biohazard cordname”NT” (ナッツガン)
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ラクーンシティ編
”NT”


 この町は地獄だ
 匂いは血と油の匂い
 周りは死んだ人間が徘徊している
 ここはラクーンシティという名の地獄だ


 俺は起きると体が拘束されている事を確認した。腕、足、首にそれぞれ拘束具が付いており体は手術台のような物に寝そべる形でいた。

 捕まってから何日が経っただろうか?半年は過ぎたのかさえ俺には分からなかった。

 捕まったのは3月の最初のことだった。

 

 俺は日本に住んでいたがショッピングモールで買い物をしていて、帰り道に急に意識が遠くなった。

 起きると俺はすでに四角い大きな空間にいて、俺以外にも人がいた。

 数は俺を含めて10人といったところだろう。

 そんな事を考えていると1人の男が話かけてきた。

 男は英語で話していて俺にはよくわからなかった。

 すると男は察したように日本語で話し始めた。

「キミハモシカシテニホンジンカイ」

 俺はその片言の日本語を聞いて安心した。

「はい」

「キミハドウシテココニ?」

「買い物の帰り道の途中で気絶して、気付いたらここに…」

 男は色々な事を教えてくれる。

 名前はジョージと言う事、将来は日本の大学に行きたいとも教えてくれた。

 俺の方はただ聞くだけで、それでも楽しい時間だ。

 するとジョージが俺に聞いてきた。

「キミハナンサイ?」

「俺は21歳、短大を卒業したばかりで…」

「テッコトハコトシデ22サイ?」

「うん」

 そう言うとジョージはまたしても聞いてきた。

 日本の事、自分が住んでいる場所など、本当に詳しく聞いてきた。

 俺はすべての質問に答えるとジョージは俺に向かって言った。

「キミハヤケニフトッテイルネ」

 凄く失礼な事を言われた気がする。

 たしかに太っている自覚はあるがこんなとこでいわなくてもいい気がする。

「ゴメン!ソンナニキズツクトハ!」

 ジョージはそのまま謝ってくれた。そ

 して少しの間話していると部屋に居た1人の女性が苦しそうにもがいていた。

「ゴメン!チョットミテクル!」

 そう言うとジョージは俺の傍から離れて行った。

 少しすると女性は静かになりそこに倒れ込んだ。

 ジョージ達は心配そうな顔をしてみていたが、その女性は突然ジョージの肩を噛み始めた。

「ギャ―――!!」

 俺は急いでジョージの元まで駆けつけ女性をジョージから離す。

「大丈夫!?」

「ダイジョウブ…」

 しかし女性はさらに他の女性も攻撃し始めた。

 俺が他の人を助けに行こうとしたとたん後ろから大きな悲鳴が聞こえた。

「ギャ――――――!!」

 俺は後ろを向くとそこには先ほど助けたジョージが倒れていた。

 そこに1人の男がジョージを襲っていた。

 すると口に大量の血を付けた男が俺にも襲いかかってきた。

「クソ!」

 俺はそこまで力があるわけではなく男の恐ろしい力に負けている。

 すると男はやはり俺の肩に噛みついてきた。

「うわ―――!」

 俺は誰かに助けを求めようと周りを見ると周りはすでに地獄と化していた。

 すると死んだはずのジョージが起き上がり俺の方に向かってくる。

「ジョージ!助けてくれ!」

 そう叫んだがジョージは思いもよらない行動に出る。

 ジョージは俺の足に噛みついてきたのだ。

「ジョージ!やめてくれ!」

 俺は叫ぶが、ジョージはそんな俺の声など聴いてないかのように噛み続けた。

 大丈夫な左足でジョージを蹴り飛ばす。

 俺の力では、到底ふきとばないであろうはずがジョージは遠くに吹き飛んだ。

 俺はそのまま肩に噛みついている男を剥いで蹴り飛ばし、そこから離れる。

 すると俺は急に吐き気に襲われた。

「おぇー」

 それは俺から見ても異常な量を俺は吐いた。

 すると今度は体が熱くなる感覚に襲われた。

「熱い、熱い、熱い!」

 俺はたまらず服を脱いだ、すると俺の太っていた腹はそこには無く腹は俺が直接見たこともなったこともない腹筋があった。

 腕も足も筋肉でできておりちょっとしたボディービルダーの様だ。

 それ以上に異常だったのが、先ほど噛まれた傷口がなくなっていたのだ。

 血も出ていないのはどう考えても異常である。

「どういうことだ…」

 俺は肩で息をしながら呟いた。

 肩で息をしていたのにすでに息苦しさはなかった。

 吐き気もいつの間にかなくなっており俺は、立ち上がっていた。

 すると吹き飛ばした人間を含めてこの部屋に居る全ての人間が俺の方を向いていた。

 みんな様子が明らかにおかしく俺の方に向かって歩き始めた。

 俺の頭は意外と冷静に考えられた。

(明らかにおかしい、こうなったら殺すしかない!)

 俺は殺すという単語に対して何も違和感を感じなかった。

 思えばこの時すでに俺の体の変革はすでに終わっていたのかもしれない。

 すると、男の1人が俺の方に向かって噛みついてきた。

「死んでも後悔するなよ!」

 俺は男の頭を掴むとそのまま捻って回した。

 すると簡単に首は反対側に回った、男は動かなくなった。

 俺はそのまま他の人を殴り飛ばした。

(今のは、骨が折れる感触がした!)

 俺は立てないと思った、しかしその人は平然と立ち上がり俺の方に向かって動き始める、俺は唖然とした。

(今の喰らって起き上がれる!?しかも平然と!?)

 俺は殺すしかないと覚悟を決め、そのままその人の首を捻った。

 その首は男同様反対側まで回る。

 すると俺は後ろから人の気配に気づいた。

「!!!」

 振り向こうとするが遅く俺は腕に噛みつかれた。

 俺はその腕を上げてその人の顔を打ち上げた。

 すると男の顔はそのまま陥没すると動かなくなった。

 気づくと俺の腕の傷も治っていた。

 俺はそのまま近くにいた女性3人組を肘鉄で倒すとさらに奥にいた女性2人男1人を倒した。

 俺はそのままジョージの方を向いた。

 ジョージは俺の方に向かって歩いている。

 俺はジョージの話を思い出していた。

「ごめん!」

 俺はジョージを殺した。

 倒し終えると部屋に10人組みの男たちが入ってきて、俺に近づいてきた。

 男たちは英語で何かを叫ぶと俺の方に銃を向けきた。

(おそらくは動くなと言いたいんだな)

 俺はやはり冷静に物事を判断出来た。

 この男たちを相手にしてここを切り抜けられる自信はある。

 しかし、ここを出てもどこかもわからないところで生きていけるかを考えたら俺はこのまま捕まったほうがいいと気づいた。

 俺は頭に手を乗せるとおとなしく捕まった。

 摑まると色々な実験をしてきた。

 しかしすぐに男たちは俺を別の施設に移動させた。

 移動した先では英語、戦闘、銃火器の扱い方などを教えてくれた。

 

 そして今に至る。

 すると部屋にここの研究所長が入ってきた、研究所長は70代の爺だ。

 すると所長は俺の傍によると何を考えているのかわからない表情で言った。

「拘束具を外してもいいぞ」

 そう言われると少し考えたが所長は俺がこれを外すまで、ここにいそうだったので俺は拘束具を、力で無理やり外した。

「どうして俺がこれを外せると分かった?」

「“NTウイルス”感染者ならばこの程度のもの簡単に壊せると考えておったんじゃよ」

 俺は先ほどの会話の中から一つの単語を聞き返した。

「“NTウイルス”?」

「ああ」

「当時あの研究所に運ばれた10人の男女の1人に“Tウイルス”を投与しその効果の実験を行った」

「それであんな事が?」

「ああ」

「その結果は?」

「90%成功した、しかし一つ予想外の事が起きた」

「俺だけが他の被験者と違う反応をした」

 所長は黙って頷くとそのまま話を続けた。

「それでアンブレラはお前さんの体を調べた結果驚きの事実が分かった」

 俺は黙って話の内容を聞いた。別に驚きはしなかった。

「お前さんの体には“Tウイルス”を発見できなかった」

「それどころかお前さんの体に新たなウイルスを発見した」

「それが“NTウイルス”…」

 所長は黙って頷き話を続けた。

「“NTウイルス”効果は対外から来た細菌などを食ってくれる、それ以外にも体が傷を負ったりするとたちまち直してくれる」

「最強なウイルスってわけだ」

「そう、これがだれでも感染できるならば…」

「どういうことだ?」

「このウイルスを他の者に投与したところウイルスはその人の体を蝕み殺した」

 そう言うと所長はその被験者の写真を見せれくれた。

 その写真に写った男は体の至ところに大きな黒い斑点のようなものがあった。

「これによりこのウイルスはお前さんにしか感染しないことが分かった」

「なるほどだから俺の体をここに移し戦闘能力や日常生活に必要な事を教えた」

「そう言うことだ」

 そう言うと所長は黙って部屋を出た。俺も後をついていく。俺は所長に一つ気になった事を聞いた。

「どうして俺を解放しようとした?」

 そう言うと所長は歩きながら説明した。

「この研究所はラクーンシティの地下に有り本来ならば外部からはアクセスできない仕組みになっている」

「だが少し前にラクーンシティに“Tウイルス”が漏れた、いわゆるバイオハザードというわけだ」

「町はもうすでにゾンビの群れで犇めき合っている」

 すると所長は一つの部屋の前で止まった。

「もうこの研究所の意味もない、よってお前さんを捕まえておくわけにもいかん」

 所長は部屋のドアを開けた、すると部屋の中には銃火器や服などがそろっていた。

「この中から好きな物を選んでさっさとここを出ろ」

 そう言うと所長は俺に財布を渡した。

「この中に今のお前さんの運転免許証と銀行のカード、お金が入っている」

 そう聞かれると俺は財布の中身を確認した。運転免許証には「ベルトウェイ・シュターナー」と書かれていた。

「それが今のお前さんの名前だ」

 そう聞くと俺は部屋に入り服を着替えた。防弾チョッキに拳銃、アサルトライフル、弾、携帯電話を持った、これも俺の名前で登録されている。

「気の利いた贈り物だな」

 俺はさらにガスマスクをつけると俺はそのまま研究所を出た。

 




 9月28日朝 ベルトウェイ研究所を脱出


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ネメシス

 研究所を出る前に彼は“BOW”の資料を見ていた
「ネメシス…」


 研究所を出るエレベーターを上がっている時に俺はハンドガンの確認をしていた。そ

 の後携帯の確認をしていたのだが、中にはアドレス等は無く完全に受信専用の携帯となっていた。

 エレベーターが止まると俺はエレベーターから出る。

 するとそこはどこかのデスクワークであり、俺は部屋にある唯一の出口から外に出る。

 そこは工場の中で工場の中はまだ動いており、ゾンビも多数徘徊していた。

 俺は道を左に曲がり階段を下りるとそこにはゾンビがいる。

 ゾンビは俺の存在に気付いたようでゆっくり歩いてきた。

 俺はハンドガンを構えると、ゆっくり引き金を引いた。

 バン!バン!バン!バン!

 ハンドガンから弾が四発出ると弾はゾンビの頭に全てヒットすると、ゾンビはその場で倒れた。

「この工場の出口はどこだ?」

 俺は階段を下りるとそこはベルトコンベアに添って通路があった。

 俺はその通路をゆっくり歩いて通っていく。

 俺はベルトコンベアを覗き込んで見る、すると後ろから気配がした。

「!!!」

 振り向くとそこにはゾンビが襲いかかってきた。

 俺はゾンビの両肩を掴み噛まれないようにしたが、しかし態勢までは何とかできなかった。

 俺はそのままベルトコンベアに落ちてしまった。

 ガン!

「クソ!」

「ガウ!ガウ!ガウ!」

 俺はゾンビの首を掴むとそのまま首を捻った。

 立ち上がると俺は周りの状況を確認する、後ろには焼却炉があった。

「あれはやばいだろ!」

 俺は周りの確認をした、しかし周りには何もないように見えたが、しかしよく見ると近くに穴があることに気付いた。

「これしかないか!」

 俺は迷わず飛び込んだ、穴から出ると俺は工場の地下に来た。

 そこは何やら部屋がいくつかあり、それぞれに名前が付いたプレートがあった。

「倉庫、廃棄物処理場、休憩室…」

 すると休憩室を通りかかろうかというとき休憩室から物音がした。

 ガタン

「誰かいる?」

 俺はゆっくり部屋のドアを開けた。

 そこは大きく荒れており、机の上に有るものは当時のままだったようで色んな物が散乱している。

 机が少し動いたのを確認する、俺は瞬時にハンドガンを構えた。

 机の下から出てきたのは、発達した爪と舌に対して目が明らかに衰退していた。

「リッカー…」

 ゆっくり舌をゆっくり伸ばしておりこちらに気付いていない。

 俺はゆっくり部屋から出ようとしたが、その時俺は足元にある缶を蹴ってしまった。

 リッカーはこちらに気付き俺は走って部屋に出た。

 するとリッカーは俺の背中目掛けて爪を振り被った。

「くっ!」

 俺は出るとき爪の攻撃を回避するために転がった、するとリッカーは廊下の屋根に張り付いていた。

 リッカーは俺に向かって爪で攻撃した。

「くっ!」

 俺は転がりながら回避した、俺はすぐに立ち上がるとリッカーは続いて攻撃してきた。

「何発も食うか!」

 俺は回避してそのままハンドガンで攻撃した。

 バン!バン!バン!

 しかしリッカーは攻撃を避けるとそのまま爪で攻撃を仕掛けた。

 俺はすれ違いざまにナイフを頭に刺す事に成功する。

「はぁ、はぁ、はぁ…」

 俺はリッカーからナイフを抜くとゆっくりその場から退却した。

 少し行くと階段があり、俺はその階段を上がると工場の出口に出た。

 俺はそのまま外に出ると外を確認した。

 外は工場群が良く見え煙が空を包んでいる、そうしていると近くで乾いた音が響いた。

 ババン!ババン!ババン!

「アサルトライフルの音か!」

 俺は工場を出ると音のした方向に向かって走り出した。

 そこでは男が二人組でゾンビを撃退していた。

 その男達の近くの車からガソリンが出ていて、そのガソリンはゆっくり炎の方に向かっていたる、俺はそこから出ると大きな声で叫んだ。

「そこから離れろ!」

 男たちは俺の方に向いた、しかし俺の忠告は完全に遅く車がついに爆発した。

 ドカン!!!!

「ぐぅ!」

 俺は車の陰に隠れて避ける、爆発がやむと俺はゆっくり顔を上げてその場の確認をした。

 男達は倒れており、大量の血が出ている。

 走って男達の傍によると男達はすでに死んでいた。

「クソ!」

 俺はゆっくり立ち上がるとその場から移動した。

 

 俺は工場地区を出るとそのまま町の方に出た。

 町は至る所に死体が散乱していて、そして近くにある車は炎を上げ立ち上っていた。

「生存者はいないのか!?」

 俺は町の中を進むと不意に裏路地に人影が見えた。

「そこに誰かいるのか!?」

 先に進むと俺はハンドガンを構える、するとその人影は俺の方に向かって歩き始めた。

 ゆっくり、ゆっくり進むとその人影は突然俺に襲いかかってきた。

「うおっ!」

 俺は不意の攻撃に対して体を捻りながら回避する、そしてそのまま頭に弾を一発撃ちこんだ。

 バン!

 そのゾンビは動かなくなったことを確認すると俺はそのままその場を後にした。

 俺は先ほどの通りに戻りそのまま進む、すると俺は近くのレストランから物音が聞こえそのまま中に入った。

 レストラン事態は大きくなく中は閑散としている、奥の方からまたしても大きな物音が聞こえた。

 俺はそのままハンドガンを構えるとゆっくりではあるが物音のしたキッチンに向かった。

 キッチンの中は同じく誰もいない、しかし遠くの方で何かが落ちる音が聞こえた。

 すると角から一匹の犬が出てきた、しかしその犬の全体象は酷く体の半分は食べられており骨が見えるありさまだった。

「ガウ!」

 そう吠えるとその犬は俺の方に向かって走り始めた。

 俺はその犬が走ってくると急いでハンドガンを構え撃った、しかしその弾は当たらずそのまま俺は犬に押し倒される形になった。

「ガウ!ガウ!ガウ!」

 犬は俺を一生懸命噛もうとしており、俺はそれを回避しようとして犬の頭を一生懸命抑えていた。

 俺は犬を蹴り上げ遠くに飛ばすと俺はそのまま距離を取ると近くにあった、食事用のナイフを持ちそのまま起き上がった犬に投げた。

 犬の頭にナイフが刺さると犬はその場で力なく倒れ込んだ。

「腹へったな…」

 俺は近くにあった冷蔵庫からコーラと食べられそうな物を探すとその場で食事を始めた。

「しかしどこに行くか?」

 そう考えていると俺はキッチンの次の部屋の休憩室の入って中の確認をすると、地図を発見した。

「ここは…どこだ…?」

 そうしながら俺は地図で自分がどこに居るのかを確認した。

 俺は近くに警察署があることを確認すると地図をしまった。

「ここなら脱出する手段があるか…」

 そう呟くと俺はそのキッチンを後にした。

 俺は警察署まで進むと近くから悲鳴が聞こえた。

「くるんじゃねー!」

「誰かが襲われている!?」

 俺は再び路地に入ると角の所で確認をした、そこでは1人の大男が男性を襲っていた。

 その大男は明らかに普通の人間とは違い腕から触手のようなもので攻撃しているのが見えた。

 もう一方の男は「スターズ」と書かれたジャンバーを着ている男で怪我をしていた。

 俺はその大男がネメシスであると確信した。

「あれがネメシスか…研究所のファイルに書いてあったな…」

 この場であの男に何かできるとは思わなかった、俺は角から大きな声で叫んだ。

「ここにもスターズはいるぞ!!」

 そう叫ぶとネメシスは俺の方に向かって走ってくる、俺はそのまま走って逃げようとするが明らかにネメシスの方が早く俺はそのまま追いつかれてしまった。

 ネメシスは腕を大きく振り被って俺を吹き飛ばした、俺はその攻撃を両手で防ぐがそのまま吹き飛んでしまった。

「ぐっ!」

 俺は電柱に体を強くぶつけたがそのままゆっくりと休んでいる暇はなく、ネメシスは俺の方に向かって走ってきた。

「何度も何度も!」

 俺はそこから横に飛び去るとハンドガンを構えて近くにあるドラム缶に向けて撃った。

 バン!バン!バン!

 ドカン!

 大きな爆発音と共にネメシスの周りが爆発した。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 俺はその足で警察署に向かって歩き始めた。




 瓦礫を退けるとその大男は叫んだ
「スタァーズー!!!」


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警察署

 ネメシスとの戦闘を繰り広げたベルトウェイ
 彼はゆっくりとではあるが着実に警察署に近づきつつあった


 俺は何とかネメシスを倒すとそのまま警察署を目指した、しかし予想以上に警察署は遠くしかもネメシスとの戦闘の疲れも取れていなまま歩いている。

「先ほどの男は無事だろうか?」

 そう呟くと俺は今自分がいる場所の確認をした、しかし今自分がどこを歩いているのかを示す物がなく俺はため息を吐きながら歩きを進める。

 すると目の前にゾンビが3体現れた、俺はハンドガンを構えるとゾンビの頭に向けて撃った。

 もうゾンビの存在自体に驚かなくなる、しかし先ほどの化物がまた出てきたらと思うと俺は少し憂鬱な気分になった。

 ある程度進むと俺は大きな十字路に差し掛かった。

「確かこの道を…」

 俺は地図の確認を始める、この道を右に曲がると警察署に行けるのだが、道は車の群れで塞がっていた。

「どこかに道はないか…」

 そう呟くと俺は地図の確認をし始める、すると少し戻って路地の中を進むとなんとか警察署に行けることが分かった。

「路地はゾンビが多そうで嫌なんだが…」

 しかし背に腹は代えられないので仕方なく俺は路地の中を進んで行くと、足元に何かがぶつかった。

「!!!」

 俺はとっさにハンドガンを構えた、しかしそのゾンビはすでに頭を打ち抜かれていた。

「誰が…」

 すると周りはゾンビの死体で一杯だった、しかも全てのゾンビは綺麗に頭を打ち抜かれている。

「ゾンビの事を良く知っている奴がいる?」

 俺はもう一度地図の確認をすると、この路地をまっすぐ進めば警察署に付けることが分かっる、俺は路地をまっすぐ進んでみる。

「しかし、ここまで綺麗にゾンビを殺しているところを見るとかなりの手練れだな…」

 すると俺は大きな通りに出たようでそこは車が炎で包まれており、水が延々と出続けている。

「ここを左に曲がると警察署か…」

 俺は道を左に曲がると俺は警察署の前にいると入り口で悲鳴が聞こえた。

「!!!」

 俺は急いで中の確認をするとそこには先ほど倒したネメシスが助けた男を殺していた。

 よく見ると奥にも1人の女性がいて、ネメシスは女性目掛けて走り始める。

 女性は態勢を低くして回避すると署の中に向かって行った。

 ネメシスの彼女の跡を追おうとしていた。

「これ以上は!」

 俺はネメシス目掛けてハンドガンを撃った、するとネメシスは俺の存在に気付いたのか俺の方に向かって走り出した。

「スタァーズー」

 そう叫ぶとネメシスは俺の方に向かって走り出す、俺は横に転がって攻撃を回避した。

「しつこい!」

 俺はハンドガンをネメシスに向けて撃った、しかしネメシスは何ともないように攻撃を仕掛けた。

「ハンドガンじゃあまともな戦闘にならないか!」

 そう言っても近くにはまともな武器がない、俺は攻撃を避けながら後ろに後退した。

 ブン!ブン!ブン!

 しっかり攻撃を避けていたら不意に足に何かが引っかかり、俺は少し体制が崩れかけたが何とか踏ん張った。

「おっと!」

 しかしネメシスは攻撃をやめる気配がなく、俺は左手で攻撃を受けたが骨が折れる音がするとそのまま俺の体は警察署の壁を易々と越えた。

 俺は車のおかげで体を強く強打しなくても済んだ。

 俺は折れた左腕を確認したが俺が気づかない内に骨は完全に完治しているのを確認した。

「これが“NTウイルス”の効果か…」

 すると上を飛んでいたヘリコプターが何かを落としたらしいが、それは壁の向こうで俺はそれを確認する術がなかった。

 俺はすぐに入り口に戻ってネメシスの元に急いだが、少し遅かったらしくそこにはネメシスはいなかった。

 俺は近くにあった箱の中身を確認したが中はすでになかった。

「これは…ロケットランチャーか!」

 近くを確認したがやはりネメシスはいない俺は仕方なく入り口に戻って中に入った。

 

 中はやけに静かで人の気配はしなかった。

 俺は入ってすぐ右に曲がって中に入ったが、そこは通路があったが俺はその通路を進まず、すぐ右のドアを開けて中に入った。

 中はやはり人はいない、その代りに多くの死体が散乱していた。

「ここは…」

 そこは机が多く並んでおり、俺はその中で奥の机に沿って進んで行くと一つの鍵を見つけた、するとその近くに日記があった。

「これが裏口の鍵か…」

 そこにはゾンビの群れを回避するために裏口を占めたことが載っていた。

 俺はそれを持ってきた入り口とは違う場所から出る、その後その道を右に曲がって俺は外に出て行く。

 俺は近くに階段を上がっていくとそこから入り口の方が見えた、するとそこには先ほどの女性が走って出て行くところが見えた。

「無事か…よかった」

 俺は少し息を吐くとそのまま先を急いだ、二階に上がるとまたしても長い通路に出る。

 俺は通路を右に曲がり道なりに進んで行くと、俺は屋上に出ることができた。

「ヘリコプターが一台程度しかとめることができないな…」

 俺は屋上の中を確認していたがやはり人はいないようだった、俺はそのまま奥の階段を下りるとかなり多くのゾンビに囲まれた。

「これを一体一体倒しているときりがない!」

 俺はかかってくるゾンビの首を捻って攻撃して行きながら俺は走って行った。

 しつこい事にゾンビは追いかけてくる。

「しつこい!」

 俺は奥の小屋に入ると俺は更に奥に扉に入って外に出る、俺はそのままドアを閉めて鍵をかけて奥の小屋に鍵をしまった。

 俺は外に出ると右を見ると壁に車がぶつかったかと思ったら、さらにそこに大きなトラックがぶつかって爆発したようだ。

「なんだ!?」

 その前に誰かが外に飛び出したように見えた、するとそこには警察の服を着ている男がこちらに向かって走ってきたので俺は近くに隠れることにした。

 その男は周りの確認をすると先ほど隠した鍵を出して奥に入って行った。

「まあ、気にしていても仕方がないか…」

 俺は外に出ると周りの確認をしたがなんとヘリコプターが警察署の屋上に向かって降りていた。

「あれに乗れば!」

 俺は急いで警察署に戻ろうとしたがヘリコプターは突然屋上に墜落した、あれではヘリコプターでの脱出は無理だろう。

「仕方はない…」

 

 俺は周りの確認をすると近くにバイクが在るのを確認する、俺はバイクの元に急ぐとそこにはバイクにもたれかかるように死んでいる男がいた。

「バイクで脱出をしようとしたのか…」

 その男の手には鍵がある、俺はそのカギを持つと俺はそれを鍵穴に刺してみた。

 やはりバイクの鍵だったようで簡単にさせる。

 俺はバイクにまたがり地図の確認をする。

「どこに行くか…」

 ヘリコプターの発着場を探していると俺は地図の上に指を置きその場所を確認した。

 しかしそれらしい場所は確認出来なかった。

「どこかにそれらしい場所はないか…」

 探していると遠くに病院があることに気付いた俺は道の確認を急いだ、すると大きく遠回りではあるがたどり着くことができることに気付いた。

「良し!まずは病院を目指すか!」

 俺は鍵を回してエンジンを着けるとそのまま吹かして走れることを確認した。

「走れるな!」

 俺はそのままハンドルを回して町の中を駆け巡った。




「今の男は…」
 そこには1人の女性がいた
 名前はエイダ・ウォン
 この後レオンと数奇な運命をたどる事になる


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ジルとベルトウェイ

 警察署でネメシスを見失ったベルトウェイ
 そんな中彼は脱出する手段の一つとしてヘリでの脱出に病院を選んだ
 彼は病院に行くためバイクを走らせた


 俺はバイクに乗り町を駆けた、町は予想より悪くすでに生存者の確認すらできない。

 俺はそんな町を横目にバイクを駆けて行く、するとバイクは墓地の近くで止まってしまった。

 俺はバイクを降りるとバイクの確認をすることにした。

「ガス欠か…」

 俺はバイクをそこにおいておくと俺はそのまま通りを歩いた。

 地図を確認すると近くにある墓地を通れば近くに出れることに気付いた。

 

俺はそのまま墓地に足を踏み入れる、墓地の中を入ると中はゾンビで一杯だった。

「やはりここもゾンビでいっぱいだな」

 そこまで言うと俺はゾンビが集団で何かを食べている。

 俺はそれに近づくと俺はその内の一匹をはがして首を捻る。すると他のゾンビは俺の方に向かって襲ってきた。

 俺はハンドガンを使ってゾンビを撃退する。

 撃退すると俺は死体の持ち物を確認した、すると中に未使用のマグナムを見つけた。

 俺はそれを服の中に入れると弾をポーチに入れる。

 そこまですると俺は立ち上がった、しかし気づくと周りにゾンビの群れが俺を囲んでいた。

「まあ、あれだけの音を出したら寄ってくるか…」

 どうするか悩んでいたが、ゾンビはそんな俺の方に向かって襲い始めた。

 俺はそれを首を捻るとさらに後ろにいたゾンビ目掛けて蹴りを入れた。

 そしてもう一匹のゾンビの首を捻ると同時にゾンビの背中に乗り、そのまま後ろにいたゾンビに向かって首を蹴る。

「かかってこい!」

 俺は戦う態勢を取るとそのままゾンビの群れに向かって走り出した。

 俺はナイフを取りゾンビの首を切る。

 すると俺は後ろのゾンビを肘鉄で攻撃した。

「きりがないな!」

 倒しても倒してもゾンビは無限に現れる、俺はアサルトライフルを構えて引き金を引いた。

「何とかしなければ!」

 俺は手榴弾を使いゾンビの群れを吹き飛ばす。

 手榴弾のおかげで道が出来た、俺はその道をまっすぐ進む。

「何とか…」

 小さな橋にさしかかた時俺の進路にゾンビが数体現れた、俺はそのまま別の道を進もうとすると後ろもゾンビで一杯だった。

「倒すしかないか…」

 俺は攻撃態勢を取るとそのまま前のゾンビの群れを攻撃した、しかしそのゾンビの群れを攻撃したはいいが、その内のゾンビ一匹が様子を変えた。

「なんだ!」

 ゾンビは体を赤く変えるとそのまま俺の方に向かって恐ろしい速度で走り出した。

「くっ!」

 俺は紙一重で攻撃を回避するとゾンビはまたしても飛びついてきた。

「くそ!」

 俺は態勢を大きく崩してしまい俺は倒れ込んだ。

「しつこいぞ!」

 俺はゾンビを蹴りで大きく吹き飛ばすとすぐさまに起き上がる、しかし先ほどのゾンビはまたしても俺の方に向かって走り出した。

「何度も、何度も!」

 俺はアサルトライフルを使って攻撃した、そこでようやくそのゾンビは動きを止めた。

 しかし俺には休む暇はなく、ゾンビの群れを突破すると俺は更に走り出す。

 

 俺は大きなレンガ造り屋敷にたどり着いた。

「ハァ…ハァ…ハァ…」

 そこで一息つくと俺は少し休むことにした。

「何とか…なったか…」

 俺は地図を出すと俺の位置の確認をすることにした。

 ここを出て真っ直ぐ進むと時計台にたどり着き、そこをさらに進むと病院にたどり着けることに気付いた。

「よし!後は…」

 すると大きな物音が聞こえた、俺は急いでハンドガンを構える。

「なんだ…」

 周りを確認したが周りは何もなく先ほどと同じく静かなものだった。

 しかし俺は見逃さなかった、今視界に何かが移った気がしたのだ。

「何かがいる…」

 小さく息を吐きながら俺はその対象まで少しずつではあるが距離を縮めた。

 すると次第にその正体が分かった。

「ハンター!」

 姿はまるで爬虫類の様で体は二足方向で行動していた、ハンターはすでに5体はいる。

 もしかするとそれ以上かもしれない。

「ここでは!」

 俺は構えを解かず距離を縮めた、するとハンターの方から行動を起こした。

 ハンターはとびかかり俺に爪で攻撃を仕掛けた、それを横跳びで避けると俺はそのまま建物の中に入った。

「何とかしないと…」

 俺は先ほど入手したマグナムを構えると建物の中に隠れた、聖堂の椅子の下に隠れたが不意に後ろから音がした。

 振り返るとそこにはハンターが俺の方に向かって襲ってきた。

「くっ!」

 俺はハンターを足で反対側まで飛ばすとマグナムで頭を打ちぬいた。

 しかし音は予想よりはるかに大きく、他のハンターに自分の存在を知らせてしまった。

 するとハンターは聖堂の中に入ってきた。

 俺は椅子を蹴ってハンターの行動を遮ると、ハンターは高くジャンプして避ける。

「そう来るよな!」

 俺は二体のハンターの頭にマグナムの弾を撃ち込んだ。

 しかしこれでは終わらない、他のハンターが俺の攻撃の隙をうかがって攻撃を仕掛けてきた。

 俺はそれを紙一重で避ける、しかし完全にはよけきれず腕を少し切ってしまった。

 俺は着地した二体のハンターに向けて同じくマグナムを撃ち込んだ。

「これで…」

 そう呟くとさらにハンターは俺の方に向かって飛びかかってきた。

 俺はそれを椅子を蹴り上げるとハンターはそれを掴む形で受け止めた。

 俺はそれをマグナムで椅子ごと攻撃する。

「終わりか…」

 俺は肩で息をしながらその場を後にする。

「ハァ…ハァ…ハァ…」

 実際限界まで戦った俺はすでに歩くのすら困難だった、俺は近くにあったベンチに座ると少し休憩した。

「しかしこうも連戦するとさすがに疲れるな…」

 何十体のゾンビを相手したかと思うと次は変異したゾンビと戦い、最後はハンターと戦った。自分で自分を褒めてやりたいほどに俺は疲れていた。

「目的地はまだ先か…」

 ある程度休むと体はすっかり元通りになっていた。

 俺は起き上がると目的地の向けて歩き始める。

「しかし“NTウイルス”はすごいな…」

 腕の怪我もすっかり治っていた、俺は改めて自分の運の良さに感謝した。

「これが無かったら俺は今頃彼らと同じ運命をたどっていただろうし」

 そう呟きながら俺は歩いていると大きな音と共に時計台にヘリコプターが墜落した。

「なんだ!」

 俺は走りながら時計台に向かって走り出した。

 

 時計台にたどり着くとそこでは大きな穴が有りその先では電車が脱線する形で存在していた。

「いったい何が…」

 俺は穴から中の様子をうかがうとそこにはネメシスと1人で戦う傷ついた女性がいた。

 俺が加勢に入ろうとしたがすでにネメシスは彼女の手によって倒された。

「強いな…彼女…」

 ネメシスは俺の方に向かて歩き出した。

 俺は彼女の手当をするべきだと感じ行こうとしたが、先に他の男が治療の為に現れた。

「ジル!」

 そう男が叫ぶ、俺はその名前を呟いた。

「ジルって言うのか…」

 そう言っていると俺の目の前にいたネメシスは大きく変化を遂げた。

 さらに化物に近くなっていく。

 俺は不意にジルの方を向いた。

「ここで彼女を巻き込むわけには…」

 そう言うと俺はネメシスと戦う決意をした。

「少しの間戦ってやるよ」

 ネメシスは触手を使って俺に攻撃を仕掛けてきた。

 俺は態勢を低くして避けると俺はネメシスの腹に何度もパンチを入れる。

 するとネメシスは先ほどの戦闘のダメージが抜けていないのか大きく態勢を崩した。

「これなら!」

 俺はネメシスの頭めがけて飛び蹴りを仕掛ける。

 するとネメシスは更に大きく態勢を崩してこけた。

 俺はその隙を逃さずネメシスに乗っかりマグナムで攻撃を仕掛ける。

 しかしすぐにネメシスは俺を殴り飛ばした。

「何度だって!」

 俺は起きようとするネメシスの顔目掛けて飛び膝蹴り入れるとネメシスは動かなくなった。

「これで…ようやく…」

 俺はそのまま時計台の方を見たがすでにそこには彼女はいなかった。

「無事でいてくれ…」

 俺はそのまま病院に向かって歩き始めた。




「スタァーズ!!」
 ネメシスは立ち上がる
 何度でも


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脱出

 ネメシスとの戦いでウイルスに感染したであろうジルを助けるため、単身病院に向かうベルトウェイ。
 そこでまたしてもあのBOWとの戦いが待っていた。


 俺は疲れ切った体でゆっくりとではあるが病院を目指していた。

 近くに大きなラクーンシティ病院が見えてくる。

 最初俺はここに脱出の為に来たが今は違う、ジルという女性を助ける手段を見つけるために来た。

「ここに何かあるはずだ!」

 そう言いながら俺は病院の中に足を踏み入れた。

 すると中は思いのほか静かで落ち着きさえある。

 しかし柱の陰や奥からぞろぞろとゾンビが現れると俺は、黙ってハンドガンを取り出し銃の引き金を引いた。

「しかしこの様子だと生存者は全滅か」

 ゾンビの中にはこの病院の患者であろう人までいる、それに先ほどから何やら俺にとって会いたくない奴の音が聞こえてきた。

「こっちか!」

 そう言うと俺は一階の大きなロビーであろう場所まで出てきた、すると奥の方から俺の予想通りの奴が現れた。

「リッカー…」

 俺が研究所を出て少しして会ったのがこいつだった。

 しかし今回のタイプは少し体が大きいように感じる。

 おそらくは実験で使われていたタイプだろうと考えていた。

 さらに奥の方から2体のリッカーが現れた。

「合計3体か」

 そう言いながら俺はハンドガンを構えた。

 リッカーは俺の存在にまだ気づいていないのか襲ってこない。

「チャンスか」

 そう言いながら俺はハンドガンの引き金に力を込める。

 大きな音と共に弾がリッカーの頭を貫通する。

 しかしその音でリッカー達は俺の存在に気付いてしまう、俺は走りながらロビーを出た。

「ハァ、ハァ、ハァ」

 さすがにネメシスの戦闘の後にこの走りはきつい、俺は何とかしなければと考えていたが、そんな事を許してくれる奴らではなかった。

 リッカーは着実に俺との距離を潰してきた。

 するとリッカーの一匹が俺の方に向かって舌を伸ばしてきた。

「くっ!」

 俺はその舌を何とか避けると俺はその舌を掴み思いっきり俺の方に向かって引き寄せる、俺はそれを使って思いっきりナイフを頭に刺した。

「後一匹!」

 そう言いながら俺は再び走り出す、リッカーとの距離は着実に縮んでいく。

 その時俺の足に何かが引っかかった。

「!!」

 倒れるとそこには死んだU,B,C,Sの隊員の体があった。

 俺はその男が持っていたショットガンを持つと、そのままリッカーの方に向けて銃の引き金を引いた。

 バン!

 そんな音と共にリッカーは大きく吹き飛んで死んだ。

 俺はゆっくり立ち上がるとそこにショットガンを置くと一言言った。

「ありがとう、助かったよ」

 そう言うと俺はそのまま病院の中を駆けた。

 そのまま病院のオフィスの中に入ると俺はエレベーターで上へあがるとそこにはウイルスについての結果があった。

「まだ未完成品か、しかしないよりは…」

 そう考え俺は先ほどの男がここに来ることを望んで、ワクチンの作り方とその素体の位置を一つのメモに残して俺はその部屋を去った。

 すると部屋を中心に多くのゾンビが囲んでいた。

 俺はナイフを持ってそのまま首を切りながらエレベーターへ向かった。

「後はあれをあの男が発見するだけだが…」

 俺はエレベータを下りるとそのままロビーに出た。

 そこには多くのゾンビが入り口を塞いでいる。

 俺はハンドガンでゾンビ共を引き寄せると大きなフロアに移動した。

「ここなら!」

 そう言うと俺はナイフを持ちながら攻撃を開始する。

 ゾンビの首を切ったり捻ったりと攻撃を仕掛けている。

 戦闘を続けておくと俺は肩で息をしながら時計を確認した。

 時間は既に俺が入ってから二時間が過ぎていた。

 すると柱のところに何か光る物を発見した。

「あれは…爆弾!!」

 しかも時間はあと20秒が過ぎていた、俺はゾンビに噛まれながら俺は外を目指した。俺は目の前に先ほどに男が外に急いで出て行く、俺はそのまま外に出た。

 俺が出ると同時に爆発した。

 ドカーン!!!

 

 俺はそのまま爆風で体を壁にぶつけてしまった。

 俺はそのままガラスの雨をもろに受けた。

「ぐっ!く、そ…」

 俺は体にささったガラスをそのまま抜き出した。

 するとそのまま傷口がシューという音と共に傷口が塞がっていく。

 俺は再びこのウイルスの恐ろしさに気付いた。

「瞬時に傷口が塞がるなんてな…」

 噛まれた傷口も治っていく、俺はこのウイルスの恐ろしさを思い知った。

 俺はそんな事を気にしている場合ではなかった。

 俺はそのまま歩きだすと近くで大きな声を聞いた。

「あれは…」

 先ほど倒したネメシスだった、ネメシスは先ほどの男を追跡してそのまま時計台の中に入って行った。

「今はあの男を信用するしかないか…」

 俺はゆっくり歩きながら公園を目指した、しかし体力は立て続けの戦闘で疲れ果てていた。俺は公園の中に入って行った、公園のベンチに座ると俺はそのままそこで休憩することにした。

「どうやって脱出しようか…」

 俺は地図を見ながら困り果てていると、公園の奥の方に工場があることに気付いた。

 しかもその工場は奥にヘリコプターの離陸場が設置されている。

 俺はそこで最後の願いを込めそこに向かう事にした。

 公園の入り口から見て右の道に行くと、そこは階段になっており降りるとそこには大きな池があった。

 そこはかつて魚達が泳いでいたであろう、その池を横目に歩いていると俺の足を何かが掴んだ。

「!」

 俺は下の方を見るとそこにはハンターが池の底には複数のハンターが俺の周りを泳いでいた。

 ハンターは俺を挟む形で2体が現れる。

 2体の内の1体は俺の方に向かって、恐ろしい高さで襲いかかってきた。

 俺はハンターが飛んだ高さより遥か高いところに飛んでいる自分がいた。

 俺はそのまま着地しすると、ハンターは大きくこけた。

「これは…どういう…」

 俺は今自分がしたことを驚いていた。

 ハンターがさらに池の中から俺をジャンプで襲ってきた。

 俺はそのハンターを恐ろしい速さで蹴り飛ばすと俺は更にそこでさらに二体のハンターが飛んで来るのを確認した。

 俺はその内の一体を俺は池に向かって蹴り飛ばした。

「後一体!」

 俺は走ってハンターと距離を詰めると俺はそのまま蹴り飛ばした。

 俺は走りながら、その場を後にした。

 そこを過ぎるとさらに公園にでる。

 俺はそこにあったベンチに座ると自分の手を見た。

「これは…あの所長の言っていた“NTウイルス”の効果か」

 おそらくはついにウイルスの最後の変化が終わったのだろうと確信した。

 最後はおそらく身体能力の向上だったのだろう。

 そこで俺はどうしてアンブレラが俺を別の研究所に移動させたかが分かった。

「ここで本来はゾンビやBOWと戦うことで俺の体を鍛え、俺を対BOW用の人間に…」

 それが本来の計画だったのだろう、俺は結局アンブレラの計画通りになったのだ。

 俺はこれまでゾンビを初め、ネメシス、リッカー、ハンターと戦ってきた。

 俺の体はそのBOWとの戦いで強くなっていったのだろう。

「しかしこれ以上アンブレラの思い通りのなるつもりはない、必ずアンブレラを倒して見せる!」

 俺は改めて覚悟を決めると俺はそのまま工場に向かって歩き出した。

 

 俺はそのまま鍵の付いた門があった、そこにはこうあった「立ち入り禁止」その下に俺は研究所で見た傘のマークがあった。

「アンブレラのマーク!まさか…ここ…アンブレラ関係の施設か?」

 俺はそのまま門を飛び越えると先に進んだ。

 そこには吊り橋があり近くに研究員の死体があった。

「ここまで来て力尽きたか…」

 すると男の手の中にカードキーがあり、俺はそれを取るとそのまま吊り橋を通って行った。

 中に入ると俺はそのまま奥の部屋を目指すと、俺は休憩所のような場所で地図を確認した。 ヘリコプターの発着場は入り口から入ってすぐの曲がり角を、右に曲がると行けることが分かった。

「この地図は彼女が取りに来るかもな…」

 そう考えると俺はその地図を、その場においてヘリコプターの発着場に急いだ。

 俺は部屋を出ると、そのまま左に曲がり道なりにまっすぐ進むとカードキーが必要なドアに差し掛かった。

「ここで…」

 カードキーを使うとシャッターを開けると俺はそこを通って行った。

 シャッターがその場でしまってしまい、俺にはシャッターは開けることができなかった。

 俺は仕方がなくその場を後にした。

 その後俺は梯子で下に降りると俺は道なりに進んだその先で俺は外に出る。

 俺は周りがゴミだらけの場所で俺を待っていた奴がいた。

「しつこいな!ネメシス!」

 俺の進路を塞ぐように立ちふさがるネメシス、ネメシスは俺の方に向かって走ってきた。

「何度もその攻撃を喰らうか!」

 俺はジャンプしてその攻撃を回避した、するとネメシスは振り向きざまに俺の方に向かって触手で攻撃をしてくる。

「くっ!」

 俺は着地の為に避けることができなかった。

 俺の腕を触手は貫通すると、触手はそのまま俺の腕から抜かれる。

 俺はそのままネメシスまで走って行った。

 俺はネメシスに目掛けてジャンプした後何度も蹴り、最後はネメシスの体を使って蹴り上げた。

 しかしネメシスはそれでも完全ではなく、俺の脚を掴むとそのまま俺を投げてしまった。

「タフだな…」

 俺の方も立ち上がると俺の方も攻撃体制を作り出したが、ネメシスは突然工場の入り口の方を向くとそのままジャンプして去って行った。

「今は逃げることを優先するか…」

 俺はその場を後にすると俺はヘリコプターの発着場に到着した、そこには2機のヘリが用意されている。

 俺はその内の1機に持ったが先ほどのジルという女性を待つかどうかで悩んだ。

 するとヘリの通信機から声が聞こえてきた。

「ジル!聞こえていたら返事をしてくれ!」

 それははっきりと俺の耳に届いている、俺はその声に答えた。

「ジルなら汚水処理所に居ると思うぞ!」

「あんたは!?」

「誰でもいいさ…彼女を頼む!」

「分かった!」

 そう言うと俺はそのままヘリを動かしラクーンシティを後にした。




 その後俺はジルを探していたヘリに別れを告げ、ラクーンシティを後にした。
 その後ラクーンシティは地図の上からも地球からも消滅することになる。
 俺は近くでクレアという女性を助けると彼女からとある情報を掴んだ。
 その後俺は数か月後に新たな戦いを始める。


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CODE:Veronica
エイダ・ウォン


 ラクーンシティから無事脱出した、ベルトウェイ
 彼はヘリでの脱出した後にクレアという女性を助けた
 彼女の情報でクリスという男を探すためヨーロッパに向かった


スタン、そんな音と共に俺は通気口から降りる、そこは誰もいないことは先ほど確認した。

「何とかここまでこれたか…」

 俺は今パリにあるアンブレラの研究所にいた。

 俺はクレアという女性から、俺と同じ事を考えている男がこのヨーロッパに居ることを掴んだ。

 最初はクレアと行くつもりだったが、俺はこれ以上俺とかかわるとアンブレラに捕まってしまう恐れがある。

 俺はクレアにアメリカにいるように言い、別れてここまで来た。

 俺は奥の方にあるアンブレラの中枢にアクセスできる場所を目指していた。

 俺はそのまま通路を進むとガスマスクに反応があった。

「このガスマスクにこんな機能があったとは…」

 すると近くに大きなドアを見つけた。

 俺は手に持った携帯の様な物をドアの横についた端末につけた。

「良し」

 すぐにドアが開く、俺は中に入って行くとそこには多くのコンピューターがあった。

「ここから…」

 すると後ろから人の気配を感じた。

 俺は腰につけたハンドガンを抜くとすぐに構えた。

「誰だ!」

 後ろには1人の女性がいる。

 その女性も同じくハンドガンを構えて笑っているような顔で俺の方を真直ぐ見つめていた。

「名前を聞くときは先に言うのが常識ではない?」

「……ベルトウェイ」

「エイダ・ウォン」

 そう言うと俺はエイダと名乗った女性の体を見渡した。

 とてもではないがアンブレラの所員とは思えない。

「どうしてここに?」

「あなたこそどうしてここに?」

「……クリスという男を探している」

 そう言うとエイダは少し笑い俺の方に向かって一言、俺に言った。

「嘘ね…人1人探すなら別にここに来る必要はないはずよ」

 嘘が通用しないので俺は仕方なく本当の事を話し始めた。

「アンブレラの情報を手に入れるならアンブレラってな…それにクリスという男を探しているのも事実」

 そう言うとエイダはハンドガンを下すと、そのまま俺の方に向かって歩き始めた。

「あんたは?」

「私も同じよ、アンブレラの情報が欲しい」

「それはお前の為か、それとも…」

「さあ、どうかしらね…」

 そう言うとエイダは近くにあるコンピューターを操作し始めた。

 俺もハンドガンを収めると同様に操作を始めた。

「それはそうと、どうしてアンブレラの情報がほしいの?」

「聞いてどうする…」

「興味があるだけよ…」

「お前が聞いても何も面白い情報はないぞ」

「興味があるだけよ…」

 そう言うエイダの顔を先ほどと何も変わらない、何を考えているのか…

「アンブレラに恨みがあるだけだ…」

 そう言うとエイダは俺の方を向いて言った。

「あなたラクーンシティにいたわよね…」

 俺はその言葉で彼女がラクーン警察で、俺が去り際にミラーで見えた女性だと気づいた。

「そう言われると俺もあんたの顔に身に覚えがある、警察署に入って行った女だな…」

「見ていたの?」

「ミラーでちょっとな…」

 そう言うと俺はやっとアンブレラの中枢にアクセスすることに成功した。

 そこで俺はクリスという男の情報を検索すると以外にもすぐにヒットした。

 クリスは今アンブレラが最も注意している男であることも判明した。

 しかし俺がさらに驚いたことはそのリストのトップが俺の名前だったことだ。

「ここにある名前あなたよね…」

 そうやらエイダの方も俺のリストと同じ物を見ている、そしてそこで俺について読み始めた。

「ベルトウェイ・シュターナー、本計画cordname“NT”の中心を示す人物である」

 そこまで言うとエイダは俺を見ながら、読み続けた。

「ベルトウェイの体内にある“NT”ウイルスは外傷を瞬時に治し、ウイルスなどから体を守るウイルスである」

 俺はそれをラクーンシティで嫌というほど思い知った事を思い出していた。

 しかしエイダはそんな事を知るわけもなく、資料を読み続けた。

「当初“NT”ウイルスを改造し強い人間を作る予定であったがしかし“NTウイルス”はベルトウェイ以外の人物には感染しても体がついていかない点で量産が無理だと判明」

 それについても研究所の所長から言われていたので驚きはしなかった。

 しかしその後の言葉に俺は興味があった。

「その為ベルトウェイをラクーンシティの地下研究所に移し、対BOW用の人間として強化する方針に変更した」

 俺は地下研究所で俺があらゆる戦闘技術を教えられたこと、そして色々な乗り物の事まで教え込まれたことを思いだした。

「そこで新たなウイルスの特性が判明した、このウイルスは外傷があった場合その外傷に体が耐えられるように体を強化することができる」

 俺はラクーンシティでの戦いの事を思い出した。

 それまでの戦いで俺がどれだけ強くなったかを考える。

「それで本計画はベルトウェイをBOwとぶつける事でベルトウェイを強くすることを研究のテーマとした」

 そこまで話すと研究は順調だったと思ったがその後起こった出来事を思い出した。

 俺は再びアンブレラに対する憎しみを膨らませる。

「しかし、本計画を進める段階で地下研究所があったラクーンシティで大規模なバイオハザードを確認した」

 そうだ、それがあった為にラクーンシティに住んでいた人たちは死んでいったのだ。

 俺はそれを一生忘れないと誓ったのだ。

「その為本研究は完全に停止し、ベルトウェイの完全抹殺に移行した」

 そこまで話を聞くとその後の言葉に俺は大体の予想が出来た。

「しかし、なんらかの要因によりベルトウェイが脱走した事が判明」

 その要因に俺は心当たりがあった。

 あの所長は俺を抹殺するようにと命令されていたのに、無視をして俺を脱出させてくれたのだろう。

「それによりネメシスにS.T.A.R.S.の抹殺と同様にベルトウェイの抹殺も同時に進行させた」

 俺はネメシスの事を思い出していた、あの化物のせいで俺がどれだけ苦労したことか。

「しかし、S.T.A.R.S.のジル・バレンタインの戦闘もありネメシスの死亡を確認した」

 俺はネメシスの最後の戦いを思い出していた。

 今思えばネメシスは最後ジルを求めて行ったようにも感じた。

 なんにせよジルはネメシスを倒したのだ。

「その後の行方は不明、その為ベルトウェイを一番の注意人物にリストアップする」

 そこまで言うとエイダは俺の方を向き、またしても少し微笑みながら喋り始めた。

「なるほどね…」

 エイダの微笑みは何かを考えているようだが、俺には気にせず調査を続行する。

 その時俺はまたしてもジル・バレンタインの項目を発見することに。

 俺はその項目を開く、その中にはジルがラクーンシティを無事脱出した事と、その後の行方が不明だという事しか分からなかった。

「無事ならそれで…」

 俺はそう呟くとそのまま調査を続ける。

 その後俺はアンブレラが所有している施設のリストの検索を続けた。

 するとその中から生物兵器開発部門のリストに絞り込むと中に興味深い項目を見つけた。

「ロックフォード島…」

 そう書かれている項目はこう書かれていた。

「アルフレッド・アシュフォードが管理している島、今は“T-Veronica”ウイルスの開発に着手している」

 俺はその“T-Veronicaウイルス”を中心に検索をかけると思いのほかすぐにヒットした。

「“T-Veronicaウイルス”、始祖ウィルスへ主に女王アリや植物の遺伝子などを複数組み込むことにより生まれたウイルスで、“Tウイルス”とは根本から違うウイルスといえる」

 そこにはそうしか書かれていなかった。

 俺は更に項目を調べて行くと他にももう二人の人物を見つけた。

 1人はアレクサンダー・アシュフォード、もう一人はアレクシア・アシュフォードだ。

 そこには書かれていたのはアレクサンダーが初代アシュフォード家の当主、ベロニカ・アシュフォードの遺伝子を元に作ったクローンであることが書かれていた。

 “T-Veronicaウイルス”は彼女が作り出したウイルスだという事だけだった。

 そこで見つけた情報は、元々アンブレラを作った創設メンバーの一人にアレクサンダー・アシュフォードの父、エドワード・アシュフォードがいた。

 しかし彼が死んだことによりアシュフォード家は他の幹部よりウイルス実験で大きく遅れる事になった。

 そこでもう一度栄光を取り戻そうとして作ったのが、アレクシアだ。

「アレクシアによって“T-Veronicaウイルス”が完成したわけだ…」

 そこまで調べて俺は自分に流れているウイルスがどれだけ危険かを知りたくなった。

 俺はパソコンに“NTウイルス”と打つとそのまま項目を見ることにした。

 しかし中身は多くは書かれてはおらず、その性質すらも良くわかってはいない。

 唯一分かっているのは俺にしか適合できなかったという事だ。

 そこまで調べると突然研究所に警報が鳴った。

 俺は何かミスをしたかと思ったがいつまでたっても警備兵の1人も来ない。

 俺達ではない事に気付いた俺はこの研究所の監視システムにアクセスして、原因の究明を始めた。

 もう少しで監視カメラにアクセスできるところで先にエイダが正体に気付く。

「侵入者ね…」

 そう言うと俺は監視カメラに映った人物の名前を呟いた。

「…クレア」

 侵入したのは俺がクリスの情報を提供してもらった、クレアだった。

 俺はそこで自分のミスに気づいた。

「知り合い?」

「ああ…」

 それもそうだ、彼女は元々兄クリスを探していたのだ。俺の方法と同じ手段で探そうとしてもおかしくはないはず。

 俺はあの時彼女を1人にしたことを後悔した。

 俺が部屋を出て行こうとするとエイダが俺の行動に対して意見を述べた。

「やめておいた方がいいわよ、あなたが出て行ったところで事態は変化しない」

「……」

 俺はエイダを見つめる、マスクの中では睨んでいた。

「あなたが彼女とそう言う関係かは知らないけど、少なくともあなたが出て行ったところで今何かができるわけでもない」

 そこまで言うとエイダは微笑みながら提案した。

「そこで提案よ…」

 そこまで言うとエイダはパソコンの電源を切って俺の方に向かってしゃべり始める。

「私と手を組みましょ」

「俺にメリットがない…」

「彼女を助けるのに手を貸してあげる、だから…」

「お前のやることに手を貸せと…」

「その代りお互いのやる事、その後に関しては手を出さない…」

 そこまで言われると俺は考え込んだ。

「いい提案だと思うけど、1人ではできないからこその提案よ」

「いいだろう、その代りクレアと俺の事に対して何も手を出すな」

「いいわよ」

 そこまで言うとエイダは俺の方に向かって手を差し出した、俺もその握手に応じる。

「交渉成立ね」




 数日後俺達は近くの海からとある島に上陸を果たそうとしていた。
「あそこがクレア・レッドフィールドが収容されている島、ロックフォード島」
「あそこにクレアが…」


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上陸

 パリ研究所で出会ったエイダと共にロックフォード島に来たベルトウェイ
 クレア救出戦を始める


 ロックフォード島…アンブレラの創設メンバーの一人であるエドワード・アシュフォードが住んでいた。

 アシュフォード家の所有する島、今の当主はアルフレッド・アシュフォードだ。

 かなり歪んだ人格の持ち主だと記録されている。

「到着したな…」

「ええ…」

 そう言いながら俺は船を港に泊めて上陸した。

 しかし監視員の1人もいないとはどういうことだ。

「どうなっている、人の1人のいないなんて」

「ウェスカーが攻撃部隊を率いて攻撃をしているはずよ」

 そう言いながらエイダは落ち着いた感じでハンドガンの準備を始めていた。

 それでも人の気配一つもないとは異常な光景だ。

「それでも人の1人ぐらい、いるもんだ」

 俺の方はハンドガンの準備を済ませてすでに撃つ準備を整えていた。

 するとエイダも準備を終えたのか俺の方に合図をしてきた。

「まずはどこから向かう?」

「まずは脱出ルートの確保よ…」

「クレアのな…」

「ええ…」

 そういうエイダの表情は笑っているような感じではあったが、何を考えているのかは分からない。

 俺はエイダの跡をついていくことにした。

「ここはロックフォード島の西に位置する場所よ…彼女が収容されたのは南にある場所よ」

「そこで先に脱出ルートの確保か…」

「ええ…」

 エイダの跡を進んでいると俺は大きな門の前に来ていた。

 するとエイダは近くにあったドアから入って行くと俺も後に続いて進んだ。

「ここは?」

「ここから進んで行ったところにアシュフォード家が所有している飛行機が多くあるの…」

「なるほど、その内の一機を確保しようと?」

「ええ…」

 さきに進むと人影を見つけた。

 俺とエイダはそれぞれ物陰に隠れるとその人影を注意しながら進んで行った。

 それは、ゾンビだった事に気づいた。

「!周りを見ろ!」

 そう叫ぶとエイダは周りを見渡した。

 そこには数えきれないほどのゾンビが俺達を囲んでいた。

「あらあら…」

「ハンドガンがもったいない量だな…」

 すると足元に刀が落ちている事に気付いた、俺はそれを蹴り上げて右手で持った。

 その刀はいわゆる日本刀といった感じで、鍔が無いタイプの刀だ。

「これで十分だ…」

 俺は刀を抜くと俺はゾンビの首を刎ねていった。

 エイダは、フックショットで上に上がるとそのまま消えて行った。

 俺はそのまま中心にゾンビを集めると上からエイダの声がした。

「退いて!」

 その声と共に俺はその場から退くと、そこに鉄筋が多く落ちてきた。

「無事?」

「まあな…」

「そう、行きましょうか…」

 そう言うとエイダはそのまま奥に進んで行った。

 俺も後を追うように進んで行く、すると奥には階段があり先はまったくと言っていいほど見えない。

「この先よ…」

 そう言いながら俺も後に着いて行くと先には、大きな港に大きな飛行機が何機も止まっていた。

「何に使うんだが…」

「さぁね…」

 そう言いながら一番奥にある飛行機を確保するために進んで行く。

 ここにはゾンビが少ないようで俺達はすぐに進んで行く。

 下に降り奥に進んで行くとエイダは通気口の中に入って行った。

「ここの先か?」

 エイダは無言で進んで行くと、俺はあきらめるように後に着いて行った。

 中は予想外に広く体が大きい俺でも進める。

 するとエイダは下に降りると俺も後に続いていった。

「これか?」

「ええ…」

 目の前にはさらに大きな飛行機があり、俺は隣にいるエイダに方法を聞いてみた。

「これをどうする気だ?」

「この飛行機を操縦する飛行士を殺して無力化する」

「簡単な方法だな…」

 そう言うと近くにある台座に三つのはめ物があった、俺はこれが何かをすぐに感ずいた。

「これが飛行機に乗るための鍵か…」

「そのようね…」

 エイダも横目にそれを確認する、俺は中に入ると操縦席に男が一人座っていた。俺はその男の首を掴み捻って殺した、すると奥の部屋から銃撃音がするとエイダが出てきた。

「中の奴は?」

「自分で確認してみたら?」

 そう言うとエイダは操縦席の確認を始めた。

 俺は中に入るとそこには三人ほどの男が血だらけで死んでいた。

 俺は後部ハッチを開けると下に死体を落として処理を済ませるとエイダがもう一人の遺体を連れてくる。

「何?」

「これもよろしく…」

 そう言うとエイダは死体を俺に任せて中に入って行った。

 俺はその遺体を後部ハッチから落として処理を済ませる。

 その後ハッチを閉じて処理を終了した。

「自分でやらないのかね…」

「力持ちさんがやってくれないと…」

「ヘイヘイ」

 そうするとエイダは携帯で場所の確認をしていた。

 するとエイダは俺の方を向くと喋り始めた。

「この通気口からロックフォード島の中心に向かうからちゃんと着いて来てね」

「了解!」

 そう言うとエイダは通気口の中に入って行った、俺も中に入ると暗い中奥に進んで行った。

 

