 

「よりによって吸血鬼とはシャレにならないぜ。」

 

「それだけだったらいいわよ。問題はその能力と性格よ。」

 

 

パチュリーは真剣な顔つきでフランを見ていた。

 

 

「どんな能力なんだ?」

 

 

魔理沙はその能力がなんなのか聞いてみた。

 

 

「【ありとあらゆるものを破壊する程度】の能力よ。」

 

「おいおいそれって。」

 

「ええ、その名の通り破壊に特化した能力よ。」

 

 

それを聞いて魔理沙は冷や汗を流さずにはいられなかった。

 

顔を引きつらせながら魔理沙はもう一つのほうを聞いた。

 

 

「で性格のほうは?」

 

「見たまんま、思考のほうも子供じみてるわ。けどどこか狂っているのは確かよ。」

 

「うっわー。」

 

「それに今日は紅い満月のはずよ。」

 

「紅い満月ならどうなるんだよ。」

 

「力が強化され、おまけに見境がなくなって襲い掛かってくるわ。」

 

「やばい時に来ちまったぜ。」

 

 

魔理沙がフランのほうを向くと、不機嫌な表情をしていた。

 

 

「パチュリーとお話してないで、私と遊ぼうよー。」

 

「えっとだな、ちょっと待っててもらえるとうれしいんだが。」

 

「遊んでくれなきゃやだ!」

 

 

駄々をこねるフラン。

 

 

「そういは言ってもなぁ…」

 

「遊んでくれないんだったら…壊れちゃえ!?」

 

 

フランは手を魔理沙に向けた。

 

その様子を見たパチュリーは魔理沙に言った。

 

 

「逃げなさい魔理沙!?」

 

「え?」

 

「きゅっとしてド「ドカーーーーン!!」っもうなによ!!」

 

 

天井付近から音がしたので全員がそちらのほうに顔を向けると瓦礫とともに一人の男の姿が見えた。

 

 

「玄武!?」「あの男何者なのかしら」「あは♪もう一人増えた。」

 

 

魔理沙とパチュリーは現れた人物に驚き、フランは新しいおもちゃを見つけたように笑っていた。

 

 

「ここは図書館なのか?」

 

 

玄武は着地した周りを見渡した。

 

そこに魔理沙とパチュリーが駆け付けた。

 

 

「玄武、無事だったのか!?」

 

「よう魔理沙、元気だったか。」

 

「ようじゃねーよまったく…で門番は。」

 

「おう!勝ってきたぞ。」

 

「門番って…ああ美鈴ね。」

 

「へぇーお兄ちゃん美鈴に勝ったんだ…でも勝ったって言っても弾幕ごっこでやったからでしょ。」

 

「うんにゃ、最後はスぺルカードを使ったがあとは素手で戦ったんが。」

 

「「!?」」「すごいっ!」

 

 

魔理沙とパチュリーは驚き、フランは笑っていた。。

 

 

「(マジかよ!?妖怪相手に素手で勝つって。)」

 

「(素手であの子に勝ったっていうの彼は!?)」

 

「(へぇ、素手で勝ったんだすごーい。)」

 

 

三人ともそれぞれこんなことを心の中で思っていた。

 

 

「ねぇ。」

 

 

フランは玄武に話しかけた。

 

 

「なんだ。」

 

「私と遊んでくれる?」

 

「ああ、お前さんの遊びに付き合ってやるよ。」

 

「ほんと!?じゃあ…あなたは壊れないでね。じゃないと楽しめないから。」

 

「はんっ!壊せるものなら壊してみろや。」

 

 

二人は笑いながら相手のことを見ていた。

 

異変中最大級の戦いが幕を開けようとしていた。

 

 

 



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紅霧異変 STAGE 6

フランドールと遭遇した玄武と魔理沙は弾幕ごっこをするハメになった。
果たして二人はどうなるのか。



「それそれーどんどん行くよー!」

 

「弾幕ごっこのルールをいきなり無視するとは。」

 

「同感だぜ。」

 

 

玄武と魔理沙はフランが放つ弾幕を避けながら愚痴っていた。

 

なぜならフランは逃げ道を塞ぐように弾幕を放っていたためそう言わざるおえない。

 

しかし二人は弾幕をぶつけて逃げ道をつくり対応していた。

 

 

「どうすんだ玄武!このまま避け続けても埒があかないぜ。」

 

「今考えてるからちょっと待っててくれ!」

 

 

玄武はこの状況をどうにかしようと考えていたが

 

 

「きゃはははははは♪そうはさせないもんねー。」

 

 

フランによって邪魔され、玄武は考え事を中断せざる負えなかった。

 

 

「ちっ!考える時間もくれないってか!」

 

「玄武このままじゃやべえぞ。こんな状態でスペカなんて使われたら・・・」

 

「だからこうして考えてるんだろうが!っていうかお前も考えろよ!?」

 

「私は・・その・・避けるので精一杯だからな。」

 

「要は考えたくないってことだろうが・・・」

 

「そうとも言う。」

 

 

魔理沙は胸を反らしながらいった。

 

 

「威張れることじゃないだろ!?」

 

 

玄武が魔理沙に文句を言っている間にフランはスペルカードを取り出していた。

 

 

「よそ見してていいのかなー禁忌『カゴメカゴメ』」

 

「「!?」」

 

 

スペルが発動し、玄武と魔理沙を囲むように弾幕が襲いかかってきた。

 

 

「くっ魔理沙!」

 

「わかってるって!魔符『スターダストレヴァリエ』」

 

 

魔理沙はフランのスペルカードを相殺するためにスペルカードを発動させた。

 

 

「新作のスペルカードだ、効果は身をもって体感しな。火炎『ブレイズストーム』」

 

 

玄武も新しいスペルカードを発動させ、自分を中心に炎の竜巻を発生させあたりに弾幕をばら撒いた。

 

フランの弾幕を相殺させつつ、フラン自身にも炎の弾幕が襲いかかった。

 

 

「わっ!こっちに来た!?」

 

 

迫り来る炎の弾幕を避けるフラン。

 

しかし思わぬ展開もあった。

 

 

「こっちも被害受けてるんだけど!」

 

 

なぜか魔理沙も被害を受けていた。

 

玄武のスペルカードの効果が消えるまでそれは続いた。

 

 

 

・・・・・・

 

・・・・

 

・・

 

 

 

「お前は私を殺す気か!?」

 

 

玄武のスペルカードの被害で服の所々に焦げ跡が出来ていた。

 

 

「あはははは・・・すまんすまん、なんせ作ったばかりのスペルカードだったからな。」

 

「そんなの使うなよ!?」

 

 

笑いながら言う玄武に怒鳴る魔理沙。

 

充満していた煙が消えフランの姿が見えた。

 

 

「うー・・・お洋服がボロボロ。」

 

 

フランも先ほどのスペルカードのせいで魔理沙と同じようになっていた。

 

 

「あなたたちすごいね。正直ここまで出来なんて思わなかった。」

 

「「それはどうも。」」

 

「ジャアホンキデアソンデモダイジョウブダヨネ。」

 

「「!?」」

 

 

フランの雰囲気が次第に変わり始めた。

 

 

「魔理沙どうやらこっからが本番みたいのようだぜ。」

 

「勘弁してほしいぜ全く。」

 

 

二人は先程までのおちゃらけた雰囲気を消し、真剣な顔つきに変わった。

 

その様子を不気味な笑みをしながらフランは二人を見下ろしていた。

 

 

「コワレテモシラナイカラ。」

 

 

 

霊夢の方は

 

 

レミリアと凄まじい弾幕戦を繰り広げていた。

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・人間のくせにやるじゃない。」

 

「ハァ・・・ハァ・・・巫女を舐めないで欲しいわね。」

 

 

相当戦いが激しかったのか二人共ボロボロなのだが闘志だけは衰えていなかった。

 

二人が弾幕を放とうと手のひらを相手に向けようとしたら

 

 

グラグラグラ

 

 

「「!?」」

 

 

紅魔館全体が揺れたように感じた。

 

 

「どうやら地下の方でもひと騒動起きてるみたいね。」

 

「地下?」

 

「ええ、友人と妹が地下に住んでるからよ。これだけの規模で揺れるってことは妹のほうが暴れ始めたってことかしら。」

 

「まさか!?」

 

「そうあなたの連れが地下に迷いこんで妹に出くわしたってところかしら。」

 

「それがどうしたってゆうのよ。」

 

 

霊夢は嫌な予感を感じていた。

 

 

「貴方の連れ・・・生きていられるかしら。」

 

「理由を聞いてもいいかしら」

 

「私の妹、狂気に取り込まれていてね何でもかんでも壊す癖があるのよ。そのため地下に495年ものあいだ幽閉していたのよ。」

 

 

霊夢がどんな反応するのかレミリアは見ていた。

 

 

「・・・あっそ。」

 

「へ?」

 

 

なんともあっけない返事を返されレミリアは唖然とした。

 

 

「あ、あなたそれ本気なの!自分の連れが殺されるかもしれないっていうのに。」

 

「別に。」

 

 

レミリアは頬を引きつらせた。

 

まさかなんとも思っていないのかとレミリアは思ったが、それは違った。

 

 

「だって心配する必要はないもの。あいつが魔理沙のことをどうにかしてくれると思うし。」

 

「!?・・・美鈴を倒したあの男のことね!」

 

 

もうひとり紅魔館に侵入してきた男のことを思い出した。

 

確かにあの男ならどうにかできるかもしれないとレミリアは思ったが。

 

 

「無駄よ彼をもってしてもフランに勝てるとは思えないわ!?」

 

「あいつを舐めてると痛い目みるわよ。」

 

 

バコーーーーーーン

 

 

「どいてー!?」

 

「「!?」」

 

 

何かが床下から勢いよく飛び出してきた。

 

 

「「へぶっ!」」

 

 

その飛び出してきた何かはレミリアと衝突した。

 

 

「いたた、一体なんなのってフラン!?」

 

「あ、お姉さまここで何してるの?」

 

「それは私のセリフよ!?というよりいきなり床下から出てくるなんて非常識よ。」

 

「しょうがないじゃない!?投げ飛ばされちゃったんだから。」

 

 

レミリアとフランはその場で文句を言い始めた。

 

それからエスカレートしていき、ついには殴り合いになった。

 

 

「妹のくせに生意気よ!」

 

「姉だからって威張るなー!」

 

 

その様子を見ている霊夢のそばにきた人物が二人いた。

 

 

「「霊夢!」」

 

「あら魔理沙に玄武じゃない。魔理沙は無事だった・・とは思えなさそうね。」

 

霊夢は自分と同じくらいボロボロの魔理沙を見ていった。

 

 

「ボロボロになったのはほとんどこいつのせいだから。」

 

 

魔理沙は玄武を指差しながら言った。

 

霊夢はその理由を魔理沙に聞いたところ、玄武のスペルカードに巻き込まれこうなったと。

 

 

「そう災難だったわね。」

 

「やめろよその同情するような目で私を見るなー!?」

 

 

・・・・・・

 

・・・・

 

・・

 

 

「ま、待たせたわね。」

 

 

先程以上にボロボロになったレミリアとフランが三人の前まで降りてきた。

 

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

「吸血鬼である私達をここまで追い込んだ人間はお前たちをのぞいてほかにはいない。」

 

「「「(なんか勝手に言ってるし)」」」

 

 

なんといっていいのかわからず三人は困っていた。

 

 

「お姉様、そんなこと言ってないで早く再開しよう。コワシタクテウズウズシテキチャッタ。」

 

 

また先ほどと同じように狂気に呑まれ始めたフラン。

 

 

「焦っちゃダメよフラン。まだ時間はたっぷりあるのだから。」

 

 

レミリアはフランにそう言い聞かせる。

 

 

「今度は姉妹揃ってか、厄介ね。」

 

「またかよ。」

 

「・・・・・・」

 

 

玄武は吸血鬼姉妹が今度は本気で殺しに来ると判断した。

 

 

「霊夢、魔理沙お前らは下がってろ。」

 

「おいおいいきなり何言い出すんだよ。」

 

「そうよ、私達はまだ戦えるわ。」

 

「霊力と魔力がほとんど残っていないのにか。」

 

「「!?」」

 

そう今の霊夢たちはほとんど力を使い果たしてしまった状態なのだ。

 

「はっきり言うが目の前の二人は確実に殺しに来るぞ。」

 

「「・・・」」

 

「正直、二人を守りながら戦うのは無理がある。だから下がっていて欲しい。」

 

 

玄武の真剣な眼差しを見て霊夢たちはため息を吐きうなづいた。

 

 

「わかったわよ、巻くぞえ喰らわないように隠れとくから。でも・・・」

 

「ゆっくり見物させてもらうからよ。だから・・・」

 

「負けたら許さないわよ。」「負けたら許さねーからな。」

 

 

そう言って離れていった。

 

二人からなんとも厳しー激励を受けた。

 

 

「こりゃ負けられないわ。」

 

 

玄武はレミリアとフランの方に体を向け、二人をにらめつけた。

 

 

「あら?あなた一人で私たちに挑むのかしら。」

 

「そうだが、文句はあるか。」

 

「ないわね。・・・それじゃあ始めましょうか。せいぜい死なないことを祈っておきなさい。」

 

「アハハハハ、アトカタモナクコワシテアゲルネ♪」

 

 

玄武は拳を構えレミリアたちを見据えた。

 

 

「さあ、お仕置きの時間だ。」

 

 

今ここに紅霧異変最後の戦いが起きようとしている。

 

 

 



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紅霧異変 STAGE FINAL

ついに紅霧異変最後の戦いに突入。
それでは気軽に見ていってください。


 

「くっ!なんなのよこの男は!?」

 

「キャハハハハ!スゴイスゴイ!」

 

 

レミリアは有り得ないと思いながら、フランは興味津々にその光景を見ていた。

 

なぜなら

 

 

「だりゃりゃりゃりゃりゃ!」

 

 

玄武は素手で弾幕を叩き落としているのだから。

 

 

「す、素手で弾幕を壊すとは思ってもみなかったけど、流石に動くことはできないみたいね。」

 

 

そう玄武はその場所から一歩も動いていないのだ。

 

その為レミリアはこのままの状況を保つことができれば自分たちの勝ちと判断してしまった。

 

それが玄武の狙いだと気づかずに。

 

 

「むっ」

 

「!・・フラン!」

 

「ハーイ♪」

 

 

玄武の体勢が崩れたのを見たレミリアとフランは好機と思い弾幕を打つのをやめスペルカードを取り出そうとした。

 

しかしレミリアは玄武の表情を見て目を見開いた。

 

なぜなら彼は笑っていたのだから。

 

 

「(しまったこれが狙いだったのね!)」

 

 

自分たちはハメられたことに気づいた。

 

だが今はポケットに入っているスペルカードを取り出している最中なためどうすることもできなかった。

 

 

「気づいたみたいだがもう遅い!『武王烈風掌』」

 

 

両の掌を前に突き出したとたん突風が発生しレミリアとフランを襲った。

 

突風が直撃したレミリアとフランは壁に叩きつけられた。

 

 

「「かはっ!?」」

 

 

壁に叩きつけら意識が飛びそうになったがなんとか二人は耐えた。

 

叩きつけられた壁から抜け出しレミリアとフランは殺気を込めて玄武を睨みつけた。

 

 

「・・・舐めたことしてくくれたわね、人間風情が!?」

 

「モウアヤマッタッテユルサナイカラ!」

 

 

しかしその殺気を込めた視線に玄武は動揺すらしなかった。

 

中指を立て逆に挑発して見せた。

 

 

「ごたくはいいからさっさとかかって来い。ガキンチョども。」

 

 

ブチッ×2

 

 

「「ブチコロス!?」」

 

 

玄武の挑発にまんまと乗せられた二人であった。

 

 

 

霊夢と魔理沙もその光景を見て、頬を引きつらせていた。

 

 

「弾幕を素手で叩き落とすって。」

 

「しかも吸血鬼相手に挑発って。」

 

 

挑発なら自分たちでもできるかもしれないが素手で弾幕を叩き落とすのはさすがに無理である。

 

それをいとも簡単にやってのける彼が何者なのか知りたくなった霊夢と魔理沙。

 

そして玄武たちの方に再び視線を戻すと吸血鬼姉妹が玄武を殴り飛ばした光景が目に入った。

 

 

 

「(くっ一瞬見失ったぞ!?・・・これが吸血鬼のスピードか!)」

 

 

吹き飛ばされながら心の中で愚痴っていた。

 

なんとか体勢を整え用としたがレミリアとフランが追い討ちをかけてきた。

 

 

「アハハハハ、コワレチャエー!?」

 

 

レミリアとフランのスピードに翻弄されいつもどうりの戦いができない状況に追い込まれた玄武。

 

 

「サッキマデノイセイハドウシタノカシラ!」

 

「ハンゲキシテコナキャシンジャウヨー」

 

「(反撃しようにも動きが早くて攻撃が当たらなかったらねぇ!)」

 

 

そう反撃してもレミリアたちの動きが早すぎて攻撃を当てることができないのだ。

 

 

「ウシロガガラアキヨ!・・神槍『スピア・ザ・グングニル』!!」

 

「トンデッチャエ!・・禁忌『レーヴァテイン』!!」

 

 

レミリアは赤い槍を投げ、フランは炎に包まれた剣を振りかぶり玄武に直撃させた。

 

 

「ぐが!」

 

 

その衝撃で玄武は床に叩きつけられた。

 

 

「「玄武!?」」

 

 

霊夢と魔理沙はその光景を見て叫ばずにはいられなかった。

 

 

 

「・・・吸血鬼がここまで強かったなんて思いもよらなかったな。」

 

自分の防御力のおかげでダメージは少ないが今の状況は苦しかった。

 

加減しすぎていた自分の失態だ。

 

ゆっくりと起き上がり、煙で見えないが上から見下ろしているであろうレミリア達に顔を向けた。

 

 

「さてと、久しぶりに本来の戦い方で行きますか。」

 

 

 

――――――――――

 

 

―――――――

 

 

―――

 

 

 

「・・・ナンダカあっけなかったわね。」

 

「マダアソビタリナイヨ、オネエサマ。」

 

「そうね、じゃ次はあそこに隠れている二人かしら。」

 

「サッキノヤツミタイニナラナキャイイケド。」

 

 

レミリアとフランは霊夢と魔理沙に狙いを定めた。

 

それに気づいた二人は迎撃しようとお祓い棒とミニ八卦炉を構えた。

 

 

「今度の狙いはこっちってか。」

 

「やるしかないわね。」

 

 

二人は空を飛び上がろうとした瞬間

 

 

ゾッ

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

今までに感じたことのない殺気が辺りを包み込んだ。

 

四人はその殺気の発生源があの煙の中だと理解した。

 

そして煙が晴れ玄武が姿を現した。

 

 

「そんな・・・馬鹿な・・・」

 

「ナン・・デ」

 

「嘘・・・だろ。」

 

「あり得なわ。」

 

 

玄武の姿を見て絶句した。

 

無傷ではないがあれほど殴られたりスペルカードが直撃したのにも関わらずダメージが少なかった。

 

 

「まだ終わっていないのに無視しないでもらえないか。」

 

「一体どうやって防いだって言うの!?」

 

「防いでなどいないちゃんと直撃したぞ。」

 

「ならどうして!?」

 

「単純に俺の防御力の方が上回っていたってことさ。」

 

「くっ!」

 

「さあ続きを始めよう、言っとくけどさっきまでとは同じようには行かないぞ。覚悟はいいか。」

 

 

気圧されるほどの威圧が解き放たれ、玄武を除いた全員を震え上がらせた。

 

そのせいかフランは恐怖のあまり能力を使用した。

 

 

「こ、壊れちゃえー!?キュッとしてドカン!」

 

 

フランが玄武に向けて手をかざし握り締めたとたん玄武から爆発が起きた。

 

 

「「玄武!」」

 

「そ、そうよフランの能力でだったら簡単に終わらせられる「痛ってーなぁ。」のすっかり忘れて・・・た・・・わ。」

 

 

若干服に焦げ跡ができていたがなんともないように普通に立っていた。

 

 

「私の・・・能力が・・効いて・・・ない。」

 

 

フランは能力が効いていないことに恐怖した。

 

 

「今度はこっちの晩だ。」

 

 

そう言って玄武はスペルカードを発動した。

 

 

「烈火球『プラズマ火球』」

 

ルーミアや美鈴に放ったプラズマ火球とは比べ物にならないほどの大きさのものが発射された。

 

 

「「!?」」

 

 

レミリアとフランはなんとか避けることができたが天井にあたって爆発した時に発生した爆炎と衝撃はどうしようもなかった。

 

そのため避けることができづに喰らってしまった。

 

 

「「きゃあああああああ!!!」」

 

「な、なんて威力してんのよ!」

 

「わ、私のマスパより威力あるんじゃねーか・・・」

 

 

その凄まじい威力に霊夢と魔理沙は震え上がった。

 

 

「まだまだぁ!烈火球『ショット・プラズマ』」

 

 

先程よりも小さいプラズマ火球がレミリアたちに放たれた。

 

 

「熱いのは嫌だから消えちゃえー!禁弾『スターボウブレイク』」

 

 

スペルカードの発動とともに大型の弾幕がプラズマ火球めがけて発射された。

 

弾幕同士がぶつかろうとしたが玄武の一言で覆させられた。

 

 

「ばらけろ!」

 

 

いきなり玄武の弾幕が弾け、フランの弾幕の横を素通りしていきレミリアに迫った。

 

 

「ちっ!紅符『不夜城レッド』」

 

 

レミリアが真紅の十字架に包まれ、迫り来る弾幕をなぎ払った。

 

 

「フラン!物量で攻めるわよ!」

 

「うん、禁忌『フォーオブアカインド』」

 

 

スペルカードが発動するとフランが4人になっていた。

 

 

「分身系のスペルカードか!」

 

「違うよ、分身したんじゃなくて増やしたんだよ。」

 

「ほう、それは便利だな。」

 

 

玄武はそれを聴いて興味がわいた。

 

 

「これだけの人数を相手にできるかしら。」

 

「何人増えようと大して変わらんだろう

 

「!?・・・どうなっても知らないわよ!」

 

「「「「ボコボコニシテアゲルネ。」」」」

 

 

レミリアを含め5人で玄武に殴りかかった。

 

しかし

 

 

「いったはずだ、さっきと同じだと思うなと・・火炎『ブレイズストーム』

 

 

玄武は自分に当たる寸前でスペルカードを発動した。

 

炎の竜巻がレミリアたちをはじき飛ばした。そして追撃として弾幕も放った。

 

 

「くっ!フラン一旦引くわよ。」

 

 

レミリア達は弾幕の当たらない安全地帯まで避難した。

 

 

「効果が切れたら、一斉攻撃よフラン。」

 

 

レミリアはフランにそう告げた。

 

玄武のスペルカードの効果が切れ、弾幕が収まった瞬間。

 

 

「いまよ!?天罰『スターオブダビデ』!!」

 

「禁忌『クランベリートラップ』!!」「禁忌『恋の迷路』!!」「秘弾『そして誰もいなくなるか?』!!」「QED『495年の波紋』!!」

 

 

玄武の視界を埋め尽くす弾幕が放たれた。

 

 

「その作戦は良かったが実戦不足だったな!超烈火球『ハイ・プラズマ』!!」

 

 

スペルが発動し、プラズマ火球と同じくらいの大きさの炎の弾幕が放たれた。

 

 

「たった一発でな止められると思うなー!?」

 

 

そうレミリアは叫んだ。

 

だが弾幕同士がぶつかったとたん、信じられない光景が目に入った。

 

 

「そんな・・・これでも・・・ダメなんて。」

 

 

目に映ったのは、自分たちの弾幕を破壊しながらこちらに向かってくる炎の塊。

 

二人共逃げようとしたがもう遅かった。

 

既に目の前まで迫っていたのだから。

 

そして弾幕が直撃した。

 

 

「「きゃああああああ!!!」」

 

 

爆炎の中で二人の悲鳴が響き渡った。

 

そして二人はその衝撃で気絶し、墜落した。

 

それを見越していたのか玄武が二人の落下場所に待機していた。

 

 

「ほいほいっと。」

 

 

二人を難なく受け止め床に降り立った。

 

玄武は二人を床に寝かせ、自分も座り込んだ。

 

 

「おーい、大丈夫かー!」

 

 

霊夢と魔理沙が玄武のとこまで飛んできた。

 

 

「すごかったぜ。」

 

「なかなかやるじゃない。」

 

「当たり前だろ二人と約束したからな。」

 

 

玄武は笑いながら霊夢と魔理沙に言った。

 

 

「で・・このあとどうすんだ?」

 

「この子達が起きるのを待つか、あとはほかの人が来る「お嬢様!?」っと噂をすればってか。」

 

 

玄武達のところに咲夜とパチュリーが近づいてきた。

 

 

「その様子だと」

 

 

パチュリーはあたり一面と二人の状態を見て玄武に聞いてきた。

 

「ああ、俺たちの勝ちだ。」

 

 




次回は紅霧異変後のおはなしになります。
これからも頑張って書いていくので応援よろしくお願いします。


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異変後

紅霧異変最後の話です。
少々面白い展開が含まれていますのでお楽しみに。


 

「そのすまんかったな。」

 

「「「「へ?」」」」

 

いきなり玄武が誤ってきたことにレミリア達は呆然としてしまった。

 

「ちょっと玄武!?なんであんたが誤ってんのよ!?」

 

「そうだぜ!?」

 

 

霊夢と魔理沙が玄武に問い詰める。

 

だが玄武は聞き入れなかった。

 

 

「これはけじめなんだよ。男としての」

 

 

なぜこんなことになっているかというと

 

 

話は数時間前に遡る

 

 

「ん・・・ここは・・・」

 

 

目を開けると星空が見えた。

 

ん?・・・星空?

 

 

ガバッ

 

 

「あ」

 

 

部屋の壁は半壊し天井に至っては全壊していた。

 

 

「わ、私の紅魔館が・・・あ、あははは」

 

 

もう笑うしかできなかった。

 

ふと私はあることに気づいた。

 

私と一緒にあの男と戦っていた妹はどこにいった?

 

 

「フランを探しいかな「むにゃむにゃ」い・・と・・」

 

 

私は自分の横を見てみると妹が寝ていた。

 

 

「よかった・・・フラン。」

 

 

私は寝ているフランの頭を撫でた。

 

 

「んあ?・・・おねーさま・・・どうしたの?」

 

 

まだ妹は寝ぼけているらしい。

 

 

「なんでもないわ。」

 

 

私はフランに笑っていった。

 

 

「?」

 

 

咲夜を呼ぼおとしたら。

 

 

「おー起きたのか。」

 

「「!?」」

 

 

この声は私たちと戦っていた男の声だと気づき、その方に顔を向けると

 

 

「「・・・・」」

 

 

私達は彼の姿を見て思考が止まった。

 

白いシャツに紺色のダボダボのズボンを履き黄色いヘルメットを被っていた。

 

しかも丁寧に安全第一と書かれて。

 

・・・なんでだろう違和感がまるでないのは。っというより似合いすぎて思わずて見惚れてしまいかけたわ!

 

 

「どうした?俺の顔になにかついてるのか?」

 

「え?・・な、なんでもないわよ///。(なにげに似合ってたなんて言えないわ!)」

 

「あなたの格好なんだか似合ってるね♪」

 

「そうかありがとうな。」

 

「「//////」」

 

 

その笑顔は反則よー。

 

横を見るとフランも顔を赤くしてうつむいていた。

 

くっなんて恐ろしい男なの。

 

 

「な、なぜその格好をしているのかしら。」

 

「ああ、今壊れたとこの修復をするの手伝ってんだよ。」

 

「・・・なるほどそれでその格好なのね。」

 

 

ようやく彼の格好に理由があることがわかった。

 

 

「そうそう全員テラスに集まってるから。」

 

「全員ってことはあの紅白の巫女と黒白の魔法使いも一緒なのかしら?」

 

「ああ、二人もいるよ。」

 

「じゃあ私たちも行きましょうか。フラン行くわよ。」

 

「はーい、お姉様。」

 

 

そう言ってフランは彼によじ登り肩に脚を引っ掛けた。

 

なぜに肩車なのかしら?

 

 

「それじゃレッツゴー!」

 

 

彼はフランを乗っけたまま歩き出したって!

 

 

「私を置いていくなー!?」

 

 

私は彼のあとを追いかけた。

 

 

 

――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

テラスについたレミリア達は椅子に待っていた人たちのところに来た。

 

 

「レミィにフラン・・・なかなか起きてこなくて心配したわ」

 

「お嬢様、妹様、ご無事でなによりです。」

 

「ありがとう二人共、充分休ませてもらったからもう大丈夫よ。」

 

「えへへ、もうどこも痛くないから大丈夫だよ。」

 

「そう、それは良かったわ。」

 

 

パチュリーの顔は本で隠れていたが嬉しそうだったのは声で分かったし咲夜も笑っていた。

 

 

「なんで私たちまで・・・」

 

「いいじゃんかよ霊夢。」

 

「そうだぞこれから大事な話をしないといけないのにお前がいないでどうする。」

 

 

いつの間にか玄武も来ていた。(しかもいつもの服に着替え)

 

 

「いつ来たのよ。」

 

「・・・霊夢気にしていたらキリがないぜ。」

 

 

なんとなく玄武の理不尽さがわかってきた魔理沙であった。

 

 

「それじゃあ全員集まったことで話し合いを始める前に俺から一言ある。」

 

 

彼の言ったことを聞いて全員彼に顔を向けた。

 

 

 

*そして冒頭に映る

 

 

 

「正直言ってここまでするつもりはなかったんだけど、自分でもやりすぎたって思ってる。」

 

「そ、それはそうだけど、なぜあなたが謝るのよ。異変を起こしたのは私なのよ。」

 

「その異変も元はといえば妹のために起こし異変なんだろ。」

 

「・・・え・・」

 

「!・・・いつ気づいていたの」

 

「気づいたのはついさっきだけどな。」

 

 

あははと笑う玄武。

 

 

「どうやって気づいたのかしら。」

 

「なに妹と一緒に戦ってる時のあんたの顔すごく嬉しそうだったぞ。」

 

「そ、そんなに顔に出てたの?」

 

「ああ」

 

 

今の話を聞いていたフランはレミリアに聴いてみた。

 

 

「お姉様今の話ってほんとなの?」

 

「フラン・・・」

 

 

レミリアは話そうか迷ったが意を決して話した。

 

 

「ええ今の話はほんとよ。あの紅い霧を出したのはもう一度あなたと一緒にこの空を飛んでみたかったから。」

 

「・・・・・・」

 

「ごめんなさいね。あなたに今まで辛い思いをさせて。」

 

 

それを聞いてフランはレミリアに抱きついた。

 

 

「ううん、さっきの言葉が聞けただけでお姉様の気持ちわかったから。私のこと思っててくれたこと。」

 

 

その様子を見ていた玄武。

 

それがさとりとこいしが重なって見えた気がした。

 

 

「(いつかあの二人もこうなったらいいな。)」

 

 

そう願わずにはいられなかった玄武であった。

 

 

 

「それでどうするんだ?」

 

「私たちの負けでいいわ、霧の方も出さないと約束するわ。」

 

「それを聞けて安心した。」

 

 

椅子から立ち上がり玄武は先程の続きをやりに行こうとしていた。

 

 

「あなたの名前教えてくれないかしら。」

 

 

名前を教えていなかったことすっかり忘れていた玄武。

 

 

「そういや言ってなかったけ、俺は亀山 玄武だ。」

 

そう言って手を前にだした。

 

 

「これからもよろしくな吸血鬼の「レミリアよ。」「フランだよ。」レミリアにフランか。」

 

 

玄武は二人に近づき頭をワシャワシャとなでた。

 

 

「な、何すんのよ!髪が痛むでしょ!」

 

「えへへ撫でられちゃった。」

 

「そんじゃ!」

 

 

そう言って玄武はまた作業に戻っていった。

 

 

「なんだか破天荒な人だったねお姉様。」

 

「ええ、でもそれが彼の魅力じゃないかしら。」

 

「そうだね。」

 

 

二人で笑ったあとレミリアは立ち上がった。

 

 

「さあ、私達も彼の手伝いに行くわよ。」

 

「はーい。」

 

「はい。お嬢様」

 

「仕方ないわね。」

 

 

紅魔館が心が一つになった瞬間であった。

 

 

「私ら・・・忘れられてないか霊夢。」

 

「ええ、やっぱ帰ってればよかったわ。」

 

「私もだぜ。」

 

「ほらあなたたちも手伝いなさい。」

 

 

何故か霊夢と魔理沙にも伝えと言ってくるレミリア。

 

二人は互いの顔を見たあと

 

 

「「ハァ・・・」」

 

 

盛大なため息を吐いた。

 

 




次回からは2章の閑話に移ります。


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2章 妖々夢編
真の姿


今回から2章の始まり


 

 

紅魔館の修復が終わり地底に戻ってきた玄武はそのまま地霊殿まで足を運んだ。

 

 

「ただいまー。」

 

 

シーーーン

 

 

「あれ?誰もいないのか」

 

 

玄武は不思議に思いながら足を勧めた。

 

 

「おーい。誰かいないのか。」

 

 

叫んでみても返事がなかった。

 

 

「・・・おかしいペットたちの鳴き声がしない。」

 

 

そういつもだったらペットの犬や猫の鳴き声がするがそれが全然しない。

 

 

「何かあったのか・・・」

 

 

玄武は早足になり、リビングに向かった。

 

 

 

――――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

リビングの扉の前まで来た玄武は扉を開けて中に入る。

 

しかしリビングは真っ暗だったので明かりをつけようとした。

 

その途端

 

 

パーン

 

パパーン

 

 

「!?」

 

 

音ともに明かりが点いた為、その方に顔を向けると

 

さとり達がクラッカーを持って立っていた。

 

 

「「「「異変解決おめでとー!!!!」」」」

 

「へ?」

 

「ささ、お兄さんはここに座って。」

 

「ほら早く座わらないと始められないよー!」

 

「あ、ああ。」

 

 

言われた通りに椅子に座る玄武。

 

 

「それでは玄武さんが異変を解決して帰ってきたので宴会を始めたいと思います。」

 

 

さとりがそう言うと四人がグラスを持ったのを見たので玄武もグラスを持った。

 

 

「それでは・・・乾杯!」

 

「「「乾杯!」」」

 

「か、乾杯。」

 

 

グラスに入ったワインを少し飲んだあとさとりと玄武を除いた三人は早速ご飯を食べ始めた。

 

宴会が始まって数分経ってようやく玄武は落ち着くことができたのでさとりに訪ねた。

 

 

「さとり、これは一体なんなんだ?」

 

「何って異変解決の宴会に決まってるじゃないですか。」

 

「解決したことを知らせてもいないのになんでわかったんだ?」

 

 

玄武は疑問に思ったことを言った。

 

するとさとりは笑顔でこう答えた。

 

 

「信じてましたから。きっと玄武さんなら解決していると。」

 

 

さとりの笑顔を見て玄武は顔を赤くした。そしてそれを見られないように顔を背けた。

 

 

「あれ~お兄さん顔が赤いよ。」

 

「ホントホント真っ赤だー!」

 

 

お燐とこいしがニヤニヤしながら見ていた。

 

 

「み、見るなよ。」

 

 

少々テンパっている玄武を見たさとりは

 

 

「(ふふ・・玄武さんが慌ててるところを見たのは初めてですね。)」

 

 

そう心の中でつぶやいていた。

 

お空とはというと

 

 

「ムグ、ムグ、ムグ」

 

 

ご飯を食べるのに夢中であった。

 

玄武も落ち着きご飯を食べているとさとりが皿を持って近づいてきた。

 

 

「あの玄武さんこれ私が作ったのですけど・・・」

 

「お、うまそうだな!いただきます。」

 

 

パクッ

 

 

「!?・・・うまいなこれ。」

 

「よかったー玄武さんの口にあって・・・まだまだあるんで食べてください。」

 

「ほんとかありがとうなさとり美味しくいただかせてもらうよ。」

 

 

その様子をお燐とこいしはご飯を食べながら二人の様子を見ていた。

 

 

「「でぇきてるぅ」」

 

 

何故か巻き舌にして言っていた。

 

しかし玄武とさとりにはそれは聞こえなかったらしい。

 

そのあとどこからか宴会のことを嗅ぎつけて勇儀がパルスィ達を連れ宴会に乱入し、大いに盛り上がった。

 

 

 

地霊殿で行われた宴会から一週間が経った。

 

 

現在、玄武とさとりはアトランティスに来ていた。

 

 

「おっ!いい感じに育ってるじゃないか・・・この大根。」

 

「玄武さんこちらのキャベツも収穫してもいい具合に育ってますよ。」

 

 

玄武とさとりはアトランティスの地下にある野菜育成地区で野菜を収穫していた。

 

なぜここ来ているのかというと、以前さとりと約束したことを実行するためである。

 

 

「しかし久しぶりに使うなぁこの施設。」

 

「どれくらい使用していないんですか。」

 

 

玄武はさとりに尋ねられたので答えた。

 

 

「うーん俺が眠りに入ってからだからざっと1万2千年くらいかな。」

 

 

大昔過ぎて思い出せず玄武は曖昧に答えた。

 

 

「その間この施設はどうしてたんですか?」

 

「コンピュータが管理してくれてたんだ。」

 

「へぇーそうなんですか。」

 

「まぁ今は俺が管理してるけど。」

 

 

話しながらも次々と野菜や果物を収穫している玄武とさとり。

 

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・

 

 

「野菜や果物はこれくらいでいいだろう。」

 

「次はなんですか。」

 

「肉と魚かな。」

 

「魚ですか?」

 

 

ん?さとりは魚って知らなかったっけ?

 

 

「知ってはいますが、片手で数えるくらいしか食べたことがないので。」

 

 

そういや幻想郷は魚って手に入りにくいからな。

 

 

「だったらうんと美味しい魚料理を振舞わないとな。もちろんほかの料理も。」

 

「それは楽しみです。」

 

「それじゃあ生け簀の方に行こうか。」

 

「はい。」

 

 

俺達は生け簀の方に歩き始めた。

 

数分くらい歩いて目的の場所に到着した。

 

 

「これが生け簀ですか?」

 

 

俺たちの目の前には一幅2,30mくらいの生け簀がたくさんあった。

 

 

「わぁ魚っていろんな種類がいるんですね!」

 

 

さとりがしゃがみこんで生け簀の中を覗き込み、いろいろな種類の魚を見て驚いていた。

 

その様子を俺は後ろから見ていた。

 

 

「(こうしてみてみると年相応の少女にしか見えないよなぁ。)」

 

 

俺は目をキラキラ輝かせてはしゃいでいるさとりを見てそう思った。

 

 

「玄武さん、あれはなんていう魚ですか。」

 

「あれはな・・・・・・」

 

 

それから数分後

 

 

「すみません時間を取らせてしまって・・・。」

 

 

恥ずかしくて私は顔を赤くしうつむいてしまった。

 

 

「なにまだ時間はあるから大丈夫だ。」

 

「そ、そうですね。早く魚をとって次に行きましょう。」

 

 

恥ずかしさを誤魔化す様に私は生け簀に顔を向ける。

 

 

「さ、魚ってどうやってとるんですか?」

 

「(うーん網や竿はボロボロで用意できなかったから・・・“あれ”しかないよな。しかし“あれ”を見せてだいじょうぶか心配だ。)」

 

「(“あれ”とは何でしょうか?・・・それに見せるとはどういうことでしょう)」

 

 

玄武さんは私に何を隠しているの?――気になります。

 

それに今は玄武さんの心が見えません。それだけ見せたくないものなのでしょうか?

 

玄武さんは何か決心した様子で私の方に顔を向けた。

 

 

「さとり・・・ほかのみんなには今だけ内緒な。」

 

「え?」

 

 

そう言ったとたん玄武さんは炎に包まれた。

 

 

「玄武さん!?」

 

 

私は近づこうと試みたが炎が邪魔をして近づくことができなかった。

 

そして彼を被っていた炎が消えその中から現れた3mくらいの何かを見て目を見開いた。

 

緑の目に険しい顔つき

 

顎から生えている大きな二本の牙

 

玄武さんの髪型を思わせるようなトサカ

 

強靭な腕と足、

 

鱗のように重なり合った形状の甲羅。

 

正しく黒い亀がそこにいた。

 

 

「ゴアア(これが俺の本当の姿だ。)」

 

 

彼の鳴き声が響き渡った。

 

 



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二人の想い

「これが・・・玄武さんの本来の姿。」

 

 

いきなりこの姿見せたのはまずかったかもしれないと思った玄武。

 

以前、月に移る前の月の民を助けたことがあったときは、相当怖がられたからだ。

 

それゆえにさとりはどう思っているんだろうか怖かった。

 

 

「・・・格好良い・・・」

 

「(・・・ん?)」

 

「・・・あの格好良いと思いますよ。その姿。」

 

「(ええええっ!この姿が格好良いって・・・)」

 

「どうしたんですか?」

 

「グオオオ(いや、この姿になって怖がれることほうが多かったが、格好良いと言われたのは初めてだ。)」

 

「確かに顔はちょっと怖いですね。」

 

「グウウ・・・(やっぱり・・・)」

 

 

玄武としてはさとりにもそう思われていたのは少々ショックだった。

 

たしかに顔が怖いのはそういう設定なのだから仕方ないかもしれない。

 

玄武はそのことで落ち込んでしまったが

 

 

「でも私はそう思わないんであまり落ち込まないでください。」

 

 

さとりがそう言ってくれるだけでもありがたいと玄武は思った。

 

 

「それでその姿になってどうするんですか?」

 

「グオー(潜るんだよ。)」

 

「潜るといっても息がそう長くは続かないと思いますよ。」

 

「ガウ(大丈夫だ。この姿だったら1万年くらい息継ぎしなくても平気だから。)」

 

「・・・生物としてそれはありなんですか。」

 

「ゴアアアア(生物として逸脱した存在だからな俺は。)」

 

 

ごく普通に言う玄武であったが

 

 

「グガアアア(ちなみに俺の心臓は熱エネルギー変換炉とも言われていて常に900℃前後の熱量で機能している。)」

 

「・・・非常識な存在の私が言うのもなんですがそれ以上の非常識ですね玄武さんは。」

 

「・・・ギャウ(・・・自分でもそう思ってるからあまり言わんといて。)」

 

「す、すみません。」

 

とてつもなく重い空気が張り詰めた。

 

「グ、グガア(そ、それじゃあ行ってくるから。)」

 

「あ、待ってください玄武さん。」

 

玄武は水の中に潜っていった。

 

 

 

「私以上に非常識・・・だなんて言ってしまったんでしょうか。」

 

 

私はなんであんなことを言ってしまったのか後悔していた。

 

あんなこと言われれば誰だって傷つくに決まっている。

 

そう思うと心が痛くてしょうがなかった。

 

まして彼は一度たりとも種族や能力に関係なく接してくれていたというのに。

 

だから私は彼に謝りたい。“ごめんなさい”と一言言いたかった。

 

 

ゴポゴポゴポ

 

 

水面に気泡が発生しているが見えた。

 

そして

 

ザッバーン

 

彼が戻ってきた。

 

大量の魚を両腕に抱えて。

 

陸に上がった彼は地面に魚を起き、人型に戻った。

 

私はその場で彼に向かって走り出した。

 

 

「フー大量大量っとこれくらいあればな〈ドン〉うおっと、ん?・・さとりどうしたんだ?」

 

「・・・めん・・さい」

 

「?」

 

「ごめんなさい・・ごめんなさい。」

 

「!?・・・さとりもしかしてさっきのこと気にしていたのか?」

 

「だって!酷い事言ったんですよ私は!」

 

「俺は別に気にしてないから。」

 

「でも!」

 

「俺はなこの非常識の力に感謝もしてるんだよ。」

 

 

なんでそんなことを言うのか意味がわからなかった。

 

 

「この力がなければあいつらを殲滅することはできなかったし・・・なにより。」

 

 

私は顔を上げて彼の顔を見たら笑っていた。

 

 

「さとり達にも会えたことが嬉しかった。」

 

「!?」

 

「もしこの力がなかったら俺は生きていないし、ましてやさとりたちも存在していたかわからない。」

 

「・・玄武さん。」

 

「だからそんなに自分を責めないでくれ。」

 

 

玄武さんは私を抱きしめてくれた。

 

この人の優しさはすべてを包み込んでくれる暖かさがあって心地よかった。

 

自分のことよりも他人のことを優先してしまうのは玄武さんの悪い癖だが今だけは嬉しかった。

 

マイナス思考だった私の心は彼のおかげで落ち着くことができた。

 

そうですね、玄武さんがこの星を守ってくれたおかげで今はこうして暮らしていけてることを。

 

 

「もう少しこのままでいいですか。」

 

「ああ、さとりの気が済むまでこうしててあげるから。」

 

「・・・ありがとうございます。」

 

 

私はこの人を好きになってよかった。

 

だから今日、彼に私の気持ちを打ち明けようと決心した。

 

 

 

 

「「「ご馳走様ー。」」」

 

「御馳走様でした。」

 

 

私達は玄武さんの作った料理を堪能していました。

 

その料理がとても美味しく女として敗北感がありましたが彼の方が料理歴が長いので致しかたないと思いました。

 

 

「いかがだったかな、今回の料理は。」

 

「美味しかったです。特に魚料理は絶品でした。」

 

「また食べたいなぁ。」

 

「うにゃー、今度は違う魚料理が食べたい。」

 

「うにゅう、お腹いっぱい。」

 

「それは良かったよ。」

 

 

玄武さんは笑顔でそう言いました。

 

そのあと玄武さんは食器などをキッチンの水道まで運び、洗い始めた。

 

ちまみに私も手伝っています。

 

 

「今日はありがとうございます。」

 

「約束していたことだからな。」

 

「今度私にも料理を教えてくれますか。」

 

「さとりは料理できるだろ?」

 

「もっと上手くなりたいんです。玄武さんのように。」

 

「成程、それくらいだったらお安い御用だ。」

 

「ありがとうございます。・・・あの玄武さん。」

 

「何だい?」

 

「あとでお話があるので私の部屋に来ていただけますか?」

 

「さとりの部屋だな。あとで行くよ。」

 

 

私は真剣な表情をして玄武さんに言いました。

 

 

「待ってますから。絶対来てくださいね。」

 

 

 

―――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

俺は今さとりの部屋に向かって歩いている。

 

理由はさとりに部屋に来て欲しいと言われたからである。

 

それもとても真剣な顔で。

 

 

「・・・初めて見たよなさとりのあんな真剣な表情は。」

 

 

っと考え事しているうちにさとりの部屋の前まで来ていた。

 

コンコン

 

俺は部屋のドアをノックした。

 

 

「はいどうぞ中に入ってください。」

 

 

さとりの返事が返ってきたため俺は部屋の中に入った。

 

部屋の中に入るとさとりはベットの端に腰掛けていた。

 

 

「お待ちしてました。」

 

 

俺はさとりに近づき、呼んだ理由を聞こう横に座った。

 

 

「で、俺に話したいことってなんだ。」

 

「私の想っていることを正直に話そうと思いまして。」

 

「正直な想いって?」

 

 

さとりが顔を上げて潤んだ瞳で俺を見た。

 

 

「私は・・・貴方のことが・・・好き・・なんです。」

 

 

恥ずかしさもあったのか声は小さかったがさとりの思いが込められた声でもあった。

 

 

「玄武さんは私のことをどう思っているのですか。」

 

「お、おれは・・・その・・・なんていうか。」

 

 

それを言われてさすがの俺も告白されたのが初めてだったためどう答えていいのかわからなかった。

 

俺はさとりに目を向けると

 

小刻みに震えているのが見えた。

 

どれほどの勇気を振り絞って言ったのか俺でもわかった。

 

だから俺もこれまでのことを思い返してみることにした。

 

 

俺は生まれた時からいつもひとりだった。

 

 

でも幻想郷に来てから一人ではなかった。

 

 

常にさとりがそばにいてくれた。地霊殿のみんながいてくれた。

 

 

彼女がそばにいると落ち着くし、なにより嬉しい自分がいた。

 

 

彼女と出会ったことで俺は大きく変われたのかもしれない。

 

 

いや変わったんだと思う。

 

 

他人を思いやる気持ちが芽生えたんだと思う。

 

 

そうか俺は出会った時からさとりに惹かれていたんだと気づいた。

 

 

だから地霊殿から離れたくなかったんだ。

 

 

「なんだ、もう答えがあったんじゃないか。」

 

「玄武・・・さん?」

 

「さとり、俺も正直に答えるよ。」

 

 

俺は自分の気持ちを彼女にぶつけた。

 

 

「俺も君のことが好きだ。」

 

 

さとりは目を見開いて俺を見ていた。

 

 

「本当・・・ですか?」

 

「ホントだ。」

 

「嘘じゃないんですよね。」

 

「心を読んで見てもいいんだよ。」

 

「あなた気持ちは全部分っています。でもあなたの口からもう一度聞きたいです。」

 

「こんな種族もわからないような俺だけど、それでも俺のそばにいて欲しい。

 

 だから俺と付き合って欲しい。君のことが好きだから(君のことが好きだから。)」

 

 

さとりは俺の真っ直ぐな気持ちを聴き、涙を流しながら抱きついてきた。

 

 

「玄武・・・さん。(あなたとだったらいつまでも一緒に居られ居られるような気がします。)」

 

「(安心しろ俺はどこにもいかないし離れたりしないからずっとそばにいてやる。)」

 

「!?・・・はい、もう離さないで。」

 

「約束する。」

 

 

さとりは抱きついていた俺から離れ、俺の目の前にたった。

 

 

「これからもよろしくお願いします、玄武さん。」

 

 

さとりは今までに見たことがない笑顔で笑いかけてきた。

 

 

「ああよろしく。」

 

 




次回、さとりの身に大変な事が起こります。


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覚醒と修行

今回は、さとりを魔改造するお話です。


互の気持ちを伝え合い、両思いになったあとこいし達に自分たちが付き合い始めたことを伝えた。

 

その時のこいしとお燐の表情は、当然だというような顔つきだった。

 

まぁお空は分かっていなかったようですが、三人がおめでとうと言ってくれて嬉しかった。

 

時たま二人で旧都に買い物に行くと、周りから声を変えられるようになってきた。

 

前までは私の能力のせいで誰も近寄ってこなかったが、今では玄武さんのおかげで旧都の方々が優し接してきてくれる。

 

それが心の底から接してきているのがわかって嬉しかった。

 

これも玄武さんが旧都の方々に“能力や種族というだけで忌み嫌わないで欲しい”と

 

土下座までして旧都の方々を説得してくれたおかげだ。

 

ほんと彼には感謝の言葉しか浮かび上がりませんでした。

 

そんなこんなで付き合い始めてから2週間が経った時に私の体にある変化が訪れました。

 

 

 

 

ピピピ

 

ピピピ

 

ピピピ

 

 

「ん・・うぅん・・・」

 

 

目覚ましの音がなり、私は起床しました。

 

すぐには意識が覚醒せず、ぼぅっとしていますが2,3分経ってようやく意識が覚醒します。

 

 

「いつも通りに起きれましたね。」

 

 

私はベットから降り、洗面所に顔を洗いに行ったが、とても信じられないことが起きた。

 

 

「早く顔を洗って朝食〈メギャグシャ〉の準備をし・・・ない・・と。」

 

 

なんとも形容し難い音が手元から聞こえたので視線を下げると私は固まってしまった。

 

 

「え・・・」

 

 

なんと洗面所のドアノブを握りつぶしていたのですから。

 

ど、どうなっているんでしょうか!私っていつから怪力キャラになったのですか!

 

 

コンコン

 

 

ビクッ

 

 

「さとり起きてるかー」

 

 

げ、玄武さんが来てしまいました。ど、どうしましょう。

 

私はテンパり過ぎで困り果てていたが次の瞬間、バキャという音とともにドアノブを引っこ抜いてしまいました。

 

私はそれを見て悲鳴を上げてしまいました。

 

 

――――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

 

さとりを呼びに来たのに一向に返事がない。

 

まだ寝ているのかと思っていた瞬間。

 

バキャという音がしたあと

 

 

「イヤーーーーーー!」

 

 

というさとりの悲鳴が聞こえた。

 

 

「さとり!?」

 

 

俺は急いで部屋の中に入り洗面所のドアの前で座り込んでいるさとりの側に寄った。

 

 

「さとりだいじょう・・・ぶ・・・か。」

 

 

俺は見てしまった。

 

さとりの手には拉げて引きちぎられたあとのあるドアノブが握られていたのを。

 

 

「げ、玄武さん、わ、私どうなっちゃったんでしょうか。」

 

 

そう言ってさとりが顔をこちらに向けると、俺はびっくりした。

 

 

「さ、さとり!その右目どうしたんだ!」

 

「え・・・右目ですか?」

 

 

さとりは部屋に備えてあった鏡で顔を見た瞬間、目を見開いて驚いていた。

 

 

「玄武さんと同じ色・・」

 

 

そうさとりの右目が俺の瞳と翡翠色になっていたんだ。

 

 

「どういうことですか、私の目の色は真紅のはずです。」

 

 

俺はさとりの体に何かが起こっているのを理解した。

 

もしそれがあれに関係しているとしたら。

 

 

「さとり、覚えているか大怪我したときのこと。」

 

「ええ、覚えていますけどそれがどうしたんですか。」

 

「あの時さとりは死にかけたが今ではこうして元気なのは理由があるんで。」

 

「理由ですか?」

 

「正直言うのが辛かったが、実はあの時アトランティスには輸血用のちは一滴も残っていなかったんだ。」

 

 

それを言った瞬間さとりはわかったような表情をしていた。

 

 

「そ、それじゃあ!私に輸血された血というのは!」

 

「ああ、俺の・・・血だ。」

 

「!?」

 

「済まない早く言っておくべきだった。」

 

 

俺はさとりに誤った。でもこれで許してくれるとは思えない。

 

 

「玄武さん、顔を上げてください。」

 

 

俺は恐る恐る顔を上げると、さとりは笑って俺を抱きしめてくれた。

 

 

「ありがとう、きちんと言ってくれて・・・そして私を生かしてくれて。」

 

「!?」

 

「玄武さんの血のおかげで私は生きていられるんですから、落ち込まないでください。」

 

「・・・」

 

「だからお願いがあります。私に力の使い方を教えてください。」

 

「・・・さとり。」

 

「私にもあなたを守る力が欲しいから、あなたの隣で一緒に戦いたいから。だからお願いします。」

 

 

さとりは頭を下げ、俺にお願いしてきた。

 

さとりの想いは本物だとわかった。だから俺は本格的にさとりに力の使い方を教えることにした。

 

 

修行一日目

 

 

私達はアトランティスの訓練所に来ています。

 

ちなみに私の右目はコンタクト?というものでバレないようにしています。

 

まぁ話を戻しますと、最初の訓練はマナを感じ取り、自分の体に取り込んだあとプラズマエネルギーに変換することから始めます。

 

これができなければ、力をコントロールするのは難しいらしいので。

 

以前彼に教えてもらっていたので簡単だと思っていましたが、認識が甘すぎました。

 

世界からマナを感じ取るのは簡単にできるのですが、取り込んでプラズマエネルギーに変換するのができない状態なのです。

 

玄武さん曰く、私にはもともと妖力があるため、マナを取り込もうとすると反発しあい上手くいかないのだとか。

 

だから妖力と反発させずにマナを取り込みプラズマエネルギーに変換することができれば、今まで以上の力を発揮できると。

 

だから私は玄武さんの指示に従いながら、訓練に励みました。

 

ちなみに妖力は使えないように封じ込めています。

 

 

修行三日目

 

 

修行開始から3日が過ぎましたが一向にうまくいきません。

 

玄武さんも一緒に考えてくれてはいますが、行き詰った状態です。

 

 

「何かいい方法はないか。」

 

「なんでしたら調べてみませんか、お手本になるようなのが見つかるかもしれませんし。」

 

「そうだな。」

 

カタカタカタ

 

「なかなかいいのが見つからないなー。」

 

「玄武さん、これなんてどうでしょうか?」

 

「うん?どれどれ・・・へぇさとりが修得しようとしているのに似ているな。」

 

 

私たちはとある漫画の技術を参考することにした。

 

自分たちで多少アレンジしてやってみたところホンの少しだけですがうまくいきました。

 

それでもあまり力は変わらなかったですけど、やっと先に進むことができて私は嬉しかった。

 

 

修行5日目

 

 

5日目になると、マナを取り込む量も増えてプラズマエネルギーに変換することも慣れてきました。

 

玄武さんからは第一段階は終了とのことで、次のステップに移ることになりました。

 

第二段階は、動きながらマナを取り込みプラズマエネルギーに変換すること。

 

これができるようになれば無尽蔵にエネルギーを扱えるようになるとか。

 

玄武さんも常にマナを取り込みながら戦っているので、エネルギー切れを起こすことはないらしい。

 

 

「ジョギングですか?」

 

「今回の修行は動きながらマナを取り込んでエネルギーに変換することだからね。これが一番いいんだよ。」

 

「ほ、ほんとにするんですか。」

 

「うん」

 

 

うう、運動は苦手なのですが致し方ありません。

 

 

修行10日目

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

 

「だ、大丈夫か?」

 

 

ふ、ふふ、ここまで自分が貧弱だとは思いませんでしたよ!

 

ジョギングしてわずか10分で息切れを起こすって、自分の体力の無さに悲しくなりましたよ。

 

一緒にジョギングしてくれた玄武さんに申し訳ありません。

 

それに比べて動きながらでもマナを取り込むことはできるようになりましたが。

 

次の段階に行くには、スタミナがが必要だということなのでこれから毎日ジョギングをするようにと言われました。

 

がんばりますよー。

 

 

修行1ヶ月後

 

 

修行10日目の頃に比べてかなりのスタミナがつきました。

 

今では2時間ジョギングしても平気になりましたし、意識せずにマナを取り込みエネルギーに変換できるようになりました。

 

これで次の段階に進めますね。

 

 

「さてこれまでの修行でスタミナと動きながらエネルギーに変換する技術を身につけた。

 

 

 ここからが本格的な修行に移るぞ。」

 

 

「どんな修行をするんですか。」

 

「俺とひたすら組手をすることだ。」

 

「・・・・・・」

 

 

私は血の気が引いた。

 

玄武さんと組手?

 

あははははは、何それ美味しいの?って感じなんですけど!

 

玄武さんの血のおかげで鬼と同じくらいの力になりましたけど、玄武さん本人の力は鬼すら超えてるんですよ!

 

しかも玄武さんは金剛石よりも硬いじゃないですか!

 

 

「さとり、おーい・・・」

 

「はっ!な、なんですか。」

 

「そろそろ始めようと思うんだが、準備はいいか。」

 

「うう、お、お手柔らかにお願いしますね。」

 

 

 

そんなこんなでさらにひと月の時間が流れた。

 

 

 

バシッ

 

ビュッ

 

ブォン

 

 

「ハアッ!」

 

「早々その調子だ!どんどん打ち込んで来い。」

 

「もとよりそのつもりです!」

 

「うおっ!?」

 

「まだです!『武王双撃掌・烈火』」

 

「何!?」

 

 

さとりは両腕に炎を纏わせ、掌底を繰り出した。

 

 

ドカァッ

 

 

「ブハッ」

 

「やあああ!」

 

 

さらにもう片方で追撃をしかけた。

 

 

ドガッ

 

 

ドコーーーン

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・どう・・・ですか。」

 

「うん、合格。」

 

「や、やっと終わりました。」

 

「最後のはびっくりしたぞ。いつ覚えたんだ。」

 

「玄武さんの心を読んだ時に少しずつ覚えていきました。」

 

 

少し卑怯だと玄武は思った。

 

 

「でも完全には再現できていません。なのでこれからもご指導お願いしますね、玄武さん。」

 

「了解」

 

「それときちんとやり遂げてみせたんですからなにかご褒美が欲しいなぁ。」

 

「ご褒美ねぇ、まあここ二ヶ月修行ばっかだったし、明日どっかでかけるか、勿論二人っきりで。」

 

「約束ですよ。」

 

 

二人はそのまま寝転びながら、話をしていたがいつの間にか疲れて二人とも眠ってしまった。

 

 

 

幻想郷のとある場所

 

 

「・・・準備の方はどう?」

 

「はい、少しずつではありますが集まってきています。」

 

「そう、でもこれだけじゃ足りないわ。・・・集めてきなさい。」

 

「わかりました。・・・様の願いのため、この・・・必ずやり遂げてみせます。」

 

「お願いね。」

 

 

新たな異変が始まろうとしていた。




さあ、次回から春雪異変始まります。


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外の世界と新たな異変

 

 

「これが・・・外の世界・・・」

 

 

玄武はさとりを連れて外の世界にやってきた。

 

デートする場所が地底だけっていうのもありきたりすぎるという理由で、

 

外の世界を満喫しようとアトランティスの転移装置を使用してやってきたのである。

 

 

「すごいんですね外の世界とは。」

 

 

さとりは初めて見るものがたくさんある為、辺りを見渡している。(ちなみにさとりはサードアイを外しています。)

 

 

「ほら、さとり移動するぞ。」

 

「あ!待ってください。」

 

 

玄武とさとりは街中を歩いている。しかも二人は腕を組んで。

 

 

「♪」

 

「嬉しそうだな。」

 

「だって・・玄武さんと久しぶりのデートなんですから。」

 

「今日は俺のおごりだから好きなモノを買うといいよ。」

 

「ほんとですか!?そうですね最初は服を見てみたいです。」

 

「服ね。えーっとこの辺りにあるのか?」

 

 

そう言って玄武は自作の携帯電話を取り出し調べ始めた。

 

調べ始めて2分位で服屋の情報を見つけた。

 

 

「お!この近くにあるみたいだしそこに行ってみようか。」

 

「はい!ふふ楽しみです♪」

 

 

二人はその服屋に向けて歩き出した。

 

 

 

「・・・結構大きな店なんだな・・・」

 

「・・・はい・・・」

 

 

玄武とさとりはお店の中に入ると、その雰囲気に圧倒されていた。

 

 

「きゅ、旧都の服屋とは比べ物になりませんね。」

 

「・・・ああ、かなりの品揃えだな。」

 

 

かつて現代人であった玄武でさえも驚く程の品揃えだった。

 

 

「こ、この中から好きなもの選んできていいんですよね。」

 

「ああ。」

 

「じゃあ選んできますね。」

 

 

そういってさとりは嬉しそうに服を選びに行った。

 

そして玄武も自分の服を見にメンズコーナーに向かった。

 

 

 

あれから何着か服を選んだ俺は籠に服を入れてさとりを探していた。

 

一通り探しては見たが見つからなかった。

 

 

「どこいったんだ、さとりは。」

 

 

俺はもう一度探しに行こうとしたら後ろから声が聞こえた。

 

 

「玄武さんここにいたんですね、探しましたよ。」

 

「さとり、どこに行ってた・・・ん・・・だ。」

 

 

俺が後ろを振り返り見たのは、大量の服が入っている籠を両手に持ったさとりだった。

 

ちょっと待て!多すぎじゃねぇ。

 

確かに好きなだけ選んでいいって言ったがこれは。

 

 

「やっぱり選びすぎでしょうか。」

 

「まぁ選びすぎだけど、自分で言ってしまったからな・・・仕方ない。」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

そのあとなんだが俺たちは試着室に来ているんだ。

 

ちなみにさとりがいま試着室の中にいる。

 

そろそろ着替え終わった頃かな。

 

 

「あ、あの似合っているでしょうか?」

 

 

試着室からいつもと違う服を着たさとりが出てきた。

 

 

「・・・ああ、凄くに似合ってるぞ・・・」

 

 

俺は完全に見惚れていた。

 

違う服を着ただけでこんなに変わるものなのか。

 

まぁさとりはかわいいからな。

 

その後自分で選んだ服を着て俺に嬉しそうに見せてくるさとりを見て、来てよかったと思った。

 

手痛い出費はあったが。

 

 

 

「次にどこ行くんだ?」

 

 

さとりの買った荷物を両手に持ちながら玄武はさとりに訪ねた。

 

ちなみさとりはというと先程買った服に着替えた状態である。(ちなみに玄武もである)

 

 

「えっとですね・・・玄武さんにとってきつい場所ですので、ここで待ってていただけますか。」

 

 

さとりがそう言ってきたもんだから玄武は疑問に思った。

 

 

「俺にとってきつい場所?」

 

「玄武さんというよりも男性がっというのが正しいです。」

 

 

玄武はさとりの言ったことを理解することができた。

 

 

「成程、確かに男だったらきつい場所だな。」

 

「はい、ですので・・・」

 

「わかった、ここで待ってるから行ってきな。」

 

「じ、時間が掛かるかもしれないですけどなるべく早く戻ってきますから。」

 

 

そう言ってさとりは目的の場所に向かっていった。

 

 

「さとりが戻ってくるまで待っているか。」

 

 

1時間くらい経ったあと玄武はさとりを迎えに行こうとしたが、さとりが荷物を持って走ってきているのが見えた。

 

 

「す、すみません、時間がかかってしまって。」

 

「気にすることはない、それよりもお腹すいていないか。」

 

「え?」

 

 

玄武が時計を指差していたのでさとりは時計に目を向けると12時を少し過ぎていた。

 

 

「もうこんな時間だったんですね。」

 

「だからどこか食べに行かないか。」

 

 

 

―――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

 

「ふーうまかったな。」

 

「ほんとに美味しかったですね。」

 

 

先ほどの洋服店より数分離れたところのお店で食事を済ませた二人は街の中を歩いていた。

 

もちろん荷物は転移装置で先に地霊殿に送ったので何も持っていない。

 

その為さとりは周りのことを気にせず玄武に腕を組んで歩いていた。

 

その様子を羨ましそうに眺めている人たちの視線が二人に注がれていた。

 

なんとも居心地が悪くなった二人は急ぎ足でその場をあとにした。

 

逃げるようにその場を離れた二人は近くの公園のベンチに座り息を整えていた。

 

 

「な、なんだったんだあの感じはまるで・・・パルスィーを相手にしている雰囲気だったぞ!」

 

「ええ、私もそう思います。」

 

「そ、そろそろ・・・幻想郷に戻るか。」

 

「そうですね、時間的にもいい頃ですし。」

 

 

そうして二人は、誰にも見られないところに移動し、アトランティスに転移してから幻想郷に戻っていった。

 

 

 

玄武とさとりは転送装置から出て地底に戻ってきた瞬間、何とも言えないような違和感を感じた。

 

しかし二人は、気のせいだろうと思いそのまま地霊殿に帰っていった。

 

 

「「ただいま。」」

 

 

二人は地霊殿に帰り着き、リビングに足を運んだらこいしがおやつを食べながらテレビを見ていた。

 

「おかえりーってお姉ちゃん達どうしたのその格好?」

 

「これですか?実は玄武さんと外の世界を満喫してきてその時に買った服です。」

 

「えーおねえちゃんだけずるいよ。」

 

 

こいしはぶぅと不貞腐れていた。

 

 

「まぁまぁこいし今度は連れてってやるから。」

 

「ほんと!約束だよ。」

 

「ああ」

 

「わぁーい♪」

 

 

嬉しそうにスキップしながらこいしはリビングを出ていった。

 

 

「いいんですかあんな約束してしまって。」

 

「まぁ何とかするさ。」

 

 

そう言ってリビングのソファーに座り、さとりも座るように自分の横を叩いていた。

 

それを見たさとりは微笑んだあと玄武の隣に座り、肩に頭を乗せた。

 

 

「今日はありがとうございました。すごく楽しい一日でした。」

 

「そう言ってくれると嬉しい限りだ。」

 

「約束通り今度はみんなで行きましょうね。」

 

「ああ」

 

 

そうして二人は疲れていたのか寝息を立て眠っていた。

 

そのあと様子を見にきたお燐がその光景を見て、嬉しそうにしていたのは彼女だけのひみつである。

 

 

その翌日

 

 

玄武とさとりは朝起きた瞬間、昨日感じた雰囲気を感じたのであった。しかも今度ははっきりと。

 

そのため二人は朝から真剣な雰囲気だった為、こいし達は何とも言えない状況で戸惑っていた。

 

そして二人はさとりの自室に入り、話を始めた。

 

 

「さとりも気がついているか?」

 

「ええ、昨日感じたのは嘘ではなかったってことですね。」

 

「ああ、しかも気づいているのは俺達だけってことだ。」

 

「私たち二人の共通点といえば・・・」

 

「マナを感知できるという点だな。」

 

「となれば・・・やはり。」

 

「ああ、異変が起きている。それもこの幻想郷の環境に影響を与えるほどの異変が・・・」

 

「では・・・」

 

「ああ、また行ってやるさ。異変を解決にな・・・だからさとりはここでサポートを頼むな。」

 

「わかりました。気をつけてくださいね。」

 

「じゃあ、行ってくる。」

 

 

そう言って玄武は地霊殿から飛び出し地上に向けて飛んでいった。

 

 

そして動き出したのは彼や異変の首謀者だけではなかった。

 

 

幻想郷のどこかにある屋敷

 

そこに女性が一人座っていた。

 

 

「・・・守備はどう?」

 

 

そこにもうひとりの女性が現れた。

 

 

「はい、予定通りあの方は異変を起こしました。」

 

「わかったわ。で彼のことなにかわかった?」

 

「これといって・・・わかったのは名前くらいであとは何も・・・」

 

「そう、ありがとう。」

 

「いえ、これも式の勤めです。」

 

「彼は今度の異変にも出てくると思う?」

 

「それは何とも言えませんが・・・おそらくは。」

 

「その時は私たちも出るわよ。・・・彼が何者であるか確かめる為に。」

 

「御意に。」

 

 

そう言って女性はその場をあとにした。

 

そしてその場に残った女性は虚空を見つめてこういった。

 

 

「さて、あなたが何者なのか・・・見極めさせてもらうは・・・亀山 玄武。」

 

 

 

 




今回の話の中でさとりと玄武の服装が変わったシーンがありますがこうなっています。
さとりは頭に耳あて付けのニット帽をかぶり、トップスは赤いハートのロゴが入った白のTシャツの上に水色のフード付きのパーカー、ボトムスはピンクのショートパンツという格好。
玄武はトップスが七分袖の紺のシャツに白のTシャツ、ボトムスは黒のジーパンという格好です。


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春雪異変 STAGE 1 前編

投稿が遅れて申し訳ありません。
今回の話を作成していたら長くなってしまったので前編後編に分けてました。



自分で作った穴を通り地上に出た玄武は、その光景に驚愕していた。

 

辺りを見渡せば雪景色が広がっており、今も空から雪が降り続いている状態だ。

 

 

「・・・おい、もう3月のはずだぞ。それなのに何故雪が降っているんだ。」

 

