遊戯王GX-転生 それは素晴らしい第二の人生ー  (大禍時悪)
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むしろここから始まるプロローグ

こんにちは、黄衣王真です。何故皆さんに挨拶しているのかと言うと、只今絶賛死亡中です

 

 幽体離脱的な事になっています。恐らく、自分であろう物体は血まみれで首が無く、臓物が飛び出してミンチになっています。

 

 凄惨な状況だねこれ、自分の体だと思いたくないねでもまぁ諦めるしか無いさ。だって自分の頭が向こうの方に転がってるんだもの、あぁ……俺の原付が高かったのにフレーム粉々じゃん。や、もう乗れないから別にいいといえばいいけど……。そんなことより凄いね吸水コンクリート、俺の身体から流れ出る血液がどんどん吸収されてるよ。もうすぐ失血するんじゃないかな? や、もう死んでるから失血しても問題はないんだけどね。

 

「あ~モノローグの途中で申し訳ないのだが……ちょっといいかい?」

 

 気付かなかったけど、いつの間にか白髭で白髪のお爺さんがいらっしゃいました。あぁお爺さんと言っても俺のお祖父さんじゃないよ。

 

「あぁ、はいなんでしょう? て言うか何故に俺の姿見えてんの、てか死んでるはずだよね俺」

 

「うん間違いなく死んでるよ、だってワシが間違って殺しちゃったし」

 

「あれ? じゃあもしかして俺を挽いた10トントラックの運ちゃんなの?」

 

「何でその方向に考えが行くのかとても疑問だし、第一にひくの漢字を間違えてる気がするのだがのう……ところでワシが神様じゃ~と言ったらどう反応してくれる?」

 

 神様? がそういうと王真はジッと神様? を見つめてからふむふむと小さくうなずく。

 

「あぁスミマセン神様って皆の想像した通りの長い白髭の老人なんだと、今しみじみと思ってました。死んでからこんな体験が出来るとはちょっとしたラッキーですね」

 

「死んだのにラッキーっていう君は変わってるねぇ」

 

 神様は若干引き気味でなお、のほほんと王真に対して言った。

 

「あぁ気にしませんよ変わってるってよく言われますし。それで神様が俺を殺したってどういうことで?」

 

「その事なんじゃがな、今日死んでしまう人間にチェックをつけていくんじゃけれどもね、ちょっとうとうとしてて間違えて君の名前にチェックうっちゃったんじゃよ、少なくとも後60年は生きるはずじゃったのだけれども……」

 

 神様はちょっと気まずそうに、こっちをチラチラ見ているが王真は気にせずに。

 

「あぁ……まぁ仕方ないですよ、誰しも間違いはありますし気にしませんよ、てことは俺って地獄に行ったりするの? お世辞にも天国に行けるような良いことなんて全くやってないんだけどさ」

 

「加害者のワシが言うのもなんなのじゃが、まずは怒ったりはしないのかい? それに目をつけるところが違いすぎないかの、普通なら残りの寿命の分のどうするんだとか、まだやり残した事があると憤りをぶつけてくるのにのう君は随分ドライなんじゃな」

 

「ドライ……と言うべきなのか、単純に今現在こうして死んでいるので受け止めるしかないと言うかなんと言うか」

 

 王真は若干戸惑いながらも答えるが表情は笑っている、正直薄々気付いてはいる。自分が同じ年頃の人よりも冷めた事しか考えれないことくらいは。

 

「じゃあ聞いてみようかな? 俺の寿命おおよそ60年どうします? まぁ生き返れる訳では無いですよね、ほら元の体は首が飛んで臓物が挽き肉みたいにミンチになってるし」

 

「あぁその事なんじゃがの生き返る……すなわち転生じゃな、この世界に転生するのはまず不可能じゃな。死んだ人間の情報を引き継いだ人間を作るとじゃな、いくつかの矛盾が生じてしまうのじゃよ詳しくは秘密じゃがな、しかし……別の世界なら可能じゃな。存在しないものを一から作るだけじゃからな」

 

 なんか一から作るだけとかものすごいことを言ってるけど、多分神様だからできるんだろう。

 