 通気口から出るとそこは小さな港の所に出てくる、エイダは俺が出てくるのを見届けると階段を進んで行った。

「ここを進むとロックフォード島の管理者アルフレッド・アシュフォードの住む家に向かう公邸があるわ」

「そこから家に向かうのか?」

「そうよ」

 そう言いながら俺達は階段を進んで行くと公邸の前に来ていた。

 すると公邸の中から誰かが出て来た、俺達は物陰に隠れるとその人物は俺が良く知る者だった。

「クレア…」

「どうやら無事だったようね…」

 クレアはそのまま俺達が来た方向に向かって走り始めた、俺達も物陰から出てくる。

「これで私の方の用事に集中できるわね」

「まあな…」

 そう言うと俺とエイダはそのまま公邸の中に入って行く。

 

 中は思いのほか広くゾンビがいる気配もしない。

 俺とエイダは階段から二階に上がり、すぐ右に曲がると近くの部屋に入った。

「ここなら何かありそうだな…」

「この奥に…」

 エイダは奥の方に進んで行くとそこはドアが塞がれており、進むことはできなかった。

「どうするんだ?」

「仕方ないからここで情報を集めましょう」

 そう言いながらエイダは本を読み始めた。

 俺も本を読むが、それと言った情報の乗った本を見つけることが出来ずにいた。

 するとエイダが俺を呼んだ。

「これを見て…」

 そう言われると俺はエイダが持つ本の中身を確認した。

 そこにはこの公邸の一階にある部屋にゴールドルガーがあり、その銃が有ればこのドアを開けることができると書いてあった。

「そこに向かうか…」

「ええ…」

 そこに向かうために行動を開始するが行く手をゾンビが塞いだ。

 俺はハンドガンを構えて引き金を引いた。

 ゾンビの数は少なく、おそらくは隠れていたのが想像できる。

「どこにいたんだか…」

「行きましょ…」

 一階に降りると俺とエイダは奥の方に向かって歩き始めた。

 俺達は奥に進み情報にあった部屋に向かったが、そこには既にゴールドルガーは無かった。

「無いな…」

 そう呟くとエイダは近くのパソコンから情報を抜き出していた。

 するとこの部屋の監視カメラにはクレアともう一人の男が出てきた。

「誰だ…」

「知らないわ」

 しかしその男の手の中にゴールドルガーがあった。

 その男はクレアより先にこの部屋を出ていることが分かった。

「俺達と会ってないってことは…」

「彼女とは別の方向に向かったという事ね…」

 その事を確認すると俺達は、そのまま部屋を出て真っ直ぐ公邸を出た。

 俺達はそのまま来た道とは別の道に進んで行くと、そこには多くのゾンビは徘徊している。

「また多くのお客さんが…」

「あなたに会いたいのかもね…」

「嫌だね…」

 そう言うと俺とエイダは、それぞれハンドガンを構えて引き金を引いた。

 ゾンビを殺すと俺達は通路を進んで行った。

 すぐ左のドアを開けるとそこには大きな施設がある。

「ここから調べましょうか…」

 しかし俺にはここに入った時から嫌な音が響いていた。

「何?」

 俺はその正体がなんとなくどこにいるかが分かった。

 すると奥の方から土が盛り上がりながら進んできた。

「施設の中に!」

 そう叫ぶと俺とエイダは施設の中に入って行く。

 中もやはり人の気配がしない、俺は中を進んで行くと中庭のような場所出た。

 そこを左に曲がり梯子を降りると、そこは地下室になっていた。

「この奥から調べましょ…」

 奥に進んで行くと一つの部屋に出た、中を調べて何十分経つが中々情報がつかめない。

 そこで俺はもう一度エイダの方を向くと、一つ提案した。

「一度この上を調べないか?」

 そう提案した時エイダは、少し考えると俺の方を見て頷くと一言言った。

「上を調べましょうか…」

 そう言いながら上に戻ると俺は違和感に気付いた。

「どうかした?」

「ここで銃撃戦があったかなって思ってな…」

 そんな事を考えていると俺は不意に何か気配を感じてエイダを押し倒した。

「危ない!!」

 そこには退化した左腕とは別に大きく肥大化した化物がそこにいた。

「こいつ!」

 俺は走って行くとその化物の腕が伸びて俺の方に向かって攻撃を仕掛けてきた。

「これが先ほどの攻撃の正体か!」

 これをしゃがんで避けると俺はそのままハンドガンでその化物の頭を撃ちぬいた。




「どうして助けたの?」
「何がだ…」
 俺はその化物から顔を動かさないで、エイダの答えに答えた。
「ここで私を殺せばあなたのやりたい事に集中できるでしょ」
 そう言ったが俺は、エイダの方を向いてこう言った。
「仲間を助けただけだ…」
 そう言いながら俺は、そのまま階段を上がって行った。


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影への道

 ロックフォード島でウイルスの情報を探す、エイダとベルトウェイ。
 そしてついに…


 階段を上がると俺は右側のドアを開けた。

「この奥に向かうか…」

 ドアを開けると真直ぐな通路を進んで行く。

奥のドアを開けようとすると、そこには鍵がかかっていて進めないようになっていた。

「鍵がかかっているな…」

 そう呟いているとエイダが後ろから俺に向かって話しかけてきた。

「私に任せて」

 そう言うとエイダは窓から飛び出していった。

 数分が過ぎるとエイダが窓から帰ってきた、片手に鍵を持った状態で。

「その鍵は?」

 そう聞くとエイダはドアに向かって歩き出しながら俺の質問に答えた。

「ここの鍵よ…」

 ガチャ

 そんな音と共にドアの鍵が開いた。エイダは奥に向かって進み始めた。

「そんな鍵どうやって手に入れた?」

「企業秘密よ」

 そう言うエイダの顔は微笑んでいた、俺はエイダについていくと奥のドアから銃撃音が聞こえた。

「行くぞ」

「ええ」

 二人で奥に進んで行くとそこではクレアが俺が先ほど倒したBOWがクレアを襲っていた。

「助けるか…」

 そう悩んでいると奥のガラスから先ほどのカメラに映っていた男が出てきた。

 BOWが死ぬと男はゴールドルガーをクレアの持っていたマシンガンと交換していた。

 しかし、マシンガンは弾が入っていないようでクレアに向かって抗議をしていた。

「弾が入っていないようね…」

「みたいだな…」

 話を聞いているといつの間にかクレアは男の上に立ち弾を取ると男に渡した。

「彼女も中々やるわね…」

「さすがクレア…」

 男が奥に進んで行くとクレアは戦闘があった場所で待っていた。

「どうする?」

 俺はエイダに聞いてみたがエイダは立ち上がり俺に向かって答えを呟いた。

「彼女がゴールドルガーを手に入れた理由はおそらくはドアの奥に行きたいからでしょうね」

 そう言いながらエイダは立ち上がりドアから引き返していった。

「だったら彼女に奥に進んでもらいましょう…」

 俺も後に着いて行くとエイダは次の目標に向かって歩き始めた。

「それでこれからどうする?」

 そう聞くとエイダは進みながら俺の質問に答えた。

「まずはウイルスの事を調べましょうか…」

 そう言うと俺達はこの施設から出ることにした。

 

 施設を出るとエイダは来た方とは別の方向に向かって進み始めた。

「この先は刑務所になっているはずよ…」

 そう言いながら俺とエイダは階段を下りていた。

「その刑務所に何か用か?」

 階段を下りていくと、視界に大きな橋が見えてきた。

「別に、要は無いわよ…」

 橋は大きな炎で包まれており、中心で車らしき物がぶつかり合っていた。

「じゃあ何で?」

 橋の中心に向かって歩き始めた、するとエイダは中心で歩きを止めて俺の方に向いた。

「一つ聞いてもいい?」

「なんでも聞けばいいだろ」

 そう言うと俺はクレアいるであろう場所を見つめながらエイダの方に耳を傾けた。

「あなたは自分の運命を呪っている?」

「突然だな…」

 そう言いながら俺はエイダの質問を聞いていた。

「あなたはアンブレラのせいで人生を大きく変えられた…」

 俺はその言葉でラクーンシティの事、死んだ者の事を思い出していた。

「あなたはもう私のようにしか生きられない、裏で生きていくしかない」

「だろうな…」

 俺はエイダの方に向くとエイダに先ほどの質問の答えに答えた。

「恨んでいると言えばその通りだろう…」

 エイダは真直ぐ俺の方に向かって見つめた。

「だからこそ俺達のような人間を出さない戦いをすることを決めた…」

「だからこそ、俺とお前は大切な者の為に戦うんだろ…」

 エイダは何かを思い出しているようで俺の言うことに黙って聞いていた。

「それが俺が戦う理由だし、クレアを巻き込みたくない理由だ」

「あなたは私に似ているわね…」

 エイダは俺の方から向きを炎に変えて黙り込んだ。

「お前は恨んでいるのか?」

「別に…」

 そう言われると俺は黙り込んだ。

「このまま待ちましょう…」

「いいだろう」

 俺はエイダと共にクレアが出てくるのを待った。

 

「そろそろだな…」

「ええ…」

 そう言いながら俺達はもう一度階段を上がって行った。

「先ほどの男は何者だ?」

「私が知っているとでも?」

 そう言うと俺はエイダに聞く事をやめて歩きを進めた。

 ある程度進むと俺達はまたしても公邸の場所まで出てきた。

「この先に家があるんだな?」

「ええ…」

 そう言うと俺達は奥に向かって進み始めた。

 先ほどの部屋に入るとドアは開いており、奥に進めるようになっていた。

「この先か?」

 俺は左にある通路を指差すとエイダに聞いてみた。

「ええ、そのはずよ…」

 通路から外に出ると橋が架かっており奥に進めるようになっていた。

 橋を進んでいると大きな家の前に来ていた、すると奥からクレアが出てくるので俺とエイダは瓦礫の中に隠れた。

 クレアは俺達に気付かれてないようで奥に進んで行った。

「気づかれなかったようね」

 そう言いながら俺とエイダはそのまま進んで行く、家の中に入るとそこはコウモリを何匹も飛び交ってきた。

「うるさくしなければ襲ってこないわ…」

 静かに進んで行くと階段を進んで行くと一番上のドアを開ける。

「この先がアルフレッドの部屋か…」

「そのはずよ…」

 そう言いながら俺はアルフレッドの部屋に入って行った。

「何かおかしくないか?」

「というと?」

 俺は上を見る、するとエイダも何かを感ずいたように上を見る。

「隠れて」

 その声と共に俺達は窓の下に隠れた、窓から隠れて確認するとそこにはアルフレッドがドアから出て行った。

「アルフレッドか…」

「そうみたいね…」

 俺は立ち上がり中を散策すると俺は不意に隠しドアを見つけて、隣のアレクシアの部屋に入って行った。

「これがアレクシアの部屋だな…」

 そう言いながら俺は中を探索していた、する棚の奥から一つの日記が出てきた。

「これは…日記?」

 そう言いながら俺は中を見てみるとそこには、アレクシアが南極を拠点に活動していたことが書かれていた。

「南極に何かありそうね」

「だな…」

 その日記を俺はもう一度棚に戻すと俺はエイダの方に向いた。

「これでこの屋敷には用事は無いな?」

 そう言うとエイダも俺の意見に賛同してくれた。

「そのようね…」

 そう言いながら俺は屋敷を後にしようと外に出るとそこには、クレアが再び上ってきていた。

「隠れるぞ!

 そう言うと俺とエイダは再び瓦礫の中に隠れた。

 クレアは再び中に入って行った、俺はそれを確認すると公邸に急いだ。

「しかしなんで南極なんだろうな?」

 そう聞くとエイダは俺の方を見ずに答えた。

「私は知らないわよ…」

 そう言いながら俺はエイダの前を守るように歩いた。

「この後はどうする?」

 俺は後ろにいるエイダに話かけると、すぐにエイダは返答をしてくれた。

「まずは飛行機の奪取ね、その後南極に向かう」

 俺は公邸の中に入り一階を目指して歩きを進める。

「それにしてもアルフレッドには会えなかったな…」

 そう呟くとエイダはその言葉に対して返答をしてくれた。

「会いたかったの?」

「会ったらこんな面倒な事をしなくても、アルフレッドに聞けたろ?」

 そう言うとエイダは考えていると、俺に向かって話の続きを話始めた。

「確かにそうね…」

 そう言うと俺達は外に出る、再び俺達は飛行場に向かって歩きはじめる。

「来た道を戻るのか?」

「そうなるわね…」

 そう言いながら俺は階段を下りていく。

「しかし、本当に奇妙な所だったな…」

「私は結構楽しめたけど…」

 そう言うエイダの表情は本当に楽しそうだった。

 階段を下りて通気口に入ると俺達は飛行場に向かって歩きを進めた。

 進んで行くとついに目的の飛行機の前まで来た。

「これで脱出するか?」

「そうしましょう」

 俺達は飛行機の前に降りると、気になった事が有ったのでエイダに聞いてみた。

「聞くんだが、飛行機を操縦できるのか?」

 そう聞くとエイダは振り向いて微笑みながら答えた。

「任せて…」

 その言葉を信じて俺は飛行機の掃除を開始した。

 

 少しすると俺は飛行機の掃除は終わりそのまま中で操縦を始めた。

「飛ぶわよ!席に着いて!」

 そう言われると俺はエイダの隣の席に着いた。

 飛行機が飛んでいくと、俺はクレア達の飛行機の方を見た。

「クレア達も脱出するところだな」

 そう呟くと突然大きな音とサイレンが鳴った。

「後ろで異常事態よ!」

「俺が見てくる!エイダは操縦に集中してくれ!」

 そう言いながら俺は後ろのカタパルトに急いだ。

 カタパルトに来るとそこには大きな男が入り込んでいた。

「誰だ?人間か?」

 そう呟くと後ろから声がした。

「タイラント…」

 後ろに振り向くとそこにはエイダがいた、俺はエイダに向かって叫んだ。

「操縦は!?」

 そう叫ぶとエイダはハンドガンを構えながら、俺に向かって言った。

「自動操縦になっているわ!それより!」

 そう言うと俺はタイラントの方を向いて戦闘態勢になった。

 タイラントは恐ろしい速さで襲いかかってきた。

 俺はタイラントの攻撃を蹴りで受け止め、そのまま吹き飛ばした。

「何か無いか?」

 すると俺はカタパルトの発射装置を発見した。

 エイダが黙って頷くと俺はエイダの意思を感じ取り、走ってタイラントに攻撃を仕掛けた。

「クソッタレが!!」

 しかし攻撃は当たったがタイラントは全く動じない、俺はそのまま吹き飛ばされた。

「ぐっ!」

 タイラントを少しでも弱らせなければ、そう考えるが正攻法ではびくともしない。

 エイダもハンドガンで交戦するが完全にこちらが不利だ。

「無いか?何か!」

 そう考えている時視界に何かが映った。

「あれは武器箱か!?」

 俺は走って箱に向かうと中にはいくつもの武器が並べてあった。

「これを使えば!」

 そう言った瞬間後ろからの攻撃を察知した。俺は振り向きざまに手榴弾をばらまいた。

「ベルトウェイ!」

 俺はタイラントの攻撃でカタパルトの端で摑まる形になっていた。

 するとタイラントが爆発の中から俺に向かって歩いてきた。

「どうする!?」

 作戦を考えていると大きな声が響いた。

「避けて!」

 俺は横にずれるとタイラントはコンテナの落下に巻き込まれて転落した。

「大丈夫?」

 そう言うエイダの手を俺は掴んだ。




「助かったよ…」
 そう言うと彼女は振り向かないで俺に告げた。
「仲間なら当然よ…」
「操縦は?」
 そう聞いてみるとエイダは振り向かないで言った。
「自動で南極に向かっているわ」


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南極へ

 ロックフォード島から脱出したベルトウェイとエイダ
 今南極に到着しようとしていた。


 外の風景は吹雪で覆われていた。

「もうすぐ目的地よ…」

 操縦席で着陸の準備に入っているエイダが俺に向かってそう言ってきた。

「それは良いが、まさかその服装で行動するつもりじゃないだろうな?」

 そう聞いてみたがエイダは、俺に向かって指示を出した。

「奥から寒さを防げる物を探してきて」

「はいはい…」

 そう言いながら俺は奥の部屋に入り、コンテナの中から寒さを防げそうな物を探した。

 中を全て探すと一つのコンテナの中にコートが入っていた。

「これでいいか…」

 そう呟くと俺は、再び操縦席に戻った。

「これで良いか?」

「他に無いんだったら…」

 そう言うとエイダは俺からコートを受け取った。

「もうすぐで着陸よ…」

 そう言われて俺はエイダの隣の操縦席に着いた、すると徐々に高度が下がって行く。

 下の様子が確認できる程度の高度に下がった。

「あれか?」

「そのようね…」

 目の前に大きな基地が見えてきた、飛行機は徐々に高度を下げて行った。

 ガタン

 飛行機が着陸場に降りるとゆっくり止まっていった。

「これで大丈夫よ…」

「なあ…どこで飛行機の操縦を覚えたんだ?」

 そう聞いてみるとエイダはコートを着ながら答えた。

「ナ・イ・ショ!」

 俺はそれ以上の追及はしないことにした。

 外に出ると予想以上に風と雪が舞っていた。

「あれを見て」

 俺はエイダの言った方向を見るとそこには飛行機がすごいスピードで突っ込んできた。

「操縦してるんだろうな?」

 俺は呟いていると、隣のエイダは首を傾げながら喋った。

「私が知るわけないでしょ…」

 そう言っているうちに飛行機は基地に向かって行った。

 ドゴーン!!

 大きな音がすると飛行機が基地に向かって突っ込んだ。

「あらあら…」

「綺麗に基地に突っ込んだな…」

 そう言うと俺は突っ込んだ飛行機の方を見た。

「それよりあなたは寒くないの?」

「まだ大丈夫だ…」

 そう言うと俺達は歩いてそのまま基地に向けて歩き出した。

 俺は飛行機の方を見ながら呟いた。

「まさかあれはクレアのじゃ無いよな?」

「あり得そうね…」

 そう言いながら俺達は基地の方に向かって歩き続けている。

 ある程度の距離を歩いて行くと基地の周辺にたどり着いた。

「さて、ここから基地の中に入って行くわけだけど…」

 周りを見るとそれらしい場所は見当たらない、俺とエイダはゆっくり周辺を歩いていく。

「それらしい場所は見当たらないな…」

 そう言いながら俺達は右の方に向かって歩き出した。

 俺達は周辺の警戒を続けながら進んで行く。

「無いな…」

「もう少し奥にあるのかもね…」

 さらに進んで行くと奥の方に大きなドアがあり、入れるようになっていた。

「ここから進んで行くか?」

 俺達は入り口に入ると中は思っていたよりも広く、大きかった。

 俺達はゆっくり進んで行くと俺は中を確認するように見てみた。

「広いな…」

 そう呟くとエイダも頷いて同意してくれた、俺は大きな通路を進んで行く。

 通路を出るとそこは大きなフロアになっていた。

 そこは縦に大きくなっていて、中心は大きな穴になっていた。

「この上に向かうか…」

「そうしましょうか…」

 俺とエイダはそのまま上に向かって進んで行く、右の道を進んで行く。

 階段を進んで行くとゾンビの群れに遭遇した。

「ハァ…仕方がないか…」

 俺とエイダはそれぞれハンドガンを構えて引き金を引いた。

 バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!

 気づくと周りは多くのゾンビの死体で埋め尽くされていた。

「これで全部か?」

 そう言うとエイダも周りを確認した。

「そのようね…」

 それを確認すると俺達は再び階段を進んで行った。

 上に向かって進んで行くと俺は飛行機が突っ込んだ場所に出た。

「見事に突っ込んでるな…」

 俺は上を見ながらそう呟いた、エイダは周りを確認していた。

「乗り込んでいた人はいないわね…」

 俺も周りを確認するがやはり人がいない。

 俺は飛行機の中を確認するためにエイダに確認を頼んだ。

「頼むぞ、エイダ…」

 そう言うとエイダは微笑みながらフックショットで飛行機に入った。

 少しすると中からエイダが出てきた、エイダは俺の方に向くと首を横に振った。

「そうか…」

 その合図で中の様子が大体分かった、俺は仕方が無いと言った風に歩き出した。

「行こう…」

 俺はそう言うとクレアの無事を祈って進み始める。

 進んで行くと階段の前のドアの中から物音が聞こえた。

「確認しておくか…」

 俺達は中に入って行くと、中は大きく荒れていた。

 奥に行ったが何も無い、エイダも中を調査しているとエイダの後ろのゾンビが現れた。

「エイダ!!」

 俺はエイダとゾンビの間に挟まれる様に入った。

 ゾンビは俺の腕に向かって噛みついた。

「ベルトウェイ!!」

 俺はゾンビを噛みつかれた腕ごと、地面に叩きつけた。

 俺はゆっくり立ち上がった、俺はそのまま腕の確認をした。

「ベルトウェイ…大丈夫?」

 エイダは俺の腕の確認をする、しかしエイダは俺の腕を見ると驚いた。

「傷が無くなっている…」

 先ほど噛まれた傷は既に無く、噛まれたところは服だけが破けていた。

 俺は噛まれた場所をさすっていると周りの確認をした。

 確認をしたがすでに周りにゾンビはいない、俺達はそこから外に出た。

「ねえ、聞いてもいい?」

 エイダは俺に向かってそう聞いてきた、俺はそこで立ち止まり答えた。

「なんだ?」

「その怪我を治したのが、ウイルスの効果なの?」

 そう聞いてきた為俺は、手すりに寄り掛かりながら答えた。

「そうだ、これが俺の体に宿したウイルスの効果…傷でも骨折でも治してしまう」

 俺はそう言いながらラクーンシティでの一件を思い出していた。

 ネメシスの攻撃をまともに受けた俺の左腕は骨折をしていた。

 しかし俺の左腕は次に確認した時は既に治っていた。

「ウイルスの効果…皮肉ね…まさか世界を滅ぼすウイルスが世界を救う鍵になるなんて…」

 そう言いながらエイダは微笑んでいた、俺はそれを見ながら飛行機の方を見ている。

「それでも、俺は戦う道を選んだ…」

 俺はそのまま階段を下りていく、エイダも後に続いて行く。

 俺は階段を下りたところで足を止めた。

「な、なんだ…これは…」

 そこには蛾と思われる生物が壁にくっついていた、俺は完全に引きつっていた。

「気持ち悪いわね…」

 エイダも同じ気持ちの様で俺と同じく足を止めていた。

「ここで足を止めても仕方が無い…」

 俺は走る準備を始めた、エイダも同じく走る準備をしていた。

「まずは、あそこに向かおう…」

 俺は先に見えるドアを指差した、エイダは黙って頷いてくれる。

「行くぞ!」

 俺の掛け声と共に俺とエイダは走り出した。

 蛾が途中で襲いかかろうとしたが俺達は何とか走り切った。

「「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…」」

 二人で中に入ると肩で息をしながら中の確認を急いだ。

 中は本で囲まれており、俺は本の確認を急いだ。

「これだけあれば何か分かりそうだな…」

 中を確認するとエイダも同じく本を読みふけっていた。

 俺は読んでいる本の中に興味深い内容があった。

「エイダ!これを読んでみろ…」

 エイダは俺の読んでいる本を同じく読んでいる。

「これにはアルフレッドとアレクシアが実の父に実験をしたことが載っている」

 それ以外にも本の中にはアルフレッドが父を恨んでいた事、アレクシアが自分の体を実験に使った事が載っていた。

 するとエイダは俺から本を奪いその場で奪い去った。

 俺は奥の方から音が聞こえてくる、俺はその音がする方へ歩いて行く。

 曲がると俺は少し広い場所に出る、俺は下から何かの音が聞こえた。

「なんだ…これは…」

 俺は下を見た瞬間、完全に固まった。

 そこには、化物と言っても変わりない奴がそこでもがいていた。

「それがアルフレッドの実の父であり、BOWのノスフェラトゥよ」

 後ろにはエイダが立ちつくしており、本を読みながら俺にそう告げた。

「これが?」

 俺はもう一度確認の為にそう聞いた、エイダは黙って頷いた。

 俺はその場から去って行った。

 部屋を出ると俺は走って曲り角を曲がりドアの中に入って行った。

 何かが穴を掘る音が聞こえてきた、俺は音がした方に入って行った。

「これは…また大きな穴だな…」

 俺達は穴の中に入って行った、奥に進んで行くとさらに階段を見つけた。

「この上に行く?」

 エイダはそう聞くと俺は黙って頷いた、俺達は階段を上って行く。

 そこには何も無く広い空間だけがあった、俺はそのまま中心に行くと周りの確認をした。

 すると俺達が来た方から何かが登ってきた。

「あれは、ノスフェラトゥ…」

 しかしノスフェラトゥは既に誰からの攻撃を受けていたのか、ボロボロだった。

「やるしかないか…」

 俺とエイダは武器をそれぞれ構えて引き金を引いた。

 ノスフェラトゥは体から毒ガスを巻きながら、俺達に近づいてきた。

「エイダ!俺から離れろ!」

 エイダは黙って俺から離れて行った。

 ノスフェラトゥは俺に腕のようなもので攻撃を仕掛けてきた。

 俺はそれをしゃがんで避けると俺は更に距離を取った。

「これでも…」

 ノスフェラトゥの心臓目掛けて引き金を引いた、するとノスフェラトゥが転げる瞬間にエイダはハンドガンを引き金を引いた。

 ノスフェラトゥはその場で倒れ込んだ。




 ゴゴゴ…
 大きな音が響く、すると俺は嫌な予感が過ぎった。
「…まさか!?」
 俺はエイダの方を見ながら叫んだ!
「エイダ!そこから退け!」
「???」
 するとエイダの下から大きな蔓が出てきた。
「エイダ!!」
 エイダは体のバランスを崩した。
 俺がエイダを抱えると一緒に落ちていった。


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ベロニカ

 ノスフェラトゥと戦闘をしたベルトウェイとエイダ
 謎の触手の攻撃で落下したエイダ
 そして彼も落ちる、助ける為に…


 カチ、カチ、カチ

 そんな時計の針が動く音だけが響く。

 俺の目の前にはエイダがベットで寝ている。

「こんな怪我を隠しながらも戦っていたのか…」

 彼女の体には多くに怪我が見え隠れする、俺はそんな彼女を横目で見ていた。

 俺はエイダと一緒に高い所から落ちた、俺はエイダをかばう態勢を取ったがエイダはその時の衝撃で気絶してしまった。

「無茶をする…」

 俺はエイダの傷の手当ができる道具を探しているうちに見つけたアレクサンダー・アッシュフォードの日記を見ていた。

 そこにはアレクサンダーの苦悩が書かれていた、それ以外にも彼のアレクシアに対する特別な感情も読み取れた。

「アレクサンダーにとって、アレクシアはアッシュフォード家の復活を込めたのだろう」

 しかしアルフレッドはそれを恨んでいたのだろう、自分は必要とされていない。

 手に入れた資料にはアレクシアは自分を使って実験をしたことが読み取れる。

「しかし、自分の体を実験の道具にするほどのものなのか?」

 俺はエイダを気にしながらも、本を読み続けた。

 それ以外にもたくさんの事が分かった、アレクシアがどれだけ歪んだ感情の持ち主か。

「実の父親を実験に使うとは…」

 そうして本を読んでいるとようやくエイダが目を覚ました。

「どのくらい寝てた?」

「さあな…少なくとも1、2時間はとうに過ぎてるぞ」

 エイダはベットから出てくると自分が手当を受けていた事に気が付いた。

「…ありがとうって言うべきかしら?」

 エイダはコートを着ながら俺に向かってそう聞いてきた。

「別にいいさ…」

「それは良いとして、変な事をしてないわよね?」

 俺はエイダを見ないで答えた。

「してないよ…」

 エイダは俺を見ながらも質問を続けた。

「聞かないの?この傷の事…」

 俺は本から目を離さないで答えた。

「嫌な事を聞き出そうとはしないさ…それに信じるって決めた以上は信じる」

 エイダは顔を俺から背けた、その時の表情を俺は知らない。

「…この怪我はラクーンシティで負った…」

「ある人を庇って…」

 俺は本を閉じるとエイダの方を真直ぐ見た。

彼女の表情はいつもと変わらない、何を考えているのか分からない…

「私でもどうしてこんな行動をしたのか分からないわ…」

 俺は立ち上がるとエイダの方を見ないで言った。

「そいつを守りたかった…それで十分だろ?」

 俺が歩き出すとエイダは一緒に付いてきた。

「ここはどこ?」

 エイダが俺に付いてきながら答えると、俺は彼女の質問に答えた。

「俺がゾンビに噛まれたところだ…」

 俺はドアを開けると外には蔓のようなものがウネウネと動いていた。

「あれにやられたのね…」

「ああ…お前は俺にやられて下に落下した…」

 俺はエイダと一緒に落ちた時の事を思い出していた。

「まずはこれからどうするかだ…」

 俺は左に曲がるとすぐにまた左に曲がった。

 大きなドアを開けるとそこは、床一面が凍り付いていた。

「これは?」

「俺達が通った穴から出た水がこの辺り一面を凍り付かせた」

 俺とエイダは右に曲がると道なりに進んだ。

 すると二個目のドアを開けると俺達は一本道の通路をそのまま進んだ。

「やけに詳しいわね…」

「お前が寝ている間に色々見たからな…」

「どこまで確認したの?」

「この先にエレベーターがあることぐらいだな…」

 俺の目の前にエレベーターが見えてくる。

 俺はエレベーターのスイッチを押すとドアが開いた。

「これで地下一階を目指す…」

 エレベーターが降りていく間に俺はハンドガンの確認をした。

「…さっきの触手なんだと思う?」

 俺に向かって聞いてきた質問に俺は推測を話した。

「多分アレクシアが復活をしたんだろう…」

「アレクシアって、アレクサンダー・アッシュフォードの娘の?」

「ああ、彼女はT-Veronicaを自分の体に投与した…」

 それからは本に書かれていたことの推測でしかない。

「そしてそのT-Veronicaを体に適用させるのに数年間眠ることにした」

「…そして適応したアレクシアが眠りから目を覚ました…」

 エイダもなんとなく理解したようでそれ以降は聞いては来なかった。

 エレベーターのドアが開くと、目の前にまたしてもドアがあった。

「どちらに行く?」

 エイダに聞いてみたがエイダが真直ぐ前のドアを指示した。

 目の前のドアを開けるとそこは寒く、一本道が続いていた。

 道を進んで行くと俺達は広い空間に出た。

「どっちに行く?」

 俺はまたしても同じ質問をしてみたが、今度は右の道を選んだ。

「しかし、本当に広いな…」

 道を進んで行くと目の前にゾンビが複数体徘徊していた。

 俺とエイダはそれぞれ武器を構える。

 バン!バン!バン!

 そんな音を出しながらもゾンビの額に弾が打ち抜いていく。

「もう見飽きてきたな…」

 ゾンビの死体を横目に奥に進んで行く。

 エレベーターで地下6階に進んで行くとそこには大きなアリ塚があり、一面アリで埋め尽くされていた。

「これだけのアリを増殖させるとはね…」

「見ているだけで気持ちが悪くなりそうね…」

 俺達は俺を踏みながら道を右に進んだ。

 そこの部屋ではアルフレッドが横たわっていた。

「…死んでるな」

 俺はアルフレッドに近づき確認をした。

「そう…」

 俺は彼の体から鍵を発見した。

「じゃあ、反対側の部屋に行きましょうか…」

 俺は鍵をポケットに入れるとそのまま部屋を出た。

 反対側に着くとそこにはアレクシアの研究施設が設置されていた。

 エイダはそこに座りパソコンをいじり始めた。

「…この鍵は」

「ジェット機の鍵ね…アルフレッドが乗ってきた」

 エイダは作業を続けながらも俺に答えてくれた。

 エイダが操作している間、周りの警戒を続けた。

「後どのくらいだ?」

「後少しよ…」

 エイダが最後のキーを押すと奥から何か筒のような物が出てきた。

「それがウイルスか?」

「…ええ」

 それを確認すると俺はそのまま部屋を出ようとした。

「どこに行くの?」

 俺は振り返らないままエイダの質問に答えた。

「アレクシアを始末する…」

 俺は自動ドアが開くとそのまま外に出た。

「これでお前との約束は果たした」

 俺はアリ塚を横目に来た道を戻り、エレベーターで地下1階に戻った。

 また広い部屋に出ると、埋まっている像を見ながら奥の大きなドアを開いた。

 ドアを開いた先にはどこかの屋敷のロビーのようにも見れる場所に出た。

「……」

 階段を上った場所にかけてあるところに1人の女性がいた。

「アレクシア・アッシュフォードだな?」

「…ええ」

 人とは思えないその体を俺の方に向きながらアレクシアは答えた。

「あなたは少し前に女と落ちた男ね…」

 俺の予想通りだった、あの攻撃はアレクシアによりものだ。」

「てっきり死んだと思ったけど…」

「死ぬならあんな行動はしないさ…」

 アレクシアは階段をゆっくり降りながら俺の方に向かって来た。

「一つ質問させろ!」

「…なあに?」

「お前にとって家族ってなんだ?」

 アレクシアは歩く速度を緩めずに答えた。

「…働きアリかしら」

「それを聞いて安心したよ…」

 俺は腕を鳴らしながら戦闘態勢を取った。

「…安心してお前を殺せる!」

 アレクシアは腕から何かを飛ばした。

 俺はそれを紙一重でかわすと、それが付着した場所から火が付いた。

「驚いた?私の血は発火させることが出来るの」

 俺はアレクシアとの距離を潰し一気に攻撃を仕掛けた。

 アレクシアは後ろに飛ぶと、俺はハンドガンで追撃を仕掛けた。

 アレクシアはその攻撃を受けると、そのままの態勢から血を飛ばした。

「くっ!」

 よけきれない血が俺の腕に付着した。

 着いた血が一気に発火した、俺はそれを沈下するとハンドガンで攻撃を仕掛けた。

「あら…意外とやるわね…」

 アレクシアはあくまでも余裕な表情でハンドガンの攻撃を避けた。

 アレクシアの攻撃を避けながら、俺はハンドガンで攻撃を続けた。

「…少しはやるみたいね…」

 アレクシアの攻撃を走りながら回避し、俺はアレクシアに一発パンチをぶち込んだ。

 アレクシアは遠くに吹き飛び態勢を治した。

「アリ風情が…」

 どうやらアレクシアの何かに火を点けたらしく、アレクシアの表情は完全に歪んでいた。

「殺してやる!」

 アレクシアが恐ろしい速度で走ってくると、俺はカウンターでパンチを一発決めた。

 アレクシアは二階に逃げると、大きなサイレンが鳴った。

「自爆!あの男か!」

 アレクシアは扉の先に消えていく。

「俺も逃げるか…」

 その時だった、何かがドアから飛んできた。

「!これはエイダの…」

「あげるわ」

 俺が来た場所にはエイダが立っていて、エイダは更に俺に向かって書類のような物を投げた。

「これは?」

「アンブレラのウイルス研究所の一覧よ…」

 書類を確認すると、たしかにそこにはアンブレラの研究所のリストが乗っていた。

「それで助けられた貸しは返したわよ…」

 エイダはドアの先に消えようとしていた。

「お前はどうやって脱出するつもりだ?」

「ウェスカーが近くに来ているわ…後、そのフックショトはあげるわ」

 エイダの声が闇の中から聞こえる。

「それは予備のだから…」

 俺はそれを見届けると脱出に向けて走り出した。

 来た道を進んで行くと携帯にメールが届く。

『休憩所の先のドアに一機ジェット機があり、その隣があなたのジェットよ』

『by ada』

 俺はエイダの言葉を信じることにした。

 エイダに言われた場所には確かにジェット機が一機ある。

 その隣には大きな壁があり、上には隙間が空いていた。

「まさかこれが役に立つとはな…」

 俺はフックショットを上に打つとそのまま隣に移動する。

 隣にもジェット機が一機用意されており、俺はそれに乗って南極を去った。




 俺は移動しながら携帯を操作していた。
「エイダ・ウォンか…」
 俺が打ったメールを送信した。
『また会おう』
 俺はジェット機を動かしながら、アンブレラと戦う決意を新たにした。


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Gウイルス
ジル・バレンタイン


 ロックフォード島や南極での戦いから数か月が経った。
 俺は最後にエイダから渡された資料をもとにアンブレラとの戦いを続ける毎日。
 そんな中俺はアメリカにある研究所の一つを訪れていた。


 森の中に入ってからすでに2時間が経っていた。

「意外と遠いな…」

 森の奥にある隠し研究所を目指して俺は歩いていた。

 エイダからもらった資料をもとにアンブレラと戦う毎日…

「この奥にあるはずなんだが…」

これだけの道のりなら、車を使えばよかったと今更ながら後悔した…

 しかし、文句を言っても事態は全く変化しない、それに資料によるともうすぐであることは明白だ。

「…見えてきたか」

 歩いていると目の前に大きな屋敷が見てきた。

 いかにも人が住んでなさそうな屋敷だという感想を持った。

「お化けでも出そうだな…」

 屋敷に向けて歩いていると入り口のドアで何かをしている人影を見つけた。

 それは俺が半年以上前に見たその人だった。

「何をしているんだ?」

「!誰!?」」

 彼女は後ろを向きながらもハンドガンを構えた。

「俺はベルトウェイだけど…」

 彼女の名前はジル…俺がラクーンシティで見つけた女性だ…」

「アンブレラの所員ではなさそうね…」

「もしかしたらアンブレラの工作員かもしれないぜ…」

 いかにもという格好をしているし、顔はガスマスクで隠しており体は防弾ジョッキで守っている。

「そう言うってことはそうじゃないんでしょ…」

 ジルはハンドガンを片付けて俺に向かって自己紹介を始めようとしていた。

「私の名前は…」

「ジルだろ…」

「どうして私の名前を?」

 ジルは不思議そうな表情で俺の方を見ていた。

 俺はラクーンシティでのジルとの事を話した。

「…なるほど」

 ジルは頷きながら俺の言った事に納得したようで、改めて自己紹介を始めた。

「改めて紹介するわね、私はジル・バレンタインよ」

 ジルは右手を差し出し、俺に向かって握手を求めた。

「ラクーンシティではありがとうというべきかしら…」

 俺は握手に応じながらもジルの質問に答えた。

「別にいいさ、それに俺が勝手にやった事だ…」

「それでも感謝してるわ…」

 挨拶も終わり改めてジルは作業に戻った。

「…で、何をしてるんだ?」

「鍵を開けてるの…」

「それっていわゆる…」

「っそ!ピッキングよ…」

 俺は彼女の手先の器用さに舌を巻いた。

 そんな事をしていると、ジルは鍵を開けたようでドアを開けた。

「広いな…」

 外が屋敷なら中も屋敷なようで、ここで実験をしているようには見えない…

 俺が周りの確認をしていると、ジルが俺に向かって質問をしてきた。

「ベルトウェイはどうしてここに?」

「ベルでいいよ…」

 俺がそう呼ぶとジルは分かったっと言った風に頷いた。

「俺はアンブレラの施設を一つ一つ壊して回ってるんだ…」

「私と似てるわね…」

「って事は君も?」

「ええ、アンブレラの施設を壊しながら人を探しているの…」

「誰を探しているんだ?」

「クリス・レッドフィールドって言うんだけど…知らない?」

 俺はそこまで聞くとロックフォード島でも事を思い出した。

「妹のクレアには会ったがな…」

「クリスには?」

「会ってない…もしかしたらクレアの方ならもう会っているかもな…」

 そう言うとジルはあきらめたようで俺に向かって来た。

「私と組みましょう」

「別にいいけど…」

 そう言うと俺達は改めてコンビを組んだ…

 そうしていると右の部屋から大きな物音がした。

「!今何か聞こえた?」

「ああ、物音がしたな…」

 俺がジルの方を見ると、俺が先行することにした。

 ドアをゆっくり開けながら中の確認をする。

「今のところは誰もいない…」

 中に入って行きハンドガンで撃つ構えを取りながら周囲の確認を取る。

「ここじゃないって事?」

「奥の方かもな…」

 中は廊下になっており、通路も途中で曲がっていた。

 ゆっくりと先に進んで行き曲がり角で曲がると、突然曲がり角から犬が飛び出してきた。

「クソ!」

 俺を押し倒す格好でケルベロスは襲いかかって来た。

「ガウ!ガウ!ガウ!」

 ケルベロスは一生懸命になって俺を噛もうとしていた。

 バン!

 そんな乾いた音が響くとケルベロスをおとなしくなった。

「大丈夫?」

 俺がケルベロスを横に投げると、ジルは手を差し出しながら聞いてきた。

「ありがとう…」

 その手を受け取り俺はジルに向かってお礼を言った。

 それ以外にはケルベロスはいないらしく周りは静かだった。

「しかし人はいないわ、ケルベロスはうろついてるわ…」

「研究所の人間は生きているのかしら…」

 ジルは周りを見ながらそう呟いた。

「先ほどの音もケルベロスかもな…」

 ケルベロスにが外傷は頭以外見当たらない。

「これは実験で作られたものだ…」

「という事はここが実験場だという証拠にもなる」

 俺達は再び歩き始めた、ドアを開けるとそこは大きな食堂に出た。

「異常なし…」

「こちらも異常なし…」

 俺達が食堂の中を探索していると、一つの写真を見つけた。

 その写真のには若い頃のアンブレラ創設メンバーが映っていた。

「まともな道を選べばこんな事には…」

「言っても仕方のない事よ…」

 写真をその場に置くと改めて部屋の確認をした。

 他のドアは二つしかなく、その内の一つは鍵がかかっている。

「仕方が無いわ、こっちに向かいましょう…」

 ジルはもう一つのドアから奥に進んで行く。

 そこは通路になっており、道の途中で左右に出口が一つと奥に一つ。

 俺達は外に通じる方の出口に向かった。

「墓地になっているわね…」

 外は墓地になっており、名も無い墓がいくつも置かれていた。

 すると奥からゾンビが現れて俺達に向かって歩き始めた。

「数は10体といったところだな…」

 俺とジルはハンドガンを構え引き金を引いた。

 場所を移しつつ、墓石を盾にして移動を続けた。

「後何体だ?」

「4体ね…」

 また一つジルはゾンビの額に弾を撃ち込んだ。

 そして俺達は大きな墓標の前へたどり着くとやっとゾンビを倒した。

「これはやけに大きいな…」

 この墓標にも名前が刻まれていない、すると墓標に何かが置かれていた。

「…鍵かしらね」

 その鍵にはアンブレラにマークが刻まれていた。

「これを持って屋敷に戻るか?」

「そうね…先ほどの部屋にも入れるかもしれないし…」

 俺達は屋敷に向けて歩き始めた。

 屋敷に戻ると俺達は食堂に戻り鍵のかかっていた部屋に入る事にした。

「…ビンゴ!」

 ガチャン!

 そんな音と共に鍵が開き、中に入れるようになった。

 ゆっくり警戒しながら中に入って行くと、中は書斎のようになっていた。

「書斎だな…」

 あくまでも警戒を続けながら部屋の確認をすると、部屋は最近まで機能していた痕跡があった。

 俺は机の上にあったパソコンを起動すると記録の確認をした。

「どうやら数日前にここでバイオハザードが起きたらしい」

 ジルも確認の為にパソコンに覗き込んだ。

「その後地下研究所が封鎖された…」

「そして今に至ると…」

「その際に一部のBOWが放たれたようだな」

「先ほどのケルベロスもその一部ね」

 ジルはパソコンから目を離すと部屋の散策を再開した。

 俺はパソコンから確認できる範囲での確認を続行した。

 しかし、これ以上の成果はあげられなかった。

「仕方ない、他の部屋を散策しよう…」

 ジルは黙って同意してくれて、俺の跡に付いて来てくれた。

 食堂に戻ると俺は先ほどの通路に戻り、墓地とは反対側のドアを開けた。

 俺が開けると同時にハンドガンで撃つ態勢を取ると、中を確認した。

「ゾンビが3体…」

 ジルが撃つまでもなく、俺が排除した。

 俺達は中に入ると散策を始めた。

「このゾンビ、ここの研究員か?」

「そうみたい、どうやら逃げる事が出来なかった人がいたのね…」

 ゾンビの服を調べている研究に関するメモを見つけた。

『ハンクが手に入れた“Gウイルス”を調査する為研究所の一角を封鎖する事を決定した』

『“Gウイルス”の力は目を見張るものがあるが、繁殖能力に欠ける部分がある』

『よってこれからは“Gウイルス”の繁殖能力を伸ばす事を考える事とする』

 メモには“Gウイルス”という名前が出てきた。

「ジル、“Gウイルス”に心辺りは?」

「クリスが“Gウイルス”を追っている事しか…」

 俺はメモをポッケトに入れると部屋の捜索を再開した。

 中はこれ以上使える物は見つからなかった。

「もっと奥に進んでみるか?」

「そうしましょう」

 もう一度外に出ると俺は通路の奥のドアをゆっくり開けた。

 そこは書庫になっており、多くの本と本棚に囲まれていた。

 本棚の裏からゾンビが4体現れた。

「この様子だと生存者は全滅かな…」

 ゾンビを倒しながら俺はジルの方にも安全を確認する。

 ゾンビを倒すと俺はゾンビの所持品の確認をした。

「…これと言った物は無いかな」

 このゾンビにはこれといった物を持ってはいなかった。

 周囲の探索を続けたがやはり情報は殆どない。

「次に進むか?」

「そうしましょうか…」

 俺達は先に進むことにした。

 次のドアを開けるとそこはまたしても廊下になっており、奥と右側にドアがあった。

「こっちに入るぞ」

 俺はそう言いながら右側のドアを開ける。




「侵入者を確認しました」
 目の前にある大きな巨体は淡々としゃべっている。
「どうなさいますか?」
「“Gウイルス”を試す良い実験になる、放っておこう」
「了解いたしました」
 目の前にある巨体はそう言うと黙り込む。
「せいぜい楽しませてくれよ…」


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実験

 研究施設の前で出会ったジルと共に施設への入り口を探していた、ベルトウェイ…
 屋敷の中を突き進んで行きながら真実へと近づいて行く


 ジルと共に屋敷の中を進んで行くと奥の方でようやく階段を見つけた。

 目で合図を送るとジルは黙って頷き俺に付いてきた。

「研究施設は上に在ると思うか?」

「分からないから行って見ましょうか」

 階段をゆっくり上がって行くと二階にたどり着いた。

 二階も同じような構造になっており、二つのドアがあった。

 両方のドアも鍵はかかってはいない、俺は正面にあったドアを開けた。

「…異常なし」

 ジルに合図を送ると俺は部屋の中に入って行った。

 部屋はちょっとした美術展になっており、絵画が多く展示されていた。

「何かあるかもしれないわ…」

 ジルはそう言いながら部屋の中の捜索を始めた。

 俺は絵をずらしながら中の捜索をしていた。

「そっちは何かあったか?」

「ええ、でもカードが必要ね」

 ジルの方に近づいて行くとそこには金庫が用意されており、カードの差し込み口があった。

 しかし、俺達がそんな物を用意しているはずがない。

「仕方が無い、別の部屋を探そう…」

 俺がジルにそう言うとジルも同意してくれたのか、黙って頷いた。

 別のドアから部屋を出ると窓付きの廊下に出た。

 窓からは山や墓地が見えており、この屋敷の大きさを感じるには十分だった。

「しかし、大きい屋敷だな…」

 ジルも窓の方を見ていた、ゾンビがいないからか俺達は少し落ち着いていた。

 奥のドアを開けると部屋の中に進んで行った。

 部屋の中は下にあった食堂と同じ大きさがあり、中は大きな銅像が用意されいた。

「銅像の上に何かあるわね…」

「…はいはい、土台になればいいんだろ」

 俺はジルを上に載せると、ジルは銅像の上にある物を取った。

「これは地図ね…」

 ジルが持っていた地図にはこの屋敷の構造が書かれていた。

 しかしこの地図のどこにも研究所らしき場所は無い。

「どこかに入り口があるんでしょうけど」

 ガタン!

 大きな音が鳴ると俺はそのままハンドガンを構えた。

「ゾンビが5体」

 ハンドガンを撃ちながら周りの状況を確認した。

 ゾンビ頭を撃ち抜くと俺はゾンビの服の中を確認すると持ち物を探した。

「…これは」

 服の中にはカードがあるのを見つけた、俺はそのカードを見るとそこにはアンブレラのマークを見つけた。

「これなら金庫を開ける事が出来るかもな…」

 ジルと一緒に金庫の在った場所まで戻った。

 廊下を通って行くと後ろから何かの気配を見つけた。

「後ろに何かがいる…」

 振り返るとそこにはリッカーが一匹俺達の方を向いていた。

 しかし、リッカーは俺達の方に向かって舌の攻撃を仕掛けてきた。

 横に避けるとハンドガンで攻撃を仕掛けた、リッカーはそれを回避する。

「ちょこまかと…」

 ハンドガンで闇雲に撃っても避けられては意味が無い。

 俺はハンドガンを構えたままリッカーの動きを捕えるのを待っている。

「…今だ!」

 ハンドガンの引き金を引くとリッカーの額を撃ち抜いた。

 リッカーの死を確認すると、俺達は金庫の在った場所まで戻った。

「カードを使ってみるか」

 金庫にカードを差し込むと金庫は音を立てて鍵が開く。

 カードを取ると俺は金庫の中身を確認した。

「…エンブレム?」

 そこにはエンブレムが一つ置かれていた、エンブレムにはアンブレラのマークが書かれていた。

 エンブレムを受け取ると俺はそれをポケットに入れた。

「他の部屋を探すとしますか?」

 俺は先ほどの通路に出ると俺は奥に進んでいる。

 ジルは地図を確認しながら研究所の場所を確認していた。

 先ほどの銅像のある部屋に戻った、すると先ほどはいなかったゾンビで埋め尽くされていた。

「倒していくか…」

 俺とジルはハンドガンを構えるとゾンビの撃退をした。

 部屋はゾンビで埋め尽くされていた、俺は奥のドアを開けて奥に進んで行く。

「どうやらこの屋敷他に施設が用意されているようね…」

 地図には他に進むべき道が書かれており、そこには寄宿舎が書かれていた。

 奥にはドアは二つ用意されていて、俺は左に在った部屋に入ると奥に進んで行った。

「ベットが二つ…」

 俺は机の中を探していると後ろでジルが呟いた。

 机の中には日記が置いてある、俺はそれを机から出すと中を調べた。

『2月12日 晴れ 今日は地下研究所の方から報告を受けた。なんでも“Gウイルス”の実験をするために一部の区画を閉鎖するそうだ。まあ、俺達には関係の無い事だが。』

『2月16日 曇り 同僚が地下研究所から帰ってこない。かれこれ三日は行ったきりだ。最近地下研究所からの報告を聞いてない。』

『2月20日 曇り 先ほど地下研究所でバイオハザードが起きたらしい、その時“Gウイルス”感染者は逃げ出したという報告を受けた。ここはやばい…』

 そこまで書かれていたがそこからは血がついていて読めない。

「施設の中でバイオハザードが起きたなんて…」

 俺が気になったのは“Gウイルス”の方だった。

「これに寄ればバイオハザードの原因は“Gウイルス”の可能性が高いな」

「ええ、それが原因ならもしかしてこの屋敷の中に“Gウイルス”感染者がいるかもしれない」

 一層の警戒を強くする、“Gウイルス”感染者がどういう者か分からない。

 しかし警戒を強くするに越したものはない。

「もっと調べておくか…」

 タンスを調べていると中からアサルトライフルが出てきた。

「持つか?」

「あげるわ」

 俺はアサルトライフルを担ぐと、そのまま調べを続けた。

 他に中には寄宿舎へ行くためのパスワードが出てきた。

 それ以外には何もない事を確認すると俺達は部屋を出た。

「もう一方のドアに入るか」

 俺はもう一つのドアを開けると中は廊下になっており曲り角が見えていた。

 俺は警戒しながら曲り角に向かって進んで行く。

 曲がり角を見ると何もない、曲りドアに向かって歩き始めた。

「今のところは“Gウイルス”感染者はいないな」

「ええ、でも気を付けておかないと」

「どんな効果があるか分からないしな…」

「でも、研究者たちが警戒するほどだし…」

「確かにな…警戒をしておかないとな」

 そう言いながら俺は奥のドアを開けた。

 そこは入り口になっており、向かい側にもう一つの入り口を見つけた。

「奥の部屋に行くか?」

「そうしましょうか」

奥に向かって歩いて行くと奥のドアを開けた。

 そこは同じく通路になっており、形はU型になっていた。

「こうなったら寄宿舎に行って見るか…」

「それが一番かもね」

 そう言いながら俺は通路を通って行く、途中にドアを見つけた為俺達は確認の為に中に入って行く。

 中は剥製が多く展示してあり、奥には大きな水槽が水の入っていない状態で置かれていた。

「中を調べるか…」

 俺はタンスの中、ジルは机の中を調べ始めた。

 タンスの中にはこれと言って入ってはいなかった。

「ベル!これを見て!」

 ジルの方に行くと手に資料が書かれた本があった。

『“Gウイルス”に関する報告』

『“Gウイルス”に感染した者は死ぬまで変化を続ける為、進化が予想できない。』

『ウイルス感染者は遺伝子が似通った人間に胚を植え付ける。』

『しかし遺伝子が似通っていなければ不完全なG生体ができる事が分かった。』

『その為扱いには、困難を極める。』

 それ以外のページにはたいした事は乗っていなかった。

 しかし、“Gウイルス”被験者の体の写真を乗せていた。

「確かにこれは異常だな…」

「ええ、進化を続けるなんて…」

 資料を本に収めると俺達は部屋を出た。

 先に進んで行き、曲がり角を曲がると左のドアに入る。

「…異常なし」

 俺が合図すると、奥に入って行った。

 中は鎧で埋め尽くされており、たいしたものは見つからなかった。

 しかし、後ろから何かが飛んできた。

「ジル!」

 俺はジルと一緒に隣に飛んだ。

 すると飛んできたのはハンターであることが分かった。

「ハンター…どうしてここに?」

「実験していたならおかしくは無いはず…」

 俺はアサルトライフルを構えると、ハンターに向けて撃った。

 ハンターの体に何発もの弾が貫いて行く。

 そしてハンターは力尽きて倒れた。

「しかし、ハンターまで放たれているとは…」

 俺は立ち上がるとジルの手を取った。

「確かに、これじゃ生存者はもう…」

 ジルが立ち上がると、周りの状況を確認した。

「ここはたいしたものは無いわね…」

 それを確認した俺達は、通路に出て最後の部屋に入って行った。

 そこは階段があり、下に降りていきドアを開けた。

「ここから、右に曲がって進んで行き…地下に行くと寄宿舎よ」

 ジルの説明通りに進んで行くと地下に行くための階段に出た。

 階段を下りると真直ぐな通路に出る。

「この先を行くと寄宿舎よ…」

 ドアを開けるとそこは貯水場みたいになっており、水が貯まっていて中心に橋が架かっている。

「この先よ」

 橋を渡ろうとした時、奥のドアから化物が現れた。

「これって…まさか…」

「資料の通りならこれが…」

「“Gウイルス”感染者…」

 体は大きくて右肩に大きな目がある、左胸には元々に顔が付いている。

 服がすでに体に付いていけてないのか、今にもはちきれそうである。

「避けろ!」

 俺とジルがしゃがんで避けると再び距離を取った。

 俺はアサルトライフルを構えて引き金を引いた。

 ババン!ババン!ババン!ババン!

 何発も体に叩き込まれているのに、一向に倒れない。

 再び攻撃が俺の頭をかすめる。

「こいつ!不死身か!?」

「とにかく撃たないと!」

 しかし、ジルの弾と俺の弾をいくら撃ちこんでも倒れる気配すらない。

 そんな時アサルトライフルの弾が尽きた。

「こんな時に!」

 俺が弾を取ろうとした時、“Gウイルス”感染者の攻撃を受けて壁に激突した。

「ぐっ!」

 起き上がろうとすると目の前にグレネードランチャーが置かれている。

 “Gウイルス”感染者が近くに寄ってくる、すでに俺には選択しが無かった。

 振り向きざまに俺はグレネードランチャーを何発も叩き込んだ。

 ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!

 すると弾が切れたのか、引き金を引いても弾が出なくなった。

「ハァ!ハァ!ハァ!」

 すると“Gウイルス”感染者は次第に歩く速度が遅くなった。

 そして、俺の目の前で倒れる。

「大丈夫?」

「ああ…」

 俺はジルの手を取ると立ち上がった。




「意外だな…」
 監視カメラから彼らの戦闘の様子を見ていた。
「あれはまさか…」
 私は資料を見ていると、そこには1人の男が書かれていた。
「間違いない、ベルトウェイ・シュターナー…」
 私は資料を見て少し笑った。


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プラント

 寄宿舎の目の前で、戦闘になった二人
 やっとの思いで倒し、ようやく寄宿舎にたどり着いた


 “Gウイルス”感染者を無事倒すと、奥のドアを開けて寄宿舎を目指す。

 ドアを出るとそこは森になっており、柵には蔓がいくつも巻き付いていた。

「当分人が手入れしていないようだな…」

「そのようね…」

 少し歩いて行くと、目の前に屋敷よりも少し小さい家が見えてきた。

 2階建てで出来ている、周りは木でできている。

「中に入るとしますか…」

「ええ…」

 二人して警戒しながら、ドアをゆっくり開ける。

 中は思いのほか静かで、生存者がいるように見えない。

 ハンドガンの引き金に指を置く、ジルも同じようにしている。

「こっちの部屋から順番に見ていこう…」

 ジルは黙って頷く、俺は近くのドアに手を掛けるとゆっくり開けた。

 中を抜き足で歩いて行く、俺はハンドガンをいつでも撃てる態勢を取る。

「異常なし…」

 俺がそう言うとジルは構えを解いた。

 俺達は中を調べる、本棚を見ていると俺は一つ違う本を見つけた。

「この本…」

 俺は念の為に本を荷物の中に片付けた。

 それ以外にめぼしい物が見当たらない、俺はジルと一緒に次の部屋を目指した。

 次の部屋もめぼしい物も、情報も見当たらない。

 一番奥の大きな部屋のドアにたどり着く、俺とジルは同時に開ける。

 中に入るとそこには大型の蜘蛛が天井に張り付いていた。

 俺達はハンドガンを構えると、そのまま引き金を引いた。

「ジル!避けろ!!」

 俺は飛んでくる蜘蛛を狙撃しながら、アリアと一緒に横に飛んだ。

「大丈夫か?」

「ええ…」

 蜘蛛はその場で倒れている、俺が近寄っても反応が無い。

「死んだか…」

 俺は部屋の中を調べる為に、歩き出した。

 近くにある棚の中を調べると、奥の方に何かのカードを見えた。

「…後ちょっと」

 ようやく奥にあるカードを取るとカードの確認をする。

「…アメリア・フォン」

 そこにはアメリア・フォンという名前と、顔写真が載っていた。

「ここの研究員の所員カードか?」

 俺はポッケトにカードを入れると、立ち上がりその場を移動しようとした。

 しかし、足に何かが捕まれると俺は下の方を見た。

 そこには先ほどの写真の人が、俺の脚を噛もうとしている途中だった。

「…すまんな…せめて楽になってくれ」

 バン!

