彼女の秘密を知った俺は逃げられない (whiterain )
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1話 オタクなマフラー少女

挿絵機能を使ったのが初めてなため、上手く表示されてない場合、何とか直しますので
ご容赦ください

画力の向上、そして私の文章力の向上を祈って温かい目で見てあげてくださいm(_ _)m


【挿絵表示】


今回はマフラー少女です

11月16日変更点
松木絵里香→悠木陽詩の呼び方を陽詩さんに
松木絵里香→杉谷正紀の呼び方を正紀くんに
悠木陽詩→松木絵里香の呼び方を絵里香に
杉谷正紀の一人称を俺に変更



『俺は、今年恋をする』

 

俺、悠木陽詩(ゆうきひなた)はスポーツが人より得意なだけの高校生だ。

勉強も人並み、彼女もいない、強いていえば少し・・・いや結構な隠れオタクであるだけの普通の高校2年生。

 

今年の目標は好きな人を見つける、そして、彼女を作ることだ。

何故、こんな目標を建てたかと言えば、それは今手の中にあるおみくじが関係している。

 

お気に入りのライトノベルに影響され、神社に来た俺は記念におみくじを引いていた。

その結果が、奇跡の大吉。

これは、運命に違いない!と自分に物語を感じた俺は・・・

 

 

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『とは言ったが、そう簡単に出来るなら苦労しないよな・・・』

 

あの宣言から時は流れ、季節は春に移り変わっていた。

自分がした恋人を作る宣言を思い出す。

 

気づけば、春休みも残りわずかとなっていた。

家では集中出来ないと、春休みの課題を手に図書館へ行き、さっさと終わらせて帰ろうと意気込んでいた。

 

図書館に入ると、春の陽気を通り越し、夏と変わらない外の暑さとは違い、クーラーの効いた快適な空間だった。

これなら、ずっと居ても良いなぁと先ほどのやる気が嘘のように削がれていた。

 

「あれ、陽詩くんじゃないですか!」

 

ふと、聞き慣れた声が耳元に届く。

 

『あぁ、小豆か』

 

「はい、私ですよ」

 

彼女は柏田小豆(かしわだあずき)

小さい頃から、近所に住んでいて、これまで共に育ってきた幼なじみだ。

 

恋人を作ると誓って、幼なじみがいるなら、話は早いのではないか?

と考えた人もいるかも知れない。

しかし、今までそういう対象に見てこなかっただけに、

そう簡単に切り替えられるもではない。

むしろ、逆に気まずくなりそうだ。

 

「陽詩くんはどうしてここに?」

 

『課題が終わって無くてな・・・小豆は?』

 

「私は、本を借りたくて」

 

確かにそういう小豆の手には何冊かの本が抱えられていた。

 

『あいかわらず、真面目だな』

 

「陽詩くんだって、昔から課題!ギリギリでしょ?」

 

そう言われるとこちらも立つ瀬が無くなってしまう。

昔からの付き合いだからこそ、わかってしまう。

 

やっぱり、小豆は恋人ってイメージがしない。

 

『ちゃんと、当日までに終わらせるから良いんだよ』

 

「ちゃんとだよ?」

 

『わかってるよ』

 

「それじゃあ、陽詩くんまたね」

 

『あぁ、またな』

 

小豆が本を袋に入れると、入り口の方へ歩いていった。

 

『さて、俺もやるか』

 

このままダラダラとしていても、課題は無くならない。

今日のノルマを終わらせて、家で漫画・ライトノベル・ゲームやりたいことはいっぱいある。

 

そのために、目の前の難敵に挑もう。

 

 

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今日のノルマである課題を終わらせ、俺は本屋に来ていた。

 

『途中で気づけて良かった』

 

宿題を片づけることに気を取られすぎていた俺は今日がライトノベルの新刊の発売日であることを忘れてしまっていた。

図書館というあれだけの本に囲まれた場所にいながら、新刊の発売日を忘れてしまったらオタクの名が廃ると言う物だ。

 

学校でオタクであることを隠している俺は、帽子を目深に被り、今日発売した新刊をスマホで確認しつつ、

ライトノベルのコーナーに向かう。

 

ドンッ

 

『痛っ・・・』

 

スマホの画面を見るのに夢中になっていた俺は、前方不注意で誰かにぶつかってしまった。

 

「痛いなぁ・・・・」

 

自分の前で尻餅をついた、声から恐らく少女だろう人が居た。

何故、恐らくなのかというと・・・

 

『すごい格好だな・・・』

 

帽子を目深に被り、サングラス、マスク着用、更にこの真夏に長いコート着ていて、どう考えても不審者だ。

更にその中に転んだためかコートが乱れ首もとと足下に近いところが捲れたことで見えたがマフラーを巻いていた。

 

「何を、見てるんですか」

 

『不審者?』

 

思ったことがそのまま口から出てしまってた。

 

「誰が不審者ですか! それにぶつかってきておいて謝罪があっても良いと思うのですが!?」

 

散らばった本を拾わずに、こちらに詰め寄ってくる少女(不審者)

 

『あ、あぁ、ごめん・・・・って確かに俺も悪いが、俺だけか!?』

 

いま通っていた通路は人が楽に行き違えるほど広い。

スマホを見て、前を見なかった俺も確かに悪いが、前を見て、俺を認識していたのなら歩きスマホに気づいて

避けて行くだろう。

我ながら、酷い擦り付けだ。

 

「貴方が悪いんです!」

 

取り付く島もなかった。

 

『あ、はい・・・』

 

擦り付けが失敗した以上、散らばった本を拾おうと手を伸ばした。

 

「あっ!ちょっと待ってくだ」

 

『ん?』

 

勇者がクラスでぼっちになっている

 

この美しき世界に祝福を

 

俺の彼女が異世界から来るそうです

 

どう見ても、何度瞬きしてもライトノベルだった。

 

「返してください!」

 

表情は掴めないが、焦っていることだけは明白だった。

 

『いや、何というか・・これは不可抗力で・・・

  もう会うことも無いと思いますし・・』

 

「良いから返してください!!」

 

手からラノベを引ったくられると、彼女は足早に去っていった。

 

『凄かったな・・・なんていうか衝撃的

  でも、あのマフラーどっかで見た気がするんだよなぁ・・・』

 

どこで見たのかは思い出せない。

だが、思い出せないのなら恐らく気にしなくても良いのだろう

俺がこの時、マフラーのことを思い出せていたのなら、未来は変わっていたのかもしれないという事態にならなければいいが。

 

『今は、ラノベラノベと』

 

俺はラノベの新刊を手に意気揚々と帰路を急いだ。

 

 

 

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『これは春休みを無駄に使った人間の典型的な姿ではなかろうか?』

 

家に帰ってきた俺は買ってきたライトノベルを読んでいた。

それだけなら、別に特段普通の光景だと思う。

 

だが、気付けば時計はPM10時を差していた。

 

『春休みの記憶が、同じ光景しか思い出せない・・・』

 

ラノベを読み、漫画を読み、ゲームに興じる。

これは典型的な引きこもりの駄目人間の姿だ。

 

『俺も異世界に行けたらなぁ・・・チートもらったり、ハーレム作ったり出来るかも知れないのに』

 

彼女を作ると目標を建ててから、漫画、ライトノベルを読んでいても、ゲームをしていても恋愛方面が

気になって読んでしまうようになった。

 

こんなことが現実に無いとはわかっていても願わずにはいられない。

 

『こんなこと考え出したら末期なのかも』

 

コンコン

 

ふと、窓を叩くような音がした。

 

『おっと、お呼び出しかな』

 

窓に近づきカーテンを空け、窓を開ける。

そこには、窓越しに長い棒を使って俺の部屋の窓をつつく小豆の姿があった。

 

「こんばんは、陽詩くん」

 

『あぁ、こんばんは小豆』

 

俺と小豆の家は隣同士だ。

更に、俺と小豆の部屋はお互いに窓から見える位置にある。

そのため、俺と小豆は習慣的にこうやって窓越しに話しているため、もはや日常だ。

 

『今日はどうしたんだ?』

 

「陽詩くん課題をちゃんと終わらせたのかなと思いまして」

 

『今日のノルマはな、ちゃんと新学期までには終わらせるさ』

 

「陽詩くんいつもギリギリなんだから、今度から計画的にしなきゃ駄目だよ」

 

小学校の時はそこまででも無かったのだが、中学に入ってからは毎回のように言われてきた言葉。

言われたところで直そうとも思ってもいないのだが。

 

『わかったわかった、今度から気を付けるって』

 

「そう言っていつも直さないでしょ?だから」

 

『もう聞き飽きたって、それより今日何の本借りてきたんだ?』

 

無理にでも話を変えなければ、このまま延々とこのことについて言われ続ける。

そんなことはゴメンなので、早々に話を逸らさなければならない。

 

真面目な小豆のことだろうから何かの参考書とかかライトノベルでは無い一般的な小説かだと思う

意表を突いてエッセイという線もあるかもしれない。

 

「今回は詩集と、刺繍の本です?」

 

『分かり難い! 文字ならともかく、音声にしたらわからんって』

 

「はい、狙ってみたんです」

 

口に手をあてて笑う小豆。

 

『微妙なことをするなよ・・・』

 

少し呆れたようにやれやれと手を振る。

話が途切れたと思ったとき、ふと聞きたいことを思い出した。

 

『なぁ、小豆はさマフラー少女と言われて思い浮かぶ人がいるか?』

 

もしかしたらマフラー少女の心当たり事態が気のせいなのかも知れない可能性もあれば、

あれが只の顔を隠す目的でマフラーを着けていたでけの可能性もあるのだが・・・

 

「マフラー少女ですか?」

 

『あぁ、こんな気温でもマフラー着けてた』

 

小豆は少し、考え

 

「それって、宮瀬祈(みやせいのり)さんじゃないですか?」

 

『宮瀬祈?』

 

「はい、同じ学校の人で、私たちと同じ学年の人ですよ」

 

『・・・・・・あぁ!』

 

聞いたことがある。

容姿端麗才色兼備で立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花と称されているらしい女の子だ。

この娘の話しで1年中マフラーは外さないと誰かが言ったのを聞いたような気がする。

 

今まで、興味を持ってこなかったがだから、自分もあまり思い出せないのかと納得する。

 

「素敵な人らしいですね」

 

『良くは知らんがそうなのか?』

 

自分の知っているのはライトノベルを買っている不審者の姿でしか無いのだが

 

「はい、品行方正なお嬢様を絵にしたような人らしいですよ

   陽詩くん興味あるんですか?」

 

『いや、そういうわけじゃないけど』

 

同じ学校だからって向こうからこっちに関わってくるとも思えないし、向こうが自分のことを分かっているとも思えない。

なら、これ以上聞いても仕方ない。

マフラー少女の謎が解けただけでも充分だろう。

 

「ふふ、そうですか」

 

『あぁ、もう遅いから今日はここまでじゃないか?』

 

「そうですね、もうすぐ新年度ですし、生活リズムを戻さないと

   また同じクラスになれると良いですね」

 

『今までずっと同じクラスだったんだ、一回くらい離れてみたい気もするが・・・』

 

「えぇ・・・私は嫌です、また今度も同じクラスになりたいなぁ」

 

『いや、俺もそう思ってるよ』

 

「なら嬉しいです、おやすみなさい」

 

小豆はこちらに満面の笑みを見せ、手を振った。

 

『おやすみ』

 

小豆に手を振って別れを告げ。カーテンを閉めた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『気付けば、もう新学期か・・・』

 

あれから、毎日を同じように過ごせばあっという間に新学期の朝を迎えてしまった。

マフラー少女たる宮瀬祈に会うことを除けば、図書館で課題を終わらせ、家に帰ってくると趣味に没頭する。

そんな生活を送っていたと思うと、我ながら堕落してると思う

 

「陽詩くんー!新学期ですよ、学校行きましょう」

 

学校が始まれば、いつものように小豆が家に迎えに来る。

 

『今行く』

 

家を出れば、制服に身を包んだ小豆がいる。

 

「おはよう、陽詩くん」

 

『おはよう小豆』

 

「今日から2年生だね」

 

『そうだな、新しい1年生も入ってくるわけだ』

 

といっても帰宅部の自分にはそんなに大した変わりがあるわけではないのだが。

歩いていれば、自分より年下がいる程度のものだ。

 

「私も陽詩くんも部活やってないけどね」

 

そう、俺だけでなく小豆も部活をやっていない。

小豆は幼なじみの贔屓見を無くしても可愛いから勧誘だったりマネージャーのお願いだったりとあったらしいが

理由は分からないが、俺と同じ帰宅部となっている。

 

『まぁ、新クラスになるだけでも気分が変わるだろ?』

 

「私は陽詩くんと同じクラスなら良いなぁ」

 

『昨日寝る前も言ってただろ?』

 

「それだけ、同じクラスになりたいってことです」

 

「よう、ご両人今日も仲良いねー」

 

「なんだ、アホか」

 

「おはよう、水田くん」

 

「おはよう柏田さん、そして誰がアホだ陽詩」

 

「お前だミスター、ちゃんと進級できたのか?」

 

水多翔一(みずたしょういち)

1年で同じクラスになり、名字から俺はミスターと呼んでいる友人で、小豆を除けば学校で唯一俺のオタク趣味を知っている。

バドミントン部に属して結構活躍しているらしいが、頭が残念過ぎたため留年の危機に晒されていた。

 

「当たり前じゃないか、勘は人間の全てだ!」

 

そう、勉強にしろスポーツにしろ本能に身を任せた勘で生きているのがこの男の欠点。

部活ではこの勘も役に立っているようだが、勉強ではありえない回答がしょっちゅうだ出ている。

 

『そんなだから、留年しかけるんだよ』

 

「何を言う、俺はいまこの時間に出たら会えるんじゃないかと勘で出てきたんだぞ?」

 

「あはは・・・」

 

さすがのミスターに小豆も苦笑せざる追えなかった。

 

そんなミスターの留年危機の話しをしていれば、学院にたどり着いていた。

 

桜風学院

 

この辺りでは有名な進学校であり、部活動の成績も悪くないことから毎年入学希望が多く倍率も高くなっている。

 

そして、桜風学園にミスターが合格したことがこの学院の七不思議となっている。

 

『さて、クラスはどこかな』

 

「あ、あったよ」

 

小豆の指さす2年B組に3人の名前が集結していた。

 

『また同じクラスだな』

 

「そんなに俺と同じクラスなのが嬉しいのか?

 俺も嬉しいぞ!」

 

『お前じゃねぇよ!というかお前とはまたって言うほどの付き合いはまだ無いぞ』

 

「私は嬉しいよ、それに美夏ちゃんもいるし」

 

『・・・・・あぁ』

 

江崎美夏(えざきみなつ)は小豆の親友で、俺もそこそこ付き合いは長い。

さばさばした性格で、どっちかといえば引っ込み思案の小豆とは対照的なやつだ。

でも、だからこそ2人は仲が良いのかも知れない。

 

「相変わらず、バカをやっている」

 

クラスを見て、人がごった返すクラス表の前から離れると一組の男女が近づいてくる。

 

『なんだ、正紀か』

 

「おはよう杉谷くん、絵里香ちゃん」

 

「おはようございます、陽詩さん、小豆さん、水田さん」

 

男の方は杉谷正紀(すぎやまさき)

成績優秀、運動神経抜群、容姿端麗、社長ご子息、変人ということを除けば間違いなく完璧な人間だろう。

俺とミスターと正紀の3人で3バカと不本意な呼ばれ方をすることもある。

 

女の方は松木絵里香(まつきえりか)

正紀の許嫁で、こちらも良いとこのお嬢様だ。

気品のある振る舞いからも、育ちの良さがわかる。

 

『2人も同じクラスか?』

 

「俺はな・・・絵里香は」

 

「残念ながら私は別のクラスとなってしまいました・・・」

 

松木さんがしょぼんと肩を落とす。

 

「あぁ・・・」

 

なんとも言えない空気が広がる。

ここに5人中4人が同じクラスで1人だけ違うクラス。

 

「お前の権力でどうにかならなかったのか?」

 

「何を言っているんだ全く・・・あとちょっとのところだったんだ・・・」

 

何が?と聞くときっと後悔することなる気がする。

この2人は親が決めた許嫁という関係ながらも、2人の中は良好でお互いに結婚には前向きだ。

 

『絵里香、1人で大丈夫なのか?』

 

「新しい友人もすぐに出来ると良いのですか・・・」

 

「絵里香ちゃんならすぐに出来るよ!」

 

小豆が心配そうにしている松木を励ますように明るく声をかける。

 

実際、全く知ってる人がいないクラスというのは苦痛だと思う。

毎年、同じクラスに小豆がいた俺としては経験したことはないため気持ちは想像しがたい。

 

「心配するな絵里香、1人が辛いならすぐに俺が行く」

 

「正紀さん」

 

『おい、こいつら自分たちの世界に入ったぞ』

 

「いつものことだろ?」

 

「あはは・・・」

 

俺たちには見慣れた正紀と絵里香のラブラブ空間。

漫画だったらあの部分だけがピンク色になっているだろう。

 

『先に行くか?』

 

「まだ、続きそうだもんね」

 

俺たち3人は自分たちの空間を作り続ける2人を放置し、自分たちのこれから厄介になるクラスに向かった。

 

 

「B組ですか・・・悠木陽詩も同じクラス」

 

その近くでは首にマフラーを巻いた少女がクラス表を見ていた。

その少女は未だ自分達の世界を続ける2人に目をくれることもなく自分のクラスへ向かい歩いていった

 

 

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自分のクラスに着きすぐに机に突っ伏していた。

 

『眠い・・・生活リズムが治ってないからか?』

 

休み期間夜遅くまで起きて、昼近くまで寝ている生活をずっと続けていたためこの時間に起きていることが辛い。

 

ボーッとしていると少しして教師が来て、自己紹介が始まったため、顔だけ上げた。

普通始業式が終わってからではないのか?と思ったため、予想が外れたが、始業式の準備が終わるまでまだ時間がかかるらしい。

 

「江崎美夏、みんなこれからよろしくねー」

 

初期の五十音で並べられた席順。

そのため美夏は早い段階で順番が回ってくる。

 

「柏田小豆です、趣味は読書です、よろしくお願いします」

 

当たり障りのない普通の自己紹介。

 

実際、こんな自己紹介をしたところで、本当の自分なんて話さないため意味何てない気もするのだが。

 

「杉谷正紀です。去年から知っている人は改めまして、新しく知り合った人はこれからよろしくお願いします」

 

相変わらず優等生のような奴だと思う。

これが仲良くなれば崩してくるのだが・・・

 

「水田翔一、信じているものは己が勘だ!」

 

頭に指を差し、決め顔を作り、大きく声が響いた。

去年と変わらない勘アピール。

いつになったら、こいつは治るのだろうか

 

「宮瀬祈です、これから1年よろしくお願いします」

 

ボーッとしていた頭が一気に水を掛けられたかのように醒めていった。

 

『マジかよ・・・・・』

 

同じクラスにいたのに気が付かなかった。

だが、きっと俺のことは気づいていないだろう。

別に彼女と違って有名人でも無いのだから

 

「陽詩・・・陽詩!」

 

考えごとをしている俺の頭にミスターの呼びかける声が届いた。

 

『何だ?』

 

「いや、お前の番だぜ」

 

『あっ』

 

言われて周りを見れば、みんなが自分のことを見ていた。

 

「悠木君の番なんだけど・・・」

 

教師も困ったようにこちらを見ている。

こんな形で目立ってしまうなんて・・・

 

目立てば目立つほどバレる危険性があるじゃないか

 

『あぁ・・その、悠木陽詩です、これから1年よろしくお願します』

 

自己紹介を終わらせ、周りの目は違う人に移る。

1人を除いて・・・

 

「・・・・・・・・」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

入学式も無事に終わり、今日は解散と放課後になった。

 

『さて、俺も早々に帰るかな』

 

小豆は今日は美夏と遊びに行くらしく早々に下校していた。、ミスターは入学式の手伝いをさせられると面倒そうに去っていった。

 

「悠木さん、少しよろしいでしょうか?」

 

『うん・・・っ!』

 

振り返ればぶつかったマフラー少女の宮瀬祈がいた。

まさか、話しかけられるとは思っても見なかった。

ライトノベルは恐らく、彼女の人には知られたくない部分なのだろうが。

 

俺が話さなければ、彼女のそれは広まることが無い。

そして、俺も絶対の自信がないし、彼女の人柄を知る人ならそんなことは信じはしないだろう。

それなら、来るとしてももう少し様子を見てから来るんじゃないかと考えていた。

 

『わかった・・・何の話しだ?』

 

何故今呼ばれたのか考えが回らないが、変な考えばかりが浮かぶ。

 

「ここでは話しにくいのでこちらへ来てください」

 

宮瀬に言われて着いて行けば、空き教室に来た。

暗殺フラグか! それとも脅迫フラグか!

頭の中にまともな展開が浮かばない。

 

こんなとき、現実的に考えられない二次元脳が悲しくなる。

 

『それで、話しとは?』

 

「いえ、前に私が参考書を買ってるときにお会いしたので改めて挨拶をと思いまして」

 

『ん?いやお前が買ったのはラノベじゃ?』

 

「やっぱり、貴方ですか」

 

『あ・・・』

 

何も考えずにすぐに正直に話してしまうこの口が恨めしい。

 

「あなたのことは調べました、悠木陽詩」

 

『調べた?』

 

弱みを握って、脅してくる作戦か?

中学の時のことか・・・?

 

「貴方も私と同じオタクであるはずです」

 

『は?』

 

「貴方とぶつかった後、貴方がライトノベルを買うとこまで見させてもらいました」

 

それを聞いて、思わず調べてないじゃんと思った俺は悪くないはずだ。

だが、確かにオタクであることを学校中に広められるのはあまり芳しく無い。

 

しかし、それは彼女も同じはずだ。

 

『俺が仮にオタクだとして、それが何か?』

 

「それに私と同じでオタクであることを隠している」

 

『そんな証拠がどこに?』

 

「別に隠すなら隠しても良いですよ 

  ただ、私が悠木に空き教室に連れ込まれて変なことされたと広めます」

 

ただ、人目に付きたくないからだと思っていたこの空き教室。

それ自体が罠だとは思っても見なかった。

 

というより、この問いかけにもう逃げようが無い。

 

俺が、彼女がオタクであることを糾弾したところで信じてもらえず終わり、俺が空き教室に連れ込んだことが

知られれば、もうクラスで生きていけないかも知れない。

 

『わかった・・・俺にどうして欲しいんだ?』

 

「認めるんですねオタクであることを」

 

『あんたも、性格が悪いな、こんなの認めないわけにはいかないだろ』

 

「良いじゃない?別に私もバラす気はないし 

  良い協力関係築きましょ」

 

『話し方が変わったな』

 

「あまり、堅い言葉は疲れるの」

 

『まぁ、良いけどさ・・協力関係って何をするんだ?』

 

「それは追々、これから」

 

『適当な協力関係も良いとこだな』

 

まぁ、決めていないのも仕方ないのかもしれない。

今日、初めてしっかりとお互いを認識して話して、宮瀬だって上手く行く保証は無かったのだろう。

 

最も、罠にかかったのは俺が気付いていながら相手のステージに立ってしまったことが悪いのだが。

ここまでだと情けなくてため息が出てくる。

 

ただ、わかるのは俺の高校生活が音を立てて崩れていくような錯覚に襲われた。

 




そんなことやってるなら、他の小説もあんだろ?
書けよ?

と言われそうなwhiterainです。

友人keyさんのコメントもここで載せておきたいと思います。

まだまだ下手ですけど、これから頑張って挿絵描いていきます!

だそうです!

これから彼女の秘密を知った俺は逃げられない
僕らの中で、通称は彼逃(かのにげ)をよろしくお願いします



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2話 テスト-1

どーも、whiterainです!
ごらん頂いた皆様ありがとうがざいますm(_ _)m

あっ、まだ見てないか

この先、後書きはKeyさんに押しつけ・・・任せたので挿絵も後書きの方に載せていきたいと思います。

というわけで2話目でございます。

今回からはテスト編ということで適当に流して・・・真剣にテストを書いていきたいと思います。

作中に数学の問題が出てきますが、多分合ってると信じてます。
もう、だいぶ忘れているので・・・

来月には第七特異点が始まるから、今月中に執筆頑張らないといけません!
whiterainは全国のマスターの皆様を応援しております

次回更新は11月21日2時00を予定しております


『はぁ・・・・』

 

目を醒まして、ため息が出る。

今日から、俺の高校生活はどうなってしまうのだろう?

 

「陽詩くん!」

 

『どうした小豆?』

 

いつもは家の前で待っている小豆が気付けば部屋まで入ってきていた。

 

「陽詩くんが全然出てこないからだよ

 遅刻しちゃうよ?」

 

『え?』

 

時計を見れば、急がなければ遅刻する時間だった。

ため息をつきながら自分の高校生活を憂いてだけでこんなに時間が経っていることに気付けないとは。

 

『まずいな、急ぐぞ小豆』

 

とりあえず、なるようにしかならない以上、今は学校に行くしかない。

 

「あっ、陽詩くん待って」

 

急いで部屋から飛び出した俺の後を小豆が追うように部屋から飛び出す

 

『急げ小豆!』

 

「私、そんなに早く走れないよ!」

 

走れば走るほど、小豆との距離が離れていく。

無理もないか、小豆は運動が得意な訳でもないし、体力があるわけじゃない。

 

小豆を置いていけば、確実に間に合うかも知れないが。

 

『そんなこと出来ないよな!』

 

「あっ!」

 

小豆の手を掴み、引っ張るように走る。

これでもギリギリかもしれないが、間に合う可能性もある。

 

俺は小豆の手を引っ張って走り続けた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

『はぁはぁ・・・小豆大丈夫か?』

 

「だ・・だいじょう・・・ぶ」

 

何とかチャイムと同時に教室に飛び込むことが出来た。

俺は、息が乱れた程度だが、小豆には無理をさせたと思う。

 

吐きそうになってたりとかしなければ良いのだが。

 

「悠木君、おはようございます」

 

『あ・・あぁ、おはよう』

 

自分の席に向かう途中、まさか宮瀬から挨拶されるとは思わなかった。

変に勘ぐられないために、教室では声を掛けてこないと思ったのだが。

 

『さすがに疲れたな』

 

机に突っ伏していると横のミスターから声を掛けられる。

 

「朝からトレーニングか! さすがだな」

 

今日も変わらずズレている。

 

『そんなわけ無いだろ?

