魔砲少女 リリカル アリス (紫卵)
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「おいらボコだぜ!」
《魔法》
それは科学と相反する存在。
人々はそれに夢を見る。
ある人は、己が大願を果たすため
またある者は、憎き仇を討つため
そしていつから生まれたかも解らないそれは、人々の思いと共に膨張していった。
だが在りし日に己が身に魔法を纏う者が現れた。
魔女でもなく戦士でもない。だが《彼女達》は、魔法を世の為人の為と他者を思い行使した。
我々は慈愛に満ち、また哀れな存在として彼女達をこう称した。
----【魔法少女】と
それが、今世まで続く少女達の柵になるとも知らずに。
魔法少女達の概念は時と共に変わりゆくもの。始まりは既に見えず。だが、今また新たなる姿を大衆知らしめる事になる。
彼女達は、笑い・泣き・争い 高め合う。求める最高の《なにか》を手にする為に......
その名も
------【魔砲少女】------
そして今宵、理に導かれた少女がここに1人。
〜〜2015年9月下旬〜〜
激しい熱さは、温暖化も伴い昨日まで半袖でも発汗を和らげることはなかった。だが、今日は突発的に生まれた寒冷前線により衣替えを要求せざるを得なかった。
校内見渡せば、皆長袖を着用している。いくら暖房がついてるとは言え昨日の今日では事務員が許可しないだろうし、カイロを持ってる人もいなかった。
今日は昨日行われた大洗高校とのエキシビションマッチの復習会を、兼ねた戦術プランの開発を予定している。
時刻は丁度午後の12:00を指していた。予定の時間は13:00なので時間には余裕がある。
一足先に、格納庫へと足を向ける。
ついでにお手洗にも立ち寄った。
お湯に切り替えて、手を洗う。
【ボコられクマのボコ】の刺繍が施されたハンカチで手を拭い鏡に目を向ける。
そこには13年間親しんできた「島田 愛里寿」が写っている。
銀色に近い茶色の髪、瞳も髪と同様に茶色をしている。服装は、戦車道大学選抜チームの制服を見に包んではいるが、他の隊員と一部違うプリーツスカートは「可愛いい!」と好評であった。
なぜ違うのかは、身長の差なのかはたまた島田家当主の趣味なのか定かでは無い。
前髪を軽く梳いてお手洗いを後にした。
母様曰く
「島田流たるもの気品にも気を使わなければなりません。髪の乱れ、服のほつれ等々しっかり気を配るんですよ。
西住流との格の差を.......そういえば、しぽりんの私服を最近見ないわね。あれ?しぽりんの私服って何着てたっけ?スーツ?あれ、あれ?」
と仰っていたし、しっかり守らなくちゃ。
あっ、そういえばボコのパジャマが少しほつれていた様な...今度メグミかアズミに頼んでみよう。
なんて事を考えていると、既に車庫に着いていたようだ。
扉を開けて中に入れば、M26パーシング重戦車・M24チャーフィー・M4シャーマンが並んでいる。一言に車庫というと小さいイメージだが我が校の車両所有数は簡単には収まらず、2箇所別れて保管している。
T28重戦車はメンテナンスのため他へ移動している。
車庫は外より気温が低く少し足を早めてセンチュリオンに向かう。
車体に触れる。
「...冷たい」
第二次世界大戦後にイギリスが開発し、第1世代の主力戦車として活躍した【巡航戦車A41センチュリオン】。戦車道連盟の規定により1945年8月15日までに設計が完了して試作されていた車輌と、それらに搭載される予定だった部材を使用した車輌のみで、左記の条件を満たしていれば、実在しない部材同士の組み合わせは認められる。
この戦車が試作されたのは1945年の8月までにA41は16輌の試作車が完成している。その為、戦車道大会での使用が許可された。
唯、試作段階のセンチュリオンを入手するのは難航し、後期のセンチュリオンに76.2mm砲を搭載する事で上記の条件を満たす事に治った。これも一重に島田流家元の後ろ盾があってできた事と言えるだろう。
因みにセンチュリオン名称は、ローマ軍団の「centuriō(百人隊長(ケントゥリオ)」からきている。
そして私は、この戦車で西住流に負けた。
大洗は速決のチームではあったが、あの戦いは西住流と島田流の戦いでもあった。戦術も総合火力も此方に武があった。
けれど、西住みほ はあの窮地を逆転してみせた。
こちらの想定斜め上を行く戦い方。また西住流とは違う【西住みほの戦い方】があり。見事勝利を収めた。
そう...みほさんには私には無い強い何かがあった。けれど今の私では、朧げにしか理解できない。
でも...