 乾いた音が周りに響く、ゾンビはその場で力なく倒れ込んだ。

 俺はそこから移動すると他の場所の捜索を続けた。

「ジル…何かあったか?」

「今の所は何もないわ」

 ジルは資料のような本を見つめていると、俺に向かって首を横に振った。

 俺はそれを見ると、ジルとは違う場所を調べた。

 次は本棚の方を見ると、その中に何かが挟まっているのを見つけた。

「…これは写真?」

 それには大きな植物が映っており、裏には大きな文字でこう書かれていた。

『プラント42改良型』

 俺にはこれが何なのかは良く分からなかった。

 しかし、ジルがそれを見ると驚いたように見入った。

「これは…あの時の…」

「これが何なのか分かるのか?」

 俺はジルに詳しい事を聞いた。

 ジルはこれをアークレイ山地の中にあった屋敷で見かけたのだという。

 俺はその写真を近くに収めると、俺は別の棚を調べた。

 近くにある本を見ていると、そこにバイオハザードまでの詳しい状況が書かれていた。

『2月13日にバロク・シンが実験していた“Gウイルス”の被験者が逃げ出した。』

『2月13日夕方“Gウイルス”被験者を最深部に閉じ込める事に成功した』

『2月14日に誰かが“Gウイルス”被験者を解放したようだ。』

『2月15日バロク・シンが屋敷の中に“Tウイルス”とBOWを放った』

『2月16日屋敷他寄宿舎にも“G”の手が伸びている、ここは既に安全な場所が無い』

 そこにはバロク・シンがおそらく“G”を解放したのだろう。

 しかし目的が見えてこない、俺はその資料をメモに写して棚に戻した。

「バロク・シン…」

 俺達が合うべき人物が見えてきた。

「どうかした?」

 ジルが俺に向かってくると、俺はジルに資料を渡した。

 ジルはその資料を見ていると俺に向かって話しかけてきた。

「この、バロク・シンをまずは標的にしましょうか?」

「俺もそう考えていた所だ…」

 俺はハンドガンを持つと部屋を後にすることにした。

 ジルと共に部屋を出ると、右に曲がり、奥のドアを開ける。

 俺が中に入って確認すると、俺はジルに合図を送った。

「…異常なし」

 ドアの先は廊下になっており、よく見ると周りに蔓のようなものが見えている。

 廊下を進んで行く、俺が一番近いドアを開けると地下に続く階段を見つけた。

「行くか?」

「ええ」

 階段をゆっくり降りて行くと、下には多くにゾンビが徘徊している。

 ハンドガンを構えると、ゾンビの排除を始めた。

 何度もリロードをしながら、奥に進んで行く。

「弾は大丈夫か?」

「無くなりそう…」

 俺は奥に進みながら武器庫を探していた。

 俺は一番近い場所にあるドアを開けると、中は武器や弾が多く保管されていた。

「ここなら弾を補充できそうだな…」

「ええ」

 俺は近くにある棚を見ながら弾を補充していく。

「これからの戦いの為にも武器を増やしておくべきかもな…」

「そうね…こっちに色んな武器があるわ」

 俺はジルが指定した場所に行き、武器の確認をする。

 中はショットガン、マシンガン、マシンピストル、マグナム、火炎放射機…

 俺が見るだけでも、5種類は確認できる。

「俺はマシンピストルを2丁とマグナムを…」

「私はマシンガンと…グレネードランチャーを」

 俺達は色んな武器を体に入れると、戦闘態勢を取った。

 外に出ると一番奥のドアを開けると一番大きな部屋に出た。

 そこは大きな空間に出ると、俺達は奥にある大きなドアに移動する。

「この先だと思うか?」

「多分…そうだと思うけど…」

 俺がドアをどう開けるか確認していると、上から大きな音と共に何かが出てきた。

「ジル!下がれ!!」

 俺達が後ろに下がると目の前の大きなドアに、何本もの蔓が絡み付いてしまった。

 俺がドアに近づこうとすると、蔓が俺達に攻撃を仕掛けてくる。

「仕方が無い…この蔓を先にどうにかするか…」

「多分これはプラント42だと思うわ…」

「これはすぐ上の部屋か?」

 俺がそう言うとそのまま上の部屋に向かって移動を始めた。

 元来た道をそのまま戻って行く。

 元の寄宿舎1階に戻ると、先ほどの部屋の上に当たる場所まで移動した。

「この先かもな…」

 道を進んで行くとついにそれらしいドアの前にきた。

 俺とジルは一緒に目の前にある、大きなドアを開ける。

「行くぞ…」

 ドアを開けて中に入ると、天井に大きな植物が張り付いている。

 俺はその植物を眺めていると、プラントと呼ばれていた植物が触手で攻撃を仕掛けてきた。

「避けろ!」

 俺の大きな声でジルと俺は横に飛ぶ、近くにある階段を上がって行くと2階から攻撃を仕掛けた。

 俺はマシンピストル、ジルはマシンガンで攻撃を仕掛けてくる。

 またしても触手での攻撃を仕掛けてくる、俺がそれをしゃがんで回避する。

「ジル!無事か!?」

「ええ!あなたは!?」

「こっちも無事だ!」

 そうしたら俺の元に触手が突き刺さる形で攻撃を仕掛けてきた。

 俺はそれを横に飛びながら回避する。

「こいつどこが弱点なんだ!」

「多分!この中心にある場所が弱点よ!!」

 そう言うと中心から大きな花粉が出てくる。

 俺はそれを良く見て回避すると、マシンピストルを二丁持ちながら連射した。

「しつこい!」

 俺とジルが攻撃を仕掛けていくと、俺の方に触手が攻撃してくる。

 触手の攻撃をしゃがみながら避けると俺は、マグナムで攻撃を仕掛けた。

「あの時の奴よりしぶとい!!」

 どうやらジルが戦った奴より強いらしく、中々倒せない。

「改良型と言われるだけはあるな!!」

「ええ!でもこいつを倒さないと!!」

 俺はマシンピストルの弾をリロードしていると、またしても花粉で攻撃を仕掛けてきた。

 ジルは花粉を弾で落としていく、俺もリロードが終わると攻撃を再開する。

 するとプラントの攻撃が少しづつではあるが、弱くなってくる。

「効いてるぞ!ジル!」

「ええ!このまま押し切りましょう!!」

 二人して攻撃を仕掛けているとプラントは、触手でジルを吹き飛ばした。

「てめ!」

 俺の元に触手が向かってくると俺はそれを横に避ける。

 触手が壁に突き刺さると、俺は触手に乗りそのままプラントの元まで移動した。

「クソッタレが!!」

 俺はプラントの弱点だと思われる場所を蹴ると、そのまま下に落ちていった。

 プラントは触手で攻撃を仕掛けてきたが、俺はフックショットで回避する。

 空中からマシンピストルで何発も叩き込む。

「まだまだ!!」

 そこから俺は地面に着地すると、フックショットでプラントの近くによる。

 とどめにナイフでプラントの弱点に刺した。

 プラントはあっという間に枯れてしまった。

「ジル!大丈夫か!?」

「ええ、大丈夫よ」

 ジルはゆっくり立ち上がると、俺に向かって微笑んだ。

 俺は安心すると、プラントの方を見る。

「武器庫で補充をしなくちゃな…」

 そう言うと俺は武器庫に向かって移動を開始した。

 先ほどと同じ道を進んで行くと、ようやくの思いで武器庫まで辿りついた。

「しかし、あのBOWを倒すのに恐ろしい時間と弾を消費したな…」

 そう言いながら俺はマシンピストルの弾をポーチに入れていた。

「すごく強かったわね…」

 ジルはマシンガンの弾を補充している。

「もう少し慎重に向かうか…」

 マシンピストルの補充が終わると、今度はマグナムの補充に入る。

「この先が研究施設だと思う?」

 ジルはグレネードランチャーの補充をしながら聞いてきた。

「行って見れば分かるさ…」

 すべての補充が終わると、ジルの方を向いた。

「そうね…どのみちここまで来たんだから」

 ジルも全ての準備が終わったようで、俺の方に振り向いた。

「行こう!」

 俺が先ほどの大きな部屋にたどり着くと、大きなドアの隣に付いているカードリーダーに研究員のカードを通す。

 ピー

 そう言う音と共にドアがゆっくり開いて行く。

「行くぞ!ジル!」

「行きましょう!ベル!」




「中々だな…」
 私は目の前にあるモニターを見ているとそう呟いた。
「プラントを短時間で倒すとは…」
 私が別のモニターを見ていると、そこには“G”が彼らを探していた。
「しかし、“G”から逃げらるかな?」


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実験

 研究施設を探していく
 ベルトウェイとジルはプラントを倒して、奥に進んで行く。


 大きな自動ドアがゆっくり開いて行く。

「この先ね…」

「気をつけろよ!何が出てくるか分からない…」

 ドアが開いて行くと、中を確認していく。

 奥に階段を発見すると、俺達はドアが開くのを待った。

「行くぞ!」

 階段に向かって歩いて行くと、ジルも同じようについて来てくれる。

 階段の横に『研究所入り口』と書かれていた。

 階段を警戒しながら、歩いて行く。

「この下か…」

「この下に研究所が…」

 俺達が階段を降りて行くと、研究所の中に入って行く。

 階段が終わると、中はいかにも研究所らしい場所に出た。

 周りはガラス張りで出来ており、ガラスの中は色々な研究材料が置いてある。

「間違いないな…」

「ここで実験をしていたというのは間違いないわね…」

 研究者が1人もいない、やはりここは既にバイオハザードが起きたようだ。

 ガラスの中を歩いて行くと、俺の脚を何かが掴んだ。

 そこには研究服を来たゾンビが俺の脚を掴んだ。

「ここの研究員か…」

 俺がゾンビの頭に弾を撃ちこんだ。

 その後俺は近くの部屋の中に入っていった。

「調べて行こう」

 俺達が中に調べて行くことにした。

 俺はパソコンを調べて行く、近くにあるカードリーダーに研究員カードを通す。

「ここの研究施設は…どこだ?」

 パソコンで調べて行くが、中々結果が出ない。

「これじゃあだめか?」

 パソコンの中に俺はもう一つ気になる項目を見つけた。

 そこにはアンブレラの研究項目の内“Tウイルス”と書かれていた。

「ここでも“Tウイルス”の研究は行われていたようだな」

 “Tウイルス”に関する実験はこのフロアで行われているようだ。

「何か分かった?」

「ああ、このフロアは“Tウイルス”に関する研究を行っている」

「それ以外のフロアは?」

「この下のフロアが2フロアと言って、主に直接的な実験を行っている」

 そう言いながら俺はジルにフロアのマップを見せて説明していた。

「3フロアは機密事項の研究、4フロアは食堂などと5フロアが研究者の宿泊先」

「でもこの上に寄宿舎が在ったわよね?」

「あれはこの上にある屋敷の管理者の宿泊先だ」

「じゃあ、このはずれにある場所は?」

 ジルはマップにあるはずれにある、四角い場所を指した。

「ここはヘリポートだ、脱出用のな…」

 そう言うと俺は5フロアにマップを集中させて説明した。

「ここに行くには5フロアからエレベーターに乗らなくちゃいけない」

「機密事項の研究ってどんな研究?」

「“Gウイルス”を中心に研究を行っている」

 そう言うと俺はパソコンの電源を落とした。

 席から立つと俺は、アサルトライフルを持ちながら部屋を後にする。

「まずこのフロアの研究施設の中を詳しく調べよう」

「ええ、中に入って行きながらね」

 俺は部屋を出て行くと、通路を歩いて行く。

 隣の部屋に入って行く、中は先ほどの部屋と同じような構造になっていた。

「パソコンの中は調べても意味は無さそうだし」

 部屋を調べると、棚の中にラクーンシティの計画資料が書かれている。

「ラクーンシティの生存者を使ったBOWの戦闘データの結果」

 中には、リッカーの戦闘データとハンターのデータがされている。

 資料を眺めていると、奥の方に研究資金の提供者の名前が書かれていた。

「…アメリア合衆国」

 そこにはアメリカ合衆国と書かれていた。

 その中にディレック・C・シモンズのという名前がある。

 俺がその本を棚に戻すと、俺は部屋の中に見回す。

「何か見つけた?」

「ああ、ラクーンシティの滅菌作戦を実行してほしいと願い出たのはアンブレラだ」

「アンブレラがアメリカに願い出たの?」

「ここの資料にはそう書かれている」

 俺は部屋を出ると、別の部屋の中に入って行く。

 中はウイルスの開発を行っていたようで、ウイルスの実験道具が多く散乱していた。

「こんな物を作っているからあんなことに…」

 ラクーンシティはウイルスにウイルスが漏えいしてしまったのに…

 俺は機材を見つめながらラクーンシティの事を思い出す。

「ここには“Tウイルス”が無いようね」

 俺はそれを知ると別の部屋に移動した。

 通路の中を進んで行くと、部屋の中に目を引く状況を見る。

「…ジル!俺を見ろ!」

 そこにはパソコンの電源が付いていた。

 中に入って行くと、パソコンの中を確認している。

「…これは、監視カメラ?」

 そこには俺達の行動していた様子が映っていて、早送りされている。

「私達の様子を見ていた人がいる?」

「ああ、それもつい先ほどまで見ていたようだし」

「案外近くにいるかもな…」

 そう言うと俺は部屋をでて施設の中を調べて回った。

 しかし、それらしい人物には出会う事は無い。

「誰もいない…」

「どこかにいるはずなのに…」

 このフロアに中はある程度回ったのだが、生きている人物は見つからない。

 仕方が無いので俺達は2フロアに移動することにした。

 階段を見つけると、ゆっくり降りていく。

「この下は実験施設になっているはずだ…」

 俺達は引き金に指を置いて、撃つ準備をしている。

 2フロアに入るとその場には多くのゾンビがいた。

「多いな…」

 アサルトライフルを構えると、引き金を引く。

 バババババババババババババババババババババババババババババババババババババババ

 アサルトライフルの音が周りに響いた。

 ゾンビの体があっという間に弾が撃ち抜かれている。

 あらかたのゾンビを倒すと俺はその場を移動した。

「移動しよう…他のゾンビが群がってくるかもしれない」

「ええ、移動しましょう」

 ジルと一緒に移動していると、2フロアは先ほどのフロアと違い、コンクリートの部屋が多くあった。

「ゾンビが多いな…」

「ここの研究員でしょうね」

 そうして行動していると、一つの部屋に出た。

 部屋の中にはハンターやリッカーが多く保管されていた。

「ここはBOWの実験場か…」

 そうしているとリッカーやハンターが動き出す。

「こんな時に動き出す!」

 俺がアサルトライフルを構えて、ジルはマシンガンを構えていた。

 リッカーが天井に張り付きながら、舌で攻撃をしてくる。

「ジル!左!」

 ジルの左にハンターが一匹ジルを狙っていた。

 俺の掛け声と共にジルは左にマシンガンを向けて、引き金を引く。

「後何匹だ!」

「分からないわ!」

 ハンターの頭をアサルトライフルで撃ち抜いていく。

 俺は机を蹴り上げると、手榴弾をリッカーに向かて投げた。

「ジル!伏せろ!」

 俺の大きな声の後、手榴弾は爆発する。

 爆発と共にリッカー共はその場で吹き飛んだ。

「何とかなったか?」

 部屋の中を見回していると、リッカーとハンターは死んでいる。

 部屋の片隅にBOWの資料を見つけた。

「ハンター、リッカーそして…」

 資料の最後にはタイラントという文字で書かれた資料がある。

「タイラント…」

 俺はロックフォード島での事を思い出す。

 タイラントの研究も行っているらしく、どうやら最近までここにいたらしい。

「どこかに移送した?」

 奥の方にはタイラントが入っていたであろう場所まである。

 周りの資料を見ているが、それ以外たいした情報を得られなかった。

「ここにはもうないのか?」

 あるのなら破壊しなければならない、そう考えながら周りを見ている。

「ジル!タイラントがどこに移送したか分かるか?」

 パソコンを操作しているジルに聞いてみるが、それらしい情報は得られなかった。

「しらみつぶしに探してみるか…」

「その方がいいかもね…」

 部屋の中を出て行くと、通路の中を進んで行く。

 警戒しながらゆっくり進んで行く。

「研究員に内緒の研究を行っていたようだな」

「ええ、でも何を研究していたんだろ…」

「アンブレラに違反する行動とも見れる」

 そう言いながら歩いて行く。

「何が引っかかるというか…」

 そう、俺達は今回のバイオハザードは何か引っかかる。

 アンブレラの実験施設で、バイオハザードを起こしたらどうなるか分かるだろう。

「アンブレラの報復を覚悟でバイオハザードを起こした目的…」

「ええ、それだけのデメリットを覚悟で起こしてでも…」

 そうしていくと一番奥のドアの前に来ていた。

 ドアをゆっくり開ける、中は大きな空間になっている。

「やけに広いな…」

「ええ、ここなら戦闘実験ができる」

 そうしていくと後ろのドアから“G”が出てくる。

「死んだんじゃ…無いのか?」

「生きていたようね…」

 俺はアサルトライフルの引き金に指を置き、ジルはマシンガンの引き金に指を置く。

「ここで戦うしかない…」

 走りながらアサルトライフルを撃ちまくっていた。

 ジルはマシンガンを撃ちながら距離をとる。

 “G”は俺に向かって走ってくる。

「こっちに来るな!!」

 俺は攻撃が当たる瞬間に、横に飛んで避ける。

 壁に背中を点けてアサルトライフルを撃ちまくっていく。

 “G”は腕を伸ばして攻撃していく。

「こんな攻撃を仕掛けてくるなんて!」

 俺はフックショットを使って遠くに移動する。

「なんで俺だけを標的にする!?」

 アサルトライフルの引き金を引く、しかしアサルトライフルから弾で無い。

「弾切れ!?」

 俺はアサルトライフルを片付けると、マシンピストルを持って引き金を引いた。

 ジルは弾をリロードしている。

「もう!しつこい!!」

 マシンピストルを二丁構えて、引き金を引く。

 走りながらも攻撃していく、ジルはグレネードランチャーを撃ちまくっている。

「そろそろ…くたばらないか?」

「そろそろだとは思うけど?」

 触手での攻撃を“G”は続けてくる。

 何度も攻撃を仕掛けていくと、ついに“G”はその場に倒れ込んだ。

「これで…」

 すると首筋に何かが刺さった。

「ベル!」

 ジルが近くに寄ってくる。

「誰が!」

 ジルが周りの確認をしているが、その場には誰もいない。

 俺が刺さっている物を抜いてみる。

 それには大きな文字で『“Gウイルス”』と書かれていた。




「実験成功」
 私は走りながらも、携帯端末から監視カメラの確認をしていた。
「変化は起きないか…」
 ここまでは予想通りの結果だ。
「やはり“NTウイルス”は…」
 そう言いながら私は脱出の為の準備を始めている。


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ウイルス

 地下研究所に忍びこんだベルとジル
 そんなベルに魔の手が忍び寄る


 俺の首筋に何かが刺さる、ジルは周辺を確認している。

「誰!隠れてないで出て来なさい!!」

 俺が首筋に刺さった物を抜く、それには“Gウイルス”と書かれていた。

 すると俺の体が恐ろしく熱くなってくる。

「ベル!大丈夫なの!?」

 ジルが俺の心配をしてくる、すると体中に痛みが走る。

 奥の壁からタイラントが一体出て来て、ジルに襲い掛かってきた。

「こんな時に!」

 ジルはハンドガンで交戦しているが、タイラントは平然と近寄ってくる。

 俺は体が痛く、熱い為そこから動けない。

 目でジルを追うと、壁の所で追い詰められていた。

 ジルがピンチだと理解した時、俺はどうにか体を動かそうとしていた。

 

 痛い暑い救う痛い暑い救う痛い暑い救う痛い暑い救う暑い救う暑い救う暑い救う暑い救う暑い救う暑い救う暑い救う暑い救う暑い救う暑い救う救う救う救う救う救う救うスクウスクウスクウスクウスクウ!!!

 

 俺は気づいたときすでにタイラントを蹴り飛ばしていた。

「ベル!?」

 タイラントが壁に埋もれていると、俺はタイラントに何発も拳を叩き込んだ。

「スクウ!!スクウ!!スクウ!!」

 俺の思考は既にジルを救う事で一杯だった。

 すでにタイラントは動けなくなっている。

「ベル!止めて!!」

 するとジルが俺の体を掴んで止めてくれたところで、俺は自我を取り戻した。

「ジル?」

「良かった…大丈夫なの?」

「ああ、今の所は何も…」

 体は先ほどと変わらない、化物と同じような変化は起きていない。

 ジルは隣で安心している、俺はそれを見て少しうれしく思った。

「…俺の体について聞かないのか?」

「…言いたくない理由があるんでしょ?」

 そう言われて俺はその場で黙り込んだ。

「だったら言える日が来るまで待つわ…」

「…ありがとう」

 ジルにそう言えることがとてもうれしかった。

 その場に少し休んでいると、ジルと共に先ほど俺にウイルスを指した奴を追うことにした。

「先ほどの男が…」

「間違いないな…」

 おそらくは俺にウイルスを打ったのが、バロク・シンだろう。

 目的が見えてこないが、実験の一環であることはうかがえる。

「追わなくちゃな…」

 俺が立ち上がると、次のドアを開けて次に進んだ。

 廊下を進んで行くと、階段を見つける。

「こっちに降りたと思うか?」

「多分…」

 俺達が階段を早足で降りて行くと、ついに3フロアに出る。

 3フロアは1フロアと構造上は同じらしく、一面がガラス張りになっていた。

「ここ…最初のフロアと同じ…」

 俺達は中の方に入るとそれぞれ情報を探していった。

 そこには“Gウイルス”に関する報告書を見つけた。

『“Gウイルス”はラクーンシティの地下研究所にいるウィリアム・バーキンが開発したウイルスである』

『“Gウイルス”の開発者ウィリアム・バーキンは自分に“Gウイルス”を自分に投与し、化物に変化した』

『その力は未知数で、何度も変化を続けたとされている』

『これにより“Gウイルス”は管理に難しいという点がある』

 そこに書かれている情報はそこまでしかなかった。

 俺にはどうしてバロク・シンがこの研究所を、使った研究を行ったのか知りたかった。

 バロク・シンの情報は殆ど削除されており、ある情報と言えば彼がアンブレラから信頼されていたという事だけ。

 そんな彼がアンブレラを裏切ってまで行いたい研究とはなんだ…

 それには“NTウイルス”がかかわっているのか…

 そんな思いが俺を動かしている。

「ジルの方は何か見つかったか?」

「いいえ、たいした情報は…」

 そう言いながら俺はパソコンの電源を落としながら、部屋を出ることにした。

 部屋をでて通路を進んで行く、バロク・シンはいまだ見えてこない。

「バロク・シン…どこに行った?」

 ジルと共にバロク・シンを追いかけて行く。

 いつ捕まえるか分からない状況ではある。

「どちらにせよ、脱出するにもこの先に急ぐしかない…」

「バロク・シンを捕えなくちゃ…」

 通路を進んで行くと、途中でゾンビの群れが俺達の邪魔をする。

 アサルトライフルでゾンビ共をなぎ倒して行きながら進んで行く。

 ある程度走って行くが、バロク・シンは見えてこない。

 途中ではゾンビ以外に、リッカーやハンターなどから妨害を受けた。

「これだけのBOWを用意しているとは…」

 バロク・シンがこれだけの事を、計画しているのだとしたら天才と褒めるしかない。

「でも着実に追い詰めているはずよ…」

 俺達は走りながらも、着実に追い詰めていく。

 階段が目の前に見えてくる。

「この下かな?」

 階段を降りて行くと、途中にゾンビの群れが再び俺達の壁になる。

 アサルトライフルとマシンガンでゾンビをなぎ倒しながら、階段を降りて行く。

 ようやくの思いで4フロアに到着すると、目の前に大きなドアが見えてきた。

「行くぞ!」

 目で合図すると、一緒にドアを開いた。

 中は食堂になっており、多くの血が壁や机に飛び散っている。

 パチパチパチパチ

 どこからか拍手が聞こえてくる、食堂の二階を見るとそこには研究員が拍手している。

「フフフ…」

「貴様がバロン・シンだな…」

 男は不敵な微笑みを浮かべると、喋り始めた。

「私の研究に協力してくれてありがとう」

「何を言っているんだ!?」

 二人でハンドガンを構えると、バロン・シンに向けた。

「君のおかげで私の研究は進展したよ…」

「ジル…ハンドガンを下せ…」

「どうしたの?」

「無駄だ…あいつは防弾ガラスの中に居る」

「やはり気づいたか…」

 あの男は防弾ガラスの中にいて、俺達ではどうしようもない。

「いくつか聞きたいことがある…」

 男は何も語らず、俺達をじっと見ていた。

「一つ、なぜアンブレラを裏切る行為をした?」

「二つ、何が目的だ?」

 男は少し考えていると、笑いながら語り始めた。

「一つ目の質問を答えると、アンブレラはもうすでに終わりだ…」

「アンブレラはラクーンシティの生存者を多くを逃してしまった、それに君達を逃してしまっているしな」

 男は俺達を見つめると、そう答えた。

「二つ目の質問の答えは、新しい顧客を得ることも出来たしな、アンブレラは必要は無い」

「だから研究所にBOWと“Tウイルス”を漏えいしたのか?」

「勘違いしないでもらいたいな、そもそも“Gウイルス”を漏らしたのはここの研究員のミスだ」

「それでも貴様は…」

「それに乗じてあなたはウイルス実験を行った」

「それについては否定しないさ…事実だからね」

 男は振り返ると、そのまま喋り出した。

「そうだ…ここのヘリポートにヘリを一機用意してある、それを使って脱出するといい」

「なぜそこまでして…」

「君は私の大事な研究対象だからね…」

 男がそう言うと俺達の後ろからドアが開く音がした。

「その前に君たちは先にどうにかする化物がいるよだけどね…」

 後ろを見てみると、そこに“G”がさらに形態を変化させていた。

「まさか…“G”何か?」

「前とかなり違うみたいだけど…」

 男は奥の方に消えていく。

「ではな…そうだ言っておきたいことがある…」

 “G”と戦いながら男の喋っている内容を聞いている。

「君のあの実験を行ったのは私だ…」

 あの実験…みんなが死んだあの実験を行ったのは…あの男…

「ちなみに行ったのはここだ…」

 あの実験はここで行われた…その男が…

「待て!!貴様!!!」

「それでは…さようなら…ベルトウェイ・シュターナー…ジル・バレンタイン」

 そこまで言うと男は闇の中に消えて行った。

「ベル!今は目の前のこいつに集中」

「分かってるよ…分かってる…」

 悔しかった…

あいつを逃がした事を…

みんなの仇を討てなかったことを…

 何より俺自身の不甲斐なさを…

 あいつの実験とやらはおそらく“NTウイルス”の実験だろう。

 俺が変異しなかったのは、“NTウイルス”が“Gウイルス”食べてしまったからだ。

「クソーーーーーー!!!」

 悔しい…悔しい…悔しい!!

 アンブレラとか“Tウイルス”とかより圧倒的に…

 あいつを…バロン・シンを逃がした事が…

 悔しかった…

「ベル…」

 ジルは俺を心配してくれていた。

 “G”の攻撃を回避しながら攻撃を加えていく。

 しかし“G”はひるむことすらしない、すでに“G”は四足で壁などを走っている。

「すでに元の人間である場所を探すのが難しいな…」

 マシンピストルを二丁構えながら、“Gウイルス”との距離を取っている。

 ジルはグレネードランチャーを撃っている。

 するとちょっとずつ“G”は弱って行く。

「もう少しだ…」

 突然“G”はその場に倒れ込んだ。

「…行こう」

「ええ…」

 俺達は食堂を出ると、廊下を進んで行く。

 すぐに階段を降りて行くと、そこには既にゾンビなどの姿は無い。

「あの男はどうやって脱出するつもりなのかしら…」

「恐らくは隠し通路があるんだろ…」

 アサルトライフルとマシンピストルの弾をリロードしながら語る。

「ヘリとは別の脱出手段がある、2フロアに在ったんだろう」

「そこを使って逃げるつもりなの?」

「多分な…」

 そこまで語ると、俺はジルを見ないで聞いてみた。

「…聞かないのか?」

「待つって決めたし…」

 階段の終わりが見えてくる。

「…それに辛そうだし…」

 最後にジルが喋った内容が聞こえない。

 階段を下りたところで、アナウンスが聞こえてきた。

『自爆シークエンスを起動しました』

『所員は脱出をしてください』

「まさか…まさかあの男…」

 俺達は部屋が多くある通路を走って行く。

「まさか研究所を自爆して証拠を消そうとするとは…」

 走って行くとついにエレベーターにたどり着いた。

 エレベーターに乗り込むと、ヘリポートに向かう。

「あの男は結局はデータを取るためにバイオハザードを?」

「多分な…それを使って顧客に売って研究資金にするつもりなんだろう」

「私達が来たのもあの男からすれば…」

「ラッキーな展開だったんだろう…」

 俺達の戦闘データを取りながらも、BOWの戦闘も取れる。

「それでも早く脱出をしなければ…」

 エレベーターはようやくヘリポートにつくと、俺達はヘリに向かて走り出した。

 ゴゴゴゴゴ

 地面が揺れる音がすると、エレベーターが突然吹き飛んだ。

「なに!?」

「あれは…“G”なのか!?」

 エレベーターが在った場所には、化物が触手を使って這い上がっていた。

「ジル!ヘリへ!」

 俺達はヘリに走って行くと、ヘリに積んでいたロケットランチャーを持ちあげる。

 ロケットランチャーの狙いをつける。

「これで終わりだ!」

 引き金を引くと、弾が“G”の口目掛けて飛んで行った。

「ベル!早く!」

 “G”の体が吹き飛ぶと、俺はヘリに乗り込んだ。




「研究所が…」
 ジルの呟きを聞きながら俺は研究所を見ていた。
 研究所は爆発しながら、炎に包まれていく。
「ベルはこれからどうする?」
「バロクを追いながら、アンブレラを倒す」
「私達は目的は同じじゃない?」
 ジルは俺の回答を聞くと手を差し出した。
「一緒に戦いましょ…」
「ああ…」
 俺はジルの手をそのまま掴んだ。
 その後俺達は後のBSAAを創設することになる。


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ガナード
スペインの奥地


 ラクーンシティの崩壊から6年が経過した。
 一連の事件をアンブレラ事件と呼ばれている。
 これはそんな2004年の出来事


 俺はジルと共に施設対バイオハザード部隊に所属していた。

 2003年に俺達はアンブレラロシア基地に突入し、アンブレラは壊滅することになる。

 俺達はその功績が認められたのか、製薬連盟が批判から逃れる為にBSAAという組織になった。

 俺達は創設メンバーの一人で、オリジナル・イレブンと呼ばれていた。

 そんな忙しい時期に俺は、スペインの奥地に向かっていた。

 スペインの奥地に移動している、それには数日前の遡る。

 数日前に俺はBSAAの本部にいる、代表のオブライエンに呼び出されていた。

「来たんだけど…」

「入ってくれ!」

 代表のいる部屋に入ると、俺は代表の前に立った。

「で、要件は?」

「アメリカ政府からお前に依頼だ…」

「なぜアメリカから?」

 俺が疑問顔で聞いてくると、オブライエンは書類を俺に差し出した。

「アメリカ政府は少なくともお前の事を把握している」

「あっそ…」

 オブライエンから渡された書類には、1人の女性が書かれていた。

「この人は?」

「大統領の娘さんだ…」

 書類にはアシュリー・グラハムと書かれている。

「こういうのはアメリカのエージェントの仕事だろ?」

「お前は念の為にお前の言ってくれってことだ…」

 そう言うと俺はオブライエンに聞いてみた。

「あんたからの依頼もあるから受けんだろ?」

「実はな…スペイン奥地には最近良くない噂がある」

「良くない噂?」

「ああ、住民が狂気に満ちていると報告があった…まるでそれは…」

 それはウイルスに感染しているような…

「だからこそ、お前に頼みたいんだ…」

「了解です…」

 そう言うと俺はBSAAの本部から移動した。

 

 奥地に車で移動していると、俺は森の中に殺気を感じた。

「ここまででいい」

 そう言うと俺は車を降りた。

「走ってここから移動しろ…良いな?」

 運転手は黙って車を、元来た道に走らせた。

 俺は周囲を見回していると、草むらの中から人が飛び出してきた。

「普通の人間とは思えないな…」

 目が尋常じゃないほど、狂気に満ちている。

 それに持っている斧が、俺を殺そうとしているのが分かる。

 男はそこで俺に向かって斧を振り下ろした。

「遅いな…もう少し早く下せ…」

 斧を掴むと俺は、男をそのまま蹴り飛ばした。

 男が木にぶつかると、そのまま動かなくなった。

「オブライエンの予想はあながち間違いでもないか…」

 男の傍に寄ってみるが、これと言った感染跡が見つからない。

 それにこいつは武器を使ってきた。

「ゾンビには見えないな…」

 男には腐敗している所は見当たらない。

 やけに攻撃的な感じがする。

「この先に村があるという報告だが?」

 一本道を真直ぐ進んで行く。

 道を進んで行った所に、大きな橋が見えてくる。

 橋を渡ろうとしていると、下に何かを見つけた。

「車?」

 どうやら車が落ちているようで、それも時間が対して経っていない。

 そうしていたら、奥の方に家が見えてくる。

 奥の方から男達が何人も襲い掛かってきた。

「警告もなしか…」

 たとえ警告しても攻撃するが…

 1人目の男を蹴り飛ばすと、男は下に落ちていった。

「これを見ても引き下がらないか…」

 1人1人を橋の下に叩き落とす。

 全員を叩き落とすと、俺は橋を渡り切った。

「しかしこれは異常だな…」

 集団催眠状態にも見れるほどの状態だ。

 しかも全員がやけに攻撃的なのだ。

「確か道なりに進むと、村があるから…」

 そう言いながら俺は道をそのまま真直ぐ進んで行く。

 道の途中にいる人は全員殺されている。

「先にエージェントが来ているか…」

 しかし、殺されて間もないと見える。

 どうやら通ったのはついさっきの事のようだ。

「この先道なりに進むか…それとも…」

 そう考えていると、俺は森の中に入って行った。

 森の中に足に怪我をしている犬が歩いている。

「ひどい怪我だな…」

 俺は鞄の中から包帯を取り出すと、犬の足に巻いて処置をした。

 それ以外にも、消毒や止血を行った。

「これで良し!行け!」

 そう言うと犬は走って行った。

「犬は良いね!」

 俺は治療道具を俺はポーチに片付けると、森の中に進んで行く。

 丘の上から村を見ていると、村の中に1人の男が入って行った。

「あれがエージェントの…レオン・S・ケネディ?」

 俺は端末から情報を得ている。

 そこにはレオン・S・ケネディはラクーンシティにいたことが分かった。

「!あれはエイダ?」

 奥の方に移動している女性を見つけた。

 その姿は間違いなく、エイダだと確信できた。

「何か暗躍しているのかな?」

 そうしていると、更に奥の道からチェーンソーを持った人がレオンの家に入って行く。

 すると、俺の近くにあるドアからも二人出てくる。

「あれはきつそうだな…」

 仕方が無い、そう呟きながら俺はそいつらの前に出てきた。

「これ以上は行かせないぜ…」

 するとチェーンソー男は俺に向かって振り下ろした。

 俺はチェーンソーを蹴り上げる。

「動きが遅い!」

 男の腹に拳を叩き込むと、チェーンソーが男の頭に突き刺さった。

「エグイな…」

 血が噴き出している。

 頭から恐ろしいほどの量が…

「見るに堪えないとは、このことだな…」

 後ろの奴も同じように襲い掛かってくる。

 俺は後ろから襲ってきた奴を盾にした。

「ぎゃー!!」

 盾にされた奴は大きな悲鳴と共に死んだ。

「仲間にも容赦がないな…」

 後ろにいる奴をもう一体投げた。

 するとチェーンソー男はそれを殴りつけた。

「どうでもいいけど…仲間を大切にするという精神は無いのか?」

 チェーンソー男はチェーンソーを振りかざした。

 俺はそれを避けると、男に首に蹴りを叩き込んだ。

「首が回ったか?」

 首が曲がってしまうと、男はその場に座り込んだ。

 そうしていると、俺の周りには村人が多く囲んでいた。

『こちら“フォークボール”』

「なんだオブライエン?」

『そちらはどうだ?』

「村人から熱烈な歓迎を受けているよ…」

 会話をしながら俺は村人を殺している。

『感染者か?』

「いいや違うな…似ているが…」

『引き続き調査を続行してくれ…』

「言われなくても…」

『後、ジルを向かわせている…』

 そう言われると、俺はジルを想像した。

『到着はもうすぐだとおもが?』

「ならいい…」

 そういうと俺はガスマスクに付いている、通信機を切った。

 そうしていると鐘の音が聞こえてくる。

「エイダだな…」

 村人はそのまま音のした方に移動した。

 どうやらこれが何かの合図になっているようだ。

「レオンは無事か?」

 物陰から窺っていると、家の中からレオンが出てくる。

 どうやら無事なようで、通信している。

「影からサポートをすることにするか…」

『ベル!?聞いてる?』

「ジルか?」

『もうすぐでそっちに着くわ!』

「了解!ここにいる」

 そうして通信を切ると、俺は村の中を見ている。

 そうしていると、村の入り口からジルが出てくる。

「ベル!間に合った!」

「ジル!それじゃあ行くか?」

 黙って頷くと、俺達はレオンが向かって方に歩いて行った。

 俺はジルに大まかに説明した。

「じゃあ、感染者というわけじゃあないのね?」

「ああ、会ってみれば分かる…」

 奥に移動していると、村人に遭遇した。

 斧を振り下ろそうとしていた。

「確かにゾンビではなさそうね…」

 ハンドガンで殺していくと、奥の方から何体も現れる。

 量がとても多く、俺達ではどうしようもない。

「先に急ぐぞ!」

「ええ、走りましょう」

 森の中に走って行くと、俺達は村人を巻いた。

 走りながら進んで行くと、一つの家が見えてきた。

 木の隙間から俺達は覗いていた。

「あそこを見て!」

 ジルが指差した場所には、エイダが走って行く。

 エイダは空き家のような家に入って行くと、奥の家からレオンが担がれて出てくる。

「捕まったか?」

「みたいね…」

 空き家からエイダがその様子を見ている。

「知り合いかしら?」

「昔俺のパートナーだった…」

 そう言いながら俺はロックフォード島の事を思い出した。

 エイダがレオン達の跡に付いて行く。

「どうやら助けるようね…」

 その様子を見ていると、俺はジルに提案した。

「ジル!先にアシュリーを探してくれるか?」

「別にいいけど…」

「俺はレオンを追う…」

 ジルを見ると、どこか笑っていた。




「じゃあここで…」
 ジルとは村の中心で別れることにした。
「俺はこっちの方に…」
 そういうと俺はレオンが連れて行かれた方に走って行った。


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チェーンソー

 レオンの救出の為に別れたベルトウェイ
 彼の前に村長が現れる


 村の奥を進んで行くと、工場跡らしい場所に出た。

「この先か…」

 そう言って工場跡を進んで行くと、奥で村長に会ってしまった。

「侵入者か…殺せ!!」

 村長の掛け声と共に周りの人間が、一斉に襲い掛かってきた。

 俺はハンドガンを構えて戦うと、常に村長を見ている。

「…なるほど…ただの侵入者ではなさそうだな」

 村長はそう言うと、俺に向かって歩き始めた。

 ハンドガンで攻撃してみるが、ハンドガンの攻撃が通用しない。

 どうやらあいつにハンドガンが通用しないようだ…

「どうした?その銃は使わないのか?」

「ああ、誰かさんに通用しないからな…」

 拳での戦う態勢を作ると、相手の顔面に拳を叩きつけた。

 村長は遠くに飛ばされ、俺は走って追撃する。

 すると穴の向こうから村長が走ってくる、俺は村長の攻撃をジャンプして避ける。

 ジャンプした態勢から蹴りを食らわせると、またしても村長は吹き飛んだ。

「なるほど…貴様…人間じゃないな?」

「人間を捨てた覚えはない…お前ほどではない…」

 すると俺の隣から大きな巨体がタックルを仕掛けてきた。

 俺が後ろに思いっきりジャンプすると、それは俺より少し大きかった。

「お前に任せる…」

 その巨体が俺の体に向かって拳を振り回してくる。

 俺はそれを避けると、顔面に蹴りを叩きつける。

「しつこいぞ!!何度も何度も!!!」

 そうしていると、巨体は近くの崖の下に落ちていった。

「今の内に逃げられたか…」

 そうしていると奥の方で村人が慌ただしくしていた。

「レオンが逃げ出したか…」

 ここにいても仕方が無いし、レオンが逃げ出せたのなら俺が助ける事もない。

 工場跡から俺は移動することにした。

 

 村長の家らしい場所まで来ると、俺は森の中から確認していた。

 すると中でエイダを見つけると、工場跡からレオンが現れる。

 少しすると、エイダはレオンを助ける為に、村長に捕まってしまう。

「助けるのもいいが…すこしは考えてからしてほしいね…」

 俺はエイダが連れて行かれた方に移動し始めた。

 村の中を移動していると、俺は再び村長の前に現れた。

「そいつを離してもらおうか…」

「また貴様か…相手をしてやれ…」

 俺の前に多くの村人が集まる、村長はその隙に数人の村人を連れて奥に消えた。

 どうやらこいつらはすでに自分の意思がないようだ。

「哀れだな…自分で考える事も出来ないなんて…」

 ハンドガンとナイフで戦闘態勢を取ると、俺は村人を殲滅することにした。

 ナイフで首を切り落としながら、ハンドガンで頭を撃ち殺す。

 それでも村人は恐れずにかかってくる。

「これだけやっても、こいつらは退かなんだな…」

 どう考えても普通の人間じゃない事は明らかだ、しかしウイルスではない。

 これが何なのかを先に調べる方が先決だろう。

 村人を倒すと、完全にエイダを見失ってしまった。

「先にジルと合流するか…」

 そう言うと俺は教会を目指して歩き始めた。

 

 教会の近くに行くと、ジルから報告を受けた。

『私は別ルートで調べてみるわ!』

「分かった!俺は教会を調べてみる!」

 そう言うと通信機を切る、教会の近くにある物陰から窺っている。

 そうしているとレオンが教会の中に入って行く。

「その中に大統領の娘が隠されているか…」

 外で教会の様子を窺っていると、教会の周りに多くの村人が集まってきた。

 どうやらレオン達をここから逃がす気が無いようだ…

「先ほど置いておいた、荷車を使ってくれればいいがな…」

 教会とは別の出口からレオンが出てくる。

 レオンが荷車を撃つと村人の多くが巻き込まれていった。

 レオン達が逃げ込むと、俺は村人の前に立ち塞がった。

「ここから先は行かせないぜ…」

 武器を構えて村人に向かって引き金を引きながら距離を取る。

 ある程度戦うと俺はその場から引き下がった。

 

 また村の中心に戻ると、村長が消えた方に移動した。

 先に進んで行くと、橋の奥の小屋で村人が囲んでいた。

「レオンはあそこにいるようだな…」

 とことんついてない男の様だなと思いながらも俺は戦う準備をしている。

 橋の近くに行って見ると、多くの村人が家を囲んでいる。

 俺が後ろから彼らを攻撃すると、彼らの一部がこちらを向いた。

「少しでも俺が引き受けられれば…」

 そう思いながらも、俺は村人をナイフと銃で倒していく。

 しかし、何人も倒しても何人も這い上がってくる。

「何人いるんだ…」

 無限にいるかのように湧いてくると、不意に村人が何処かへ消えて行った。

「これでは勝てないと踏んだか…」

 物陰から様子を窺っていると、家の中から1人の男が出てくる。

 そしてその男に接触したのはエイダだった。

「あの二人はグルだったか…」

 おそらくはあの男はエイダの協力者だろうと推測できた。

 少し話していると、男はエイダから離れて行く。

 エイダが闇の中に消えていくと、家の中からレオンが出てくる。

「なんというか…本当についてない男だな…」

 レオン達が左の方に入って行くと、俺は逆の右方面に入って行く。

 中を入って行くと、またしても何人もの村人が襲ってきた。

「あんたらも暇なのか?自分の家の家事でもしてればいいものを…」

 ハンドガンで交戦しながら奥に進んで行くと、囲まれた空間に出た。

 そして奥の方から二体のチェーンソー女が現れる。

「よくもまあ…一人の男を殺すのに…」

 おそらくはレオンを殺す為に用意したのは明白なのだが…

 1人の男を殺すのにたいした量のようにも感じた。

 チェーンソー女が揃ってチェーンソーを振り下ろしてくると、俺はフックショットで二階に逃げた。

「こんな狭い空間で、そんな物を振り回すか?」

 少しぐらい周りの事を考えて行動するべきではないだろうか…

 少なくとも、周りの仲間のことぐらいは配慮するべきだ。

 女が揃って上に上ってくると俺はその内の一人に襲い掛かった。

「こんなところで振り回すな!!」

 女の首目掛けて蹴りを入れると、女はチェーンソーを手放して吹き飛んだ。

 俺はチェーンソーを持つと、そのまま女目掛けて投げつけた。

 血が吹き飛ぶ嫌な音と光景が広がると、後ろからもう一人の女が襲ってくる。

「あれを見た後にかかってくるとは…お前…Mか?」

 チェーンソーを振り下ろす女の足を払うと、女はそのまま地面に倒れ込んだ。

 俺がチェーンソーと鍵を奪うと、チェーンソーの方は女の頭に突き刺した。

「そう言う俺は…Sか?」

 チェーンソー女を二人倒すと、俺は鍵を持っていない方の女に近づいた。

 女の服を探っていると、ルビーが出てくる。

「高く売れるかな?」

 呟きながらも俺は、後ろから襲ってくる男の首根っこを掴んで地面に叩きつけた。

「これが欲しいのか?…だったらくれてやる!!」

 男の顔面が陥没するほどに拳を叩きつけると、俺はルビーを放置してその場を去った。

 鍵を使って奥に進んで行くと、更に大きな場所に出た。

 奥のドアを目指して進んで行くと、またしてもここの村人が群がってきた。

「相当暇人か…死にたがりの様だな…」

 今度はハンドガンではなく、マシンピストルとナイフを構えると村人に攻撃を行った。

 頭を吹き飛ばしながら進んで行くと、男の1人が頭から寄生虫のようなものを出した。

「あれが、正体か…」

 おそらくは寄生虫で間違いはないだろう…

 ここの全員がこれに寄生されていると、考えると辻褄が合う。

「こんなものをどこから…」

 マシンピストルを撃っていくと、ようやく男はその場に倒れ込んだ。

 村人を全滅させると、奥のドアから先に進んだ。

 ドアを開けた時、奥の方にレオンを見た。

「あっちに何の用だ?」

 レオンが消えた先に移動していると、そこはゴンドラ乗り場だった。

 ゴンドラに乗って移動していると、何個か先にレオンを発見した。

 レオンは襲ってくる村人を倒しながら進んで行く。

「これの方が楽でいいんだけどな…」

 ゴンドラから降りると、レオン達が消えた方に進んで行く。

 階段を降りて行き、一本道を進んで行くとまたしても大きな家が見えてきた。

「この先にあの村長がいそうだな…」

 フックショットで中に入って行くと、家の屋根からレオンの戦闘の様子を見ていた。

 レオンの冷静な対処のおかげか、村長はあっという間に倒された。

 レオンは村長の義眼を拾うと、家を後にした。

 俺が下の降りて村長に近寄る。

「冷静さを欠いたな…一人の男すら殺せないとは…」

 見下ろしていると後ろの壁からチェーンソーの嫌な音が聞こえてくる。

 後ろを向くと、工場跡で会った大男が二枚刃のチェーンソーを持って現れた。

「それはどちらからの…贈り物で?」

 明らかに俺を狙った行動をしている。

 おそらく、こいつらのリーダーに俺の存在が知られたのだろう。

 適当に振り回して襲い掛かってくると、俺は急いで距離を取った。

「だから!そんな物を振り回すな!!」

 銃火器で交戦するが、全く歯が立たない。

 少しずつ逃げて行くと、階段の所に出た。

「ここなら…」

 男を引き寄せると、男はチェーンソーを振り回しながら崖にいる俺目掛けて走ってきた。

 タイミングよく引き寄せると、俺はフックショットで上に逃げる。

 男はバランスを崩したまま、崖下に転落した。

「しつこし相手だったな…」

 崖下を見ながら階段を進んで行くと、俺はゴンドラに乗り込んで先に進んだ。

 

 同じ場所に戻ると、奥のドアが開いていた。

「この先に進んだか…」

 ドアを開けると、そこには多くの村人が一斉に俺を見た。

 一瞬ゾックとした感覚を覚えると、一斉に襲いかかってきた。

「だろうとは思ったけどな…」

 後ろのドアから何かが突っ込んでくる音が聞こえる。

 俺は思いっきり高くジャンプすると、車が一台突っ込んできた。

 車の上に乗ると俺は、車に付いていたマシンガンを持つ。

「誰が乗ってるんだ?」

「俺だ」

 車を操縦していたのは、クリスだった…

「ジルはどうした?」

「別行動だ」

「お前がそれでいいなら」

 マシンガンで村人を撃ち殺していくと、ようやく静かになった。

 俺は車を降りると、クリスのあらかたの説明をした。

「…なるほどな…寄生虫か…」

「ああ、お前たちは村の掃討に当たってくれ…」

「お前はどうする気だ?」

「俺は城にその忍び込んで調査する…」

 そう言うと俺は城目掛けて走って行く。

 城への橋は閉ざされており、中には入れないようになっていた。

「しかし、俺にはこれがあるんだな」

 フックショットを構えると、城に向かって撃った。

 城に向かって飛んでいくと、俺は中に忍び込んだ。




「例のBSAAはどうした?」
 杖をついている男が周りの男に確認させている。
 男からの確認を受けると、男は苛立ちを覚えていた。
「あれを使わせろ…」
 男はそう言うと、奥に進んで行く。


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サラザール

 城に忍び込むことに成功したベルトウェイ
 しかし、サラザールの攻撃がはじまる


 城の書庫に入ると、中で今回の事件について調べてみた。

 本を調べて行くと、寄生虫の名前が載っていた。

「プラーガ…」

 その本にはそのように記載されていた。

 それ以外にも、プラーガの特性について書かれている。

「寄生されたら…助からないか…」

 その本にはプラーガを解放したのが、ここの当主である事。

 8代目当主ラモン・サラザールがプラーガを解放してしまった。

「この本にはこれ以上の事は乗ってないか…」

 その本を棚に収めると、それ以外の本を探していた。

 棚を見ながら歩いて行くと、気になった本を見つける。

「サラザール家は代々プラーガを封印をしていたのか…」

 それならばなぜ、ラモン・サラザールはプラーガを解放したのだろうか。

 その本のページをめくると、ラモンについて書かれているページを見つけた。

 そしてラモンは家族がいない事への寂しさをサドラーに利用された。

「全く…厄介な事だな…」

 本を収めると、俺は部屋から出て行く。

 廊下を歩いて行くと、窓の外から大きな爆発音が聞こえてくる。

「レオンかな…」

 廊下を歩いて行きながら、外に出て行った。

 外に出ると、いかにも宗教に入ってますって言う格好をしている男を見つけた。

「ちょっと邪魔させてもらうぜ…」

 走って行きながら男の首を廻した。

 男達が俺の存在に気づくと、標的を俺に変えた。

 ボウガンや剣で攻撃を仕掛けてくる。

「そんな旧時代的な武器で…」

 ボウガンを避けると、ハンドガンで男達を撃っていく。

 剣が次々と襲い掛かってくる。

 剣を避けると同時にマシンピストルを撃ちつけて行く。

「まだ来るのか?」

 奥のドアから何人もの男が出てくる。

 俺はマシンピストルとナイフを構えると、走って行く。

 ナイフで首を切りながら、マシンピストルを頭に向かって撃ちつけて行く。

「レオンは無事なんだろうな…」

 男達を撃退しながらも、戦っていく。

 マシンピストルをリロードしながらも、ナイフで戦っていく。

「しつこいな…」

 かなりの数を倒していくと、上の方から1人の男が出てくる。

「ラモン・サラザールだな?」

「ええ、そうですよ…」

 倒していきながらの為、俺は中々そっちの方に顔が向けない。

 サラザールがどうしてここに来たのか、俺には理解できない。

「あなたまで、侵入されるとは以外でしたが…ここで死んでもらいます…」

「お前が死ねばいいだろ…」

 男の1人をサラザールに向けて蹴り上げた。

 サラザールに当たる直前に大きな男が邪魔をした。

「主は無能だが…配下はたいしたものだな…」

「私を侮辱するな!!!」

「怒って否定するのは…自分が理解している証拠か?」

「殺せ!!」

 男達がしつこく襲い掛かってくる。

 サラザールは室内に入って行く、俺はその様子を見て行くしかない。

「本当にしつこいな…」

 手榴弾を男達に向けて投げた。

 男達はまとめて吹き飛んでいくと、俺は一気に走りぬけて行く。

 城の中を走って行くと、外の空気を浴びながら逃げて行く。

「暇な奴らだな…」

 奴らを撒くと、城の中を散策していく。

 城の中に入る為の入り口を探していくと、目の前にドアが見えてくる。

「こっから入るか…」

 ドアに手を掛けると、中に入って行く。

 同じような廊下を進んで行くと、大きなフロアに出てきた。

 二階から一階を見ていると、奥の通路からレオンが見えてくる。

「何をしているんだ?」

 するとアシュリーが捕まってしまった。

 俺はため息を吐くと、レオンが消えて行った方に入って行く。

 

 レオンが入って行った方に行くと下水道のような場所に出た。

 匂いも強烈だが、それ以上に嫌な音が聞こえる。

「何か居るようだな…」

 廊下の上を見ると、そこには透明な虫のような奴を見つけた。

 俺はハンドガンを構えると、透明な虫に引き金を引いた。

 しかし、攻撃をすごい速さで回避すると、後ろから攻撃を仕掛けてきた。

 横に飛んで回避すると、透明な虫に向けて引き金を引いた。

「一発じゃあ死なないか…」

 多少怯みはするが、それでも致命傷にはならない。

 再びどこかに消えると、横から攻撃してくる。

 俺はそれを掴むと、マシンピストルで攻撃した。

「これで死んだか…」

 姿を現した虫を俺は転がしていると、奥の方から似たような音を聞いた。

 どうやら一匹や二匹じゃないようだ。

 奥に進んで行くと二匹の虫が俺の目の前に現れた。

「全く…さっき倒したのに…」

 ショットガンを構えると、虫が俺に襲い掛かってくる。

 虫は俺に襲いかかってくる時、ショットガンの引き金を引く。

 虫が一匹が死ぬと、俺はもう一匹の方を探した。

「どこに消えた…どこに…」

 全神経を集中させていると、後ろから攻撃がやってくる。

 それをしゃがんで回避すると、後ろにいる虫にショットガンを向けた。

「これで…死んだか…」

 俺が中を進んで行くと、奥の方でさらに二匹の虫に襲撃された。

 ショットガンを構えると、引き金に指を置いた。

 虫たちが襲ってくるのを待ていると、一匹が真直ぐ俺に向かってくる。

 ショットガンの引き金を引くと、虫が吹き飛んだ。

「見失ったか…」

 もう一匹を見失ってしまった。

 奥に周りを見回すと、上から攻撃を仕掛けてきた。

 上に向かって引き金を引くと、虫を吹き飛ばす。

「これで全部か…」

 しつこい虫を殺すと、俺は歩いて先に進んで行く。

 先に進むと、振り子の刃が見えてくる。

「これを喰らったら死ぬな…さすがに」

 タイミングを計って行くと、俺は刃を避ける。

 そしてようやく下水道に進んで行く。

「くさい…匂いが服に付いたらどうするんだ…」

 服に匂いがついてないか、確認していると奥にレオンを見つけた。

 さっきいた部屋に到着すると、レオンに見つからないようにしている。

 この奥の部屋に移動すると、俺はその様子を見ていた。

 中を進んでいると、後ろから何かの気配を感じた。

「後ろからの奇襲とはな…」

 後ろには鉤爪を付けた、目を塞いでいる男に出会った。

 鉤爪を振りつけながらも、俺に向かって歩いてくる。

 音を出さないように男を見回していると、後ろに弱点らしきものを見つけた。

「これが弱点か…」

 そこに向けたマシンピストルを撃つと、男は苦しみながら膝をついた。

 しかし、一発だけでは死なないようで、もう一度俺に襲い掛かってきた。

 それを回避すると、もう一度後ろに銃の引き金を引いた。

「邪魔ばかりを!!!」

 しかし、何度でも立ち上がってくる姿はどこかネメシスに似ていた。

 ネメシスとの決定的な違いは、あいつには弱点がない事である。

 何発も撃っていくと、ようやくの思いで倒れた。

「起き上がってくんな…」

 レオンが向かった方に歩いて行くと、ドアを開けた先は外になっていた。

 外の空気を吸いながら、先に進んで行く。

 そこは一本道になっている為、案外簡単な道になっていた。

 ドアを開けて先に進むと、迷路が見える場所にたどり着いた。

「サラザールを捕まえなければ…」

 迷路を見ていると、上から何かが降りてきた。

 それは俺が崖に落ちていった化物だった。

「あそこから這い上がったのか?」

 俺は素直に驚いていた。

 その化物が持っていたのは同じようなチェーンソーを持っていた。

「またそれか…」

 しかし、化物は俺を迷路の中に吹き飛ばした。

 俺は迷路の中に入って行くと、俺はうまく着地する。

「化物は…どこだ?」

 すると迷路の曲がり角から、チェーンソーの音が聞こえてくる。

 俺は音のしない方に進んで行くと、またしても男達に囲まれた。

「お前たちにかまっている暇は無いんだけどな…」

 マシンピストンとナイフを構えると、男達の中に入って行く。

 すると後ろにいた男達の体が切り裂けられていく。

「クソ!ついてきたか…」

 男達の襲撃を回避すると、走って逃げて行く。

 しかし、迷路の中を進んで行くと、行き止まりについてしまった。

「しまった!!」

 後ろを振り向くと、そこには化物が俺を襲う態勢を作っていた。

 俺はチェーンソーを回避すると、走って行く。

「早い…こんなに早く走れるとは…」

 走って逃げても、ぴったりついてくる。

 迷路を何とか脱出すると、俺は走って城の中に入って行く。

「ハァ…ハァ…ハァ…」

 城の中に入ると、さすがに追いかけてこない。

 息を整えていると、周りの状況を確認した。

「さすがに何もいないか…」

 息が整うと、奥に向かって歩いて行く。

 開いているドアを進んで行くと、そこには柵が中心に置かれていた。

「レオンが中に入っていたな…」

 柵の中には、鉤爪を付けた化物が倒れていた。

 その姿を見ながら奥に進んで行くと、エイダを見かけた。

 どうやら奥のドアに進もうとしているようだ。

「レオンはどこだ?」

 隙間から窺っていると隣の部屋にレオンがいた。

 そうやらエイダの存在に気づいていないようだ。

 エイダが奥のドアに消えていくと、レオンも奥のドアに消えて行った。

「なんというか…」

 俺はドアの隙間から出てくると、部屋の中に入って行く。

 橋状になっている廊下を進んで行くと、前と後ろから男達が入って来た。

「邪魔ばかりを!!」

 ハンドガンとナイフを構えると、男達を撃退していく。

 何体もの男達を撃退していくと、ようやくの思いで先にすすんだ。

「全く…しつこいな」

 そう呟きながら進んで行くと、広い空間に出た。

 すると俺はレオンに見つからないように、物陰に隠れる。

 1人の男がレオンに話かけてきた。

「あの時、レオンと一緒に捕まっていた男か…」

 男の後ろから大男が現れた。

 そして、大男から何かが現れると、それは男目掛けて突き刺した。

「殺したのか…」

 俺はその様子をただ見ている事しか出来なかった。

 レオンが傍によると、俺はその場から離れた。




「BSAAはまだ捕まらないのか!!」
「申し訳ございません!!」
 ラモンは頭を下げながら誤っている。
「あのエージェントより、BSAAの方が厄介なのだ!」
「了解しました!」


