17号は戦艦霧島に憑依するようですよ? (榛猫(筆休め中))
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作者報告コーナー

はい、というわけで今回は作者である私からのお知らせになります。

内容は下にある通りとなりますのでご了承ください...。


 

 

アイルーくん「というわけで始まりました!作者報告のコーニャー!!」

 

斉木『ニャ...?

 

 

幽々子「多分、なとニャ、をかけたんだと思うわ~」

 

 

17島「なるほどな...」

 

 

アイルーくん「...とりあえず自己紹介していくニャ!」

 

 

((((((無理やり話逸らした...))))))

 

 

____________________

 

 

上条「じゃあまずは俺からだな。

『新約、とある提督の幻想殺し』で提督をやってる上条当麻だ」

 

 

悟誠「次は俺だな!

『龍に選ばれし赤龍帝』で孫悟空の義息をやってる孫悟誠だ」

 

 

一誠「次はオラだな

『DRAGONBALL D改』で赤龍帝やってっぞ、兵藤一誠だ!」

 

 

榛名「お次は私ですね

初めまして『榛名さんの苦労話』で一味の姉役をやらせていただいてます。榛名です」

 

 

斉木『次は僕か...。

『鎮守府提督のΨ難』で提督をやらされている、斉木楠雄だ...。

 

 

アイルーくん「お次はボクだニャ!

『女王領域の獣人種』でニャンター、ニャイダーをやってるアイルーですニャ!」

 

 

「お次は私ね~♪

『駒王の街の亡霊姫』でオカ研の副顧問をさせていただいてます西行寺幽々子と申します」

 

 

17島「次は俺か...。

『17号は戦艦霧島に憑依するようですよ?』で霧島をやっている。17号だ」

霧島『私が中にいる元の霧島です』

 

 

燐空「最後は俺か...。

『Re,喪失から始める幻想生活』で放浪者をやってる。霊焔路燐空だ。

呼びにくければリクって呼んでくれ」

 

 

アイルーくん「ありがとうですニャ!ここにいる人たちがギオスor榛猫の書いている作品の主人公たちだニャ!これからこの人たちと今後の予定について話していくニャ!」

 

 

____________________

 

 

 

上条「つーか、今度はなんで俺達集められたんだ?」

 

 

悟誠「また長期休載とかか?」

 

 

一誠「それはさすがにねえんじゃねえかな?」

 

 

榛名「そうですね、私達は全く動いていませんが一部の人達は良く動いてましたから、私達は全く動いていませんが」

 

 

アイルーくん「ニャァ...そこでボクを見られても困るのニャ...。

今回は今執筆している全作品に関することニャ!」

 

 

幽々子「全作品に関すること?」

 

 

17島「あまり動くことのない俺達にもか?」

 

 

リク「いったいどういうことなんだ?」

 

 

アイルーくん「作者が言うにはようやく時間が取れ始めてきたから執筆作品すべての更新を再開するという事だったのニャ!」

 

 

『『『ッッッ!?!?!?!?!?!?』』』

 

 

上条「あ、あの作者がか?」

 

 

悟誠「一本にハマりだしたらそれしか書かないアイツが!?」

 

 

一誠「いってえどういう心境の変化だ!?」

 

 

榛名「榛名は...驚きで言葉が出ません...」

 

 

斉木『マインドコントロールを使ったわけでもないのにどういう訳だ...?

 

 

幽々子「あの子は気まぐれなところがあるものね~」

 

 

17島「気まぐれすぎて俺達は気が気じゃないんだがな...」

 

 

燐空「17島さんに激しく同意だよ...」

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

アイルーくん「更新頻度はボクは知らないけど以前やってたらしい週替わり更新にしていくらしいニャ」

 

 

上条「あぁ、あの方法ね...」

 

 

悟誠「大丈夫なのか?」

 

 

一誠「まあアイツの事だから何か考えがあってのことなんじゃねえか?」

 

 

榛名「そうだと良いのですけど...」

 

 

斉木『案外何も考えていないかもしれんぞ?

 

 

幽々子「考えていることを祈るばかりね~」

 

 

17島「問題ない、更新が滞ることがなければそれでな」

 

 

燐空「作者信用ねえんだなぁ...」

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

上条「そういや思ったんだけどさ、週替わりにするってことは前みたいに作品ごとに組み分けがあるんだろ?」

 

 

悟誠「そういえば前はあったよな、何がありましたっけ?」

 

 

一誠「えーっとな...あん時は確か、前の『ドラD』が週六更新で...」

 

 

悟誠「『龍選』が週五だったっすね」

 

 

榛名「『榛クロ』は週四でした」

 

 

斉木『おまけで『新約とある』と『鎮Ψ』が週三だったな...。

 

 

幽々子「『亡霊姫』は週二の更新だったわね~確か」

 

 

17島「『17戦霧』は週一更新だったな、途中で止まったが...」

 

 

燐空「その頃からやってたのかよ...で、今回はどういう分け方なんだ?」

 

 

アイルーくん「それについては後から書く活動報告を見て欲しいそうニャ」

 

 

斉木『露骨な誘導だな...。

 

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

アイルーくん「さっきも言った通り、詳しいことは作者の活動報告を見て欲しいニャ!」

 

 

上条「どうやら今後の更新の予定や優先度なんかも書いていくつもりらしい」

 

 

悟誠「つもりねぇ、いったいそれがいつまで続くのやら...」

 

 

一誠「まあ試してみたらいいじゃねえか、色々やってみりゃ方法を思いつくかもよ?」

 

 

榛名「今は作者を信じるしかないですね...」

 

 

斉木『僕の所は直に終わるだろうから早めにしてほしいものだが...

 

 

幽々子「それも作者のやる気次第かしらね~」

 

 

17島「久しぶりに動けるんならそれでいいさ」

 

 

燐空「17島さんの言う通りですね」

 

 

『『『『そういうことですので、こんな作者ですがよろしくお願いします』』』』



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長期休載のお知らせと各作品の主人公達


ギオスです。

題名のとおり今回からしばらく休載致します……
理由は下の会話内に紛れていますのでそちらをご確認ください……

皆様にご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いいたします……m(__)m


一誠「そういうわけで、オラ達がここに集められたっちゅうわけか」

 

悟誠「お、俺にそっくりだ!でも口調が……」

 

幽々子「あらあら、ホントにそっくりね~♪」

 

斉木『全く…僕は海域の問題を調べるので忙しいというのに何故こんなところに来なければならないんだ……

 

17島「まあアイツが動かなきゃ俺達も動けないんだから仕方ねえだろ?」

 

上条「上条さんは今度は何をやらされるのか気が気ではありませんですことよ?」

 

吹雪「あはは……苦労してるんですね」

 

榛名「仕方ありませんよ…作者は気まぐれですから」

 

斉木『ん?吹雪、お前のところの提督はどうした?

 

吹雪「それが…『なんで俺がそないなめんどい所にいかなあかんねん…俺ァ嫌じゃ、いかん!吹雪ちゃん代わりに行ってきてくれ』と言われてしまって……」

 

幽々子「責任感のない人なのね~…」

 

一誠「とんでもねえ奴だな…オラがぶっ飛ばしてやる!」

 

悟誠「止めとけって、お前にぶっ飛ばされたら命がいくつあっても足りねえよ……」

 

上条「全くもってその通りでせう……」

 

17島「醜い肉のオブジェの出来上がりだな……」

 

斉木『霧島と同意見だ……

 

榛名「榛名もそう思います……」

 

一誠「ひっでえな…おめえ達……」

 

幽々子「それだけあなたは強すぎるのよ…何よ敵を蹂躙って……」

 

一誠「んなこと言ったら幽々子だって無双してんじゃねえか……」

 

幽々子「あなた程酷くやってはいませんわ~♪」

 

悟誠「そうかな?にしても良いおっぱいだぁ…♪」

 

17島「お前、18号に殺されるぞ……」

 

吹雪&榛名「…………」【引き】

 

悟誠「引かないでごめん!俺が悪かった!」

 

上条「うわぁ……。俺のとこでそんなことしてたら即殺されちまうよ……」

 

斉木『まずそんなことをする意味がわからない……。

 

一誠「はははっ!おめえの場合裸見れねえもんな」

 

幽々子「笑い事じゃないと思うわ~」

 

17島「その通りだな…中の奴も引いてるじゃないか……」

 

 

_______

 

 

上条「にしても、どうしてまた長期休載なんだろうな……」

 

一誠「おめえ持ち前の不幸が作者にも移ったんかもしんねえぞ?」

 

上条「それだけはマジで勘弁してくれ……」

 

榛名「榛名には分かりません……」

 

斉木『どうやら気力が続かないらしい…またその内気が向いたら書くそうだ……

 

悟誠「気が向いたらって……いったい再開は何時になるんだよ……」

 

幽々子「それも作者の気まぐれなのよね~……」

 

一誠「その通りなんだよな…っと、そろそろ終わりみてえだ!んじゃ、読者のみんな!またな!」

 

全員「ご迷惑をお掛けしますが少々お待ちください……」

 

 



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艦これ海への現界!?人造人間爆誕!

これは17号が動き出す前のプロローグ…。


side???

 

「いくぞっ!龍拳!爆発っ!!」

 

ボサボサ髪の少年の気合いの叫びと共に黄金の龍が現れ超17号の体を貫く…。

 

 

「グッ…!クソッ!!」

 

 

「これで終わりだ!か…め…は…め…波ぁぁぁっ!!」

 

 

「うがぁぁぁぁぁぁッッ!!」

 

貫かれた穴に少年はさらにかめはめ波を撃ち込むと超17号は跡形もなく消し飛んで消えた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「わぁ~…これはまた迫力のある戦いだね~」

 

そう口にするのは一人の子供…。

 

見ているのは終わりと始まりの書と言う巻物。

 

そう、ここはトキトキ都、かつて歴史の改変を修正した英雄がいる場所…。そこに其の神はいた。

 

 

「やっぱりこっちの歴史は面白いな~♪」

 

 

「こらっ!またこんなところにいたんですか!シオチュ様!」

 

そう言って入ってきたのはここ、トキトキ都の管理人…。時の界王神こと、クロノア…。

 

 

「あちゃ…クロお姉ちゃんに見つかっちゃった…ですって!」

 

てへぺろ♪と風な仕草をする子供…。

 

 

「うぐっ…!駄目じゃないですか!また仕事サボって来たんでしょう?またウイスさんに叱られますよ?」

 

 

「大丈夫~♪見つからないように抜け出してきてるから~

それに僕の世界見てても詰まんないし悲しくなるだけなんだもん…」

 

ブイッ!と自慢気に満面の笑みをこぼしつつ愚痴を言う子供…。

 

 

「はぁ…来るのは構いませんけど、ちゃんと仕事に戻ってくださいね?」

 

 

「はーい、ん?」

 

 

「?どうしましたか?」

 

子供の様子に疑問を覚えるクロノア。

 

 

「んっとね…ちょっと気に入った子見つけちゃった♪

ちょっと行ってくるね~♪ばいばーいクロお姉ちゃん」

 

それだけ言うと子供は走り去っていった。

 

 

「あんな可愛いのにビルス様と同格なのよね…」

 

そういいながらも刻蔵庫に散らかった終わりと始まりの書を片付け始めるクロノアなのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「閻魔のおじさーん!」

 

その頃子供は閻魔殿に来ていた。

 

 

「おぉ、シオチュ様…。どうかしましたか?」

 

 

「えっと…この人って転生はいつになるかな?」

 

そう言って紙に書いた一枚の似顔絵を閻魔に差し出す子供。

 

 

「ん?あぁ、17号ですか?コイツならかなり大きな罪を犯していますから転生はしばらく先になりますな」

 

 

「そうなの?じゃあ、その人の魂、僕がもらっていい?」

 

 

「こやつの魂を?構いませんが…大丈夫ですか?」

 

 

「大丈夫!悪いようにはしないよ♪」

 

満面の笑みを浮かべる子供。

 

 

「うーん…シオチュ様がそこまで言うなら良いでしょう…。しかし、気を付けてくださいね?」

 

 

「はーい!」

 

そう言うと子供は地獄へと走り去っていった。

 

それを見送り、閻魔は呟く

 

 

「元気なもんだ…。あれでビルス様を凌ぐ実力を持ってるんだからの…」

 

 

sideout

 

 

side17号

 

 

気がつくと俺は不思議な空間にいた。

 

当たり一面真っ青でなにもない空間…。

 

 

「どこだ?ここ…」

 

辺りを見回すがやはり何もない。

 

すると、後ろから声がかけられた。

 

 

「あ!目が覚めたんだね~おはよう!17号くん♪」

 

なんだ?子供の声?