「次は負けない。2度目の敗北は許さない」
愛里寿は、センチュリオンに誓ったのであった。
ルミ「あれー?車庫のドアが開いてる。誰か先に来てたのかな?」
メグミ「もしかしたら、野良猫が迷い込んでたりしてね。」
アズミ「ご飯が欲しいニャン♫暖かい部屋に連れて行って欲しいのニャン♫」
ルミ「アズミー。それ、あんたの本音でしょう?」
アズミ「あっバレちゃった?そうですよー。暖かい部屋でビールとつまみを頬張りたいんですよ〜」
メグミ「まぁ寒いのはわかるけど、愛里寿隊長だって同じなんだし頑張りましょう」
アズミ「隊長...ブカブカのマフラーを着けて困惑している隊長が見たい(キリッ」
ルミ「スイッチはそこだっだかぁ」
賑やかな話し声が耳に入る。こちらに向かって来るようだが、此方に気づいていない様子。
そろそろ支度しなくちゃ。その前に。
「あの...アズミ!」
アズミ「ヒャあっ⁉︎たたた、隊長⁉︎いつからそこに?」
「あ、えっと。先に入って皆んなを待ってようと...」
ルミ「良かった隊長だったんですね。」
メグミ「もしもスパイだったらどうしようかと思いました。ホッ」
アズミ「で、愛里寿隊長。ご用件はなんでしょうか?」
あんなにビックリしてたのに、既に妖艶じみた笑顔を此方に直ぐ向けて来る。
「その...私のパジャマが少しほつれてて直してもらえないかなって」
アズミ「ほつれですか?大丈夫ですよ。任せてください。完璧にして治してみせます。」
「本当‼︎ありがとうアズミ」
アズミ「そんな事ないですよ。あっそろそろ時間になりそうですね。ぼちぼち支度を始めましょう。」
「う、うむ。そうだな支度を始めよう」
少し大袈裟に喜んでしまった。恥ずかしぃ。
うぅ早く支度しよう。
愛里寿は照れ隠しの為に走って支度に向かった。
取り残された3人はと言うと。
アズミ「...ねぇルミ、メグミ?つかぬ事を聞くけど裁縫経験はオアリ?」
メグミ・ルミ「「」」
アズミ「ですよねー‼︎知ってた‼︎うわぁああどうしよう約束しちゃったよ⁉︎」
メグミ・ルミ「「自業自得だろ」」
ルミ「でも安心して、アズミ一人に苦労はさせないよ」
メグミ「そう私達はいつだって一緒に戦ってきたもの」
アズミ「2人共...ありがとう。そうね、私は一人じゃなかったわ‼︎3人なら乗り越えられる。やってやりましょう‼︎」
ミ・ミ・ミ「「「オー!!!!」」」
その日から徹夜の裁縫練習会が開始されたのを、愛里寿はしるよしもなかった。
〜〜1600会議終了後〜〜
愛里寿は会議が終了した後に、ボコミュージアムに足を運んでいた。門限までにはまだ時間はある。
それに、この時期だけの【限定マフラー仕様ボコ】をゲットするためだ。
「やった。あった!」
ほっと胸を撫で下ろす。
この限定ボコは包帯の代わりにマフラーを巻いている冬季限定のボコ。毎年違うマフラーになるのは製作者のこだわりが見える。
「ふわふわであったかい(ヌクヌク)。でも本当に良かった。大会には負けちゃったけど母様がスポンサーになってくれて。これでボコとお別れせずに済んだ。」
母様がスポンサーになってからは内装も外装も新品みたいに生まれ変わった。戦車道の活躍した島田 愛里寿がここの常連という話を少しでも皆んなに知って欲しく記者に話したらお客さんが、前年度より約4倍の総員数を叩き出したという。宣伝効果凄いと思いました。
本当にみんなボコの事が好きなんだなぁ。嬉しいな。
「ヴォイテクもお出迎いしてくれてありがとう。...ん?」
ヴォイテクに挨拶を済まし帰ろうとした所、ある看板に目が止まる。
「【ボコがお家にやって来る!楽しいボコボコ生活‼︎】?なんだろう。すごい気になる。でも、そろそろ門限が....」
【今日逃したら明日はない⁉︎1度だけのチャンス‼︎】
そのワードが愛里寿の足の向きを180°回転させた。
仕方がない。そう仕方がない、だって今日だけなんだもん!