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再会

 サラザールの執拗な攻撃を回避し続けるベルトウェイ。
 そして、エイダとの再会を果たす。


 アシェリーがレオンと再会すると、彼らは奥の大きなドアを開けて先に進んだ。

 俺はその姿を見届けると、奥に進んで行く。

 窓の外から出て行くと、フックショットで遠くに移動した。

「ここから先はレオンに任せるか…」

 遠くに見える城を目指して進んで行く。

 フックショットを使いながら、城の最深部に進んで行く。

「サラザールもこの先に移動したか…だったら…」

 城の中を調べて行くと、通信機から声が聞こえてくる。

「楽しんでくれているかな…」

「なんだ…チビか…」

「貴様!!口のきき方に気を付けてもらおう!!」

「貴様如きが考える事ぐらい分かるさ…」

「殺してやるからな!!」

「頑張ってくれよ…期待しないで待っているよ…」

 そう言うと、通信機は突然切れてしまった。

 通信機を切れると、俺は本棚を調べることにした。

 本棚を調べていると、中にはプラーガについての資料を見つけた。

「プラーガにも色々な種類があるんだな…」

 本を棚に戻して調べていると、窓からレオンを見つけた。

「まだこんなところにしたのか!?」

 窓から見えるレオンは走りながら城の奥に進んで行く。

 俺はその様子を見ていると、ドアから何人もの男が入ってくる。

「…暇人だな」

 ナイフとハンドガンを構えると、戦闘態勢を整える。

 ハンマーをこちらに投げてくるのを、回避すると一気に距離を潰した。

 首をナイフで切りながら、部屋から出て行く。

 廊下に出ると走りながら、大きな部屋に出てきた。

「囲まれたか…」

 前のドアと後ろのドアから何人もの男達が入ってくる。

 完全に囲まれた形になってしまった。

 どうやらこれがサラザールの考えらしい、つまらない策を思い付く男だ。

「全く…この程度で…」

 武器を構えると、男達が襲い掛かってくる。

 マシンピストルを二丁構えると、迎撃した。

 しかし、男達は怯む事は無い、俺の攻撃を受けながらも襲い掛かってくる。

 攻撃を回避しながら、攻撃を加えて行く。

「少しは戦略的な事は考えないのかね…」

 一方的に襲い掛かってくるだけで、何かを考えているとは思えない。

 武器も相変わらず旧時代の武器を使っている。

「武器ぐらいは新しくしないのかね…」

 ショットガンを構えると、頭めがけて引き金を引いた。

 頭が吹っ飛ぶと、俺はその後ろにいた奴の首を切り裂いた。

 何人も倒しているのに、一向に数が減らない。

「自分の部下をなんだと思っているのかね…」

 倒しても沸いて出てくるため、俺は窓からフックショットを使って離れる。

 城の橋から双眼鏡を使ってみていると、アシェリーが連れ去られている所を発見した。

「また捕まったのか?」

 呆れていると近くにレオンが居る事に気づいた。

 どうやらアシェリーを追っているようだ。

 俺はそこから移動すると、走りながらレオンを追って行った。

「この先に移動したか…なるべく会いたくないし…」

 レオンとの距離を取りつつ、レオンの様子を窺っている。

 俺が歩きながら進んで行くと、後ろから何やらの気配を感じた。

「また…お前か」

 後ろには例のチェーンソーを持った大男が立っていた。

 恐ろしい表情で、俺を睨みつけていた。

「なんども、何度も追ってくるな…暇人」

 そう言うと、大男は恐ろしい速さで走ってくる。

 俺の目の前でチェーンソーを俺の首目掛けて切りつけてきた。

「その恐ろしいチェーンソーを収めてくれないか!!」

 叫びながら一旦距離を取ると、走りながら俺はショットガンを構えた。

 足目掛けてショットガンの引き金を引くと、大男は足をぐらつかせる。

「このまま押し切るか!!」

 チェーンソーの攻撃を避けながら、足にショットガンを撃っていく。

 少しずつ足がぐらついて行く。

 どうやら効いているようで、先ほどから走るスピードが落ちている。

「グアーーーーー!!」

 大きな雄たけびを上げると、チェーンソーを持って突っ込んできた。

 俺はフックショットで避けると、大男は一気に崖下に落ちていった。

「ようやく…」

 崖の下を見ながら、先に進んで行く。

 下水道のような場所に出ると、道なりに進んで行く。

 さらに奥のドアを開けると、道の途中でレオンを見かけた。

「こんなところで何をしているんだ?」

 するとレオンはサラザールの側近の一人から逃げていた。

 レオンはそのまま走って行くと、エレベーターの中に逃げて行った。

 レオンがエレベーターを使って移動するのを見た後、側近の元に移動する。

「この先には行かせないぜ…」

 黙っていた側近が俺に向かって歩いている。

 俺はナイフを構えていると、戦闘態勢を整えた。

「お前が行くのは…あの世だ!!」

 走って行くと、足で側近の頭に蹴りつけた。

 側近が吹き飛ぶ事は無い、俺の足を持って投げようとする。

 俺は側近の手にナイフを刺して、側近から脱出する。

 一旦距離を取ると、またしても走って行く。

「ここで終わりにしてやるよ!!」

 ナイフを使って側近の体に何度も切りつけて行く。

 側近の攻撃を受けると、再び距離が開いてしまう。

 側近は俺に向かって走って行く、俺は腕で側近の攻撃を防ぐ。

 メキメキ

 側近の拳が俺のガードに当たると、俺の腕から骨が折れるような音が聞こえてきた。

「さすがに痛いな…でもこの程度なら」

 腕の骨折は既に回復している事を確認すると、俺は側近目掛けて走って行く。

 側近の攻撃を回避すると、俺は近くにあったボンベを取り外した。

「これで!!」

 ボンベから冷気が側近を襲うと、側近の体が徐々に固まって行く。

 俺は体が完全に固まるのを確認すると、走って蹴りつけた。

 何度も何度も殴り、蹴りつけると、ようやく体がばらばらになる。

「これで終わったな…」

 俺はその場を移動すると、炭鉱のような場所に出た。

 炭鉱の中を移動していると、今度は村人が襲ってくる。

「何度もご苦労なこったな…」

 ハンドガンを構えると、1人1人倒していく。

 倒しながら先に進んで行くと、通信機からまたしてもあの声が聞こえてくる。

「どうです?楽しんでもらえましたか?」

「ああ…後お前の側近を倒したけど…」

「なんですって!?」

「まあ…お前が差し向けた者だし…別にいいよな…」

「どうやらあなたにはもっと恐ろしいものを用意しなければならないようですね!!!」

 そう言うとまたしても通信機を切られた。

 ため息を吐くと、炭鉱の道を進んで行く。

「しかし、これだけの施設をよくもまあ…」

 道を進みながら少し関心してしまう。

 大きなドアを開けると、次は溶岩が溢れる場所に出た。

 レオンが戦った様子が垣間見れる。

 その場を過ぎて移動していると、目の前の大きなドアを開けて先に進んだ。

 すると大きな空間出ると、そこは洞窟のような場所だった。

「城の次は、洞窟か…」

 目の前に何匹もの虫が俺の周りを飛んでいる。

 どうやらここがプラーガを封印していた場所の様だ。

 虫に向かってハンドガンを構えると、撃ちながら走って行く。

「飛ぶなんて卑怯だぞ!!」

 走っても、飛んでいる為先に回られる。

 ハンドガンで迎撃をしても、中々死なない。

 坂道を登ったり降りたりしていると、一番奥で上に上る場所を見つけた。

 フックショットを使って移動していると、今度は遺跡のような場所に出る。

「この先に進んだのか?」

 遺跡の中を進んで行くと、目の前にレオンが見えてきた。

 レオンはドアにモニュメントをはめると、先にすすんだ。

 俺も先に進んで行くと、後ろから人の気配を感じた。

「エイダか?」

「あら、気づいていたのかしら?」

「まあな…さっきからついて来ていただろ?」

 振り向くとそこにはエイダが俺に向かって微笑んでいた。

 俺はそんなエイダの姿を確認している。

「私が上げたフックショットは気に入ってくれた?」

「まあな…それよりなんの様だ?」

「仕事よ…あなたこそどうしてここに?」

「俺も仕事だ、大統領とオブライエンからのな」

「大変ね…人気者は」

 どこか不敵な微笑みを浮かべると、エイダは歩き出した。

「少し歩きながら移動しましょうか?」

「別にいいけど」

 俺も後に続きながら歩いていると、エイダが語り出した。

「あなたと一緒に歩くのも久しぶりね?」

「ああ、あの時はお世話になったな」

「お互い様よ…」

 遺跡のような場所を横目に見ていると、レオンが消えたドアの前に来ていた。

「お互いのやることに口を出さない約束よね?」

「ああ、お前のやることは信用しているつもりだ…」

「ありがと」

 ドアを開けると、巨大な人形がレオンを追いかけていた。

「なんだ?何があったんだ?」

「さあ?でも、楽しそうよ」

「俺はごめんだな…」

 人形が走って行く姿を見ていると、俺達は先に進むことにした。

「人形が落ちたぞ…」

「あらあら」

「全く…もう少しましな罠を考えられないのかね…」

「サラザールの事?」

「ああ…あのチビの事だ」

 壊れたドアと通ると、壊れた橋をフックショットを使って移動した。

 向こう側に移動すると、俺は次の大きなドアを開けた。

 ドアの先は大きな塔になっており、上の方で銃声が聞こえてくる。

「エイダ!」

「何?」

「先に行け!」

 俺が後ろを見ると、再びチェーンソーを持った大男が立ち塞がった。

「これをあげるわ!」

 エイダが投げた物を確認すると、それは鍵だった。

「これは?」

「後で分かるわ」

 そう言うとエイダはフックショットを使って、外に消えて行った。

 俺はチェーンソー大男に向かってショットガンを構えると、引き金を引いた。

 俺の銃撃を受けながら走ってくる大男の攻撃を回避すると、俺は走りながら塔の上へ移動した。

 そして一番上へ移動すると、チェーンソー大男を引き寄せた。

「ここからなら…」

 タイミング良く回避すると、大男は塔の上から落ちていった。

 その様子を見届けると、俺は先に進んだ。




 道なりに進んで行くと、港のような場所に出た。
「この先に…」
 遠くには大きな島が見えてくる。
 近くにボートが停泊していた。
「これがプレゼントか?」
 ボートに乗って鍵を差し込むと、ボートを起動した。
「行くか…」
 ボートに乗って島に移動していく。


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出ない答え

 教団の島に向かうベルトウェイ
 そこで懐かしい名前を見る


 島に向かってボートで移動していると、島が見えてくる。

 島の大きさは予想以上に大きく、周りを移動しながら降りられる場所を探している。

「どこか降りられる場所は…」

 すると近くにボートが岸に着いていた。

 おそらくレオンがここに来ていたのだろう。

「ここから乗り込むか」

 岸に乗り込むと、道なりに進んで行く。

 曲り角で曲がると、ちょっとした建物が建っていた。

 そこではレオンが兵士達をなぎ倒しながら、先に進んで行った。

 そこで俺はその場にたどり着くと、俺は銃を持って走って行く。

「ここから先は俺が相手になるぜ!!」

 ハンドガンで兵士の足を撃ち抜くと、兵士の頭を回して殺した。

 後ろを向くと兵士がスタンガンを持って俺に襲い掛かっていた。

 俺はそれを足で蹴り上げると、兵士の頭に銃を叩き込んだ。

「まだまだ!!!」

 兵士に向かって走って行くと、飛び蹴りを食らわせる。

 頭が吹き飛んだ兵士は、頭から寄生虫が出てきた。

「気持ち悪いんだよ!!!」

 ナイフを持つと、寄生虫を切り刻んだ。

 すると、後ろの方から機関銃の音が聞こえてくる。

 俺はフックショットで物陰に移動すると、機関銃が俺の元いた場所に叩き込まれた。

「なんだ!?何が起きたんだ!?」

 俺が物陰から見ると、大きな巨体が機関銃を持っていた。

 俺を完全に見失っていたようで、周りをきょろきょろ見回していた。

 俺はナイフを構えると、走り出す準備に入った。

「ウオーーーーーーー!!!」

 俺を発見した巨体は、機関銃を俺の方に向かって構える。

 機関銃の弾が俺に向かって飛んでくる。

 俺がそれを回避しながら走って行く。

「いい加減にしろ!!!」

 ナイフを巨体の頭に突き刺す。

 巨体の頭から大量の血が噴き出すと、その場に倒れ込んだ。

「これで…」

 周りにいた兵士達は、機関銃の攻撃で全て倒されていた。

 先に向かって足を進めていく。

 大きなドアを開けて先に進んで行く。

 島の中がどんな風になっているのか、分からない。

 道を進んで行くと、坂道のような場所に出てきた。

 坂道の下には、台車のような物が燃えている。

「しかし、毎度毎度…」

 坂の上から何人者兵士達が俺に向かって歩いてきた。

 ボウガンを持っている奴もいれば、ダイナマイトを持っている奴もいる。

 兵士達が一斉に襲い掛かってくる。

「殺されにご苦労なこったな」

 ハンドガンでダイナマイトを撃ち抜くと、爆発で兵士の一部がやられた。

 それでも兵士達は襲い掛かってくる。

「目の前で殺された所を見ても、全く怯まないか…」

 相変わらず狂気に包まれたような表情をしている。

 俺はハンドガンを構えて、兵士達を殺していく。

 ボウガンの攻撃を避けて、その場から走って行く。

「何度も喰らうか!」

 ハンドガンを撃ちながら、走って行く。

 坂道を走り切ると、目の前の大きなドアを開けて先に進む。

 どうやら襲ってこない事を、確認すると俺は歩きながら道なりに進んで行く。

 真直ぐ進むと、施設のような場所に出てきた。

「アシュリーの監禁場所を探さなきゃな」

 そう言っては見たが、俺に何か考えがあるわけで無い。

 道を進んで行くと、施設の中に入って行く道を見つけた。

「この先に進むしかないか?」

 周りを確認しているが、それ以上の道が見えてこない。

 仕方が無いので、ドアを開けて先に進んだ。

 ドアをゆっくり開けていると、奥から兵士がスタンガンで襲い掛かってきた。

「くっ!」

 体制を一気に崩された俺は、スタンガンを抑えていた。

 兵士を蹴りで吹き飛ばすと、ハンドガンを抜いて引き金を引いた。

 弾は兵士の頭に直撃すると、兵士はその場に倒れ込んだ。

「脅かすな!」

 ゆっくり立ち上がると、再び周囲に警戒した。

 途中のドアを無視する形で、進んで行く。

 この周辺の兵士はあらかたレオンが倒したのだろう。

「結構いないもんだな…」

 台所のような場所を通ると、モニターの付いた部屋を通過する。

 歩いて行きながら、周囲を確認している。

 すると、シャッターの下がった部屋に差し掛かった。

「シャッターを開けるための入り口は?」

 周囲は探しているが、中々それらしい物は見当たらない。

 次第にイライラしてくる。

「この先に兵士の気配を感じるんだよな」

 おそらくはこの先に何かあるのだろう。

 俺のイライラがついに頂点に達した。

「コロス!!オラ!!!」

 思いっきりシャッターに蹴りを叩きつける。

 シャッターが吹き飛んでしまう。

 兵士も一緒に吹き飛んでしまうと、俺はその先に進んで行く。

「全く…俺にそんな鬱陶しい罠を…」

 階段を降りて行くと、兵士がまたしても俺の道を塞いだ。

 ハンドガンで兵士の頭を撃ち抜くと、俺は歩きながら撃っていく。

 階段を下りていると、曲り角にたどり着いた。

「どっちだ?」

 両方を見ていると、右の方から乾いたような薄紫色の皮膚、鋭い牙を持ち常に涎を垂らす口、古い電球のように揺らいで赤く輝く眼球といった化物が襲い掛かってきた。

 しゃがんで避けると、左に曲がって行く。

 俺はハンドガンの引き金を引いて、化物の体に叩き込んだ。

 しかし、撃ったところから傷が治って行く。

「なんだ!?こいつ…」

 何発撃っても死なない、どうやったら死ぬのか考えている。

 逃げていくと、冷凍室と書かれた部屋の中に入って行く。

「何か…何か無いか?」

 周囲を探しているが、それらしい物が見当たらない。

 すると、部屋のドアから奴が入ってくる。

「化物め…」

 奥の小部屋に冷却装置があるのを発見した。

 その場に走って行くと、冷却装置を回す。

 周囲がちょっとずつ温度が下がって行く。

「これなら!」

 温度が下がって行くと、化物がちょっとずつ冷凍されていく。

 完全に冷凍されると、俺は歩きながら冷凍室を後にした。

「あんな化物を開発していたとは…」

 少し驚いていると、廊下に出ていた。

 元の道に戻るか、先の道に進むか考えている。

「先に進む方を選ぶか…」

 右に曲がって進むと、またしてもドアを開けて先に進む。

 道なりに進むと、上からクレーン装置を見ていた。

 すると、クレーンの現場にレオンがアシェリーを連れて現れた。

「なんだ…助けたのか」

 レオンはアシェリーを連れて穴の中に飛び込んだ。

 俺はその姿を眺めていた。

「あの中に飛び込むとは…さすがだな」

 俺は絶対に飛びこまない。

 階段を下りて行くと、レオンが飛び込んだ場所まで辿りついた。

 穴を見ていると、後ろから兵士の気配を感じた。

「何度も喰らうか!」

 俺は後ろから来る攻撃をうまく回避する。

 兵士はスタンガンを持っていた。

 ハンドガンを兵士の頭に叩き込んだ。

「全く…懲りない連中だな」

 呟きながら、道なりに進んで行く。

 長い道をひたすら進んで行くと、階段を下りた先にちょっとした研究施設が見つかった。

「ここでも実験が行われていたのか?」

 研究施設の中を調べていると、資料の中に身に覚えのある名前を見つけた。

「バロク!!」

 その資料を手に取り中を見ていると、大体の事は理解できた。

「簡単に言えば、プラーガの研究を行ったのはバロク…」

 資料のページをめくりながら、周囲を回っている。

「あいつはここで実験を行っていた…そして…」

 そして、逃げたのだ。

 バロクはプラーガと金を持って、逃げて行った。

「プラーガを使って次の商売につなげるつもりか!!!」

 資料のページを何枚か抜き取って、ポーチの中に入れると、他の資料を見ていた。

 しかし、これ以上の情報が得られない。

「クソ!これ以上の情報が無い!!!」

 机を思いっきり叩きつける。

 これ以上の情報が無いのなら、ここにいる理由は無い。

 さらに奥に進んで行くと、ドアを開けて先に進む。

 ドアを開けると、外になっていた。

「連絡通路か?」

 通路を歩いて行くと、通路の途中で手すりに立ち止まった。

「俺は…また遅かった…」

 結局俺はアシェリーを助ける事が出来なかった。

 助けたのはレオンだった。

 俺じゃない、俺はその手伝いをしただけだった。

「悔しい…か」

 こんな気持ちは久しぶりだな。

 俺は結局助ける事が出来なかった。

 クレアの時も同じだ。

 南極まで行っても、クレアを助けたのはクリスだ。

「俺は…誰も助けられない」

 俺はあの実験以来、答えが見つからない。

 俺は何の為に戦っているんだ?

 どうやれば、あいつらの魂を救えるんだ?

 誰も教えてくれない。

 結局は俺自身が答えを見つけるしかない。

「俺は…答えを見つけられるだろうか?」

 そう呟くと、遠くから銃撃音が聞こえてくる。

「答えを見つける為にも…」

 俺が通路から飛び降りると、銃撃音のする方に向かって行く。

 

 ヘリポートのような場所にたどり着くと、そこではレオンが戦っていた。

 相手はあの時、男を殺した奴だ。

「あれが教団のリーダーと見るのが妥当だな」

 後ろからまたしてもチェーンソーの動く音が聞こえてくる。

「またお前か?」

 そこには何度も俺の道を塞いだ大男が立っていた。

 しかし、今回は逃げるつもりもない。

「ここがお前の墓場だよ」

 ハンドガンを構えると、俺は戦う準備を整えた。

 ここで逃がせば、アシェリーにどんな被害が出るか分からない。

 俺はハンドガンを撃ちながら、チェーンソーの攻撃を回避する。

 ハンドガンを撃っても、怯まない。

「どうやって倒す?」

 周囲を見回すが、作戦が思い付かない。

 武器を変えながら、戦っていく。

「…!行き止まり!?」

 ついに俺は追い詰められてしまった。

 ここから落ちたら、鉄棒に突き刺さってしまうだろう。

 そこで俺は良い事を思い付いた。

「来いよ!これで終わりだ!!」

 チェーンソーを振りかざす攻撃を回避すると、大男を捕まえた。

 そして一緒に下に落ちていく、俺は鉄棒に刺さる寸前で俺はフックショットで逃げた。

 グシャ!

 大男は鉄棒に突き刺さると、ようやく沈黙した。

「これで…終わったな」

 レオンの方も終わったようで、エイダに何かを奪われた。

 レオンの方も、エイダから何かを受け取った。

 何かを受け取ると、レオンはエレベーターで下に落ちていった。

 下に降りると、教団のリーダーの元に寄っていた、すると…

「ベル!これに!」

 上からジルの声が聞こえる!

「ああ!」

 梯子が下されると、俺はそれに捕まって登って行く。

 ヘリがゆっくりと上昇していく。

 俺はレオンが消えた方を見つめている。

「…本当についてないな」




 ヘリの中から島が爆発されていく様を見守っている。
「途中でエージェントと大統領の娘を助けてやってくれ」
「了解です!」
 すると、あっさり二人は見つかったようだ。
 ヘリに二人が乗ってくる。
「助かったよ」
 ジルがあらかたの説明すると、レオンが手を差し出した。
「ありがとう!」
 俺はレオンが出した手を掴み返した。
「俺はベルトウェイ・シュターナーだ」
「レオン・S・ケネディーだ」
 少なくとも俺達の目指す道は同じだ。


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リベレーションズ
テラグリシアパニック


 ベルトウェイは地中海の沿岸にある港町に来ていた。
 そこで彼は去年の事を思い出すことになる。


 ヨーロッパの港町の街並みを見ながら、小さな路地を進んで行く。

 奥の大きな道が見えてくると、ジルとパーカーが走って行く。

「…あの計画が始まったか」

 大きな道に出ると、ジルとパーカーが走って行く方とは反対に進んで行く。

 目の前に地中海が見えてくると、そのまま海岸にたどり着いた。

 砂浜にはオブライエンが今に沈もうとしている町、テラグリシアを見つめていた。

 俺はそんなオブライエンの隣に立つと、小さくつぶやいた。

「あれから一年か…」

「ああ、早かったな」

「本当にあの計画を進めるのか?」

「もう引き返せない…」

「ならいい…俺なりのやり方で手伝ってやるさ…」

 テラグリシアは町の殆どが、海に沈んでいる。

 あれを見ていると、一年前の事を思い出していた。

 

 俺はヘリコプターの窓から地中海を見つめている。

 隣に座っているジルはハンドガンをいじっている。

「俺は…地中海は初めてだな」

「私だって…」

 俺達の前にオブライエンが座っていて、誰かと連絡を取り合っていた。

 すると目の前にテラグリシアが見えてくる。

「あれがテラグリシアか?」

「ああ、あれがそうだ」

 オブライエンは携帯をポケットに入れると、窓から確認した。

「二人とも!任務内容を確認しておけ!」

「了解!」

「うーす」

 俺はやる気のない返事をすると、再び窓を見つめている。

 任務内容を簡単に言えば、BSAAの使っている仮設本部周辺のBOW駆除である。

「もう少しで着陸です!」

 操縦士が大きな声で叫ぶと、ゆっくり着陸した。

 着陸すると、オブライエンが先にヘリを出て行く。

「行くか?」

「ええ」

 俺達も後に続いて降りると、奥の方からFBC長官のモルガン・ランズディールが出てくる。

「あれがFBC長官のモルガンか?」

「ええ、そのはずよ」

 後ろで話していると、オブライエンが大きな声で指示を出した。

「二人とも!任務にあたってくれ!!」

 俺達は手で了解と返事をすると、建物の中に入って行く。

 建物の中にあるエレベーターに乗ると、一階まで降りて行く。

「今回のバイオテロ、何かおかしくないか?」

「というと?」

「元々ヴェルトロはそこまでのテログループじゃないだろ?」

「確か、テラグリシアの建設反対をしていたのが、ヴェルトロだったけ?」

「ああ、少数のテログループだったのに…それに、どうやってBOWを用意したんだ?」

「そう言われれば確かに…不自然ね」

「もう一つ、どうして俺達BSAAやFBCの情報網に引っかからなかったんだ?」

「私達でさえFBCが動いていたから私達も気づいたのだしね」

「何か引っかかる…今回の事件は何か裏がある」

 そんな事を考えていると、ようやく一階にたどり着いた。

 通路を進んで行くと、ロビーでBSAAの隊員やFBCの人間が行きかっている。

「ジル!先に外に出てくれ!」

「分かったわ」

 ジルと別れると、BSAAとFBCの本部の中に入って行く。

 中では忙しそうに、人々が叫んでいる。

 奥の方にオブライエンが指示を出しているのが確認出来た。

「オブライエン!」

「ベル?どうした?」

 オブライエンの傍に移動すると、手短に聞いてみた。

「実戦投入されている、BOWはなんだ?」

「ハンターだな」

「了解だ…うん?」

 FBCのエージェントに指示を出している人間を見かけた。

「あれは?」

「確か…パーカーという名前だったな」

「ふーん…あっそ」

 俺は歩いてロビーに戻ると、歩いて外に出て行った。

 この周辺はあまり被害が出ていないようだ。

「ジル!」

 ジルの方に向かって走って行くと、遠くの方で爆発が起きた。

「行くか?」

「ええ、行きましょう!」

 爆発がした方に走って行くと、俺達の目の前にハンターが三体現れた。

 ハンドガンを構えると、ハンドガンの引き金を引いた。

「今のうちに態勢を整えろ!!」

「はっ!!」

 BSAA隊員に大きな声で指示を出す。

 ハンターは俺達に標的を変えたらしく、奥の方からも何匹ものハンターが襲い掛かってくる。

「数が多い!!」

 ハンドガンで応戦しているが、中々数が減らない。

 しかし、俺達が戦っている間にBSAAの隊員は態勢を整えたらしく、アサルトライフルで応戦していた。

 ハンターがあらかた倒し終えると、BSAA隊員の傍に移動した。

「大丈夫か!?」

「数人が負傷しましたが、大丈夫です!!」

 三人程度が負傷している。

「三人を残して、他の隊員は負傷者を連れて民間人の撤退を援護しろ!!」

「オリジナルイレブンのお二人はどちらに!?」

「俺達はハンターを食い止める!!」

 三人が俺達に付いてくると、俺達は戦闘音が聞こえてくる方に走って行く。

 三人の隊員が先に走って行くと、道路を大きなトラックが塞いでいる。

「こちらから移動できます!!」

 二人が中に入って行くと、中の調べている。

「…クリア!!」

 そんな大きな声で叫ぶ声が聞こえると、俺はジルと残りの隊員を連れて中に入って行く。

 ハンドガンの引き金に指を置きながら進んで行く。

 建物の中は喫茶店になっている。

「自分が先に進みます!!」

「頼む!」

 二人が先の様子を確認していると、窓の奥でまたしても大きな爆発音が聞こえてくる。

「クリア!!」

 続いて中に入って行くと、外に出るドアに向かって走って行く。

 二人に指示を出すと、二人に続いて外に出た。

「ここら辺はまだハンターがいないようだな」

「この奥が激戦区みたいよ!」

 爆発のした方に向かって走って行くと、俺達の進路をハンターが塞いだ。

「応戦しろ!!」

 ハンドガンの引き金を引きながらハンターと戦っていく。

 他の隊員も同じようにしていると、ハンターは次々と現れる。

 数があまりにも多すぎる。

「大丈夫ですか!?」

 別の道から別の隊員が現れて、ハンターに向けて応戦した。

 少しの間戦っていると、ハンターがようやく静かになった。

「お二人共!大丈夫ですか?」

「ああ、助かったよ」

「ハンターが色々な所で現れていて、私達では鎮圧はもはや不可能です」

 ハンターの鎮圧は不可能…

 この言葉が意味するものは、俺達では対処ができないという意味だ。

 圧倒的に人数が足りない。

「民間人の避難を最優先に行動しろ!!」

「「「はっ!!」」」

 隊員に指示を出すと、オブライエンに連絡を取った。

「オブライエンか!?」

「どうした?」

「鎮圧は不可能だ!!数が多すぎる!!」

「…耐えてくれ!」

「耐えれるとしても…後、数時間だ!!」

「数時間…」

「それ以上はこちらが持たない!!」

「了解だ!何か別の手段を考える!!」

「頼む!!」

 ジルの方を見ると、黙って頷いてくれる。

 鎮圧は不可能でも、なるべく多くの人民が逃げ出せるようにしなければ。

 俺とジルは戦禍の渦中に向かっていく。

 大きな橋を渡って行くと、橋の中心でBSAAの隊員がハンター相手に応戦していた。

「大丈夫か!?」

「はい!!ですが…」

「もう少し耐えろ!ある程度耐えたら撤退しろ!」

「了解です!」

 隊員の大きな叫びを聞くと、ハンターの群れに向かってハンドガンを向けた。

 引き金を引くと、ハンターの頭に直撃していく。

「ジル!この先に行くぞ!!」

 黙って頷くと、俺達は走って橋を渡る。

 ハンターを倒しながら橋を渡って行く。

「しかし、予想以上にハンターの数が多いな」

「ええ、これだけのハンターをどうやって用意したのか」

 ビル群の中を進んで行くと、ハンターが後ろから前から飛んで出てくる。

 お互いにハンドガンを構えると、引き金を引いた。

 ハンターの頭を吹き飛ばしながら、場所を移動しながら戦っている。

「ジル!こっちだ!!」

 ジルがこちらに走ってくると、ハンターが何体もの襲い掛かってくる。

 ある程度引き寄せると、近くに設置した爆弾を爆発させた。

 その爆破により近くにあるガソリンタンクが爆発した。

「ジル!伏せろ!!」

 ジルを庇う態勢になると、俺の背中に破片が飛んでくる。

 爆発がやむと俺はジルから体を離した。

「何とかなったか?」

「そうみたいね」

 俺はジルに手を差し出して、ジルの体を引き寄せた。

「大丈夫か?」

「ええ、あなたがかばってくれたから」

 周囲を確認していると、ハンターの死体が散乱していた。

 俺達は先に進んで行くと、ちょっとした工場が見えてくる。

 工場では何度も爆発音と爆発が見えてくる。

「あそこに行くか?」

「ええ、そうしましょうか」

 工場に向かって走って行くと、その進路をまたしてもハンターが塞いだ。

 ハンドガンで交戦していると、奥の方からハンターが何体も現れる。

「ジル!こっちから移動するぞ!」

「ええ、今行くわ!」

 建物の中に誘うと、俺はドアを閉めて鍵を掛けた。

 一息つくと、走りながらこの先の道を進んで行く。

「やはり気がかりだな…」

「今回のバイオテロの事?」

「ああ、色々引っかかる事が多すぎる」

「そりゃあ、確かに引っかかるけど」

 そんな話をしていると、俺の通信機に連絡が入る。




「全BSAA隊員に次ぐ、全員撤退を始めろ!!」
「ベル!」
「ああ、ビルに戻るぞ!!」
 建物から出ると、本部に戻って行く。


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正しさ

 テラグリシアでの戦い
 その結末は…


 BSAAとFBCの本部を目指して、俺達は走っていた。

 しかし、その道の途中にハンターが塞いでしまっていた。

「急がなければ」

「何を急いでいるの?」

「あのモルガンという男のやり方なら…多分」

「多分?」

 そこまで話すと目の前にハンターの集団が襲ってきた。

 ハンドガンで倒しながら進んで行くと、ハンターは後ろからも襲い掛かってくる。

 ハンドガンを後ろに向かながら引き金を引くと、ハンターは吹き飛んだ。

「この町を滅ぼしかねない」

 オブライエンが焦っていたのは、モルガンがこの町ごとウイルスを滅ぼそうとしている。

 だからこそオブライエンは俺達に撤退を指示したのだろう。

「早めに移動した方が良さそうだな」

「ええ、少し走りましょうか」

 二人して走って行くと、目の前に本部のあるビルが見えてくる。

 俺は途中で止まると、後ろを向いた。

「ベル?」

「先に行け!俺がここで食い止める!」

「でも!?」

「後で俺も行く!どちらにせよ、ここで食い止める人間がいる!」

 俺が大きな声で叫ぶと、ジルは黙って走って行く。

 俺はハンドガンをナイフを構えると、ハンターの群れに飛んでいく。

 ハンターは俺に襲い掛かってくると、俺はナイフでハンターの頭を切った。

「これ以上は行かせない」

 ハンドガンでハンターの頭を吹き飛ばすと、俺は少し距離をとる。

 ハンターの頭を切りながら、手榴弾を隣にある車に投げた。

 手榴弾が爆発した瞬間に車も同時に爆発した。

 ハンターもその爆発をまともに食らった。

「さすがにやり過ぎたか?」

 俺はハンドガンの弾をリロードしながら、周囲の確認をした。

 ハンターまだ少し俺を囲んでいる。

「数が多いな」

 そこから少し移動すると、ハンターの群れに挑む二人がいた。

「パーカーとかいうFBCの…」

 もう一人の方は知らないが、ここで戦っているという事は俺と同じ理由だろう。

 後ろからハンターが襲い掛かってくると、俺はハンドガンでハンターの頭を撃ち抜いた。

 ハンターの群れと戦っている二人は、そのまま路地の中に入って行く。

 ハンターの半分はあの二人を追いかけていく。

「こいつらだけでも何とかしなければ」

 ハンターから逃げながらも、俺は確実にハンター倒していく。

 リモコン爆弾を地面に投げると、ハンターが通るの待った。

 タイミング良くボタンを押すと、周囲の車事大きな爆発が起きた。

「武器もそんなにあるわけじゃないんだがな?」

 あれだけハンターを倒したのに、ハンターは半分も減っていない。

 車を使って爆発させているのに、あちらこちらからハンターが湧いてくる。

「少し疲れたな」

 さすがに俺だけのハンターを相手にしたのは、初めてだ。

 ガスマスクの中が少し汗で蒸れてきた。

「少し待ってくれよ」

 ハンターは俺の方に少しずつ近づいてくる。

 仕方が無いと思いながら、ハンドガンを構える。

 ハンターの一匹が俺に向かって飛んでくる。

「いちいち飛ぶんじゃねえ!!」

 ハンターを撃つと、ハンターは後ろに飛んでしまう。

 俺は地面にリモコン爆弾をあちらこちらに置きながら、ハンターに囲まれないようにしていた。

 車が集まっている場所に配置すると、ハンターは集まってくるの待った。

「これでくたばれ!!」

 リモコン爆弾を押すと、俺は後ろに飛ぶ。

 俺が頭に手を置いて、破片が飛んでくるのを回避した。

 爆発が止み、周囲が静かになった。

 ゆっくり頭を上げると、後ろの方を確認した。

「くたばったか?」

 ハンターは一網打尽にされている、その姿を確認すると走ってその場から離れていく。

 車を避けながら走って行くと、通信機のようなものを見つけた。

「?なんだ?」

 その通信機を耳に当てると、その中から声が聞こえてくる。

 この声はモルガン?

 もう一人は…ヴェルトロのリーダーである、ノーマン?

 通信内容までは聞こえないが、この二人は何か関係があるかもしれない。

通信機をその場に投げると、そのまま本部のビルを目指す。

走りながらビル目掛けて走って行く。

 ビルの入り口から入って行くと、二階の右入り口に移動していく。

「モルガンは今回の事件を引き起こしたのか?」

 ビルの階段を上っていると、俺は外の様子を見つめて行く。

 さすがにあれだけハンターを倒せば、ここに来るのに時間はかかるだろう。

「何かこの事件に裏がある」

 二階の通路を歩いていると、更に奥に入って行く。

 二階本部の出口に立つと、中から話声が聞こえてくる。

「モルガンとオブライエンか?」

 何やら言い争いをしているように聞こえる。

 俺が中に入ると、二人は俺の方に向いた。

「ベルトウェイか?撤退したのでは?」

「外で時間を稼いでいた。」

「そうか…もう少し待ってくれ」

「いいけど、早めにしてくれよ?」

 そう言うとオブライエンは、モルガンを問い詰めていた。

 俺が横を見ると、FBCと名前が付いている服を着た男がいた。

 よく見るとその男は怪我をしている。

「レイモンド!行くぞ!」

「はい!」

 レイモンドと呼ばれていた男は、モルガンに付いて行く。

 オブライエンはその場で立ち尽くしていた。

「オブライエン?」

「行こう…ベル」

 オブライエンは外に出て行くと、エレベーターに向かって歩いて行く。

 歩いて行くオブライエンの表情を見ていると、どこか怒っているようにも見えた。

 エレベーターに乗り込むと、オブライエンから話しかけてきた。

「ベル…お前はモルガンをどう思う?」

「突然だな?」

 どう思うと聞かれても困る内容だ。

 はっきり言ってどうでもいいのだが、あの男が何かを隠している以上黙っているわけにもいかない。

「モルガンを好きにはなれない」

「あの男は何かを隠している、私にはそれが分からない」

 先ほどの内容を話すかどうか悩んだが、やはり話してみることにした。

 オブライエンは話を聞いていると、大きくため息をついた。

「やはり何かを隠しているか…それが何かだ」

 モルガンは今回の事件について何かを隠しているのは、事実だ。

「モルガンの言っている事は事実が多い」

 モルガンが何を企んでいるにせよ、今回の事件は世界をバイオテロを伝えるには十分だ。

「お前が言っている事も、やっている事も正しい」

 オブライエンはいつも正しい、正義感がとても強い男だ。

 それは昔からの付き合いがある俺が知っている。

 BSAAの元を作った時、俺はオブライエンに出会った。

「正しさでは国や世界は動かないが、モルガンのやり方では人は動かない」

「そうかもしれないが…」

「だからこそ、お前のような人間が必要なんだ」

 オブライエンがいたからこそ、俺達はここまで来れたのだろう。

 こいつは指揮官としても腕は確かだし、それは今までの事件で証明されている。

「俺達がするべきことは、人を守り、国を守り、世界を守る事だ」

 オブライエンの表情を一切変えない。

 俺はそのまま話を続けていく。

「だからこそ、今回のように何もかもをなかった事にする行動は正しくない」

 ラクーンシティと同じような事をするのは、俺は絶対に正しいとは思えない。

 すべてを無かったことにして、知らないふりをするのは許せない。

「お前はこれからも正しいと思った事をすればいい」

 今までも、これからもこいつが正しい事をすればいい。

 俺達はそれに付いて行くだけだ。

「その道にモルガンが邪魔なら、排除すればいい」

 俺はモルガンが正しい男だとは思えない。

 モルガンは何時か戦う相手だと思う。

「お前なりのやり方でな…その時は俺に言えばいい、協力してやる」

「お前にはいつも助けられるな」

 オブライエンは俺の顔を見ながら、そう言った。

 その表情はどこか清々しい顔をしている。

「私がここまで来たのは、お前がここにいてくれたからだ」

「何をいまさら?」

「ありがとう」

 照れくさい言葉を言われると、俺は顔を背けた。

 エレベーターのドアが開くと、オブライエンは先に外に出た。

 ヘリポートのたどり着くと、BSAAと書かれているヘリに乗り込んだ。

「出発してくれ!」

「了解です!」

 ヘリが出ると俺はドアを閉めてしまう。

 遠くにFBCの二人が現れて、最後のヘリもその場を離れる。

 遠くに移動すると、人口衛星であるレギア・ソリス太陽光をテラグリシアに向けて照射される。

 その光はとても強く、連鎖爆発を起こすほどだ。

「…滅んでいく」

 テラグリシアは名前だけを残して、地図の上から消滅していく。

 証拠を全て葬り去って。

 

 あれから一年

 BSAAはそれなりに大きな組織に育っていった。

 そして俺達はモルガンの証拠を探す為に、作戦を考えていた。

「計画の第一段階が始まったか」

「ああ」

 テラグリシアを見つめながら、話し合う。

 今頃ジルたちは海上にある、クィーン・ゼノビアを目指しているはずだ。

「じゃあ俺も計画を始めるぞ?」

「ああ、頼む」

 そう言うと、俺は集合場所まで移動を始めた。

 海岸から移動すると、俺は歩いてその場から離れていく。

 ヨーロッパの街並みを眺めていると、後ろから複数の人間が現れた。

「モルガンに言われて、俺を始末しに来たか?」

 明らかに殺す準備をしている集団を眺めていると、後ろからもう一人出てくる。

「ちなみに後ろにも気を付けた方がいいぞ」

 男達は後ろを向くと、後ろにいた奴はマシンガンで男達を殺した。

「相変わらずだな?エイダ」

「話は終わった?」

「ああ…行くぞ」

 そう言うと、俺はエイダと共にその場から移動していく。

 エイダが前を歩いていると、一つ質問してみた。

「調べてくれたのか?」

「ええ、あなたの言っていた通りだったわ」

 エイダと一緒に船乗り場にたどり着くと、俺達は船に乗った。

「じゃあ…」

「ええ、四つ目の女王を見つけたわ」

 船を動かすと、地中海を進んで行く。

「名前は…クィーン・ヴィクトリア」




「暗殺失敗です」
 近くにいる男は私に報告してきた。
「次の刺客を送れ」
「はっ!」
 オブライエンめ!


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クィーン・ビクトリア

 エイダと共に豪華客船に向かうベル
 そんな二人にモルガンの刺客が襲い掛かる


 船はエイダが言った豪華客船の元に移動していた。

 俺が操縦してもいいのだが、エイダは私がやると言って聞かない。

 船の操縦は知らないと言ったのが原因だろう。

「どうして第四の船があると気づいたの?」

「…簡単だよ」

 俺は雨が降っている窓の奥を見ながら語った。

 

 オブライエンと俺はテラグリシアパニックの後、ヴェルトロのアジトを探していた。

 その段階でテラグリシアの近海で、不審な動きをしている船を見つけた。

「これがその船か?」

「ああ、名前は分かった…クィーン・ディードだ」

 オブライエンが言うには、この船には同型艦が残り二隻あるのだという。

 テラグリシアの上からの衛星映像に不審な船をもう一隻見つけた。

「この船はなんだ?」

「どれだ?」

「クィーン・ディードの隣にちょこっと出ている船だ」

 クィーン・ディードの隣に、画像の端に写っている船を指でさした。

「他の二隻じゃないのか?」

 オブライエンがそう言うと、俺は他の二隻がどこにいたのかを調べた。

 しかし、他の二隻は別の海域を移動しており、テラグリシアの近くにはいなかった。

「これは…他の船って事だろ?」

「第四の船があるって事か?」

 調べてみてもそれらしい情報が手に入らなかった。

 オブライエンと悩んでいると、俺は1人この手の情報を掴める人間に心辺りがあった。

「俺に任せてくれないか?」

「心辺りが?」

「見つける人間にな」

 

「それで私に頼み込んだのね?」

「迷惑だったか?」

「別に…楽しそうだったし」

 そう言うと、エイダは少し微笑んで見せた。

「それで?第四の船はどんな船なんだ?」

「簡単に言えば、モルガンが作らせた海上研究所よ」

 俺はエイダの方に顔を向けると、船が大きく揺れた。

「モルガンはウイルスを開発するのに、カモフラージュする船が必要だった」

「それが船ってわけか?」

「ええ、そしてモルガンは三隻とは別に極秘裏にもう一隻を作らせた」

「どうしてカモフラージュで船になるんだ?」

「そっくりに作れば、衛星越しには分からないし、他の場所に作るとばれやすい」

「それで船になったのか?」

「ええ、それはある意味幸運だったの」

「どういう意味だ?」

「海上を移動するために、“T-Abyssウイルス”が出来上がったの」

 船で作った為に、偶然出来たのが新型だった。

「でも、ウイルスを作ったのは良いけど、それの新しいワクチンが必要だった」

「それでヴェルトロを利用したと?」

「ええ、ついでにウイルスを世界中に教える事が出来た」

 モルガンめ…やはり…

「ヴェルトロを逆に利用したのか」

「そう言う事になるわね」

 船が少しづつ速度を落としていく、目の前に大きな豪華客船が見えてくる。

 船の脇には、クィーン・ビクトリアと書かれていた。

「ここが第四の女王」

 ビクトリアの脇に船を止めると、船にフックを付けると中に入って行く。

 中に乗り込むと、ハンドガンを構える。

 エイダも同じようにしていると、ゆっくり歩いて行く。

「気を付けろよ」

 エイダと共にドアに近づいて行く。

 ドアに掛かっている鍵をハンドガンで撃つと、ゆっくり中に入って行く。

 船の中は酷い異臭がしていて、その匂いはまるで腐った死体の匂いがする。

「ひどい匂い」

 エイダは少し鼻を押さえている。

 俺はガスマスクをしているおかげでそこまでではなかった。

 部屋の奥に進んで行くと、奥のドアをゆっくり開けて行く。

「誰もいないのか?」

「今はね…テラグリシアパニックの直後に、船内でバイオハザードが起きたの」

「モルガンか…」

「ええ、証拠隠滅の為に」

 回り込むように移動すると、俺はまたしてもドアに手を掛ける。

「誰だ!?」

 上の方で物音がする。

 上に向かってハンドガンを構えるが、そこには何もない。

 上にハンドガンを構えたまま、ドアをゆっくり開けて行く。

「物音がしたよな?」

「ええ、この船には何か居るわ」

 ガスマスクに付いているライトをつけると、物音がしないように進んで行く。

 またしても上から物音がしている。

 ゆっくり歩きながら先に進んで行くと、エレベーターのある部屋を見つけた。

 部屋と呼んでいいのか疑問だが、二つあるエレベーターの内の一つは電源が入っていない。

「別の方は動いているようだな」

「エレベーターに乗って下の降りる?」

「少し先に進んでみよう」

 俺は先ほどから見えているドアに手を掛けると、後ろから何かの気配を感じた。

「エイダ!」

 エイダを押し倒す形で、庇うと俺の方に何かが肩に噛みついた。

 エイダは俺の方に噛みついている何かを、ボウガンで撃ち抜いた。

 俺の方に噛みついていた何かは、俺の方から吹き飛んだ。

「なんなんだ?」

 後ろに向くと、そこに居た化物は半ば溶け崩れつつ水死体のように白くふやけていた。

「こいつは新種の感染者か?」

「人かどうかは疑問だけどね」

 ハンドガンで両腕を撃つと、奴の口から何かが出てきた。

 俺はナイフを持って構えると、奴の頭に突き刺して蹴り飛ばした。

 化物の体は水のようになっていくと、骨だけになっていた。

「不思議ね…どうやったらこうなるのかしら?」

「骨だけになったぞ…まるで水で体が出来ているようだな」

「それより傷口は大丈夫?」

「ああ、“NTウイルス”がウイルスを食っているよ」

 先ほどから傷口周辺がとても暑い。

 新しいウイルスが入って来ると、“NT”はウイルスを食って強化される。

 強化される部分は、再生能力と肉体の強化。

「また強くなるのかしら?」

「だろうな」

 暑さが落ち着いて行くと、噛まれた傷口が治って行く。

 肩をグルグル回して、傷を確認すると奥の方から物音が聞こえてくる。

「さっきの奴だと思うか?」

「多分ね…少なくとも一般人ではないでしょうね」

 ゆっくりドアを開けて行くと、俺とエイダは部屋の中に入って行く。

 中は食堂になっていて、通路がU字型になっている。

 回り込むように移動していると、後ろと前に先ほどの化物が二匹出てくる。

「こいつがさっきの音の正体か?」

「でしょうね」

 背中合わせに立つと、俺は目の前の化物に集中した。

 ハンドガンで片腕を撃つと、体ごと後ろに回って行く。

 どうやら腕には骨が無く、銃で撃つと耐えられない。

「エイダ!腕を撃て!」

「分かってるわ!」

 もう一つの腕に撃つと、化物は怯んだ。

 俺は飛び蹴りを喰らわせると、化物は壁に体を激突した。

 エイダの方も化物を倒してようで、ボウガンの矢をリロードしている。

「テラグリシアで使われたウイルスと同じ可能性がある」

 倒し終えると、先に向かって進んで行く。

 奥のドアを開けると、今度はキッチンにたどり着いた。

 キッチンの中は先ほどの化物が立っている。

「行動はゾンビと似ているな」

「姿は全く似ていないけどね」

 激戦を潜りぬけると俺達は全く動じない。

 ハンドガンで両腕を撃ち抜き、化物の顔面に殴りつけた。

「あなたちょっとづつ面倒になってきてるでしょ?」

「まさか」

 適当に流すと、キッチンの中を調べて行く。

 調理台の上に在る物を調べて行くと、下から何かが出てくる。

「こういう奴らはこういう手段が好きだな」

 先ほどの化物が出てくるので、俺は頭を踏みつぶした。

 頭がグチャという音を立てて死んだ。

 しゃがんで水になった化物を見ていると、上から化物が降ってきた。

「うわ!!なんだ!?」

 後ろに飛び退くと、ハンドガンを構えた。

「脅かすな!!」

 ハンドガンで頭に何発か撃ち抜いて行く。

 化物は先程と同じく水になって死んでいく。

「久しぶりに驚いたぞ…心臓に悪い」

 どうやら体が柔らかいのか、どこにでも入れるらしい。

 上に居たり、下に居たりと俺を驚かせる。

「何かあった?」

「化物なら数匹…上と下から」

 大きくため息を吐くと、立ち上がった。

 今回の戦いは少し疲れそうな感じがする。

「先に行くか…」

 ドアを開けると、今度は階段を上って行く。

 階段の上にまたしてもドアがあり、ドアをゆっくり開けて行く。

 通路の先を進んで行くと、長い廊下があった。

「部屋の中に入ってみる?」

「やめておこう」

 長い廊下を進んで行くと、曲り角で曲がる。

 ドアを開けて、階段を降りて行く。

 先に一つの部屋が見つかった。

 部屋の中は誰もいないように見える、

「念の為にこの先の部屋を調べてみるか」

 俺はゆっくり部屋の中に入って行くと、部屋の中で俺達は調べてみることにした。

 俺は机の上に在るパソコンの電源を入れた。

「何か見つかると良いんだが」

 パソコンの中を調べていると、ここの研究所の場所への道が書かれていた。

 しかし、研究所に入る為には特定の鍵が必要だ。

 鍵の場所を調べてみると、画面に先ほどとは違う化物の姿が映った。

 椅子から飛び退くと、パソコンが縦に切られていく。

「なんだ?今度は?」

「どうしたの?」

 エイダも同じように化物に向くと、そこには体がとても大きく右手はチェーンソーのようになっている。

「…俺は生きている…助けて…死にたくない」

「この化物喋ってる?」

 エイダは俺に向かって聞いてくると、俺は無情な言葉を発した。

「聞くな、化物化した時点でこいつは殺すしかない」

 ショットガンを構えると、化物に向けて引き金を引いた。

 化物はチェーンソーのようなもので襲い掛かってくる。

 いくら撃ってもちっとも怯まない。

「無駄にタフだな」

「何とかしましょう」

 俺はポケットから手榴弾を持つと、口目掛けて手榴弾を投げた。

 口の中に入ると、化物の体の中で爆発した。

 化物は体を吹き飛ばすと、水のようになっていく。




「モルガンは俺達を殺そうとしていると思うか?」
「多分ね」
 この先モルガンの刺客が襲い掛かってくるかもしれない。
 俺は先程調べた内容に従って来た道を戻って行く。


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化物

 元来た道を戻って行く
 エイダとベルは研究所を目指す


 元のエレベーターがあった場所に戻ると、一番奥のエレベーターに乗り込んで一番下を目指した。

「ここの研究室にモルガンの証拠があるのか?」

「ええ、ここの研究所は他の船のものと違ってモルガンが直接関わった場所だから」

「モルガンがここに来ていたのか?」

「そのはずよ」

 今頃ジル達は今頃何をしているだろう?

 クィーン・ゼノビアに乗り込む所までは把握できるが、それからはジル達次第だ。

 おそらくジル達も先ほどの化物と戦っているはずだ。

「さっきの化物も新型の影響か?」

「多分ね。私は詳しくは知らないから」

 さっきの化物は他の奴より明らかに変わっていた。

 何か別の要因があるとみて間違いないだろう。

「新型のワクチンは完成しているのか?」

「そのはずよ。研究所の中にサンプルがあるはずよ」

 エレベーターが開くと俺達はハンドガンを構えながら出て行く。

 一本道になっており、真直ぐ進んでいるとドアを見つけた。

 俺がドアをゆっくり開いて行くと、お店が多く並んでいる場所に出る。

「ここはどこだ?」

「コンビナートと言われている場所ね。この先に行けば大きなロビーに出れるわ」

「どうやら俺達は歓迎されているようだな」

 エイダが携帯の様な物を片付けていると、俺は目の前に現れた化物の集団にハンドガンを向ける。

 エイダも同じようにしていると、俺の足元からも出てくる。

「よくもそんな所から出てこれるな」

「体が柔らかいんでしょうね」

 俺は下に這いつくばっている化物の頭に弾を撃ちこむ。

 化物がゆっくり体を溶かしていくと、奥の店から出てきた化物が襲掛かってきた。

「数が多い!上に行くぞ!」

 エイダが黙って頷くと、俺達は近くの階段から上に上がった。

 通路を真直ぐ進んで行くが、一番奥ではシャッターが下りていてそのまま行くことが出来ない。

「エイダ!どけ!」

 エイダはその場から退くと、俺はシャッター目掛けて蹴りつけた。

 シャッターは少し曲がっていると、俺は間髪入れずに二発目を入れた。

 エイダは後ろからやってくる化物を、相手にしている間にシャッターを壊さなければならない。

 六発目でようやくシャッターが吹き飛んだ。

 俺とエイダはそのまま走って行くと、通路通りに進んで行く。

「エイダ!走れ!」

 エイダと共に道なりに進んで行くと、ドアの奥に行くとドアのカギを閉めた。

 エイダは肩で息をしていると、俺は周囲の確認をしている。

「数が多いわね」

「ああ、この船に乗っていた人間が全員感染したとしたら脅威だな」

 エイダが落ち着くのを待っていると、俺はそのまま歩いて行く。

 俺達が一番奥のドアに到着すると、俺はドアが開くのを待った。

 ドアが開くと俺はゆっくりロビーから出てくる。

「オペラハウスの間違いじゃないのか?」

「ロビーよ」

 オペラハウスと言っても疑わないような大きさだ。

 エイダが携帯の様な物で地図を確認していると、ゆっくり歩き出した。

「この奥のカジノの奥を進んで行くと、確かあるはずよ」

 エイダの指示通りに進んで行くと、またしても大きなドアに差し掛かった。

「同じようなつくりのドアが多いな」

「そう言う設計なんでしょ?」

 カジノに入ると、エスカレーターに乗り込んで降りて行く。

「で?どこに行けばいいんだ?」

「あそこの階段を上ってドア開けた先よ」

 エイダは奥の階段を指差していると、そことは別のドアがいきなり開いた。

 そこからはさっきの化物が現れた。

「さっきの奴か…」

「モテモテね?」

「化物に愛されたくないな」

 俺はショットガンを構えると、エイダはボウガンを持って戦う態勢に入った。

 化物は口から何か汚い物を吐きだした。

 そいつは、トラバサミのようなものが床に設置された。

「エイダ!気をつけろ!」

「見るからに危なそうね」

 罠から距離を取りながら進んで行くと、奴は走って近づいてくる。

 化物のチェーンソーみたいな物を振り回している。

 俺はショットガンを構えながら後ろに下がって行く。

 俺は手榴弾を化物の足元に置くと、スロット台の陰に隠れる。

 化物は爆発と共に地面に膝をつくのを確認すると、俺は走って行きながら回し蹴りをお見舞いした。

 化物は後ろに少し下がると、俺達は化物に一斉射撃した。

 俺は化物に向けてスタングレネードを投げた。

「エイダ!」

 エイダは黙って頷くと、手榴弾を化物の口目掛けて投げた。

 化物はそれを飲み込むと、体の内側から爆発する。

「何とかなったか」

 俺がそう呟くと俺は階段目掛けて歩いて行く。

 階段を上り終えると、奥のドアに手を掛けた。

「?開かないぞ?」

「どうやらある程度のコインの重さが必要なようね」

「面倒だな」

 エイダが持っていた本にはドアを開けるには107gのコインを乗せる必要があるようだ。

 俺は他に行く道を探していると、俺は化物が出てきた所に入って行く。

 そこは鍵の掛かったドアが付いていた。

「ここからは先に進めそうにないな」

 俺が下を見ると三叉槍が掛かれた鍵を見つけた。

 俺がそれを拾うと、ドアに付いている紋章も三叉槍であることに気づいた。

「これで先に進めそうだな」

 俺は鍵をドアに差し込むと、ゆっくり鍵を回した。

 ガチャと言う音を立ててドアはゆくっり開いて行く。

「エイダ!こっちから進めそうだぞ!」

「今行くわ!」

 エイダが来ると俺は通路の奥に在った梯子を降りて行く。

 梯子を下りてさらに奥のドアを開けると、小さな部屋を進んで行く。

「ベル」

「分かってるって」

 俺達がちょうど中心に差し掛かった時、前と後ろから化物が現れる。

 銃を構えると、俺は化物の両手を撃つ抜く。

 化物が怯むと俺は、化物に蹴りを喰らわした。

 エイダの方もすでに慣れた感じで化物を倒していく。

 前と後ろの化物を倒すと、俺達は黙って先に進んで行く。

「俺達を倒すのにしては、何か足りない気がするが」

「何か別に用意していると?」

「多分な」

 俺は曲がりくねっている道を進んで行くと、またしても化物が道を塞いだ。

 俺がハンドガンで化物を倒すと、さっさと先に進んで行く。

 穴から下に降りると、リフト乗り場に出てきた。

「これで下に降りれば、研究所は目と鼻の先よ」

「長かった…」

 リフトに乗ると、エイダはリフトを動かしてくれた。

 リフトがゆっくり降りて行く、俺は降りながらハンドガンをいじっている。

「モルガンの刺客がこの先仕掛けてくる可能性があるな」

「少し用心しておいた方が良さそうね」

 リフトが一番下に降りると、エイダが先に降りて行く。

 エイダはカードリーダのついたドアの前にたどり着いた。

「カードなんて持ってないぞ?」

 俺は困った風に言うと、エイダはポケットからカードを取り出した。

 エイダがカードを通していると、俺はエイダに聞いてみた。

「いつの間に拾ったんだ?」

「ちょっと前にね」

 エイダはそう言うとドアの奥に進んで行く。

 パイプなどが配置されている道を進んで行くと、大きな部屋に出た。

 そこにはコンテナのような物が多く配置されていた。

「こっちよ」

 コンテナを避けながら、梯子を無視して進んで行く。

 エイダがドアを開けて先に進んで行くと、長い通路を進んで行く。

 一番奥に行くとそこには階段がある。

「この一番上よ」

「遠い…」

 もうすぐかと思ったが、まだこんなに進まなければならないとは。

 面倒な事を引き受けたと今更ながら後悔していた。

「この船には本当に研究所なんてあるんだろうな?」

「あるわよ」

 階段の一番上にたどり着くと、またしても三叉槍のドアを発見した。

 俺は鍵を使ってドアを開けると、エイダが先に進んで行く。

「俺が開けたんだがな?」

 ドアの先はさっきとは別の世界のようにも感じた。

 いかにも研究所のような作りをしている。

「ここがそうなのか?」

「実際はこの先よ」

 まだ先があるのか?