 

そうなのだ今は三月、春の季節のはずなのに未だに雪が降っているのだからおかしい思い、目を瞑りマナの状況を探っていた。

 

 

「マナの流れが乱れている・・・それに春度もほとんど感じられない。それになんだこのまとわりつくような念は、今回の異変の主は一体何をしたいんだ・・・」

 

 

微々たるものではあるが怨念のようなものも感じた。そして今回の異変はただ事ではないと玄武は判断した。

 

それゆえに早急に異変を解決せねば大変なことになる為、急いでこのことを霊夢たちにも知らせようと玄武は博麗神社に向かう。

 

博麗神社に向かう途中で魔理沙と遭遇したあと現在一緒に博麗神社に向かっている最中で魔理沙は玄武に話しかけ。。

 

 

「なぁ・・・紅霧異変以降お前何してたんだ?」

 

「うん?ただ普通に暮らしてたが。」

 

「そうじゃなくて、今までどこに居たって聞いてんの!」

 

「・・・(これは言えないからな)外の世界だよ。俺はもともとそっちから来たんだからな。」

 

 

玄武は今住んでいるところが地底であるため教えることができないから嘘をつくしかなかった。

 

 

「そ、そうだったのか・・・どおりで探しても見つからなかったのか。」

 

 

心配で損したというような顔をして魔理沙は落ち込んでいた。

 

しかし玄武はその様子を気にもせず飛んでいたため、ため息を吐いた。

 

 

「・・・はぁ・・・ホントに何者なんだお前って?っていうよりどうやって外の世界と行き来してるんだ・・・」

 

「ふっ・・・それは秘密だ。」

 

 

そう言って玄武は飛ぶスピードを上げ先に行ってしまった。

 

 

「あ!ちょっと待て話はまだ終わってねぇぞ!」

 

 

魔理沙もスピードを上げて玄武のあとを追いかけた。

 

 

 

博麗神社についた二人は境内に降り、霊夢がいるであろう住まいに歩いて向かった。

 

住居の縁側に来た二人は縁側から上がり、ふすまを開けたら思いもよらぬ光景が目に入った。

 

 

「Zzzz・・・Zzzz・・・Zzzz・・・」

 

 

そう霊夢はコタツに入って熟睡していた。

 

その様子を見た魔理沙は呆れていていた。

 

 

「・・・異変が起こってるってのに寝てるとは思いもよらなかっだぜ。」

 

「・・・(怒)」

 

 

玄武に至っては額に青筋を浮かべていた。

 

しかもコキンと指の骨を鳴らしながら霊夢に近づこうとしていたのが目に入った魔理沙は、

 

玄武を止めようと駆け寄った。

 

 

「ま、待てって玄武!気持ちはわかるが、ここはこらえてくれ頼む!」

 

「・・・止めるな魔理沙、こっちは急いでいるんだ・・・」

 

「(こ、恐わいんですけど・・・目が据わっててマジで恐えー!頼むから霊夢起きてくれー!!!!)」

 

 

魔理沙は心の中で叫びまくった。

 

 

「・・・うるさいわね~。」

 

 

そんな声が後ろから聞こえてきたため魔理沙は後ろに顔を向けると、霊夢が起き上がっているのが目に入った。

 

 

「れ、霊夢!起きてくれたか(助かったぁー)」

 

「ん~?なによあんたらいつ来たのよ・・・っていうか何しに来たのよ。」

 

「・・・早く支度をしろ・・・異変を解決しに行くぞ・・・」

 

 

そう言って玄武は部屋の外に出ていった。

 

 

「何かあったのアイツ・・・ものすごく不機嫌だったけど?」

 

「・・・多分お前が原因だろ。」

 

「?」

 

 

 

お祓い棒に御札、スペルカードを持ったのを確認した霊夢は玄武と魔理沙の近くに駆け寄った。

 

 

「・・・準備は出来たのか・・・」

 

「ええ」

 

「なら行くぞ・・・少しでも時間が惜しいからな。」

 

 

そう言って玄武は飛び立っていった。

 

 

「ちょっと!?待ちなさいよ!」「私らを置いていくなぁ!」

 

二人は慌てて玄武の跡を追いかけるように飛び出した。

 

何とか玄武に追いつくことができた二人は愚痴を言っていた。

 

 

「玄武、どうしたんだよ。お前らしくないぜ。」

 

「ホントよ前の異変は冷静な判断で行動してたのに今日はなんだか焦ってるみたいに感じがするわ。」

 

 

玄武は二人にそう言われ、早く異変を終わらすことしか頭になかったことに気づかされた。

 

 

「・・・そうだな、少し焦っていたのは確かだな。済まない二人共。」

 

 

落ち着く事が出来いつもの玄武に戻った。

 

 

「どうやらいつものあんたに戻ったわね。」

 

「やっぱ玄武はこうでなくちゃな。」

 

「で、あんたが急いでた理由って何?それだけは教えなさい。」

 

 

玄武は二人に事情を話し始めた。

 

 

「今回の異変は一味違う。何か良からぬ事が起きようとしているのは間違いない。それに・・・」

 

「「それに」」

 

「下手したら幻想郷だけじゃない外の世界にまで影響が及ぶかもしれん。」

 

「「!?」」

 

 

まさか幻想郷だけでなく外の世界にも影響が出るといわれ二人は驚愕のあまり目を見開いた。

 

 

「・・・あんたが急いでた理由はわかったわ。」

 

「ああ、ほおっておいたら取り返しがつかなくなるぜ。」

 

 

二人は玄武が焦っていた理由がわかると納得した表情をしていた。

 

 

「で・・・これからどうするんだ?」

 

「そうね時間も限られてるし、できればもう少し戦力が欲しいところね。」

 

「異変の中心点が分かればさらにいいんだがな。」

 

 

玄武と霊夢はどうしたらいいものかと考えていたら、魔理沙が話しかけてきた。

 

 

「だったらいい場所があるぜ。」

 

 

魔理沙はにかっと笑ってそう言った。

 

 

 

「ここだぜ。」

 

「確かに調べ物をするにはうってつけの場所だ。」

 

「それに戦力もね。」

 

 

そう玄武たちが来たのは紅魔館だった。

 

 

「よーしじゃ行こう!」

 

 

魔理沙はいつものように侵入しようとしたが、

 

玄武と霊夢に止められた。

 

 

「待て魔理沙、今回はこちらは頼む方いわば客なんだぞきちんとアポを取らなくては。」

 

「玄武の言うとおりよ。我慢なさい。」

 

「ちぇ・・・わかったよ・・・」

 

 

魔理沙が納得したのを確認すると玄武達は門まで足を運んだ。

 

門まで来たのはいいのだが、これはこれで困った状況になっていた。

 

 

「・・・変わらないな・・・」

 

「いつもどうりだぜコイツは。」

 

「こんなんでいいのかしら、門番って・・・」

 

 

美鈴はいつのものごとく居眠りをしていた。

 

 

「Zzzz・・・Zzzz・・・Zzzz・・・」

 

「・・・玄武、お願い・・・」

 

「一発かましたれ。」

 

「はぁ・・・」

 

 

二人にそう言われため息を吐きながら美鈴に近づく玄武。

 

 

「・・・まぁこれも寝てる方が悪いからな。恨むなよ・・・」

 

 

すっと手を美鈴の額に持っていきデコピンの構えを取った。

 

 

ブパーーーーーーーーーーン

 

 

「いぎゃーーーーーー!!!!」

 

 

デコピンをかました時の音もすごいのだが美鈴の叫び声もすごかった。

 

ものすごく痛そうに額を抑えながらのたうち回っている美鈴を見て、霊夢と魔理沙は絶対にくらいたくないと思った。

 

 

「ううっ・・・異変の時もそうでしたけどなんでデコピンなんですか!?」

 

「この方が起こしやすいから」

 

 

ガボーーーン

 

 

「・・・ものすごく安直な理由ですね・・・」

 

「いいだろ、手っ取り早く済んで。」

 

「今度からはしないでくださいね。」

 

「だったら居眠りしないようにするんだな。」

 

「・・・はい・・・ところで今日はどんな御用ですか?」

 

 

気を取り直して美鈴は理由を聞いてきた。

 

 

「少しレミリアに話があってな、アポは取れるか?」

 

「少々お待ちください。いま連絡を取ってみ「その必要はないわ。」るのでって咲夜さん。」

 

 

この場に紅魔館のメイド長である咲夜がいきなり現れた。

 

 

「ご苦労さま美鈴、それといらっしゃいお嬢様がお待ちよ。」

 

「私たちが来ることはわかってたみたいね。」

 

「ええ、流石に彼も一緒だったとは思わなかったけどね。(やはり彼にはお嬢様の力が効いてないのね。)」

 

「それよりも案内してくれるんでしょ。だったらさっさとレミリアのところに行くわよ。」

 

「それでは私のあとについてきて・・・あとはよろしく頼むわ美鈴・・・寝たらどうなるかわかっているわね。」

 

 

咲夜はナイフを取り出し美鈴を威嚇していた。

 

 

「は、はい~~。」

 

 

美鈴は自分がどうなるのか予想し、絶対に寝ないようにと心に誓い、門の前にたった。

 

それを見届けた咲夜は玄武たちを連れて紅魔館の中に入っていった。

 

 

 

―――――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

「いらっしゃい霊夢に魔理沙、それに玄武も久しぶりね。」

 

 

椅子に座りながらレミリアは挨拶をしてきた。

 

 

「よく言うわどうせ能力で私たちが来るように操ったんでしょうが・・・」

 

「確かに霊夢と魔理沙はそうだけど、彼は操ることができなかったわ・・・というより運命さえ見えなかったのよ。」

 

 

レミリアの能力は『運命を操る程度の能力』、相手の運命を操ることはできるがせいぜいきっかけとなる運命しか操れない。

 

あと未来予知もできるようなのだが、任意で未来を予知することはできず夢という形で時たま見られるぐらいである。

 

すごいのかすごくないのかなんとも曖昧な能力なのである。

 

 

「やっぱあんたって規格外ね。」

 

 

霊夢は玄武を見ながらそう言った。

 

 

「もう慣れてるからな。」

 

「おいおい、今はそんな話いてる場合じゃないぜ。」

 

「そうだった、レミリア今回の異変を解決するのに紅魔館の力を借りたい。」

 

「というよりも図書館を使いたいのと咲夜を貸してほしいってことでしょう。」

 

「よくわかったな。」

 

「今回の異変はただことではないって感じただけよ。」

 

 

レミリアは真剣な顔つきをして窓の外を眺めていた。

 

 

「あなたの見解を聴かせてくれる?」

 

「・・・今回の異変は外の世界にまで被害が及ぶかもしれない。」

 

「「!?」」

 

「それに―――」

 

「「「「それに?」」」」

 

「・・・嫌なんでもない、おそらく思い過ごしだと思うから。」

 

 

玄武はこの時、かつての宿敵のことが頭に過ぎった。それがなぜ今になって頭に浮かんだのかわ分からないが、

 

もし卵が残っていたとしたら―――卵!?

 

 

「(くそ!なんで卵のことを忘れていたんだ!?もし異変と重なったら被害が格段に上がる!)」

 

 

こうしてはいられないと玄歩は想い、レミリアに話しかけた。

 

 

「レミリア、いま図書館は使えるか。」

 

 

レミリアは玄武の顔を見た瞬間、脳裏に何らかの映像が浮かんだ。

 

 

「!?・・・咲夜、案内してあげて。それと彼らについてって異変を解決してきなさい。」

 

「わかりましたお嬢様。それと図書館まで案内しますので私のあとについてきてください。」

 

 

玄武達は咲夜のあとに続き部屋を出ていった。

 

一人部屋に残ったレミリアは先ほど脳裏に浮かんだもののことを考えていた。

 

 

「・・・あれは何だったのかしら・・・」

 

 

 

「いらっしゃいレミィから話は伺ってるわ・・・それとそこの泥棒は本を持っていこうとするな!っていうか返せ!」

 

「きちんと返すさ、私が死んでからな。」

 

「読み終わったら返しなさいよ!」

 

 

図書館に来て早々パチュリーと魔理沙の喧嘩が勃発し始めたが玄武、霊夢、咲夜は二人のことをほおっておき調査を開始していた。

 

そして近くで本の整理をしていた赤い髪の少女に玄武は話しかけた。

 

 

「小悪魔だったかな幻想郷の歴史がわかる本と地図を持ってきてくれないか。」

 

 

玄歩はパチュリーの使い魔である小悪魔に話しかけ必要なものを持ってくるように頼んだ。

 

 

「歴史書と地図ですね、少し時間がかかりますがお持ちいたしますね。」

 

 

そう言って本を探しに行ってくれた。

 

 

「なんで歴史書と地図なわけ?」

 

「そうね。」

 

 

霊夢と咲夜は疑問に思った。

 

 

「それは二つが揃ってから話す。」

 

 

10分後

 

 

「すみません時間がかかってしまいましたが、両方とも持ってきました。」

 

 

小悪魔は数冊の本と大きな地図を持ってきた。

 

 

「いや、これだけ広い図書館で10分くらいで探し出せたんだからそれはすごいと思うが。」

 

「ありがとうございます。仕事がまだ残っているので資料はココに置いておきますね。」

 

 

小悪魔は近くのテーブルに持ってきた歴史書と地図を置いて仕事に戻っていった。

 

 

「よし始めるとするか。」

 

 

玄武は机に近づき、地図と歴史書を広げ始めた。

 

 

「何を調べてるの?」

 

「幻想郷の主な地区を調べてるんだよ。霊夢大体でいいから答えてくれるか。」

 

「ええ、確か人里、魔法の森、妖怪の山、マヨイガ、あとは紅魔館くらいしか知らないわね。」

 

「俺も霊夢の今言った地区はわかっている・・・でも俺はほかにもあるんじゃないかと思っているんだ。」

 

「成程、じゃあ私と咲夜はこの本からその区域に住んでるやつを見つければいいのね。」

 

「ああ、俺は異変の中心点を調べるからそっちは頼んだぞ。」

 

「了解、咲夜。」

 

「ええ、お嬢様の期待に応えないと。」

 

 

二人は作業を開始した。

 

 

「俺も始めるとしますか。」

 

 

そして玄武も紐の先端に結晶をくくりつけたモノを取り出し地図の上に垂らした。

 

 

「少し古いやり方だが調べるならこれが一番だな。」

 

 

――――――

 

――――

 

――

 

 

「ここでもないか・・・くそ!時間が限られてるってのに・・・」

 

 

異変の中心点を調べては見たが一向に見つからなかった。

 

 

「これだけ探しても見つからない一体どうしたらいいんだ。」

 

 

俺が途方にくれ始めたとき、タイミングよくさとりから交信を受けた。

 

 

《玄武さん》

 

《さとりか、どうしたんだ?》

 

《実は私の方でも独自に調べてみたのですが・・・おそらく冥界が関わっていると思います。》

 

《冥界?幻想郷には冥界が存在しているのか》

 

《はい、知っている者はごく僅かでそれぞれの場所の代表だけに知らされています。私もそのひとりです。》

 

そうかさとりは地底の代表だもんな。

 

《だが今回の異変と冥界にどんな関係があるのだ?接点があるようには思えない。》

 

《それがそうでもないんです。そういえばいま地上部分はほとんど春度が存在してませんよね。》

 

《ああ、殆ど残っていない。》

 

《いいですか冥界には西行妖と呼ばれる桜の木が封印されていると聞いたことがあります。おそらくこの桜に春度を取られていると考えられます。》

 

《つまり誰かがその桜の木に春度を集めてるってことか》

 

《その誰かですがたぶん冥界の関係者だと私は思います。》

 

《ありがとうなさとり、ここまで調べてくれて。事の次第がわかったらまた連絡するから。》

 

《はい、気をつけてくださいね。》

 

 

さとりとの交信を終え、霊夢たちのところに俺は向かった。

 

 

 



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春雪異変 STAGE 1 後編

後編は少し短めです。


さとりとの交信が終わったあと俺は霊夢と咲夜のもとにやってきた。

 

 

「霊夢、咲夜何かわかったか。」

 

「ええ、収穫はあったわ。」

 

 

霊夢がそう言いながらある本をを俺に見せてきた。

 

 

「幻想郷縁起?」

 

「幻想郷の妖怪や主要人物の詳細が書かれている書物だそうです。」

 

「それの42ページを開いてみて。」

 

「42ページだな。」

 

パラパラパラ

 

「えっと・・・」

 

 

霊夢が言ったページを開き、その内容を読んでいくと先ほどさとりと交信した時に聞いた内容と同じようなものがいくつか書かれていた。

 

 

「白玉楼、それに亡霊姫に庭師か・・・俺の仕入れた情報も冥界が関係していた、今回の異変の中心点は冥界だ。」

 

 

俺がみんなに聞こえるように言った。

 

 

「よし、それじゃあ行こうぜ、冥界に。」

 

「「「・・・」」」

 

 

出かける準備万端という体勢の魔理沙がいつの間にか俺たちに加わっていた。

 

ほぉ手伝いもせずに魔道書をあさくってた奴がノコノコと現れるとは・・・

 

 

「仕置じゃボケェーーーー(怒)!」

 

「ぎゃあああああーーーーーー」

 

 

俺は魔理沙の頭を掴みアイアンクローを食らわせた。

 

多少恨みを込めて。

 

そして気絶させた魔理沙を投げ捨て、俺たちは図書館から退出した。

 

 

「ま、待って・・・く・・れ(ガクッ)。」

 

 

――――

 

―――

 

――

 

霊夢と咲夜を連れ紅魔館をあとにした俺たちは現在霧の湖の上を飛行中。

 

 

「ねぇ魔理沙おいてきちゃったけど大丈夫なの?」

 

「心配はいらんと思うぞ。」

 

 

俺が親指を後ろの方に向けた。

 

ものすごい勢いで俺たちを追いかけてくる魔理沙の姿が映った。

 

 

「げぇぇぇぇんーーーーーーぶぅぅぅぅ!!!!!」

 

 

おーものすごい怒りようだな。

 

そして俺たちに追いついた魔理沙は俺を掴んできた。

 

 

「よくも置いてってくれたなぁ!それにさっきから頭が痛くてたまんないんだよどうしてくれんだ!」

 

「アイアンクローは手伝わなかったお前へのお仕置きだ。」

 

「そうね、あれは仕事を手伝わなかった魔理沙が悪いわ。」

 

「自業自得ね。(今度彼に図書館の警備をたのもうかしら。)」

 

「うっ・・・手伝わなかったのは悪かったよ、でも置いてくことはないだろ。」

 

「時間が惜しかったし、それに・・・」

 

 

俺は話を中断し前方に視線を向けた。

 

 

「邪魔をしてくる者もいるからな。」

 

「あら気づいていたの。」

 

 

そこに俺たち以外の人影が現れた。

 

 

「妖怪ね、それも冬の。」

 

「レティ・ホワイトロックよ。よろしく。」

 

「あたいもいるんだからね。」

 

 

なんであのバカ妖精までいるんだ?まぁどうでもいいか。

 

 

「気をつけろよ皆・・・この二人、今の気候のせいで力が上がってるはずだ。まぁ氷精は大した事はないと思うが。」

 

「なによそんなこと言うあんたの方が大した事ないんじゃないの!前も戦わなかったくせに!」

 

「それにあなたはそこにいるメンツで一番力が弱そうですしね。」

 

 

そういや力抑えてたっけそれのせいで弱く見えるのか舐められたもんだな。

 

よかろう現実の厳しさってやつを教えてやるか。見た目で判断したらどうなるのか

 

 

「・・・だったら二人まとめて相手をしようじゃないか。」

 

 

少し力を解放しながらレティとチルノに目線を向ける。

 

 

「「ひっ!?」」

 

 

オーオー怯えてらぁ・・・まぁレミリアくらいの力を放出してるからな。

 

 

「三人とも離れとけ、やけどしても知らねぇからな。」

 

 

霊夢たちに言ったが既に離れたあとだった。

 

 

「さて、始めようか。」

 

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

「あいつら終わったな。」

 

「ええ、よりにも寄って私たちの中で一番の実力者に喧嘩売ったんだから。」

 

「そういえば気になっていたんだけど、彼って何者なのかしら。」

 

「知らないわ。」「知らねぇぜ。」

 

「はぁ!?知らないのによく一緒にいられるわね!?」

 

 

咲夜は二人が言ったことに驚いていた。

 

まさか知りもしない人物と行動していたのだから。

 

 

「別にこれから知っていけばいいじゃない。」

 

「そうそう焦ることはないと思うぜ。」

 

「・・・あなたたちってマイペースすぎるわ。」

 

 

咲夜が呆れて果てていたとき、あたりが急に暑くなりだした。

 

三人がある一点に顔を向けると特大のプラズマ火球が放たれようとしていた。

 

それを見た三人は静かに十字を切った。

 

そしてそれは発射された。

 

 

「いやーーーーーーー!!!!」

 

「溶けるーーーーーー!!!!」

 

 

ピチューーーーーーン×2

 

 

「相変わらず凄まじい威力ね。」

 

「見ろよ湖に直撃したせいで水蒸気が立ちこんで周りが見えない。」

 

 

そこに弾幕ごっこを終えた玄武が戻ってきた。

 

 

「お帰り、そういやあの二人は?」

 

「ああ、あそこ。」

 

 

玄武は下に指をさした。

 

指のさした方に霊夢たちは顔を向けたら、プカプカと湖の上に浮かんでいる二人を見つけた。

 

三人はそれを頬を引きつらせてこう思った。

 

なにげに酷いと。

 

そんなことを気にせず玄武は既に上空目指して先に進んでいた。

 

それを見た三人は慌てて玄武のあとを追いかけていった。

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

「熱を操る程度の能力ねぇ、なんだか普通の能力ね。」

 

「なんだよもっとすごい能力を想像してたのにがっかりだぜ。」

 

「案外バカにできないだぞ俺の能力は、例えば大気中に存在している熱または熱エネルギーを吸収し、炎に変換し操ることができるがそれだけじゃない、大気中の水分から熱を取り除けば凝結させて氷を発生させることができるし、逆に大気中に過剰な熱を与えれば風を発生させることもできる。最近じゃあ水も操れるようになったからまだまだ発展途上中の能力だよ。」

 

「「「・・・」」」

 

 

三人はそれを聞いて言葉が出なかった。

 

複数の属性を操れるのは魔法使いくらいだと思っていたがまさかたった一つの能力で操れるとは思わなかった。

 

 

「あーあと俺は霊力や魔力なんていっさいつかってないぞ。」

 

「はぁ!?だったらどうやって能力使ってるんだよ。」

 

「それは秘密だ。」

 

「なんでなのよ。教えなさいよ」

 

「盗み聞きしているのがそこにいるからな。」

 

 

玄武が上空を見上げたら声が聴こえてきた。

 

 

「あややや、気づかれてしまいましたね。」

 

 

そこに黒い羽を携えた少女が玄武たちに近づいてきた。

 

その人物を見て霊夢と魔理沙はめんどくさそうな顔をしていた。

 

玄武は霊夢と魔理沙の表情を見て厄介ごとだと悟った。

 

 

「どうも清く正しい幻想郷の文屋、射命丸 文です。」

 

「・・・天狗がなんのようなの」

 

 

霊夢が射命丸になぜここにいるのか理由を聴いた。

 

 

「スクープの匂いがしましてここら辺を飛んでたら霧の湖から煙が上がってたので駆けつけてきたら

知らない男性が弾幕ごっこしていたのいい記事が書けると思ったのであとをつけていました。」

 

「このあとも着いてくるつもりなのか?」

 

「もちろん!今回の異変のことを詳しく書きたいので最後まで付き合いますよ。」

 

 

それを聞いて霊夢、魔理沙、咲夜は勘弁して欲しいと思っていたが玄武は射命丸と初対面だったので彼女の性格を把握しきれず、いつも通りに対応してしまった。

 

 

「まぁ邪魔しないのであればご自由にどうぞ・・・」

 

 

玄武が言ったことに対して霊夢たちはこの世が終わったような顔をし、逆に射命丸は喜んでいた。

 

その時の霊夢たちの気持ちはそのまま帰りたいと思ったそうだ。

 

こうして玄武たちは射命丸を味方?に加え、異変を解決しに先に進むことにした。

 

 

 

後に射命丸を連れて行くんじゃなかったと後悔することになるとは玄武は思っていなかったらしい。

 

 



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春雪異変 STAGE 2

なかなか小説を投稿することができずすみません。
それでは続きをどうぞ。


一方的ないじめにしか見えなかった弾幕ごっこでレティとチルノを撃退した玄武達は異変の中心点である白玉楼目指して現在、霧の湖を抜け魔法の森の上を飛行していた。

 

しかし気温が低いせいか玄武以外は寒さのせいで普段通りの動きができずいつもよりも飛行スピードが遅かった。

 

 

「うーっ寒い、こんだけ着込んでもまだ寒い・・・これじゃー凍えちまうよ。」

 

「・・・なんでうちの神社の巫女服はこんなのかしらね、寒くて仕方ないわ。」

 

「防寒具がマフラーだけにしたのは失敗だったみたいわね。」

 

「・・・こ、これも新聞のため、なんですが寒くて取材に身が入りません。」

 

 

やはり今の寒さは玄武以外にはとてもきつい様子だった。

 

玄武は今の状況を見て、どうにかしないといけないと感じたための能力を使用することにした。

 

 

「あり?なんだか急に暖かくなったぞ。」

 

「ホントですね体の中からポカポカして来てますね。」

 

 

自分の体が急に暖かくなったことに疑問に感じたが、今の現象を引き起こした人物に心当たりがあり、その人物に視線を移した。

 

 

「補助程度だがこれで暖かくなったはずだ。」

 

「ありがと、玄武。」

 

「サンキューやっぱこういう時は役に立つよな!」

 

「ありがとうこれでいつもどおりに動こけるわ。」

 

「ありがとうございますねこれで取材に集中できます。」

 

 

玄武のおかげで元気を取り戻した4人は、玄武にお礼を言った。

 

 

 

―――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

 

そろそろ魔法の森を抜けるところまで進んだ玄武たちはこのあたりで少々休息をとっていた。

 

霊夢たちはどのルートを通っていくか話し合っていた。

 

しかし玄武は霊夢たちの会話に参加せずあたりを警戒していた。

 

それは霧の湖の時のようにいつ戦闘になるかわからないためである。

 

そこに話し合いを抜けてきた咲夜が玄武のそばまで足を運んだ。

 

 

「お疲れ様、これ飲み物よ。」

 

「済まない。」

 

 

咲夜から水筒を受け取り、水筒の付属品であるカップに液体を注いで一口飲んだ。

 

 

「甘酒か」

 

「ええ、少しは温まるんじゃないかと思って事前に用意しておいたのよ。」

 

「さすがメイド長、気がきくな。」

 

「どういたしまして・・・それで今のところはどうなの?」

 

「今のところ誰も襲いかかってくる奴はいない。だから安心していい。」

 

「わかったわ、それと見張りもいいけど休息は必要よ。私たちもいるんだから気を張り詰めないでね。」

 

「了解」

 

 

咲夜は玄武の返事を聞いて、その場から離れ霊夢たちのところに戻った。

 

玄武はというとあたりへの警戒をとき甘酒を飲みながら一息入れた。

 

 

 

――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

10分ほど休息した玄武は霊夢たちのいる場所まで足を運んだ。

 

 

「そろそろ行くぞ。充分休息は取れたからな。」

 

「そうねグズグズしてたら、取り返しのつかない状況になるし。」

 

「そんじゃ行こうぜ。」

 

 

全員が飛び上がり、順調に進んでいると、魔法の森を抜け、妖怪の山にさしかかろうとした瞬間いきなり景色が変わったのだ。。

 

霊夢たちが驚いているさなか玄武はあたりを警戒してみたが、何も感じられなかった。

 

 

「(誰かが意図的に移動させたのか・・・あるいは偶然にもこことつながったのか?)」

 

 

玄武は心の中で今の状況を整理していた。

 

 

「とりあえず上からならばなにか見えるかもしれないな。」

 

 

玄武は空に飛び上がり、あたりを見渡していた。

 

すると遠くの方に村があるのが見えたので玄武は霊夢たちに知らせた。

 

 

「霊夢、向こうの方に村があるぞ。」

 

「・・・一旦そこに行ってみましょうなにかわかるかもしれないし。」

 

 

玄武たちは村まで歩いてきたもののその村は既に廃村で人っ子一人いなかった。

 

しかしある一種類の動物だけがその村に多数いた。

 

猫である。

 

見渡せばそこらじゅうに猫がおり、日向ぼっこをしていたのである。

 

そんな時、射命丸があることを思い出した。

 

 

「あやーもしかしたらここって迷い家じゃないですかね?」

 

「・・・迷い家っていったら滅多に来れない場所じゃない。」

 

「へぇーここが迷い家なのか。」

 

「これはいい手土産になるわね。」

 

 

霊夢と魔理沙と咲夜の三人はここがどこなのか理解したが玄武はわかっていない様子だった。

 

 

「なぁ霊夢、迷い家ってなんだ?」

 

「玄武は知らないのは当然かもね。いい迷い家っていうのはね・・・」

 

 

霊夢は迷い家のことについて自分が知る限りのことを玄武に教えた。

 

 

「・・・ということよ。わかった?」

 

「説明ありがとうな霊夢。」

 

「別にいいわよ。そういえばひとつだけお願いがあるんだけどいい?」

 

「なんだ?」

 

「この異変が終わってからでもいいから外の世界の話でも聞かせてくれるかしら。」

 

「あー!ずりーぞ霊夢、玄武私にも聞かせてくれよ。」

 

「私にも聞かせてください。(グフフ、これはいい記事がかけそうですね。)」

 

「私もいいかしら。」

 

「わかっ・・・!?」

 

 

玄武が返事を返そうとした時、どこからか微弱ではあるが妖力を感じた。

 

 

「霊夢気づいているか。」

 

「ええ。」

 

「なんだ?なにか見つけたのか?」

 

「あっちから妖力を感じたわ。」

 

 

霊夢が指を刺した方向にその場にいた全員が顔を向けた。

 

そこに一件の大きな屋敷があった。

 

その屋敷を見て魔理沙は目の色を変えた。

 

 

「なあなあ早く行こうぜ!きっとすごいお宝があるかもしれないしよぉ。」」

 

「魔理沙・・・あんた目的忘れてないわよね・・・」

 

「心配すんなって忘れてないから。」

 

「あっ!ちょっと待ちなさいって魔理沙。」

 

 

しかし魔理沙は霊夢の話に耳を向けずその大きな屋敷目指して飛んでいった。

 

霊夢は魔理沙の行動に溜め息を吐きたくなった。

 

 

「あーもう魔理沙ったら。あとで覚えときなさいよ。」

 

「霊夢さんそんなこと言ってないで早く追いかけましょううよ。」

 

「そうだぞ霊夢。あの屋敷になにか仕掛けられてたら大変だからな。」

 

「全く面倒かけさせるんだから魔理沙は・・・はぁ。」

 

 

玄武たちは急いで魔理沙のあとを追いかけた。

 

 

 

―――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

 

一方魔理沙はというと

 

既に屋敷の中に入り中を散策していた。

 

 

「お宝♪お宝♪」

 

 

魔理沙の頭の中には異変のことよりも宝のことでいっぱいだった。

 

宝を見つけるために部屋を見つけては片っ端から調べまわっていた。

 

しかし一向に宝が見つからなかった。

 

 

「なんだよ全然ないじゃんかよ。」

 

 

不貞腐れながら廊下を歩いているとどこからともなく足音が聞こえてきた。

 

その足音は次第に大きくなっているのが聞こえた魔理沙は帽子の中から八卦炉とマジックボムを取り出し身構えた。

 

そしてすぐそこの曲がり角から人影が飛び出してきた。

 

その人影は緑のZUN帽に赤のワンピースを着た少女なのだが人間にはない猫耳と二本の尻尾が生えていた。

 

この少女は化け猫の妖怪である。

 

 

「見つけたー!よくも私の縄張りを荒らしてゆるさないんだからねー!」

 

 

しかも相当ご立腹のようだ。

 

 

「うっわなんかやばそうなのに目をつけられたぜ・・・となるとここは一時撤退だ。」

 

 

魔理沙は反対方向を向いた瞬間猛ダッシュでその場から逃げた。

 

 

「あー!まてー!」

 

 

猫又の少女も魔理沙の跡を追いかけだした。

 

 

 

――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

屋敷に入った玄武たちは先ほどから魔理沙を探し回っていた。

 

 

「もう!どこいったのよ魔理沙は!!」

 

「霊夢叫んでないで魔理沙を探してくれ。」

 

「それにしても変わったお屋敷ですね。」

 

 

なんとも不思議な作りの屋敷だったのでパシャリとカメラのシャッタを押して写真を撮っていく射命丸。

 

 

「元々こういう作りなのかしら?」

 

 

咲夜は屋敷の内部構造を見て不思議に思っていた。

 

 

「魔理沙ー!出て来なさーい!今だったら夢想封印だけで済ませてあげるからー!」

 

「霊夢せめて封魔針でお仕置きしとけ霊力がもったいないぞ。」

 

 

玄武が霊夢に話しかけて注意していたらどこからか爆音がしていた。

 

しかも段々とこちらに向かってきていた。

 

そしてすぐ近くの曲がり角から魔理沙が飛び出してきた。

 

 

「やっと見つけたわよ魔理沙。」

 

 

しかし魔理沙は霊夢の横を素通りしていきその場から離れていった。

 

 

「ほかにも仲間がいたのね。これでも喰らえー!」

 

 

曲がり角から現れた化け猫の少女は玄武達にも弾幕を放ってきた。

 

玄武達もそれを見て迎撃しようとしたが場所が狭すぎてどうにもならなかったためあえてこの場は逃げることにした。

 

玄武達は先に逃げていた魔理沙に追いつき事情を聴いていた。

 

 

「魔理沙どういうことよこれは!ことによってはただじゃ済まさないわよ!」

 

「魔理沙手短に話せ。」

 

 

霊夢と玄武から厳しい視線を感じたため話し始めた。

 

魔理沙曰く、ここはあの化け猫の少女の縄張りであること。

 

そして自分の縄張りを荒らされて怒っていること。

 

 

「なるほどの、つまり私たちは魔理沙のとばっちりに巻き込まれたってわけね。」

 

「・・・」

 

「玄武も何か言ってくれよ!無言のお前ってばホント怖くて仕方ないんだよ!」

 

「だったら一言・・・自分でどうにかしろ。以上だ。」

 

「自分の不始末は自分でどうにかしなさい。」

 

「そりゃないぜ二人共。」

 

「外来人と博麗の巫女に責め立てられる白黒の魔法使い・・・いいネタになりそうですね。」

 

「あなた達駄弁ってないでちゃんと走りなさい。追いつかれちゃってるわよ。」

 

「マテー!」

 

 

それを見た玄武達は走るスピードを早め、屋敷の出口まで走り続けた。

 

 

 

――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

 

なんとか外まで誘い出すことができた俺たちはこれからどうしようか考えていたが魔理沙俺達のが前に出た。

 

 

「私が相手する。元はといえば私のせいだからなケジメつけなきゃ。」

 

 

どうやら魔理沙が相手をするらしい。

 

当然だな元はといえば魔理沙が原因なんだからな。

 

ん、そろそろ出てくる頃かな。

 

 

「やっと追い詰めたんだからね。覚悟しなさい。」

 

「さっきは場所が狭かったから何もできなかったけど外なら充分に戦えるぜ。」

 

「公開しても知らないからね。」

 

「それはこっちのセリフだぜ泣いても知らねぇよ。」

 

 

すかさず二人は手を前にだし弾幕を放った。

 

そして空に飛び上がり弾幕を撃つが魔理沙は持ち前のスピードで交わし、化け猫の少女は俊敏な動きで交わしていく。

 

その様子を見ていた玄武は感心していた。

 

 

「魔理沙のやつ更にスピードが上がっているな。それにあの化け猫の少女もなかなかの身のこなしだ。」

 

「あんたがそんなこと言うなんて珍しいわね。」

 

「そうか?」

 

 

玄武は再び上空で弾幕ごっこを行っている二人に目を向けた。

 

 

 

「ちっ!こうすばしっこいと弾幕当てるのも難しいぜ。」

 

 

魔理沙はなんとか弾幕を当てようとしているがなかなか当てることができないでいた。

 

それは化け猫の少女も思っていた。

 

 

「(うにゃー、あの人間予想外の速さで飛んでるからなかなか当たらない。)」

 

 

ならばと化け猫の少女はスペルカードを構え、宣言した。

 

 

「これなら・・・仙符『鳳凰卵』」

 

 

化け猫の少女の周りに魔法陣が出現し、そこから一斉に弾幕が発射され始めた。

 

そのあまりの弾幕の数に魔理沙は反撃することができず避けることしかできなかった。

 

どうにか弾幕を当てようと隙をうかがってはいる魔理沙だがんなかなか隙ができないため攻めあぐねていた。

 

しかし時間が来てしまったのか魔法陣が消えスペルカードの効力が切れてしまった。

 

その瞬間を魔理沙は見逃さなかった。

 

 

「今だ!恋符『ノンディレクションレーザー』」

 

「!?うにゃーーーー!?」

 

 

不意を付くような形になったがなんとか弾幕を命中させることができた魔理沙。

 

しかし化け猫の少女はその程度では倒れることなく次のスペルカードを構えていた。

 

 

「今度はこれ、天符『天仙鳴動』」

 

 

スペルカードが発動したとたん、その少女は縦横無尽に動きまりながら弾幕を放ってきた。

 

しかもその弾幕に混じりながら化け猫の少女自体も突っ込んできた。

 

 

「あっぶねー、弾幕はさっきほど多くないがこう動き回られたらやりづらいぜ。」

 

 

しかし魔理沙はあることを思いつきた。

 

 

「イチかバチかやってみるか。」

 

 

魔理沙は意識を集中してその少女がどこから突っ込んでくるのか見極めようとしていた。

 

そして後ろから何かが迫ってくる音がしたためその方向に八卦炉を構え、スペルカードを宣言した。

 

 

「恋符『マスタースパーク』」

 

 

極太のレーザーが八卦炉から放たれ、魔理沙めがけて突進してきていた少女を巻き込んだ。

 

 

「ニャーーーーーーー!?」

 

 

ピチューーーーーーン

 

 

「うっしゃーあたしの勝ちだ!」

 

 

 

弾幕ごっこが終わった魔理沙は玄武たちのところに戻ってきていた。

 

 

「へへーん勝った勝ったー♪」

 

「はいはい。」

 

「もう少し早めに倒せたんじゃないか?」

 

「細かいことは気にすんなって。さぁ次に行こうか。」

 

 

そう言って魔理沙は箒にまたがり先に進んでいった。

 

そのあとを霊夢たちは慌てて追いかけていったが

 

玄武はその少女を抱き上げ屋敷の縁側にまでつ連れて行き、その少女をそこに寝かせてあげた。

 

そしてさり際に自分の能力を使用して少女の体を温めた。

 

その作業が終わると同時に玄武は霊夢たちを追いかけ始めた。

 

 

 



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春雪異変 STAGE 3

 

化け猫の少女との弾幕ごっこに勝った俺達は現在、妖怪の山を飛行中なんだが、

 

俺はとても気になっていることがある。

 

 

「霊夢に魔理沙、ちょっと聞きたいことがあるんだが。」

 

「何よ?」「何だ?」

 

「お前達が持っているその風呂敷はなんだ。まさかとは思うが・・・」

 

 

なんだか嫌な予感しかしないな。

 

 

「決まってるじゃないお宝よ。」「決まってるぜお宝。」

 

 

やっぱり。

 

 

「さっきの屋敷から持ってきたのか・・・。」

 

通りでさっきはいないと思っていたらわざわざそれを取りに戻ってたというのか。

 

魔理沙はなんとなくやりそうな感じだったが、霊夢までやるとは思いもよらなかった。そんなに家計がやばいのか?

 

 

カキカキカキカキ

 

 

うん?

 

射命丸のやつ一体何を書いているんだ。まぁ今のところはどうでもいいな。

 

あーあ異変解決したらゆっくりしたいもんだな。

 

 

「(そうだな今年の夏は地霊殿のみんなと海にでも行きたいな。)」

 

 

さとりって身長が少し低い割には結構スタイルいいからなぁ。胸も大きいし。

 

え?なんで知ってるかって、それはさとりの怪我を治した時とたまたま風呂で鉢合わせた時に見ちまったからだ。

 

俺はなんとなくさとりの水着姿を思い浮かべてみた。

 

やべっ考えただけで鼻血出そうになった。

 

 

「ちょっと!?大丈夫なの顔を手で押さえているけど!?」

 

「ああ心配いらない。気にする必要ないぞ。」

 

 

言えるわけねぇよ。恋人の水着姿思い浮かべて鼻血が出そうになったなんて。

 

 

「そ、そうなの?わかったわ。」

 

 

ふう、なんとか咲夜をごまかすことができた。

 

ニヤニヤ

 

おい射命丸何こっち見てニヤニヤしてんだ。それにメモ帳から手を離せよ、お前まさか今のことを記事にするつもりなのか。

 

 

「射命丸、もし今のことを記事にしたらどうなるかわかっているよなぁ・・・」

 

「は、はい~~~~だ、大丈夫です。こ、これは絶対に記事に載せませんから。(うう、せっかくのネタがとほほ・・・)」

 

 

よし!これで射命丸はこのことを記事には載せないだろう。

 

あとはこの二人の増えた荷物だ。

 

 

「はぁ・・・なんで今持っていくのかねぇ。帰りに取りに行けばよかったのに。」(ボソッ)

 

 

俺は霊夢と魔理沙に聞こえないように呟いたのだが。

 

 

「何か言ったかしら?」

 

「いや何も言ってないが。」

 

「そう・・・ならいいわ。」

 

 

どんだけ勘がいいんだよ。

 

 

「ホントにどうするんだそれ・・・言っとくが俺は持たんからな。」

 

「「えーーー。」」

 

「えーじゃないだろ。なんで俺が持たなきゃいけないんだよ!?」

 

「だってこの中で一番力があるのは玄武じゃない。」

 

「だからって俺を頼ろうとするなよ。」

 

 

もう俺は頭が痛くてしょうがないよ。

 

 

「なぁ本当にそれ持っていくのか?」

 

「当たり前よ。」「当たり前だぜ。」

 

「(はぁ・・・早く地底に帰りたい。)」

 

 

俺は早く異変を解決してゆっくりしたいと思っていた。

 

 

「誰か空間関係の術を使える奴はいないのかよ。」

 

「玄武・・・いま空間関係の術って言った?」

 

「言ったが。」

 

「あるわよ。失敗するかもしれないけどね。」

 

 

―――――――

 

―――――

 

―――

 

 

「ふーうまくいってよかったわ。」

 

 

霊夢の使用した術のおかげで荷物は無事それぞれの家に送ることができた。

 

しかし玄武は疑問に思っていたことがあるのでそれを霊夢に聞くことにした。

 

 

「霊夢、そんな術があるんだったらなぜ使わなかったんだ?」

 

「あーえっと、実はこの術まだ完全に扱いきれてないのよ。」

 

「・・・はぁよくそんな術を使えたな。」

 

「う、うっさいわよ。」

 

「そもそもだな霊夢は――――。」

 

 

そのあと霊夢は玄武に小言を言われ続いたらしい。

 

 

 

そんなこんなで途中でいろいろなことがあったがなんとか妖怪の山のてっぺんにさしかかろうとしていたんだが、

 

お約束なのか俺達の行方を妨げる要因がそこにいた。

 

 

「・・・はぁ予想通りってわけか。」

 

「あら?それは心外ね。」

 

 

まーた厄介そうなやつだな。

 

それに―――

 

 

「ただの妖怪ってわけじゃないな。パチュリーと似た感じがするな。」

 

「それって。」

 

「ご明察、私も魔法使いよ。」

 

 

ほぉしかもパチュリーとはまた違った種類の魔法使いだな。

 

コイツは楽しめそうだな。

 

俺が前に出ようとしたら、咲夜が既に臨戦態勢に入っていた。

 

 

「今度は私に行かせて、私も一応パティーのメンバーなんだから。」

 

 

むぅまさか先を越されるとは思ってなかったが、今後の対策として咲夜の力と戦い方を知っておくのも悪くないな。

 

 

「そうかならここは任せようかな。」

 

 

俺は素直にこの場を咲夜に譲り霊夢達のとこまで戻った。

 

さあどんな展開になるんだろうな楽しみだ。

 

 

―――――

 

―――

 

 

「スペルカードの数は?」

 

「3枚でどうかしら。」

 

「わかったわ。」

 

「さぁ始めましょうか。」

 

「ええ。」

 

 

彼の話では、パチュリー様と同じ魔法使い・・・となればあの手に持っている魔道書が媒介かしら。

 

ならばここは魔法を使わせないように攻撃するしかないわね。

 

 

「ふっ。」

 

 

私は判断した直後ナイフを相手に投げた。

 

 

「!?へぇーナイフが弾幕なのかしら面白いわね。ならば私も・・・」

 

「?」

 

 

ごそっ

 

 

「!?」

 

 

私は驚愕した。

 

どこから出したのか彼女の周りには多数の人形が浮かんでいた。

 

 

「そういえば名乗ってなかったわね。私はアリス・マーガトロイド・・魔法使いにして人形師よ。」

 

「そちらが名乗られたのならば・・・私は紅魔館のメイド長を務めている十六夜咲夜よよろしく。」

 

 

名を名乗ったあと私たちは互いににらみ合い、その場を動かなかった。

 

 

「「!?」」

 

 

私の手からナイフが放たれ、彼女の人形からは弾幕が放たれた。

 

しかし弾幕の数は相手の方が多かったためこちらの弾幕を突破され私に向かってきた。

 

 

「くっ!数では向こうが上ね。なら幻符『殺人ドール』!」

 

 

私は開始早々スペルカードを一枚宣言した。

 

さぁ私の放つナイフの嵐をどう受け止めるのかしら。

 

 

「使ってくるとは思わなかったわ。それならこちらも蒼符『博愛の仏蘭西人形』」

 

 

4体の人形から1つの弾幕が放たれたがそれが次第に分裂して襲いかかってきたが、私のナイフの弾幕によって相殺していった。

 

 

「あら、相殺されちゃったわね。なかなかやるじゃない。」

 

「あなたこそよくそれだけの人形を操れるわね。」

 

 

私と彼女の実力は互角と見ていいわね。

 

なら決め手となるのはスペルカードの使うタイミングが勝負の分かれ目になるわね。

 

私はナイフを指のあいだに挟み、いつでも投げられるようにした。

 

そして彼女も人形の数が4体から6体に増えていた。

 

 

「!?」

 

「これだけの数の弾幕あなたに防げるかしら!」

 

 

先ほどよりも弾幕の数が増え私は防戦一方になってしまった。

 

どうにかして今の状況を覆さないと行けないと私は考えていたが、

 

 

 

「次はこれよ!紅符『紅毛の和蘭人形』」

 

 

左右から赤と青の弾幕が飛んできた。

 

しかも拡散してバラけて飛んでくるため避けにくい。

 

 

「ほんと貴方って厄介ね!時符『プライベートスクウェア』」

 

 

スペルカードを発動して私の周りに四角いテリトリーをつくり、弾幕を打ち始める。

 

その様子を見ていた彼女はは不思議に思っているに違いない。。

 

 

「(だからといっていまの弾幕を緩めるわけには行かないわ!)」

 

 

彼女の弾幕が更に密度を増してきていたが、時間が来たようね。

 

私のスペルカードの効力が消えると同時に彼女の弾幕も一緒に消え去った。

 

 

「え?」

 

「残念だったわね、あなたは気づいてたかもしれないけどこれはちょっと特殊なスペルカードでね。

 

 あなたの動きと弾幕の速度を遅くさせてもらったわ。そして終了時には私の投げたナイフが弾幕を全て破壊するおまけ付きよ。」

 

「!?・・・時間操作系の能力者ね。」

 

「そうよ。さあこれで互いに一枚ずつ。」

 

「・・・はぁあまり本気で戦いたくはなかったけどまさかこれを使うことになるなんてね。」

 

「?」

 

「これが私の切り札よ!咒詛『魔彩光の上海人形』!」

 

「シャンハーイ!」

 

 

彼女がスペルカードを発動すると同時に一体の人形が出てきた。

 

何あの人形・・・今までの人形とは少し違うわね。

 

それに今喋らなかったかしら。

 

 

「これでおしまいにするわ、行って上海!」

 

「シャンハーイ。」

 

 

!?人形がこっちに突っ込んできた。

 

まさか意思を持っているというのこの人形は!?

 

それにほかの人形も連携を取りながら弾幕を撃ってくるから避けづらいわ。

 

 

「上海達に気を取られすぎよ。」

 

「しまっ」

 

 

ドカーン!?

 

 

「くうっ」

 

 

人形達に気を取られすぎたわね。

 

私としたことが情けないわね。あの人形は彼女が操作していたわね。

 

でもその割には糸が見えないわね。そういえば彼女は魔法使いでもあるからひょっとして・・・

 

試してみる価値はあるわね。

 

 

「もう終わりなのかしら。」

 

「それはどうかしら。」

 

「?」

 

「こっちも最後の一枚行くわよ。幻符『ジャック・ザ・ルドビレ』」

 

 

私はスペルカードを発動し持っているナイフを全て投げつけた。

 

さぁここからはちょっとした持久戦よ。

 

私のナイフが尽きるかあなたの体力が尽きるか

 

勝負!?

 

 

 

「まずい!避けきれない!?」

 

 

アリスは大量に向かってくるナイフを弾幕でどうにかしようとするが、ナイフの数があまりにも多く、

 

一体また一体と人形にあたっていき人形の数か減り始めた。

 

それでもアリスは残った人形で被弾を免れてはいるか徐々に疲れ始めているのが見えてきた。

 

だがそれは咲夜にも言えることで、疲れが出始めてきたのだ。

 

 

「(お願いもう少しだけ持って私の体。)」」

 

 

そして咲夜のスペルカードの効力が切れた。

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

 

「私の負けね。」

 

 

咲夜のスペルカードの効力が切れるほんの数秒前にアリスのスペルカードが先に効力が切れたのである。

 

 

「でもいい弾幕ごっこができたわ。ありがとう。」

 

「こちらこそ。」

 

「この上をさらに行けば冥界に通じる門があるから、早く行くといいわ。」

 

「ありがとう、今度紅魔館に遊びに来て頂戴。」

 

「ええ、ぜひ寄らしてもらうわ。」

 

 

そう言ってアリスはこの場から離れていった。

 

咲夜も玄武たちの元に向かった。

 

 

「お疲れ、いい試合だったぞ。」

 

「ええ、でもさすがに疲れたわ。」

 

「どうすんだよ咲夜のやつヘロヘロじゃねーか。この先ついていけるのか。」

 

「心配はいらん、俺に任せておけ。」

 

 

玄武は咲夜の背中に回り込み、両手を背中に当て集中し始めた。

 

すると、殆ど空に近かった咲夜の魔力が回復し初めて行った。

 

それを見た霊夢、魔理沙、射命丸は驚いていた。

 

3人が驚いている間に昨夜の魔力は普段通りまで回復した。

 

 

「あんたそんなことまで出来たんだ。」

 

「スッゲーッ!今度私にもやり方教えろよ。」

 

「おおーこれはいい記事になりそうです!?」

 

「ありがとう。助かったわ。」

 

「なに、これからって時に向けてもらったら困るからな。それとこれ集めておいたぞ。」

 

 

玄武はいつの間にか持っていた袋を咲夜に渡した。

 

咲夜は袋を受け取り中を確認したら、大量のナイフが入っていた。

 

 

「あなたってホントに用意周到ね。」

 

「そんなこと言ってないでいくぞ。冥界までもう少しなんだろう。」

 

「ええ、アリスの話しではこの上らしいわ。」

 

「じゃあさっさと行こうぜ、異変の元凶をぶっ飛ばしに。」

 

 

玄武達は冥界目指して飛んんでいった。

 

 

 

一方冥界の白玉楼では、

 

 

「・・・様、もうそろそろ異変解決に乗り出した者たちがここにやってきます。」

 

「そう、ならあなたはその人たちを迎え撃ちなさい。」

 

「はっ!」

 

 

そう言ってその人は部屋を離れていった。

 

そしてそこに残った人は屋敷から見える大きな桜の木に視線を移した。

 

 

「もうすぐね。」

 

 

冥界のほうでは着実と計画が進んでいた。

 

果たして玄武たちは間に合うのだろうか。

 

そしてこの人物の目的とは一体。

 



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春雪異変 STAGE 4

どうも作者です。

投稿に遅れてしまい申し訳ありません。

さて今回の話は対プリズムリバー3姉妹との弾幕ごっこ戦です。


かなりの高さまで来た俺たちは今なお冥界目指して飛行を続けていた。

 

 

「かなりの高さまで来ましたけど、未だ着きませんね。」

 

「でもそろそろのはずよ。見てみなさい周りを。」

 

「あれ?これって桜の花びらですよね。」

 

 

そうどこからともなく桜の花びらが飛んできていたのだ。

 

幻想郷は今冬の真っ只中になっているはずなのに桜の花びらが飛んでるのはおかしい。

 

導き出される答えは唯一つ。

 

 

 

「もうすぐ冥界ってことなのか玄武。」

 

「ああ、おそらく入口に近いところだろう。」

 

「でも肝心の入口の場所はわからないぜ。」

 

「この花びらがどこから飛んでくるのか辿っていけばいいだけだ。それに結界が張られているはずだからな見分けはつくと思うぞ。」

 

 

俺が魔理沙に説明しているとどこからともなく楽器の音が聞こえてきた。

 

いや音というよりも演奏だなこれは。

 

この演奏を聴いて射命丸以外はいつでも戦えるように準備をした。

 

そして雲を抜けた先に空に大きな穴のようなものがあった。

 

だがその前に3人の楽器を持った少女たちが佇んでいた。

 

俺達は三人の少女の前に止まり、話しかけた。

 

 

「済まないがちょっといいか?」

 

「・・・何か用?」

 

 

ちょっと暗そうな雰囲気の少女が答えてくれた。

 

俺は大丈夫なのかと思いながら聞いたのだが、

 

 

「君たちに聞きたいことがあってね。」

 

「それで私たちに聞きたいことって何♪」

 

「あそこに見えてるのは冥界の入口であってるのかな。」

 

「そうだよ♪」

 

 

なんだかこの子テンションが異様に高い気がするのは気のせいなのか。

 

まぁこいしで慣れてるからいいとして・・・

 

 

「・・・冥界に何の用なの。」

 

「異変を解決しに来たのよ。」

 

「異変?」

 

「ひょっとして幻想郷で起こっていることと関係があるの?」

 

 

俺は彼女たちに事情を説明した。

 

 

「・・・そういうことね。」

 

「そういえば聞いていなかったが君らも冥界に何の用があるんだ?」

 

「・・・私たちは冥界の主に演奏をお願いされて向かっている最中。」

 

「あっそだったらそこ退いてくれる?私たち急いでるから。」

 

「そうはいかないわ。私たちの練習の邪魔してくれたんだから退く訳ないじゃない。」

 

「なら力ずくで通るわ。」

 

 

霊夢が御祓い棒と陰陽玉を取り出した。

 

魔理沙も八卦炉を構え戦闘体勢に入っていた。

 

さて俺も参加するかね。

 

 

「・・・試合形式は3対3、スペルカードの枚数はそちらが決めていいわ。」

 

「そうね。3枚でどうかしら。」

 

 

コク×5

 

 

俺を含めた5人は頷いた。

 

そういやあれをしていなかったかな。

 

 

「亀山 玄武だ。君らの名は?」

 

 

やっぱきちんと名乗りゃないかんな、礼儀の一つとして。

 

 

「・・・ルナサ・プリズムリバー・・・騒霊」

 

「メルラン・プリズムリバー、騒霊だよ♪」

 

「リリカ・プリズムリバー、ちなみに私も騒霊よ。」

 

 

ほぉ三姉妹なのか。

 

 

「それで、そっちの二人のお姉さん達は?」

 

「博麗 霊夢・・・巫女をやってるわ。」

 

「霧雨 魔理沙、普通の魔法使いだぜ。」

 

「・・・自己紹介はこれまでにしてそろそろ始めましょ。」

 

「ああ、そうだな。咲夜、合図を頼む。」

 

「わかったわ。・・・それでは、試合開始!」

 

 

!?3人がバラけてこちらに向かってきた。

 

成程、まずは一人一人が相手ってわけか!

 

そして俺の前にリリカがやってきた。

 

 

「俺の相手は君か・・・ではお相手願おうかリリカ嬢。」

 

「ええお手柔らかに。」

 

 

俺は小手調べとして炎の弾幕を右側、氷の弾幕を左側、普通の弾幕を真正面からリリカを襲うように放った。

 

さぁどう攻略するか見させてもらうぞ。

 

 

―――――――

 

―――――

 

―――

 

 

「な、何よこの弾幕の数と範囲は尋常じゃないわよ!」

 

 

私は向かってくる弾幕を必死で避ける。

 

というよりも避けるので精一杯で反撃することができないでいた。

 

男の人だからあっちの二人に比べて弾幕ごっこは慣れてないと思ってたけどそうじゃなかった。

 

この人はかなり実戦慣れしてる。

 

私もそれなりに弾幕ごっこはしてきたけど、このほどの規模の弾幕は見たことがない。

 

それに普通に属性別の弾幕も混ぜてくるなんて思ってもみなかったし。

 

 

「失敗だったなぁまさかお兄さんの方が手練だったなんて。」

 

 

はぁ・・・こういう時はお姉ちゃん達に押し付けてたからなぁ。

 

やれるだけやってみますか。勝てはしないだろうけど。

 

 

 

―――――――

 

―――――

 

―――

 

 

「リリカ!?」

 

 

私はリリカの相手が男の人だからって侮っていた。

 

でも蓋を開けてみればかなりの実力者であることがわかった。

 

その様子を見て少し焦っていた私に博麗の巫女である霊夢が話しかけてきた。

 

 

「ご愁傷様、玄武と当たるなんてあのリリカって子、運がないわね。」

 

「・・・ええ、ここから見ててもわかるわ。彼の強さが・・・」

 

「でも心配することないわ、あいつ優しいから手加減してくれると思うわ、(ボソッ)多分ね。」

 

「・・・それでも、心配だからあなたを倒して妹のところに行かせてもらうわ。」

 

「博麗の巫女、舐めないでもらえるかしら。」

 

 

博麗の巫女が御祓い棒と御札を構えて私を見ている。

 

勝てるかどうかわからないけど、倒させてもらう!

 

 

 

―――――――

 

―――――

 

―――

 

 

「お姉ちゃん達も始めたようだし、私達もはじめよ黒白のお姉さん。」

 

「そうだな、霊夢と玄武には負けてらんないからな。倒させてもらうぜ。」

 

「あはは楽しめそうだなお姉さんとの弾幕ごっこは♪」

 

「手加減しねえから覚悟しろよ。」

 

 

うん♪お姉さんとは仲良くやれそうだけど、いまは楽しまなきゃ損だよね♪

 

さぁお姉さんは飛んな音色を奏でてくれるかな。

 

 

―――――――

 

―――――

 

―――

 

 

「逃げてばっかりじゃなくて少しでも反撃したらどうなんだ?」

 

「反撃しても意味がなかったから逃げてるんじゃない!?」

 

 

リリカは先ほどスペルカード一枚を使用して今の状況を変えようとしたが玄武の弾幕によってすべて相殺されてしまい今の状況に至る。

 

それからというもののリリカは玄武が放つ弾幕から逃げ続けていたのだ。。

 

 

「(こんなのとどう戦えって言うのよ!?どうにかしないと!?)」

 

 

心の中で愚痴を言い、なんとかこの場を乗り切る方法を考えていたが、

 

 

「それはそうと前に注意しろよ。」

 

「え?」

 

 

前を振り向いたリリカは目線の先に姉の一人ルナサの背中が映った。

 

しかしルナサはこちらに気づいてはおらず霊夢との弾幕ごっこに集中していた。

 

慌てて方向を変え用にも弾幕のせいで逃げ道を塞がれてしまい霊夢とルナサのところに突っ込むしかなかった。

 

 

「ルナサ姉どいてぇーー!?」

 

「リ、リリカ!?なんで後ろから!?」

 

「ちょ!?なんであんたらがここにって私まで巻き込むなぁーーーー!?」

 

 

リリカが突っ込んだあと玄武の弾幕が迫ってくるのを見た二人も慌てて逃げ始めた。

 

 

「ちょっと!?私まで巻き添えにするなんてあんたあとで覚えときなさいよ。」

 

「そ、そんなこと言われても仕方ないじゃない!?あんなのどうやって止めろって言うのよ。」

 

「・・・博麗の巫女、この場合どうするの?」

 

「今話しかけないで!?もしあいつに「霊夢ぅーーー」って魔理沙!?」

 

 

魔理沙の声が聞こえた霊夢はその方向に目を向けると、メルランのはなったレーザーに追われる魔理沙の姿が映った。

 

しかもこっちに向かいながら。

 

それを見て霊夢は「お前もかーーー!?」と叫んだ。

 

 

「あんたのせいで余計ややこしくなったわよ!?」

 

「あはは・・・わりぃ霊夢。」

 

「あれ?姉さんにリリカなんでここに居るの?それに何なのこの状況?」

 

「メル姉空気読んで。」

 

「?」

 

「話してる暇があるなら逃げるわよ!?あいつがこの状況でスペカ使ったら大変よ。」

 

「霊夢それは遅かったみたいだぜ。」

 

 

魔理沙が諦めたような視線を後ろに向けてそう言ってきたので、頬を引きつらせながら後ろの視線を向けると、

 

玄武がスペルカードを手にしていた。

 

 

「まずっ!?魔理沙!?」

 

「うおっ!」

 

 

霊夢は魔理沙を掴むと亜空穴を展開しそこに逃げ込んだ。

 

 

「あれ?お姉さん達は?」

 

「・・・置いてかれた。」

 

「嘘でしょ!?」

 

 

そして3人の耳に死刑宣告の言葉が聞こえた。

 

 

「スペルカード・・・熱線『ブラスト・ノヴァ』!!」

 

 

魔理沙のマスタースパークのごとく極太のレーザーがルナサたちに向けて発射された。

 

 

「「「あ」」」

 

 

ズドーーーーーーン!!!!

 

 

亜空穴で玄武の横に移動してきた霊夢と魔理沙は玄武に近寄り怒鳴り散らした。

 

 

「「殺す気かお前はー(あんたは)!?」」

 

 

それはそうだろう下手したら自分たちもピチュっていたかもしれないのだから。

 

 

「霊夢たちなら亜空穴で逃げるとわかってたからな。」

 

「全く、もう少し考えてよね。」

 

「手っ取り早く終わらせるのはこれが一番だ。」

 

「それはそうとあいつらどうなったんだ?」

 

「さっきので終わったかと思ってはいたんだが・・・」

 

 

玄武がルナサたちがいた方に目線を向けると、

 

 

「・・・メルランのおかげで助かったわ。」

 

「ハァハァ・・・き、きつかったー!」

 

「メル姉大丈夫?」

 

 

ルナサ達が健在(けれど服はボロボロ)なのを見て玄武は二ヤッと笑った。

 

 

「結界を張って逃れたのか・・・まだ楽しめそうだ。」

 

 

ルナサ達は玄武たちのいる高さまで飛び上がってきた。

 

 

「ちょっとそこのお兄さん!?あんたのせいで丸焦げになるところだったじゃない。」

 

「弾幕ごっこだから手加減はしておいたが。」

 

「あれが手加減って言えるものなの。」

 

「むぅもう少し加減すべきだったか。善処しよう。」

 

「ちょっと話し合いはそれまでよ今は弾幕ごっこ中だってこと忘れないで。」

 

「そうだったな。じゃあ続きと行こうか。」

 

「そうね。こちらも全力で行くわ。メルラン、リリカ。」

 

「はいはーい♪」

 

「わかった姉さん。」

 

 

ルナサ達は玄武達から距離を置き、それぞれの位置につき楽器を構えスペルカードを取り出した。

 

 

「「「騒葬『ステジャンリバーサイド』!!!」」」

 

「合同スペルか!?」

 

「姉妹ならではのスペルってわけね。」

 

「それより来るぜ!」

 

 

3人同時に弾幕を放ってくるため、先ほどの玄武の弾幕よりも多かった。

 

玄武は危なげなくヒョイヒョイ弾幕を避けていくが霊夢と魔理沙は。

 

 

「さすが3姉妹なだけはある。いいコンビネーションだ。」

 

「分析してる場合じゃないだろ!なんか手はないのか玄武!」

 

「霊夢結界をスペカを使わない方法で頼む。」

 

「わかったわ。二重結界!」

 

「魔理沙早くこっちに来い!」

 

「お、おう!」

 

 

なんとか魔理沙も結界の中に来て3姉妹の弾幕をやり過ごしている。

 

 

「どうすんだこれから。」

 

「弾幕が消えたら打って出る、だから霊夢、魔理沙・・・10秒ほど時間を稼げるか、力を貯めたい。」

 

「10秒ねわかったわ。」「10秒か任せろ。」

 

「頼むぞ。」

 

 

―――――――

 

―――――

 

―――

 

 

「さすが博麗の巫女ね。」

 

「あのお兄さんもね。」

 

「あの黒白のお姉さんは・・・普通だったよ。」

 

「飛び抜けてあの二人がすごいってことよ。」

 

「そろそろ時間だよ。」

 

 

スペルカードの効力が切れると同時に三人は身を引き締め、目の前の弾幕によって出来た爆煙を警戒し始めた。

 

 

「いつから来るかわからないわ。警戒は怠らないで。」

 

「はーい。」「うん。」

 

 

すると霊夢と魔理沙が爆炎から飛び出し、弾幕を放ち始めた。

 

 

10

 

 

警戒していたためルナサ達は容易に避けちことができた。

 

しかしルナサは玄武がいないことに気づき、なにか仕掛けてくると思い立った。

 

9

 

 

「リリカ!さっきの男の人探して!?2人は私たちが抑えとくから!?」

 

「ちっ!気づかれたわね。(あと少し)

 

 

8

 

 

「わかった姉さん!」

 

 

7

 

 

「おっとそうはさせねぇぜ!」

 

「それはこっちだよー。」

 

 

6

 

 

「リリカ早く行って。」

 

「メル姉、わかった。」

 

 

5

 

 

リリカはなんとかその場を離れ、玄武を探し回っているが見当たらなかった。

 

 

4

 

 

ふとどこからか声が聞こえてきたため、あたりを見渡すがどこにもいない。

 

 

3

 

 

だが声は聞こえてくる。

 

その声が上の方からしてきたため、上空に顔を向けるリリカ。

 

 

2

 

 

そして見えにくいが太陽を背に玄武がスペルカードを構えているのが目に映った。

 

慌てて玄武のもとに飛行し始めたリリカだが。

 

 

1

 

 

玄武のもとにたどり着く前に時間が来てしまった。

 

 

「0、タイムアップだ。霊夢、魔理よけろ・・・炎帝『ガイアフォース』!!!」

 

 

莫大な熱量を含んだ特大の弾幕がリリカやその下にいるルナサ達めがけて放った。

 

 

「よ、よけきれな・・」

 

 

ピチューーン

 

 

 

一方ルナサ、メルランと戦っている霊夢と魔理沙は時間が経っするとともに遠くに避難した。

 

一体何事かと思い立ち止まってしまったその時上空から恐ろしいまでの力を感じ上に視線を向けたとたんルナサとメルランの意識は途切れた。

 

 

「恐ろしいまでのスペかねあれ。」

 

「喰らいたくねぇよあいつのスペカだけは。」

 

「そうね。」

 

「あれパパラッチの奴どこいったんだ?」

 

 

先程から姿が見えない射命丸のことを咲夜に聞く魔理沙。

 

しかし帰ってきた答えは。

 

 

「彼女なら玄武の最初のスペルカードに巻き込まれて墜落していったわ。」

 

「ご愁傷様だぜ。」

 

「おーい。」

 

 

そこに気絶した3人を抱えた玄武が戻ってきた。

 

 

「お疲れ様。」

 

「ああ、それよりも早く行こう。この子達をこのままにしておくわけには行かないからな。」

 

「ええ。」

 

「行くぞ冥界に。」

 

 

玄武達は冥界に入るべく冥界の入り口に突入した。

 

 




今回玄武の使用したスペカのモデルはウォーグレイモンの技を使用しました。

私デジモンも好きなのでデジモンの技をいくつかスペカとして主人公に使用してもらおうと思ってい
ます。

感想などある方は送ってくださると嬉しいですのでこれからも応援よろしくお願いします。


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春雪異変 STAGE 5

どうも作者です。
こんかいは妖夢との戦いです。


 

 

冥界に入った玄武たちはいつの間にか地面の上に立っていた。

 

玄武はすぐさま抱えていたルナサ、メルラン、リリカの三人を邪魔にならないとこに寝かせた。

 

そして何かあるといけないように結界を張り保護した。

 

 

「ここが冥界か、もう少し明るいところを想像していたんだけどな。」

 

「それよりあれ見なさいよ。」

 

「うへぇマジかよ。」

 

 

玄武達の目の前には気が遠くなるほどの長い階段が遥か上空まで延びていた。

 

 

「博麗神社よりも長いな。」

 

「そんなことどうでもいいわよ!早く元凶をぶっ飛ばしに行くわよ。」

 

 

そう言って霊夢は浮かび上がり先に行こうとしたが、

 

 

「待て霊夢。」

 

「ぐえっ!」

 

 

玄武が霊夢の襟を掴み引き止めた。

 

 

「ゲホゲホッ・・・ちょっといきなり襟を掴まないでよ。」

 

「む・・・すまん。だが霊夢ここか敵の本拠地だ、無闇に突っ込んでいくな。何があるかわからないからな。」

 

「それもそうね。だから早く襟を離して頂戴。」

 

「そうだったな。」

 

 

玄武は霊夢の襟から手を離した。

 

そして隊列を組んで白玉楼目指して飛び始めた。

 

隊列は右に霊夢、真ん中に魔理沙、左に咲夜、魔理沙の上に玄武が飛んでいる。

 

飛んでいる最中玄武は冥界の状況を感じ取っていた。

 

 

「(まずいぞ、これだけの邪気が漂っているとは思わなかった。急がねば。)」

 

 

そう思いながら、白玉楼目指して飛び続けた。

 

飛び続けて5分ようやく頂上に到着した玄武達は地面に降り立ち目の前の大きな門に目を向けた。

 

 

「ここが白玉楼で間違いないな。」

 

「それに何かしらこの陰湿な気配は気持ち悪くってたまらないわ。」

 

「(霊夢も感じ取っていたか)急ぐぞ皆、もしこの状態がひどくなれば幻想郷だけでなく外の世界まで大変なことになる。」

 

「ええ。」「おう!」「了解。」

 

 

玄武達が白玉楼に入ろうとしたとき、

 

 

「そうはいきませんよ。」

 

門の向こうから声が聞こえてきた。

 

そして音を立てながら門が開いてゆく。

 

開ききった門から誰かが出てきた。

 

 

 

銀髪に黒のリボンをつけたボブカットの髪型、服装は白のシャツに青緑のベストとスカート。

 

右手に長刀を握りこちらに歩いてくる少女の姿が見えた。

 

しかもその少女の周りに白い饅頭のようなものが漂っていた。

 

 

「ここは冥界です即刻立ち去っていただけますか。この場所は生きたものが来るところではありません。」

 

 

上から目線で命令してきたので、霊夢はイラッとしながら答えた。

 

 

「こちとら異変を解決に来たのよ。はいそうですかって訳にもいかないのよ。」

 

「警告はしました。」

 

 

そう言って刀を構えこちらに突っ込んできた。

 

そのスピードに霊夢は対応できず動作が遅れてしまった。

 

 

「しまっ」

 

「終わりです。」

 

 

その少女が刀を振り下ろし霊夢を切りつけようとしたが、

 

 

ガキーーーーン

 

 

「なっ!」

 

 

玄武によって防がれた。

 

そして刀を持った少女をもんのところまで弾き飛ばした。

 

 

「霊夢大丈夫か?」

 

「助かったわ。」

 

「霊夢、魔理沙たちを連れて先にいけ、そして元凶をぶっ飛ばして来い。コイツは俺が相手をする。」

 

「いいの?」

 

「ああおそらく弾幕ごっこなんてするつもりないだろうからな。」

 

「お願いね。二人とも聞いたわね。」

 

「ええ聞いたわここはお願いするわ。」「頼むぜ玄武。」

 

「俺が牽制として弾幕を放つからその隙に行け。」

 

 

三人は頷き、いつでも動けるように準備した。

 

 

 

「まさか防がれるとは思いませんでした。」

 

 

少女が起き上がり刀を構えまたこちらに突っ込んでこようとした瞬間、玄武が弾幕を放ち始めた。

 

 

「くっこけ脅しが!」

 

 

その少女は迫ってくる弾幕を刀で切り裂いて防ぐがその場から動くことができなくなった。

 

それを見た玄武は、

 

 

「今だ!」

 

 

と霊夢たちに言った。

 

玄武の合図で霊夢達は弾幕の及ばない範囲から進み門をくぐった。

 

それを見た少女は驚愕していた。

 

そして怒気を含んだ視線を玄武に向けた。

 

 

「やられました。こうなるようにしたのはあなたですね。」

 

「ああ。」

 

「ですがあの人たちでは幽々子まさに勝つことなど出来はしません。そしてあなたも。」

 

「それはどうだろうか。人間は時としてありえない力を発揮することがある、俺はそれに賭けてみた。それに・・・」

 

 

玄武はほんの少しだけ力を解放しながら目の前の少女に言った。

 

 

「お前さんのような世間知らずのガキにお仕置きしないと置けないからな。」

 

「!?いいでしょう世間知らずかどうかあなたを斬ればわかることです。」

 

 

刀を構え、戦闘態勢に入った。

 

 

「俺は亀山 玄武。お嬢ちゃん名は?」

 

「白玉楼の庭師兼剣術指南、魂魄妖夢です。」

 

「それじゃあ妖夢始めるか。言っとくが確実に倒す気できな、じゃないと後悔するぞ?」

 

「言われなくとも・・・でやぁぁぁぁーーーーーー!!!!」

 

「ムンッ!!」

 

 

ガキーーーーーン

 

 

「くっ冗談かと思いましたがまさか本当に素手で弾かれてるとは想ってもみませんでした。」

 

「怖気づいたのか?」

 

「いえ、逆にやる気が出ました!」

 

 

妖夢は自分の機動力を活かしジグザグに移動しながら玄武に突っ込んでいった。

 

 

「たぁぁーーー!!」

 

「迎え撃つまでだ。」

 

 

玄武は妖夢に攻撃を仕掛けようとしたが、妖夢は自分の小柄な体型を活かして玄武の懐潜り込んだ。

 

 

「むっ!?」

 

「貰ったーーー!!!」

 

 

ズガン

 

 

すかさず玄武は防御したが、弾き飛ばされた。

 

しかし妖夢の攻撃はまだ終わっていなかった。

 

 

「まだです。半霊!?」

 

 

妖夢のそばに漂っていた半霊が妖夢の姿になり、玄武に襲いかかってきた。

 

玄武は妖夢と半霊の攻撃を捌きながら分析していた。。

 

 

「(なるほどな鍛錬は欠かさずやっているが実戦をしたことがないなこの子は。)」

 

 

玄武は妖夢がほとんど実戦を経験したことがないことを見抜き、今は攻撃しないようにした。

 

 

「どうしたんですか、防戦一方ですよ。」

 

「(未熟だな、判断力と俺の力さえ感知できていないとは)・・・」

 

「だんまりですかならこれで終わりです!?断命剣『瞑想斬』!!!」

 

 

妖夢はこれで自分の勝ちだという表情をした。

 

だが妖夢は玄武の実力を見切ることはできなかったようだ。

 

 

バシッ

 

 

玄武は両側から迫り来る刀を素手で掴み、妖夢と半霊の攻撃を止めた。

 

 

「なっ!?か、刀が動かない!?」

 

「そろそろ反撃しますかね・・・」

 

「え?」

 

「はぁーーーーー。」

 

「「!?」」

 

 

玄武は刀から手を離し気合を入れ衝撃波を発生させた。

 

その衝撃波で妖夢と半霊を吹き飛ばした。

 

 

「きゃーーーー。」「!?」

 

「さぁ続きと行こうか。」

 

「(な、なんだ今のは・・・気合だけで衝撃波を発生させたなんて・・・)

 

 

妖夢はこの時震えが止まらなかった。

 

自分とはレベルの差を見せつけられたからだ。

 

恐怖心で体が動かなくなってゆく感覚が妖夢を襲った。

 

 

「どうしたもう終わりか。」

 

「ま、まだだ、私はまだ戦える。幽々子様の願いのために・・・」

 

「・・・」

 

「負けられない!?」

 

 

妖夢は剣閃から弾幕を放ち、玄武は掌から弾幕を放った。

 

互の弾幕がぶつかり合い爆煙が起こった。

 

玄武はその爆煙につっこんだ。

 

そして爆煙から飛び出してくる玄武に驚いてしまった。

 

まさかそのまま突っ込んでくるとは思わなかったため妖夢は反応が遅れてしまった。

 

 

「おらぁぁぁーーーー!武王金剛掌!!!

