されど竜狩りは奴隷と踊る (全自動眼鏡持ち運び機)
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1話
守りたかった。
あの子を守りたかった。
俺は、自分の代わりにどうしようもないこの家に来てしまったあの子を守りたかった。
だからこそ、俺は必死に耐えた。
地獄の方がまだ生ぬるいと言えるような責め苦に必死に耐えた。
そしてその結果、あの子を守る権利を得た。道具を得た。
だから、絶対にあの子を守ってみせる。
そう思い、召喚の儀を行った。
目当ては円卓最強の騎士ランスロット。
彼を引き当てる事ができれば、きっと勝利する事ができた。――自分がどうなろうとも。
男は、ただ一人の娘のため数々の矛盾から目を背けながら、必死に生き抜き、ここまでやってきた。
だが、男を待っていたものは、湖の騎士でも、騎士王でも、ほかの円卓の騎士でもない。
「ここはどこだ?」
ただ一人の修羅だった。
――――――
男――間桐雁夜は呆然としていた。
いや、目の前にいた美の結晶とも言える男に、見惚れていたと言ったほうがいいのだろう。
月光を溶かしこんだかのような銀髪、女でもそうはいないであろう陶磁のごとき白い肌、美姫のごとき薔薇色の唇。まさに絶世とも言える顔だろう。
しかし彼は顔だけではなく、体も人並み外れて美しかった。
見惚れる。
今の感情を表すのにこれほどまで正しい表現はないだろう。
しかし目の前の男はそんなことを意にも返さず、再び問いかける。
「男、ここはどこだ?私は今から愛娘ヒルルカと朝のふれあいをする気だったのだが?」
その言葉で正気に戻る。
召喚の影響で魔力が急激に減り、物理的に肉も減っているが、会話ぐらいはできる。
ちなみに、雁夜の中にはなぜバーサーカーが喋るのか?そういった疑問はなかった。
「ここは日本だ」
「日本?」
男はその美しい顔を顰めながら、考えているが、答えが出ないのかその顔は歪んだままだ。
そうしていると、すかさず雁夜の隣にいた臓硯がバーサーカーに話しかける。
「ところでお主、バーサーカーのくせに話せるとは随分と面妖じゃな」
「
「お主、もしや聖杯から知識を得てないのか?」
「そんなものに頼った覚えはないな」
「は?」
俺は絶句した。
本来英霊は、聖杯戦争に呼ばれる時に聖杯から知識を得る。
言葉が通じているから、聖杯から貰っているものだと思っていたが、どうやら違うらしい。
「まぁよいなら名前はなんという?」
「ギギナ・ジャーディ・ドルク・メレイオス・アシュレイ・ブフだ」
「随分と長いのう、まあ良いわしの名は間桐臓硯。そこに倒れている不詳の倅、間桐雁夜の祖父じゃ」
臓硯は俺を指差しながらあざ笑うように言う。
「此度の貴様のマスターはあやつじゃ」
「私は、主人を持った覚えはないが?」
「そういう意味じゃない。聖杯戦争というのはな」
臓硯は聖杯戦争の基礎的な部分や俺の事情をすべて話す。
男――ギギナは分からないなりにも、全てを理解した。ように見えた。
特に強者と争うと言われた時は目を輝かせていた気がするが、気のせいだろう。
「なるほど、大方のことは理解した」
「で、どうするのじゃ?」
臓硯が言い終えるのとほぼ同時に、ギギナは背中の二つに折れているような形で格納されていた、屠竜刀ネレトーを高速展開。
その常識はずれなまでの大きさを持つ刀で、臓硯を頭から股間にかけて叩き割る。
普通であれば逃れることのできない絶死の一撃だ。
しかし、臓硯には意味のない攻撃だ。
「さすがは狂戦士。こんな老人を殺すことにすら躊躇わないとは」
「もとより死なないとわかっていた、だからこれははただの遊びだ」
真っ二つになったはずの体は崩れ、擬態していた虫が溢れ出し、再び同じ形――臓硯を形成した。
臓硯は並外れた魔術師としての技術を使って、自分の体を虫で形成している。だから、どこかにある本体を殺さない限り絶対に死なない。たとえサーヴァントの力を使おうとも無駄なことだ。
ギギナはその後、もう2回ほど視認不可能な高速斬撃をするが、痛痒を感じていないその様子に飽きたのか、ため息をつきながら屠竜刀をしまい、俺のことを担ぎ上げた。
「こいつは借りていく。これからどうしても必要になるらしいからな」
「よいぞ、せいぜいこれからのことでも話し合うといい」
そう捨て台詞を言うと、呵呵と笑っている臓硯を背に蟲蔵の出口に向かっていった。
「全く、あれがいないとここまで面倒だったとはな」
ギギナのめんどくさそうな声を最後に、俺の意識は閉ざされていった。
ギギナの記憶はガガガ版準拠で16巻くらいまでです
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2話