 そろそろ疲れたんだが。

 いや、疲れてと言うより飽きたと言った方がいいだろう。

「もう飽きたの?」

「まだ大丈夫だ」

「飽きそうなのね」

 エイダの後に付いて行くと、エイダは奥の部屋で何かの装置を動かしている。

 エイダは指を装置に入れると、何かの音が響いた。

 どうやら指紋を登録しているようだ。

「行きましょうか」

 エイダは途中に在った大きなドアの前に立つと、指紋を使ってドアを開けた。

 ドアの先は滅菌室になっており、俺達は分かれて道を進んで行く。

「この先が研究所なのはほぼ確定だな」

 滅菌が終わると、俺達は次の部屋で合流した。

 下に降りると、後ろから大きな音が響いた。

「嫌な音だな。こういう時は大体嫌な事が起きる」

 後ろを向くと、そこには大きな槍と盾を持った化物が立っていた。

 体はまるで鎧を着ているようで、滅菌室のドアをこじ開けて現れる。

「モルガンが差し向けたのか?それとも自然発生か?」

「どちらにしても私達を逃がしてくれそうにないわね」

 槍を持って俺達に向かって走ってくると、俺達は左右に飛んで避けた。

 俺はショットガンを構えると、化物の上半身目掛けて引き金を引く。

 化物は俺の方に近づいてくると、俺はゆっくり後ろに下がって行く。

 化物の槍の攻撃をしゃがんで避けると、走ってその場から移動した。

「意外と厄介だな」

「でも確実に効いてるわよ」

 エイダもハンドガンを使って攻撃していると、いきなり化物の上半身が吹き飛んだ。

 俺は化物に近づくと、上半身だけになった化物がいきなり起き上がった。

「なんだ!?」

 上半身からでた触手からは電撃が出ていた。

 あれで死なないとは、かなりタフな奴だな。

「エイダ!とにかく攻撃しろ!」

 俺達は銃を体に向けて攻撃を続けた。

 少しすると、化物はゆっくり倒れて行く。

「少し面倒な相手だったな」

「ええ、先に進みましょうか」

 俺達はエレベーターに乗るとゆっくり下に降りて行く。




 エレベーターを降りると、長い通路を進んで行く。
「なんか変わった場所だな」
「この先が研究所よ」
 俺とエイダは大きなドアに差し掛かると、ドアをゆっくり開いて行く。


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答えは出ない

 第四の女王に乗り込んだベルとエイダ
 真実に触れた時、大きな転換期が彼に訪れる


 大きな扉が開いて行くとその奥には赤い液体が一面を埋め尽くしており、どうやらこれは全部新型ウイルスのようだ。

 これだけの量が海に流れて行ったら、世界中の海がどうなるかは想像するだけ無駄だ。

「よくもこれだけのウイルスを作れたものだな」

「少し関心してしまうわね」

 俺達は左右に曲がれる道の内、俺は左に曲がって行くとエイダが警告した。

「あっ、そっちは…」

「?なん…!痛っ!」

 道を進もうとすると俺の体に激痛が走る、俺は少し距離を取るとエイダは逆方向に歩いて行く。

 傷はあっという間に治って行くが、この痛みだけは何ともならない。

「そっちは危ないわよって言おうと思ったのに…」

「早めに言ってくれよ…頼むから」

 エイダは奥で何かの装置を動かしていると、エイダは歩きながら戻ってくる。

 俺の元に戻るとエイダはそのまま先に進んで行く。

「で?これはなんなんだ?」

「熱線じゃない?私は知らないわよ」

「あっそ…」

 エイダの後に付いて行くと、さらに奥のドアを開けて先に進んで行く。

 ドアを開けた先の部屋は、何かの研究施設の様で俺は近くにあるパソコンを起動した。

 エイダも本棚を調べたりしていると、俺はようやくパソコンから研究のデータを閲覧している。

「モルガンの証拠をつかんで見せるさ」

「がんばって」

 エイダの声援を受けて俺はデータの中を調べて行く。

 新型の開発経緯や開発に関する資料を見ていると、一番奥にデータにモルガンの決定的な証拠をつかんだ。

「見つけた」

 そこにはモルガンが、ここの研究所を使っていたころの映像とモルガンが開発を指示した音声データがあった。

 俺は手元にあるUSBメモリーをパソコンに差し込むと、メモリーにデータを移している。

 すると、部屋のあらゆる場所から化物達が現れた。

「こんな時に!」

「後何秒?」

「後…5分!」

 俺はハンドガンを構えると、化物に向けて引き金を引いた。

 化物の両手を撃って怯ませると、化物を蹴り飛ばす。

 吹き飛んだ化物は、近くにいる化物にぶつかるとそのまま消えて行く。

 エイダも同じようにボウガンを使って撃退していく。

 何匹もワラワラと出てくると、俺はこれがモルガンが仕掛けていると理解した。

「これもモルガンのしている事だな!」

「そうでしょうね、どうやら私達にはこれ以上調べてほしくないようね」

 俺はショットガンで化物の頭を吹き飛ばすと、俺はハンドガンで化物を怯ませ蹴り飛ばす。

 エイダはスタングレネードを使って化物を怯ませる。

 俺はその化物にナイフを投げて倒すと、エイダは別の敵を蹴り上げていた。

 相変わらず綺麗な戦い方をする奴だと感じていると、ダウンロードに掛かる時間がようやく半分を切った。

「後半分!」

 俺はポケットの中からBOWデコイを投げて化物を一網打尽にしてしまう。

 エイダの方は、先ほどからボウガンで化物の頭を吹き飛ばしていた。

 俺はナイフを化物から抜くと、後ろに立っていた化物に向けてナイフを切り裂く。

 化物の頭が天井に向けて回転していく。

 ハンドガンの弾が切れると、エイダが俺に向かってハンドガンの弾を投げてきた。

 俺はそれを受け取ると、リロードしてエイダの後ろで噛もうとしている化物に向けて引き金を引いた。

 エイダはボウガンに矢を装填していると、横からくる化物に向けてマシンピストルを撃った。

「終わった!エイダ!」

 俺はパソコンからUSBメモリーを引き抜くと、エイダに大きな声で叫んでいた。

 エイダは出口から出ようとするので、俺は先程のウイルスの事を思い出していた。

「だめだ!ウイルスを先に何とかしないと!」

「そうね」

 俺達は化物からの襲撃を何とか避けて先の部屋に急いだ。

 その部屋すら通り過ぎて行くと、一番最初の部屋に戻った。

 中心の大きな筒の中にも“T-Abyssウイルス”が恐ろしい量がそこに置かれている。

「ウイルスを中和するには認証コードが必要なようね」

「俺が取ってくる!」

「場所ならそこのエレベーターを使った先よ」

 俺は黙って頷くと、エレベーターに乗り込んで下に降りて行く。

 ハンドガンの弾の確認や、ショットガンの弾を確認しているとエレベーターのドアが開いた。

 ドアから出てくると、そこの部屋は棒のような物が多く突き刺さっている。

「これってさっきの?」

 ジェネシスを向けるとそこには赤い線が何本も通っている。

 俺はジェネシスを向けながら先に進んで行くと、スイッチを切り替えながら先に進む。

 次の部屋に入ると長い廊下を通りながら梯子を上っていると、一番奥のドアの前で指紋認証が必要だと分かった。

「エイダ、指紋認証が必要なんだが?」

『今こっちから開けるわ』

 そう言うエイダの声が、通信機から聞こえてくると、目の前にドアがいきなり開いた。

 俺は更に先に急ぐと、一番奥の部屋に入るとそこには機器が多く置かれていた。

 それを一つづつ確認していると、一番奥の大きな機械が中和プログラムを開始するのに必要な認証コードが作れる事に気づいた。

「えっと…これをこうして」

 機械を動かしていると、目の前の画面から認証コードを作るのに必要な時間が掛かれている。

 数分かかると認証コードが入ったUSBメモリーが機械の中から出てくる。

 俺はそれを動かすと、エイダの元に急いだ。

 元の道を戻って行くと、俺はエイダに認証コードを投げた。

「これが認証コードだ」

 エイダは機械に認証コードを突き刺すと、周囲の機械が動きだした。

 すると目の前の画面からモルガンが出てくる。

『久しぶりだね。ベルトウェイ』

「久しぶりだな。モルガン」

 ウイルスを中和しようとしていると、モルガンが喋り出した。

「まさかここまでやってくるとはな、私は君の事を侮っていたようだ。さすがはBSAAの真のリーダーと呼ばれている者だ」

「俺はリーダーじゃないさ、あくまでもエージェントだ。それに俺もお前の事を男などっていたようだな、まさかここまで事をやってくれるとは」

『これほどの事をしなければ無能な民はウイルスの事に気づきはしない。私は民に理解を求めたのだ』

「だとしてもそれの為にテラグリシアの人達を犠牲にする必要は無かった。それに元々ウイルスなんて物は知らなくてもいい事なんだよ」

『ウイルスを知ることで民は、ようやくウイルスと闘う事が出来るのだ。…エイダ・ウォン、君は私と来る気は無いか?』

「私はしつこい男が嫌いでね。」

 そう言って見せると、モルガンは再び俺の方に向いた。

『君が真実を言えば、そこから新たな混乱が始まる。選択を間違えない事だ。』

「国がアンブレラに対して危機を感じているだけでよかったんだ。国が俺達を通して対策の事を投じるだけで、世界は救われたんだ。無理をして世界中の人達に知らせる必要は無かった。お前は所詮自分の自己満足の為に戦っているだけだ。世界中の人達を巻き込んで、世界中の国のトップを巻き込んで、自分すらもまきこむ。」

『だが、そうすることで世界中の人達は危機を感じる事が出来た。私は正義だ』

「お前やっている事のどこに正義があるんだ?これの研究施設のどこに正義があるんだ!?お前のやってきた事件のどこに正義があるんだ!?ふざけるな!お前のしてきたことで何万という人たちが犠牲になったんだぞ!!組織すら利用して!お前は正しくない!お前のやっている事は偽善だ!」

『私はそれでも君たちのやっている事を否定する』

「やってみろ。俺達はどこまでもお前と戦ってやる」

 話に区切りがつくと船内でも大きな警報が響く、俺達は周囲を確認する。

『自爆シークエンスを開始しました。乗組員は全員退去してください』

『これでチェックメイトだ。念の為にアビス完全体を放っておいた。楽しんでくれたまえ』

 俺達は来た道をそのまま戻って行く。

 

 オペラハウスのようなロビーに出ると、俺達は脱出ルートを考えていた。

「この上の展望室の上から船に飛び乗れそうね」

「そのルートにするか」

 近くのエレベーターに乗り込むと、一番上のボタンを押した。

「珍しいわね。あなたがあれほど怒っているなんて?」

「そうか?」

「ええ、私からすればとっても珍しい光景だったから」

「そうでもないさ、俺は怒りっぽい」

「というよりあなたの場合は熱血というんじゃないの?」

「熱血ね…エイダ…最近お前何か間違った知識を覚えてないか?」

「別に…」

 エイダはそれっきり黙り込むと、俺も同じように黙り込みエレベーターが展望台にたどり着くのを待った。

 展望台にたどり着くと、俺は上に上る為に俺は周囲の散策を始めた。

 意外とすぐに梯子がある事に気づいた。

「こっちの様だな」

 すると展望台のガラスから誰かが割って入ってくる。

 体は筋肉に覆われていて、顔面は大きな目が縦に付いている。

 背中には羽のようなものが付いていて、胸には心臓らしきものが見え隠れする。

「アビス完全体とかいう奴か?」

「多分ね」

 アビス完全体の大きな目が光ったと思うと、アビス完全体の姿が消えた。

 周囲を見回していると、俺の後ろからアビス完全体が姿を現す。

 俺は攻撃を回避すると、後ろに思いっきりジャンプする。

「なんだ!?今こいつ消えたぞ!」

「ええ、何かトリックがあるみたいね」

 歩いているアビス完全体の姿が目の光と共に消えた。

 俺はショットガンを構えながら撃つ準備を整えていると、俺の後ろから再び現れた。

 アビス完全体の心臓目掛けてショットガンを撃つと、アビス完全体は苦しみながら後ろに引いて行く。

 アビス完全体は再び姿を消すと、俺の隣から姿を現した。

 俺はショットガンを使って迎撃すると、アビス完全体の体が消えてしまった。

 後ろから攻撃がやってくるのを俺は感じた為、俺は前に思いっきりジャンプして避けた。

「こいつ幻覚を作る事が出来るのか?」

「厄介ね」

 アビス完全体は予想以上に厄介な相手みたいだ。

 先ほどからアビス完全体の攻撃を避けながら、心臓目掛けて攻撃を繰り返す。

 しかし、アビス完全体が倒れる気がしない。

 船の周りが爆発していくのを確認できる。

 展望台も少しずつ揺れているのを確認出来た。

「ここも限界だな」

 アビスがまたしても姿を消すが、俺達はこいつの攻略方法が見えてこない。

 アビスが姿を現し、攻撃を回避してアビス完全体の後ろを取った。

 そこには腫瘍のようなものが出来ている。

 俺は腫瘍目掛けてナイフを投げて、突き刺さると化物は呻きながらジタバタしている。

 俺はアビス完全体の背中にくっつくと、ナイフを掴んで思いっきり切り裂いた。

「ベル!そこから退いて!」

 俺はアビス完全体から退くと、上から瓦礫が火と共に落ちてくる。

 展望台の中心を分けるように火が噴いている。

「エイダ!無事か!?」

「ええ、でも合流できそうになさそうね」

 俺はどうにか合流できないか考えていると、奥から何かが飛んでくる。

 それを掴むと、それは鍵とカードだった。

「これをあげるわ。今日は楽しかったわ、じゃあね」

「エイダ!」

 エイダは炎の奥で消えて行った。

 俺は展望台の梯子から上に上ると、俺はドアに付いているカードリーダにカードを通す。

 ドアを開けると、フックショットを使ってボートに乗り込んで沈没しそうな船から離れていく。

 

 ボートを動かしながら海上を移動していると、俺は先程まで動かしていたパソコンがあった。

 先ほどパソコンからモルガンの悪事を流しておいた。

「ジルの方も無事みたいだな」

 パソコンからモルガンの悪事が流れている。

 クィーン・ゼノビアが沈んだ地点を移動していると、海上に誰かが浮いていた。

「何してるんだ?パーカー」

「よぉ。助けてくれないか」

「最近はそうやって浮かんでいるのが趣味なのか?」

「別にそうじゃないけどよ」

「嘘だよ」

 俺はパーカーの腕を掴んで引き上げると、BSAA本部に向かっていく。




 BSAA本部ではモルガンが今出て来ていた。
「パーカーを頼む」
「了解です」
 パーカーを頼むと、モルガンに向かって歩いて行く。
「お前の負けだな、モルガン」
「私は君を侮っていたようだ。だが君たちは大きな間違いを犯しているぞ」
「お前ほどじゃないさ。それにそれでも俺達は人を守る道を選ぶ」
「君たちは必ず後悔する」
 そう言うとモルガンは連れて行かれた。
 俺は代表の部屋に行くと、オブライエンが部屋の中を片付けていた。
「何をしているんだ?」
「今日限りで私は代表の座を退く。後の事を君に任せるぞ」
「勝手に任されても困るんだが」
「君なら私のような道はたどらないだろう。君は代表に相応しい」
「勝手にしろ…」
 オブライエンは手元にある最後の箱を掴むと、部屋から出ようとする。
「後は頼む」
「俺には無理だ。答えすら見えていないのに…」
「君になら見つかるさ、君なりの答えを」
「だと良いんだけどな」
「だから、後は頼む」
「…任された」
 俺は机の上に立っている俺とオブライエンの写真を掴む。
「ベルトウェイ代表!FBCの件はどうなさいますか?」
「FBCは今日限りで解散とする。組織は俺達BSAAが併合する。現地の隊員に指示を出す指揮官を立てる。すぐにメンバーを選抜しろ。」
「了解しました」
 そう言うと司書の女性は部屋から出て行く。
「ベルトウェイ代表兼エージェント…」
 俺の新しい肩書だ。
 それでも俺はいまだ答えが見えない。
 それでも戦うしかない。
 未だ見えない答えの為に…


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Answer
レベッカ・チェンバース


ジルがいなくなってから、ベルトウェイはどこか物足りない日常を過ごしていた。
そんなベルトウェイを大きく変える人物が現れる。
彼女との出会いはベルトウェイに答えを見つけさせる。


 ガタンゴトンガタンゴトン

 列車が走る音が周りに響いている。

 俺は列車の窓から見える森はどこか静かで、俺がどうしてここに居るか忘れそうになる。

 

 

 俺は2006年に消息不明になったジルの捜索をしていた。

 捜索をしているのは俺の意思で、BSAAの決定ではない。

 俺は後悔していた、俺がちゃんとしていればジルを失わずにいられたはずだ。

 クリスはジルを失って以降、仲間を失う事を恐れるようになった。

 その姿はどこか俺と似ていた。

 ジルを目の前で失った事が、クリスにとってトラウマになっているのだろう。

 かつて俺が目の前でたくさんの人が人でなくなる瞬間を目撃したように。

 それでも俺はジルが死んだとは思えなかった。

 俺はジルを捜索するために、アメリカの各地区を回っていた。

 もちろん俺が休暇の時にだけなので、かなり時間が掛かる。

 エイダにも協力を頼んでいるが、中々見つかることが出来ない。

 それでも俺はあきらめていなかった。

 そして俺はここで大切な答えを見つける。

 

 

 窓を見るのにも飽きていると、俺は食堂に向かって行くことにした。

 自分の部屋を出ると、左に曲がって進んで行く。

 途中では裕福そうな老夫婦やどこかの社長らしき人間までいる。

 みんな幸せそうな感じがする。

「さすがにここではバイオテロは起きないか」

 念の為に装備一式を持ってきているが、この様子だと杞憂で終わりそうだ。

 通路を歩いていると、左の階段から1人の女性が出てきた。

「あっ!ごめんなさい!」

「こっちこそ」

 そう言うと彼女は俺がいた方に走って行った。

 裕福な人間とは思えない、それに俺はその姿をどこかで見たことがあるような気がする。

 少なくともあった事が在る人間ではないはずだ。

 そんな事を考えていると、真直ぐ食堂に向かっていく。

「不思議な奴だったな」

 夏だからだろうか、来ている服は半そでのシャツに青いショートパンツを着ていた。

 身長は160㎝ぐらいだと断定はできる。

「どこかで見たことがあるんだよな…」

 はて…どこだっただろうか?

 そんな事を考えていると、俺はようやく食堂にたどり着いた。

 適当な席に着くと、オムライスを頼んだ。

 

 昼ごはんを済ませると、俺は真直ぐ自分部屋を目指した。

 するといきなり列車が止まってしまった。

 俺はバランスを崩してしまうと、手すりを掴んでその場に立ち尽くす。

 前と後ろにいる人が転んで、壁に激突している。

 列車がうまい事止まると、俺は廊下を走って行き俺の部屋の前で立っていた車掌らしき人間を捕まえた。

「何が在ったんだ!?」

「分かりません…何が在ったのか?」

 本当に知らない用で、車掌は完全に慌てていた。

 そうしていると、前の方で大きな悲鳴が響いた。

「きゃーーーーーー!!!」

「悲鳴!?前の方から」

 俺は車掌と共に前の方に走って行くと、目の前では恐れていた事態が起きていた。

 1人の女性が別の女性の上に乗っていて、顔を女性の肩にくっつけていた。

 車掌は女性を離そうとしていると、俺はすぐに警告を発した。

「彼女から離れろ!!」

 しかし、時は既に遅く車掌目掛けて女性が噛みついた。

 これは完全にゾンビと同じ傾向だ。

 車掌を助けようとするが、車掌はジタバタしている手が静かに地に落ちていく。

 俺は助けられないと判断すると、俺は走ってその場を去った。

 俺は黙って自分の部屋に入ると、装備一式を着こんで外に飛び出した。

「この列車で何が起きたのか…確認する必要がある」

 前の方に走って行こうとすると、後ろの方からちょっとした爆発音が響いた。

 俺は少し考えてみたが、爆発を確かめる為に後ろに走って行く。

 車両を真直ぐ走って行くと、床が少し焦げている事に気づいた。

「ここで爆発が起きたって事は…この辺りに誰かいるはずだ」

 そんな事を考えていると、上の階でまた爆発が起きた。

 俺は近くの階段から上に上がると、ゾンビが部屋の前でたむろっていた。

 俺はナイフを構えると、ゾンビの群れに走って行く。

 ゾンビの首を切ったり、蹴り飛ばしたりしてゾンビを掃討すると、改めて部屋の中を見た。

 そこに居たのは先程俺とすれ違った女性だった。

「大丈夫か?」

「はい。ありがとうございます」

 彼女は丁寧に頭を下げると、俺は彼女に自己紹介をした。

「俺はベルトウェイ・シュターナーだ。BSAAの代表兼エージェントをしている」

「私はレベッカ・チェンバースと言います。テラセイブに所属しています」

 あくまでも彼女は落ち着いた感じで話していると、俺はテラセイブに関して思い出していた。

 確かバイオテロや薬剤被害者を救済するNGO団体の名前だったはずだ。

 クレアがこのテラセイブに所属していたはずで、ちょくちょく話を聞いていた。

「レベッカ…やっぱり聞いた事が在るな…」

「私の事を知っているですか?」

 彼女は俺と知り合った記憶が無いらしく、頭を傾げていた。

 必死になって思い出していると、俺は昔BSAA北米支部でクリスとジルからスターズについて聞いた時に聞いた名前だ。

「もしかして、前にスターズに所属していた?」

「はい。たしかに私はスターズのメンバーでしたけど…」

 やはりそうだ、あの時俺は二人から写真を見せてもらった事が在る。

 あの時の写真に写っていた写真に、彼女が映っていた。

 待てよ…そう言う事は…

「レベッカ…君、歳は?」

「?私は今年で29歳ですけど?」

「!!!」

 この外見で!?29歳!?ウソだろ…少なくとも10代後半かと…

 彼女はキョットンとしている。

 幼い顔立ちのせいか、彼女を幼く見えてしまう。

「いや…なんでもない」

「そうですか?」

「それより、先ほどの爆発は?」

「ああ、これです」

 レベッカは火薬瓶らしい物を取り出した。

「火薬瓶だよな?これどうしたんだ?」

「さっきそこで作ったんです」

 俺は素直に関心していた。

 とっさにこんな物を作れる彼女の能力に。

「さすがは、スターズと言った所か…」

「そうですか?」

 彼女とそんな事を話していると、俺の通信機から声が聞こえてくる。

『こちらHQ!代表!応答してください!』

「こちらベルトウェイ!聞こえているぞ!」

『代表!現状況を教えてください!』

 俺はHQに今ここで起きた出来事を簡単に説明した。

「…という所だ。何が起きたか調べてくれるか?」

『了解です!すぐに調べます!後、そちらに部隊を差し向けます!』

「頼む!」

 そう言うと俺は通信機を切って、改めてレベッカの方に向いた。

「俺は列車の先頭に急ぐが、君はどうする?」

「私も行きます」

 そう言うレベッカの表情は完全に覚悟を決めていた。

 俺はそれを理解すると腰に持っていた、ハンドガンを一つレベッカに渡した。

「これを持っていろ。あると無いとでは、大きく違う」

「ありがとうございます。でも、あなたは」

「俺の分はここにあるから安心しろ」

 俺は腰につけているもう一つのハンドガンを見せた。

 レベッカはそれを見ると、安心してハンドガンを受け取った。

「それと俺の事はベルと呼んでくれ」

「分かりました」

 レベッカはハンドガンを腰につけると、俺の後に付いてきた。

 俺は来た道をゆっくり戻ると、階段を静かに降りて行く。

「そう言えばレベッカはどうしてこの列車に?」

「私ですか?私はこの列車の終着点の町で仲間と合流するために乗っていたんです」

 レベッカはこの状況でもかなり落ち着いている。

 さすがはスターズだろう、昔館での事件を潜りぬけているだけはある。

 俺は階段を下り終えると、ゾンビがいないか確認をした、

 するとレベッカは逆に俺に聞いてきた。

「ベルはどうしてこの列車に?」

「…ある人を探しているんだ。休暇ついでにな」

「ある人?」

「ジル・バレンタイン」

「ジル先輩はどこかに行ってしまったんですか?」

「行方が分からないんだ。BSAAの方では死亡としている。それでも俺はジルが死んだとは思えないんだ」

「信じているですか?」

「ああ、俺はジルを信じてる。あいつはどこかで生きている」

「だったら必ず見つかりますよ」

「だったらいいんだけどな」

 俺はゾンビのいない通路で立ち尽くしていた。

 実際ジルが崖から落ちて生きているはずがない。

 それでも俺は信じていたかった。

「絶望的な可能性だけどな…。それでも生きていてほしいと考えている俺が居るんだ」

「ベルは、ジル先輩の事が好きなんですか?」

 俺は答えなかった。

 

 

 答えたら何かが変わってしまう気がした。

 みんなに失礼な気がした。

 あの時死んだ、俺以外のみんなが何処かで俺を恨んでいるような…

 そんなはずはないのは分かってる。

 死んだ人たちは帰っては来ない。

 俺が謝っても帰ってこないし、過去が変わるわけでもない…

 それでも俺は怖かったんだ…嫌だったんだ…

 また失うことが…誰かが消えてしまうことが…守れない事が…

 分かっていたはずだ…

 

 

 俺は黙って列車の前に進むと、ようやく中間地点まで来ていた。

 途中のゾンビはあらかた倒したが、それでもゾンビは増えて行く。

 どこからか、入ってきているのではないかと想像させられる。

「ここら辺で中間地点と言った所か…」

「後半分ですね」

 レベッカは肩で息をしているのを確認した。

 俺はその場に立ち止まり、少し休憩をすることにした。

「ここら辺で休憩をしよう」

「私はまだ行けます!」

「無理をするな、俺も少し疲れたしな」

 そう言うとレベッカは、黙ってその場に座り込んだ。

 俺は窓の外を見つめていると、外は大雨が降り続いていた。

 雷が落ちたりと、外は大忙しだ。

 そんな中、いきなり列車が動き出した。

 俺達は立ち上がると、少し体制を崩した。

「列車が動き出した?」




 BSAA北米支部にて…
 BSAA北米支部では今大忙しで部隊の編成が組まれていた。
 俺はそれを見ながら、自分自身も準備に追われていた。
「全員急げ!」
「何かあったのか?」
「列車が動き出した!後、列車の終着駅のある町でバイオハザードが起きた!」
「なんだって…」
 事態は限りなく悪い方へ進んで行った。


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怖かった

ジルを失う事で、1人孤独に戦う事に拍車をかけたベルトウェイ
レベッカとの出会いが彼の運命を変えるとは知らずに…


 怖かったんだ…

 みんなが死んでいく状況が…

 そんな人たちが俺を恨んでいるんじゃないかって…

 夢に出て来て、俺を殺そうとする…

 追いかけてくる…殺そうとする…

 やめてくれ!

 俺は戦っている理由が分からなくなっていたんだ。

 

 

 列車はゆっくりとではあるが、確かにスピードが上がって行く。

 止まっていた列車が突然走り出しただけでも不可解なのに、その上先ほどからゾンビの数が増えているような気がする。

「ゾンビはどうやってこの列車に入ってきているんでしょうか?」

「このままここに居ては危ない。少し後ろに下がるぞ!」

 レベッカは黙って頷くと、俺達はゆっくり後ろの車両に下がって行く。

 ゾンビは前の方から歩いてくる。

 この車両に人が多く乗っていたとしても、これだけのゾンビが居るのはあまりにも不可解だ。

 ハンドガンでゾンビの頭を撃ち抜いていると、前の座席からなにかがはいずりまわってくる音が聞こえてくる。

「何か音が聞こえませんか?」

「確かに何か聞こえるな…何かが来る?」

 俺は周囲を確認するが、ゾンビ以外に発見することはできない。

 二つほど車両を移動した時だった、窓を割って入ってくる何かを発見した。

 何かは天井に張り付くと、ようやく俺はそれを確認出来た。

「リッカー…こんな奴が自然発生するわけがない」

「じゃあ…今回のバイオハザードは」

「誰かが意図的に起こした可能性がある」

 リッカーは天井に張り付きながら、俺達を敵として捕らえていた。

 リッカーの舌が俺に向かって伸びてくる。

 俺達はその攻撃を回避すると、リッカーに向けて銃の引き金を引く。

 しかしリッカーはその攻撃すら回避して見せると、リッカーは俺達の後ろに回り込んだ。

 リッカーは再び俺達に向かって走ってくる。

 リッカーの爪が俺に向かって走ってくると、俺はしゃがんで攻撃を回避した。

「は、早い」

 リッカーは床に着地したと思うと、恐ろしい速さで走ってくる。

 リッカーの攻撃はレベッカを捕えていた。

 リッカーの爪はレベッカを切り裂こうとした時、俺は自然とレベッカの盾になっていた。

「ベルさん!」

 俺の背中から血が噴き出すと、俺はレベッカに向かって倒れ込んだ。

 

 

 失うことが怖かったんだ…

 また俺の目の前から誰かが消えてしまう事が…

 だから遠ざけた…

 エイダを…ジルを…

 みんなを…

 誰かに愛されることが…誰かから親しまれることが…

 途方もなく怖かった…

 俺は強くなんてない…

 俺は…弱い…生き物だ…

 

 

 リッカーはまたしてもレベッカに向かって走って行くと、レベッカはハンドガンの引き金を引くが、攻撃は当たらない。

 リッカーの攻撃が当たる瞬間に、リッカーの頭にハンドガンの弾が撃ち込まれた。

 リッカーの頭を吹き飛ばしたのは、俺のハンドガンだ。

 俺はレベッカの体の隙間からリッカーの頭を狙った。

「だ、大丈夫なんですか?」

「ああ、大丈夫だ」

 俺の背中の傷は完全に塞がっていて、そこに傷が在ったとは思えないほどだ。

 それはレベッカの表情から読み取れるし、現に俺は全然痛くない。

「どうなってるんですか?」

「……」

 俺は聞かれた事に、黙っている事しか出来なかった。

 レベッカも何かを感ずいたようで、それ以上は聞いてこない。

 ゾンビをあらかた片付けると、俺達は改めて列車の前に進んで行く。

 ゾンビをあらかた倒したと言っても、ゾンビの叫び声がまだ聞こえてくる。

 やはりこのゾンビの量はどう考えてもおかしい。

 俺が乗っていた時はそんなに人が乗っていたとは見えなかった。

「外は嵐、中は化物…絶望的だな…それに通信機も壊れてつながらない」

「応援はまだ来ないんですか?」

「準備をしてここまで来るのに時間はかなり掛かるな」

 どのみちこの列車を止めなければいけないのは事実だ。

 それに気のせいかもしれないが、列車のスピードが上がっている気がする。

「この列車、スピードが上がってませんか?」

「そんな気がするな」

 外に写っている森が徐々に目で追えなくなる。

 確実にこの列車の速度は速くなっている。

 早めに前に進んだ方が良さそうだな。

「レベッカ、前に急ぐぞ」

「はい」

 俺達は少し走りながらも、前へ急いでいく。

 

 

 後3個で一番前の車両に付くという所で、俺達はゾンビの群れに囲まれていた。

 どこから入って来たのかは分からないが、俺達以外に生存者いない確率があまりにも高い。

「やばいぞ、このスピードで突っ込めば…町は」

「大変な事になります」

 列車のスピードは確実に早くなって行く、すでに危険な速度まで達している。

 俺達は確実に焦っているが、だからと言って何か状況が好転するわけでもない。

 それでも着実に事態は悪い方へ進んで行く。

「こっちだ!」

 俺はレベッカを連れて隣の部屋に入ると、窓から列車の一番上を目指した。

 俺が先に上がると、下にいたレベッカに手を伸ばした。

 レベッカも同じように上をたどり着くと、ゾンビたちは窓から飛び出している。

「気にするな」

「はい…」

 こうなった以上、俺達はこの列車を止める事しかできない。

 もしこの列車が町に突っ込めば、最悪の状況になる。

 まさしくラクーンシティの再現になるだろう。

「まだまだ先だな」

「そうみたいですね」

 雨風に耐えながらゆっくりとではあるが先に進んで行く。

 通信機もこの嵐のせいか、先ほどからつながらない。

 いつまでもハンドガンの弾があるわけでもない。

 だからと言って、諦めるわけにもいかない。

「レベッカ…大丈夫か?」

「はい、慣れてますから」

 そう言うレベッカの表情は確かにどこか慣れてそうな気がする。

 俺はそれを確認すると、黙って前へ進みだした。

 もう一つ越えれば、一番前にたどり着くと言うときに、俺の足元から何かが現れた。

「レベッカ!」

 俺達の足元が崩壊していき、自然と俺達を列車内に戻してくれた。

 俺達は転がりながら、態勢を整える。

 するとそこに居たのは、サソリの姿をした化物だ。

 かなり大きく、二階建ての列車の中を窮屈そうに歩いている。

「虫はあんまり好きじゃないんだけどな」

「来ます!」

 俺はアサルトライフルを構えると、サソリに向けて引き金を引いた。

 しかし、弾はサソリの腕に当たると跳ねてしまった。

「弾が通用しない!?」

「そのようですね」

 サソリは尻尾で俺達に向かって攻撃を仕掛けてくる。

 俺達はそれを紙一重で回避すると、サソリの頭めがけて引き金を引いた。

 サソリはそれを腕でガードすると、後ろに下がって行く。

「腕が硬くて中々攻撃が通らない」

「それを掻い潜って攻撃しないと」

 サソリはある程度下がると、尻尾での攻撃をする為に態勢を整えた。

 溜めるように態勢を低くしていると、サソリは一気に走ってきた。

 俺の目の前に尻尾が突き刺さると、床に大きな穴が開いてしまう。

 俺は穴に落ちてしまい、レベッカと俺は離れ離れになってしまった。

「レベッカ!大丈夫か!?」

「はい!」

 そうしていると、サソリは俺を標的に捕えたようで、俺に向かって近づいてきた。

 穴から落ちてくると、腕を使って攻撃を仕掛けてきた。

 左右から順序良く攻撃が来るので、俺はそれを回避しながらちょっとずつ下がって行く。

 アサルトライフルの攻撃は、サソリの腕に当たるだけで致命的な攻撃にはならない。

「今そっちに行きます!」

 レベッカは穴から降りようとするが、サソリは尻尾を使ってそれを妨害する。

 レベッカはどうするか考えていると、部屋の奥に消えて行った。

 俺の方はと言えば、先ほどからサソリの攻撃を回避する事しかできない。

 アサルトライフルの攻撃が通用しないので、攻撃の殆どを封じられたと言っても過言でない。

「どうする…どうする」

 頭で考えていると、サソリの後ろからレベッカが現れた。

「後ろから私が攻撃します!」

「頼む!」

 後ろと前から同時に攻撃を加えて行くと、サソリは徐々に防戦一方になって行く。

 その時、サソリは壁を突き破り列車の上へ逃げて行く。

「追いましょう!」

「ああ」

 俺達は奥の階段を使って二階に上がると、そのまま窓から二階を目指した。

 外に出ると、サソリは一番奥で俺達を待ち構えていた。

 サソリにちょっとずつ近づいて行くと、サソリはいきなり襲い掛かってきた。

 尻尾を使った攻撃を何とか回避すると、俺はアサルトライフルを使って攻撃を加える。

 アサルトライフルの攻撃が頭に当たると、サソリは少し怯んでしまう。

「こいつの弱点は頭か」

「でも、こいつの腕が邪魔で中々当たらないですね」

 俺達はサソリの頭めがけて攻撃を続ける。

 腕にガードされるとはいえ、すべての攻撃を回避し続ける事は出来ない。

 少しづつ攻撃がサソリの頭を直撃していく。

 サソリは一か八かの賭けにでたようで、尻尾を使って俺達に襲い掛かってきた。

 ガードも無に、一心不乱に攻撃を続ける。

 その攻撃は既にどこに当たるか分からない。

 尻尾の攻撃は先程から床を突き抜けたり、天に向かって攻撃を加えようとする。

 俺達に向かって薙ぎ払おうとする。

「これなら」

 俺はアサルトライフルを構えると、落ち着いてサソリの頭めがけて引き金を引いた。

 サソリの頭に弾が当たると、サソリは尻尾を床に叩きつけると列車から落ちていった。

「何とかなりましたね」

「だな、早く列車を止めよう」

「はい!」

 俺達は先程開いた穴から運転席に入ると、ブレーキを引こうとする。

「無い!ブレーキが!」

「さっきの攻撃でブレーキが壊れたんですよ!」

 ブレーキが在った場所には既に壊れた機械が火花を出している。

 俺は他の停止する手段を探している。

「!そうだ!緊急停止ボタンがあるはずだ!」

 俺は周囲を確認していると、赤いボタンを発見した。

 俺はそれを思いっきり押した。




 死にたくない!
「来るな!!」
 銃を使って攻撃を繰り返しても、ゾンビの群れは一向に減らない。
 駅の中で戦っているが、すでに仲間である警察も全滅してしまった。
「くるんじぇねえ!!」
 すると、奥から列車が突っ込んできた。
 俺の目の前に列車が突っ込むと駅がめちゃくちゃになってしまう。
 そして俺の向かって列車の車体で倒れてくる。


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ウロボロス

 レベッカと共に戦う事で、昔の事を少しずつ思い出していく
 彼のトラウマに気づいた女性が彼に接触する


 レベッカを庇う態勢から俺は物を退けて立ち上がると、レベッカも同じように立ち上がった。

 列車は完全に横になっていて、俺は瓦礫を避けながら出入り口を目指して歩いて行く。

 完全に出入り口が上になっている為、俺は先に上がって出るとレベッカを引き上げた。

 レベッカと共に電車から飛び降りると、壊れた駅の中を歩いて行く。

 電車が駅に突っ込んでいる為、駅のホームがめちゃくちゃだ。

「なんてこと…」

「クソ!止められなかった」

 駅の中を進んで行き、駅の外に出た俺達はその光景に驚いた。

 町の中はどこも煙で包まれており、あちらこちらから血の匂いがやってくる。

「何が…」

 レベッカは驚きを隠せ無いようで、唖然としている。

 俺も同じような感じで眺めている。

 確かに俺達は突っ込んだところでこうはならないはずだ。

 少なくとも数分でこうはならないはずだ。

「なんでこんな事に…誰が」

 そこまで言った所で、俺は1人の男が頭に浮かんだ。

 バロク・シン

 なぜだかわからないが、俺はあいつの顔を思い出していた。

「どうしたんですか?」

「なんでもない。それより、君の仲間の所に先に行こう」

「いいんですか?」

「ああ、仲間が来るまで時間があるし、君の仲間の事も心配だ」

 そう言うとレベッカは町の中を移動を始めた。

「君の仲間はどこに居るんだ?」

「工場で待ち合わせをする事になっています」

「そこまで行くか…」

「どうしました?」

「先に銃の補給を済ませていいか?」

「はい」

 そう言うと俺達は先に近くの銃店を目指して歩き出した。

 大きな通りではすでに銃の音は聞こえないし、この町ではすでに戦う人はあまりいない。

 車から火が噴き、ゾンビが死体を喰う音が周りに響く。

「まるでラクーンシティの再来だな」

「ひどい…誰が…こんな事に」

 大通りをゆっくり歩いて行くと、ゾンビが俺達の前に多く現れる。

 ハンドガンを構えてゾンビの頭目掛けて銃の引き金を引く。

 ゾンビの頭が吹き飛ばしながら、俺はナイフで首を切り裂いて行く。

「これだけのバイオハザードをどうやって…」

「なんでこんな事を…」

 ゾンビが湧いてくるように増えている。

 このまま戦えば俺達がやられるのは、時間の問題だろう。

 俺はどうにかこの状況を打開できる手段を模索していた。

 周囲を確認していると、近くにバーがあることに気づいた。

「レベッカ!こっちだ!」

「は、はい!」

 レベッカを連れてバーの中に入ると、バーに鍵がかかっている事に気づいた。

「クソ!開いてくれ!」

「ゾンビが!」

 鍵を何とか開けようとしていると、突然鍵が開いた。

「!レベッカ!」

 レベッカと共に中に入ると、俺はドアのカギを閉めた。

 レベッカは床に座り込んでいて、完全に疲れていた。

「誰が…鍵を?」

「こんな事をするのは…」

 俺が後ろを振り向くとそこに居たのは…

「お前か…エイダ」

「久しぶりね、ベル」

「お知り合いで?」

「まあな、向こうで話そうか」

「そうしましょうか」

 レベッカから離れて奥に行くと、エイダと改めて話合った。

「どうしてお前がここに居るんだ?」

「お仕事と言えばいいかしら?」

「仕事だ?何の仕事なんだ?」

「バロクを追っているの…」

「あいつはこの町に居るのか?」

「ええ、私の組織のコンピューターにハッキングしてウイルス情報を奪ってくれたわ」

「お前はバロクをどうする気だ?」

「上の人は殺せって」

 そこまで話して俺はどうするべきか考える時間を得た。

 バロクを放っておけばこのあとも面倒な事態になる事は明白だ。

 エイダが他に何かの理由があるかも知れないが、エイダはそんな理由で俺に接触はしないはずだ。

 こいつは少なくとも俺に助けるだけのメリットがあると考えているはずだ。

「他の目的は?」

「今の所はバロクだけよ。信用ならない?」

「…そうなら良いけど、居場所は分かっているんだろうな?」

「ええ、工場の地下で何かの研究をしているっていう情報があるわ」

 工場と言えばさっきレベッカは仲間が工場に居ると言っていた。

 おそらくエイダは列車の中にすでに居たのだろう。

「まさかと思うが、エイダ…列車に乗っていたんじゃないだろうな?」

「ええ、乗っていたわよ…」

 エイダはおれにずっとついて来ていたのだ。

 俺達の戦いが不利になれば出てくるつもりだったのだろう。

「私は先に工場に行っているから」

 そう言うとエイダは闇の中に消えて行った。

 俺はレベッカの元に戻ると、改めてレベッカと共に工場跡を目指すことにした。

「工場に行こうか?」

「彼女は?」

「先に工場に行ってるってさ」

 そう言うと俺は先に進んで行く、バーの中を進みながらゾンビがいないか確認する。

 俺にはなぜエイダが現れたのか分からなかったが、それはすぐにでも分かってしまう。

 俺が向かい合い、見つめるべき相手が誰なのか。

 俺が戦うべき相手が誰なのかを決める時が来ているのだとは、この時の俺は知らなかった。

 

 

 

 階段を上って行き、屋上に上がっていると俺達は工場がどこにあるのかを把握した。

 屋上から屋上へと移動していくと、工場の方へ確実に移動している。

 工場はここからそんなに離れていない、工場と反対の位置に大きなビルが多く点在している。

「ここから真直ぐ行けば、工場に行けるはずだ」

「はい。それにしても予想以上に数が多いですね」

「全くだな。いい加減襲ってきても意味が無いとが苦渋できない者かね」

「その通りですね。本当に疲れてきました」

 レベッカと共に天井に付いている、屋根を伝っていると下にはゾンビが多く徘徊している。

 みんな俺達を喰おうと集まっていて、俺達に手を伸ばしている。

「気持ち悪い光景だな。嫌気がさしてくる。」

「早めに行かないと、ここも危ない」

 天井を進んで行くと、ようやく俺達はもう少しで工場にたどり着こうとしていた。

 屋外でようやく俺達は進んで行くと、階段をゆっくり降りて行く。

 カタンカタンと言う音が周りに響いて行く、階段を下りる先にはゾンビはいない。

 階段を降り切ってしまうと、大きな通りに出て行く。

「この道を真直ぐ進んで行けば、工場にたどり着くはずだ」

 大きな通りではゾンビが人を喰う音だけが聞こえてくる。

 俺達はそんな姿をただ見る事しか出来なかった。

 レベッカも同じようにただその姿を見つめていた。

 小走りではあるが、真直ぐ工場に向かっていく。

「さっき手に入れた情報によれば、このバイオテロを引き起こした犯人が工場に居る可能性が出てきたんだ」

「工場にですか!?」

「ああ、君の仲間も心配だ。」

 工場まで後少しという所で、俺達の目の前に何かが妨害してきた。

 それは黒い何かが巻き付いていて、人の形をしていた。

「なんなんだ!?」

「こんなの見たことがありません?」

「今までこいつの情報は無い!」

 くねくね動きながらも、俺達との距離を確かに埋めていく。

 よく見ると、体の黒い何かの中に光るものを見つけた。

「あれが弱点ぽいな」

「でも結構細かく動くから、中々当たらない!」

「場所も悪いな」

 周囲からちょっとずつゾンビが集まってくる。

 このまま工場に走ったほうが良さそうだ。

「レベッカ!走るぞ!」

「はい!」

 俺達は工場に向かって走って行く。

 

 

 

 工場が多く並んでいる中を走って行く。

 後ろからは先程の化物が、走っている。

 俺達は途中で立ち止まると、周囲にゾンビがいない事を確認した。

「ここならだれにも邪魔されずに戦えるな」

「ええ、ここなら大丈夫そうです」

 俺達は銃を持つと、化物に向けた。

 化物はゆらゆらしながら俺達との距離を詰めていく。

 俺達はそれぞれ化物から離れると、化物の体に弾を撃ちこむ。

「化物の体にある光っている場所を攻撃しろ!」

「分かってます!」

 しかし、俺達の攻撃は中々化物の弱点に当たらない。

 レベッカはマシンガンで攻撃しているが、こちらも中々当たらない。

 化物は俺に近づくと、腕を振って攻撃をしてきた。

 俺はその攻撃を頭を下げて避けると、走って距離を取る。

「意外と厄介だな」

 ハンドガンで狙いを付けようとするが、体が良く動くせいで中々当たらない。

 後ろに下がりながらハンドガンの弾を撃ちこんでいく。

 俺はいよいよ追い詰められていて、工場の壁に背をつけていた。

 化物はそんな俺に向かって腕を伸ばして攻撃を仕掛けてきた。

 しゃがんで避けると、もう一つの腕が俺の背中を直撃した。

「ぐっ!」

 俺は大きく吹き飛んでしまうと、レベッカは何とか援護しようとしていた。

 しかし、中々弱点に当たらない。

 化物は倒れた俺にとどめを刺そうとして来た。

 攻撃をしようとした化物の体が徐々に崩れて行く。

 化物を倒したのはレベッカだった。

「助かったよ」

「大丈夫ですか?」

「ああ、しかしどうやって?」

「ナイフで刺したんです。化物はあなたを狙っていたので、刺しやすかったので」

「そうか…助かったよ」

 俺は立ち上がると、化物の方を向いた。

 これもバロクが裏で暗躍をしているせいだろうか?

 どのみちこの先に行けば、何かが分かるはずだ。

 俺達は工場の入り口に向かって歩いて行く。

 この先で俺自身と向き合う戦いをしなければいけない事をまだ知らない。

 そして“NTウイルス”というウイルスの進化の果てを知ることに…




 画面に映っている映像ではウロボロスが撃破された所だった。
「こんなものか」
 もう一つの映像にはテラセイブのメンバーがやられていく様子が映っている。
「そろそろウロボロスウイルスを試す時か…」
 そろそろ計画を実行に移す時が来た…


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焦り

レベッカと共に工場の中に入って行くベルトウェイ
工場で意外な名前を目にする


 分かっていた、知っていたはずだった…

 答えなんてすでにあることに…

 それでも見えないふりをしていたんだ…

 分からないふりをしていたんだ…

 そうやって逃げていたんだ…

 あの頃に、失ってしまった大切なモノが在ったから…

 

 

 工場の入り口に向かって走って行くと、奥の方で戦闘音が聞こえてくる。

 銃撃と爆発音が混じって聞こえてくると、俺達は嫌な想像をしてしまう。

「まさか…みんな!」

 レベッカが走って行くと、俺も同じように戦いの渦中に向かう。

 何人かの人達がリッカーの群れと戦っていた。

「みんな!」

「レベッカか?」

 俺が走って行くと、リッカーに向かってハンドガンの引き金を引いた。

 ここは列車のように狭くないので、戦いやすい。

 リッカーの頭を吹き飛ばすと、更にテラセイブのメンバーに襲うとしていたもう一匹のリッカーにナイフを投げた。

 リッカーの頭にナイフが突き刺さると、リッカーは黙ってどの場に倒れ込んだ。

「これで全部か?」

 俺は周りを見回すと、リッカーは先程で最後だったらしい。

 俺はそれを確認すると、俺はそこにクレアがいないか確認していた。

 しかし、そこにクレアはいない。

 レベッカも同じように誰かを探しているようで、先ほどから周囲を見回している。

「ビリー?クレア?」

「ビリーとクレアならさっきこの工場の奥に人影を見つけたと言ってこの先に…」

「クレアがこの先に!?」

 俺は工場の中に向かって走って行く。

 レベッカも同じように走って行くと、俺達は工場の中に入っていた。

「クレア!どこだ!?」

「ビリー!クレア!」

 俺達は大きな声で叫びながら奥に進んで行く。

 工場の中には、すでに誰もいない。

 俺達は戦う準備だけを整えて、工場の中を進んで行く。

 工場はそれなりに複雑になっていて、入り口の方には誰もいない事を確認した。

「もっと奥の方に進んだようだな」

 ゾンビの気配があちらこちらから窺える。

 俺達は工場一階を進んで行くと、大きな空間出てきた。

 中ではいまだに機械が動いていて、その周辺をゾンビが徘徊している。

 上にも筒抜けになっていて、上では通路がいくつもつながっていた。

「どこだ?クレア…」

 俺は少し焦っていると、レベッカが横から話しかけていた。

「少し落ち着きましょう…焦っていても見つかるわけじゃないです。それにビリーやクレアも戦えます」

 分かっているんだが、それでも俺は焦っていた。

 あの時の…ジョージ達がゾンビになったような…

「どうしたんですか?なんか様子がおかしいですよ」

 みんなが失われていく事を…思い出してしまった。

 レベッカはあくまでもマイペースに進んで行き、俺は少し焦りながら先に進んで行った。

 ゾンビの頭を吹き飛ばしながらも、クレア達を探していく。

 一階をあらかた探し終えると、今度は地下に進むために階段を探していた。

 しかし、一階には上に上がる為の階段しかない事に気づいた。

「仕方が無いですね、上に上がってみましょう」

 そう言いながら、俺達は階段を上って行った。

 上は一階とは違いこれといって機械が並んでいるわけではない。

 その変わり休憩室などが並んでいる。

 通路を真直ぐ進んで行くと、ロッカールームと書かれた部屋から物音が聞こえてくる。

 ロッカールームの中に入ると、そこにはトランプがテーブルの上に散乱している。

 ロッカーが壁に沿うように並んでいて、テーブルの奥で何かが動いた。

 俺がそこに行くと、そこに居るのはここの従業員らしい男がそこに居た。

 その男は既に息を引き取っていて、頭を撃ち抜かれている。

「ここのビリー達が来ていたっと言う事でしょうか?」

「多分な…」

 しかし、先ほどの物音の正体はなんだ?

 天井や周囲を確認するが、物音の正体らしいモノは見当たらない。

「さっきの音はなんだ?」

 ハンドガンを構えると、ロッカーから何かが動く音が聞こえてくる。

 ロッカーをそっと開けると、中から出てきたのはゾンビだった。

 しかも生きていて、俺の上に乗っかる態勢になってしまった。

 俺はナイフを抜くと、ゾンビの首に突き刺した。

 ゾンビの首から血が大量に噴き出すと、俺はゾンビを蹴り飛ばした。

「なんだ…ゾンビか…」

 先ほど吹き飛ばしたゾンビの服から何か書類のような物が出てきた。

 俺はそれを拾うと、中身を読み始めた。

『ウェスカー様とエクセラ様が地下研究所に立ち寄った。どうやらバロク様に用があるようだ。我々には何にも情報が行かないのは当たり前か…。どうやら例の新型ウイルスに関する内容を聞きに来たようだ。バロク様が持ってきたプラーガを引き取りにも来たようだが、肝心のバロク様はプラーガに興味が無いようだ。』

 俺はそこに意外な名前を見ていた。

「ウェスカー?エクセラ?」

 エクセラって、エクセラ・ギオネの事か?

 あのトライセルのアフリカ支店の社長だったはずだ。

 それにウェスカーがここに訪れていて、しかもバロクと組んでいる。

『リカルド・アーヴィング様も訪れた。何かを話し合っていたようで、帰り際に大きなケースを持っていた。後で分かった事はそれはどうやらBOWの保管庫の場所を書かれた書類だったようだ。リカルド様はBOWの市場に売り出している商人らしい。俺達が言っても聞かないし、逆に始末されるだけだ。明日にはどうなるか分からない』

 ここで書類の中身は終わっている。

 俺はリカルドという男の事は分からないが、この男を捕まえる事はBSAAの仕事だ。

 ウェスカーも捕まえなければいけない。

「ここで何かが始まろうとしている?」

 俺は書類をポーチを入れると、ロッカールームから出て行った。

 また長い廊下を進んで行くと、俺達は先程の広い空間に出た。

 目の前にあるマス目上になっている、通路を進んで行く。

 すると上から何か大きな何かが居る事に気づいた。

「なんだ!?」

 そこに居たのは、虫の姿をした化物だった。

 そいつは天井に張り付いていると、俺達の目の前に降りてきた。

 しかし、俺が釘付けになったのは虫ではなく、その周辺に在った卵だった。

「卵?」

「こいつの卵か!?」

 二個の卵から先ほどの虫が生まれてしまった。

 俺の前に二匹、レベッカの前に一匹。

 俺達は完全に囲まれてしまう形になってしまった。

「こんな時に!」

 俺の焦りは更に進んでいて、俺のその様子をレベッカは驚きながら見ていた。

 

 

 

 焦っていた、焦らなくてはいけなかった…

 みんなを守ると決めた時から…

 それでも、俺は誰も守れなかった…

 1人で何もかもを解決しようとしてきた…

 誰も失いたくは無かったから…

 大切な友を愛する人を…

 今は既にいない…

 全部アンブレラに奪われてしまった…

 あの時、あの場所で…

 0からのスタートした時から…

 

 

 

 虫はスピードこそないが、鎌の攻撃力はかなりのものだ。

 先ほどから周辺の物体が切られていく。

「レベッカ!俺から離れるな!」

「えっ?あ、はい!」

 レベッカは俺の傍によると、俺は虫を三体相手にすることになる。

 ハンドガンの攻撃も当たるが、致命傷にはならない。

 そんな戦いが俺に焦りを進めて行く。

 そんな時、レベッカが俺に大きな声で叫んだ。

「落ち着きましょう!焦っても状況は変化しませんよ!」

「分かってる!」

 そんな時でも、レベッカは落ち着いていて、俺と共に戦っていた。

 俺はハンドガンの弾をリロードすると、化物にハンドガンを撃った。

 俺の焦りが頂点に達しようとした時、俺の目の前に閃光手榴弾が投げ込まれた。

「!なんだ!?」

「今よ!撃って!」

 俺は謎の指示の通りに撃った。

 虫は一匹、また一匹と死んでいく。

 すべての虫が死ぬと俺は閃光手榴弾が投げ込まれた方に向いた。

 そこに居たのはエイダだった。

「待っていたわよ」

「エイダ…助かった」

 レベッカはその女性を見つめていたが、その後ろに立っていた人たちを見るとそっちに走って行った。

「クレア!ビリー!」

「レベッカ!」

 クレアもどうやら無事の様で、うまく再開できた。

「どうしていたんだ?」

「工場の中に入ったんだけど、あなたとは連絡できないし、工場の中を移動していると彼らに出会ったの。どうやら工場の中に居る人達を救おうとしていたみたいでね」

「それで行動していたってわけか?」

「ええ、近くで戦闘音が聞こえてきたからあなた達かなって思ってね」

 エイダは不思議そうな、それでいて何か納得したという顔をしていた。

 俺は首をかしげていると、クレアが近づいてきた。

「ベルさん!大丈夫?」

「ああ、大丈夫だよ、クレア」

「でも、なんか…辛そう」

「…大丈夫」

 クレアの大丈夫な表情を見ると、俺は少し安心していた。

 俺は改めて自分の任務に集中することにした。

「エイダ、バロクはどこにいるんだ?」

「この工場の地下研究所に居るはずよ」

 そう言われると、レベッカは不思議そうな顔をしていた。

「でも、この工場には地下に移動すための階段なんて…」

「2階からのエレベーターが設置されてるの」

 そう言うとエイダはそのエレベーターに移動しようとしていた。

 俺はレベッカの方を見る。

「レベッカ、ありがとう!君は仲間の所に帰るんだ。これ以上は俺の任務だ。」

 俺がそう言って振り返ると、レベッカは俺の服の裾を掴んだ。

「私も付いて行きます!」

「しかし…」

「私も…」

「俺もだ」

 どうやら3人とも覚悟を決めているようで、ここから引き返すつもりはないらしい。

 俺は少しため息を吐くと、3人の同行を許可した。

「ついて来てもいいけど、危険だと判断したら引き返すんだぞ?」

「分かりました」

 俺達はエイダの行く道に付いて行く。




「こちらクリス!パーカー!聞こえるか?」
『ああ、こっちはアメリカからのエージェントと一緒だぜ!』
「アメリカのエージェント?」
『こちらレオンだ!』
「レオン!お前か?」
『ああ、大統領からの支援だ』
「頼む!」
『分かってる。それよりそっちの代表は?』
「どうやらこの先の工場の方に移動したらしい」
『じゃあ、そこで待ち合わせしよう!』
「そうしよう!」


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all of us walk together story

 俺が、俺自身がちゃんとみんなと見れるようになれる…
 何が大切なのか、何を守りたかったのか…
 俺がどうしてこの道を選んだのか…
 これは…俺がみんなと歩む…物語…


 エレベーターを降りると、俺達は一本道を真直ぐ進むように歩いて行く。

 左右にはドアさえ無い事が分かる。

 エイダは俺達の前を淡々と歩いて行くと、後ろでは三人が話している。

 俺は1人みんなから離れて歩いている。

 大きな曲り道に差し掛かると、エイダは真直ぐ道を進もうとしていた。

 その時、俺達の上にある天井が崩れ始めた。

 俺はレベッカと一緒に曲がり角を右に曲がる。

 俺達が立っていた場所には既に瓦礫で埋もれている。

「みんな大丈夫か!?」

「こっちは大丈夫よ」

 エイダの声が聞こえてくると、もう一組の声も聞こえてくる。

「こっちも!」

 クレアの声も聞こえてくると、俺は少し安心していた。

「この先で合流しましょう」

「了解だ」

「分かりました」

 そう言う言葉を掛けあうと、俺達はそれぞれの道を進み始めた。

 俺はレベッカと共に道を真直ぐ進んで行く。

 無言でただただ進んで行くと、奥の方からゾンビの群れが現れた。

「こんな時に…」

 俺達はハンドガンを構えると、真直ぐ道を進み始めた。

 ゾンビの頭を吹き飛ばし、ナイフで首を切る。

 ただただこの作業を続けると、ゾンビをあらかた倒し終えた。

 ゾンビで埋め尽くされた道を進んで行くと、レベッカが不意に話始めた。

「聞いてもいいですか?」

「どうぞ」

 俺はレベッカの方を見ないでそう言いかえすと、レベッカは俺の心を見透かすように話始めた。

「何が怖いんですか?」

 その言葉は俺自身を揺さぶるには十分な言葉だった。

「…別に」

 それしか返せない俺自身がとっても歯がゆい。

「あなたと行動していて思ったんです。あなたは何かを恐れているんじゃないかって…。私個人の感想みたいなものですけど。なんか、あなたは死に逃げているように感じるんです。でも!あなたの死なんて結末は誰も望んでないと思うんです!」

「俺を恨んでいるに人がいたとしてもか?」

「人なんですから当たり前です!恨まれるのも!親しまれるのも!そうやって人は成長していくんですから!でも、あなたはどこかでそれを全て恐れているんです!」

 他人を恐れて生きていく。

「他の人との関わりを避けて生きているように感じるんです。人から来るすべての思いを自分には関係が無いと思い込んで!愛情も友情も全て気のせいだって思ってるんじゃないですか!?」

 

 

 

 その通りだ…俺は怖かったんだ。

 ジョージがゾンビになっていた時、彼らが殺した俺を恨んでいるんじゃないかって。

 そう思うと、たまらなく怖かったんだ。

 だから俺は、1人で戦って1人で死ぬ事を望んだ。

 誰も迷惑を掛けない死に方を望んだ。

 でも、みんなが俺に優しくしてくれる。

 そんな状況にどこか満足をしてしまっていたんだ。

 俺にはそんな事をしてもらう資格なんてないのに…

 だから逃げたんだ…全部気のせいだって思い込んで…

 レオンやクリスたちの友情を無視して…

 ジルやエイダから来る愛情を無視して…

 そうやって逃げてきた…

 

 

 

「でも、それって無責任ですよ!他人が優しくしてもらってるのに!それを全て気のせいだって思い込むなんて!それに、あなたに恋した女性はどうなるんですか?あなたを好きだと思っている女性はどうなるんですか?一方的に助けて、それでも気のせいだって思い込むなんて…。それじゃあ辛いだけです…」

 レベッカの表情は辛そうな、悲しそうな顔をしていた。

 俺の為にここまで思ってくれていたなんて、俺自身が逃げ続けてきた真実…

 それをレベッカが俺に告げてくれた。

 彼らを隠れ蓑にして、そうやって彼らに責任を押し付けて俺は逃げてきた。

 無責任な行動をしていたと思う。

「ありがとう」

 俺はレベッカにお礼を言っていた。

 気が付くと俺達は曲がり角に立っていて、右に曲がればおそらくクレア達に合流できるだろう。

 しかし、俺はここで左に行かなくてはいけない。

 この先にバロクが待っているだろう。

「君はクレアと合流しろ。俺はこの先に行かなくては行かない」

「でも…」

 レベッカは俺を心配してくれている、それが今は本当にうれしかった。

「大丈夫だ。それに1人じゃない…。それが分かった」

 俺はレベッカに背を向けると、走り始めた。

 

 

 大きな通りを走って行くと、道の途中でエイダが待っていた。

「エイダ…お前は…」

「行きましょうか」

 俺達は黙って道を進んで行く、俺達の道は今でも交わっているだろうか?