 

「くぅぅぅ(なんて力だ気を抜けば吹き飛ばされる!?)」

 

「まだまだ!武王烈火掌!!!」

 

「ま、負けるものかぁーーー。」

 

 

なんとか玄武の攻撃を受け止めたがもともとの身体能力の違いが現れ妖夢は弾き飛ばされてしまった。

 

 

「うわぁぁぁーーーーー!!!!」

 

 

ドゴン

 

 

「かはぁ!」

 

 

妖夢は地面に叩きつけられ一瞬気を失いかけたがなんとか意識を保つことができたが立ち上がることはできなかった。

 

その妖夢の数歩近くに玄武は立ち、妖夢を見下ろしていた。

 

 

「もうやめておけ。君では俺に勝てない。」

 

「そ、そんなのわからないじゃないか。」

 

 

妖夢は刀を杖替わりにして立ち上がるが、満足に動くことができなかった。

 

 

「自分でもわかっているだろう。立っているのがやっとだということが。みろ俺に対する恐怖心で両足が震えてるぞ。」

 

「それでも負けられないんだ、幽々子様の願いのために。」

 

「はぁ・・・全く幻想郷の人たちは人の話を聞かんものが多いいな。」

 

 

聞く耳持たない妖夢に呆れる玄武。

 

 

「いいかよく聞け、お前さんらが起こした異変は下手したら外の世界にまで影響が出るかもしれないんだぞ。」

 

「え?」

 

「しかもありえないほどの邪気を含んだ怨念が徐々に増していっている。このままじゃ取り返しのつかないことになるぞ。」

 

「そ、そんな・・・」

 

 

妖夢は玄武の言った事を聴いて顔を青くしていき、ヘタリと腰を落とした。

 

 

「こんなことになるなんて・・・」

 

 

どうしたらいいのかわからないという表情をしている妖夢に玄武は話しかけた。

 

 

「座ってないでさっさと行くぞ。」

 

「行くってどこに」

 

「お前さんの主のとこだ。」

 

「幽々子様のところ・・・ですか?」

 

「そうだ、妖夢は従者だろう。主が間違いを犯したのならそれを止めるのも従者の役目だ。」

 

「!?・・・私の役目。」

 

「行くのか行かないのかそれは自分で決めろ。」

 

 

妖夢は顔を下に向け、気持ちを整理していた。

 

そして顔を上げ、玄武の目を見据えて言った。

 

 

「行きます。幽々子様をとめることが今私に出来ることなら尚更です。」

 

 

玄武は妖夢の言葉を聞き笑った。

 

 

「よく言った。さあ出発しよう道案内ヨロシクな。」

 

「道案内したいんですが体中が痛くて起き上がれません。」

 

「そういえばそうだったな。なら・・・」

 

 

玄武は妖夢に近づき背負った。

 

 

「うわぁな、何するんですか////は、恥ずかしいじゃないですかこんな格好/////」

 

「この方が早く行けるから舌噛まないようにしっかりつかまっとけ。」

 

「わ、わかりました/////」

 

「よしじゃあ行くぞ!?」

 

 

ドン

 

 

「ひゃああああああーーーー!!と、止まってくださーーーーーーーい!!」

 

 

勢いよく地面を蹴り、飛び上がる玄武に悲鳴を上げながらしがみつく妖夢。

 

妖夢は無事に幽々子の元に着けるか祈ることしかできなかった。

 

 

「降ろしてーーーーーー!?」

 

 

そんなことお構い無しに玄武は妖夢を背負い、異変の元凶である西行寺幽々子の元に急いだ。

 

 

 



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春雪異変 STAGE FINAL 前編

こんにちは、作者です。

今回のお話は前編、後編に分けてお送りします。そして今回ついに主人公の宿敵が出てきますのでお楽しみに。

それではどうぞ。


 

 

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜の三人は異変の元凶とも言える人物のところに向かって、飛行していた。

 

しかし霊夢はここからでも見える桜の木に視線を移しており、次第に顔つきを変えていった。

 

 

「まずいわね。」

 

「どうゆうことだよ霊夢?」

 

「あの桜からものすごい邪気を感じるのよ。私たちは大丈夫だとは思うけど、人里の人たちがあんなの浴びたら死んじゃうわ。」

 

「うへぇーマジかよ。」「それ本当なの?」

 

「巫女である私が言うんだから間違いないわ。」

 

 

霊夢は前を向きながら二人に言った。

 

それを聞いて魔理沙と咲夜は霊夢にこう言い返した。

 

 

「なら急いで解決しねぇとな。玄武が来ちまったらまた手柄取られちまうよ。」

 

「そうね彼がいなきゃ異変は最後まで解決できませんでしたなんてお嬢様に報告できないわ。」

 

「それもそうね。私も博麗の巫女が異変を解決できませんでしたなんて言われたくないもの。」

 

「ところでさ、いいこと思いついたんだが・・・」

 

 

魔理沙は二ヤッと笑いその内容を話す。

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

三人が飛行していると大きな屋敷が見えてきた。

 

 

「あそこね。魔理沙、咲夜、気を引き締めなさい。」

 

「わかってるって。」

 

「言われずとも。」

 

 

三人はそれぞれの武器を構え建物に突入した。

 

そして突入した建物の広い庭に水色を基調とした服に身を包んだピンクのふわふわした髪を持つ女性が立っていた。

 

その女性は霊夢たちに気づいたのか上空に顔を向けてきた。

 

 

「あら?・・・いらっしゃい白玉楼へ。」

 

「あんたが西行寺 幽々子ね。」

 

「ええそうよ~。博麗の巫女さん。それに未熟な魔法使いに紅魔のメイドさん。」

 

「「「!?」」」

 

 

霊夢達は自分たちのことを既に知られていたことに驚いた。

 

しかし驚いている場合でないと霊夢は思い幽々子に話しかけた。

 

 

「単刀直入に言うわ・・・春を返しなさい。」

 

 

霊夢はお祓い棒を構えながら幽々子に言ったが、

 

 

「嫌よ。」

 

 

拒絶の言葉が幽々子から帰ってきた。

 

 

「あんたわかってるのか、霊夢から聞いたがこの場所にこもった邪気がどんな影響を及ぼすのか・・・」

 

「ええ、わかってるわ。それでも春を返すことはできないわ。」

 

「そう・・・ならあなたを倒すけど文句言わないでよ。」

 

「ええ、異変を起こすんだものそれくらい覚悟していたわ。」

 

 

その場にいた全員が地面から浮き始め、戦闘態勢に入った。

 

そしてすかさず霊夢達は弾幕を放つが、幽々子は、優雅な動きで弾幕を避けていく。

 

 

「あらあら、不意討ちで撃った割りにはこの程度なの?」

 

「(怒)だったらこれでどうだ魔符『スターダストレヴァリエ』!!!!」

 

 

星型の弾幕が放たれるが幽々子はいとも簡単に避けていく。

 

 

「ん~そこの魔法使いじゃ話にならないわね。あなた達はどうなのかしら?」

 

「ちょ!話にならないだと!?」

 

「はいはい魔理沙は黙ってて・・・咲夜二人係でやるわよ。」

 

「わかったわ。」

 

 

霊夢と咲夜は、連携を取りながら弾幕を放ってはいるものの、すべての弾幕を避けていく。

 

一応魔理沙も弾幕は撃ってはいるものの当たることは無かった。

 

 

「やっぱり博麗の巫女といっても人間ね。」

 

「「「ハァ・・・ハァ・・・ハァ」」」

 

 

20分程動き続けながら弾幕を放っていたため、霊夢達は体力が削られ疲れが出はじめてきたが幽々子に至っては汗一つかいていなかった。

 

 

「さてそろそろ終わりにしてあげるわ。

 

 

幽々子は袖からスペルカードを取り出し発動した。

 

 

「亡舞『生者必滅の理‐魔境‐』」

 

 

幽々子から蝶の形をした弾幕と大玉の弾幕がばらまかれた。弾幕の速度はそれほど速くはないのだが数が半端ではなかった。

 

 

「おいおいなんだよこの数は!?ほんとに弾幕か!?」

 

「よけれるだけ避けなさいあとはスペカで乗り切るしかないわ!?」

 

 

避けても避けても弾幕が次々と襲って来て、霊夢たちの体力はピークに達してきた。

 

そして気づいたら弾幕が目の前まで迫っていた。

 

 

「・・・っ間に合え!?霊符『夢想封印』!!!!」

 

 

残った霊力でスペルカードを発動して自分に迫り来る弾幕を相殺していった。

 

それは霊夢だけでなく魔理沙と咲夜も同じタイミングでスペルカードを発動し難を逃れた。

 

だが既に体力も限界を迎え、座り込んでしまった。

 

幽々子も霊夢たちの近くに降り立ちった。

 

 

「よく頑張ったけどこれまでね。」

 

 

幽々子は霊夢達の方に腕を伸ばし弾幕を放った。

 

だがそれは違う方から放たれた弾幕によってかき消された。

 

 

「間に合ったな。」

 

 

霊夢たちは声のした方に顔を見けると、弾幕を放った人物がいた。

 

 

「「「玄武!?」」」

 

 

玄武は霊夢達の側まで移動し、霊夢たちに話しかけた。

 

 

「すまんな少々遅れた。」

 

「そんなことないわよいいタイミングで来てくれて助かったわ。」

 

「ところでよ玄武、その後ろに引っ付いてるのはなんだ?」

 

「ん?これか、案内人。」

 

 

背中にひっついていた妖夢(気絶中)をひっペがし皆に見せる。

 

そんな妖夢を見て幽々子が反応した。

 

 

「妖夢!?」

 

「やっぱおまえさんが主か。」

 

「あなたその子に何したの!」

 

「ここまで案内してもらおうと連れてきたんだが、途中で気絶しちまってな。」

 

 

そう玄武が連れてきた妖夢は玄武の移動速度(マッハ2)に目を回し気絶してしまったのだ。

 

 

「ホントに何もしてないのね。」

 

「するかというよりかしてたまるか。」

 

「あらそうなの。」

 

「ああ、それとこの子なんだがあそこに寝かしつけてもいいか。」

 

 

玄武は屋敷を指差しながらいい幽々子の許可を待った。

 

 

「ええ、お願い。」

 

 

玄武は屋敷まで歩いてゆき縁側に気絶した妖夢を寝かせ、結界を張り霊夢たちのところまで戻ってきた。

 

 

「今度はあなたが相手してくれるのかしら。」

 

「うんにゃ、俺じゃない。」

 

 

そう言いながら玄武は霊夢たちに手をかざし力を送った。

 

そのおかげで霊夢、魔理沙、咲夜の3人の体力等は全快した。

 

何事もなかったように立ち上がり始めた霊夢たちを見て、幽々子は驚いた。

 

 

「へぇ彼そんなこともできるんだ~。」

 

「玄武がいなきゃできないことだけどな・・・さぁ続きを始めようぜ。」

 

「ちょい待った魔理沙。まだ役者は全員揃ってないぞ。」

 

「?全員じゃないってどういうことよ。」

 

「覗き見しているのが約二名。」

 

 

玄武が虚空を見ながらつぶやいたらどこからともなく声が聞こえてきた。

 

 

「あら?気づかれてたのね。」

 

 

そして幽々子の隣に空間に裂け目ができ開いた。その中から女性が二人ほど出てきた。

 

 

「紫に藍じゃない。」

 

 

どうやら幽々子とは友人関係らしい。

 

 

「玄武あの二人は?」

 

「九尾の妖狐ともう一人は・・・知らん。」

 

 

ズシャーーーー!!!

 

 

玄武以外の者が勢いよくズッコケた。

 

 

「冗談だ。スキマ妖怪だったかな。」

 

 

ズッコケた体を起こしてスキマ妖怪の女性が自己紹介を始めた。

 

 

「・・・気を取り直して、私はスキマ妖怪の八雲 紫よ。彼女は私の式で八雲 藍と言うわ。」

 

「よろしく。」

 

「こちらこそ、俺は「亀山 玄武でしょ。」っと知っていたか。」

 

「ええ、情報収集は大切ですから。」

 

 

扇子で口元を隠しながらしゃべる紫。

 

それを見た玄武、霊夢、魔理沙、咲夜はこう思った。

 

 

((((胡散くせーーーーー!!!!))))

 

 

紫のことを胡散臭いと思いながら玄武は話しかけた。

 

 

「で、弾幕ごっこ?の最中に何用だ。」

 

「それは私も混ぜてもらおうかなぁと思いまして。」

 

 

玄武はそれを聞き目を細めた。

 

 

「ほう妖怪の賢者と言われている奴が異変を起こした者に加担するのか?」

 

「ちょっとした余興よ。」

 

「余興か・・・」

 

 

玄武はチラッっと大きな桜の木・・・西行妖に視線を移した。

 

既に桜の花びらが5部咲きにまでなっていた。

 

 

「・・・霊夢、魔理沙、咲夜。」

 

「何?」「何だ?」「何か?」

 

「いいかよく聞いてくれ。もうあまり時間がない。だから・・・・」

 

 

玄武は幽々子たちに聞こえないように小声で霊夢たちに話しかけ、作戦の内容を伝えた。

 

 

「・・・・わかったか。」

 

「ええ。」「了解だぜ。」「承ったわ。」

 

「ふふ、作戦会議は終わったかしら。」

 

「ああ、おかげさまで。」

 

「それで~今度はあなたが相手してくれるの?」

 

「さあな!?」

 

 

言葉を返しながら玄武は幽々子達の足元に弾幕を放った。

 

 

「ケホケホ、まさかこんな手を使ってくるなんて。」

 

「紫様、お怪我は・・・」

 

「平気よ。幽々子は。」

 

「む~口の中がジャリジャリするわ~。」

 

「大丈夫そうね・・・それにしても一体彼は何がしたかったの?」

 

 

ガシッ

 

 

「「!?」」

 

 

誰かに腕を掴まれたので紫と藍は振り払おうとしたがそれを行う前に投げ飛ばされてしまった。

 

 

「えっ!?ちょっっとぉーーーーー!?」「うわぁーーーーーー!?」

 

「紫、藍!?」

 

「よそ見してるんじゃないわよ。」

 

「!?」

 

「さぁ第2ラウンドの始まりだぜ。」

 

「さっきのようにはいかないから覚悟してください。」

 

 

土煙が晴れると戦闘態勢に入った霊夢、魔理沙、咲夜が幽々子の正面に立っていた。

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

投げ飛ばされた紫と藍は、空中で体勢を整えその場で浮遊し始めた。

 

 

「やられたわね。私達と幽々子を分断するのが目的だったなんて。」

 

「どうしますか紫様?」

 

「おそらく彼が仕掛けてくると思うわ。注意しなさい。」

 

「はい。」

 

「警戒心を高めるのはいいが対応が遅すぎるぞ。」

 

「「!?」」

 

「そら、火炎『ブレイズストーム』」

 

 

スペルが発動し4つの炎の竜巻が紫と藍を囲むように発生し弾幕を放ち始めた。

 

 

「さぁ攻略してみな、妖怪の賢者に九尾の式よ。」

 

「やってやろうじゃないの、藍サポートお願いするわ。」

 

「承知しました、紫様。」

 

 

四方から襲いかかってくる弾幕を掻い潜り玄武のもとに行こうとしているが、炎の竜巻自体も動いているのでなかなかたどり着くことができなかった。

 

 

「紫様、ここは隙間を使って彼の背後に移動したほうがよろしいのでは・・・」

 

「彼は隙間から見ていた私を感知できたのよ。それに彼はこちらの様子を伺っているからその戦法は無理ね。」

 

「では彼に真正面から挑むしかないといけないということですか。」

 

「そうよ・・・それより藍、口を動かすより手を動かして頂戴。」

 

 

紫と藍は弾幕を放って相殺し、少し弾幕の数を減らすことができ余裕が出来た。

 

 

「今ね、結果『動と静の均衡』」「発動、式神『仙狐思念』!!!」

 

 

背中合わせにし、スペルカードを発動させて玄武のスペルカードの弾幕を相殺した。

 

 

「ふむ、さすが賢者とその式だ。」

 

「あら褒めても何もないわよ。」

 

「だが、俺の目的に気付けなかったのはアレだがな。」

 

「(目的?一体何の・・・・!?)まさか!?」

 

 

玄武がニヤッと笑った瞬間、玄武の後ろから大きな音が聞こえてきた。

 

 

 

――――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

*時間は少し戻ります。

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜が幽々子と弾幕ごっこを再開し始めて数分、先程とは違い幽々子は押されていた。

 

 

「さっきと動きが違う・・・それにこっちの動きが読まれてる・・・」

 

「それはそうよさっきの弾幕ごっこであんたの動きを見させてもらったんだから。」

 

「対応できなきゃおかしいだろ。」

 

「最初の戦いは私の動きを把握するための囮だったってわけね。」

 

「そういう事、因みにこれ考えついたの魔理沙よ。」

 

「まさかそこの魔法使いにしてやられるなんて。」

 

「あらよそ見とは感心しませんね。」

 

「!?」

 

 

ヒュン

 

 

咲夜は幽々子に向かってナイフを投げる。避けられてしまったが服の一部が切れていた。

 

 

「さすが白玉楼の主、そう簡単には当たってくれませんね・・・ですが次は確実に当てます。」

 

 

周りを見ればいつの間にか3人に囲まれている状況になっていることに気づいた幽々子。

 

 

「侮っていたのは私の方みたいだったわね。」

 

「そういうことよ。霊符『夢想封印』!!!」

 

「結構楽しかったぜ。恋符『マスタースパーク』!!!」

 

「なかなかの手練でした。幻符『殺人ドール』!!!」

 

 

3人がスペルカードを発動し、弾幕が幽々子に迫る。

 

 

「でもね。まだ負けるわけにはいかないわ。華霊『バタフライディルージョン』」

 

 

幽々子も弾幕を発動し、3人の弾幕に抵抗した。

 

そして弾幕同しがぶつかり合い大きな爆発が起こった。

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

*現状は戻ります。

 

 

「幽々子!?」

 

「やつの狙いは我々と幽々子様を分断して戦わせることだったのか!?」

 

「そうなんだが本気出した3人と互角とは・・・。」

 

「そりゃそうよ私の友人なんですもの。」

 

 

扇子で口元を隠しながらこちらに話しかける紫。

 

しかもこちらへの警戒を怠っていなかった。

 

 

「(さすが妖怪の賢者といったところか)時間もないし、本気でやりますか。」

 

 

今でもかなりの力を放っていたがさらに力を開放した。

 

 

「(ちょっっと!?まだ上がるって言うの、どれだけ力をセーブしてるというのよ!?)」

 

「さぁここからは俺も本気で行こう。耐えてみせろよ。賢者にその式よ。」

 

 

 

 

 



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春雪異変 STAGE FINAL 後編

 

「さぁここからは俺も本気で行こう。耐えてみせろよ。賢者にその式よ。」

 

 

彼から感じる力は妖怪の賢者と言われる私を遥かに超えていた。

 

言ってはなんだが正直立っているのが精一杯だ。そうなってしまうほどの威圧感を感じている。

 

横にいる藍なんて顔を青白くして固まちゃってるし。

 

ますます彼のことを知りたくなった。

 

私も全力で相手をしないといけないわね。

 

 

「藍、ぼおっとしてないで!?」

 

「っは、はい、紫様!」

 

 

さぁあなたの力見させてもらうわよ、亀山 玄武さん。

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

スペルカードの効力が切れ、霊夢、魔理沙、咲夜の三人と幽々子一人のにらみ合いが続いていたが、

 

強大な力が向こう側から感じられ、四人ともそちらの方に顔を向けた。

 

 

「何この力、今までこんな力感じたことないわ。」

 

 

幽々子はガタガタと体を震えさせていた。

 

もちろん霊夢達もそれは感じ取っていた。

 

 

「お嬢様、妹様と戦った時とは比べ物にならないほどの力ね。」

 

「うへぇーまだ上があったのかよ。」

 

「ほんと味方でよかったと思うわ。」

 

 

ダッ!

 

 

霊夢達が目を離した隙に紫と藍のもとに幽々子は飛び出した。

 

 

「「「あっ!?」」」

 

「い、急いで追いかけるわよ!?」

 

「ええ!」「おう!」

 

 

霊夢達も慌てて幽々子のあとを追いかけ始めた。

 

 

 

――――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

「紫!?」

 

「ゆ、幽々子!?あっちはどうしたのよ!?」

 

「もう倒してしまわれたのですか幽々子様。」

 

「こんな力を感じたらいてもたってもいられなくなって飛んできたのよ。」

 

「幽々子。」「幽々子様。」

 

「ハァ・・・まさか分断したのにここに来るとは、霊夢たちしくじったな・・・」

 

3人は大丈夫だろうと思っていたがまさか突破されるとは思わなかったな。

 

 

おそらく俺が力を放出したのが原因だろうな。あれだけの力だびっくりするのは当然だな。(まだ上がるけどな)

 

 

「さてこの現状をどうするかだな。」

 

 

俺は八雲たちがいる方に視線を向けるとスペルカードを構えているのが目に映った。

 

その反対方向から霊夢達が向かっているのが見えた。

 

 

「結界『生と死の境界』」「式弾『アルティメットブディスト』」「桜符『完全なる墨染の桜-開花-』

 

 

しかし弾幕は俺の方ではなく霊夢たちに向けて放たれた。

 

 

「(まずい、霊夢達に当たったらひとたまりもないぞ!?頼む間に合ってっくれ!?)」

 

 

俺は霊夢達に向かって走り出した。

 

俺が霊夢達のところにたどり着いたときには弾幕がすぐ目の前に迫っていた。

 

そして弾幕の波に飲み込まれた。

 

 

 

――――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

それからと言うもののスペルカードの効力が切れるまで幾度となく爆発音が鳴り響いた。

 

効力が切れたあとも玄武がいた場所は爆煙に覆われ何も見えない状況が続いた。

 

 

「うまくいったわね。」

 

「悪く思わないでねこれも作戦だから。」

 

「油断はできませんよ。あの吸血鬼の姉妹でも勝てなかった相手です。」

 

「でもあれだけの弾幕が直撃したのよ。無事ではないと思うわ。」

 

 

紫達はもう追撃することもできないだろうと考えこの場を去ろうとした。

 

だが―――――

 

 

「勝手に終わらせてんじゃないわよ!?」

 

「なっ博麗の巫女!?一体どこから!?」

 

 

いつの間にか霊夢が紫達の傍に来ていた。

 

 

「いうわけねーだろ。」

 

「油断大敵よ。」

 

 

霊夢だけでなく魔理沙と咲夜も来ていた。

 

 

「さっきのお返しよ!?神霊『夢想封印』!!!」「フルパワーだぜ!恋符『マスタースパーク』!!!」「これでおしまいね、時符『パーフェクトスクウェア』!!!」

 

 

ほぼゼロ距離から弾幕を放たれ、紫達は対応できずに直撃を食らった。

 

 

「「「きゃああああぁぁぁ!!!」」」

 

 

――――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

「さぁ、春度を返してもらおうかしら。」

 

「ええ、負けてしまったのだから。」

 

「これで異変も終了だな。」

 

「ところで彼はどうするのかしら。私たちが言うのもなんだけど大丈夫かしら。」

 

「心配ないわよ。どうせ普通に現れるわよ。いつもみたいに。」

 

「だがあの男はあれだけの弾幕を浴びたのだ、早々動くことはできないだろ。」

 

「へっ!お前らのものさしで測れるような奴じゃないぜ。玄武は」

 

「彼は非常識の塊ですから。」

 

「そういうことだ八雲俺を殺したければもう少し強くなりな。それと咲夜、一言余計だ。」

 

 

多少土埃で汚れてしまっているが、怪我一つ負っていない玄武が現れた。

 

 

「・・・あれだけの弾幕が直撃したのに無傷なんて・・・」

 

「鍛え方が違うんだよ。」

 

 

服についた土埃を落としながら歩き始めた玄武。

 

そして紫達の前で歩みを止め話しかけた。

 

 

「今度は正式に弾幕ごっこをしたいものだな。」

 

「あなたとやると命がいくつあっても足りないような気がするから遠慮しておくわ。」

 

 

苦笑を浮かべながらゆかりは玄武に応えた。

 

 

「そういえば妖夢を起こしてきてくれるかしら、あの子じゃないと春度が取り出せないし。」

 

「気絶させた俺が言うのもなんだが、これだけの大騒動で未だ寝てられるってのはどうかと思うのだが・・・」

 

「あの子ちょっと天然なのよ。」

 

「幽々子・・・あなたも人のこと言えないわよ。」

 

「?」

 

「ハァ・・・藍、妖夢を起こしてきてここに連れてきてちょうだいな。」

 

「わかりました。」

 

 

紫は藍に妖夢を連れてくるように言い、藍はすぐさま妖夢のもとに向かった。

 

これで異変が終わったと霊夢達は思い安心しきっていたが、玄武は浮かない顔をしてあたりを警戒しているのを紫と幽々子は不思議に思っていた。

 

 

「どうしたの?そんなにあたりを警戒して?」

 

「・・・八雲に西行寺か、なんだか胸騒ぎがしてな。」

 

 

玄武の言った事に目を細める二人。そして幽々子はあることに気づいた。

 

 

「どういうことかしら、さっきまで篭っていた邪気が全然感じ取れないわ。」

 

「そういえばそうね。」

 

玄武はこの辺一帯を調べようと気配を張り巡らしたところ、かつて感じたことのある気配を地中から感じた。しかもそこに邪気が集中していた。

 

 

「こりゃ厄介なことになり始めてるぞこれは・・・しかもこの気配は・・・」

 

 

ゴゴゴゴゴ

 

 

突然冥界に地響きが起き始めた。

 

 

「な、何!?冥界に地震が起きるなんてありえないわ。」

 

「一体冥界に何が起きてるの!?」

 

 

紫と幽々子は狼狽えていた。今までこんなことは起こったことがない故に。

 

 

「紫様!?」「幽々子様!?」

 

 

藍が妖夢を引き連れて戻ってきた。霊夢達も慌てて俺たちのもとにやってきた。

 

 

「紫様これは一体。」「ちょっと玄武これどうなってるのよ!?」「何が起こってるってんだよ!?」

 

「いっぺんに喋らないで頂戴!?私にだってわからないことだらけよ!?」

 

「全員戦闘態勢に入っとけ、来るぞ!?」

 

 

ドッゴォォォン!!!!

 

 

地中から何かが這い出てきた。

 

 

「ギャオオオォォォ!!!!」

 

 

赤黒い体。

 

やや平たく幅広い頭。

 

コウモリのような翼。

 

鋭い足の爪。

 

 

そうこの生物こそ玄武の天敵で、災いの影と呼ばれる超古代文明アトランティスが生み出した負の遺産。

 

名をギャオス。

 

それがついに幻想郷で蘇った。

 

 

「な、なんなのこいつ・・・。」

 

「こんな生き物見たことねぇよ。」

 

「・・・鳥の・・・怪物。」

 

「あ・・ああ・・・化け・・・物。」

 

「「「・・・」」」

 

 

霊夢達はそのおぞましい姿と禍々しい気配を持つ生物に恐怖してを見て震え上がった。

 

ギャオスは霊夢達の存在に気づき襲いかかろうとしたが

 

 

ドゴーーーーーン!!!

 

 

「グギャアアアアァァァ!!!!」

 

「おいっ!ぼさっと突っ立っているな狙われるぞ!?」

 

 

玄武がプラズマ火球を放ち、難を逃れる霊夢達。

 

 

「いいか気を抜いたり好きを見せるなよ、こいつに隙を見せたら一巻の終わりだと思え。」

 

 

弾幕ごっこ中には見せたことがないほどの真剣な顔つきをした玄武が注意してきた。

 

 

「あなたあれが何なのか知っているの?」

 

「知っているも何も昔俺が滅ぼした奴の生き残りだ。」

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

「理由は後で話してやるから今はコイツに集中してくれ。」

 

「わかったわ。」

 

「来るぞ!?」

 

 

ギャオスが玄武達を喰らおうとこちらに突っ込んできた。

 

それを玄武達は避け、ギャオスは顔面ごと地面にぶつかったが、あまりの勢いに地面に穴を開けた。

 

 

「おいおいあんなのくらったらひとたまりもねぇぜ!?」

 

 

地面に刺さった顔を引き抜き、ギャオスは玄武達のいる方に顔を向け口を開いた。

 

 

「あれは!?」

 

 

玄武はギャオスのその仕草に見覚えがあった。

 

 

キィィィィ

 

 

何やら金属音のようなものがギャオスの口から聞こえてきた。

 

しかしその音は霊夢達に影響を与えた。

 

 

「み、耳がいてぇーー!」

 

「これって・・・あい・・つの仕・・・業ですか。」

 

「集中・・・できない。」

 

 

ギャオスは溜め終わったのか一気に口からそれを吐き出した。

 

ギャオスの技である超音波メスだ。

 

 

ピィィィーーーーー!!!

 

 

「おおおぉぉぉ!!!ブラスト・ノヴァ!!!」

 

 

玄武は超音波メスを相殺するために熱戦を放った。

 

互いの力は拮抗しており、押したり押されたりの状況が続いた。

 

 

「だりゃああああぁぁぁ!!!!」

 

 

しかし玄武は熱戦の出力をあげ、押し返した。そして超音波メスをかき消した。

 

超音波メスをかき消した熱戦はそのままギャオスに直撃しダメージを与えた。

 

しかしそのダメージも微々たるものだった。

 

 

「前より頑丈になってやがる。」

 

 

玄武が戦っていた頃のギャオスとは比べ物にならないほど頑丈になっていた。

 

 

キィィィィ

 

 

再び超音波メスを放つために口に力を収束し始めたギャオス。

 

玄武ももう一度熱線を放とうとしたが相手の方が行動が早かった。

 

しかしギャオスが超音波メスを放とうとした途端

 

 

 

「霊符『夢想封印・集』!!!!」「恋符『ノンディレクショナルレーザー』!!!!」「幻符『ジャック・ザ・ルドビレ』!!!!」

 

「魍魎『二重黒死蝶』!!!!」「式輝『狐狸妖怪レーザー』!!!!」「獄神剣「業風神閃斬』!!!!」「華霊『ゴーストバタフライ』!!!!」

 

 

霊夢達がスペルカードを発動し、顔面に弾幕を直撃させた。

 

 

「グギャアアアアァァァ!!!!」

 

 

どうやら口の中にも入ったらしく口の中から血が出ておりのたうちまわっていた。

 

 

「玄武今よ!?きっちり決めて頂戴!?」

 

「っ!?サンキュー皆!?」

 

 

玄武は隙を作ってくれた霊夢たちにお礼を言い、片手をギャオスに向けて伸ばした。

 

掌の前には小さな火種のようなものが出来上がりそれがどんどん大きくなっていった。

 

しまいには5メートルほどの火の玉になった。

 

 

「さっさと地獄に行きやがれぇぇぇ!?プラズマ火球!!!!」

 

 

手加減なしの特大のプラズマ火球がギャオスに向けて放たれた。

 

ギャオスは迫り来るプラズマ火球に恐怖し、空に逃げようとしたが、

 

 

「逃がすかよ!?彗星『ブレイジングスター』!!!!」「逃げられると思いまして、式神『八雲 藍』!!!!」

 

 

魔理沙と藍が両翼に突撃をかまして風穴を開けた。そのせいでギャオスは空に飛び上がることができなくなった。

 

その場から逃げ出そうにも両翼は使えず、走るにしても今の体勢ではどうすることもできないギャオス。

 

そしてプラズマ火球がギャオスに直撃した。

 

 

「グギャアアアアァァァァ!!!!」

 

 

断末魔の叫びを上げながら粉々に吹き飛んだ。

 

こうして春節異変はギャオスが倒されると共に終わった。

 

 

 

 

おまけ

 

 

 

 

 

ギャオスとの戦いが終わって数分後に射命丸が冥界にやってきた。

 

しかし時すでに遅く異変が終了したことを玄武は射命丸に告げた。

 

 

「そ、そんな~せっかくここまで来たのに異変に立ち会えなかったなんてこれでは記事がかけません。」

 

 

射命丸は膝から崩れ落ち、落ち込んでいたがまだ写真が残っていたことに気づいた。

 

 

「・・・そういえば今までに撮った写真がありますからなんとかなるはずです。(いくつかは捏造すれば大丈夫)」

 

 

カメラを取り出し、フィルムを取り出そうとカバーを開けたら途端、ボフュッという音と共にフィルムが燃え上がった。

 

 

「Noーーーーーーーーー!!!!」

 

 

なんとも災難な一日を送った射命丸だった。

 

 

 



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玄武とギャオスの過去

今回の話から日常編に入ります。


 

 

 

 

「そんなことがあったんですか。」

 

 

地霊殿の執務室で仕事の手伝いながら俺はさとりに異変で起きたことを話した。

 

 

「でも奴らは玄武さんが完全に滅ぼしたんですよね。」

 

「俺もそう思ってたんだが、卵の存在を忘れてたんだよ。」

 

「珍しいですね、玄武さんがミスをするなんて。」

 

「あの時は奴らを一掃したあとアトランティスとともに海底に沈んで眠りについたからな。」

 

 

今回の異変で起きたことは俺の不祥事だ。

 

卵のことも忘れ、眠りについたのが間違いだったのかもしれんな。

 

 

「過ぎてしまった事なんですから、今更後悔してもなにも始まりませんよ。」

 

「さとり・・・」

 

 

俺の心を読んで気遣ってくれてることが感じられる。ほんと出来た恋人だよ全く。

 

 

「それもそうだな。」

 

「それより玄武さんそろそろ時間じゃないんですか?」

 

「おっともうこんな時間か・・・それじゃ地上に行ってきますかね。めんどくさいが。」

 

「それは言ってはいけませんよ。あといつごろ帰ることになりますか?」

 

「夕飯前には帰ってくると思うから。」

 

「じゃあ用意して待ってますので。」

 

 

ホントできた彼女だよさとりは・・・

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

地上に出た俺は話し合いの場所を用意してくれた紅魔館に向かっていたのはいいんだが―――

 

 

「わはー高いのだー。」

 

 

なぜかルーミアと遭遇し、しまいには肩車している状況だ。

 

まあなんだか孫を見ているようで癒されるんだがな。年齢だけ見れば俺爺だし。

 

 

「玄武はどこに行くのだ?」

 

「ん?紅魔館だよ、そこでちょっとした話し合いがあるんだ。」

 

「そーなのか。」

 

「ルーミアはなにか予定があるのか?」

 

「チルノに大ちゃん、ミスチーにリグルと遊ぶ予定なのだ。」

 

 

チルノと大妖精はわかるがミスチーとリグルって誰?

 

まあいつか知ることになるからいいか。

 

っと話しているうちに霧の湖についたか。

 

 

「ほれ着いたぞ。」

 

「ありがとうなのだ。」

 

「気を付けてな。」

 

 

ルーミアはふよふよ浮きながら待ち合わせの場所に向かっていった。

 

さて俺も早く行きますか。

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

「(怒)」

 

「Zzz・・・Zzz・・・Zzz・・・」

 

 

こいつは相変わらずだな。

 

 

スッ

 

 

バチコーーーン

 

 

「い゛っだーーーーーーーーー!!!!」

 

「いつまで寝てんだ。さっさと起きろ。」

 

「毎度毎度来るたんびにデコピンかまさないでくださいよ!?」

 

「仕事してねぇ奴が文句言うな。」

 

「理不尽だーーーーーー!!!!」

 

「まあそんなのはいいとして中に入れてくれるか、咲夜。」

 

「お嬢様達がお待ちよ入って頂戴。」

 

 

咲夜にそう言われ俺は門をくぐり咲夜のあとに続き紅魔館に入っていった。

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

「遅れてすまない。」

 

「あんたが遅れるなんて珍しいわね。」

 

 

俺は空いている席に座り、周りを見渡した。

 

今この場にいるのは、俺を除いて霊夢、魔理沙、レミリア、咲夜、パチュリー、フラン、紫、藍、幽々子、妖夢、射命丸、知らない女の子と女性の13人だ。

 

 

「揃ったことだし、始めましょうか。」

 

「すまんが、2人ほど知らないものがいるんだが・・・」

 

「紹介していなかったわね。この子は稗田 阿求、幻想郷縁起の筆者よ。その隣にいるのが人里の守護者兼寺子屋の教師、上白沢 慧音。」

 

「よろしくお願いします。」「上白沢 慧音だよろしく。」

 

 

ほうこの子があの筆者とはなそれに里の守護者か。

 

 

「ああよろしく。」

 

「早速ですが私の質問に答えてくださいね。」

 

「了解した。」

 

「それではまずあなたの・・・・・・・」

 

 

それから俺は自分のことを話していった。

 

名前、能力、年齢、種族のこと。

 

まあ年齢と種族のことを言ったら、全員固まったけどな。

 

えっこんなフレンドリーな神様見たことないって―――俺は古代神にして守護神だぞ。

 

自由奔放だったんだよ昔の神々は。

 

そういや出身地のことを話したらパチュリーと魔理沙がくいついてきたっけ。

 

そりゃあ幻の大陸だからな。貴重な文献等が未だに残っているからな。

 

でも教えないけど。

 

 

「まさか神とは思わなかったわ。」

 

「どうりで強いわけだよな。」

 

「スゴーーーーイ!!!!」

 

 

霊夢と魔理沙は呆れながらいい、フランは目をキラキラさせていた。

 

 

「やっぱ神として崇めたらいいのかしら。」

 

「んなことしなくていいぞ、これまでどうり接してくれて構わない。」

 

「安心したわ、あなたならそういうと思ってたから。」

 

「阿求からの質問はこれで終わりとして他に質問あるやつはいないのか?」

 

「それじゃあ私がしていいかしら。」

 

「紫か、お前さんが聴きたいのは奴のことだろう。」

 

「ええ、あの鳥は一体なんなのか。」

 

「アレの名はギャオス、超古代文明アトランティスが造り出してしまった人工の生物だ。しかもあらゆる生物の遺伝情報を持っており一匹だけでも単位生殖で繁殖が可能な生物。餌は生き物全般。」

 

「あ、あれが人の手で作られた生物だとでも言うの!?」

 

「普通だったらできない、だがアトランティスの技術力は並の技術ではなかったからな。俺も詳しいことは分からないが元は愛玩動物が発端で、最終的には民族間の戦争などに奴らは使われたらしい。因みに、アトランティスは制御の利かなくなった奴らに滅ぼされたらしい。」

 

 

俺の言葉を聞いて全員が絶句していた。

 

そりゃそうだろうなあんな生物を作り出せる技術力を持った文明が存在していたこととその生物が原因で滅んだことを。

 

俺も残されていた記録を見て知ったときは驚いたさ。

 

 

「そのあとギャオスは世界各地に飛び回り生物という生物を捕食していいった。後にギャオスはその残虐性と悍ましさから災いの影と呼ばれるようになったんだ。」

 

「なぜそのような存在が白玉楼にいたんですか?」

 

「白玉楼の敷地と西行妖は元々冥界になかったんじゃないのか紫。」

 

「ええ、地上から移したのよ。」

 

「おそらくその時に地中に埋まっていた奴まで一緒に持ってきてしまったんだろう。」

 

 

これは俺の予想だからホントかどうかわからん。

 

 

「でも早めに退治できてよかったよ。出なけりゃもっとやばかったからな。」

 

「?・・・ヤバイってどういうことだよ。」

 

「あれはまだ幼体だ・・・だからあれだけで済んだんだ。」

 

「あれで幼体ですって!?」

 

 

ギャオスと戦った奴らは驚愕していた。

 

 

「大きさだけでも10mから15mはあったんだぞ・・・それなのにあれでもまだ幼体だというのか!?」

 

「完全に成長しきったらどのくらいになるの・・・」

 

「ざっと翼長100mに成長する。」

 

「「「「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」」」」

 

 

ギャオスを見ていない者たちも俺の言ったことにひどく驚いていた。

 

 

「ね、ねぇ玄武はその大きさのと戦ったことがあるの?」

 

「人型では戦ったことはない。」

 

「別の姿があるの!?」

 

 

フランちゃんなにワクワクしてるのかな。

 

まあ検討はついてるからな。

 

 

「言っとくけどまだ見せないから。」

 

「えーつまんなーい」

 

「こんなところで姿変わってみろ紅魔館――――潰れるぞ。」

 

「「「それだけはやめて・・・」」」

 

「それから俺とやつが戦闘を始めたらお前ら即逃げろよ。巻き込まれて死んだりしてもしらんからな。」

 

「わ、わかったわ。」

 

「「(私はもう巻き込まれたことがあるんですが・・・)」」

 

 

 

ふー一通りは話したかな。まだ話しきってない部分とかもあるがまだ言うわけにはいかんからな。

 

 

「もう昼じゃないか。おいお前さんらなんか食いたいもんあるか俺がご馳走してやるよ。」

 

「あらいいの?」

 

「一応祝勝会も兼ねてだがな。紫達も食べていけよ。」

 

「それじゃお言葉に甘えて。それと藍を手伝わせるから好きに使って頂戴。」

 

「じゃあウチは妖夢を貸すわ。」

 

「咲夜案内してあげて。」

 

「畏まりましたお嬢様。みなさんこちらへ。」

 

 

俺、藍、妖夢の3人は咲夜にキッチンまで案内してもらった。

 

そしてキッチンについた時に妖夢から質問された。

 

 

「ところで何を作るんですか?皆さんに何を食べたいのか聞いていませんでしたけど。」

 

「あれだけの人数だからな、バイキング形式にしようと思ってんだが。」

 

「バイキングとは一体何だ?」

 

「テーブルに並べた各種の料理を各自のさらに取り分けて食べる食事のことだ。」

 

「ほう、そのような食事方法があるのか。」

 

「その方法だったら少食のお嬢様も食べられるわね。」

 

「作る料理は俺が指示するからその通りに作ってくれ―――――じゃあ始めるぞ!!!」

 

 

 

 

――――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

1時間半が経過

 

 

俺は会場に料理を運び終え、あとは霊夢たちを呼んでくるだけなんだが・・・

 

 

「男の方に料理で・・・負けた・・・」

 

「これが・・・年季の差・・・というやつですか・・・」

 

「・・・」

 

 

うん・・・見事にへし折っちゃいました。女のプライドを。

 

霊夢達か?、まだ呼びに行ってもいないのにどうして?

 

 

「ちょっとどうしたのよ!?咲夜達がなんかものすごく落ち込んでるじゃない、一体あんた何したの!?」

 

「料理を味見させたら、こんなふうになった。」

 

「・・・男のあなたに負けたのが相当こたえたのかしら。」

 

「でもそれだけ期待できるってことだよな。」

 

「早く食べたいわぁ~。」

 

 

二人共まずはその口元のヨダレを拭け。

 

ってお前ら3人は何もう料理とってんの!?

 

 

「そのうち復活すると思うからほっておきましょう。」

 

「早く食べようよ~。」

 

「ほおっておきなさいよ。ご飯が冷めちゃうわ。」

 

 

はぁ・・・こいつらの相手は疲れる。早く地霊殿に借りたい。

 

そして騒ぎにも等しい祝勝会が始まった。

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

昼食を食べ終わったあと、俺は紅魔館をあとにして地霊殿に戻ってきた。

 

そして今は部屋でくつろいでいてさとりに地上であったことを話していた。

 

 

「疲れた~~。」

 

「説明しに行っただけなのになんで疲れるんですか・・・」

 

「・・・・昼食を作ってやったんだが俺の料理の取り合いが勃発してな、しまいには弾幕ごっこまで発展したんだよ。」

 

「それ、どんな地獄絵図ですか?」

 

「落ち着いて飯も食えなかったよ・・・作った俺が言うのもなんだが。」

 

 

ほんと地上の連中は、騒ぐのが好きだね。地底の連中も負けてはいないが。

 

 

「やっぱさとりのいる地霊殿が一番落ち着く。」

 

「いきなりどうしたんですか?」

 

「別にただの一人言だよ。それと少し寝るからあとで起こしてくれよ。」

 

「わかりました。ゆっくり休んでください。」

 

「ありがとう。」

 

 

うん、やっぱりここが一番落ち着くや。

 

だってここには大切な人がいるのだから。

 

 



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夏といえば

オリキャラが登場。

一体どんな人物なのかお楽しみに!


 

 

 

「お姉ちゃんいったよ~。」

 

「こいしどこに飛ばしてるんですか!っとお燐、パス!」

 

「ナイスパスさとり様、ほらお空!」

 

「うにゅ、それー!」

 

 

女性陣は楽しそうにピーチバレーをしているのを俺と俺の友人が見ていた。

 

 

「眼福だな。」

 

「眼福でさあ旦那。」

 

 

俺たち今海に来てます。

 

なんで海に来てるかって?

 

それは数日前にさかのぼるんだが

 

 

 

俺はみんなをリビングに集めて自分が立てた企画を話し始めた。

 

 

「海、ですか?」

 

「ああ、みんなで行こうと思ってるんだがどうだ。」

 

「ほんと!海に連れてってくれるの!。」

 

「ああ、前から計画を練っていたからな。それにこれは家族サービスみたいなもんだよ。」

 

「わーい♪」 (因みにこいし達には玄武が何者なのか教えてあります。)

 

「お兄さん太っ腹だね。」

 

「おー玄武さん太っ腹ー!」

 

「でも海に行くにしても問題がありますよ。私とこいしはサードアイを外せばどうにかなりますけどお燐とお空は隠せませんよ?」

 

「心配ない。そのために島一つ買い取ったんだから。」

 

 

・・・・・・

 

・・・

 

 

 

あれ反応がないぞ?みんなどうしたんだ?

 

おーい

 

 

「は?え?島を買い取った?・・・ええええぇぇぇぇ!!!!!」

 

「お兄ちゃん大胆すぎるよ!!」

 

「ぶっちゃけやり過ぎですよお兄さん!」

 

「うにゅ!」

 

 

なんだよみんなの為を思って買ったんだよ。

 

感謝してよね。

 

 

「どこにそんなお金あったんですか!?」

 

「株で儲けた金で買った。」

 

 

いや株をやってて正解だったね。まさかこんなふうに役に立つにが来るとは。

 

 

「そ、そうですか。」

 

「それに水着だって用意したんだから。」

 

 

今流行りの新作の水着を大量に購入したんだから。

 

 

「水着も用意してたんだ!?」

 

「もうすぐ届くと思うぞ。」

 

 

あいつに頼んだからもうすぐ来る頃だな。

 

 

カランカラン

 

 

おっ!噂をすればなんとやら。

 

 

「玄武の旦那、約束のぶつ持ってきましたよ。」

 

「ありがとうな、飛鳥。」

 

「いえいえ、でもひどいっすよ俺に運び屋まがいの事させて・・・」

 

「すまんすまん、なんならお前も一緒に海行くか?」

 

「マジすか!?行きます。行かせていただきます!」

 

 

厳禁なやつだなコイツは―――でも昔と何一つ変わってなくて安心したよ。

 

 

「あの玄武さん?ちょっとよろしいですか?」

 

「うん?このお嬢さんがたはどなたで?」

 

「ああ、紹介しよう。俺の隣にいるのがさとり、帽子をかぶっているのがさとりの妹のこいし、赤い髪に猫耳つけているのがお燐、黒髪で羽をつけているのがお空。」

 

「地霊殿の主、古明地 さとりです。」

 

「妹の古明地 こいしだよ。」

 

「ペットの火焔猫 燐、気軽にお燐て読んでね。」

 

「霊烏路 空、みんなからお空って呼ばれてる。さとり様のペット。」

 

「因みにさとりは俺の恋人。」

 

「へぇーあの堅物だった旦那に恋人ができたなんて、あの二人が知ったらなんて言うだろうな。」

 

 

確かに昔俺は堅物だったかもしれんが今は違うぞ。

 

 

「変なこと言ってないでお前も紹介しろよ。」

 

「へいへい、俺は鳳 飛鳥、旦那とは古くからの馴染みなんでよろしく!」

 

 

さとり視点

 

 

「っとまあ少し変わってるが仲良くしてくれるとありがたい。」

 

「ひでーぜ旦那!そりゃねーよ。」

 

 

こんなふうに冗談を言う玄武さんは珍しいですね

 

 

「俺達なんか見て笑って、どうしたんださとり?」

 

「ふふ、仲がよろしいんですね。お二人は、ちょっと妬けちゃいます。」

 

「長い付き合いだからな。」

 

 

そうだちょっとイタズラしちゃいましょうか

 

 

「えいっ!」

 

「っ!?さ、さとりさん?」

 

「何ですか玄武さん。」

 

「・・・あの当たってるんですが。」

 

「当ててるんですよ。」

 

 

ふふ、狼狽える玄武さんは可愛いですね。

 

さあ私たちの仲の良さを飛鳥さんに見せつけてあげましょう。

 

ってあら?こいしはどうしたのでしょうか?

 

先程からピクリとも動いていません。

 

 

「こいし?どうしたんですかぼおっとして?」

 

「へ?そ、そんなんじゃないよ///・・・ね、ねえ、この箱って全部水着?」

 

「うん?そうだけど。」

 

「それじゃあさあ~おすすめってある?」

 

「おすすめねぇ。旦那は新作の水着ってのしか聞いてやせんぜ。」

 

「そうなんだ・・・なら可愛いの選んでくれない?」

 

「俺が?」

 

「うん。」

 

「そうだな・・・」

 

 

なるほどそう言うことでしたか。。

 

ふふ微笑ましいうえに初々しいですね。

 

 

「なあさとりあれって。」

 

「はい玄武さんが思ってるとおりですよ。」

 

 

これはもう間違いないです。

 

あの子は

 

 

「「飛鳥(さん)に一目惚れしたみたいだな(ね)。」」

 

 

「あ、私のは玄武さんが選んでくださいね♪」」

 

「・・・マジ?」

 

 

 

――――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

海水浴当日

 

 

地霊殿の皆と友人の飛鳥と連れて買い取った島にきた俺達。

 

 

「「「う・み・だー!!!」」」

 

「キレーですね。」

 

 

買い取って正解だったな。

 

 

「今日は楽しもうな、皆」

 

「あいさー!」

 

「うにゅ!」

 

「はーい!」

 

 

何時も通り元気そうな3人に、さとりと飛鳥の3人で苦笑してしまった。

 

 

「じゃあまた後でな。俺達は入り口付近で待ってるから」

「はい、それでは行きましょう皆」

 

「「「はーい」」」

 

 

ぞろぞろと5人が更衣室へと入っていった。

 

 

俺と飛鳥はそれを見届けると仮設で建てた男子更衣室で手早く水着とパーカーに着替え、先ほど言ったように入口で待った。

 

女性の方が着替えるのが遅い(らしい)とは言うが、早く来て欲しいものだ。

 

 

「玄お兄ちゃん、飛鳥!お待たせ~。」

 

「お、お待たせしました//////」

 

「あ、さと・・・り」

 

 

さとりとこいしの声が聞こえたので後ろを振り向いたら俺と飛鳥は言葉を失った。

 

俺はさとりの水着姿に釘付けだった。

 

さとりが着用しているのは俺が選んだピンクのビキニだ。

 

さとりはいつも体のラインが出ない服を着ていることもあって、さとりのスタイルが惜しげもなく出ていた。

 

白磁のような綺麗な肌、女性特有のくびれ、胸は20代女性の平均より大きい(Eくらい)・・・ひとつの芸術だといってもいい。

 

下半身は花柄の模様が彩られたパレオで覆われていて、時折覗く足が魅力的だった。

 

・・・なんと言うか反則だなあの格好は。

 

(ちなみ俺は黒のトランクス型の水着で飛鳥は俺のと同じ水着で色は青。)

 

 

「ど、どうですか?変じゃありませんよね。」

 

「いや!すごく似合ってるぞ!」

 

「あ、ありがとうございます/////」

 

「それにしても・・・」

 

「お兄さん達―――鍛え抜かれた体してるねぇ。」

 

「「////////(格好良い)」」

 

「?(さとり様とこいし様なんで顔赤くしてるんだろう?)」

 

「そ、それよりさ、玄お兄ちゃん。私の水着どう?」

 

 

ふむ、飛鳥のやつもなかなかいいの選んだな。

 

フリルの着いた黄色のワンピースの水着か。

 

こいしによく似合ってるな。

 

 

「よく似合ってるぞ、飛鳥お前もいい仕事してるな。」

 

「ホントー!?やったぁ!」

 

「お褒めの言葉ありがとうっす旦那。」

 

「お兄さん達あたい達は結構お気に入りのやつ選んだんだけど。」

 

「う、うにゅ・・・どうかなぁ玄武さん?」

 

 

お燐とお空もなかなかのものだな。

 

お燐は黒のビキニに、ホットパンツを着用している。

 

しかも頭上にはサングラス、いい味出してんなぁ。

 

お空も白いビキニとスカートのついた水着というチョイス。

 

「二人共似合ってるっすよ。」

 

「よかったねお空。」

 

「うにゅ!」

 

 

・・・本当に楽しそうでよかった。連れてきたかいがあったってもんだ・・・。

 

 

「じゃあ揃ったことだし、海岸まで行ってみましょうか」

 

「「「はーい!」」」

 

 

姦しい3人が我先と海岸へとダッシュしていった。

 

 

「あ、こら待ちなさい!・・・まったく」

 

「元気っすねぇ。」

 

「ははは、いいじゃないか。俺らも行こう」

 

「え、えぇ・・・」

 

俺は飛鳥に気づかれない様にさとりの手を取り、浜辺に向かった。

 

 

 

(ここから冒頭に戻ります)

 

 

 

「玄お兄ちゃん、飛鳥ー!一緒にやろうよー。」

 

 

こいしが俺たちを呼んでいた。

 

 

「行くか。」

 

「そうっすね。」

 

 

俺たちはパーカーを脱ぎさとり達のもとに向かった。

 

「お兄ちゃん達も来たことだしバレーの続きをしよ!」

 

「それよりかは3対3のミニゲームでもやらないか?ちょうど6人いるし」

 

「それいいっすねぇ。」

 

「「「賛成ーー!!!」」」

 

 

俺、さとり、お空と飛鳥、こいし、お燐の2チームに別れた。

 

 

「旦那覚悟してくだせぇ。」

 

「まだお前には負けんよ。」

 

「うにゅ!お燐勝負!?」

 

「望むところさね!?」

 

 

チーム編成をしたあとビーチバレーを再開したのだが、もはやビーチバレーとは言えないものに変わってしまった。

 

だがそれでも俺は楽しかったと思う。

 

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

ビーチバレーが終わったあと俺は海に入り、現在、空に顔を向けプカプカ浮いていた。

 

そこに誰かが近づいてくる気配がした。

 

 

「玄武さん。」

 

 

この声は

 

 

「さとりか?どうした?」

 

「今日はありがとうございます。」

 

「なんだ改まって。」

 

「外の世界とは言え、地上でこうして再びあの子達と過ごす事が出来て嬉しかったです。」

 

「気にするな、言ったろこれは家族サービスだって。」

 

「でも感謝せずにはいられませんよ。」

 

「律儀だよな、さとりは。」

 

「そうですか?でもこういうことはきちんとしておきたいですから。」

 

 

ほんと律儀だよ。でも俺はそんなさとりだからこそ惹かれたのかもしれないな。

 

守りたい、これからも守っていきたいこの笑顔を。

 

 

「ん?どうしたですか?」

 

「なんでもない、さあ時間はたっぷりあるんだ今日はとことん遊びつくそう。」

 

「そうですね。」

 

 

俺たちはそのあと日が暮れるまで海で遊びつくした。

 

1日という短い時間だったがとても楽しい思い出ができた。

 

 

 

そして翌日

 

 

「「・・・・・」」

 

「ども俺も地霊殿にお世話になります。」

 

 

 

こうして地霊殿に新しい住人がやってきた。

 

 



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昔語り

今回はオリキャラである飛鳥の視点で話を進めます。


 

飛鳥が地霊殿に住むようになって1週間が経った時に起こった出来事。

 

 

ここは地霊殿に用意された飛鳥の部屋。

 

 

 

「グ~グ~・・・・んっ(ゴロン)」

 

 

寝心地良さそうに眠っている飛鳥。

 

 

「んっん~(ガバッ)・・・ん?・・・グ~グ~。」

 

 

不意に近くにあった何かを抱きしめたようで起きかけたが、逆にその心地よい感触に負け再び眠りに入った。

 

だが何を抱きしめたのかは朝になってびっくりしたのだった。

 

 

 

チュンチュン

 

 

 

朝方7時頃、玄武とさとりが朝食を準備している時間だが、飛鳥は未だ眠っていた。。

 

 

「グ~グ~(ギュッ)・・・・?」

 

 

飛鳥は夜中にも感じた変わった感触に気づき、うっすらと目を開ける。

 

初めは寝ぼけていてそれが何なのかわからなかったが、意識が覚醒し自分の腕の中にいるものを見たとたん飛鳥は顔色を真っ青にしていった。

 

 

「・・・マジ?」

 

 

飛鳥が抱きしめていたのは枕ではなく、誰かの頭だった。

 

それも最近見知った髪の色。

 

そうこいしの頭を枕替わりに抱きしめていたのだ。

 

 

「スゥ・・・スゥ・・・スゥ・・・」

 

「・・・なんでこいしが・・・とりあえず離さなければ・・・」

 

 

飛鳥はこいしから手を離し離れようとしたが―――

 

 

「スゥ・・・スゥ・・・スゥ(ギュッ)・・」

 

 

温もりを求めてこいしが逆に抱きついてきた。

 

先ほどよりも状況が悪化し、自分の中で危険信号が鳴り響いていた。

 

 

 

「・・・・(ダラダラダラ・・・)。こ、こんなところ、姐さんに見つかれば殺されちまう・・・」

 

 

 

コンコン

 

 

 

ビクゥ

 

 

 

「(ま、まさかっ!!!)」

 

「飛鳥さん、朝食の用意ができたんですけど・・・」

 

「(た、タイミング悪ー!!!マジどうすれば!?)」

 

「飛鳥さん?・・・入りますよ。」

 

「(入ってこないでぇ~!!!)」

 

 

ガチャ・・・

 

 

「なんだ起きてたんじゃないですか、返事くら・・・い・・・」

 

「・・・その、これはですね・・・」

 

「・・・すみませんお取り込み中でしたか。」

 

「えっ、あの、ちょっと姐さん!?」

 

 

ススゥー

 

ガチャン

 

 

「玄武さぁぁぁん、飛鳥さんとこいしがぁぁぁぁ!!!!」

 

 

ズダダダダダァァァァ

 

 

「姐さぁぁぁん、カムバァァァァック!!!!」

 

「ふにゅ・・・ムニャムニャ・・・」

 

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

朝食の席で飛鳥は玄武とさとりに今朝のことを説明していた。

 

 

~説明中~

 

 

「そういうことだったんですか・・・」

 

「こいし、大胆なことしたな。」

 

「えへへ」

 

 

玄武に言われ、照れていたこいし。

 

そんなこいしに飛鳥は

 

 

「えへへ、じゃないよ全く俺は姐さんに何かされるんじゃないかとビクビクしてたってぇのに」

 

「でも気づかなかったのは飛鳥だよ?」

 

「ぐふっ!?い、言い返せないのが痛い。」

 

 

こいしの口撃にダメージを受ける飛鳥。

 

そのあともたわいのない会話が続いていたら、玄武が喋り始めた。

 

 

「そうそう言い忘れていたが今日俺とさとりは旧都で会議があるから、夕飯まで帰らない。だから昼は自分たちで何とかしてくれ。」

 

「絶対問題は起こさないようにしてくださいね。」

 

「了解でさぁ。」「「「はーい。」」」

 

 

 

朝食を食べ終わり少し休憩した後、玄武とさとりは出かけていった。

 

飛鳥は自分の部屋に戻り、昨日の夜に読み掛けだった本を読み始めた。

 

そこに

 

 

「飛鳥、洗濯物持ってきたよー。」

 

 

こいしが飛鳥の服を手に抱えて入ってきた。

 

こいしは飛鳥が地霊殿に来てからさとりや玄武の手伝いをするようになった。

 

まあいうなれば飛鳥に対してアピールしているのではある。

 

こいしのこの行動は玄武達には丸分かりではあるものの、飛鳥は気づいてすらいなかった。

 

 

「ありがとう、そこに置いといてくれ。」

 

「うん。」

 

 

こいしが部屋に備え付けてあるテーブルに洗濯物を置くとあるものが目に入った。

 

 

「この写真に写ってるのって飛鳥?」

 

「ああそうだよ。子供の頃に撮った写真だ。」

 

「へぇー、あれ?この一緒に写ってるのは玄お兄ちゃん?それにこの二人は?」

 

「間違いないよ。そこに写ってるのは旦那だよ、あとその二人は友人。」

 

 

こいしは写真をじっと眺めていた。

 

そして気になったのかこいしはあることを飛鳥に言ってきた。

 

 

「ねえ、この写真を撮った時の話を聞かせて。」

 

「その写真を撮った時ねぇ。そうだなあれは俺がまだ幼かった時だ。」

 

 

語り中

 

 

あの日はいつもどうりの日常が始まるんだと思っていた。

 

でもあいつらがやって来てそれは崩された。

 

俺の生まれ故郷、ムー大陸はギャオスたちに襲われ滅んだ。

 

そして唯一生き残った俺は一心不乱に走っていた。ギャオスたちから逃げるために。

 

でも相手の方が速く、俺は瞬く間に4、5体のギャオスに囲まれてしまった。

 

もうダメかと思い、死を覚悟した。

 

そしたら、ギャオスの一体が攻撃を受けて俺の目の前で炎上し始めたんだ。

 

その光景に俺は驚いたんだ。そしたら誰かが林の中から出てきたんだよ。

 

その出てきた人物こそ旦那だったんだ。

 

旦那はまたたく間にギャオスを倒していったんだ、俺はその光景に圧倒された。

 

ギャオスを退治し終わったあと旦那は俺に大丈夫かってきいて聞いてきたんだ。だから俺は大丈夫と答えた。

 

旦那はそれを聴き終えると帰ろうとしていたんだ。だから俺は旦那を呼び止めたんだ゛俺も一緒に連れて行って゛と。

 

旦那に゛何故だ?゛って聞かれたから俺はもう帰る場所がなくなったことを話した。

 

旦那は少し考えたあと、゛わかった゛って頷いてくれた。そして俺は旦那の後について行ったんだ。

 

それからと言うものの俺は旦那に育ててもらいながらいろいろなことを教えてもらった。

 

あの出来事から数ヶ月が過ぎた時に、旦那はまた新しく誰かを連れてきたんだ。

 

後にライバルであり友人であり兄弟とも言える二人に俺は出会った。

 

 

語り中断

 

 

「とまあ、幼少時はざっとこんな感じだったよ。といってもまだ途中だけどな。」

 

「そんなことがあったんだ、それで続きは?」

 

「続きは昼食のあとで。」

 

 

飛鳥は時計を指差していった。

 

その時間は12時ちょっと過ぎくらいの時間だった。

 

 

「もうこんな時間だったのじゃあ早速準備しなきゃ。」

 

「なんだこいしも料理できたのか。」

 

「お姉ちゃん達に教わってるんだけどまだ簡単なのしか作れないの。」

 

「そうなのか、じゃあ楽しみにしてるよ。」

 

「あ、味は保証できるかわからないけど、頑張るから!!!」

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

「「「御馳走様でした。」」」

 

「ど、どうだった味の方は。」

 

「なかなかうまかった。」

 

「ほんとに?」

 

「ほんとですよこいし様、いつのまにここまでできるようになったんですか。」

 

「うにゅ、すごくおいしかったです。」

 

 

三人の感想を聞いてこいしは

 

 

「やったー!!!」

 

 

嬉しそうに飛び跳ねていた。

 

食事も終わりお燐とお空はまた仕事に戻っていき、こいしは食器を洗い洗い始めた。

 

食器を洗い終えると朝と同じように飛鳥の話を聞きに部屋に行った。

 

 

「それじゃあ、さっきの続きだったかな。」

 

「早く聞かせて!!!」

 

「そうだな俺が旦那や2人と暮らし始めて50年程時が流れたときにだったかな。」

 

 

語り再開

 

 

俺やその二人は顔を合わせるたびに喧嘩し、旦那に怒られるまで喧嘩を続けることが日常茶飯事だった。

 

あるときいつものように喧嘩していたら、二人のうちの一人が゛ただの殴り合いじゃ埒があかないから別の方法で決着をつけよう゛と言い出したんだ。

 

そしてそいつが言ったこととは、ギャオスを仕留めた奴が勝ちということだったんだ。

 

その時の俺達は興奮状態で明確な判断ができておらずついそいつの言ったことに乗っちまったんだよ。

 

今思えば、無謀過ぎたことだったな。

 

そして俺たちは外に飛び出して、ギャオスを探したんだよ。

 

小一時間ほどあたりを探索してみたが一向にギャオスを見つてられなかった。

 

俺たちは諦めて帰ろうとしたその時、どこから嗅ぎつけたのかわからないが幼体のギャオスが現れたんだ。

 

俺たちはとっさに身構えて、迎撃しようと攻撃し始めたんだ。

 

でも相手の体格の方がでかくて俺たちの攻撃など通用しなかった。たとえ旦那に鍛えてもらっていても俺たちが未熟すぎたんだ。

 

で、俺達は自分たちの攻撃が通用しないことに恐怖し、逃げたんだ。

 

でも相手は逃がしてはくれず、二人のうち一人が捕まってな食われそうになったんだ。

 

俺ともう一人は恐怖でいっぱいだったがそいつを見捨てることができずギャオスに飛びかかっていったんだ。

 

隙をついてなんとか助け出すことはできたが、いかにせん力の差がありすぎて俺たちはボロボロにされ身動きができなくなった。

 

もうダメだって俺達が思ったときに、旦那が駆けつけて来てくれたんだ。

 

旦那が来てからあっという間にギャオスを倒してくれたんだ。だけど俺たち三人はものすごく怒られたんだよ。

 

あの時の怒り方は今でも覚えてる。あれは俺たちのことを本当に心配して怒ってくれてたんだって実感したよ。

 

まあこってり絞られたあと俺達は旦那に連れられて家に帰ったんだ。帰っている途中で旦那が゛生きていてくれてよかった゛って言ったんだ。

 

その言葉は今でも心に残ってるよ。

 

それからというもの俺たちは旦那に心配かけないように喧嘩をすることはなくなり、互を認め合ったんだ。

 

 

 

語り終了

 

 

 

「んで、その時撮ったのがこの写真ってわけ。」

 

「へぇー昔の飛鳥って結構やんちゃだったんだ。」

 

「まあ今となってはいい思い出だよ。」

 

「その二人って今どうしてるの?」

 

「さあな全員旦那が眠りについたあとバラバラに別れたからな今どこで何してるのかわからないんだよ。」

 

「そうなんだ。」

 

 

こいしは物思いに耽った様子だった。

 

 

「どうしたんだこいし?」

 

「えっ?何どうしたの?」

 

「何か考え事してたのか?」

 

「うん、さっきの話を聞いてからね私もその人達にあってみたいなあって思ってたの。」

 

「あいつらにか?」

 

「うん、だって飛鳥の友達なんでしょ。会ってみたいって思うのは当然でしょ。」

 

「確かに―――俺も話してたら急にあいつらに会いたいって思っちゃったんだよね。」

 

「会えるといいね。」

 

「ああ。」

 

 

飛鳥はこの時いつか幻想郷で全員が揃うといいなと思った。

 

しかし飛鳥とこいしが思ったこの切実な願いは近いうちに叶うとは思ってもみなかったのだ。

 

 




オリキャラの紹介をしたいと思います。



オリキャラ紹介




名前:鳳 飛鳥(おおとり あすか)


性別:男


年齢:1億歳


種族:不死鳥 古代神


能力:『炎を司る程度の能力』


出身地:ムー大陸 


二つ名:不死鳥の帝王(カイザーフェニックス)、蒼き不死鳥


容姿:青い髪に後頭部の髪を縛っている。頭頂部からアホ毛が出ている。瞳の色は赤。

   上着は青のジージャンに白のTシャツ、ズボンは青のジーパン、靴は白のスニーカー


記載


玄武の友人にして古代神の一人。

幼少時(神として成り立て)にギャオスに襲われていた時に玄武に助けてもらい、玄武の下で暮らし始める。

兄であり父でもある玄武のことを慕っている。そのため玄武のことを旦那と呼んでいる。

玄武に育てられたためか、女性関係に関しては少々疎い。

玄武の頼みで幻想郷を訪れた際、幻想郷に興味がわき玄武のいる地霊殿に居候を始めた。

さとりのことを姐さんと呼んでいる。

戦闘に関しては玄武が背中を任せるほどの実力者で、空中戦が得意。格闘技は蹴り技が主体。

玄武と同じで人型と獣型の二種類があり、獣型の時は不死鳥になる。



不死鳥形態



不死鳥としての名前:フェニアス

容姿:青いドランザー

身長:75m、翼長:180m、全長(尾羽を含める):140m

飛行速度:マッハ4.2(ギャオスの飛行速度に匹敵する。)


スペルカードなどは作中で載せていきます。

10/20:能力の名前変更


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子鬼と決闘 前編

今回の話は萃夢想編です。

どんな展開になるかお楽しみに。


 

 

地霊殿の執務室で俺とさとりは仕事をしていた。

 

 

「今日の仕事はこれで終わりですね。」

 

「そうだな。」

 

「これで午後からデートに行けます♪」

 

「どうしたそんなに張り切ったりなんかして。」

 

「だって久しぶりのデートですよ。」

 

「まあここ最近は忙しくていけなかったからな。」

 

 

先週は飛鳥が地霊殿に住むに当たっての家具などの買い出しや旧都の方で新しい住居区画を造るにあたってどの場所にするか話し合いが続いたため、けっこドタバタした日が続いた。

 

今週に入ってからも書類等の整理や処理で多忙でほとんど休む時間が取れなかったがようやっと仕事の方がかたづき一安心している。

 

実は今朝さとりに仕事が終わったらどこかに出かけようと約束をしたのだ。

 

その為さとりは今日の朝からテンションが高く、次々と書類にサインしていき瞬く間に仕事を終わらせてしまったからもうビックリした。

 

恋する乙女のパワーは凄まじいんだな。

 

 

「それじゃあ着替えてくるので部屋の前で待っててください。」

 

 

そう言ってさとりは自分の部屋に戻っていった。

 

 

 

さとりの視点

 

 

 

「さて今日はどの服を着ていきましょうか。」

 

 

私はクローゼットに収められてる服の中から今日着ていく服を選んでいた。

 

 

「前にデートに行った時は、この組み合わせでしたから今日はこれにしましょう。」

 

 

そう言って黒のノースリーブ、ピンクの肩出しのピンクのTシャツ、フリルの着いた黒のミニスカートをクローゼットから取り出しました。

 

あとその下にあるタンスから黒のニーソックスを選びました。

 

そして取り出した服に着替えるために、今着ている服を脱いでベットに置きました。

 

しかし何やら部屋の外が騒がしいようですが何かあったのでしょうか?