 昨日色々あって考え事があったんだよ』

 

「何があったんだ?」

 

『いや、それがな・・・ん?』

 

ポケットでスマホが震えた。

着信音は消しているが、まぁバイブレーションくらいならポケットに入れておけば目立たないだろうと無くしていない。

 

チャイムがなったがまだ教師が来ていないため、ポケットからスマホを出す。

 

『メール?』

 

開くとそこには昨日アドレスを交換したばかりの宮瀬からのメールだった。

 

[余計なことを言うと、潰しますよ?]

 

潰す!?どこを!?

 

恐る恐る後ろを振り返ると、宮瀬がマフラーで口元を隠し、イイ笑顔でこっちを見ていた。

良い笑顔でなく、イイ笑顔だった。

 

余計なことを言ってはいけない!

何か底知れぬ恐怖がそこにはあった。

 

『いや、まぁ、大したことじゃねぇよ?』

 

「さては、あれだな?

 俺と同じく明後日のテストに向けて勘を養っているんだな?」

 

『あはは、そんなわけ・・・今なんて言った?』

 

「勘を養う?」

 

『違うその前だ!』

 

「明後日テスト?」

 

『何だそれ聞いていないぞ!?』

 

 

テストなんて全く聞いていない。

昨日もそんなことは言ってなかったはずだ。

 

ならテストなんてあってたまるか

 

「何を言ってるんだよ?春休み前に言ってたろ

 いや、陽詩は寝てたんだったか?」

 

『寝たかは知らんが記憶にはない・・』

 

「ま、テストなんて勘で何とかなるだろ

 おっと、来やがったな」

 

 

ミスターの言うとおり、教師が来たようだが俺の頭の中は今日初めて聞いたテストの存在で

いっぱいだった。

 

 

HRの時は

 

担任「明後日はテストですから、しっかりと勉強してきてくださいね」

 

 

1時限目 

 

教師Aより

 

「明後日はテストだからしっかり勉強しろよ?」

 

2時限目

 

教師Bより

 

「テストだが赤点は取るなよ?私の評価に関わるんだからな」

 

3時限目

 

教師Cより

 

「テストは青春だ!!いま、お前らは何を言っているんだと思っているだろう?

    テストなんかで学校生活がバラ色になるのか!?そんなのなるわけがないとも思うだろう?

    俺もそう思う」

 

4時限目

 

教師?より

 

「テストニハモテパワーガジュウヨウデス!」

 

などなどとテストの話しが必ずあった。

 

「あれ・・・?個性的な教師は無視するの?」

 

『あぁ、小豆じゃないか』

 

確かに変な教師がいた気はするが、全然気にならなかった。

1日でどう赤点を回避するか?

 

回避できなければ、再試→補習の流れは免れない。

 

「大丈夫だよ、陽詩くんなら」

 

『だから知らなかったんだ・・・このままじゃミスターと同じく

 補習の未来が・・補習が迫ってくるんだ!』

 

「陽詩くんの中では水田くんは補習なんだね」

 

小豆が苦笑いするが、そんなおかしいことだろうか?

ミスターが補習じゃなかったら誰も赤点なんて取らない(決めつけ)

そんな中で、もう1人の赤点候補が声をかけてくる。

 

「そりゃ、そうでしょミスター君だよ?」

 

『・・・美夏も人のこと言えないだろ?』

 

ミスターはミスターで勘で答えるアホだが、美夏は美夏で珍回答を生むバカである。

 

「陽詩は私のことをバカだと思ってるでしょ?」

 

『当たり前だろ?違うなら”どんより”って言葉を使って文章を作ってくれ』

 

それを聞くと美夏は何を簡単なことを聞いてくれているんだろうとやれやれと手を横にあげる。

 

「私はうどんよりそばが好き!」

 

『「・・・」』

 

何で彼女が進級出来たのか・・・いや、なぜ入学出来たのかが分からない。

 

「私の完璧な答えに驚きを隠せないようね」

 

「・・・美夏ちゃん」

 

小豆が慈しむ笑みで美夏の肩に手を置く。

 

「一緒に勉強しようね」

 

「うん・・・」

 

『あぁ・・・えっと、ところで小豆は俺に何か用があったんじゃないのか?』

 

「あっ、うん・・・今日は私美夏ちゃんと一緒に勉強会するから一緒にどうかなと思って」

 

『勉強会か』

 

確かにテストすら知らなかった俺にはありがたい話しだ。

受けない理由が無いと、答えようとしたとき再度スマホが震えた。

 

着信 宮瀬 祈

 

『電話か・・・ちょっと、ごめん』

 

小豆達に断り、少し離れたところで電話に出る。

 

「まだ学校にいますね?」

 

『あぁ・・・』

 

「では、昨日の教室で待ってます」

 

『あっ! ちょっと今日は・・・切れたし』

 

テストが近いから小豆達と勉強会したいし、出来れば行きたくないのだが、宮瀬はテスト大丈夫なのだろうか?

多分大丈夫なんだろうなぁ

 

だけど、行かなければ何を言われるかわかったものじゃない。

 

『ごめん、小豆今日はちょっと無理そう』

 

「そう・・残念」

 

本当に悲しそうに肩を落とす小豆に罪悪感に苛まれる。

 

「ちょっと、陽詩」

 

『あー、明日みんなでやろう

 ミスターに正紀と絵里香も呼んでさ』

 

美夏に言われるまでも無く、小豆をこのままにしていけるほど薄情なつもりはない。

 

「うん、明日は一緒にやろうね」

 

少しくらいは小豆も嬉しそうにしてくれたと思う。

あんまり、時間をかけると宮瀬からまた催促の電話が来るかも知れない。

 

『じゃあ、ごめん

 また明日一緒にな』

 

小豆達に別れを告げて、俺は昨日の空き教室に向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「来ましたね」

 

『そりゃな・・・で、今日は何のようだ?』

 

「早いうちに決めておくことを決めないと、貴方は要らないことを話してしまいそうだから」

 

スマホを指さし、今日のことだと宮瀬は告げる。

 

『良いけどさ、協力関係って言っても俺は宮瀬のオタクのことを黙っておくだろ?』

 

「ええ、私も貴方がオタクであることは知っているけど、それは隠しているの?」

 

『まぁ、隠してると言えば隠してるけど、俺がバレたときと宮瀬がバレたときじゃ衝撃は段違いだけどな』

 

俺の場合は中学の時のことを顧みて、オタクであることを隠した方が彼女が出来るんじゃないかと思ったから

隠しているだけだ。

中学の時は、運動神経も良いし、顔も悪くないのに何でモテないのかと話していた時に、オタク具合がドン引きするレベルで

出てるからじゃないか?と言われたことがある。

 

そのため、高校では隠すことにしたが、ミスターや小豆は知っていることだ。

 

「私は貴方にバレたことも衝撃だわ・・」

 

『なら、何でマフラー着けてるんだよ?俺が見えたのが偶然とはいえ目立つだろ』

 

「良いじゃない・・私は極度の冷え性なの」

 

顔を赤くして目線を逸らす祈。

そんなに冷え性なことを恥ずかしがるだろうか?

それに、何でマフラーなのか?

 

『マフラーで意味があるのか?』

 

「あるの! 今は関係ないでしょう!?」

 

祈の大声に、少しビックリしながらもこれ以上追求しない方がいいだろうと思った。

そんなに深く気になるわけでもない。

 

『そんなに大声出すと、誰かに気付かれるぞ?』

 

「誰が出させたの・・」

 

勝手に大声出したんだろと口に出せばまた繰り返しになるのだろう。

余計なことは言わないに限る。

 

『とりあえず、宮瀬について話さなきゃ良いんだろ?』

 

「ええ、あと私も教室では・・・悠木君とはこんなに話させていただきますが

 変な反応はしないようにお願いします

 

『変える必要あるのか』

 

別にどっちで話したところで特に変わるようには思えないが。

 

「私が貴方だけ、こんな話し方をしたら特別な関係に思われるでしょ?

  それに私は品行方正な優等生で通しているの」

 

なら、俺にも丁寧に話してくれれば良いのでは?

とか、品行方正なら制服にマフラーはどうなの?

いや、言ったところで疲れるから嫌だ、冷え性なのみたいなことを言われる気がする。

 

『いや、まぁわかったよ』

 

「あとは、私の話に付き合って」

 

『それじゃ、さっきの話しと矛盾しないか?』

 

特別な関係を疑われたくないと言っておいて、話しに付き合えとはどういうことだろうか

 

「普段教室でと言うことでは無いの、昼休みや放課後と言った時間にこの場所でですよ」

 

『それは構わないが・・・』

 

ここに来る生徒だっているのでは無いだろうか?

メールなり電話なりもあるのだから、別にそんなことする必要も無いだろう。

 

「バレる可能性を言っているのなら、ここの教室なら大丈夫でしょ

 端の教室ですし、誰も使っていないことも確認済み」

 

『まぁ、宮瀬がそう言うなら信じるが・・・とりあえず、明日からで良いか?

 今日は早く帰りたいのだが』

 

明日からテストだと言うのに、こんなところで時間を使ってはいたくない。

それこそ、赤点を取ったら目も当てられない。

 

「何かあるの?」

 

『天下の宮瀬祈様には関係無いかも知れない話しだが、俺は明日からのテストですら赤点かもしれないんだ』

 

「言葉に刺があるわね、そんなに難しいものでは無いでしょ?」

 

これが、優等生宮瀬祈か

難しいものじゃない?

全国の赤点に苦しむ学生達(ミスターと美夏は除く)に謝って欲しい。

 

『天下の宮瀬祈様とは頭の出来が違うのですよ・・・』

 

「喧嘩売ってる?潰しますよ」

 

『ごめんなさい! まぁ、苦しむ人の気持ちも分かって欲しいってことだ』

 

「普段からしていれば苦労しないでしょうに・・・良いわ」

 

祈は自分の鞄に近づき、ノートや筆記用具を取り出す。

 

「私が貴方に勉強を教えてあげる・・今日1日あれば赤点の回避じゃ当たり前に、平均点くらいは簡単に取れると思う」

 

『マジで!良いの?』

 

こちらとしては願ったり叶ったりの話しだ。

学年有数の秀才たる宮瀬に習えば、1人でやるよりも進むだろう。

 

これなら、行けるかも知れない。

いや、これだけで協力関係を結んだ意味がある。

 

「貴方が再試や補習になったら私の話し相手がいなくなるからよ」

 

これが顔を赤くして、顔を逸らしながら言ってくれればツンデレ最高!と言えるのだが。

現在の宮瀬は、普通に呆れて仕方ないといったようにしか見えない。

 

祈が俺の横に座る。

 

「それで、どこが分からないの?」

 

『言って良いのか?』

 

俺のテストに対するレベルは人様とはひと味もふた味も違う。

 

「それを聞かないと教えようが無いじゃない」

 

『まず!テストの範囲から知らないぜ!』

 

「・・・」

 

宮瀬のゴミを見るような目が辛い。

そりゃ、俺だってテストの範囲くらい調べようと思った。

 

だが、あとで小豆に聞けばいいやという気持ちと今更聞くのもヤバイよなという気持ちに揺さぶられ

気付けば今の状況になってしまった。

だからこそ、最初は勉強会に行きたかったんだ。

美夏だってどうせ範囲知らないだろうし(決めつけ)

 

「本当に駄目人間、良くそれで勉強しようとか言ってたわね」

 

『酷いな!確かに俺が悪いけどさ・・・それで範囲は?』

 

「そんなに難しいものじゃありません、ほぼ1年生の時の範囲ですし、宿題で出ていた物が殆どらしいですから」

 

『春休みの宿題から?なら何とかなるかな』

 

「これをやってみて」

 

a^3+b^3+c^3-3abc              

3次の因数分解。

これが3次の因数分解だということは分かる。

 

『俺は2個までが限界だぜ?』

 

「致命的ね・・・良い?」

 

宮瀬は自分のノートをこちらに寄せ、説明してくれる。

宮瀬が側に寄ったとき、髪から漂うフルーティーフローラルの香り。

 

自分とは全く違い、幼なじみとも違う良い香り。

近くにいること実感させられて恥ずかしくなる。

 

「ちょっと聞いてる?」

 

ボーッとしていた俺を宮瀬がジト目で見ている。

 

『あっ、ごめん』

 

「ちゃんと集中して」

 

集中してくださいと言われても、こんな近くにまだ慣れていない女の子

しかも、それがこんな美少女だと思うと気恥ずかしくなって集中出来る物じゃない。

 

でも、集中しないと赤点だ、ミスターと同レベルだと言い聞かせて無理矢理集中させる。

 

『もう大丈夫だ、頼む』

 

「良い、これは」

 

a^3+b^3+c^3-3abc   

=(a+b)^3-3a^2b-3ab^2+c^3-3abc

 

「まず、(a+b)^3を作るの

 そして・・・」

 

=(a+b)^3+c^3-3ab^2+c^3-3abc

={(a+b)+c}{(a+b)^2-(a+b)c+c^2}-3a^2b-3ab^2-3abc

=(a+b+c)(a^2+b^2+c^2+2ab-bc-ca)-3ab(a+b+c)

=(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)

 

「こうなるのがわかる?」

 

『・・・』

 

「わかってないわね・・・」

 

『さっぱりだ』

 

「それで宿題どうやったのよ?」

 

『わからないところは飛ばして、適度に

 全部は無理だろ・・・というかこんな問題あったか?』

 

「最後の方であったわ」

 

最後の方の問題なんか解けた覚えがない。

というより、

 

『最後の方なら難しいのだろ!これ出来なかったら致命的なの!?』

 

「これが出来なかったら90点以上は取れないわ」

 

『いや、俺別に90点以上取れなくても良いんだが?』

 

そもそも、俺の頭じゃ90点なんて点数は夢のまた夢で

高すぎる目標は身を滅ぼすと思うわけでして

 

「そんな低い目標でどうするの!

 やるからには高得点は当たり前のこと

 だから今日はスパルタでやるから」

 

『ちょっ、いや!嘘』

 

今だけはマフラーがまるで蛇に見えて、宮瀬の笑顔は悪魔の笑みにしか見えなかった。

 

 

 




Keyです。
今回からあとがきを担当することになりました!
決して押し付けられたわけではありませんよ(笑)

今回は幼馴染みの柏田小豆になります

【挿絵表示】
 

とりあえず自分の担当している挿絵について話します!前回の挿絵と今回の挿絵について見てもわかりますが………かなり色つけが違います!
実はまだ勉強している最中なので色々試しながら描いています

少しずつ試して描いていく予定なので次も変わっているかもしれません。
遠い目でこれからも見てくれたら幸いです


次回についてです!
挿絵は元気いっぱいの美夏を描いていこうと思います。理由はwhiterainさんのお気に入りだからです(笑)
出来るだけ可愛く描いていきたいと思っているので応援よろしくお願いします


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3話 テストー2

おはこんばんちはwhiterainです

誤字やら、呼び方のミスだったりと最近ミスが多く焦ってます。
最近はKeyさんに言われてしまいましたが、美夏がお気に入りで、美夏を書いているときが一番楽しい。
おかげで美夏だけは今後挿絵に口出しを強くしていこうと思ってます!

さて、話を変えてまたFGOの話でも
今回のクリスマス復刻ですが、前にも完全にクリアしてサンタオルタも集めて、礼装も集めた後だとやる気が起きない・・・
ジャックは欲しいけど当たらないしなー
アサシンはクレオパトラいるけど、ジャックめちゃ欲しー

でも、お気に入りはジャンヌ&ジャンヌオルタです
当てれて良かった!

それではテスト編-2も見てやってください


陽詩くん! 陽詩くん!」

 

『小豆・・・?』

 

目を醒ますといつもどおりに起こしに来た小豆の姿。

 

辺りを見渡せば、見慣れた自分の部屋の光景。

俺は一体いつ家に帰ってきたのだろう?

 

覚えてる最後の景色は真っ黒に文字で埋め尽くされたノートだったと思う。

 

「起きた?」

 

『いま何時だ?』

 

「いつも通りの時間だよ?」

 

時刻は7時15分。

家から学校まで20分程度の距離のため、これくらいに起きて朝ご飯を食べれば、十分間に合う時間だ。

 

しかし、勉強したことの記憶が無いのだが・・・

覚えているのが宮瀬のマフラーは蛇だった。

 

『そうか・・・』

 

「ご飯食べて行こう?」

 

『あぁ』

 

朝が弱い俺の為に小豆が頻繁に朝食を作ってくれているが、やっぱり誰かが作ってくれる料理っていうのは

嬉しい物だ。

自分で作れば好きな物が作れるからそっちが良いとか言う人も中には居ると思うけど。

 

『いつも、悪いな』

 

「ううん、私が好きでやってることだから」

 

俺の現実も二次元のような幼なじみがいるが、逆に関係が近すぎて良くわからなくなる。

 

どうせ、考えても答えは出ない。

そう決めつけて、小豆の作ってくれた朝食をかきこむのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「陽詩くん、鍵大丈夫?」

 

『心配性だな、大丈夫だよ』

 

父親は単身赴任で、高校に入るまでは母親が一緒に居たが、高校入学を期に母親は、

 

「小豆ちゃんに生活のことはお願いしたから! 私はお父さんのところへ行ってくるわね!」

 

今でもラブラブで仲のよろしい2人。

春休みのうちに母親はあっという間に準備を終わらせ、怒濤の早さで出て行った。

 

それから

 

『何だかんだで1年経ったんだよな』

 

「そうだね最初は私、陽詩くんが家事出来るなんて知らなかったから私が全部やろうと思ってたのに・・・」

 

そこまで迷惑はかけられません。

それに、中学の入った頃から母親に家事は教え込まれていた。

 

今思うとあれは、自分が父親の元へ行くための布石だったんだと思う。

 

「陽詩、俺気付いちまったんだ」

 

「いきなり影から現れてなんだよ」

 

「おはよう水田君」

 

わざわざ待っていたのかはわからないが、挨拶もなく現れてまで言いたいことは何だろうか

 

「もうすぐテストだろ?」

 

『そうだな・・・だから今日みんなで勉強会するんだ

 お前も来いよ』

 

来たって赤点だから無駄だと思うけど。

 

「何を言ってるんだ陽詩・・・俺は、いや世界のみんなに答えのある人生なんていらないんだよ!」

 

「水田君・・・」

 

「よしてくれ柏田さん、そんな尊敬の眼差しで見ないでくれ」

 

いや、小豆はお前を可哀想な人を見るような目で見ているのであってそこに尊敬や感銘と言った気持ちは欠片も含まれていない。

 

『行こうか小豆』

 

だが、付き合う必要も無いだろう。

 

「良いの?」

 

『あいつはテスト前はいつも変なことを言い出すからな』

 

去年の学期末の時は

 

「俺の真の力はテストごときじゃ、計れないぜ!

 計りたかったら、上皿べんべんを持ってくるんだな!」

 

きっと、上皿天秤のことを言っていたんだと思う。

 

その前のときは

 

「俺が全てをさらけ出してnobodyの心で答えれば自ずと正解は出るんだと気付いてしまったんだ」

 

『お前nobodyの意味知ってるか?』

 

「裸」

 

裸なら、nudeかnakedだしそもそもno bodyで考えても無い身体になる。

 

『He is a mere nobody この英語をお前に送るよ』

 

いま、思い出しても、まともなことを言っていたことは一度として無かったな。

 

 

「だからな、陽詩・・・って聞けよ!」

 

『結果を出したらなー』

 

どうせ無理な話だ。

 

「3人ともおっはよー」

 

『もう1人阿呆が来たか・・・』

 

「美夏ちゃん、おはよ」

 

「美夏ちゃん、ういっす!」

 

「いったい、何の話しをしてたんだい

 私にも話してみなさい」

 

『美夏の大好きなテス「あっ、聞きたくない、やー」おい』

 

テストの言葉を聞いたら、耳を手で被って、イヤイヤと顔を振る。

 

今のやーにちょっと萌えたのはここだけの話し。

 

 

「美夏ちゃん、赤点はちゃんとやらないと駄目だよ?」

 

「やー・・・」

 

「きゃー!!可愛いです!」

 

『絵里香!?』

 

どっからか湧いてきた絵里香がやーとイヤイヤと顔を振っている美夏に抱きつく。

そのままの姿勢で頬を美夏にスリスリして頭をなで回している。

 

「久々に見たな、絵里香の可愛いもの好きは」

 

『お前も何事もなかったかのように現れたな』

 

「おう!正紀」

 

「絵里香が来たのに、俺が来ないわけ無いだろう?」

 

毎日、朝一緒に登校しているのは知ってたけど・・・

登校時間が違うため、あんまり会うことは無い。

 

 

『今日、お前らにしては遅いんじゃないか?』

 

「そんな日もあるというか・・・絵里香の気まぐれというかな」

 

「勘だな!?」

 

勘に直結させるアホは放っておくとして、ああなった絵里香はどう止めるのだろうか?

今も、美夏を抱きしめて撫で回している。

 

美夏の顔をだんだん蕩けていっている気がするのだが・・・

 

「絵里香ちゃん、そろそろ解放してあげた方が・・・」

 

「ほわー」

 

小豆の声も聞く耳無しだな。

こういう意味では専門家がいるのは困らなくて良い。

 

「仕方ないな・・・こういう時の対処法を教えてやろう」

 

そういうと正紀は絵里香へと近づいていき、絵里香の頭に手を振り上げた。

 

「右斜め45°で振り下ろす」

 

頭にカツンと、音をさせ絵里香の頭が少し震える。

 

『ブラウン管のテレビかよ!』

 

「うむ、良い感じのチョップだった」

 

「あっ! 私、お恥ずかしいですぅぅぅぅーー」

 

正気に戻った絵里香が顔を赤くして、走り去った。

 

「このように、正気に戻ると絵里香は羞恥心に耐えきれず走り去る」

 

「追いかけなくてもいいの?」

 

「追いかけるさ! 待てー! 俺はそんな絵里香も大好きだーー!」

 

絵里香を追いかけて、正紀も走っていった。

残されたのは、蕩けきった美夏と、いつも通りのミスター、困惑した表情の小豆と俺。

 

『・・・俺らも、行くか』

 

「そう・・だね」

 

「えへへへ・・・」

 

「美夏ちゃん、ちょっと可愛かったな?」

 

『・・・ちょっと』

 

美夏の腕を引っ張って、学園へ向かう。

朝から、とても刺激的な出来事だったと思う。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『おかしい、記憶には残ってないのに何でかわかる』

 

午前中のお勤めが終わって、得た感想はこれの一言だった。

さすがに、2年も始まったばかりでテストを目前に控えたときに授業を進めることはなく

足掻けとばかりにテスト範囲の見直しと自習の時間をくれた。

 

宮瀬に教わった記憶はあるが、どんなことをやったのかも記憶になく、気付いたときは

自分のベッドだった。

 

なのに、自習用に配ってくれたプリントの問題がスラスラと解けるのである。

 

「陽詩ー、飯食いに行こうぜ」

 

『あいよー、正紀はいつも通りか?』

 

「多分な」

 

正紀は俺らと食うときもあるが、基本的に絵里香と昼食を取ることの方が多い。

それに今は進級して絵里香は同じクラスに知り合いがほとんど居ないと言っていたし、

絵里香に気を遣った正紀がすぐに迎えにいったのだろう。

 

『屋上で良いんだろ?』

 

「小豆ちゃんは良いのか?」

 

『今日はクラスの人と食うってさ

 誰かは聞いてないけど』

 

まだ、クラスの名前を覚えてないから聞いても顔が一致するかもわからん。

どうせ、美夏も一緒に行っているんだと思うし。

 

教室を出ながら、屋上を目指す。

 

「待ってー! 私を置いてかないでー!」

 

後ろから、叫びながら走ってくる声を、自分たちに関係ないと歩いていると

息を切らした相手に腕を掴まれる。

掴んだ相手を見れば掴む手と逆に弁当を持った美夏。

 

「だから、待ってって、言ってるじゃん」

 

ハァハァと息を整えながら、文句を言ってくる美夏だが、何故ここにいるのか?

 

「美夏ちゃん、どうしたんだ?」

 

「授業中から寝てて、気付いたら小豆ちゃんはいないし、陽詩達も私を置いて出で行ったし。

 弁当持って教室出たら陽詩達がまだ見えたから走って追いかけてきたの」

 

『あれ、教室にいたのか?』

 

小豆と一緒にどこかに行っていると思っていたものだから、教室なんてわざわざ確認していない。

美夏、ハブにされたのかな?

いや、こいつに限ってそんなことないか。

寝てたから誘うことなく置いていかれたとかそんなオチだろう。

ある意味、起こしてもらえないあたりは不憫かもしれん。

 

「居たよ!とにかく私も一緒に行くから」

 

『別に、断りやしないって』

 

「ワルコメだ!」

 

『?』

 

ミスターが無理して英語を言おうとすれば、基本的に間違っている。

発音とかそんな次元ではない。

 

ワルコメ・・・話しの流れからして意味的に歓迎する的な感じだろう。

 

「ミスター君、それは私にも意味がわからない」

 

美夏以上のバカだったかミスター。

 

『多分、Welcomeと言いたかったんだろ?』

 

「Welcomeも私にはわからないよ?」

 

美夏≧ミスター

恐らく大した差は無いと思う。

 

『美夏、ごめんな・・・』

 

「可哀想なものを見る目で見られてる!?」

 

実際、可哀想な子だと思う。

何で、この2人が本当に入学できたのだろうか?

学校の七不思議に取り上げて欲しい。

 

七不思議知らないけど・・・

 

『まぁ、2人の頭の悪さは今更だからな』

 

そうこう2人の頭の出来についてはなしているうちに屋上に出る。

 

「さて、飯だ飯」

 

「陽詩はまた小豆ちゃんに作ってもらってるの?」

 

『ん?たまにな、最近は結構俺も作ってるぞ』

 

小豆は1人分増えたところであんまり手間は変わらないから毎日でも作るとは言ってくれているが

自分でも料理出来るようになったのにそこまでお願いは出来ない。

 

そう言うなら、いつも作れって?