 

俺は声のした方へ振り向く。

 

 

「ようこそ!僕の世界へ!」

 

そこには両手を広げて満面の笑みを浮かべた子供がいた。

 

 

「お前が俺をここに連れてきたのか?」

 

 

「うん!」

 

 

「なんで俺を連れてきたんだ?」

 

 

「僕のお願いを聞いてほしくて…。」

 

 

「お願い?悪いが子供の面倒見るのはお断りだぞ」

 

 

「むー…僕子供じゃないもん!それに、僕のお願いを聞いてくれたら君を生き返らせてあげるよ?ただし、条件付きでね♪」

 

生き返らせる?今コイツは確かにそう言った。

 

 

「それは本当か?」

 

 

「うん、神様ウソ吐かない」

 

なんとなく軽い感じがするが子供の言うことなんてみんなそんなものか…。

 

 

「分かった、それでそのお願いってのは?」

 

 

「簡単だよ~僕の仕事のお手伝い、というより退屈しのぎに付き合ってほしいんだ」

 

仕事の退屈しのぎ?何を言っているんだコイツは…。

 

 

「はぁ、俺にピエロでもやれってのか?」

 

 

「ううん、僕の担当の世界に現界させてあげるからそこで君の思う通りに生きて欲しいの」

 

ん?現界?生き返るのとなにか違うのか?

 

 

 

「現界っていうのはどういうことだ?」

 

 

「んーっとね…つまり、魂だけを地上に送り出すの、それで送られた人(魂)は自分と合う肉体を見つけて乗り移るの!所謂(憑依転生)というものだね!」

 

 

「憑依?ってことはいままでの体は無くなるのか」

 

 

「うん、っていうより君の体は跡形もなく消し飛ばされちゃったからこの方法しかないんだ…。やってくれる?」

 

 

「…よし、お前のお願いきいてやるよ…。俺の好きなように生きればいいんだろ?」

 

 

「そうだよ~♪それじゃあ早速…。と、その前にこれを渡しておくね。どうしようもなくなっちゃった時に食べて」

 

子供が掌サイズの光る果実を差し出してきた。

 

俺はそれを受け取り仕舞いこむ

 

 

「どうしようもなくなった時か、了解だ」

 

 

 

「それじゃあ、始めるよ!それ~♪」

 

すると俺の周りに風が渦巻いたかと思うと俺はそのまま吹き飛ばされてしまった。

 

 

「な、なにっ!?うわぁぁぁぁぁ…!!!」

 

 

「グッドラック、日本語で言うと幸運を祈る…頑張って僕を楽しませてね~♪」

 

薄れゆく意識の中最後に聞こえてきたのは子供のそんな言葉だった。

 

 

 

 

 



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これはゲームですよ?

side17号

 

 

【ブワァァァッ!!】

 

突風と共に吹き飛ばされた俺は海のど真ん中に放り出された。

 

魂だけの存在の所為か衝撃は全くと言っていいほどなかった...。

 

 

「はぁ、ったく、いきなりやってくれるじゃないか。あのガキ...今度会ったら一泡吹かせてやるかな...」

 

そう愚痴りながら俺は辺りを見回す。

 

辺りは一面真っ青な海...。他に見えるものはない。

 

 

「こんな海のど真ん中に投げ出されるとはふつう思わないよな...。ん?」

 

更にグルリと辺りを見回す。すると、海の中に沈んでいく『何か』が目に入った。

 

俺は気になりその『何か』の所に向かった。

 

 

「おいおい...なんだこれ...」

 

沈みかけていたソレは人の腕だったのだ。

 

なんでこんな海のど真ん中で人が沈んでいるのか知らないがこの身体じゃどうしようもないしな...。

 

 

「仕方ない、助けてはやれないがコイツの面でも拝んでやるか」

 

そういうと俺は海の中へと潜っていく...。

 

 

 

中からその人物を見てみたところ、沈んでいたのは巫女服のような装束を身に纏った数人の少女たちだった。

 

 

「なんで女どもがこんなに沈んでるんだ?」

 

考えていても埒が明かないので、とりあえずこいつらの身体を乗っ取ってみようと試みる。

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

「ダメか...やっぱ生きてる奴じゃないと駄目そうだな」

 

うすうす勘づいてはいたが、やはりダメだった。まあ、死人を動かすなんてことやりたくはないので出来たらできたで気持ちがいいものじゃないからな...。

 

 

「出来ないものはしょうがない、諦めて次の奴を探すか」

 

そう言って俺が海面に浮上した時だった。

 

浮上した場所から少しだけ離れた場所で大きな水柱が上がったのだ。

 

 

「今度はなんだ?」

 

俺は水柱が上がっている場所に飛んで行った。

 

 

 

 

その場所についてみると一人の巫女服の様な物を着込んだ少女が、

 

白黒の化け物の砲撃を避けながら海を走っていた。

 

服装から考えると先程の少女の連れであることは間違いないだろう。

 

すると、化け物の砲弾が少女に命中する。少女は苦悶の声を上げながらも懸命に走ろうとする...。

 

が、先程の砲弾で体力が尽きたのか、少女の身体が海面に沈み始めた。

 

俺はその様子を黙ってみていた。すると頭の中に声が聞こえてきた。

 

 

【私にもっと力があれば...お姉様方...ごめんなさい...】

 

その声は恐らく少女のものだろう。

 

俺は少女に近づき一つ、問いかけた。

 

 

「力が欲しいか?」

 

sideout

 

 

side霧島

 

 

『霧島!私達のことは良いから早く行くネ!』

 

 

『今動けるあなただけでも!生きて!!』

 

 

『ここは榛名たちが全力で食い止めます!だから行って!!』

 

金剛お姉様...比叡お姉様...榛名...

 

『......っ!!必ず助けに戻ってきますから!ご武運を!!』

 

そう言って私があの三人に背を向け走り出してからどれだけ立つのでしょう...。

 

もう分かっていました...。もうあの三人は助けられないと...

 

それでも私は諦めきれなかったのです...。

 

ですが、その希望はあっさりと打ち砕かれました。

 

 

藁をもつかむ思いで鎮守府に救援要請を出したところ帰ってきた返答は残酷な者でした。

 

 

 

『救援ハセズ』

 

という簡素で情の欠片もない物でした。

 

私は唇を強く嚙みました。自分の無力さが悔しい...!

 

あんな鎮守府に着任してしまった自分が恨めしい...!

 

悔しさを押し殺して走っていると、目の前に敵艦が浮上してきたのです。

 

 

(戦艦ル級!?こんなときに!)

 

ル級は私を発見すると即座に砲撃してきました。

 

私はそれを躱して逃げることしかできません...。

 

しかし艤装は大破し、航行速度も大して出ないこの状態では避けるのも難しくなっていました。

 

次第に砲撃を喰らうようになり、最後には直撃を喰らい私は膝をつきます。

 

すると、艤装ももう限界だったのでしょう。私の身体が沈み始めたのです。

 

 

(こんなところで終わるのね...私にもっと力があれば...お姉様方、ごめんなさい...霧島も今そちらに参ります...)

 

私の身体がほとんど沈みかけていたその時でした。

 

 

「力が欲しいか?」

 

不意にそんな声が聞こえ私は目を開けます。

 

(誰...?)

 

 

「今はそんなことはどうでもいいだろ?力が欲しいのか?欲しくないのか?」

 

 

(今更力を求めても遅いですから...もう私は終わりなんです...。)

 

 

「そうか、お前が望めばこの状況も打破できると思うが、本当にいいのか?」

 

 

(...それは本当ですか?)

 

 

「あぁ、簡単だな。だが、今のお前じゃ無理だ」

 

 

(分かりました。私は力を欲します。貴方の力を貸してください)

 

 

「契約成立だな」

 

その言葉と共に私の中に何かが入ってくる奇妙な感覚が私を襲いました。

 

 

(な!なに...?こ..れ..)

 

その感覚に私の意識は暗転していき暗い闇の中へと落ちていきました。

 

 

sideout

 

 

side17号?

 

よし、なんとかコイツの身体を奪い取れたぞ。

 

だがコイツの身体もうほとんど動かないな...。

 

これじゃあまたすぐあの世に逆戻りだ。

 

そんな面倒なことはごめんだ、

 

俺はあのガキ時からもらった光る果実を手に取り一気に頬張った。

 

 

「っっ!?」

 

一瞬の痛みの後、急に体に力が沸き上がってきた。

 

沸き上がる力は懐かしくそれでいてどこか心地のいいものだった。

 

俺はこの感覚を生前体験している...。しかも腐るほど。

 

 

「そうか!思い出したぞ、これは永久式エネルギー炉だ、あのガキ気の利いたことをしてくれるじゃないか」

 

これなら余程のことがない限り大丈夫だ。

 

とりあえず、この目の前の化け物をなんとかするか...。

 

 

「ナゼ...ナゼ蘇ッタ!お前ハ先程沈メタハズダ...」

 

 

「そうカッカするな、これはゲームなんだ、楽しめよ」

 

俺のその言葉に化け物、戦艦ル級はいきり立ったように砲撃を開始した。

 

 

「ゲームダトッ...!フザケルナ!!」

 

滅茶苦茶に放たれる砲撃を俺は躱しながら、一気にル級へと距離を詰める。

 

そして、ル級の首辺りまで跳び上がると勢いよくその首を蹴り飛ばした。

 

 

「ッッ!?!?!?」

 

ル級の首は驚愕の表情を顔に張り付かせたまま暗い海の底に沈んでいった。

 

 

「......」

 

首から上がなくなった胴体も同じように海の底へと沈んでいくのだった。

 

 

「なんだこれで終わりか、つまらない...」

 

あっさりと沈んでいったル級に落胆しながら俺はこの身体の記憶を思い出していた。

 

 

「よし、じゃあ次はこのチンジュフってとこに行ってみるか」

 

そういうと俺はふわりと体を浮き上がらせ鎮守府の方へと飛んで行くのだった。

 



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私は私のやりたいようにやりますから…。

sideKIRISIMA

 

 

『答えてください!これは一体どういうことなんですか!』

 

うるさい奴だな…。

 

今、俺…おっと、これだと怪しまれるな。女口調にしないと、とりあえず18号みたいにいくか。

 

私はチンジュフってところに向かってのだけど、その途中にこの体の持ち主が目覚めてしまった…。

 

目覚めたそいつは自身の身体が奪われた事を知るとお…私に問い詰めてきた。

 

それで、あんまりうるさいから無視してたら余計に酷くなった…。

 

 

『どういうことなのか説明してもらうまで問い続けますからね!』

 

おいおい、勘弁してくれよ…。

 

と、そんな事があってからコイツはずっと、お…私に話しかけてくるの…。

 

もう、仕方ないし話してやりましょうか。

 

 

「分かった分かった、話してあげるから静かにしてよ…」

 

そう言うとソイツはピタリと静かになった。

 

 

 

私はこれまでの経緯を簡単にヤツに話したの。

 

 

「これで全部よ、納得した?」

 

 

『そういう事だったのですか、あまり納得はいきませんが、戻れないのならば仕方ないですね、私はココであなたの様子を見守らせてもらいます。』

 

はぁ…ようやく静かになる…。

 