 

 

「・・・て・・・・・いま・・・・るな!!!」

 

「・・・もいそ・・・・入るよさとり!!!」

 

 

この声は勇儀さんですね。ん?・・・今はいるって言いましたよね。

 

そういえば今の私は下着姿・・・しかも外には勇儀さんだけでなく玄武さんもいる――――

 

 

ガチャ

 

 

「「「あ・・・・」」」

 

 

私はミニスカートを胸の前で持ってる仕草のまま固まっていました。

 

女性である勇儀さんに見られるならまだしも男性である玄武さんにまで見られるのは正直言って恥ずかしかった。

 

玄武さんってこうゆうアクシデントに遭遇するの多いですよね。

 

 

「そ、その済まないね。」

 

 

ガチャン

 

 

勇儀さんはそう言ってドアを閉めてくれました。

 

でも対応遅すぎました。

 

 

ブシャーーーーー!!!

 

バタン

 

 

「おい玄武しっかりしろー!!!」

 

 

はぅぅぅやっぱりしっかりと見られてましたぁぁぁ!!!

 

このあとどうやって玄武さんの顔を見ればいいんですか!!!

 

恥ずかしくって見れません//////。

 

と、とりあえずは着替えときましょう。

 

 

さとり着替え中

 

 

ガサゴソガサゴソ

 

 

「お、お待たせしました/////。」

 

 

私が部屋のドアを開けて見た光景は緑色の血(鼻血)に沈んでる玄武さんとそれを揺する勇儀さんだった。

 

 

 

――――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

玄武視点

 

 

 

「いやー玄武が鼻血吹いて倒れるなんて思わなかったね。しかも血の色が緑とはびっくりだよ。」

 

 

俺は鼻にティッシュを詰めながら勇儀に言った。

 

 

「人の話を聞かずにさとりの部屋のドアを開けた奴が何言うんだよ。」

 

 

そのせいでさっきからさとりが恥ずかしそうに顔を赤くして俯いていた。

 

それにしてもさとりの今日の服装は――――うん、似合ってる。

 

他の奴に見せるのがもったいないくらいだ。

 

 

「そ、そう言ってくれると選んだ甲斐あります////」

 

 

ついつい忘れがちになってしまうがさとりが心読めたのすっかり忘れてた。

 

まあ心を読まれようが大して気にしてないからいいけど。

 

 

「そこは普通気にすることだと思いますよ。」

 

「俺はほかの人とは違う。」

 

「・・・忘れがちでしたが玄武さんはこういう人でしたね。」

 

「嫌いになったか?」

 

「まさかそんなあなたに惹かれたんですよ私は―――」

 

 

そう言ってさとりは俺の肩の頭を載せて腕を組んできた。

 

俺はそれに応えるように腕を首の後ろにまわし肩に手を置いた。

 

 

「おーい、二人だけの世界を作らないでもらえるかい、一応私もいるんだけど。」

 

「「あ・・・」」

 

「でもいいもんが見れたねぇ。あのさとりが人前でイチャつくくらい大胆になるとは思ってもみなかったよ。」

 

「はうぅ///」

 

 

ま、まずい勇儀のあの顔は面白いものを見つけた表情だ!!!なんとか話題を変えないと・・・

 

 

「と、ところで勇儀は地霊殿に来たんだ?」

 

「(な、ナイスです玄武さん!!!)」

 

「おっとそうだったこんなことしている場合じゃなかった。私の話聞いてくれるかい」

 

 

顔つきが真剣になったってことはかなりの大ごとだ。

 

 

「何かあったんですか?」

 

「実は―――――萃香がいなくなったんだよ。」

 

 

なんだと

 

 

「勇儀どういうことだ?萃香がいなくなったっていうのは。」

 

「私にもわからないんだよ、2週間前から見かけなかったからあいつの家に行ったんだ。だけど・・・」

 

「いなかったということか。」

 

「だから何か情報はないかと思ってここに来たんだよ。」

 

 

確かに地底のあらゆる情報はここ地霊殿に集まるが、今回の件に関しては全く情報がない。

 

 

「残念ながらそのような事は一切耳に入ってきていませんし、報告もされていません。」

 

「そうかい・・・」

 

「スマンな勇儀、何の役にも立てなくて。」

 

「いいさ。悪かったねいきなり押しかけて私はこれで失礼するよ。」

 

 

そう言って勇儀はソファーから立ち上がり部屋を出ていった。

 

 

「とりあえず萃香のことは明日考えよう。」

 

「そうですね、情報が少なすぎますから。」

 

 

今のところ俺たちには出来ることはないので今日は外の世界を夕暮れまで満喫した。

 

そしてその翌日、俺とさとりは旧都を訪れ色々な人から萃香の最近について聞いて回った。

 

そこである有力な情報を得た。

 

その情報の提供者はヤマメとキスメからだった。

 

二人が言うには2週間前に地上に続く縦穴に向かって霧が昇っていったのが見えたらしいのだ。

 

おそらくそれは萃香だろうな。萃香の能力は密と疎を操る程度の能力、自身を霧にして気づかれないようにしたんだろうがキスメとヤマメは大抵縦穴の洞穴にいるからなそれで気づけたんだろう。

 

とりあえずは地上に行って萃香を連れ戻しに行かないとな。

 

 

「それじゃあ行ってくる。」

 

「済まないね、萃香のこと頼むよ。」

 

「任せろ。」

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

俺は現在地上に出て博麗神社に向けて飛んでいる。

 

そして博麗神社に着いた俺はその光景を見て呆れていた。

 

 

「あら玄武じゃないあんたも参加しに来たんだ。」

 

「おおっ玄武じゃないか~突っ立ってないで早く座れよ~。」

 

 

件の探し人(?)が見つかった。

 

こともあろうに宴会に参加していた。

 

 

「・・・一体何やってるんだ、萃香。」

 

「何って宴会だよ。」

 

「はぁ・・・見ればわかる。」

 

 

俺はため息を吐いた。

 

地底からわざわざ探しに来たっていうのに呑気に宴会してたとは思わなかった。

 

っとそうだ萃香にこれは聞いておかないとな。

 

 

「そういやなんでいきなりいなくなったんだ。勇儀が心配してたぞ。」

 

「あ~そのことに関しては謝るよ。」

 

「なんだ理由は言えないのか?」

 

「まあおいおい私の方から勇儀に話すから。」

 

「はぁ・・・取り越し苦労とはこのことだな。―――でもまさかとは思うが異変なんて起こしてないよな?」

 

「・・・(プイ)」

 

萃香は顔を玄武から背けた。

 

 

「霊夢もしかして―――」

 

 

萃香の仕草が気になったので霊夢に聞いた。

 

 

「ええ、起きたわよ。そのせいで3日置きに宴会をやらされてたわ。まあ一応解決したけど。」

 

 

霊夢の話を聴いた後、俺は萃香の頭をつかみアイアンクローをかました。

 

 

「なにやってんだぁーーーー!!!この子鬼がァーーー!!!」

 

「ぎゃーーーー潰れる、潰れるからやめてーーーーー!!!」

 

「ふん!!!」

 

 

俺は全員の邪魔にならないところに萃香を投げた。

 

 

「痛っもう投げることはないじゃないさ。」

 

「さて萃香、ちょっと俺に付き合え。」

 

「えっと、どう言う意味。」

 

「なに今からお前が俺とやりたかったことをするだけだ。」

 

 

俺は指の骨を鳴らしながら言った。

 

 

「それって殴り合い?」

 

「YES」

 

「は、ははは!!嬉しいね、まさかアンタと拳を合わせられるなんて夢みたいだ。」

 

 

萃香は起き上がって嬉しくなり片腕をぐるぐる回していた。

 

 

「世界最強の一角と戦えるんだ。名誉に尽きるよ。」

 

「せいぜい足掻けよ、直ぐに終ってしまったら詰まらないからな。」

 

「鬼の力見せてあげるよ。」

 

 

最強クラスの存在が今まさにぶつかろうとしていた。

 




感想やコメントなど待ってます。


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子鬼と決闘 後編

萃夢想編の後半です。

萃香さん登場、内容は見てのお楽しみ。

どうぞ。


 

 

博麗神社の境内に圧倒的な威圧が周りを支配していた。

 

その出処は玄武と萃香からである。

 

そのせいで宴会をしている者たちは二人に視線を向けている。

 

だが二人は一向に動こうとしない。

 

そこで紫はスキマを開き、ボールのような何かを取り出した。

 

そしてそれを上に放り投げた。

 

観客となった宴会参加者はボールに目を向けたが、玄武と萃香は集中しているのか全く気付いていなかった。

 

そして二人の間にボールが落ちてゆき、地面にぶつかり破裂した。

 

ボールが破裂した瞬間二人が動き出した。

 

 

「「おおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」」

 

 

ドゴーーーーーーーン!!!

 

 

二人の拳がぶつかり大きな振動が神社を襲った。その衝撃で二人がぶつかりあった場所は大きなクレーターが出来ていた。

 

その二人はクレーターの中心部で派手に殴り合っていた。だが萃香の表情は余裕がないように見える。

 

 

「(なんて頑丈な体してるんだ!?早く倒さないとこっちの腕がもたないよ。)」

 

「はああぁぁぁぁ!!!!」

 

「(っ!?拳を振るうのが早くなった!!!こっちも迎え撃たないと!?)」

 

 

二人の殴り合いは更に激しくなっていく。

 

その様子を見ている観客たちは衝撃で飛ばされないように耐えながらくいつくように今の光景を見ていた。

 

 

「ふ、二人の拳がぶつかり合う衝撃だけで飛ばされそうだぜ。」

 

「・・・私が萃香と戦ったときは手加減されてたってことね。」

 

「すごいです。こんな戦いが見れるなんて勉強になります。」

 

 

妖夢は二人の戦いをじっと眺めていた。

 

 

「おりゃああぁぁぁぁ!!!」

 

「武神流・・・武王金剛掌!!!」

 

 

ドッゴーーーーーーーン!!!!!

 

 

最初にぶつかった時以上の衝撃が辺りを襲い土煙に覆われた。

 

その土煙から萃香が飛び出すように出てきた。いや、飛ばされてきたのだ。

 

つまりさっきの打ち合いに競り負けたということだ。

 

 

「あいたた、なんて馬鹿力してるんだ。鬼のあたしでも力で勝てないなんて。」

 

「隙を見せるのはよくないな。」

 

 

玄武が萃香目掛けて掌底を打ち下ろした。

 

それをなんとか避ける萃香。

 

 

「っ!?おっと危ない危ない当たるとこだった。」

 

「反応はいいほうだな。なら少しギアを上げよう。」

 

 

玄武はその場からいきなり消えた。

 

 

「消えた!?いや違うこれは―――」

 

 

そう見きれないほどのスピードで動いているのだ。

 

そのため消えたように思えたのだ。

 

 

移動歩法『疾風』

 

 

これは玄武が編み出した技法の一つで周囲の風を操り、自身に纏わせ移動する技である。(しかも簡易的な防御もしてくれる便利な技でもある。)

 

そのため一度見失えば視覚で見つけるのはかなり難しいなのだ。

 

故に隙をついて攻撃できるのである。こういう風に―――

 

 

「後ろががら空きだ―――武王烈風掌!!!」

 

 

風を纏わせた掌底を萃香に叩き込んだ。

 

しかし当たる寸前、萃香は自身を霧に変え難を逃れた。

 

萃香はある程度予測していたため対応することができた。

 

そして萃香が反撃にし始めた。

 

 

「今度はこっちの番だ、『戸隠山投げ』!!!」

 

 

萃香は自分の腕に周囲の岩を萃め始めた。そして萃まった岩を玄武目掛けて投げたのである。

 

だが玄武はいとも簡単に迫り来る岩を破壊した。

 

 

「まだまだぁ、コイツでも喰らえ。」

 

 

萃香はくろい物体を玄武に投げた。

 

そしたらその黒い物体は辺りのものを吸収していった。

 

玄武はその現象を見て、驚愕した。

 

 

「まさか!?」

 

「玄武、あんたが思ってる通りそれはブラックホールだよ。」

 

「厄介な物を投げてきおって、耐えるので精一杯だ。」

 

「だけどそれは布石だよ。あたしが勝つためのね。」

 

「なんだと。」

 

「これはあたしのとっておきだよ、『ミッシングパープルパワー』!!!!」

 

 

みるみるうちに萃香の体が大きくなっていった。

 

 

「これでも・・・喰らえぇぇぇ!!!!」

 

 

巨大化した萃香はブラックホールの影響で動けない玄武に拳を振り落とした。

 

 

バコーーーーーーーン!!!!

 

 

正しく山をも砕く一撃が玄武に入った。

 

その光景を見た宴会の観客たちは、無事ではないだろうと思っていた。

 

だが――――

 

 

ゴゴゴゴゴゴ

 

 

突如地響きが起こり始めた。

 

 

「な、何なんだぜ!?」

 

「なんなのよこの揺れは!?」

 

 

紫はこの下で何かが動いている気配を感じた。

 

 

「何か下にいるわ!?」

 

 

そしたら巨大な火柱が地面から発生した。

 

 

「ゆ、紫様、これは一体?」

 

「目に焼き付けときなさい・・・おそらくすごいものが見られるわ。」

 

 

火柱が収まるとその場に巨大な黒い生き物がいた。

 

玄武のもうひとつの姿ガメラである。

 

 

「ガアアアアァァァァ!!!!」

 

 

ガメラの雄叫びが幻想郷に響き渡る。

 

その姿を見て、全員が驚愕していた。

 

 

「こ、これが玄武のもうひとつの姿。」

 

「す、すげぇとしか言えねぇや。」

 

「ここまでの大きさだなんて。」

 

「なんて威圧感なの、立ってるのがやっとだわ。」

 

 

真正面にいる萃香は自分以上の大きさを誇るガメラに圧倒されていた。

 

 

「(な、なんて威圧感なんだ!!気を緩めたら意識をもっていかれそうだよ。)」

 

「ゴギャアアアア!!!」

 

「うおっと!!とにかく今はやらなきゃこっちがやられる。」

 

 

萃香はガメラに拳を繰り出した。

 

しかし直撃はしたもののあまりの頑丈さに逆に腕がしびれてしまった。

 

 

「(さっきよりもさらに硬い!?これは一旦離れなきゃ!!!)」

 

 

萃香はその場から離れ距離をとった。

 

すると今度はガメラの方に動きがあった。

 

その場から動かなかったが口を大きく開け始め、空気をめいいっぱい吸い込み始めた。

 

吸い込んでいる途中で喉の辺りが赤く発光し始めた。

 

そして口からプラズマ火球を吐き出した。

 

それを見た萃香は危険だと感じ、すぐさま回避行動を取った。

 

なんとか回避はした。しかし萃香が躱したプラズマ火球は近場の山に直撃した。

 

その威力は一瞬にして山を破壊し燃え上がる松明へと変えてしまった。

 

プラズマ火球を見たことがあるものは、普段はどれほど力を加減されているのか思い知った。

 

 

「こりゃどうしたもんか・・・」

 

 

萃香がそう思っていたら

 

 

「グルルルルッ・・・」

 

 

ガメラは萃香に視線を向けているのではなく上空を見上げていた。

 

 

 

 

「?」

 

 

萃香も吊られて上空を視だした。

 

すると何かがうっすらと見えた。

 

そのうっすらと見えた何かがガメラに向かって突っ込んできた。

 

完全に姿が見えたらそれが何なのかわかった。

 

その正体はギャオスだった。しかも白玉楼で見た奴とは大きさが断然違っていた。

 

それがわかった途端、ガメラが迎撃態勢に入り連続してプラズマ火球を放った。

 

だがギャオスはプラズマ火球の間をすり抜けて躱してゆく。

 

そしてガメラに体当たりをかまし、横転させた。

 

横転してしまい、なかなか起き上がれないガメラ。それを見て萃香は起こそうとするが体格に差がありすぎるのとガメラが重すぎて無理だった。

 

ギャオスは空中を旋回し、再びガメラに向かって突っ込む準備をしていた。

 

ようやく起き上がることができたガメラはこちらに向かうギャオスに目を向けた。

 

しかし先ほどと同じ方法ではダメだというのは分かっているので、萃香の力を借りようと交信した。

 

 

《萃香、聞こえるか》

 

「!?―――この声、玄武あんたなのかい」

 

《ああ、この姿になるとこの方法でしか喋れないんだ。》

 

「なるほど、で私に何して欲しいんだい?」

 

《理解が早くて助かる。さっきのブラックホールを奴にぶつけてくれ。》

 

「そんなことお安い御用だよ。」

 

《頼んだぞ。》

 

 

二人はすぐさま行動を開始した。

 

萃香は掌に黒い物体を作り出し、ガメラは周囲の酸素を吸収し始めた。

 

ギャオスは二人に向かって急降下を始めた。

 

そして二人の方も準備が整った。

 

 

《萃香、俺の合図と共にそれを投げてくれ。》

 

「了解っと。」

 

《3・・・2・・・1、今だ!!!」

 

「そりゃああああぁぁぁ!!!!」

 

 

萃香はギャオスに向かってブラックホールを投げた。

 

ギャオスはそれを避けようとしたが、ブラックホールに吸い寄せられ始めた。

 

ギャオスは抜け出そうと足掻くがブラックホールの吸引から逃れることができなかった。

 

それを見計らったガメラは、ギャオスに向けてプラズマ火球の上位版ハイ・プラズマを放った。

 

ギャオスはガメラから放たれた火球を見て、脅威を感じ先程以上に暴れ始めた。

 

そしてギャオスに火球が到達する寸前で火球の威力が損なわれないように萃香がブラックホールを消した。

 

ブラックホールが消え逃げようとするが時すでに遅し。目の前に火球が迫っていた。

 

そして直撃した。

 

 

ドカーーーーーーン

 

 

「ギュアアアアアアアァァァァ!!!」

 

 

ギャオスの断末魔が響き渡った。

 

広範囲に渡り爆炎が広がり、幻想郷の空を赤く染めた。

 

爆炎の中からかろうじて原型が残っているギャオスがガメラの直上に落ちてきた。

 

ガメラは片腕を後ろにそらし、肘についているエルボークローに炎を纏わせた。

 

そしてギャオスが目の前に落ちてきたところを切り裂いた。

 

切り裂いたところから炎が発生し、ギャオスは炎に包まれ消滅した。

 

 

「ガアアアアァァァァ!!!」

 

 

勝利の雄叫びのようにガメラが吠えた。

 

そしてガメラから人間の姿に戻った玄武は神社の境内に降り立った。

 

 

「お疲れ。」

 

「そっちもな。」

 

 

既に戻ってきていた萃香に声をかけられた。

 

 

「もう完敗だよ。あんたには勝てそうもないね。」

 

「だが今回はスイカの力を貸してもらったからなスムーズに事が進んだよ。」

 

「そりゃ嬉しいね。でも負けたままでいるのはあたしは嫌だからね。またあんたに挑戦させてもらうよ。」

 

「その挑戦いつでも待ってるからな。」

 

 

玄武は萃香ともう一度再戦するという約束を交わし、全員のもとに帰ろうとしたが

 

 

「・・・あんたら話は終わったかしら・・・」

 

 

霊夢が凄まじい雰囲気を醸し出しながらそこに立っていた。

 

 

「ど、どうしたんだ霊夢そんな怖い顔して。」

 

「そ、そうだよ霊夢。ほらほら宴会の続きとでもいこうじゃないか。」

 

「へぇ周りの状況を見てあんたら何とも思わないの?」

 

「「周り?」」

 

 

二人は周囲を見渡した。

 

その光景は凄まじかった。

 

ボロボロの境内、半壊した神社というひどい有様だった。

 

 

「・・・何か言い残すことはあるかしら。」

 

「「え~っと、やりすぎましたごめんなさい。」」

 

「謝るくらいなら最初からするなぁーーーー!!!!」

 

「「ぎゃああああぁぁぁ」」

 

 

玄武と萃香に向けて全力の夢想封印を放つ霊夢。

 

そのあとも拷問のように夢想封印を放ち続ける霊夢にみんな恐怖したとか

 

 

こうして萃香が起こした異変は完全に終わった。

 

しかし玄武は萃香とともに博麗神社を建て直すまで地底に帰えしてもらえなかった。

 

それに地底に帰ってからもさとりに゛2日も連絡がない゛という理由で拗ねられ機嫌をとるのに一苦労したとか。

 

 

 




はい、作者のフジパンホンジコミです。ついに30話を突破しました。これまで応援してくれてる皆さんありがとうございます。これからも突っ走っていくのでよろしくお願いします。
さて今回のお話で主人公の玄武が使う武術の流派名が決まりました。いろいろ自分の中で候補があったのですがこれが一番しっくりくるなと思ったのが武神流だったのでこれにいたしました。
そして作中でガメラとなった玄武がギャオスにとどめを刺す時に出した技なのですがまだ名前が決まっておりません。なので皆さんの方で技名を考えてもらい一番良かったものを採用したいと思います。ご応募待っておりますのでこれからもよろしくお願いします。


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3章 永夜抄編
異変の胎動


どうも、作者です。
今回から永夜異変に突入します。
それに従い、新しいオリキャラも登場させる予定です。
期待してて下さい。


 

 

萃香が起こした異変から早2ヶ月が過ぎた。

 

ここアトランティスの訓練施設に数人の人影がいた。

 

 

「二人掛りでその程度か?」

 

 

玄武がさとりと飛鳥の正面で腕を組んで立っていた。

 

 

「旦那の実力はやっぱ半端ねえ、どうしやすか姉さん。」

 

「真正面から遣り合うのは得策ではありません。ここは左右から仕掛けますよ。」

 

 

さとりは今考えた作戦を飛鳥に伝えた。

 

 

「行きますよ!!!」

 

「アイサー!!!」

 

 

二人は走りだし、途中で左右に別れ玄武に攻撃を仕掛けた。

 

 

「やあああぁぁぁ!!!」

 

「せいやぁぁぁぁ!!!」

 

 

さとりは掌底、飛鳥は回し飛び蹴りをあびせた。

 

 

「ムン!!!」

 

 

玄武が二人の攻撃を受け止めた。

 

 

「今の攻撃はいいぞ。その調子でどんどん打ち込んで来い!!!」

 

「はい。」「アイサー。」

 

 

今現在、玄武が二人に稽古をつけている真っ最中なのだ。

 

二人が玄武の実力に近づきたいといってきたので、玄武が鍛錬の相手を快く引き受けたのだ。

 

だが実際二人の攻撃を受けた玄武は内心驚いていた。

 

飛鳥の実力がすでに自分と同等クラスの力になっているのはある程度予測してはいたが、まさかさとりの実力もここまで上がっていたのに驚いていた。

 

 

「(最初に二人にはああ言ったが、戦い方しだいで俺に勝てるぞこれは・・・)」

 

 

玄武は少々冷や汗を流していた。だがそれでもなんとか二人の攻撃を凌いでいた。

 

一方この修行を見学していたこいしは姉であるさとりの実力を見て驚いていた。

 

 

「(お、お姉ちゃんって、こんなに強くなってたの?昔はあんなに運動音痴だったのに・・・)」

 

 

あれだけ運動が苦手だった姉がこれほどにまで強くなっているのに驚いていた。

 

 

「(う~ん私も飛鳥から何か教えてもらおうかな・・・)」

 

 

強くなっていく姉を見て自分も鍛えてもらおうと考えだすこいし。

 

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

鍛錬が終わり地霊殿に戻って昼食をとっている玄武達。

 

 

「はい玄武さん。」

 

「ありがとうなさとり。」

 

 

そこには前以上の桃色空間が広がっていた。

 

 

 

何故こうなったのか理由はこの俺、鳳 飛鳥が説明しよう。

 

実を言うとな萃香という鬼が起こした異変後、地霊殿に帰ってきた旦那を姐さんが涙目になって詰め寄って理由を聞いたんだと。

 

で連絡くれなかったことに対して拗ねて、その日から姐さんは旦那と口を聞かなかなくなったんだ。

 

旦那が帰ってから3日が過ぎた夜に旦那は姐さんの部屋に行ったらしいんだ。

 

その後のことは分からないが、翌日リビングで見たのは、昨日とは一変とした仲睦まじい姐さんと旦那が一緒に飯を作ってた光景だ。しかも姐さんは何故か肌がツヤツヤでなんだか嬉しそうにしていたんだよ。

 

んでその日から今の状態がずっと続いているのだという。

 

まあそのせいでここの所、ご飯が甘いとしか感じていないんだよ。

 

以上説明終わり。

 

 

 

「飛鳥、誰に話かけてるの?」

 

「気にしなくていいことだぞこいし。」

 

「ふーんまあいいや。それよりもあの二人どうにかしないと。」

 

「そうだな、こうもあの空間を展開され続けたら、俺達がもたねぇ。」

 

 

勇気を持って飛鳥が二人に声をかけた。

 

 

「だ、旦那に姐さんちょっといいですかい。」

 

「「なんだ(ですか)。」」

 

「き、今日のご予定は。」

 

「いつも通りですよ。」

 

「そ、そうですか。」

 

 

だが話しかけたのがいけなかった。

 

 

「それより聞いてくれますか。昨日玄武さんがなんて言ってくれたと思います。」

 

「えっと、わかりません。」

 

「『俺が愛してるのはさとりだけだ。』って言ってくれたんですよ。」

 

「さとりも俺に言ってくれただろ。『愛してます。』って。」

 

 

そこから二人の惚気話を飛鳥は1時間近く聞く羽目になった。

 

 

 

――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

 

「あら?もうこんな時間になってたんですね。」

 

「早く仕事しないとな。ん?飛鳥そんなとこで寝てたら風邪ひくぞ?」

 

「ほっといても平気でしょうから早く行きましょう玄武さん。」

 

「それもそうだな。」

 

 

玄武はさとりを伴い、リビングから出て行った。

 

そのすぐ後にこいしがリビングに顔をだした。

 

 

「飛鳥ぁ~生きてる~。」

 

「な、なんとかな。」

 

「今日もすごかった?」

 

「き、昨日よりかはマシだった。」

 

 

よろけながらなんとか立ち上がる飛鳥。

 

顔は痩せこけたようにげっそりりているが至って平気な様子だ。

 

 

「さて旦那たちも行ったことだし、俺は何しようかな。」

 

「私はいつもどおり出かけてこようかな。」

 

「んじゃま俺も付き合おうかね。」

 

「ほんと!!!じゃあ早く行こう。」

 

 

そう言ってこいしは飛鳥の手を引きリビングを出ようとした。

 

その時世界がズレた感覚が飛鳥を襲った。

 

 

「(なんだ今のは一瞬だけだったが、妙な違和感を感じたぞ。)」

 

「どうしたの?」

 

「嫌なんでもない。」

 

 

飛鳥は先ほどの現象のことが気になっていた。

 

世界そのものに干渉したということは確かだと飛鳥は思っていた。

 

つまり異変の始まりを意味していた。

 

そのことに気づき急いで玄武に知らせようとこいしを連れて玄武のもとに行くことにした。

 

 

「こいしちょいとすまんよ。」

 

「え?わっと!?」

 

 

飛鳥がこいしを脇に抱えて走り出したのだ。

 

 

「こ、この抱え方は恥ずかしいからやめてぇぇぇぇ////」

 

 

こいしの叫びが地霊殿に響き渡った。

 

 

 

「旦那ぁ!!!大変ですぜ。地上でまた異変が!?」

 

 

飛鳥が勢いよく部屋に飛び込んだ。

 

 

「それはわかってる。俺とさとりも感じたからな。」

 

 

玄武とさとりは作業を中断して、飛鳥に答えた。

 

 

「はぁ~萃香さんの異変からまだ2ヶ月しか経っていないというのに。」

 

「どうするんですか。また異変を解決に行くんですか?」

 

「そうしたいのだが今回はいけそうにないんだ。」

 

「どういうことっすか?」

 

「実は地底湖の方で卵の殻を見つけたんです。」

 

「卵ってまさかギャオスのですか!?」

 

「それはまだわからないから俺とさとりはその調査に行かなくちゃならないんだ。だから今回は・・・」

 

 

玄武は意を決して話した。

 

 

「飛鳥、お前に異変を解決してきてもらうことにした。」

 

 

そう飛鳥に異変解決を頼んだのだ。

 

それを聴いた飛鳥は驚いていた。

 

 

「お、俺が行くんですか!?」

 

「お前ならできると信じているし。何より世界に干渉しているほどの力だ、ギャオスが幻想郷に来てもおかしくはないだろ。」

 

 

レミリアが起こした異変以降、ギャオスが幻想郷に出現しているのは確かなことだ。

 

 

「それにギャオスを討ち取れるのは俺とさとりの他にお前しかいないから。」

 

「なので異変解決をお願いしたんです。」

 

「そういった理由だったら仕方ねぇです。俺が地上に行って解決してきやす。」

 

「「頼んだぞ(ましたよ)。」」

 

 

飛鳥は二人にお辞儀してから部屋を出ていった。

 

 

「飛鳥なら大丈夫なはずだが一応保険もかけておこう。」

 

 

そう言って玄武は懐から携帯のようなものを出し、誰かに連絡を入れていた。

 

 

「もしもし、玄武だが・・・」

 

「・・・・」

 

「ああ、飛鳥のやつを手伝って欲しいんだ。」

 

「・・・・」

 

「そうかありがとうな。」

 

 

話が終わると電源を切り、懐にしまった。

 

 

「これでどうにかなるな。」

 

「誰に連絡を入れたんですか?」

 

「飛鳥を除いた残りの二人のうちの一人に連絡したんだ。」

 

「それならば安心です。」

 

 

 

 

「それにしても・・・」

 

「ええ。」

 

「「なんでこいしを脇に抱えていたんだ(のでしょう)?」」

 

 

そのことが気になって仕方ない二人であった。

 

 

 

――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

 

「さてほんじゃ地上にレッツゴー!!!」

 

「あのその前に・・・」

 

 

飛鳥は自分の右脇から声がしたのでそちらに顔を向ける。

 

 

「お、遅してくれると嬉しいんだけどなぁ/////」

 

 

顔を赤く染めたこいしがいた。

 

 

「すまんすっかり忘れてた。」

 

 

飛鳥は抱えていたこいしをおろした。

 

 

「ううっ~お姉ちゃん達、私のことずっと見てた。すっごい恥ずかしかった・・・んも~飛鳥のせいだからね!!!」

 

 

先程の状況を思い出し、また顔を赤くしたこいしが飛鳥を睨んでいた。

 

それを見てうっとたじろぐ飛鳥がいた。

 

 

「あの~こいしさん?俺異変解決にいかなきゃならんのですが・・・」

 

「帰ってきたら、何かおごってよね。」

 

「え?今俺今月厳しいんだけど。」

 

「・・・・」

 

「・・・はい。おごらさせていただきます。」

 

 

こいしの睨みに負け、そう言わざる負えなかった。

 

こいしと別れたあとトボトボと玄関まで歩いてゆき、飛鳥は地上に向けて地霊殿をあとにした。

 

 

 

とある某国の空港

 

 

ある青年が出発ロビーの椅子に座っていた。

 

 

「まさか師父から連絡が来るとは思ってもみなかったが、都合が良くて助かった。」

 

 

その青年は懐から古びた写真を取り出し眺めていた。

 

 

「待っていろ飛鳥、私もすぐそちらに参るからな。」

 

 

そう言って日本のある方向に顔向けそう呟いた。

 

 

 



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永夜異変 STAGE 1

今回のお話は対リグル戦ですが、戦う前に飛鳥はある人物と遭遇します。
その人物とは一体誰なのか。


 

 

 

異変解決のために地上に出たはいいが、思っていたよりも状況がひどかった。

 

月の様子がおかしい。それが月を見た俺の思ったことだ。

 

正確に言うと空に浮かぶあの月は本物じゃないな。巧妙にできてはいるが何らかの術によって作られた偽物の月。それに紅く輝いてもいたし。

 

人間には影響がないが、人外の連中にはたまったもんじゃないだろう。特に妖怪なんかは―――

 

まあ問題はそれだけじゃないな。流動して動いているはずの雲が全く動いていないのだから。

 

こりゃ今回の異変は厄介極まりない。

 

 

「考えていても仕方ない。俺も移動するとしよう。」

 

 

俺は森の中を歩き始めた。

 

 

 

――――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

「なんなんだこいつらは―――」

 

 

とりあえず俺は、旦那にもらった地図を見ながら人里に向けて歩いているが、その途中でたくさんの毛玉みたいなものに襲われていた。

 

おそらくは妖怪の一種だと思うが、なんといっても数が多いすぎる。

 

 

「あんまここで体力を消耗はしたくはないが、背に腹は帰らんねぇな。」

 

 

俺が弾幕を放とうとした途端―――

 

 

「そこ動くんじゃないぞ!?」

 

 

俺の背後から弾幕が放たれ、次々と毛玉に当たっていく。

 

数秒もしない内に毛玉はすべて退治された。

 

 

「大丈夫か、人間が森ん中彷徨ってると危ねえぞ。」

 

 

俺は声のした方に振り返ると、ワイシャツに赤いもんぺを着た白髪の少女がいた。

 

 

「えっと、一応ありがとう。」

 

「助けてやったのに一応ってなんだよ。」

 

「まぁ細かいことは気にしなってことで。」

 

「なんだそりゃ。(それよりもあんた見かけない顔だな。新参者か、はたまたあのスキマ妖怪に連れてこられたかだな。)」

 

 

その白髪の少女は俺のことをジッと見ていた。おそらく俺が迷い込んだ人間だと思っていると感じた。

 

 

「ほら、人里まで案内してやるから、あたしの後についてきな。」

 

 

そう言ってその少女は俺の前を歩き始めた。

 

まあ彼女が案内してくれることだし、いいか。

 

そうそう忘れてた。

 

 

「俺は鳳 飛鳥だ。あんたは?」

 

「あたしは、妹紅―――藤原 妹紅だよ。」

 

 

 

――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

あたしは後ろを歩いている奴が気になっていた。

 

こんな夜遅くに森の中を彷徨いているのは可笑しすぎる。

 

それにあの毛玉に囲まれた状況でも顔色ひとつ変えていなかった。

 

やっぱこいつ只者じゃない。

 

 

「飛鳥って言ったかあんたあそこで何してたんだ。」

 

 

あたしは後ろを振り向かずに話しかけた。

 

 

「ん~?人里目指して歩いていたらアレに出くわしたってところかな。」

 

 

こいつ外の人間のくせになんで人里のこと知ってるんだ?

 

やっぱりコイツには何かある、一応警戒はしておかないとな。

 

 

「俺からもひとついいか、妹紅もあの辺りで何してたんだ?」

 

「あたしは友人に頼まれて人里の人間が外に出ていないか調べてたんだ、そしたらあんたに出くわした。」

 

「なるほど、質問に答えてくれてありがと。」

 

「・・・どういたしまして。」

 

 

それからと言うものの会話もなく、あたし達はひたすら歩いていた。

 

それと同時にあたしは心の中で思うところがあった。

 

正直に言ってあたしは、こいつを人里に連れて行っていいのか迷っていた。

 

もしかしたらコイツがこの不可解な現象を起こした犯人じゃないかと思い、ここであたしが倒してしまえばいいんじゃないかと考えていた。

 

そんな考えをしていたら――――

 

 

「妹紅!?」

 

「え?っうわ!?」

 

 

あたしはいきなり飛鳥という男に抱きかかえられ地面に倒れた。

 

い、一体何が・・・

 

 

ドスッ!!!

 

 

そんな音があたしらの背後から聞こえてきた、だからその音のした方に顔を向けると人の顔ぐらいの大きさの虫が木に刺さっていた。

 

でかっ!!!でかすぎんだろ気持ち悪―――それにあの虫明らかにあたしらを狙ってたぞ!!!

 

あたし達は服についた土誇りを落としながら立ち上がった。

 

 

すると茂みの奥から足音が聞こえた。

 

 

「へぇ~今の避けたんだ。凄いね。」

 

 

茂みから出てきたのは緑の髪をした男の子だった。

 

いや人の姿してるがコイツは妖怪だ、気配でわかる。

 

 

「まさか妖怪に出くわすとはな。しかも珍しいことに男の妖怪か。」

 

 

飛鳥の奴は冷静に相手を見ていた。だがその妖怪が男と言われたとたん震え始めた。

 

何かしてくるのかと思っていたら―――

 

 

「こんな格好してるけど私は女だーーーーーっ!!!!」

 

 

突然彼、いや彼女が叫びだした。

 

 

「そいつはすまねえ。」

 

「ってなんであんたも誤ってんだよ!!!」

 

「間違えてたんだ、謝るのは当然のことだぞ。」

 

 

うん、コイツお人好しの馬鹿だ。そうに違いないとあたしは心の中でそう思った。

 

 

「で妖怪のお嬢さんは俺達になんのようだ。」

 

「それはもちろんあなた達を食べるためだよ。ちょうど虫たちもお腹空かしていたしね。」

 

「あたしらは餌ってことか・・・」

 

「だってこんな夜中に人里の外に出てるんだよ、私たちを襲ってくださいって言ってるようなものじゃない。」

 

「そうかい。」

 

「抵抗せずに、おとなしく食べられて。大丈夫だよ肉片一つも残さず食べてあげるから。」

 

 

目の前の奴が手を上げると何処からかともなく虫が集まりだした。てことはコイツは虫の妖怪。

 

 

「それじゃあバイバイ。」

 

 

そう言ってあいつが手を振り下ろすと虫が一斉にあたし達に襲い掛かってきた。

 

あたしは弾幕で応戦しようとしたら飛鳥の奴が虫に向かって歩きだした。

 

 

「っ!?何やってるんだ戻れ!!!」

 

 

そう言ったが飛鳥は歩みを止めづ虫に向かっていた。

 

あたしは弾幕を放とうとしたが、飛鳥は虫に覆われてしまった。

 

 

「あはは、自分から虫の方に来てくれるなんてバカだね。」

 

 

そう言った妖怪をあたしは睨みつけた。

 

 

「大丈夫、あなたも食べてあげるから彼も寂し気ないよ。」

 

 

そいつがまた手を上に上げ始めた。しかし一向に虫たちは反応しなかった。

 

 

「あれ?どうしたの皆?それになんかひどい臭いがする。」

 

 

焦げ臭い匂いが辺りに漂っていた。しかも出処があの虫に覆われたところだった。

 

あたしがそちらに顔を向けた瞬間、いきなり虫に覆われたあいつが青い炎に包まれて燃え出したのだ。

 

ほんの一瞬で虫たちは焼却され無傷のあいつがそこに立っていた。

 

 

「そ、そんな虫に食べられたのになんで生きてるの!!!」

 

 

あたしはそのことにも驚いたが一番驚いたのはあいつが出した炎だ。

 

青い炎、そんな炎を使うやつなんて聞いたこともない。

 

 

「あ、あんた戦えたのか・・・」

 

「俺は一言も戦えないとは言ってないぜ。」

 

「あたしの早とちりだったってわけか。」

 

「まあそういうことだ。」

 

 

飛鳥はあたしの方に向かって歩いてきた。

 

すると虫妖怪の子が言葉を発した。それもとても怯えた表情をしながら

 

 

「あ、あんた何者なの・・・」

 

「俺か、俺は亀山 玄武が弟子の一人、鳳 飛鳥・・・異変解決を依頼されてここに来た。」

 

 

亀山 玄武・・・あの烏天狗の新聞に載っていたバカ強い古代神のことだろ!?しかもあいつがその弟子だって!?

 

 

「さあ構えな虫妖怪の嬢ちゃん。言っとくが容赦はせんぜ。」

 

 

 

―――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

 

俺は相手に向かって走り出した。

 

相手は俺をこちらに近づけさせないように弾幕を放ってきているが焦りすぎていて狙いが定まっていなかった。

 

そのため躱すのが容易だった。

 

ん?何かを取り出したぞ。―――なるほどあれがスペルカードね。

 

 

「く、くるなぁ蛍符『地上の彗星』!!!」

 

 

なかなかの数だな。だが避けきれないものじゃない!!!

 

俺は相手の弾幕を次々に躱していく、時には相手に向けて青い炎をまとった弾幕を放ったりした。

 

ある程度進んだら、俺はポケットに突っ込んでいたスペルカードを取り出した。

 

 

「いくぜぇ炎符『ブルーフレア・フェザーブラインド』!!!」

 

 

背中から青い炎を纏った翼を出現させ、翼を羽ばたかせるたびに羽根型の弾幕が辺一面にばら撒いた。

 

ばら撒かれた羽根型の弾幕は相手の弾幕に接触した途端、誘爆し相手の弾幕を破壊していった。

 

 

「嘘、スペルカードを突破された。こうなったらヤケクソよ!!!」

 

 

相手は俺に向かって飛び蹴りを噛ましてきた。だがな、甘いんだよ。

 

 

「飛び蹴りっていうのはこういう風にやるんだよ!!!!」

 

 

俺も相手に向けて飛び蹴りを噛まし、相手と接触したが俺の方が力が上だったようで弾き返した。

 

 

「うわあぁぁぁぁ!!!」

 

「もひとつおまけ、『幻影脚』!!!」

 

 

目にも止まらぬ連続蹴りで相手にダメージを与えていく。

 

 

「ちょいさ!!!」

 

 

最後に回し蹴りを決め、相手を気に叩きつけた。

 

叩きつけた衝撃で相手は一瞬意識を失ったようだが直ぐに立ち上がった。

 

 

「くぅ、もう怒ったぞ喰らえぇ灯符『ファイヤフライフェノメノン』!!!!」

 

 

まるで蛍の発する光のような弾幕が俺に向かってきた。

 

それだけでなく周囲に飛んでいた虫も俺を襲い始めた。

 

最初の攻撃よりも厄介だな。とりあえずは虫を駆除してからだ!!!

 

 

「おおおおぉぉぉぉ――はあああああぁぁぁぁ!!!」

 

 

俺は全身から青い炎を噴射して周りの虫を一斉に駆除したが弾幕までは消せなかった。

 

だがさっきよりも戦いやすくなった。

 

お返しとばかりに俺は二枚目のスペルカードを発動させた。

 

 

「今度はそっちが耐えてみな、炎符『メテオ・ウイング』!!!」

 

 

翼から火炎弾を次々に放ち、相手を翻弄していく。

 

当然相手は涙目になりながら必死に逃げていた。

 

それを見て少々罪悪感が湧いたが、向こうが初めに仕掛けてきたので考えないようにした。

 

こちらのスペルカードの効力が切れたとき、相手はボロボロに成り果てていた。(主に服がひどかった。)

 

 

「さてもうそろそろ降参したほうがいいんじゃないの?」

 

「う、うるさい、お前なんて私が本気を出せばあっという間なんだからね!!!」

 

 

うん強がりにしか聞こえないな。

 

 

「私を怒らせたことを後悔しろ、蠢『ナイトバグトルネード』!!!」

 

 

正しく嵐のように弾幕が放たれ、流石の俺も避けるだけで精一杯だ。

 

まずは様子を見て隙ができたところを叩く。

 

だから今は耐えよう考え、俺は懸命に避け続けた。

 

そして数十秒が過ぎたあたりから勢いが弱まってきた。

 

俺は好機と思い、3枚目を発動した。

 

 

「俺のとっておきだ、飛翔『神なる鳥の洗礼』」

 

 

俺自身が鳥の形をした青い炎に包まれ、虫妖怪の子に向けて突進した。

 

 

「おりゃあああああああぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「きゅあああああああーーーーーー!!!!」

 

 

直撃した虫妖怪の少女は、地面に倒れ目を回して気絶していた。

 

 

「やりすぎたのかな?」

 

「やりすぎに決まってるだろこのアンポンタン!?」

 

「おおっ妹紅じゃないか!!!―――それよりどうだった俺の弾幕ごっこは。」

 

「ま、まあ良かったんじゃねえの。」

 

「そうか。」

 

 

俺はその答えを聞き、嬉しくなってガッツポーズをした。

 

 

「よっしゃーこの調子でどんどん行くぞ!!!」

 

 

俺は、人里目指して再び歩き始めた。

 

 

「ちょっと待てあたしを置いていくな!?」

 

 

妹紅も俺のあとを追って俺の近くまで走ってきた。

 

俺達は気絶した虫妖怪の少女をそのままにしてこの場から離れていった。

 

 



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永夜異変 STAGE 2

完成はしていたのですが、誤字などを見つけたり話の内容を大幅に変えたりとしていたら時間がかかってしまいました。小説を楽しみにしている方に申し訳ないと思っています。それでもお楽しみいただけたらいいなと思っています。
10/19:修正いたしました。


 

 

 

「なるほどなそういった理由であそこにいたのか。」

 

 

俺は妹紅に一通り事情を説明していた。

 

妹紅の方も納得してくれたようでこれで疑われずに済んだ。

 

 

「しかしびっくりだよ、あんたが亀山 玄武の弟子だなんて。」

 

「まああの人は俺の育ての親みたいなもんだから。」

 

「へえーそいつは初耳だな、じゃああんたも古い神の一人なのか?」

 

「ああ、古代神であり不死鳥でもあるんだよ俺は。」

 

「不死鳥?・・・でも青い炎を扱う不死鳥なんて見たことも聞いたことないな。」

 

 

それはそうだろうな青い不死鳥になるにはかなりの年月が必要だ。

 

それも長い年月を重ねるだけでなく、それなりの実力がなければ至ることができないのだから。

 

それ故に青い不死鳥は俺しか存在していない。

 

 

「でもあんたが嘘言ってるようには思えないから信じてやるよ。」

 

「ありがとさん。」

 

 

一応お礼を言っておいた。

 

 

「まあ今はそんなことより人里ってこっちであってるのか。」

 

「ああここをまっすぐ行けば人里だ。」

 

「早く異変を解決せにゃ人里の人も安心できんだろしな。」

 

「それは同感だ。」

 

 

~♪

 

 

「ん?」「お?」

 

 

~♪

 

 

「声・・・というより歌か。」

 

「そのようだな・・・でもこの歌なんか変な感じしねえか?」

 

「っ!?妹紅、耳を塞げ、こいつは聴いちゃなんねぇ!!!」

 

 

俺の焦った声と忠告を聞き、急いで手で耳を塞いだが一歩遅かった。

 

突然視界が悪くなり始めたのだ。だがそれだけではなく見計らったように近くの茂みから誰かが出てきた。

 

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

 

「人間が二人吊れたわ。」

 

「やっぱ妖怪の仕業か。しかも視界を奪う能力ってことはお前さん夜雀だな。」

 

「へぇあなた人間のくせに博識ね。能力だけで私の種族を当てるなんて。」

 

「(旦那と姐さんにみっちりと叩き込まれたからな)そいでその夜雀さんは俺たちに一体何の御用なんだ?」

 

「簡単なことよ。私の餌になって頂戴。」

 

「それは御免だな。」

 

「あたしも。」

 

「ふーん、でも視界が悪いのに逃げられると思ってるの。」

 

「逃げないさ、もし逃げるんならお前さんを倒してからだ!」

 

 

飛鳥は話終えると同時にミスティアに向けて弾幕を放った。

 

ミスティアは突然のできごとに反応できず弾幕をくらってしまう。

 

 

「くっ!?視界を奪ったのに私に弾幕を当てるなんて!」

 

「視界を奪われたって戦いようはあるんだよ。」

 

「なによそれ人間のくせに!?」

 

 

ミスティアは飛鳥に接近し鋭い爪で攻撃するも避けられてしまう。

 

 

「あたしもいるのを忘れては困る。」

 

「えっ!きゃあああ!!!」

 

 

妹紅の放った炎弾がミスティアに直撃した。

 

 

「な、なんで!?見えてもいないのにどうして私の位置がわかるの!?」

 

「「(そんだけ大声で喋ってたら居場所教えてるようなもんだろ。)」」

 

「だったらこれはどうなのよ声符『木菟咆哮』!!!」

 

 

ほとんだヤケクソにスペルカードを発動させるミスティア。

 

 

「やばい!スペルカードを使われたぞ、どうすんだよ飛鳥。」

 

「心配すんな、こういった状況での戦いには離れてる。」

 

「そんなこと言ったってな。」

 

「まあ見てなって言っても見えないんだったな。」

 

 

飛鳥は見えないにもかかわらず、迫り来る弾幕に顔を向けた。

 

そして地面に手を叩きつけ炎の壁を出現させた。

 

 

「要は自分の前に来る弾幕のみを防げばいい。それに・・・フン!」

 

 

飛鳥は力を込め、何かを弾き飛ばした。

 

 

「ふーこれで見えるな。」

 

「見えるってまさか私の能力を弾き飛ばしたっていうの!?」

 

「こういった能力は能力者の力量で決まる。だからそれを超える力ではじき飛ばせばいいだけだ。」

 

「へーなるほど、それだったら私も。」

 

 

妹紅も飛鳥の説明を聞き、自身に妖力を流しミスティアの能力をはじき飛ばした。

 

 

「私の能力にこんな攻略法があったなんて・・・」

 

「さあ仕切り直しだぜ。夜雀の嬢ちゃん。」

 

「くっ!だったら力ずくで倒してやるんだから。猛毒『毒蛾の暗闇演舞』!!」

 

「目が見えればこっちのもんだ炎符『不死鳥の息吹』!!!」

 

 

ミスティアはばら撒くタイプの弾幕を放ち、飛鳥は細いレーザー状の弾幕をランダムに放つ。

 

飛鳥の弾幕はミスティアの弾幕を貫通するものの、弾幕の密度はミスティアの方があるためミスティアに近づくにつれ威力はなくなってゆき最後には相殺されてしまう。

 

どちらの弾幕も攻防は凄まじいのだが決定的なダメージを相手に与えるには至らなかった。

 

だがミスティアは飛鳥に気を取られていたためもう一人の存在を忘れていた。

 

 

「背後ががら空きだ。不死『火の鳥‐鳳翼天翔』!!!」

 

「しまっ!?」

 

 

流石に不意をつかれたミスティアは妹紅の弾幕を避けることができず直撃してしまう。

 

ミスティアの姿は大量の煙で見えなくなった。

 

 

 

 

――――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

スペルの効力が切れ、妹紅は飛鳥の隣に移動しミスティアのいるであろう場所を飛鳥と共に見ていた。

 

 

「やったか?」

 

「いやまだだろうな、仮にも相手は妖怪だ。おそらくは多少のダメージは与えてもまだ動けるはずだ。」

 

 

煙が晴れると多少服がボロボロになっているが変わらぬ様子のミスティアが飛鳥たちの前に浮かんでいた。

 

 

「やってくれるじゃない、人間のくせに。」

 

「舐めてるからそうなるんだよ。それに俺人間じゃないし。」

 

「あたしも厳密に言えば人間じゃないがな。」

 

「そうなの?」

 

「でどうするんだまだ続けるのか?」

 

「当たり前よ!あなたたちに一泡吹かせてないんですもの!」

 

 

ミスティアはスペルカードを取り出し宣言をした。

 

 

「鷹符『イルスタードダイブ』これを攻略してみなさい。これを含めて3つ後略できればあなたの勝ちよ。」

 

 

弾幕が展開され、飛鳥たちに向かって弾幕が迫ってきた。

 

 

「上等、妹紅ここからは俺だけで相手にする。だから手を出すなよ。」

 

「はいはい、わかったから。」

 

「オッシャーーーー!!!」

 

 

飛鳥は弾幕の中へと身を投じた。

 

迫り来る弾幕を避けたり時には弾幕で相殺しながらスペルカードの効力が切れるのを待っていた。

 

だが

 

 

「スペルカードの効力が切れるまで待とうってそうはいかないわ、夜盲『夜雀の歌』!!!」

 

 

ミスティアは効力が切れる前に次のスペルカードを使用した。

 

まさか続けてスペルカードを使用してくるとは思っていなかったため飛鳥は険しい表情をしながら避けていた。

 

 

「(ちっ!終わってもいないのに次が来るとはねぇこりゃ厄介だ。ここでスペルカードを使えば楽なんだがあいにくまだ力が溜まっていない。ここは耐えるしかねぇ。)」

 

 

飛鳥はその後もひたすら避け続けたが流石に2枚のスペルカードを避け続けたせいでかなり体力を消耗した。

 

 

「こりゃきついぜ、ハァ・・・ハァ・・・、さすがの俺もバテバテだぜ。」

 

「2枚分のスペルカードを避け続けたなんてさすがね。でもそんな疲弊した状態で私の最後のスペルカードは攻略できないわよ。」

 

「試してみなけりゃわからんぜ。」

 

「言ってなさい。これで私の勝ちよ!夜雀『真夜中のコーラスマスター』!!!」

 

 

ミスティアは最後のスペルカードを使用した。

 

飛鳥はスペルの使用を確認し、勝負に出ることにした。

 

 

「もってくれよ俺の体・・・神鳥『アカシック・バスター』!!!」

 

 

スペルを使用した途端、飛鳥の前に魔法陣が形成された。飛鳥は勢いをつけ形成された魔法陣に突っ込んだ。

 

そして魔法陣を抜けると青い火の鳥となってミスティアめがけて突っ込んだ。

 

その青い火の鳥の姿はとても神々しく、弾幕ごっこを見ていた妹紅はその姿に目が離せなかった。

 

それは弾幕ごっこをしているミスティアも例外ではなかった。

 

自分の放つ弾幕を燃え散らせながらこちらに向かってくる姿は、恐怖を感じさせたがそれ以上に青い炎の鳥というまさに幻想と思わせるような姿に惚れ惚れとしていた。

 

だが今は弾幕ごっこ中、意識を疎かにしていたら―――

 

 

「あ・・・」

 

 

なんともあっけない終わり方で弾幕ごっこは終了した。

 

 

 

―――――――

 

 

―――――

 

 

―――

 

 

 

 

「なんだか最後のはやりがいがなかったな。」

 

 

飛鳥は何とも言いようのない表情をしていた。

 

弾幕ごっこで不完全燃焼だったため不貞腐れていた。

 

 

「あんたにとってはそうだったかもしれないが、あたしはいいもんが見れたから気にしないけどな。」

 

「いいもんが見れたって?」

 

「教えねぇよ。」

 

「ちょい待てって俺を置いていかんといて!」

 

 

妹紅は飛鳥を置き去りにして人里に向かう。

 

飛鳥も置いていかれないように妹紅を追いかけた。

 

 




どうも作者です。9月の下旬に行った新技の名前について投稿を皆様にお願いしていただいたところ2名の方が考えてくれました。さて名前の方なのですがどちらの名前も捨てがたいと私は感じたので、主人公が使用するときはクロスケさんの技名を使わせていただき、ナハト・リコリスさんが考えてくれた技名はそのヒロインであるさとりが使うときの技名にさせていただきます。お二人には感謝しておりますので感想などもどんどん送ってください。そして応援よろしくお願いします。


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永夜異変 STAGE 3‐幕間‐

今回の話はSTAGE3に入るための幕間であるため戦闘描写はありません。


 

「も、妹紅、少し休まないか俺さっきの弾幕ごっこで疲れてんだけど。」

 

「心配するなって人里にはもうつくはずだからもうちょい頑張れ。」

 

「そうは言っても連戦で弾幕ごっこをしたんだぜ。腹が減って歩くのしんどいんだよ。」

 

「人里についたらなんか食わせてやるから。」

 

「なに!?よっしゃー早く行こう。」

 

 

飛鳥は飯が食えると聞いた途端、急に元気になりだした。

 

妹紅はそれを見て呆れていた。

 

それから仄くらい森を歩き続けていると森が途切れた場所に出た。

 

 

「ここを真っ直ぐ行けば人里だ。」

 

「め~し~!?」

 

「おい飛鳥!?ったく手のかかる神様だ!」

 

 

妹紅の言葉を聞き急に走り出す飛鳥。

 

妹紅は口を零しながら飛鳥を追いかけた。

 

すると飛鳥が突っ立っているのが目に映り、近寄った。

 

 

「何立ち止まってんだ。飛鳥。」

 

「なあ妹紅・・・ほんとに人里ってこの辺りにあるのか。」

 

「ホントだ。」

 

「じゃあなんで・・・こっから先は平地が続いてるんだ?」

 

「これには理由があるんだよ。最初に言ったろあたしの友人が人里の守りをしてるって。」

 

「ああ言ったがそれと関係があるのか?」

 

「まあ見てなって・・・慧音あたしだちょっと能力を解除してくれ!」

 

 

妹紅は平地に向かって、声を発すると突然目の前の風景が歪みだした。

 

歪みが収まると大きな門が突如現れた。

 

そして門の前には誰かが立っていた。

 

 

「妹紅お疲れ様。」

 

「慧音もな。」

 

「ところで後ろの男性は誰だ?」

 

「ああ、説明は後にしてまずこいつにメシ食わせてくれないか。」

 

「?まあそれはいいのだが、大丈夫なのか?」

 

「心配いらないってこいつは、あたしが保証する。」

 

「妹紅が言うのならば、大丈夫なのだな。そこの御仁人里に案内する付いてくるといい。」

 

 

妹紅は慧音と呼ばれる女性と少し話をして飛鳥が危険な人物ではないことを伝えた。

 

慧音も妹紅の言ったことを信じて、飛鳥を人里に入れた。

 

 

 

一同は慧音の家に上がり、飛鳥と妹紅は飯を食べさせて貰っていた。

 

飯を食べながら飛鳥は自分のことを慧音に説明していく。

 

 

「そうか、玄武の。」

 

「旦那は一度あんたに会ってるはずだから旦那の名前を言えばわかると思ったんだよ。」

 

「なるほど、しかしわざわざ異変を解決しに来てくれるのはありがたいな。」

 

「まあこれも一種の修行の内に入るんだろうけどな。」

 

 

苦笑しながら慧音にこたえる飛鳥。

 

 

「それにしてもほんとに青い不死鳥なのか妹紅?」

 

「ああ、ありゃマジで凄かったぜ。綺麗って言葉だけで表せられない美しさだった。」

 

 

妹紅は先程の青い炎の不死鳥姿をうっとりしながら思い出していた。

 

 

「ふむ、妹紅がそこまで言うのならば私も見てみたいものだ。」

 

「ひょっとしてさっきの形態のことを言ってるのか妹紅?」

 

「ああ。」

 

「あれは俺の形態変化のうちの一つで、小型の不死鳥形態だ。」

 

「小型っつうことは、でかいのもあるのか。」

 

「でかいのは対ギャオス用で、そっちのほうは滅多に使わない。」

 

 

へぇーとうなづく妹紅と慧音。

 

すると廊下の方あらこちらに誰かが歩いてくる音がした。

 

 

「ん?慧音誰かいるのか?」

 

「ああ、妹紅たちが来る前に人里に来て、人里に侵入しようとした妖怪を蹴散らしてもらってな。そのお礼に風呂を貸してあげたのだ。」

 

「(ん?この気配は・・・なんであいつがここにいるんだ?)」

 

 

スーっと麩が開かれると白髪の男が部屋に入ってきた。

 

 

「慧音殿、風呂を貸していただき感謝します。」

 

「気にするな人里を守ってくれた礼だ。」

 

「そうですか。それにしても―――」

 

 

フーと呼ばれた男は飛鳥に視線を移した。

 

 

「懐かしい気配がしていたと思ったら、お前だったのか飛鳥。」

 

「よう、フー元気してたか。」

 

「ああ、久しぶりだな。」

 

「二人共知り合いなのか?」

 

「まぁ妹紅もいることだし、きちんと説明しておこう。こいつの名は風(フォン)・王虎(ワンフー)俺と同じ古代神の一柱だ。」

 

「なんと!?」「コイツも!?」

 

「改めてフォン・ワンフーと申します。気軽にフーと呼んでください。」

 

「こ、これはご丁寧にどうも。藤原 妹紅だ・・・じゃなくて・・・です。」

 

「紹介も終わったことだし俺らちょっと話があるんで・・・フー向こうで少し話そう。」

 

 

飛鳥は親指で麩を指をさした。

 

飛鳥とフーは立ち上がり麩の向こう側に行った。

 

 

「慧音、知っていたのか。」

 

「名前だけな。」

 

「ふーん、でひとつ聞くがなんであのフーってやつを家に上がらせたんだ。」

 

「そ、それは////」

 

 

慧音は何故か顔を赤くして俯いた。

 

それを見た妹紅は、感づいたのかニヤニヤし始めた。

 

 

「なるほど、危ない目にあったところを助けてもらったってことが理由か(ニヤニヤ)。」

 

「!?/////」

 

「図星か。」

 

 

 

言い当てられたのか更に顔を真っ赤にする慧音。

 

だが慧音も負けてはおらず妹紅に言い返した。

 

 

「そ、そういう妹紅はどうなのだ!いつもは男のことを興味なさそうにしていたのにあの飛鳥という男とは一緒にいたではないか!」

 

「それはないな、ただ単にあいつが危なっかしく見得たから手を貸しただけさ。」

 

 

妹紅はありえないという表情をしながら手を左右に降った。

 

 

「そ、そうなのか。」

 

「で、慧音はどうしたいんだ?」

 

「な、何がだ?」

 

「決まってるだろ。あのフーって奴のことだよ。気になってるんだったら一緒に住めばいいじゃねぇか。」

 

「ま、まだ出会ったばかりなのだぞ私たちは!?そ、それに一緒に住むなんて恥ずかしくてできるわけなかろう!?」

 

「確かにそうだよな。まぁここはじっくり作戦を練ってアプローチしてくしかねぇな。」

 

「で、できるだろうか私に。」

 

「頑張ろうぜ慧音あたしも手伝うから。」

 

「妹紅・・・ありがとう。」

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

―――――

 

 

 

―――

 

 

 

一方飛鳥と一緒に廊下に出たフーは幻想郷に来た理由を飛鳥に話していた。

 

 

「旦那も人が悪いぜ、フーが来ることを教えてくれても良かったのによ。」

 

「そう言うな、師父も何か考えがあったのだと思うぞ。」

 

「ハァ・・・まぁ今はそれでいいとしてフー、お前はこの後どうすんだ?」

 

「俺は人里にのころうと思う。ここにいつギャオスが来るかわからん以上対応できるものがいたほうがいい。」

 

「そうだな俺もそう思う、俺は旦那の依頼を終わらせないといけないしな。」

 

「そうか、そっちは任せた。」

 

「応。」

 

 

二人は拳を作り互いにぶつけ合った。

 

二人は話が終わったので部屋に戻った。

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

――――――

 

 

 

―――

 

 

 

「お待たせ。」

 

「どうしたのだ慧音殿、顔が赤いようだがいかがなされた。」

 

「だ、大丈夫だ。」

 

「そうですか、何かあったら言ってください。」

 

「で一体何話してたんだ?」

 

「これからの行動についてな。」

 

「ってことは異変解決にコイツも連れて行くのか?」

 

 

妹紅はフーを指をさしながら言うが、飛鳥は首を横に振った。

 

 

「フーにはここに残ってもらって、俺と妹紅はこのまま異変解決に行くことにした。」

 

「いつギャオスが現れるやもしれん。それゆえに私が残ることにした。」

 

「そうか、ならあたしらはもう行ったほうがいいのか?」

 

「ああ、これ以上時間はかけられない。それに異変の中心点をフーに調べてもらったところこの竹林を指したんだ。」

 

 

竹林といったとたん、妹紅の雰囲気が変わった。

 

 

「そうか、この異変はあいつが起こしたものだったのか・・・」

 

「妹紅どうし『早く行くぞ、行ってあいつをぶっ殺す。』たって殺したらいけんでしょ。」

 

「あいつにはいいんだよ。それに死なないしな。」

 

「どう言う意味だ?」

 

「あーとっと行くぞ!」

 

「あっ!妹紅待てったら、あーそうだ慧音さんご飯ごちそうさんでした。」

 

「ああ、異変が解決したらまた寄ってくれ。今度はもう少し多めに用意しておくから。」

 

「了解。んじゃ行ってきまーす。」

 

 

飛鳥は妹紅を急いで追いかけた。

 

 

「なんとも騒がしい二人だったな。」

 

「でもあの二人なら成し遂げてくれそうだな。異変解決を。」

 

「そうですね、さて我々も人里の警備に出るとしましょう。」

 

「そうだな。」

 

 

慧音とフーは下ろしていた腰を上げ、玄関へと向かった。

 

 

 

 

 




今回はオリジナルの話で原作なら慧音との弾幕ごっこなのですが、あえて慧音との弾幕ごっこをせず幕間に登場させました。STAGE3では違う人物たちと弾幕ごっこをさせる予定ですので楽しみにしていてください。
このあとは登場したオリキャラの紹介です。


オリキャラ紹介



名前:フォン・ワンフー(風 王虎)


性別:男


年齢:1億歳


種族:白虎 古代神


能力:『風を司る程度の能力』


出身地:レムリア大陸


二つ名:風統べる白き虎の王 


容姿:ガッシュベルのウォンレイ



オリキャラの一人。

飛鳥同様に古代神の一柱で玄武に育てられた者の一人。

玄武が育てた者の中で非常に温厚で、優しい性格をしている。言葉使いは丁寧で誰に対しても口調は変えない。

カンフーの達人にして接近戦では玄武以上の実力を持っているが逆に遠距離はあまり得意でないため弾幕ごっこは苦手。

常に鍛錬を欠かさない。

玄武に言われ飛鳥の手伝いをするために幻想入りをする。現在は人里にて慧音と共に人里の守りについている。




白虎形態




白虎としての名前:ラオウ


容姿:通常戦闘時ゴライオウ・ディバウレン  多数戦闘時シン・ゴライオウ・ディバウレン


身長:86m、全長98m


速度:マッハ3

10/20:マッハ6は自分でもやり過ぎたのでマッハ3に変更いたします。



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永夜異変 STAGE 3

今回のお話はオリジナルの展開でお送りします。


 

 

 

人里から離れて異変の中心点と思われる竹林を目指して飛行している俺と妹紅なのだが慧音の家を出てからというもの一切会話がない。

 

その原因は俺の横を飛行している妹紅にある。

 

妹紅が今の状態になったのは竹林が異変の中心と慧音の家で言ってからだ。

 

そのことを聞こうにも妹紅から発せられる雰囲気で話しかけづらくてしょうがない。

 

まあ話しかけづらいだけだからとりあえずは黙ってついていこう。

 

 

「飛鳥一つ忠告しとくぞ。竹林に入ったら私から離れるなよ。」

 

「何故だ?」

 

「着いたらわかる。」

 

 

なんだかよくわからないがこれは素直に従っておこう。

 

 

「もうすぐ竹林だ、下に降りるぞ。」

 

「了解。」

 

 

俺は妹紅の指示通りに降下した。

 

 

 

――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

 

 

 

「いいかさっきも言ったが絶対に私から離れるなよ。」

 

「わかった。」

 

「よし、じゃあいくぞ。」

 

 

俺たちは目の前に広がる竹林に足を踏み入れた。

 

 

「中に入ると普通の竹林だな。」

 

「嫌ここの竹林は普通の竹林とは違う・・・ここの竹林は人を惑わすんだ。」

 

「惑わす?」

 

「理由は単調な風景と発生している霧霧、そして僅かな傾斜のせいで方向感覚が狂わされるんだ。それゆえに迷いの竹林と呼ばれている。」

 

 

確かに竹の成長の方向が全部一緒に見えるし、目印となるような草木が一本もない。

 

妹紅の言う通り視覚が狂わされるわけか。これは一度入ったらよほどのことがない限り抜け出せんだろうな。

 

しかも獣型の妖怪の気配と匂いがあたりに充満している。こりゃ相当な数が棲息してるな。

 

 

「でも安心しろあたしはここの地理を把握しているから異変の中心地点まで案内できる。」

 

「把握してるってことはここには結構来てるってことか?」

 

「ああ、筍を取りに来たりにな。あとはここの奥地にある建物に用があったりで行き来していたらいつの間にか覚えていた感じだ。」

 

「なるほどだからさっきはぐれるなっていったのか。」

 

「そういうことだ。」

 

「でその奥地にある建物ってのは?」

 

「永遠亭と言う屋敷だ。しかも住んでるのがいけ好かない姫と従者が二人あとウサギが多数。」

 

「永遠亭か」

 

「ちなみにその姫と従者達は月から来た連中だ。」

 

「!?」

 

 

月から来だと・・・まさかあの連中なのか?

