(再)宇宙最強一家の長男 (間呂-アップグレード中-)
しおりを挟む

第1章 自分の為の誰かの為
1-1


 

 

 

 

 

 

 

______________________________________________

 

 

唐突ですが初めましてっ!

ジン・ベルブ・デビルークと申します!

名前からわかる方もいると思います。

そう!デビルーク星の王子なんです!

 

先日、妹から婚約者候補を地球で見つけたと聞き、今日から地球へ行き、妹の様子を見に行こうかと思っています。妹とは言っても双子ですけどね。

実は僕が王になるはずだったのですが、堅苦しいのは苦手なので断りました。口調は気にしないで!

何よりも父の後継者になる為だけに結婚なんてしたくないので。ちゃんとした恋愛もしてみたいですし。何処ぞのサド将軍じゃないですが。

まあその様なことがあって当然、妹のララの夫が後継者になるのです。だから妹に責任を押し付けてしまったほんの少しの報いとしてその婚約者候補を見極めに行きます。

その方と父のギドが会いに行った様ですが中々見込みのある人間だったそうです。

どうせ誰でもいいから王座を押し付けて自分はのらりくらりと自由に生きていきたいだけでしょうけど。

発展が不十分な地球で、しかもデビルーク人とは比べ物にならない位貧弱な地球人がララの婚約者候補っていうのが心配です。ララが何処ぞの馬の骨にひっかかっていたらただじゃすませません、婚約者候補を。まあ父が既に会いに行っているのでそれはないはずですけど。

 

「お兄様!」「兄上!」

 

宇宙船に入ろうとしていた僕を呼び止める甲高い声2人の声が聞こえてきました。行儀の良い呼び方で呼んだのが末っ子のモモで、言葉遣いと立ち振る舞いが少々男気のある子が次女のナナ。僕の妹達です。

小さい頃から2人は僕の服の袖を掴みとことこ後ろを歩く位のお兄ちゃん子(確信) 自分で言うと恥ずかしい(ドヤ顔) 慕われることは嬉しい限りです。モモは最近なつかなくなっていますけどね......... 反抗期、ぐすんっ

僕はモモ達の方を向き

 

「どうしたのですか2人とも?」

「どうしたもこうしたもありません!」

「そうだぞ!なんで姉上のとこに行かないといけないんだよ!しかも急過ぎるぞ!」

「んー、急でしょうか?2時間ほども前から父上に相談して許可を頂いたのですが」

「だから急だってっ!」

 

 

ジト目で僕の顔を見ている。いやんいやん恥ずかしー美少女に見つめられるな・ん・て♡(棒読み)

まあ確かに急ですね。自覚しています。

それでも心配は治らない。それどころか刻一刻と更に増している。なんかトラブるに巻き込まれてそう。

 

「僕は地球に長く滞在するかもしれない。ザスティンもいない今は隙だらけ。用心して過ごしなさい」

「........じゃああたしらも行く」

「私も今回はナナの案に賛成です」

「今回父上に許可したのは僕1人です。また今度一緒に行きましょう。長くても2、3ヶ月位しか居座るつもりはありませんから。約束は破りません」

「........そうじゃありません。地球に行きたい訳でも、私達の護衛をしていただきたい訳でもありません。只々お兄様が心配なのです」

 

正直、僕を心配する要素はない。簡潔に説明すれば、宇宙最強の子供。子供は親に似る。宇宙では僕の名前を聞いただけで気絶する方もいる位ですから。

しかし嬉しいものです。連れて行きたいのは山々ですが許可をもらったのは僕だけなので。

 

「心配してくれているのは本当に嬉しいです。ですが戦争に行く訳でもないですし安心してください。さっきも言いましたよね?約束は守ります」

「........わかったよ。でも守るって言ったからにはちゃんと守るんだぞ!」

「じゃあいい子にしていなさい」

「「ん〜」」

 

僕は2人の頭を撫でてあげた。目をを細めて気持ちよさそうにしています。上手なのかわかりませんが喜んでくれるのでいつも撫でてあげています。でも暫くはお預け。ですからその分いつもより長く丁寧に撫でてあげてました。

 

「行ってきまーす!」

「「行ってらっしゃい!」」

 

宇宙船にエンジンをかけてデビルーク星を出た。

地球ならすぐに着くでしょう。

それよりどうやって彼と接触しましょうか...?父がララは高校に通っていると言っていたのを思い出し、これから向かう『彩南町』の付近にある高校を探した。

 

目的地は決まった。

 

『彩南高校』だ

 

 

________________________________________________________________________

 

 

 

 

数分後、俺は彩南高校の屋上に着地した。

僕の宇宙船はステルス機能を搭載しているものですから誰にも見られていないはず。

取り敢えずこの学校の長たる人物にテンコウの許可を頂きに行きましょう。

地球に来る途中に漢字もある程度勉強したのでコウチョウシツに長がいることは間違い無いでしょう。

コンコンと扉をノックした。これは地球人の入室の許可を求めるサインらしい。

 

「どうぞ」

「失礼しま........す」

 

中に入ると半裸の変態がいた。しかも下半身。幸い変態は後ろを向いているので男性の汚物は見えずその代わりだらしない大きなお尻が丸見えだ.............正直に言ってキモい。近づきたくない。でもララの為ですっ!

 

「御校に編入したいのですが?」

「お名前を聞いてもよろしいですかな?」

「はい。ジン・ベルブ・デビルークと申します。一年生です」

「よろしい!ぐふぃふぃふぃふぃっ!綺麗な妹さんをお持ちでっ!ぐふっ、ララちゅゎ ブフッへ!」

 

ララを気持ち悪い呼び方で呼んだので殴りました。反省も後悔もしていません。寧ろ清々しいくらいです。コウチョウらしき変態はピクリとも動かないですが........ いいでしょう。

 

 

僕は骨川先生に案内され1-Aの教室の前に来た。

 

「みなしゃん、とょうはしぇんこうせんが来ました」

 

教室がざわつき始めた。というか骨川先生、もう退職なさった方が宜しいのでは?