私は気を取り直してチンジュフに向かったの…。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

身体の記憶を頼りに飛ぶ事2時間…。

 

私はようやくチンジュフに到着出来た。

 

 

「やっと着いたわ…こんなに遠いとは思わなかった。」

 

チンジュフの近くに降りて母港に帰投した。

 

 

チンジュフの仲間達は私が無事に帰って来たことに驚きながらも涙を流していた。

 

私は持ち主の言われるままに振る舞いその場を切り抜けたわ。

 

 

『さて、それでは司令に報告をしにいかなければなりませんから、司令室に行きましょう』

 

やっとなの?ようやく目的の人物に会える訳ね…。

 

私は意気揚々と司令室へと向かった。

 

 

 

 

「なんだお前、生きてたのか…。」

 

司令室の持ち主の第一声はそれだった。

 

それは安心しているわけでも悲しんでいるわけでもない、

 

ただ冷静に状況を呑み込んだだけのソレだった。

 

 

「お前の他は沈んだか?まあそんなことはどうでもいい、お前ももう下がっていいぞ」

 

あら、コイツ何か勘違いしてるみたいね

 

私はその場から動かずに奴にこう言った。

 

 

「下がる?どうしてアンタの言う事を聞かなきゃいけない訳?バカバカしい…」

 

その言葉を聞いたヤツは途端に表情を変える。

 

 

「おい、霧島、お前今なんて言った?」

 

醜い顔で睨みつけてくるヤツ…。

 

だけどそんなもの私には通用しない。

 

 

「聞こえなかったんだ、じゃあ教えてあげる…アンタみたいなヤツの言うことなんか誰も聞かないってね」

 

 

 

「……いい度胸じゃないか。なッ!?」

 

怒りの表情を浮かべた奴は私が動くと途端に表情を変えた

 

 

「貴様、動くな!それ以上こっちに来るんじゃない!」

 

私はその声を無視してなおも前に進む。

 

 

「来るな!何をするつもりだ!俺は提督だぞ!お前らの上司だ!その上司に何をするつもりだ!」

 

 

「煩いわね…。どうでもいいわ、

アンタが何者かだなんてさ…。

私は私のやりたいようにやる。

それに、アンタみたいなキモいヤツ要らないの」

 

なども近づく私にヤツは顔を真っ青に染めながらジリジリと後退りして逃げ始める。

 

 

「ひ!来るな!来るなぁ!!」

 

だが、途中で壁にぶつかり逃げ場を失うヤツ。

 

私は飛び上がると鋭い蹴りを放った。

 

 

「やめろ!やめてくれぇぇ!!………」

 

血を吹き出しながら飛んでいく奴の首…。

 

その顔は恐怖に染まっていた。

 

 

「…姉さん達、一応アンタらの仇はとったよ」

 

それだけ呟くと、私は窓から外に飛び出して行くのだった。

 

 

 

 

 

 

その後、そのチンジュフは大騒ぎになるがその犯人は見つからなかった。

 

 



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面白いこともあるものね…。

前回のあらすじ

所属していた鎮守府の提督を蹴り殺して霧島はまた放浪の旅に出るのだった。


side霧島

 

鎮守府を離れて少したった頃…。

 

 

「ったく、動きづらいね…。」

 

中々スピードの出ない艤装に私はイライラし始めていた。

 

 

『どうして向こうで入渠を済ませてくれば良かったではありませんか…。』

 

 

「そんな時間あるわけないだろ?帰ってすぐに報告しに行ったんだあのクズを殺った後なんているだけ面倒臭いだけだしね」

 

 

『それはそうかもしれませんけど…。じゃあ、どうするつもりですか?これ』

 

 

「最悪これを仕舞って飛んで移動するだけだけど、それじゃ面白くないでしょ?」

 

 

『面白いって…それで沈んだりしたら元も子もないと思うのですが…。』

 

 

「っ!話は後だよ、どうやらお客さんのお出ましだ」

 

さて、一暴れしようか!少しは楽しませてもらうよ?

 

私は目の前に現れた深海棲艦の一団に向かっていった。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

「グギャァァァッ!!」

 

敵駆逐艦が砲撃をしてくるのを躱わし至近距離でエネルギー弾をお見舞いする。

 

 

「グギャァァッ!?」

 

弾け飛ぶ駆逐艦を横目に私は更に敵軽巡達の頭を蹴り飛ばす。

 

 

「~~ッ!?」

 

 

「さて、残るはアンタ一人だ、どうする?」

 

 

「…ヲッ!!」

 

掛け声と共に無数の艦載機を発艦させる敵空母。

 

 

「そうこなくちゃ!」

 

艦載機の無数の攻撃を掻い潜り。私は一気に敵空母との距離を積めると、その身体を上空へと蹴り上げる。

 

 

「ヲヲッッ!?」

 

 

「終わりだよ!これでも…喰らいな!!」

 

エネルギーを最大まで溜めて横凪ぎに放つ。

 

『超電圧爆裂斬』私達人造人間の最高の技…。

 

それを受けた敵空母は跡形もなく爆散していった。

 

 

「ふう…やっぱり張り合いがないね。つまらない」

 

と、そんなふうに悪態をついていると…。

 

 

「大丈夫ですかーッ!!!」

 

ん?声がするってことは他の艦娘が近くにいたみたいだね。

 

おっと!艤装を展開しておいた方が良さそうだ…。

 

後ろを振り返ると、そこには数人の少女達の姿があった。

 

 

「あぁ、なんとかね…。それよりアンタ達は?」

 

 

「私達は江ノ島鎮守府の第2艦隊なのです!」

 

 

「凄い傷です…早く戻って入渠しないと…」

 

なんだか着いていかないとならなさそうな雰囲気だね…。どうするの?霧島

 

 

『今はご厚意に甘えましょう、いつまでもそんな状態にしておくわけにいかないですしね』

 

それもそうね、それじゃ今回はありがたく使わせてもらうとしましょうか。

 

 

「いいのかい?助かるよ…。」

 

 

「こっちなのです…!」

 

小さな少女に手を引かれ、私は彼女達の所属する江ノ島鎮守府へと向かっていくのだった……。

 

この出会いが大きな変化を起こすことを私には知るよしもなかった…。



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便利なものだ、艦娘の体ってのは

サービスシーンが極端に少ないギオス作の作品の中でもっとも貴重なお風呂シーン……。


sideKIRISIMA

 

 

「もうすぐ着くのです!」

 

そう言って少女が指差す方角には、うっすらと建物の影が見えていた。

 

 

「あれがあなた達の鎮守府なのですか?」

 

 

「なのです!とっても良いところなのですよ!」

 

ふぅん…少なくとも前にいた所みたいにブラックって訳じゃなさそうだね。

 

まあ、何かありそうなら白だろうと容赦なく首を飛ばすだけだけどね。

 

そんなことを思案しながらも進んでいると陸地が近付いていることに気がついた。

 

私は艤装を仕舞うと陸地に上がる。

 

他の子達も同じように上がって来ていた。すると、そこに声がかけられる。

 

 

「第二艦隊の皆さんご苦労様でした。皆さんは補給を……。それと、そこのあなた、良く来てくれましたね」

 

声のした方を向くと、そこにいたのは弓道着に赤いスカートを身に付けた長い黒髪の女が立っていた。

 

 

「赤城秘書艦さん!この方が通信でも伝えた人なのです」

 

さっきまで私の手を引いていた少女が赤城と呼ばれた黒髪の女に話しかける。

 

 

「えぇ、話は聞いています…。お話を聞きたいところですが今はその傷を治すのが先決でしょう、先に入渠をなさってきてください。その体では話しにくいでしょうから」

 

 

「ありがとうございます…。お言葉に甘えさせていただきますね……」

 

正直なところ、疲れてはないのだが身体中傷だらけの所為かとても動きにくい……。

 

 

 

「ドックには私が案内するのです」

 

 

「では、電さんにドックへの案内はお願いしますね、その前にあなたの名前教えてもらえますか?」

 

不意に声をかけられ少し動揺しつつも私は名前を教える。

 

 

 

「え?あ、失礼しました。そうですね、私は霧島と申します」

 

私の言葉に赤城と呼ばれた女は一つ頷く。

 

 

「霧島さんと言うのね、じゃあ霧島さん、入渠が済んだら後で司令室まできてください」

 

それだけ言うと女は何処かへ歩き去っていった。

 

 

「さあ、行きましょう?ドックご案内するのです」

 

 

「え?えぇ、お願いします」

 

私はまたも少女に手を引かれるままについていくのだった。

 

 

 

_________

 

 

 

「ここが入渠ドックなのです」

 

そう言って少女が連れてきた場所は赤レンガの建物に上の方に大きく【入渠ドック】と書かれている場所だった。

 

 

「ここが……入渠ドック……」

 

なんだかんだで初めて見たね、前の時は見に行く暇もなかったからね。

 

 

「今は空いてる筈なのでゆっくりしていってくださいなのです。それじゃあ私は補給に行ってくるのです。また入渠が終わったら迎えにいくのです!」

 

 

「分かりました、案内感謝しますね」

 

 

「いいのです!それじゃあごゆっくりなのです!」

 

そう言うと少女は走り去って行った。

 

私はそれを見送ると建物の中へと入っていく。

 

 

「ふぅん、なかはこんな風になってるのか……」

 

脱衣所に入って一言溢すと服を脱ぎ去る。

 

露になる女の肉体に若干赤面する。

 

 

「やっぱり女の身体ってのは慣れないね……」

 

 

『念のため言っておきますけど、私の体に変なことしたら怒りますからね?』

 

不意に本物の霧島が声をかけてくる。

 

 

「今は私の体だろ?まあ、安心しなよ別に何かしようってわけじゃないからさ」

 

そうだ、仮にも自分の身体なんだ。余計なことをして面倒な事になるのは避けたい……。

 

 

『……その言葉、信じますからね?』

 

 

「あぁ、信じてくれていいよ」

 

そう言葉を交わしながら私は浴場に入っていく。

 

中には私以外誰もおらず何処に入ってもいい状態だった。

 

 

「へぇ、なかなか立派な所じゃないか」

 

私は適当な所に入ると体を浸ける。

 

傷だらけで風呂なんて入ったら悪影響じゃないかとも思ったが、それはどうやら杞憂だったらしい……。

 

 

「……気持ちいいけれど…暇だね」

 

 

『まあ、入渠は時間がかかりますからね…。私のような戦艦の艦娘は特に時間がかかるんですよ』

 

 

「ふぅん、なんか面倒だね…というか、この口調やっぱ慣れないな…もういつも通りでいいか?」

 

 

『私相手でしたらどちらでも構いませんよ?そういう口調の艦娘もいますからね』

 

へぇ、男みたいな口調の艦娘もいるのか、面白そうだな……。

 

しかし、暇だな……。

 

チラと後ろの壁を見る。そこにはパネルがついており、入渠の完了時刻が書かれていた。

 

 

 

【入渠完了まであと…九日】

 

 

「九日間もここに入り詰めなのかよ。ちょっと嫌になるな……」

 

 

『こればかりは仕方ありません…我慢してください』

 

と、そんなことを話していると不意にブザー音が鳴り出し、何やら天井から【修復】と書かれた緑色のバケツが出てきた。

 

 

「なんだ?あれ」

 

 

『あれは!高速修復材(バケツ)!?どうして私達に……』

 

霧島が驚いているのを他所にバケツは俺達のところまで来ると中身をダバダバとドックに投入していった。

 

その直後、とてつもない気持ちよさが俺達を包み込んだ。

 

ふと、後ろのパネルを見ると物凄い勢いで時間が短縮されている、体の方の傷も瞬く間に塞がった。

 

 

 

【ブーブーブーブーブー…ッ!】

 

修復完了のブザーが鳴り響く。

 

俺達はそれを聞くとドックから上がり脱衣所に向かった。

 

 

 

 

____________

 

 

 

 

「ん?これ、さっきまで着てた服と違わないか?」

 