それは言わない話しである。

 

「羨ましいねー、俺も誰か可愛い女の子作ってくれないかなー」

 

「あははは、ミスター君じゃ無理無理!」

 

『ミスターが作ってもらうには金を積むしか・・・』

 

「俺のこの魅力が伝わらないのだろうか?」

 

「本気で言ってるなら、ちょっと女の子をバカにしすぎだよー」

 

美夏の言葉が辛辣すぎる。

これを笑顔で言うんだから天然は怖い。

 

『美夏が作ってやれば良いんじゃないか?』

 

美夏の弁当を見れば、彩り鮮やかでとても美味しそうに見える女の子らしいものだ。

美夏との友達付き合いはあんまり女の子とって感じがしない。

男友達とまではいかないが、ほとんどそっちよりだ。

 

見た目は可愛い女の子なのだが、付き合いやすいのは良いことなのか悪いことなのか

 

「えぇー、ミスター君に? それは面倒くさいかな」

 

『ミスター、今こそ金を積めば』

 

「そこまでしないわ!」

 

「私は結構高いよ?」

 

「だからしないって」

 

『「えー」』

 

こんな昼休みの中でのバカ騒ぎが楽しく、このままでも良いかなと思ってしまった。

 

だがそんなわけがなく、この日の放課後から少しずつ俺の日常は浸食されていくのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「悠木さん、テストは大丈夫そうですか?」

 

『あぁ、宮瀬か・・・大丈夫そうだ』

 

HRが終わってすぐに宮瀬は話しかけてきた。

宮瀬の素を知ってしまったがためか、今の状態に違和感しか感じなくなってしまった。

 

「そうですね、でももう少し頑張ればだいぶ良いとこまでいけるのではないでしょうか?」

 

『・・・・・・』

 

「・・・・・・」

 

こいつはまだ俺に勉強をさせようというのか?

今の状態でも、俺にしては十分な高得点が取れるはず。

それが、天下の優等生の宮瀬祈さんに受け入れてもらえる点数かは別として。

 

「陽詩、勉強会やるんだろ? そろそろ行くぞ?」

 

「陽詩の家でやるんだから、陽詩が帰らないと始まらないじゃないか?

 俺としては始まる必要も感じてないんだが」

 

『俺の家?』

 

勉強会をやると言っていたが、場所なんて聞いてなかったけど、てっきり学校とか図書館とかの公共施設か

ファミレスとかでやると思っていた。

 

というか、何も聞いてない。

 

「柏田から聞いてないのか?」

 

「あれ?美夏ちゃんが陽詩くんに許可取ったって言ってたからてっきり・・・」

 

『美夏?』

 

主犯であろう美夏の方を見ると、

 

「ふー、ひゅー」

 

吹けない口笛を吹いて、顔を逸らす美夏の姿がある。

 

『美夏?』

 

「だって、陽詩の家なら、気兼ねなく出来ると思ったから」

 

確かに、今の俺の家なら誰もいないし、自由に勉強会とかも出来る。

だが、それは正紀や絵里香の家でも変わらない。

 

正紀と絵里香は家がでかいから、只単に部屋がいっぱいあってやる場所には困らないという意味だが。

しかし、美夏がそんなことを真剣に考えていると思えない。

 

どこにでもすぐに馴染んでいくのが美夏の良いとこなんだから。

 

『で、本音は?』

 

「陽詩が昨日来ないから、小豆ちゃんに苛められたから、その仕返しに・・・はっ」

 

『くだらなっ!』

 

「私、別に苛めてないよ!?」

 

「皆さん、仲が良ろしいんですね」

 

ブーブーブー

半ば、空気になっていた宮瀬が話すと同時にポケットのスマホが震える。

 

とりあえず、緊急の用件ではないと思うが、気付いたのに見ない理由もないため、ポケットから取り出す。

 

[私もその勉強会参加させて貰うから、貴方から誘って?

 私はまだ、悠木の出来に納得してないから]

 

地獄からの誘い?しかも俺から声をかけろと?

しないと、何をされるかもわからないし、昨日覚えてないとはいえお世話になった手前無碍にも出来ない。

また、記憶を失うのかなー

 

『まぁな・・・あぁ、ところで、その、何だ・・・宮瀬も一緒に勉強しないか?』

 

「えっ? 良いんですか」

 

白々しい宮瀬の態度に、面倒くさいキャラだなと思う。

 

『優等生の宮瀬さんに、教えてもらえれば俺らもだいぶマシになるんじゃないかなと!』

 

最後はやけだったと思う。

 

「良いんじゃないか?そうすれば、俺らも勉強出来るし」

 

「俺もお世話されてーぜ!」

 

「ミスター君の相手は決まってるでしょ?」

 

『あぁ、お前に教えるのは正紀だ、そして美夏の相手も決まってるぞ』

 

「美夏ちゃん、一緒に頑張ろうね!」

 

定例って怖いと思う。

ミスターに教えるのは、正紀。

美夏に教えるのは小豆。

 

正紀の教え方も、小豆の教え方も段々と洗練されたものになってきていると思う。

俺は、ここまでバカではないため、困ったら絵里香に聞く程度だ。

 

『とりあえず、反対する人はいないな?』

 

若干、居てくれと思ってしまうのは俺が宮瀬に対して苦手意識でも持っていると言うことなのだろうか?

だが、宮瀬の参加に反対する者は居なく、参加は決定した。

 

「皆さんありがとうございます、悠木さんもお誘いいただいて」

 

『いやいや、別に・・良いって』

 

本当に何でこうなったんだろう

 

 

 

 




こんにちはKeyです!今回もまたあとがきを書かせていただきます!


【挿絵表示】

今回は前回の後書き通り、江崎美夏ちゃんになります

このところ忙しいせいか挿絵の方が思うように進みません……まだ全然出していないのに(T-T)
このサイトでpixivの方も紹介させていただきましたがそちらの方も全然更新出来ていません。ダメですね………

前回の挿絵と今回の挿絵は見ていただけたでしょうか?また少し色つけが変わってしまいましたね、すいません!ちょっとずつでも良いほうに変わっていけるように頑張っていきます!

では次の作品についてです。次は上品なお嬢様キャラの絵里香を描かせてもらいます!絵里香と一緒に新キャラも描かせていただきます!どこかにいるので頑張って見つけてください!お願いします!笑
それでは皆様また次の作品で会いましょう!!」


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4話 テストー3

どーもwhiterainです

この物語の進まない感
無駄に引っ張ってる?
そんなことはありませんよ・・・・

今回のkeyさんの挿絵に出てくる謎な生物。
あれを自分には可愛いと思えないぜ・・・

更に、私とkeyさんの打ち合わせミス?というわけではありませんが今回の話しに
登場しません!。
次話には出てくるかと・・・(^_^;)




帰り道、勉強会のために7人で俺の家に向かう。

 

俺、小豆、ミスター、美夏、正紀、絵里香はよくあることとまではいかないが割と俺の家に来たりも

するから、違和感は無い。

 

しかし、ここに才色兼備の猫を被った少女たる宮瀬 祈が混ざるだけで違和感しか生まれない。

 

『どうしてこうなったかねー』

 

思わず、ため息をつきたくなる。

 

「陽詩さん、ため息ばかりついてると幸せが逃げますよ?」

 

『そう言われてもな・・・』

 

今は、これからの勉強会を無事に乗り切ることしか考えてない。

 

「これを期に正紀から逃げ切ってみせるぜ!」

 

「何を言っているんだか・・・お前のパートナーは、お前の相手は俺だろ?」

 

ヤレヤレとミスターの肩に腕を回す正紀。

たまに正紀に危ない雰囲気を感じさせる。

 

『なぁ、絵里香』

 

「はい、何ですか?」

 

『正紀って、そのアッチっていうか、絵里香のことも大事にしているからそれは違うと思うけど

 どっちでもいけるってことはないよね?』

 

 

「あっち?どっちでも?あっちやどっちでもと言われましてもどの方角でしょうか?」

 

頭に?がいっぱい見える。

お嬢様というかたまに暴走するらしいが、純粋で心が綺麗な人を地でいく絵里香には通じなかったか

 

「あはは絵里香ちゃん、陽詩は正紀がホモなのか、バイなのか聞いてるんだよー」

 

『お前、直接的に言うやつがあるかよ!』

 

自分の婚約者は男が良いですor男も行けます。

俺なら、即婚約解消レベルだ。

 

「ホモというと男性同士で・・・って無いです無いです!私はそう信じてます!正紀さんが男性が好きなんて」

 

『あっ、絵里香声がデカい!』

 

「あちゃー、今のは間違いなく聞こえちゃったね」

 

絵里香の思わずでた大きな声は、ミスターと戯れていた正紀の耳にも届き、正紀は凄い形相でこっちを見ている。

訂正、睨んでいる。

ついでに、正紀に肩を組まれていたミスターの顔も腕が首に回って絞まり凄いことになっている。

 

「ひ・な・た!?」

 

ミスターをそのまま、横にポーンと投げ、そのままミスターが無様に倒れ伏す。

そのミスターを放置して、近づいてくる。

威圧感やべー!

 

『いや、お前が頻繁に怪しい言動を取るから悪いんだろ!?』

 

なぁ、美夏と言ってそっちを見れば、

 

「陽詩、そんな事言ったら失礼じゃない、駄目だよ?」

 

『お前はこっち側だ!』

 

さっきまで正紀がミスターにやっていたように美夏の首に腕を回して引き寄せる。

 

「きゃー、陽詩のエッチー!」

 

『適当な声音で言ってんじゃねー!』

 

「安心しろ、俺は男女平等主義だ」

 

『「あっ」』

 

美夏とそんなやりとりをしているうちに正紀は目のまで腕を組んで立っていた。

 

「あはは・・・」

 

『逃げるタイミングを見失ったな・・・

 仕方ない、正紀・・男女平等主義と言ったが、男としてやはり守らなければならない一線はあるだろう?』

 

「ほう、遺言か?聞いてやろう」

 

このわずかな時間、チャンスを俺はつかみ取る。

 

『男として、手を出してはならない存在とはどんな存在か?

 守らなければならない物とは何か?

 何が言いたいかと言うとだな・・・やるなら1人にしろ?』

 

「陽詩・・・何だかんだとやっぱり」

 

俺の腕の中に捕まっている美夏に目を向けてから、もう一度正紀に目を向け、

 

『やるなら、やるなら美夏だけにして俺は助けてやってくれないか?』

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

冷たい視線が突き刺さる。

様子を伺っていた絵里香や、さっきまでこっちを見ていなかった小豆と宮瀬までがこっちを見てドン引きしていた。

 

「きっと言い間違えたのだろう?

 特別にもう一度だけ言わせてやろう」

 

「陽詩、もう間違えないでよ?」

 

確かにさっきのは間違えたのかも知れない。

頭の中でしっかりと整理して、深呼吸をして、心を落ち着かせてもう一度

 

『俺ではなく、美夏だけをやるんだ!』

 

「・・・・・・」

 

「陽詩・・・お前は美夏を助けて、自分が責任を取るんじゃないのか?」

 

『何を言ってるんだ・・・俺は痛いのが嫌いだ』

 

「私だって嫌いだよ!」

 

『大丈夫・・・美夏は痛い子だから』

 

「陽詩くん、さすがにそれは・・・」

 

「だから、お前に彼女が出来ないんだよ・・・」

 

うるせぇ、今更お前らに気をつかってどうするんだって話しだ。

 

「なんか、殴る気が無くなったな」

 

何か、冷ややかな目が止まらないし、未だ腕の中にいる美夏も固まっている。

 

とりあえず、助かったのだから良しとしよう。

 

『やったな美夏、俺たちの友情の勝利だ!』

 

「そんなわけ無いでしょバカ!」

 

『痛っ!』

 

腕を振りほどかれ、貰ったのはスナップの効いた良いビンタだった。

 

『ふふ、良いビンタだ・・・これなら世界を狙えるだろう

 だが、こんなんじゃまだまだ俺は止められんぞ!

 さぁ、俺にお前の気持ちをぶつけてみろ!』

 

「陽詩さん、せめて起き上がってから言ったらどうでしょう?」

 

「今のお前、スゲー格好悪いぞ」

 

『うるせ・・・』

素で返してくれる絵里香と呆れる正紀。

未だ、プリプリ怒ってる美夏の方を恥ずかしくて見ていられなくなり

横を見れば、静かなミスターが横たわっていた。

どおりで、声が聞こえないわけだ。

 

『こいつ、まだ復活してなかったのか』

 

安らかな顔して眠ってやがる。

とりあえず、ポケットに入っていたペンで落書きをしておく。

 

これが、俺の精一杯だ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「いつも、こんな感じなんですか?」

 

私は、今まで悠木たちのやりとりを見て、隣にいる柏田さんに尋ねた。

 

「あはは・・・お恥ずかしいところを見せました」

 

小豆さんは言葉とは裏腹にそれは楽しそうな顔で私にそう言った。

 

「でも、楽しそうですね・・・羨ましいです」

 

最後の声は思わず小さく漏れ出たものだった。

私にはあんな風にバカをやれる友達はいない。

 

私にもありのままで居られる友達が出来るのだろうか?

いや、ありのままを見せればきっとまた嫌な思いをすることになる。

私はもうあんな思いはしたくない。

 

「えっ、最後なんて言ったんですか?」

 

「いえ、何でも無いですよ」

 

私は完璧な優等生。

このキャラを崩すわけにはいかない。

じゃないと、思わずボロが出てしまう。

 

「悠木さんの家は遠いんですか?」

 

「ここまで来たらそんなに遠くも無いですよ、もうすぐ見えてきますから」

 

「そういえば、悠木さんと幼なじみ何ですよね

 ということはやっぱり家も近所なんですか?」

 

「はい! 陽詩くんの隣が私の家です」

 

「ふふ、陽詩さんの話しをするときは、柏田さんも嬉しそうですね」

 

「そ、そんなこと無いですよ・・・」

 

そうは良いつつも、顔を赤くして可愛らしい。

 

「そう言えば、宮瀬さんは陽詩くんと春休みに会いました?」

 

「!!?」

 

聞かれたことに嫌な想像が広がってしまう。

もしかして、既に知られてしまっていたの?

あいつは私との約束を破っていたの?

 

思わず、悠木の方を思い切り睨み付けてしまった。

そうしてから、ハッと今の状況を思い出す。

 

私はあんな表情を表に出してはならない、それにまだバレた決まったわけじゃないわ。

 

「確かに会いましたけど、悠木さん何か言ってましたか?」

 

「ううん、ただ陽詩くんは宮瀬さんのことを知らなかったみたいだから

 マフラーを着けた女の子を知ってるか聞かれたの」

 

私の名前を知らなかったということは、この話しがされたのは新学期が始まる前ってこと。

でもそれじゃ、責められない。

いや今、肝心なのは悠木が誰かに話したのかどうかという一点だけだわ。

 

「そうなんですか・・・あら、ちょっとすいません」

 

そう言ってスマホを取り出す。

送り先は一択だ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『もう、そんなに怒らなくても良いじゃん』

 

「陽詩にはこの私の傷ついた乙女心がわからないんだよ」

 

「美夏は乙女か?」

 

「乙女よ!」

 

「何でか横腹が猛烈に痛い・・・悪いな正紀」

 

「なに、どうということはない」

 

どうにか復活し起き上がって、ミスターも脇腹を抑えながらその原因の人物に支えられて歩いている。

顔の落書きは消えることなく、残っていた。

 

はは、どうしようやばいな

ミスターの顔に油性で書いちまった。

 

まぁ、ミスターなら良いか?

いや、大丈夫大丈夫、ミスター以外なら問題だけどミスターなら大丈夫だ。

きっと、ミスターなら許してくれるさ。

それよりも問題は、美夏が未だに、プリプリしながら歩いているということ。

それでもこの場から立ち去らない辺り本気でという訳でもないだろう。

 

『いや、さすがに巫山戯すぎたのは謝るからさ・・・ん?』

 

最近、鳴るとあまり良い思いが無いスマホを取り出す。

 

まぁ、さすがにこんな至近距離で送ってくるわけが・・・あったぜ

 

[いっぺん、死んでみる?]

 

『怖っ!!』

 

「どうしたんだ陽詩?」

 

『い、いや悪い何でもない』

 

スマホから、目を離す。

これはきっとどこかの地獄少女から間違って届いてしまったのだろう。

そういや、送り主の名前も見間違ったのかも知れない。

 

もう一度恐る恐る見てみれば

 

宮瀬 祈

[いっぺん、死んでみる?]

 

『・・・・・・』

 

何も変わらなかった。

 

え、マジで何もしてないと思う。

ちょっと、ああやって巫山戯たのすら認めて貰えないの?

 

悠木陽詩

[わたくしめが何かしたでしょうか?]

 

送り返したあと、宮瀬を見れば、スマホを持ったままこちらを見ていた。

 

宮瀬 祈

[急ぎ、聞きたいことがあるの

 あなた、柏田さんに私のこと話したかしら?]

 

宮瀬のことを小豆に?

そんなことを話した記憶は無いな。

わざわざ話すような事でもないし、リスクが高すぎる。

 

悠木陽詩

[別に話した記憶はねーな

 いや、初めて会ったときにマフラー少女を知ってるかって聞いた気はする]

 

打ち込んでて思い出す。

でもあれは、宮瀬と約束する前の話だからセーフだと思う。

 

宮瀬 祈

[後で詳しく聞くわ]

 

悠木陽詩

[危ないことは何も言ってないので、是非お手柔らかにお願いします]

 

マジで宮瀬信じて無いんじゃないかな?

これ、俺このあとの勉強会大丈夫か

いや、初めから大丈夫な要素はあんまり無いんだけど

 

「何かあったか?」

 

『うん?別に大したことはねーよ・・・はは』

 

ただ、この先の勉強会が更に憂鬱になりそうなだけのこと。

 

「美少女からか!?」

 

『お前は欲望に素直過ぎなんだよ!』

 

「大丈夫だ、俺は一途だからな美少女に」

 

『いや、そういう話しじゃねーよ

 つーか、括りが大きいわ!』

 

エロスで阿呆。

この点が無くなれば、いや阿呆でもこの欲望に素直過ぎるところだけ無くなればこいつなら

彼女出来ると思うんだが

いや、出来ても阿呆過ぎてすぐ別れるか。

 

『くそっ、そんなこと言ってるうちに帰って来てしまったか・・・』

 

「陽詩くん」

 

『ん?いま開けるけどどうした?』

 

俺が開けなくても小豆もうちの母親から合い鍵をもらってるから開けれるのだが。

 

 

「私、教科書とか足りないだろうから一度取りに戻るね」

 

『あぁ、今日の授業あったやつは持ってるけど、残りの教科に関しては無いもんな』

 

俺の分しかない。

他の面子を考えても、持っていそうなのは宮瀬と絵里香くらいだろう。

ミスターと美夏は言うまでもなく、正紀も無駄なものは持つタイプじゃない。

 

『そしたら、小豆が来るまで待ってるよ』

 

「うん、すぐに戻るから」

 

そう言って小豆は隣の家に走っていく。

 

『さて、明日に向けて頑張る準備は出来たか?』

 

鍵を開ける前に確認する。

 

正紀、絵里香、宮瀬はすぐに頷く。

 

駄目な子2人は

 

「「無理!」」

 

『あ、お疲れ様でした』

 

鍵を素早く開け、3人を家に押し込みドアを閉める。

 

「ちょっと待ってー!!」

 

「俺をのけ者にするなー!」

 

『いや、どうせしないなら良いじゃん』

 

今更語る話だが、この2人が来ると食費がかさむ。

そして、絵里香と正紀が来ると逆にお金が増える。

 

この4人が来ると収支は0になる。

 

「あの、良いんですか?」

 

そのままリビングに入ってきた俺に宮瀬が問いかける。

 

『大丈夫だ、どうせ少しすれば小豆が開けてくれるだろうから』

 

「柏田が来るまで、どうせやらないしな」

 

『そういうこと、始まるまでのしばしの休憩を楽しんでくれ

 俺は飲み物とお菓子でも持ってくるさ』

 

「あっ、私も手伝います」

 

『じゃあ、お願いするわ』

 

小豆が来るまで、10分くらいはあると思うから。

その間に準備できたら上出来だろう。

 

『正紀は机出しといてくれよ』

 

「言われなくてもわかってる、何度来てると思ってる?」

 

「あの、私に手伝うことは?」

 

『おっと、宮瀬は待っててくれ

 今日が初めてのお客様だ』

 

他の奴らは良く来るから手伝わせても良いだろう。

 

さぁ、テストに向けた勉強会を始めよう!




こんにちはKeyです!この頃寒くて布団から出るのがつらいです……

前回のあとがきに書いたとおり新キャラも追加させてもらいました!可愛いもの好きということでぬいぐるみっぽい生き物を描きました!何かに似ているのは気のせいですよ〜!笑


【挿絵表示】


次回の挿絵については特に決まっていません!それ以前に次回に間に合うかどうかわかりません……あとがきだけ書く事にならないようにしたいです
それでは皆さんまた会いましょう!


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5話 テストー4

おはようございますそしてこんにちはさらにはこんばんは
時間に応じた挨拶をwhiterainです。

さて、5話目です。
前書きでは書くことがあまり浮かばないのですが・・・

22日のソロモンまで時間が空くので今の内に頑張ろうかと
マーリンの性能はヤバイ!

ソシャゲも良いけどちゃんと書けと忙しなく働くKeyに言われていますが。
私が言うのも変なところですが、今回のKeyの絵はなかなか良い感じだと思います。
私はこの祈の方が好きです。

このちょっと早いメリークリスマス。
私はこれを見てクリスマス短編を書こうと思いました!
何とか25日までに間に合わすのでよろしくお願いします。
まだ挿絵が出てない前書きで言うのも変ですが・・・

あっ、クリスマスの話しは本編とは全く関係無いところになりますのでご注意を。



「まさか、本当に入れてくれないなんて!」

 

『こうやって、小豆に入れて貰ったじゃないか?』

 

入ってきて早々頬を膨らませ抗議する美夏に、準備した机の近くに座り呆れ顔で返す。

さっきまでの美夏への気遣い?忘れましたね。

 

「あはは・・・」

 

小豆も苦笑してその光景を見ている。

いや、美夏を見ての苦笑いというよりは別のものを見ての方が正しいかも知れない。

 

ちなみに文句を言いそうなミスターはどうしたかというと?

入ってきて早々案の定うるさそうだったので、口を開いた瞬間に俺と正紀のダブルアタックが炸裂し

再び地面に沈んだ。

 

顔が見せられないよ!と入りそうな顔をしているが、ゴキブリ並の生命力なのですぐ回復するだろう。

 

「そういえば、絵里香ちゃんはどうしたの?」

 

小豆の言うとおりここには俺、正紀、宮瀬の3人しか、待っていない。

 

『あぁ、絵里香はその・・・何だ・・・なぁ』

 

「うむ、陽詩の部屋で大人しくしていることだろう」

 

「あんな松木さんは初めて見ました・・・」

 

「何があったんだ?」

 

『復活はや!』

 

さっき沈ませたばかりのミスターはもう復活していた。

そして、恐いのはいつの間にか顔に書いた落書きも消えていたこと・・・

 

「何のことだ?」

 

『忘れてるのかよ・・・まぁいいや』

 

気にしないに限る、そんなことより今の話しは絵里香についてだ。

まぁそんなに、難しい話しじゃないんだが。

それに、むしろつい最近見た光景だ。

 

『いや、ちょっと見に行こうか』

 

後組、3人を連れて2階にある俺の部屋に向かう。

 

『まぁ、見ての通りだ』

 

「はわー、幸せですー・・・はふぅ」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・またか」

 

「ぬこくん?」

 

絵里香は部屋で椅子に座り、大きいネコのようなぬいぐるみを膝に乗せたまま抱きしめて恍惚の表情を

浮かべていた。

ぬこくんというらしいあのデカいぬいぐるみは中学のときの誕生日プレゼントに小豆からもらった物。

さすがに、ぬいぐるみを貰って喜ぶ年でもなかったため、嬉しさより恥ずかしさの方が上回った。

そんなぬいぐるみは部屋の片隅でその存在感を顕していたが、勉強道具を取りに行った際に絵里香が見てしまった。

 

そのあとはみんなが想像通りの展開だ。

 

「可愛いですー!!」

 

絵里香がぬいぐるみに飛びついていき、そのぬいぐるみを抱きしめたまま俺の部屋にある椅子に座った。

 

「でも、杉谷くんならすぐに元の絵里香ちゃんに戻せたんじゃないの?」

 

そう、それは俺らも提案し、実行しようとした。

 

「いや、絵里香が可愛い物好きってのはこの状態を見たらわかると思うが、

 まぁ、1つに絵里香が幸せそうな顔してるからやりにくいってのもあるんだが

 何だかんだと。しばらくこうさせておくと絵里香の機嫌がもの凄く良くなるんだ」

 

そんなことを聞かされてしまえば、強制することも出来ず、とりあえず小豆達が来るまではこののままに

しておこうとなったわけだ。

 

「でも、絵里香ちゃん起こさないで勉強会初めて良いの?

 いや、私は勉強会しなくても良いんだけど・・・」

 

「美夏ちゃん?」

 

『今は良いだろ小豆、どうせ美夏も強制的にやるわけだし』

 

それに逃げたところで待つのは美夏の放課後を返上した楽しい補習が待っているだけだ。

 

「どうするんだ?松木さん抜きでやるのか?」

 

「さすがに松木さんをこのまま放置して初めてしまうのは可哀想ではないでしょうか?」

 

宮瀬の意見には俺も同意見だ。

このまま、絵里香のことを放置してやるのは申し訳ないと思うし、それ以上に俺の部屋に本人不在のまま

長時間いられるのは俺の精神衛生上良くない。

いや、何か隠している物があるわけじゃないけど・・・本当だよ?