合図があったとこで僕は教室に入った。

次に瞬間、一気に静まりかえった。気まずい........

 

「どうも。僕の名を答える前に妹のララ・サタリン・デビルークの婚約者候補の方はいらっしゃいますか?」

「ジン⁉︎久しぶり!なんで彩南町にいるの?」

「ララですか。なんでじゃありません。そもそもララがここにいる方がおかしいのです!それで何処なのですか婚約者候補の方は?」

「うん!リトだよ!ね〜リト!」

 

ララがそのリトとやらの名前を発して直ぐ彼にクラスの視線が一斉に注いだ。

 

「あなたが婚約者候補のリトさんですか?」

「え?あ、はい。.............納得してないけどな」

「..........................と言いますと?」

 

ララの何処が不満なのでしょう。顔は勿論の事、体型も引っ込むとこは引っ込んでいて、出てるとこは出て、男性にとっては性的欲求を向ける格好の獲物だと思うにですが... しばき倒してやりましょうかこの人

 

「いや気にしないでくれ。結城リトって言うんだ。気軽にリトって呼んでくれ」

「納得いきませんがいいでしょう。妹がお世話になっています。ジン・ベルブ・デビルークと申します。どうぞジンとお呼びくださいリトさん。よろしくお願いします」

「おう」

「皆さん、お騒がせしてすみません。以後慎みます」

 

 

・・・・・

 

『きゃぁぁぁっっ!』『イケメンっ!イケメンよっ!』『むっさい男子くらいしかいない学校に爽やか系とワイルド系両方兼用のイケメン瀑誕!』

 

「......?」

 

 

一礼した後、女子の黄色い声が聞こえてきた。

 

イケメンってどういう意味なのだろう?

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

1-2

実は、リメイク前作品の1周年が昨日でした。
本当は明後日までに終わらせるつもりでしたが「めでたい日だー」と思って速攻残りを書き上げましたー 間に合いませんでしたけど。 テヘペロ



 

 

____________________________________

 

午前中の授業が終わり、学生にとっての待ち遠しい長時休息時である昼休み。この時間をどう有意義に過ごすかが良い学校生活の決め手になると言っても過言ではありません。特に僕は学校の授業内容はどれも既にデビルークで似たものをやっていたので退屈で仕方ありませんでした。元々こういう知能を必要とするものはララの領分であり、(不本意ながらも)戦闘派の僕の特手ではありません。ララはやはりリトさんとより長い時間一緒にいたいから学校に通ってるんでしょう。他のお友達とも授業の合間に楽しそうに話していたのを頬を緩ませるのを我慢しながら見ていました。

 

僕ですか?

毎回休み時間の終わりのギリギリに起きてしまって友達の作る時間がなかったんです。授業は退屈で5分も持ちませんから。あー、暇だなー。

僕が腕枕で外を眺めながらぼーっとしているとリトさんが話しかけてきました。

 

「昼食、一緒に食べないか?」

「あー、いえ。食べ物を何にも持ってきてませんので。しかし少々退屈だったので話しかけてもらえて嬉しいです」

「あはは、ずっと寝てたもんな。じゃあ俺でよければ話相手くらいにはなるよ」

「お気遣い痛み入ります」

 

同情されていたりしてないか心配です。プライドがありますからっ!この様な気遣いが誰にでも出来る人でしたらララ任せられますね

 

「前にジンについて聞いたことがあるよ。ジンがあとを継いでくれていたら自分が結婚しなくてもすんだのに!って会った当初に言ってたし」

「........当然ですね」

「あ、別に責めてるわけじゃないからな!」

「はは、お気になさらず」

「ただ悪い奴じゃなさそうで安心したよ。ララの親父があの愚息がわがままだからって言ってたから」

「実際そうですけどね」

「なんか理由でもあったのか?」

「初対面なのに随分首を突っ込んでくるんですね」

「え、い、いやそんなんじゃ」

 

僕の意地悪な発言に対して、慌てて首を振るリトさん。ここまで過剰に反応するとは思わず、少々後悔の念が。あといい加減首もげますよ

 

「ふふ、冗談です。ただ父と同じ理由です。面倒くさいからですね」

「........悪い、ララと似てないと思ってたけど何処か少し抜けてるんだなって思った」

 

随分フレンドリーなんですね。ここまでコミュ力高いとは感心しちゃいます。

 

「まあそれだけが理由じゃないんですがね」

「?」

「あと恋がしたかったんです」

「........は?」

「恋がしたかったんです」

 

驚くことじゃないんですが...?

 

「王になって何かに縛られながらする恋なんてつまらなそうですし。やはり唯のわがままですね」

「王族はそういうもんなのかな?」

 

僕とリトさんは目線を教室のど真ん中に移し、恐らく僕の同じ考えを持つ女性の方へ向く。

そんな女性の天真爛漫な笑顔に苦笑いを隠せない傍観者2名。

.....飼い主によく似るとはこういうことを言うんでしょう←ちょっと違う

 

「...ふふっそんなもんです」

 

 

「お時間とってしまいましたね。お食べにならないんですか?」

「お、忘れてた」

「ふふ、お昼時にする話じゃありませんでしたね」

「重かったな。やっぱり一緒に食うか?少し分けるぞ?ララもジンと話したそうだし」

「ではお言葉に甘えて」

 

正直ありがたいです。お腹すきましたし。でもリトさんもそうでしょうからここは我慢すべきでしょう

 

「ジーン!早く一緒に食べようよ!」

「ほら、呼んでるぞ?」

「では是非。それとご飯は自分でお作りになられているのですか?まさかララじゃないですよね?ね?」

「俺の妹だ。........ダークマターが怖いからな」

 

あれを食べさせられたのですね。本当に申し訳ない。それによく死なずにすみましたね。

ララの友達がいらっしゃる席に着きました。ララを含めて5人いますね。

 

「ララがお世話になっています。兄、と言っても双子ですがジン・ベルブ・デビルークです。よろしくお願いします」

「似てねーのな。俺は猿山、よろしく!」

「仰る通りですね。目の色しか共通点ないですから」

「籾岡里紗でーす!なんか硬いねー、本当ララちぃーと似てないね〜」

「沢田未央でーす!」

「よろしくお願いします。徹底的に仕込まれたので」

 

みなさんもフレンドリーですね。でも猿山さんはララに近づけてはいけないと本能が、校長に通ずる何かを................ いえ失礼でした。気のせいですね、忘れましょう。

籾岡さんと沢田さんは軽すぎますね。地球の"りあじゅう"という分類に入っているのでしょう。

もう1人いらっしゃいますね。前髪を留めて如何にも真面目な雰囲気がします。

 

「西蓮寺春菜です。学級委員だからわからないことがあったら何でも聞いてね」

「よろしくお願いします」

 

んー、大和撫子とはこういうことですかね?