ごめんなさいお母様。今日だけは許して。
その看板の横には、暖簾がかかっていた。それを潜り中に入ると端末が1つ置いてあった。
『よお!お前らよくきたな‼︎おいらの名前はボコ。みんな勿論知ってるよな⁉︎』
端末からボコの声が唐突に流れ始めた。
「うん知ってるよ!ボコ!」
愛里寿は、突然のボコの声に元気な声で返した。
『おう‼︎おいらはボコだぜ。そしてここに来たお前‼︎おいらがお前のお家に行ってやるぜ。』
「外の看板は本当だったんだ」
ボコが来たら何しようかな?お話しして一緒に遊んで、あっあと戦車にも一緒に乗りたいな。
『やりたいことはたーくさん有ると思うが!まずはお前の名前を教えてくれ‼︎』
包帯でぐるぐるにした手?をこちらに向けてくる。
すると端末の映像が変わり、入力画面に切り替わった。
「えーと。下記の欄に貴方の使命をご記入ください。
【島田 愛里寿】っと。これでいいのボコ?」
呼びかけに答えるようにまた画面が切り替わる。
こういうのに簡単に実名を書いちゃダメよっと母様が言っていたことは、すっかり抜けているご様子。
『おう‼︎ありがとうな‼︎これでお前の名前はバッチリだぜ!今日中に会いに行くぜ。ワクワクして待ってろよ【島田 愛里寿】‼︎』
島田 愛里寿の部分は読まれなかった。だけど、そんな事より来てくれると言ってくれた事に対して愛里寿は
「うん。待ってるよボコ」
と大変嬉しそうに答えた。
端末の映像はブチンという音を立てて消えた。
「今夜はねむれなくなっちゃったな」
そして外に出ると黒塗りのベンツが止まっている。
「お帰りなさい、お嬢様」
「うん、ありがとう。今日はもう帰ります。自宅までお願いします。」
「畏まりましたお嬢様」
愛里寿はそれを当たり前だと言わんばかりに黒塗りのベンツに乗り込み、自宅へと向かったのであった。
〜〜そして夜〜〜
女の子が住んでいるとは思えない大変質素な部屋で愛里寿は待っていた。時刻は21:00いつもなら1時間早く寝ているところを、眠たい目をこすって起きている。
「だって、ボコが来るんだし寝てられないよね」
心の自分の声に言い聞かせる。
ただ眠いものは眠い。気を張ってないとこっくり逝ってしまう。
「......」
時計の針の音が今は、憎い。それでもチクタクと時計は時を刻んでいく。
「やっぱりこないのかな。」
何処かで思っていたことを漏らしてしまった。
それが引き金だったのか、愛里寿の限界は訪れた。
チクタク
チクタク
チクタク
.....き..ろ
ん〜まだ寝てたいよ。
..ぉ..きぃ...ろ
んぅ?あれ?そう言えばドアの鍵開けてたっけ?
『おぉおきぃろぉおお』ペチ
「痛っ‼︎くない。ん〜。」
まだ目の終点が定まらない。目を何回か擦るとようやく目の前に何かがいることがわかった。
『よお‼︎わざわざ俺様が来てやったぜ!どうだ、目が覚めたか⁉︎』
「(目パチパチ)....え」
その言葉を理解できなかった。もっと言えば大きさが愛里寿の膝丈ぐらいしか無いことも。
『まだ目が覚めてないみたいだな。おいらが目を覚ませてやるぜ!うおおおお(空振りからの転倒)ふごガバ⁉︎』
その場で手を振り回しその場で転んだ。
「ボコだ..。生ボコだぁああ!」
愛里寿の目は瞬間覚醒した。
そして同時になんで遅くまで起きていたのか思い...出した。
『そう。おいらを愛里寿が呼んだんだぜ‼︎お出迎いもなしとは参っちゃうぜ‼︎』
なんて陽気に答える。かわいい。
「あれ?でもボコはどうやって入ってきたの?一応窓の鍵は開けてたけどここ二階だよ」
『なんだそんなことか?簡単な事だぜ‼︎なんとおいらは飛べるのだぁあ‼︎』
そう言うとボコの背中から付けて足したような羽が生えた。
「凄い!ケンカには勝てなくてもボコは飛べるんだ‼︎」
『何をぉ!ケンカだって次は勝てるぜ‼︎』
これは今度みほさんに会ったら話さなければ。ボコが飛べるなんて今まで知らなかった。
『おっと他の人には話されては困るぜ!これは愛里寿とおいらの秘密。』
「...そっか」(しょんぼり)
『ああ、落ち来まいでくれ‼︎ほ、ほらこれからはおいらと一緒だしな‼︎』
「一緒?それってどういう事?」
『おう!おっほん。こう言うのは鉄板が決まってるもんなんだぜ!』
『おいらと契約して魔砲少女になってくれだぜ‼︎』
「うん。契約する。」
一寸の迷いなくYESと答えたのであった。
早く魔法少女要素入れないと‼︎
うわァアアア前座が長いよォォオオオ。
というこんな感じで始まってしまいました。ぶっちゃけ既存キャラを動かすのが初めての試みで苦悩してばかりです。ここの愛里寿はかなりボコ厨です。
次回からは、がっつり魔砲淑女として愛里寿が活躍するので許してくだちぃ。
ネタに走る時が多分多くなっていきます。
因みにうp主の好きな魔法少女系は
・まどマギ
・結城友奈は勇者である
・魔法少女育成計画
・Fateプリズマイリヤ
です。今期は魔法少女系が多くて心がリリカルしますね!
時たま、挿絵をかけたらと思っています。絵はこんな感じかと察して頂ければ良いなぐらいの絵です。脳内変換をお願いしますん。
更新ペースは早めにしていく予定です(できるとは言ってn...)
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