 

だがあの連中はこの星からいなくなったはずだ、例えこの星に残っていた者がいたとしてもすでに死んでいるはずだ。

 

これは確かめねぇとな。

 

 

 

――――――――――

 

 

―――――――

 

 

―――

 

 

「にしても結構広いなこの竹林。」

 

「ああ、私も初めてここに来た時は迷った挙句に10日間竹林で過ごす羽目になった。」

 

「飯はどうしてたんだ?」

 

「そこらへんに生えていた筍を焼いて食ってた。」

 

「・・・よく帰れたな。」

 

「私でもそう思う。―――ん?」

 

 

妹紅が立ち止まり、しゃがんで地面を眺めている。

 

 

「どうした妹紅。」

 

「これ見ろよ。」

 

 

妹紅が指を地面に向けて指していた。俺はそこに視線を向けると―――

 

 

「足跡?これってまさか・・・」

 

「ああ、この場所を誰かが通ったんだ。しかも一人二人って数じゃなさそうだしな。」

 

「もしかして・・・」

 

「ああ、ほかの異変解決者が既に来てる証拠だ。どうやら少し出遅れたらしいな。」

 

「それだけじゃないらしいぜ妹紅。」

 

 

俺たちに近づいてくる気配を2つ感じた。

 

 

「あら~?見かけない顔ねあなたたち。」

 

「人がなぜこのような場所に即刻立ち去りなさい。」

 

 

姿を現したのは水色の服を着た女性と緑色の服を着た少女が俺たちの前に現れた。

 

なるほどあれが白玉楼の主と庭師か。旦那が言うには主の方は相当な手練らしいが庭師の方は普通だとか。

 

どちらとも戦ってみたいなぁ、ならちょいと誘ってみますか。

 

 

「それはあんたらにも言えるぜ。白玉楼の主、西行寺 幽々子さんとその庭師、魂魄 妖夢さん。」

 

「あらあら私たちのことをご存じなんて。」

 

「・・・」

 

 

主の方は釣れなかったが従者の方はうまく釣れたか。

 

なかなかの殺気だな、でもまだまだ青臭い嬢ちゃんってことか。

 

どれ一つお相手願おうかね。

 

 

「妹紅、手ェ出すなよ。」

 

「ああ・・・」

 

 

妹紅は俺の後ろに下がった。

 

 

「幽々子様もお下がりください。ここは私が相手をします。」

 

「そう、じゃあお願いね妖夢。」

 

「はい。」

 

 

彼女が一歩一歩こちらに向かって歩いてくる。歩きながら腰と背に備えた刀を抜刀し―――

 

 

「掛かってきな、剣士の嬢ちゃん。」

 

「あなたが何者なのかは取り敢えず斬って確かめます。」

 

「お前さんさぁひょっとして辻斬り?」

 

「私は至って辻斬りなどではない!」

 

 

そう叫びながら俺に接近し長刀を振り下ろしてくる。

 

だが俺は体を横にし斬撃を避けた。

 

そのあとも刀を振り回してくる彼女の攻撃を俺はヒラリと躱していく。

 

 

「くっ!避けるな!?」

 

「避けなきゃ斬られちまうだろう。」

 

 

俺は率直な意見を述べた。

 

 

「流石に避けるのも飽きてきたな・・・今度は此方から行かせてもらうぜぇ。」

 

 

俺は青い翼を背中から生やし、上空に飛び上がった。

 

彼女も俺を追いかけるように上空に飛んできたが、俺はすかさず攻撃を仕掛けた。

 

 

 

――――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

 

「羽根の弾丸・・・フェザーブレット!!!」

 

 

翼から射出される羽根の弾丸を見て妖夢は刀を構えた。

 

だがそれはいい手段ではなかった。。

 

羽根を弾いてみれば、鉛を弾く感触が妖夢に伝わった。

 

 

「(なんて強度の羽、弾くので精一杯です!!)」

 

 

しかし全てを弾くことが出来ずに次第に手や足に切り傷が出来てきた。

 

弾丸の嵐が止み、飛鳥は妖夢に視線を向けた。

 

満身創痍ではないが、かなりの痛手を追っていた妖夢が浮かんでいた。

 

 

「(実戦はそれなりにできているが、まだまだアマチュアの領域だな。)」

 

 

状況判断はそれなりにいいとして、戦闘に関しての駆け引きはほとんど駄目。

 

それが妖夢と戦って感じた飛鳥の評価だ。

 

 

「どうした、さっきまでの威勢は。」

 

「ハァ・・・ハァ・・・(この人強い、ここまでの強さは亀山 玄武さん以来だ。)」

 

「言っておくがまだまだ序の口だぞさっきのは・・・だが今度はさっきよりきつめに行くぞ!?」

 

 

飛鳥は周囲に鳥の形をした炎をいくつも出現させた。

 

 

「な、なんだこれは!?」

 

「フレイム・トルーパー・・・ゴー!!!」

 

「っ!?」

 

 

空中を縦横無尽に飛び回る多数の炎の鳥が妖夢に殺到する。

 

だが妖夢も負けじと剣を振るい防いではいるものの先程の飛鳥の攻撃のせいで血を流しただけでなく体力も消費したため時間が経つにつれ押され始めた。

 

 

「ふ、防ぎきれない。」

 

「戦う時は如何にして相手を自分のペースに巻き込むかが大事なんだよ。だから嬢ちゃんはもう少し実戦を学び直しな。」

 

 

飛鳥は周囲の炎の鳥を一箇所に集め、巨大な炎の鳥へと変貌させ、妖夢に向かって解き放った。

 

 

「ファントム・フェニックス!!!」

 

「うわぁぁぁぁぁーーっ!!!」

 

 

妖夢は巨大な炎に飲み込まれた。そして炎が収まりその中心部にいた妖夢は多少の火傷を負い気絶していた。

 

飛鳥はいそいで移動し妖夢が落下するのを防いだ。

 

そして妖夢を抱え妹紅と幽々子の所に降り立った。

 

飛鳥は幽々子に抱えていた妖夢を預けながら話しかけた。

 

 

「すんませんね、試すようなことしちまって。」

 

「いいのよ、あの子もいろんな人と戦って自分を研いて欲しいもの。」

 

「俺も戦ってみてわかったんですがこの子の将来が楽しみでたまんねぇですよ。玄武の旦那が言ってた通りだ。」

 

「あら、彼とは知り合いなの?」

 

「知り合いっというよりかは育ての親のようなもんです。俺たちを鍛えてくれたのもあの人っすから。」

 

「どおりで強いわけね。」

 

 

幽々子は少し呆れながら言う。

 

 

「であんたらどうすんだ、このまま歩いても迷うだけだと思うが。」

 

「そうなのよねぇ・・だったらこのままあなた達について行くわ。そのほうが安全だし。」

 

「やっぱそれしか方法がないか・・・妹紅もそれでいいか。」

 

「別にあたしは構わないよ。」

 

「あんがと。それとその子俺が背負いますよ。」

 

 

飛鳥は幽々子に預けた妖夢を背中に背負った。

 

 

「んじゃま、永遠亭に向けて妹紅案内頼むな。」

 

「お願いね~。」

 

「へいへい。」

 

 

妹紅はお気楽なのがもう一人増えて呆れながら返答した。

 

新しく加わった幽々子と気絶した妖夢を連れて飛鳥たちは竹林の奥地にある永遠亭を目指して歩きだした。

 



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永夜異変 STAGE 4

 

 

 

 

永遠亭に向けて足を進める飛鳥たち一行。

 

途中目を覚ました妖夢が背負われてることに恥ずかしくなって暴れたりしたが、今は落ち着いて飛鳥の背中から降り幽々子の隣を歩いている。

 

 

「はぁ・・・幽々子様も戦ってくだされば勝てていたのにどうして戦わなかったのですか。」

 

「私が戦わなかった理由は二つあるわ。」

 

「二つですか?」

 

「ええ、一つはあまり体力を消耗したくなかったこともあるけど私にとって二つ目の理由が主なのよ。」

 

「その二つ目の理由とは一体何ですか。」

 

「それはあの二人が不死者だからよ。」

 

「えっあの人たちがですか!?」

 

「そうよねお二人さん。」

 

 

幽々子は飛鳥と妹紅に視線を移した。

 

 

「俺はともかく妹紅も不死に属するものだったとは知らんかった。」

 

「といってもあたしの場合はあんたと違って後天的だけどな。」

 

 

妹紅は哀しげな表情をしながら言った。

 

 

「まぁそうなった理由は聞かないから安心しろ。」

 

「ありがと。」

 

 

二人の会話の終わったところで妖夢が話に加わってきた。

 

 

「あのひとついいですか。」

 

「なんだい?」

 

「あの強さはどこで学んだんですか。」

 

「そりゃ鍛えてくれた人が凄すぎたからなぁ。」

 

「そんなにすごい人なんですか?」

 

「コイツはあの亀山 玄武の弟子なんだとさ。」

 

「え、えぇぇぇぇ!?」「あらあら。」

 

 

妖夢は衝撃の事実に驚きの表情をし、幽々子はなんとなくわかっていた表情をしていた。

 

だが幽々子は妖夢の仕草を見て信じられないものを見たような表情をしていた。

 

 

「妖夢あなた玄武と戦ったことがあるのに気づかなかったの?攻撃の誘い方とか彼のやリ方に似てたわよ。」

 

「ぜ、全然気が付きませんでした。」

 

「私でも気づいたのにこの子ったら。」

 

 

幽々子は呆れていた。

 

 

「うう、まだまだ修行が足りないみたいです。」

 

「修行以前の問題だと俺は思うのだが。」

 

「はぅぅぅ・・・」

 

 

妖夢はどうにかして話をそらすか考え、あることを思いついた。

 

 

「そ、そういえば、玄武さんって普段は何をなさっているんですか。」

 

 

妖夢の言ったことが原因でものすごい情報をを聞くことになった。

 

 

「普段の旦那ねぇ・・・仕事してることが多いな、書類仕事したり、野菜や果物の栽培、魚の養殖、牛や豚、鶏の飼育とか・・・あとは最近始めたのが作った野菜とかを八百屋とかに売りに行ったりしてるっけな。」

 

「そ、そんなことをなされているんですか玄武さんは・・・」

 

「・・・戦ってる時の彼を知ってる分、余計に違和感を感じるわ。」

 

「聞いてた話以上に凄い奴なんだな。」

 

「でもオフの時の旦那は、近寄りがたいんだよなぁ。」

 

「どう言う意味ですか?」

 

「嫌な旦那には彼女がいんだけどさぁ、この二人が作り出す桃色空間が凄まじいんだよ。しかもその空間内にいたら・・・・」

 

 

そこから飛鳥は玄武のことに関して愚痴をこぼすように語りだした。

 

しかし妖夢たちは話に耳を傾けておらず、先ほどの飛鳥の言ったことを考えていた。

 

 

「(へぇ~彼女がいたんだ~。)」

 

「(う、羨ましいです。)」

 

「(おいおい、そんな情報あたしらに教えて大丈夫なのか?)」

 

 

そのあとも延々としゃべり続ける飛鳥に妹紅たちもいつ止めていいのか分からずそのままの状態が10分続いた。

 

 

「あーなんだかすっきりした。」

 

 

玄武とさとりのイチャラブ空間のせいで溜まっていたストレスを発散することができた飛鳥は眩しいほどの笑顔をしていた。

 

 

「ん、どったのみんな?」

 

 

飛鳥は疲れた表情をしているみんなに声をかけたが、全員が”今はほっといて欲しい”といったので話しかけるのをやめ全員が回復するのを待った。

 

5分ほどしてみんなが戻ったため再び永遠亭目指して歩き始めた。

 

飛鳥たちがそこを去ってから数分後いきなり地面が隆起し始め何かが地面から出てきた。

 

実を言うと先ほどの飛鳥たちの会話を盗み聞きしていた人物がいたのだった。

 

 

「いいこと聞いちゃった♪」

 

 

なにやら怪しい笑みを浮かべその人物は地面から這い出てこの場をあとにした。

 

 

 

 

―――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

 

妹紅の案内のおかげで順調に竹林を進んでいる飛鳥たち。

 

何事もなく進んでいたがそう言っていられなくなった。それは飛鳥たちの前方から盛大な爆音が聞こえてきたからである。

 

自分たちの進行方向で弾幕ごっこが行われているのだと理解した飛鳥たちは誰と誰が弾幕ごっこをしているのか確認するため爆音が鳴り響く前方に歩いて行った。

 

弾幕ごっこを行っている場所にたどり着いた飛鳥たちの目に映ったのは、弾幕を放ち合う3人の少女の姿だった。

 

その3人の少女とは、博麗 霊夢、霧雨 魔理沙、十六夜 咲夜の3人だ。

 

そしてその近くではそれぞれのパートナーが応援していた。

 

飛鳥はこの状況を見てニヤリと笑い、霊夢たち目掛け弾幕を放った。

 

それに気づいた霊夢たちはその炎の弾幕を躱し、飛鳥を睨みつけた。

 

 

「誰よあんた・・・」

 

「炎弾が飛んできたから玄武だと思ってたが違うやつだとはな。」

 

「何者ですか・・・」

 

「異変の解決しに来たものだ。よろしくな。」

 

「私たちの弾幕ごっこに割り込んでくるってことは相当自信があんだな。」

 

「気をつけなさいよ魔理沙に咲夜、こいつから玄武と同じ雰囲気を感じるわ。」

 

「つまり彼の関係者ってことかしら。」

 

「ご明察だお嬢さん方、俺は鳳 飛鳥――玄武の旦那と同じ古代神にして不死鳥でもある存在だ。」

 

「「「!?」」」

 

 

まさか玄武と同じような存在がいたことに霊夢たちは目を見開いて驚いていた。

 

もちろんその話を聞いていたパートナーたちも驚いていた。

 

唯一驚いていなかったのは先ほど話を聞いていた、妹紅、幽々子、妖夢の三人だけである。

 

霊夢は渋った顔をしながら、飛鳥から視線をそらさなかった。

 

 

「まずったわね、よりによって玄武と同じような奴に出くわすなんて。」

 

「でもチャンスだぜ霊夢。」

 

「何がよ。」

 

「ここでこいつに勝つことができれば、古代神とも渡り合えるってことが証明できるぜ。」

 

「まぁ考えてみればそうよね。」

 

「だろっ!」

 

「でも一筋縄ではいかないわ、なにせ相手は玄武と同じ存在なのよ。」

 

「わかってるって。」

 

「「(ほんとにわかってるの(かしら)?)」」

 

「く~腕が鳴るぜ!」

 

「「はぁ~」」

 

 

3人の話し合いが終わるまでじっと待っている飛鳥。

 

しかし飛鳥は早く戦ってみたいという感情があるためか少々にやけた表情をしている。

 

 

「わりぃな待たせちまって。」

 

「さっさと始めようぜぇ、戦ってみたくてウズウズしてたところだ。」

 

「へへっ、そうこなくっちゃ!」

 

「魔理沙、一人で突っ走らないの三人で戦わなきゃ意味がないのよ。」

 

「そうよ、あなた一人で相手するのはきついわよ。」

 

 

霊夢と咲夜に注意を受ける魔理沙。

 

 

「玄武の戦いっぷりを見てきたんだ。それくらい理解してる。」

 

「それなら安心ね。・・・さあ始めましょうか。」

 

「来いやぁぁぁ!!!」

 

 

四人は早打ちのごとく、弾幕を相手に放った。

 

通常ならば人数が多い霊夢たちの方が弾幕の密度が高いため飛鳥の弾幕をかき消せるが、霊夢たちの相手は規格外の存在、故に幻想郷の常識では通用しない。

 

そのため霊夢たちの弾幕と飛鳥の弾幕は一撃一撃に威力がある飛鳥の弾幕が優った。

 

 

「やっぱ向こうの方がパワーがあるぜ!」

 

「あれを突破させないようにこっちも弾幕の密度を上げるわよ。」

 

「おう!」「了解よ!」

 

 

霊夢たちはさらに弾幕の密度を上げ、飛鳥の弾幕を突破させにようにした。

 

密度を上げたおかげで何とか飛鳥の弾幕と張り合えるようになったが、このままではいけないと霊夢は感じていた。

 

 

「(まずいわねこっちのほうが普段以上の弾幕を出してるから霊力と体力の消費が早い・・・このままじゃスペルカードを使う前にこっちが負けるわね。)」

 

 

どうにかこの状況を打開しようと霊夢は考えていた。

 

そこであることを思いつき、二人に作戦を伝えようとした。

 

 

「あ~じれったいぜここは私のマスパで消し飛ばしてやる!」

 

「やめなさい魔理沙。」

 

「なんでだよ霊夢。」

 

「この中で一番火力があるのはアンタなのよ、ここぞってときに使うから今はダメよ。」

 

「わーったよ。でもどうすんだよこの状況。」

 

「心配いらないわ、咲夜。」

 

「ええ、彼の集中力を削げばいいのね。」

 

「お願いするわ。」

 

 

咲夜は能力を発動し、飛鳥の背中に回り込みナイフを4,5本投擲し元の位置に戻り、能力を解いた。これだけの作業なのにかかった時間は20秒足らずだった。

 

 

「うおっ!」

 

 

突如として自分の背後からナイフが飛んできたのに気づいた飛鳥は弾幕の打ち出すのをやめ回避した。

 

飛鳥がその行動を起こした瞬間、霊夢達も行動を開始した。

 

 

「行くぜ、魔空『アステロイドベルト』!!!」

 

「っ!?やっば。」

 

 

飛鳥は魔理沙の弾幕から逃れようと行動しようとしたが霊夢と咲夜に邪魔された。

 

 

「逃がさないわよ、夢境『二重大結界』!!!」

 

「仕留めます。幻符『殺人ドール』!!!」

 

 

霊夢の発動したスペカの影響で飛鳥は結界内部にとらわれ身動きが取れなくなった。

 

身動きができない飛鳥に霊夢たちの弾幕が迫る。

 

魔理沙はやったという表情をしているが霊夢と咲夜は弾幕が迫っているにも関わらず笑みを浮かべる飛鳥を警戒していた。

 

 

「流石、旦那と一緒に異変を解決してきただけのことはある・・・だがこれくらいじゃぁ俺は落とせんぜぇ!!!」

 

 

飛鳥は青い炎を体に纏い、スペルカードを発動させた。

 

 

「炎符『コロナ・ストリーム』!!!」

 

 

発動とともに青い炎の火柱が飛鳥を包み込んだ。しかも火柱の発生と同時に霊夢の張った結界をはじき飛ばす。

 

そして火柱から炎のレーザーが全方面に向けて発射された。

 

 

「レーザーの数が多すぎるだろ!?」

 

 

魔理沙は迫り来るレーザーを必死に避けているのに対して霊夢は―――。

 

 

「あいつの『ブレイズストーム』と同系統のスペルかしら?」

 

「って何冷静に分析してるんだよ。しかも結界張って自分だけ守ってるし、私も入れろ!」

 

 

そう霊夢は自分の前方だけに結界を張り、レーザーを防いでいた。

 

魔理沙は霊夢に文句を言い結界に入れてもらった。

 

その時誰かがいないことに気づき霊夢に訪ねた。

 

 

「そういや咲夜の奴は?」

 

「咲夜ならレーザーが発射され始めてから『お嬢様~!!』って言いながらレミリアのところにすっ飛んでいったわよ。」

 

「そういやレミリアたちの方にもレーザー飛んでたな・・・」

 

「紫が守ってるだろうから大丈夫だって言ったのにまったく。」

 

「まぁそのうち戻ってくるだろし、それにこっちの方も効力切れってか。」

 

 

飛鳥の使用したスペルカードの効力が切れ始め弾幕の勢いがなくなってきた。

 

火柱が消え飛鳥の姿が見えた途端、霊夢は結界を解き、魔理沙とともに弾幕を打ち始めた。

 

少し卑怯かもしれないがこのぐらいのことをしなければ相手にならないことはわかっているため霊夢と魔理沙は咲夜が戻ってくるまで弾幕を打ち続けた。

 

 

 

――――――――――

 

 

―――――――

 

 

―――

 

 

 

「ごめんなさいね二人共。」

 

「謝るのはあとにしなさい、今は目の前のやつに集中しなさい。」

 

「ええわかったわ。」

 

 

咲夜もナイフを構え投擲し始めた。

 

ようやく三人揃ったのを確認した飛鳥は次の手を打つことにした。

 

 

「次のスペカはちょっときついぜ。」

 

 

スペルカードを構えながら二ヤッと笑った。

 

 

「火炎『ブレイズキャノン』!!!」

 

 

スペルカードを発動させ、両手を前に突き出して炎を集束し始める飛鳥。

 

それを見た霊夢たちはあれはヤバイと感じた。

 

 

「魔理沙!!!」

 

「わかってるよ!?恋符『マスタースパーク』!!!」

 

 

魔理沙もスペルカードを発動し、マスタースパークを発射した。

 

 

「いっけぇーーーーー!!!!」

 

「これがマスタースパークか相手にとって不足なし!!!」

 

 

飛鳥は集束しきった炎の玉を前方に開放した。

 

 

「ファイアーーーーー!!!」

 

 

青白い炎をまとったレーザーを放ち、マスタースパークにぶつけた。

 

どちらも威力は互角、押したり押し返したりとそんな状態が続いている。

 

 

「ぐぬぬぬぬっ!!!!」

 

「おおおおぉぉぉぉ!!!!」

 

 

しかし時間が経つにつれ魔理沙の方が押され始めた。

 

やはり男と女ではもともとの体力差があるためここでその影響が出てきた。

 

しかも飛鳥は毎朝さとりと玄武と一緒に鍛錬を行っているため一般男性よりも体力がある。

 

だからここに来てさらに力を込め始めた。

 

 

「だりゃあああああ!!!!」

 

 

これに伴い一気にマスタースパークを押し返す飛鳥。

 

だが忘れてはいけないこの弾幕ごっこにはまだ二人いることを―――

 

飛鳥も魔理沙のそばに二人がいないことを気にして周囲の気配を探ったら自分の両サイドに既にスペルカードを構えた霊夢と咲夜がいた。

 

 

「隙有り、神霊『夢想封印・瞬』!!!」

 

「すみませんこれも作戦なので、幻葬『夜霧の幻影殺人鬼』!!!」

 

 

飛鳥に向けて弾幕を放つ霊夢と咲夜。

 

 

「これが私の全力だー!!!―――魔砲『ファイナルスパーク』!!!」

 

 

魔理沙もマスタースパークを上回る極太レーザーを発射し押し返された分を逆に押し返した。

 

最高の技を放ったことで勝ったと三人は思った、しかし三人の行動は飛鳥の予測範囲内だったと気づくことはなかった。

 

 

「結構楽しめたが、まだまだ修行不足だぜ。もう少し鍛えてから出直してきな。」

 

 

飛鳥は突如レーザーを撃つのをやめ、もう一枚のスペルカードを発動させた。

 

 

「お休みお嬢さん方、神火『ゴットブレイズノヴァ』!!!」

 

 

発動したら霊夢、魔理沙、咲夜のいる方向に向けて先ほどの弾幕以上の青白い炎を纏った極太レーザーが発射され、またたく間に三人を弾幕ごと飲み込んだ。

 

凄まじい威力のせいで土埃が発生。

 

時間が経つにつれ発生した土埃が晴れ始めた。土埃が完全に消え去ると地面の上で気絶した霊夢たちの姿が見えた。

 

 

「いい勝負ができたことに感謝するよ。また戦ってみたいものだ。」

 

 

聞こえてはいないが飛鳥は三人に向かってそう言い、気絶した3人を抱え妹紅たちのいるところに移動した。

 

 

 



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永夜異変 STAGE 5‐幕間‐

今回のお話で紫、幽々子のオリジナル設定が出ます。


 

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜を降した飛鳥は三人を担いで妹紅たちのところに戻ってきた。

 

気絶した霊夢たちを見て驚愕している紫たち。

 

飛鳥は気絶した三人を地面に横たわせる。

 

紫たちはそれぞれのパートナーのもとに駆け寄り声をかけていた。

 

 

「霊夢!?」

 

「魔理沙しっかりしなさい!?」

 

「咲夜!?」

 

 

声をかけられたことにより霊夢、魔理沙、咲夜の三人は意識を取り戻した。

 

 

「あれ、私たちなんでこんなところで寝てんだっけ?」

 

「魔理沙、気がついたのね。」

 

「アリスじゃねぇか・・・ん?じゃあ弾幕ごっこはどうなったんだ。」

 

「私たちは負けよ、魔理沙。」

 

 

魔理沙の右隣にいる横たわった霊夢がそういった。

 

 

「やっぱりそうか・・・あーあいいとこまで行ったのによ。まだまだ届かねーってことか。」

 

「私も少しは修行しようかしら。」

 

「珍しいな、霊夢がそんなこと言うなんて。」

 

「負けたままが嫌なだけよ。」

 

 

霊夢は立ち上がりながらそう呟いた。

 

 

 

―――――――――

 

 

―――――――

 

 

―――

 

 

 

霊夢は魔理沙たちのいるところから少し離れた場所で紫と話し合ってた。

 

 

「紫、私たちはこのあとどうすんの?」

 

「その事なんだけど、一応彼らについてくことにしたわ。」

 

 

どうやら紫は霊夢たちが気絶している最中に飛鳥から一通り話を伺っていたらしい。

 

 

 

「ふーん、もしかして今回の異変あの飛鳥ってのと関わりのある奴だから?」

 

「正解、よくわかったわね。」

 

「ただの勘よ。」

 

 

そう言いながら霊夢は魔理沙たちのいるところに戻っていった。

 

 

「月に住まう住人か・・・彼から奴らのことを今一度聞くことになるなんて思わなかったわ。」

 

 

紫は誰にも聞こえないようにそう呟き、踵を返して霊夢の歩いて行った方に歩いて行った。

 

全員が揃い、今いる場所を確認するためもこうは地図を取り出した。

 

 

「今あたしらがいる場所がここ、あたしらの向かってる永遠亭はこの辺だ。」

 

「かなり近いところまで来てるんだな。」

 

「ああ、でもここからが大変なんだ。」

 

 

妹紅はそう言って永遠亭の前にある竹林をペンを取り出して丸で囲った。

 

 

「今まるで囲ったところはとある兎詐欺が作ったトラップで埋め尽くされたところだ。」

 

「兎?」

 

「兎じゃなくて兎詐欺だからな。」

 

 

同じ言い方なのになぜだか違う意味を表しているように全員感じた。

 

地図を折り畳み、ポケットにしまった妹紅は立ち上がり声を発した。

 

 

「行くぞ。」

 

 

なんとも気合の入った声を上げる妹紅の後ろ姿を見てこの先にどんな罠が待ち受けているのか気になってしょうがなかった。

 

 

 

――――――――――

 

 

―――――――

 

 

―――

 

 

飛鳥たちは今、例のトラップだらけの竹林に差し掛かり慎重になって歩いていた。

 

 

「なぁほんとにここが例のトラップのある竹林なのか?」

 

「地図通りならそうじゃないの。」

 

「今の所は何もないようだけれど。」

 

「油断はできませんね。」

 

「そんな茶地なトラップなど掛かるほど間抜けではないわ。」

 

「流石ですお嬢様。」

 

 

一方飛鳥や幽々子、妹紅と一緒に歩いている紫はというと、飛鳥から詳しいことを聞いていた。

 

 

「へぇ~彼の弟子なのね。だったらあの強さは頷けるわ。」

 

「その分辛い修行だったけどな。」

 

 

ピピーッピピーッ

 

 

そんな音が飛鳥の右ポケットから聞こえてきた。

 

全員が飛鳥の方に顔を向けた。

 

飛鳥は右ポケットから黒い物を取り出した。

 

その黒い物の画面のようなものをに触れた途端、空中に映像が浮かび上がった。

 

その映像にはさとりが映し出された。

 

 

『飛鳥さんですか、よかった繋がって。』

 

「姐さんどーしたんすか。」

 

『私たちが地底湖に調査に行ったのは知ってますよね。』

 

「ええ。」

 

『そこの調査をしていたらギャオスの巣らしきもの発見したんです。』

 

「それでどうなったんですか?」

 

『厄介なことに既に生まれてしまっていたようで、仕方なく追跡をしたんです。ところが・・・』

 

 

渋った表情をさとりはしていた。

 

 

『・・・突然変異種というべきなのでしょうか、資料で見たギャオスとは形状が異なっていました。』

 

「マジすか!?」

 

『ええ、しかも先程までそれと交戦していたのですが、二体のうち一体を取り逃がしてしまったので飛鳥さんとフーさんに連絡を入れたんです。お二人は今どちらに?』

 

「そうっすかで旦那は?』

 

『もう一体の方を倒し終えたので肉体の一部を採取し、焼却している最中です。飛鳥さんたちの方はどうなのですか』

 

「俺は旦那の言うとりに異変解決に、フーの奴は人里の護衛に残りました。」

 

『そうですか、共に行動していなかったことが幸いしましたね。』

 

「ええ。」

 

『それでは引き続き異変の解決に向かってください。それと変異種のギャオスの画像を送っておきましたから確認してくださいねそれでは。』

 

 

さとりからの映像が途切れ、飛鳥は後ろからたくさんの視線が感じられたため振り向いた。

 

説明しろという視線が感じられた、特に紫と幽々子から。

 

仕方なく飛鳥は歩きながら説明することにした。

 

 

「えっと実を言うと・・・」

 

 

飛鳥説明中―――

 

 

 

「というわけなんす、わかりました?」

 

 

一通り説明した飛鳥は周りを見渡した。

 

その中で紫だけが渋った顔をしてブツブツと呟いていた。

 

 

「それにしてもびっくりねさとりちゃんが玄武の恋人だなんて。」

 

「あれ幽々子さん姐さんのこと知ってるんすか?」

 

「知ってるわ、前に紫が紹介してくれてね、数少ない私の友人の一人よ。」

 

「へぇ~紫さんにね。」

 

 

紫に視線を向けるが、今もブツブツと呟きながら歩いていた。

 

全員が耳傾けると―――

 

 

「あの子に先を越されるなんて・・・」

 

 

そのことを永遠とくり返し呟いていた。

 

全員がそれ以上聞くのをやめた。

 

 

「しかし驚いたな紫さんと友人関係にあったなんて知らんかった。」

 

「彼女何も言ってないの?」

 

「ええ、おそらく旦那にも言ってないかと思います。」

 

「そう・・・地底に行ったあと彼女に何かあったんでしょうね。」

 

「そのあたりは旦那から聞いてます。地底の妖怪から能力と種族というだけで嫌われていたと。」

 

「なるほど、紫や私に心配かけたくなかったということかしら。」

 

「おそらくは・・・でも旦那に出会ってからそれも改善されたらしいので今では地底の妖怪たちにも認められるようになりましたけど」

 

「よかったわ、会いに行きたいとのは山々なんだけど、表向きは地上と地底は不可侵条約があって会うことができないのが痛いわ。」

 

「でもいつか会えるようになると俺は思いますよ。」

 

「そう願いたいわね。」

 

 

飛鳥は幽々子との会話を続けているうちにあることに気づいた。

 

 

「そういえば霊夢たちの姿が見えないが?」

 

「そうね、紫と蓬莱人の子はいるけど妖夢たちがどこにもいないわ。」

 

「妹紅、霊夢たちがいなくなったんだが。」

 

「ああ、それなら上、見てみな。」

 

「「上?」」

 

 

飛鳥と幽々子は上を見上げると、縄に絡め取られている霊夢たちがいた。

 

 

「ゆ、幽々子様ー助けてくださーい!!」

 

「この縄なによ、私の力でもちぎれないなんて!」

 

「お嬢様あまり暴れるとさらに絡みますから動かない方がよろしいかと。」

 

「両手がこんな状態なんだどうにかしてくれー!!」

 

「ちょっと見てないで助けなさいよ!!!」

 

「「・・・・見なかったことにしよう・・・」」

 

 

飛鳥と幽々子は全力で見なかったことにした。

 

 

「「「「「無視するなぁ(しないでください)ーーー!!!」」」」」

 

「「冗談だ(よ)」」

 

 

飛鳥と幽々子は霊夢たちの絡まった縄を次々とほどいていった。

 

 

「あーようやく解放されたわ。」

 

「節々が痛いぜ。」

 

「ううっ、ひどい目にあいました。」

 

「屈辱よ、吸血鬼であるこの私があのような目にっ!」

 

「お、落ち着いてくださいお嬢様!!」

 

 

咲夜は怒っているレミリアをなだめている。

 

飛鳥はふと視界の端で何かが動いたのに気づきそこに視線を向けると、ウサギの耳をはやした少女が竹林の奥に走っていくのを見た。

 

その方向は自分たちの進行方向と同じことに気づいた。

 

 

「妹紅、今ウサギの耳を生やした子を見かけたが・・・」

 

 

そのことを妹紅に伝えるとこういってきた。

 

 

「ああ、そいつがこのトラップを仕掛けた張本人だ。」

 

 

そこに―――

 

 

「へぇーなら早く行きましょう。」

 

 

ニッコリと笑っている霊夢たちが現れた。ただし目は笑っていなかったが。

 

 

「こっちで合ってるのよね。」

 

「あ、ああ。」

 

 

霊夢たちは先ほどの兎耳の少女が走って言った方に歩き出していった。

 

飛鳥、妹紅、幽々子は唖然として彼女たちの後ろ姿を見ていた。

 

 

「あ、あたしらも行こう。」

 

「s、そうだな。」

 

「ええ、紫ー行くわよー!!」

 

 

幽々子は紫に声をかけた。

 

 

「はっ!私は何してたのかしら。」

 

「もう行くわよ紫。」

 

「え、ええ今行くわ!!」

 

 

紫は飛鳥たちの下に行き、霊夢たちのあとを追いかけていった。

 

 

 

 

 




オリジナルの設定で紫、幽々子、さとりの3人が友人同士というのにしてみたのはいかがでしたか。
原作では紫や幽々子にも近寄りがたい扱いをされているさとりですが、この小説ではそのようなわだかまりがないようにしました。


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永夜異変 STAGE 5

永夜異変の5戦目、うどんげとの弾幕ごっこ戦になります。
しかも今回は妖夢が活躍。



 

 

 

 

今俺目の前で、すんげぇことが行われようとしている。

 

しかもその対象は―――

 

 

「わ、私をどうするつもりウサ!」

 

 

先ほど捕まえた例のトラップを仕掛けたと思われる兎だ。(縄で縛られて簀巻きの状態)

 

霊夢たちは怪しい笑みを浮かべながら兎耳の少女をどうするか話し合っていた。(ちなみにアリスは途中でバカバカらしくなって今は俺たちと一緒にいる。)

 

正直言ってその光景は怖い。

 

というかトラップにかかったくらいでここまでするか普通!

 

特に妖夢にレミリア、お前らそんなかで一番年上だろうが年齢に対して精神が未熟すぎだろ!!

 

しかも話し合ってる内容が恐ろしすぎる。

 

やめるように言ったんだが聞く耳持たなかったんだよな。

 

ホントどうしたらいいわけ。

 

 

「ね、ねぇほんとに私をどうするつもりウサ。」

 

「うっさいわねぇ少しは黙ってなさいよ。」

 

 

って口封じのために御札を口にはるか普通!!

 

これは少しやりすぎだぞ。さすがの俺もちょいと見過ごせねぇ。

 

 

「霊夢、あまりやりすぎ『何してるんですかあなた方は!!!』るなって誰だよ割り込んできたのは。」

 

 

俺は声のした方に顔を向けると、その人物が視界に映った。

 

薄紫色の髪に、紅い瞳。(姐さんとかぶってやがる)

 

服装は外界の女子高生が来ているような制服姿。

 

極めつけは根元にボタンのようなものがついたヨレヨレのウサギの耳。(俺的には付け耳にしか見えねぇー)

 

見た目は外界の女の子なのだが、妖気が発せられているから妖怪なのは理解できる。

 

でも感じた事のない妖気に俺は目を細めた。

 

妖気を色で例えるならさとりの姐さんや紫さんなどは紫色なのだが目の前の子は薄紫色。

 

つまりこの星で生まれた存在ではない。となるとこの目の前の子は―――

 

 

「もう一度言います。あなた方は何をなさっているんですか。」

 

「何ってお仕置きよ。」

 

「だからなぜお仕置きするのか聞いているんです、ことによっては攻撃させていただきます。」

 

 

手を銃のような形にして霊夢たちに向けた。

 

 

「コイツの仕掛けたトラップでひどい目にあったからそのお仕置き。」

 

「そ、そうなの?全くてゐったらまた人様に迷惑をかけて。」

 

 

呆れた表情ってことは簀巻きにされたお嬢ちゃんは常習犯つーわけか。

 

 

「あんたに聞くけど永遠亭ってこの先なのかしら?」

 

「どうしてそのようなことを聞くのですか?」

 

「何って異変解決しに来たんだよ。私たちは。」

 

「そうですか―――」

 

 

雰囲気が変わりやがった、やっぱこの子―――

 

 

「全員その場から離れろ!」

 

 

俺がそう叫んだ瞬間、その子の指先からから弾幕が放たれた。

 

俺と霊夢たちとの距離が遠すぎる、ならば

 

 

「紫さん!」

 

「ええ、わかってるわ!」

 

 

紫さんがスキマを開きなんとか弾幕をそらすことに成功した。

 

俺の判断が正しければ。

 

 

「妹紅あの子は――」

 

「ああ、永遠亭の関係者だ。あそこに簀巻きにされてる奴もな。」

 

「だろうと思ったぜ。」

 

 

俺は弾幕を放った子に視線を向けた。

 

 

「ひとついいですかいつから気づいていたのですか・・・」

 

「あんたを見たときに気づいた・・・あんたがこの星で生まれた存在じゃないってね。」

 

「!?」

 

「俺たち古代神はこの星と密接な関係がある。だからこの星で生まれた者とそうでない者ぐらい見分けることができるんだよ。」

 

「出鱈目な存在ですね、古代神というのは・・・」

 

「言われ慣れてるかいいけど。」

 

「そうですか・・・それで異変を解決しに来たとおっしゃてましたね。」

 

 

向こうからの質問に俺は答えた。

 

 

「ああ、だからそこをのいてくれる―――わけないか。」

 

「そういうことです。お師匠様の命によりここから先にはいかせません。」

 

 

こういうタイプって面倒なんだよなぁー。

 

 

「めんどいわねスキマに落とそうかしら。」

 

「それじゃあ意味ないと思うんだよなぁ。」

 

「やっぱり?」

 

 

どうしようか悩んでいた俺たちのところに、妖夢が近寄ってきた。

 

 

「あの私が戦ってもよろしいでしょうか。」

 

 

妖夢の口からそのような言葉が出てきた。

 

 

「妖夢、本気なの?」

 

「はい、幽々子様。飛鳥さんにはこのあとの弾幕ごっこまで休んでもらおうと思っているのでここは私が何とかしてみせます!」

 

「大丈夫なのか?」

 

「任せてみてもいいんじゃない?」

 

「うーん、妖夢できるのか?」

 

「やってみせます!」

 

 

妖夢の目は真剣な眼差しをしていた。

 

だから俺は任せてみることにした。

 

 

「しゃーない、頑張ってこいよ。」

 

「はい!!」

 

 

妖夢は元気な返事をし、俺たちの目先にいる少女の方に振り向きその少女がいる方へ歩き始めた。

 

 

「俺はあの簀巻きにされてる子をどうにかしてきますか。」

 

 

霊夢たちのいるところに向かった。

 

 

 

―――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

 

(*ここからは妖夢の視点になります)

 

 

 

さっきはああ言ってしまったけど、不安でいっぱいです。

 

ううっ飛鳥さんとの弾幕ごっこで幽々子様の期待に応えられなかったからここで挽回しようって思ってたけど目の前の人と対峙してみてそんなの一気に吹っ飛んじゃいましたよ。

 

で、でもここで頑張らなきゃ幽々子様の剣術指南役として刀を振るってきた意味がない!

 

見ててください幽々子様、私頑張ります!!!

 

 

「あなたが私の相手をするの?」

 

「そうですが、それが何か。」

 

「あの男の人が来ると思ってたから。」

 

「飛鳥さんにはこのあとの弾幕ごっこに集中してもらうため、私が出てきたんです。」

 

「言っておくけどあの男性でもお師匠様には勝てないわよ。」

 

「そうやって舐めていると痛い目に合いますよ。」

 

 

私も玄武さんを舐めていたばかりに痛い目に合いましたからね。

 

 

「まあいいわあなたを倒してあの男を引きずり出してしまえばいいのだから。」

 

 

この人私のことを見下してますね。

 

少しムカつきますね。

 

 

「できるものならやってみてください!」

 

 

私は楼観剣を鞘から剥き相手に向かって弾幕を放った。それと同時に相手に接近した。

 

相手も指先から弾幕を放ってきて、私の弾幕を相殺し、私に向けて弾幕を放ってくる。

 

このぐらいなら斬り伏せる!

 

 

「でやぁぁぁ!!」

 

 

掛け声とともに刀を振るい弾幕を斬っていく。

 

相手はさらに弾幕を増やしていくが、私も剣速を上げていき次々と斬り伏せていく。

 

そして今出せる自分の最高速度を持って相手の懐に飛び込んだ。

 

懐に入った私を見て彼女は驚いていた。

 

私はチャンスと思い、刀を思いっきり振りかぶった。

 

しかし彼女の服の一部を切り裂いただけで避けられてしまった。

 

 

「・・・やるわね剣士さん。」

 

「あなたも。」

 

「そういえば名乗ってなかったわね。私は、鈴仙・優曇華院・イナバ・・・あなたは?」

 

「魂魄 妖夢です。」

 

「それじゃ妖夢続きと行きましょう。」

 

「ええ、私もまだまだ全力じゃないので・・・」

 

 

私は刀を構え、相手を見据えた。

 

鈴仙さん抜き打ちのごとく弾幕を放ってきた。しかも今度の弾幕は先ほどよりもスピードがある。

 

これは刀で斬るよりも避けて近づいていったほうがいいと私は判断し、刀で弾幕をそらしながら鈴仙さんに近づいていく。

 

 

「そうはさせない幻波『赤眼催眠(マインドブローイング)』!!!」

 

 

全方位に展開される弾幕。

 

コレは捌ききれない。ならば―――

 

 

「獄神剣『業風神閃斬』!!!」

 

 

私はスペルカードを発動し、私の半霊が放つ青色の大玉の弾幕を次々斬りり裂いていって細かい弾幕に変えていく。

 

このスペルは疲れるからあまり使いたくないけど、そう言っていられない。

 

 

「はあああぁぁぁぁ!!!」

 

 

動いて斬って動いて斬ってを繰り返していてなんとか相手の弾幕を相殺するまでの勢いにすることができた。疲れたけど

 

 

「結構派手な方法でブレイクさせたみたいだけど、息上がってるわよ?」

 

「ハァ・・・ハァ・・すぅぅぅぅ・・・ハァーーご心配なく、まだまだ動けますので続きと行きましょう。」

 

 

さて相手はどのような手を使ってくるのでしょう?

 

 

「次のスペルはきついわよ。狂視『狂視調律(イリュージョンシーカー)』!!!」

 

 

一瞬彼女の目が赤く発光したように見えましたが、気のせいでしょうか?

 

彼女が弾幕を放ってくるが至って普通の弾幕に見えます。弾幕の速度も遅いしこれがスペルの弾幕なのでしょうか。

 

私がそう思っていたら急に弾幕の速度が速くなり始めた。

 

 

「みょん!?」

 

「くすっ・・油断してると危ないわよ。」

 

「くっ!」

 

 

これはきつい速くなったり遅くなったり、緩急が激しすぎる。そのせいでいくつか被弾してしまったしスペルカードを使う隙が作れない。

 

ここは耐えて避け続けるしかない。あと何枚あるかわからないけど最後まで足掻いてみせる!

 

 

 

―――――――――

 

 

 

――――――

 

 

 

―――

 

 

 

「な、なんとか二枚目突破・・・」

 

 

たった数十秒間避けていただけなのにとても長く感じた。

 

それくらい集中してたってことだろう。

 

 

「すごいわねこのスペルを最後まで耐えるなんて。」

 

「自分でもびっくりしているくらいです。」

 

「でもね私は負けるつもりはないから。」

 

「それは私もです。」

 

約束しましたからね幽々子様と飛鳥さんに。

 

何とかしてみせるといったからには成し遂げてみせます。

 

 

「3枚目のスペルカードどう攻略するか見せてみて、懶惰『生神停止(マインドストッパー)』!!!」

 

 

鈴仙さんが全方位に向けて弾幕を放ち始めた。

 

私は自分に接近する弾幕を斬ろうと刀を構え振るった。だがその弾幕は刀をすり抜けた。

 

私は弾幕が当たると思ったがその弾幕は私の体を通り過ぎていった。

 

 

「今のは一体・・・」

 

「何よそ見してるのかしら。」

 

「!?」

 

 

正面から弾幕が迫っていた。しかし私には先ほどの光景が頭から離れなかった。

 

(いけない今は目の前の弾幕に集中しないと!!)

 

 

「とにかく弾幕で数を減らす!!」

 

 

私は刀を振り弾幕を放った。しかしこともあろうに私の放った弾幕は通り抜けていった。

 

 

「えっ!」

 

「そこっ!!」

 

「きゃああぁぁ!!」

 

 

さっきと同じ現象が起きた。

 

まさか―――

 

 

「げ、幻覚ですね。」

 

「へぇよく見破ったわね。でもこのスペルカードの効力はこんなものじゃないわよ。」

 

 

鈴仙さんは大量に弾幕を放ってきた。

 

 

「さぁこの中にある本物の弾幕を見つけ出してみなさい!」

 

 

幻覚の中に本物lの弾幕を混ぜるなんてかなり厄介なことを。

 

下手に弾幕を撃っても、こちらの体力が消耗するだけだ。一体どうしたら。

 

ん、なんだろうあの地面に写ってる黒いのは?しかも動いてる・・・そうか幻覚は実体じゃないから影が存在しないだからあの動いているのは本物の弾幕。

 

そうと分かれば―――

 

 

「こっちのものです!――断命剣『瞑想斬』!!!」

 

 

私は妖力を楼観剣に注ぎ込み巨大な光の刀身を生成して弾幕を斬っていった。

 

 

「これでラストォォォ!!!」

 

 

最後の弾幕を消滅させ、スペルをブレイクした。

 

 

「やっぱ攻略されちゃったか。」

 

「少々手こずりましたが、弱点がありましたから。」

 

「そう・・・私のスペルは残り2枚、次のスペルは今までの非じゃないわ――散符『真実の月(インビジブルフルムーン)』!!!」

 

 

弾幕が放たれてきたので先ほどと同じ幻覚なのか確かめようとしたら弾幕が目の前から消えた。

 

一体どうなっているのかわからない。

 

私が戸惑っていたら目前に弾幕がいきなり現れたので私は急いで回避した。

 

私は回避したあと周りを見たらまた弾幕が消えていた。

 

どうやら消えたり現れたりするスペルらしい。しかも現れるタイミングはランダムだ。

 

鈴仙さんに直接弾幕を撃っても弾幕に邪魔されるだけ。

 

「とにかく弾幕が現れれる前に接近するしかない!!」

 

 

私は鈴仙さんめがけて突っ込んでいった。

 

その途中で弾幕が現れたが、なるべく当たらないように最小限の動きで弾幕の中を進んでいく。

 

 

(もう少し、もう少しでこちらの距離。)

 

 

鈴仙さんも負けじと弾幕を放ってくる。その表情は少し焦っているもよう。

 

私の攻撃範囲に鈴仙さんが入った!今しかチャンスはない。

 

 

「剣伎『桜花閃々』!!!」

 

 

私は高速で弾幕をグレイズしながら鈴仙さんの横をすれ違うように通り過ぎた。

 

鈴仙さんは不思議がっており、体に違和感がないか確かめていた。

 

 

「・・・前方にご注意を」

 

「えっ?」

 

 

鈴仙さんが前を振り返ると7つの剣閃が鈴仙さんを襲った。

 

途中で現れた弾幕も剣閃によって斬り伏せられていた。

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・次でラスト・・・」

 

「くぅ・・・ここまで追い詰めるなんてやるじゃない妖夢。」

 

「鈴仙さんこそ。」

 

 

もう体力も妖力も残り少ない、それは鈴仙さんも同じだと思う。

 

ほとんど意地で立ってるようなものだ。

 

 

「これが私のラストスペル・・・受けてみなさい――月眼『月兎遠隔催眠8(テレメスメリズム)』!!!」

 

 

私の左右に魔法陣が現れ、弾幕を放ち始めた。

 

今までの弾幕の量とは圧倒的に違い、私を襲ってきた。ところが弾幕がいきなりすけて横に移動し始めた。

 

移動したと思ったらまた実体化し襲ってきた。

 

 

「くっ!さっきの二つが合わさったようなスペル・・・でもこれを乗り越えれば!」

 

 

私は最後の賭けに出るためにスペルカードを使用した。

 

 

「私の体がもつか勝負させてもらいます!!――人符『現世斬』!!!」

 

 

私は弾幕を無視して鈴仙さんに突っ込んでいった。

 

グレイズしていないため弾幕が当たっているにも関わらず私は突っ込むのをやめなかった。

 

体がボロボロになりながらでも私は怯まずただ前を見据えていた。

 

 

「鈴仙さん、覚悟!!!」

 

「このぉぉぉ!!!」

 

 

私はすれ違いざまに鈴仙さんを斬りつけ、鈴仙さんは斬られる寸前に私のお腹に弾幕を直撃させた。

 

そこで私は意識を失った。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

――――――

 

 

 

―――

 

 

 

「う、う~ん。」

 

「あ、妖夢気がついた?」

 

「あれ?幽々子様?」

 

「そうよ。」

 

「・・・・そうだ!?幽々子様弾幕ごっこはどうなりました!?」

 

「えっとね、非常に言いづらいんだけど・・・」

 

「ま、まさか・・・」

 

 

私は負けたんだとこの時は思った。しかし―――

 

 

「引き分けだったのよ。」

 

 

あれ?今幽々子様はなんとおっしゃった?

 

 

「今なんと言ったかもう一度お願いします。」

 

「だ・か・ら・引き分けだって言ったのよ。」

 

 

ええ~!!!なんですかその判定は!?

 

 

「ちなみに判定したのは飛鳥よ。」

 

 

私はちらっと飛鳥さんに視線を向ける。

 

 

「気絶したタイミングがほぼ同時だったからな。仕方なく引き分けにしといた。」

 

「・・・」

 

「妖夢、言いたいことはわかるわ。私も同じだから。」

 

「鈴仙さん。」

 

 

鈴仙さんも意識を取り戻していたよで先に説明されていたらしい。

 

でも鈴仙さんの顔は不満が内容に感じられた。というより笑っていた。

 

 

「でも今回はいい勝負ができたから判定はこのままにしましょう。ちゃんとした決着はまたつけましょ。」

 

「はい!今度は勝たせてもらいますよ。」

 

「それはこっちのセリフよ。」

 

 

私と鈴仙さんはまた再戦することを約束し、私たちは永遠亭に向かいました。

 

 

 

 



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永夜異変 STAGE 6

遂に永遠亭に乗り込む飛鳥たち、果たして異変を解決し月を戻せるのか。


 

 

 

「ここが永遠亭だ。」

 

 

竹林を抜けた俺たちの目の前には武家屋敷のような造りの家が目に入った。

 

和風な家だな。地霊殿は対照的に洋風な造りだったから新鮮味が出てる。

 

 

「あの~いいですか・・・」

 

「なんだい。」

 

「なぜ私までこんな格好なんですか!?」

 

 

今の鈴仙はてゐっていうのと同じように簀巻きの状態で地面に転がされていた。。

 

 

「この方が運びやすいとおもったから。」

 

「それだった普通に歩いたほうがマシですよ!!っていうかほどいてください!?」

 

「―――さぁ、乗り込むぞ!」

 

「え!?ちょっと人の話聞いてるんですか!?」

 

「おっ邪魔しまーす。」

 

「いやぁーーーーーおーろーしーてー!!!」

 

 

紅魔組と魔法使い組に玄関先で待機してもらい、俺は鈴仙をかついだまま残りを連れて永遠亭に入っていった。

 

ちなみにてゐは魔理沙たちのところに残してきた。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

――――――

 

 

 

―――

 

 

 

俺たちは永遠亭を廊下に沿って進んでいた。

 

 

「そういや姐さんから画像が届いてたんだっけ・・・(ガサゴソ)ほれポチッとなっと。」

 

 

俺はポケットから先ほどの黒い物体・・・持ち運び型通信機(玄武作)を取り出し起動させた。

 

俺は姐さんから届いていた画像をみんなが見えるように空中に映し出した。

 

コイツが新種のギャオスか・・・まるで蛇だな。うねうねしてて攻撃を当てるのは難しそうだ。

 

 

「あ、あの・・・」

 

「なんだい?」

 

「これが噂のギャオスなんですか?」

 

 

そういや鈴仙は初めて見るんだったな。

 

 

「通常のギャオスとは違うけど、コイツは確かにギャオスだ。」

 

「こ、こんな化物が本当にいるんですね。」

 

「言っとくけど実物は映像なんかよりももっと恐ろしいわよ。」

 

「それに獰猛で私たちのことを餌としか見てなかったわ。」

 

「ほんとねあの時玄武がいなかったら私たち食べられてたわ。」

 

「萃香さんの異変の時はさらにすごいのが来ましたけどね。」

 

「・・・・・・・」

 

 

みんなの話を聞いて血の気が引いて顔が真っ青になっていく鈴仙。

 

 

「心配すんな、幻想郷には古代神が三柱もいるから大丈夫だ。」

 

「ほ、ホントですか?」

 

「ああホントだ。」

 

「それなら安心です。」

 

 

ん?前方からなにかくる・・・・・・あれは矢と弾幕だ!?

 

 

「霊夢、妖夢!?鈴仙頼んだぞ!!」

 

「えっ!?ちょと何するのよ!!!」

 

 

俺は霊夢と妖夢に鈴仙を投げわたし、一歩前に出た。

 

 

「そぉい!!!」

 

 

俺は回し蹴りで矢と弾幕を蹴り砕いた。

 

 

「いきなりのご挨拶どうもありがと。」

 

「気に入ってもらえたかしら。」

 

 

廊下の奥から女性と少女が現れた。

 

間違いないこの二人が異変の首謀者で鈴仙の―――

 

 

「・・・あんたが鈴仙の師匠さんであってるか?」

 

「ええ、八意 永琳と言うわ。」

 

「そんでそっちの隣にいるのが。」

 

「蓬莱山 輝夜よ・・・あなたは何者なのかしら?」

 

「鳳 飛鳥だ。宜しくなおふたりさん。」

 

「こちらこそ。」

 

「前置きは十分でしょ永琳・・・ねぇそこのあなたは私の難題に応えられるかし「あんたの相手は私だ。」らって誰よ話に割り込んでくるのは。」

 

 

妹紅が俺の隣に立ち止まる。

 

 

「妹紅じゃない、久しぶりね。」

 

「そうだな輝夜。」

 

 

二人の間で火花が散っているように見える。

 

まぁこの二人はほおっておいても大丈夫だな。

 

 

「あんたの相手は俺ってことか。」

 

「お手柔らかに。」

 

「俺が勝てば月を元に戻してもらうぞ。」

 

「わかったわ、もし私が勝ったらこの異変が終わるまで私たちのボディガードをお願いしようかしら。」

 

「ボディガード?」

 

 

一体何のために・・・

 

俺は理由を聞こうと思ったが読まれていたのか永琳がこう伝えてきた。

 

 

「理由は弾幕ごっこの後で説明するわ。」

 

「了解、それと一つ言いたいことがある。」

 

「なにかしら。」

 

「手加減しないからな。」

 

「もちろんそうでなくては面白くないわ。」

 

「へっ!・・・それにしても。」

 

 

俺は視線をとある方向に向けた。

 

 

「あっちは凄まじいな。」

 

 

妹紅と輝夜の弾幕ごっこがすでに始まっており、凄まじいほどまでの濃密な弾幕ごっこというより寧ろ殺し合い?をしていた。

 

 

「そ、そうね。(家が持つかしら)」

 

 

なにか心配しているようだが気にしなでおこう。

 

さぁ久しぶりに全開でいくぜ!!!

 

俺は背中から青い羽を生やし永琳に向かって突っ込んでいった。

 

永琳も俺に向かって弾幕をばら撒いてきた。

 

今まで戦ってきたやつよりも弾幕の密度、弾幕の速度が段違い。

 

圧倒的な数で攻めてきたギャオスたちの超音波メスもたしかこんな感じで迫ってきてたよな。

 

でも―――

 

 

「あの時の戦いよりかまだぬるいぜ!!!」

 

 

俺も普段の弾幕よりもより密度のある弾幕を放つ。

 

俺たちの中間で弾幕どうしがぶつかり合い相殺していく。

 

弾幕がぶつかりあったことで爆煙が発生し、周りが見えなくなったが―――

 

 

「炎符『ブルーフレア・フェザーブラインド』!!!」

 

「天丸『壺中の天地』!!!」

 

 

ほぼ同時にスペルカードを使用し、煙の向こう側にいる相手を攻撃し始めた。

 

嵐のごとく弾幕が飛び交う様はスペルカードの効力が切れるまで凄まじかった。

 

今のところ1枚ずつスペルカードを使用したが俺も永琳も未だに被弾した様子は見られない。

 

やはり相手は相当の手練だ、気をつけなきゃいけないな。

 

 

「次はこれよ!――神符『天人の系譜』!!」

 

 

今度のはレーザーが加わったタイプか、ならこのスペルカードだな。

 

 

「焼き尽くせ!!――神鳥『アカシック・バスター』!!!」

 

 

俺はミスティアとの弾幕ごっこと同じように魔法陣を出現させそこに飛び込み、青い炎の鳥となって永琳の弾幕に突っ込んだ。

 

レーザーを弾き弾幕を燃や散らしていくが尋常でない弾幕のため、永琳の所に到達することができなかった。

 

 

「くそっ!ブレイクは出来たがダメージを与えられんかった!」

 

「それはこちらも同じよ。」

 

「「勝負!!」」

 

 

俺たちは互いににらみ合い次のスペルカードを取り出した。

 

 

「炎符『コロナ・ストリーム』!!!」

 

「蘇生『ライジングゲーム』!!!」

 

 

俺たちはスペルカードを使用し、弾幕を放った。

 

永遠亭の一区画が弾幕によって綺麗に吹き飛んだ。

 

吹き飛ばす際に大きな爆発が起こり俺と永琳はそれに巻き込まれ、永遠亭の外へと飛ばされた。

 

俺は空中で体勢を整え、前を見据えた。

 

その視線の先には、同じようにこちらを見ている永琳がいた。

 

ちなみに俺達は傷一つ負っていないが、先ほどの爆風で少し汚れてしまっていた。

 

 

「永琳、あんたって最高だよ!!俺と互角に渡り合う人なんて旦那や姐さん、幼馴染二人くらいだったのによぉ。」

 

「それは光栄ね、古代神にそう言っていただけるなんて。」

 

「やっぱ気づかれたか.」

 

「青い炎が使えるのは不死鳥の帝王(カイザーフェニックス)と呼ばれたフェニアス以外にいないわ。」

 

「ご明察だ、元この星の住人よ。」

 

「こっちの方も見抜いていたってことね。」

 

「鈴仙だけではわからんかったがお前さんの姿を見てわかったからな。」

 

「そう・・・でもお喋りはここまでにして続きをしましょう?血が疼いてしょうがないのよ。」

 

「それは俺も同じだ。」

 

「感謝するは最強と謳われた四人の内の一人とこうして戦えることに!!!」

 

「だったらもう一度俺たちの強さってやつを心に刻み込んでやらぁ!!!」

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

―――

 

 

 

あれから凄まじい攻防を繰り返し、どれくらい時間が経ったのかわからない。

 

飛鳥たちは互いに一枚のスペルカードを使用した。

 

その時飛鳥は被弾しなかったが、永琳は何箇所か被弾した形跡が見られた。

 

つまり永琳には最初のように動けるほどの体力がなくなってきている。

 

そのことに気づいた飛鳥は勝機と思いさらに永琳に追い討ちを仕掛けた。

 

 

「くっ!(まずいわね、向こうは根っからの戦闘者、比べて私は研究者・・・ここに来て体力の有無が出てきてしまった。なんとかしなくては・・・)」

 

「どうした動きが鈍くなってきてるぜ、永琳さんよぉ!!!」

 

 

飛鳥は一瞬の隙をついて永琳の懐に飛び込んだ。

 

 

「しまった!?」

 

「無影鳳炎脚!!」

 

 

炎を纏った連続蹴りが永琳を襲う。

 

その腹に数発蹴りを受けた地面に叩きつけられたその拍子に永琳は吐血した。

 

 

「くはぁ!!」

 

 

気を失いかけたが永琳はなんとか意識を保ち、地面から起き上がる。

 

 

「ゲホゲホッ・・・ハァハァ・・・(まずいわ、もう体力が残り少ない・・・妖力もせいぜいスペルカード一枚分。どうする。)」

 

 

永琳は瞬時に自分の現状を簡潔に調べ上げ、最後の一手を考えていた。

 

しかし―――

 

 

「ハアァァァァ!!!」

 

「チッ!!」

 

 

飛鳥の猛攻によって、作戦を練る暇がなくなり永琳はそのまま戦闘を続行することになった。

 

この戦況をどうするか飛鳥の攻撃を躱しながら考えているが、躱しながらではまともな思考ができずにいる永琳。

 

そこであることを思いつき賭けに出ることにした。

 

その賭けとは―――

 

 

「でりゃーーー!!!」

 

「ぐぅ!!!」

 

 

飛鳥の攻撃で大きく飛ばされる永琳。だがその顔はしてやったりといった表情をしていた。

 

そう永琳の考えた作戦とは、ワザと攻撃をくらい遠くに飛ばされたように見せかけてその場から離れることであった。

 

そのことに気づいた飛鳥は、飛ばされた永琳を追いかけた。

 

だが永琳は既にスペルカードを構えている状態であった。

 

飛鳥もスペルカードを取り出そうとするが永琳の方が早くスペルカードを宣言した。

 

 

「これがラスト・・・禁薬『蓬莱の薬』!!!」

 

 

これまでにないくらいの弾幕が放たれ飛鳥に襲い掛かってくる。

 

飛鳥も弾幕が来る前に最後のスペルカードを宣言することができた。

 

 

「決着をつける!!―――神火『劫火灰塵―全て滅ぼす原初の火―』!!!」

 

 

飛鳥は巨大な弾幕を一つ作り出し、永琳に向かって投げた。

 

巨大な弾幕と膨大な数の弾幕郡が正面からぶつかりあった。

 

永琳の弾幕郡は凄まじい数と規模で飛鳥の巨大な弾幕の進行を阻止していた。

 

だが飛鳥の弾幕に変化が生じてきた。巨大な弾幕の表面から散弾のように細かい弾幕が飛び出してきた。

 

細かい弾幕が永琳の放つ弾幕を相殺し始め、巨大な弾幕は徐々に永琳に迫ってきていた。

 

ところが巨大な弾幕も細かい弾幕を放っているため少しずつ小さくなってきていた。

 

 

「あああああぁぁぁぁ!!!」

 

「おおおおおぉぉぉぉ!!!」

 

 

飛鳥は永琳の弾幕を突破しようと、永琳は飛鳥の弾幕を破壊しようと己の弾幕に力を込めた。

 

だが時間が経つにつれ永琳の弾幕は徐々に勢いを失ってきた。

 

それを見た飛鳥はチャンスと想い今持ってる力を全て弾幕に注ぎ込んだ。

 

 

「いっけえええぇぇぇ!!!!」

 

 

飛鳥の弾幕に勢いがつき、遂に永琳の弾幕を突破した。

 

そして大きな爆発と閃光が辺りを照らした。

 

閃光が止み、飛鳥の目の前には辛うじて意識が残っている永琳が浮いていた。

 

 

「私の・・・負け・・ね。」

 

 

そう言って永琳の意識は途絶えた。

 

飛鳥は永琳の意識が途絶えると同時に動き、永琳を抱きとめ地面に降り立った。

 

心の中で『もっと精進せねば』と考えながら飛鳥は永遠亭に向けて歩き始めた。

 

飛鳥はその時疲れていて気づくことができなかった。大きな眼が二人を見ていたことに。



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永夜異変 STAGE EX

今回のお話は新種のギャオスとの戦闘がメインです。
残酷な描写が含まれます。


 

 

俺は永遠亭に着いた後、通信機を取り出し旦那と姐さんに現状を報告していた。

 

 

『なるほど、異変の方は解決したってことか。』

 

「はい、ですが新種のギャオスの方に関しては未だ姿を現していないので、どこにいるのか見当がついておりやせん。」

 

『そうですか・・・では地上に留まり搜索にあたってください。あの新種が何をしでかすかわかりませんから。』

 

 

搜索か・・・確かにあんなのが暴れまわったら大変なことになるな。

 

 

『一応新種に関するデータを送信しておいたので後で見ておいてください。』

 

「わかりました。フーの奴にも伝えておきます。」

 

『お願いしますね。ところで紫さんは近くにおられますか?』

 

 

紫さんを呼ぶなんてなんか話すことがあんのか?まぁ俺が知ることでもないし紫さんを呼ばねぇとな。

 

 

「ちょっとお待ちを・・・紫さーん姐さんから話があるそうですがー。」

 

「今行くわー。」

 

 

紫さんが駆け足で俺のもとにやって来た。

 

 

―ここからは紫とさとりの会話―

 

 

『お久しぶりです紫さん。お元気そうで何よりです。』

 

「さとりも元気そうでよかったわ。前に閻魔様から地底でのあなたの扱いを聞いたとき私も幽々子も心配してたんだから。」

 

『確かに前はそうでしたが、玄武さんが地底に来てから地底の人たちともうまくやっていけてるので大丈夫ですよ。』

 

「安心したわ。ところで私に話しって何かしら。」

 

『話というのは私や飛鳥さんが持っているこの携帯電話みたいな物のことです。』

 

「これのこと?」

 

『はい投影型の携帯通信機器といいます。これがあればどこにいても通信できるので紫さん達にも持っていて欲しいんです。』

 

「こんな便利な物もらっていいの?」

 

『構いませんよ玄武さんには許可をもらっていますし、ギャオス対策にもなるので。』

 

「そうね。ありがたくもらっておくわ。ふふこれでいつでも話ができるね。」

 

『そうですね。』

 

「それじゃあ彼に返すわね。」

 

 

―紫とさとりの会話終了―

 

 

紫さんが俺の携帯通信機器(俺たちはMCって呼んでるけどな)を返して、元の場所に戻っていった。

 

 

「さぁーて俺も皆のところに戻りますかね。」

 

 

俺はMCを懐にしまい、永遠亭の屋内に戻ろうとした。ところがどこからともなく血の匂いが漂ってきた。

 

俺は周囲を見渡し血の匂いがどこからしてくるのか探した。もちろん警戒も怠っていないがな。

 

血の匂いをたどって着いた場所には妖怪の残骸らしきものが多数その場に横たわっていた。

 

 

「血の匂いはこれが原因だったか、だがこの妖怪たちの死体―――”上半身”が無いってのはおかしすぎる。ん?」

 

 

俺は目を凝らして周囲を見てみると竹に赤い液体のようなものとピンク色の何かがついていた。

 

この竹についている赤い液体は血だな、そしてピンク色のものは肉片――ということはこの妖怪たちは内側か吹き飛んだってことか!?