脱衣所に置いてあったのは先程まで来ていたボロボロの服ではなく、それに良く似た赤いスカートの巫女服のような物だった。

 

 

『この服は……もしかして……』

 

と、考え込んでいる霧島を他所に俺はその服を手早く着込むとドックから出ていくのだった



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KIRISIMAのこれから

 

ドックを出た俺達は入り口の前で立ち尽くしていた。

 

迎えを待つためだ。

 

 

「遅いな、電の奴...」

 

(補給に行くと言っていましたし、私の計算ではもうじきに来るはずです)

 

俺の呟きに中の霧島がそう話す。

 

いったいどんな計算だよ...。

 

内心で半ば呆れていると、パタパタと走ってくる音が聞こえてきた。

 

 

「ハァ...ハァ...お待たせなのです」

 

そんな声に振り向くと、そこには息を切らして立っている電の姿があった。

 

 

「あ...いえ、そんなに待っていませんから大丈夫ですよ?」

 

危ない危ない...思わず素で返しそうになってしまった。

 

(気を付けてくださいね?もし私達の事を知られたりしてしまったら大混乱になることは間違いありませんから)

 

分かってるさ、まあ任せとけって

 

と、そんなやり取りをしつつ電の方に意識を向ける。

 

電は息を整えてしっかりとした口調で話し出した。

 

 

「それならよかったのです。それじゃあ赤城さんが呼んでいたので執務室に案内するのです」

 

そう言って俺達に背を向けて歩き出す電。

 

俺達もその後について歩き出すのだった。

 

 

 

 

_________________________________

 

 

 

 

「ここが執務室なのです」

 

そう言って稲妻に案内されたのは鎮守府内のある一室の前だった。

 

 

「ここが...」

 

なんだ、割と普通な作りじゃないか、俺はもっと際どいものを想像していたんだけどな...。

 

(通常はこれが普通なんです。あそこ(呉鎮守府)がおかしいだけなんです)

 

まあ、それは俺も同意だな。

 

その間に電が戸を叩いてノックをして声をかけていた。

 

 

「赤城秘書艦さん霧島さんをお連れしたのです」

 

 

『どうぞ、入ってもらってください』

 

 

「はいなのです。中へどうぞなのです」

 

そっとドアを開けて俺達を中へと招き入れる。

 

 

「失礼します...。」

 

一言だけ断りを入れて俺達は中へと入っていく。

 

そこには入渠する前にも出会った赤い旧道着の女、赤城がにこやかに座っていた。

 

 

「戦艦霧島、参りました(ビシッ)」

 

とりあえず記憶を頼りに敬礼をする。

 

 

「ふふっそんなに固くならなくても大丈夫ですよ?それ電さん、案内ありがとう、もう下がっていいですよ」

 

 

「了解なのです!失礼しました!」

 

そういうと、電は部屋を出て行った。

 

赤城は電が出ていくのを見届けると、不意に口を開いた。

 

 

「身体の調子はどうですか?」

 

と、そんなを聞いてきた。

 

 

「えぇ、おかげさまで凄く軽くなりました」

 

そうかえすと赤城は少し微笑んでから話し出した。

 

 

「それは良かったです。それじゃあそろそろあなたのことを聞かせてもらえますか?」

 

その言葉に俺は一瞬ドキリとしてしまう。

 

まさか俺達の事に気が付いたのか?

 

すると、霧島が声をかけてくる。

 

(いえ、おそらく赤城さんが聞いているのは先程までの私達の状態の事を言っているのかと...)

 

なるほどな、そういう事ならお前が話すのが適任だな。

 

(分かりました、では私の言ったことをそのまま伝えてください)

 

あぁ、わかった。

 

 

「分かりました、実はですね...」

 

そうして俺は霧島が話したことをそっくりそのまま話した。

 

自分たちが呉の第五艦隊に姉たちと共に所属していたこと、

 

ある時遠征でFlagshipクラスのレ級の艦隊に遭遇し遭遇戦になったこと

 

その戦いで自分以外は全て沈んでしまったこと

 

藁にもすがる思いで鎮守府に救援要請を出すも切り捨てられてしまったこと

 

やむなく撤退の最中にeriteクラスのル級に見つかり命からがら逃げ延びてきたこと

 

 

「以上が私の体験してきた全てになります」

 

俺が話し終えると、今まで黙って聞いていた赤城はそっと口を開いた。

 

 

「そうだったのですね、それは大変でしたね...よく生き延びました」

 

そう言って優し気に微笑む赤城

 

(ッ!!)

 

それを見て中の霧島が驚いたように声を上げる。

 

まるで今まで言われたことがないような態度だった。

 

そんな霧島に困惑していると、赤城が再度声をかけてきた。

 

 

「それにしても、あなたの所属は呉鎮守府だったのですね」

 

 

「え?えぇ...」

 

赤城のその言葉にさらに困惑したまま答えてしまう。

 

 

「実はここには居ませんが私達の提督も今は呉鎮守府にいるんですよ」

 

 

「え?」

 

言われた言葉の意味をよく理解できず、俺はそんな声話上げてしまう。

 

という事はまたあんなクズみたいなやつがまた仲間たちを虐げてるのか?

 

俺の内心を知ってか知らずか、赤城は続ける。

 

 

「見ての通り、今のここ江ノ島鎮守府には提督が居ません。ですが、私達にとって提督はあの人だけなのです...。他の方が入り込める余地がないほどに私達はあの人を信用しています」

 

それほど信用される奴なのか、なら、安心してもよさそうだが...。

 

 

「あなたはこれからどうしますか?あなたが希望するなら呉鎮守府に戻ることもできますよ?」

 

それを聞いて俺は即座に首を横に振る。

 

 

「いえ、どうせ戻っても私は轟沈処理をされていると思いますから...」

 

 

「そうですか...では、これは提案なのですが、霧島さん、私達の下に来ませんか?」

 

 

「え?」

 

 

「帰る場所がなくなってしまったままでは心細いでしょうし、何よりこのまま放っておくなど私には出来ません。だから、どうですか?」

 

俺は耳を疑った。

 

これは幻聴か?俺を仲間に加える?コイツはそう言ったのか?

 

 

「......よろしいのですか?」

 

そう問いかけると、赤城はニコリと微笑んでいった。

 

 

「はい、大歓迎ですよ」

 

 

「皆さんに迷惑をかけるかもしれません」

 

 

「仲間ならそのくらいの事は気にしないですよ」

 

 

「ここの方達が私が居た所と同じようなことになってしまうかもしれません...」

 

 

「その時は全員で抗うだけです」

 

 

「こうしている今でも同じ目に遭っている方達を放っておくわけにも...」

 

 

「なら、あなただけの調査部隊を作り上げればいいです」

 

なぜだ?どうしてここまでして俺を誘ってくる?

 

(もう諦めましょう...KIRISIMA、何を言ってもこの方には敵わないでしょう)

 

お前もそう思うかのか?

 

 

(えぇ...)

 

そうだよな、仕方ない

 

 

「......ありがとうございます。では、お言葉に甘えて、しばらくの間お世話になってもよろしいですか?」

 

そう言うと赤城は一層嬉しそうに笑って言った。

 

 

「はい、喜んで歓迎しますよ♪」

 

 

「それじゃあ、これから宜しくお願い致します。赤城秘書艦」 

 

こうしてその日、俺は江ノ島鎮守府に配属することとなった。

 

だが、通常の配属とは異なる契約をしてもらう事となった。

 

まず俺は艦隊には所属せず、世界中にのさばっている世で言うブラック鎮守府の調査、撲滅するために鎮守府を長期間離れること

 

何かあった時はすぐに戻ってくること

 

新たに分かったことがあれば逐一鎮守府に連絡を入れること

 

それらを条件に俺はここ江ノ島鎮守府所属艦娘となったのだった。

 

 

「では、霧島さんも今日はもうお疲れでしょう?部屋に同室の者に案内させますから外で待っていてください」

 

 

「色々とありがとうございます、失礼します...」

 

そうして俺は赤城に一礼すると執務室を後にした。

 

 

確か同室の奴が迎えに来るって言ってたよな?どんな奴なんだろうな?

 

(分かりませんが、最低限の警戒は怠らないようにしてくださいね?)

 

あぁ、分かってる。

 

 

「霧島...?」

 

と、そこへ声がかけられる。

 

俺達がそちらを振り向くと、そこには俺達と似たような衣服に身を包み髪を後ろで束ねたとても見覚えのある女が立っていた。



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再開の姉妹

声をかけてきた主を見て俺は無意識に言葉を発していた。

 

 

「姉さん?」

 

と、そこまで行って慌てて口を噤む。

 

今の聞かれてないよな?もし聞かれてたとしたら面倒なことになっちまう...。

 

(と、とととととにかく落ち着けましょう!)

 

お前が一番落ち着け!何言ってるか分からなくなってるぞ

 

と、二人して混乱していると...。

 

 

「Woooooow!本当に霧島デ-ス!」

 

そう言いながら女は私の方に駆けてきて勢い良く抱きしめてきた。

 

その行動に俺は更に困惑するも一周回って冷静になることが出来た。

 

ちなみに霧島はというと......。

 

 

(お、おおおおお姉様が私をだだだ抱きしめててててて...)

 

といった調子で中で慌てふためきまくっていた。

 

 

「こ、金剛お姉様…苦しいです」

 

なんとか普段の霧島の演技を思い出しそう告げる。

 

 

「・・・・・・・」

 

しかし金剛からの返事はない。聞こえていないのか?

 

 

「お姉様?」

 

もう一度声をかけると今度は気が付いたようで慌てたように返事が返ってくる。

 

 

「oh…どうしたんデス?」

 

 

「いえ、返事がなかったのでどうしたのかと思いまして...」

 

 

「そうだったんデス?なんでもないヨ」

 

 

「はぁ、なら良いのですが...」

 

何もないならいいんだが、気づかれてなければいいか。

 

 

「ところでお姉様はどうしてここに?」

 

俺は疑問を聞いてみる。

 

 

「忘れてたネ!霧島を迎えに来たのデース!」

 

迎え?という事は...

 

 

「金剛お姉様が同室の方なのですか?」

 

そう問いかけると金剛は笑顔でサムズアップして答えてくれる。

 

 

「Yes!私ともう一人居るヨ」

 

もう一人か、さっきみたいなことにならないように警戒だけはしておくか...

 

 

「そうなんですか?三人部屋なのですね」

 

 

「ホントは四人部屋なんデスけど今は霧島も入れて三人ダヨ!」

 

 

「あぁ、そういう事だったんですね」

 

四人部屋に三人ってことは前の所ほど大勢いるわけじゃないらしいな...。

 

 

「Yes!それじゃあGuideしますからついて来て下さいネー!」

 

 

「はい!金剛お姉様!」

 

やれやれ、これじゃあ先が思いやられる...

 

そう内心でため息を吐きつつ俺は金剛の後をついていくのだった。

 

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

しばらく金剛の後をついていくとある部屋の前まで連れてこられた。

 

 

「ここが私達の部屋ネ!」

 

金剛の言葉に私は部屋の標識を見る。

 

 

 __

|  |

|金剛|

|  |

|榛名|

|__|

 

 

そこには確かに金剛の名前が記されていた。

 

 

「サア、霧島!中に入るヨ!」

 

 

「え?あ、ちょっと!金剛お姉様!?まだ心の準備が...」

 

そうこうしているうちに金剛に引っ張られ中へと連れ込まれる

 

 

「榛名ー!New Faceを連れてきたヨ!」

 

 

「お姉様!あまり引っ張らないで「霧島?」え?」

 

金剛に抗議の言葉を送っていると声がかけられる。

 

声のした方を向くとそこには今俺達が身に着けているのとそっくりなデザインの衣服を身に纏った長髪の女がいた。

 

その姿を見て先程の二の舞にならないよう記憶を探り出す。

 

その中で唯一ヒットしたものがあった。

 

 

「もしかして...榛名?」

 

 

「えぇ!久しぶりね、霧島」

 

ここに来てのまさかの姉妹艦二隻と再会か、運がいいのか悪いのか...。

 

(金剛お姉様に榛名まで...また会えるなんて...!!)