 

「絵里香も仲間はずれはイヤだろうから、さすがに戻そう・・・」

 

正紀は神妙な顔持ちで、俺らの方に目もくれずに未だぬいぐるみを抱きしめる絵里香に近付いていく。

 

『・・・ふふっ』

 

「陽詩くん?」

 

『いや・・何でも』

 

あの神妙な顔つきで近付いて言って右斜め45°に叩くと思うと、なんか滑稽で笑えてくる。

 

正紀は絵里香に近付いていき

 

「絵里香、勉強会の時間だよ」

 

想像と違って、正紀は絵里香を抱きしめた。

 

『チョップじゃねーのかよ!?』

 

「うわー・・・」

 

「正紀・・・大胆」

 

女子2人は顔を赤くしてその様子を見ていた。

初心で可愛らしいことです。

宮瀬の表情は変わっていないが、こういう光景に慣れている・・・いやオタクだからか。

漫画やアニメで見てるのもリアルで見るのもあまり変わらないってことかな。

 

それより、

 

「うらやましい!なぁ陽詩!?」

 

こっちのバカの方がうるさい。

 

『ええい、正紀この状況をどうにかしろー!』

 

「はっ、私はまた・・・って正紀さん? 恥ずかしいです・・・」

 

正気に戻った絵里香は今の自分の状況を理解すると恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして固まった。

 

「戻ったな・・・」

 

そう言って正紀は抱きしめていた絵里香を離した。

 

『戻ったな・・・じゃないわ!この状況を回収しろよ』

 

「ん?と言われてもな仕方ないだろう?

 チョップで戻せば、絵里香は恥ずかしさのあまりに逃げてしまうからな

 それに、この状況はおもし・・・いや、こんな状況になるとは思ってなかったんだ」

 

『いま、こいつ途中で本音漏らしやがった!』

 

「なんのことやら・・」

 

こうして、この状況を回収した時には家に着いて1時間は経過していた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

時間も無しと言うことで早急に勉強をすることになった。

正紀はいつも通りミスターのお世話。

小豆は美夏のお世話。

 

俺と絵里香は自分でやってわからなくなったら聞いたりしてお互いに勉強していた。

 

今までは・・・

 

「何で、わからないのよ?」

 

『すまん・・・』

 

「悠木さん、ここはですね」

 

俺はまた宮瀬のお世話になっていた。

基本俺らの勉強会はバカ同士で邪魔をしないようにテーブルを3つ用意して少し離して勉強している。

それが仇となった・・・

 

少し離れていれば大きな声で話さなければ聞こえることはない。

それがために、

 

宮瀬さん・・・本性出てます。

 

だけど、声を出さないと不思議がられるため教えるときだけ猫を被る。

 

『どうせなら、今回はずっと猫を被っていてもらえませんか?』

 

「無理よ」

 

『ですよねー』

 

わかっていたさ、そんなことくらい。

いや、落ち着け・・・

とりあえず、人の不幸は蜜の味じゃないけど、他のバカ2人を見て自分はまだマシだと思うしかない。

 

宮瀬に言われたとおりに勉強しているフリをしながら

 

とりあえずは美夏の方から・・・

 

「美夏ちゃん、何でこうなるの?」

 

「あれー・・・・」

 

「とりあえず、リラックスしてみましょう?」

 

頭の上でヒヨコがピヨピヨしている美夏を見ると安心するぜ!

 

「美夏ちゃん、リラックスも含めて九九を言ってみよ?

 簡単でも考えれば頭は活性化するから」

 

「九九かぁ、それくらい簡単だよ」

 

そりゃ、九九言えない高校生が居たらさすがに驚きだ。

 

1の段をなんなくクリアして、2の段に入ると異常は起きた。

 

「にいちがに、にぃにぃが死、にいさんがろくでもない、妊娠発覚」

 

何か、変なのが続いた気がする。

いや、きっと離れて聞いてるから変に聞こえただけだ。

 

「肉重要、3×1が3、3×2が6・・・サザンクロス、三枝が師匠、産後駐屯」

 

「えっと・・・あれ」

 

「これはどうしましょ・・・」

 

何か、小豆と絵里香も戸惑っているように見えるけど、これもきっと気のせい。

横の宮瀬も笑いを堪えて、俺と同じ方向を見ているけど気のせいだ。

 

「新一が死、死人が八、資産は銃に、四肢注目、死期移住」

 

『物騒すぎるわ・・・』

 

「良く浮かぶわ」

 

「美夏さん、その九九?はなんですか??」

 

「私のオリジナル!・・・と言いたいけどどっかの生徒会の会長が言ってた!」

 

「美夏ちゃん、真面目にやりましょうね?」

 

「はい・・・・」

 

勉強会の度にあの小豆の怖い笑顔を美夏は見ている気がする。

 

「悠木さん、私たちも少し休みましょう?」

 

『それは嬉しいけど・・・どうした?』

 

「ふふ、あっちも見てみると面白そうよ?」

 

宮瀬が指した方向は正紀とミスターの方の机。

 

「さぁ、どうした!この程度も解けなくてテスト後の恋など掴めると思っているのかぁ!」

 

正紀が情熱的に叫んでいた。

むしろ、見なくても響いていた。

 

「くそっ、俺は未来(モテモテハーレム)を掴むんだぁぁ!」

 

「じゃあ、次の問題だ」

 

「こいやー!」

 

「これは何大陸だ?」

 

地球儀を掲げ、ある一部分を差す正紀。

 

あれは・・・オーストラリアか。

 

「ムー大陸!」

 

 

伝説の大陸は普通に地球儀にあったようだ。

日本から南にあるユーカリの毒で大人しいコアラさん達の住処がムー大陸のようだ。

 

「位置だけ考えれば強ち間違ってないのよ」

 

『えっ?』

 

「1万2000年前に存在したとされるムー大陸だけど、あったとされるのは太平洋よ

 オーストラリアより大きいし、位置はもう少し東だったはずだけど」

 

『マジかよ・・・宮瀬も良く知ってるな』

 

「ちょっと・・・気になったから調べたの」

 

目を逸らして、顔を赤くした宮瀬。

恐らく、宮瀬の気になった理由ってのは歴史とかを学んだときの過程ではないだろう。

 

それだけは自信がある。

 

「とりあえず、これはムー大陸じゃないということだけはわかったな!

 次だ、ここは?」

 

南極である。

ちなみに南極は大陸だが、北極は大陸では無い。

それはみんな(ミスターと美夏除く)も知ってるよね?

 

北極は極一部の大陸があるだけで、ほとんど海の上の氷で出来ている。

それと違い南極は大陸の上に氷があって、氷床と呼ばれている。

以上、悠木陽詩の知らないとミスターな雑学でした。

 

まだ、ミスターも答えていない?

もしかしたら正解するかも知れない?

 

「ペンギンの国!」

 

そんなわけないだろう?

ミスターは決め顔でこういってるぜ。

 

「っ・・・!」

 

ほら、あの宮瀬が笑いを堪えるのに必死になってる。

自分のふくらはぎをつねって耐えている。

 

美夏に厳しいご指導をしてた小豆やその厳しい分、甘めに教える絵里香でさえが固まってミスターを見ていた。

いや、美夏だけは頭に?マークを浮かべてる。

 

「ミスター、お前に出来るのは祈ることだけかも知れないな」

 

『おい、教える人が諦めるなよ!』

 

正紀が遂に匙を投げた。

なんだかんたといつも教えていたから耐性が出来ていたはずなんだが・・

 

「何か間違っていたか・・・?」

 

「わかった・・・俺が教えられることはもう最後の・・・いや完全な奥の手だけだ

 これならミスターでもいける」

 

「おっ!そんな必殺技があるのか」

 

「あぁ、陽詩!ちょっとお前の部屋を貸してくれ」

 

『頼むから変なことはしないでくれよ?』

 

「大丈夫だ」

 

正紀はミスターの首根っこを掴んで連れて行った。

 

「私たちも再開しますよ」

 

「もう良いんじゃないのか?」

 

「ふふっ、駄目ですよ」

 

これは、逃げられそうにないやつか・・・

 

こうして、夜が更けるまで勉強会は続いていくのだった。

 

時々、ミスターと美夏の悲鳴が響きながら・・・

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

夜も遅くなり、解散となったが問題が発生する。

 

『小豆は隣だから良いが、絵里香は迎え来るのか?』

 

こんな夜遅くに女の子だけで帰すわけにもいかないだろう。

 

「絵里香は俺が送っていくから大丈夫だ・・・

 本当なら絵里香は迎えに来てもらって車で帰って貰いたかったのだがな・・・」

 

「はい、正紀さんと帰ります

 あまり、家に迷惑はかけたくないですし、正紀さんとデート気分で帰ります」

 

それに正紀はヤレヤレといった様子を見せていても、その表情は嬉しそうだった。

仲が良くて何よりです。

 

「となると残りは宮瀬と美夏か」

 

美夏の家は知っているが、宮瀬の家は知らない。

同じ方向であるのなら楽なんだが。

 

「私の家はあっちの住宅街の方です」

 

『美夏とは逆方向か・・・』

 

「俺が送れば良いんじゃね?」

 

「えー、ミスターくんに送られるのは逆に危険な気がするよ?」

 

「確かにな・・・ミスターに送られれば送り狼になるか」

 

『だよなぁ・・・というより女の子が嫌がるしな』

 

「なんでだよ!?」

 

といっても残された男は俺1人。

だからと言って本当に襲うとは勿論思っていないがミスターに送らせるのもなぁ。

 

「2人とも、私の家に泊まる?」

 

小豆はそう提案すると、

 

「良いの? じゃあお泊まりだぁ!」

 

美夏はすぐにそう返答したが、宮瀬は少し考えたあと

 

「すいません、私は家に帰らなければならないので・・・」

 

「そうなの?残念だなぁ・・・」

 

「そうしたら、宮瀬はどうするんだ?」

 

「私は・・・大丈夫です

 悠木さんが送ってくれるらしいので」

 

『ん?』

 

おかしい・・・確かに俺が送るしかないかなとは考えていたが、そんなことは口にも顔にも出してないはず。

 

「そうなの陽詩くん?」

 

『いや・・・うん、そうなんだよ』

 

どうせ、送ろうと思っていたし、断ったら断ったで何をされるかわかったもんじゃない。

 

「それじゃあ、これで解散だな」

 

「くそっ、俺は1人ぼっちで帰るさ! うわーん」

 

無駄に大きな声を張り上げて泣き真似をしながら走り去るミスター。

夜も遅いんだから、少し静かにしろよ

 

『俺らも行くか』

 

「はい」

 

みんなと別れ、宮瀬の家の方に向かう。

 

『まさか、送らされるとは・・・』

 

「私が泊まったら1日中気を張ってないといけないし、それに・・・」

 

『それに?』

 

「私が1日中アニメや、漫画、ラノベから離れられると思うの?」

 

『お前、そこまで末期か・・・』

 

さすがの俺だって1日くらいは離れていたって平気だ。

 

「それより、貴方私のことどこまで話したの?」

 

それは先のメールの内容か・・・

といっても、マフラー少女を知ってるか聞いただけだしな。

 

『マフラーを着けた女の子を知ってるかと聞いただけだが?』

 

「本当にそれだけかしら?」

 

『いや、マジだって』

 

「ならいいけど・・・今後も話さないでよ」

 

『わかってるって』

 

 

それに、俺だってそういう話しをする相手がいないわけじゃないけど

やっぱり身近な人間にそういう人は欲しい。

 

なのに自分からバラす必要は無い。

 

『それにしても、こうやって歩くの新鮮だな』

 

「今後こういう機会が増えるかもしれないわよ?」

 

こうやって宮瀬と歩くのは違和感しかないけど。

これから慣れていくのだろうか。

 

「私は変装してるだろうけどね」

 

『頼むからあのあからさまなヤバイやつの格好はやめてくれ』

 

仮に一緒に歩くとしても恥ずかしくて死ねる。

 

「そんなの、バレることに比べれば些細なことだわ」

 

逆に目立ってちゃ意味が無い。

その辺りは思わないのだろうか?

 

『そんな機会が来るかもわからないか・・・』

 

「あら、それはどうかしら案外・・」

 

『どういう「あっ、ここが私の家よ」おう・・』

 

「貴方も気を付けて帰りなさいよ、それとありがとう」

 

『まぁ、また明日会おうや・・・おっと、最後に今日は勉強教えてくれてありがとう

 何だ・・・思ったより楽しかったよ』

 

「ふふ、どういたしまいして

 いつも貴方達はこんな感じなの?」

 

『いつもあんなって訳では無いと思いたいけどな』

 

でも実際にはいつもあんな感じだ。

俺たちでバカやって楽しく高校生活を送っている。

 

「・・・・・羨ましい」

 

『なら、お前は何で・・・』

 

自分から猫を被って、必要以上に人を近づけないのか?

 

「貴方には関係ないでしょう?」

 

『そうやって溜め込んで疲れないのか?』

 

「・・・・・・」

 

そりゃ、疲れないわけないよな。

まさかこんなあからさまに目を逸らされるとは思わなかったが。

こういうところを見るとこいつも可愛いと思う。

 

『何だ、折角こうして俺は知っちまったわけだし

 あぁ・・・話しくらいなら付き合うから・・・溜め込むなよ』

 

「・・・当たり前でしょう」

 

それだけ言って宮瀬は家に入っていく。

 

「でも・・・ありがとう」

 

最後に宮瀬が何を言ったのかは声が小さくて俺には聞こえなかった。

 

 




Keyの後書き

『やべー・・・』

陽詩は道に迷っていた。
このまま、次の日を迎えればテストの勉強の意味無く終わってしまう。

それどころか、警察のお世話になるかもしれん。

『宮瀬に聞くか・・・』

再び来た道を戻るしかなかった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
whiterainの嘘でした。

こっちが本当Keyの後書き

こんにちはKeyです!
もうすぐクリスマスですね〜!
皆さんはどのように過ごしますか?私はイラストを描いて終わりそうです……笑

今回のイラストですが何とか間に合いました!!
一瞬見た時「誰だ!」って感じになりますが祈です。
顔は大分変わってしまいました、すいません!


【挿絵表示】


これからもちょっとずつキャラが違ってくるかもしれませんが出来るだけ前の絵に近づけて可愛く描けるように頑張ります!

次回についてはクリスマスということでサンタコスで描きたいと思います!ただ時間があまり無いのでラフ画になりそうです。暇な時にでも色をつけて出したいと思います!
では皆さん良いクリスマスを!!


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番外 聖夜の贈り物

Merry Christmas!
Whiterainです

FGOの魔神柱を狩りながらで、投稿が間に合ったことホッとしてます。
マーリンも無事当たったことですし、良いクリスマスになりそう(*´∀`)

さて、今回のクリスマスの話はもしかしたらのIFの世界の話ですので時系列、人間関係の模様は全く本編と関係ありません。

それと挿絵が本来は予定無かった短編なので、Keyさんの方も時間がなくラフになっております。(前に言ったように私が急に書こうと思ったので)

前置きはこれくらいにして、クリスマス短編どうぞ!


『寒いな・・・』

 

この寒いのに俺は何故トナカイのコスプレで外に立っているのだろう?

 

「陽詩さん、しっかりと働いてください

 私たちの生活が掛かっているんですよ!」

 

隣を見ればサンタのコスプレをした祈がいる。

道行く人が祈を見ていく。

俺から見ても似合ってるしな。

 

冬まで宮瀬 祈と関係を深め、今ではこんなにも親しくなった。

名前で呼び合える良い関係になったと言えれば良かったのだが・・・

 

この生活というのは普通一般人の考える生活と、祈の考える生活は別物である。

 

『生活っても、求めてるものがな・・・』

 

「何言ってるんですか?」

 

疑問を浮かべているが、相変わらずの威圧感。

これを何度くらったことか。

 

『何でもない・・・ケーキいかがですかー?

 クリスマスの必須のお供、これが無くちゃ初めらない

 恋人がいる貴方も居ない貴方もケーキは貴方を裏切らない!

 ケーキはいかがですか?』

 

「美味しいケーキはいかがですか?」 

 

本当に何でケーキ屋でバイトしてるんだろ?

 

「私が1人で居たら危ないでしょ?」

 

『人の心を読むなって!』

 

祈が何故、人を巻き込んでまでケーキ屋のバイトを始めたのかは少し前に戻る。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「何と言うこと・・・・」

 

祈はパソコンを見ながら戦慄していた。

 

いつもならこの場所でアニメ鑑賞会やら読書やらと行われているところだが今日は違った。

 

「最近確認を行っていたわ・・・

 これは私の怠慢が招いた問題よ」

 

『何を見てるんだよ?』

 

後ろからのぞき込んでみれば

 

『うわ、エロゲかよ』

 

「これ以外にも!」

 

祈はそう言ってタブを次々と変えていく。

どれもゲームというのには変わりなかったが。

 

中には俺が買おうと思っていた物もあった。

 

『それで、何がそんなに驚愕なんだよ?』

 

「知ってたなら・・・話題に挙げなさいよ」

 

『は?』

 

「お金が足りないのよ・・・」

 

使いすぎたか。

俺らのオタク趣味に限った話しではないが、趣味というのはお金がかかる。

それはどんな趣味でも変わらないと思う。

 

そして、高校生の持てる財力なんてたかが知れている。

いや、親友とその婚約者っていう例外もいるけど。

 

「限定版を取らないわけにはいかないのよ」

 

『お前、本当に俺より凄いよな』

 

俺にはそこまでの拘り無い。

ましてや、仕送りで一人暮らししている身としてはそこまで出来ない。

 

俺はどこかの、塩水をおかずに砂糖水を飲んだり、1/64なのに1/67のカップラーメンという

バカでFな人とは違うのだ。

 

「どうしたら・・・・」

 

『いや、まだ発売まで猶予あるんだから普通にバイトすれば良いんじゃないの?』

 

俺はこの時に迂闊に言ってしまったことを後悔している。

何か売れば良いんじゃない?とかお金をとりあえず借りるという案を提案すれば良かったのだ。

 

「バイト・・・この時期なら・・・そうよ!」

 

祈は不意に立ち上がり、いつも通りの不審者地味た変装をすると

 

「陽詩出かけるわよ!」

 

『えっ?ちょっとどこに行くんだよ!?』

 

俺を引っ張って外へと駆けていった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ここよ」

 

『いやここって言われても、どこだよここ?』

 

連れてこられたのが、今いるケーキ屋だった。

 

「私の知り合いがやっているケーキ屋でクリスマスが近付くと人手がいるから

 短期募集かけるの」

 

『へぇ・・・それで?』

 

「陽詩の言ったようにバイトでお金を稼ぎ、目指せ限定版よ」

 

『いや、だから俺が聞きたいのは何で俺までここに来たのってこと』

 

「貴方が提案したから私が来たのに、貴方が来ないわけにいかないじゃない?」

 

確かに提案したのは俺だが、だからといって俺まで一緒に来ないといけない理由は無いと思う。

お金に困ってる訳でもないし・・・

 

『ちっ、付き合うから早く行くぞ』

 

どうせ、逃げれないなら早く終わらせるに限る。

俺はここでも選択を間違えていた。

無理にでも逃げれば寒空の中立つことは無かったのだ。

 

「こんにちはー、お久しぶりです藍さん」

 

「あら、祈ちゃん今日はどうしたの?」

 

ケーキ屋の店長さんは新田 藍さんと言ってニコニコした綺麗なお姉さんだった。

祈とどんな関係なのかは詳しくはわからないが、中学の頃にお世話になったらしい。

 

「バイトは2人で良いの?」

 

『いいえ、俺は「はい、私たちの2人で」おい』

 

「あらあら、仲良いのね」

 

『そんなことな「ええ、彼は私のことを良く理解してくれる良いお友達です」おぅ・・・』

 

また話させて貰えないぜ。

いえ、良いお友達と言ってくれることについては嬉しく思っております。

 

『ところで、俺は別に「それじゃ、2人ともこっちに来てね」貴方もですか』

 

何だろ、ここからは逃がして貰えないのだろうか?

 

「ほら、陽詩さん行きましょう?」

 

『なんでさ・・・』

 

裏の事務所に案内されて、仕事内容について説明された。

簡単に言えば、売り込みと接客をしてくださいということ。

藍さんはクリスマスに向けたケーキ作りで忙しくなるため、バイトが必要になるとのこと。

 

「それじゃ、これからクリスマスまでお願いね」

 

「わかりました」

 

『あー、はい』

 

「あ、2人とも制服はこれよ」

 

藍さんがそう言って取り出したのは2つの異なる制服。

 

いや、制服と言って良い物なのだろうか?

 

『すいません、俺の目にはトナカイとサンタのコスプレ衣装にしか見えないんですが?』

 

「こっちのトナカイの方が悠木君で、こっちのサンタの方が祈ちゃんよ」

 

この人話し聞かねー。

 

『おい、祈はあんなの着れるのか?』

 

「私にはあの変装があるのでサンタの衣装くらい「勿論、あの格好は禁止よ?」え?」

 

そりゃ、そうでしょうよ。

あんな格好で接客業をやらせるような店があったらビックリだ。

 

『良いじゃないか祈、俺も着るから着ようぜ?』

 

耳元で、限定版が掛かってるぞというのも忘れない。

 

「うーん・・・でも・・・さすがに」

 

祈は藍さんの持つサンタ衣装をチラチラと見ながら葛藤している。

さすがの祈も限定版がかかっていても悩む領域らしい。

 

「いえ、藍さんがお困りなら私は恥ずかしいですが・・・そのサンタ衣装着ます!」

 

綺麗事を言ってるけど、絶対そんなことは考えてない。

頭の中にあるのは限定版の事だけだろう。

 

「したら、悠木君は向こうで着替えてきてね」

 

『あ、わかりました』

 

藍さんの手からトナカイの衣装を受け取って、指示された場所へ向かう。

 

『うわ・・・サイズがピッタリだ』

 

ピッタリ過ぎて正直引くレベルだ。

俺の為に作られたと言ってもおかしくないサイズ感。

 

「悠木くん着替え終わった?」

 

『終わってます』

 

「じゃあ、お披露目ね」

 

元居た場所に戻ると、少し恥ずかしがった祈が居た。

 

「何ですか?何か言いたいんですか?」

 

サンタの衣装が今の恥ずかしがる祈とマッチしてもの凄く可愛く感じる。

 

『いや、似合ってると思うよ

 可愛いんじゃないかな』

 

「何言ってるんですか!?

 バカじゃないんですか!」

 

まぁ、こう言われるだろうとは思っていたが。

 

「祈ちゃん、彼氏に褒められて恥ずかしかったのよねー」

 

『「彼氏じゃありません!!」』

 

「あら息ピッタリ」

 

祈に目を合わせて、お互いに頷く。

お互いにわかっていたのだろう、この人に否定しても無駄だということ。

だって、何言っても通じる気がしないんだもん。

 

「それじゃあ、頑張っていこうね!」

 

『「おー・・・」』

 

ぐだぐだ感半端ないな。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

そんなこんなであの日から働き続け、今日24日を迎えた。

 

『何で24日のクリスマスイブにこんなことしてるんだろ・・・』

 

恋人が居る人は今日という日を満喫していることだろう。

実際、ケーキを買いに来ている人にはカップルも数多くいた。

 

「私だってそれは同じですよ」

 

『いや、祈には買うという目的があるでしょ?』

 

俺なんてほとんど、祈の付き添いにしかなってない。

まぁ、口で嫌々とは言うが本気で嫌なら全力で逃げるが。

 

逃げれるかは別として・・・

 

「陽詩さんだって、良いのではないですか?」

 

『どこがだよ?』

 

「イブに可愛い女の子と過ごせてますよ?

 それにクリスマスだって一緒です」

 

すごい、否定してやりたい。

どこに可愛い女の子が居るんだと。

 

それでも、実際に可愛いと思ってしまう以上そんなことは言えないのが辛いところなんだよなぁ・・・

 

『こんなバイトじゃ無く祈と2人きりで過ごしたかったよ』

 

否定できないなら手法を変えるしかない。

自分で言ってて恥ずかしくなるが、今更祈相手に恥ずかしがっても仕方ない!

 

いや、そう思わないとこんなの出来ないぜ!

 

「なぁ・・・!?」

 

ある程度付き合ってわかったことだが、祈はストレートに言われることに慣れていない。

猫を被ってるのがバレていない相手には隠せるが、慣れた相手に面と向かって言われると

今のように顔を真っ赤にして

 

「何言ってるの!?バカなの!?何言ってくれちゃってるの!?」

 

『本性混ざってるぞ』

 

処理オチすると、咄嗟に隠しきれない部分が出てくる。

 

「何のことですか?」

 

『一気に変えたな・・・』

 

客の居ない間はこんな感じに祈と話しながら客引きをする。

案外、仲の良い友達とやるバイトってのは楽しいかもしれない。

 

こんな感じに働けるのは藍さんのところだけかもしれんが・・・

 

「お疲れさまでした」

 

『お疲れ』

 

冬になれば日が短く、暗くなるのも早い。

そんな中、女の子を1人で帰すわけにはいかなく、バイトを初めてからこんな風に毎日家に送っている。

さすがに段々と通い慣れてきた道だ。

 

「明日で最後ですね」

 

『そうだな』

 

感慨深くなるほど、働いている訳でもないので特に思い入れは無い。

そのため、ただ淡々と答える。

 

「寒くならないと良いのですが・・・」

 

祈は手に息をはぁーとかけて手を温める。

 

『手、寒いのか?』

 

「だからって、手を繋いだりはしませんよ?」

 

『そんなこと言ってないじゃん!?』

 

別にただ思ったままに言っただけであって、そんな考えは欠片も無かった。

既に慣れたことだが、こいつはギャルゲーとかの発想にだいぶ浸食さてていると思う。

 

「狙ってたのでは?」

 

『違うって!ほら、もう家着いたぞ?』

 

この丁度良いタイミングでの到着。

なんとも素晴らしい。

 

「それでは別の機会にしますか・・・また明日」

 

『お、おぅ』

 

その別の機会が訪れないことを永久に祈る。

というか俺別に悪くないと思うのだが・・・変なつもりで言った訳じゃあるまいし。

 

『さて、ちょっと寄ってくか』

 

家まで送り届けた帰りに、服屋に寄った。

どうも祈を見ていると自分の首もとが寒くなってくる。

 

『良い物があれば良いんだけど・・・うん?・・・これ良い感じだな』

 

そのモノを手に取り、レジに持って行く。

ただ、それはマフラーではなく、何故か綺麗にラッピングされていた。

 

 

『寒いな・・・本当に』

 

それを鞄に仕舞い、明日に備えるべく早めに家に帰った

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「陽詩さんお疲れ様でした」

 

『本当だな・・・さすがクリスマス当日と言うべきか』

 

予想じゃイブの方が人は多いかと思ったんだが・・・

この店にはイブより当日の方が買いに来る人は多かった。

 

『これで、目的の金額には達したんだろ?』

 

「はい、おつりが来るくらいですよ」

 

『なら、とっとと帰ろう』

 

「そんなに急いで帰りたいんですか?