「エイダ…俺は…」

「言わなくてもいいわ。あなたが何を言いたいのかは分かるから」

 エイダの表情は読めないが、少なくとも悲しんではいない。

「そもそも、私達の恋はかなわない事は分かっていたから。私達の道を自ら選んで進んだのだから」

「すまない。俺は多分…」

「だからね。私は時々こうして一緒に居るだけでいいのよ」

 俺達の道はかつて俺達自身が決めて道で、こうなる事を覚悟で進んだのだから。

 俺がバイオテロと戦う道を選んだように、エイダがスパイとしても道を選んだように。

 俺達が恋して、愛し合う事は無いだろう。

 それを俺達は受け入れなくてはいけない。

「私が案内できるのはここまでよ」

 そう言うとエイダは別の道に進んで行こうとしていた。

 その時、エイダは俺に向かって何かを投げた。

 俺はそれを受け取ると、それはUSBメモリーだった。

「それは、ジル・バレンタインの居場所を書いた記録よ。あげるわ」

 そう言うとエイダは闇の中に消えて行った。

 俺はUSBメモリーをポーチの中に入れると、道を真直ぐ進んで行く。

 俺が俺である為に…

 

 通路を真直ぐ進むと、広い空間に出た。

 二階と三階には通路があり、一階には何もないただ広い空間があるだけだ。

 俺が少し前に進むと、三階から声が聞こえてきた。

「久しぶりだね。ベルトウェイ」

「久しぶりだな。バロク」

 三階から声が聞こえてくると、三階にはあのバロクが立っている。

 恐らくバロクの前には防弾ガラスが用意されているはずだ。

「お前はあの頃から何も変わらないな。何を企んでるのか分からないが、これ以上お前を野放しにしておくわけにはいかない」

「君は変わったようだね。彼女と共に歩いていた君とは違うようだ。君に何があったのかはあえて聞かない事にしよう」

 部屋に入る音が聞こえてくると、右の部屋から入って来たのはレベッカとクレアとビリーと呼ばれていた男だ。

 彼女たちは二階にいて俺達のやり取りを見届けている。

 そうしていると二階の左側のドアから入ってくる人がいた。

 それはクリスとレオンとパーカーで、彼らも俺達のやり取りを見届けている。

「あの頃の君なら全て1人でケリを付けようとしていたはずだ。しかし、その結果誰かを巻き込んで、君は傷を作ってしまう。誰かを失う事を恐れて、誰かを遠ざけた」

「俺はすべてを失ってしまった。アンブレラによって、家族を友達を大切な物すら。だからまた失ってしまう事を恐れてしまった。みんなから来る友情も全て無かった事にして生きてきた。でも、彼女が気づかせてくれた…。それは無責任な行為だって事を、これからはみんなと共にバイオテロをこの世界から無くして見せる。ここにいる全員と!」

 俺の周りには二階から降りてきた彼らが居た。

 今度こそ迷わない!今度こそ彼らを見失わない!

 一緒なら生きていける!

 目を瞑ればここにいないすべての人を思い出せる。

 

 ジル、エイダ、レベッカ、クレア、クリス、レオン、パーカー、オブライエン、キース、クエント…そしてあの時死んだジョージ、今はどこに居るのかすら分からない俺の家族…それ以上の人達が思い出せる…これまで会ってきた全ての人達の為にも…。

 何としてバイオテロをこの世界から無くして見せる!

 それまで待っててくれるよな?

 これからの道を真直ぐ進むことが出来る、みんなと一緒に進むことが出来る。

 ゆっくり目を開けると、俺はみんなとバロクを見ていた。

「バロク・シン!バイオテロの重要参考人として拘束させてもらうぞ!」

 俺はバロクの元に行こうとした時、俺達の目の前の床が開き始めた。

「ここで捕まるわけにはいかないのでね」

 床から出てきたのは、謎の化物だった。

 今まで見たことも無い、体からはあらゆる触手が生えていて、体の色は灰色だった。

「まだ未完成なんだがこの際だ、君たちに相手をしてもらおう」

 そう言うとバロクは後ろの通路の中に消えて行った。

 俺達はそれぞれ散開していった、触手が周囲の壁を壊そうとしてくる。

「今まで見たことが無い化物だぞ!」

「“Gウイルス”の変異体と類似点があるが…」

「どの道攻撃しなければ倒せないぞ!」

 ハンドガンやアサルトライフルで相手をしているが、相手は中々死なない。

 どうすればいい…どうすれば…

 俺は腕を見ていると、腕からかすかに俺の血が流れていた。

 俺の血には“NTウイルス”が流れている。

「そうだ!全員俺を援護してくれ!」

「何をするつもりだ!」

「あいつを倒す手段を考え付いた!」

 俺はナイフで俺の腕を軽く切ると、腕から流れる血をナイフに付けた。

 ナイフを構えると、俺は化物に向かって走って行く。

 全員の攻撃が化物の攻撃を防いでいる。

 俺は化物の触手に取りつくと、そのまま頭に向かって走って行く。

 その時、二階のドアからゾンビが俺に向かって飛んできた。

「この状況じゃ!ベルに当たる!」

 俺の体にかぶさろうとした時、ゾンビは闇の中からの攻撃によって吹き飛んだ。

 それがエイダだとはっきり分かる。

 俺は頭にたどり着くと、乾いていない血のついたナイフを化物の頭に突き刺した。

 化物は苦しそうにしていると、体中に黒い斑点が浮かび…死んでいった。

「やったか?」

「どうやらな」

 俺は化物の体の上から指示を出すことにした。

「クリス!」

 俺はクリスに例のUSBメモリーを投げた。

「これは?」

「それは、ジルの居場所を書いてあるUSBメモリーだ!それを持ってクレア達と共にここを脱出しろ!」

「了解!」

「パーカーの部隊はバロクを追え!」

「了解!」

「俺は上に居る部隊の指揮をする!」




 工場から出ると、町中には既に戦う音が聞こえてくる。
 クリスはメモリーの中を確認すると、この場から離れて行った。
 パーカーもバロクを追いかけて行った。
 いつもの俺なら自分一人で行動しただろう。
 しかし、俺はみんなと共に歩く道を選んだ。
 だからこそ、俺は代表として今は戦おう。
 近くに居る兵が俺に向かって走ってくる。
「代表!指示を!」
「北米支部から応援を寄越させろ!各部隊は今の場所のBOWを迎撃!状況が厳しくなった部隊から俺に報告!」
「了解!」
 少しぐらいみんなを頼ってみるか…


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それでも歩む
バロク追跡戦


 アメリカでのバイオテロを鎮圧しつつ、バロクの追跡戦を繰り広げていた
 そしてついにバロクをアフリカのトライセル研究所に追い詰めていた


 バロクの追跡戦が今も続いていて、俺はついにバロクをアフリカの地で追い詰めていた。

 大きな研究所らしき場所まで追い詰めると、パーカーの部隊を先頭に突入させている。

 俺は先程到着して現場の指揮権を受け取っていた。

 先ほどクリスがウェスカーを発見したと報告を受けていた。

 ジルも発見したという報告はまだだが、俺はクリスを信じて今の戦いを進めよう。

 パーカーの報告によると、バロクは研究施設に“Tウイルス”を撒いたようだ。

 外ではアルファーチームやデルターチームがと突入の準備を整えていた。

 俺はというと、俺のパートナーの到着を待っていた。

「エル・ロージン!たった今到着しました!」

 俺が振り返った先には、1人の女性が立っていた。

 背丈はそんなに高くはないが、引き締まった体が彼女を美しく見せていた。

 俺は彼女を見つめると、指示を出した。

「早速だが、俺と共にバロクの追跡戦に参加してもらうぞ」

「はっ!」

 俺はそう言うと研究所に向かって歩き始めた。

 エルはハンドガンを片手に、周囲を警戒しながら歩いていた。

「今はそんなに警戒する必要ない。研究所に入るまでは安全だ」

「は、はい!」

 そうは言っても彼女は緊張が解けないようで、表情が何処か堅い。

 俺はリラックスするように促すと、彼女は深呼吸をして少し落ち着いた。

 俺達は仮設テントからさっさと出ると、兵士の中をかき分けるように研究所を目指した。

 エルは怪我をした兵士を見るたびに、少し吐き気を覚えていた。

 俺からすれば慣れた光景だが、彼女からすれば初めての光景だろう。

「確か、この任務が初めてだったな?」

「は、はい…。こんなにひどいんですか?」

「こんなもんだ。これはまだいい方だ、もっとひどいケースを見たことがある」

「…ひどい」

 怪我をした兵士の中には、足を噛み千切られる人や出血が止まらない人までいた。

 あらかじめワクチンが打たれている為、ゾンビ化した兵士はいない。

 それでもこの惨状が、この先の研究所の悲惨さを訴えるには十分だった。

「初めてなら言うことがある」

「なんですか?」

「生きて帰る事を優先しろ」

「生きて帰るですか?」

「ああ、死ぬことは容易い。しかし、生きて帰って同志を集める事が俺達の仕事だ」

「了解です!」

 そう彼女が敬礼すると、俺は研究所の入り口の前に立っていた。

 俺が中に入ると、1人の兵士が兵を引きずりながら奥から出てきた。

 引きずられている兵は、体中から血を流していた。

 俺達の隣を通り過ぎると、人ごみの中に入って行く。

 すると研究所の中から1人の兵が出てきた。

「ご苦労様です!代表!」

「現状報告!」

「パーカー隊長の部隊が一階の奥で戦闘中です!その他の部隊も戦闘を継続中ですが、ゾンビの数が予想よりも多く、けが人が続出しております!」

「今本部とアフリカ支部から応援を寄越している!それまで耐えろと伝えろ!ヤバくなった部隊から救援を出してやれ!」

 すると奥から1人の兵が血まみれの兵を抱えて現れた。

 エルは少し吐き気を覚えてらしいが、なんとか恐れを耐えている。

「何が在った!?」

「アルファーチームに多くのプラーガ種を相手にしております!とてもではありませんが、手に負えません!」

「近くの部隊を救援に寄越せ!」

 俺の後ろから一つの部隊が現れた。

「デルターチーム!再編成が終わりました!」

「デルターチームは今すぐアルファーチームの救援に急げ!」

「了解です!」

 俺の隣を走るようにデルターチームは去って行った。

 俺達は改めて研究所の中に入ると、奥の方で銃撃音が聞こえてくる。

 エルにとっては初めての戦闘だろう。

「行くぞ。準備は良いか?」

「大丈夫です!」

 俺達は白い廊下を歩いて行くと、奥からゾンビが出てきた。

 エルの持っている銃の手が少し震えていた。

「頭を狙え。少し落ち着いてな。ゾンビは走らない」

「りょ、了解です!」

 しかし、そう言われてできるわけではない。

 こういう事は慣れが必要だろう、少なくとも初めての任務ではそんなものだ。

 最初っから慣れて戦闘できる方がおかしいのだ。

 たとえば俺やジルなんかがそれなのだが。

 何発か撃つとようやくゾンビの頭めがけて弾が叩き込まれた。

 エルは少し安心して見せると、ハンドガンを持っている腕を下に垂らした。

「今の所はこの周辺にはいないようだな」

 俺のガスマスクには“Tウイルス”を検知する装置が備えつけられている。

 これはクエントに俺が直接頼んだものだ。

 要するにジェネシスの改良型だ。

 クエントは嬉々としながらその作業を行っていた。

 俺に渡してきたときのあの表情は少しうざかった。

「エルはどうしてBSAAに参加したんだ?」

 エルは俺に向かって顔を向けると、少し考えて答えた。

「家族がですね…ラクーンシティに居たんです。代表も知っていますよね?」

「当事者だからな」

「そうなんですか?」

「ああ、脱出した人間の一人だ。あそこは地獄だよ」

「…母と父はラクーンシティで死んだんです。私はそれを知って私のような人を出さないようにと入隊したんです」

 ラクーンシティの事件の事は、今や知らない人間はいないだろう。

 テラグリシアパニックで今やBOWとウイルスが原因で起きた事件は公表されている。

 彼女のようにあの町で親しい人を失った者は少なくない。

「代表はラクーンシティでの出来事を経験したからBSAAを作ったんですか?」

「別にそうじゃないさ。俺には夢があるんだ。その夢の為に戦っているだけだ」

「夢ですか?私には今の所無いから…」

「簡単だよ…夢なんてな」

「私にも見つかるでしょうか…夢」

「見つかるさ…。俺にだって見つかったんだ」

「…代表の夢ってなんですか?」

「俺の夢は…みんなと一緒にバイオテロの無い世界を作る事だ」

 俺がそう言うと、エルはそんな俺をただ見つめていた。

 俺はエルの肩に手を置くと、真直ぐ通路を進んで行く。

 エルもその後を付いて行く。

 通路では窓ガラスからその部屋が確認できる。

 部屋の中には、研究装置などが置かれていることが確認できた。

「こんな研究施設って報告に在りましたっけ?」

「無いな。少なくとも俺達BSAAには報告されてないはずだ。それも仕方ないさ、ここはトライセル社研究施設なんだから」

「ここってトライセル社の研究施設なんですか?」

 

 

 トライセル社…俺達BSAAを発足させるのに必要な資金提供をしたのが、製薬企業連盟だった。

 トライセル社は製薬企業連盟に入っているし、その製薬企業連盟の理事を務めている。

 なので基本的に製薬企業連盟は俺達BSAAに対して強い権限を持っている。

 その反面、批判逃れとして作られた組織として出来たので、そこまで強い権力を持っているわけではない。

 しかし、トライセル社がウイルス研究をしているという事実を製薬企業連盟に報告したところ、あっという間に俺達に権限が移って行った。

 今では俺達は国連の公的機関であるため、強くは言えなくなっていた。

 今資金提供をしているのは国連だ。

 ちなみに大きな資金の元では実はアメリカだったりする。

 レオンを通じてアメリカの大統領と直接会談をした時、俺はラクーンシティの事を引き合いに出すと、あっという間に俺達に資金提供をする話になった。

 レオンは知っている事だが、実はラクーンシティの事件を引き起こしたのはアメリカ政府がその原因だったりする。

 俺もその件は知っているし、証拠も持っている。

 かつてFBCがアメリカ政府によって出来た組織のように、俺達もアメリカ政府の協力が必要だった。

 少なくとも俺は、かつて大統領の娘を救出する際に協力をしている為、アメリカ政府も断ることが出来なかった。

 アメリカ政府もFBC解散に伴い、大きな組織が失った為、俺達に協力する気になったのだ。

 BSAAを創設したのはオブライエンだが、ここまで組織を大きくしたのは俺だ。

 BSAAでは俺とオブライエンの名前は結構有名で、二本柱と言われている。

 オブライエンは優秀な指揮官なのだが、俺がその時どう呼ばれていたのかというと、「影の指導者」と呼ばれていた。

 俺自身そんな気は無いのだが、当時俺はBSAAの発足の為に色々動いていた。

 その色々な行動が俺を「影の指導者」と呼ばれる原因だったりする。

 今でもオブライエンはBSAAに大きくかかわっているが、本人曰く「あんまり自分が関わり過ぎるのは良くない」とのこと。

 俺自身もそれには賛成で、なるべくならオブライエンを頼らないようにしている。

 オブライエンがヨーロッパで暮らしているのも、本部がヨーロッパにある事と関係している。

 本部がヨーロッパにあるからと言って俺が本部勤務というわけではない。

 理由は簡単で、俺自身がアメリカ国籍しか持っていないためだ。

 別に作ってもいいのだが、色々書類とかが面倒だという理由で作らなかった。

 何より国連本部はアメリカにある為、何かあった時に国連本部に行きやすい。

 

 

 

 俺が長い通路を歩いて行くと、通路の奥からさらにゾンビが数体現れた。

 俺はハンドガンを構えると、ゾンビの頭に照準を付けた。

「落ち着いて狙えば当たるものさ。ゾンビの額に照準をつけろ」

 そう言いながらゾンビの頭にハンドガンの弾が撃ち抜かれていく。

 奥から現れたゾンビを含めても、合計で6体は居たはずだ。

 そのすべてにゾンビの頭にハンドガンの弾を撃ち抜いた。

「こんなもんだ」

「すごい…同じ場所に弾を撃っていくなんて」

 エルはその光景を見ながら小さな声で呟いた。

 俺自身慣れた光景なので、別に今更驚きはしない。

「…代表ってなんか…デスクワークだけをしている印象ですけど」

「俺は嫌いなんだよ、デスクワーク。こうして体を動かしている方が楽だしな」

 オブライエンは基本本部から出ては来ないが、俺は北米支部から出てくる方がかなり多い。

 元がエージェントなので、外で戦っていた方が楽だったりする。

 しかし、エージェントになったばかりの彼女がこんな重要任務を任される事は異常だ。

 エージェントの任務は大抵がテロ組織やブラックマーケット及びその売人の調査などの情報収集活動がほとんどで、最初にこんな重要任務が任される事はそんなにない。

 重要人物の拘束は慣れたエージェントでなければ任される任務ではない。

 今回の人選はHQに任せている為、俺は関与していない。

「まずは上階を調査するか」

「はい!」

 エルは大きな声で返事をすると、俺はエレベーターを目指して歩き始めた。

 先ほど調べた情報でここのエレベーターが動いている事は分かっている。

 バロクが何を企んでいるのかは分からないが、少なくともエレベーターは上にしか移動が出来ない。

 バロクはおそらく地下に隠れているのだろう。

 だからと言って上にいないという理由にはならない。

 バロクが妙な事を起こす前に、何とかしなければならない。

 エルと共にエレベーターにたどり着くと、エレベーターに乗り込んで上階を目指した。




 俺達が上階を目指している間に、俺は上の階から何かの気配を感じていた。
 報告にはここから先はまだ殲滅作業を行っていない。
 その理由は先に来た部隊がここで連絡を断ったからだ。
 この先に何かが待っているのは間違いない。


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BSAA

約束を守って見せる
絶対に…


 エレベーターのドアが開くと、俺達はエレベーターから出てきた。

 俺はエルに静止の合図を送ると、奥の曲がり角の先を確認した。

 ゾンビがいない事を確認すると、エルに来るように指示を出す。

 俺は曲がり角を右に曲がると、そのまま真直ぐ進んで行く。

 周囲はとても暗く、足元が良く見えない。

「先に電力を復旧させるのがさきだ」

「了解です」

 俺達はマップでブレーカーのある場所を確認すると、そこまでの最短ルートを歩いて行く。

 今の所はゾンビは現れない、その為俺達は邪魔が入らない。

 電力を復旧するためには、この奥にある制御室を通って行かなくてはならない。

 しかし、この制御室に入ったチームから連絡が途絶えている。

「気をつけろ。この先に突入したチームが全滅したと報告を受けている」

「はい」

 制御室のドアをゆっくり開けて行くと、俺達は周囲を確認しながら奥に進んで行く。

 制御室の中には、あらゆる機材が多く点在しており、室内は少し明るかった。

 窓から月明かりが差し込んでいるからだろう。

 制御室の中を歩いて行くと、先に突入していた部隊の死体を多く発見した。

「だめだな」

「そんな…」

 突入部隊は全滅しており、手当の必要すらない。

 問題なのは彼らの傷であり、彼らの傷はとても深く一撃で殺したと考えるには十分だった。

 ある者は体を真っ二つにされており、その威力を考えさせられる。

 こんな攻撃を仕掛けられるのは明らかにBOWだ。

「まだこの周辺に居ると思うが…」

 周辺を見ているが、今の所は誰もいない。

 エルは完全におびえていると、奥の部屋から物音が聞こえてくる。

 俺はゆっくりドアに向かって進んで行くと、更に奥から大きな音が聞こえてきた。

 俺はドアノブに手を掛けると、ゆっくり回した。

 ドアをゆっくり開けて行くと、俺は部屋の中に入って行く。

 すると隣から何かが振り下ろされる感じがした。

 俺はエルを担ぐとそのまま一気に距離を取って行った。

「なんですか!?」

 そこに居たのはギロチンの刃を付けた大きな処刑用の斧を抱えた大男だった。

 体は大きく肥満しているが、それ以上に腕の筋肉がすごい事は武器を見れば分かる。

 さすがの俺もあれをまともに食らったらひとたまりもない。

 攻撃力は高そうだが、動きは完全に鈍い。

 斧を引きずりながら移動している為、俺達の方が断然早い。

「少し距離を取るぞ!あれはさすがにやばい」

「は、はい」

 エルは完全にビビっているようで、俺が手を取って行かなければ中々歩けない。

 部屋の中はどうやら研究の実験室の様で、奥には実験用の別室も用意されている。

 俺達が居るのは所員が実験内容を確認したりする為の部屋だ。

 俺はテーブルの上に在った薬品を適当に投げると、その一つが割れた途端煙を上げだした。

「中身は酸だったか…」

 大男は少しの間苦しそうにしていたが、すぐに俺達に向かって走り始めた。

 大男は走りながら斧を横に薙ぎ払った。

 俺達はそれをしゃがんで回避すると、またしても距離を取った。

 ハンドガンで頭を攻撃してみるが、効いているという感じがしない。

「弱点を探したほうが良さそうだな」

 室内を走りながら移動している。

 ブレーカーを先に上げた方が良さそうだが、そのブレーカーを破壊されたら意味が無い。

「エル!しっかりしろ」

「で、でも…」

 なんでHQは新人をこっちに寄越したんだ?

 こんな重要な任務にはエージェントの中でもある程度任務に慣れた人間を送るものだ。

 なのに今回HQは俺に新人を送ってきた。

 俺が直接選べばよかったのだが、アメリカでの一件の後直接来たためそんな人選をする時間が無かった。

 エルは先程から戦いをする人間にすらおびえている。

「エル!しっかりしろ!今は戦うしかないんだ!」

「分かってはいるんです…」

 分かっては居るのだ…それでも怖いものは怖い。

 それでも戦わなくてはいけないのだ。

 エルには戦う事に恐怖を抱いているのだ。

「エル…。俺達の仕事はこの世界からバイオテロをなくすことだ。お前もその為にBSAAに入ったんだろ?だったらこれから戦わなくてはいけない事が多くある。今戦わなくては、これからも戦えなくなる。それにお前はBSAAのこれからを担うんだ、お前の戦いはこれからだ。もし怖いんだったら…俺が助けてやる。お前がどんな状況でもお前を必ず助けてやる。だから今は戦うんだ。絶対に助けてやるから」

 走りながら俺はエルに向かってそう叫んだ。

 エルは俺の方をじっと見ると、黙って頷いて見せた。

 ある程度距離を取ると、俺達は戦う準備を整えた。

 奴は斧を振り回しながら進んでいて、奴の近くに入り込めない。

「俺が奴を引き付ける!エルはその隙に回り込め!」

「は、はい!」

 エルは俺から距離を取ると、一気に走って行く。

 俺は奴の斧に触れないようにすると、奴はあろうことか斧をエルに向かって投げた。

「エル!」

 エルに向かって真っすぐ斧は向かっていくと、俺はエルを思いっきり吹き飛ばした。

 俺の頭をかすめるように斧は通過すると、奴は俺に向かって拳を下した。

 俺は両手でそれを受け止めると、奴はもう一方の拳を俺に向けた。

 拳が振り下ろされる瞬間、部屋の中に銃声が響いた。

 奴は大きな巨体がそのまま俺に向かって倒れてきた。

「エルか?」

 エルのハンドガンから煙が出ている。

 エルはその場に座り込むと大きく息を吐いた。

「よくやった」

「代表が助けてくれたから…」

「約束したからな…。どんな時でも助けてやるって」

「ありがとうございます」

 どうやら奴の背中に膿を大きくしたようなできものがあり、それが弱点になっているようだ。

 エルがそこを撃たなければ、骨の一本は持っていかれていたかもしれない。

 まあ、瞬時に回復できるからいいんだが…それでも痛いからなるべくそういうダメージは受けたくない。

 エルに手を差し出すと、エルはそれを受け取り立ち上がった。

「できるじゃないか…」

「代表が居たからです…。私一人では…とても」

「そんなことないさ…。少しぐらい自分を褒めてやれ」

「はい」

 俺達は改めてこの先の電力供給室に向かって行った。

 室内は先程の戦闘のせいで、めちゃくちゃになってしまっていた。

 俺達はマップを頼りに先に進んで行くと、ようやく電力供給室に到着した。

 多くあるブレーカーの中からエレベーターの電力を供給することにした。

「?ブレーカーが起動しない?」

「どうやらキーが必要なようです」

「面倒だな」

 心からの言葉が不意に出てくる。

 キーは全部で三本で、その内の一本は先程エルが室内で見つけていた。

 残りは二本なのだが、どうやら室内には無いらしい。

 まあ、簡単にいくとも思っていなかったけどな。

 それ以上に探すのが面倒だと感じる俺がいた。

 俺は携帯のマップを開くとこの階で鍵があると思われる場所を検索した。

「くっ!遠い!面倒!」

「代表って意外と面倒な性格していますよね」

 この階のオフィスに一つと、その奥にある実験道具を収めている収納庫に一つだった。

 それがとても遠くに感じてしまった。

 俺は大きくため息を吐いた。

「仕方ない…。それぞれの部屋に出向くか」

「そんなに面倒なんですか?」

「ああ、俺以外がじゃじゃ馬のように探せばいいのに」

「さらっとひどい事を言いましたよね?」

「なんの事だね?」

 俺は知らんぷりをしながらその場を移動していった。

 電力供給室を出て行くと、まず先にオフィスに向かう事にした。

 オフィスはここからそんなに遠い場所にあるわけではない。

 歩いて数秒でたどり着くことが出来る。

 オフィスの中に入ると、そこでは死んだここの所員が転がっている。

 ウイルス反応が見当たらないところを見るとここにはゾンビはいないことが分かる。

「鍵を探すか」

 室内を手分けして探していると、俺は机の引き出しを探っていた。

 引き出しの中には、実験の報告書が多くしまっている。

 それも全てにトライセル社の幹部であるエクセラの名前が書かれていた。

 どうやらここで実験していたことは完全にエクセラが主導していた事は確実なようだ。

 前々から分かっていたが、それ以上にこの書類に書かれているもう一つの名前に俺の目は釘付けになっていた。

「アルバート・ウェスカー…」

 そこに書かれていた名前はクリス達にとっては因縁めいた名前だった。

 ウェスカーはどうやらアフリカの地に来ているようで、今エクセラと共に行動をしているよだ、

 しかし、肝心の鍵が見つからない。

「見つからない…。面倒」

 俺が若干飽きていた所でエルがどうやら鍵を見つけたようで、俺達はさっさとこのオフィスを出て行くことにした。

 収納庫は電力制御室とは反対側にある部屋で、俺達はそこに向かって歩いて行った。

 ゾンビが徘徊していないのは例の化物が全て薙ぎ払ったからだと信じている。

 これ以上戦闘事態を避けたいという思いも少しぐらいはある。

 というより、面倒。

 それを言って見たら、なぜかみんなから「代表って変わりましたね」と遠い目をされてしまった。

 そんな事を考えていると、ようやく俺達は収納庫の前にたどり着いた。

 収納庫へ入ると、中は色々な実験道具や機材で埋め尽くされていた。

 収納庫の中はかなり汚く、掃除をしていないっというのが丸わかりだ。

「収納庫というより、倉庫と名乗ったほうが似つかわしい場所だな」

 ほこりが宙を舞っている為、咳き込みながら俺達は先に進んで行く。

 今回も手分けしていくことで話はまとまった。

 段ボールの中を見て行くと、中にはこれといった物は見つからない。

 その段ボールの内、一つの中からアルバート・ウェスカーに関する記述が書かれていた。

『アルバート・ウェスカー…体内に投与したウイルスのお蔭で超人的な身体能力を手に入れた男。しかし、いや…やはりというべきだろう。完全にはコントロールできていないようだ。コントロールをする為には『PG67 A/W』を投与しなければならない。しかし、彼の体質は私の実験に大いに役立ってくれた。バーキン博士にあのウイルスを渡していたかいがあったと言うものだ。彼の身体データを探る事で私の研究はもはや完成の域に達したと言っても過言ではない。このウイルスが完全体になった暁にはあの男は不要の存在になるだろう。しかし、私がプラーガを持って来た時にあの男は手の平を返したように私を迎えてくれた。おかげでここまで実験をはかどらせることが出来たのだから。しかし、所詮は未完成品だ、ウェスカーではあの男には勝てなかったのだから』

 そこまで読むと俺は書類から目を外していた。

 これを書いた男が誰かは容易に想像できる。

 これを書いたのはバロクだ…間違いない。

 これを読む限りではウェスカーが投与したウイルスは…“NTウイルス”だったのだろう。

 ウイルスを投与する事で超人的は力が手に入る。

 俺はかつて一度だけウェスカーと戦った事が在る。

 俺は終始ウェスカーを圧倒していた。

 バロクはウェスカーすら利用して見せたのだ。

 そしてあの男の計画の内容がうっすらとではあるが見えてきた。

 その紙の最後に書かれていた計画名を俺は小さくつぶやいて見せる。

「project name:cord name“NT”」




 その後、俺達はエルが見つけた鍵を持って収納室から出ようとした。
 俺が書類をポーチの中に入れた瞬間、突如俺の後ろに在った壁が崩れた。
 俺は隣に大きくジャンプすると、そこに現れたのは先程の化物だった。


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処刑マジニ戦

最後の鍵を見つける事に成功したベル達
しかし、ベル達に妨害してくるものがいる…


 壁の向こうから現れたのは、先ほどエルが倒した化物だった。

 ギロチンの刃を付けた斧を振り下ろして俺達に攻撃を仕掛けていた。

 俺の方に目を向けると、化物は斧を使って俺に攻撃を仕掛けてきた。

 斧が収納庫の棚を吹き飛ばすと、俺は斧の攻撃をかわして大きな声で叫んだ。

「エル!お前は先にブレーカーを回復させろ!こいつは俺がやる!」

「はい!」

 そう言うとエルはそのまま走ってこの部屋を出て行った。

 俺はハンドガンを構えると、奴から一旦距離を取った。

 弱点は後ろの膿のようなものだ。

 しかし、この攻撃を回避してこいつの体に攻撃を加えるのは中々骨が折れる。

 奴の斧が周囲の棚を吹き飛ばしていると、俺はある程度の距離を持続していた。

 収納庫が広いおかげで走り回っても十分だった。

「どうやって背中に行くか…悩みどころだな」

 広いと言っても奴が斧で周囲のものを吹き飛ばしているせいで中々行動が出来ない。

 奴が斧を振り回しながら俺に近づいてくる。

 俺は壁に向かって走って行くと、壁を伝って奴の後ろに飛んで行った。

 奴は壁に激突すると、俺に向かって斧を吹き飛ばした。

 俺はそれをしゃがんで回避すると、奴の背中に向かってハンドガンを撃った、

 ハンドガンの弾を数発当てると、奴はようやく静かになった。

 しかし、収納庫は先程の戦闘でめちゃくちゃになってしまった。

 俺は周囲に散乱したものを回避しつつ部屋から出ようとすると、俺の足元に何かを見つけた。

 俺はそれを拾うと、それが写真付きの書類だと判断した。

「処刑マジニ?こいつの名前か?」

 そこにはこう書かれていた。

『マジニ…トライセル社によって開発されたプラーガタイプ2に寄生された人間の総称をそう呼ぶことにする。タイプ1と大きな差異はないが、スピードや噛みつく際に赤い食虫植物のようなもので噛もうとする。タイプ1と同じように色々な種類のマジニを開発することに成功した。特に処刑マジニと呼ばれるタイプのマジニは元々体格の良い人物にプラーガを寄生させた為、高い耐久力を持つことになった。厚い脂肪と寄生体が分泌する化学物質によって強化された筋肉のそうで包まれている。』

 書類から目を離すと、俺はそれをポーチに入れてその場を後にした。

 部屋を出る前に処刑マジニの方をちらっとみた。

 人体改造を施されたと言っても過言ではないだろう。

 ここ以外のトライセル社の施設を調べた方がいいだろう。

 そう考えながら俺は部屋を出て行った。

 電力供給室に向かって行くと、俺の携帯端末が鳴り出した。

『代表!こちらアルファーチーム!地下への道を発見しました!』

「了解!電力を復旧させたらそちらに向かう!念のために突入は俺の到着を待て!」

『了解!この場で待機しておきます!』

「頼む!」

 そう言うと俺は通信を切って電力供給室に入って行く。

 中に入るとエルが既に電力を復旧させていた、

「代表!電力を復旧させました!」

「ご苦労だったな。先ほど地下への道が見つかった。俺達もそちらに向かう。ここの調査は他の部隊に任せておこう」

「了解!」

 俺達はエレベーターに向かって歩いて行くと、そのエレベーターが動いていない事に気づいた。

「エレベーターが動いていませんね?」

「壊れた…みたいだな」

 どうやらいつの間にか、壊れてしまったらしい。

 いくら操作しても動く気配が無い。

 仕方が無いと思い、俺達は携帯端末を持って周囲のマップを開いた。

 周囲に階段が無いか確認した所、非常階段が一つと通常の階段が一つ発見した。

「通常の階段の方が近いな…。階段から一階を目指すぞ」

「はい!」

 俺達は最も近い通常階段へ向けて歩き出した。

 通路を歩いて行くが、ゾンビ一匹にすら遭遇しない。

 その為か、簡単に階段に到着することが出来た。

 階段へのドアをゆっくり開けて行くと、階段に誰もいない事を確認した。

 俺達は一階を目指して階段を降りて行くが、二階に到着したところで階段が途切れていた。

 それ以上は荷物が多すぎて行くことができない。

「非常階段から降りるしかないか」

 端末を取り出すと、非常階段までの道のりを検索した。

 こことは反対にある為、移動には時間がかかりそうだという事は判断できる。

 端末を収めると、俺達は二階にそのまま入って行く。

 俺のガスマスクの機能で、このフロアにはマジニタイプがかなり徘徊している事がわかる。

 マジニタイプの対処は簡単だが、どの道数が多い事は変わらない。

 俺はゆっくり通路を歩いて行くと、曲がり角の途中でマジニタイプが三体徘徊していることが分かった。

 俺達はハンドガンを構えて、その場に座り込んだ。

「例の物は持ってきているな?」

「はい」

 エルは背中にかけていた物を取り出して構えて見せた。

 例の物とはグレネードランチャーだ。

 中身は閃光手榴弾を入れてある為、プラーガタイプには有効だ。

「俺が先行して戦うから、エルはプラーガが出現したところを狙え」

「はい」

 小さな声で反応すると、俺はハンドガンとナイフを構えて見せる。

 通路に出ると、俺はマジニに向かって走って行く。

 マジニは手に持っていたマシンガンを構えると、俺に向かって撃ってきた。

 俺はマシンガンの攻撃を回避しながら、ハンドガンを使ってマジニの足に攻撃を加えた。

 マジニは足を攻撃されると、その場にうずくまってしまい、俺はマジニを蹴り飛ばした。

 さらにナイフでマジニの首を切って見せると、三体のマジニからプラーガが現れた。

「エル!」

 俺がエルに向かってそう叫ぶと、エルは角からグレネードランチャーの引き金を引いた。

 グレネードランチャーから出てきた閃光手榴弾は、マジニの目の前で大きな光を発した。

 プラーガは光が発した瞬間に、その場で死んでしまった。

 同時にマジニも死んでしまった。

 しかし、先ほどの戦闘音が周囲のマジニを呼んでしまった。

「失敗してしまったな」

 マジニのマシンガンの音が大きかったようだ。

 俺はエルをこっちに呼ぶと、そのままマジニとの戦闘に備えた。

 マジニは物陰から五体現れると、俺はハンドガンとナイフを持ってマジニに向かって行った。

 エルはマシンガンの攻撃を避ける為に、物陰に隠れると、俺はマジニに向かって走って行った。

 エルはグレネードランチャーを使ってマジニの目くらましをしてくれた。

 ハンドガンをマジニの頭に撃ったり、ナイフでマジニの首を切ったりしていると、エルの後ろからマジニが一体現れた。

 俺はエルの後ろのマジニに向かってナイフを投げると、エルはグレネードランチャーを使ってプラーガを倒してくれた。

 この姿を見ると、大分戦闘に慣れてきたようだと分かる。

 これなら俺の背中を任せられる。

 しかし、ここで俺はHQの本当の目的が見えてきた。

 エルは元々戦闘にあんまり向いていない、その為俺と行動させれば少しぐらい戦闘に慣れさせているのだろう。

 結果的にHQの目的は達成されたと言っても過言ではないだろう。

 後でHQ全員しばき倒す。

「どうしたんですか?」

「なんでもない。世界中にいるHQに会う為にどのくらいの費用が掛かるか考えていただけだ」

「はぁ?」

 主にしばき倒す為に。

「マジニをある程度倒したようだな」

「今の所は周囲にマジニはいないようです」

 エルは報告してくれると、俺は端末を開くと、非常階段までの道のりを調べた。

「この道を真直ぐ進んで、一番奥で左に曲がると非情階段だ」

「行きましょう」

 とエルは歩き出そうとしたところで…

「きゃ!」

 こけてしまった。

 俺はしゃがんでエルに話しかけていた。

「何をしているんだ?」

「いや…。何かが引っかかったようで」

 俺とエルは一緒にエルの足から視線をちょっとづつ上げていき、後ろに立っていた奴の姿を見た途端、俺達は黙って頭を下げていた。

 もちろんそれで許してくれるとも思っていないが、処刑マジニは大きな斧を俺達に向かって振り下ろした。

 俺はエルをお姫様抱っこで担ぐと、その場から急いで走り去った。

「倒さないんですか!?」

「場所が悪い!もう少し広い場所でやるぞ!」

 俺は非常階段まで走ると、ケリでドアを思いっきり開けた。

 非常階段は外に付いている。

 階段を降りようと思った所で、処刑マジニは周囲の壁ごと吹き飛ばしてきた。

 俺は非常階段から外に飛び降りた。

「きゃ―――――――――!」

 エルは飛び降りる時に、大きな声で叫んだ。

 下にあるクッションのお蔭で大したダメージも無かったが、上を不意に見た時処刑マジニは上から飛び降りてきた。

 俺達はその場から急いで回避すると、処刑マジニは斧をクッションに叩きつける。

 クッションは縦に大きく避けてしまった。

「こっちから大きな悲鳴が!」

「どうしたんだ!?」

 俺達とは反対側からBSAAの隊員が現れた。

「こいつの背中を撃ってくれ!頼む!」

「了解!」

 BSAAの隊員はアサルトライフルを構えると、処刑マジニの背中目掛けて引き金を引いた。

 処刑マジニの背中にダメージを受けると、その場に倒れ込んだ。

 俺達は安心していると、奥の方からまた誰かが現れた。

「どうしたんだ!?」

 俺はエルをひとまず下すと、その場から移動を始めた。

「代表!?どうしてここに!?五階にいらっしゃったのでは!?」

「まあ、分け合ってな…二階から降りるときに、こいつに襲撃されたんだ」

 そう言うと俺は後ろで死んでいる処刑マジニを指差した。

「こいつは?」

「処刑マジニって言うらしい」

 俺は書類をそいつに渡すと、その場から移動をしていた。

 そいつも俺の後ろからついてくる。

「そうだ!代表に報告しておきたい事が!」

「手短に聞こうか」

「先ほどウェスカーの死亡を確認したとのことです!後、ジル・バレンタイン氏の生存も確認出来ました!今こちらに向かっているそうです!」

「そうか…。生きていてくれたか」

 俺はその報告を受けると、少し安心していた。

「了解だ!俺は今から地下に降りてバロクの追撃戦に参加する!念のために処刑マジニに気を付けるようにと全隊に伝えろ!」

「了解です!」

 俺達が在っただけでも、三体は現れたのだから残り何体居るか分かったものではない。

 俺とエルは今一度入り口に戻ってきていた。

「どうやらゾンビやマジニタイプは地下から出現したようで、今の所は地下が一番危ない可能性が有ります!」

「どの道戦わなくてはならないだろう」

「増援も突入している為、奥で戦闘中です!」

 俺達はその報告を受けると、一番奥に向かって歩き出した。

 指定された道のりを進んで行くと、一番奥でパーカー含めた隊の殆どが集結していた。

「突入開始!」

 各隊はドアの奥にある階段を一気に降りて行く。




 これはベルが地下に突入してから一時間以上が経過していた。
 私がヘリで降りると、そこではテラセイブの人達が治療の為に忙しくしていた。
「兄さん!」
「クレア!どうしてここに!?」
「ベルさんについてきたの」
 クリスが妹に話していると、奥から1人の隊員が現れた。
「到着ご苦労様です!」
「状況は?」
「それが…。少し前に突入した代表を中心とする隊が地下で戦闘になっています。奥でバロクを発見したのですが…」
「どうしたんだ?」
「それとは別に、奥で大量のウイルス反応を発見したんです」
 彼が出したパソコンには地下の奥深くにある地下水脈のすぐ近くにウイルス反応が在った。
「代表は知っているのか?」
「いえ、先ほどから代表とは連絡が取れていないんです!」
「私達が直接行ってきましょう!」
 そう言うと私とクリスとシャバでベルが居る地下に向かって行った。
 今地下で何かが起きている。


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忘れない為

死んで逝った者達がいた
そんな人達を絶対に忘れない


 階段をゆっくり降りて行くと、下から銃撃音が聞こえてくる。

 階段を降り切ってしまうと、そこに写った風景は辺り一面が研究施設だった。

 ただ広い空間に研究道具などが置かれていて、中にはハンターなどが保管されている。

 BSAA隊員がマジニやゾンビなどと戦っている。

「俺達はBOWに対処するぞ」

「了解」

 俺達は目の前のマジニに向かって走って行くと、ハンドガンを構えて引き金を引いた。

 マジニの頭に弾が撃ち込まれると、ナイフで首を切って見せる。

 エルはハンドガンで相手の足を撃ち、揺らいだところを俺が首を切る。

 そんな戦法を使いながら俺達はこのフロアの制圧作業を行っていた。

 すると目の前の筒の中に入っていたハンターが動き出した。

「気をつけろ!ハンターが来るぞ!」

 ハンターは筒を壊すと、俺達に襲い掛かってきた。

 俺は手榴弾をハンターの足元に投げると、ハンターの足元が爆発した。

 そうしているとエルに一体のハンターが近寄っていた。

 俺はハンターに向かって走って行くと、ハンターの頭に乗っかりナイフを突き刺した。

「エル。大丈夫か?」

「は、はい…」

 エルは俺を見つめたままでいると、俺は向かってくるハンターにフックショットを使ってこけさせる。

 こけたハンターの体に乗っかり再びハンターの頭にナイフを突き刺した。

 少しガスマスクに血が付いてしまうが、困る程度の量ではない。

「エル。大丈夫か?」

「…………」

「エル?そうかしたか?」

「…いえ、何でも無いです」

 そう言うエルの表情は魂ここにあらずといった感じだった。

 俺を見たまま呆然となっていた。

「俺に惚れたか?」

「!」

 エルは更に顔を赤くすると、立ち上がって後ろを向いてしまった。

「そっち!いちゃいちゃするな!こっちを手伝ってくれ!」

「誰に向かって命令してんだ!」

「…いちゃいちゃ…私…だって…」

 エルはパーカーのいちゃいちゃという言葉を聞くと、ぶつぶつ何かを言っていた。

 パーカーのせいでエルが使い物にならなくなってしまった。

「パーカーのせいだぞ」

「俺!?おまえだろ!」

「パーカーがいちゃいちゃなんていうから」

 俺はエルを置いてその場から移動すると、エルは俺の背中にくっついたように離れない。

 後ろを見ると、エルは顔を真っ赤にしながらもついて来ていた。

「パーカー…。何とかしろ」

「俺なのか?」

「代表命令」

「くそ」

 パーカーはエルに話している間に俺は周囲のハンターの駆逐を始めた。

 

 

 このフロアにいたハンターを掃討すると、俺は再びエルの元に急いだ。

「で?どうやったらこうなるんだ?」

「お前が実はジルのことが好きだからあきらめろって言ったら…」

「死ねばいいのに」

 エルは座り込んだまま、ずっと泣き続けていた。

 俺はどうやって慰めたものか考えていると、エルはスッと立ち上がると俺に笑顔を向けてきた。

「さあ!次のフロアに行きましょう!」

「何が在ったか話し合った後にな」

 エルはそのまま次のフロアに移動を始めた為、パーカーにどうにかしろと再び命令した。

 パーカーはエルの元に行くと話始めた。

 その間に俺は部隊を集めて下に移動する準備に入った。

「5人はここで待機!何かあった場合は俺達に通信を入れろ!」

 5人を残すと俺達は階段に向かって歩いて行く。

 パーカーが俺に向かってくると耳打ちしてきた。

「すいません」

「言い訳を聞こうか」

「はい、失敗しました」

「お前は先に行け」

「了解」

 後ろを見ると、表情を暗くしたエルが立ち尽くしていた。

「エル?」

「すいません…私なんて…私なんて!」

 何をどうしたらこうなるのだろうか?

「エル…。俺はお前と付き合えない…すまないな」

「いえ…私が勝手に好きになったんだから」

「好きなることは別に悪い事じゃないさ…。俺を好きになったからこそ、俺自身が責任を取らなければならないんだ」

「…代表はジルって言う人のどこが好きなんですか?」

「…俺は…今までジルを避けて生きてきたんだ。ジルが好意を寄せいていたのに…。好きだったのに…。だからこそ俺は今までの責任を取らなくてはならない。…まあ、どうして好きになったかというと…あいつは俺と出会った時、何も聞かなかった。あいつの優しさに俺はどこか惚れていたんだと思う」

「そうですか…」

 エルはにこっと笑うと、そのまま隊の方に移動していった。

 俺はパーカーの傍によると小さな声で言った。

「お前は後で説教だからな」

「了解」

 隊の一番前に移動すると、階段をゆっくり降りて行く。

 次のフロアは大きな食堂のような空間だった。

 食堂の一面にマジニがマシンガンを構えながらこちらを向いていた。

「待ち伏せをされたか…。マジニは厄介だな」

 俺達は大きな柱を盾にすると、マジニに向かって攻撃を開始した。

 一体や二体など、数が少ない場合は俺が突っ込んでもいいのだが…

 数は俺が数えるだけで二十は軽く超える。

「この施設予想よりも広いかもな」

 エルはグレネードランチャーの弾を交換すると、今度は硫酸弾を相手に向けて引き金を引いた。

 マジニの一部が硫酸弾を浴びて苦しんでいると、俺は手榴弾をマジニ向けて投げた。

 数が多いため中々次に進めないでいると、通信機からノイズと共に声が聞こえてくる。

『…ひょう…いま…な…どう…き…ない』

「なんだって!?聞こえない!」

『…いま…そ…ほきゅ…おく…』

「だめだな…上と通信が出来ない」

「下に降りすぎたのかもしれないですね」

「だろうな」

 地下に降りすぎたのだろう…通信が難しい場所まで来ているのだ。

「仕方が無いな…補給もいるしな…。誰か上に補給を寄越させてくれ」

「了解です!」

 そう言うと隊の一人が上に向かって走って行く。

 マジニ達は奥から誰かを連れてきた。

 その人物が持っていた物を見て、俺達は驚きを隠せ無い。

 というより、そんな物を持ってくるなよって気になる。

 そいつが持ってきたのはガトリングだった。

 処刑マジニほどではないが、そこそこ体が大きいマジニがガトリングガンを持っていた。

「全員物陰に隠れろ!」

 俺達は急いで物陰に隠れるが、数名がガトリングの餌食になってしまった。

 俺は手話でみんなに俺がやるというと、ガトリングマジニ(命名俺)に向かって走って行く。

 ガトリングマジニは俺に向かってガトリングガンを向けると、ためらいなく引き金を引いた。

 俺はガトリングガンの弾を回避しながらマジニに向かって走って行くと、俺はマジニ達の中に紛れて同士討ちを狙った。

 ガトリングマジニは、走っている俺を狙っている内に周囲のマジニを全滅させてしまった。

 最後に俺は、ガトリングマジニに向かって走って行くと、フックショットを使い上からの攻撃を仕掛けた。

 ガトリングマジニの頭にナイフを突き刺すと、マジニの頭から思いっきり血が噴き出す。

 俺は顔に血を受けると、マジニから飛び降りた。

「これで終わりかな?」

 みんなの方を見ると、みんなは俺を見たまま固まってしまっていた。

「どうかしたのか?」

「お前の恐ろしい姿にみんなおびえているんだ」

 隊の中で一番平然としているパーカーが代表で答えてくれると、俺は自分の姿を見てみた。

 確かに俺の体は、体中に血をつけていて、ある意味恐ろしい姿かもしれない。

 しかし、俺からすればこれはまだいい方なのだが…

「気にするなよ…。いつもの事だろ?」

 そう言うと俺は、体中についた血を吹き飛ばしてすっきりさせていた。

 俺はエルに視線を向けると、エルはガトリングガンの餌食になった隊員達を見て首を横に振った。

「次の階に行くぞ」

 俺は隊員にそう言うと、各隊員はそれぞれ死んだ隊員を見て悔しがりながら準備をしていた。

 俺は先に次のフロアに向かうと、階段を降りて行った。

 次のフロアにはこれまた大きなフロアであり、実験場になっており、多くのマジニが待ち構えていた。

 よっぽど俺達を奥に進めたくはないのか、それともバロクの命令でここに居るのか…

 どちらにしても多くのマジニが待ち構えてることに違いは無い。

 俺達はそれぞれ戦闘態勢を整えると、机を盾にして戦闘態勢を整えた。

「パーカー!弾薬庫はどこだ!?」

 パーカーは端末から検索をしていると、俺の隣にあるドアを指差した。

 俺は1人の隊員に弾薬庫に行くように指示を出すと、戦闘を開始した。

 数分後弾薬庫から隊員が多くの弾を持って現れた。

 エルは弾薬の中からグレネードランチャーの弾を多く拾っていた。

 俺はハンドガンの弾を拾うと、再び戦闘を再開した。

 すると隊員の一人がまたマジニの攻撃に倒れた。

 その様子を見ていた隊員の一人が怒りを露わにしていた。

「よくも!俺の親友に!」

 隊員は立ち上がるとアサルトライフルを持ってマジニ達を攻撃していた。

 俺はマジニの攻撃が隊員に当たりそうな瞬間に隊員を体を掴んでしゃがんだ。

 エルとパーカーはそれぞれの武器で俺達を援護してくれた。

 俺も机を盾にして相手に攻撃を仕掛けると、何とかマジニを倒す事に成功した。

 俺は立ち上がると、隊員に行ってやった。

「いいか…。仲間を殺されて怒りを露わにするのもいいが、だからと言ってお前自身が死んでは意味が無いんだ。俺達の仕事はバイオテロをなくすことだ…」

「ですが!俺達は仲間を殺したあいつらを許せないんです!」

「…いいか?怒るのは良い事だ、十分に怒ればいい。だがな俺達の仕事を忘れるな」

「私達の仕事はウイルス感染者を倒す事ではないのですか!?」

「違う…。俺達の仕事はウイルス感染者を殺すことでは無い」

 そう言うとパーカーとエルを除いた全隊員は俺の方を見つめていた。

 全隊員が俺を見ている事を確認すると、大きな声で言ってやった。

「俺達のやるべきことは、この世界からバイオテロをなくすことだ!その為にはここにいる一人一人が戦って行かなくてはいけない!お前たちの仕事はウイルス感染者を殺すことでは無く!仲間を募る事だ!お前たちが生きて次の者に意志を継げ!死んだ仲間の分までな!俺がいる限りお前達に復讐なんてしてもらうつもりはない!それを胸に抱いて戦え!」

 俺がそう言うと隊員は全員が「了解!」と言い準備を進めた。

 俺はパーカーに近寄ると、小さな声で指示を出した。

「後で死んだ仲間のリストを作っておいてくれ」

「いつも通りで良いんだな?」

「ああ、そうしておいてくれ」

 そう言うとパーカーは俺から離れて行った。

 近くで俺とパーカーのやり取りを聞いていたエルは、俺に質問をしてきた。

「どうして死んだ仲間の名前を?」

「この世界の為に戦って死んだんだ。俺はこの世界の為に死んだ仲間を忘れたくない。仲間だけじゃない。ウイルスによって死んでいった人達がいたことを忘れたくない。誰かを恨まないためにも…」

 そう言う俺の視線は死んだ仲間に向けられていた。




 私達は地下への入り口に来ていた。
 大きな部屋に来ており、目の前に見える階段を目指していたのだが…
 私達は目の前で死んでいる隊員に目がいっていた。
 原因も分かっている…原因は目の前で大きな斧を持っているマジニだ。
「またこいつか…。…ジル、こいつは俺達に任せてお前は先に行け!」
「でも…。クリス…」
「言わなくても分かるさ…。お前はベルの元に行きたいんだろ?」
 そう、私は今すぐにでもベルに会いたい。
 みんなから聞いた変わったベルを見てみたい。
 何より答えを見つけたベルに会いたかった。
 きっと私はベルに…告白してほしいのだ。
 クリスもそれを理解してくれている。
「ジル…。もし俺が好きって言ったら…付き合ってくれるか?」
「…ごめんなさい。私…実は…」
「だろうな…」
 私は逃げるようにベルの元に急いだ。


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約束は絶対に守る

約束をした
絶対に守ると
彼女に
だから…守る


 アサルトライフルの音が周囲に響いている。

 大きなオフィスのあるこの部屋では今まさにマジニとの戦闘中であった。

 エルはグレネードランチャーを構えて、マジニに向けて引き金を引いた。

 俺はハンドガンで交戦しているが、中々数が減らない。

 上からの応援もやってこないというのはどういう事だ?

「1人やられました!」

「もう少しの我慢だ!耐えろ!」

 そしてエルが放った最後のグレネードランチャーの弾が着弾した時ようやくマジニも全滅した。

 俺達は全員立ち上がると、その場で弾の補充を行った。

 俺達の後ろでは、常に補充できるようにと補充要員が常に傍にいる。

 俺自身もハンドガンの補充を済ませると、現在のフロアのチェックをしていた。

 俺達は今地下7階に来ており、この下は三つのエリアに分かれている。

 バロクはおそらくこの地下8階にいるのだろう。

 この地下8階では地下鉄が走っているのが確認できた。

「補充できました!」

 隊員の一人が俺の元に説明しにくると、俺達はようやく地下8階に到着しようとしていた。

 俺達が地下への階段を下りると、大きな部屋に出てきた。

 三つの道があり、ここで隊を三つに分けなくてはならないだろう。

「パーカーの隊は右に、エルの隊は左、俺の隊は中央だ!