兎に角皆さんフレンドリーってことしかわかりませんでした。もう単刀直入に聞いてみましょうか。

 

「僕はララの婚約者候補の方、つまりリトさんに会いに行きました。どのような方かわからなかったので。皆さんはララがリトさんの何処が好きになったとお思いで?」

 

 

皆さん黙りしてしまいました。

何故でしょう?

特に西蓮寺さんなんか固まってしまっています。

やはりまだ信頼関係が築けていないのでしょう。ララに聞いても曖昧な事しか出て来ないでしょうから聞きません。

 

「(ぷーくすくす、よりにもよって春菜がいるところで聞くとは)んー、じゃあ春菜にとって結城の好きなところは何処なんだろーねー」

「「え⁉︎」」

 

籾岡さんの質問に西蓮寺さんとリトさんが驚いていました。何故でしょう?

 

「わ、私のことよりジン君は何で跡継ぎじゃないの?」

「あー、それ思った。ララちぃーよりカリスマ性ありそうだけどなぁー」

「てゆーかお前が先に生まれたならお前がなるんじゃねーのか?」

「先ほどリトさんに説明させていただきましたが面倒くさかっただけですね」

 

ララの先ほどまでの天真爛漫な笑顔は、僕の一言で怪訝そうな表情に変わる

 

「そうだった!もー何で私なの!何でジンは面倒くさいだけで辞めちゃったの!」

「ララ!」

「良いですよリトさん。それだけじゃありませんよ?恋をしたかったからですね。」

 

場の空気が凍りました。

 

何で地球はすぐ会話が止まるのでしょうか?

 

「ララちぃーの双子だ」

「うん、急に似て見えてきたよ」

「そうでしょうか?」

 

皆さんが共感するところにララが

 

「それだけ⁉︎」

 

超特大ブーメラン投げてる

皆さん呆れてますよ。

それに無性に腹が立ちました。

 

「ララも好きな人できたでしょう?もしリトさんが王にならなかったらまた僕に回ってしまいます」

「何でジンは自分勝ってに物事を考えるの!」

「貴方だって勝手にデビルークから逃げたじゃないですか。自分勝手はどちらでしょう?」

「それとこれは関係ないでしょ!大体リトが王様にならなくてもナナとかモモもいるでしょ!」

「それが自分勝手っていうんです!」

「何でジンはいつも自分の行動を正当化しようとするの!そんなんだからパパは後継者を辞めるのを止めなかったんだよ!」

「何でララにそんなこと言われないといけないんですか‼︎人が心配して地球まで来たのにあんまりです!」

「誰も頼んでないもん!」

「け、喧嘩はやめて」

「「春菜(西蓮寺さん)は黙って!」」

 

すみません!

でもララの一語一句全てが嫌味に聞こえて止まらないんです!何で喧嘩しなきゃいけないのですか!もう!

 

「もうジン何て嫌い!大大大大っ嫌い!早くデビルークに帰っちゃえ!バカ!」

「ララ!」

 

ララは走って教室から出てってしまいました。

はぁ、しょうがないですね。確かにララの言う通りですからね。皆さんに迷惑だったでしょうか

 

「お騒がせしてしまいました。転校初日からご迷惑をお掛けしてすみません。今日はもう帰らせていただきます

西蓮寺さん、骨川先生にお伝え願います」

 

と言って教室から出た。

明日はぼっち確定でしょうね。

 

「ジン!行くとこないならうち来るのか?ララと仲直りできるかもしれないぞ」

「優しいですね。でも今回はお断りさせていただきます。ララも僕の顔を見たくないでしょうし」

 

行く宛なんてないですけど。

 

___________________________

 

道何てこれっぽっちも知らないので適当に彷徨い歩いていたらお店がいっぱい場所に着きました。商店街と言われれるところでしょう。

地球の娯楽は宇宙一といわれていますからね。面白い道具や美味しい食べ物が沢山ありそうですね。

まずは何か食べましょう。結局お昼は何も食べれませんでしたし。

ん?魚に形をしたパン?がありますね。タイヤキ?生地の中に鯛が入っているのでしょうか?腹持ち良さそうですね。食べてみましょう。

 

「すみません、たい焼きをおひとつください」

「にいちゃん、味は何にするんだい?」

「?中の鯛の味付けですか?」

「何言ってんだにいちゃん、鯛は形だけだぜ。中にはあんこやらカスタードやらが入ってんだ。外国から来たのか?」

「え、あ、そうのようなものです」

 

恥ずかし過ぎます。死にたい。

でもそれ詐欺じゃないですか!大体形を鯛にする必要性皆無ですし!訴えてやります!冗談です。

 

「で、味はどうするんだい?」

「で、ではカスタードとやらで」

「いくついるんだい?」

「ふ、ふたつお願いします」

「今作っから待っときな」

 

穴があったら入りたい........