「別世界と言うとパラレルワールド的なものなのかなそれならそれで……」

 

「ふむ……それでもよいが辛いのはお前さんじゃぞ? 自分は知っていても相手は知らんからのう……ところで君はアニメやゲームは好きかの?」

 

「えぇまぁ人並みには好きですね」

 

「いかんとは思ったのじゃが、少し記憶を見せてもらったが遊戯王というアニメをよく見てるようじゃな」

 

 

「まぁ好きですね。でも勝手に記憶みんなや神さんよ……遊戯王か、いいですね世界としてはGXの世界がいいですけど、決めるのは神様ですけどね」

 

「いやいや構わないよ。出来る限りの我儘は聞いてあげるつもりじゃよ」

 

「あぁそれでは、とりあえず運動能力と頭脳はある程度もらえると嬉しいですね、今まで出たカードを各10枚づつ、現時点の俺のデッキとこれから出るカードを発売日に各10枚づつもらえると嬉しいですね。」

 

「ふむそれくらいなら全て叶えられそうじゃわい。遊戯王GXの世界の一番最初、入学試験の一週間前に目を覚まさせるようにしよう、その世界の前情報を脳の中に突っ込んでおくからの。後は困った時は連絡できるようにしておこう、正し無茶なお願いは禁止じゃよ……すぐに転生を始めるそれでは良い第二の人生を」

 

「ちょっとタンマ、最後に一つ何から何までありがとうございました。またいずれ声を聞くと思います」

 

 そして俺の黄衣王真は、第二の人生を遊戯王GXの世界にて始めることになった。

 



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一話・デュエルアカデミア入学試験

 おはようございます、黄衣王真です。今目覚めましたと言っても意識的な意味ですけどね、転生らしいと言えばそうですね。生まれるところから始まりました。

 

 しかし生まれたのは俺ではなく、俺の性格から趣向までまるまる模倣した俺らしい。ただし転生の事は一切知らないみたいだが……つまり自分の行動を別の人として見てる感覚だね。

 

 そして時は経ち神様の宣言通り、デュエルアカデミア入学試験一週間前に本体と意識が合体した様です。携帯を確認すると、家族のアドレスとさりげなく神様の連絡先も登録されていた。すかさず神様にコールする。

 

「おはよう神様。一生味わえないとてつもなく気持ち悪い体験をありがとうクソッタレ」

 

 そして返事も待たずに通話を切る。この日に神様からの贈り物が届いていた。デッキを取り中を確認した後、デュエルディスクを装着。エクシーズモンスターとシンクロモンスターが反応するかを確認する、勿論揃える所から、見事成功しかも原作アニメと同じエフェクトまでついてスッゴい派手、ゾクゾクしたね。ただあまり広くない自分の部屋でエクシーズ召喚したため家がかなり揺れた。興奮してたからそんなことにも気付かなかったが、家族が俺の部屋を扉の隙間から覗いていたのを。

 

「おはよう兄さん姉さん驚いた? ごめんねちょっとテンションが有頂天に……ね」

 

 とりあえず兄姉を部屋の外に閉め出して、着替えてから台所に立ち食事の用意、用意していると兄が一人と姉が三人、いつの間にかテーブルついている。黄衣家の名前には皆、王の漢字がつきます、末っ子の王真こと俺、長男の王我兄さん、長女の王華姉さん、次女の王姫姉さん、三女の王世姉さん。みんな仲の良い兄たちですが、皆ブラコンですどうしてこうなったのだろうか。まぁそれを差し引いても良い兄たちですが。

 

「王真~トースト二枚ねチーズのっけて」

 

「王真さん、ご飯とお味噌汁を」

 

「王真ちゃん、シリアルと牛乳はまだなの」

 

 

「王世姉さんオーブンの中にあるから王姫姉さん、よそってあるから持っていって王華姉さんもね王我兄さ……」

 

「大丈夫だ、王真私は自分で用意した。しかしな王真……朝からチャーハンはないんじゃないか」

 

「いいじゃないか。昨日のが余ってて勿体ないんだから」

 