 

普通のギャオスではありえない光景だな。

 

まさかとは思うが新種のしわざか。

 

 

「こりゃ気を引き締めなきゃならんほどの厄介な相手かもしれんな。とにかく、急いでフーの奴にこのことを伝えないと。」

 

 

俺は連絡を入れようとMCを取り出そうとしたら――

 

 

「ギャオオオオォォ!!!」

 

「なっ!?」

 

 

ギャオスだと!?クソッなんでこんな時に現れるんだよ!!!

 

伝えにゃならんのにこれじゃあ連絡できやしねぇ。

 

時間はかけてられねぇ速攻でカタをつけてやる。

 

 

「急いでんだ邪魔すんじゃねぇーーー!!!」

 

 

俺はギャオスに炎を纏いながら突っ込んでいった。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

――――――

 

 

 

―――

 

 

 

一方人里にいるフーはというと人里の門の前で警備をしていた。

 

そしてフーの隣には異様なものが存在していた。

 

 

「人里に襲い掛かってきた妖怪はこれで全部だな。」

 

 

実はこの異変を機に人里に住む人たちを襲おうとやってきた妖怪たちがいたのだが、その時人里を警護していたフーに見つかり逆に返り討ちにあっていたのだ。

 

その為、負けた妖怪たちは無造作に山のごとく積み重ねられていた。

 

 

「済まないなフー、お前の手を煩わせてしまって。」

 

「気にすることはない、守ることが私たちの本分なのだから。」

 

「そうか・・・先ほど家に戻った時にこれを見つけたのだがこれはフーのものか?」

 

 

慧音はポケットから先ほど飛鳥から渡されたMCをポケットから取り出した。

 

 

「ああ、それは私のものではあるのだがどうかしたのか?」

 

「先程からピカピカ光っていたから気になったものでな。」

 

「っ!?慧音殿済まないそれを私に!?」

 

「え、ああ」

 

 

フーは慧音からMCを受け取り起動させた。

 

起動させたと同時に目の前の空間に玄武が映し出された。

 

 

『出るのが遅かったようだが何かあったのか。』

 

「すみません師父、妖怪たちが襲いかかってきたものですから壊してはいけないため慧音殿の家にMCを置きっぱなしにしていました。」

 

『お前にしては珍しいな。―――まぁこんな話は後回しにして重要な要件を伝える。』

 

「重要な要件とは?」

 

『新種が現れた。二体のうち一体は俺とさとりが始末したがもう一匹には地上に逃げられてしまったんだ。』

 

「師父から逃げ出せるとはその新種かなりの俊敏性を持っているということですか。」

 

『ああ、おまけに隠密性も高くてな見つけ出すのに苦労した。だから地上に向かった奴には気をつけろ。詳細はデータにまとめて送っておいたから』

 

「わかりました確認の方はしておきます。」

 

『無事を祈っているぞ。』

 

 

そこで玄武からの通信は切れた。

 

玄武との通信が切れたのと同時に竹林のある方向から巨大な青い火柱が上がるのをフーと慧音は見た。

 

 

「あの火柱は何だ?」

 

「あれは飛鳥だ。戦っている相手はギャオスだろう。」

 

「何!?助けに行かなくていいのかフー。」

 

「あのぐらいの相手ならば加勢しなくても平気だ。それに私が加勢に行っている間にギャオスが来てしまったら元も子もないだろう。」

 

「そうか。では我々は」

 

「ああ、先ほど話があった新種に対して警戒しておいたほうがいいだろう。」

 

 

その瞬間フーは地面が微弱に揺れていることに気づいた。

 

しかもその揺れが定期的なものでなく不規則に揺れている。

 

すぐさま地面の下に何かが蠢いてるのを感じ、慧音にここから離れるように指示する。

 

 

「慧音殿、すぐにここから離れたほうがいい。」

 

「どういうことだ?」

 

「早く離れてくれ・・・」

 

「・・・わかった。」

 

 

フーから放たれる威圧に気圧され、渋々そこから離れる慧音。

 

 

「離れてくれたか。行くぞ!?」

 

 

フーは空中に飛び上がり、揺れの発生している中心点に向かって技を放った。

 

 

「オオオオォォ――『猛虎爆砕脚』!!!」

 

 

フーの放った技は地面に直撃し、大きな揺れが起こった。

 

その直後、揺れの中心点から10mほど離れた場所から何かが飛び出してきた。

 

頭の形状は口は蛇のようになっており、他の部分は通常のギャオスと酷似している。

 

胴体に至っては完全に形状が異なり、完全に蛇の胴体になってた。

 

フーは飛び出してきた新種のギャオスを睨みつけていた。

 

 

「これが新種のギャオスか・・送られてきたデータと形状が一致しない。」

 

 

MCの画面に映されたデータとは形状が異なっていることに気づくフー。

 

 

「凄まじいほどの成長速度だ。」

 

「キシャーーーーーー!!!」

 

「人里の者たちを襲おうとでも言うのかならば―――私は貴様を止めなければならん。」

 

 

両者は互いににらみ合いを続けていた。

 

しかしそれも束の間、相手は口を開きフーめがけて超音波メスを放った。

 

フーは軽やかな動きで超音波メスを避けると一瞬のうちに相手の懐に飛び込んで技を放つ。

 

 

「ハアアアアァァァァ!!!――『猛虎爆砕拳』!!!」

 

 

しかし技を放つも相手は身体をひねり回避してみせた。

 

技を避けられたフーは驚いていた。

 

 

「(なんという俊敏性なんだ・・・師父の技がほとんど決まらなかったというのはホントのようだな。とりあえずは力のある技ではなく速さ重視の技でいくしかない。)」

 

 

フーはすぐに思考を切り替え攻撃を仕掛けた。だが相手も攻撃を受けないように避けたり攻撃を仕掛けたりと激しい戦闘が行われていた。

 

しかし正面の相手のことばかり警戒していたフーに突如後ろから何かが襲いかかってきた。

 

 

「くうっ!?今のは一体。」

 

 

後ろを振り返ると何かが地面から出ていた。

 

 

「尻尾の方か!?クソッ前ばかりに気を取られて地面の下にあった尻尾の行動に気づけなかったとは不覚・・・」

 

 

フーは前方と後方を気にしながら戦わなくてはならない状況に追い込まれてしまった。

 

そこから相手の激しい攻撃がフーを襲う。だがフーも攻撃を受けないように躱していく。

 

 

「(頭を警戒すれば尾が攻撃してきて、尻尾に警戒すれば頭が攻撃してくる・・・ギャオスの割には利口な戦い方だな・・・)」

 

「キシャーーーー!!!」

 

「だが負けるわけにはいかん、私の後ろには守るべき者達がいるのだから!!!」

 

 

口を開き噛み付いてくる新種のギャオスを紙一重で交わし叩きつけようとしてくる尻尾を蹴りで弾き返す。

 

そして隙ができると同時に攻撃を仕掛けた。

 

 

「オオオオォォ――『猛虎豪破脚』!!!」

 

 

ドゴンという凄まじい音が相手の体から響き渡る。その威力は最初に放った『猛虎爆砕脚』を超えており相手を後方に弾き飛ばしながら地面から引きずり出した。

 

 

「あれが奴の全容か、目測で70m位は軽くあるな。」

 

 

新種のギャオスの全容に少々驚フー。しかし怯むことなく相手から視線を外さずに攻撃の機会を伺う。

 

そこに―――

 

 

「ギュアアアァァァ!!!」

 

 

炎に包まれながら叫び声を上げて突っ込んでくるギャオスが目に映った。

 

 

「キシャーーーーー!?」

 

 

炎に包まれたギャオスは新種のギャオスに衝突し二匹は派手に倒れる。

 

その直後に上空から飛鳥が現れフーの横に着地する。

 

 

「大丈夫かフー。」

 

「飛鳥かなんとかな。」

 

「あれが新種か、姐さんからもらったデータとはちょっと違うな。」

 

 

飛鳥はMCで新種のギャオスのデータを見ていた。

 

 

「どうやら地上に出るまでに変化したらしい。」

 

「なるほどな。で攻撃方法は・・・」

 

「噛み付きに尻尾の打撃だけだ。」

 

「他にはないのか?」

 

 

飛鳥の意味ありげな言葉を聞き、フーは訪ねた。

 

 

「どういうことだ、ほかのも攻撃方法があるとでも言うのか?」

 

「実はギャオスと遭遇する前に妖怪の変死体を見つけyたんだ。」

 

「どのような変死体だったのだ。」

 

「上半身のない死体。死因は内部から吹き飛んだの事以外わからん。」

 

「キシャーーーーー!!!」

 

 

倒れていた新種のギャオスはギャオスを上から除けると体を持ち上げ飛鳥とフーを睨みつけていた。

 

どうやらかなりご立腹な感じの新種のギャオス。

 

その新種のギャオスは突如口を大きく開き始めた。

 

その時飛鳥とフーはその新種の口の中の一部分に注目していた。

 

 

「なぁあの舌って何かに似てねぇか?」

 

「ああ、見たことがあるのは確かだがなんだったのか思い出せん。」

 

「なんだか嫌な予感がする。」

 

「私もそう感じている。」

 

 

口を大きく開いた新種は二股に分かれた舌を上下に動かし始めた。

 

舌は次第に早くなっていきその舌からキィィィィという音が鳴り響いてきた。

 

それと同時に新種の近くにあった木や岩が次々と破壊されていく。

 

 

「うおおおっ!耳がいてぇ!?」

 

「まさか妖怪たちの死因はこれが原因だったのか!?」

 

 

新種は体を仰け反り何かの発射体勢に入った。

 

飛鳥たちはこの超ド級の超音波のせいで身動きが取れずにいた。

 

そして新種は飛鳥たちはめがけて何かを打ち出した。

 

しかし発射したものがなんなのかまったく見えないが、地面を削りながら突き進み飛鳥たちを吹き飛ばした。

 

 

「がはぁ!?」

 

「ぶふっ!?」

 

 

先ほどの攻撃でかなりのダメージを受けてしまう飛鳥とフー。

 

けれどなんとか立ち上がって見せる二人。

 

 

「さっきのは何なんだ。」

 

「恐らく超音波による衝撃波を打ち出したのだろう。」

 

「厄介もんを使いやがるぜ。」

 

「もう一体のギャオスはどうしたのだ。」

 

「あれ見ろよ。」

 

 

指を刺した方フーは見てみると、頭が弾け飛んだギャオスが横たわっていた。

 

 

「近くであんなもん使われたんだ、ああなって当然だ。」

 

「だがこれでは我々も近づけなくなったぞ、どうするのだ飛鳥。」

 

「向こうがその気なら俺たちも神獣化で行くぞ。」

 

「そうだなこのぐらいの相手でなるまでもないと思っていたが私もまだ甘かったということか。」

 

「やるぞ!!」

 

「おお!!」

 

 

飛鳥は青い炎で全身を包み込み、フーは巨大な竜巻に身を包み込んだ。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

―――――――

 

 

 

―――

 

 

一方永遠亭にいた者たちは人里目指して飛んでいた。

 

 

「ったく飛鳥のやつどこに行きやがったんだ。」

 

「青い火柱が見えたからどっかで戦ってるんじゃねぇか?」

 

「ええ、物凄いのと戦ってるわねあいつ・・・」

 

 

霊夢が人里から離れた森に指を指す。

 

霊夢を除いた全員がその方向に目線を向けると――人里近くの森で蠢く新種のギャオスの姿が見えた。

 

 

「おいおいこっからでもわかるデカさって・・・」

 

「その上気色の悪いやつね。」

 

「あれが進化したギャオスね。普通のは見たことがあるけどあのような形状をしたギャオスは初めて見たわ。」

 

 

永琳はかつて見たギャオスの姿と照らし合わせていた。

 

 

「あ、あんなのと戦うんですか、お師匠様。」

 

「戦わないわ。あれの相手ができるのは古代神クラスの存在だけよ。」

 

「そうですか(よかった。)。」

 

 

鈴仙が安心してほっとした直後、その近くで青い火柱と竜巻が発生。

 

永琳を除いた永遠亭組と妹紅以外はこの現象を全員は知っていた。

 

火柱と竜巻が止むと巨大な青い鳥と白い虎が姿を現した。

 

 

「フェニアスとラオウ。」

 

「なんだその名前?」

 

「彼等のもう一つの名よ。亀山 玄武にもガメラという名があるじゃない。」

 

「なるほど。」

 

「それにしても飛鳥って不死鳥になれば神々しいほどの美しくなるのね。」

 

「あっちの白虎もかっこいいですよ幽々子様。」

 

「あんたら黙って見ることができないのか。」

 

「ほっときなさい霊夢・・・あいつらが動き出すわよ。」

 

 

レミリアの言葉を聞き、霊夢はフェニアスとラオウに視線を向けた。

 

フェニアスは翼を広げ上空に飛び上がり相手の頭上を旋回し、ラオウはゆっくりと右方向に円を描くように歩き出す。

 

新種のギャオスは先程と同様に口を大きく開け、超音波を放ち始めた。

 

この超音波は離れていた霊夢たちにも影響が出ていた。

 

 

「あ、頭が割れるように痛い。」

 

「これだけ距離が・・・離れてるのに・・・影響があるなんて・・・なんて攻撃。」

 

 

この超音波の中で影響が出ているにも関わらずラオウは空気を吸い込み始めた。

 

2、30秒ほど空気を吸い込んだあとラオウは咆哮を始めた。

 

 

「グオオオオォォォォーーーーーーン!!!」

 

 

この咆哮でギャオスの放っていた超音波をかき消した。

 

フェニアスは超音波が消えたのを確認すると新種のギャオスめがけて突っ込んでいった。

 

新種のギャオスは突進を受けて大きく弾き飛ばされる。だが飛ばされた先には既にラオウが先回りしており、既に攻撃態勢に入っていた。

 

そしてラオウによる爪の攻撃を受け、体を切り裂かれたギャオスは悲鳴を上げながら、のたうち回っていた。

 

そののたうち回っているギャオスに向けてフェニアスは火炎、ラオウは風を圧縮した球を口から吐き出し攻撃する。

 

絶妙なコンビネーションを見せつけるフェニアスとラオウ。

 

攻撃を受けるたびにダメージを負うギャオスはその痛みから逃げるために地中に潜った。

 

 

「あいつ地面に潜りやがったぜ。」

 

「逃げたのかしら。」

 

「わからないわ。」

 

 

フェニアスとラオウは互いに顔を見合いうなづいたあと、フェニアスは翼を広げ上空に飛び上がりラオウは前足と後ろ足の横に風の渦を発生させ飛び上がった。

 

上空に上がったことによってギャオスの感知から逃れるフェニアストラオウ。

 

二柱の気配が感じられなくなり地上に出てくる新種のギャオス。

 

地面から出てきた瞬間、ラオウは横に回転し竜巻を纏いながら相手に突進を仕掛けた。

 

直撃を受けた新種のギャオスは真ん中あたりで引きちぎられた。引きちぎられた部分から大量の血が吹き出しあたりを赤く染めていく。

 

痛みに耐えながらここから逃げようと地面を這いずりはじめるが、上空が青く光り始めた。

 

その方向に視線を向けると青い炎の鳥に変貌したフェニアスの姿が見えた。

 

その姿を見た瞬間、あれは自分を滅する力だと理解したギャオスはなりふり構わずこの場から逃げようとしたが―――

 

 

「ゴオアアアアァァァァ!!!!」

 

 

ラオウの咆哮によって体が硬直してしまい逃げることができなくなった。

 

数秒後に体の硬直が解け逃げようとしたが時すでに遅く、既に目の前までに青い炎の鳥は来ていた。

 

 

「クオオオオォォォォ!!!!」

 

「ゲギャアアアアアアアァァァァァ!!!!」

 

 

青い炎の鳥の突進を受けた新種のギャオスは凄まじいほどの断末魔をあげながら炎に焼かれこの世から消滅した。

 

戦いが終わると同時に二柱の神は空に向かい勝利の雄叫びを上げていた。

 

この戦いをもってようやく永夜異変は終わりを迎えた。

 




作者のフジパンです。今回登場した新種のギャオスはモンハンのガララ・アジャラとヘビを足して割った感じのモンスターです。振動による衝撃波などのガララ・アジャラの技を使いましたがいかがでしたでしょうか?技を使用する場合、ギャオスには背びれがないということなのでどのようにしたらいいか考えた末に思いついたのが舌を音叉のような形にして衝撃波を放つという風にしてみました。
これからもオリジナルの敵などを取り入れていこうと思っています。感想などもお待ちしておりますので応援よろしくお願いします。


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会議

今回のお話はギャグも含まれます。


 

 

 

異変終了から一週間が過ぎた頃、玄武とさとりは地上に来ていた。

 

何故さとりが地上に出ているのか。

 

それにはある理由があった。

 

 

「紫も急に言ってくるもんだから何も準備できなかったな。」

 

「ええ・・・でもホントによろしいんでしょうか地底の妖怪である私が地上に出てきて。」

 

「紫が連れてきてくれって言うから別にいいんじゃないのか?」

 

「そうだよお姉ちゃん久々の地上なんだから楽しまなくっちゃ。」

 

 

玄武とさとりの会話にこいしが割り込んできた。

 

 

「だからって何であなたまで来てるんですか。」

 

「・・・飛鳥に変な虫がついてないか確かめるために・・・」

 

 

こいしの言葉を聞いて二人は心の中で

 

 

「「(それがついてきた理由か!!)」」

 

 

と叫んでいた。

 

フラフラと歩くこいしを連れて玄武とさとりは博麗神社へと足を進める。

 

ちなみにこのあと妖精に出くわすがこいしの状態(目のハイライトが消えている)を見た瞬間悲鳴を上げその場から逃げていったのだとか。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

―――――――

 

 

 

―――

 

 

 

 

「ここが博麗神社であってる?」

 

「ああ、ここが博麗神社だ。」

 

 

こいしは石の階段を見上げながら玄武に訪ねた。(こいしは元の状態に戻っております。)

 

訪ねられた玄武はすぐに返答を返し、石段を上がっていった。

 

石段を登りきると目の前に鳥居と神社が見えた

 

境内には掃除をしている霊夢がいた。

 

 

「霊夢、お邪魔するぞ。」

 

「あら、玄武じゃないそっちの一人は画像越しで見たことあるけどもう一人は誰?というかその二人あんたの知り合い?」

 

「紹介しよう、右手側にいるのが姉のさとりで逆方向にいるのが妹のこいしだ。」

 

「さとりにこいしね。よろしく。」

 

「よろしくお願いします。」「よろしく~。」

 

「ところで霊夢、紫は来ているのか?」

 

「それがまだなのよ、どうせまだ寝てるんでしょうけど。」

 

 

霊夢がぶつくさ言っていると腕が引っ張られる感じがしたので見てみるとこいしが引っ張っていた。

 

 

「ねえねえ飛鳥は?」

 

「あいつだったら縁側でフーって人と将棋を打ってたわよ。」

 

「ありがとう。」

 

 

こいしは縁側へと足を進めていった。

 

 

「・・・不思議な子ね。」

 

「すみません妹が迷惑をかけて。」

 

「気にしてないからいいわよ。取り敢えず部屋に案内するからついてきて頂戴。」

 

 

玄武とさとりは霊夢の後に続き神社の住まいの方へと歩いて行った。

 

部屋に案内されると既に何人か集まっていた。

 

玄武は茶菓子などの準備をしに霊夢についていった。

 

 

「さとり~久しぶりね。」

 

「幽々子さんご無沙汰してます。」

 

「ふふ、ちょっと見ないうちに大きくなってるじゃない。」

 

「私だって成長しますよ。」

 

 

幽々子とさとりが会話している時に妖夢はじっとさとりのことを見ていた。

 

 

「(この人が紫様以外の幽々子様のご友人・・・・)」

 

 

さとりは幽々子の隣にいた妖夢からそのような考えが読めたため、そちらに視線を向けた。

 

 

「(彼女は確か―――)」

 

 

さとりは妖夢に近づき挨拶した。

 

 

「はじめまして、魂魄 妖夢さん。古明地 さとりと申します。」

 

「みょん!こ、こちらこそ・・・あれ?私名前を教えましたっけ?」

 

「あなたのことは玄武さんから聞いていましたから。」

 

「なるほど・・・あなたが玄武さんの彼女さんなんですね。」

 

「ふぇ////な、なんでそのことを知って・・・っ!?そういうわけですか・・・」

 

 

顔を赤くしていたが、妖夢の心を読み誰が喋ったのかわかった途端恐ろしい顔つきになるさとり。

 

妖夢はヒッという悲鳴を上げ、後ずさる。

 

さとりはと言うとそのままっすぐに縁側と歩いて行った。

 

その直後―――

 

 

「姐さんどうしたんですかぶべらーー!!!」

 

 

さとりに盛大に殴り飛ばされる飛鳥の声が神社に響き渡った。。

 

 

「あ、飛鳥ーーーーっ!!!さ、さとり殿落ち着かれよ。」

 

「お姉ちゃん落ち着いてってば!?」」

 

「飛鳥さん?随分余計なことを他の人に話してくれたようですね。」

 

 

指の骨をポキポキ鳴らしながら一歩一歩飛鳥に近づいていくさとり。

 

その顔は綺麗な笑顔をしていたが目が一切笑ってはいなかった。

 

 

「えっと、それは・・・すんません!!!」

 

「許すと思ってるんですかーーーーー!?」

 

「ぎゃーーーーーー!!!!」

 

 

さとりが飛鳥を殴り続け3分が経過したとき飛鳥は無残な姿になっていた

 

不死鳥さえも殺しかける力を見せつけたさとりを見て――

 

(((絶対に怒らせてはいけない)))と心に誓う全員。

 

 

「遅れてごめんなさいねってこの惨状は一体なんなのかしら・・・」

 

 

真っ赤な血だまりに沈む飛鳥と両手を真っ赤に染めたさとりの姿が紫の視界に映った。

 

 

「・・・えっとこれはどういうことなのかしら幽々子説明して頂戴。」

 

「飛鳥が私たちに玄武とさとりのことをペラペラ喋ったことが原因よ。」

 

「・・・もういいわありがと幽々子・・・さとり。」

 

 

幽々子の説明を聞き紫はなんとなく理解したあとさとりに声をかけた

 

先ほどの恐ろしい表情からいつもの感じに戻ったさとりが後ろを振り返る。

 

 

「紫さん、遅かったですね。」

 

「ごめんなさいねちょっとやることがあったから遅れてしまったのよ。それよりも手を

 

洗ってきたらどうなの?」

 

「そうですね汚れてしまったので洗い落としてきます。」

 

 

さとりはそう言い残して洗面所へと向かった。

 

その直後飛鳥が生まれた子鹿のようにプルプルしながら立ち上がってみせた。

 

 

「ま、マジで死ぬかと思った。」

 

「だがそれは自業自得なのではないのか。先程話が本当ならばお前が悪いぞ。」

 

「そうだよ、お姉ちゃんは繊細なんだからね。」

 

「うぐっそりゃ俺もしゃべりすぎたってのは自覚してる。」

 

 

バツの悪い顔をする飛鳥。そこに茶菓子をお盆に載せた玄武が部屋に入ってきた。

 

 

「おっ全員揃ったようだな。会議をはじめるから全員それぞれの場所についてくれ。」

 

「だ、旦那ぁ。」

 

「ほれ早く自分の席に行け。」

 

「了解しやした。」

 

 

その後さとりが洗面所から戻ってきたので話し合いをはじめることにした。

 

 

「第2回ギャオス対策の会議をはじめる。」

 

 

この場にいるのは

 

紅魔館からレミリア、咲夜、パチュリー

 

冥界からは幽々子、妖夢

 

人里からは慧音、妹紅、阿求、フー

 

永遠亭から永琳、鈴仙、輝夜

 

個人的な参加は霊夢、魔理沙、アリス、藍、文の五人

 

紫は地上の代表として参加、さとりも同様に地底の代表として参加。(こいしはさとりの付き添い)

 

玄武は古代神代表として参加、

 

飛鳥はその補佐として参加。尚阿求は今回の会議の書記を担当している。

 

 

「今回の会議から参加することになった永遠亭と地底のメンバーだ。自己紹介よろしく。」

 

 

永遠亭と地底のメンバーが自己紹介していく。

 

 

「自己紹介も終わったことだし始めよう。」

 

 

玄武は全員を見渡し会議を始めることを伝えた。

 

 

「前回紅魔館で行ったときに話したことはギャオスのことについて話したが、実を言えば話しきれていないことがあってこの場に集まってもらった。」

 

「でその話しきれてないのって一体なんなの・・・」

 

「妹紅と永遠亭の永琳以外のものは知らないと思うがギャオスが人に作られた人工的な生物もとい生物兵器だと以前説明したよな。」

 

「ええ。」

 

「実を言うとな俺を含めた飛鳥とフーそしてここにいないもう一人はギャオス同様人に作られた生物兵器なんだ。」

 

「あんたらがギャオスと同じ存在ってこと?」

 

「そうだ。」

 

 

さとりとこいし以外の者は衝撃的な事実を聞かされて声がでなかった。

 

 

「他にも多くの同士たちが作られたそうだが成功したのは我々だけだったそうだ。」

 

「しかも俺とフーは旦那を雛形に作られた生物兵器なんだ。」

 

 

語られていく真実はとても重苦しいものであった。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

―――――――

 

 

 

―――

 

 

 

「それじゃあ本題に入ろうか。」

 

「そうね今回の会議はこれがメインですもの。」

 

「今回現れた新種のギャオス・・・私と玄武さん、紫さんはこの新種をバイパーと名付けました。」

 

「このバイパーについて何か質問のある奴は」

 

「じゃあ私からいいかしら。」

 

 

パチュリーが手をあげてため玄武はパチュリーにし質問を許可した。

 

 

「何故鳥のような姿から形状を変化させたのかそれが聞きたいわ。」

 

「ギャオスは自らを環境に適応させて行動する生き物だ、しかもギャオスにはこの星のあらゆる生物たちの遺伝情報を持っているから地底で最も動きやすい形を求めた結果があの姿だと俺は思っている。」

 

「環境の変化によって自らの形を変化させる生物・・・」

 

「ほかには?」

 

「それじゃあ私からいいかしら。」

 

「どうぞ永琳。」

 

「そもそもギャオスの作られた理由は?」

 

「わからん。」

 

「それはどう言う意味かしら・・・」

 

「ギャオスが造り出されたのが俺よりも前だからだ。以前アトランティスのデータベースを調べてはみたが過去の記録はすべて消されていた。」

 

 

玄武がそのことを永琳に伝える。

 

 

「そう・・・わからないのであれば仕方がないわね。」

 

「他に質問したいものは・・・」

 

 

手を上げている者がいないか確かめる。一通り見回したが手を挙げているものがいなかったため玄武は―――

 

 

「これを持って第二回ギャオス対策の会議を終了する。阿求と射命丸は後で話があるから残っておいてくれ。」

 

「了解です。」「はい。」

 

「まぁここからは紫とさとりから話があるそうだから二人に変わるから・・・二人共よろしく。」

 

「はい。というわけでここからは私たちが仕切らせていただきます。」

 

「まずはこの一週間で私とさとりと玄武で決めたことを話します。1つ目はコレです。」

 

 

さとりの視線を感じ俺は畳から立ち上がり端に置いていたダンボールを持ち上げそれぞれの机に置いていく。

 

 

「今みなさんの机に置かれた箱には私や玄武さん、飛鳥さんが使っているMCが入っています。これを皆さんにお渡しします。」

 

「あの便利な通信機ね。ほんとにくれるの?」

 

「これはギャオス対策の一つですから。」

 

「まぁくれるって言うんだからもらっとくわ。」

 

「2つ目・・・これは了承をもらうのにかなり時間が掛かったわ。藍持ってきて頂戴。」

 

 

紫がそういうと藍は手に持っていたジュラルミンのケースを持ってきて紫に渡した。

 

 

「紫さんそれは?」

 

「ふふ、これはあなたたち地底の妖怪にとって嬉しいものよ。」

 

 

ガチャという音がなり、ケースを開ける紫。中から取り出したのは二枚の紙。

 

 

「それは地上と地底の不可侵条約を結んだ時に使った契約書ですね。」

 

「ええ、でもこれはもう必要ないわ。あなたにはこっちを書いてもらうから。」

 

 

もう一枚の紙をさとりに見せたら目を見開いて驚いていた。

 

 

「これって不可侵条約を破棄する契約書じゃないですか!?」

 

「閻魔様から了承えられるまで今朝までかかっちゃったけどなんとかOKをもらえたわ。あとはあなたがサインするだけよ。」

 

「紫さん・・・」

 

「あなたには大変な役目を押し付けてしまってほんとに悪かったわだからこれは私からのご褒美よ。受け取りなさい。」

 

「ありが・・・とう・・ございます。」

 

 

さとりは涙を流しながらこの契約書を受け取った。

 

 

「お姉ちゃんよかったね。」

 

「ええ。この契約書は後日届けますので。」

 

「ええ、待ってるわ。さて三つ目なのだけれどこれは玄武お願いしてあるわ。」

 

「三つ目は俺の作っている野菜や果物、肉に魚などを地上にも提供することだ。」

 

「肉や魚などは幻想郷では重宝されてるものだったけど玄武のおかげで食料問題も解消。おまけに肉や魚の値段も安くなるわ。」

 

 

扇子を開き口元を隠して笑う紫。

 

 

「これだったら美味しいものが沢山食べれるわね妖夢。」

 

「・・・そうですね、幽々子様。」

 

 

嬉しそうに笑う幽々子に対して妖夢は暗い表情だった。

 

 

「以上が私たちが決めたことよ。文句のあるものは・・・いないわね。」

 

「これで全て終了しました。お疲れ様でした。」

 

 

玄武たちもそのまま地底に帰ろうとしたがさとりは紫と幽々子に捕まってしまった。

 

 

「え、あ、あの何か?」

 

「あらあら、まだ私たちあなたと彼のことを聞いてないわ。」

 

「はうっ//////」

 

「じっくり聴かせてもらうわ。」

 

「ちょ、ちょっと!?玄武さーん助けてぇぇぇー。」

 

 

さとりはそう叫びながら紫と幽々子に部屋の奥へと連れて行かれた。

 

玄武とこいし、飛鳥はこれから起こることに対して合唱をしていた。

 

そしてさとりは根掘り葉掘り話す羽目になったが、結果として惚気話になっていき紫や幽々子だけでなくそれに付き添ったものは砂糖を吐きまくることになった。

 

その時のさとりは頬を赤く染めながら嬉しそうに喋っていたとか。



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4章 花映塚編
交流試合


今回のはさとりと魔理沙の弾幕ごっこの話になります。
そしてさとりの新しい能力の使い方が出てきます。


 

 

 

 

ギャオス対策の会議から早ひと月が経とうとしていた。

 

地底との不可侵条約がなくなったため、地底の妖怪たちも地上に出てきて人里に赴いていたりした。

 

そのおかげで人里は活気あふれる里へと変わった。

 

以前は人間だけが通っていた寺子屋には、妖精や地上と地底の妖怪なども通うようになった。その中にはチルノ、大妖精、ルーミア、リグルミスティアの姿もあった。

 

ここまで活気あふれる人里は幻想郷始まって以来だと阿求は語っていた。

 

変わったところはもう一つあった、それは永遠亭だ。青の会議の直後に永遠亭は診療所を始め、このひと月の間にかなりの評価を得ることができたと永琳は嬉しそうに語っていた。

 

永遠亭の主である輝夜は時たまやってくる妹紅と相変わらずいがみ合いをしているとか。

 

それとこのひと月の間である珍事件が起きた。それは射命丸の書いた新聞が原因だった。

 

原因の内容はズバリ玄武とさとりのことで、馴れ初めから付き合うまでの経緯などを書いた新聞を地上だけでなく地底にまでばら撒いたのだ。当然その新聞を見た玄武とさとりは鬼の形相になって射命丸を追いかけ続けたらしい。

 

玄武とさとりに捕まった射命丸はさとりの新しいスペルカードの実験体にされかけたらしいが無事に解放されたのだとか。

 

 

ちなみ今現在玄武たちはというと―――

 

 

 

 

聞こ得ているかわからないが一応謝るさとりに玄武。

 

 

「さぁこれより地上と地底の交流を兼ねた弾幕ごっこを開始したいと思います。実況は私・・清く正しい幻想のブン屋こと射命丸が務めさせていただきます。そして解説者に古明地さとりさんの友人である八雲紫 さんとさとりさんの恋人である亀山 玄武さんにお越しいただいております。」

 

「よろしく。」

 

「ちょっと待てホントにやらなきゃダメなのか?」

 

「当然です。」

 

「はぁ・・・まぁやることになったからにはきちんと解説するんでよろしく。」

 

「はいお二人の紹介も終わったことですので早速今回の対決のカードはこちら!?」

 

 

『普通の魔法使い 霧雨 魔理沙 vs 地底の主 古明地 さとり』

 

【右から入場いたしますは幻想郷きっての略奪者、気に入ったものは全て私のもの・・泥棒兼魔法使い―――霧雨 魔理沙~~~~!!!】

 

「私は普通の魔法使いだぁーーーーー!!!変な二つ名つけんじゃねぇ文!?」

 

【体しまして、左から入場いたしますは幻想郷一ののバカップルの片割れにして地底の主―――古明地 さとりーーー!!!」

 

「・・・焼き鳥にしますよ射命丸さん」(左目のコンタクトはとっております。)

 

「それでは両者とも中央へ。」

 

 

さとりの威嚇を無視して話を続ける射命丸。

 

渋々といった感じで中央に歩み寄る魔理沙とさとり。その中央には装飾の施された帽子をかぶった緑髪の少女が立っていた。

 

 

「審判はこの私、四季映姫・ヤマザナドゥがいたします。」

 

 

幻想郷の閻魔が立っていることにさとりは驚愕していた。

 

さとりは驚きすぎて心を読むことを忘れ普通に質問した。

 

「あの映姫さん?・・・お仕事の方はいかがなされたのですか・・・」

 

「実は閻魔大王様より有給を消化しろとの通達が来たので1週間お休みをいただいたのですが・・・やることがなくて人里をぶらついていたら八雲 紫に今日の審判をお願いされたので引き受けたのです。」

 

「ところで小町さんは?」

 

「彼女は仕事です。」

 

「・・・そうですか?」

 

「こほん、それではルールを説明します。時間無制限、スペルカードも制限は無し、格闘戦もありの試合です。気絶したり降参の場合は負けと判定させていただきます。・・・両者共準備はいいですか?」

 

「OKだぜ。」

 

「大丈夫です。」

 

「それでは・・・始め!?」

 

 

二人は開始と同時に空に飛び上がり相手に向けて弾幕を撃ち始めた。

 

さとりは弾幕がくる場所を能力を駆使してわりだし最小限の動きで回避を行いながら敵買うに魔理沙のいる方に向かって弾幕を放つのに対して魔理沙はスピードを駆使して弾幕を回避しながら弾幕を放っている。

 

実況席から見ている文は二人の動きについて語っていた。

 

 

「いやー魔理沙さんはいつもながら豪快な感じですね。それに比べさとりさんは自分のペースで動いていますね。」

 

「さとりは俺と組手などをしているからな身体の動かし方に関しては熟知しているし能力のおかげで弾幕が来る場所をは秋しているからな。」

 

「なるほどそれであれだけの少ない動きだけで回避が行えてるってわけですね。」

 

「そういうことだ。・・・見ろ魔理沙が押され始めてきたぞ。」

 

 

上空では次第に魔理沙に弾幕がかすり始めてきていた。

 

次第に焦り始める魔理沙は状況を覆そうとスペルカードを使うことにした。

 

 

「行くぜ星符『スターダストレヴァリエ』!!!」「甘いですよ想起『テリブルスーヴニール』」

 

 

しかし魔理沙がスペルカードを使うと同時にさとりもスペルカードを使用した。

 

お互いの弾幕がぶつかり合い相殺していく。その様子を魔理沙は舌打ちしながら見ていた。

 

 

「・・・隙を突いたつもりだったのに・・・」

 

「私の隙をつけるのは玄武さんくらいなものですよ。」

 

 

さとりは笑みを浮かべながら魔理沙にそう答えた。そしてさとりは次のスペルカードを取り出していた。

 

玄武はそれを見てニィと笑っていた。

 

 

「面白いものが見られるぞ。」

 

「「?」」

 

 

紫と文は玄武のいったことに対して不思議に思い首をかしげていた。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

――――――

 

 

 

―――

 

 

「これから面白いものを見せてあげます。模範『八雲 紫』」

 

 

スペルカードを宣言するとさとりが光に包まれ始めた。魔理沙はさとりから放たれる光を腕を縦にして遮っていた。

 

そして光が止むと紫の格好をしたさとりの姿が目に映った。

 

それを見た紫は『私の格好ね、あれ』とつぶやいていた。

 

 

「なんだよその姿。」

 

「それは秘密です。それより今は弾幕ごっこに集中しないと危ないですよ!」

 

 

さとりはスキマを自分の前に開き弾幕を放った。その弾幕が魔理沙の背後から現れ直撃した。

 

 

「イッテェ・・・おいそれスキマじゃねぇか!?なんで使えんだよ。」

 

「いったはずですよ秘密だと。模範『光と闇の網目』。」

 

「っ!?紫の能力だけじゃなくスペカまで使えるのかよ、マジで反則すぎだろーが!!!」

 

 

魔理沙はそう叫ばすにはいられなかった。

 

下の実況席では玄武による説明がなされていた。

 

 

「さとりさんが八雲 紫の能力だけでなくスペルカードまで使用してみせたのは一体どういうことでしょうか?」

 

「もともとさとりはスペルカード自体は少ないのだがさとりは相手のトラウマになっている弾幕を再現できるんだそうだ。」

 

「弾幕の再現ってすごすぎるのですが。」

 

「でもこれには欠点があってなトラウマになっている弾幕は再現できてもトラウマになっていない弾幕は使えないんだ。」

 

「なるほど。でもあれはどう見てもトラウマを呼び起こしたものではないと思うのですが。」

 

「いいとこに気がついたな。実を言うとな俺の血を受け入れたさとりは能力までもが強化され表層意識までしか読めなかったが最近になって深層意識・・・つまり潜在意識まで読めるようになったんだ。」

 

「潜在意識ってなんですか?」

 

「潜在意識というのは今まで自分が経験してきた出来事を保存しておきメモリーバンクみたいなもの・・・いわばその人の人生そのものとも言っていいものよ。」

 

「ちょっと待ってきださい!!つまりこういうことですか・・・潜在意識を読むことができるということは・・・。」

 

「その人物の経験を追体験をすることによって相手そのものを理解し完全に再現ができるようになる。」

 

「なるほど、だからさとりは私自身を真似ることができるのね。」

 

「なんてチート能力。さとりさん怖すぎます。」

 

 

玄武の説明が終わり視線を上空にいる二人に向ける。

 

既にあちこちとボロボロの状態になっている魔理沙と未だ被弾ゼロのさとりの姿が目に映った。

 

ここに来て実力の差が出始めてきた。

 

 

「仮にも彼女は地底を収めていた妖怪よ、それに玄武から手解きを受けてるんですものこうなるのは必然だわ。」

 

「だが魔理沙は今までに異変を解決してきているからこそここまで保つことができたんだ。まぁそれでも数十分くらいしかもたないだろがな。」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

――――――

 

 

 

―――

 

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

 

「魔理沙さん、もう降参したほうがよろしいですよ。」

 

「ま、まだまだ私は頑張れるぜ。」

 

「意地っ張りなんですね。なら・・・」

 

 

さとりは紫の格好から元の服に戻った。

 

 

「・・・なんで元に戻ったんだ。」

 

「やはりこっちのほうが落ち着きますから。」

 

「戻ったこと後悔すんなよ!?恋符『マスタースパーク』!!!」

 

 

魔理沙はスペルを宣言し、八卦炉を取り出し極太のレーザーを発射した。

 

さとりもスペルカードを構えた。

 

 

「玄武さんからもらった予備のスペルカード(炎刀『エルボーバーナー』)を私用にアレンジしたものです・・・炎刀『麒麟・紅』!!!」

 

 

さとりがスペルカードを宣言すると肘から高温の炎の刃が出現した。

 

そして左腕を後ろに構えマスタースパークに向かって飛び込み振り向いたその結果――――

 

 

ザンッ!!!

 

 

一刀でマスタースパークを斬り裂いた。

 

 

「私の・・・マスパが・・・斬られた。」

 

「はあぁぁぁぁ!!!!」

 

「っ!?やばい早く逃げねーと!!!」

 

「せいっ!!!!」

 

 

さとりは勢いよく炎の刃を振りかぶる。

 

 

「うおっ!あぶねぇー。」

 

 

危なげになんとか避ける魔理沙だが服の一部が焼き斬られていた。

 

 

「こえぇーマジでこえぇよ。」

 

「今のを避けますか。」

 

「そう簡単に当たってたまるか!(といってもまスパを斬られるとは思ってもみなかったな。)」

 

「自分の十八番の技を斬られて少し動揺されていますね。」

 

「ちっ!ホント厄介な能力だぜ全部お見通しってわけか。」

 

「さぁどうなさいますか魔理沙さん。」

 

 

さとりは炎の刃を消しながら言い放った。

 

 

「へっ!決まってんだろ最後まで足掻き続けてやるぜ。」

 

「やっぱり魔理沙さんの性格上降参はありえませんでしょうからね。」

 

「わかってるじゃねぇか!!!」

 

 

言い終わると同時に魔理沙は弾幕を放つがさとりはまたしても弾幕のくる位置を魔理沙の心を読んで把握し避ける。

 

 

「無駄ですよ、弾幕のくる位置はあなたの心を読んで分かっているので。」

 

「そんなことは百も承知だぜ。」

 

「ではどうするというのですか。」

 

「んなもん決まってるパワーで押し切るだけだぜ。彗星『ブレイジングスター』!!!」

 

「なっ!?」

 

 

魔理沙はさとりめがけて突っ込んできた。咄嗟の出来事だったのでさとりは反応することができなかった為、ガードすることができずに弾き飛ばされた。

 

 

「っ結構無茶なことしてきますね魔理沙さんは。」

 

 

さとりは自分の周囲を高速で飛び回っている魔理沙に視線を向けようとするが魔理沙が動き回っているためかなかなか視界に捉えることができなかった。

 

 

「どうだ!心が読めたって私の動きについてこられないんじゃ意味ないぜ。」

 

 

魔理沙は挑発するようにさとりに言う。

 

それを聞いたさとりは少しカチンときた。

 

 

「だったら私も・・・マナによる身体強化プラス高速移動術『疾風』!!」

 

 

一瞬にしてさとりの姿が消えた。

 

魔理沙はさとりのいた場所から視線を変えようとするが―――

 

真横から視線を感じ魔理沙はバッと視線の感じる方へ振り返ると、並行するように飛んでいるさとりが目に入った。

 

 

「誰がついてこられないって言うんですか。」

 

「マジ・・・・クソッ!!」

 

 

魔理沙はさとりを振り切ろうと速度を上げた。

 

さとりも魔理沙を追いかけるために速度を上げた。

 

 

「逃しませんよ!!」

 

「ちっしつこいんだよ。・・・マジックミサイル!!」

 

「全部撃ち落とします。ガンズプラズマ火球!!」

 

 

小型のプラズマ火球が大量に放たれ、マジックミサイルを撃ち落としていく。それだけでなく魔理沙にもプラズマ火球を浴びせるさとり。

 

 

「うわっちち!!威力はねぇけど弾速が速い上に速射性も高いタイプか・・・プラズマ火球って使い勝手良すぎだろ、っていうかなんで玄武の技がつかえんだよ!?」

 

「私には玄武さんの血が流れているんですよ。これくらいできて当たり前です。」

 

「それだけで納得できるかぁーーーー!!!」

 

「隙が有りすぎですよ。」

 

「へ?」

 

 

自分のお腹に添えられているさとりの手が見えた。

 

次の瞬間魔理沙の体全体に衝撃が走った。

 

 

「なん・・・だ・・・こ・・れは・・」

 

「『武神流・武王衝破浸透掌』――衝撃を体全体に流し、内側から破壊する技なのですが今回は体の感覚を麻痺させることだけにとどめました。これでチェックです。」

 

「チク・・・ショ・・・・・ウ。」

 

 

そう言い残し魔理沙は気絶した。

 

 

「ふう、やはりもっと実戦形式の組手の時間を増やす必要がありますね。」

 

『勝者・古明地 さとり』

 

 

映姫が勝利宣言をし、交流試合はこれで幕を閉じた。

 

 

 

 




どうも作者のフジパンです。遂に出せましたさとりの新しい能力の使い方。
かなり前から考えていたネタなので出せたことに感激しております。


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誓い

花映塚まで書く事がなくなってきちゃいました。
思いつきで書いたのですが気軽に読んでください。


 

 

 

「はぁ~・・・」

 

 

地霊殿の自分の部屋で物思いにふけっているさとりがいた。

 

 

「・・・玄武さん」

 

 

デフォルメされたガメラのぬいぐるみを抱きしめながらベットに横たわるさとりがそう呟いた。

 

実を言うと、一月前から玄武が一人でこそこそと何かをやっているのを最近知り、それがなんなのか気になってしょうがなくなりさとりは玄武を訪ねた。

 

一度玄武の心を読もうとしたら、玄武の力によって阻害され心を読むことができなかったから今度は普通に問いただしてもはぐらかされてしまうのでますます気になっていく一方であった。

 

そして今に至る。

 

 

「そこまで私に内緒にしたいことってなんなの?」

 

 

コンコン

 

 

「はい。」

 

 

誰かがドアをノックしたのでさとりは体を起こし返事をする。

 

 

「さとり様お昼の用意ができましたよ。」

 

 

どうやらお燐が昼食ができたことを伝えに来たらしい。

 

さとりもそれにすぐさま答えた。

 

 

「わかりましたすぐに行きます。」

 

 

さとりは抱きしめていたぬいぐるみを枕元に起きベットから起き上がった。

 

 

「歯がゆいですが玄武さんが答えてくれるまで待つしかありませんね。」

 

 

そう呟いてさとりは部屋を後にした。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

―――――――

 

 

 

―――

 

 

 

さとりSIDE

 

 

 

私たちはリビングで玄武さんが作った昼食の焼きそばを食べています。

 

そしたら焼きそばを食べている最中に玄武さんが声をかけてきました。

 

 

「さとり、今日の午後は空いてるか?」

 

 

私は口の中に入っている焼きそばを食べ終わってから玄武さんに返答しました。

 

 

「仕事の方は昨日の内に終わらせたので、今日の予定は今のところないですね。」

 

「そうか・・・じゃあ2時半頃に部屋に来てほしいんだ。」

 

「2時半ですね、わかりました。」

 

 

私は返事を返したあと食事へと戻りました。

 

昼食を食べ終わり時間が来るまで部屋で本を読んで時間が来るのを待ち。そして2時半になる5分前に玄武さんの部屋の前に来ました。

 

私は3回ドアをノックし玄武さんに来たことを知らせました。

 

 

「はい。」

 

「さとりです。」

 

「入って構わないぞ。」

 

「失礼します。」

 

 

私はドアをくぐり玄武さんの部屋へと入りました。

 

部屋に入ると机に座り作業をしている玄武さんの姿が目に入った。

 

でももう終わったのか席を立ち上がり私の下に歩いてきて、私を部屋に備えてあるソファーに座らせた。

 

 

「それで話というのはなんですか。」

 

「じ、実はな///さとりを食事に誘おうと思ってな////」

 

「私を食事にですか?というよりもこいし達は誘わないのですか?」

 

「誘わなかったのは理由があるんだ。」

 

「?」

 

 

一応玄武さんの心を読もうとしたがやはり読むことができなかった。

 

どんな理由で皆を誘わずに私だけを誘おうとしているのでしょうか?

 

 

「なぁさとり。」

 

「なんですか玄武さん。」

 

「もう一年経つよな俺たちが付き合いだしてから。」

 

「そうなりますね。」

 

「だから・・・その・・・一周年記念として二人だけでお祝いしたいなぁって思ったんだ。」

 

 

そういえば玄武さんと付き合ってからもう一年にもなるんですね。

 

それを祝うための準備を一月前からしていてくれてたんだ。

 

だからあんなに必死に隠してしてたんだ。

 

 

「さとり・・・この一月構ってあげられなくてゴメンな。さとりを驚かせたかったんだ。」

 

「玄武さん////」

 

 

私は嬉しくって玄武さんに抱きついた。

 

玄武さんもそのまま私を抱きしめ返してくれた。

 

私たちは抱き合った後、抱き合うのをやめお互いを見つめ合った。

 

そして私はつま先立ちをしてから彼に顔を近づけキスをした。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

―――

 

 

その後私と玄武さんはこのあとの予定を話し合いました。

 

玄武さんとの会話が終わり部屋を出てから私は嬉しくなって鼻歌を歌いながら自分の部屋に向かっていた。

 

 

「ふふ、玄武さんとの食事、楽しみだなぁ。」

 

 

私は部屋に戻ると出かけるときに来ていく服を決めるためクローゼットへと向かい沢山の服を引っ張り出しベットの上に並べた。

 

 

「やっぱり今回は記念日ということなので―――」

 

 

私はある服を手に取った。

 

この服は以前外の世界で買い物している時に見つけたもので可愛いデザインだったので思い切って買ったものなんですよね。

 

 

「これ着た私を見て玄武さんはなんていうのかな、ふふ楽しみ♪」

 

 

 

さとりSIDE OUT

 

 

 

―――――――――

 

 

 

――――――

 

 

 

―――

 

 

 

 

玄武SIDE

 

 

 

俺は玄関先でさとりが来るのを待っていた。

 

外食ということなので今回の服装はグレーのチェック柄ジャケット、ピンクのワイシャツ、濃紺ジーンズ、革靴のシンプルなコーディネとにまとめた。

 

俺は少し落ち着きがないようにそわそわしていた。

 

それには理由があった。

 

今回は外食に行くだけが目的ではない、さとりには言ってはいないが実を言うともう一つ目的がある。

 

それを果たすためにさとりを外食に誘ったのだ、もちろん1周年の記念も兼ねてだが。

 

だから俺はさとりが来るのを今か今かと待ち望んでいた。

 

そこに―――

 

 

「お待たせしました。」

 

 

さとりが来た。

 

俺はさとりの姿が見えるように振り向くとさとりから目が離せなくなった。

 

 

「玄武さん?」

 

「・・・(ボソッ)すごくいい・・・」

 

「?」

 

 

さとりの服装は実に可愛らしかった。

 

黒の肩出しのプリーツドレスに白のボレロを羽織り、パンプスを履いていた。頭にはいつものカチューシャではなくピンクのバラの髪飾りをカチューシャのハートのあった場所に付けていた。(もちろんサードアイは外していた。)

 

これが見惚れないわけがない!可愛すぎる!

 

俺はさとりから目が離せなくなっておりボォーっとしていた。

 

 

「早く行きましょう。」

 

 

さとりは俺に近づいてきて腕を絡ませてきた。

 

その時ムニュンとさとりの胸の感触が俺の腕に伝わってきた。

 

この瞬間俺の意識は覚醒した。

 

 

これはやばい!!!

 

 

俺はテンパりながらもさとりに返答した。

 

 

「そ、そうだな。」

 

 

さとりの身体の柔らかさと鼻孔をくすぐるような良い匂いそして腕に感じる胸のムニュンとした感触に負けそうになりつつもなんとか自我を保ちさとりと出かけ始めた。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

――――――

 

 

 

―――

 

 

 

外界に来た俺たちは周りからの視線を感じつつ予約していた店へと入った。

 

席に座った俺たちは飲み物と予約していたコース料理をウエイターに頼み、飲み物が来るまでさとりと話をしていた。

 

頼んだ飲み物が来た俺とさとりはグラスを持ち、乾杯した。

 

 

「それじゃあ俺とさとりの1周年を祝って―――」

 

「「乾杯」」

 

 

俺とさとりは運び込まれてくるコース料理を堪能しながらこの一月であった事を互いに話した。

 

さとりは紫や幽々子と外の世界で買い物に行ったことや風見 幽香という妖怪と出会い花の話で盛り上がったことを話し、俺は妖怪の山に住んでいる河童の河城にとりというエンジニアに会い、互の技術を見せ合ったりして友好を深めたことを話した。

 

互の話が終わったあとも楽しい会話を交ぜつつ料理や飲み物を堪能していった。

 

1時間ほど経った時に俺は手洗いに行くといい、席を立ち上がった。

 

手洗い場の前まできた俺は今日のために用意したものを確認し、気合を入れたあとそれを握りしめて自分の席へと戻った。

 

俺は席に着くとさとりに話しかけた。

 

 

「さとり、大事な話があるんだ。」

 

「大事な話ですか?」

 

「ああ。」

 

 

俺は緊張しながらもさとりを見つめ、すかさずズボンの右ポケットに入れていたモノを取り出しさとりに見せた。

 

それを手に持ちながら俺はさとりに伝えた。

 

 

「古明地 さとりさん、よろしければ俺と・・・結婚してください。」

 

 

そう言いながら俺は手に持ったものを開き中身をさとりに見せた。

 

銀色に輝く指輪を―――

 

 

 

玄武SIDE OUT

 

 

 

さとりSIDE

 

 

 

玄武さんの言ったことに私は言葉を失った。

 

だってこれまでにないくらい嬉しい気持ちでいっぱいになったのだから。

 

そしたら私の目からポロポロと涙が出てきた。

 

嬉しい気持ちでも涙って出るもんなんですね。

 

私が涙を流したことに玄武さんはびっくりして慌て始めました。

 

 

「ど、どうした!?やっぱ結婚は嫌なのか!?」

 

「いえ嬉しくて泣いているんです。」

 

「嬉しくて?」

 

「だって一番聞きたかった言葉が聞けたんですもの。」

 

 

私はバックから取り出したハンカチで涙を拭き玄武さんに返答しました。

 

 

「亀山 玄武さん、こんな私ですけれどもよろしくお願いいたします。」

 

 

私がそう言ったあと玄武さんは私の左手をとり薬指にその指輪をはめてくれた。

 

 

その瞬間周りの人たちが拍手し始めました。

 

私たちはその行動に驚いていた。

 

 

「ねぇ聞いた生のプロポーズよ!」

 

「私もあんな風に言われたぁーい!」

 

「兄ちゃん、あんた男だぜ!」

 

「幸せにしてやんなよ。」

 

 

私と玄武さんは周りの人達から祝福の言葉をもらい恥ずかしかったですがとても嬉しかった。

 

ちなみにその後お店のスタッフ総出で私たちの結婚祝いのパーティーをしてくれた。

 

そのおかげで楽しいひと時を過ごすことができた。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

――――――

 

 

 

―――

 

 

 

 

お店を出たあとは二人で腕を組んで歩いていました。

 

私はというと嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ちを表すかのように玄武さんに寄りかかっていました。

 

 

「玄武さん、帰ったらこいし達に報告しないといけませんね。」

 

「ああそうだな。」

 

「玄武さん。」

 

「なんだ。」

 

「幸せにしてくださいね。」

 

「もちろんだ。」

 

 

月明かりがまるで私たちを祝福してくれてるかのように照らしてくれた。

 

私は玄武さんの顔をチラッと見て心の中で呟いた。

 

 

―玄武さん、あなたを愛してよかった―

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか。少々ぐぶぐぶな感じになってしまったかのではないかと思ってしまう自分がおります。感想などがあればをお待ちしております。


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結婚式

ついにさとりがゴールイン。
そして最後の一人も登場。


 

 

玄武がさとりにプロポーズしてから2週間が経ち、現在地底にはかなりの妖怪や人間が溢れかえっていた。

 

それもそのはず、今日は2人の結婚式なのだ。

 

その為、地底は一段と活気に溢れていた。

 

そこに霊夢たち地上に住む人間や妖怪が地底を訪れていた。

 

訪れた理由はもちろん彼女たちも玄武とさとりの結婚式に招待されたためだからだ。

 

(ちなみに今いるメンバーは霊夢、魔理沙、アリス、紅魔館組、橙を含めた八雲一家、冥界組・・・そのほかはあとから来るとのことだ)

 

 

「スッゲーな!妖怪で溢れかえってるぜ。」

 

「ホントここまでの規模のものとは思わなかったわ。」

 

「それだけ彼らのことを祝いたいのよ。」

 

 

霊夢たちは妖怪の人ごみをかき分けながら地霊殿へと足を運んだ。

 

霊夢たちが地霊殿に到着するとお燐が出迎えにやってきた。

 

 

「待ってたよお姉さん方、ささっこちらへどうぞ。」

 

 

お燐は霊夢たちを伴い、さとりのいる控え室へと案内し始めた。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

――――――

 

 

 

―――

 

 

 

「ここがさとり様の控え室だよ。それじゃあ後でまた来ますのでそれでは。」

 

 

お燐は式場の準備をするために離れていった。

 

 

「フランーーー!!!」

 

「あっ!こいしだ!!!」

 

「いらっしゃい。お姉ちゃんの控え室にどうしたの?」

 

「彼女に挨拶しに来たのよ。」

 

「そっかじゃあ入ろうか。」

 

 

そう言ってこいしはドアに近づきノックした。

 

 

「はい。どちら様で?」

 

「お姉ちゃん、こいしだよ。他の人たちを連れてきたよ。」

 

「そうですか、開いているのでどうぞ。」

 

「それじゃあ失礼しまーす。」

 

 

こいしたちは中に入ると薄いピンク色のウェディングドレス姿を着たさとりがいの一番に目に映った。

 

 

「うわぁーーー!!お姉ちゃんすっごく綺麗だよ!?」

 

「ホント!!!さとりお姉ちゃん綺麗!!!」

 

「ありがとうこいし、フランちゃん。」

 

「これは写真に収めておかねば!?」

 

 

射命丸はさとりのドレス姿を一心不乱に取り続けていた。

 

 

「はるばる地上から今日の結婚式のためにお越しいただき感謝します。」

 

「あら、私たちの仲よ構いはしませんわ。」

 

「そうよー今日は大切な日なのだから来て当たり前じゃない。」

 

「そう言っていただけるなんて嬉しいです。」

 

「ふふ、ほら妖夢も何か言うことがあるでしょ・・・妖夢?」

 

 

幽々子が喋りかけても妖夢は反応しなかった。

 

その為幽々子はもう一度声をかけた。もちろん妖夢の体を揺することを忘れずに。

 

 

「妖夢。」

 

「えっ!?あっ!?すみませんさとりさんがあまりにも綺麗だったのでつい見とれていました。」

 

 

妖夢は顔を赤く染めうつむきながらそう言った。

 

 

「確かに今のさとりは同性の私から見てもほんとに綺麗なんですものね。見とれるのは当然ですわ。」

 

「ゆ、紫さん何言ってるんですか/////」

 

「事実を言っただけじゃない、そう思うでしょ幽々子。」

 

「ほんとよねぇ。羨ましいくらい綺麗なのよねぇ。」

 

「ゆ、幽々子さんまで/////」

 

 

紫と幽々子にそう言われ顔を赤くするさとり。

 

それから時間が来るまで控え室から楽しい話し声が聞こえていた。

 

一方玄武の控え室はというと―――

 

 

「旦那、落ち着きなって。」

 

「そうですよ師父。」

 

「だがなどうも落ち着かなくてな。」

 

 

白いタキシード姿の玄武は控え室の中を右へ左と行ったり来たりと繰り返していた。

 

 

「いつもの先生ならともかく今日は大切な日だから落ち着かねえのは仕方ねぇと俺は思うぜ。」

 

 

部屋に突然入ってきた水色の髪の男がそう言った。

 

 

「「竜也!?」」

 

「竜也か。」

 

「水紋 竜也(みなも りゅうや)、只今参上しました。お久しぶりです・・・先生。」

 

「ああ久しぶりだな。ちゃんと招待状が届いてよかったよ。」

 

「へへっ!それにしても先生は昔と随分変わりましたね。」

 

「そうか?でもよくわかったな。」

 

「俺はあなたの義息子ですから。」

 

 

竜也はニカッと笑い、飛鳥とフーに顔を向けた。

 

 

「お前らも元気そうじゃねぇか。」

 

「てめぇもな。」「お主もな。」

 

「まぁ積もる話もいっぱいあるが、また後でな。」

 

 

竜也は式場に行こうと扉に向かおうとしていた途中で何かを思い出し、喋り始めた。

 

 

「そうそう、今度外の世界で会った連中を紹介したいんだけどいいか?」

 

「ほぉどのようなものたちなのだ。」

 

「まぁ俺らの後輩みたいなやつらだよ。」

 

 

竜也が喋り終わった直後にノックの音が部屋に響いた。

 

 

 

コンコン

 

 

「はい。」

 

 

玄武はノックした相手に返答した。

 

 

「玄お兄ちゃん、そろそろ時間だよ。」

 

「おっ!もうそんな時間だったか。それじゃあ行くとしよう。」

 

 

玄武はドアへと歩いてゆきドアを開けた。

 

 

「それでは師父我々は式場に向かいますので後ほど。」

 

「先生、頑張ってくださいよ。」

 

「それでは。」

 

「玄お兄ちゃん後でね。」

 

 

飛鳥、フー、竜也、こいしは式場の方へと向かっていった。

 

玄武もさとりの控え室へと向かった。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

―――――――

 

 

 

―――

 

 

自分たちの入場まで残り5分を切っていた。

 

玄武とさとりは式場の扉の前までやってきた。

 

さとりは玄武の腕に自分の腕を絡ませた。

 

 

「いよいよですね。」

 

「ああ。」

 

 

そして司会進行をしてくれているお燐の声が聞こえてきた。

 

 

『それでは新郎新婦のご入場です。』

 

「行こう。」

 

「はい。」

 

 

扉が開き二人は祭壇まで続くバージンロードを歩いていく。

 

祭壇に立っている映姫の所に着くと映姫が語りだした。

 

 

「誓いの言葉・・・亀山 玄武さん、あなたは健やかなるときも、病めるときも、富めるときも、貧しきときも、死が二人を分かつときまで命の日の続く限り古明地 さとりさんを愛していくことを誓いますか?」

 

「誓います。」

 

「古明地さとりさん、あなたは健やかなるときも、病めるときも、富めるときも、貧しきときも、死が二人を分かつときまで命の日の続く限り亀山 玄武さんを愛していくことを誓いますか?」

 

「誓います。」

 

「それでは指輪の交換を。」

 

映姫に言われ、俺はさとりの左手に、さとりは俺の左手にそれぞれ指輪をはめた。

 

「では誓いのキスを。」

 

 

俺は正面に向いていた体をさとりに向け顔を隠しているヴェールを上にあげ、さとりの顔を見えるようにした。

 

そして俺達は見つめ合い、それぞれ言葉を交わした。

 

 

「さとり愛してる。」

 

「私もです。」

 

 

言葉を交わし終わったあと俺達は誓いの口ずけをした。

 

その瞬間盛大な拍手が響き渡った。

 

そんな拍手の中を玄武とさとりは幸せそうに扉に向かって退場していった。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

―――――――

 

 

 

―――

 

 

 

さとりSIDE

 

 

 

「それじゃあいきますよ。」

 

 

私は皆に背を向けある物を投げようとしていた。

 

それは式の時から持っていたブーケです。

 

まあ投げようとしているのですが、後ろからものすごい覇気を感じます。

 

しかもその覇気を放っている2人は私の知り合いであることがわかります。

 

やっぱり私が結婚したことが羨ましかったんですね。

 

 

「ふふこればかりは譲れないわ・・・紫。」

 

「それは私も同じよ。」

 

 

後ろを向いていてもわかります。二人がにらみ合っている光景が目に浮かびます。

 

 

「お姉ちゃーん早く投げてよー。」

 

 

そ、そうですね。では―――

 

 

「それっ!?」

 

 

私は思いっきり後ろに向かってブーケを投げた。

 

その瞬間その場は修羅場とかした。

 

 

「「貰ったぁーーー!!!」」

 

「紫様落ち着いてください!!!」

 

「幽々子様も!!!」

 

 

紫さん、幽々子さん!?人格変わりすぎですって!?

 

藍さん、妖夢さん二人を止めてください。

 

 

「お姉ちゃんの次は私だぁーーー!!!」

 

「なんかよくわかんないけど私もーー!!!」

 

「くっ!フランに先を越されてなるものかぁー!!!」

 

「お嬢様そんなに暴れないでください!!!」

 

 

こいし、その前に飛鳥さんに告白して付き合ってからでしょ。

 

フランちゃん・・・こいしの真似をしなくていいんですよ。

 

レミリアさんあなたは妖怪としてまだ若いんですからまだ必要ないんじゃないんですか?

 

咲夜さんも鼻血垂らして見てないでレミリアさんを止めてください。言ってることとやってることが全然違いますよ。

 

 

「妹紅・・・あんただけには負けたくないわ!!!」

 

「それはこっちのセリフだ、輝夜!!!」

 

 

輝夜さん、妹紅さんここで喧嘩するのやめてくださいね。

 

 

「今回の記事はこれで決まりですね。『亀山 玄武・古明地 さとりの結婚式で修羅場勃発!?・・・ブーケをめぐる大乱闘』・・・売れますねぬふふふ』」

 

 

もし発行したら原稿ごと燃やしてあげますね文さん・・・

 

はぁー全くみなさんったら私たちの結婚式だって云うのに好き勝手に暴れてくれますね・・・もう少し節度をわきまえて欲しいですね。

 

といっても時間が押しているので早く誰かとってくれないかな。

 

 

「獲ったーーー!!!」

 

 

あら、こいしが獲得しましたか、これは意外でしたね。能力を駆使して紫さんが取っているものだと思いましたが予想が外れましたね。

 

 

 

さとりSIDE OUT

 

 

 

結婚式とそのあとの披露宴まで無事に終わり、部屋でゆっくりしている玄武とさとり。

 

 

「今日はたくさん笑った気がするよ。」

 

「そうですね。ハチャメチャな結婚式にはなってしまいましたが、あれはあれで幻想郷ならではの結婚式だったように思えます。」

 

「言えてるな。」

 

 

二人は今日の結婚式のことを思い出して笑い合っていた。

 

しかし突如さとりは寄り添うように玄武に身体を委ねた。

 

 

「どうした?」

 

「私、今すごく幸せです。」

 

 

玄歩はさとりの話を静かに聞くことにした。

 

 

「玄武さんがいて、こいしがいて、お燐がいて、お空がいてくれる。これ以上ないくらいの幸せが私には出来ました。」

 

「・・・」

 

「でも同時に怖いんです。幸せすぎて・・・」

 

「・・・」

 

「私の望んでいたものが全てここにある。でもそれが簡単に壊れてしまうんじゃないかって・・・」

 

「さとり・・・」

 

 

玄歩はさとりをギュッと抱きしめた。

 

 

「玄武・・・さん?」

 

 

さとりは玄武のいきなりの行動に驚いた。

 

 

「そうならないように俺がずっと傍で支えていくから。」

 

「っ!?」

 

「だから安心しろ。」

 

 

玄武は優しげな表情を浮かべてつぶやいた。

 

玄武からその言葉を聞き、さとりは思わず涙を流した。

 

嬉しくてしょうがなく泣きながらさとりは玄武の胸に飛び込んだ。

 

 

「はい・・・・もう離さないで下さいね。」

 

 

そしてさとりは涙を拭き、最高の笑顔を玄武に見せながらこうつぶやいた。

 

 

「愛いてます。私の旦那様。」

 

 

 

おまけ

 

 

こいし、飛鳥、フー、竜也が式場へと歩いている途中であることに気づくこいしと竜也。

 

 

「そういえば―――」「そういや―――」

 

「「あなた誰?(お前誰だ?」」

 

「「今頃気づいたのかよ!?」」

 

 

というやり取りがあったらしい。




なんか重要なことを言う竜也。
その言葉の真意とはいったい!?


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新たな守護神たち

新たなオリキャラたちが登場!?