ものを頼むだけでこんなに緊張しないといけないんですか?愛想の良い人なのですが

 

「あいよ、300円な」

「いただきます」

「それは良いんだがお金は?」

「へ?」

「お金だよお金。ないと渡せないよ」

 

ヤバイです。

宇宙共通の金貨は地球では使えないじゃないですか!どうしましょう!お店の方にご迷惑をお掛けしてしまって。ああー!パニックです!もう宇宙船に急いで戻るか、でもわざわざ作っていただいたのに。

 

 

「すみません」

 

パニクってた僕に誰かが話しかけて

振り向く先に居たのは

 

 

 

 

「そこ、退いてもらえますか」

 

 

 

 

綺麗な金髪の少女でした。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

1-3

 

 

振り向く先に金髪美少女、いえ美幼女でしょうか?まぁそこまで幼くは見えませんけど。目が燃えるような紅色で顔の作りがまさに人形の様でした。

 

 

「........その尻尾、デビルーク星人ですか。プリンセス・ララの関係者ですね?」

「ララの知り合いですか。双子の兄にあたる存在ですね。ジン・ベルブ・デビルークです」

「........似てませんね」

 

なぜか地球にきて似てると言われる様になっています。僕が女々しく見えているのかララが男っぽく見えるのか何方かは謎でした。まあ皆さん最初は似てないと言っていましたが。

それより僕って警戒心無さ過ぎですかね?簡単にこんなに情報流してしまってよかったのでしょうか?まあ良いでしょう。

 

「いつものください」

「あいよ。にいちゃん、お金持ってないなら先にヤミちゃんにあげてもいいか?」

「........すみません。出直します」

「........」

 

まずいですね。お金なんてこれっぽっちもないのに。餓死してしまうのでしょうか? はぁー、宇宙船に何かあるかもしれませんね。

また学校に戻らなければならないじゃないですか。面倒くさいです。

そんなことを考えている僕にヤミ?さんが話しかけてきました。口にたい焼きを1つ頬張ってました。

 

「........今回は奢りですが、ちゃんと返してもらいます」

 

たい焼きをいただきました。

ここに天使がいらっしゃいます。地球ではここでドゲザするべきなんでしたっけ?

まあ地面、汚いですしイヤデスケド

その代わりに

 

「有難く頂戴します‼︎」

 

きっかり90度礼しました。ふっふん!これぞ日本男子!これぞ大和魂です!←

敬語もおかしいでしょうか?

 

「いえ、今すぐ返してもらいますから」

 

たい焼き奢る代わりに命を寄越せって?

........なにそれ怖い。

 

 

「........貴方の結城リトの情報が欲しいです」

「.....ほっ、しかし役に立ちそうな情報があるかわかりませんが良いですか?」

「........はい」

 

話相手になってということでしょうか?僕より長くここにいるならリトさんの事知っててもいいはずですから。

 

そして僕とヤミ?さんは公園のベンチに移動しました。色々な話を聞き、彼女は暇していたことがわかりました。だってリトさんの話なんて殆どしていませんから。このたい焼きは絶品だとかプリンセス・ララはお強いなどですね。

気づけば夕方、ヤミさんは決して笑顔ではなかったのですが楽しんでもらえたでしょう。どこかそんな感じがします。

役に立つ情報も聞けましたし。主にたい焼きの名店どころとか。

 

「長々とお話していました。貴方の親御さんも心配していそうですし帰らないとですよ」

「......親はいません」

「え、あー失礼しました」

 

またしんみりしてしまいました。

いけない話をしてしまいました。

それに

 

「........ヤミさんにとって兄妹の喧嘩は羨ましく思えるのですか?お答えにならなくても構いません。........ただ今日ララと喧嘩してしまって、でもそんなことが出来るのは身近な人が居るからだと思ってしまって。贅沢なんですかね?」

「........ここは私にとって平和過ぎます。それにあたたかくて眩しい」

「........そうですか、わかりました」

わかりません。

 

どう意味なんですか?

まあ羨ましい事だと受け取っておきます。眩しいと言ってましたし。

 

「今日は有難うございました」

「........はい」

 

僕は学校の屋上に急いで向かいました。宇宙船のモニターでモモ達と話をするためです。約束は守らないといけませんしね。

それにしてもヤミさんに見覚えがあったのですが気のせいでしょうか?

 

宇宙船に着いた僕は直ぐにモニター前に立ってモモ達に連絡しました。ワンコールで出たのでびっくりです。

 

「聞こえますか?」

『お兄様遅いです!』

『そうだぞ!モモと地球に黙って行こうと話してモガッモゴッ!』

『ナナ!何で言ったの!』

「........約束は守りなさい」

『........お兄様もです』

「ん?」

『........すみません』

 

まあ此方も悪いですし良いでしょう。でも時間なんて決めてないじゃないですか。だから僕は遅れていません!屁理屈ですか?異論反論講義質問等は一切受け付けませんので。

 

『あたしはえらいか⁉︎ちゃんと正直に言ったぞ!えらいよな!』

「ふふ、ええそれはもう」

『........贔屓です!』

「そんなんじゃありませんよ。モモは普段から良い子ですよ」

『ですってよ、ナナ。私は普段からえらいんです!」

『別にいいし、モモは幼稚だな』

『なんですって!』

「やめなさい見苦しいですよ2人とも」

『『........はい』』

 

大事な妹達が争っているところなんて見たくありませんから。家族は何にでも変えがたい大切な........言ってて悲しくなりました。

 

『それで兄上、姉上の婚約者候補はどんな奴だったんだ?』

「あー、はい。優しい方でしたよ?まだ1日目なのでよくわかっていませんが」

『お姉様はどうなさっていらっしゃるのですか?』

「んー、元気じゃないんですか?別にこれといって変わってはいません」

『........後継者関係で嫌われちまったのか?』

「そのようです」

『そのようですじゃありません!他人事じゃないですよ。

喧嘩でもしたのですか?』

「ええまあ」

『『........はぁー』』

 

むっ!何故溜め息なんてされなきゃいけないんですか!あれですよ!喧嘩する程仲が良いって奴ですよ!異論反(ry

 

「まあ目的が達成出来次第、直ぐにデビルークに戻りますよ。........僕の責任ですし後継者を継ぐかもしれません。貴方達がやりたいと言うなら別ですが」

『『........』』

「........大丈夫ですよ。元々ララに押し付けていただけですし。ララも地球に残りたいでしょうから。

........貴方達に支えて頂ければ満足です。強制するつもりはないですから」

『『もちろん(!)(です)』』

「じゃあもう寝る準備をしなさい。寝坊は美容の天敵ですよ」

『『はい、おやすみなさい』』

 

モニターの電源を切った。

照れますね。

やっぱり一緒に来れば良かったです。若干心細いですから。

本当はもう帰っても良いんですがヤミさんに恩を返さないといけませんから。

 

はぁ、明日に学校が憂鬱です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何とか寝れました。

昨日は色々な事がなりましたね。ララと喧嘩したり、たい焼きをヤミさんに奢ってもらったり。

今日もまた何か起きそうです。

張り切っていきましょう!