 そう姉さん達の食事を用意しつつチャーハンを作っていた、なんで姉さん達は俺に頼りきりなんだろうか? デュエルアカデミアへの入学が確定したら、姉さんはどうするんだろうか。

 

「ところで王真、入試の方は大丈夫なのか? 確か受験番号は111番じゃなかったか? 私たちの弟だから、なんの問題も無いとは思うがな」

 

「兄さんその話は止めてくれ。考えてる途中で寝ちゃったんだよ、それに買い被りすぎだよ、何とかなるとは思ってるけどね」

 

 そんな他愛もない話をしながら一週間は過ぎてゆく、と言っても兄さんや姉さんに試験用のデッキのテストをしてもらってたんだけどね。

 

 そして試験当日。

 

「だぁぁぁざっけんなコンチクショウ」

 

 そう叫びながらローラーブレードで、自転車も絶句するほどのスピードで疾駆する。そうしないと非常にまずいし、怒りのやりどころも無い。

 

「ちくしょう! なんで事故んだよ仕方ないけどさ! 事故起こした奴犬に噛まれろホントに!」

 

 電車の事故、今思えばたしか主人公の十代も、事故で遅れたはずだ。それを覚えていないのは自分の落ち度だから仕方がない。10分程走ると受け付けが見える、階段を飛び越え叫ぶ。

 

「「まったぁぁぁ」」

 

 誰かと声が被る、だが王真は知っているので気にしない。

 

「受験番号110遊城十代セーフだよね?」

 

「受験番号111黄衣王真まだ間に合いますよね!」

 

 ほぼ同時に言い放ち十代がこちらを向く、それが俺と十代のファーストコンタクトだった。

 

「お前も遅れたのか、俺は遊城十代よろしくな」

 

「あぁ、電車が遅れてな。全速力でこっちに来たのさ、俺は黄衣王真よろしくな十代。とりあえずさっさと行こう、これ以上遅れるとまずい気がするからな」

 

………………

…………

……

 

「おぉやってるやってる」

 

「試験中だからな……見たところ一桁台の連中だな」

 

 見下げると珍しい白ラン姿の三沢が、ブラッドヴォルスに破壊輪を発動し、勝利を収めた瞬間だった。

 

「あの一番、見事なコンボだったな」

 

 十代が独り言の様に呟く、王真が反論しようとしたら十代の隣の水色の少年が言った。

 

「そりゃそうさ。受験番号一番つまり、筆記試験第一位の三沢君だよ」

 

「むぅ……あれだけでコンボと言うのか、ただトラップを使っただけじゃないか」

 

「複数のカードを組み合わせて使用するのがコンボじゃないか」

 

「そういう解釈にしておくよ十代」

 

「君たちも受験生? 受験番号は?」

 

「あぁ俺は110番、こっちは111番だ」

 

「でも百番台のデュエルは一組目で、とっくに終わってるよ」

 

「おいおいマジかよ水色少年、受け付けでもセーフだったんだぜ? 理由も理由だ受けれるだろう」

 

『受験番号110番遊城十代君』

 

よし大丈夫だった、こんなとこで早々入学できませんでしたーなんてことになったら、笑い話にもなりゃしねぇ。

 

「よし俺の番だ」

 

 意気揚々と階段を降りて行く十代、そんな背中に何となくで声をかける。

 

「十代、頑張れよ」

 

「おう任せとけ」

 

「全く、俺はおまえに何を任せたんだっつの」

 

「ねぇ君さっきの人と知り合い?」

 

「いや今さっき出会ったばかりだ、水色少年」

 

「さっきから水色水色って僕の名前は丸藤翔だよ」

 

「おっとすまない、名前がわからんから身体的特徴を言うしかなかったんだ、重ねてすまんな翔」

 

「いや、そんなには怒ってないからいいよ。それより君はいいの?」

 

「いい? 何がだ? デュエルなら十代の次にできるだろうさ。恐らくはクロノス教諭のアンティークギアデッキだろうさ」

 

 会場を見ると、邪心トークンをリリースして古代の機械巨人(アンティークギア・ゴーレム)をアドバンス召喚している所だった。

 