 

霧島の奴はさっきから泣いてばっかで頼りになりそうにない...

 

ここは記憶からどんなやり取りをしていたのか絞り出すしかないか

 

 

「そうね、まさかまた会えるなんて思ってもみなかったわ」

 

記憶を必死に思い出していると自然と涙が出ていた。

 

 

「え?どうしたの!?」

 

 

「霧島?」

 

 

「いえ..っまたこうして..っ二人に会えるなんて..っ思ってもみなかったので..っ」

 

涙ながらに話していると二人から抱きしめられていた。

 

 

「大変だったんですね...」

 

 

「大丈夫...もう一人じゃないヨ」

 

 

「......っっ!」

 

その言葉にまた涙が溢れた、どうやら俺はこの身体になって相当涙脆くなってしまったらしい......。

 

その後、一頻り泣いた俺は他の戦艦娘に軽く挨拶をして金剛主催のティータイムに参加するのだった。

 

 

 

____________________

 

 

 

その日の夜中、俺は寝付けず外で夜空を眺めていた。

 

 

「眠れないデスか?」

 

その声に振り返ると金剛が横にやって来ていた。

 

 

「はい、なんだか寝付けなくて...」

 

そう言ってまた夜空を見上げる。

 

 

アイツらは元気にやれてるんだろうか...」

 

 

「心配デスか?」

 

 

「あぁ、少しな...ッ!?」

 

そこまで答えて俺は慌てて口を閉じる。

 

その様子を見て、金剛が小さく微笑みながら話す。

 

 

「やっと本当の姿を見せたネ、霧島」

 

 

「...気づいてたのか?」

 

 

「Yes、姉妹なんだから当然ヨ!」

 

そう言ってエッヘンと胸を張る金剛を見て俺は小さくため息を吐く。

 

 

「ハァ..気づいてたとはな...それで、どうする?妹を消した俺を殺すか?」

 

すると金剛は首を横に振る。

 

 

「そんなことしないヨ、たとえあなたが何者であってもあなたは私の大切な妹ネ」

 

大切な妹...か、元男としては複雑な心境だ...。

 

 

「ふっ...姉さんも物好きだよな...」

 

 

「wats?何故デース?」

 

 

「俺みたいな妹の身体を奪った得体のしれない奴を家族として見るなんて物好きにしか見えないな」

 

 

「むぅ...なんか複雑デース。フフッでも、あなたはこっちの方が似合ってるヨ、どうして霧島のふりなんかしてるんデス?」

 

 

「本人に言われたんだ、大混乱になるからってな」

 

あー...と納得したような表情をする金剛。

 

 

「なら、私達の前ではその姿でいてクダサイ」

 

 

「いいのか?お前はともかくあの榛名とかいう奴は俺の事を知らないだろ?」

 

 

「榛名なら大丈夫ネ!きっとあなたの事も受け入れてクレマース!」

 

いったいどこからその自信が来るんだ...?

 

 

「......そうだと良いな」

 

そうして、また俺は夜空を見上げる。

 

空には星の光はなく、真っ暗な闇夜が広がるだけであった。

 

 

 

 

_______________

 

 

 

翌朝、俺は姉達と赤城の見送りの元、ターミナルに来ていた。

 

 

「もう出立するのですね」

 

 

「霧島!私達の仲間をよろしくネ!」

 

 

「黒い提督たちを懲らしめてきて!私も全力で応援してます!」

 

 

「ありがとうございます。それでは、行って参ります!」

 

そう言って私は三人に背を向け、出撃ポイントに立つ。

 

 

「霧島艦隊、出撃します」

 

その掛け声と共に俺は大海原へと旅立つのだった。

 

 

まだ見ぬ艦娘たちを救うために......。



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この無駄が楽しいのですよ?

お気に登録してくれた読者の皆様、大変お待たせしました…m(_ _)m


side KIRISIMA

 

 

江ノ島鎮守府の奴等に見送られて再び海へと繰り出した俺に、不意に霧島の奴が声をかけてきた。

 

『もう一人の私、少しお尋ねしますが、これは何処に向かっているのですか?』

 

 

「さあな、ただ進んでいるだけだな」

 

 

『え…?宛もなく進んでいるのですか?それなら空を飛んで移動した方が他の鎮守府もすぐに見つかりますし、そちらの方が良いと思うのですが…』

 

分かってないな霧島は……。

 

 

「そんなことしても面白くないだろ?こうやって宛もなくさ迷う、この無駄が(・・・)良いんじゃないか」

 

 

『…そういう面倒臭いこと好きですよね男性って…私には全く理解できませんが…』

 

おいおい、コイツいつかの18号みたいなこと言ってるな……。

 

これが楽しいってのに…分からないもんかな……。

 

 

<ピピピピピッ>

 

 

「ん?」

 

 

『はい?どうかしましたか?』

 

 

「あぁ、電探に感ありらしい…数は十二…か、行ってみるか」

 

 

『そうですね、深海棲艦の大軍かもしれませんが、あなたであれば、もし遭遇しても大丈夫でしょう』

 

決まりだな、それじゃあ向かうとするか。

 

俺は電探の感じた方向へと向かっていくのだった。

 

 

 

 

_________________

 

 

 

 

「この辺だと思うが……あれか?」

 

俺達の目の前には艦娘の一団と深海棲艦の一団が海戦を繰り広げていた。

 

 

『ふむ…。見たところ、艦娘の攻撃が深海棲艦に通っていませんね、恐らく錬度が足りていないのでしょう、このままだと危険です。助太刀に入りましょう』

 

 

「そうだな、放っておいて沈まれたりしたら寝覚めが悪いからな、仕方ない、艤装展開……」

 

俺は艤装を展開し、深海棲艦一団に狙いを定める。

 

 

「主砲!敵を追尾して!撃て!!」

 

声を張り上げ、精一杯霧島になりきって叫び撃ち放った。

 

 

sideout

 

__________________

 

 

side霧島

 

 

「主砲!敵を追尾して!撃て!!」

 

もう一人の私が勢い良く叫んで主砲を発射します。

 

弾は的確に敵、駆逐ロ級に突き刺さり、爆炎を巻き起こします。

 

 

「グギャアァァァァ……」

 

そんな断末魔にも似た絶叫と共に、駆逐ロ級は水底へと沈んでいきます。

 

 

「さて、次は…ん?」

 

もう一人の私が次の標的を変えようとしたときでした。

 

もう一人の私が何かに気がつき海面を注視していました。

 

それに釣られて私も海面を見ます。

 

一見特に変化は見られない海面なのですが、良く見てみると、魚雷が迫っていました。

 

通常、魚雷が接近してきたら急いで回避するか、甘んじて受けるかのどちらかになってしまいます。

 

ですが、もう一人の私はそのどちらでもない斜め上を行く行動をしました。

 

 

「はい、お返ししますよ」

 

そんな私に似せているのであろう台詞を口にすると、器用に接近してきた魚雷を掴み、その行き先を反転させて打ち返したんです。

 

 

「ギャアァァァッッ!?!?」

 

魚雷を放ったであろう敵軽巡のヘ級は驚いたのか、回避する暇もなく自身の放った魚雷で沈んでいきました。

 

その行動に他の深海棲艦達も動揺したのでしょう、動きが一瞬止まります。

 

その隙を見逃すほどもう一人の私は甘くはありません……。

 

その一瞬の隙をついて近くにいた重巡リ級に瞬く間に間合いを積めると、副砲を頭に突きつけ、その頭を吹き飛ばします。

 

 

「ギャッ……」

 

悲鳴を上げることもなく無惨に沈んでいく頭の無くなったリ級の身体……。

 

それを見届けたもう一人の私はふと口を開きます。

 

 

「さて、残りはあなただけになりましたね」

 

 

「ヲヲッ!!」

 

それを言われた敵、空母ヲ級は艦載機を発艦させようと、頭の部分を開こうとします。

 

しかしそれは未遂に終わりました……。

 

ヲ級が発艦するよりも速く動いたもう一人の私の腕がヲ級の身体を貫いていたのです。

 

 

「…………」

 

声を上げることすらも許されずにヲ級は暗い水底へと沈んでいきました。

 

 

「ふぅ…全く歯応えありませんね」

 

そんなもう一人の私の言葉を聞きながら私は今までの戦いを見ていて思いました。

 

 

……海戦ってなんなのでしょう……と……。

 

 



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さて…初仕事ですね

sideKIRISIMA

 

 

深海棲艦達を全て沈めた俺達は、ふと、襲われていた艦娘達の事を思い出した。

 

良く見ると、艦娘達は大した傷もなく、沈む心配もなさそうだ。

 

 

(私達が駆けつけるのが早かったのが功を奏しましたね...でも、何故このような海域に...)

 

まぁ、何か理由があるんだろ......。

 

とりあえず、話を聞いてみるか。

 

俺は艦娘の一団に近づき、話しかける。

 

 

「皆さん無事ですか?危ない所でしたね」

 

そうして近づいたところであることに気が付いた。

 

 

目の前にいる艦娘の中に俺...正確には中のコイツ(霧島)瓜二つな容姿の奴がいたのだ。

 

 

(もう一人の私は初めてですか?私達艦娘は人間のようにここに別れている訳ではないんです。同じ船の魂を受け継いだ、同固体が複数存在しているんですよ)

 

へえ、変わって得るんだな艦娘ってのは......。

 

だが言われてみればそうだ。

 

こいつ(霧島)の実の姉たちはあの時に沈んでいる......。、

 

だが、いま俺達には新たな姉妹がいる。

 

少し考えれば気付くことか......

 

まあ、今は置いておくか。

 

そうして考えることを止め、意識を目の前の艦娘達へとむける。

 

 

「助けていただいてありがとうございました。おかげで誰一人沈むことなく生き残ることが出来ました。この子たちに変わってお礼を言わせてください」

 

そう言ってペコリと頭を下げる目の前の艦娘。

 

それに倣うように後ろにいた艦娘達も頭を下げる。

 

 

「いえいえ、頭を上げてください!私は当然のことをしただけですから」

 

そんなやり取りをしていると、中のアイツが声を掛けてきた。

 

 

(もう一人の私...この人達、もしかして...)

 

...あぁ、そうかもしれないな..早速舞い込んできたな......。

 

 

「失礼ですが、どうしてこんなところに?ここは敵の強さもかなり高い所のはずですが...」

 

 

「(ピクッ)いえ、実は少し、遠征中に迷ってしまって...」

 

...今、明らかに反応したな。

 

 

(えぇ、反応してました。怪しいですね...)

 

お前にもそう見えたか?少し聞いてみるか。

 

 

「それは大変でしたね...因みにそちらの提督はその事をご存知なのですか?」

 

 

「......はい、とても心配なさってくれていました」

 

 

「そうなんです...司令官は凄く優しい方ですから...」

 

 

「そうですか...」

 

今の間......。明らかに戸惑っていたな......。

 

これは黒と見てよさそうだ。

 

仕方ない、ここは正直に話して本当の事を話してもらうしかないか。

 

 

「実はですね、私、江ノ島所属のブラック鎮守府調査艦...。要するに艦娘達に酷い扱いをしていないかを調査している者なんです。あなた方の司令は本当に遠征に出したのですか?」

 

 

「っ!?」

 

 

「霧島さん、この人ならもしかしたら...」

 

 

(霧島)の後ろで薄桃色の髪をポニーテールで束ねたセーラー服の女性が今まで閉じていた口を開いた。

 

 

「ですが由良さん...」

 

しかし渋る霧島に......。

 

 

「話しましょう!霧島さん!」

 

 

「アイツが居なくなれば皆もきっと助けられます!」

 

これは確定だな......。

 

 

(えぇ、決まりですね)

 

 

 

「しかし...」

 

 

「「「「「霧島さん!」」」」」

 

それでも渋る霧島に今まで口を閉ざしていた他の駆逐艦の艦娘たちが一斉に叫ぶ。

 

ここは俺ももう一押ししてみるか......