『了解!』

 そう言うとエルとパーカーはそれぞれの道に消えて行った。

 俺は周囲に注意を向けていると、俺達が進んでいた道ではマジニが多く待ち構えていた。

 マジニを倒しながら奥に進んで行くと、隊員の一人が報告に現れた。

「代表!この奥に小さな研究室があることが分かりました!」

「よし!まずはそこから抑える!」

 そう言いながら俺達はその小さな研究室に入って行く。

 1人の隊員はパソコンの電源を付けると、パソコンからデータを入手しようとしていた。

 俺は周囲に警戒を向けながら、そのデータが手に入るのを待っていた。

 すると、マジニが三体現れて俺達を襲撃した。

 俺はハンドガンを使って交戦すると、あっという間にマジニを殲滅した。

「なんでこんなに的確に襲撃できるんだ?」

 隊員の一人が小さな声で呟くと、俺は周囲を見回した。

 俺は天井を見た時、バロクがどうやって俺達の位置を掴んでいるか理解した。

「監視カメラを使って俺達のやり取りを見ているんだろう。

 俺は天井に付いている監視カメラを掴むと、カメラを天井からはがしてカメラの付いているコードを切った。

 俺達が用意したパソコンを使って監視カメラの逆探知を始めた。

 そこから分かった事は、バロクはついさっきまでこの監視カメラを利用していたわけではない事だ。

 あくまで利用していたのはマジニ達で、バロクは別行動をとっていたようだ。

 俺達がそうしていると、ようやくパソコンからデータを入手することに成功した。

 俺がそのデータを確認すると、そこに在った内容を見て俺は確信を得る事が出来た。

『“cordnameNT”…この計画は“Tウイルス”の開発の途中経過で生まれた“NTウイルス”を完全なものにする為のものだ。完全感染者には脅威的な力を与え、どんなウイルスにも感染しないという、完全免疫力を手に入れる。免疫力というより、ウイルスを喰って新しい力に進化させると言った方がいいだろう。しかし、手に入れた当初に分かった事だが、このウイルスは感染した者は生きる事さえできない。このウイルスに感染して生きている者を私はいまだかつて二人しか知らない。しかし、その内の一人であるウェスカーは完全な感染ではない。力が大きすぎる為、コントロールがうまくできないのだ。感染してから今までコントロールできずにいるのだから。そしてもう一人が、本計画において重要な人物だ。この“NTウイルス”の生まれ元であり、完全適合者でもあるベルトウェイ・シュターナー。本来なら私がラクーンシティの壊滅に乗じて彼を回収するつもりだったが、あの研究所の所長に一手先を越されてしまった。しかも、彼が自分の意思を持ち続けながら生きているのだから不思議だ。私の見解では、“NTウイルス”に完全感染していながら、何も問題なく生きられる事は無い。少なくとも普通の生活は送れないと確信していた。しかし、彼は普通の人間として生きていて、ウイルスも問題なく適合している。そこから私は本計画“cordnameNT”を承認することにした。“NTウイルス”を完全なものにした時は、本計画は“cordname”の名を撤廃し、“truthname”になる事だろう。私がこのウイルスを完全なものにする為に必要だったのが、ウェスカーだ。彼の持っているウイルスに対する完全な免疫力を利用して、ウイルスの毒性を抑える事が出来た。しかし、それでも強すぎる毒性は感染者を徐々に死に向かわせる。他の感染者で試してみたが、数日以内に死んでしまう者ばかりだ。そこで私が目を付けたのが、プラーガという寄生虫だ。プラーガに毒性が弱まった“NTウイルス”を感染させることで誰でも強い力を得る事が出来ると考えた。しかし、その期待さえも軽く超えてしまっていた。“NTウイルス”はプラーガに感染すると、逆にプラーガを喰っていたのだ。数時間後プラーガは完全にウイルスに喰われてしまった。どうやらこれが強すぎる毒性の元になっているようだ。そこで私は“NTウイルス”に人間のDNAを植え付ける事で、徐々に人間に適合されることに成功した。しかし、それでも完全に感染できるわけではない。これから徐々に完全なものにする事が必要だろう』

 そこまで読むと俺はパソコンから目を離した。

 バロクはこれをわざと消さずにいたのだろう。

 バロクはこの計画を俺に教えたかったのだ。

「データは持っておけ、他の隊員も他の部屋を調べて回れ!」

 俺はそう言うと、バロクがいそうな部屋を目指して進んでいた。

 バロクはこのフロアの奥に在る列車に乗って逃げようとしているのだろう。

 俺はそこに向けて歩いていると、列車への道の途中でようやくバロクを発見した。

「バロク!動くな!」

「意外と速かったね。もう少しくらい時間が掛かるかと思ったけど…」

 バロクはエルがいた方の研究所から出てきた。

 このフロアは最終的に一つの道に出る事が出来る。

 バロクは先程までエルの居る研究所に居たようだ。

「何を企んでいる!?」

「さあ?聞くんだったら、後ろの人物にでも聞いてみたらどうだい?」

 俺はゆっくり後ろを向くと、そこにはジルが肩で息をしながら立っていた。

「ベル!このフロアの研究所の一つで大量のウイルスが!」

「バロク!貴様!」

「当初の予定では両方の研究所のウイルスを流す予定だったのだが…。どうやら時間が無いようだし、私はここで失礼させてもらうよ」

 バロクは道の奥に向かって進もうとしていた。

 そこでようやくパーカーが現れて、俺達はどうするべきか考えていた。

 すると、大きな地震が周りに響くとバロクが大きな声で言った。

「そうだ、ここの自爆装置を起動しているから。まあ、頑張りたまえ」

 俺は通信機をオンにすると、エルに通信してみた。

「エル!応答しろ!」

『…………』

「エル!エル!」

『…だい…もう…』

「エル!?エル!」

『……代表…もう…ここは…ダメです』

「何が在った!?」

 エルの声から以上事態が起きた事は間違いが無いようだ。

『ウイルスの漏えいだけは防ぎました。だけど、もう…』

「そこから逃げるんだ!」

『ダメです…。足をやられちゃって…動けないんです』

「なんだと!?」

『私にかまわずバロクを追ってください。夢をあきらめちゃダメです』

「…エル」

 エルからの通信が完全に途切れてしまった。

 しかし、俺の覚悟は既に決まっていた。

 

 

 

 大きな研究室では多くの隊員とマジニの死体が転がっている。

 マジニと交戦しながら、ウイルスに中和剤を使って中和していた。

 結果ウイルスを中和する事には成功した。

 本来なら私は逃げなくてはいけないのだが、私は足をけがしていて歩く事さえできなかった。

 先ほどの代表にはここの事を説明しておいた。

 助ける事は代表でもできないだろう。

 既にこの階が崩れ始めていて、助ける事は出来ない。

 しかし、私は後悔など無かった。

 BSAAとして誇らしく死ぬことが出来るのだから。

 ウイルス漏えいを許せば、この周囲の村や町で大きなバイオハザードが起きる事だろう。

 それだけはBSAAとして阻止をしなければならなかった。

 だからこそそれが達成できたからこそ、私は誇らしい。

 代表の夢の先を見てみたかったけど、それでも代表の邪魔だけはしたくない。

 たとえそれが私の死だとしても、私はそれを良しとできる。

 代表が私を好きでいてくれなくても…

 好きで…いてくれ…

 おかしいな…覚悟が出来ていたのに…

 涙があふれてくる…

 覚悟をしていたはずなのに…死ぬことが分かっていたはずなのに…

 今になってこんなに…死ぬことが怖くなっている…

 泣いてもだれも助けに来てはくれない…

 周囲も多くの瓦礫で埋まろうとしていた。

 そして私の頭上から一つの大きな瓦礫が降ってこようとしていた。

 私は目を瞑り小さな声で呟いた。

「誰か…助けて…」

 自分でも情けないと思う…覚悟が出来ていたのに…

 それでも誰かに助けを求めてしまっている自分が…

 しかし、瓦礫が私を押しつぶす事は無かった。

 涙でぬれた目をゆっくり開けると、そこに居た人物に私は驚いた。

「…代…表?」

「助けに来たぞ」

 そこに居たのは代表だった。

 

 

 

 数分前

 俺はエルからの通信後すぐに次の指示を出した。

「パーカー!お前はバロクを追え!俺はエルの救出に向かう!」

「私もパーカーに付いて行くわ!」

「ジルは代表について行かなくていいのか?」

「付いて行っても足手まといにしかならないし…。それに彼が決めた事よ」

「すまないな…ジル」

「いいの…。その代り絶対に助けるのよ」

「ああ」

 そう言うと俺は走ってその場から移動していった。

 自分が出せる限界の速度で、エルが居るであろう部屋まで。

 天井がちょっとずつ崩れて行った。

 それでも、目の前で仲間が死のうとしているのを黙って見ていられない。

 意外と早く目的の場所についた俺は、部屋の中に入って行く。

 エルは部屋の片隅で小さく座り込んでいた。

 そして今まさにエルに瓦礫が落ちようとしていた。

 俺はダッシュでエルの元に駆けつけると、瓦礫を体で受け止めた。

 瓦礫を横に投げると、エルはゆっくり目を開けながら小さな声で呟いた。

「…代…表?」

 その声を聞くと俺はようやく声を出した。

「助けに来たぞ」

 エルの目からあふれるほどの涙が流れている。

 怖かったのだろう…そしてうれしいのだろう…

「俺はここにいるぞ…」

「どうして?」

「…約束したろ。絶対に!助けるって」

 俺は絶対を強調しながら言うと、エルをお姫様抱っこした。

「もう少しの辛抱だ」

 そう言うと俺は部屋を飛び出していった。

 この研究施設からの脱出を果たした。




 研究施設から無事脱出すると、俺達は仮設テントの中に入って行く。
「エルを頼む」
 そう言って俺はエルを治療班に任せた。
 俺はジル達が脱出したであろう場所まで移動すると、ちょっとした丘の上まで来ていた。
 丘の上から研究所が丸見えで、研究所では今まさに火を噴いていた。
 すると、研究所の方からジルが現れた。
「エルは?」
「助けたよ」
 そう言うとジルは少し安心した。
 どうやらパーカーは別行動をとっているようだ。
「…ジル…話があるんだ」
「?如何したの?」
 俺は少しの間中々言えずもじもじしていたが、覚悟を決めて告白をすることにした。
「ジル!俺と付き合ってくれないか!」
 俺は目を瞑って頭を下げた。
 ジルは少しの間黙っていると、ようやく声を出した。
「ベル…目を瞑ってガスマスクを外して」
 俺はジルに言われるままにガスマスクを外した。
 ジルは俺の頭を触ると、俺の唇に何かが触れた。
 ゆっくり目を開けると、そこにはジルの顔が在った。
 そのまま再び目を瞑った。

 俺達は物陰からジル達の様子を窺っていた。
「いいのかクリス、お前はジルが…」
「いいんだよ…。これでジルが幸せになれるなら」
 パーカーは黙ってその場から離れて行った。
 俺はキスをしているジルを見ると、その場から離れて行った。
 そして、小さな声で祝福をした。
「おめでとう…ジル」


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混沌の戦い
イドニア共和国


2012年にBSAAが介入した内戦
その場に二人のエージェントが降り立った


 中国蘭祥の達芝では今まさに地獄のような場所と化していた。

 BSAAの多くの隊員がウイルスに感染してしまった。

 俺とジルはクアッドタワーを目指している。

 俺達は近くのビルに入ると、ドアを閉めて鍵を掛けた。

 周囲の警戒を維持しながら移動を進めていた。

 窓際で一人のBSAAの隊員が血だらけで倒れていた。

 俺が歩み寄ると、彼は既に死んでいた。

 俺達は近くのドアから再び外に出ると、もう一度達芝の街並みを眺める。

 先ほどまかれたウイルスによって安全だったこの通りもゾンビの行きかう場所となった。

 俺達は街並みを眺めながら、どうしてこういう事になったのか考えていた。

 そう、切っ掛けがあるとすれば…

 それは…半年前のイドニア共和国の内戦まで遡る必要があるだろう。

 

 

 ここイドニア共和国では、政府側と反政府側で内戦が行われていた。

 本来なら我々BSAAは介入することは無い。

 しかし、少し前にイドニア共和国の反政府ゲリラや傭兵達が新型ウイルスに感染したという情報を手に入れた。

 BSAAはこの事態に対して迅速に対応した。

 そして、戦っている間に反政府にウイルスの渡した人間が居る事が判明した。

 それを考慮して、BSAAはエージェントの中でも優秀で、代表も兼ねているベルトウェイ・バレンタインとジル・バレンタインコンビを送ることが、決定された。

 

 イドニア共和国に入って来た、俺達は仮設テントが多く配置されている場所を歩いていると、1人の隊員が俺達に近づいてきた。

「遥々ご苦労様です!」

「早速だが、状況を説明してくれ!」

 そう言うと隊員はその場で状況の説明を始めた。

「ただ今の状況は、クリス隊長率いるアルファーチームを中心に進行を開始しております。作戦としましては、二点からの攻撃を開始します。目的は市庁舎にたどり着く事です。お二人は作戦に参加しつつ、重要参考人を確保、最低でも仕留める事が任務内容となっております」

 そこまで説明されると、俺達は一つ引っかかった事が在った。

「その重要参考人はどこに居るのか分かっているか?」

「まだですが、ゲリラ達が根城にしている市庁舎を襲えば何か分かるかと」

 今一つ腑に落ちないが、だからと言って無視をするわけにはいかない。

 俺達は今から作戦が行われる隊に付いて行くことにした。

 

 俺達は後ろの装甲車に乗って移動していると、前の方で大きな爆発音が響いた。

 俺達は装甲車から飛び降りると、走って前の方に移動した。

 前の方では、戦車がひっくり返っていた。

 俺達は柱の陰に移動すると、前の建物からの銃撃に備えた。

 柱の陰から様子を窺うと、そこに居たのは反政府軍であった。

「あれが報告に在った新型ウイルスに感染した『ジュアヴォ』と言うタイプだったかしら?」

「確かそのはずだが」

 仮面をかぶっているだけで、他の人間と変わらないようにも見れる。

 俺は柱の陰からアサルトライフルを構えると、ジュアヴォに向けて引き金を引いた。

 ジュアヴォの体にヒットするが、死ぬかと思われたジュアヴォは、当たった個所から煙を上げて回復していく。

「あれがジュアヴォの特性か…。厄介だな」

 ゾンビのように特定の場所に攻撃すればいいわけではない所が厄介だ。

 一撃必殺が通用しない、こういう手の相手はとにかく攻撃を当てて行くしかない。

「ジル、援護を頼む」

「任せて」

 俺は柱から飛び出すと、走りながらマシンガンをジュアヴォ目掛けて撃った。

 ジュアヴォを一体、また一体倒して行きながら進んで行く。

 ジルも移動しながら確かに進んで行く。

 すると、前からロケットランチャーが飛んできた。

 俺とジルは走って柱の陰に移動していく。

「さっきの見えたか?」

「ええ、ロケットランチャーを持ったのが一体、台座についた機関銃を撃っているのが一体」

「あれが装甲車の移動を阻害しているようだな」

「あっちから進んで行けば、何とかできそうよ」

 ジルが指刺した方には階段があって、そこから移動していけば確かに破壊はできそうだ。

 俺達は走って階段まで移動すると、上ったところでジュアヴォの襲撃を受けた。

 後ろからついて来たBSAA隊員も一生懸命になって交戦している。

 すると、ジュアヴォの一体が突如苦しみ出した。

「気を付けてください!あれが変異です!」

「あれが…変異」

 ジュアヴォの片腕が気持ち悪い音を立てながら変化していく。

 大きな鎌のようになった腕を、ジュアヴォは戸惑うことなく使用してくる。

 俺達はそれをしゃがんで回避すると、ジュアヴォに攻撃を仕掛ける。

 ジュアヴォは鎌のような腕を使って、俺達をしつこく攻撃を仕掛けてくる。

 何発か当てると、ジュアヴォはようやく倒れた。

「行くぞ」

 俺達は移動していくと、機関銃の破壊に成功した。

 装甲車が柵を壊しながら進んで行く様を俺達は上から眺めていた。

 俺達は二階から飛び降りると、装甲車の後に付いて行った。

 狭い通路を装甲車が移動していくと、装甲車を二階から狙撃するジュアヴォを見つけた。

「あれじゃ、狙い撃ちされるぞ!」

「みんな!援護を!」

 隊員達は散って行きながら、周囲のジュアヴォを倒して行く。

 俺は装甲車の上に乗ると、フックショットを使って二階に飛び乗った。

 マシンガンとナイフを使ってジュアヴォを掃討していくと、ようやく俺達は広い空間に出た。

「この先を真直ぐ行けば、橋に出るはずです!そこから市庁舎を目指します!」

 壊れた家を眺めながら俺達は真直ぐ進んで行く。

「紛争の無いときに来たかったな…」

「そうね…」

 俺達BSAAが介入したせいで戦況が混乱したところがある。

 しかし、だからと言ってBOWを無視するわけにはいかない。

「問題は誰がゲリラに新型ウイルスを渡したのかって事だ」

 理由は簡単で、単に性能を試したかっただけだろう。

「渡したって言うより、新型を使って感染させたって言う方が正しいでしょうね」

「確かにそうだな…」

 問題はそうやってそれをどうやって感染させたという事だ。

「市庁舎を目指せば何か分かればいいが…」

「行って見なくちゃ分からないわよね」

 大きな広場を通って行くと、ようやく俺達は大きな橋に出た。

 橋の奥では戦車が陣取っており、BSAAの進行を阻害していた。

 最初の任務は戦車の排除だろう。

「どうやってアレを排除する?」

 上から狙えれば一番楽なんだが…。

 何か無いか探していると、戦車の奥に燃料や火薬を入れた箱があることに気づいた。

「アレを使うか…」

 そう言うと俺は隊員達に指示を出した。

 内容は戦車の後ろにある、箱を壊す事。

「俺達は戦車の攻撃を引き付けよう」

 ジルと共に俺達は戦車の前に立ち塞がった。

 案の定、戦車は俺達をターゲットに捕え、俺達は走りながら移動していく。

 狙撃隊の準備が終わるまで、俺達は耐えなければならない。

「狙撃隊はまだか?」

「まだの様です」

 すると、戦車の後ろにあった箱が突如爆発した。

「すごい威力だな」

「でも、戦車は完全に壊れたわ」

 完全に壊れた戦車を眺めながら、俺達は梯子を上って行く。

 一番先に上に上がると、ジルの手を握って持ち上げた。

「ありがとう」

 他の隊員も順調に上がって行く中、俺達はようやく一番上に上がることが出来た。

 これで狙撃隊との合流を待つだけになった。

 そうしていると、俺達の目的地とは別方向から何かがやってくる。

 目を凝らしてみていると、もう一台の戦車がこちらに向かっていた。

「もう一台存在していたのか?」

「そのようだけど、どうする?」

「どうするか…」

 俺は頭をフル回転しながら考えていると、橋の下を見たまま良い事を思い付いた。

「そうだ!橋を落とそう!」

 そう言うとジル以外の全員が驚愕の表情を浮かべた。

「爆破隊はどこだ?」

「確か…狙撃隊と一緒に行動しているはずよ」

 狙撃隊はこちらに向かっている途中で、もう少し時間が掛かりそうだった。

 そうしていると、上から大型の飛行機がやってきた。

 飛行機から多くのジュアヴォが降ってくると、俺達に向かって攻撃を開始した。

「爆破隊が来るまでここを死守だ!」

『了解!』

 橋の上での交戦をしていると、視界の端でようやく狙撃隊が橋の元までやってきていた。

 俺達は足元に気を付けながら、戦いを続けていた。

「遅れて申し訳ありません!」

「早速だが、仕事をしてもらうぞ!この橋を落として戦車ごと沈めるぞ!」

「少し時間をください!」

 そう言うと隊員の一人が、橋の上で爆弾を仕掛けはじめた。

 より一層のジュアヴォが上から降ってくる。

 俺達はますます攻撃の手を増やしていると、後ろで爆弾を仕掛けていた隊員が振り向いた。

「設置完了です!いつでもいけます!」

 俺達は橋から移動していくと、爆弾から少し距離を取った。

「爆発のタイミングはお前に任せる!」

「了解です」

 隊員は戦車の距離を測りながら、爆弾のスイッチを押した。

 爆発と共に戦車は川の中に落ちていった。

 俺達はそれを確認すると、俺達は市庁舎に向かって歩き出した。

 

 市庁舎のある場所にたどり着くと、一機のヘリが飛び立っていった。

 すると、クリスらしき人物が市庁舎に向かって移動をはじめた。

「さっきのヘリは?」

「さあ、私は知らないわ」

 俺は近くに居た隊員に話かけた。

「先ほどのヘリはなんだ?」

「ああ、先ほどのヘリでしたらアメリカ合衆国のエージェントが、保護した人物を送ってほしいと」

「なるほど」

 という事はクリスが呼んだという事だろう。

「念の為に先ほどのヘリの行先と、そのエージェントの上司を教えてくれ」

「はい!行先は分かりませんが、上司はディレック・C・シモンズです!」

「シモンズ?」

「知っているの?」

「ああ、アメリカ合衆国を作ったとされる一族の男だ」

「そうなの?」

「だが…」

「だが?」

「あんまり良い噂を聞かないから…」




 なんだが嫌な予感がする。
 なんだ?こんな予感…
 そんな予感が当たることになるのを俺はまだ知らない。


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始まりの終わり

終わる命
始まる命
守る命
どれも大切な命

これは悲劇の話


 イドニア共和国の市庁舎周辺を制圧すると、俺とジルは周辺の調査を続けていた。

 しかし、一向に情報の一つも手に入らない。

 長い道を真直ぐ進みながら、綺麗な街並みに関心していた。

「こうして見れば綺麗なものね」

「ああ、町はあれだけ荒れているって言うのに」

「でも、それがこの町のいい所なのかもね」

「そうかもしれないな」

 この辺はまだある程度綺麗な方だ、少なくとも市庁舎前とは大違いだ。

 市庁舎を離れて数分が経っていると、俺達は情報収集を行っていた。

 未だにウイルス提供者の情報が手に入らない。

 人が生活していたという状況だけが、この周辺の状況を見れば把握できる。

 長い道を進んで曲がり角に差し掛かった時、俺達の前に傷だらけの反政府ゲリラが出てきた。

「ジュアヴォじゃない?」

 俺達は傷だらけの男に歩みよると、彼に話しかけた。

「どうしたんだ!?」

「ハァ…ハァ…ハァ…」

 男は呼吸を整えていると、俺達は男の状況を把握した。

 ジュアヴォと違って傷の治らない所を見ると、彼は感染していないようだ。

「女が…女が…仲間に」

「女が仲間に?」

「仲間に…栄養剤を…渡して…みんながそれを…そしたら…」

「みんなジュアヴォに?」

 男は黙って頷くと、俺は男の女の名前を尋ねた。

「そいつの名前は言っていたか?」

「……ネオアンブレラの…エイ…」

「エイ?」

「エイダ・ウォン」

「エイダ…ウォン?」

 エイダ…エイダが今回の主犯格?

 まさか…そんなはず…無い

「本当にそう言ったのか!?エイダ・ウォンと!」

 男は黙って頷くと、静かに息を引き取った。

 俺は完全に動揺していた、エイダが主犯だと聞いたからだ。

 そんなはずないと頭で言い訳をしては見るが、それが絶対だという理由もない。

 俺が1人で悩んでいると、ジルが俺に話かけてきた。

「確かめましょ!それが一番いいわ」

「…ありがとう」

 俺達はその場から移動すると、市庁舎の前にたどり着いた。

 市庁舎の前では、BSAAの兵が制圧戦を行っていた。

 情報を手に入れたが、彼らのアジトの場所を把握しているわけではない。

 自称エイダを探すためにはこの町を探して回らなくてはならない。

 俺は市庁舎の方を見た時、市庁舎の異変に気づいた。

「?銃撃音が聞こえる?気のせいか?」

 耳を傾けると、確かに市庁舎の方から銃撃音が響いている。

 ジルも同じように銃撃音が聞こえてきたらしく、異変に気づいたようだ。

 俺達はBSAAの隊員を連れて行くと、市庁舎まで急いだ。

 市庁舎の中に入ると、中では新種のBOWが多く徘徊していた。

 姿は一種のゴリラのようにも見れて、体を堅い何かで覆われている。

「全員銃を構えろ!」

 俺自身もハンドガンを撃っているが、体が硬くて中々攻撃が通らない。

 俺は武器をショットガンに切り替えると、BOWの体に向けた。

 BOWの体の一部が剥げて、肉体が露わになった。

 みんな化物の対処方法が分かったようで、何とか建物の柱なんかを利用して攻撃していた。

 最後の一体が倒された時、上階の壁が突如壊れて先ほどのBOWが現れた。

 一体が大きくジャンプしてくると、俺達は転がって回避した。

 その時、俺は何かの声を聞いた。

『…だ…い…ひょ…う…こ…ろ…し…て』

 俺はショットガンを使ってBOWを殺すと、体から出てきた何かを見つけた。

 俺はそれを拾いあげて確認すると、それはBSAA隊員の配られたドッグダックだった。

 ドッグダッグに書かれていた名前には『フィン・マコーレー』と書かれていた。

「アルファーチームの新人の名前だな」

 そう言った所で俺は恐ろしい事を想像していた。

 俺はBOWの見回すと、嫌な想像をしてしまった。

「まさか…このBOW…全部アルファーチームじゃないよな?」

「嘘!」

 ジルも俺と同じ予感にたどり着いたようで、死んだBOWから出てきたドッグダックを拾い、なまえを確認した。

 みんなで確認していると、二人ほどドッグダッグが確認できなかった。

「クリス隊長とピアーズ隊員がいません!」

 壊れた壁の奥から銃撃音が聞こえてくる。

「行くぞ!」

 俺達は走って奥に行くと、通路で必死になってBOWを撃退するピアーズがいた。

「ピアーズ!」

「代表!?」

「状況は!?」

「…隊長と俺を残してアルファーチームは…全滅です」

 俺の中にある何かが徐々に上がって行く。

「誰が…誰が…そんな事を?」

「エイダ・ウォンと名乗る女が…仲間に…」

 そこまで言った所で、俺の怒りは限界を超えようとしていた。

「そいつはどこに行った?」

「…多分裏口から」

 そう言うと俺は振り返って、全員に指示を出した。

「クリスとピアーズは撤退だ。ここにいる隊員は市庁舎内のBOWの撃退。新型の確保だ」

 そう言うと俺は歩いて行く、後ろからの声が聞こえても耳に入らない。

「なんか…代表、やけに落ち着いてますね?」

「そう?私には怒りが今にも爆発しそうな人間にしか見えないけど」

 ジルも同じようについてくる。

 入り口まで走って行くと、回り込んで裏口に急いだ。

「許さん…絶対に」

 あの時聞こえた声は…多分…フィンの声だったに違いない。

 俺は体にあるウイルスがかろうじてフィンの意識を俺に伝えたと信じたい。

「許さん!絶対に!」

 裏口にたどり着くと、1人の女性が出てくる所だった。

 俺はハンドガンを使って女をけん制した。

「そこまでだ!」

 俺とジルはハンドガンを構えて、女に照準を向けた。

 女は後ろ姿しか見えない為、誰かは分からない。

「黙ってこっちを向け!」

 女は黙ってこちらを向くと、俺はその顔を見て驚きを隠せ無い。

 確かにそこに居たのは…エイダだった。

 俺はそれを見ると、小さくつぶやいた。

「……誰だ?お前は…誰だ?」

「エイダ・ウォン」

「違う…お前はエイダじゃない。お前は本当に…」

 俺は先程から感じていた疑問をそのままぶつける事にした。

「…お前は本当に…人間か?」

 偽エイダは黙っていると、何も言わないで腕から何かを落とした。

 煙が上がって行くと、偽エイダはその場から離れて行く。

「ジル!追いかけるぞ!」

 俺達はまたイドニアの町を駆けて行く。

 長い道を追いかけて行くと、すぐに偽エイダを見つける事が出来た。

 そこまで行くと、彼女が偽物だと判断出来た。

 エイダはこんな方法を取らない。

「誰なんだ!?」

「しつこいわね?しつこい男は嫌われるわよ」

「エイダの真似をしている女が今更!」

「どうしてそう思うのかしら!」

「お前は俺を見ていない!俺はエイダの事を知っている!少なくともお前以上にな!それに、お前は人間じゃない!」

 彼女の体からウイルスを感じる。

 マシンガンを撃ちながら、偽エイダの足を狙うが、偽エイダは曲り角を曲がるとジュアヴォの用意した車に乗った。

「クソ!」

 俺達の足では追いつけそうにない。

 そうしていると、更にもう一台の車がやってきた。

「二人とも乗ってください!」

 そこに居たのはピアーズで、俺達は車に乗り込んだ。

「クリスは?」

「治療班に任せてきました!摑まっていてください!」

 ピアーズは前の車にあっという間に追いつくと、ジルが後ろの機関銃を使って偽エイダに攻撃を仕掛けた。

 その間に俺はエイダに連絡を取ることにした。

 エイダに電話を掛けると、すぐに連絡がついた。

「エイダ!聞きたい事がある」

『何かしら?』

「お前今どこだ?」

『ビーチでバカンス中よ』

 嘘は言っていないだろう、少なくとも後ろから波の音が聞こえてくる。

「すまないな」

 そう言うと俺は電話を切って目の前の偽エイダに集中することにした。

「間違いない!あれは偽物だ!」

 川沿いにたどり着くと、偽エイダはボートに乗り換えてそのまま逃げて行った。

 俺達は車から降りると、ボートに乗り換えた。

「急ぎます!」

「頼む!」

 俺達はハンドガンやマシンガンを使って偽エイダの乗っているボートを攻撃した。

 ピアーズは運転がある為、攻撃が出来ない。

 揺れるボートの上では、中々攻撃が当たらない。

「待て!偽エイダ!目的はなんだ!?」

「さあね?想像してみて?」

「はぐらかすな!」

 答えが返ってくるとも思っていない、足止めになればと思って行って見た。

 ボートは確実に町の外に走って行く。

「町の外に行かれると厄介だ!」

「それまでには!」

 偽エイダは再びボートから降りると、そのまま逃げて行った。

 俺達も再び偽エイダを追って行くと、広い広場に出た。

 そうしていると、上にやってきたヘリから機関銃の攻撃が降ってくる。

 俺達は物陰に隠れると、偽エイダの声が聞こえてきた。

「じゃあね」

「待て!」

 偽エイダはヘリに乗り込むと、そのまま山奥に逃げて行った。

「追いますか?」

「無理だろうな」

俺はポーチからフィンと書かれたドッグダッグを持つと、死んだ者達を思い浮かべた。

 忘れないでおこう…

 彼らがいたことを…

 彼らが闘った事を…

 みんながこの戦いで犠牲になった…

 この戦いの犠牲者を無駄にしないためにも…

「ベル?」

「忘れないでおこう…この戦いで犠牲者がいた事を…」

「そうね…」

「この戦いの悲劇を」

「フィン…」

 俺達はこの時、確かにそう誓ったんだ。

 これが始まりの物語




 北米支部の代表室では、今まさに通信会議が行われていた。
 国連のトップと各国の首脳と俺との間で。
 内容は既に決まっていた。
 数日前に失踪したクリスの処置をどうするかだ。
 そして、今処置が決定した。
 俺は代表室の前でたむろっているメンバーに告げることにした。
「たった今クリスの処置を決定した」
 メンバーはピアーズやパーカーを初めとする、クリスに面識のある人間たちだ。
「クリスは戦死扱いとする。以上だ」
 そう言うと、予想通りの反応が返ってくる。
「待てくれ!死んだわけじゃないのに戦死は…」
「病院から逃げ出した人間をいまさら捕まえたところで役には立たない」
「しかし!」
「それにこれは国連の決定だ」
「お前はそれでいいのか!?」
「ああ、俺はこれが妥当だと思う」
 そう言うと全員があきらめた顔をしていた。
 すると、ピアーズは俺に提案を持ちかけた。
「待ってください!期限を!少しだけ待ってください!俺が隊長を連れてきます!この時に隊長がやる気を取り戻していたら、復帰を許してください!」
 みんなからも俺もと声が聞こえてくる。
「……いいだろう」
 そう言うと全員の表情が変わった。
「ただし!」
 俺は大きな声で条件を追加した。
「捜索はアルファーチームが行う事。それ以外の人間の捜索は認めない。その間、アルファーチームの隊長はピアーズが取る事。そして期限は半年だ。それ以上は認めない」
 ピアーズは少し考えていると、黙って頷いだ。
 俺は再び代表室に戻ると、黙って椅子に座った。
「お疲れ様」
 ジルはコーヒーを俺に対して出してくれた。
「どうして本当の事を言わなかったの?」
「話しておくべきじゃないと考えたんだ」
 本当の事…。
 本当はクリスの捜索は既に終わっている。
 どこに居るのかも分かっていた。
 しかし、それ以上に俺はクリスが記憶を取り戻した時の事を恐れた。
 もしクリスが復讐をしようとすれば、それは隊全員に被害が行く。
 だからクリスは失踪したと公表した。
「もし、クリスが復讐を果たそうとすれば?」
「その時は……ピアーズに任せるさ」
「それでいいんじゃない」
 夜が明けるにはまだ時間が掛かりそうだ。


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夜はまだ明けない

アメリカはこの日、大事な人を失った
俺はまた守れなかった
俺達の夜はまだ明けない


 トールオークス大学の構内で俺とジルは、大統領の安全を確保する為に動いていた。

 構内にはすでに安全な場所は無く、既に大統領が死んだ可能性もある。

 生死を確認する為にも、大統領の部屋に急がなければならなかった。

 

 

 数日前に俺は大統領から一つの提案を受けた。

 それは、ラクーンシティの真実を公表するから、君にも手伝ってほしい。

 しかし、それを公表するという事は、アメリカという国を危機に陥れる事になる。

 それでも大統領はすると言った。

 だからこそ、真実を知っている俺に協力を要請してきた。

 念の為にレオンを呼んでいるという。

 俺はアメリカ政府そのものを敵に回す行為だ。

 しかし、だからこそ、アメリカという国だけにこだわっていると、これからの世界は危険な事になる。

 アダム…。大統領はその為に公表をすると決めたのだろう。

 

 

 構内に銃声が響きわたった。

 以外に近い場所からの音に、俺は嫌な想像をしてしまった。

 構内の階段や廊下を必死に走って行くと、大統領が居るであろう場所まで辿りついた。

 部屋の中に入ると、そこに居たのは大統領の死体だった。

「アダム…お前を守れなかった。すまない」

 ジルはアダムの体を調べていると、一つの結論を導き出した。

「ゾンビ化をしたようね。そして誰かがゾンビ化した大統領を撃ち殺した」

 俺はアダムから離れると、ドアの方を見つめた。

「撃ったのはついさっきだろう。そして俺達はそいつらに会わなかった。という事は、撃った奴は俺達とは別の方に移動したという事だろう」

 俺は今回のバイオテロはアメリカ政府の内部犯の可能性が高い。

 犯人の心辺りはある、犯人は…

「今回のバイオテロはシモンズの犯行だろうな…」

「シモンズってイドニア共和国にエージェントを送たって言う?」

「ああ、おかしいと思わないか?イドニア共和国にウイルスを提供した時に、シモンズはエージェントを送って、とある人物の回収をさせた。それもウイルスを提供する事を予め知っていなければ、あんなに迅速に動く事が出来ない。おそらくシモンズは偽エイダにウイルスをゲリラに使うようにいい、それを利用してエージェントを利用して、とある人物の回収を行った」

「その人物の回収の目的は?シモンズがそうするだけの理由があるはずよ」

「俺達に回収されたくないからだろうな。ゲリラの中にウイルスが効かない人間が居るという事は、その人間にはウイルスに対する抗体があるという事だ、それを消すためだろうな」

「要するにウイルスのワクチンを作ってほしくなかったって言う事?」

「そう考えると、色々と辻褄が合う。それに大統領の警備は完璧と言っても過言ではない。それでもバイオテロを起こしてしまった。それは、内部の人間を使って隙を作ったて言う事だ。それもシモンズが送った人間なら可能だろう。バイオテロをどうやって起こしたのかは分からないが…」

「新型のウイルスだと思う?」

「マルハワ学園の事を考えると、新型という事になるな。多分直接注入するか、ガスを吸うかで感染のタイプが違うんだろう。そう考えると、今回のバイオテロはガスを使った感染だろうな。BOWをうまい事使って感染させたのだろう」

 

 

マルハワ学園…アジアで最大の名門校。前に大きなパンデミック状態に陥った。クリス、ピアーズ、そして新人エージェントのメラ・ビジが唯一の生存者リッキー・トザワを連れて、脱出を図った。しかし、脱出の途中でメラは死亡、マルハワ学園の生徒は全滅してしまった。その際に女性がウイルスの提供を行ったという情報を得た。

 

 

 今回のバイオテロは、マルハワ学園の時の感じと似ていた。

空気感染によるバイオテロ。

そして、イドニア共和国に現れた偽エイダ、そしてマルハワ学園に現れた女。

これは偶然なのだろうか?

「全てシモンズが関わっているのだとしたら、シモンズは必ず行動を起こす。多分…滅菌作戦を起こす。自分の証拠を全て消す為に」

 あいつが犯人なら必ず行動を起こすに決まっている。

 かつてラクーンシティを吹き飛ばした男なら、必ず起こす。

 俺はHQにシモンズを監視しているようにと言うと、俺達は構内からの脱出を図る事にした。

 

 

 構内から脱出すると、俺達は町の中をさまように歩いていた。

 どこに行けばいいか分からない。

 シモンズの証拠をつかむためには、この町を探索しなければならない。

最初は車で移動していたのだが、町の途中で車がやられてしまった。

 俺達は車から乗り捨てると、俺達は町の中を移動している。

「どうするか…悩みどころだな」

「HQからは何か情報が無いの?」

 そう言われても、これといった情報が何もない。

 悩んでいると、向こうから誰かがやってきた。

「こっちだ!」

 男が二人と、女が一人でガソリンスタンドから移動していくと、後ろから知った男が走って行った。

「レオン?」

「そうみたね。どこかに移動するみたいだけど」

 レオンが消えて行った方に行くが、そこには既に誰もいない。

 大きな門を超えればレオンに会えるだろう。

 しかし、俺達は脱出だけが目的じゃない、俺達はシモンズの証拠を手に入れる事が目的だ。

 その道を真直ぐ進んで行くと、武器屋が物陰から見えてきた。

 武器屋では数人が立て篭もって、戦っている人影にはレオンが居る。

 俺達が助けられればいいのだが、今ここで接触するわけにはいかない。

 レオンからシモンズに情報が漏れるような事が在ったら大変だ。

「なるべくゾンビをこちらに引き付けよう」

 ジルは黙って頷くと、俺はポケットから一つの手榴弾を投げて爆発させた。

 近くのゾンビは俺達の方に移動を始めると、俺達はハンドガンを使ってゾンビを蹴散らしていく。

 向こうの武器屋から1人の男が出てくると、ゾンビの一体を倒した。

 しかし、倒されたゾンビの一体が突如変異した。

 その姿はまるで、皮をはがされた人間の様だった。

「殺されるな…」

 そう言うと、男は化物に殺されてしまった。

 化物は武器屋に入って行くと、俺達はもう少し武器屋に近づいた。

 レオンが上に上がると、ポーチから盗聴器を上に投げると、会話内容を聞いた。

「教会…そんなものが有るのか?」

 端末から教会の居場所を調べると、確かに市内に教会が一つある。

 こんな町に教会がある事はおかしくない。

 問題は何で一つしかないのか、という所だ。

「シモンズと何か、関わりがあるかもしれないな。それにレオンもそこを目指しているようだし」

「行って見ましょうか」

 俺達は近くのバイクに乗り込むと、教会を目指して走り出した。

 

 

 森のようなところを移動していくと、崖の上から大きな教会が見えてくる。

 夜の雰囲気もあってか、とても不気味な雰囲気を醸し出していた。

「不気味な…」

 後ろから大きなバスがやってくると、俺達はその場から移動した。

 バスは崖に突っ込むと、落ちそうな態勢になる。

 さすがに見過ごせそうにない、俺達はバスに近づこうとした時、更にトラックが突っ込んで行く。

 バスはトラックごと下に落ちてしまった。

「あれじゃ…生存者は…」

「…行きましょう」

 俺達はバイクを動かすと、道のりを移動していく。

 少し時間が掛かったが、ようやく教会の入り口に差し掛かると、バスが火を噴きながら倒れていた。

 俺達は少し黙祷をすると、そのまま墓地の中を進んで行く。

 既に戦った痕跡が見つかる。

 すると教会に鐘の音が響く、俺達の周りに墓からゾンビが現れた。

「ここで何かが在ったと考えるべきだろうな…。ゾンビが自然に出現するものじゃない」

「ここで実験が在ったと考えると、ゾンビの存在も頷けるわね」

 俺達はハンドガンを使ってゾンビを撃退すると、真直ぐ教会を目指していった。

 橋のような場所を移動すると、多くの墓を眺めながら移動していく。

 そのまま教会の大きなドアの前まで来ると、俺達は教会の中に入って行く。

 大きなドアを二人で開けると、教会の中は霧のようなものが覆っていた。

 中には何人か生存者がいるが、霧のようなものを吸ってゾンビ化仕掛けている者もいる。

 そんな霧を出しているのは、女性を乳房のようなものが体中に付いているような体だ。

「あれが今回のバイオテロを引き起こした犯人か?」

「多分ね」

 戦った痕跡が残っている所から推測すると、既にレオンが闘ったのだろう。

 倒したと思っていたら、まだ生きていたのだろう。

 俺達はハンドガンを構えて、化物と戦う事にした。

 俺達は化物と一旦距離を取ると、俺は柱に隠れて化物を撃ってしまう。

 ジルも柱に隠れて化物を狙撃する。

 こいつの霧は危険なものだ、俺が近づく分には大丈夫だが。

 ジルが近づくと感染してしまうだろう。

「ジル!近づくなよ!」

「ええ!」

 化物に何発か撃つと、化物はその場で灰になってしまった。

 教会の中に居た人間は全てゾンビになってしまっていた。

「行きましょう」

「…ああ、分かっている」

 ここに居ても誰かが生き返る事は無い、俺達がすべきことは他にある。

 俺達は教会の奥に地下への階段をゆっくり降りて、大きなドアを開ける。

 ドアを開けると、そこはちょっとした研究施設のようになっていて、俺達はゆっくりその場を移動していく。

 研究施設の中には、色々な書類があるが、シモンズの証拠がつかめなかった。

 しかし、こんな研究施設をシモンズがそのままにしておくはずがない。

「ここを吹き飛ばしかねないな」

「こんな研究施設を残しておくはずがないでしょうけど」

 俺達は研究所の中を調べて行くと、奥から大きな爆発音が聞こえてくる。

 俺達は走って行くと、一つの研究所の中から火が噴き上がっている。

 俺達が来た道にいないという事は、隣の道を進んだに違いない。

「行くぞ!」

「ええ!」

 俺達は真直ぐ道を進んで行くと、そこに居たのは俺の良く知る顔だった。

「…エイダ?」

「あら、こんにちは、ベル」

「この人がエイダ?」

「ああ、なぜお前がここにいる?」

 間違いない、こいつは本物のエイダだ。

「ある人からここに来いって言われたからよ」

「そいつは偽エイダか?」

「…もう会っているようね」

「まあな」

 俺達はそれぞれの情報を交換することにした。

 

「なるほど…やっぱりあのエイダは新型によって生まれてきたのか」

「ええ、映像にはサナギから生まれてきたわ」

「シモンズが裏で行動しているようだし」

「厄介だな…」

 そう言うと連絡でHQが俺達に情報を伝えた。

「ジル、エイダ。ここに核が落ちるぞ」




 俺達はヘリの中から消えていく、トールオークスの町が焼かれていく。
 あの後俺達はエイダとは別に脱出した。
 エイダはエイダで脱出の方法があるみたいだ。
「こちら代表だ!滅菌作戦を許可した奴を捕まえろ!BSAAの許可なしに行うなんて馬鹿げてる!」
『こちらHQ!滅菌作戦を指示したのはシモンズです!シモンズは既に逃亡中!』
「国際指名手配をしろ!逃亡先は!?」
『中国の蘭祥です!』
「俺達もそこに向かう!」
 まだ夜は明けていない。


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地獄の始まり

中国に降り立ったベルとジル
目的地にまっすぐ急ぐ
二人の道は、他の者達と同じように交わる
その先は…


 中国の蘭祥にあるメディカルリサーチセンターを目指していた。

 そんな俺達は今、偉葉でジュアヴォと戦っていた。

 徐々に目指しているが、中々たどりつけない。

 急いでいるが、ビルの屋上や建物をつないでいる橋を渡っているのに中々たどりつけない。

 今もジュアヴォと戦っていて、ビルの屋上で建物を盾にしている。

「数が減らない…」

「もう少しでいなくなりそうよ」

「だとしても…この数は…面倒。大体ここまで来るのに何体のジュアヴォが出てきたか…。50を超えたあたりで数えるのを止めた」

「私はあなたが闘っている間に、数えている事に驚いたわ」

 最後のジュアヴォを倒すと、俺達はようやく落ち着けた。

「ふぅ…。しかし、色々な種類の変異があるモノだな」

「サナギになると少し面倒ね…」

「メディカルリサーチセンターに早めに行かなくちゃいけないのに」

 俺達がなぜメディカルリサーチセンターを、目指しているのかというと。

 エイダからの情報で、ここにネオアンブレラの研究所があると聞いたからだ。

 他にもいくつかあるらしいが、三人で回るより手分けして回ったほうが早いと言う考えに至った。

 エイダは1人の方がやりやすいと言う理由で、一人だった。

「しかし、予想以上に遠いな。結構歩いているが」

「確かにまだ視界に入ってこないし」

 かなり歩いているのに、中々たどりつけない。

 直接降りれればいいのだが、ここら辺はジュアヴォの数が多く、途中で落とされる可能性が高い。

 仕方が無いので、偉葉の端で俺達は降りて、ここまで歩いて来ている。

「ここで立ち止まっても仕方ないわ、少しぐらい歩かないと…」

「そうかもしれないけど」

 正直…少し面倒になってきた。

 こんな事なら、別の奴に頼めば良かった。

「今、他の人に頼めばよかったと考えてない?」

「…少し。ちょびっとだけ」

「全く…あなたは…」

 ジルに少しの間叱られると、俺はその場から移動を始めた。

 鉄パイプが何本も使ってある橋を渡りながら、隣のビルに急いでいる。

 しかし、足場が少し悪いので、ちょっとしたことで落ちそうだ。

「よくもこんなところを移動しようとか思うよな」

「確かに、ちょっと足場が悪いわね。下から攻撃が来ると、落ちそうね」

 隣のビルまで辿りつくと、一息つくことにした。

 俺達は銃火器の補充をすると、また次のビルを目指して動き出した。

 足場の悪い橋を歩いていると、突如足場が崩れてしまった。

 俺達は崩れていく、鉄パイプを使って何とかリビングのような場所に出る。

 すると、俺達目掛けてアサルトライフルで攻撃を仕掛けてくる奴が現れた。

「クソ!こんな時にも、ジュアヴォかよ!」

 俺達はとっさに物陰に隠れると、敵の数を確認した。

「数は…三体ね。多分、偵察中にでも遭遇したんでしょう」

「ついてない…。とことんついてない」

 一番下に降りると、ジュアヴォと交戦を始めた。

 俺の撃った弾がジュアヴォの足に当たると、足が突如大きくバッタのような形に変わった。

 ジルの弾も、ジュアヴォの腕を変えてしまった。

 もう一体も、足が羽になってしまい、逆さまのまま飛んでいる。

 俺は腕が変異したジュアヴォの上に乗ると、飛んでいるジュアヴォを蹴り飛ばした。

 ジルは、もう一体のジュアヴォの喉を切り裂くと、俺は最後のジュアヴォ飛んでいる間にハンドガンで撃ち落とした。

 俺はうまく着地すると、その場でため息をついた。

 すると、ジルは俺の方を黙って見つめると、一言言ってきた。

「あなたね…ため息は幸せを逃すって自分で言ったのよ」

「だって…。今日は本当についてない。そもそも中国についた所からついてない」

「…確か、ここら辺って…。保沙湾じゃなかったかしら?」

「保沙湾?」

「ええ、確かスラム街で、確か…。無法地帯だって話よ」

「ジュアヴォが多そうだな」

 無法地帯だったら、偽エイダに騙されてウイルスを投与された人間は多そうだ。

 どう考えてもこれからジュアヴォに襲撃されそうだ。

 そう考えると…なお面倒だ。

「このまま下から移動した方が近そうね」

 確かに、上に戻るより速そうではあるが。

 俺達はスラム街を歩いて行くと、大きな音が聞こえてくる。

 その音がちょっとずつ近づいてくる事に気付いた。

 不意に上を見ると、飛行機が上空を低空飛行していた。

「やけに低くないか?」

 ジルに聞いてみると、すぐに飛行機が落ちる音が聞こえてきた。

「!落ちた!?」

「通り道の途中じゃないかしら?」

 俺達はスラム街を移動していくと、またしてもジュアヴォが邪魔をしに現れた。

 物陰に隠れると、ジュアヴォと交戦を始めた。

 ジュアヴォは予想より遥かに多く、俺達はかなりの時間をその場で費やした。

 ハンドガンで交戦しるが、中々ジュアヴォは数が減らない。

「次から次へと!」

 そうしていると、奥からロケットランチャーを持って現れた。

 俺達は横に飛んで回避すると、俺達は何とか攻撃を回避する。

「なんな物まで取り出すとは」

 さすがに驚いていると、更にもう一発撃とうとしていた。

 俺達はさすがにそれだけは塞がなければならない。

 俺はハンドガンでジュアヴォの腕を撃って変異させた。

 ロケットランチャーを地面に落とすと、俺達に向かって歩いてきた。

「数がまだ来るのか!?」

 奥からさらに現れると、俺達は何とかその場から移動する。

 ビルの中を通って行き、何とか戦闘を回避した。

 これ以上は弾を使い切ってしまいかねない。

「数が多いな。これ以上感染が広がると面倒だぞ」

「ええ、なるべく偽エイダを捕まえないと」

「念の為に偽エイダを捕まえるように各隊に伝えろと言っているが…」

 問題は、クリスの動きが変わっている事だ。

 恐らく恐れていた事態が起こったのだろう。

 偽エイダに復讐をしようとしているのかもしれない。

 だとしたら、ピアーズには悪いが…最悪の場合は…。

 

 殺すしかないかもしれない

 

 そう考えている俺がいる事に驚いた。

 しかし、ピアーズに任せると決めた以上、これ以上関わるべきではないのかもしれない。

 それでも、もしもの時は、俺が助けるしかない。

 ビルの中を進むと、貨物が多く散乱している場所に出た。

 鉄塔のようなものが、倒れている。

 俺達は貨物が散乱している場所を移動していると、隣で倒れている飛行機を眺めた。

「…ひどい」

 鉄塔のようなものには、火が噴いていて道を塞いでいる。

 この先が目的地なのだが、どうしたものか考えている。

 そうしていると、鉄塔が動き出した。

「なんだ!?」

「何かが動いてる?」

 鉄塔から離れて行くと、鉄塔の下から大きな巨体の化物が現れた。

 腹の部分がえぐれているようにも見れる。

 人型のBOWは片手が取れていて、こちらをゆっくり見つめている。

 そうしていると、化物は恐ろしい速度で俺達に向かって走ってきた。

 俺とジルは横に飛んで回避すると、ハンドガンで反撃した。

 しかし、ハンドガンの攻撃をまともに受けてもびくともしない。

「ネメシスを思い出すな」

 ネメシスやタイラント以上のタフで、執念深そうだ。

 俺はアサルトライフルを構えると、化物の顔目掛けて引き金を引いた。

 ジルは高台に上がって上に在る、タンクを下に落とした。

「ベル!」

 俺はジルが落としたタンクの元に行くと、化物を誘った。

 化物は俺に向かって走って行くと、俺は横に思いっきり飛んだ。

 ジルは俺が移動したのを確認すると、タンクに向かって引き金を引いた。

 タンクは大きな爆発音と共に、周囲に爆炎が広がる。

「やったか?」

 炎の中から人影を出てくる。

「あれを喰らっても立っているとは…」

 化物はこちらに向かって歩いてくると、不意にどこか別の方向を見つめた。

 すると、化物はどこか遠くに飛んでいく。

「?なんなんだ?」

「さあ?とりあえず行きましょうか」

 俺達は鉄塔を回避しながら目的地に急いだ。

 

 

 少し歩いて行くと、店が立ち並ぶ場所に出た。

 俺達は真直ぐ道を進んで行くと、奥でレオンがドアのカギを開ける所だった。

「レオンもここに来ていたか…」

「何か目的があるみたいだけど…」

 そうしていると、通信機に通信が入った。

『代表!こちらHQ!報告したいことが!』

「なんだ?なるべく早くしてくれ」

『クリス隊長がエイダ・ウォンを発見したとのことです!』

「どこだ!?」

『メディカルリサーチセンターです!』

「…分かった。俺達も近い、すぐに向かう」

 そう言うと、俺は通信を切った。

 ジルの方を見ると、メディカルリサーチセンターを目指した。

 

 

 俺達は目的に到着していた。

 裏口から入ると、俺達は上の階を目指した。

 ドアを開けて中に入ると、そこはコントロール室になっている。

「ここからこの施設のコントロールをしていたようだな」

 そうしていると、室内でクリスとピアーズが奮闘していた。

 俺達はここからクリスたちの部屋の鍵を開けた。

「他の隊員は、全滅したのか?」

「あなたが恐れていた事態が起こったという事ね」

「クリス…」

 俺達は更に奥のドアを開けると、下ではレオン達とクリスたちが偽エイダを追っていた。

 俺達はその様子を見ながら俺達自身も偽エイダを追っていた。

 クリスとレオンが偽エイダを追い詰めると、俺達は二人のやり取りを見守ることにした。

 少しすると、偽エイダは逃げて行く。

 それをクリスが追うと、レオンはクリスに何かを言っていた。

「ベル?」

「…ありがとう、レオン」

 俺達はその場から移動すると、レオン達の後を追った。

 しかし、レオン達の方が早く、俺達は数分遅れて目的地にたどり着いた。

 そうしていると、レオン達はシモンズを追いかけて外に飛び出した。

「行くぞ!ジル!」

「行きましょう!ベル!」

 

 

 ヘリで遠くに移動すると、達芝の町の端いにたどり着く。

 すると、化物になったシモンズがそこにはいた。

「コロス!お前もレオンもエイダも!全員殺す!」

「お前はもう…。終わりだよ」

 ジルと共に構えると、俺達は戦闘を始めた。

 アサルトライフルを構えると、引き金を引いた。

 シモンズは獅子を想像させる姿を取ると、ダメージを受けていたシモンズはすぐに元の人間に戻った。

 俺はシモンズに乗っかると、なんども殴りつけた。

 再びシモンズが化物になると、先ほどと同じ方法で攻撃を繰り返した。

 ほどなくしてシモンズは静かにその場に倒れた。




 俺達はその場から移動すると、HQから通信が入った。
『代表!そこから逃げてください!』
「?どうした?」
『ウイルスを乗せたミサイルが!そっちに!』
「ウイルスを乗せたミサイル!?」
 そんな会話をしていると、ミサイルが俺達の上空を通り過ぎた。
 俺とジルは大きな声でその場の人間に指示を出す。
「全員!この場から離れろ!急げ!」
「みんな!逃げて!走って!」
 地獄の始まり


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地獄の終わり

始まりがあるように
終わりもまたある
半年に及ぶ地獄の…終わり


 俺達は達芝の通りを走りながら、クアッドタワーを目指していた。

 クアッドタワーで避難している人達を救出する為に急いでいる。

 他のBSAAの隊員が撤退させている為、俺達が直接目指すしかなかった。

 通りを走り去ると、非常階段を急いで登って行く。

 何階まで上ったのか分からないが、ある程度上がると俺達はドアを行きよい良く開けた。

 ドアを閉めて鍵を掛けると、部屋の中をゆっくり歩いて行く。

 窓際で一人の隊員が倒れている。

 俺達が傍に近づくと、隊員が死んでいる事に気付いた。

 俺達は無言でその場から離れると、近くのドアを開けて外に出る。

 外ではいまだに逃げ惑う人達と、ジュアヴォとゾンビが行きかっている。

 ここは一種の地獄だ。

 階段をゆっくり降りて行くと、再びゆっくり通りを移動していく。

「クアッドタワーに居る人達もBSAA隊員も生きていればいいが…」

「望みは薄いけどね。私達が間に合えばいいけど」

 ゾンビの追撃を何とか回避しながら、俺達はここまでたどり着いた。

 クリス達は海底油田を目指しているらしい。

 なんでもそこに囚われている人間を救出するらしい。

 と言ってもまだ海底油田にたどり着いていないらしい。

「海底油田に捕まっている人間って、あのアルバート・ウェスカーの息子らしい」

「そうみたいね。あの男に息子が居たなんてね」

 俺達にできる事は無い、俺達がするべき事は別にある。

 大きな通りに出ると、目の前にクアッドタワーが見えてくる。

 ここにBSAAの隊員達や避難している人間がここにいる。

「行こう。もう少しでたどりつけるはずだ」

 通りを走って行くと、ゾンビが大量に道の真ん中に邪魔をしている。

 ハンドガンでゾンビを何度も倒して行くと、後ろからも現れる。

「目の前のゾンビに集中しよう!」

「ええ」

 目の前にゾンビを倒しながら、クアッドタワーを目指していく。

 ようやくクアッドタワーの駐車場の入り口が見えてくる。

 駐車場の入り口にはシャッターが下りているが、俺達が近づくとシャッターが壊れた。

 シャッターの奥から数えきれない数のゾンビが現れる。

「こっちだ!」

 俺はジルを連れて道を曲がってクアッドタワーの別の入り口を探す。

 すると、上の方で何かが落ちてくるのが見えた。

 連絡橋がクアッドタワーの外に突き刺さる形が落ちた。

「危ないな!なんで連絡橋が」

 上の方を見るが、高すぎる為か何があるか分からない。

 俺達はゾンビの大群から逃げるように移動すると、クアッドタワーの入り口が見えてくる。

 俺達は入り口に走って行くと、奥にそのまま移動していく。

 中はやけに静かで、ゾンビや生存者などいないようにすら思える。

 避難場所を真直ぐ目指すが、ゾンビは後ろから追っていることに気づいた。

「生きていてくれよ」

 ホールにたどり着くと、そこに居たのは、ゾンビと死人の山だった。

「間に合わなかった」

「…ベル。行きましょう」

「ああ、分かってる」

 ホールから出ると、今度は別の場所を目指していく。

 今回の事件の主犯格の情報が欲しい。

 俺は端末を使って、とある人物を呼び出した。

「…エイダか?俺だ。お前に仕事があるんだ。今回の事件の主犯格の情報を入手してくれ。…ああ、仕事だ」

 そう言うと、エイダとの連絡を切った。

 俺達は真直ぐ進んで行くと、中央に大きなタワー状のモニュメントが付いている。

 すると上から人が降ってきた。

 人はモニュメントに突き刺さると、血が地面に一つの紋章を作らせた。

 それは、俺達にとって畏怖すべき紋章だった。

「…アンブレラ」

 落ちてきたのはシモンズだと気づいた。

「馬鹿な男だ。自分を中心に世界が回っていると思っているのだから。でも、世界はお前を中心には回っていない。アメリカを作ったのはお前かもしれないが、今のアメリカを動かしているのは、市民だ」

 シモンズ家が何かを裏で何かをしているのは事実だ。

 それを何とか明かさなければならない。

 シモンズは自分が絶対だと信じていた。

 この一連の戦いの犠牲者はこんな結末を望んでいたのだろうか?

 フィン達はこんな戦いを望んでいたのだろうか?

 こんな、すべての人が犠牲になった戦いを…望んでいるのか?

 それを確かめる術など俺には無い。

 それでも、死んだ者達が安らかに眠れる事を望もう。

 すると、シモンズから端末が一つ落ちてくる。

 俺はそれを拾って、中身を確認してみる。

『あなたは良い道化でしたよ。byバロク』

 そこに書かれている人間の名前を見た途端、俺はすべてを理解した。

 どうしてバロクがあれだけの逃亡劇をすることが出来たのか。

 答えは簡単で、シモンズが裏で取引をしていたからだ。

 シモンズすら利用して見せたバロク。

「道化…。シモンズすらも自分の計画の土台でしかないのか?あの男は何がしたいんだ?」

「…分からないけど。哀れな男ね。シモンズ」

 奥から声が聞こえてくると、エイダがいつの間にか傍に来ていた。

 エイダは俺に向かって何かを投げてくる。

「?これは?」

「偽エイダ…。カーラ・ラダメスの情報よ。お金はいつもの所によろしく」

「分かってるよ。そう言う所はちゃっかりしてるな」

「仕事だしね」

 俺は端末に差し込むと、カーラ・ラダメスの情報を見ていた。

 そこには、1人の女性のシモンズに対する愛情が憎しみに変わって行く瞬間が移されていた。

「カーラ・ラダメスも、ウイルスに運命を翻弄された人間と言った所か…」

「悲惨な最期だったわよ」

「…せめて安らかに眠れる事を祈りましょう」

「そうだな…。それでもこの戦いは犠牲者が多すぎる。多くの人が傷つき、倒れて…死んで逝った」

「それでも、私達は生きているわ」

「そうよ、私達が出来る精一杯の事をしましょう」

 この戦いを生き延びた人間として、俺達はこの世界からウイルスを消さなければならない。

 イドニア共和国から始まり、中国に至るまでに多くの人々が犠牲になったこの戦い。

 忘れないでおこう、戦っていくために。

 

 

 クアッドタワーの入り口から出て行くと、俺達は大きな通りに出てきた。

 エイダと共に歩いて行くと、上からヘリが降りてくる。

「代表!大変です!」

「どうしたんだ?エル」

「彼からの情報で、海底油田に超大型のBOWを発見しました!これが解き放たれたら、あっという間に世界中にウイルスを感染させる事が可能だそうです!」

 エルからの報告を聞くと、俺は少し唖然としていた。

 未だにそんな切り札が在ったのか?

 海底油田と言えば…

「海底油田って、確かクリスが向かった…」

「ああ、少し心配だな」

 そう考えていると、俺は何か策を考える事にした。

 超大型のBOWをどうにかする事は容易い。

 問題はクリス達を救出できるかどうかだ。

「あいつはどこに居る?」

「さあ?今は分かりません。もしかしたら、既に帰宅しているかも」

「…役に立たん男だ」

 こういう時にあいつが居るのに!