――夢を見た。
俺くらいの青年が、一人の幼女と楽し気にこちらへ指をさして笑っていた。
指をさされた主は、あからさまに不愉快と言わんばかりの雰囲気を出しながら青年へ切りかかるが、それをわかっていたのか軽く避けられる。普通なら憤る場面だろうが、二人にとってはいつものことなのか本人たちも幼女も何も言及せず雑談を始めていた。
その様子はとても美しいものだった。
――夢を見た。
銀髪の偉丈夫が、蝶の標本のように首を見せつけてきていた。ギギナはその男に向かい、果敢に攻めるも手ごまに取られてあっさりと負けていた。
その様子を青年が後ろから眺めていた。
――夢を見た。
先ほどまでの三人が、少し手狭なヴァンの中に乗っていた。その様子は必死さも見えるが、どこかピクニックに行くような気軽さもあった。ギギナはそんな中でも不愛想を貫いていたが、その表情はどこか柔らかかった。
――夢を見た。
見るも見事なドラゴンが二人の目の前に立ちふさがっていた。その頭頂部には、角よりも少しほっそりとした物が立っているが、ここからじゃ遠いのかうまく判別することができない。
そして、二人は縦横無尽に駆け回りながら見事ドラゴンへ大魔術を当てることにより討伐をした。
そうすることで先ほどまで見ることができなかった、角らしきものがだんだんと鮮明に見え始めて――違和感。
「……ん」
目が覚めると、そこは寝台の上だった。ここしばらくは虫のおかげでまともに寝ることすらできなかったが、サーヴァント召喚のせいで蟲共が混乱したのか働いていないようだ。
「そ、そうだ。俺のサーヴァントは!」
「いちいち騒ぐな。アルビナの睡眠の邪魔になるだろう」
「わ、悪い……ってちょっと待て、お前女性を連れ込んだのか!?」
そんなことが爺に知られたら、蟲の餌にされてしまう!
俺は急いでこの屋敷から逃がそうと思い、寝台から跳ね上がるも、そこにあったのは一台の棚だった。
一度、目をこすってからもう一度見る。そこには変わらず棚が鎮座してあった。
「……棚?」
「――やはり、死にぞこないにアルビナの魅力はわからぬか」
「いや……えぇ……」
わけがわからない。
ギギナはそんな俺を構うことなく、先ほどからやっていたのか紙鑢を使って出っ張っている部分や、少しはみ出ている部分をうまく調整していた。その様子は真剣そのもので。殺気すら伝わってくる。おそらくだが邪魔をしようものなら、立てかけてある連結式の大剣で叩き切られることになるだろう。
それなら構わずに無視するのが一番だ。俺は手の甲にできた令呪を眺めながら、軽く力を籠める。何度も虫に中から肉を食われているおかげで蟲を刺激しないで、魔術を使うコツだってある程度はわかっている。
確認をしてみれば、目の前のギギナとはやはりレイラインがつながっていた。
ステータスだけだと、判断がつかなかったがレイラインまでつながっているとなるとやはり、この家具魔は俺のサーヴァントなのだろう。
(じゃあさっきの夢は……)
爺にサーヴァントの記憶を夢で見ることがある。と言われてたが、まさかあれが……
「いやないない」
確かに剣の腕は英霊だしかなりのものだった。でもこんな家具があれば世界が滅んでもいい、と言いかねないこんな奴があんな事をするとはとてもじゃないが思えない。
あれは俺の夢とこいつの記憶が変なふうに混ざってしまったものだろう。
もう一度見るが、ギギナはまだ家具の手入れをしていた。仕上がり具合を見るに、まだ平らにしないといけない所は多そうだ。これではあと数時間は掛かりそうだ。こいつはこんななりでも
(いや、そう言えば桜ちゃんが心配してたな)
召喚の儀の前に、蟲蔵に向かう自分をひどく心配していた。
空元気ではあるが、元気なうちに話をした方がいい。うん。
俺はギギナの邪魔にならないよう、音をなるべく立てずに部屋から出る。そしてそのまま、隣の桜ちゃんの部屋の前でノックを三回。
声が返ってきたので、笑顔で挨拶をしながら中に入る。
俺の様子に桜ちゃんは目を見開いていた。この子にとって蟲蔵に行った人間がこんなに元気なのが信じられないのだろう。
「やぁ、桜ちゃん」
「おじ……さん?」
「そうだよ。元気一杯のおじさんだ」
「……嘘」
桜ちゃんは俺を指差しながら言う。
「……なら、なんで体が動いているの?」
「……へ?」
呆然としながら桜ちゃんはそんなことを言ってきた。
「ひどいなぁ。確かに手足の感覚が無くなって……感触がある」
今までうんともすんとも言わなかった左半身が、何もなかったとでも言うように素直に動く。顔を動かしてみると、しっかり表情が変わる感覚がある。両手で触ると、顔の強張った感触自体はまだあるもののだいぶ顔が動くようになっていた。
あいつがしてくれたのか……?