 ふむ流石はソリッドヴィジョンだ、古代の機械巨人のプレッシャーが半端じゃねえな。泣く子が余計に泣きそうだな……お、フェザーマン殴り飛ばしたな。

 

「ヤバイな、貫通のせいでライフが半分持ってかれたな。次に教諭がモンスター引いたら終わるな」

 

「そんな掟破りモンスターじゃないか!」

 

「掟破りなぁ……まぁ、ああいうやつがこんなところで終わる訳が無いだろうさ」

 

 そう王真が言うと、翔がこれでもかと言わんばかりに反論してくる。

 

「攻撃力3000に魔法、トラップも使えない。それに貫通持ちだよ、無理に決まってる攻撃力3000を越えるモンスターなんて、そう簡単に出せるもんか! 勝てるわけないよ」

 

「……そう声を荒立てんな、確かに魔法、トラップは使えんがモンスター効果までは防げない、何らかのモンスター効果で潰せばいい。それにまだアイツは諦めた訳じゃないさ、見てりゃわかる。何とかするさ」

 

 十代がスカイスクレイパーを発動し、フィールドが大量のビルが出現そのうちひとつのビルの上に立つフレイムウィングマンが、炎を纏って古代の機械巨人に突っ込み見事に勝利、崩れ落ちる巨人の残骸に潰される教諭。

 

「ホントに何とかしちゃった」

 

「だろ? だから言ったじゃないか、何とかするってさ」

 

「よぅお疲れさん、良いドローを見せてもらったよ」

 

「王真見ててくれたか俺のデュエルをさ」

 

『受験番号111番黄衣王真君』

 

「あぁしっかりとな……さて俺の出番だな。そうそう面白い物を見せてやるから、しっかり見てろよ」

 

 と言う王真が会場に向かいながら後ろに手を振る。ディスクについているデッキを取り確認すると、とある事に気がついた。

 

 やべぇデッキ間違えた……エクシーズデッキを使う予定だったのに、あろうことか試作デッキ持って来ちまった。前世ではある程度戦えるレベルまではいけているが、まだまだ勝率が心許ない。だがライフ4000だ8000じゃない、いけるはずだ。

 

「二人目のドロップアウトボーイなのーネ。今度こそ叩き潰して差し上げる~ノデス」

 

「叩き潰せるならどうぞ、ただし俺はなかなかやるぜ?」

 

「減らず口を叩けるの~も今の内です~ノ」

 

 それを聞き王真はニヤリと笑い、ディスクにデッキをセットそして展開。教諭はそのままデッキをシャッフルしている、アンティークギアのままで来るらしい

 

「さぁデュエルだ」

 

「私のターンドローニョ手札からテラ・フォーミングを発動。その効果により、歯車街を手札に加えそのまま発動するの~ネ」

 

 まずい歯車街が入ってやがるのか、昔のカードだから完全になめてた。それにリアル的にも歯車街はアニメが終わってから出たはずだ。

 

テラ・フォーミング 通常魔法

自分のデッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

歯車街 フィールド魔法。

「アンティーク・ギア」と名のついたモンスターを召喚する場合に必要なリリースを1体少なくする事ができる。

このカードが破壊され墓地に送られた時、自分の手札・デッキ・墓地から「アンティーク・ギア」と名のついたモンスターを1体特殊召喚する事ができる。

 

「更に古代の機械獣を攻撃表示で召喚なの~ネ」

 

古代の機械獣 効果モンスター

攻2000/守2000

このカードは特殊召喚出来ない。

このカードが戦闘によって破壊した相手効果モンスターの効果は無効化される。このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

 

「まだまだ終わらないの~ネフィールド魔法セット。セットしたことにより、歯車街を破壊され効果発動。手札から古代の機械巨竜を特殊召喚するの~ネ」

 

古代の機械巨竜 効果モンスター

攻3000/守2000

このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。他の効果は使えないので割愛。

 

「セットされてい~ル歯車街を発動してターンエンドです~ノ」

 

クロノス ライフ4000

フィールド歯車街

モンスター2機械獣、機械巨竜

魔法・罠、無し

 