 

 

「霧島さん...。話していただけますね」

 

 

「......分かりました...お話します。私達の鎮守府の現状を...」

 

ようやくか、さて、今度の奴はどんなクズ野郎なんだ?

 

 

 

 

「......」



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艦隊の頭脳…見せつけるわ!

sideKIRISIMA

 

 

「以上が私たち横須賀鎮守府の全てです…」

 

あの後、霧島達から聞いた話は予想以上のものだった。

 

横須賀の提督はかなり慎重な奴らしく、情報が漏れることがないよう艦娘達にも徹底して口止めをしていた。

 

霧島が渋っていた理由はそれが原因だったんだな……。

 

話の内容はこんなものだ……。

 

補給はしているものの、休みは一日たりとも与えず、睡眠時間すらもまともに与えていなかった……。

 

更にはセクハラ、パワハラは日常茶飯事で、ある艦娘は姉妹を人質に取られ無理矢理言うことを聞かされていたという……。

 

 

(許せません…そんなことをさせるなんて…)

 

中の奴もかなり不機嫌だな……。

 

俺も実際かなり機嫌が悪い。

 

鎮守府の提督ってのはそんな奴ばっかりなのか?

 

 

「話してくださってありがとうございます。これであなた方を救うことができます」

 

 

「え…?」

 

 

「その作戦について…あなた達にも協力してほしいのです」

 

さて、楽しい復讐の時間だ……。

 

 

sideout

 

 

 

 

__________________

 

 

 

 

side三人称

 

 

霧島達の案内で横須賀鎮守府へとやって来たKIRISIMA達

 

そこで横須賀の提督と会合した俺達……。

 

 

「霧島艦隊、只今帰投しました」

 

 

「おぉ、霧島!心配したぞ!それと…そちらは?」

 

 

「司令、この方は大本営から考査にいらした霧島さんです」

 

横須賀の霧島が提督にそう答える。

 

 

「大本営から?それは遠路遥々ご苦労様です…。でも、どうして霧島達に?」

 

 

「こちらに向かう途中、深海棲艦に襲われている霧島さん達を見つけたのです。なので加勢に入りました」

 

 

「なるほど、私の部下を助けて頂いてありがとうございます」

 

そう言って深々と頭を下げる横須賀の提督。

 

 

「いえ、当然のことをしただけです」

 

 

「そう言っていただけて幸いです…。ですがまたなぜ考査など…?」

 

 

「少し気になることがありまして、その調査に私がはけんされたのです」

 

 

「そうでしたか、では私が案内を致します。お前達ご苦労だったな、もう戻っていいぞ」

 

 

「「「「「「了解です」」」」」」

 

その指示に従い霧島達は外へと出ていった。

 

 

sideout

 

_______________

 

 

 

 

sideKIRISIMA

 

 

「こんなところなのですが…如何でしたか?」

 

横須賀の提督に一通り案内してもらい、鎮守府内の様子を見て回っていた……。

 

見て回った限り、特におかしな点は見受けられなかった……。

 

そう、見て回った限りは……

 

 

「そうですね、鎮守府の皆さんも明るく雰囲気も和やかですね、この鎮守府の皆さんはとても生き生きして見えます」

 

それを聞いた横須賀の提督はホッと胸を撫で下ろして口を開く。

 

 

「よかった、いったい何を言われるのかと内心気が気ではございませんでしたよ…」

 

気が気じゃなくなるほど黒い部分を隠してるってことだろ?

 

 

「あら、そんなに隠していることがあるんですか?」

 

 

「いえいえ!そのようなことがあろうはずがございません!大本営の考査艦にそんなことをすれば私の首が飛んでしまいます!」

 

そうだな…近いうちに物理的に飛ぶかもしれないな……。

 

 

「そうですか?それならいいのですが…では私はこれで、結果は後日またお知らせします」

 

 

「はい、どうぞ、よろしくお願いいたします」

 

深々と頭を下げる横須賀の提督を背に、俺はその場を後にした。

 

 

 

 

______________

 

 

 

 

横須賀の提督と別れて数分……。

 

 

「じゃあ、後は任せましたよ…KIRISIMAさん」

 

 

「えぇ、任せてください、霧島さんも、演技の方、よろしくお願いしますね」

 

 

「おまかせください!私自身なのですから心配無用です!艦隊の頭脳の演技力ご覧にいれましょう!」

 

 

「はい、期待してます」

 

こうして、私達と横須賀の霧島は入れ替わることに成功するのだった。



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さあ、どう出てくるかしら?

前回までのあらすじです。

霧島達から事情を聞かされたKIRISIMA一行は、霧島達、鎮守府の提督を叩きのめすため、横須賀鎮守府へと向かう。
そこは巧妙にブラック鎮守府であることを隠し続けるズル賢い提督の姿だった。
横須賀の霧島と入れ替わったKIRISIMAはこうしてまんまと潜入を成功させたのである。


sideKIRISIMA

 

 

霧島と入れ替わり、俺達はとりあえず鎮守府の様子をもう一度見て回ることにした。

 

 

(それがいいでしょう、ですがこの短時間で尻尾を掴ませるでしょうか…)

 

 

「それについては心配いらないと思う……」

 

「恐らくだが、先程は提督(アイツ)が何らかの方法で艦娘達に口裏を合わせさせていたのだと思う、そして霧島(俺達)が帰った今、油断してすぐにボロが出るはずだ」

 

 

(随分と自信があるんですね、もう一人の私…)

 

 

「あぁ言うやつほど、意外と詰めが甘いんだよ」

 

そんなやり取りをして、俺達は再度鎮守府内を見て周り始めた。

 

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

まず、来たのは食堂。

 

先程来たときにはまともな補給をしているように見えていたが、今はどうだろうな……。

 

 

(ッ!…もう一人の私、見てください、あれを)

 

中の奴(霧島)言葉に厨房を見る。そこには先程とは打って変わり、鋼材や燃料、ボーキサイトをそのまま渡されている艦娘達の姿だった。

 

それを渡している補給艦も渡されている艦娘側もその顔には何一つ輝きが感じられない。

 

 

(呉ではいつも見ていた光景ではありますが、何度見ても許せるものではありませんね…)

 

中の奴(霧島)が怒りに打ち震えているのが伝わってくる。

 

その気持ちも分からないではない……。

 

まあ、人をヒトとも思わない連中の気持ちも分かっちまうんだが……

 

 

 

 

――――――――――――――

 

 

 

 

次に向かったのは工廠だ。

 

さっきは明石達も気丈に振る舞っていたようだったが、今はどうだろうな……

 

 

「もう…いつまでこんなこと続けないといけないの…?」

 

おっと、噂をすればなんとやらだな。

 

明石は工廠の奥に座り、なにやら作業をしていた。

 

なにをしているんだ?

 

 

(ここからじゃよく見えませんね…近づいてみましょう)

 

 

「もうこんな…解体なんてしたくないのに……」

 

近づいた時にふと聞こえてきたその呟きに俺達は動きを止める。

 

 

(今、明石さん解体って言いましたよね?まさか…)

 

霧島が何かを察したように話す。

 

 

「あの、明石さん。それは何を…?」

 

見ていられなくなった俺は明石に声をかけてみる。

 

 

「っ…霧島さん…これ?解体してるんですよ…駆逐艦の子達を……」

 

 

(…ッ!)

 

 

中の奴(霧島)が息を呑むのが聞こえてくる。

 

正直、予想してはいたが、本当にやらされているとはな……ここの提督…。いや、きっと今までのやつらも同じようなことをさせていやがったんだろう。

 

 

「……それは提督のご指示ですか?」

 

 

「え?えぇ…そうじゃなきゃこんなことしません…したくもないのに何でこんなことを…」

 

そりゃそうだ、好きで仲間を殺したいと思う奴は早々いない。

 

いたとすればソイツの頭はかなりイカれた危ない奴だけだ。

 

 

(もう一人の私、これはもう確定ですね)

 

あぁ、どうやらそうらしい……

 

 

「明石さん、大丈夫ですよ。その苦痛ももうすぐ終わります。それまではごめんなさい…もう少しだけ耐えていてください」

 

それだけ言うと私達は明石の返答も待たず、踵を返して工廠を後にした。

 

 

「……ぇ…どういう…」

 

そう聞こうとした明石は霧島に、そう訪ねようとするが、その霧島はいつの間にかいなくなっていた。

 

覚悟しろよ横須賀提督…今日という日を精々楽しんでおくんだな……。

 

今日を生きる資格のないお前の人生は、俺によって今日で幕を降ろすことになるんだからな。

 

 



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さあ、どこまで耐えられるかしら?

大変お待たせしました……。

今回は残酷な描写が沢山入っております……


sideナレーション

 

 

横須賀鎮守府のある一室。そこに所属する者は誰一人として近づこうとはしない気味の悪い部屋がある。

 

そこにある男が台の上に寝かされている。

 

見ればその男は白い海軍の物らしき軍服を身に纏っており、海軍関係者だと言うことがわかる。

 

男は意識がないのか、動く気配がない。

 

代わりに呼吸するように肺が上下しているので死んではいないようだ。

 

そうして眠っていた男だったが、少ししてようやく目を覚ました。

 

どうやら寝心地の悪さに違和感を覚えて目を覚ましたらしい……。

 

 

「………?」

 

寝惚けたように辺りを見回して身体を起こそうとするが、動けないのか中々起き上がれない。

 

怪訝に思った男が自身の身体を見ると、男の手足は台にしっかりと固定され、身体もキツく縛りあげられている。

 

 

「な…なんだ…!?いったいどういうことだ…!?」

 

何がなんだか分からない……。

 

なぜ自分が縛られているのか……

 

 

「お、おい!誰か!誰かいないのか!!返事をしろ!!」

 

狂ったように喚き散らす。

 

しかし部屋には男一人のみで他には誰も見当たらない。

 

 

「こんな事をしたやつは誰だ!すぐにこの拘束を解け!!」

 

半ば自棄気味になって叫び散らす男、そこにある人影が部屋に入ってくる。

 

その人影は男の状況を見て、人影は呆れたように口を開く。

 

 

「なんだ、やっと目を覚ましたのか…」

 

その声は女性のものでありながら、どこか男を思わせる口調で曖昧さを感じさせられる。

 

男もその人影に気付いて喚く。

 

 

 

「な、何者だ!まさか貴様か!こんなことをしたのは!!」

 

男の叫びに、人影は特に悪びれる様子もなく話す。

 

 

「あぁ、そうだが?それがどうした」

 

その様子に男は顔を赤くして怒鳴る。

 

 

「やはり貴様か!こんなことをして!私が誰だか分かってやっているのか!」

 

凄んで見せるも、縛りつけられている状態では滑稽にしか映らない。

 

 

「あぁ、横須賀鎮守府の司令長官さまだろう?」

 

『それがどうした』と特に気にした風もなく言う人影。

 

 

「なっ…貴様正気か!?軍を敵に回して無事でいられると思っているのか!?」

 

 

「軍?そっちこそ舐めてるんじゃないか?オレが人間共が集まっただけの奴等になんか負けると思うのか?」

 

その人影の言葉に男は戦慄する。

 

まるで人をヒトとも見ていない…こんな奴がこの世に存在していたのか……。

 

そして男はふと気がつく。人影の近くには鋸や鉈など、物騒な物ばかりが置いてあり、人影が何にするかとそれらを選別していることを……

 

 

「よし、まずはアレを試してみるか…ん?あぁ、そうだな、その前に…」

 

まるで誰かと会話をしているようなことを呟き、人影が思い出したように男の方を見て問い掛ける。

 

 

「始める前に一応聞いておくか。お前は艦娘をどう思っている?」

 

 

「フンッ…こんなことをされて答える訳が(メリィッ)ギャッッ!!」

 

男が最後まで言い切ることなく言葉は止まる。

 

否、止めさせられたのだ。

 

他ならぬその人影によって……。

 

人影が何をしたのか、簡単なことだ。

 

男の爪を一枚剥ぎ取ったのだ。

 

 

「ギャアァッ…わ、私の爪がぁ…ッ!!」

 

痛みに悶え、絶叫をあげる男。だが人影は対して気にした風もなく。

 

 

「答えないならこうするだけだ、拒否権なんかあると思うか?」

 

 

「ぐっ…ハァッ…ハアッ…こ、こんなことをして…ただでっギャッッッ!!」

 

余計なことを言い掛けた男に人影がまた一枚爪を剥ぎ取る。

 

 

「お前はオレの質問にだけ答えていればいいんだ」

 

そこまでされたら最早従うしかない……。

 

男は最早顔を青くして頷くことしか出来ないのだった……。



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あら、もう終わりですか?もう少し楽しめると思ったのですが…...