桜ちゃんにごめんと言いながら、自室にいるギギナの元に駆け寄る。
ドアを勢いよく開けると、そこには変わらずギギナは棚の手入れをしていた。
「静かにしろ。獣畜生ですら守れる事を貴様は守れないのか?」
「ご、ごめん……ってそうじゃない!俺の体をお前が治してくれたのか?」
「そうだ。何でもマスターが居ないと魔力とやらが尽きて戦えなるらしいからな。治しておいた。これで死に損ないだった貴様でも、蹲っていれば戦闘中に死ぬなんて事はないだろう」
ギギナは言い終えると、興味が失せたとでも言うように再び棚に向き直す。
「悪かったなアルビナ。さぁ、続きをしてやろう」
先ほどとは打って変わり笑顔で対応をして居た。こいつには棚が絶世の美女にでも見えるのだろうか?だとしたらなるほど、確かにバーサーカーだ。狂ってやがる。
「治したと言っても、あくまで気休め。根本的な部分を解決していないぶん。気休めにしかならない。そこらへんは理解してから寝てろ」
「……蟲達のことを言ってるのか」
「当たり前だ」
「でも、食われるたびに治せばいいんじゃないか?」
こいつの宝具?を使えば治せるのであれば、俺は痛みを度外視すれば何度だって立ち上がって魔力供給をすることができる。事実上の無限機関に等しいだろう。
だが、ギギナはそれを否定する。
「幼女趣味にしてはいい考えだが、それは無理な話だ」
そう言いながら、ギギナは懐から一発の銃弾を取り出す。見た所、マグナムのような大口径に使う大型の銃弾だ。
ギギナは後ろに立てかけてあった大剣を、連結させながら持ち手と剣の境目に何故かあるリボルバーの弾倉を見せてきた。
「……これがお前の宝具か?」
「まぁ、そのようなものだ。これを使ってお前を治した。だが、それにはこの弾が必要だ」
「……つまり、それには数があると?」
「そうだ。数にしてマガジン4個ぶん。合計して二十四発。この世界ではおそらく精製するのは不可能だろう」
「……もしかして戦闘でもそれ使うのか?」
「そうだ。大体一回につき五個から六個くらいは使う」
「マジか……」
そうなると、こいつに宝具が戦闘するたびに消耗して行くことになる。一回に一個なら二十四回戦闘ができる。だが、一回に五個や六個使うともなれば良くて五回。使い過ぎれば三〜四回しか戦闘ができない。ステータス的にこれが無くても十分戦闘をすることは可能ではあるだろう。しかし宝具のないサーヴァントは例えるのなら銃を持ってない兵隊の様なもの。そんな状態で宝具を持っている他のサーヴァントと対峙するのは自殺行為もいいところだろう。
それに、一回戦闘する程度なら問題はないだろうが、二回三回と重ねていけば俺の体をまた治療してもらわないといけない。そうなればもっと戦闘回数は限られるかもしれない。
一体どうすれば……
どうしようもないくらいに詰んでいる状況。思い悩んでいると、凛とした声が聞こえてくる。
「何を悩んでいる」
「何って……お前数回しか戦闘が出来ないんだぞ?」
しかも逃げられればそこで使った弾は無駄弾になる。そんなこと、持ち主である此奴なら絶対にわかっているはずだ。
だが、それがどうしたと言う表情を浮かべていた。
「私と同格が他に六騎。なるほど、確かに苦戦は必至だ」
「な、なら何で!?」
──いっそのこと、このまま逃げた方が。
そう言おうとするが、声が重なる。
「苦戦はする。
だが勝つ。
どんなに苦戦しようとも、私に負ける気は無い。全てと対峙し、全てを下す。ただそれだけだ」
その宣言に迷いはなかった。
苦戦することは知っている。
負けるかもしれない。死ぬかもしれない。
それを知ってもなお、此奴は、ギギナは飢えた獣の様な眼光で言い放った。
──それが不思議と、心に響いた。
「ああ。ああ!そうだ!そうだよな!」
心の迷いが消えた。
弱気なことを言っていた自分が、自分の中から消えた様な感覚が確かにあった。
その様子を見ても、ギギナにはなんの感傷もない。だが、ようやく分かったか。そう言いたい様な顔は目の前にあった。
「……さっきから叫んで、大丈夫?」
「ん?ああ、大丈夫だよ。桜ちゃん」
「ほら、夜伽は他所でやれ。アルビナに悪影響だ」
「そ、そんなことするわけないだろ!!」
失礼な物言いのサーヴァントから逃げる様に、自分の部屋から出る。
……あれ?なんで俺が出ないといけないんだ?