 あ、誰かと約束してるとか」

 

そんな誰かと約束してるようなことあったら、もう少し楽しそうにしていたと思う。

というわけで、

 

『俺が聖夜を過ごす相手は君だよ・・・いや君しかいないんだよ』

 

「それは嬉しいです!私も貴方のことだけを想って、今日という日を一日千秋の思いで待ち続けてきました」

 

『な・・・!』

 

何恥ずかしいこと言ってる!

頬が熱い

予想していなかったカウンターに思わず俺の方の顔が赤くなっていると思う。

 

「さすがに、連日来れば予想出来ますよ?」

 

『悪かったよ・・・』

 

両手を挙げて降参を表す。

 

「でも、もう少し一緒に居ても良いんですよ?」

 

『何かの冗談か?』

 

「いいえ、さっき藍さんに私たちの分のケーキを貰ったので一緒に食べましょう」

 

『お、良いね・・・場所は?』

 

「陽詩さんの家で」

 

『まぁ、いいか』

 

そのまま祈と2人俺の家に向かう。

冗談で言っていた聖夜は本当に祈と過ごすことになった。

 

しかも2人きりだぜ!

それこそ、クラスメイトにバレたらそれこそボコボコにされちまうな

 

「少し待ってて」

 

『ん?あぁ』

 

祈はそのままケーキを持って俺の部屋に入った。

 

『その間に紅茶でも入れるか・・・』

 

台所に行き、カップに紅茶を入れそのままソファに腰掛ける。

 

『本当に、疲れたな』

 

ちょんちょん

 

後ろから背中を突かれ、振り返れば

 

「Have yourself a merry little Christmas!

サンタの贈るケーキはいかがですか?」

 

『うわっ! それどうしたんだよ?』

 

祈はバイトの時に着ていたサンタの衣装を着て、片手にケーキを持ってこちらに微笑みかけていた。

 

「今日だけ、借りてきたのよ」

 

『よく貸してくれたな・・・というかよく着たな』

 

「1年で今日しか着る機会は無いし、恥ずかしいけど嫌いじゃないのよ」

 

『まぁ、嫌いには見えないわ』

 

オタク魂溢れる祈で、実際容姿も良い祈ならこういう格好はものすごく似合う。

 

「それじゃ、食べましょ」

 

『おう、砂糖とかは好きに使ってくれ』

 

「ありがと」

 

『まさか、祈と本当にこんな風にクリスマスを過ごすとは思わなかった』

 

当初の予定なら、バイトを終えて帰ってきたらバタンキューだと思っていた。

 

「ふふ、貴方に渡したいものもあったから」

 

祈はそう言うと紙袋をこちらに渡した。

 

『何これ?』

 

「開けてみて」

 

祈に言われたままに紙袋を開けるとチェックのマフラー。

 

『これは・・・』

 

「一応手作りなのよ、今日まで付き合ってもらって送ってもらってた御礼よ

 それと今日はクリスマスだから」

 

『祈サンタからのプレゼントってことか』

 

まさか、祈からマフラーが貰えるとは。

しかも手作りと言われると尚更嬉しい。

 

『だが、祈からもらうだけもらってお返しを出来ないなんて男が廃るよな』

 

どうにか祈に渡そうと隠していたものを祈に渡す。

 

「手袋?」

 

昨日買ってきたラビットファーの手袋。

マフラーを買おうと思ったが、この手袋を見て更に祈の冷たそうな手を見たとき、買わなきゃいけないと思った。

 

それにこれは祈に良く似合う。

 

『祈に良く似合うと思ってさ・・・』

 

「お互いにプレゼントを用意してたのね」

 

別にそんな気配をだしていたわけじゃないのに、お互いにプレゼントを用意していた。

クリスマスということを差し引いてもなかなか無い偶然だ。

 

それでも、本当に良いクリスマスになった。

 

『祈、Merry Christmas!』

 

「陽詩、Merry Christmas」

 

 

その帰り道、片手をポケットに入れて歩く少年の首には手作りのマフラーが、隣を歩く少女の両手にはラビットファーの手袋があった。

 

そして少年の片手は、手袋をはいた少女の手に包まれていた。




こんにちはKeyです!
町ではクリスマスムード一色ですね〜!
私はとりあえずケーキだけ食べました。
久しぶりに食べると美味しく感じますよね!笑

今回の挿絵なんですが前回のあとがきに書かせていただいたとおりラフ画になりました!
色つけに関してはまだ未定なのでいつか暇があればやっていきたいです!
こちらで出すかpixivの方で出すかはwhiterainさんと話して決めていきます!


【挿絵表示】


次回についてはそろそろ皆の設定画でも描こうと思っています!(今更ですが)
ただ量が少し多いのでラフ画で描けた人を載せていきます。しばらく色つけはお休みします、ごめんなさい(>_<)
それでは皆さん良い年末年始を!!」


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6話 テストー5

あけましておめでとうございます!
そして申し訳ありませんwhiterainです。

本当なら昨日投稿予定だったのですが、様々な要因というとあれですがKeyさんが忙しくて絵が間に合わず今日になったというのが真実ですが。
あっ、別にKeyさんが悪いわけではないですよ?

編集しなかったのは自分のミスですし・・・

∑(; ̄□ ̄A アセアセ(忘れてたとはいえない)
ΣΣ( ̄◇ ̄;)!ハウッ!?  

次からは気を付けていきたいと思います。

では、テスト編の5話です。
後1話でテスト編は終わりかなぁー



そして、いよいよテスト当日を迎えた。

 

教室では、最後のテストに向けてラストスパートをかけるもの、普段通りに過ごす者

そして、諦めたようにしか見えない者。

 

『おい、足掻かなくて良いのかミスター?

 後の自由な時間が無くなるぞ』

 

「俺はな陽詩・・・正紀に俺に相応しい最高の技を教えてくれたんだ

 これがあれば赤点などあり得ない!」

 

「・・・っ!」

 

何かその教えてくれた正紀本人が笑いを堪えているようにしか見えないんだが・・・

 

『なぁ、ミスターお前騙されてないか?』

 

「そんなわけないだろ?

 なぁ、正紀?」

 

「あ・・・あぁ・・っ! そんな・・・こと・・・っ!

 あるわけ・・・ないじゃないか・・・っ!」

 

めっちゃ、顔に力入れて堪えてるけどな

どう考えても良からぬことを考えている顔をしている。

というか、こんな顔をしている正紀を疑わないミスターもヤバイとは思うが

 

俺の知ったことではないか

ミスターが赤点でも俺には何の問題も無い。

 

『さて、今更足掻いたところで大して変わるとも思わんしな』

 

「それは、間違いないな」

 

『収まったのか?』

 

「さて、何の事やら」

 

『俺には関係ないから構わないが・・・

 正紀も勉強しないのか?』

 

「俺はいつもしてない

 普段からやっておけば大丈夫だからな」

 

『俺はそこまでの余裕は無いな

 まぁ、でも今回はかなり良いとこ狙えるんじゃないかと思ってる』

 

「ほぅ、なかなか自信があるじゃないか?」

 

『まぁな』

 

これも天下の宮瀬様に教えて貰ったからだろう。

最初の時の記憶が無いのが未だに怖いのだが・・・

 

チラッと宮瀬の方を見れば、宮瀬も教科書やノートを見ている様子は無く、ブックカバーを着けた

単行本を読んでいた。

 

「あら? どうしましたか悠木さん?」

 

こちらの視線に気付いた宮瀬は本に栞を挟んで閉じた。

 

『いや、宮瀬は勉強しないのかなって思ってさ』

 

「嫌みに聞こえるかもしれませんが、テストは日々の努力を試す場所ですから

 ですので、必要なのは瀬戸際で足掻くことではなく、日々の努力なのです」

 

テストは日々の努力の積み重ねを発揮する場所。

わからなくは無いし、その通りだと思う。

 

でも、それ以上に

 

『おぉ、本当に嫌みに聞こえるぜ!』

 

「っ!!」

 

『ちょっ、お前』

 

いま、目だけガチで殺る気だった!

顔が一瞬だけ般若に変わってたって!

 

だけど仕方ないと思うんだ。

実際、いま宮瀬の発言を聞いた隣の頭良さそうに見える奴が歯ぎしりしてるし。

 

「やっぱり、そう聞こえましたか?」

 

小さく舌を出して、可愛く振る舞う宮瀬。

確かに可愛いとは思うんだ、さっきの般若が無ければ・・・

 

『いえ、その通りだと思います!

 テスト頑張りましょう!はい』

 

とりあえず、早々に話しを切り上げるに限る。

 

「はい、頑張りましょう」

 

そうして、前を向けば震える我がスマホ。

 

『うっ・・・』

 

送り主は当然宮瀬 祈

 

(後で覚えておきなさい)

 

何故、テスト前に不安を作らなければいけないのか

 

「みんな、チャイムなったらテスト始めるから準備してよー!」

 

我らがクラスではなく、絵里香のクラス担任たる若い美人先生が呼びかけしていた。

ちなみに美人先生というのは美人なわけではなく、名前が美人というだけである。

 

あっ、先生の容姿は可愛いよ?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

さてここからはテストを一部抜粋してお届けしよう。

 

1科目目 現代国語

 

漢字の読み方を答えなさい

 

良姫 

 

神生理

 

沖九風

 

琉絆空

 

『・・・・・・』

 

現代過ぎてわからない。

いや、むしろ何を思ってこれを出してきたのかわからない。

 

どのくらいいるのかわからないけど、この名前にあった人は名前の呼び方にも苦労するだろうし

子供も成長するにつれて苦しむと思う。

あくまでも俺の偏見だが・・・

 

良姫  らびん

 

神生理 かおり

 

沖九風 おるざ

 

琉絆空 るきあ

 

読めるわけねーよって!

 

 

 

2科目目 数学

 

「キター!俺の時代唸れ、俺のアポカリプス・ゼット一号!!

 

「水田、座りなさい」

 

横にいたミスターは立ち上がり、何かを手に高くそれを上に上げる。

 

「行け!アポカリプス・ゼット一号」

 

カラカラ 

 

「よし、およそ3と」

 

『お前の最高の技って鉛筆転がすことかよ!』

 

「悠木、静かに」

 

『あっ、すいません』

 

さすがに、あれには驚かされる。

何故、鉛筆転がしを選んだのか?

 

高校、数学で記号問題を除いたとして、数字が単体で出ることは余りない。

x=、y=ならあり得るが

 

今回の範囲で言うなんら因数分解がメインで来ていた。

 

因数分解において答えが3

 

『赤点1つ確定か・・・』

 

 

 

テスト3科目目 英語?

 

『おかしい・・・全くわからない』

 

宮瀬とあれだけの勉強をした(記憶はないけど)

なのに、このテストはわからない。

 

ひっそりと斜め後ろを見ると、宮瀬でさえ手が止まっていた。

 

 

Q モテパワーを集めるにはどうしたら良いか?

 

Q モテパワーが最も高いと思う人間は誰か?

 

Q マイケル先生がモテる理由は何か?

 

 

序盤から何を言っているかわからない。

試験日程の科目には英語と書いてある。

 

だが、このテストにモテについてと書かれているのは何故だろうか

 

せめて英語で出題されていれば・・・

いや、それでも全くわからないけど

 

『適当にラノベ知識を書くか』

 

 

こうして順調?にテスト日程は消化されていった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

テストが全科目終了した日の放課後、最近通い慣れてきた教室に向かおうとする。

テスト期間は毎日毎日宮瀬に勉強を教わっていたが、初日だけは記憶がない。

何か恐ろしいモノを見た気はするのだが・・・

 

『さて、宮瀬も向かったよな・・・』

 

「陽詩くん帰ろう?」

 

帰る準備を終わらせた小豆が、こちらに寄ってくる。

 

「陽詩テストどうだったのよ?」

 

「今日で終わりだからな」

 

ついでに横からミスターと正紀も声を掛けてくる。

 

『むしろお前は何でそんなに明るくいられるんだ?

 どうせ赤点だろ?』

 

「陽詩こそ大丈夫だったのかよ?」

 

「陽詩くん大丈夫だった?」

 

『今回に限って言えば、間違いなく大丈夫だと思う

 むしろ過去最高成績を残せるな』

 

誰と何をした等は何も言えないが。

 

「陽詩くん、そんなに勉強したの?」

 

「そうだそうだ、お前いつも勉強したってたがが知れてるじゃないか!」

 

『あぁ・・・あの、なんていうか』

 

「ひ~な~た~・・・」

 

後ろからもたれ掛かってくるこの

 

『あぁ、良い感じ・・・』

 

思わず、素直な感想が漏れ出た。

 

「あっ、美夏ちゃん」

 

「それより、陽詩いま、お前」

 

『俺にはミスターが何を言ってるのかサッパリ分からんな』

 

俺はテストが終わって解放されると共に、恐らく終わりを迎えただろう美夏を慰めるべく背中を貸して

あげているだけだ。

そのタイミングでちょうど良く、スマホがなった。

 

「ひなたー!」

 

『どうしたんだよ!?』

 

「陽詩も赤点だよね?」

 

『いや、俺は大丈夫』

 

むしろ赤点取ったらあれだけ教えてくれた宮瀬に申し訳が無い。

というより、申し訳以前に恐らく明日の朝日が拝めなくなる。

 

「陽詩の裏切りものー!」

 

「安心しろ、俺も仲間だ!」

 

「俺は勿論平気だ」

 

「ミスター君が仲間でも嬉しくないよ~!

 正紀も裏切りものだー!」

 

「・・・・・・美夏ちゃん?」

 

小豆が顔をうつむかせて、美夏の名前を呼びかける。

 

『美夏、覚悟決めるか・・・逃げるかだな、おすすめしないけど』

 

こうなった小豆は、恐らく逃がしてくれないし、ニコニコした笑顔のまま長時間付き合ってくれるだろう(経験談)

 

「陽詩、助けて!」

 

『おっと、メールだ』

 

後ろにいる美夏を何をとは言わない惜しみつつも引きはがし、スマホを取り出す。

巻き込まれる前に逃げるに限るし。

 

[何をやっているんですか?

 早く来てください!暇です]

 

というか本当に宮瀬からの催促が届いていた。。

まぁ、お世話になったばかりだし、テスト終わっていきなり邪険には扱えないよな。

 

別に美夏に巻き込まれたくないから誘いに応じる訳じゃない。

 

『悪い、ちょっと用事入った』

 

「おっと、俺もそろそろ部活に行くかなぁ」

 

「絵里香が待ってるな」

 

そう言い、俺とミスター、正紀の3人はは巻き込まれるに教室から退散した。

後ろから、美夏の悲鳴が聞こえたが気のせいだろう。

 

 

『正紀、ミスターの鉛筆は?』

 

「最高に面白かった」

 

「正紀のおかげで数学は回避確定だからな」

 

『「・・・・・・・・っ!」』

 

知らぬが仏。

というか教えた本人が本番になっても止めない辺りが凄い。

 

『ミスター、とりあえずバド部の方には謝っておけよ』

 

「そうだな、俺からも奮闘だけは伝えておこう」

 

正確には一番奮闘したのは鉛筆である。

 

「? あぁ、バド部1の秀才ということが分かってモテモテになり、俺目当て女の子が部活の邪魔して

 すいませんということか!」

 

『よく、そこまで浮かんだな!?』

 

「っ!す、素晴らしいと・・っ!思うぞ・・」

 

ここまで妄想されるとさすがにドン引きだ。

ここに女の子が居なかったことが唯一の救いであるところ。

 

『おっと、俺も用事あるからここで・・・ミスター』

 

「何だ?」

 

『悪いのは正紀もだが、お前の頭だ・・・』

 

これが結論である。

とりあえずミスターは追試がクリアされるまで部活には行けないだろう。

 

行けるのはいつになることか・・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

2人と別れ、その先にある人気の無い教室を空けると、中にいつも通りに窓際の椅子に座り本を読むマフラーを着けた少女。

 

マフラー少女宮瀬はこちらに気づくと、読んでいた本を閉じこちらに身体を向けた。

 

「遅い」

 

『悪い、ちょっと友達と話しててな』

 

「余計なことは言ってないわよね?」

 

まだ、宮瀬からの信頼は得られていない。

人間簡単に信用してはいけないとは思うが、俺が宮瀬のことを話したって特に得も無いし

むしろ、1人の信頼を失うし、宮瀬からの仕返しも怖いからしないのだが・・・

 

『テストであれだけお世話になったのに、裏切るような真似はしないって』

 

「まぁ、それなら良いけど・・・

 テストはどうだったの?」

 

『宮瀬のおかげで助かったよ

 初日の英語と言って良いのかわからないテスト以外は・・・』

 

「あれは英語、いや勉学とは言わないのよ・・・」

 

宮瀬もあれは解けなかったのだろう。

というより、あんな問題を解けるのは変態だけだ。

 

『とりあえず、あれは除けば大丈夫だった』

 

「じゃ、次は私のお願いを聞いてもらう番ね」

 

『了解、ちゃんとお礼させてもらうよ

 で、何をすれば良いんだ?』

 

テスト期間もあれだけお世話になって、さすがに恩返しはしないといけないだろう。

 

「私と一緒に買い物やゲームセンターに行くわよ」

 

『それはデートのお誘いか?』

 

わざわざ、俺と行く理由が浮かばない。

むしろ、普段から仲が良いのならともかくそんな関係の無い2人が2人で買い物やゲームセンターに居たら

それこそ噂の的になるだろう。

 

「そ、そんな訳ないじゃない!バカなの!?潰しますよ!」

 

宮瀬が顔を赤くしてまくし立てる。

冗談なのに、そんな過剰に反応されても困る。

 

全く気にせず、あぁ、そうですねとか流されるのも嫌だが・・・

 

『なら、どういうことさ?』

 

「ゲームセンターは単純に1人では行きにくいだけ

 買い物に関しては私も買い難い物があるだけよ・・・」

 

『ゲーセンはまぁ、女の子1人じゃ入りにくいか

 買いにくい物って何さ?』

 

「・・・」

 

『いや聞こえない』

 

「ギャルゲー・・・よ」

 

『・・・』

 

空気が凍った。

宮瀬がオタクであることは知っていたが、ギャルゲーもやるのか。

いや、本当にギャルゲーだけなら良いのだけど

その一歩先まで手を出してる気がするが。

 

女の子はさすがに、それは買い難いのか?

いや、でも女の子でもギャルゲーをやっている人も実際いるわけだし

少なくとも乙女ゲームやる男よりはいると思う。

 

百合?薔薇?そこは関知しない範囲です!

 

「悪い?」

 

『いや、悪くはねーよ

 でもさ、俺が宮瀬と初めて会った時の格好でなら大丈夫じゃないのか?』

 

「気持ちの問題よ・・・

 あの格好でも女の子ってことだけは分かるじゃない?

 それに、男性店員に見られるのは嫌だし・・・女性店員に見られるのは恥ずかしいじゃない」

 

『なら、密林さんとかの通販は?』

 

「家族には隠しているの」

 

まぁ、宮瀬は家でも隠さなきゃならないってことか。

それは大変そうだな。

 

「あっ、ギャルゲーとかだけよ?

 さすがにラノベとかは隠してないわ」

 

『あっ、そういうことか

 まぁ、それだったらわかるが・・・それで、俺が着いていって何をすれば良いんだ?』

 

「私の変わりにレジに持って行ってくれれば」

 

つまり変わりに買ってきてくれということか・・・

まぁ、自分も買うことがあるから別に苦でも無いし。これで勉強教えてもらった恩を返せると思ったら

別に良いかな

 

『まぁ、それくらいなら良いか』

 

「それじゃあ、早速今週末に!」

 

『お、おう』

 

宮瀬の純粋に嬉しそうに笑う顔は初めて見たかも知れない。

正直、こっちが恥ずかしかった。

 

さて、これでテストで赤点取ったから再試で行けませんとは言えないな

 

 

 




あけましておめでとうございます!

Keyです!

また年も明けてしまいましたね〜。
一年が経つのって早いですね……(^-^;

とりあえず今回の挿絵ですが申し訳ありませんでした。
4名しか描くことが出来なかったので出来次第載せていこうと思います!!

悠木陽詩

【挿絵表示】


宮瀬 祈

【挿絵表示】


杉谷正紀

【挿絵表示】


水田翔一(ミスター)

【挿絵表示】


次回についてはまだ打ち合わせが出来ていないので未定です!楽しみにしていてください
それでは皆さんまた会いましょう!」


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7話 テスト-6

こんばんはwhiterainです。

今回はテスト編の最終話で、山あり谷ありでしたね(嘘です)
次からは新章に入って、話しが進み出す・・・と良いなぁと思っております。

次回は祈がメインだよ

それでは始まります

PS
今回のKeyさんの挿絵のシーンに心当たりが無い!
いつか、書いておかないと・・・


いつもと変わらない登校。

それでも、今日みんなの運命が変わる日である。

いつも通りに小豆と登校して、その道中にミスターと出会う。

 

『ミスター大丈夫なのか?いや、無理か』

 

「決めつけるなよ!俺の勘はπと同じくらい優秀なんだぜ」

 

『それ、アウトだろ?』

 

π、ギリシャ文字で円周率を表す。

つまり、直感が円周率と同じと言うことは、当たる確率3.1415926535・・・

 

点数にしたら赤点確実の点数だろう。

 

「何を言ってるんだ陽詩」

 

ヤレヤレとこちらを呆れた目で見つめるミスター。

 

「πっていうのは無限大な数字なんだ、俺の勘の制度も無限大だ」

 

無限大って、確かに円周率は無理数でどこまでも続くが、全く意味がわからん。

 

「水田くん、そんなことばかり言ってるからまた補習になるんだよ?」

 

『小豆もなかなか酷いな』

 

まず、ミスターが赤点であることが絶対条件で、更に再試すらも落ちることになっている。

 

「そんなことを言ってられるのも今のうちさ!  

 1年の時のリゾンベだ!」

 

「え?」

 

『あいつ、英語1近辺だからさ』

 

「今日のテスト返却を楽しみにしててくれ!」

 

俺たちの高校は授業ごとにテストを返すことをせず、テスト終わりの次の日に一括で返却される。

最終日のテストの先生はお疲れ様です。

 

『楽しみにさせてもらうさ』

 

俺たちの返却はこれからだ!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

さてさて時間は流れて一気に帰りのHRにて、全教科のテストが一括で返還された。

 

『自分ながら、これは感謝してもしきれないな・・・』

 

数学Ⅱ   88     

数学B 86

古典 78

現代国語  92

英語Ⅱ   40

英語ライティング   83

日本史   90

地理         81

化学         90

生物         85

物理         78

地学         88

保健         86

 

合計1065  平均 81.92

 

 

『平均点80越えか・・・』

 

結果はかなり良い、でも英語Ⅱお前は駄目だ!

というより、モテパワーの訳のわからん試験で40点取れたのか

 

あのテストで赤点じゃないだけマシか

 

『ミスターどうだったんよ?』

 

ミスターの方を見れば、近くで正紀が蹲っていた。

 

「ふっ!」

 

ミスターはこちらにピースを向けた。

 

『まさか!』

 

ミスターが勘で赤点を避けたって言うのか?

いや、俺もミスターをバカにしすぎていたというのか?

 

「赤点じゃないのは2個だけだ!」

 

『お前、本当に期待を裏切らないな!』

 

俺の知ってるミスターで安心した反面、一瞬でもミスターが赤点じゃないと思った俺がバカだった。

そうだ、これが俺が1年で培ったミスターへの信頼じゃないか。

正紀だって、近付いてみれば笑いを堪えて腹を抱えてるようだし

 

その正紀は笑いを堪えて震えながら、ミスターのテストを渡してくれた。

 

数学Ⅱ          12   

数学B           8

古典           10

現代国語         17

英語Ⅱ          96

英語ライティング     10

日本史           8

地理           20

化学           15

生物           17

物理           28

地学           28

保健           52

 

合計321  平均 24.69

 

点数が悪いのはいつものことだが、1つだけ納得のいかないことがある。

 

『えっ!?お前、あの英語?で96点かよ』

 

「モテパワーと勘は共通点があるからな」

 

『はっ?いや、そういういことになるのか』

 

どっちもバカの考えることって事か・・・

それなら納得できる。

 

「陽詩くんどうだったの?」

 

『ん、ほら』

 

テストの結果をそのまま小豆に渡す。

今回の出来なら、恥ずかしがらずに渡すことが出来る。

 

「すごいね!陽詩くん」

 

小豆はまるで自分のことのように喜んでくれる。

なんか、それが恥ずかしくも感じるが・・・どうせ、小豆は俺よりも成績が良いのだろうから

 

「でも、柏田さんの方が上でしょ?」

 

「それは・・・あはは」

 

『気にするな、俺も小豆に勝てるとは思ってない』

 

実際、小豆に勝てたらそれはそれで見せるのが申し訳なくなる。

しっかりと予習・復習をやる小豆にあんな短期の勉強で勝てたなんてことになったらどう対応していいのか

わからん。

 

「うわーん!、陽詩のバカー!裏切りものー!」

 

後ろからぶつかってくる衝撃、このホールドの感じ。

昨日と同じ!