お待たせ致しました......

今回は結構黒い描写があります。


sideKIRISIMA

 

 

ふう、ようやく静かになったか。コイツの悲鳴とか聞いたって誰も得しないだろうに......

 

いや、ここ(舞鶴)のやつらならするかもしれないな。

 

まあ、そんなことはさておき......

 

 

『さて置いちゃうんですか...』

 

別にこんなこと言ってたって仕方ないだろ、今はそれより......

 

 

「クソゥ...クソゥ...ナンデオレガコンナメニィ」

 

ふむ、これはまだお仕置き(ごうもん)をしてやらなきゃ駄目みたいだな

 

 

『あまりやり過ぎないでくださいね?』

 

分かってるって、じゃあ......

 

 

メリィッ

 

 

「うぎゃあぁぁぁぁああああッ!!」

 

 

「まだそんな余裕があるなら、さっさと答えろ」

 

 

「わ、わかった!分かった答えるから!もうやめてくれぇ...」

 

 

「最初からそうすれば良かったのにな」

 

さて、なら今度こそやるか。

 

 

「もう一度聞くぞ?お前にとって艦娘とはなんだ」

 

 

「うぅ...か、艦娘は...へ、兵器だ...」

 

 

「......そうか」

 

 

『...もう一人の私』

 

なんだ?

 

 

『ソイツにキツイ一発をお願いします』

 

......了解

 

 

バギィッ

 

 

「いぎゃあぁぁぁあああッッ!!」

 

部屋中に奴の悲鳴が響き渡る。

 

 

「悪いな、ちょっとムッとしちまったからよ」

 

 

「ぁ…ぁが...」

 

さて、次に行くか。

 

 

「次の質問だ。艦娘に暴力、性的暴行、罵詈雑言を日常的にやっていたのか?」

 

 

「..................(コクリ)」

 

 

『......もう一人の私』

 

ああ......。

 

再度飛ぶ蹴り。

 

 

「あっ...があぁぁぁああああッ!!」

 

また響き渡る絶叫。そうして数度、部屋に奴の悲鳴が響くのであった。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「よし、こんなところだろ......」

 

 

う、うぅ...も...もう...やめて...ぐれぇ......」

 

そう話す今回の奴はもはや虫の息だ。

 

叫ぶ元気もなくなったのか項垂れてブツブツと何かを呟いている。

 

 

『もう一人の私、やることはもう済みましたか?』

 

あぁ、大体のことはな。まあ、まだあと一つやるべき事があるんだが

 

 

『......?やるべきこと、ですか?』

 

あぁ、お前もよく知ってるアレだ......

 

 

『なるほど、確かにそれはやらなくてはいけませんね』

 

そうだろ?お前も大分分かってきたみたいだな。

 

 

『まあ、ここまでに何度も見てきた光景ですし..、それに......』

 

ん?それに...?

 

 

『こういう人達には罰が必要ですから』

 

その通りだ、さあ、もう俺もそろそろ飽きてきたし、終わらせてやるか。

 

 

「そろそろ終わりにしてやるよ」

 

 

「......ぇ」

 

呆けたように顔をあげる男、そこに俺は......

 

 

ドチュッ

 

 

奴の身体を俺の腕が貫いていた。

 

 

「ッ......」

 

貫かれた男は、声にすらならない声をあげ倒れた

 

俺は腕を引き抜き腕の血を洗い流すと何事もなかったようにその部屋を後にするのだった。



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世界はどれだけ腐っているのでしょうね





おまたせしました


side KRISIMA

 

 

「霧島さん!!」

 

部屋を出ると、ここの霧島が駆け寄ってくる。

 

 

「大丈夫でしたか!? 執務室から出てきましたよね? 提督に何かされてませんか!?」

 

息つくことなく間もなく一息にそう話している。心配しすぎだと思うが......

 

 

『ここの境遇や提督の素行を考えれば心配もするでしょう』

 

 

そんなもんか? 俺がただの人間相手に遅れをとるわけがないのに

 

 

『それを知ってるのは私とあなただけですよ......』

 

それもそうか、そう見せるものでもないしな。

 

そう納得して目の前の霧島に意識を向ける

 

 

「大丈夫ですよ、こう見えても私、結構強いので」

 

 

「!! そうでしたね、あの時私たちを助けてくれた時もそうでした」

 

あの時な、ほかの目があるからと艦娘の戦闘に則って砲撃で戦ってたな...。

 

 

 

「まあ、もう心配はいりませんよ。そろそろ私は行きますね、まだやらなければならないことが残っていますので」

 

それだけを告げ歩き出す...が、すぐに足を止め告げる。

 

 

「そうそう、一応あなた方から憲兵に通報しておいてください。理由は中を見れば分かりますよ」

 

 

「えっ? それはいったいどういう...」

 

俺たちはその言葉に答えることなくその場を後にした。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

霧島に伝えた後、俺たちは再び海の上を走っていた。

 

 

『相変わらず、何も伝えないで出ていくんですね』

 

 

「わざわざ伝えて行く必要があるか? 別にそこの仲間だったわけでもないじゃないか」

 

 

『それは...そうですが...』

 

それ以上何も言わない霧島を他所に、俺たちは海を翔ける。

 

 

未だ黒い鎮守府の話は聞かないが、俺たちがそういった黒い鎮守府を見つけるのは......

 

 

「や、やめてよ...来ないでよぉ!!」

 

ふと、そんな小さな声が耳に飛び込んできた。

 

 

『もう一人の私...』

 

どうやら中の霧島にも聞こえたらしい。

 

 

「あぁ、行くよ!!」

 

たちまち私たちは方向を変え、全速力で声のするほうへと向かった。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

声のする方向へ向かうと、砲撃音や水柱が上がるのが見えた。

 

 

『もう一人の私!!』

 

 

「分かってるさ!! 急ぐよ!!」

 

 

船速を上げ走り続けると、目前に小さな少女逃げるようによろよろと走っていた。

 

 

背後からは赤いオーラを纏った駆逐イ級がそのを追いかけまわしていたいた。

 

 

「来ないで... 来ないでってばぁ...!!」

 

泣きそうな顔で必死に逃げる少女...。

 

イ級は勝利を確信したのか飛び上がる。

 

 

「ひっ...!!」

 

逃げ切れないと諦めたのか、少女が固く目をつむる。

 

 

イ級は邪悪にな笑みを浮かべて少女に襲い......

 

 

「調子に乗ってんのも、いい加減にしろよ!!」

 

かからなかった......。

 

 

とびかかるイ級に鋭い蹴りを入れて吹き飛ばした霧島のすがたがあったから



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もう一人の私、これは...




今回艦これベースのオリキャラが登場します。

オリキャラ苦手な方は申し訳ありません......


sideKIRISIMA

 

 

バッッッシャアアアァァァァンンッッッ!!!!!

 

 

大きな水音を立てて吹き飛び着水する。

 

 

「ぇ...え...?」

 

 

「と、大丈夫かいアンタ」

 

とりあえず、大きな怪我はしてないみたいだが......

 

 

『もう一人の私、この艦娘は...?』

 

 

なんだ、知り合いか? コイツ

 

 

『いえ、私に知り合いは呉にしかいません。それにこの艦娘の姿...。いったい......』

 

知らないのかい? お前が知らないなら私が知るわけないじゃないか......

 

 

『そうですね、ひとまず話を聞いてみましょう』

 

それもそうだね

 

 

「え...と、あ、助けてくれてありがとうございます!!!」

 

 

「大丈夫ですよ、お怪我はありませんか?」

 

 

「はいっ! 小破してますけど、中破まではしてないので大丈夫です!!」

 

あんだけ追い回されてたんだ。無傷なわけないね

 

 

「あ、私イオナと言います!!」

 

 

「私は霧島という者です。よろしくお願いしますねイオナさん」

 

どうやら、この艦娘はイオナというらしい。

 

 

『イオナ...? そのような艦娘聞いたことが......』

 

どうも中の奴も知らない艦娘らしい......

 

 

「イオナさんはどうしてこんなところに...? 見たところ一人のようですが」

 

錬度があるようにも見えない、また練度の低い奴らで艦隊を組んで出撃させたか...?

 

 

『ありえない話じゃないですね...そうは思いたくないですが......』

 

中の奴とそんな話をしていると......。

 

 

「はい!私、扶桑お姉ちゃんを探しに来てました!!」

 

扶桑...? そいつも艦娘か、お姉ちゃんということはその扶桑の姉妹か?

 

 

『いえ、私の知る限り扶桑型の妹艦は山城だけのはずです。第一、そんな洋名を日本海軍は作っていません』

 

ならコイツは何でいるんだ?

 

 

『わかりません...この子が何者で、なぜ艦娘と同じ艤装をつけているのか』

 

そういうことなら、聞いてみるしかないね

 

 

「そういうことでしたか、イオナさん、少し聞いてもいいですか?」

 

 

「? 何ですか?」

 

 

「イオナさんはどうして、扶桑さんのことをお姉ちゃんというのですか? 私の知る限り、扶桑さんの妹は山城さんだけだったと記憶しているのですが」

 

そう聞くと、イオナさんは笑って......

 

 

「扶桑お姉ちゃんは私のことを妹のように可愛がってくれたからです!!」

 

笑顔でそういった。

 

なるほどね、たとえ何者か分からなくても、関係ない...そんな優しいやつなんだね。

 

 

「でも、ある日の出撃から帰ってこなくなったんです。 どうしてか皆に聞いても、悲しそうな顔でお姉ちゃんは長い旅に出たとしか教えてくれなくて...私、お姉ちゃんにまた会いたくて、てーとくさんにお願いしたら『俺は忙しい、探すなら一人で勝手にやれ』と言われちゃって...」

 

 

「それで一人で出てきて襲われた...と」

 

静かにうなずくイオナ。それを見て中の奴が話しかけてくる。

 

 

『もう一人の私、これは...』

 

あぁ、確証はないけどまた黒い鎮守府の気配がするよ

 

恐らく、いやほぼ確定だがコイツの良く知る扶桑は......

 

 

『えぇ、出撃にて戦死...轟沈しているのでしょう』

 

それをほかの奴らはこいつを傷つけないために嘘をついてる......

 

 

『行きましょう、この子のいる鎮守府に...この子を、この子を守って可愛がっていたその扶桑さんのために...!! 』

 

最初からそのつもりさ、待ってなよクズ野郎! 直ぐにその首に蹴りを叩き込んでやるから

 

こうして次の目的地が決まった私たちは、イオナに案内を頼み、その鎮守府へ向けて足を運ぶのであった。



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『イオナの告白』......許せないね......

side KIRISIMA

 

 

「それで、あなたはどの鎮守府からいらしたんですか?」

 

 

先導を任せ、前を走るイオナに問いかける。

 

 

「あっはい! 私、佐世保の鎮守府から来ました!!」

 

また違う鎮守府の名前が出てきたね、今度はどんなひどい話が聞けるやら......