「おじさん、顔色良くなったね」
「そ、そうかな?」
「うん、なんか何かいい事あったの」
「──ああ、あったさ」
不思議そうな顔をしている桜ちゃんを撫でる。
そうすると無表情な顔に変わりはないが、それでも少しだけくすぐったそうな仕草が出たが、それに気づいたのかすぐにその雰囲気を自分でかき消した。
──なんで、こんな子がそんな気を使わないといけないんだ。
絶対、絶対に君を解放してみせる。
邪魔する奴は全員倒す。そして君に聖杯を持ってくる。
「絶対に絶対だ」
「どうしたの?」
「いいや、何でもないよ。さあ、絵本でも読もうか」
「うん」
──その為なら何でもしてやる。
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3話
「で、お前はいつまでそうしてるわけ?」
「黙れ。いくらバッテリーといえど、アルビナとの触れ合いを邪魔するのであれば殺すぞ」
「……はぁ」
自室で一人、目の前のバカを見て大きくため息を吐く。
だが、それに張本人は反応すらしない。と言うよりおそらく椅子との触れ合いに夢中すぎて気づいてすらいない。
──ほんとにこれサーヴァントなのかなぁ……。
その呟きに答えるものはいなかった。
♦︎
あれから数日。
俺たちは特に何かを起こすわけでもなく、屋敷の中でノンビリとしていた。
これは椅子との触れ合いを楽しみたいとか刻印蟲ですら言わない様なことをしたいが為に引きこもっていたわけではなく、体力を温存しておく為だ。
そもそも、うちの陣営は戦闘回数がどうしても限られている。
ギギナの咒弾(後で教えてもらったあの弾の事)の個数もそうだが、それ以上に俺の体がそう何回も耐えられる体ではないのだ。
ギギナに治療してもらう前よりは確かにマシになった。
戦闘回数で言えば、治療前に比べて二回は増えるだろう。だが、それは絶対敵に見つからない様に魔力を供給できれば、と言う注意書きがつく。
忌々しい蟲どもは今こそ大人しいが、戦闘行為の時には今まで通りの耐えがたい激痛を俺にプレゼントするだろう。
それだけならまだ何とかなる。だが、それと同時に敵が襲撃してくればもう詰みだ。令呪を使う暇などおそらく無い。
だから、出来るだけ戦闘行為そのものを避ける事で体力と咒弾を温存しよう。そう言う作戦だった。
──もっとも、それを聞いた瞬間目を泳がしたあいつが守るとも思えないが。
やはり令呪を使って言う事を聞かせた方が……。
「ねぇ、おじさん。どうしたの」
「ん?いや、何でもないよ。さあ、次は何をしようか」
いけないいけない。感情がつい出過ぎていた。
こうやって桜ちゃんと遊ぶ時間。それがどうしようもなく心が安らぐ。まるで今までの辛いことが洗い流されるかの様だった。
「じゃあ、この絵本を読みたいな」
「あぁ、むかし、むかし──」
桜ちゃんは俺の下手くそな朗読でも、一生懸命聞き逃さない様真剣に聞いていた。その姿はどこからどう見ても年相応の子供だ。
「ねぇ、続き……」
「あ、ごめんごめん」
桜ちゃんを見ていたら朗読が止まっていた。いけないいけない。
「──そして、鬼は無事に退治されました。めでたしめでたし……どうだった?」
「面白かった」
「そうか、それは良かった」
桜ちゃんは感情こそ見せないが、面白かったと言ってくれた。
良かった。まだ面白いって思う心はちゃんと残ってた。
「相変わらず、幼児を口説くので必死だなカリヤ」
「いきなり何言ってんだ!?」
いきなり不躾なことを言いながら桜ちゃんの部屋に来たのは、ギギナだった。見るからに不機嫌そうな顔をしている。
ギギナは指を立てて招く様にカリヤへジェスチャーをした。
「こい──半屍人が呼んでいる」
♦︎
「──それで、何の用だクソジジイ」
「呵々、随分な言い草よのぉ」
「は、白々しいにも程があるぞ」
相変わらず漂う腐臭に死臭。蟲蔵特有のこの匂いには慣れる気がしない。
ちなみに鼻が敏感らしいギギナは、この匂いを嗅ぐのが嫌らしく、比較的匂いを感じなくていい霊体化をしている。
「いやいや、随分と健康的になった孫を拝みたくなってな。どうじゃ、聖杯戦争は上手く言っとるかの?」
「開口一番に嫌味か」
「いやいや、そんな事はない。この身は老いぼれ。お主の様に活発に動く事はできぬゆえ、お主の報告でしか状況をすることができぬのじゃ」
クソが。そう言いたい気持ちをグッと堪える。俺が苛立っている様子を見て愉しんでいるとは言え、これ以上の暴言を言おうものならそれを盾に何をしでかすかわかったもんじゃない。
「特に何もしてない。お爺ちゃんが入れてくれた便利な蟲のせいで戦闘回数が限られてるからな、当面は様子見だ」
「そうかそうか──それはアサシンが脱落したことを知っても言っとるのかの?」
「……なに?」
思わず聞き返す。
アサシンが脱落しただと?こんなに早いタイミングでか?