 

『お前はどうだったんだ美夏』

 

「・・・内緒」

 

いや、そう言っている時点で駄目だったってことだけははっきりと分かる。

 

「そんなことだろうと回収してきたぞ」

 

『おぉ、正紀いつ回復したのかわからんけどナイスだ』

 

「あっ、駄目駄目! 見ちゃ駄目!」

 

俺をホールドしていた美夏はホールドしていた手を離して正紀からテストの結果の書かれた紙を取り返そうとする。

 

「おっと、ミスター」

 

美夏より身長の高い正紀が取られないように腕を高く上げたままミスターにパスする。

 

「返して!」

 

『おぉ、まさに小学生がやるイジメの光景・・・』

 

実際にやる人がいるのかわからないけど、たまに漫画とかで見ると思う。

美夏は次にミスターに行き、取り返そうとミスターの息子に蹴りを入れた。

紙を取られないように注意していたためミスターは反応が遅れ、モロに一撃が入っていた。

 

「ぐふっ!・・・」

 

『うわっ!』

 

「さすがにあれは・・・」

 

俺と正紀は自分がやられたわけでもないのに自分たちの息子に嫌な感じがしていた。

そして教室の床に沈んだミスターは紙を落とし、その紙はヒラヒラと小豆の手に落ちる。

 

「あっ・・・」

 

「・・・美夏ちゃん?」

 

「いや、あのね小豆ちゃん・・・駄目なのは昨日の時点でね・・・わかってたことだし

 昨日も「美夏ちゃん?」はい・・・」

 

「ちょっと、違うところで話そう?」

 

「はい・・・」

 

『哀れ、美夏・・・』

 

美夏は俺らが出て行った昨日と違い、小豆に連れて行かれた。

しばらくは帰ってこないんだろうなぁ

結局、美夏の結果はわからなかっったな

 

「宮瀬さんすごーい!」

 

「やっぱり成績良いんだね」

「いえ、皆さんも十分だと思います

 私が言ったら嫌みになるかもしれませんが・・・

 それだけの努力はしてると思うのですけど」

 

ふと、聞こえた方を見ると宮瀬がクラスの女子と今の自分たちのような会話をしていた。

あの教室での宮瀬を知っていると、どうしても違和感を感じてしまう。

 

これを俺が宮瀬に言ったら、どう返されただろうか

 

「当たり前でしょ、私は貴方とは頭の出来が違うんだから」

 

恐らく、そんな感じだと思う。

 

あとで聞けば、俺にも点数教えてくれるかな。

 

「やっぱり宮瀬は頭良いんだな」

 

『・・・みたいだな』

 

俺みたいな奴に教えても、周りが驚くほどの高得点を取っているのだから。

 

「くぅー、今回は俺勝てると思ったんだけどな」

 

「夢は寝てる時に見るもんだぜ?」

 

『人が夢を見て儚いってか?』

 

ミスターじゃあ、夢の中でも宮瀬に勝てそうには無いが。

 

「バドなら勝てると思うんだけどなぁ!」

 

『うわっ!遂に言っちまった』

 

「それ言ったら終わりだよな」

 

自分の得意競技に持ち込んで負けたらそれこそ終わりだ。

というか宮瀬が運動神経良いのかは良く知らないけど、男女の差もあるんだから

仮に負けたら負けたで勉強で負ける以上に惨めになる気がする。

 

「くそぅ!このストレスはバドで晴らしてくるぜ!」

 

そのまま、ミスターはラケットバッグを持って走り去った。

まぁ、普段なら気にしないが・・・

 

『なぁ、赤点者ってこの後追試の説明やら科目ごとの日程とかの説明無かったか?』

 

「そうだが・・・俺らには関係ない話だからな

 とりあえず、部活の顧問に捕まるか・・・逃げるかだな」

 

『あいつのことだから意味もわからず逃げそうだけど』

 

部活の顧問に呼ばれる→テストの話しになる→ミスター逃走

この流れが簡単に頭に浮かぶ。

 

「さて、俺も絵里香を迎えに行くかな」

 

『おぅ、そしたらまたな』

 

チラッと宮瀬の方を見ればまだ話し込んでいたからもう少しかかるだろうし、俺の方が先に教室に着くな。

あの調子なら宮瀬が来るまでしばらくはかかるだろう。

 

着いたらラノベでも読んで暇を潰すか・・・

テストを無事に乗り切った以上、もう遠慮することもない。

 

最近は通い慣れた教室の扉を開け、椅子に座りラノベを開く。

 

 

「おっ、陽詩じゃないか?」

 

『ん?』

 

ラノベに集中しすぎていたのかどれくらい時間経ったのか。

それに今、誰かに呼ばれたような気がした。

見れば、入り口の方にミスターが立っていた。

 

『なっ! ミスターなんでここに?』

 

「いやぁ、あのあとテストの件で顧問に呼び出されてな・・・とりあえずバドが出来なくなる予感したから逃げたんだよ」

 

『そうか・・・』

 

その辺りは予想通りのことなので驚く事じゃない。

むしろ、なんでここに来たのかがわからない。

 

「いやぁ、人気のない方へと勘で進んで、ここなら見つからないと思ったら何でか陽詩が居たんだよ」

 

『なら、早く逃げた方が良いんじゃ無いか?

 同じところにいると見つかるぞ?』

 

このタイミングで宮瀬が来たらマズい。

 

「少しの間は大丈夫、今のうちに休まないとな」

 

『そ、そうか』

 

「それにしても陽詩が学校でライトノベル呼んでるなんて珍しいな、隠してるんじゃなかったのか?」

 

『あぁ、まぁそうなんだけどここなら見つからないと思ってな』

 

ラノベを閉じ、ミスターの方を向きつつポケットからスマホを取り出し、宮瀬へとメールを

送ろうとする。

 

[今、部屋に水田がいる

 だから来るのは待ってくれ]

 

あとは送信するだけ、これで何とか

頼むからもう少しの間来ないでくれよ・・・

 

ガラッ

 

「はぁ、あんなに来るなんて思ってなかったわ

 さすがに、ちょっと・・・っ!」

 

願い叶わず、不幸にも宮瀬は来てしまった。

ミスターもさすがに驚き固まっている。

俺はため息、宮瀬は硬直。

 

静かな教室に鳴ったのは、俺が宮瀬に送ったメールが受信された音だった。

 

『おぅ宮瀬、今回はテストのことありがとうな』

 

宮瀬に話しを合わせるように目で合図する。

ここまで、来たら無理矢理押し通すしかない。

 

出来る限りは足掻いてみよう。

 

「・・・・・・あっ、いえ私でお力になれたのなら幸いです」

 

『いや、俺1人だと赤点まみれになってたから』

 

なかなか、良い感じだと思う。

俺たちはテストのために一緒にここにいた。

 

静かに勉強するためと宮瀬が誰か個人に教えたとすると、これからもそういう人が増えるかも知れないから

人気のないところでやっていたと

この筋書きで押し通し、ミスターに話す。

 

「こんな美人と2人なんて羨ましいなぁ!!

 でもなぁ、何か2人から違和感があるんだよなぁ」

 

『・・・こんな時だけ無駄に鋭くなりやがって』

 

「何か言ったか?」

 

『はは、何も言ってねーよ』

 

「そういえば、先生方が水田さんを探してこちらの方に来ていましたが?」

 

「マジかよ!陽詩、話しはまた今度だ」

 

『あ、あぁ・・っておい、そっちは窓だ・・ぞ?』

 

ミスターは窓を開けると躊躇なく跳んでいった。

 

ここ4階なんだけどなぁ

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!」

 

『・・・』

 

「・・・」

 

聞こえた声は気のせいだと信じたい。

 

「何で教えてくれなかったの?」

 

『これでも、俺は急いでメールを送ったんだがな』

 

タイミング良く来てしまったのは宮瀬だ。

こればかりは俺のせいじゃないと思いたい。

 

いや、ここに俺が居なかったらミスターは残ってなかったかもしれないけど・・・

 

「送るのが遅い!」

 

『早めに送ったからな!』

 

「間に合わなかった時点で遅いわよ!」

 

『理不尽!?』

 

偶然、見つかって完全にバレた訳でもないのにここまで責められるとは。

それに入ってくる前に宮瀬が確認すれば防げた事態だ。

 

「とりあえず、明日以降場所を変えるわ」

 

『集まるのをやめたら良いんじゃないのか?』

 

今の世の中、会わずとも連絡・会話する方法なんて多くある。

わざわざ、会う必要もないのではないだろうか

 

「駄目、それじゃあリアルタイムの会話にならないもの

 それに学校だからこそ意味があるものもあるのよ?」

 

『だが、他に良い場所あるのか?』

 

「部室を使うわ」

 

『部室?どこの?』

 

「日本文化研究会よ」

 

『なにそれ?』

 

「日本の貴重な文化(アニメ・ゲーム・ラノベetc)を研究(会話・視聴・プレイ)する部活

 私と悠木とあとは名前を借りてね」

 

『俺、何も言われてねーよ!?』

 

入部届なんて書いた記憶が無いし、この話しを聞いたこともない。

 

「言ってないし、入部届は書いておいてあげたわよ」

 

『本人じゃないのに通るのかよ・・』

 

もっとしっかりしてくれよ我が校教師。

 

『だが、そんな部活にして大丈夫なのか?』

 

「大丈夫、形がちゃんとしただけで、やることは今までと変わらないから」

 

『実績が無いから廃部にされるとか無いのか?』

 

「私が適当に伝統工芸等のレポートを出しておけば大丈夫でしょ」

 

簡単にレポートを出せると言う宮瀬にやはり頭の出来の違いを感じる。

 

『俺が部活に入ってたらどうしてたんだよ?』

 

「そのときは・・・ね」

 

ニコっとこちらに微笑みかける宮瀬に底知れぬ恐怖を感じる。

 

『と、とりあえず、場所が変わるだけであとはいつも通りってことだな』

 

「ええ、ただクソ虫のことだけ注意して」

 

『ちょっ! クソ虫ってミスターのことか?』

 

仮にも女の子なんだからクソ虫とか言わないほうが良いと思う。

いや、この容姿、この様子で言われたら喜ぶ人も一部はいるだろうけど・・・・

 

「あんなのクソ虫で十分よ」

 

『お前、見つかっただけで差がスゴいな!?』

 

確かにミスターに疑いをもたれたことは確実だろう。

まだ、疑惑も薄いと思うが、これがテスト後も続けば、先の言い訳は意味無く

俺と宮瀬の関係について問われるだろう。

 

そして、ミスターから小豆に伝わり、面倒な事態になる。

それだけは避けたいところだ。

それより気になるのはいつか俺も宮瀬に酷い呼ばれ方するのではないかということなんだけど。

 

『とりあえず、ミスターの件と部室の件はわかったよ』

 

「じゃあ、この話しは終わり・・・テストはどうだったの?」

 

『宮瀬のおかげで結構いけたよ』

 

「見せて」

 

宮瀬に結果を見せる。

あまり、良い表情をせずにため息をつく。

 

「もう少し、いけると思ったのに

 英語Ⅱは英語とは言えないので諦めるけど・・・80点以下があるのがあり得ない」

 

俺には無理すぎるノルマだった。

そもそもテスト期間の短期学習でここまで出来たことを褒めて欲しいし、宮瀬さんマジぱねぇっす!

 

『宮瀬はどうだったんだ?』

 

「あのマイケルとか言う英語教師さえ居なければ・・・潰しますか」

 

宮瀬のダークな部分が漏れ出している気がする。

それでも、受け取った結果を見ると

 

数学Ⅱ       100   

数学B        98

古典         98

現代国語      100

英語Ⅱ        62

英語ライティング   95

日本史        98

地理        100

化学         96

生物         98

物理         99

地学        100

保健         98

 

合計1242  平均 95.53

 

英語Ⅱが普通のテストだったらどうなっていたんだろう。

62点を取っていても、平均95行くのだから

 

「過去最低な結果よ」

 

『あはは、泣けるぜ』

 

「次のテストでは悠木ももっと頑張りなさいよ」

 

『また・・・お世話してください』

 

「・・・」

 

自力では無理です

だから、そんな冷たい目で見ないでください

 

 

 




ラフ画に悩み続け全く進んでいないKeyです!
いつか描こうと思ってはいるもののやっぱり色付きが好きなのでそっち優先で描いています(^-^;


【挿絵表示】


今期のアニメも始選別している最中です!駄女神は安定して楽しいです!

次のイラストについてですがメインヒロインの話なので祈ちゃんを描こうと思っています。
とうとう彼女の私服が出ます!
可愛く描きたいなぁ(///▽///)
それでは皆さんまた次回で!!


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8話 ストーカー編ー1

どうも、こんばんはwhiterainです。

さて、テスト編も終わって新章が始まります。

とりあえず、新キャラが増えていくと思いますが、頑張っていこうと思うのでよろしくお願いします。
まぁ、Keyさんの後書きで既に後輩の登場が分かってしまっていますが・・・(-_-)
というより次話で出る保証も出来ないのですが・・・

また、別件ですがファイアーエムブレムのスマホアプリがリリースされましたね!
自分もやっています。
ですので、いままでずっとサボっていましたが、これを機にもう一つの凍土の剣の方も
もう一度更新し始めたいと思います。
ちょっと考えていた内容やら設定やらが抜けているところもあるので、色々ミス等も
あるかと思いますが、こちらの方もよろしくお願いします。


土曜日、午前9時30分に俺こと悠木陽詩は駅前で人を待っていた。

 

羨ましいか?可愛い女の子と2人で買い物だぜ?

俺も、遂にリア充デビューだぜ!

 

と真面目に言える日を迎えたかった訳だが、そんな上手く日常を遅れなかったわけで。

 

『確かに可愛い女の子と2人で買い物なのは間違いないんだけどなぁ・・・』

 

1つ俺には懸念事項があるわけだが・・・

 

皆さんも覚えているだろうか俺が宮瀬祈と初めて会った時のことを

 

あの深く被った帽子、似合わないサングラス、怪しいマスク着用、更には時季外れのコート

どう考えても通報モノのあの不審者を。

 

まぁ、きっと宮瀬もさすがにあの格好は自重してくれると信じて

 

「お待たせしました」

 

『おぅ、そんなに・・・ハァ・・・』

 

いや、予想はしてたんだけどなぁ。

それでも、僅かな期待を込めてたんだ。

 

その期待はいまこうして目の前にいる不審者に裏切られたわけだが・・・

とりあえず、

 

『あっ、自分知らない怪しい人には着いていくなって子供の頃に教わったんで』

 

自分の間違えに気付いて貰うべく宮瀬をスルーしておこう。

 

「何を言っているんですか悠木さん?」

 

『いや、なんで自分の名前を知っているのかわからないですけど俺そんな不審な人知らないんで』

 

「・・・そうですか、良い度胸してますね?潰しますよ?」

 

さすがにここまでこれ以上弄ると後が怖いので、ここまでにしておくが。

 

『だってよ・・・お前はその格好でいつも歩いてるから、慣れてるのかもしれないけどさ

 さすがに俺にその格好の人と歩けってのはさすがに・・・キツい』

 

これは俺に限った話しじゃ無いだろうよ。

想像して欲しい!

 

誰かと2人で歩くとして、片方があからさまな通報モノの不審者。

間違いなく歩く人はこの宮瀬を見るだろう、というか俺でも二度見する。

 

そして、その宮瀬を見れば必然的にその横を歩く俺も見られる。

1日に多くの人々に見られ、ヒソヒソと話される。

俺みたいなチキンハートには耐えられない。

 

「じゃあ、私に正体をバラせと言いたいのですか?」

 

『いや、そこまでは言ってねーじゃん?

 たださ、帽子の中に髪の毛仕舞って、服装も少し変えればだいぶマシになるだろ?』

 

「念には念を押すモノでしょう!?」

 

『いや・・・とりあえず、まずこっち来い!』

 

「きゃっ!」

 

宮瀬の手を引いて、人気の無いコインロッカーの方に連れて行く。

 

「何をするんですか!?

 襲うんですね!エロ同人みたいに!」

 

『ちょっと、その口を塞げ!!』

 

何いきなり言いやがる!

ちなみに間違いの無いように言っておくが、宮瀬の言っているようなことは考えていないぞ

あの格好の宮瀬と話していたら段々視線が痛くなってきて耐えれなくなっただけだ。

 

『とりあえず、その怪しい格好なんとかしろって!』

 

「だから、それでは私の正体が・・・」

 

『そんな格好のやつと一緒に歩けるか!

 今日1日俺に付き合うってことで良いじゃないか?』

 

「どういうことですか?」

 

『俺は学校では隠してるけど、別に外でまで気を使ってない』

 

実際、俺の格好はそりゃ少しは気を使ってはいるけど宮瀬が気付いたように俺と付き合う人なら気付ける。

 

『だから、最悪俺に付き合ってる程度に振る舞えば良いだろ?

 俺を彼氏だと思って、彼氏の趣味に理解のある彼女と思って行こうぜ!』

 

「うーん・・・彼氏とはとても思えませんが・・・」

 

何だろう?

表面でも毒が少し出てきてるけど、内面は身の程を知りなさいと思われる気がする。

 

『とりあえず、そういうものを買うなら会計とかは俺が持って行ってやるから

 だから頼むからその格好を変えてくれ』

 

「・・・仕方ないですね・・・その代わりしっかりと私を守ってくださいね」

 

『・・・・おぅ///』

 

あんな感じに守ってくださいねって言われたらさすがにグッと来るもんがある。

男って単純だぜ・・・

 

「ちょっとこれをコインロッカーに置いてきます」

 

『おぅ・・・了解』

 

良く考えると俺って宮瀬の私服初めて見たんだよなぁ・・・

白いシャツワンピースに、クリーム色のトレンチコート、今はハンチングキャップに髪を仕舞って

隠しているが、この格好で普通に髪を出している状態を見たかった!

 

いや、このままでも十分可愛いと思うんだけどな!

 

「さて、どこから行きましょうか?」

 

『とりあえず、どこに行こうかね

 おっ、ちょっとこれ見てくれよ?』

 

そう言ってスマホを宮瀬に見せる。

 

(で、どこに行きたいんだよ?)

 

勿論、俺にどこに行こうか聞かれても答えれる訳がない。

今回のお出かけはあくまでも宮瀬への付き添いで来ているんだから。

 

だけど、これを直接言ったり、どこへ行きたいかを口に出させるとまた文句を言われると事前に察してみた。

いや、いつものパターンからの推測だけど。

 

「ええ、結構良い感じですね」

 

(まずは、新作のライトノベルと適当にグッズを・・・)

 

宮瀬はスマホに入力してからこちらへ渡す。

 

『お、案外高評価?』

 

(となるとア○メイト?)

 

「良いとこ突いてますよ」

 

(妥当ですね)

 

周りに知り合いもいないのに無駄な演出をしている気がする。

この努力が無駄になるとは思わないけどさ

 

『それじゃあ、行こうか』

 

「はい」

 

そのまま、宮瀬と連れだって歩き出す。

 

「・・・・・・」

 

そのときはまだ、今のやりとりを見ていた人がいることに気付いて居なかった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「着きましたね!」

 

『テンション上がるの早いわ!』

 

本人に隠す気があるのか不安になってくるぜ。

いや、隠す気あるのは分かってるし、好きな物を前にして興奮を抑えきれなくなってるのはわかるんだけど。

 

あくまでも俺の付き添いという立場出来てるんだから。

 

「仕方ないでしょう・・・久々なんだから」

 

『若干、混ざってきてるぞ?』

 

「っ!慣れない場所だから緊張しますね」

 

むしろ、俺より絶対通ってるはず。

だから、恐らく

 

『はぁ・・・とりあえず、すいません!』

 

「はい、なんですか?」

 

店員を呼び止めて、今のうちにやっておきたいことを。

 

『少し聞きたいことあるんですけど、ここで良く不審な人見ませんか?』

 

「悠木さん!?」

 

「不審な人ですか?」

 

店員さんが怪訝な表情をしているが、宮瀬の反応からして間違いなく、

 

『ええ、帽子を深く被って、サングラスにマスク、夏でもコートを着ている、丁度彼女くらいの身長だと思うんですけど・・・』

 

「あぁ・・・あの女性の方ですか、確かに良くお見かけしますね。

 私たちの間でも有名な人ですよ?ですけど、特に見た目にそぐわず悪い方ではありませんよ」

 

やっぱり、有名人でした。

 

『なるほど・・・忙しいところすみませんでした』

 

「・・・ひゅーひゅー」

 

そっぽ向きながら、吹けてもいない口笛をして誤魔化している。

見るからに動揺しているのがわかる。

 

『宮瀬さんや・・・・』

 

「・・・・・」

 

『祈さん?』

 

「・・・はい?」

 

良く考えると初めて名前で呼んだ気がする。

ドラマチックなことも無ければ、別に仲が深まった訳でもないけどな!

 

『自分の不審者具合分かりました?』

 

「でもですね、そう思われたとしても私だと言うことがわからなければ!」

 

『いや!?まず、一歩間違えたら警察に止められるからな!

 というか一種の有名人だということに危機感覚えろって!』

 

「その問題は良いんです!」

 

『良いって・・・お前なぁ』

 

学校では一応才色兼備の少女とかマフラー少女とか言われているのに、一歩外出てこういうところに来たら

不審者としての有名人。

さすがに、不審者扱いされる方法で正体を隠すのはなぁ・・・

俺と状況も違うし、そこまで宮瀬の事情に詳しい訳でも無いから考え方が違うのかもしれないけど。

 

「良いんです!それに今日は楽しむ為に来たんですよ」

 

『まぁ・・・そうだよな』

 

確かに、こんなこと言うのは学校でもいい話か。

今日は宮瀬に付き合うって決めたんだから、俺も今は置いておくか。

 

「デートなんですから、張り切って行きましょう」

 

そう言って、流れる動きで俺の腕を取った宮瀬は

 

『お、おい・・腕なんか組んで、どうし・・・俺の腕はそっちに曲がらないーーー!!!』

 

宮瀬が、そんなに甘い訳無かったぜ・・・

こんな風に、彼女っぽく振る舞う演技をした時点で気付くべきだったぜ・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「反省しました?」

 

『うぃっす・・・』

 

あの後、店を出るまで反射的に叫び声を上げない程度の力で関節を決められ続けた。

俺の腕が生きてて良かった・・・

 

「それで、次はどこへ行きましょう?」

 

『とりあえず、ランチタイムに近いということで、モール内を見てまわる感じでどう?』

 

「ええ、良いですよ」

 

宮瀬とショッピングモール内を歩いてると、不思議な感覚になる。

小豆と歩いているのは家族と歩いているような感じだし、美夏と歩けば、ただ美夏に連れ回される。

いや、素の宮瀬ならきっともっと連れ回してくるか・・・

 

「悠木さんはペットとか興味無いんですか?」

 

『ん?無くはないけど』

 

宮瀬が視線を向けてる先にあるのはペットショップ。

 

「猫と犬・・・どっちが好きです?」

 

『まぁ・・・猫の方が好きかな』

 

ちなみにペットが居ないかと言えば今の家には居ないが、親父のところへ行けばいる。

母親が親父のところへ行く際に連れて行って猫が。

 

さすがに、俺1人で住む家に猫を置いておくわけにもいかなかったしね。

学生1人じゃ何があるか分からん。

 

「あっ、一緒ですね!」

 

『宮瀬も猫好きなの?』

 

「はい!ちょっと見ていっても良いですか?」

 

『おぉ、良いよ・・・それと申し訳ないがその間にちょっとお手洗い行ってくるわ』

 

「わかりました」

 

宮瀬を置いていくことに一抹の不安がないわけでも無いが、ペットショップなら大丈夫だろう。

髪を仕舞っていても美少女、性格はアレでも美少女だからなぁ・・・

1人にしても面倒な奴に絡まれても困るし、早めに戻るか

 

『・・・・・・・あぁ』

 

早めに戻ったのが仇となったらしい。

いや、絡まれてるわけでもないんだけど、面倒そうな匂いがする。

 

「にゃあ?にゃにゃにゃ」

 

満面の笑みで子猫に話しかけている宮瀬。

 

「にゃ、にゃあ」

 

『あの、宮瀬さん?』

 

いつ終わるのかもわからないから、ちょっと怖いものも感じるが話しかけざるおえなかった。

ただ、どうせやられるなら余計なことをしてしまうのが俺という男の残念なところ。

 

「にゃお?・・・・あっ・」

 

パシャ

そのまま、手まで猫の真似をして振り返る宮瀬さん。

スマホを向けて写真を撮った俺。

 

『あぁ、何かごめんな宮瀬さん・・・いや宮瀬ニャン』

 

「な!なななな//////」

 

『いや邪魔するつもりはなかったんだけど・・・』

 

「撮ったんですか!?////」

 

『いや、なんだ・・・めっちゃ可愛かったよ?』

 

「悠木さん!!!」

 

固まっていた手を下げ、猫の真似をやめた宮瀬がプルプルと震えている。

あっ、これはヤバイ!

 

『今のは仕方ないと思う!』

 

身を翻し、迷わず走り出す。

そして、すぐに宮瀬は俺を追って走り出した。

 

「写真を撮ったのが悪いんです!!」

 

『だから、可愛かったって言ってるじゃ無いか』

 

「そういうこと言ってるんじゃないですよ!!」

 

 

この命を賭けた?追いかけっこは昼時を迎えるまで続くこととなる。

周りから見たら、微笑ましい光景だっただろう

 

追いかけ回される当人の気持ちはさておいてだが・・・




こんにちはKeyです!
家で育てている植物がおおきくなりすぎて困っています(-o-;)
鉢を変えてみたはいいもののすぐにいっぱいになってしまいました。笑


【挿絵表示】


皆さん挿絵は見てくれたでしょうか?
ちょっと自分の考えていたような感じではなくなってしまいました。絵というのは難しいですね〜。
うまく描けれるように頑張ります!!
次は後輩の予定です
では皆さんまた次回で!


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9話 ストーカー編ー2

どうも、こんばんはwhiterainです。

前半と分ける予定が無かったため、短めになっております。

申し訳ないっす(汗)

ファイアーエムブレムの方も頑張っていますのでよろしくお願いします!

あっ、今回の挿絵のキャラは次回登場になります!



「ちゃんと消しましたか!?」

 

『消したって・・・ホラ』

 

そう言って宮瀬の方にスマホを見せる。

そこには先ほど撮った宮瀬ニャンの画像は残っていなかった。

 

あの後、少しの間追いかけっこをして、ちょうど良い時間で逃げるのをやめた。

そして、いま宮瀬の提案でパスタを食べている。

 

『折角スマホで撮ったのに・・・』

 

「残そうとするのが間違いなんです

 それに、悠木さんも足が鈍ったのでは?」

 

『はは・・・最近、真面目に運動なんかしてないから鈍ったかもな』

 

真実は違うのだが・・・

 

さて、忘れている人もいるかもしれないが俺こと悠木陽詩はスポーツだけは得意な男子である。

かくいう宮瀬も女子の仲では規格外の運動能力は誇ってはいる。

 

だが、そこはさすがに男子と女子だ。

基礎スペックで負けてはいられない。

 

では、何故俺は宮瀬に捕まったのか?

格好付けた理由を付けるのなら、宮瀬を振り切ってはいけないと思ったから・・・とか

良心の呵責とかと言いたいのだが。

 

勿論、俺にそんな気持ちがあるわけがないでしょう!

 

なら、どんな理由があったのかと言えば、ただ単にスマホを弄りながら走っていたからね。

 

走りながら、我が屋のPCにメールを作成→送信!