「よし俺のターンドロー」

 

「俺はレッドガジェットを攻撃表示で召喚する」

 

レッドガジェット 効果モンスター。

星4 攻1300/守1500

このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから「イエローガジェット」を手札に加えることができる。

 

「更に融合を発動、手札のイエローガジェットとヴォルカニック・バレットを融合し、重爆撃禽ボム・フェネクスを融合召喚」

 

「ボム・フェネクス? 聞いたことのないモンスターなの~ネ。しか~し攻撃力2800では我が古代の機械巨竜には、叶わないの~ネ」

 

融合 通常魔法

 

手札・自分フィールド上から、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。

 

「そうなんだ……まぁすぐにわかりますよっと、さぁ派手にいこうぜ重爆撃禽ボム・フェネクスの効果発動、1ターンに一度このカードの攻撃権を放棄して、フィールド上のカード一枚につき300ポイントのダメージを与える。教諭の場にはモンスターが2体と歯車街、俺の場にはモンスターが2体よって1500ポイントのダメージを与える!」

 

重爆撃禽 ボム・フェネクス 融合・効果モンスター

星8 攻2800/守2300

機械族モンスター+炎族モンスター

自分のメインフェイズ時、フィールド上に存在するカード1枚につき

300ポイントダメージを相手ライフに与える事ができる。この効果を発動するターンこのカードは攻撃する事ができない。

この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

「マンマミ~ヤ!!」

 

クロノス ライフ4000→2500

 

「更に手札から融合回収を発動、墓地の融合とイエローガジェットを手札に加える」

 

融合回収 通常魔法

 

自分の墓地に存在する「融合」魔法カード1枚と、融合に使用した融合素材モンスター1体を手札に加える。

 

「準備は整ったさぁもういっちょ派手にいこうぜ。手札からもう一度融合を発動。手札のイエローガジェットとフィールドのボム・フェネクスを融合」

 

 そうすると会場がざわざわし始める、『せっかく出した融合モンスターを!』『ここまで来てプレイングミスかよ』『何が出てくるんだワクワクするぜ』『どういうことなんだ!』

 

「こういう事だ。現れよ融合召喚全てを燃やせ起爆獣ヴァルカノン!!」

 

「攻撃力2300……先ほどのモンスターの方が、攻撃力は上。そんなモンスターでどうするつもりなの~ネ?」

 

 若干王真はイラッとした、効果を知らないのは仕方がない。ただ全ての価値を攻撃力で判断するのに苛立ちを覚えた。

 

「攻撃力ばかりが全てじゃねえさ、効果も考慮して有用性を見つけ出す、それが楽しいんじゃねぇかよ。ヴァルカノンの効果発動、融合召喚に成功した時、こいつと相手モンスターを破壊その攻撃力分のダメージを与える!」

 

起爆獣ヴァルカノン 融合・効果モンスター

星6攻2300/守1600

機械族モンスター+炎族モンスター

このカードが融合召喚に成功した時、相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する事ができる。

選択した相手モンスターとこのカードを破壊して墓地へ送る。その後、墓地へ送られた相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 

「さぁ崩れろ機械巨竜! ヴァルカノンと共に。クライシス・ブラスト」

 

 ヴァルカノンが機械巨竜に突撃して機械巨竜にしがみつく。機械巨竜が必死に振りほどこうとするが、ヴァルカノンは離れない。そしてヴァルカノンが大爆発、機械巨竜が爆発と共に崩れ落ちクロノス教諭を押し潰す。

 

クロノス ライフ2500→-500

 

「イエス!」

 

 王真は拳をつきだし真上に掲げ叫ぶ。

 

「あり得ないの~ネドロップアウトボーイに、二回も敗北するなんーテ。これはきっと何かの間違いなの~か夢なの~ネ」

 

「あり得ないなんてことはない。どんな事にも可能性があるその可能性を引き当てただけだぜ!」

 

「すまんな十代、面白い物を見せられなくて。デッキを間違えたんだ」

 

 ゆっくり歩いて十代と翔のもとに行く。近くには座った白ラン姿の三沢もいた。

 