ありえない。仮にも伝説に名高いハサン・ザッバーハだぞ。こんな序盤に脱落するなんてそうそう考えられない。
だがもし、本当にそうだとするのなら原因は何だ?
アサシンがヘマをした?あり得るが可能性としては低い。
即見つかった?あり得ない。奴らは一流の暗殺者。自分の痕跡を残すなんてヘマをするとは思えない。
──マスターがヘマをした……?あり得る。原因はどうあれ、マスターが何かやらかしたせいで、アサシンが芋ずる式にバレて殺されたのかもしれない。それが一番可能性が高い。
「何かマスターがヘマをしたのか?」
「さあな、何せわしとて風の噂を聞いただけ。詳しい経緯は知らぬ。だが、そのマスターは教会に無事保護されたそうじゃぞ」
「随分と運が良かったんだな」
本来、サーヴァントを失ったマスターは再び令呪を獲得されることを防止するために殺される。
その攻撃を交わして教会に逃げ込んだと言うのだろうか?
……少し引っかかる。でもそれを考えるのは今じゃない。
「それで、話はそれだけか?」
「まあそう焦るな雁夜よ。最後に一つ、この老いぼれめが忠告してやろう」
「……なんだ」
「──聖杯戦争は既に始まっておる。そのこと、ゆめ忘れるなよ」
「……言われなくても」
♦︎
「それで、こんな夜更けに一体どうした?人には出るなと言っておきながら自分は女漁りか?」
「そ、そんな事しない!」
ギギナのひどい言い様を無視しながら、俺たちは夜の冬木を歩いていた。時刻は既に深夜帯。教会側が情報を流して外出を抑制させていることもあって、外には人っ子一人いやしない。
「アサシンが居なくなった今、これは色々と仕掛けを作るチャンスなんだ」
そう、今は間諜のプロたるアサシンが脱落している。
その影響で、他の陣営も行動を活発化させるにちがいない。それは隠密を中心に動く気であった俺たちには好都合だし、それ以上に重要なこともあった。
「目の前に来た者を倒せばいいだけではないか?」
「お前の咒弾の制限がなかったらそうしてるよ」
「使わないで戦闘することもできるぞ」
「で、その度に消耗される俺の体を治すことを考えて言ってるのか?それ」
「貴様が耐えればいいだけのことではないか」
「それも回数に限りがあるだろ……」
確かに俺が耐えればある程度は何とかなるかもしれない。だが、それは所詮根性論。どう足掻いても回数に限りがある。
こいつはそれ分かって言ってるんだから本当にタチが悪い。
──と言うより、こいつは俺のことを外付けのバッテリーか何かと思っている気がする……。
まぁそんな事を考えていても仕方がない。
ギギナとその後も駄弁りながら、人気のない夜道をひたすらに歩くと目的の場所に辿り着いた。
「ただの公園ではないか。まさかと思うが、砂遊びでもしに来たのか?」
そう、間桐の屋敷から少し歩いた所にある公園だった。
周囲にそれなりの家はあるが、今は真夜中。見られたところで自分の勘違いだと思ってくれるに違いない。
「それこそまさかだ。そんな事をするにはお前ぐらいなもんだよ」
俺は砂場に手をかざす。
その際に、体内から激痛が生まれるが無視する。
「さあ出て来い」
俺の呼び声とともに、何処からともなく蟲が産まれ出てきた。
相変わらず気持ちの悪い光景だが、頼りになることには変わりないので潰したくなる衝動を我慢する。
「で、これをどうするのだ?」
「索敵兼監視カメラだよ。いけ」
蟲は俺の声とともに、四方八方に散るように消えて行く。
この調子であらかじめ設定しておいた場所に行くだろう。
間桐の魔術はおぞましいの一言に限る気持ち悪いものだが、その大元を辿ると水属性の性質である使役を有効利用しようとして生まれたもの。
おぞましくて気持ちの悪いことさえ除けばかなり有能だ。