言葉にすると簡単だけど、スマホを操作しながら、人を避けて走るなんてことをしたら全力で走れるわけなんて無い。

 

ちょうど良い時間と言うのは、俺がメールを作成してから送るまでの時間だぜ!

 

『いやー・・・でもマジで早くて焦った・・・』

 

「私はちゃんと運動していますから」

 

今度、ぎゃふんと言わせたい・・・

 

『ちょっと、今度真剣に勝負してみようか?』

 

「それで、勝って誇るんですか?

 私、女の子ですよ」

 

『ぐっ・・・正論を』

 

まぁ、良い表面上は負けてても、写真は残して俺の勝利だ。

そう思うしか無い。

 

『飯食ったらどこに行くんだ?』

 

「ゲームセンターかカラオケでどうでしょうか?」

 

『今の宮瀬にそう言われると違和感しか無いな』

 

周りに聞こえないように言っているから、まだ配慮はしているが。

 

『ゲーセンってのも宮瀬みたいな女の子連れてくと目立つからなぁ・・・

 まぁ、そのために俺が行くしか無いか』

 

「何ですかその言い方?」

 

『いや、良いんだよ別にさ

 ただ、宮瀬ってゲーセン行って何するのかなって』

 

人目を気にする宮瀬があんまりはっちゃけってゲームする姿も想像出来な・・・いや、普通に出来るわ。

案外、気にしてる割にはポンコツなところも見えるからな。

もしかしたら、普段はあの不審者スタイルだからあんまり近付いてくる人もいないだろうし、テンパっても

バレることは無かったからなのかな。

 

「私だって、色々やりますよ・・・頭○字Dとか、湾○ミッドナイトとか・・・」

 

『いや、どっちも大して変わらないし、それに予想通りの女の子らしさ無いな・・・』

 

まだ、クレーンゲームとかコインゲームとかなら納得できたかなぁ。

 

「私だって女の子らしく・・・プリクラ撮ったり?」

 

『・・・無理すんな』

 

「はい・・・」

 

何か悲しくなったぜ。

本当にやってることが俺たちと変わらない。

いや、それが悪いことでは無いんだけど・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『というわけで来ちゃいましたゲームセンター』

 

「誰に言ってるんですか?」

 

あのあと自分を取り戻した宮瀬と新しい楽しみを見つけるということでゲーセンに来ることになってしまった。

 

『といっても、何をするんだ?』

 

「いつもはしないことで、貴方が思う女の子らしいことを実践してあげようと思ってます」

 

俺に女の子らしいことを求められてもわからんが。

クレーンゲームとかコインゲーム?

 

いや、車を走らせることに楽しみを覚えていた宮瀬が楽しく出来ると思えない。

それに、クレーンゲームなんてお金を溶かしていくイメージしか持てない。

 

『浮かばないんだが・・・』

 

「普段、女の子と来たりしないんですか?」

 

『小豆や美夏ならたまに来るかな』

 

それでも小豆は俺らと一緒にいて楽しんでいる気あるし、美夏はどっちかと言ったら俺らよりだし。

小豆はプリクラとか撮るのは好きみたいだけど・・・。

俺の悩む様子を見て宮瀬もわかったみたいだ。

 

「このままじゃ、ただ来ただけになりますね」

 

『もう、クレーンゲームでグッズでも集めたらどうだ?』

 

「・・・あまり良い記憶がありません」

 

『もしかして溶かした?』

 

「・・・さて、何のことでしょう」

 

大量に溶かしたんだな・・・

 

『もう、いつも通り楽しむってことで良いんじゃ無いか?』

 

「あまり長々とは出来ないですよ」

 

『一回勝負か?』

 

「それで良いですよ」

 

宮瀬とカーレースが始まる。

俺のBNR34が火を吹くぜ!

 

以下ダイジェストでお送りします。

 

『早い、だが、俺の公道最速理論に死角は無いぜ!』

 

『差が詰まってる!?宮瀬の車が近づいてるだと・・・』

 

「次のヘアピンで行きますよ?」

 

『クソ!追いつかれた・・・・何が起こってるんだ・・・気が変になりそうだ

 ストレートじゃあ、俺の方が早いんだ・・・てことはコーナーワークで負けてるってことか!

コーナーで負けるなんて走り屋として最大の屈辱だ!』

 

「宣言します、次の5連続ヘアピンで抜きますよ」

 

『今日に限ってやたら車が遅く感じやがる!』

 

「その程度の腕じゃ、公道最速は名乗れませんよ!!」

 

 

結果

惨敗しました・・・

 

『宮瀬、めっちゃ早くね?』

 

「悠木さんノリノリでしたね、思わず途中まで面白くて様子見てましたよ」

 

暗に、私の全力はもっと早いって言いたいだけじゃ無いか!

 

『完敗だ・・・あと今日の俺の様子は黙っておいてください』

 

思わず、ノリノリでやってしまった。

気付けばどこか兄弟のような台詞を大声で口走っていた・・・

さすがに恥ずかしい・・・

 

「ふふ楽しかったですし、良いですよ」

 

『ありがとう・・・』

 

「記念にプリクラでも撮りに行きましょう」

 

『おぅ・・・』

 

仲間内なら勝つからこのテンションのままやっていけたんだよなあ。

負けると思わなかった。

 

「ほら、悠木さん早く入ってください」

 

『あ、あぁ』

 

気付けば、宮瀬が手招きして待っていた。

まぁ、俺はそこまで有名な訳じゃねーし、開き直るしかないか。

 

『2人で撮るなんて、本当にデートみたいだな』

 

「何言ってるんですか?友達同士とかでも撮るじゃ無いですか」

 

『そうか?』

 

俺、あんまり誰かと2人きりで撮った事なんて無いけどな。

漫画とか、ゲームとかの二次元なら良くあるかもしれんけど。

宮瀬もそっち側の知識か?

 

『何だかんだ、緊張するな・・・』

 

「なら、少しサービスですよ?」

 

帽子を取って、腕に抱きついてくれる宮瀬。

 

って、この娘変なところで大胆!!

 

『ちょ、ちょ、お、おい』

 

「緊張してるんですか?笑顔ですよ」

 

『あ、あぁ・・・』

 

この後のことは慣れない緊張で覚えてない。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「悠木さん?悠木さーん!?」

 

『・・・ん?はい、うん・・・大丈夫大丈夫』

 

気付くと、落書き入りのプリクラを手渡された。

あれ、俺こんなに緊張するタイプだっけ・・・自分のことながら他人事に思う。

 

「悠木さんって、思ったより初心なんですね」

 

微笑みながら言う宮瀬のその顔は多分、バカにしていたんだと思う。

お前だって彼氏いたことないだろうに・・・多分だけど。

 

『うるせ』

 

これが小豆や美夏なら全く気にならなかったと思うんだけどなぁ。

キャラと慣れの問題か?

小豆は付き合いが長いし、美夏に関しては・・・美夏だもんな。

 

やっぱり、宮瀬相手だと勝手が違いすぎるんだよなぁ・・・

 

「思ったより、時間が余りましたね」

 

『カラオケでも行くか?

 うわ、俺放心してるように見えるじゃん!』

 

「今日はそんな気分じゃ無いですね

 実際に心ここにあらずでしたよ?』

 

『残念、俺の誰もが驚くほどの美声を聞かせようと思ったのに』

 

プリクラ?

もう仕舞ったさ・・・だって、何か恥ずかしい顔してるんだぜ?

 

「次の機会を楽しみにしてますよ?」

 

『信用してないな』

 

まぁ、俺の美声(本当)は今度忘れた頃のお披露目となる模様です。

 

「・・・・・・・」

 

『どうした?』

 

宮瀬が何かを探すように辺りを見渡している。

 

「いえ、気のせいかもしれませんが何か見られてる気がして・・・」

 

『いつも見られてたんじゃ無いのか?』

 

不審者ルックにしろ、普段の格好にしろ宮瀬なら良く見られると思う。

 

「それとは違うような感じだったんですけど・・・」

 

『うーん、ちょっと気にしすぎな気もするけど・・・』

 

まぁ、気にしすぎなくらいのが身を守れるってこともあると思うし。

 

『なら、今日は送ってくよ

 また、機会もあるだろうしな』

 

「でも・・・」

 

『あー、別に誘ってくれりゃいつでも付き合うよ』

 

思ったよりも楽しかったしとは口には出さないが。

 

「・・・わかりました」

 

『じゃあ、送ってくよ』

 

「ありがとうございます」

 

宮瀬と寄り添って歩く俺達2人。

 

「・・・・・・・チッ」

 

それを見ていた人物がいたことに俺たちは気付いて居なかった。





こんにちはKeyです!
イラストの色つけに関してなかなかうまくいかないので知っている方がいたら教えて欲しいです笑


【挿絵表示】

今回のイラストはどうでしたか?おそらくまだ未登場の後輩ちゃんです!
今後この子がどういう形で登場するか楽しみですね〜!whiterainさんに期待しときましょう!!(^v^)
それでは皆さんまた次回で!」


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10話 ストーカー編ー3

どーも皆様whiterainです。

本来なら昨日出したかったんですけど、ちょっと間に合わなかったですね・・・
今回は、前回Keyさんが言った通り陽詩の後輩の登場です。

後は、新宿幻霊事件をやって、邪ンヌの衣装にヤベーと感じてKeyさんに
無理を言って美夏ちゃんに着せてもらいました。

これを描いて欲しいだけの為に、私はこの話しを書いたと言っても過言じゃありません。

それでは始まります。


宮瀬とデート擬きをしてから1週間以上が経った。

その間、俺は何事も無く過ごせていた。

一つを除いては・・・

 

「あれから、毎回誰かに見られてる気がするの」

 

気付けば生まれていた日本文化研究会なる部活の部室にて宮瀬から相談を受けていた。

 

『うーん、でも宮瀬だって見られたりするのは慣れてるんじゃ無いのか?』

 

綺麗な娘だったり可愛い娘が居たらみんな一度は見るだろう。

イケメンだってしかりである。

 

「上手く言えないけど、そういうのとは違う感じなの」

 

『そうは言われてもな・・・俺にどうしろって言うんだ?』

 

そんな表だった付き合いしてない俺に何をしろというのだろうか。

じゃあ、宮瀬と一緒に居て守ってやる!

 

これじゃあ、今の状況とも本末転倒だ。

 

それなら隠れて見守る!と行けば俺がストーカーとして検挙されて終わるだろう。

 

それになぁ・・・

 

「ストーカーを見つけなさい」

 

『どうやって!?というかストーカー決定かよ!?』

 

「そうに決まってるでしょ?」

 

『って言われてもなぁ・・・いま人のこと言えないんだよな』

 

誰にも話していないが、俺もあの日以降誰かに見られてる気がするんだよなぁ。

俺なんかをストーカーする奴がいるとは思えないから何が目的なのか

 

 

「何か言った?」

 

『いや何も・・・』

 

「もぅ・・・まぁ、良いわ、とりあえず頼んだわよ」

 

『出来る限りはな・・・それと、ちょっと出てくるから』

 

「わかったわ」

 

部室から出て、辺りを見渡す。

 

『おかしいな・・・誰かが覗いてた気がしたんだが・・・』

 

こんなところでストーカーが出るとは思えないというか思いたくない。

あくまでも願望だが・・・

 

少し歩いてみるか、もしかしたら怪しいやつがいるかもしれん。

 

『つっても、こんな簡単に見つかるなら苦労は無いんだけど・・・って誰だ!』

 

いきなり後ろから誰かに飛びかかられ、思わず反射的に振り払った。

ちょっと最近気が立ってたからかな。

 

「痛ーい! もう何するのさ陽詩!!」

 

『誰だ・・・って美夏か!・・・って何してんだよ?』

 

「最近、陽詩が私をぞんざいに扱ってる気がするー」

 

『いや、悪かったよ・・・無理に払ったことはだが』

 

「むー!!」

 

『というか、美夏その格好はどうしたんだ?』

 

「これ? コスプレよ!」

 

美夏の格好は某新宿の時の黒い聖女の私服姿に似ている。

コスプレと言えばコスプレだが、服装は学校じゃ無きゃそこまでおかしくないと思うけど・・・

 

『あんまり、深く触れたらいけないやつだな』

 

「ジャ○ヌ・美夏・オルタよ!」

 

『いま触れたらいけないって言ったばっかりだからな!!』

 

そんなに深く触れたら、タグに入れなきゃいけなくなるんだからな

そこら辺、気をつかって貰いたい!

 

「えぇー良いじゃん、陽詩だってやってるじゃん、FG〇」

 

『○の位置間違ってるんだよ!モロバレどころか隠れてないだろそれ』

 

こいつ何もわかってねーぜ!

いや、美夏にそんなことを期待するだけ無駄か・・・

 

『それで、お前こんなところで何をしてるんだ?』

 

「何をって言われても、コスプレだよ」

 

『それは見たらわかる、何しに・・・ってちょっとそこのやつ!!』

 

廊下の曲がり角の向こう側からこちらをのぞき込んでいる存在がいた。

関係ない人なら申し訳無いが、怪しきは疑わせてもらう。

 

美夏? そんなのは後でも良いのです。

 

「・・・・・・」

 

そこにいたのは黒髪のボブヘアーの女の子(わかってると思うけど、外国人ボブっぽい印象を受け髪型じゃないぜ?)

 

『君は・・・』

 

ネクタイの色から、後輩ってことはわかる

今の年代は1年生は黄緑、2年生は赤、3年生は藍色となっている

そして、来年の1年が再び藍色になるのだ・・・っていうか

 

『逢?』

 

「はい・・・お久しぶりです先輩」

 

花咲逢香

俺の中学時代の後輩で、水泳部所属。

これだけ、見れば帰宅部の俺とは全く関係なさそうだが・・・

逢はわかりやすく言えば宮瀬のような感じである。

 

見た目は真面目、中身はオタク趣味。

そうなれば、知り合う機会でもあれば仲良くなれるわけである。

そう考えれば、宮瀬とも仲良くなれそうだよなぁ・・・

 

桜風高校に入学してたのか、いや知らなかった。

 

『久しぶりだな、この高校に入学してたのか』

 

「はぁ・・・」

 

いきなりため息つかれたんですけど!?

え、何か俺した?

逢は俺をジト目で見て

 

「私、陽詩先輩に合格のメールしました」

 

『ははは・・・マジで?』

 

前略、遠く離れた母上へ

 

最悪なのは俺でした

 

「もう、陽詩先輩は相変わらずなんですね」

 

『本当にごめんなさい、完全に忘れてました』

 

言い訳をするのなら私的に進級から激動の日々を過ごしてきたので勘弁してくださいと言いたい。

 

「やっと、会えました・・・ところでそちらの人は」

 

『ん?あれ、美夏のことは知らないんだっけ』

 

「私は会ったこと無いよー」

 

俺と美夏は同じ中学で、勿論逢も俺と同じ学校だ。

俺が美夏と知り合ったのは中学2年で、逢も中学2年。

 

てっきりどこかで会ったことあると思っていたのだが

 

『じゃあ、こっちのコスプレ少女が江崎美夏

 あれだよ、別にこんな格好だけどガチなオタクってわけじゃないよ』

 

美夏の場合、ノリが良いからコスプレくらいなら気にいれば全然する。

中身までは把握してないから見た目だけで言動は変わらないけど。

 

「ジャンヌ・美夏・オ〇タだよ!」

 

『まぁ、バカだ』

 

「そうそう、バカ・・・・って陽詩!!」

 

『ちょっ!まだ紹介終わってないんだから掴みかかってくるな!』

 

バカに反応して、美夏が掴みかかってくる。

逢が呆れてるから!

 

「あはは・・・」

 

『まったく・・・』

 

美夏を引きはがして、次に逢の方に手を向け

 

『こっちは、花咲逢香

 水泳部のホープで、帰宅部たる俺の唯一の後輩』

 

「ホープだなんて、私はまだまだです」

 

「でも、陽詩にこんな可愛い後輩がいたなんてね~」

 

『まぁな』

 

本当に俺もビックリ。

人生、何があるかわかったもんじゃないよね。

 

今の俺の年齢で言うなって?俺もそう思う。

 

『ところで、美夏はいつまでその格好でいるんだ?』

 

「うーん、もうちょっと誰かに見せてから!!」

 

『まぁ、怒られない程度に・・・ってどこに行くんだ?』

 

「ここに居てもあんまり人が来ないから、もう少し人が多いとこ行ってくるー」

 

そのまま、美夏は走り去る。

台風、みたいな奴だな。

 

「面白い先輩ですね」

 

『そう思ってくれるうちが華だな』

 

きっと、いつか面倒に感じるときが来るだろう。

 

「でも、あそこまでストレートに行動出来るのは羨ましいです」

 

『そうか?ところで、逢はこんなところで何してたんだ?』

 

ここは文化部が立ち並ぶ部室棟で、運動部に所属しているだろう逢がいるのは何か目的があるはず。

もしかしたら、用事が終わって偶然出会ったという線も無くは無いのだけど

 

「私は、陽詩先輩がこっちに来たって聞いたんで」

 

『・・・へ?』

 

俺に会いに来たの?

 

「陽詩先輩に一度は挨拶しようとずっと、機会を狙ってたんですが・・・」

 

『機会?』

 

そんな俺に会うなんて、普通に声かければ良いと思うんだけど。

俺はそんな人気者なわけじゃない、話しかけたら殺られる!!

なんてファンクラブがあったりはしないのだから!!

まぁ、あっても困るんだけど。

 

「はい、1週間くらい狙ってたんですけど

 今日は陽詩さんの方から来てくれました」

 

『え・・・・1週間?』

 

「はい、1週間前くらいから、テスト前は忙しいかなと思ったので」

 

1週間、俺が誰かに見られた気がしてたのは逢だと思われる。

そうなると、俺と行動してたときの宮瀬も見ていた可能性もある。

 

それをストーカーと勘違いしたっていう線はないだろうか?

 

『ちなみに、先々週の土曜日はどこに居た?』

 

まだ確証は無いけど、そうであって欲しい。

訳のわからない本当のストーカーなんて勘弁して欲しい。

 

そいつが本当にヤバイ奴だったら、俺にどうにか出来るわけが無いし。

俺はただのオタクであって、隠しているが実は凄腕の剣の使い手とか、マーシャルアーツを極めてるとか

仮想世界の申し子だとか、さすがお兄様(妹居ないけど)なんてことは無いのだから。

 

「そんなに、私のこと気になります?」

 

『あぁ、君のことなら何でも知りたいよ』

 

「私も貴方になら何でも話せます」

 

何だろう、恥ずかしさを隠して台詞っぽく言ってみたら、普通にノリノリに返された。

まぁ、話してくれるんなら都合は良いからいいや。

 

「先々週ですか、その日は部活の練習に参加してましたよ」

 

『まだ、入学して間もないのにか?』

 

「はい、一応推薦みたいなもの貰っていまして、早めに部活に参加してるんです」

 

『したら、その日は俺を見てない?』

 

「残念ながら・・・」

 

さよなら宮瀬 祈ストーカー事件の解決。

全く別人だったぜ。

 

『そうかぁ』

 

「何かあったんですか?」

 

『いや、別に』

 

自分を見ていた人物が誰か分かっただけでも良しとしておこう。

これからどうしようかと思ったとき、ポケットのスマホが震えた。

 

『おっとごめん、電話だ』

 

そう言って、逢から距離を取り電話に出る。

 

『はいよ?』

 

「そろそろ帰るわよ?」

 

『ふーん、で?

 荷物を持ってけば良いのか?』

 

それを俺に言ってどうしろと、戸締まりするよーって話しか?

 

「ええ、私を回収しにきなさい」

 

『何・・・言ってるの?』

 

「犯人見つけなさいって言ったでしょ?」

 

それは、つまり

 

『送っていけと?』

 

「ええ、校門近くのところで待ってるから」

 

『いや、俺まだ「鞄は私が持ってきてあげたから早く来なさいよ」おーい聞けー』

 

電話は切られていた。

面倒くさいけど、行かない方が面倒になるか。

 

『ごめん、逢ちょっと用事出来たわ』

 

「あ、そうです・・・か」

 

残念そうな逢を見て申し訳無い気持ちが溢れてくるが、文句は宮瀬に行ってもらうしか無い。

いや、こんな余計なことをすることになった原因は誰かも掴めていないストーカーのせいか。

 

『ごめんな、また時間作るから』

 

「絶対ですよ?」

 

『ああ、絶対だ』

 

逢に別れを告げ、校門の方へ向かう。

 

「これは違うのー!!」

 

「こら待て江崎!」

 

「うわーん!着いてくるなー!このストーカー」

 

「教師に向かって何を言ってるんだ!!」

 

『・・・気のせいだな』

 

何か逃げているジャンヌが見えた気がするが、これはきっと気のせいだ。

何だかんだ美夏は捕まらないと思うけど、あいつを捕まえるのはなかなか難しいし。

 

『いや、あいつは一回くらい捕まった方が良い』

 

「そうですね」

 

『お、宮瀬もそう思う・・・って』

 

「遅いですよ」

 

だからってわざわざ来なくても良いと思うんだが・・・

 

『そうしたら「早く行きますよ、長くいると誰かに見られますから」おぅ』

 

誰かにあんまり見られたくないなら、一緒に帰らなきゃ良いのに。

何考えてるのかよく分かんねーや。

 

「いやー!!しつこい助けて陽詩ー!!」

 

「待たんかー!!」

 

「そんなんじゃこの俺は捕まえらねーぜ!」

 

『うん、本当に早く帰るか』

 

「?」

 

宮瀬を押して早く、逃げるように学校から出て行く。

 

1人増えていた気がするが目に入ったアホ2人は気のせいだ。

きっと関わると面倒なことになる。

 

だから、これは仕方ないことなんだ、見捨てたわけじゃないんだよ?




こんにちはKeyです!
春に近づいてきて暖かくなり毎日が眠たいです。
さて今回のイラストですが……whiterainさんの強い要望により描かせていただきました!


【挿絵表示】


まあ、ファンの方には少し残念な感じかもしれませんね〜完成度が低くて……(^-^;

私もこれをあまり知らずに描いていたのでどういう風な感じなのかわかりませんでした!
今後もこういうのがあるかもしれませんが暖かく見守ってください。
(安心して、あるよ by whiterain)

では皆さんまた次回で会いましょう!」


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11話 ストーカー編-4

皆様、こんばんはwhiterainです。

今回は小豆ちゃんがメインかな?

とりあえず何か色々影響受けてますね(^_^;)

気にしないでいきましょー!!

あと、小豆ちゃんの設定画です。
Keyさんが触れなかったのでここで出して、私が触れておこうかなと


【挿絵表示】


といっても、私イメージだけ伝えて後はお任せ状態なので語れること殆ど無いんですけど。
The 幼なじみを狙って、それ故に踏み切れない関係です。
そして、それがゆくゆくはヤンデレ化していく予定
まぁ、Keyさんに止められてるのでどうなるかは未定なのですが・・・

これからも、少しずつ絵は変わっていくと思いますね

2人で頑張っていきますよー!
というわけで始まります


数日後の帰り道

 

宮瀬 祈ストーカー事件に進展は全くない。

 

ただ、宮瀬が学校でも視線を感じると言ったことから、恐らくは同じ学校の人物だろうとなった。

悪魔でも・・・間違ったあくまでも多分だが。

 

「悠木、私が言いたいことがわかりますか?」

 

『おぅ、今から考えるわ』

 

宮瀬はいきなり何を言っているんだろう。

いや、何が言いたいことはわかるんだけど、それを素直に言うのも何か嫌だと言うか。

ここは、あの人物を参考にして乗り切ろう。

 

『わかった、俺の格好良さに宮瀬も我慢できなくなったんだな?

 仕方ない、受け止めるから俺の胸の中に飛び込んでこい!』

 

バシンッ

 

「悠木、私は怒っています」

 

『今のビンタはスルー!!

 というか、そんなこと俺に言われてもな』

 

普通に痛い。

いや、やっぱり言動が痛い人物の真似をしたからか?

 

「早く見つけなさい、それと次ふざけたこと言ったら潰しますよ?」

 

『いや、手がかりすら掴めてないのに?

 何言ってるんですか宮瀬さんは・・・そんなの出来るわけ無いじゃんもう、バカなの?』

 

全くやれやれと言ったように今度は美夏風に振舞うと、宮瀬はいきなり立ち上がりこちらへと

 

「裂空十文字!!」

 

『がはっ!』

 

何か後ろに紋章が見えた気がする・・・

いや、感じたのは痛みだけだけど。

 

ていうか、何をされたのかわからなかった。

 

『こ・・・いつ、化け物か・・・』

 

俺の口から思わず漏れた声を聞き逃す宮瀬さんではなかった。

 

「一度では、凝りませんか・・・

 では、更にもう一撃・・・」

 

『え、ちょ、何その紋章?

 何で後ろに浮いてるの、何で足元にも出てるの!?』

 

「獅子王炎神・・・」

 

『何かはわからんが多分、それを受けたら俺は死ぬ気がするよ!!』

 

「大爆破ー!!」

 

『がはぁ!・・・・・』

 

「・・・やりすぎたかしら?」

 

私は焦げた悠木をつんつんと突きながら、ちょっとやり過ぎたかなと後悔していた。

まぁ、家に送り届けてあげれば良いかな?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『見慣れた天井だ・・・』

 

何かわからないけど、ひどい目にあった気がする。

本当に何でだろ?

 

身体がとても痛い。

いや、あの光はきっと夢だったんだ。

・・・・現実なわけがないんだ。

 

「陽詩くん大丈夫?」

 

『小豆?』

 

目の前が天井からエプロンをつけた小豆に変わった。

いや、よく似合っていることだ。

 

「廊下で急に倒れたって聞いたよ・・・身体どこか悪いの?」

 

『倒れた・・・俺が?』

 

「うん、宮瀬さんも心配して取り乱してたみたいだよ?