 

 

玄武とさとりの結婚式から1週間後、地霊殿の一室で何やら話し合いが始まろうとしていた。

 

テーブルを挟んで片方のソファーに座っている四人は堂々としており、その反対側のソファーに座ってる四人のうち三人は緊張でガチガチになっており残りの一人は眠そうな表情をして座っていた。

 

 

「君らが竜也の言っていた後輩たちであっているかな?俺は亀山 玄武だよろしく。」

 

 

玄武がテーブルを挟んだ反対側に座っている四人に話しかけたあと、自己紹介をした。

 

玄武が自己紹介に続き飛鳥とフーも自己紹介をした。

 

 

「俺は鳳 飛鳥。」

 

「私はフォン・ワンフーと申す。気軽にフーと呼んでくれ。」

 

「「「は、はい!?よろしくお願いします。」」」「・・・お願いします。」

 

 

ガチガチに緊張しながらもなんとか返事をする三人と少し間が空いたが普通に挨拶をする者が一人いた。挨拶。

 

玄武たちの自己紹介が終わったあと、さとりが部屋へ入ってきた。

 

 

「失礼します。紅茶と茶菓子を持ってきたので、よかったらみなさんでどうぞ。」

 

 

お盆に載せた紅茶と茶菓子をテーブルに並べていくさとり。

 

 

「ありがとうございます(すっごい綺麗な人。)」「「あ、ありがとうございます。」」「・・・どうも。」

 

 

さとりの容姿に見とれている子が一人いた。

 

紅茶と茶菓子を並べ終えたさとりは部屋から退出していった。

 

出された紅茶を一口飲んだあとオレンジ色の頭髪をした女の子が玄武達に話しかけた。

 

 

「竜也先輩から話は伺っていました。他の先輩方に会えたことを光栄に思います。」

 

「俺達も竜也から後輩がいると聞いた時はどんな子達会ってみたいと思っていたからな。」

 

「嬉しいですそのようなことを言っていただけるなんて。」

 

 

玄武にそう言われ少々顔を赤める少女。

 

 

「それじゃあ右から順に自己紹介をしてくれ。」

 

「「「はい!」」」「うす。」

 

 

オレンジ色の長髪をした女の子が立ち上がり自己紹介を始めた。

 

 

「申し遅れました。蝶野 あかリといいます。もう一つの名前はモスラといい海の守護神をしています。新米ですがよろしくお願いします。」

 

「うん?君はあのモスラ一族の末裔なのかい?」

 

 

玄武は何か知っている雰囲気をだった。

 

 

「私の一族をご存知なのですか?」

 

「ああ知ってるとも。」

 

「旦那、モスラ一族ってのはなんですかい?」

 

「俺が生まれる前から存在していたという種族だ。」

 

「師父よりも前からという事はかなり古い一族のようですね。」

 

 

あかりは玄武に自分の一族とどのようにして出会ったのかを聞いてみた。

 

 

「あの私の一族とどのようにしてであったのですか。」

 

「ああ・・・昔ギャオスを退治し終わったあとに帰ろうとしていたら敵に間違えられて攻撃されたことがあったんだ。」

 

「へ?」

 

「まぁなんとか誤解を解くことができたし、その後で友好条約を結んだのを今でも覚えている。」

 

「わ、私のご先祖様がそんなことをしてたなんて知りませんでした。」

 

 

自分の一族と接点を持っていた玄武に驚くあかり。

 

 

「ちなみにどれくらい前の話なんですか?」

 

「確か1億3千万年前だったかな。いやほんと懐かしい。」

 

「そんな昔に起こった出来事なんですか!?」

 

「だが一族の殆どが消えていったと噂を耳にしてはいたがまだその生き残りがいてくれたことが嬉しいな。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

 

あかりは自分の紹介が終わるとソファーに座った。

 

 

「ほ、ほら次は大介の番だよ。」

 

「お、俺!?」

 

 

驚きながら自分を指さしている赤茶髪の青年は少しうろたえたあと、深呼吸して落ち着いてから話し始めた。

 

 

「地場 大介、もうひとつの名前はバラゴンといい大地の守護神をしております!?」

 

「俺の後輩になるのか。よろしく。」

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

 

ガチガチに緊張しながらもなんとか自己紹介をする大介。

 

そんな大介に玄武は微笑みながらこう言った。

 

 

「これから大変だとは思うがともに頑張っていこう。」

 

「っ!?はい、ありがとうございます!!!」

 

 

大介は嬉しそうに笑いながら玄武にお礼を言った。

 

 

「次は俺か。」

 

 

大介の隣に座っていた金髪赤目の青年がそう言葉を発したあと、自己紹介始めた。

 

 

「竜也先輩以外は初めまして、小金井 雷牙(こがねい らいが)、天空の守護神をしております。以後よろしくお願いします。」

 

「コイツは俺と同じで龍なんですよ。」

 

「ほぅ竜也と同じとは珍しいものだ。」

 

「だから竜也のやつあんなに嬉しそうだったんだな。」

 

「い、いいじゃねぇか、嬉しかったんだからしかたねぇだろ!」

 

 

照れを隠すように赤くなった顔を横にそらす竜也。

 

竜也のそんな仕草に笑い始める玄武と飛鳥とフー。

 

 

「飛鳥やフーはともかく先生まで笑わなくても・・・」

 

「すまんすまん・・・ところ雷牙、君のもうひとつの名はなんというのだ?」

 

「えっとギドラと言います。」

 

「天空の守護神ギドラか。」

 

「俺はまだまだ未熟者ですけど、先輩たちに負けないくらい強くなってみせます。」

 

「そうか、頑張れよ。」

 

「はい。」

 

「最後は・・・」

 

 

玄武が雷牙の隣に視線を移すと眠そうな表情を浮かべている青年がいた。

 

しかも彼は先程から一言も喋ってはおらず、先程からずっと同じ体勢だった。

 

それを見かねたあかりが、青年に声をかけた。

 

 

「仁くん、自己紹介して。」

 

「ん・・・黒神 仁・・・一応守護神兼破壊神・・・よろしくお願いします。」

 

「・・・え・・・それだけ?」

 

「・・・」

 

「ほ、ほかに何かないのかな?」

 

「・・・」

 

 

仁は名前を名乗ったあと、それ以上しゃべろうとはしなかった。

 

玄武もどうしていいかわからなかったその瞬間あかりが立ち上がって仁のところまで歩き始めた

 

 

「ちょっと仁君!?」

 

「・・・なんだ」

 

「なんだじゃないわよ、名前だけ言ってハイ終わりはないでしょほかにいうこととかあるですしょ!!!」

 

「・・・俺が他人と話すのが苦手なのはわかってるだろ。」

 

「それはそうだけど・・・」

 

「・・・それに俺は竜也さん意外がどんな人なのかわからないからどう接していいのかわからない・・・」

 

「仁君・・・」「「仁・・・」」

 

 

あかり、大介、雷牙は悲しそうな表情で仁を見ていた。

 

 

「今はわからなくていい。」

 

「・・・え」

 

「俺たち三人と君はまだ会ったばかりなんだからそれは知らないのは当然だ。」

 

「・・・」

 

「だから時間が掛かってもいいから俺たちことを知って慣れてほしい。」

 

「・・・なんとか頑張ってみます。」

 

 

玄武が言ったことになんとかうなづく仁。

 

 

「うん・・・さてこれで自己紹介も終わったことだし何か質問がある人はいないか。」

 

「あっ!はい、私質問があります。」

 

 

素早く手を上げるあかリ。(何故か立ち上がって。)

 

 

「さっき紅茶と茶菓子を運んできた女性は誰か教えてください!」

 

 

キラキラした目をして質問してくるあかりに玄武と竜也が答えた。

 

 

「さっきの女性は俺の奥さんだよ。」

 

「えーっ!?先輩の奥さんなんですか!?」

 

「しかも1週間前に結婚した新婚ほやほやのね。」

 

「素敵です。」

 

「どうしてさとりのことを聞いてきたんだ?」

 

「同じ女性の私から見てもスタイルが良くてすごく綺麗な人だなぁって思ったんです。それに比べて私は至って普通レベルなんでああいう人って憧れちゃうんですよね。」

 

「「(お前が普通だったら世界中の人はどれだけレベルが高いんだよ!!!)」」「(・・・むしろ標準以上だと俺は思うのだが・・・)」

 

 

新世代の守護神たちはあかりの言ったことに対してそんなことを心の中で思っていた。

 

 

「心配いらないまた会うことになるから。」

 

「ホントですか!?」

 

「ああ。」

 

「やった!」

 

 

ガッツポーズを取るあかりに苦笑する玄武。

 

あかりは自分がしている行動に気づき恥ずかしくなり、顔を赤めながらソファーに座った。

 

 

「ほかに質問は?」

 

「・・・俺からいいですか。」

 

 

仁が手を挙げたことに驚くあかり、大介、雷牙。

 

どんな質問をするのか気になって聞き耳を立てた。

 

 

「・・・そもそも俺らって住むところあるんですか?」

 

「「「あ・・・そういえば・・・」」」

 

 

とてつもなく重うような質問をする仁。

 

 

「それなら心配に及びませんよ。」

 

 

声のした方に顔を向けるとさとりが立っていた。

 

そしてさとりは話に加わってきた。

 

 

「あ、姐さんいつの間に!!」

 

「自己紹介しているあいだに俺が連絡を入れてもう一度来てもらったんだ。」

 

「どうやって連絡入れてたんすか・・・」

 

「俺には交信って手段があるだろ。」

 

「なるほどそういうことっすか。」

 

「あの・・・話を戻してもいいですか?」

 

「スンマセン姐さん。」

 

「さきほど言った通り、彼女たちは住むところが見つかるまで地霊殿で面倒を見ることに玄武さんと決めたんです。」

 

「あの、ホントにいいんですか?」

 

「もちろん構いませんよ。」

 

「「「ありがとうございます。」」」「・・・ありがとうございます。」

 

 

玄武とさとりにお礼を言う四人。

 

 

「住むところに関しての質問も終わったから他に質問のあるのはいるか?」

 

「はい!」

 

 

またしてもあかりが手を挙げた。

 

まぁ手を上げるのは当然の行為だ。なんせさとりがこの部屋に来ているのだから。

 

 

「あの、さとりさんに質問があります。」

 

「はい、なんでしょうか。」

 

「どうやったらそんなにキレイに成れるんですか!?」

 

「んーここで答えるのもなんですから後で私の部屋に来てくれれば教えてあげますよ。」

 

「わかりました、あとでお伺いします!?」

 

「ふふ、ほかに質問のある子はいる?」

 

 

さとりが質問がないかきいてみる。

 

 

「誰も手を挙げていないということは、もう質問することはないってことですね。」

 

「というわけで今回の会合はこれまでということで、お疲れ様でした。」

 

「「「「「「「お疲れ様でした。」」」」」」」

 

 

玄武が時計を確認すると12時を少し過ぎていた。

 

 

「もう昼か。昼ごはんはどうなっているさとり?」

 

「心配いりませんよ玄武さんリビングの方にお昼をちゃんと用意しているので。もちろん皆さんの分も。」

 

「そうかなら行こうか。」

 

「はい、皆さんリビングに案内するので付いてきてください。」

 

 

玄武とさとりは全員を連れて部屋をでてリビングへと向かっていった。

 

後に勇儀は語っていた、その日の地霊殿はとても賑やかであったと。




どうも作者のフジパンです、投稿が遅れて申し訳ありません。話の内容を考えていたらこんなにかかってしまいました。見てくださっている読者の方々に申し訳がありません。ですが諦めずに最後まで投稿を続けていきたいと思いますので今年もよろしくお願いします。
ついでにオリキャラ一人水紋 竜也の情報も載せておきます。



オリキャラ紹介



名前:水紋 竜也(みなも りゅうや)


性別:男


年齢:1億歳


種族:水龍 古代神


能力:『水を司る程度の能力』『嵐を起こす程度の能力』


出身地:パシフィス大陸


二つ名:水統べる龍王 


容姿:笹川 了平(家庭教師ヒットマン REBORN!) *ただし髪の色が水色です。



オリキャラの一人。

飛鳥、フー同様に古代神の一柱で玄武に育てられた者の一人。

非常に熱血漢で、ぶっきらぼうであるが優しい性格をしている。幼少の時はいつも飛鳥と喧嘩をしていたが今では大がつくほどの親友同士。

ボクシングの達人であると同時に術者でもあるため近、中、遠距離を得意とするオールラウンダー。

鍛錬は毎日するほどの鍛錬バカ。

玄武の結婚式に呼ばれそのまま幻想入りをし、現在は博麗神社に居候中。





水龍形態




水龍としての名前:アマツ


容姿:アマツマガツチ


身長:80m、全長110m


速度:マッハ4.5





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依頼と修行

映姫様、再登場!そしてこいし魔改造。


 

 

 

 

「さとり、この書類にハンコを押してくれ。」

 

「はい。(ポン)押しましたよ。」

 

「ありがとう。」

 

 

春、4月の始めだというのに地霊殿の執務室で仕事をしている玄武とさとり。

 

実を言うと去年の12月から行事続きで書類が溜まってしまっていたのでそれを片付けていた。

 

それも朝の5時から作業を始めて、現在は10時頃・・・5時間もずっと書類整理していたのだ。

 

 

「フーッやっと終わった。」

 

 

玄武は執務室に置いてあるソファーに座り込んだ。

 

 

「ええ、かなりの量でしたからね。」

 

「でも今日の分まで終わらせることができたからな。」

 

 

背伸びをしながら答える玄武。

 

 

「そうですね午後はゆっくりできますね。」

 

 

さとりは椅子から立ち上がり、玄武の座っているソファーに座った。もちろん玄武の隣にだが。

 

 

「今日はどうしましょうか。」

 

 

玄武の肩に頭を乗せながら聞くさとり。

 

 

「だったらみんなでお花見にでも行くか?幽々子から聞いたんだが白玉楼の桜の木が満開なんだそうだ。」

 

「いいですね。去年の12月から行事と仕事続きでしたからね。」

 

「あの書類の数には驚いたな。押しつぶされるんじゃないかと思った。」

 

 

あかりたちとの会合のあと、玄武とさとりは書類が溜まっていることに気づき仕事をし始めたのは良かったが書類が次々と来るため休みを取る暇がなかった。

 

 

「他にもいろいろな行事があったが俺はあのことが一番驚いたな。」

 

「あのこととは?」

 

「あかりたちを正式に引き取るってさとりが言い出したことだよ。」

 

「そのことですか、あの時はすみません自分だけで決めてしまって・・・」

 

「いやいいさ俺も考えていたことだから。」

 

 

そうさとりは2月の中旬ぐらいに全員が夕食を食べている時にこのことを言ったのだ。

 

それを聞いて全員びっくりしていたが。

 

 

「理由はわかってるよ、仁のことだろ。」

 

「はい、私が初めて会った時から仁はとても不安定な状態だったので心配で仕方なかったんです。それに・・・」

 

「あいつに取り付いている亡霊だろ。」

 

「はい、取り付いている亡霊が一人二人だったら良かったのですが何千何万と言った数の亡霊が取り付いていたので手のだしようがありませんでした。しかもその中には怨霊も混じっていましたし。」

 

「あれを見たとき俺もびっくりした。おそらく仁も自覚しているのだろうな、だから自分のことを破壊神といったのだろう。」

 

「それであの子を何とかしたいと思ったので引き取ることを決心したんです。もちろん彼が安心できるようにあかりちゃんたちも含めて。」

 

「だが問題は仁に取り付いている亡霊たちをどうにかしないといけないことだ。」

 

「ですから私は幽々子さんに相談に乗ってもらっていたんです。そして対処の方法を教えてもらっていたんですがその方法というのが・・・」

 

「俺も幽々子からその話は聞いたよ。その方法が俺の力で少しづつ亡霊を浄化させていくこと・・・だろ。」

 

「はい、今のところ対処法はそれだけらしいです。下手に全部を浄化させてしまうと仁の魂まで傷つけることになってしまうそうです。それに浄化は飛鳥さん、フーさん、竜也さんでもできるそうです。」

 

「このことを飛鳥、フー、竜也にも伝えておくか。」

 

「私も玄武さんの力があるのでお手伝いしますね。」

 

「頼むよ。」

 

 

コンコン

 

 

誰かが執務室の部屋をノックした。

 

 

「はい。」

 

「さとりさん、あかりです。」

 

「あかりちゃんでしたか。どうぞ。」

 

「失礼します。」

 

 

なぜかメイド服を着たあかりが入ってきた。

 

 

「あのあかりちゃん・・・その服はどうしたのかな。」

 

「これですか。地上に行った時に咲夜さんって人と会ってですね紅魔館に遊びに行った時にもらった時にもらったんです。」

 

「そ、そうですか。」(咲夜さん、あかりちゃんに何渡してるんですか!?)

 

「でもこのメイド服少し胸がきついんですよね。」

 

「(あかりちゃんその言葉を咲夜さんの前で言わないであげてくださいね。)それで何か用があるんですか。」

 

「あっそうそうお客様がきたのでそれを伝えに来ました。」

 

「その人はどこに?」

 

「応接室にお連れしましたけど。」

 

「わかりました、私たちはこのまま向かいます。伝えてくれてありがとうあかりちゃん。」

 

「いいえ、それでは失礼いします。」

 

 

あかりは玄武とさとりに頭を下げ、部屋を退室した。

 

玄武とさとりもあかりが退室したすぐ後にソファーから立ち上がり部屋退出して応接室へと向かった。

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

―――――

 

 

 

―――

 

 

 

「お久しぶりですね。玄武さんにさとりさん。」

 

「映姫さんもお久しぶりです。」

 

「珍しいな映姫が地霊殿を訪ねてくるなんて。」

 

「実は頼みたいことがあってきたのです。」

 

「「頼みたいこと?」」

 

「はい。60年前に博麗大結界が緩むという異変が起きたのは知っていますか?」

 

「いいえ、初めて聞きますね。」

 

「俺も。」

 

 

玄武とさとりは映姫の質問に首を横に振った。

 

 

「その時は外界の霊たちが一斉に幻想郷に流れ込んでえらい目にあいました。」

 

 

映姫はその時のことを思い出し顔を青くしていた。

 

 

「私がその霊たちを裁き終わるのに1週間かかりました。」

 

「相当の霊が押し寄せてきていたんですね。」

 

「ええ、あれはホントに異常でしたね。」

 

「映姫・・・まさかとはおもうが・・・」

 

 

玄武は映姫が何を言いたいのか理解した。

 

 

「ええ、その異変がまた起ころうとしているのです。」

 

「マジ?」

 

「マジです。」

 

「俺たちにその霊たちをどうにかしてほしいってことじゃないだろうな。」

 

「その通りです。あなたたちに外界の方で霊たちを抑えて欲しいのです。もちろん応援を読んでも構いません。」

 

「幻想郷の方はどうするのですか」

 

「それは博麗の巫女に動いてもらいます。たまには彼女一人だけで異変を解決させてみるのもいいでしょうから。」

 

「それもそうだな。」

 

 

玄武も納得するようにうなづく。

 

そのあと玄武たちはその作戦の内容について話し合っていた。

 

 

「では一月後よろしくお願いしますね。」

 

「「はい(ああ)。」」

 

「そろそろ戻らないといけませんのでこれで失礼します。」

 

 

そう言って映姫は応接室から退出していった。

 

 

「厄介なこと頼まれたな。」

 

「そうですけど、今回の異変は通常の異変とは違い自然発生の異変ですからね何が起こっても不思議ではありません。」

 

「そうだな、おそらくギャオスたちも亡霊たちに惹かれてやってくるかもしれないしな。」

 

「それが一番の問題ですね。私たち以外でギャオスに対抗できるのは・・・」

 

「7人だ。」

 

「できればもうひとり欲しいところですね。そうすれば5人編成でどうにかなるんですが・・・」

 

「ないものねだりしても仕方がない。とりあえずは飛鳥たちにこの事を伝えておこう。」

 

 

玄武とさとりはソファーから立ち上がり飛鳥を探しに部屋を退出した。

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

――――――

 

 

 

―――

 

 

 

 

アトランティス内にある訓練施設に一組の男女が組手を行っていた。(男女といっても青年と少女なのではあるが)

 

その男女とは飛鳥とこいしだった。(もちろん二人はジャージ姿)

 

 

「それっ!?」

 

 

こいしは蹴りを男に打ち込むが、飛鳥はいとも簡単に受け止めて見せた。

 

 

「まだ蹴りの速さが足りんぞ。」

 

「だったらこれはどう!?無影脚!!!」

 

 

残像が見えるほどの速い蹴りを飛鳥に放つが飛鳥は瞬時にして後方へとバックステップして避けた。

 

 

「(今のはかなり速かったな、避けるのが遅かったら当たってただろう・・・まさか三ヶ月でここまで成長するとは思わなかった。)」

 

 

こいしの成長の早さに驚く飛鳥。

 

 

「(けどまだ当たってやるわけにはいかんのよねぇ、師匠のメンツとして)」

 

 

飛鳥は瞬時にこいしの後ろに移動し回し蹴りを放とうとしていた。

 

それに気づいたこいしは迎撃しようとこちらも回し蹴りを繰り出そうと構えたら、頭に声が響いた。

 

 

『まだ攻撃はするな。相手の回し蹴りをしゃがんで回避しろ。』

 

「っ!?(この声は)」

 

 

こいしは頭に声が響いたことに戸惑ったが声の主が誰なのか分かり、声に従い飛鳥の回し蹴りをしゃがんで躱した。

 

 

『次に相手の軸足に向けてミドルキック。』

 

「えい!!!」

 

「うおっ!!!」

 

『体勢が崩れたところに相手の顔面めがけて蹴りを放つ。』

 

「うりゃ!!!」

 

「ぶげっ!!!」

 

 

こいしの蹴りを顔面に受けて変な奇声をあげて吹き飛ぶ飛鳥。

 

吹き飛ばされるも空中で体を捻り姿勢を整えて地面に着地した。

 

 

「いってー今のはすごく効いたぜ。」

 

 

パチパチパチ

 

 

突然拍手が訓練場に響いたので、こいしと飛鳥は拍手のする方へ顔を向けるとそこに―――

 

 

「今のはいい蹴りだったぞこいし。」

 

「「玄お兄ちゃん(旦那)!?」」

 

「私もいますよ。」

 

「お姉ちゃん(あ、姐さん)!?」

 

 

訓練所の入口付近に立っている玄武とさとりの姿を見て驚く二人。

 

玄武とさとりはこいしたちのもとへと歩く。

 

 

「飛鳥少し油断してたんじゃないか?」

 

「あっ!さっきのこいしの動き旦那が指示出してたっすね!」

 

「気づいたか。」

 

「いきなりこいしの動くが良くなったからびっくりしたっすよ。」

 

「ああいったのにも対応できなくてどうする。」

 

「いや無理っすから。」

 

 

右手を高速で左右に降って無理なことを主張する飛鳥。

 

 

「ところであ姉ちゃんたちはどうしてここに来たの?」

 

「飛鳥さんに用があってここに来たんですよ。」

 

「俺に?」

 

 

玄武とさとりは先ほど映姫から伝えられたことを飛鳥とこいしに話していく。

 

 

「うへぇーまた厄介ごと引き受けたんすか。」

 

「それを言うな。」

 

「それにはお姉ちゃんも参加するの?」

 

「ええ私もマナを扱えますから。」

 

「・・・私も参加する。」

 

「「「!?」」」

 

 

こいしの宣言に驚きを隠せない三人。

 

 

「私もマナを扱えるようになったんだよ。」

 

「だがこいし、お前はまだ修行中の身だぞ。しかも戦いながらマナの力を扱う課題がまだ終わってないぞ。」

 

「大丈夫あと一月でものにしてみせるから。」

 

「おいおい無茶言うなよ。」

 

 

飛鳥は後頭部を掻きながらどうしようか考えていた。

 

 

「本気かこいし。」

 

 

玄武は真剣な顔つきでこいしを見つめていた。

 

こいしは玄武に一瞬だけ気圧されたが、負けじと玄武を真剣な眼で見つめた。

 

 

「はぁ本気のようだな。」

 

「うん。」

 

「きつい修行になるぞ。それでもいいのか。」

 

「うん。」

 

「わかった―――俺がこいしを鍛えてやる。言っとくが生半可な修行じゃないから覚悟しろよ。」

 

「うん!」

 

「・・・こいし。」

 

「お姉ちゃん。」

 

「無茶だけはしないでね。」

 

「はーい。ちょっと喉渇いたら飲み物飲んでくるね。」

 

 

こいしは早足で訓練場から退出し飲み物を飲みに行った。

 

 

「よかったんすか?あんなこと言って・・・一月でできるようにするのって無茶なんじゃないんすか」

 

「心配するな実例が一人ここに居るから大丈夫だ。」

 

 

玄武がさとりを見ながら言った。

 

 

「マジ?」

 

「マジです。」

 

 

かつて行った修行を思い出して顔を青くしながら答えるさとり。

 

それを見てうわぁという声を漏らしながら頬を引きつらせる飛鳥。

 

相当キツイ修行だったのだろうと理解し心の中で合唱していた。

 

 

「お待たせーってどうしたの?お姉ちゃんと飛鳥なんか暗い顔してるよ。」

 

「な、何でもありませんよ。」

 

「s、そうだぞ。」

 

「ふーんまあいいか。それよりお兄ちゃん早く始めよう。」

 

「いいのか?もう始めて。」

 

「うん、時間も惜しいし早くできるようになりたい。」

 

「わかった。」

 

 

玄武とこいしが訓練場の中央に行こうとしていたらこいしを飛鳥とさとりが呼び止めた。

 

 

「何?」

 

「こいし、頑張れよ。」

 

「あなただったらできますよ。」

 

 

さとりは目のハイライトを消して笑いながらそう言った。(目は笑ってはおらず)

 

さとりの表情を見てこいしは何かすごいことが起こるのではないのかと思わずにはいられなかった。

 

少々顔を青くしながら玄武のもとに行くこいし。

 

 

「さぁ、始めるぞ。構えろよこいし。」

 

「う、うん。」

 

 

そして地獄の修行が始まった。

 

 



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大結界異変・外界サイド 前編 

60年周期の大結界異変の玄武たちサイドpart1


 

 

こいしの地獄の修行から一月が経った。

 

その修行のおかげでこいしはかなり強くなることはできた。しかしその修行に対してトラウマが出来てしまったのは明白であった。。

 

玄武が異変が終わったあとも続けていこうとこいしに言うが二度としたくないと顔を真っ青にしてプルプル震えながら言ったらしい。

 

(ちなみに飛鳥もこの修行に対してだけは苦手意識があり自分からは参加したことはないらしい。つまり大半は強制的に参加させられていた)

 

 

 

そして異変当日、玄武たちは外界にある古びた博麗神社の前に集まっていた。

 

 

「全員揃ってるな。」

 

 

玄武は周りを見回して一人も欠けていないか確認した。

 

 

「大丈夫かこいし?」

 

「だ、大丈夫だよお兄ちゃん。」

 

「大丈夫とは思えないんだが・・・」

 

 

こいしは若干ではあるが震えていた。

 

弾幕ごっこはしたことはあるが本格的な戦いそれも命のやり取りはこいしにとってはこれが初めてなのだから仕方ない。

 

その為、周りの雰囲気にのまれて緊張していた。

 

 

「無理だったら参加しなくていいのよこいし。」

 

「イヤ!?あ、あんなに頑張ったんだもん。絶対参加するんだから。」

 

「姐さん大丈夫ですってこいしはあの地獄をクリアしたからどうにかなると思いますよ。」

 

「飛鳥、お願いだからあれを思い出させないで!!!」

 

 

あの地獄の修行を思い出し青ざめていた。

 

こいしのそんな姿を見た玄武はやりすぎたなと反省していた。

 

 

『さとり。』

 

『何ですか?』

 

『こいしのフォローを頼む。』

 

 

玄武はテレパシーでさとりに話しかけて戦闘中こいしをサポートするように頼んでいた。

 

 

『わかってます。こいしのことは任せてくださいその代わり玄武さんは仁君の方をお願いします。』

 

『了解した。』

 

 

二人はテレパシーでの会話をやめ、作戦の内容を話し始めた。

 

 

「いいか今回は5人編成で動くため2チームに分ける。チームの編成はこれだ。」

 

 

玄武はMCを起動させ空中にチーム表を映し出した。

 

 

前衛・・・玄武、飛鳥、フー、大介、仁

 

後衛・・・竜也、さとり、こいし、あかり、雷牙

 

 

といった風に編成されていた。

 

 

「まずは前衛チーム、こちらはギャオスが現れた時に迎撃するチームだ。その為近接格闘に優れたもので構成されている。竜也も接近戦が得意なんだが今回は後衛チームの護衛に回ってもらった。次に後衛チームは幽霊の誘導又は除霊がメインのチームでさとりを中心に動いて欲しい。」

 

「もちろん幽霊の誘導や駆除が終わり次第前衛チームのサポートに回りますのでそこは覚えておいてください。」

 

「次に作戦内容だがいたってシンプルだ。ギャオスが現れたら俺たち前衛チームが対処し、幽霊が来たら後衛チームが対処するだけだ。」

 

「ほんとにシンプルだね。」

 

「それじゃあ説明も終わったから、作戦の時間が来るまで各自準備をしておいてくれ。」

 

 

そう言って玄武はさとりと作戦の内容をもう一度確認するためこいしたちから離れていった。

 

 

 

――――――――

 

 

 

―――――

 

 

 

―――

 

 

 

「「そろそろ時間だ(です)、気を引き締めていくぞ(いきますよ)。」」

 

「「「「「「「「了解!!!」」」」」」」」

 

 

前衛チームは上空へと飛び上がり、後衛チームはそのまま地上に残り辺りを警戒していた。

 

5分くらい経ったとき上空にいた玄武は前方に謎の大群が移動しているのを見つけMCでさとり達に連絡を取った。

 

 

【後衛チーム、こちら前衛チーム、前方2キロの地点に謎の大群を確認した。そちらでも確認をしてもらいたい。】

 

【了解しました。行動に移ります。】

 

 

さとりは玄武との通信が終わるとMCをポケットにしまい、あかりに話しかけた。

 

 

「あかりちゃん、前方の方を調べることができますか?」

 

「前方をですか、了解です。」

 

 

さとりに返事を返したあとあかりは祈るように両手を胸の前で合わせた。

 

するとあかりから白い発光体が多数飛び出してきた。その発光体は次第に形を変え小さな蝶へと変貌した。

 

 

「さぁフェアリーたち向こうの方を見てきてちょうだい。」

 

 

あかりが命じるとフェアリーたちはその方向へと飛んでいった。

 

今飛んでいったフェアリーたちとあかりはテレパスによって視覚共有されていてフェアリーたちが見たものはあかりにも見えている。そのため諜報活動するときとても役に立つ技なのだ。

 

フェアリーたちが飛んでいって数分後―――

 

 

「見つけました・・・これは幽霊の大群!!数はおおよそ100~200体の規模、真っ直ぐこちらに向かってきてます!!!」

 

「わかりましたこれより作戦開始します。竜也さん護衛お願いしますね。それからこいしも無茶はせず自分の出来ることをしてくださいね。」

 

「了解した。近づくものすべてこの拳で粉砕して見せよう。」

 

「うん。お姉ちゃんとあかりちゃんを守ってみせるよ。」

 

「ありがとう・・・ではいきますよ!!!」

 

 

さとり達後衛チームは幽霊の誘導または除霊のために移動を始めた。

 

森の中を低空飛行で進んでいくと幽霊の一団に出くわした。

 

さとりは全員に止まるように腕で合図を出した。そして地面に降り立ち幽霊の一団に視線を向けた。

 

 

「あかりちゃんあれがそうですか。」

 

 

さとりは前方の一団を指差しながらあかりに聞いた。

 

 

「はい。それじゃあ早速誘導して「待ってあかりちゃん。」ってさとりさん?」

 

 

さとりは目を閉じて何かに集中していた。そして目を開けてさとりは全員に聞こえるように言った。

 

 

「彼らからは怨みしか読めません。もはや彼らは幽霊ではありません怨霊です。これでは誘導は無理です。」

 

「じゃあやることは一つだけだよねお姉ちゃん。」

 

「ええ彼らは強制的に成仏してもらいます。」

 

「やっぱそうするしかないか。」

 

 

さとりたちは戦闘するためにそれぞれ構えをとった。

 

すると怨霊達が一斉に飛びかかってきた。

 

 

『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!』

 

 

「各自散開して除霊を行ってください!!!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

 

さとり以外のものはその場からバラバラに飛び出していきさとりは前方から迫ってくる怨霊にマナを宿らせた掌底を打ち込んでいった。

 

掌底を打ち込まれた怨霊たちは金色の光に包まれて消滅していった。

 

その時消えてゆく怨霊達から『ありがとう』と言われた。

 

 

「『ありがとう』ですか・・・まさかお礼を言われるとは思いませんでしたね。」

 

 

消えた怨霊たちがいたところを見つめて、そうつぶやくさとり。

 

さとりはこの場をあとにしてほかの人の救援へと向かった。

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

―――――

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

「それそれそれそれーーー!!!!」

 

 

両足にマナを宿らせて迫り来る怨霊の一団を蹴りまくるこいし。

 

その様は先程まで緊張していたものとは思えないほど動きをしていた。

 

 

「もー次から次に出てくる!ていうかさっきよりも増えてるし!?」

 

『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!』

 

「もうしつこいよ『空連撃』!!!」

 

 

こいしは怨霊に2段蹴りをかました。

 

蹴りを受けた怨霊は吹き飛ばされ他の怨霊にぶつかり、その怨霊も巻き込むように消滅していった。

 

 

「まだまだ『空砂塵』・・・からの『天昇斬』!」」

 

 

連続回し蹴りで怨霊を打ち上げると今度は踵落としをして地面に叩きつけ消滅させた。

 

そこへさとりがやってきた。

 

「こいし、大丈夫ですか。」

 

「あ、お姉ちゃん!」

 

「この状況を見れば分かるのですがどうやら緊張はほぐれたみたいですね。安心しました。」

 

「飛鳥やお兄ちゃんがあそこまで手伝ってくれたんだからいつまでも震えてはいられないよ。」

 

「ふふ・・・逞しくなりましたね。では一緒に行きましょうかこいし。」

 

「うんお姉ちゃん。」

 

 

さとりとこいしは怨霊の一団に顔を向け、二人は駆け出した。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

―――――――

 

 

 

―――

 

 

 

「はああああぁぁぁぁ!!!」

 

 

怨霊の一体に強烈なボディブローをかます竜也。

 

そのあとも怨霊達にアッパー、ストレート、ジャブなどを繰り出して消滅させている。

 

終いにはスマッシュを打ち込み10~20体の怨霊を吹き飛ばして消滅させた。

 

 

「やはり数が増えている。これは本当に長期戦になるな。二人とも気を抜くなよ。」

 

「「はい!」」

 

「あかりは右の集団、雷牙は左の集団、俺は真ん中の集団を仕留める。」

 

「「了解!!!」」

 

 

二人は指示された方向に向かって駆け出した。

 

 

「さて盛大に暴れるとしよう。」

 

 

ボクシングのファイティングポーズをとり、怨霊の一団へと突っ込む竜也。

 

 

「ムンッ!」

 

 

すかさずスマッシュを放ち、怨霊を吹き飛ばす。

 

さらに近づいてくる怨霊にラッシュを打ち込んだりして撃退していた。

 

 

「そろそろ決めるか。」

 

 

竜也は両腕を水で覆い構えた。

 

そして前方に拳を打ち出して技を放った。

 

 

「撃龍水神拳!!!」

 

 

龍の形をした水が一斉に解き放たれ怨霊の一団を飲み込み消滅させた。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

――――――

 

 

 

―――

 

 

 

 

「久しぶりの実戦だけどなんとかなるでしょ。」

 

 

あかりは頭から白い触角、背中から黒と赤と黄色を基調とした蝶の羽を生やした。

 

 

「まずは感覚を取り戻さないとね!!!」

 

 

あかりは触角にエネルギーとマナを収束して触角から光線ビームパルサーを放った。

 

ビームパルサーが怨霊2体を貫き消滅させた。

 

続けざまにあかりは全身にエネルギーとマナを集め相手に突っ込んでいった。

 

 

「フラッシュダッシュ!!!」

 

 

凄まじい突進を受け怨霊は10体ほど吹き飛び消滅した。

 

 

「さぁどんどん行くわよ、プレッシャーフィールド!!!」

 

 

羽から金色の鱗粉を周囲にばらまきはじめた。それと同時に羽から雷を発生させて怨霊を攻撃していく。

 

しかも鱗粉に触れたせいなのか怨霊たちの動きが鈍くなっていき、どんどん雷の餌食になっていった。

 

 

「ここら辺の怨霊は片付いたかな。じゃあ次にレッツゴー!」

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

――――――

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

「でりゃああ!!」

 

 

マナを込めたパンチを怨霊に叩き込む。

 

消滅させるも次から次へと怨霊が現れ、一向に減る気配がない。

 

 

『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!!!』

 

「ちっしつこい・・・引力光線!!」

 

 

雷の形をした光線を掌から放ち怨霊を消滅させる。

 

引力光線を連続して放ちどんどん怨霊を消滅させていく。すると雷牙の後方から回り込んでいたのか怨霊二体が飛びかかってきた。

 

でも事前にその動きを把握していたため雷牙はしゃがんで躱し、怨霊の腕を掴んで技を放つ。

 

 

「サンダースパーク!!!」

 

 

雷を直接体に流された怨霊はブスブスと黒焦げになりながら消滅していった。

 

雷牙は踵を返し腕に雷を纏わせてながら、怨霊の一団を見据えてこう言った。

 

 

「さぁ天に召されたいものはかかって来い・・・」

 

『あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーー!!!』

 

 

怨霊の一団が雷牙に襲い掛かる。

 

この時上空にいる前衛チームに動きがあったことに後衛チームは気づかなかった。

 



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大結界異変・外界サイド 中編

玄武たちサイドpart2


 

 

 

 

幻想郷の外の世界にある博麗神社近くの森から大きな音が鳴り響いていた。

 

それを上空から確認する玄武。

 

 

「後衛チームが行動開始したようだな、しかもこれだけ派手にやっているということは誘導は無理だったって事だな。」

 

「どうするんすか旦那、助けに行きますか?」

 

「いや助けは必要ないだろう、下はさとりたちだけでなんとかなる。それよりも俺たちは上空の警戒を怠るなよ、この状況は奴らがいつ来てもおかしくはないのだからな。」

 

「わかってますって。」

 

「ならいいが・・・さて無駄話はここまでにして俺たちも行動するぞ。大介は飛鳥、仁はフーのサポートに回ってくれ。」

 

「「わかりました。」」

 

 

〈・・・・ろ ・・い・・ ・・・しろ 〉

 

 

「!?」

 

 

仁は不気味な声が聞こえたため辺りを見回したが何もいない。

 

 

「(なんだ今の声は・・・)」

 

「仁どうかしたのか?」

 

「いいえなんでもありません。」

 

「そうか・・・っ!?」

 

 

何かの気配を感じた玄武は顔つきを変え上空を見上げた。

 

 

「どうやら奴らのお出ましのようだ。」

 

 

そう言って上空を見上げると黒い点のようなものが一つ見えた。

 

だがその黒い点は徐々に増えていき空の一部を黒く染め上げた。

 

 

「いったい何匹いるんだ・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

かなりの数のギャオスを見て驚愕している大介と仁。

 

だが玄武は臆することなくそのギャオスの大群へと突っ込んでいった。

 

玄武の姿が黒い影に消えた瞬間巨大な爆炎がギャオスの大群から起き始めた。

 

 

「何をぼさっと立っている!我等も師父のあとに続くぞ!!」

 

「「は、はい!?」」

 

「しっかりついてこいよ新米ども!!」

 

 

飛鳥とフーは大介と仁を連れてギャオスの群れへと飛んでいった。

 

そこで大介と仁は凄まじい光景を見た。

 

10m~20m程もあるギャオスたちを次々と素手で粉砕していく玄武の姿を。

 

大介と仁は凄いとしか言えなかった。仮に自分たちが戦ったとしてもここまでのことはできない。

 

それほどまでに実力の差があることを実感させられた二人であった。

 

 

「ほれボォーっとしてる暇はねぇぞ。」

 

「「!?」」

 

「来るぞ!?」

 

 

ギャオスが3体こちらに突っ込んでくるのが目に映り、一瞬硬直してしまったがすぐに迎撃の態勢をとった。

 

 

「いいか、こちらからはあまり指示はしない。自分で判断してサポートに徹してくれ。」

 

「最初は戸惑うかもしれんが自分が思う通りに動け・・・俺からはこれくらいしか言えんが頑張れ。」

 

「「はい。」」

 

「では・・・攻撃開始!?」

 

 

飛鳥とフーはそれぞれのパートナーを後ろに控えさせて、三体のギャオスに向けて弾幕を放った。

 

ギャオスが弾幕を避けようと体を捻ったところを狙って後ろの二人が弾幕を放ち命中させた。

 

弾幕の直撃を受けたギャオス三体は悲鳴を上げてその場で静止したあと四人を睨みつけて吠えた。

 

吠えたあと三体は口を開き、超音波メスを飛鳥達に向けて放つが、四人はその攻撃を躱した。

 

ギャオスが攻撃を終わらせようとする瞬間を狙いフーは体に風を纏わせて、ギャオスに接近し右側のギャオスに上段蹴りを顎に打ち込見吹き飛ばした。

 

他の二体が攻撃した体勢で止まっているフーに攻撃を仕掛けようとするが、一体は飛鳥によって顔面を焼かれたあと大介に殴り飛ばされ、もう一体のギャオスは尾の部分を仁に掴まれた跡投げ飛ばされた。

 

しかも仁が投げ飛ばした方には先ほどフーに蹴り飛ばされたギャオスがいた。

 

二体はぶつかり地上へと落下していくが、その先には既に玄武がプラズマ火球の発射体制で待ち構えていた。

 

そしてほぼゼロ距離でプラズマ火球をギャオスに当てた。巨大な爆発がおっこりその中から二体のギャオスらしき燃えた肉片が飛び散り爆炎の中からは無傷の玄武が姿を現した。

 

 

「なかなかのコンビネーションだったぞ。この調子で頼む。」

 

「「はい!」」

 

 

そこに―――

 

 

「ゲギャアアアアア!!!!」

 

 

顔面を焼かれ怒り狂ったギャオスがこちらに向かい突っ込んできた。

 

それを見た玄武、飛鳥、フーは三方向に飛び出し大介は火炎放射、仁は熱線をギャオスに向けて放った。

 

怒りに感情が支配されている為か避けようとはせず傷つきながらでも突っ込んできたが大介と仁にはたどり着くことはなかった。

 

 

「『バニシング・フィスト』!!!」「『鳳凰天舞脚』!!!」「『猛虎爆砕拳』!!!」

 

 

玄武、飛鳥、フーの攻撃を同時に受け爆散するギャオス。

 

 

「よし次行くぞ!!」

 

「「「「了解。」」」」

 

 

 

仁SIDE

 

 

 

〈・・いしろ ・かいしろ 破壊しろ 〉

 

 

またもや頭に声が響いてきた。

 

しかも先ほどよりも鮮明に声が響いてくる。声のほうも老若男女、複数入り混じった不気味なものだった。

 

 

「(一体なんなんだこの声は・・・どこから聞こえてくるんだ。)」

 

 

さらに気になる点はもうひとつあった。それは――

 

 

「(しかも聞こえているのは俺だけとはどういうことだ?テレパス関係だったら玄武さんにも聞こえているはずだ・・でも玄武さんを見る限りその様子は見受けられない。)」

 

 

チラッと右の方に視線を移すとさきほどと変わらず豪快に戦う玄武さんの姿が見える。

 

その為あの不気味な声は聞こえていないことがわかる。

 

 

〈破壊しろ 破壊しろ 破壊しろ〉

 

 

まただ・・いい加減にして欲しいが止めることも聞こえなくすることもできない。

 

しかもこの声が聞こえるたびに破壊衝動が湧いてきて我を忘れそうになる。

 

なんとしてもこの破壊衝動だけは抑えねば・・・じゃないと――

 

 

「取り返しのつかないことになってしまう。」

 

 

この時俺は謎の声の方に意識を集中していたため周りの状況を把握していなかった。

 

その為普段通りならばしないような失態を犯してしまった。

 

 

「仁、避けろ!!!」

 

「え・・・」

 

『ギギャアアアア!!!!」

 

 

ギャオスが近づいていたことに気づけなかった。

 

 

「うわっ!?」

 

 

ギャオスの突進をくらってしまい俺は地面へと叩き落とされてしまった――それも最悪の場所へと。

 

 

「くっ!今ので腕が・・・」

 

 

どうやらさっきの攻撃で左腕を痛めてしまったらしいな・・・でも戦闘には支障がないからよかった。

 

だがこの状況はかなりまずい・・・なんせ――

 

 

 

怨霊に囲まれている状況なのだから。

 

 

〈破壊しろ 破壊しろ 破壊しろ〉

 

 

っ!?この声の正体はこいつらだったのか!?これは声というより念・・怨念だ!

 

 

〈破壊しろ 破壊しろ 破壊しろ〉

 

〈破壊しろ 破壊しろ 破壊しろ〉

 

〈破壊しろ 破壊しろ 破壊しろ〉

 

 

こいつらに近い位置にいるから今までの非じゃない怨念が俺に流れ込んでくる。

 

だめだ意識が・・・だんだん・・・こいつらにのっと・・・られて・・・く

 

 

〈全てを破壊しろ〉

 

 

「がああああああああ!!!!」

 

 

俺の意識は闇へと落ちていった。

 

 

 

仁SIDE OUT

 

 

 

玄武SIDE

 

 

 

仁の落ちていった場所からドス黒い瘴気のようなものが立ち上がっていた。

 

これほどの瘴気は初めてだぞ!?

 

ギャオスたちもこの瘴気に惹かれているのか一斉に瘴気の出ている場所へと向かっていった。

 

だが次の瞬間巨大な青白い光がギャオスたちを飲み込んだ。

 

光が晴れるとあれほどいたギャオスが瞬く間に全て消滅していた。

 

 

「今のは仁の熱線・・・だがあれほどの威力はなかったはずだぞ。」

 

「玄武さん。」「お兄ちゃん。」「旦那。」「師父。」「先生。」「「玄武先輩。」」

 

 

みんなが俺の周りに集まってきた。

 

とりあえずはさとりに何が起きたのか聞いてみることにした。

 

 

「さとりは知っているか?」

 

「ええ見ていましたから。」

 

「仁の身に何があったんだ。」

 

「怨霊が仁君にとり憑いたんです。それもあの場にいた怨霊全部が・・・」

 

「かなりまずいことになったぞ。」

 

「どうすんだ旦那。」

 

「とりあえず仁を抑えるぞ。じゃなきゃ幻想郷と外界が危険にさらされることになる。」

 

 

俺は先ほど出来たクレーターの中で黒いオーラを放っている仁に視線を向けた。

 

仁も生気のない目でこちらを見ていた。

 

さあ相手はどう出るか・・・

 

 

 

玄武SIDE OUT

 

 

 

 

「ぁぁぁぁああああああ!!!!」

 

 

仁が獣のごとく声を張り上げながらこちらに向かってきた。

 

拳を振るってきたが難なく攻撃を受け止めて地面に向けて投げ飛ばした。

 

仁は受身を取ることができず地面に衝突するが、直ぐに立ち上がり玄武に向けて熱線を放とうとしていた。

 

しかし

 

 

「「フンッ!!!」」

 

 

両サイドから雷牙と大介が熱線を放つ前に殴り飛ばした。

 

飛ばされた先で既にさとりとこいしが攻撃の態勢をして待ち構えていた。

 

はじめにさとりが上に向けて掌底を仁に打ち込み上空へと上げたあとこいしが回し蹴りを打ち込み大きく弾き飛ばした。

 

だが今度は空中で体を捻り仁は地面に足をつけ体勢を整えようとしていた。

 

そこへ竜也が弾丸のごとく仁の懐に飛び込み両肘からジェット噴射のように水を放出して加速させマナを盛大込めた拳の一撃を浴びせた。

 

 

「『マキシマム・インパクト』!!」

 

 

大砲のような音と共に仁は地面を削りながら100mほど吹き飛ばされた。

 

今の一撃はきつかったためか顔を苦痛に歪めながら立ち上がろうとしていた。

 

顔だけを上げこちらを睨みつけてくる仁を上空から見下ろしている玄武はすぅっと右手を仁に向けて構えた。

 

仁も迎撃しようとするが突然仁の周りに鱗粉が覆い尽くした。

 

しかし仁は鱗粉を気にせずに熱線を放ったら鱗粉に遮られ攻撃を通すことができなかった。

 

 

「悪いが異変終了まで眠っててくれ。」

 

 

玄武は仁へとプラズマ火球を放った。

 

仁に直撃した瞬間巨大な爆発が起こりあたりの木々を吹き飛ばした。

 

爆煙が晴れたあと巨大なクレーターの中に横たわる仁の姿があった。

 

 

「これで気絶しててくれればいいんだが・・・」

 

 

玄武がそう言った瞬間ピクっと仁の手が動いた。

 

そのあと両手で身体を持ち上げて仁は立ち上がってみせた。

 

しかもあれほど攻撃したにもかかわれず玄武と竜也以外の攻撃でダメージを追っていなかった。

 

 

「旦那と竜也以外の攻撃はほとんど効いてねぇじゃねえか。」

 

「なんという頑丈さだ。」

 

 

仁の異常なまでの頑丈さに驚く飛鳥とフー。

 

 

「・・・」

 

 

無言のままこちらをジッと睨みつける仁。

 

玄武とさとりは仁の様子を見てこう先程よりもひどくなっていると感じていた。

 

玄武は仁の精神が無事であるか確かめようとさとりに話しかけた。

 

 

「さとり・・・仁の心を読むことはできるか?」

 

「・・・とり憑いている怨霊の数が多すぎて読むことができません。」

 

「そうか・・・」

 

 

玄武はどうしようか考え始めた途端―――

 

 

「うおおおおおぉぉぉぉ!!!!」

 

 

突如、仁は雄叫びを上げ始めた。

 

 

そしてまばゆい光が仁から発せられ全員その光を直視しないように腕で遮った。

 

光が収まり玄武たちが目を開いて最初に見たのは壁だった。

 

玄武たちはそれがただの壁ではないのを知っていた為、急いで後方へと移動していった。

 

かなり後方へと移動した玄武たちは改めて仁のいた方向に視線を向けると一体の巨大な生物がいた。

 

 

 

どっしりとした漆黒のカラダ

 

 

無数の背びれ

 

 

太く長い尻尾

 

 

鋭い牙と鉤爪

 

 

凶悪な顔

 

 

感情のこもっていな白目

 

 

 

仁のもうひとつの姿―――最凶にして最狂の破壊神が今降臨した。

 

 

 



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大結界異変・幻想郷サイド 前編

今回から幻想郷側のお話になります。
そしてついにUSC(アルティメット・サディスティック・クリーチャー)であるあの人が登場。


 

 

 

 

私が朝おきて縁側の襖を開けて外を見た瞬間、唖然としてしまった。

 

なぜなら昨日まで普通の庭だったのに今朝になって見てみればあらゆる季節の花が咲き誇ろ庭に変貌していた。

 

しかも花の周りには幽霊が沢山漂っていた。

 

私はあまりの光景に一度目を擦り深く深呼吸してからもう一度庭に目を向けた。

 

最初に見た光景と変わらなかった。

 

 

「は・・・え・・・な、なによこれはぁぁぁ!?うちの庭がなんでこんなことになってるのよぉぉぉ!?」

 

 

叫ばずにはいられなかった。

 

 

「一夜で何があったっていうのよ!?」

 

「おーい霊夢ーーー!!!」

 

 

魔理沙が箒に跨り声を張り上げながら猛スピードでこちらに向かってきて私の目の前に降り立った。

 

 

「大変だぞ、空から見てみたが幻想郷中が一面花畑状態の上に幽霊があちらこちらに漂ってたぞ!?」

 

「マジ?」

 

「大マジだぜ。」

 

「ってことは異変ってことなのかしらね。」

 

「っていうより異変そのものだろ。」

 

「はぁ~ちょっと待ってて準備してくるから。」

 

 

私は魔理沙にそう言って部屋へと戻り、寝巻きである白い浴衣からいつもの巫女服に着替えた。

 

着替えて縁側に戻ると驚いた表情をしている魔理沙がいた。

 

 

「珍しいぜ・・・霊夢から異変解決に動き出すなんて・・・」

 

「今までの異変って玄武たちに手伝ってもらって解決してきたでしょ。」

 

「ああ。」

 

「そのせいか玄武たちの方が評判が良かったのよ。」

 

「あーそういうことか。」

 

「だから今回は神社の評判を戻すために早めに異変を終わらせようと思ったのよ。それに―――」

 

「それに?」

 

「こんな判りやすい異変なのよ速く解決しなかったら私が怠けてると思われちゃうじゃない。」

 

「なるほどな・・・そういや肝心の玄武はいないのか?」

 

「竜也の話じゃ玄武たちは外界で仕事のようだから今回は手伝えないそうよ。」

 

「それで玄武はともかく博麗神社に居候している竜也の奴もいないのか。」

 

「そういうことよ。」

 

 

そう言って私は空へ飛び始めた。

 

魔理沙も慌てて私のあとを追ってきた。

 

私に追いついた魔理沙は私に近づき話しかけてきた。

 

 

「んでこれからどうするよ霊夢。異変の犯人を見つけるにしたってまずは情報を集めねぇと。」

 

「とりあえずは慧音か阿求のところに行くつもりよ。」

 

「なるほどなその二人だったら何か知ってるかもしれねぇな。」

 

「そういうことよ。」

 

 

私と魔理沙は人里に向かうために飛行速度を上げた。

 

人里についた私たちはまず阿求のいる稗田邸に足を運んだが、ちょうど寺子屋にいる慧音のところに行っていることを使用人たちから聞いた私たちはそのまま寺子屋へと向かった。

 

 

寺子屋に到着した私たちは中には入り教室へと足を運んだ。

 

教室の扉を開けると慧音と阿求が何かの作業をしていた。

 

 

「ん?霊夢に魔理沙じゃないか。」「霊夢さん、魔理沙さんこんにちは。」

 

「お邪魔するわね慧音。」「お邪魔するぜ。」

 

「ところで寺子屋になんのようだ?今は異変の最中のはずだが・・・」

 

「ちょっと情報収集のためにあんたと阿求に用事があってね。」

 

「私と阿求にか?」

 

「ええ。」

 

「それならば我々も協力しよう。」

 

「ありがとう。」

 

 

そう言って私は畳の上に腰を下ろした。

 

そして慧音と阿求に色々と質問をしたらこの異変のことに関して少し知っていることがあるといった。

 

慧音曰く、60年前にも同様の異変が発生していて、その異変は人知れずに解決されていたというのだ。

 

そんな異変があったなんて知らなかったわ。(先代から話を聞いていなかったため知らない)

 

 

「人知れず解決したってことは当時の博麗の巫女が解決したんだろ。」

 

「それがな先代博麗の巫女が解決する前には既に異変は静まっていたんだ。その為誰が異変を解決し誰が犯人なのか全く分からずじまいでな記録がほとんどないのだ。」

 

「ってことは阿求の方も・・・」

 

「はい幻想郷縁起にもその異変があったとしか書かれていません。」

 

「そうか・・・霊夢どうすんだ。」

 

「『太陽の畑」に行こうと思ってるわ。」

 

 

私がそう呟いた瞬間、慧音と阿求は顔を真っ青になった。

 

 

「れ、霊夢まさかほんとにいくつもりなのか!?」

 

「しょうがないでしょ今のところあいつが一番怪しいんだもの。」

 

「ですが危険すぎますよ!?」

 

「なんとかなるでしょ。前みたいに。」

 

 

私は苦笑しながら阿求に答えた。

 

 

「おい霊夢一体何の話だよ、私にもわかるように説明してくれ。」

 

 

あーそういやあんたは知らなかったんだっけあいつのこと。

 

あれ?でも結婚式の会場には居たから会ってるはずなんだけどまぁいいか。

 

 

「まぁ行けばわかると思うわよ、ありがとね慧音、阿求。魔理沙行くわよ。」

 

「なんかよくわからねぇがわかったぜ。」

 

 

私と魔理沙は立ち上がり教室を出ていこうとしていた。

 

 

「あの霊夢さん、魔理沙さん!!!」

 

「なんだ阿求?」

 

「お気をつけください・・・あと怪我をなさらずに。」

 

「へ?それどう言う意味だ。」

 

「魔理沙何してるの早くして頂戴。」

 

「あ、ああ今行く・・・」

 

 

霊夢SIDE OUT

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

―――

 

 

 

魔理沙SIDE

 

 

 

「スゲェなここ。あたり一面が向日葵だらけだぜ。」

 

 

私と霊夢は向日葵が咲き誇る場所へとやってきた。

 

ここに霊夢の言う奴がいるのか?でも気になるのはさっき阿求の言ってたことだ。

 

どんだけヤバイ奴がいるんだよ、正直不安でいっぱいだぜ。

 

 

「どうしたの魔理沙、そんな辛気臭い顔して。」

 

「成り行きで霊夢についてきたからここにいるのがどんな奴なのか気になってな。」

 

「正直言って危険なのは間違いないわね。」

 

 

 

マジでか・・・

 

 

 

「しっかりしなさいよ。」

 

「お、おう・・・」

 

 

アハハ・・・霊夢はともかく私が生きて帰れるか心配だ。

 

 

「いたわあそこよ。」

 

 

霊夢が指を指す方に私は視線を向けると、向日葵の中にピンクの日傘が飛び出ているのが見えた。

 

 

「魔理沙後ろ!!!」

 

「へ?」

 

 

私は霊夢の言ったことに従い後ろを振り返ると植物の蔦みたいなものが私目掛けて振り降ろされていた。

 

 

「やべぇ!!!」

 

 

ギリギリのところでなんとか私は植物の蔦のようなものを交わした。

 

あっぶねぇ下手したら今の一撃で気絶してたところだぜ。

 

 

「魔理沙気を引き締めていくわよ。」

 

「わかってるよ!」

 

 

次々と攻撃を仕掛けてくる植物の蔦を交わしていき、安全圏へと脱出することができた。

 

すると霊夢が何かに気づいたらしくて後ろを振り返った。

 

 

「いきなり攻撃仕掛けてくるなんてやってくれるじゃない。」

 

「私のテリトリーに入ってきたんだから当然でしょ。」

 

 

私たちの目の前にさきほど見えたピンクの日傘を差した緑の髪の女性が浮かんでいた。

 

やべぇ・・・霊夢の言う通りこいつマジでやべぇぞ!

 

明らかにそこらの妖怪とは比べ物にならないほどの気配をしてやがる。

 

冥界での異変で紫と幽々子に対峙したときと同じくらいの妖気だ。

 

こんな奴に勝てんのか・・・

 

 

 

魔理沙SIDE OUT

 

 

 

「久しぶりね霊夢。」

 

「ええ・・・ホントに久しぶり。」

 

「(霊夢はコイツを知ってんのか?っというより顔見知りだったのかよ。)」

 

「そっちの白黒は?」

 

「き、霧雨 魔理沙・・・」

 

「(ふーん・・・魅魔の言っていた弟子っていうのはこいつのことね。)私は風見 幽香よろしく。」

 

「よ、よろしくってなんだよ私のことジロジロ見たりして・・・」

 

「別になんでもないわ。それで私に何のようかしら霊夢。」

 

「ちょっとこの異変のことについて聞きたいことがあってきたのよ。」

 

「言っておくけど、私じゃないわよ。」

 

「わかってるわよ異変起こなんてしょうもないことするような奴じゃないって。」

 

 

ものすごく失礼なことを言う霊夢。

 

魔理沙はジト目で霊夢を見ていたが緑の髪の女性から話しかけてきた。

 

 

「それにこの異変には犯人なんていないわよ。」

 

「はぁ?犯人がいないってどうゆうことよ。」

 

「さぁ・・・でも真相が知りたいのなら『無縁塚』に行くといいわよ。そこで全てが分かるから。」

 

「・・・嘘は言ってないわね。行きましょう魔理沙。」

 

「お、おう。」

 

 

霊夢と魔理沙がここから離れようとしたが四方を植物の蔦で囲まれているため動くことができなかった。

 

 

「せっかくここに来たのだから・・・私と遊んでいかない?」

 

「嫌と言ったら・・・」

 

「こちらから仕掛けるまでよ。」

 

「・・・ここに暴君がいるぜ。」

 

「さぁ楽しみましょう!!!」

 

 

幽香は無数の弾幕を放ってきた。

 

霊夢と魔理沙は直撃しそうな弾幕だけをお祓い棒で弾いたり、マジックミサイルで撃ち落としていた。

 

魔理沙は相手との間合いを一気に詰めようと自慢のスピードで弾幕郡に突っ込んでいった。

 

魔理沙が間合いをどんどん詰めているにも、幽香は動じる事無く無数の弾幕を放っていた。

 

 

「これでもくらえぇ!『マスタースパーク』!!!」

 

 

八卦炉から極太のレーザが幽香めがけて放たれた。

 

しかし幽香は日傘を前方に向けて構え、『マスタースパーク』を真正面から受け止めた。

 

それを見た魔理沙はギョッと目を見開いて驚いていた。まさか日傘なんかで受け止められるとは思っていなかったからだ。

 

しかもその日傘には焦げ跡が一つもついてはいなかった。

 

魔理沙は心の中で舌打つが、直ぐに気を取り直してもう一度幽香に突っ込んでいくが植物の蔦に邪魔をされ近づくことができなかった。

 

 

「魔理沙!?」

 

「よそ見はいけないわね霊夢。」

 

「っ!?」

 

 

いつの間にか移動した幽香が日傘を振り下ろそうとしていたから霊夢は急いで結界を張りガードしたが結界ごと吹き飛ばされてしまった。

 

 

「くっ!?」

 

 

魔理沙はなんとか植物の蔦の包囲網から抜け出して霊夢を受け止めた。

 

 

「霊夢大丈夫か?」

 

「ええなんとかね・・・それにしても相変わらずの力ね。」

 

 

霊夢はそう言いながら幽香に視線を向けるが、その幽香は興味が薄れたような表情をしていた。

 

 

「・・・二人がかりだというのにこの程度なの?期待して損したわ。」

 

「言ってくれるじゃない。」

 

「こんなんでよく今まで異変を解決できたわね。」

 

「なんだと!?」

 

「これなら玄武やさとりと手合わせしてた方がまだよかったわ。」

 

「「!?」」

 

 

幽香の口から玄武とさとりの名を聞いて驚く霊夢と魔理沙。

 

 

「そういや気になってたんだけどなんで二人の結婚式の時にいたのかしら。」

 

「さとりとはちょっとしたガーデニング仲間で、時たま肥料をもらいに行っているのよ。」

 

「それでさとりに招待されたから式場にいたってわけね。」

 

「そういうわけよ。」

 

「じゃあ玄武とはどういった関係なんだよ。」

 

「そうね彼とは喧嘩友達みたいなものよ・・・そして最高の獲物でもあるわ。」

 

 

ニッコリと笑いながらそういう幽香。

 

それをうわぁーと心の中で思いながら霊夢と魔理沙は目を半目にして幽香を見ていた。

 

 

「さて話はここまでにして続きを始めましょうか。」

 

 

妖力を放出させながら霊夢と魔理沙を威圧する。

 

魔理沙はその圧倒的な妖力を感じて一瞬寒気が全身を駆け巡った。

 

すると霊夢は圧倒的な妖力を微塵にも感じてないかのように魔理沙の一歩前に出て幽香に話しかけた。

 

 

「だったらスペルカードはお互い一枚ずつでどうかしら。」

 

「ええ、それでいいわ。」

 

「魔理沙、少し後ろに下がってなさい。巻き込まれても知らないから。」

 

「正気か霊夢っ!?私たち二人係でなんのダメージも追わせられなかったんだぞ。一人なら尚更無理に決まってんだろ!?」

 

「まあ見てなさいって・・・ちょっと試したいことがあるし。」

 

「でも!?」

 

「私を信じなさい。」

 

 

真剣な顔をして霊夢は魔理沙にそう言い幽香のいる方へと体を向けた。

 

魔理沙は何かを言おうとしたが霊夢のそんな顔を見て言うことができなかった。

 

 

「さぁ覚悟しなさい幽香。」

 

 

お祓い棒と御札を構えて幽香を見据える霊夢。

 

 

「格の違いを思い知らせてあげるわ。」

 

 

幽香もピンクの日傘を構えた。

 

第二ラウンドが今に始まろうとしていた。

 

 







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大結界異変・幻想郷サイド 中編

幽香との決着!?
映姫様再び登場!
サボリ魔こまっちゃん登場!?