おぞましくて気持ちの悪いさえ除けば。
ギギナもそれを理解したのか、いつもの動物園の猿を見るような目からそこらへんで騒いでる人間を見るような目に変わっていた。
「なるほどな。これで私たちに足りない索敵をカバーしようと言うわけか」
「ああ。こいつらには魔力反応を見つけたら伝えるように言ってあるから、サーヴァント同士の戦いがあればすぐに伝わってくる」
「ほう、それはいい事だ」
ギギナは少しではあるが飢えた獣のような目で、まだ見ぬ強敵を思い浮かべるように遠くを見つめていた。
♦︎
「はぁ!」
「くっ!」
──同時刻、新都ではある戦いが起きていた。
一人の偉丈夫な男性は、その両手に持った二槍を巧みに操って攻撃を繰り出していた。
対するは、金髪の少女。彼女は右腕の手首から血を流しながらも、懸命に食い下がっている。
だが、その戦いは誰がどう見ようと偉丈夫の優勢。
その証拠とでも言うように、だんだんと少女の体にはかすり傷が増えて来ていた。
その少女の事を遠目に見ていた冷めた目をする男性も、この状況に焦っていた。
「切嗣。これはもうランサーのマスターを仕留めるべきです。これ以上セイバーが持ちません」
「ああ、分かっている舞弥」
冷めた目の男性──切嗣もインカム越しの女性舞弥と同意見だ。
このまま戦闘を見守っていれば、確実に金髪の少女──セイバーは偉丈夫──ランサーの手によって殺されてしまうだろう。
ならば、それを防ぐためにも姿を隠して、コンテナの上に立っているランサーのマスターを射殺するのが今この状況での最適解に違いない。
しかし、切嗣はそれを選べずにいた。
「だが、その場合あの鉄骨の上のアサシンはどうする。下手をすれば、僕たち二人とも殺される」
そう、コンテナを運ぶためのクレーン。その上になんと死んだと思われていたアサシンがいたのだ。
まだバレていない今はまだしも、銃を撃てば確実に居場所を特定されてしまう。
そうなれば絶対に殺される。
「私がアサシンに向かい発砲をします。それに乗じて切嗣はランサーのマスターを」
「……出来るのか?」
「可能性は低いですが、それでもやらないよりはマシです」
「……よし」
切嗣は自分を切り捨てるように言う、舞弥の意見を即決で了承する。
その顔に迷いはない。
切嗣は狙撃銃をランサーのマスター目掛けて照準を調整する。
(チャンスは一回)
切嗣は大きく息を吐きながら、リラックスしていく。
下の様子はもう限界と言っていいほど押されている。正真正銘の最初にして最後の狙撃。
(──絶対に決める)
ちょうどその時、舞弥も準備を完了していた。
「切嗣」
「ああ。スリーカウントだ」
互いに獲物に向かい構える。
「3」
息を吐く。
「2」
照準を最後に合わせる。
「1」
引き金に指をかける。
「ゼ──」
「AAAALaLaLaLaLaie!! 」
──突如、轟音が響き渡った。
切嗣と舞弥が撃つまさにその瞬間、空から紫電を撒き散らす牛が牽引するチャリオットが降って来た。
それにはたまらずと言った様子で、ランサーもセイバーも一歩下がり突然現れたチャリオット、そしてそれに乗っている大男に向けて警戒をしている。
だが、その大男は警戒などまるでどうでもいいとでも言うように両手を広げ、高らかに叫んだ。
「双方武器を収めよ、王の御前である!」
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4話
突如空中より駆け下りてきた大男により、今まで散らしていた火花は収まり、緊迫に包まれた戦場。その金縛りを解いたのは、大男だった。
「我が名はイスカンダル。此度の戦争においてはライダーのクラスを得て現界した」
(いきなり真名をバラした!?)