8時前後に宇宙船船を出ました。学校の屋上に止めてるので直ぐに着きます。ばれたらまずいですから早く移動しないと。

教室には既に数人の生徒がいました。昨日はぼっち確定だと思ったのですが杞憂でした。色々な人が話しかけてくれました。

 

「おはようジン」

「おはようございますリトさん」

「........」

 

リトさんとララが教室に入ってきて挨拶をしてくれました。リトさんだけ。問題のララといえば、頬をプクーッと膨らませてそっぽ向いています。.....子供ですか

まあ良いでしょう。昨日決めました。目的を達成させる。ララは我慢。それしかありませんから。

 

「昨日はどうしてたんだ?」

「宇宙船で寝泊まりですね」

「結局昼食一緒に食べなかったけど大丈夫だったか?」

「大丈夫、と言いたいところですが正直まずかったです。餓死するところでした」

「大丈夫かよ。今日なんか食べたのか?」

「いえ、お金がないので」

「........」

 

なんかララを責めてるみたいですね。そんなつもりは一切ないですが。

 

「........本当今日うち来いよ。ララも良いだろ?可哀想じゃないか」

「嫌だっ!」

「........はぁー、ジンが可哀想だろ」

「リトさん大丈夫ですよ」

「じゃあ今日どうするんだ?本当にまずいんだろう?」

「アルバイトでもします」

 

どうせこれ以上居ても無駄ですし。ヤミさんに恩を返せるよう努めるだけです。

 

「........まさかもう帰るなんて言わないよな?」

「........どうでしょう」

「そんな!」

「2人とも何話してんの?」

 

籾岡さんナイスです!これで話をそらせます!

 

「おはようございます籾岡さん」

「よっす!で何話してんの?」

「いえ、ちょっと長い挨拶みたいなものですよ」

「ふーん」

「わかってませんね?」

「うん」

それで良いです。

 

それから、西蓮寺さんや猿山さんが話しかけてくれました。その分ララの機嫌が悪化していくだけですが。

一時限目は体育のようです。服はララのペケのようなものを使っています。なんかまたララに怒られそうです。パクんなって。しょうもない。

生き地獄ですね。体力なんて残ってません。昨日今日でたい焼き一個。空腹を睡眠で誤魔化したようなものですから。

 

「この授業は休め。倒れたりしたらマズイって。」

「デビルーク星人を侮らないでください。これでも宇宙最強の子供です。我慢位いくらでもします」

「それをするなって言ってんだよ。水分は?」

「........公園の水飲み場でたらふく「体育なんて無理だ。休め」

 

 

押しが強くなってますね。心配していただけるのは嬉しいですが

 

「昨日サボってしまいましたから。今日は無理です」

「........どうなっても知らないぞ」

 

呆れられましたか。当然ですね。でも頑固なところも僕の個性です。しょうがない。

そして今日の体育は長距離走だそうです。なんでこう相性が悪いやつばっか出てくるんですかね?神に嫌われてしまったのでしょうか?長距離の『う』を『い』にしてほしいものです。

リトさんはこれを聞いてより止めるよう説得してきた。猿山さんも。最初のイメージは悪かったのですが。雰囲気で判断してはいけませんね。

それでも止めません。ええ、頑固ですよ。

無意味だって言われたってやりますよ。目的達成に大事なのはそれに至るまでの過程。何事にも一生懸命取り組んでいったら良い結果が付いてきます。

ララがグラウンドの端からこっちを睨んでますね。おお怖い怖い。

 

スタートの合図が聞こえました。

僕はトップで走っています。倒れるんじゃないのか?とか聞こえますが無視です。

僕の後ろにはリトさんがいます。スポーツがお得意なご様子で。地球人の中ではですがね。

 

僕はただ無情に足を動かしなんとか走り終えました。

 

どうせ倒れるんだろとか思った人、無事ですから。堂々一位を守り通しましたから。

もう体が全然動きませんが。まあ少し休めば学校の間はもつでしょう。少しでも休もうと思い仰向けになっています。

 

「ほら、大丈夫だったでしょう?」

「........やばかったら直ぐに頼れよ」

「もちろんです」

 

この後の授業も難なくこなし(爆睡していただけ)お昼休みになりました。また昼食がないですケド。

お腹すいたぁー!誰か食べ物くれー!敬語がどーした!関係ねぇ!........ごほんごほん、取り乱してしまいました。

 

「ジン、美柑えっと妹がおにぎり作ってきてくれたんだ。一緒に食べようぜ」

 

まただ。優しすぎる!誰かこの大天使を止めて下さい!僕が堕ちちゃいます!いけません!BLはダメです!

タグにないですよ!

 

「それリトのでしょ!ジンなんかにあげなくても良いよ!」

「いい加減にしろよララ!」

「大丈夫ですよリトさん。貴方もお腹が空いてるでしょう?ご自分で食べて下さい」

 

有難うございますねララ。リトさんに迷惑をかけるところでした。こんなの我慢できなかったら

 

デビルークの王に成れません。

モモ達が支えて下さると仰っていました。最後まで付き合わせることは無いですが。何処までも他人任せな僕ですがララの為です。我慢しましょう。

 

「では御手洗に行ってきますので」

「ジンのバーカ!早くデビルークに帰っちゃえ!」

「ララ!」

「失礼しました」

 

はあ、宇宙船に戻ろう。

今繋いでも繋がるのでしょうか?