 

 

「佐世保の所属なのですね、ではイオナさん、今の佐世保の状況を聞かせてもらえますか? あなたのような小さな子一人で海に出させるような鎮守府の様子を」

 

 

「...うん、私のいた佐世保はね......」

 

そう聞くと、俯いた彼女の口からでた話は予想通り、胸糞悪くなる程に気分の悪いものだった。

 

彼女の所属する佐世保鎮守府はこそかなり優秀だが、その内情は酷いを通り越して劣悪なものだった。

 

出撃すればS評価を取ってくるのは当たり前、出来なければとんぼ返りで再び出撃させ、入渠はおろか補給すらもさせない......

 

小破出撃などは当たり前で、中破だろうが大破してまともに動けなくとも構わず出撃させ、そこで轟沈しようと関係がなかった。

 

さらには提督からのセクハラ、モラハラ、パワハラは日常茶飯事で、少しでも抵抗すれば解体されていったという......。

 

そんな中でも艦娘たちは人を恨むことなく数々の激務や虐待に耐えながら気丈に振舞っているらしい

 

 

「そんな中でも扶桑お姉ちゃんや他の艦娘の皆さんは私に良くしてくれて、出撃をした時も、必死に守ってくれました......」

 

そう悲しそうに俯きながら話すイオナの足元には幾つもの小さな波紋が水面に出来ていた。

 

 

子供に...こんな小さな子になんてことをッッ......

 

中の奴の声が震えている。

 

あぁ、本当に許せないね...これまでもいろんな鎮守府を見てきたが、どうしてこうも人間ってのは醜いのか......

 

私もこの姿になる前はいろいろやってはきたが、ここまで醜悪にやったことはないよ......

 

 

『そういえばもう一人の私のことは私もよく知らないですね』

 

まあ、話してないから知らなくても無理はないさ

 

 

『いずれあなたのことも教えてくださいね』

 

あぁ、その時が来たらね、さて、今はこっちの問題をどうにかしないとね

 

 

「さあ、佐世保までの案内はお願いしますね、道中の敵は私が倒していきますから」

 

 

「はい! 護衛よろしくお願いします!! 案内はまかせてください!!」

 

元気に返事をして前を走るイオナの後を追って私たちも移動を開始する。

 

空を飛んだほうが明らかに早いけど、変に怪しまれるわけにはいかないから艤装で行くとしようかね......。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「見えてきました!! あそこが佐世保鎮守府です!!」

 

そう声を上げるイオナの視界の先には大きな建築物が見えている。

 

あそこが今回逝ってもらうクズのいる場所か......

 

一先ず、潜入して艦娘たちから話を聞こうじゃないか

 

 

「イオナさん、こちらに私と同じ霧島さんはいらっしゃいますか?」

 

一番怪しまれない方法で入り込む方法をとるため、前を走るイオナに問いかける。

 

 

「あ、はい!いますよ! よく勉強を見てくれたりしてくれます!!」

 

なるほどね、劣悪な環境にあっても幼い子への教育はしようと努力してるわけか......

 

 

「では、イオナさんは先に一人戻って霧島さんを呼んできてもらえますか? 私はこの付近で待っていますので」

 

 

「え? 一緒に行かないんですか?」

 

 

「えぇ、少しそのまま入ってしまうと面倒なことになってしまいそうなので」

 

そういうと、イオナはキョトンと首をかしげたが、すぐに頷いてくれた

 

 

「分かりました!! すぐに霧島お姉ちゃんを呼んでくるので待っていて下さい!!」

 

そう言って元気に帰っていくイオナの背中を見送る。

 

さて、一先ずはここ(佐世保)の霧島に協力してもらうところから始めないとね

 

そうしてイオナが霧島を連れて出てくるのを私は感知されない様に岩陰に身を潜めて待つのだった

 

 

 



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もう...限界だ...

side KRISIMA

 

 

「お待たせしました!! 霧島さん!!」

 

その声にふと顔を上げると、そこには先程帰っていったイオナと、私そっくりの艦娘、霧島がいた。

 

 

「あなたがイオナさんの言っていた霧島さんですね、よろしくお願いしますね」

 

 

「えぇ、よろしくお願いします。それと、ありがとうございますイオナさん」

 

霧島に挨拶を返しつつ、イオナに礼を言う。

 

 

「それで、霧島さん、私を呼んだ理由というのは......」

 

 

「えぇ、少し...私と入れ替わって欲しいのです。あなた達の...いえ、この鎮守府のために......」

 

 

「っ...分かりました。その要件、引き受けましょう」

 

どうやら分かってくれたみたいだね、話が早くて助かるよ

 

 

「ありがとうございます。その前に、詳しい話を聞かせてもらってもよろしいですか? ここの屑がどのような悪事に手を染めているのか......」

 

 

「はい...。お話します...」

 

そうして霧島が重い口を開き、話してくれたのはイオナから聞いたものと大半は同じだった。

 

ただ一つ違ったことは、余りに生意気な艦娘には従わせるために姉妹を人質に取り、監禁しているという話だった。

 

姉妹艦の娘達も隙を見ては行方を探しているようだが、見つかるどころか、手がかり一つ見つかってないらしい。

 

 

「なるほど、話してくださってありがとうございます。後は私に任せてください」

 

 

「どうかお願いします...。姉妹を...同僚達をお助けください......」

 

......予想以上に屑だったみたいだね

 

『えぇ、良くそこまでのことができるものです。それでも気丈に振る舞い続けるここの人達に感服するばかりです...』

 

確かに、そこまでされても周りのために暗くすることなく明るく努めようとするのはキツいもんだ、こりゃ早く行ってやらないとね

 

そうして私達はその足を早め鎮守府の中へと入っていった。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「ふぅ、ただいま戻りました」

 

 

「霧島!! 戻ったデスネー!! 急に出ていったからどうしたかと思ったヨ!!」

 

此奴は...ここ(佐世保)の金剛か、艦娘達には事情を説明しておかないとな

 

 

「すみません、金剛お姉様。私なら大丈夫です。それと、お姉様達に知っておいて欲しいことが...」

 

 

「Why? どうしたんデス?」

 

 

「私は、訳あって此方の霧島さんと入れ替わっている他鎮守府の霧島です。この鎮守府の内情を知り、乗り込みにきました。今あなたの妹さんはイオナさんと一緒に、私と入れ替わりで外にいます。多分、敵に補足されないように隠れているはずです」

 

 

「!! そうだったデスネー、なら私はこのことをみんなに知らせるヨ!!」

 

ここの艦娘達は話が早い奴ばかりで助かるね、これならこちらも動きやすいってものさ

 

 

「お願いします。あまり大きく騒ぎすぎないよう、静かにお願いします。提督に嗅ぎつけられると少々面倒なので」

 

 

「No problem!! 私に任せるネー!!」

 

ホント...この姉艦にはどこでも助けられてばかりだな......。

 

 

「では、あとはお願いします。私は少しだけここの現状を見て回りつつ、提督のところに向かいます」

 

 

「OKネ!! 霧島、後は任せたヨ...お姉ちゃん、妹にこんなこと任せることしか出来ないなんて情けないネー...」

 

本当に申し訳なく思ってるんだろう、金剛の顔がズン...と暗くなる

 

 

「気にしなきでください金剛お姉様、私は...いえ、私たちはお姉様たちが笑顔で幸せに生きていけることの方が嬉しいんですから」

 

 

「えっ...?」

 

それだけを告げ、私は歩き出すのだった

 

 

「霧島...今のはいったい......」

 

金剛に1つの疑問を残して......

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

その後、ある程度鎮守府内を見て回って私たち現状を把握していた。

 

 

『皆さん元気そうに振舞ってはいますがその顔に疲れが見えます...。まともな休暇も睡眠も取れていないのでしょう』

 

そうみたいだね、着てる服もところどころ解れかけてる......。

 

食堂なんてほぼ閉鎖状態だった......

 

こりゃ、資源横領の線も見ておいた方が良さそうだ

 

『皆さんよくこれで明るく保たれています...もういつ限界が来てもおかしくない状況なのに』

 

こんなんでS評価を取れって方が酷さ、早いとこ消してやった方がいいだろうね

 

鎮守府内を歩く足を早め、私たちは提督がいるだろう部屋へと向かった。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「ここだね、やたら扉が豪華だ」

 

脚に力を入れ、渾身の力で扉を蹴り壊す。

 

 

「なっ... 何事だぁ...!!」

 

中では驚愕の声を上げる一人の青年がいた。

 

 

「アンタが提督か、消しに来てやったよ」

 

 

「なに...? 戦艦霧島!! 貴様!! こんなことをしてタダで済むと... ドゴォッ ひっ...!?」

 

言い切る前に首スレスレに拳を突き出し背後の壁を破壊して見せてやる。

 

あぁ、限界だ...18号のフリしている余裕なんてない......

 

 

「余計な口を開くなよ? お前が話していいのは俺の質問に対する答えだけだ、もし答えないなら...」

 

ボギッ!!

 

青年の指一つに手をかけ真反対に折ってやる

 

「っ!! いぎゃあああぁぁぁぁッッ!?!?

 

折れた箇所から骨がその姿を覗かせ、血が夥しく飛び散る。

 

チッ...汚らしい......制服が汚れたぞ

 

「コイツは気に入ってるんだ、汚されるとムッとするぞ」

 

まぁいいか、後でここの霧島の服の替えを貰えばいい

 

 

「聞くぞ? ここの艦娘達の姉妹をどこに監禁してる?」

 

 

「ひぃっ...!! か、隠し部屋の中だ!! あ、暗号でしか開けられないようにして... ボギッ いぎゃぁっ!?

 

 

「お前は人質の姉妹艦に...何をしてた?」

 

 

「あ...あまり生意気だったから...陵じょ... ボギィッ いぎぃっ!!!?

 

此奴は日常的にやってそうだな......。

 

 

「なんで補給もせず、傷を負って戻ってきても出撃させた?」

 

 

「そ、それは...艦娘は我々人間の道g...ボギィッいぎッ!? ぎゃああぁぁあっ!!!?

 

こういう奴らは必ずそう言うな...そして煩い......。

 

 

「まともに補給もさせずに、溜め込んだ資源はどうした?」

 

 

「そ、それは... ボギッいぎゃッ!? う、売ったんだっ!! そういったものを取り扱う裏の奴らとっ!! 」

 

なるほど、此奴は自分の私福のためにアイツらの幸せを奪ったのか...

 

ボギィッ

 

 

っ!? いっぎゃああぁあアァアァァッッッ!!!!!!

 

「も...もうやめでぐれぇ...だすげで...ゆるじて...ぐれぇ...」

 

もはや痛みで息も絶え絶えといった様子だな、殺すのは確定だが、最後に聞いておかないとならないことがある。

 

 

「最後だ、これを答えたら解放してやる」

 

 

「っ!! な、なんでも聞いてくれッッ!! なんでも答えるっ!!」

 

 

「人質の部屋の暗号と場所を教えろ」

 

 

「わ、分かった!! 場所と暗証番号は...」

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「こ、これで全部だ...」

 

 

「なるほどな、もう隠してることはないだろうな? してるなら...」

 

残りの指に手を添えてやる。

 

 

「ひぃっ!? ぜんぶッッ!!全部だっ!!これで全部喋ったぞッッ!!」

 

......どう思う?中のヤツ

 

『...おそらく嘘は言っていないかと』

 

お前がそういうのならそうなのかもな......。

 

 

「分かった、ならここまでにしてやる」

 

 

「!! 助けてくれるのか!?」

 

 

「あぁ、解放してやるよ、その腐った性根ごとな!! はぁッ!!」

 

 

「なっ...話が違っ...!? うわぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!

 

エネルギー炉からパワーを練り上げ、気功波を奴目掛けて打ち放つ。

 

光が消え去った後には奴と、やつの背後の壁ごと綺麗に消し飛んだ後が残るだけであった

 



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