思わぬ登場に、思わぬ宣言。これには誰もが驚き凍りつく。
そんな中、セイバーは今までの経験により他のものよりも早く立ち直り、思考を回していた。
(いや……あれが本当の真名だとは限らない。実はライダーに見せかけたキャスターの線もあり得る)
実際の話、真名を聞いたところでそれが本当なのかどうかは誰にもわからない。宝具自体、相応の魔力さえ込めてあれば偽装は十分にできる。つまり、今のこの状況で彼の宣言を真面目にとっている者はいなかった。
……この声を聞くまでは。
「な、何を考えておりますかこの馬鹿ああああああ!!」
その叫び声は彼のチャリオットから響いてきた。
透き通るような中性的な声を高らかに叫びながら、ライダーのマントを握りしめて何度もなんども胸板に叩きつけていた。
「何をいきなり真名バラしてんの!?バカなの、絶対バカだよなお前ぇぇ!」
「フン!」
「くべら!?」
だがその抵抗も悲しいかな、ライダーのデコピンにより終了する。
その時、全員の心の声が一致した。
(嘘だろ……)
だが彼はそれに気づいても、動じるような臆病者ではなかった。
「ふん……話を戻そうか、セイバーにランサーよ。先の戦い、誠に見事であった」
「……何が言いたい。事と次第によっては容赦はしないぞ」
セイバーは横持ちにしていた剣を、ライダーに構える。
それを見たランサーも、ライダーに向けて槍を構える。
一触即発の雰囲気。しかし彼は動じずに優しげな声で語りかける。
「我が軍門に降れ。さすれば、我とともに世界中の悦と快楽を分け合うことができるであろう!」
♦︎
カチ、カチと時計の音が鳴り響く。
そんな中、赤いスーツを着た男──遠坂時臣は時代遅れな電話機を片手に思考を回していた。
「──以上です。導師よ、これはうまくいけばセイバーが落ちるのはほぼ確実かと」
「うむ。私も同意見だ」
時臣は長い会話に疲れたのか、椅子に座る。
「だが綺礼。君からして、この現状。どう思う」
「どう思う……ですか」
「ああ。負傷したセイバー、疲労をしたランサー、そして急遽乱入してきたライダー。この三つ巴の状況を見てどう思う」
電話越しに時臣は問いかける。答えは間をおかずに帰ってきた。
「考えるまでもなく、セイバーはまず脱落するでしょう。そしてランサーはあれしか宝具が無いのであればライダーに勝つことはほぼ不可能。──ライダーが圧勝するに間違いないかと」
電話の相手──言峰綺礼は断言する。
利き腕の親指の健を切られたセイバーはどう足掻いても負ける。これは確定事項だ。令呪を使わない限り脱出は不可能に等しい。
そしてセイバーとの戦闘で疲弊をしたランサーは、たとえ二人から叩かれたとしても負けることはないだろう。両腕に持つ槍で捌けば巨大なチャリオットに乗るライダーに勝つのは極めて困難だろうが、それでも堅実に闘っていれば負けることは無い。
──最後にライダー。
彼は両者が消耗し、真名や宝具をある程度出したタイミングで乱入してきた唯一無傷の存在。彼の持つチャリオットを走らせれば、うまくいけば全滅。そうでなくてもセイバーにはとどめをさせる。
マスターを狙おうにも高速移動するチャリオットの中にいたのであれば、暗器使いのプロであるアサシンであっても無理なこと。
実質、彼はこの三つ巴の状況での覇者だった。
「そこでだ、私としてはここでライダーの戦力を見たいと思っている。かの有名なイスカンダルともなれば、もしかしたらもう一つ宝具を隠し持っているかもしれない。しかし、この二人ではどう見てもそれを引き出すには不十分だ」
「と言いますと?」
「近辺に雁夜がいることは君も知ってるね?」
「はい」
先ほどアサシンから報告が上がってきていた。なんでも蟲を様々な場所へと設置しているとのことだ。
「──彼をあそこまで誘導する」
♦︎
とても夜とは思えない喧騒を奏でていた港とは裏腹に、雁夜たちの歩く道はとても静かなものだった。
それは当然のことで何キロも離れた位置にある港の音など、魔術師による必死の隠蔽もあり聞こえるはずがない。
「それで、私を連れて来るようなことか?」
「当然だ。て言うかサーヴァントはマスターについて回るものだろ」
「だから言っているであろう。私は貴様を主人と思わないと」
「……はぁ」
人のいない道を、二人は練り歩く。
今の時刻は深夜。当然と言えば当然だが人っ子一人いないから見渡しはかなりいい。
雁夜は、先ほど仕掛けた蟲がしっかり配置されているかを確認しに来ていた。
本来人通りのある時間帯に確認する方が安全でいいのだろうが、暗示や洗脳といった一般人に見つかった時の備えを持っていない雁夜は発見された場合、発見者を殺さないといけない。
それをしたくなかった彼は、こうして危険のある深夜の冬木を歩いていた。
「……よし、ここのポイントにもちゃんといるな」
「三流だと聞いていたが、この程度はできるのだな」
「まあ、うちの起源に一番相性がいいからな。この程度ならさすがにできる……はず」
雁夜が仕掛けた蟲の数は合計で10匹。今まで確認した数は8匹。残りは2匹だけ。