2コールで着きました!何故?駄目元で連絡したのに........ 結果オーライです!

 

『どうしました?学校の時間ではないのですか?』

「今は休憩時間ですから。話相手がいなくなっていましたし」

『何だ?ぼっちなのか?』

『ちょっとナナ!』

「ふふ、ララですよ」

『『あー』』

 

癒されます。ああ今の力の源です!よっしゃ!やってやるぜ!

 

『兄上痩せた?』

『そういえばそうね。どうしたんですかお兄様?ちゃんと食べてますか?』

「うん食べてないですよ」

『『何で(ですか)(だよ)!』』

「大丈夫ですよ。これでも宇宙最強の子供ですから」

『だからって食べないと死んじゃうだろ!』

「しょうがないですよ。お金無いですから。でも大丈夫です。午後から仕事のあてがありますから!」

『『はー』』

「ため息は幸せが逃げますよ」

『『誰の所為(だ)(ですか)!』』

「ふふ、僕ですね。では休み時間もないので切りますよ」

 

こうして休み時間ギリギリに教室に戻ってきました。

 

「ふんっ!」

「大丈夫?ジンくん何も食べて無いんでしょう?」

「杞憂ですよ西蓮寺さん。ほら僕と話しているとララの機嫌が悪くなっちゃいますよ」

「じゃあ飲み物だけでもいいから!はい水」

「助かります。もうそろそろ授業ですから座りましょう」

「うん!」

 

席に着き午後の授業も寝て過ごし、帰りまで時間を潰しました。何で学校に来ているんでしたっけ?本当に無意味に時間を食って我慢して苦しんでいるだけですね。バカです。同情を買いたいわけじゃ無いのに。陰でララと仲直りしたいと思っているのでしょう。

まあリトさんがどのような方なのか大体わかりましたから明日にでも帰りますか。

僕は今日を生き抜くためにリトさんに話しかけました。冗談じゃないんですよ。アルバイトの話ですから。

 

「リトさん、商店街までの道を教えていただけますか?」

「もちろん良いぞ。一緒に行くこうか?」

「ララが嫌がると思いますから良いです。それにどちらにしろリトさんの家へ伺いに行かなければいけませんので出来たらご住所をお教えして頂ければと」

「わかったよ。はいこれ」

 

リトさんから住所と商店街までの道が書いてある地図を受け取りました。

 

「絶対あとでうちに来いよ!夕飯も作ってもらって待ってるからな」

「了解です」

 

なるほど

 

まさに最後の晩餐ですね

⇧(違うから)

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

1-4

商店街にある数多くのお店から選びでやって来たのは

 

たい焼き屋です!ドンドンパフパフ!昨日ご迷惑をおかけしてしまいましたし、ヤミさんに恩返ししたいので彼女の好きなたい焼きをご馳走しようと考えたのです!

 

「ごめんくださーい」

「ん?あぁ、昨日のにぃちゃんか。今日はどうした?」

「今日ここで働かせて下さい!」

「バイトか。元々募集してねぇからなぁ」

「いえ、ヤミさんに恩返ししたいだけなのでたい焼きをいただけるなら」

「...ふーん(ニヤッ

 

......なんですかそのニヤケ顔

 

「あははは!若いって良いね!俺が協力してらぁ!」

「有難うございます!」

 

やはり愛想良い方ですね。とても変な誤解をされたと思いますが気にしないでおきましょう!

 

 

僕は店主さんからお客様の対応を任かされ制服を着替えました。ここに来る皆さんは親切で会話が楽しいです。空腹を紛らわすことも出来ました。

数時間後にヤミさんがいらっしゃいました。顔を隠しておきましょう。驚かせてみたいですから。幼稚ですか?ごもっともです。

 

「いつものください」

「まいどっ!、です」

「........貴方はここで何をしているんですか」

「ばれちゃいましたか」

「当然です」

 

あちゃー、無駄でしたか。

ぎこちなさがあったからでしょうか?何故か意図的には敬語がぬけないんですよ。

ヤミさんの注文と店長さんに伝えたところもう仕事は良いと言われました。そして3つ袋を渡されました。

 

「?店長さん、ヤミさんの注文ってこんなにあるんですか?」

「何言ってんだにいちゃん。1つはバイト代だ。ヤミちゃんにご馳走してやれ」

「ああ!有難うございます!お世話になりました」

 

直ぐに制服に戻し袋を持ってヤミさんのところへ行った。着替えたことに不思議に思っているのでしょう。

 

「ご注文のお品です」

「........1つ多いですね」

「それはバイト代で貴方へのプレゼントですよ」

 

ヤミさんが首をかしげてました。萌えてしまいます。急にプレゼントをあげるなんて言われて困っているのでしょう。

 

「昨日のたい焼きと話し相手になってくれた件のお礼ですよ。特にたい焼きを食べていなかったら既にに餓死してました」

「........そうですか」

「お気に召しませんか?」

「........食べきれないので手伝って下さい」

「ふふ、了解です」

 

流石に多いですからね。昨日は殆ど1人でふた袋食べていましたからね。

ヤミさんは3つの袋を大事に抱えて一緒に公園に行きました。その間もお話し出来ました。地球に来て2日目ですが多分一番話している方ですね。

 

公園のベンチで僕は中が一番少ない袋をいただきました。昨日のカスタードは絶品でしたから今回のも楽しみです。

 

「プリンセス・ララとはまだ仲が悪いままですか?」

「........ええ。おお!チーズは甘みはあまりないですが美味しいです」

「そうですか。チョコはカスタードより甘くて少々苦いです。お気に入りです」

「ほらほら、お口周りが汚れていますよ。口を閉じて動かないでください」

「.....んっ」

 

親指でチョコを拭いました。

........女性の唇って柔らかいんですね。指についたチョコは僕が美味しくいただきました。

 