 こうなると、俺達が直接救出に行かなければならない。

「…エル!確か、例のウイルスが在ったはずだな?」

「はい。たしかに持ってきていますが?」

「用意してくれ!後、潜水艦を一隻用意してくれ」

「分かりました!すぐに用意させます!」

 そう言うと俺はエイダの方に向かった。

「すまんがエイダ、付き合ってくれるか?」

「お金をよろしくね」

「…分かりましたよ」

 

 

 潜水艦に乗って海底に移動していくと、海底に今にも沈みそうな海底油田が見えてくる。

 俺達は今からあそこに乗り込もうとしているのだ。

「あそこに乗り込むって事は、ある意味自殺行為よね?」

「言うなよ。想像したくない」

 海底油田に止めると、中に乗り込んだ。

 潜水艦を止めたところは、まだ浸水をしていないらしく、エイダは近くの端末で、周囲の隔壁をうまく閉じた。

「これである程度の時間は稼げるはずよ」

「じゃあ、行くか?」

「ええ」

 

 

 クリス隊長を送った、ハオスも倒した。

 これで良い、これで守られた。

 代表が危惧していたことが、今になって理解できた。

 あの人は、こうなる事を心のどこかで理解していたのかもしれない。

 体の変異が止まらない。

 なんか、どうでも良くなってくる。

 それでも、あの人にすべてを任せる事にした。

 みんな…ゴメン。

 俺はここまで見たいだ。

 そう…もう、寝てもいいよな?

 

 

 俺は死んだのか?俺は今…どこに?

 揺れている?暖かい何かの上に居る事が分かる。

 ゆっくり目を開けると、そこに居たのは…

「代表?」

「?目を開けたか?」

「大丈夫?ピアーズ」

「…どうしてここに?」

「助けに来たに決まっているだろ」

 代表達だった、代表にジルさん、それに…あのエイダ・ウォンがそこにはいた。

「頑張ったな!ピアーズ」

「代表…俺は」

「大丈夫だ…大丈夫だから」

 そうか…もう、大丈夫なのか。

 それが分かると俺はどこか安心してしまった。

 何か悪夢を見ていたような気がする。

 すべてが夢にさえ思えてくる。

「悪夢は終わったんだ」

 俺の失われているはずの右腕は、すっかり元の姿に戻っている。

 それどころか、変異がまるでなかった事になっているかのようだ。

 それを確認すると、俺は安心して眠ってしまった。




 代表室では、今まさにクリスが呼ばれていた。
「アルファーチームの全滅および単独行動、命令違反などなど…。まあ色々とやらかしてくれたな」
 目の前の書類を見ると、ため息が出てくる。
「本来ならお前は除隊処分になってもおかしくないのだが…。まあ、ハオスを倒した構成もあるし、全世界規模のバイオテロを防いだ功績もある。よってお前は引き続きアルファーチームの隊長を務めろ。止めるなんて言い出すなよ。本来ならピアーズがその場に付くはずだったんだからな?」
「分かっている」
 そう言うとクリスは部屋から出て行く。
 俺も部屋から出ると、病棟に急いだ。
 病室に入ると、そこにはジルが既に居た。
「容体は?」
「今の所は何ともないそうよ。でも、いつ目を覚ますか、分からないって」
 そう、ピアーズは結果からすれば生きている。
 変異した体も元に戻っている。
「うまくなじめるかどうかは、ピアーズに掛かっているしな」
 どうしてピアーズがどうして無事かと言うと、俺がピアーズに“改良型NTウイルス”を打ったからだ。
 しかし、これからピアーズが生きていけるかは、今の所は五分五分だ。
「…すまない、ピアーズ。俺がちゃんと止めてさえいれば」
 後悔だけが、この場を見たいしてる。
 窓を見ると、ようやく日が昇っていた。


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cordname”NT”
ATウイルス


バロクを追いかけて色々な人たちが集結していた
今、最初の終わりを語る事にしよう


 車で中東の国々を移動しながら、目的地にたどり着こうとしていた。

 車の窓からは、廃墟と化した一つの町が見えてくる。

 廃墟の町からは、煙や炎が上がっていて、あちらこちらで戦っている事が分かる。

 俺達は今、廃墟の町に向かっていて、BSAAの本隊もあそこに居る。

 アメリカの部隊や、エージェントの部隊も派遣されている。

 周囲の探索や脱出口も完全に確保してある。

 どこにも逃げ道など無い。

 なぜアメリカの軍隊まで出動しているのかというと、あそこにバロクが居るからだ。

 アメリカからすれば、シモンズと関わった人間は消しておきたいのだろう。

「レオンやシェリーも派遣されているという事だ」

「そうみたいね。でも、ようやく彼を追い詰める事が出来たわね。あの中国での戦いから二年ね…」

「ようやくここまで追い詰めたんだ。今度こそ逃がさない」

 アメリカの軍隊すら派遣して見せたんだ、今度こそ捕まえて見せる。

 車は崖沿いを移動していて、ゆっくりと廃墟を目指していく。

 周囲の風景は枯れた木が立っているだけで、何もないのが残念だ。

「中東ってこんな感じなのか?」

「多分だけど」

 車はようやく廃墟の入り口にたどり着こうとしていた。

 入り口に配置されてる検問を通ると、車はテントの前で止まった。

 俺達は車から出ると、真直ぐテントの中に入って行く。

 中に入ると、数人も人間が俺に向かって敬礼をしてくる。

「遥々ご苦労様です!」

「ああ、状況の報告を!」

「はい!今、BSAAの部隊とアメリカ軍の部隊でバロクの捜索を継続しております。今の所は発見に至っておりませんが、レオン率いるDSOも現地に居りますので、捕まるのは時間の問題化と。それと、BOWはジュアヴォがほとんどです。…そう言えば、先ほど怪しい男を発見しました。」

 男はそう言うと、部屋の中に1人の男を連れてきた。

 男は黙って部屋の中に入ると、俺を睨みつけた。

 俺はため息を吐くと、解いてやれと指示を出した。

「安心しろ。こいつは俺が責任を持つ」

 男の名はジェイク・ミューラー、かつて中国の町やイドニア共和国をまたにかけて逃亡劇を繰り広げた男だ。

 ジェイクは部屋から出て行くと、どこかに消えて行った。

「あの男は戦力になる。それより、ここの町に女が一人入ってこなかったか?」

「…さあ?分かりません」

「そうか…。ならいい」

 エイダの奴は来ていないのか?

 てっきりここにきているのかと思ったが。

「俺達もバロクの捜索に出る」

「代表自らですか!?」

「ああ、元々俺はこういう性格だ」

 そう言うと俺は、テントから出て廃墟を目指した。

 廃墟の町は今にも壊れそうな感じがしている。

 俺は周囲に経過を向けながら、進んで行く。

 すると道のど真ん中に、大きなトラックが塞いでいる。

「仕方が無いわ、建物の中に入って迂回しましょう」

 仕方が無いと、肩をすくめると俺は建物の中に入って行く。

 建物の中は電気が通っていないし、窓は板で塞いでいて、とても暗い。

「気をつけろ。かなり暗いぞ」

 足元を確認しながら、進んで行く。

 曲り角の奥からジュアヴォが二体俺達の現れる。

 ジュアヴォは俺達に向かってアサルトライフルを構えた。

 俺達は近くにある物を使って攻撃を回避すると、ジュアヴォに向かってハンドガンで攻撃を仕掛ける。

 ジュアヴォの顔に攻撃が当たると、仮面の奥から複眼が見えてくる。

「気持ち悪い顔をしているな」

 ジュアヴォの腕が変異すると、腕が鎌のような形態に変化した。

 ジュアヴォは俺達の攻撃を何とも思わないように歩き続ける。

 俺は物陰から出ると、ナイフとハンドガンを持って近接攻撃を仕掛ける。

 ジュアヴォが俺に向かって腕を振り下ろすと、俺はジュアヴォの攻撃を避けて上空に回避する。

 もう一体のジュアヴォが俺に向かって攻撃を仕掛けようとするが、ジルの攻撃が顔面に当たる。

 攻撃が当たると、ジュアヴォは顔面を抑えながらその場で手を止める。

 俺はジュアヴォの後ろに回ると、一体のジュアヴォの首をナイフで切り落とした。

 ジルは苦しんでいるジュアヴォに近づくと、顔を回して倒した。

「もうジュアヴォが出ても苦しまなくなったわね」

「まあ、あれだけ戦ったからな」

 俺達は今まで色々な場所を生き抜いてきた。

 ジュアヴォもこの二年で色々な場所を移動して、戦って来た。

 完全に油断している所を、板がついている窓から腕が俺とジルの間に出てくる。

『!!!』

 俺達は悲鳴すら上がらない。

 俺達は窓から離れると、窓に向かってハンドガンを撃って反撃する。

 腕は窓から外に出ると、窓についた穴からジュアヴォが出てくる。

「なんなんだ!?いきなり!」

 ジュアヴォは窓から離れると、どこかに消えて行った。

 俺達も遭遇しないために、その場から移動していく。

 建物の中を回って行くが、出口が見当たらない。

「確か三階にある連絡橋を使って隣の建物に行きましょう」

「…仕方が無い、そうするか」

 俺達は上に上がる為の階段を探していく。

 すぐに階段を見つかると、俺達は階段をゆっくり上がって行く。

「しかし、こんな廃墟がいまだに残っているなんてな」

「こんなところを拠点にしたものね。隠れやすいって事なんでしょうけど」

「だろうな。外から見たらただの廃墟だからな」

 二階に上がるが、三階までの階段が見当たらない。

「?三階に上がる為の階段は?」

「…確か、別の所にあるみたいね」

 なんで、一緒の所に作らないんだ?

 作りが古いせいかもしれない。

 色々な所でヒビが在り、ある所では鉄筋が見えている所もある。

 二階を探索しながら移動していくが、中々階段が見当たらない。

「簡単な事かと思ったが、意外と面倒な事になったな」

「仕方が無いわ。さっさと探してここから出ましょう」

 数分歩いて行くと、ようやく階段を見つけた。

 俺達は階段を上って行くと、目の前に連絡橋が見えてくる。

「ようやく連絡橋か。かなり遠回りになってしまったな」

「行きましょう」

 連絡橋を渡ろうとすると、連絡橋の外から三階まであろうかという巨体が現れた。

 巨人は俺達に向かって腕を振りおろした。

 俺はジルを抱っこして三階から降りる。

 うまい事受け身を取ると、その場から離れて行く。

「なんなんだ!?」

「確か、イドニア共和国で発見されたBOWね。たしか背中の突起物を引っこ抜くと弱点が露出するはずよ」

 巨人は拳を、俺目掛けて向けて走らせると、俺は腕を乗って走って行く。

 俺は背中に行くと、突起物を掴むと一気に引き抜く。

 巨人は背中の俺を下そうと背中を振ってくる。

 突起物を引き抜くと、一度巨人から距離を取る。

「後は弱点を攻撃するだけね」

 どうやって攻撃をするか考えていると、巨人の背中にハンドガンの攻撃を受けた。

 巨人は後ろを向いて別の奴に攻撃を仕掛けようとすると、俺達は巨人の背中に向けてハンドガンの引き金を引く。

 巨人はこちらを向いては背中を撃たれ、向こうを見れば俺達に撃たれる。

 そんな事を繰り返していくと、巨人は苦しみながら溶けていく。

 向こうから三人が現れる。

 それは、俺達が良く知る男と二人の女だった。

「レオン…」

「お久しぶりです。代表」

「やめてくれ。同い年だろ?同い年に代表なんて言われると、俺自身はかなり困る」

「そうか?じゃあ、ベル久しぶりだな。君までこんなところに居るなんてな」

「それより、なんでDSOを指揮しているお前がこんなところに居るんだ?」

「別行動をしているんです」

「そっちは?」

「ああ、こっちがシェリー・バーキンで、こちらがヘレナ・ハーパーだ」

「ヘレナ…。ああ、確か中国の戦いで公式にDSOに移籍になったて言う?」

「あの時はありがとうございます」

「ああ、別に気にするな。俺が好きでやった事だし」

「あの、シェリーです。ジェイクの件はありがとうございます」

「そっちも気にするな。俺自身もそっちの方がいいと考えていたしな」

 そう言われると、俺はジェイクがこの廃墟居る事を思い出した。

「ジェイクと言われて思い出したが、ジェイクがこの町に居るぞ」

「え!?そうなんですか?」

 ジェイクの件をどうするか考えると、シェリーに任せるかと考える事にした。

「君にジェイクを任せていいか?」

「はい、別にいいですけど」

 俺は端末からジェイクの居場所をシェリーに送ると、シェリーは端末から情報を確認したのち、廃墟の町の中に消えていく。

「俺達はどうする?一緒に行動するか?」

「この先にBSAAの隊員が交戦しているはずだけど…」

「じゃあ、行って見るか」

 四人で町の中を移動していくと、目の前に戦闘音が聞こえてくる。

 ジュアヴォの数体が、道のど真ん中に装甲車を置いて抵抗をしている。

「装甲車まで用意していたのか?」

「どこから予算が回っているか、気になって仕方が無い」

 物陰に隠れると、装甲車を攻略するか考えている。

 あれだけの物体になると、中々落とせないだろう。

 地雷を使うという手もあるが、装甲車が動く気が無いのでその手は使えない。

「戦闘機を使えば早いんだがな。まあ、そんな事を政府が容認するわけがないか」

「あなたが言えば容認すると思うけど。今や、あなたにとって政府は手足でしょ?」

「?そうか?別にそう言う事は無いと思うけど」

 俺がどうやって破壊するか考えていると、角から戦車が現れた。

 俺達はそろってしゃがみこむと、戦車は装甲車に向かって一撃を叩き込む。

「あんなモノを用意していたとは、俺達が来る必要が無いだろ」

 再び戦車の一撃が、装甲車の横っ面に叩き込まれた。

 装甲車はそのまま沈黙してしまった。

「これでここの攻略もやりやすいだろう」

 ジュアヴォもこの場所から撤退していく。

 BSAAの部隊がジュアヴォを追撃していく。

「俺達は別の所を回ってみるか?」

 廃墟の街並みを眺めながら進んで行くと、通信機から先ほどの男から声が入ってくる。

『代表!先ほどBSAAの部隊が、地下研究所への道らしき場所を見つけたと報告が!』

「地下研究所…そっちはトラップだな。少数の部隊を送って中の様子を確認させろ」

『はっ!』

 地下研究所をバロクが簡単に発見させるとは思えない。

 そっちは完全にフェイクで、本命が何処か別の所にあるはずだ。

「地下研究所…。多分、ジュアヴォの巣窟だな」

「可能性としては、そっちの方が高いな」

 今までの感じからすれば、バロクが何か企んでいるという考えの方がいいだろう。

 バロクの計画がどんなものなのか、この目で確認しなければ。

「行こう!バロクを捕まえるんだ!」

 ジル、レオン、ヘレナと共に町の中を進んで行く。




 ついにベルまでこの町にたどり着いたか…
 でも、もう遅い。
 君では計画を止める事が出来ない。
 完成したのだ、“ATウイルス”が!


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偽りの名

懐かしい仲間と再会していくベル
一つの場所に集まって行く


 廃墟の街並みを通り過ぎて行くと、遠くで銃撃音が聞こえてくる。

 音のする方に進んで行くと、地下研究所が発見された近辺でジュアヴォとの戦闘があった。

 俺はハンドガンを構えて行くと、ジュアヴォと戦闘に入った。

 俺はハンドガンでジュアヴォの額に弾を撃ち込み、蹴り飛ばすとナイフで別のジュアヴォの頭に向けて投げた。

 レオンとヘレナは同じようにジュアヴォにハンドガンを使って撃退している。

 ジルはマシンガンを使って、ジュアヴォを撃退している。

 一部のジュアヴォは変異をしているが、それでも簡単に倒す事が出来た。

 あらかた倒し終えると、通信機に情報が入った。

『代表。今しがた、テラセイブから救援要請が入りました』

「分かった。近くの部隊を送れ、俺も行く」

 そう言うと俺は通信を切って走り始める。

 テラセイブが活動している方に進んで行くと、ちょうど誰かが戦闘をしていた。

 俺は走りながらジュアヴォを蹴り飛ばした。

「クレア!大丈夫か?」

「ベルさん!大丈夫です」

 本当に大丈夫なようで、クレアはハンドガンを持ったまま落ち着いていた。

「レベッカも大丈夫か?」

「はい」

 後ろのいたビリーと呼ばれていた男は、至って普通に戦っている。

 ジュアヴォの数はかなりで、油断していると周りを囲まれそうだった。

 俺はハンドガンを使って敵を掃討していくが、数が一向に減らない。

「…あの建物から来ているようだな」

 俺は近くにあった大きなビルを指差した。

 大きなビルの入り口からジュアヴォが出て来ている。

「今はここに集中しなければ」

 ハンドガンでジュアヴォの頭を吹き飛ばしながら、俺は常にビルから視線を外さない。

 やはりあそこから出て来ている。

 ジュアヴォが中々減らないが、数分戦っているとBSAAの隊員が現れた。

 BSAAの隊員と共に掃討をしていると、俺は再び大きなビルを眺めた。

 どうするか考えていると、クレアが話しかけてきた。

「ありがとうございます」

「気にするな。これも仕事の内だ」

 しかし、そう言いながら俺は常にビルを眺めている。

 俺はジルに話しかけると、二人でビルの中に入って行く。

 ビルの中は色々な物が散乱しており、それを分けながら進んで行く。

 ジュアヴォが今の所現れないのが不安だが、奥に進めば現れるだろう。

 ハンドガンの引き金に指をかけながら、警戒を高めて進んで行く。

 部屋の一つ一つを探って行きながら、一階を探って行った。

「中国の町を思い出すわね。あの時もこんな感じに不気味な雰囲気を感じていたわね」

「そう言えばそんな感じがするな。あの時は色んな意味で必死だったからな」

「どうやら一階には何もないみたいだけど、上に上がる?」

「地下に上がる手段が見つからないからな」

 階段をゆっくり上がって行くと、ようやくジュアヴォが現れた。

 二階は大きな食堂とキッチンが有り、ジュアヴォはテーブルを盾にして攻撃を仕掛けてきた。

 俺達は柱の陰に隠れていると、ハンドガンとマシンガンで攻撃を仕掛けてきた。

 相手は手榴弾を複数個投げてくると、俺達は柱から飛び出した。

 俺はもう一つの柱に隠れる、ジルも別の柱に逃げ込む。

「全く、こうも多いと気がめいるな」

「完全に待ち伏せされていたわね」

「ああ、俺達をここに誘い込むのが狙いだったか」

 俺達で良かったが。他の奴だったら確実にやられていたかもな。

 何とか半分を倒したところで、建物の壁が突如吹き飛んだ。

 俺はその勢いで隣の建物に突っ込んで行く。

「ジル!無事か?」

「ええ」

「後で落ち合おう!」

 そう言うと俺は建物の中を掛けて行く。

 建物の中は迷路になっていて、正直に言うと…迷った。

「上に上がろうとしても、階段が見つからないからな」

 建物の中を進んで行くが、自分がどこに居るのかも分からない。

 ジュアヴォも出てこないという事が、この場の雰囲気を不気味にしている。

「誰か出てこないかな~」

「何かしら?」

「!!!」

 後ろから声が聞こえてくる、俺は後ろに振り向くとそこに居たのはエイダだった。

「脅かすなよ…」

「あなたが勝手に驚いたんでしょ」

「全く、やっぱりここにいたか…。お前の事だからここに居るんじゃないかと思ったがな」

「想像してはいたが、俺に言えば何とでもなるのに」

「あなたに迷惑を掛けたくなかったのよ」

「良く言いうぜ、さんざん俺に迷惑をかけてきたくせに」

「失礼ね。私がいつ迷惑をかけたのかしら?」

「…………」

 これ以上言っても無駄なようだし、それにここから出る事が最優先だ。

 黙って歩いて行くとエイダは後ろからついてくる。

 俺はただ迷うだけだった。

「……なんだ?」

「別に……」

 先ほどから後ろにいるエイダが気になって仕方が無い。

 後ろを見るが、エイダは黙って俺についてくるだけだ。

「……何かあるんだったら言えばいいだろ」

「別に何もないわよ」

 どうしても俺から言わせたいらしい。

 そういう所は全く変わらないな、言えばいいのに…助けたいって。

「……ハァ。俺の負けだ。…助けてください」

 俺はエイダに向かって救援を出すと、エイダは少し、かすかに嬉しそうにすると、ついて来てと俺を誘導した。

 全く、素直じゃないな。

「言えばいいだろ、俺を助けに来たって」

「…………」

 はい、始まりました、エイダさんの無視。

 かなり貴重だ、中々見れない光景。

 エイダが無視をしてでも黙る事は中々無い、大体ははぐらかすのだが…。

「……困ったもんだな」

 小さな声で呟くと、俺はエイダの後ろ姿を見つめた。

 昔からまったく変わらない、俺にだけこういう態度を取ってくる。

 デレデレしないのだが、時々こういう態度を取ってくるので困る。

「今度は何の任務なんだ?」

「…………」

 未だに無視を継続してくるか…。

 素直じゃないよな、そういう所を気に入ってるんだけど。

 聞いておいてなんだが、大体の見当はついている。

 俺のサポートに来たんだろ、俺がここに向かったと聞いて駆け付けたのだろう。

「どうやって潜り込んだ?目撃例が無かったんだが」

「……別に、難しい事じゃないでしょ?変装すれば簡単よ」

 少し警備を増やしたほうが良さそうだな。

 何せ簡単に1人の人間を入れてしまうのだから…まあ、エイダがすごいと言うのもあるが。

「それにしても、なんでこんなにここは迷路になってるんだ?」

「さあね、元々こういう作りなのか…それともあなたをはめようとしてこういう構造にしたのか」

 後者だったら嫌だけどな。

 俺の為にこんなことまでしてくれる事自体が気持ち悪い。

「前者が良いな~。全くありがたくないこの構造」

 エイダに付いて行って少し経つが、本当に目的地に付いているのだろうか?

 少し心配になるが、そもそも俺自身がどうやってジルと合流するのかを考えていなかった。

 今になってどう合流するかを考えていると、エイダはその場に立ち止まった。

 俺は周囲を確認すると、エイダは壁の所を触り出した。

「?何かあるのか?」

「少し黙っていて」

 へい、黙ってます。

 エイダは壁を触りながら少しずつ移動していくと、ある所で立ち止まった。

 エイダは壁を強く押すと、壁の一部が凹んでしまった。

 すると床が突如開いてしまって、俺はそのまま落ちてしまう。

 だいぶ下に落ちると、後を追ってエイダも降りてきた。

「落ちるなら先に言ってくれよ」

「忘れていたわ。それにあなたはこの程度じゃ死なないでしょ」

「そう言う問題じゃないだろ」

 死ななくても、痛いのだから少しは考えてほしい。

 全く、俺がさっき弄った事を根に持っているな。

 エイダは黙って再び歩き出すので、俺も黙って後を付いて行く。

 先ほどから会話が無いのがとてもつらい。

 俺から話しかけても返事が無い。

 俺が弄った事を未だに怒っているのか、それとも今は集中しているだけなのか。

「それにしても、ここ何階だ?」

「……地下二階かしら」

 地下二階…結構落ちてきたな。

 む!地下二階?俺はジルと会いたいのに!

「なんで地下二階!?俺はジルと合流したいんですけど」

「ついて来れば分かるわ」

「今説明してくれ!」

「だったらここで迷う?」

 クソ!すべての権利がエイダにある。

 ここで逆らったら俺は本当に迷ってしまいそうだ。

「……本当に合流できるんだろうな?」

「それだけは本当よ」

 まるでそれ以外は嘘かのような言い方。

 未だにエイダが何を考えているか分からない。

 ある程度歩いていると、今度は階段を上って行く。

 これでようやく地下一階にたどり着いてことになる。

「……これをあげるわ」

 エイダは突然俺に向かって何かを投げてきた。

 俺はそれを確認すると、それがハンドガンであることに気づく。

「ハンドガン?…弾一つしか入ってないし!!」

「さっき拾ったから」

 俺はハンドガンを腰に掛けると、ポーチに入れておいた物をエイダに渡した。

「これやるよ」

「?これは?」

 エイダは注射器のような物を手のひらで転がすと、俺に向かって聞いてきた。

「改良型の“NTウイルス”だ」

 エイダは黙ってそれをポーチに入れてしまう。

 再びエイダは黙って歩いて行くと、少し歩いてところで俺達は地上に出て行った。

「?ここはどこだ?」

 後ろは先程まで俺がいたであろう建物が建っていた。

 エイダに聞こうとすると、エイダは既にそこに居なかった。

「神出鬼没な奴だな」

 また会えるだろう。

「ベル!ここにいたのね!」

 廃墟の町の奥からジルが走ってくる。

 今一度地下の方を見ると、ジルに向かって走って行く。

 また会えることを祈って。




 Project name“cordnameNT”
 まだ…
 まだこれではcordnameだ。
 これから変化していく


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計画の序曲

集まる力
ウイルスは破滅の始まりか?
それとも…希望の始まりか?


 ジルと合流すると、お互いに情報を交換することにした。

 結局の所あのビルにバロクの研究所らしきものは無かった。

 俺達はレオン達と別行動をとることにした。

 小走りで廃墟の町を移動していると、奥から人影が現れる。

 それは俺にとっては忘れる事の出来ない人物だ。

「エル?どうしてここに?」

「あの人と一緒に行動していたんですが…」

 案の定どこかに行ってしまったんだろう。

 あいつは昔から肝心な時にどこかに行っている所がある。

「俺達と一緒に行動するか?どうせ一人でいたらこっちが心配だしな」

「……そうですね。あの人と連絡が付くまで一緒に行動させてもらいます」

 エルは俺達に頭を下げると、俺達についてきた。

 しかし、俺達について来たところで何か変化があるわけではない。

 エルは俺達に付いてきながら質問をしてきた。

「あの人とどこで出会ったんですか?確か代表が連れてきましたよね?今の所私以外に知っている人っているんですか?」

「……俺以外に知っているのは…ジルぐらいだろう」

 確かエイダも知っているはずだが、どちらにしても知っているのは俺が信頼している人間だけだ。

「どこで出会ったと言っても、血の繋がった家族だからな。俺があいつとたまたま再開しただけだ」

「……それ以外の家族って」

「……ああ、死んだ。別にいいさ。なんとなくでは理解していたことだしな。それに俺には新しい家族もいるし」

 そう言うと俺はジルの方を見つめる、ジルも俺に向かって微笑んでくれた。

「エルは彼と行動してそれなりに経つでしょうけど、今じゃあ結婚までしたんだし、何か困ったころはある?」

「……今の所は無いですね。代表とよく似てますし」

「……やめてくれ。想像しただけで嫌気がたつ」

 俺とあいつが似ているだと……冗談だろ!?

「でも確かに少し似ているかもね」

「!?ジルまで!?やめてくれ!似てない!!」

「そんなに興奮するくらい比べられるのが嫌?」

「絶対に嫌だ!」

 俺は廃墟の町の戦闘音を聞きながら少し歩く速度を速めて行く。

 あいつがここで行動しているのなら、問題が無い。

「あいつの捜査能力に期待するか…。ハオスとやらを見つけたほどだ」

 あいつならバロクの居場所を探し出すことが出来るだろう。

「彼もあなたと同じ“NTウイルス”の適合者?」

「ああ、俺と血を分けた兄弟だしな。適合は問題なくできた」

 俺達は廃墟の町を進んで行くと、通信機から連絡が来た。

『代表!また一つ奴らが出入りしている場所を見つけました!』

「どこだ!?」

 端末にマップが表示されると、そこは俺達のすぐ近くにあった。

「俺達が最も近い、俺達が今すぐ向かう!」

『わかりました!』

 通信を切ると俺達は廃墟の町を走って行く。

 

 

 俺達は走って行くと、奴らの拠点らしき場所まで行った。

 ビルの中を入って行くと、俺達はハンドガンの引き金に指を置く。

 ロビーはとても広く、明かりこそ消えているが、それでもそれなりに明るかった。

 奥からジュアヴォが多数現れる。

 ジュアヴォはロビーの柱を盾にすると、こちらに攻撃を仕掛けてきた。

 俺達も柱を盾にすると、交戦を始める。

「待ち伏せをされた?」

 早すぎる対応だ、ジュアヴォにしてはあまりにも…

 どういう事だ…俺の感じではここはかなりの数のジュアヴォが居る。

 俺達はジュアヴォを倒していくが、奥から次々現れるので数が減っている気がしない。

「奥から次々現れるわ!全然数が減っている気がしない!」

「この奥に何かがあるようだな!」

 バロクの奴がこうまでして隠したいモノがあるようだ。

 しかし、バロク本人がここに居る可能性は低いだろう。

「大丈夫か!?」

「クリス?どうしてここに?」

「俺達の隊も来たぞ!」

 クリスの隊が俺達が来たドアから現れた。

 クリスの隊がジュアヴォと交戦を始めるが、ジュアヴォも負けじまいと数を増やしてくる。

「どれだけいるんだ!?」

 俺達が闘っていると、ジュアヴォの一部が奥に入って行く。

「?奥で何かが在ったのか?」

 ジュアヴォ達の群れはあっという間に半分がいなくなってしまった。

 俺達は残りのジュアヴォを掃討すると、その場で弾の補充を行った。

「なあ、気づいていたか?」

「何がだ?」

「どうかしたの?」

「途中から感づいてはいたんだが、今まで出てきたジュアヴォ達の素顔がみんな一定の顔をしていた」

「?どう言う事だ?」

「もしかしたらこいつら…クローンかもしれん」

 仮面をはがした奴の顔を見ても、ほとんどが同じような顔をしていた。

 というより、みんな同じ顔、同じ戦い方をしている。

「バロクの戦力の殆どが、クローンで出来たジュアヴォの可能性が高い。

「だとしたら戦力はかなりのものになるわ」

 ただの人間のクローンをジュアヴォにしても戦力にはならない。

 このクローン、まさか…

「奥に行って見よう、何か分かるかもしれない」

 俺達は暗い通路をゆっくり歩いて行く。

 周囲に警戒を向けながら、確実に奥に進んでく。

 一番奥に進むと、一つのパソコンの電源が付いていた。

「…またあいつか」

 パソコンからはジュアヴォに使われた素材の人間が乗っていた。

「これって…」

「こいつがクローンの元だ」

 そこに書かれていたのは、シモンズの画像だった。

「彼らはシモンズのクローンって事?」

「正確には若い頃のシモンズだな。おそらくレオン達に殺された後に細胞を入手していたんだろう」

 実はあの後シモンズの遺体はなぜかいなくなっていた。

 バロクは裏でシモンズを利用して見せたし、シモンズにウイルスの情報を与えたのもバロクだったのだろう。

 アメリカ政府はシモンズの遺体の回収を急がせたが、結局はできなかった。

 シモンズ家の人間は新たな当主を立てたが、BSAAとアメリカ政府との協力により滅んでしまった。

 シモンズ家はすべての責任を取らされてしまった。

「シモンズの遺体の消失が裏でバロクがいたんだろうな。そう考えると…やっぱりと考えてしまうな」

 全員で黙ってしまう。

「あのシモンズは最初から“Cウイルス”に感染していたのかしら?」

「……多分、感染していた状態に改造を施したんだろう」

 部屋から出て行くと、俺達はビルの中を探索していく。

 俺達も捜索していくが、結局見つかる事は無かった。

「バロクはいなかったか…。仕方が無い、別の所を探してみるか」

 俺達は廃墟の町をただ進んで行くと、奥でレオン達ともう一度合流した。

「そっちは何かあったか?」

「嫌、こっちは何も無かったよ。そっちはどうだった?」

「こっちの収穫は、ジュアヴォの元がシモンズのクローンだったという事ぐらいか」

 そう言って見せると、レオンは含めてその場の殆どの人間が驚いて見せた。

 レオン達は中国でシモンズと戦っているのだ、当然の反応だろう。

「まさか、ジュアヴォがシモンズのクローンだったとは…」

「シモンズの執念は中々のものだった。ウイルスに侵されながらも、復讐という執念だけは捨てなかった男だ」

「だからこそ、バロクはシモンズを利用したのかもしれないわね」

「多分他にも理由があるんだろうけどな」

 他の理由、それこそがバロクが本当にシモンズの遺体を回収した理由であり、海底油田に居た理由だ。

「バロクがシモンズを利用した別の理由?」

「というよりバロクがシモンズの遺体を回収した理由と言った方がいいかもな。バロクはカーラが開発した改良型のCウイルスに興味が在った。カーラからはくれないだろうから、シモンズを回収してそれを入手したんだろう。海底油田に居たのも改良型を持ったピアーズから奪取しようとしたんだろう」

 あの場に居たのもそれで想像がつく。

「俺達から奪取しようか考えたんだ…」

 ここに来て失言してしまった。

 ジルもエルもやっちゃったという感じの顔をしている。

 クリスは俺を見たまま顔を表情を動かさない。

「ベル…お前今、なんて?」

 しまった!完全に失言してしまった。

 ピアーズが生きている事はクリスに内緒の話だった。

「ピアーズは生きているのか!?どこにいるんだ!どうして黙っていたんだ!」

 面倒な事になったな。

「……ピアーズが生きる可能性は低かった。たとえ生きていたとしても、すぐにお前に合わせるわけにはいかなかった」

「なぜだ!!」

「クリス。ピアーズを助ける為に、改良型の“NTウイルス”を投与したの、完全に適合したのならそれはそれで調べなければならなかった」

「それにこれからの世界の為にも“NTウイルス”の改良は絶対だった。それにそもそもアルファーチームを壊滅させたお前にすぐに合わせるわけにもいかなかった」

 俺はそのまま歩いて行く、クリスはその場でただ立ち尽くしていた。

 俺はゆっくり歩いて行くと、エルは目の前に立っている男に気付いた。

「あ!」

 影だけだが分かる、あいつだ。

「私行きますね!」

「ああ、行って来い」

 エルは影に向かって走って行く。

 人影は俺に向かって何かを投げてくる。

 俺はそれを受け取ると、何かを確認した。

「?メモリー?」

 影は既にそこにはおらず、俺は端末にそれを差し込んで中身を確認した。

 そこに在ったのは、バロクの研究所の入り口の場所だった。

「そこにバロクが?」

「多分な」

 全く、どうやってこんな代物を手に入れたんだか。

 俺は端末をポーチに入れると、その場を後にした。

 

 

 小さな家の前に経つと、俺達はドアをゆっくり開けて行く。

 家の中は普通の作りになっているが、書斎に入ると本棚にあるたった一つの赤い本を押し込む。

 本棚を動き出すと、奥に地下への階段を発見する。

 俺達はゆっくり階段を降りて行くと、ちょっとした大きな部屋に出てくる。

 奥に在るのはかなりの大きさのドアだった。

「ここの奥にバロクが…」

 俺達はドアを開けようとした時、入り口からクレアとレベッカが出てきた。

「良かったみなさんここにいたんですね」

「レベッカ?クレアもどうしたんだ?」

「私達も付いて行かせてください。足手まといにはなりません!」

「……分かった。但し無理はするなよ?」

『はい!』




 入って来たか…
 しかし、どうやって此処の場所が分かったんだ?
 …まあいい、実験にはちょうどいい人間だ。


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スペンサー

アンブレラ
それは、畏怖の対象
今、本当の終焉を語ろう


 大きなドアがゆっくり開いて行くと、俺達は地下へ繋がっているであろうエレベーターに乗り込んだ。

 エレベーターはゆっくり降りて行くと、周囲の風景が一変した。

「広い。なんなんだ、この広さ」

 東京ドーム4個分ぐらいは、あるであろう広さがそこにはあった。

 その場所には、実験機器やパソコンが多く起動している。

 しかし、そこに人間は既にいない。

 エレベーターのドアがゆっくり開いて行くと、俺達は広い空間に出た。

 俺達は上の階から下の階にあるパソコンなどを見ていた。

 俺達の目の前にある階段を下りることなく、その場に立ち尽くしていた。

「どういう事だ?人間がいないのに、コンピューターだけが勝手に動いてる?」

「みたいだな」

 俺は目の前に大きなモニターから目を離さない。

 この数のパソコンを動かし続けていられるコンピューターを、俺はあいつ以外に知らない。

「そろそろ姿を現したらどうだ?レッドクイーン」

 全員が驚いて見せると、俺の目の前にある大きな画面にアンブレラのマークが現れる。

『お久しぶりですね。ベルトウェイ』

「生きていたのか!?」

「ロシア基地で死んだと思っていたけど…」

「どういうことだ!ベル!」

「当時、アンブレラ終焉になった戦い。俺達は二手に分かれてアンブレラに攻撃を仕掛けた。あの時、レッドクイーンは俺達の方にもいたんだ。多分、あれはレッドクイーンはのコピーだったんだろうさ」

 俺はそう説明すると、もう一つ裏に居るであろう人物を呼び出した。

「お前がここに居ると言う事は、スペンサーもここにいるんだな」

『!?』

 目の前にある大きな画面にノイズがはしると、生命維持機器を体に取りつけているスペンサーが現れた。

『まさか、私が生きている事すらお見通しとは』

「……スペンサー…生きていたのか?」

「そんな、あの時ウェスカーに殺されたんじゃ?」

「あの時死んだのは、あいつがレッドクイーンで動かしていたクローンだ」

『クローン!?』

『やはり気づいていたか…。君の存在は危険だ』

 俺は目の前に写っているスペンサーを見つめている。

 スペンサーも俺を見つめている。

「シモンズに余計な知識を付けたのもお前だな?」

『ああ、シモンズは我々アンブレラの資金提供先だったからね』

「おかしいと思ったんだ、シモンズがあれほどの実験を行えたのも、お前がシモンズに知識を提供していたんだな?そしてお前はその代りに金を手に入れたんだな?」

『そんなところだ、シモンズは最後まで利用された事に気付かなかったがな』

 これだけの実験施設を手に入れたのは、全てシモンズからの横流しによるものだ。

『シモンズのお蔭で、アンブレラをこれだけ大きくすることが出来た。今こそアンブレラの復活をここに宣言する!』

 俺の通信機にHQからの声が聞こえてくる。

『代表!』

「どうした?」

『今、ネットを通じてスペンサーの演説が!アンブレラの復活を!』

「事実だ。スペンサーは生きていた」

『……分かりました。そちらに部隊を向けます』

 そう言うとHQからの通信が切れてしまった。

 俺は再びスペンサーの方に顔を向けた。

「バロクもそこに居るんだろ?」

『彼は私の優秀な部下だ』

 バロクが何を企んでいるのか俺には分からない。

 一番奥に見えるドアが突如開くと、ジュアヴォが出現した。

『君たちにはここで亡き者になってもらおう』

「亡き者になるのはお前だ!」

 スペンサーは通信を切ると、奥のジュアヴォが攻撃を仕掛けてきた。

 俺達は物陰に隠れると、それぞれの武器で攻撃を仕掛けた。

「スペンサーはどこにいるんだ?」

『今調べている所です!』

 奥から次々とジュアヴォが現れる。

 俺達に向かって下のフロアから攻撃を何とか防いでいると、後ろのドアからBSAAの部隊が現れた。

「代表!これより援護します!」

「頼む!」

 BSAAの部隊の攻撃もあり、俺達は何とかその場の死守に成功していた。

 俺は攻撃をしながら他の出入り口を探していた。

 俺が確認しただけでも三つは存在している。

 ジルは俺の考えを理解してくれたようで、俺と共に他の出入り口に移動していく。

「ここは任せるぞ!」

 俺とジルは走りながら出入り口に急ぐ。

 ジルが先に入ると、ジルはシャッターを下ろすボタンに手を掛ける。

「ベル!」

 俺が走って中に入ると、ジルはボタンを押した。

 シャッターが下りると、俺達は通路を真直ぐ走って行く。

 一本道になっている為、比較的楽に進んで行ける。

「ジュアヴォを先に何とかしないとな」

「でも、どうするつもりなの?」

「どこかでジュアヴォが保管されているはずだ」

 ジルと共に走って行くと、いくつもの部屋が用意されている場所に出た。

 それぞれの部屋の中は誰かが生活していたであろう跡があった。

 そんな部屋を眺めながら走って行くと、階段を発見した。

 階段を走りながら降りて行くと、今度は実験場のような場所を発見した。

 実験場を窓越しに確認していると、実験室のドアがゆっくり開いて行く。

「中に入ってくださいと言わんばかりの開き方」

「何か中に有るんでしょうけど」

 俺とジルは中に入る事をためらっていると、ネメシスが室内に現れた。

 ネメシスが首にかけているのは、カードキーだった。

 俺は別の出入り口に手を掛けるが、ドアを開けるにはカードキーが必要だった。

「あれを手に入れるには、中に入らないといけないって事か」

 ジルと共に中に入ると、ドアの入り口が閉じてしまう。

 ネメシスの目がゆっくり俺達を捕えて行く。

「何年ぶりの対面だ?」

「さあ?もう忘れてしまったわ」

 ネメシスは走ってくると、俺達に向かって腕を振ってくる。

 俺達はしゃがみながら攻撃を回避すると、そのままネメシスの背中に回った。

 ネメシスの背中にハンドガンの弾を撃ちこむが、ネメシスはびくともしないように振り返る。

「相変わらず無駄にタフな体作りをしているな」

「来るわよ!」

 俺達はそれぞれ左右にジャンプして避けるが、ネメシスは俺の方に向かって走ってきた。

 俺は立ち上がろうとするが、ネメシスはそれより早く俺の首に手を掛けた。

 俺を持ち上げると、ジルはネメシスに向かって走って行く。

 俺はネメシスの腕に蹴りを入れると、ネメシスは悲鳴を上げながら俺を離した。

 ジルは走りながらネメシスの足にハンドガンの弾を何発も撃ちこむ。

 ジルはネメシスに近づくと、ネメシスの足を蹴ってしまう。

 俺は地面に着地すると、ネメシスの顔にハンドガンの弾を撃ちこむ。

「ぐぉ―――――!」

 ネメシスはその場に座り込むと、俺達は一旦距離を取る。

「大丈夫?」

「何とかな」

 ネメシスに視線を向けると、改めてその厄介さが分かる。

「しかし、何回戦っても厄介だな。タフなくせして、弱点が無い」

「しかも、ダメージを負っていくにつれて厄介さが増す」

 ネメシスはすぐに立ち上がると、俺達を睨みつけた。

 俺達はすぐに逃げられるように足に力を込めると、ネメシスは俺達に向かって走ってくる。

 ジルはしゃがんで回避すると、俺はネメシスの体に乗っかって上に上って行く。

 ネメシスの体の上に上ると、頭にショットガンを喰らわせた。

「ぐぉ――――!」

 再びネメシスは悲鳴を上げて暴れ出す。

 俺は後ろに飛ぶと、ジルはネメシスの足元に手榴弾を大量に投げた。

 ドォン!!

 ネメシスは再び地に足を付けた。

 俺はネメシスに近づくと、体術で攻撃を仕掛ける。

 ネメシスは体のバランスを崩すと、その場に倒れ込んだ。

 俺はネメシスからカードキーを奪い取ると、そのままドアの所まで行く。

 ドアの横にあるカードリーダーにカードキーを通すと、ドアは自動で開いてしまう。

 ネメシスは俺に向かって走って行くが、ドアは一瞬早くしまってしまった。

「何とかなったか?」

「ええ、ネメシスがドアを壊す前に先に行きましょう」

 俺達は先程のドアから奥に進んで行く。

 ドアを開けると、今度は真っ白な通路が俺達を待っていた。

 ハンドガンに指をかけると、ゆっくり歩いて行く。

「ジル、気をつけろ。何が来るかわかったもんじゃない」

 奥に再びドアを発見すると、道の途中にレーザーのようなモノが多数、道を妨害するようにこちらに向かってきた。

 俺達はレーザーを回避すると、レーザーは一度ドアまで行き、再びこちらに向かってくる。

「さすがにあれはやばいな」

 俺達は走って奥のドアまで行くと、カードキーを使う。

『ドアが開くまでしばらくお待ちください』

「早くしてくれよ」

 俺達はレーザーの方に向くと、避ける態勢を取る。

 レーザーはいくつもの形で攻撃を仕掛けてくる。

「ベル!壁の所!」

 壁の所に何かが有り、それがレーザーを射出していた。

 俺はハンドガンでそれを壊すと、少しづつ回避しやすくする。

 後少しで全滅するところで、ドアが開く。

 ドアから次の部屋に出ると、今度は…外に出た。

 いや、違うな…外ではない。

 ここは、ラクーンシティーに似ている。

「ここって…ラクーンシティ?」

「……多分。でも、なんで?」

「さっきまで中に居たのに…」

 周囲の風景を眺めていると、ここがどういう空間かを理解した。

「ここは、ラクーンシティに似せた場所の様だな。何かの実験を行っていたようだな」

 懐かしい道を進んで行くと、目の前にラクーンシティ警察が見えてきた。

「全く同じつくりをしていそうだな」

「見た感じは全く同じね」

 大きな門を開けると、そこに居たゾンビにジルは驚いた。

「ブラッド!」

 そこに居たのは、あの時俺が助けた男だった。

 確かここで死んだんだったな。

 ジルはハンドガンを構えると、引き金に指を置いた。

 しかし、ジルはハンドガンの引き金を引くことが出来なかった。

 ジルの手は震えていて、ブラッドを見つめていた。

 俺はハンドガンをブラッドに向けると、容赦なくその引き金を引いた。

 ブラッドのこめかみにハンドガンの弾が撃ち込まれると、そのまま後ろに倒れてしまった。

 ブラッドは頭から大量の血を出しながら絶命していた。

 ジルはブラッドに近寄ると、その場に座り込んだ。

 昔の事とは言っても、ジルからすればかつても仲間だ。

 とっさにでも引き金を引けなくても仕方が無い。

 ジルをずっと眺めていると、俺はジルに近寄って一言言った。

「……ジル。泣いてもいいんだぞ?」

 ジルは俺の方に向くと、体を俺に預けて泣き出した。

 ジルの泣き声は、ラクーンシティーの街並みに響いて行く。




「スペンサー様。たった今実験の最後が終了しました」
「分かった。いよいよアンブレラの復活の時だ」
 今、最後の戦いが始まろうとしていた。


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真のアンブレラ終焉

生きてきた道は過酷だった
それでも生きていればいいことがある
そう思わせてくれた人たちだった

これは、本当のアンブレラ終焉


 ラクーンシティ警察前で少し時間が経っていると、俺はあいつの気配を感じた。

 警察署の門を開ける音が聞こえると、ネメシスはロケットランチャーを持って現れた。

「懐かしいモノを持っての登場か…」

 俺はジルを抱えてそのまま移動していく。

 ネメシスはロケットランチャーを俺に向けて引き金を引いた。

 俺達は爆発と一緒に警察署の中に入って行く。

 俺はジルを庇うように入ると、警察署のロビーにたどり着いた。

「懐かしい…」

 ジルからすれば、仕事をしていた場所だ。

 ドアが壊しながらネメシスが現れた。

「ジル!走るぞ!」

 俺達は警察署の中に隠れるように進んで行く。

 ジルにとっては懐かしい通路を走って行くが、ネメシスはロケットランチャーををぶっ放してくる。

 俺達を走りながら追いかけてくる様は、かつてのネメシスと全く同じだ。

 二階の階段にたどり着くと、俺達はもう一度ロビーにたどり着いた。

「ジル!降りるぞ!」

 二人して一階に飛び降りると、ネメシスも俺達を追いかけて飛び降りる。

 俺達はネメシスより早く警察署を出て行く。

 俺達はラクーンシティの町を走って行くと、途中で壁にぶつかった。

「やっぱりここは部屋の中だな、どこかに階段があると思うんだが」

「探してみましょう」

 俺達はラクーンシティの街並みを走りながら、周りの探索を進めていく。

 ネメシスが追いかけてこないのが、気がかりだが。

 少し進んで行くと、壁沿いに階段を発見した。

 ゆっくりとではあるが、階段を降りて行く。

 次にたどり着いたのは、ロックフォード島だった。

「ここは?」

「ロックフォード島…。アッシュフォードが管理していた場所だ」

 すると、階段を下りる音が聞こえてきた。

「ネメシス?」

「行きましょう」

 俺達はその場から逃げるように走って行く。

 ロックフォード島の中はあの時の襲撃時を再現されていて、俺からすれば懐かしい光景だ。

 エイダと共にこの島を進んで行った時の事を思い出した。

 煙のにおいなどが完全に再現されていて、奥から誰かが現れた。

「どうやって回り込んだんだ?」

 奥から現れたのは、ネメシスだった。

 俺は少し驚いて見せると、ハンドガンを構えた。

 ネメシスは走りながら、マシンガンの引き金を引いた。

 俺達は横に移動して、攻撃を回避する。

「武器を持ち替えてるわね」

 俺はネメシスに攻撃を加えて行く、ジルも同じように攻撃を続けていた。

 ネメシスの攻撃を回避しながらの攻防に、俺達は疲れを見せ始めていた。

「相変わらずタフな…」

 俺はショットガンに持ち帰ると、ネメシスに近づいた。

 ネメシスの攻撃を回避して、ネメシスの顔面にショットガンを当てた

「グォー!」

 ネメシスは顔面を抑えながらその場で膝をついた。

 俺はネメシスの顔面に拳を叩き込む。

 ジルはネメシスの足元に手榴弾を置くと、俺達はその場から離れて行く。

ネメシスの足元が大きく爆発すると、俺達はその場から移動していく。

「こんな事をしている場合じゃない」

「急がないと」

 俺達はロックフォード島をくまなく調べるが、中々次の階段を発見することが出来ない。

 そうしていると、再びネメシスが俺達に追いついてきた。

 走りながら次への階段を探すが、徐々に追いついてきた。

「何とかしないとな」

 俺は何か使えそうな物を探す。

 左右を見て、前後を見るが、何もない。

 俺は一つの工場に入ると、俺はエイダがここでしていた事を思い出した。

「ジル!少しの間時間を稼いでくれ」

 そう言うと俺は、フックショットで工場の天井に向かった。

 ジルが下でネメシスと交戦していると、俺は工場に在った鉄筋を落とす方法を探していた。

 ようやく探し当てるが、スイッチが壊れていて鉄筋を落とす事が出来ない。

 他の方法を探すが、中々見つからない。

「こっちよ」

 俺の近くから声が掛かると、俺は声のする方に顔を向ける。

 そこに居たのは、エイダ・ウォンだった。

「エイダ…」

 エイダは黙って移動を始めると、一つのスイッチの前に促した。

 俺がスイッチの前に立つと、エイダはもう一つのスイッチの方に移動した。

 エイダと共にスイッチを押すと、鉄筋がネメシスにかぶさるように落ちた。

 俺はエイダの方に向くと、そこにはエイダは既にいない。

 黙ってジルの元に移動する。

「行こうか」

「ええ」

 俺達は工場の奥に在った階段を降りて行く。

 階段を降りて行くと、今度はジュアヴォをコントロールしている大きな部屋にたどり着いた。

 俺は近くのパソコンの前に座ると、ジュアヴォの始末をつけようとする。

 しかし、案の定レッドクイーンに邪魔をされてしまった。

『警告します。これ以上の操作をすれば、あなた達を始末します』

 俺は黙ってパソコンを再び操作を始める。

 レッドクイーンは奥のドアから大量のジュアヴォが現れる。

 ジルが防壁を作り上げると、交戦を始めた。

 俺はなるべく早くジュアヴォを倒す方法を探していた。

 そうしていると、ジュアヴォの情報を見つける。

 このジュアヴォはレッドクイーンが操作している、そうであるならばレッドクイーンはを破壊したら、ジュアヴォは行動が出来なくなる。

 俺はレッドクイーンの場所を探しだした。

 ここからそんなに遠くにあるわけではない。

「ジル!ここから移動するぞ!」

「分かったわ」

 俺達はその場から走って行くと、ジュアヴォが来た道とは別の道を進んで行く。

 長い通路を白い通路をただひたすら進んで行くと、奥に大きなドアを開けて行く。

 大きなドアを開けると、そこに在ったのは大きなコンピューターのデータセンターを発見した。

 通常のデータセンターの10倍はあろうかという大きさだった。

 俺達はデータセンターに近づこうとすると、レッドクイーンが再び警告を出す。

『それ以上近づけば、あなたを殺します』

「お前には無理だよ」

 俺は黙ってレッドクイーンに近づくと、レッドクイーンは周囲に在った機関銃を使って、俺達を近づかせようとしない。

 俺達は攻撃を回避しながら、徐々に進んで行く。

「ジル。大丈夫か?」

「ええ、それより…」

 俺はレッドクイーンにハンドガンで攻撃をしようとするけど、ハンドガンの弾は直前で防がれてしまう。

 どうやって攻略するか考えている。

 レッドクイーンは見えない壁で守られている。

 しかし、レッドクイーンの弱点を俺は発見してしまった。

 俺は再びレッドクイーンに向かって行く。

 機関銃の攻撃を確実に回避していくと、壁に到達する。

 そして、レッドクイーンにある見えない壁に沿って走って行く。

 機関銃の攻撃も俺を追うように壁を攻撃していく。

 ジルは物陰に隠れて何かの準備をしていた。

 少しレッドクイーンにひびが入ると、ジルは物陰からロケットランチャーを持ち出した。

 ジルはロケットランチャーの照準をレッドクイーンに向ける。

「ベル!離れて!」

 俺はレッドクイーンから離れると、ジルはロケットランチャーの引き金を引いた。

 見えない壁が崩れるように消えていくと、レッドクイーンを守る壁は無くなった。

 俺はハンドガンを構えると、レッドクイーンから警告が来る。

『あなた達は必ず後悔する!私を殺した事を!アンブレラを潰した事を!』

「そんな後悔は絶対に来ない!」

 俺はレッドクイーンに向けてハンドガンの引き金を引いた。

 

 レッドクイーンが死んだ事により、ジュアヴォは完全に死滅してしまった。

 俺達はそのままスペンサーの確保の為に動いていた。

 大きなドアを開けると、一番奥にスペンサーを発見した。

「ようこそ。わが計画へ」

 周囲のライトが付くと、周囲の光景が俺達を驚かせた。

 辺り一面、ウェスカーだらけ。

「彼らはウェスカーのクローンなのだが、苦労したよ。しかし、君達には少し関心してしまうな」

 そう言うとスペンサーは自分の後ろに在った画面を起動した。

 そこに在ったのは、俺の実験時代の映像だった。

「ベルトウェイと言った方がいいな。君の“NTウイルス”には本当に驚かされた。驚異の再生能力、肉体の強化、ウイルスを完全に食べてしまう所まで。私達にはこのメカニズムが分からなかった」

 そうしていると、バロクが現れる。

「しかし、天才によって解剖され、私は今こそ、ウェスカー計画の最終段階に進める事にしよう!」

 真っ赤なウイルスを持ち出したスペンサーは、それを自分の腕に刺した。

 スペンサーの体を見れば一目瞭然だが、あえて言えば…若返っている。

「これだ!これだ!!良いぞ、良いぞ!これこそが不老不死だ!これで私はウイルスによる支配の頂点になれる!」

「おまえ…腐ってるな」

 若返っているだけではない。

 肉体が活性化されている為に、肉体が普通の人間ではありえないような形になっている。

「アルバートは失敗したが、しかしこれで私の計画は完成した。手始めに、アメリカでもウイルスで支配してみるか…」

「そんな事をさせると思うか?」

 ハンドガンを構えるとスペンサーは瞬間移動をしたのではないかという錯覚を覚えさせるほどの速さで俺を殴りつけた。

 俺は一番後ろの壁に激突するまで、自分が何をされたのか分からなかった。

 ジルが寄ってくる。

「大丈夫?」

 ジルは完全に動揺している。

「ふはは!これは素晴らしい。すごい物だ。さすがは“ATウイルス”」

 よく見ればバロクもいない。

「バロクを殺してしまったが、まあ、もう必要もあるまい」

 俺は何とか立ち上がると、スペンサーは俺に取引を持ちかけた。

「しかし、君ほどの人間をここで殺すのも惜しい。どうだ?私と共に来ないか?こんな死しかない世界で暮らすのも酷だろう」

「……ふざけんな」

 スペンサーは俺を睨みつける。

「そんな世界に居たって俺は全然幸せじゃない。こんな世界だからこそ、俺は大切な人に、仲間に出会えたんだ。お前には分からないだろうな。俺はこの世界に生まれて、こんな体になって……幸せだ」

 俺自身もスペンサーを睨みつける。

「……もう少し利口な人間だと思っていたけど、君がそう判断したのなら…ここが君の墓標になる」

 スペンサーは再び俺に前に来ると、ジルの首を掴んで持ち上げた。

 俺はスペンサーに攻撃をしようとするが、スペンサーは適当に俺を蹴り飛ばした。

 俺は再び壁に激突した。

 そうしていると、突如部屋の壁が壊れて、触手のようなものがスペンサーを掴んだ。

「?なんだ?」

 触手に気が取られて、ジルを離してしまったスペンサー。

 ジルは、俺に向かって走ってくる。

 その間触手は何度も何度もスペンサーに巻き付いて行く。

 ジルが俺の肩を抱いて立ち上がると、俺達はその場を後にした。

「なんなんだ?あれは」

「…あれはネメシスよ」

 目の前にエイダが立っていた。

「リミッターが解除されてしまったがゆえに、肥大化が進んでいるの。今回のネメシスは色々なウイルスを試してうまれてきたようなものだから」

エイダも俺の肩を抱く、三人で急ぎながら先に進んで行く。

 俺の持っている通信機に連絡が入る。

『ベル!今どこに居るんだ!?』

「まだ地下に居るが」

『急いだ方がいい。謎の生き物が地下研究所を、廃墟の町ごと飲み込もうとしている』

「…分かった」

 そう言うと俺は通信を切る。

 エイダもジルも黙って走って行く。

『マァ~テ~ベ~ル~ト~ウ~エ~イ~』

「なんの声だ?」

 後ろから迫っていたのは、大きな顔のスペンサーだった。

「完全にネメシスに飲み込まれたようね、こうまで来ると哀れだわ」

 何とかエレベーターにたどり着くと、エイダは俺を離してスペンサーに向いた。

「エイダ?」

「あなたは先に行きなさい。私はここでこいつを抑えるわ」

「待って!エイダ!」

「大丈夫よ、死ぬつもりもなから」

 そう言いながらエレベーターのドアがゆっくり閉まって行く。

 

 エレベーターから降りると、俺達は何とか廃墟の町に戻って生きた。

 俺達は何とか走って逃げて行くと、突如地面が崩れた。

「うぉ!」

 俺は何とか地面に捕まるが、下を見るとそこには溶岩があった。

「ベル!今引き上げるわ!」

 しかし、すぐに問題が現れた。

 スペンサーが溶岩の中から這い上がって来たのだ。

『キサマヲコロス!』

「何とかしないと」

 俺も方法を考えていると、俺はスペンサーの体の異変に気付いた。

「再生が間に合っていない?」

「そうね、確かに…。それどころか、崩れている?」

 弱点は頭である事は大体は理解できる。

 頭に突起物が有り、それが心臓のようになっている。

 俺はハンドガンを構えようとするが、スペンサーの触手でハンドガンを落としてしまう。

 そして、スペンサーは俺の足にしがみつくと、俺を溶岩に落とそうとした。

「ジル!武器は無いのか!?」

「だめ、さっきの戦いで全部使い果たしたわ」

 俺も頭を使うと、一つの武器を思い出した。

 俺はポーチからハンドガンを取り出した。

「……ありがとう。エイダ」

 俺はハンドガンの照準を付けようとするが、落ちないようにするのにせえ一杯だった。

 ジルは俺を掴んで上に引き上げようとする。

 片手で照準を付ける。

 一回しかない…。

 失敗は許されない。

 そして俺は引き金を引いた。

 弾は……スペンサーの額にあった、心臓を撃ち抜いた。

 

 俺は何とか這い上がると、その場に倒れ込んだ。

 ジルと一緒に、よく見ると夜空がとても綺麗だった。

「これで終わったのかしら?」

「多分な。でも、すべてが終わったわけじゃない」

 これかも続いて行くんだ、俺達の物語は…

 俺とジルは手を握ると、いつまでも夜空を眺めていた。

 

第一部完




ナッツガンです!
いつも通りでしたら、ここで予告的な事をするんですが…
今回は最終回ですので、しないことにしました。

っという事で、『cordname”NT”』が終わりました!
長かった。
知っている人の方が多いとは思いますが、次は二作目です。
まあ、全然伏線を回収できていないし…(笑)
というわけで、二作目…『supplementary biography”NT”』です!
そこで、予告!

『supplementary biography”NT”』第一話!「キャラクター紹介/名の由来」
今度からは短編集みたいな話です!
よろしくお願いします!
ちなみに投稿は、来週の月曜日になります!


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