 

 

 

 

妖怪の山の反対方向の奥地に存在する太陽の畑で一人の改造巫女服をきた少女とピンクの日傘をさした女性がぶつかり合っていた。

 

 

「やぁぁぁーーー!!!」

 

「あははは!!!二人で戦っていた時よりいい動きしてるじゃない!!!」

 

「あんたに褒められたって嬉しくないわよ!!!」

 

 

片手に10枚ほどの御札を構えて幽香に向かって放った。

 

しかし幽香は閉じた日傘を振り抜き御札を弾いた。

 

霊夢は幽香が日傘を振り抜いた姿勢で止まったのを見計らい、すかさず弾幕を幽香に放った。

 

 

「隙を突いたつもりだろうけど甘いわね霊夢。」

 

 

幽香の足元から巨大な花が咲いたと思いきや幽香を包み込むように閉じた。

 

弾幕は全てその巨大な花に当たったが貫くまでには至らなかった。

 

弾幕をすべて弾き終わった後、巨大な花はゆっくりと開いた。

 

 

「まだまだみたいね霊夢。」

 

「ほんとムカつく言い方ね。」

 

 

額に青筋を浮かべながら霊夢は幽香を睨みつけていた。

 

霊夢は幽香に向けて無数の弾幕を放ち、幽香の動きを封じようとするが、幽香はそれに対して植物の蔦を駆使して飛来する弾幕を打ち消していた。

 

幽香は日傘を地面につけると地面が盛り上がり芽が出始めそれが一気に成長し花が咲いた。

 

その花たちは一斉に霊夢の方へと向き花びらを飛ばし始めた。

 

霊夢は御札を投げて相殺させようとしたが、花びらに全て切り裂かれてしまう。

 

その光景を見た霊夢は舌打ちをして花びらが当たる前にお祓い棒で弾いて空に向かった。

 

 

「逃がさないわよ。」

 

 

幽香も霊夢のあとを追おうと体を動かそうとしたら

 

 

「う、動かない!?なぜなの・・・なっ!?」

 

 

幽香は地面へと視線を向けるとそこにはいつの間にか仕掛けていたのか自分を囲うように4枚のお札が貼ってあった。

 

 

「こ、これは御札!?・・・でも言ったいつの間に・・・まさかさっき投げた御札は囮でこれが狙いだったって言うの!?小賢しい真似を!!!」

 

 

幽香が結界に囚われている間霊夢はというと

 

 

「少し時間がかかっちゃうのが問題だけど今のうちに準備をしなくちゃ。」

 

 

霊夢は目を閉じて集中し始めた。

 

 

「こんなもの!?」

 

 

しかし幽香はお札の真下から蔦を出現させ札を取り払った。

 

そして上空を見上げ霊夢を視界に捉えた。

 

 

「タイミングが悪かったわね。」

 

 

幽香は霊夢に向けて日傘の先端を向け構えた。

 

次第に日傘の先端に妖力が集まりだした。

 

 

「消し飛ばしてあげるわ霊夢・・・『マスタースパーク』!!!」

 

 

魔理沙以上の極太レーザーが霊夢に向かって放たれた。

 

 

「霊夢ーーー逃げろーーーー!!!」

 

 

魔理沙は霊夢に逃げるように大声で言うが、霊夢は未だに目を閉じて何かをしており動こうとしなかった。

 

そんな霊夢を見て幽香は目を細めた。

 

 

「何かしようとしている・・・いったいなにを・・・」

 

 

すると霊夢はカッと目を開きスペルカードを宣言した。

 

 

「準備は整ったわ・・・私の取っておきくらいなさい!!!霊符『夢想封印・龍』!!!」

 

 

霊夢から色とりどりの九つの大玉が出現した。

 

しかしこの大玉は通常の夢想封印の大玉よりも大きくかなりの力が込められていた。

 

 

「いっけーーー!!!」

 

 

九つの大玉が放たれ幽香の放ったマスタースパークと衝突した。

 

衝突した衝撃で大気が震え辺りに衝撃波を撒き散らし始めた。

 

互の力が拮抗し、押したり押し返したりの繰り返しが続いた。しかし霊夢の放った大玉が徐々に形を変え始めた。

 

 

「これがこのスペルカードの真の姿よ!」

 

 

九つの大玉は完全に姿を変えていた―――龍の形に。

 

龍の形となった夢想封印は正面に二体を残し残りはレーザーの側面へと回り込みくらいついた。

 

 

「そんなもので打ち破れるとでも思ってるの!」

 

「打ち破って見せるのよ!」

 

 

互いに相手の力を打ち破ろうとさらに力を込める二人。

 

そのせいで周囲に撒き散らす衝撃波がさらにひどくなっていき魔理沙は立っているのままならず近くにあった岩場に隠れた。

 

だが二人はそんなことお構いなしに力の放出を続けた。

 

 

「くっううう!」

 

「霊夢・・・あなたは人間にしては一番頑張ったほうだけどこれまでよ!」

 

「人間ナメんじゃないわよ!?」

 

 

霊夢の放った龍の形をした夢想封印が金色の光で包まれ始めた。

 

 

「なっ!?これってまさか!?」

 

「これが私のホントの奥の手よ!?」

 

 

金色の光で包まれた夢想封印は徐々に押していき、ついに幽香の放ったマスタースパークを霊夢の放った『夢想封印』が打ち破った。

 

マスタースパークを打ち破った9体の龍の形をした夢想封印は一つとなり、巨大な龍となって幽香に襲い掛かった。

 

 

「・・・まさかこうなるとは思ってもみなかったわね。」

 

 

そのつぶやいたあと幽香は光に飲み込まれた。

 

10秒くらい光に包まれたが次第に光は弱くなり元に戻った。

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

 

 

霊夢は仰向けになって倒れていた。

 

 

「霊夢ー大丈夫かー!」

 

 

魔理沙は霊夢のもとへと駆け寄った。

 

霊夢は息を整えたあと魔理沙に話しかけた。

 

 

「ええ大丈夫よ。」

 

「風見 幽香は?」

 

「あそこよ。」

 

「あ・・・ほんとだ・・・」

 

「幽香生きてる?」

 

 

霊夢は幽香に話しかけた。

 

 

「ええなんとか・・・」

 

「とりあえずこの勝負私の勝ちね。」

 

「ええ、あなたの勝ちでいいわ。でも一つだけ教えて頂戴。」

 

「何?」

 

「最後に使った力・・・あれは玄武やさとりが使う力と同じものだったわ。それをなぜあなたが使えたの?」

 

「ああ・・あれね、2ヶ月前にうちの居候から教えてもらったのよ。」

 

「だから使えたのね。」

 

「そういうこと。まだ不完全だけどね。」

 

「はぁ~完敗よ今回は・・・でも次は勝たせてもらうから。」

 

「冗談じゃないわ、あんたと戦うなんて二度とごめんよ。」

 

「減らず口は相変わらずね。ほらさっさと行きなさい。異変を解決するんでしょ?」

 

「すっかり忘れてたわ・・・魔理沙、お願い箒に乗せてくれないかしら。疲れちゃって力が入んないのよ。」

 

「お安い御用だぜ。しっかりつかまってろよ霊夢。」

 

 

魔理沙は霊夢を後ろに乗せると先ほど幽香から聞いた場所――『無縁塚』へと向かっていった。

 

 

「あの子達も行ったことだし私も家に帰ろうかしらね。」

 

 

幽香はボロボロの状態なのにも関わらず起き上がって見せて歩き出した。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

「霊夢大丈夫なのか?フラフラしてるぜ。」

 

「大丈夫だから・・・それより今はどこ飛んでるの?」

 

「今は妖怪の山を通ってる最中だぜ。」

 

「じゃああのパパラッチに見つかったら大変ね。」

 

「そうだなあいつに会うと禄なことがねぇからな。」

 

「それは侵害ですね。」

 

 

霊夢と魔理沙は自分たち以外の声が聞こえたため声のした方に顔を向けると射命丸 文が手帳を持って飛んでいた。

 

それを確認した霊夢は魔理沙の肩をポンポンと叩き、魔理沙がうなづくと飛行速度を上げ始めた。

 

 

「あやや?私から逃げようって言うのですか。逃しませんよ!」

 

 

射命丸も飛行速度を上げて魔理沙を追いかけ始めた。

 

鼬ごっこが続いたが霊夢と魔理沙はなんとか無縁塚につくことができた。(余計なのが一人いるが)

 

しかし、無縁塚には多くの幽霊が漂っており、さらに不気味な空間となっていた。

 

 

「妖夢がいたら発狂してたわねこれ・・・」

 

「・・・ああ。」「・・・そうですね。」

 

 

霊夢、魔理沙、文は、頬を引きつらせながら無縁塚の現状を見ていた。

 

 

「ここがこんなふうになってるのは私初めてですよ。」

 

「そうなのかよ。」

 

「ええ長年幻想郷を見てきた私ですが言うんです間違いありません。」

 

 

射命丸文すると霊夢が辺りを見回しているとある一に注目した。

 

 

「どうやら幽霊たちはこの奥から湧き出てきてるみたいね。」

 

「どうしてわかるんだよ?」

 

「幽霊の進行方向よ。」

 

「「ああなるほど。」」

 

「時間もないし行くわよ。」

 

 

霊夢はスタスタと無縁塚の奥へと歩み始めた。

 

魔理沙と文も霊夢のあとに続いて奥へと進んでいった。

 

 

「そういやこの先って何があるんだ?」

 

「この先ですか?この先は三途の川ですよ。」

 

「マジかよ・・・」

 

「ってことはその三途の川で何かが起こったってことよね。」

 

「ええそれは間違いないですよ。なんせあそこにはあの人がいますから。」

 

「「あの人?」」

 

「まあ実際に会ってみればわかりますよ。あっそろそろつきますよ。」

 

 

暗い雰囲気の場所を抜けて花しかも彼岸花が咲き誇ろ場所に出た霊夢たち。

 

 

「ここが三途の川・・・」

 

「無縁塚ほどじゃねぇけど少し気味わりーとこだぜ。」

 

「じゃあここにいるっていうやつを探しにって文何してるの?」

 

 

文は辺りをキョロキョロと見回して何かを探していた。

 

 

「いえその人を探しているんですよ。」

 

「この近くにいるの?」

 

「私の記憶が正しければこの辺りにいるはずなんですが・・・おや?あれは・・・」

 

 

文の見ている方に霊夢と魔理沙も視線を向けるとひとりの少女が歩いていた。

 

その人はこっちの存在に気づいたのかこちらへと歩いてきた。

 

 

「あれってさとりの結婚式にいた人だよな。」

 

「ええ確か・・・四季 映姫だったっけ」

 

「ええそうですよ。お久しぶりですね博麗 霊夢、それに霧雨 魔理沙と射命丸 文。」

 

 

 

映姫は霊夢たちの前に立ち止まり挨拶をした。

 

 

「あなた方に問いますがなぜこのような場所においでになったのですか・・・ここは生者が来る場所ではありませんよ。」

 

「幽香の言うことに従って無縁塚に来たら、幽霊がたくさん漂ってたのよ。で幽霊の流れを逆らいながら来たらここに出たってわけ。」

 

「すみません無縁塚に幽霊が漂っていたというのは本当ですか・・・」

 

「ホントだぜ、気持ちワリーくらいにいっぱいいたぜ。」

 

「・・・」

 

 

それを聞いた映姫は顔をうつむきプルプルと震え始めた。

 

一体どうしたのかと霊夢と魔理沙は首を傾げた。その途端――

 

 

「こ~~~~ま~~~~ち~~~~!!!」

 

 

映姫の怒号があたりに響いた。

 

霊夢と魔理沙は近くにいたためしかめっ面をして耳に手を当てていた。

 

文はいつの間にか耳栓を取り出して耳に付けていた。

 

そして怒号がなり止むと文は耳栓を外し映姫に質問した。

 

 

「あの閻魔様?」

 

「なんですか!?」

 

「え、えと小町さんの居場所を知っていますか?」

 

「どういうことですか?」

 

「私はここに居ることは知っていますがどこにいるかまでは知らないんですよ。だから閻魔様だったら知っているんじゃないかと思いまして・・・」

 

「なるほどあなたたちも小町を探していたのですね。ならば参りましょう。一刻も早く小町にお説教をせねば!」

 

 

そう言ってスタスタとどこかに歩き始める映姫。

 

霊夢、魔理沙、文の3人は困惑しながら映姫のあとに続いて歩き出した。

 

三途の川沿いに歩き続けること5分、映姫について来た霊夢たちは船着場にたどり着いた。

 

映姫は船着場に誰もいないことを確認すると膨大な霊力をクスクス笑いながら発し始めた。

 

そしてその状態のまま近場にある岩に一直線に向かっていきそのまま岩場の陰へと消えていった。

 

霊夢達も映姫の後についていき、岩場の陰を覗いてみるとイビキをかいて眠りこけている赤い髪の女性がいた。

 

この人こそここの船頭であり映姫の部下である死神の小野塚 小町だ。

 

映姫は寝ている小町を見て額に青筋を浮かべながらニッコリと笑っていた。(目は笑っていない)

 

そして映姫は手に持っている悔悟の棒を後ろに振りかぶり

 

 

「いい加減に起きなさい小町!!!」

 

 

と言いながら小町の顔面へと振り下ろした。

 

バシーンという音があたりに響き渡り、あまりの痛さにその小町は飛び起きて顔面を押さえながらのたうち回っていた。

 

 

「目が覚めましたか小町。」

 

「しぇ、しぇきひゃま!!!(し、四季様!!!)」

 

「小町、私は言いましたよね。今日だけは怠けてはいけないと・・・」

 

「ひゃ、ひゃい(は、はい)・・・」

 

「ですがなんですか、来てみればあなたは寝てサボっているではないですか・・・」

 

「しょ、しょれはしょの(そ、それはその)・・・」

 

「あなたは言われたことを全うできないのですか!!!」

 

「ひぃぃ御免なさいぃぃぃ!!!」

 

「全く大体普段からあなたはですね―――――」

 

 

映姫のお説教が始まった。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

―――

 

 

 

かれこれ映姫のお説教が始まって2時間が経過。

 

 

「今回はお説教をしているのは時間がもったいないので今日はこのぐらいにしておきます。けれどまた同じようなことがあればわかっていますね・・・」

 

 

映姫は悔悟の棒を小町に突きつけながら言った。

 

 

「・・・は、はい・・・」

 

 

魂が抜けるんじゃないかと思えるほど真っ白になった小町がそう返事を返した。

 

 

「それでは私は仕事に戻りますゆえお暇させていただきます。それでは。」

 

 

霊夢たちにお辞儀してそのまま仕事場へと飛んでいってしまった。

 

あまりの出来事に霊夢たちは言葉を発することができずずっと立ち尽くしていた。

 

 

「はっ!霊夢さん、魔理沙さん!?しっかりしてください。」

 

「へ?あーあんまりすごいもんだったからほとんど意識が飛んでたわよ。」

 

「すごすぎだぜ。」

 

「さすが閻魔様ですね。あのスキマ妖怪が苦手にしているだけの人ではありますね。」

 

「でコイツどうするよ。」

 

 

真っ白になっている小町を指差す魔理沙。

 

 

「ほっておきましょう。一応こいつの自業自得なんだから。」

 

「まぁそうだな。」

 

「いい記事がかけそうな気がします。むふふ。」

 

「じゃあ帰りましょうか。」

 

 

霊夢達が帰ろうとしたその時――――ドゴーーーーーンという音が鳴り響いた。

 

 

「なんだ今の音は!?」

 

「現世側の方からしましたね。」

 

「・・・」

 

「霊夢?どうしたんだよそんな顔して。」

 

 

魔理沙はとても深刻そうな顔をした霊夢に話しかけた。

 

 

「結界が・・・・」

 

「「結界が?」」

 

「博麗大結界に―――穴があいた・・・」

 

「「!?」」

 

 

霊夢はこうしてはいられないと感じ急いで現世に戻るために飛んでいった。

 

三途の川と無縁塚を抜けた霊夢は幻想郷全土が見渡せるように上空へと高度を上げて博麗神社の方に目を向けると――――

 

 

 

黒い竜と黒い亀がにらみ合っているのが見えた。

 

 

破壊神と守護神の戦いが今まさに始まろうとしていた。

 

 



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大結界異変 後編

ついにダブルGが激突!?
勝負の行方と幻想郷は一体どうなってしまうのか!


 

 

 

 

 

 

 

「ガアアアァァァァ!!!」

 

「ゴアアアァァァァ!!!」

 

 

二体の咆哮は幻想郷中に響き渡る。

 

二体は咆哮を上げた後、地響きを起こしながら相手へと向かっていく。

 

そして互の体が衝突した。

 

その衝撃は凄まじく彼らを中心にして周りの木々が吹き飛び地面が割れた。

 

それを上空に飛んでいた霊夢は目を見開いてその有様を見ていた。

 

そこにようやく魔理沙と文が追いついてきた。

 

 

「霊夢なんだよさっきの衝撃はってなんじゃこりゃーーー!!!」

 

「なんですかこの爆心地みたいな地形は!?一体ここで何があったんですか!?」

 

「あそこの二体の影響よ・・・」

 

 

霊夢が土煙で見えないが二体がぶつかり合った場所を指さした。

 

土煙が晴れると取っ組み合っているガメラとゴジラの姿が見え始めた。

 

 

「玄武じゃねぇか!!それにもう片方は・・・うんいかにも凶悪そうなツラしてるぜ。」

 

「でもすごいですよあの黒い龍・・・あの形態の玄武さんと互角のパワーなんて並の存在じゃありませんよ。」

 

「私もそう思うわ身体がぶつかり合っただけでこの惨状なのよ・・・他の攻撃でどれほどの被害になるのか想像つかないわよ。」

 

 

霊夢はまだまだこれが序の口であることに恐ろしく感じた。

 

そこに―――

 

 

「霊夢さん、魔理沙さん、射命丸さんご無事ですか!?」

 

「霊夢大丈夫!?」

 

「霊夢一体何の騒ぎなの?」

 

「あらあらすごいことになってるわね~。」

 

「黒い亀と黒い龍どちらもすごいわね。」

 

 

外界から戻ってきたさとりたちと結界に穴が空いたことに気付いた紫や藍、それに紅魔館、白玉楼、永遠亭の者たちも集まってきた。

 

 

「霊夢今どういった状況なのか説明してくれないかしら。」

 

「私も全部わからないわよなんせいきなり結界に穴があいたんだから。」

 

「困ったわね。」

 

「そのことについてなら私が説明します。」

 

 

さとりは事細かに事情を説明していった。

 

閻魔である映姫からの依頼で外界で仕事をしていたこと

 

数多の亡霊に仁がとりつかれてしまったこと

 

玄武もガメラの姿になり応戦し始めたこと

 

技同士がぶつかり合ってその衝撃で結界に穴があいてしまったこと

 

 

「なるほど・・・外界の方ではそんなことが起きてたというわけね。」

 

「申し訳ありません、私たちの判断ミスでこのようなことになってしまって・・・・」

 

「今回は仕方ないわ誰だってこんなことは予測できなかったわよ。」

 

「ですが・・・」

 

「今は玄武にどうにかしてもらうしかないわ。それしか方法がないのだから。」

 

「紫さん・・・」

 

「見て玄武が動き出したわ!?」

 

 

下のほうを見てみるとゴジラを持ち上げて投げ飛ばそうとしているガメラの姿が目に入った。

 

そしてそのまま山に向かってゴジラを投げ飛ばした。

 

ゴジラが山にぶつかると山は崩壊して跡形もなくなった。

 

すかさずガメラは山にぶつかり倒れているゴジラにプラズマ火球を3発を放った。

 

ゴジラは起き上がろうにも岩が邪魔をしてうまく起き上がれなかった。

 

3発のプラズマ火球が直撃し大きな爆発が起きる。

 

その場にいたものはあれだけの威力ならば無力化できたのではないかと思っていた。

 

しかしゴジラと化した仁は彼女たちの想像を遥かに超えていた。

 

なんと燃え盛る爆炎の中から岩の瓦礫をはじき飛ばし何事もなかったように出てきた。

 

そして御返しとばかりに背びれを発光させて口から熱線を放った。

 

ガメラはそれを両腕でガードした。それに伴い激しい火花が両腕から出る。

 

ゴジラが熱線の放射をやめて前方を直視しすると、そこには傷一つついていないガメラの姿があった。

 

ゴジラはムカついたのか咆哮を上げて突進していった。ガメラも迎え撃とうとゴジラへと突っ込んだ。

 

先ほどの取っ組み合いではなく今度は激しい殴り合いを行っていた。

 

ガメラの拳がゴジラの胸に直撃し後退させるが、ゴジラは伸びきっているガメラの腕を掴み始め、そのまま背負投をした。

 

ガメラは上空へと投げ飛ばされそのまま背中から山の頂上に落ちた。

 

その衝撃で山は崩壊し、また一つ瓦礫の山ができた。

 

そのがれきの山から瓦礫を押しのけてガメラが立ち上がった。

 

ゴジラからは青い光が漏れ、ガメラからは炎が迸っていた。

 

そして放射熱線とブラストノヴァがそれぞれの口から放たれた。

 

光線同士がぶつかり合い押したり押し返したりの繰り返しでその状態が20秒くらい続いたが突如爆発が起こり爆発の衝撃波が周囲を襲った。

 

その衝撃波でガメラとゴジラも後方へとはじき飛ばされ地面に倒れた。

 

もちろんそれはさとりたちにも襲いかかったが数人で結界を張りなんとか持ちこたえていた。

 

結界を解き視界に映ったのはガメラとゴジラの周りが火の海と化した場所であった。

 

あれだけ綺麗な場所だったところがたったの数分で焼け野原へと変貌していた。

 

霊夢達はこの残場を見て震えていた。

 

 

「紫さん、霊夢さん結界の方は大丈夫ですか?」

 

「っ!?ちょっと待っててくれるかしら今調べるわ。」

 

 

紫は目を閉じて確認をとっていた。

 

 

「今の所は大丈夫よさっき空いた穴ももう閉じているわ。」

 

「それは良かったです。」

 

「もしかしてさっきの状態が起こって結界に空いたの?」

 

「結界に穴を開けた技よりも下位でしたがそれでもあれだけの威力があったんです。ですから確認をとったのです。」

 

「あれで下位の技っていうのが恐ろしいぜ。」

 

「旦那と仁の実力はまだまだこんなものじゃないぜ、これからが本番だ。」

 

 

飛鳥の言葉を聞きさらに何とも言えない空気が流れた。

 

だがそんなのはお構いなしで下の2体は戦闘を再開していた。

 

熱線と火球の打ち合いで両者の体からは火花が散り、確実にダメージを与えているがそれでもなお聞いていないかのように攻撃し続けていた。

 

だが次放たれるゴジラの攻撃は違っていた。

 

背びれが赤く発光しだしたのだ。そしてゴジラから赤い熱線――『バーンスパイラル熱線』が放たれた。

 

バーンスパイラル熱戦はガメラの左肩の甲羅を貫いた。

 

ガメラは悲鳴を上げながら背中から地面へと倒れた。

 

その光景を見てさとりは悲鳴を上げ、飛鳥、フー、竜也は驚いていた。

 

 

「玄武さん!?」

 

「あいつ、旦那の甲羅を貫きやがった!?」

 

「我らで傷つけることができなかったあの甲羅を!?」

 

「それだけじゃねぇ仁の奴、旦那の攻撃を少しづつ吸収して自分の攻撃に上乗せにして放ちやがった。」

 

 

ガメラは左肩から緑色の血を流しながら起き上がり唸り声わげながら相手を睨みつけていた。

 

 

「どうやら玄武さんは本気で戦うみたいです。」

 

「だろうなあんな表情の旦那なんて1万2千年振りだ。」

 

「我らももう少し離れようでなければ巻き込まれるぞ。」

 

 

フーの言葉に従い全員この場から離れていった。

 

 

「ガアアアアァァァァ!!!!」

 

 

ガメラは両腕を肘だけ残し甲羅の中に引っ込め噴射口からプラズマエネルギーを放出し炎の剣『バーナー』を作り出しゴジラに斬りかかった。

 

その切れ味は凄まじくゴジラの右肩から左腰までを切り裂いた。

 

当然ゴジラは悲鳴を上げ血を流しながら後退する。

 

ガメラはその隙を見逃さず右腕のバーナーをゴジラに向けて砲弾のように飛ばした。

 

それに気づいたゴジラはバーナーに向けて熱線を放ち相殺させた。

 

だがそれは囮で左のバーナーが本命でゴジラの左の脇腹に突き刺さった。

 

炎は消え肉の焦げる匂いがあたりに漂った。

 

ゴジラは怒りの形相となりガメラを睨みつけた。

 

そして先ほどと同じように背ビレを赤く発光させ、バーンスパイラル熱線を放つ。

 

ガメラもそれに対抗して両腕を砲身のように構え、ブラストノヴァの同時斉射――『トライデントガイア』を放った。

 

先ほどの放射熱線とブラストノヴァを超える爆発と衝撃波が発生した。

 

周りはさらにひどい状況になっていき最早地面がむき出しの更地と化していた。

 

 

「これ戦闘って呼べるのかしら・・・」

 

「なんて力してやがるんだものの数分で更地になってるじゃねぇか・・・これが玄武本来の力・・・」

 

「これが・・・世界の頂点に君臨する者たち―――神々の戦い。」

 

 

古代神である3人以外はガメラとゴジラの戦闘に次元の違いを感じていた。

 

 

「あいつらまだ続けるのかよ!?」

 

「これ以上彼らが戦えば幻想郷が持たないわ!?」

 

「その心配はいらんと思う。」

 

「飛鳥はなんでそう思うの?」

 

「仁を見てみな。」

 

 

全員がゴジラと化している仁に視線を向ける。

 

なぜだか疲れてきているように思える。

 

 

「なんだかあいつ動きが鈍くなってきてないか?」

 

「そういえばそうね最初の頃より若干遅くなってる。どういうこと?」

 

「それは仁君の力を使っているのが彼自身ではなく亡霊たちだからですよ。」

 

「姐さんも気づきましたか。」

 

「どういうことか説明してくれよ。」

 

「つまりこういうことよ魔理沙・・・体を乗っ取ったはいいけど力の使い方を全く知らない者たちが動かしてガス欠になりかけてるってことよ。玄武を見なさいよ怪我を負っていても息切れなんてしていないでしょ。」

 

「確かに。」

 

「要は力の使い方を知っている者と知らない者の差がここに来て出てきたってわけ・・・わかったかしら。」

 

「おう!」

 

「・・・ほんとわかってんのかしら。」

 

 

霊夢が玄武たちの方に顔向けた。

 

ゴジラは焦りが見え始めているのか攻撃が単調になってきた。

 

だがそんな攻撃は歴戦をくぐり抜けてきたガメラには通用せず逆にこちらのダメージが増える一方だった。

 

ゴジラは右側から爪による攻撃を仕掛けたが当たる前にガメラは腕でガードして止めてみせた。

 

ガメラはその直後、左腕でバーニングフィストを先ほどバーナでつけた刺し傷に叩き込んだ。

 

あまりの痛さに悲鳴を上げ傷口を抑えながら横転するゴジラ。

 

それを見計らいガメラとなった玄武はさとりに交信を行った。

 

 

〈さとり聞こえるか。〉

 

〈はい聞こえます。〉

 

〈いいか今から言うことを飛鳥たちに知らせてくれ。〉

 

〈わかりました。それでその内容は?〉

 

〈――――――――ということだ。〉

 

〈了解しました。お気を付けて。〉

 

 

玄武とさとりは交信を終え、さとりは今玄武が言ったことを飛鳥たちに話した。

 

6人は頷いたあと、それぞれの場所へと移動を開始した。

 

ゴジラは立ち上がりガメラへと熱線を吐き出し攻撃する。

 

ガメラはそれを両腕でガードし攻撃を防ぐ。

 

ガメラは飛鳥たちが所定の位置につくまでゴジラの攻撃をガードし続けた。

 

そして飛鳥たちは所定の位置についたことをさとりにMCで通信を入れて伝えた。

 

さとりはすぐにそれを玄武に伝えた。

 

 

〈玄武さん、みなさんの準備が整いました。〉

 

〈そうか、なら作戦開始だ!〉

 

 

ガメラは相手の熱線を受けながら前進しだした。

 

ゴジラはこちらに近づけさせないように熱線を吐き続けた。

 

しかしそれでもガメラは止まらなかった。

 

そしてゴジラは熱線を吐くことができないほどエネルギーを消費しまいガメラの接近を許してしまった。

 

ゴジラのもとにたどり着いたガメラはゴジラの両腕を封じるように組み付いた。

 

ゴジラはガメラを振り払おうと体を揺さぶるがしっかりと組み付いているため離れなかった。

 

そしたらガメラたちを囲むように金色の光の柱が6箇所から上り始めた。

 

それはガメラたちの真上で一つに重なるとガメラたち目掛けて落ちてきた。

 

金色の光に飲み込まれるガメラとゴジラ。

 

するとその金色の光の奔流から黒い靄のようなものが飛び出すが徐々に小さくなっていき最後には消滅してしまった。

 

金色の光が消えるとゴジラの姿はなくガメラだけがそこに立っていた。

 

ガメラは天に向かって咆哮し金色の光を放ち始めた。それは幻想郷全土へと放たれ幻想郷を包み込んだ。

 

金色の光が収まると霊夢たちは驚愕した。

 

なんと更地と化していた場所は見てみれば緑豊かな森へと戻っていた。

 

奇跡とも呼べる神の御技を目の当たりにした。

 

こうして幻想郷の歴史上最大の異変が終わりを迎えた。

 

 




今回ゴジラシリーズとガメラシリーズから1シーンずつ再現を入れました。
1つ目はゴジラvsメカゴジラのゴジラの熱線とメカゴジラのメガバスターがぶつかりシーンを2つ目はガメラ2レギオン襲来のガメラがマイクロ波シェルを受けて傷を負うシーンを再現しました。


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地底観察

幻想郷縁起制作のため阿求はあるところを訪れます。


 

 

 

異変が終了し、いつもの幻想郷の日常へと戻り始めた。

 

異変後に玄武は各勢力のところに行き謝罪をして回ったらしい。

 

たとえ元に戻ったとしても実際には幻想郷の半分ほど崩壊しかけていたのだから謝るのは当然のことだと玄武はそういった言った。

 

それでも玄武が仁を抑えてくれたおかげで幻想郷は滅ぶことがなくなったことに各勢力のトップたちは感謝もしていた。

 

 

 

あれから少し時が経ち、玄武とさとりは阿求に呼ばれ稗田邸を訪れていた。

 

 

「お久しぶりです玄武さん、さとりさん。」

 

「久しぶりだな阿求。」

 

「お元気そうで何よりです。」

 

「で阿求、俺らになんのようなんだ?」

 

「はい、実はもうすぐ9冊目の幻想郷縁起が出来上がるのですけどまだ書けていないところがあるんです。」

 

「もしかして書けていないのは・・・」

 

「さとりさんの考えている通り、地底に住まう方達だけなんです書けてないのは・・・」

 

「なるほど。」

 

「そこでお二人にお願いがるのです。」

 

「「お願いっていうのはまさか・・・」」

 

「はい、私をですね――――」

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

「すごいです!?ここが地底の旧都なんですね!?」

 

「といってもまだ入口付近だけどな。」

 

「でも人里よりも活気に満ちていますよここは。」

 

 

旧都の町並みを見て大いにはしゃぐ阿求を玄武とさとりは後ろから微笑ましく眺めていた。

 

 

「おーい阿求いくぞー。」

 

「あっすいません今行きます!?」

 

 

玄武とさとりは阿求に旧都の街を案内しながらしながらここに住む妖怪たちのことを教えていた。

 

阿求は実際に地底の妖怪たちと話をしたり触れ合い感じたことは、書物などに記されていることとの違いであった。

 

昔は人々に恐れられていた鬼たちも怖いという雰囲気がなく人里の人たちと同じように接してくれる。

 

阿求は不思議に思い話している鬼たちにそのことを聞いて回った。

 

その鬼たち曰く、玄武のおかげなのだと全員が揃えていった。

 

玄武のおかげで地底が一つにまとまったことを話していく鬼たち、その話を真剣に聞く阿求。

 

 

 

「玄武さんってやっぱすごい方なんですね。」

 

「急にどうしたんだ阿求?」

 

「神様なのによく妖怪や私たち人間を差別することなく接することができるなと思いまして。」

 

「うーん俺からしてみれば全員一緒なのさ。」

 

「一緒?」

 

 

阿求は疑問に思った。

 

 

「守護神とは星を護る者、当然それはこの星に生きとし生ける物を守るということなんだ・・・だからそこに差別なんてものはない。」

 

「差別がない?」

 

「まぁ言うなればすべてが平等ってことかな。」

 

「すべてが平等・・・」

 

「だから俺は能力や種族で差別することなどしないのさ・・・ギャオスは別として。」

 

「・・・」

 

 

目を見開いて前を歩く玄武の背中を立ち止まり見つめる阿求。

 

そこへさとりがそばにより話しかけた。

 

 

「どうかされましたか阿求さん?」

 

「いえ、さとりさんが玄武さんに惹かれたのがなんだかわかった気がします。」

 

 

さとりは阿求のその言葉を聞き少々驚いたが、すぐに笑いながら答えた。

 

 

「ふふっ玄武さんみたいなああ云うタイプの人って滅多にいませんからね。」

 

「羨ましいですよそんな方と結婚出来たなんて。」

 

「大丈夫ですよ阿求さんにもそんな出会いがきっと訪れますって。」

 

「そうでしょうか?」

 

 

そのあともさとりと阿求は玄武の後ろを歩きながら会話を続けた。

 

少し時間が経ち、玄武たちは昼食を食べようと近場にあった店に入ると勇儀たちとばったり出会いそのまま相席することにした。

 

阿求は勇儀たちと話し合いをして幻想郷縁起の制作に協力して欲しいと頼んだところ勇儀たちは快く承諾した。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

勇儀たちとの話が終わり、玄武たちは話し合いの場となっていた店から出てきた。

 

 

「話し合いをしていたら結構時間が掛かったな。」

 

「すみませんここまで時間をかけてしまって。」

 

「それはいいですよ、それより今日はもう遅いので明日また続きをしましょう。」

 

「そうしたいのは山々なんですが、期日が近いのでなんとか今日中に終わらせたかったんです。」

 

 

阿求は俯きながら玄武とさとりに言った。

 

すると玄武はあることを提案した。

 

 

「それだったら今日は家に泊まっていけばいい。そしたらみんなから話が聞けるだろうしな。」

 

 

さとりはというと

 

 

「それはいいですね。」

 

 

と玄武の提案を反対せず了承した。

 

もちろん阿求は遠慮気味でホントに大丈夫なのか今一度玄武に訪ねた。

 

 

「い、いいんですか?」

 

「「もちろん。」」

 

 

阿求の問いに玄武とさとりはそう答えた。

 

それを聞いた阿求は二人の提案に乗ることにした。

 

 

「そ、それじゃあお言葉に甘えて・・・」

 

 

その言葉を聞き、早速玄武たちは阿求を連れて地霊殿へと戻っていった。

 

地霊殿に戻った玄武とさとりは阿求をリビングまで案内し、お燐に皆を集めてくるように伝えた。

 

その数分後、お燐が皆を連れて戻ってきたので玄武とさとりは事細かに説明した。

 

 

「つまり俺らのことを紹介するプロフィールみたいなもんすか旦那。」

 

「まあそういうものだ。」

 

「俺はいいっすけど、皆はどうだ?いいと思うなら手上げてくれ。」

 

 

全員その場で手を挙げていた。

 

 

「全員いいそうだぜ、阿求の嬢ちゃん。」

 

「ありがとうございます。」

 

「じゃあ俺とさとりは夕飯の支度があるからそれまでみんなと話でもしているといい。」

 

「皆お願いね。」

 

 

そう言って玄武とさとりはリビングを離れキッチンへと入っていた。

 

 

 

「さて旦那たちも言ったことだし、さぁ阿求の嬢ちゃん俺らの何が聞きたい。」

 

「それではまず――――」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

―――

 

 

 

「ありがとうございます。みなさんのおかげで今回の幻想郷縁起はいいのがかけそうです。」

 

「それは良かったね阿求ちゃん。」

 

「はい。」

 

「話が終わったのならちょうどいいですこいしとあかりちゃんは盛りつけを、飛鳥さんと大介君は食器を並べてください、仁君は玄武さんの手伝いをお願いします。」

 

「「「了解。」」」

 

「「はーい。」」

 

 

全員さとりの指示に従い行動を開始する。

 

阿求も何か手伝おうと立ち上がろうとしたがさとりが阿求の肩に手を置き、行動を制した。

 

 

「阿求さんは座って待っていてください。」

 

「えっいいんですか?」

 

「あなたはお客様なんですから。」

 

「じゃ、じゃあお言葉に甘えて・・・」

 

「はい。それではもう少し待っててくださいね。」

 

 

さとりはそう言い残しキッチンへと戻っていった。

 

飛鳥と大介の並べる皿の上に次々と出来上がってくる料理をこいしとあかりの手でが盛り付けされていく。

 

見るからに美味しそうな料理ばかりである。

 

阿求はこの料理をマジマジと見つめていた。

 

 

「揃ったか?」

 

「ええ全部揃いましたよ。」

 

「じゃあいただきます。」

 

『いただきます。』

 

 

阿求は箸を手に取り料理を口に運んだ。

 

 

「っ!?美味しいです!?」

 

「お口にあって何よりです。たくさん作ったのでどんどん食べてください。おかわりもあるので。」

 

「お姉ちゃんおかわり!」

 

「姐さん俺も!」

 

「はいはい、でも自重はしなさいよ。」

 

 

そう言いながらさとりはこいしと飛鳥から茶碗を受け取りご飯をよそいで二人にお茶碗を返した。

 

そんな様子を阿求は笑いながら見ていた。

 

 

「なんだか嬉しそうだな阿求。」

 

「ええ、こんなに楽しい食事は宴会以外で初めてなんでそれを体験できて嬉しいです。」

 

「そうか、ほれ食事は始まったばかりだ盛り上げていこうじゃないか。」

 

「はい!」

 

 

次第に宴会のように盛り上がり、楽しい食事がそのあとも続いた。

 

その時の阿求は食べ終わるまで笑顔が続いたという。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

「まさか地霊殿に温泉があるなんて思ってもみませんでした。」

 

「ふふ、羨ましいですか。」

 

「それはそうですよ、だって毎日タダで入れるんですからそう思わずにはいられません。」

 

「それじゃあ今度玄武さんに頼んで温泉を稗田邸に造れないか聞いてみますね。」

 

「お願いします。それにしても・・・」

 

 

阿求はさとりにお礼を言ったあと、さとりをじっと見つめた。

 

さとりは阿求の視線に気づき訪ねた。

 

 

「どうしたんですか阿求さん?」

 

「いえ、綺麗な肌だなーって思いまして。」

 

「い、一応健康には気を使ってますから。」

 

「それに女性らしい体つきで羨ましいですしそれに比べ私なんか・・・」

 

 

阿求は自分の体とさとりの体を見比べて落ち込んでいた。

 

 

「やっぱり好きな人にもんでもらったおかげなんでしょうね・・・」

 

「うんお姉ちゃんの胸はお兄ちゃんが大きくしたんだよ。」

 

「羨ましいよねぇ。」

 

 

突如こいしとあかりが話に加わってきた。

 

 

「あ、貴方達いつ入ってきたんですか!?」

 

「私の能力でこっそりと入ってきたんだよ。」

 

 

とこいしは胸を張りながら答えた。

 

 

「あのこいしちゃん・・・胸を張る必要あるの?」

 

 

こいしの横でツッコミを入れるあかり。

 

そんなこいしとあかりを阿求は恨めしそうに見ていた。

 

 

「こいしさんとあかりさんの裏切り者・・・・」

 

「なんか知んないんだけどいきなりの裏切り者発言だよ!?どうしたのあっきゅん!?」

 

「というより阿求さんの目何か据わってませんか?」

 

「どうせこの中で一番小さいのは私ですよーだ・・・」

 

 

頬を膨らませて拗ねる阿求。

 

それを見たこいしとあかりはというと

 

 

「「えっとなんかごめんなさい・・・」」

 

 

なんとなく素直に誤っていた。

 

 

 

露天風呂でのひと騒動のあと阿求は来客用の部屋へと案内され就寝しようとしていた。

 

そして今日一日の出来事を思い出していた。

 

ホントにいろいろな出来事が沢山有り、今までの人生で楽しい日を送ることができた。

 

そして地底の人たちのおかげで今作の幻想郷縁起はすごいものが書けると思いながら寝りについた。

 

後日、阿求は玄武達に人里まで送ってもらったあと急いで幻想郷縁起の執筆に入った。

 

そして2日を有してついに幻想郷縁起が完成した。

 

新しくできた幻想郷縁起はすぐに一般公開されたくさんの人間と妖怪に読んでもらえた。

 

この新しい幻想郷縁起のおかげで地底の妖怪のことを改めて知ってもらい、今まで以上に友好的な関係を結ぶことができた。

 



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5章 風神録編
地霊殿の日常


今回はほのぼのとした話の内容になっております。


 

 

 

地霊殿の庭の一角にある建物からぶつかり合う音が響いていた。

 

その建物の中には玄武と飛鳥が胴着を着て組手をしていた。

 

その様子をさとりとこいしが端のほうで観戦していた。

 

 

「ふっ!せいや!」

 

「おわっ!?旦那ちょっ、ちょっとタンマ!?」

 

「どうしたこれしきのことでへばったのか?なまっている証拠だぞ。」

 

「な、なまってるのは確かだ、だからってこれはちょっと飛ばしすぎだぜ旦那!?初っ端からこの組手はねーだろ!!!」

 

 

玄武たちの行っている組手はさとりやこいしもしたことのある組手だ。

 

この組手の特徴は玄武が指示した課題をクリアし次の課題に移るという変わった組手である。

 

一言言っててしまえば課題が終わらなければ延々とその課題が続くということだ。

 

ちなみに今回、飛鳥に出した課題は玄武に1時間避け続けるか明確なダメージを入れるかだ。

 

それを聞いた時の飛鳥は燃え尽きたように真っ白になったとか。

 

現在飛鳥は今の状況を打破できないか考えながら玄武の攻撃を捌いていた。

 

その様子をこいしは懸命に飛鳥を応援していた。(既にこいしと飛鳥は付き合っています。)

 

 

「頑張れ飛鳥ー!!!お兄ちゃんをぶっ飛ばしちゃえ!!!」

 

「んな無茶なこと言うなよこいし!?」

 

「俺と組手をしている最中におしゃべりとはいただけないな。」

 

「やべっ!!」

 

「破岩掌!」

 

「ぐおっ!?」

 

 

飛鳥は派手に飛ばされた。

 

だが玄武は攻撃した時の感触がいまいちだったことに気づいた。

 

 

「当たる寸前に後ろに飛んだか・・・勘だけは鈍っていないみたいだな。」

 

「いてててちょっとしか当たってないのにこのダメージ、さすが旦那だ。でもこれで旦那からは距離がとれた。」

 

 

飛鳥は鳩尾をさすりながら立ち上がり、片膝を少し曲げて構えを取った。

 

 

「今度はこっちから行くぜ!!!」

 

 

縮地を使い玄武に接近しミドルキックを放つ。

 

それを玄武は左腕でガードし反撃に出ようとしたが既に飛鳥が次の攻撃態勢に入っていた。

 

 

「まだまだぁぁぁぁ!!!」

 

 

飛鳥は残像が見えるほどの連続蹴り『無影脚』をくりだした。

 

玄武はその技を両腕でガードし攻撃に耐えていた。

 

飛鳥はチャンスと思い、さらに攻勢に出始めた。

 

玄武が防御の姿勢をとっていることにさとりとこいしは驚いていた。

 

いつもだったら攻撃を受け流してカウンターを仕掛けているところだと。

 

だが実際には攻撃せずに防御をしているだけ。

 

何か考えがあるのだろうとさとりとこいしは考えていた。もちろんそれは模擬戦をしている飛鳥も思っていた。

 

だが今のチャンスを逃してはいけないと考えながら飛鳥は玄武に回し蹴りを浴びせた。

 

すると玄武の体からバチィという音がした。

 

飛鳥は苦痛の表情を浮かべそこから離脱しようとしたが玄武に足を掴まれて動くことができなかった。そしてそのまま後方へと投げ飛ばされた。

 

飛鳥は空中で体勢を整え着地にし、後ろを振り向くと玄武の右手から青い発光体が放出されているの見て自身も右足に青い炎を纏い始めた。

 

二人は同時に駆け出し技を放った。

 

 

「『武神流 雷光豪破掌』!!!」

 

「『蒼炎空砂塵』!!!」

 

 

互いの技の威力が互角だったため二人は同時に弾き飛んだ。

 

二人が弾きとんだ瞬間衝撃破が発生した。

 

その衝撃波は観戦していたさとりとこいしに襲いかかったが咄嗟に結界を張り難を逃れた。

 

そして衝撃波が止むと同時にさとりとこいしはそれぞれの人のところに向かっていった。

 

 

「飛鳥大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫だ。」

 

「よかった。」

 

「心配してくれてありがとうなこいし。」

 

「えへへ。」

 

 

そこへ

 

 

「大丈夫だったか飛鳥?」

 

「旦那も無事でってその左腕の傷どうしたんすか!?」

 

 

玄武の左腕の一部に切り傷が出来ていた。

 

 

「これか?これはお前がつけたものだよ。」

 

「えっとどういうことで・・」

 

 

玄武とさとりがその時の状況を説明してくれた。

 

 

「じゃ、じゃあ俺はこの課題を・・・」

 

「ああお前はこの課題をクリアしたんだ。」

 

 

そして玄武は飛鳥にこの一言を言った。

 

 

「おめでとう。よく頑張った。」

 

「いよっしゃー!!!」

 

「今日はこれくらいにしておこう、これ以上やったらこの道場が壊れてしまうからな。」

 

「そうっすね。」

 

 

玄武たちは修業を切り上げ道場をあとにした。

 

自室に戻った玄武はさとりに手当をしてもらっていた。

 

 

「全く玄武さんは。」

 

「心配かけたな。」

 

「ホントですよ。無茶をするのは大概にして下さいね。」

 

「なるべくそうできるように努力しよう。」

 

「はい、終わりましたよ。それから今日1日は安静にして下さいね、傷口が開いてしまいますので。」

 

「わかった。」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

――――――

 

 

 

―――

 

 

 

「ここまでゆっくりできるのは久しぶりだ。怪我の功名ってやつか。」

 

「大抵は仕事で休みが取れるのは週に1、2回ぐらいですからね。」

 

 

さとりに膝枕をしてもらいソファーに寝転がっている玄武。

 

 

「そういやさとりは仕事はもう終わったのか?」

 

「今日の分はもう終わらせてあります。」

 

 

さとりは玄武の頬を撫でながら答えた。

 

 

「そうか。ならさとりもゆっくりできるな。」

 

「玄武さん。」

 

「さとり。」

 

 

玄武はさとりの膝から起き上がり、顔をさとりに近づけていった。

 

もちろんさとりも玄武に顔を近づけ目をつぶった。

 

唇同士が触れ合おうとした時、ドアのノックする音が聞こえ誰かが入ってきた。

 

玄武とさとりは残像が残るほどの速さで顔を離した。

 

 

「さとり様、お兄さんおやつを持ってきましたよ。」

 

「お、お燐ありがとうね。」

 

「にゃ?さとり様どうしたんですか顔が赤いですよ。」

 

 

ニヤニヤと笑いながらさとりに話しかけるお燐。

 

さとりもお燐の心を読んでからかっていることに気づき、さとりはお燐に怒鳴りつけた。

 

 

「おーりーん!!!」

 

「おーこわいにゃー、あっおやつここにおいておきますね。」

 

 

お燐はそう言ってそそくさと部屋から退散していった。

 

 

「あっ!?待ちなさい!?もう逃げ足だけは早いんですからあの子は。」

 

「また一本取られたな。」

 

「玄武さんまでからかわないでくださいよ。」

 

 

ぷうっと頬を膨らませながら不機嫌にになるさとり。

 

そんなさとりを可愛いなと思いながら見ている玄武。

 

そして玄武はさとりに声をかけ顔をこちらに向けた瞬間不意を突くような形でキスをした。

 

一瞬だが目を見開いて驚くさとりであったが直ぐに目を閉じ今の状況に身を委ねた。

 

2分位経ったあと

 

 

「不意打ちのような手を使うなんて卑怯です。」

 

 

頬を赤く染めながらジト目で玄武を見ているさとり。

 

 

「でもさとりだって満更でもなかったくせに。」

 

「・・・バカ/////」

 

 

さとりはそう言いながらも玄武の肩に自身の頭を置いた。

 

 

「あの・・・玄武さんに質問したいんですけどいいですか///」

 

 

さとりは頬を赤く染めながら玄武に話しかけた。

 

 

「なんだ?」

 

「その・・・こ、子供は何人欲しいですか////」

 

「こ、子供////」

 

 

そんな質問をされ玄武は顔を赤くしてうろたえていた。

 

さとりの顔は早く答えて欲しいなという表情をしており、玄武は恥ずかしそうにしながら答えた。

 

 

「い、一応女の子と男の子ひとりずつかな//////」

 

「そ、そうですか////」

 

 

二人は顔を真っ赤にしながら視線を合わせ無いように別々の方を向いていた。

 

会話が途切れあたりが静まり時計の針の動く音だけが部屋に響いていた。

 

二人はお燐が呼びに来るまで顔を赤くして固まっていたらしい。

 

 

後に玄武の言ったことが本当になることになるとは誰も思わなかった。

 



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異変の胎動 その2

今回から風神録編スタートです。



 

 

 

「「無名の封筒?」」

 

「はい、お兄さん宛にポストの中に入っていました。」

 

「差出人は書かれていましたか?」

 

「いえお兄さんの名前だけでしたね。」

 

「とりあえず中身を確認しよう。」

 

 

玄武はお燐から封筒を受け取り、中身を確認すると1通の手紙が入っていた。

 

玄武はその手紙を取り出し取り出し読んでいく。

 

手紙を読み終えた玄武は難しい顔をしていた。

 

 

「これは直接相手側に行く必要があるな。」

 

「なぜ玄武さんが行く必要があるんですか?」

 

 

さとりは疑問に思い玄武に尋ねた。

 

 

「直接会って相談したいことがあるんだと。だがこの手紙の主は立場上の関係で動くことができないらしいから俺が出向かわないといけないんだ。」

 

「そうですかそれで送り主は誰ですか。」

 

「これだけは俺もびっくりした・・送り主は日本神話で有名な方だ。」

 

「日本神話で有名?」

 

「天照大御神だよ。」

 

「「えええーーーーー!!!!」」

 

 

さとりとお燐の声が執務室に響く。

 

玄武は読み終えた手紙を見ながらこうつぶやいた。”これは相当な厄介事だろうな”と。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

約束の日になり、玄武はさとりと共に神界へと訪れていた。

 

決められていた場所へ着くと大きな屋敷が目に映った。門の前には守衛らしき人が二人立っていたため玄武とさとりは門へと近づいた。

 

守衛らしき2人に侵入者のたぐいなのではないかと疑われてしまったが玄武は天照がよこした手紙を守衛たちに見せた。

 

守衛たちはその手紙を確認していくと最後の一覧に天照の印がしてあったのを見て本物だと認識し、玄武とさとりを屋敷へと通した。

 

豪華な一室に案内された玄武とさとりは一人の女性と会合していた。

 

 

「わざわざ幻想郷からお越しいただき感謝いたします。私がこの高天原を統治しております天照と申します。」

 

「俺は星の守護神兼幻想郷の守護者をしている亀山 玄武だ。」

 

「私は幻想郷の地底を管理しています亀山 さとりです。妖怪ですがよろしくお願いします。」

 

「玄武様「玄武でいい。」では改めて玄武さんにさとりさんですねよろしくお願いします。」

 

「それで天照、君が話したいこととは一体なんなんだ?」

 

 

玄武は天照に質問をした。そして天照は口を開き答えた。

 

 

「実はある神社に括られた2柱の神が何か良からぬことを考えていると耳にしたのです。」

 

 

続けて天照は語りだした。

 

 

「こともあろうに2柱の神のうち1柱は私の身内なのです。」

 

「天照さんの身内ということはその方も・・・」

 

「はいさとりさんも考えている通りその者は大和の神・・・それもかなり力を持った者なのです。」

 

「その2柱は何をしようとしているんだ?」

 

 

玄武がそう言うと天照は顔を俯けながらしゃべりだした。

 

 

「実はどこかへ移ろうとしているようなのです。」

 

「どこか?神社に括られているのにも関わらずか?」

 

「おそらく神社ごとだと思います。」

 

「なるほどそれだったら移動可能だな。」

 

「我々もつい最近になって知ることができたのです。そして彼女たちの向かう場所も判明しています。」

 

「・・・幻想郷・・・そこしかないだろうな。」

 

「はいあそこは神でさえも迎え入れてくれる唯一の場所ですからそこに行くのはまず間違いないかと。」

 

 

確信した顔で天照は答えた。

 

しかし彼女はすぐに暗い表情をしだした。

 

 

「ですがいつ幻想郷へ移動するかまでは把握できていないので対応が取れない状況なのです。」

 

「それは困りましたね。」

 

「もし彼女たちが幻想郷へ移ってしまえばどれほどの影響が周りに与えてしまうのか思うといてもたってもいられなかったのです。」

 

「確かにそこに住む人たちがパニックに陥るのは間違いないだろう。」

 

「そのお二人とは話し合いをされたのですか?」

 

 

さとりの質問に天照は横に首を振った。

 

 

「話し合いにすら応じなかったわけか・・・・だから俺に相談を持ちかけたのだな。」

 

「・・・はい。」

 

 

申し訳なさそうに天照は俯きながら答えた。

 

 

「さてどうしたものか。」

 

「私が行ってその方たちの真意を確かめてきましょうか?」

 

「いやそれは得策ではないな。たとえ現地に行ったとしてもすぐにバレるだろう。」

 

「ではどうしたらよいのでしょうか。」

 

 

玄武たちがあーだこーだと話し合っている中その話の話題になっている守矢神社の一室に3人の人影が集まって話をしていた。

 

 

「準備はできたかい二人共。」

 

「はい準備のほうは万端です。―――様」

 

「それはよかったで―――の方はどうだい。」

 

「私の方もいいよー。」

 

「全員準備よしといったところか。それじゃあ行くとしましょうかね。」

 

「「「幻想郷へ。」」」

 

 

 

 

玄武たちが話し合いをしている部屋に慌てて兵士の一人が駆け込んできた。

 

 

「お話中のところ申し訳ありません天照様にお伝えしたいことがあります!」

 

「何用ですか今我々は話し合いの最中ですよ。」

 

「ですが緊急事態なのです!」

 

 

その兵士の慌て様を見て玄武たちは話し合いをやめ、兵士の話を聞くことにした。

 

 

「よほどの事態なのですね。わかりました話してください。」

 

「先程守矢神社を監視していたものからの報告で守矢神社が忽然と姿を消した模様です。」

 

「なんですって!?」

 

「それだけではなく神社の近くにあった湖までもが消え去っており町中がパニックに陥っていました。」

 

「っ!?」

 

 

神社だけでなく湖までもが消えたことに天照は言葉を失った。

 

しかし天照はすぐに気持ちを切り替え兵士に指示を出した。

 

 

「とりあえず監視の者たちに騒動を抑えるように連絡してください。私も現地に向かいます。」

 

「了解しました。」

 

 

そう言って兵士は部屋から退出していった。

 

 

「申し訳ありませんそういうことなので私はこれで失礼させていただきます。」

 

「いや俺も一緒に行こうと思う。」

 

「ですが。」

 

「かなりの確率で奴等が現れる可能性が高い。」

 

「奴らとはギャオスのことですか?」

 

「ああ。」

 

「お一人だけで大丈夫なのですか?」

 

「さとりには一旦幻想郷に戻ってもらって応援を呼んで連れてきてもらうのさ。ここじゃMCが使えないから連絡の取りようがない。」

 

「なるほどそういうことならお安い御用です。」

 

「頼むぞさとり。」

 

「任せてください。」

 

 

さとりは玄武にそう言ったあと、部屋から急いで退出していった。

 

それに続いて玄武と天照も部屋を退出して現場へと向かっていった。

 

 

 

 

―――――――――――

 

 

 

 

―――――――

 

 

 

 

―――

 

 

 

「状況はどうなっていますか!?」

 

「はっ現在ギャオスが出現、住民に襲い掛かっていたため、湖のあった場所に奴らを誘い結界の中に閉じ込めこの地域の住民の避難を行っている最中であります。」

 

「(やはりギャオスは出現していたのですね)それでは引き続き、住民の避難を最優先に行ってください。」

 

「了解であります、してギャオスの方は・・・」

 

「この方をギャオスを閉じ込めている結界の下へ案内してくだい。」

 

「こちらの方をですか?」

 

 

兵は玄武を見ながらいう。

 

 

「この方はギャオス退治のエキスパートです。」

 

「っ!?了解しました。そちらの方私のあとについてきてください。」

 

 

そう言って兵はギャオスを閉じ込めている結界の方に向かって移動し始めた。

 

玄武は黙ってその兵のあとに続いていった。

 

それを見送った天照は兵たちに命令を言い渡した。

 

 

「良いですか、我々の力でこの地の地脈を元に戻すのです。さあ時間をかけるわけにはいきませんすぎに作業を始めてください。」

 

『了解!!!』

 

「(そちらの方は頼みますよ玄武さん・・・そして神奈子あなたとは真剣に話し合いをせねばなりませんね。)」

 

 

 

一方、幻想郷へと戻ったさとりは、飛鳥たちに事のあらましを説明していた。

 

 

「―――ということですので飛鳥さん、仁君は私と一緒に玄武さんの下に行ってもらいます。」

 

「さとりさん私たちはどうすれば・・・」

 

 

名前を呼ばれなかったあかリたちはさとりに問う。

 

さとりはすぐに答えた。

 

 

「あかりちゃん、大介君、雷牙君の3人には幻想郷に残り地上のどこかにと思われる守矢神社を探し出してください。」

 

 

そう言い残してさとりは飛鳥と仁を連れて部屋を出ていった。

 

 

「えっととりあえず博麗神社に行こうか。」

 

「そうだなあの子のことだから神社に姿を現しているはずだ。」

 

「しかも余計なこと言って霊夢を怒らせてる気がするな。」

 

「「それは言えてる。」」

 

 

怒り狂う霊夢を想像しただけで寒気を感じた3人。

 

 

「と、とにかく俺たちも早く行動しよう。」

 

「そ、そうね。」

 

「怒り狂った霊夢が何するかわかったもんじゃないからな。」

 

 

雷牙の言うことに頷く二人。

 

3人は地上に向かうために部屋を出ていった。

 

今まさに神々が幻想郷を舞台にぶつかり合おうとしていた。それがどのような結果になるのか誰もわからない。

 



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妖怪の山異変 STAGE 1

今回は主にギャグパートになっております。


 

 

 

「えっ霊夢ちゃんもう行っちゃったんですか!?」

 

「んぐんぐぷはぁー・・・うん確か『何が神社を明け渡しなさいよ、博麗神社の意味も知らない外来人のくせに!?おまけに私に命令するとはいい度胸じゃないの、今すぐとっちめてボロ雑巾のようにしてやるー!!!』って言いながら魔理沙の襟首掴んであっちに向かっていったけど。」

 

 

その時の霊夢の真似をする萃香、ご丁寧に霊夢の向かって行った方を指差すことを忘れずに。

 

それを見てやっぱり起こってしまったかと3人は心の中で思った。

 

 

「遅かったか、それに最悪の状況でもあるな。とにかく俺たちも急ごう。」

 

「萃香さん情報ありがとうございます。」

 

「お礼ならお酒をお願いするよ。」

 

「・・・先輩に頼んでおきます。」

 

「頼むよぉ~んぐんぐ。」

 

 

若干へべれけ状態でも何とか返事をしてくる萃香。

 

雷牙(大介を掴んで)は既に妖怪の山目指して飛び去っていたがあかりは一度萃香の方を向きお辞儀をして羽を背中に展開し飛び去っていった。

 

 

一人博麗神社に残って酒を飲んでいる萃香は妖怪の山のある方を見ながら呟いた。

 

 

「厄介なのが幻想郷に来ちゃったね。まっあいつらがいれば大丈夫だしほっておこうっと・・・そいじゃあ飲み直すとしますか。」

 

 

瓢箪に入っているお酒をグビグビと飲み酒盛りを一人でし始める萃香。

 

 

 

「うわぁ霊夢ちゃんすごい荒れてますね。」

 

 

なぎ倒された木やえぐれた地面などを見て霊夢の今の心境を語っていた。

 

 

「彼女の通った痕跡がすごいな。」

 

「どれほどの怒り具合なのか見当つかないよ。」

 

「とりあえずこれを辿っていこう。」

 

「そうだねこれだけ暴れていればいつかは追いつくはずだからね。」

 

 

2人は飛行速度を上げて、霊夢と魔理沙のあとを追い始めた。

 

 

 

妖怪の山の麓の近くまで来たあかり達は一旦地上に降りて徒歩で山を進んでいった。

 

 

「ここが妖怪の山ですか初めて来ましたが少々薄気味悪いとこですね。」

 

「そうだな・・・ん、雷牙どうしたんだ難しい顔して・・・気になることでもあるのか?」

 

「・・・先輩の話じゃあ天狗が山の警備を行っていると聞いていたのだが。」

 

「そういえばさっきから一人も見かけないな。」

 

「おそらく霊夢ちゃんが原因だと私は思うな――っ二人とも私の後ろに!?」

 

 

あかりは雷牙に返答を返している最中に前方から何かが向かっているのを察知し、すぐさま羽を展開し鱗粉を辺り一面にばらまいた。

 

あかりたちに向かってきていたものは鱗粉によって遮られ消滅した。

 

 

「(鱗粉に遮られたってことは今のは弾幕ってことね)出てきなさいそこにいるのは分かっているわ。」

 

 

森の陰に隠れている者にあかりが告げた。

 

 

「ありゃりゃ姉さんバレちゃってるよ。」

 

「・・・そうね。」

 

 

森の影になっている部分から二人の少女が姿を現した。

 

 

「(この気配からしては彼女たちは神よね。でもなんでボロボロなの?)ひとついいかしらなんで私たちに攻撃を仕掛けてきたの?」

 

「えっあなた達ってさっきの赤白の巫女の仲間じゃないの?」

 

「(そういうことか)知り合いではあるけど仲間じゃないわ。」

 

 

それを聞いた二人は後ろを向きヒソヒソと話し始めた。

 

 

「(どうやら勘違いで攻撃してしまったわね。)」

 

「(どうしよう姉さん。)」

 

「(それにあの人たちよく見れば天狗の新聞に載ってた守護神の方たちよ。)」

 

「(・・・マジ?)」

 

「(マジよ。)」

 

 

二人の間に数秒の沈黙が続いた。

 

 

「(ちょっと姉さんどうすんの!?私らみたいな末席の神が守護神なんていう最高神に手を挙げたなんて知られたら・・・)」

 

「(間違いなく消されるわ。)」

 

「(姉さん、ここは・・・)」

 

「(ええ。)」

 

 

二人は話を終え、あかりたちの方に顔を向け走り出した。

 

あかリたちは仕掛けてくると感じ身構えた。

 

二人は同時にジャンプ、そして―――

 

 

『申し訳ありませんでしたーー!?』

 

 

綺麗なジャンピング土下座をした。

 

それを見たあかリたちの思考が停止した。

 

すぐに意識を覚醒させたあかりは土下座をしている二人に慌てて話しかけた。

 

 

「ちょ、ちょっといきなり土下座なんかしだしてどうしたの!?」

 

「しゅ、守護神様と知らず手を挙げてしまい申し訳ありません!?」

 

「何卒、ご勘弁を・・・」

 

「えっと、私ら別に攻撃したからって何もしないんだけど・・・そうだよね?」

 

 

あかりは自分の後ろに立っている大介と雷牙に話しかけた。

 

その二人は言葉を発しなかったが首を縦に振るう。

 

 

「だから頭上げてくれないかな。」

 

 

頭を下げていた二人はあかりたちの顔を伺いながら顔を上げた。

 

 

「えっととりあえずあなたたちの名前を教えてくれないかしら。ちなみに私は蝶野 あかりで後ろにいるのが茶髪の方が地場 大介で金髪の方が小金井 雷牙。」

 

 

紹介された大介と雷牙はよろしくといった。

 

 

「私は秋 静葉・・・紅葉を司る神。」

 

「わ、私は秋 穣子、豊穣の神です。」

 

「静葉ちゃんと穣子ちゃんだねよろしく。それでね二人に聞いてもいいかな。」

 

「・・・なんですか」「何?」

 

「ここに霊夢ちゃんじゃあ分かりにくいから赤と白の巫女服着た女の子が来なかった?」

 

 

秋姉妹は巫女という言葉を聞きブルブルと震え始めた。

 

 

「一方的に弾幕放ってきて、応戦しようとスペカ使おうとしたら結界で拘束されて逆にスペカをお見舞いされて――」

 

「倒れている私たちをたたき起こして『守矢神社はどこだー!?」って首元ひっつかんで血走った目で睨みつけてきた――」

 

「「鬼神のようにしか見えなかった紅白の巫女。」」

 

 

しかもその時の霊夢を目の当たりにした二人は――

 

 

「・・・あれは本当に巫女なのかと思った。」

 

「正直言って殺されるんじゃないかと思ったね。」

 

 

と顔を真っ青にしながら口走っていた。

 

3人はそれを見てはぁとため息をはいた。

 

 

「・・・私たちも聞いてもいいですか?」

 

「そうだねこっちの質問に答えてくれたんだからいいよ。」

 

「あなたがたもその『守矢神社』ってところに用があるの?」

 

「うん私たちの先輩からの依頼でね。」

 

「もしかして場所を知ってるのか?」

 

 

雷牙がそう秋姉妹に訪ねるが、

 

 

「「知らない。」」

 

と秋姉妹は首を横に振りながら答えた。

 

まさかそのような言葉が返ってきた事に驚くあかりたち。

 

あかりは少々戸惑いながらも聞いてみた。

 

 

「で、でも霊夢ちゃんには教えたんでしょ?」

 

「山の上の方が騒がしかったってその巫女に言っただけ。」

 

「だからその『守矢神社』かはわからない。」

 

「そ、そうなんだ・・・まあ居場所がわかっただけでも収穫かな。」

 

「だな。」

 

「それよりも早く行かないと霊夢の嬢ちゃんのせいでさらに被害が広がっていくぞ。」

 

「そうだね、ありがとう二人共それじゃあ。」

 

「ホイじゃまたな。」

 

「また会おうぜ。」

 

 

3人は情報を提供してくれた姉妹にお礼を言った後、空へと飛び上がり『妖怪の山』の頂上を目指して飛んでいった。

 

飛び去っていった3人を見送った秋姉妹はそのまま森の奥へと向かって歩いて行った。

 

 

 

 

一方、外界でギャオスの掃討を行っている玄武たちはというと―――

 

 

 

「あーもうなんだよこの数は!?ゴキブリじゃあるまいしどれだけ湧いて出てくるんだよ!?」

 

「無駄口を叩くのではない飛鳥、愚痴を言う暇があるのならば一匹でも多く仕留めることに専念しろ!」

 

「んなこたぁわかってるんだよ!?」

 

 

青い炎をまとった蹴りを浴びせながらギャオスを燃えちらしていく飛鳥。

 

フーも風を両腕に纏い、カンフー技を駆使して粉々に吹き飛ばしたり切り刻んでいった。

 

玄武とさとりと竜也の三人は喋らずに黙々とギャオスの掃討に専念していた。

 

この時玄武の額に青筋が浮かんでいたことに誰も気づくことはなかった。

 

 

 

ギャオスの掃討終了まであと500匹

 

 



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妖怪の山異変 STAGE 2

 

 

 

秋姉妹と別れたあと、あかり達は『妖怪の山』の麓より少し進んだ森の中を飛行していた。

 

 

「霊夢ちゃん、ほんとに容赦ないわね。」

 

 

あかりは地面に倒れふしてボロボロになって気絶している妖怪たちを見ながらつぶやいた。

 

3人は倒れ伏している妖怪にお気の毒と思いながら先を急いだ。

 

あれから4、5分が経ち若干森の雰囲気が変わり始めてきた時に雷牙が口を開きこうつぶやいた。

 

 

「なんだか嫌な予感がするな。」

 

「ちょっとやめてよあなたがそういう時に限って本当に起こるんだからね。」

 

「でも雷牙がいうのも頷けるぞここら辺なんか辛気臭い感じが漂ってるぜ。」

 

「言われてみれば確かに・・・」

 

「安全が確認できるまで進むのはよそう。」

 

 

雷牙の提案を受け入れた2人は頷き、3人はその場で停止した。

 

3人は目を閉じ感覚を研ぎ澄ませ辺りを探ってみるとまるで納豆のようなネットリとする陰湿な気配があたり一面に広がっていた。

 

 

「うわぁここまで酷いもん見たの初めてだぜ。」

 

「・・・相当広がってはいるが害意はないみたいだ。」

 

「なんだろうねこの陰湿な気配・・・」

 

「おいこの気配森の奥からにじみ出てんぞ。」

 

 

大介はその方向を指差した。

 

3人は顔を見合わせその方向目指して飛行していった。

 

すると緑の髪をした女性がくるくると回りながら現れた。

 

しかも陰湿な気配を放つ靄のようなものを纏って。

 

 

「こんにちは。」

 

 

緑の髪の女性が挨拶をしてきたのでこちらもこんにちはと挨拶を返した。

 

 

「あなたたちは確か新聞に載っていた守護神様たちですよね。」

 

「ええそうよ。」

 

「悪いことは言いませんこれ以上ここから先に進むことはお勧めできません。」

 

「それはできんなこちらも依頼で動いているんだ邪魔をするんだったら容赦はしないぜ。」

 

 

そう言って大介は相手に向かって一歩踏み出したとたん横からいきなり大木が倒れてきた。

 

大介は少々驚いたがすぐにその大木を破壊した。

 

 

「いきなりとはいい度胸だな。」

 

 

大介は指の関節をパキパキと鳴らしたあと、その女性めがけて走り出した。

 

しかし女性に近づいていくごとに木が倒れてくるのはもちろんのこと、イモムシや木の実などが上から降ってくるなどのことが大介に起こっていた。

 

それに合わせるようにその女性からも弾幕が放たれ、大介に襲いかかってきた。

 

大介は両腕を駆使して払いのけ木やイモムシを払い除け、弾幕に対しては能力を駆使して地面の土を隆起させて壁を作るなどして防いでいた。

 

隆起させた地面の影に隠れた大介は地中へと潜り、相手へと迫っていった。

 

女性は大介が一向に土の壁から出てこないことに不思議に思い様子を見ていた。

 

しかし突如後ろからボコンという音がし、後ろを振り返ると―――

 

地面から飛び出し拳を振り上げる大介の姿が目に映った。

 

女性は目を見開いて驚いたが直ぐに彼女は自身を回転させ弾幕を放ち始めた。

 

大介は顔をしかめ、その場から弾幕を避けながら後方へと下がった。

 

 

「そう簡単に攻撃はさせてくれないってことか。」

 

「まさか地面を潜ってくるとは思いませんでした。それでしたら。」

 

 

女性は体を中に浮かせ、スペルカードを発動させた。

 

 

「厄符『厄神様のバイオリズム』。」

 

「かなり濃ゆい弾幕だな。だがそう簡単に行かねえぜ。」

 

 

大介は片手を地面に向けると地面の一部が隆起し始め、それを鞭のようにしならせて弾幕を破壊していく。

 

時間が経つにつれて女性の放つ弾幕は徐々に土の鞭に押され始め、ついにはを突破を許してしまう。

 

女性はそれを見て弾幕を撃つのをやめ、森の上空へと避難した。

 

しかし大介があとを追ってこないことに気づいた女性は地上に顔を向けた。

 

すると地上に立ったままの大介がそこにいるのが見えた。

 

 

「(もしかして彼は飛べないのかしら。なら上空から攻撃していけばこちらにも勝機がある)疵痕『壊されたお守り』」

 

 

地上に向けて弾幕を打ち始める女性。

 

大介は迫り来る弾幕を土の鞭で打ち落とすがさすがに先ほどよりも弾幕が多いいため、今度はサーフィンするように地面を滑りながら交わしていく。

 

女性は弾幕を撃ち続けるが大介の動きが早くて捉えきれずにいた。

 

そうしていたらスペルカードの有効時間が過ぎ攻略されてしまった。

 

その隙をつき大介は女性目掛け赤色の弾幕を放つ。負けじと女性も通常の弾幕を放ち応戦する。

 

激しい攻防が続くがやはり戦闘経験の差から徐々に女性の方が押され始めた。

 

 

「俺も一つ言ってみますか地神『尖鋭奇岩』!!!」

 

 

大介が地面に手をつけると地面から槍のような形をした岩が出現し女性めがけて発射された。

 

女性は発射された岩の弾幕に向けて地震の弾幕を放つが岩の弾幕は異常に固く2、3発の弾幕が当たってようやく罅が入るくらいであった。

 

そのため女性は必死の思いで避ける。

 

しかし上空へと消えていった弾幕が自重によって上から落ちてくるため上と下を気にしなくてはいけなくなってしまい体のあちこちに傷が出来てしまっていた。

 

なんとか大介のスペルカードを傷を負いながらも攻略した女性は苦しい顔をしながら大介を見ていた。

 

 

「(やっぱり実力に差がありすぎる・・・これが守護神クラスの神の力・・・)」

 

 

女性は大介の強さに若干恐怖にとらわれ、震え始めた。

 

 

「俺が怖いか?」

 

「っ!?」

 

「だろうな、君も神だから余計に実力差を感じてる・・・そうだろ。」

 

「よく・・・わかりましたね。」

 

「そりゃ俺たちを鍛えてくれた人はこの世で一番すごい人だからな。それぐらいわからないとな。」

 

 

ニッと笑う大介。

 

その表情を見た女性は震えるのも忘れ顔を赤くした。

 

 

「大丈夫か、顔が赤いぞ?」

 

「だ、大丈夫ですから気にしないでください////」

 

「ならいいけど。」

 

 

女性はふぅと息を吐くとあることに気づいた。

 

先程まで震えていたが今はその感覚がない。

 

どうしてだろうと思ったが今は気にしないことにした。

 

 

「一ついいかい。」

 

「なんでしょうか。」

 

「君はなんでここから先に通したくないんだ?」

 

「一応私ものこの山に住まわせてもらっていますからそれなりには天狗さん達の手助けを買って出ているんです。」

 

「なるほどね。」

 

「私からもよろしいでしょうか。」

 

「ああいいぞ。」

 

「依頼とおっしゃっていましたがどのような依頼なのですか?」

 

「『守矢神社』を見つけてそこの神様2柱を捉えろって依頼を受けたんだ。」

 

「そちらの事情もわかりました。」

 

「なら『ですがただで通すことはできません』・・・理由を聞こうか。」

 

「やはり勝負の最中ですからあなたがたが勝てばここを通ってください。」

 

「負けたらどうすればいい?」

 

「そうですね私の頼み事を聞いてください。それが終わり次第上へと向かって構いません。」

 

「どのみち上にいけるんなら戦わなくても良かったんじゃねぇの?」

 

「それはご都合主義ということで。」

 

 

笑いながらそう答えり女性にあははと苦笑いをする大介。

 

しかしすぐに表情を変え、拳を構える。

 

 

「まあ今の君の状況から見てスペルカードはあと一枚ってところが、霊力ももう残り少ないんだろう。」

 

「それもバレていましたか。でもだからといって手加減は致しません。」

 

「そりゃそうだろ手加減されても面白くないしな。・・・そうだあんた名前は?」

 

「鍵山 雛です。」

 

「雛か・・・いい名前だな。」

 

 

二人はスペルカードを構え、発動させた。

 

 

「創符『流刑人形』!!!」

 

「地の神槍『波羅護吽』!!!」

 

 

全方位に放たれる弾幕と黄金色に光る槍が中央でぶつかり合い、辺りは光に包まれた。

 

 

 

 

 

―――――――――――

 

 

 

 

 

―――――――

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

「やはり勝てませんでした。」

 

 

ボロボロになった状態で地面にペタンと座り込んでいる雛。

 

でもその顔は悔しそうな表情ではなく、すっきりした表情をしていた。

 

 

「私の役目は終わりました。どうぞ先に進んでください。」

 

「そこまでボロボロにしておいてそのまま進めるわけないってーの。後味悪すぎて気になっちまうよ。」

 

「しかし・・・」

 

「それにほかの二人が既に先に進んでるからな心配いらない。」

 

「い、いつの間に・・・」

 

 

頬を引きつらせながら雛は大介に問う。

 

 

「俺らが弾幕ごっこしている間に。」

 

「・・・」

 

「それより腕だしな。」

 

 

雛は素直に腕を出し、大介から手当を受けた。

 

 

「そういや聞かなかったが一体何の神なんだ雛は?」

 

「厄神です。」

 

「厄神・・・道理で俺に厄い事が起きていたわけか・・・」

 

「すみません。でも今はなぜ大丈夫なんですか?」

 

「さっき俺の使ったスペカをくらっただろ。」

 

「ええ。」

 

「あのスペカはなただダメージを与えるだけじゃなくてだな負の念などを浄化させることができるんだ。」

 

「ということは。」

 

「雛の集めていた厄も綺麗さっぱり浄化されたんだ。うまくいくかどうかわからんかったがな。」

 

 

あははと笑いながら言う大介。

 

それを雛はポカンと口を開けて大介を見ていた。

 

しかしすぐに笑みを浮かべ笑い始めた。

 

 

「んじゃ手当も終わったことだし俺もそろそろ行くよ。」

 

 

そう言って立ち上がり、地面の一部を隆起させそこに足を乗せ進もうとしていた。

 

そこへ雛が声をかけてきた。

 

 

「あの、まだあなたのお名前教えてもらっていないのですが。」

 

「すっかり忘れてた。俺は地場 大介だ。」

 

「大介さんですか、また会えますか?」

 

「会えると思うぜ。それじゃあな。」

 

 

そう言って大介は盛り上がった地面をサーフィンのように滑りながら山の頂上へ進んでいった。

 

 

 

 

 



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