「子供っぽいですね」

「........黙ってください」

「ふふ、失礼いたしました。ん?生地が白いものがあるのですが。生焼け、ではないようです」

「生地が、白い........は!少し分けてください!」

「え?いいですけど」

 

半分に分けると中からチョコのようにドロドロしていて少し色が茶色っぽかったです。食べる気失せますね。

ヤミさんに渡すと凄く目をキラキラさせておーと言いながらたい焼きを見ていました。新しいおもちゃを買ってもらった子供みたいです。

ヤミさんと同じタイミングでたい焼きを頬張りました。一言で味を表すと

 

「「あま〜い‼︎‼︎」」

 

やはり同じ感想ですね。カスタードより何倍も甘い。それでいて生地とマッチしていて味がしつこくない。まさにたい焼きの1つの完成系ですね

 

「........美味しかったです」

「そうですね。何か特別な味だったのですか?」

「ええ、店長の気分でつくる滅多にお目にかかれない幻のキャラメル味です。初めて食べました」

 

それは勿体無い。絶対売れます。でもヤミさんが喜んでいるので店長さんに感謝です!そこから黙々とお互い最後のたい焼きを食べました。僕はあんこです。昨日ヤミさんが一番シンプルと言っていましたが、このほんのり甘いあんこは癖になりますね。キャラメルが一番ですけど。

 

「たい焼きご馳走さまでした。デビルークに来られたいならいつでも歓迎いたします」

「........たい焼き、有難うございました」

「........いえ、こちらこそ」

 

ヤミさんと別れ、僕はリトさんのお宅に向かいました。2日ぽっちりの付き合いでしたが別れは寂しいものです。結局ヤミさんにちゃんと言わず仕舞いでしたが。

飛んでいった方が早いですがあまり目立ちたくないので歩いて行きますか。

 

 

 

 

________________________________________________

 

 

 

 

 

「ここですか」

 

普通の一軒家ですね。

お金持ちとかそういう風な期待は全然ありません。寧ろ王族の僕にとって新鮮ですね。

ここのボタンを押すんですか?インターフォンってやつでしょうか?爆破したりして!........ないですねはい。

押してみましょう。

 

ピンポーン!

 

おお、音が鳴った。これで家の中いる方々に外にいる存在を伝えるんですか。

扉から出てきたのは

 

「初めまして、結城美柑です。ジンさんで宜しいですか?」

「はい、初めまして」

「どうぞ、上がってください」

「お邪魔します」

 

うん、普通の一軒家です。何の変哲もない家ですね。

 

「リトー、ララさーん、ジンさん来たよー」

「やっと来たか?お腹ペコペコだよ」

「リト!何でジンを呼んだの!」

「ララ...いい加減仲直せよ」

「嫌だ!」

 

「喧嘩しているんでしたっけ?」

「ええまぁ.....恥ずかしいところを見せてしまいました。申し訳ありません」

「兄妹ってものは宇宙共通で面倒くさいものだったんですね」

「ふふ、そうですね」

 

美柑さんって小学生ですよね。ララより会話が楽です。大人な雰囲気が漂っていてモテそうですね。

 

「ララはそんなに僕と食事するのが嫌ですか?」

「嫌だ!」

「何故です?」

「大っ嫌いだから!」

「それは何故?」

「何でも押し付けられるのはもうこりごりなの!だから嫌いなの!」

「そうですか。そんなに後継者になるのが嫌ですか?」

「嫌!」

「わかりました。これで踏ん切りがつきました」

「......?」

 

なんだかんだ言ってちゃんと僕の質問に答えてくれましたね。これだけが理由なら嫌われる要素がなくなりますから。

 

「リトさん、ララさんを任せましたよ」

「ねぇジン、さっきのってどういう「お皿並べるの手伝います、美柑さん」

 

振り返った僕の肩を誰かが掴んだ。まあ予想はついています。

 

「え、ちょっと待ってジン、どういうこと?」

「簡単な話ですよ。僕が後継者になるんです。全宇宙を支配するのには半端ない覚悟が必要です。今の悩みを解決して集中したいですから」

「な、何で急に?」

「それはララの理不尽な八つ当たりが嫌で嫌で仕方なかったからですよーっ」

「もう!」

「冗談ですよ。大体ララが後継者になること自体がおかしかったんです。僕の目的は焦りのない恋と普通の生活をする事でしたから。それを諦め仲直りするか天秤にかけただけです」

 

この場の全員が呆然としています。まあ兄妹と仲直りするために宇宙を支配するなんてスケールがでか過ぎますから。

あんなに嫌だって逃げてきましたが知らず知らず覚悟が出来てたのでしょう。まあ普通の生活に未練が無いと言えば嘘になりますが、モモとナナにこの重荷を全て持たせるわけにもいきませんので。

リトさんにお願いしたのは地球にいる理由が無くなり残りたいララを頼んだだけです。

 

「皆さんお腹が減っていることでしょうし早く食べましょう。美柑さん案内をお願いします」

「は、はい!」ゞ

 

敬礼してきた美柑さんを微笑みで返し共にキッチンへと向かった。

 

 

そして振り向いたその時目に写ったのは呆然と立ち尽くすララとそれをなだめているリトさんだった。




感想、評価ほちーな

д・)チラッ

゚д゚ )ハッ!!

)≡サッ!!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

1-5

第1章 最終話です。
これを機にタイトルを「宇宙最強一家の長男」に戻そうと思っています。今作はオリジナルの話を挟んでとらぶる☆くえすとに入ります。
リメイク前はこの次に『とらぶる☆くえすと」に入り、モモとナナが本格的に登場しました。それからToLOVEるダークネスに映る予定でエタってしまいました.....