その二匹の場所はそれなりに近い場所だから、確認作業ももう終わる。そう思い、雁夜は少し息を吐いた。
「それで、あとの蟲はどこだ?」
「後のやつは埠頭の方に一匹とそこから近い下水道の入り口に一つだ。もう終わるよ」
「そうか」
ギギナは路地裏にいるのが嫌なのかさっさと歩き出す。
「ところでギギナ。お前って強いのか?」
「……エリダナでは最強の剣士と言われていた。少なくとも後れを取ることはないだろう」
ギギナは自分の強さに絶対の自信を持つのか、断言した。
しかしカメラマンとして世界を渡り歩いて様々な人を見てきた雁夜には、それが自信に満ちたものというよりは自分に言い聞かせるようなものに見える。
「どんな相手であれば生きているのであれば斬れる」
「……ふーん」
だがそれを指摘することはなかった。雁夜からしてみれば戦闘する前に実力を知っておきたかったが、聖杯戦争はまだ序盤。そんなときからサーヴァントとの関係を悪化させるようなことはしたくなかった。
「じゃあ奇襲が来てもお前がいれば安全だな」
「ああそうだな。とりあえず伏せろ」
「――へ!?」
突然、ギギナは背中に携えてある屠竜刀ネレトーを解き放つのと同時に彼の隣を歩いていた雁夜を足払いで転ばす。
突然戦闘態勢に入る彼に苦言を言おうと、雁夜は立ち上がろうとすると同時に、目の前で火花が広がる。
――その火花の先、屠竜刀に弾かれたものは投擲剣だった。
その短剣は漆黒のように暗く、鋭さを象徴するような武骨さを持っている。
それは、ダークと呼ばれた投擲剣だった。
「け、剣!?」
「落ち着け、相手の姿が視認できない。私から離れるな」
ギギナは雁夜をその場から動かないように言いながら、360度のなかで妖しいといえるような場所を探す。
だが、今は暗闇の中。恒常咒式で夜目がある程度効くとはいえ、すべてが見渡せるわけでもない。
しかし、クラスがわからないわけではない。
「おい、カリヤ。アサシンは死んだのではないのか」
「お、俺だって死んだと思ってたよ……でも、これ見る限りじゃ生きてたんだろ」
「そのようだな!」
再び、投擲剣が放たれる。次は三本。先ほどよりも二本増えている。
しかも驚くべきことにすべて別の場所から同時に放たれていた。
はっきり言って、この程度の攻撃しかしないのであればギギナだけであれば敵にならないだろう。しかし現状は雁夜というお荷物を抱えている状況。撤退するしかなかった。
ギギナはそれを一瞬で判断し、雁夜を担ぎ上げながらすぐに走り出す。その速度はとても早く、自動車のような速度だ。そして、いきなりその速度を風よけなしで体感する羽目になった雁夜は、当然と言えば当然だが軽くパニックになっていた。
「ひぃ!?」
「逃げるぞ。こんな状況だと勝ち目はない」
「ど、どこに行くんだよ!」
「当てなどない。振り切れなければ死ぬだけだ」
「……誰が?」
「言う必要はあるか?」
「無い!」
そんな高速で移動をしているが、相手が離れることは一向にない。
これでは魔力切れでこちらが不利になる。そう結論を出したギギナはネレトーから咒弾を一個排出する。
すると、ネレトーの切っ先には組成式が現れた。こんな超科学、平時であれば目を見開いて見たであろう雁夜だが、今は死にたく無いと言う思いでいっぱいになっていてそれどころでは無い。
だから、今のこの状況を──黒翼が生えたギギナを見たのは後ろから追って来ていたアサシンだけだった。
ギギナは黒翼の下からの強烈なジェット噴射で一気に加速をする。その速さはサーヴァントの敏捷ランクで言えばAはあるのが見て取れる。
「ひぃ!?お、お前これ速すぎるだろ!?」
「喋るな。舌を噛むぞ」
「ぎゃあああああ!!」
目をまともに開けられないほどの急加速。それにはさすがのアサシンといえど追いつく事など叶わなかった。
電柱の上に立っていた黒い影は追跡することを一瞬で諦めて、自分のマスターに無事プラン通りに行ったと伝える。
「──こちらアサシン。所定の場所への誘導は達成しました」
これから先は大して需要がないであろうされ竜の設定の垂れ流しです。
咒式(じゅしき)
めっちゃすごい進んだ科学。され竜の世界に存在するファンタジーなモンスターを解剖してなんやかんやした結果誕生した技術。生体生成系とか化学錬成系とか系統化されてる。ギギナは生体生成系しか基本使わない。恒常咒式とかいう体の中で常時発動する咒式も存在する。
位階が1〜7まである。高い方が凄い。
咒弾(じゅだん)
咒式を発動させるのに必要な弾薬。いろいろな会社から販売されてるおかげで、自分に合う咒弾を探すのですらわりと苦労する。
咒弾にはそれぞれ対応する位階があり、7階位が使えるやつはめちゃ高いし全然流通していない。
あと使い捨てなので財布に優しくない。
詳しいことを知りたい人は原作を読もう!
本は嵩張るから嫌いと言う人も電子書籍があるから安心して!
そもそも小説が嫌いって人も漫画版もまだ話数は少ないけどあるよ!
あと秋からアニメやるから良かったら見てね!
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