 それでね、そこに偶然通りかかった水田くんが陽詩くんを家まで運んでくれたの」

 

『ミスターには癪だが感謝しなけれなならないのか・・・』

 

「宮瀬さんにもだよ?」

 

『そうねー・・・』

 

いや、あいつが焦ったのは殺害未遂?現場を見られたからだろうから

別に俺の心配をしていたとかじゃないと思うよ。

 

「なんか、久しぶりだね陽詩くんとこうして二人で話すの」

 

『・・・そうか?』

 

「そうだよ・・・最近の陽詩くんはいつもどこかに行ってるから」

 

『あぁ・・・最近は忙しかったかもな』

 

宮瀬のストーカーを早く見つけるためと何だかんだと本当に相手が襲ってきたら笑えない。

もし、そんなことがあったら俺は俺を恨むだろうし、笑ってなんかいられない。

 

「なんか、寂しいな・・・」

 

『・・・』

 

確かに生活は変わってきているのかもしれない。

宮瀬と関わってから、時が目まぐるしく過ぎていっている。

 

昔は小豆とずっと一緒にいたかもなぁ。

 

でも、そこにみんなが加わって、今回はたまたま俺だけが宮瀬と深く関わった。

 

『変わらずにはいられない・・・ってことかな』

 

「でも、私はみんなと変わらずにいたいな・・・それに、、ねぇ陽詩くん、こんな詩知ってる?

陸奥の しのぶもぢすり 誰ゆゑに 乱れそめにし われならなくに」

 

『・・・小豆、申し訳無いけど俺がわかると思うか?』

 

「あはは、そうだよね・・・なんか変なこと言っちゃったね・・・

 あっ、陽詩くんが寝ている間にご飯作ったから一緒に食べよ?」

 

小豆はそう言って足早に部屋を出ていった。

 

『いつまでも、こんな風に・・・か

 それに、さっきのやつって何なんだ』

 

そう願っていても、いつまでもっていうのは無理なんだろうな。

だから、今を精一杯バカやって生きて、思い出を作っていくんだ。

だが、本当にさっきの何だ?

 

 

「私は・・・このまま離れるなんて認めないよ・・・認められないんだよ」

 

部屋の外で小豆は自分に言い聞かせるように呟いていた。

その表情には若干の影が見えていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はい、陽詩くんお茶だよ」

 

『さんきゅ』

 

食後にお茶を貰って、一息つく。

湯飲みを置いて、とりあえず、さっきの言葉の意味が改めて気になった。

何故か知らなければいけない気がした。

 

『小豆、さっきの詩って』

 

「ふふ、陽詩くんも興味持ってくれたの?」

 

『まぁ、ちょっとな』

 

小豆は真っ直ぐこっちを向いて嬉しそうに笑っている。

何か、まだ違和感を感じるんだが・・・気のせいかな

 

「私の口からは教えられないけど・・・陽詩くんが興味を持って調べてくれるんなら

 もう2個足そうかな」

 

『おぅ・・・マジかよ・・・』

 

そもそもさっきのもわかってないのに

あれ詩集の内容か?古文か何かか?

 

「じゃあ・・・しのぶれど 色に出でにけり 我が恋は ものや思ふと 人の問ふまで」

 

『・・・?』

 

全くわからん。

俺には理解できない分野だ。

 

「もう1つは、かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを・・・かな」

 

『ごめん、全くわからん』

 

「じゃあ、私からの宿題!期限は付けないけど・・・早く意味を知って欲しいな」

 

『努力はするよ・・・』

 

とりあえず、宮瀬の問題を解決したら、次はこれか。

 

『俺、でも今の覚えられないんだけど?』

 

紙に書くなりしてくれないとさすがに無理なんだが。

 

「紙は嫌だなぁ・・・あ、そうだ陽詩くんもう一度だけ言うから

 スマホで録音してくれる?」

 

『まぁ、それでも良いけど』

 

「やった、じゃあ、もう一度だけ言うからちゃんと録音してね」

 

小豆は小さくガッツポーズをして嬉しそうにしている。

何がそんなに嬉しいんだか・・・

とりあえず、スマホのボイスレコーダーを起動して

 

『じゃあ、頼むわ』

 

「うん、それじゃあ1つ目!

 陸奥の しのぶもぢすり 誰ゆゑに 乱れそめにし われならなくに

 2つ目は、しのぶれど 色に出でにけり 我が恋は ものや思ふと 人の問ふまで

 最後だよ、かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを・・・だよ

 頑張って陽詩くん」

 

『はい、オッケー』

 

「うん!」

 

『嬉しそうだな?』

 

「ちょっとね・・・陽詩くんが私の声を何度も聞いてくれると思うと嬉しいなんて言えないよ・・・」

 

『まぁ、良いけどさ』

 

「陽詩くん、楽しみに待ってるから」

 

『あ、あぁ』

 

宮瀬にでも聞いたら、わかるかな?

え?自分で調べて解かないのかって?

 

無理に決まってるじゃん、俺の頭の出来じゃ

 

「じゃあ、私そろそろ家に帰るね」

 

『おぅ、気を付けてと言っても俺も外に出るし、すぐ横なんだけどな』

 

「それでも、ちゃんと外に出てくれるし心配してくれんだね」

 

『そりゃあな、小豆になんかあったら目覚め悪いだろ』

 

「ふふ、自分のため?」

 

『そ、そりゃ、勿論』

 

別に悪ぶる気も無いけど、何か素直にもなれない思春期の心か。

 

「それでも嬉しいけど、陽詩くんは素直じゃ無いね

 じゃあ、またね」

 

『おう』

 

そのまま、小豆が家に入っていくまで見守ってから、家に入る。

 

『やっぱり何か、いつもと違う感じだったな・・・』

 

いや、そんな日もあるか

きっと、気のせいだろう。

 

この時、

もしかしたら、みんな変わらずにいられないと言っておいて、変わることは無い変わらないと思っていたのは

俺の方だったのかもしれない。

 




こんにちはKeyです!
どうもお久しぶりです!
出すのは約一ヶ月ぶりですね〜!新年度にもなりまして毎日が忙しいかぎりです(-o-;)


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今回はあんまり描けてなかった小豆ちゃんです!始めの絵と同じように出来なかったのでちょっと修正させていただきました笑
前回の小豆ちゃんよりは可愛く描けたかなぁと思っています(´▽`)
今後も修正させていただくことがあるかもしれませんがそれでもうまく描いていくために必要だと思っているのでこれからもよろしくお願いします!
それでは皆さんまた次回で!!」


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12話 ストーカー編ー5

どーもーwhiterainです。

最近、忙しくなってきてあんまり書く暇が取れない・・・
昔は私がKeyさんを急かしてたのに私が急かされるいまです。

それでは始まります!


自分から望まなければ手に入らない。

それは確かなことである。

 

しかし、時には望まなくても道が切り開かれるときがある。

 

そうこれは、俺が昼食を取ろうとしたときの話しだ。

 

『うわ、やっぱり出遅れたからキツいなぁ』

 

家事が出来れば、料理が出来れば弁当を毎回ちゃんと作るのか?

と問われればたいていの人はNOと答えるだろう。

 

出来ても面倒なものは面倒だ。

 

それでも毎食学食よりは上手くやれば安上がりになるので基本は作るのだが・・・

 

この日はたまの弁当が無い日だった。

 

そんなわけで学食に赴いたわけだが、この日は通りがかりで変な自称モテモテな英語教師に捕まったが

ために遅れてしまった。

 

『どっか、空いてりゃ良いんだけど・・・おっと』

 

そんなことを言っていれば、1人で寂しく食べてる娘が居るじゃ無いか。

 

俺クラスになれば、華麗に相席してみせるぜ!

 

『相席良いですかお嬢さん?』

 

「良いですよ、先輩なら」

 

『もう少しノってくれても良いんじゃ無い?』

 

まぁ、俺が見知らぬ人にそんなことを言えるわけが無く、見知った我が後輩の花咲逢香だからこそ言えたことなんだけど。

 

「お昼食べてる最中ですから」

 

『まぁ、美味しそうな焼き魚だことで』

 

「先輩の唐揚げも美味しそうですよ?」

 

『食べる?』

 

「いただきます」

 

逢の方に唐揚げを置こうとすれば、

 

「先輩、あーんですよ」

 

『ちょっと、何をさせようとしてるのかな』

 

「あーん」

 

『やれやれ・・・』

 

そのまま逢の口に唐揚げを放り込む。

 

「あっ、美味しいですね」

 

『逢、お前いつもこんななのか?』

 

美夏とかは素の性格で誰に対してもこんな感じではあるけど、だけど逢はこんなじゃ無いと思ったけどな。

 

「先輩のことは信じてますから」

 

『そりゃ、ありがとう』

 

その信頼は男として見られてないだけとか、単純にへたれと思われてるとかじゃないことを祈るよ。

 

そんなことを話していれば、陽詩達に近付いてくる1組の男女。

 

「おっと、陽詩ここ良いか?」

 

『正紀に絵里香か・・・逢、良い?』

 

「先輩が良いのなら私は」

 

「ありがとう、ええと・・・」

 

「陽詩さん、お名前伺ってもよろしいですか?」

 

席に座った2人は、俺の方を向き困ったように訴える。

 

『俺の中学の後輩で花咲逢香、っで逢こいつは俺と同じクラスの杉谷正紀で良いとこのボンボンだ

 それでもう1人が正紀の婚約者で松木絵里香だ』

 

「何か、悪意を感じるがまぁ、良いだろう・・・よろしく花咲さん」

 

「よろしく御願いします花咲さん」

 

「よろしくお願いします」

 

『にしても正紀がここに来るなんて、明日は竜巻でも発生するのか?』

 

こいつが学食にいるところなんて俺以上のレアケースだ。

基本的に持ってきてるか絵里香が作るか、シェフが来るかなのに。

絵里香なら、たまに学食で美夏達と食べることもあるけれど。

いや、最後の選択肢が一般人との違いを感じさせるんだが。

 

「お前も良く知っているだろうアホがいるだろ?」

 

『アホ・・・どっちのだ?』

 

俺の知っているアホは2人いるが?

こないだ二人して追いかけられてた男のほうと女の方が。

 

「男の方だ、あいつにな食われたんだよ・・・」

 

『・・・マジで?』

 

「あいつが、俺の一口は全てを飲み込むぜ!!とか言ってな」

 

『限りないアホかあいつは・・・』

 

そして、頭にその光景が問題なく頭の中に再生出来ることが怖い。

 

「この話しはやめよう、思い出したらまた吊るしたくなってくる!」

 

『おいおい、何したんだよ』

 

その頃の男のアホ【ミスター】

 

「つんつん」

 

「駄目だよ美夏ちゃん触ったら汚いよ?」

 

「えーでも」

 

「でもじゃ、ありません!」

 

「ぶーぶー!」

 

教室の天井に突き刺さっていた。

 

再び、陽詩達。

 

「それでこの娘との関係はただの後輩なのか陽詩?」

 

「え『見抜かれたか・・・実は俺の彼女なんだ』え・・ええー!?」

 

「まぁ!」

 

絵里香は口に手を当てて驚いてくれる。

だが、正紀は頭に手を当てて、

 

「もう少し、打ち合わせするなりした方がマシじゃ無いか?」

 

『うん、俺もまさか逢がそんな反応するとは思ってなかったんだ』

 

「ふっ、陽詩は後輩達にもモテモテだな」

 

『モテモテっつうか・・・それに達って何だよ?』

 

俺の後輩の知り合いなんて逢しかいない。

いや、別に後輩が逢しかいないからって悲しくは無いんだぞ

 

「うん?さっきお前を熱心に見つめていた1年生がいたからな」

 

『俺を見てた1年生?』

 

「あっ、さっきの方ですか?」

 

「あぁ、ストールを巻いた1年生でな、お前のことを女の子がしてはいけないような顔で見てたぞ?」

 

『おいおい・・・』

 

それは2パターンあるぞ?

1つは正紀の言ったよう急に俺のモテ期が来て逢と2人でイチャイチャしたいたように見えたがための嫉妬によるもの。

そして、もう1つは俺に恨みなり負の感情を抱いてる場合。

後輩にそこまで恨まれてる記憶なんて俺には無いが・・・

 

『俺に、そんな感情を抱いているやつなんて・・・・あ』

 

後輩かわからないが、そんな制服にストールを巻くなんて、どこかの猫かぶり娘に影響されたような奴なら

あり得る。

 

でも、女の子なんだよなぁ・・・女の子が女の子をストーカーするかなぁ・・・

 

「何だ心辺りでもあるのか?」

 

「・・・先輩、そうなんですか?」

 

『い、いや、みんな人が思っているような嬉しい心辺りじゃ無いよ』

 

「本当ですか?」

 

「陽詩の場合、どこで知り合ってても不思議じゃ無いからな」

 

「陽詩さん、節操無しはダメですよ?」

 

『そんなことねーよ!!』

 

とりあえず、この話しは宮瀬にも持って行っておこうと思う。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「私に感化された後輩?」

 

『あぁ、多分お前のストーカー第1候補だと思うんだけど・・・』

 

「知りませんね・・・それにその人物は女の子なのでしょう!?」

 

『それが俺も気になってるんだよ、いや俺らみたいな人たちがその可能性を否定したらダメだと思うんだけどよ』

 

「確かにそうよ・・・でも実際に同性愛者なんて学校であんまり見ないでしょ?」

 

そりゃ、日本じゃそこまでいないし

学生に限ればもっと少ないと思う。

 

『いや、まだ捕まえるに至る証拠も無いし、あくまでも参考人程度だよ』

 

「まぁ、その程度じゃさすがに踏み込めませんね」

 

『そういうこと・・・ん?』

 

「どうしたの?」

 

前と同じように入り口の前に誰かいる。

どこまで聞かれたかわからないが今度は逃がしてたまるか。

それに、確かめたいこともある

 

『いやぁ、ちょっと足が攣りそうで・・・』

 

少し扉に近付き、足を抑えながら腰を下ろす。

 

「何やってるんですか・・・全く」

 

呆れながら近付いてくる宮瀬に、スマホを向ける。

 

【恐らく、扉前に誰かいる

 ストーカーかわからないけど

 というわけで確かめたいのでご協力をお願いします】

 

勿論、足なんて攣ってない。

というより、攣りそうなら自分で伸ばして何とかするし。

 

「ほら、足を出してください・・・伸ばしますよ」

 

そう言って宮瀬は優しく俺の足に触れる。

 

『ありがとう・・・』

 

「手間をかけさせないでくださいよ」

 

そんな風に宮瀬の頭を撫でてみれば、吹き上がる怒気。

もはや殺気すら感じなくも無い。

 

 

『間違いないね』

 

「そのようね・・・」

 

宮瀬が足から手を離すと同時にさっと立ち上がり、扉を開く。

 

『誰だ!?』

 

「このっ!?」

 

『あっ、待て!』

 

怒りに身を任せず、覗いていた犯人は素早く逃げ出す。

それに、手を伸ばして、ストールを掴むことに成功したが、そのままストールは外れ、逃げられてしまう。

 

『あいつ、足早すぎだろ・・・』

 

恐らく、正紀から聞いた女子生徒と同一人物だろう。

それに、このストールが手掛かりになることを祈るしか無い。

 

「本当に女の子だったわね」

 

『いや、本当にビックリだ

 だが、宮瀬の言っている人物があいつかはわからんがな』

 

「多分、あの娘だと思うけど

 何か感じる視線が一緒だったわ」

 

『なら、その言葉を信じるとしましょう』

 

にしても、このストールどうやって持ち主調べたものか。

 

「それと悠木、2つだけ言っておくわ!」

 

『ん?・・・おいおい近いって!?』

 

目の前にズームアップする宮瀬の顔。

こんな近い事なんてあんまり無いんだからやめてくれって!

そんなことをお構いなしに宮瀬はそのまま告げる。

 

「1つ、ストールをそんな雑に掴まないこと!

 そんな強く引っ張ったらダメになるの!」

 

『わかった!わかったから!』

 

だから早く離れてください。

俺はこれ以上下がれません。

 

「もう1つはあの娘の為というよりは貴方の為に言うけど

 ああやってストールを引っ張ったら危ないわよ!!

 今回はストールが外れたから良かったけど、あんな風に走る人のを引っ張ったら

 首に負担デカいんだから!

 全く気を付けなさいよ」

 

『あ、あぁ・・・悪かった、気を付けるよ』

 

「本当によ」

 

『わかってる』

 

あそこまで真剣に言われたら聞かないわけにはいかないし。

それに2つ目に関しては言われてみれば当たり前のことだ。

咄嗟に手が出てしまったけど、本当に外れて良かったと思う。

 

「まぁ、幸運にも外れたんだから、利用させてもらいましょ」

 

『利用って言ったってどうするんだ?』

 

「ふふ、簡単なことよ?」

 

こうして、壮大?な計画を実行することになった。

 

いや、多分全然壮大にならないけど。

2人だけだし・・・・

 

 

 

 




こんにちは〜!Keyです!
ようやく春を感じられる季節になりましたね〜!

今回ですが絵里香を描かせていただきました!


【挿絵表示】


ちょっと変わりすぎた感じですね!笑
今度は新キャラ?を描きたいと思っていますので楽しみにしといてください!それではまた次回で!


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13話 ストーカー編ー6

どーもwhiterainです。

サボってないで早く書けよと言われているだろうwhiterainです。

いや、最近は忙しくて帰ったら眠くてダウンが激しい。

FGOはめでたく☆5が17種類になりました
まだまだ続けられそう!

とりあえず嬉しかったのはジャンヌの幕間の追加で宝具によるスタンのデメリットが無くなったこと!


『えっ、壮大な計画ってこれ?』

 

「壮大って何のことよ?

 私はそんなこと言ってないでしょ?」

 

『いや・・・でもこれに引っかかるようならもう終わりだと思うんだけど・・・』

 

かごをひっくり返して、棒を中に差し込んでかごを斜めの状態で支える。

その棒にはひもが付いていて、引っ張れば支えを失ってかごは倒れるだろう。

 

こんなのに引っかかる奴は漫画の世界だけだと思う。

漫画でもあんまねーよとかは言っちゃダメだ・・・

 

「ここにマフラーを入れておけば完璧よ」

 

『お前の私物でも入れておいた方が効果的なんじゃね?』

 

「貴方は男にストーカーされて、自分の私物を餌のように与えられるのね?」

 

『悪い・・・』

 

うん、それはキツいわ。

いくらどんなイケメンだろうと無理だわ。

 

「ほら、誰か来たわ?」

 

『いやいや、変な目で見るだけで引っかかったりなんて「あ!ストール落ちてる!美夏行きまーす!っわわ、

 何か急に視界が暗くなったよ!地球の終わりなのぉ!!!」ごめん・・・』

 

「・・・・・引っかかるじゃ無い?」

 

『本当にごめん・・・』

 

でも、あれが美夏なんだ。

バカなんだあの娘は・・・いや、まぁ中にはそれが良い!天真爛漫な美夏ちゃん最高!って人もいるみたいだけど。

ん?違うなら紐を引っ張らなければ良かったじゃないかって?

あいつは自らダイブして棒を倒したんだよ!

 

『とりあえず、あのままにしておけないから、行ってくる』

 

「いってらっしゃい」

 

かごに近づき、持ち上げる。

 

『・・・美夏・・』

 

「陽詩ぁ!」

 

ちょっと涙目の美夏。

いや、確かに見た目は可愛いからぐっと来るものはあるんだ。

 

『暗いところダメだったのか?』

 

暗所がダメな人はたまにいるらしい。

知らなかったがきっと美夏も・・・

それはさすがに悪いことしたかな。

 

「頭打ったぁ! 痛いよ!」

 

『俺の罪悪感返せ! というか自らダイブしておいて頭痛いって何よ!?』

 

「だって、痛いのは痛いんだよ!」

 

『普通に見たら、わかるだろうよ!?

 何でそれに自ら突っ込んでいくんだよ!』

 

「わかってても、行かなきゃ行けないときがあるんだよ!」

 

なんで、この娘はそんなに無駄なところで勇気があるのだろうか?

 

『わかった、もうお前に聞いても多分俺は一生納得できないと思う・・・

 だから、俺が折れるから美夏におつかいを頼んでも良いかい?』

 

小学生に言い聞かせるように優しい笑顔で俺は言った。

 

「やっと、美夏ちゃんの理論がわかってきたんだね!

 仕方ない、陽詩のお願い聞いてあげる」

 

『扱いやす・・・』

 

本当に、良い娘だわ(意味深)

 

「何か言った?」

 

『い、いや、何も言ってないだぜ?

 それで、お願いっていうのは』

 

近くで隠れている宮瀬には聞こえないように美夏の耳元に口を寄せ、お願いを伝える。

 

「え、えぇぇ!?

 陽詩、ついにミスターくんと同等になっちゃったの!?」

 

『違う!!あいつと一緒なんてまっぴらだ!

 だいたいあいつと一緒ってことは・・・「なんだ俺を呼んだか!」うわ、出た!』

 

噂をすれば、現れる。

この出現率と生命力はあの黒光りするGと同等だと思う。

 

 

『いきなり、現れてどうした!?』

 

「陽詩、それは聞いたら後悔するやつだよ!?」

 

このとき、美夏の言うとおり、止めておけば俺は心の傷を負わなくて済んだのかもしれない。

 

「何か、こっちの方から女の子の落とし物の匂いがしたからさ!」

 

キラッと効果音がつきそうな笑顔で鼻をクンクンさせ実に変態チックなことを言った。

というか、俺はこいつと同等レベルの変態って言われたのか!!

 

『はは・・・俺、こんなのと同じだと思われたの・・・』

 

「ごめん、陽詩はここまでじゃないかな・・・」

 

「何だ何だ、俺をそこまで見て!

 そんなに俺がかっこいいか?」

 

『そうか、こんなやつとか・・・』

 

その場に膝をつき、うなだれる。

 

「あら、皆さんこんなところでどうしたんですか?」

 

「あっ、宮瀬さん助けて!? 私1人じゃこの状況を回収出来ない」

 

「よく分かりませんが、悠木さん大丈夫ですか?」

 

『はは、そうかぁ・・・変態かぁ』

 

「・・・悠木さん?」

 

『ごふっ!』

 

急に腹部に衝撃が走った。

見れば、俺の腹に宮瀬の右拳がねじ込まれていた。

 

「あはは、宮瀬さん?」

 

「っ!?」

 

宮瀬はその殴った瞬間を美夏に見られてしまっていた。

 

「すみません、江崎さん」

 

「えっ!?」

 

美夏は急に衝撃を感じて、意識を失ってしまう。

最後に見えたのは宮瀬の

 

「見られた以上は眠ってください、起きたら全て忘れてますよ?」

 

そんな笑顔だった。

 

『おい・・・いきなり何しやがる』

 

恐らく手加減はしてくれたのだろう。

じゃなかったら、俺もやられていたと思う。

 

「疑わしきは罰する、私の心意気よ

 正体がバレそうになったら殺るしかないでしょ?」

 

だいぶ痛みが治まってきたから起き上がりながら、ふと思う。

 

『あれ、ミスターは?』

 

「あのクソ虫ならそこですよ」

 

『・・・イジメの光景か?』

 

いきなり、クソ虫と言い出したことにもビックリだが。

いつ宮瀬はミスターを仕留めたのだろう。

 

というか、この現場にいることもヤバイ気がする。

 

足下には美夏が倒れている。

近くにはゴミ箱に顔から突っ込んで足だけがゴミ箱から飛び出ているミスター。

 

見つかれば、呼び出しは免れない光景である。

 

「仕方ないわね、早く撤収するわよ?」

 

『美夏をここに置いていくのも気が引けるが、仕方ない連絡だけはしておくか』

 

小豆にしておくのが一番か。

電話をかければ小豆はすぐに電話に出てくれた。

 

『あっ、小豆か?』

 

「陽詩くん?どうしたの?」

 

『部室棟の2階の廊下に美夏が倒れてるんだよね、近くに変な物体もあるから』

 

「え!美夏ちゃんが!?」

 

『きっと、はしゃぎすぎたんだよ』

 

宮瀬がやったって言っても信用してくれないと思うけど。

 

「悠木さん、早く手伝ってください、これ重いんですから」

 

『わかったって、じゃあ、すまないけど小豆頼むな』

 

「あっ、陽詩くん!?ちょっ」

 

通話を切って、宮瀬の手伝いに向かう。

 

『やっぱり、この作戦ミスなんじゃ無いの?』

 

「仕方ないじゃない、少しやってみたかったんだから」

 

そんな理由だったのかよ。

こんなのに引っかかるやつがいないとはさっきのを見た後じゃ言えないけど。

 

「まぁ、さすがにアタシもこれには引っかかってあげたいけど厳しいものがありますよねー!」

 

『はは、だよねー!』

 

「悠木さん、誰と喋っているんですか?」

 

『えっ?』

 

言われてみれば、俺は誰と喋っていたのだろう?

 

「あっ、これは返してもらいます」

 

落ちていたストールを手に取った少女

金髪を肩まで伸ばしたその1年生の少女はこのストールの持ち主たるストーカー容疑者だった。

 

「貴女は・・・」

 

「おね・・・宮瀬 祈先輩! 今日はこれで失礼させてもらいます

 また、お会いしましょう? すぐにでも」

 

『あっ、ちょっ、おい!』

 

「待ちなさい!」

 

そう言い残して、走り去った少女を2人で追いかけるが、彼女は驚くほど足が速かった。

少し、追いかけて俺たちは彼女を見失ってしまった。

 

『はぁはぁ・・・あいつ速すぎだろ・・・』

 

「私も・・・足は速い方だと思ったんだけどね」

 

宮瀬は女の子同士だからとしても、俺は男子の中でも自身を持って速い方なんだが・・・

自分で言うのもなんだけど、そんな俺より速いあの娘は正直女子なら化け物クラスだと思う。

 

『これじゃ、普通に見つけても逃げられて終わりだな』

 

「やっぱり、罠を張って捉えるしか無いのよ」

 

『つったって、そんなにいい手があるのか?』

 

「これから考えるのよ」

 

『仕方ない、今度は俺の必殺のアイディアを見せてやろう』

 

「何かいい手あるの?」

 

『まぁな、ちょっと準備してくるわ』

 

そういって宮瀬から離れて、ある人のところへ向かう。

 

『あいつのことだから、もう復活してるだろうし

 変態って言われてまで用意したんだから』

 

次は俺の必殺の策を見せてやる。

 

あいつが俺の思ったような人間ならこれで間違いなく捕まるはずだ。

 

俺たちの戦いは、まだまだこれからだ!!




こんにちはKeyです!
久々に運動すると体のあちこちが痛くなりました。


【挿絵表示】


今回の絵についてですが新キャラです!
話には少しだけ登場しました!どこにいるかは皆さんでお探ししてみてください!

それでは次回作にご期待!ではなくまた次回で!」


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