そこで7月の第1週目に三日連続投稿にしますっ!(唐突
どんどんぱふぱふ〜♪ ٩( 'ω' )و (無理矢理
1ヶ月あくのは、.....まぁ悟ってくんしゃい(泣
登校中くらいしか執筆できなんで......
行き帰り3時間ありますけどね(*´꒳`*)v (間呂の執筆スピードは1時間500字程度)




今後ともよろしくお願いします。


美柑さんと食卓にお皿を並べ、リトさん達に席に座るように促しました。ララの足取りが重そうで、少々心配です。本当に責めたつもりは無いですがそう受け取ってしまったのでしょう。まあどちらにしろ食事前にする話じゃありませんね。不謹慎でした。

全員席に着いたところで皆さんに食べ物をお配りしようとしていたところで美柑さんに止められました。

 

「ジンさん、日本では食べる前にみんなそれぞれ手を合わせていただきますっていうんですよ」

「おお、そうでしたか。でも何故ですか?」

「食材への感謝ですよ。命の恵みを受けていますから」

「なるほど、美柑さんは物知りですね」

「えへへ」

 

本当に地球の文化は興味深い。強者が弱者になんで感謝しなきゃいけないなどと言ってオラオラ系な父は絶対に認めないでしょう。

それを未だ幼い彼女が僕にはなかった考え方を教授してくれたんです。我ながら情けないですし素直に美柑さんを尊敬します。

 

「では、いただきます」

「「いただきます」」

「........」

 

僕の後にリトさん達が言いました。ララは俯いて何も口にしません。

いつもなら既にガツガツ食べてますね。はしたなくは食べないはずですけど。そう教育しましたからっ!(親バカ

 

「ララ、貴方だけ言わないのは不躾ですよ」

「........いただきます」

「ふふ、宜しい」

 

今度こそ食べ物を配りました。僕の分は美柑さんがやってくれました。ナナみたいですね。

ナナはいつも褒めて欲しがります。僕は些細な事でも手伝える事は必ずやろうとする彼女の姿勢が大好きです。流石僕の妹!(兄バカ

悪い雰囲気の中、くだらない事を考えていると、リトさんが話しかけてくれました。

 

「なあジン、地球を出るのか?」

「ええ、そのつもりです」

「もう地球には来ないのか?」

「僕は地球が気に入りました。できることならまた訪れたいですね。学校もありますし」

「ああ、そうだったな」

「それにもうデビルークの王になるわけではありませんから。一応父は10代の子供を王にするダメな親ではありません。恐らく自分の時間が減るだけですよ」

「それを聞いて少し安心した」

「ふふ、そうですか」

 

雰囲気が和やかになってきても、ララの元気は未だ影も形も見せません。何れ元通りになるでしょう。ここはおとなしく美柑さんの料理を堪能させていただきましょう。

 

美柑さんの料理はどれも美味しく、小学生のクオリティーではありませんでした。ララだったらダークマターを入れまくって壊滅的な味にするでしょう。流石です、美柑さん。

特にこの肉じゃがというものの優しい味が好きです。メインの肉とジャガイモはもちろんですが、僕は玉ねぎと人参の甘みが他の旨味を際立たせ、食を進ませるところに多大な評価を与えます。大袈裟でしょうか?まぁ食にはかなりうるさいと自覚していますし。

それにしてもララは全く食べませんね。

 

「ララ、食べないんですか?食欲が無いんですか?」

「.....違う!」

 

僕の質問に間をあけて大声で返すララ。

単純な返しでは要領を得ず追求する。

 

「では何故?」

「何でも自分勝手に決めるジンが嫌いだから!押し付ける時も誰かのための時も!」

 

自分の行動に絶対的な自信があると言って欲しいですねっ!嘘です。ごめんなさい。実は真逆です!

自信がないから押し付けてしまったんです。まぁ簡単で傲慢な話です。一人の人間に偽りも押し続ければ、その人間は真実と解釈します。そう解釈した人は同じベクトルで他に押し続けます。人間の中でこうして偽りは真実となるのです。人間の認識などその程度です。日本の歴史でもある確信たる事実でしょう。狡いですか?悪かったですね!(八つ当たり

 

「じゃあどうすればいいんです?僕は確かに人の力がなければ何もできない人です。武力があっても貴方のような知力はありません。教えてください」

「知らないっ!」

「そうですか。まぁ知っていたら既に貴方の機嫌はなおっていますね。ですがこれだけは覚えておいてください。僕は貴方が心配です。そして僕はその1つの感情で今まで動いてきました。地球での生活は問題無いか。婚約者の方は貴方を不幸にしないか。学校は馴染めているか。後継者という肩書きをどうしたいか。この2日間僕は貴方のために我慢し自分の考えた最善を実行し、持てる力の全てを尽くしました。これ以上どうしろと?」

「........私だけ幸せになってもジンはどうするの」

 

やはりララは優しい。いつだって僕の為を考えてくれます。僕を嫌っているなんて言ってもです。

 

「誰かを幸せにするには犠牲がつきものです。僕は既に幸せを見つけたララから幸せを奪って自分がなろうとは思いません。今の幸せが無くなることが一番不幸な事だと思っていますから。

もっとも、僕は犠牲だなんてこれっぽっちも思って無いですけどね。」

「?」

「だって

 

 

 

自分の幸せの為の誰か(最愛の妹)の為ですから」

「っ!」

 

それを聞いたララは、驚いた表情をして、すぐに顔をぐちゃぐちゃに歪ませた。そんな妹の様子を見て内心戸惑いながらも、妹を安心させる為に外面は平然といなければならない。一瞬でも早く生まれた僕は兄ですからね。兄とは苦労が絶えませんね〜

 

「....ごめんなさい」グスッ

「ほらほら泣かないでください。食事中ですよ。それに何故謝るのです?何も悪い事はしてませんよね?」

「ジンのばぁかぁ〜!グスッ、うぇぇぇぇん!」

「ふふ、そうですね。馬鹿ですね。もう泣かないでください。折角の美柑さんの料理が塩っぱくなってしまいます」

「ありがとぉ〜!」グスッ

「........どういたしまして」

 

___________________________




感想と評価をお願いします



辛辣なのは極薄ガラスメンタルの作者のハートが一瞬で粉砕ブレイクしちゃいますので.....


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 20~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。