「いや随分面白いデュエルだったよ、融合モンスターを使い更なる融合モンスターを繰り出す戦術……」

 

「横から話しかけんな白ラン、まぁ普段はあんな事はしないさ、あの状況ならあれが最善の策だったからな」

 

「いや、二番の言う通り面白いデュエルだったぜ。この後、俺とデュエルしようぜ王真!」

 

「さっき言っただろう? 持ってくるデッキを間違えたんだって。持ってくる予定のデッキなら、いくらでも相手をしてやりたいがな……それと十代、二番ってのはどういうことだ? 三沢は筆記の成績上一番のはずだが?」

 

「もちろん実技の一番は俺ってことさ!」

 

「そんなこったろうと思ったよ、なぁ翔」

 

「僕にふらないでよ。でもあの自信羨ましいな」

 

「ハッハッハ見るからに自信無さそうだからな、お前さんは。自信なんぞ気にすんなさ、俺だって試作デッキで自信なんか皆無のヒヤヒヤもんだったぞ」

 

「「「あれで試作デッキ!(なの)」」」

 

「あ? あぁまだ火力が若干足りないし回りも悪い、中枢のカードが来なければ、それこそ負け一直線だライフ4000なんぞ塵に等しいからな」

 

「ライフ4000が塵だって? 一体どんなデュエルをしてきたんだ?」

 

 三沢がかなり驚いた表情でこちらを見る。そんなにおかしいか、確かにこちらではライフ4000が普通だが……

 

「ふむ……普通にライフが一瞬で持ってかれる事なんてザラにある。それとさっきの状態からフェネクスをもう一体追加しても、そのターンで空にされるしな。まぁそんなデッキばかりじゃないが……その手のデッキがかなり多い、そういうデッキの相手をさせれていたしな。」

 

「まさかそんなデュエルばかりとは……あれで試作でも頷ける」

 

「試作デッキだが、もう少し弄らないと完成しないさ。こいつとやりたいなら、またいずれな……十代、アカデミアでなら本来のデッキを使ってやる。じゃあなアカデミア会おう十代、翔」

 

「俺もいるぞ!」

 

 そんな三沢のツッコミをスルーしつつ、後ろに向かって手を振る……家に戻ると、兄さん姉さん達が気の早い合格パーティーの準備をしている所を発見し、手で顔を覆い溜め息をついた。

 

 続く……。

 



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二話・アンティデュエル激突 十代VS万丈目

 おはようございます。黄衣王真です。俺は今ヘリに乗り、デュエルアカデミアに向かっている途中です。皆様の知っての通りデュエルアカデミアは太平洋に浮かぶ絶海の孤島です。俺は高所恐怖症なので移動中は死ぬ思いに近かったね、十代や翔が気を使って話しかけてくれていたが、話の内容が全く頭に入ってこなかった。

 

 死にかねないヘリコプターでの移動が終わり入学式に入る、毎回思うけど、偉い人の話はやたら長い気がするな。そんな話をどこから引っ張ってくるんだろうか、まぁ気にはしないけど。

 

 てか十代に至っては眠ってんだよな、立ったまま眠れるってのは随分と器用だねうん。

 

 正面玄関近くの石の置物に、腰かけている十代と翔を発見。まぁ原作通りオシリスレッドだな俺もだけど。

 

「よぅ王真、お前も同じオシリスレッドだな仲良くしようぜ」

 

「ハッハッハ是非とも仲良くしたいな、同じ寮だ何度も顔を合わせるだろうしな」

 

「よぅ二番お前もオシリスレッドか」

 

「十代、三沢はラーイエローだ制服が黄色いだろう?」

 

 通りかかった三沢に声をかける十代、何故こいつはまずオシリスレッドかと聞くのだろうか? 確かに効果で言えばラーよりオシリスだが……

 

「へぇ制服の色はそういう意味なのか」

 

「しかし君たち二人がオシリスレッドなのか不思議だな」

 

「なんか引っ掛かる言い方だな」

 

 十代はとても嫌な顔をした。十代の機嫌が10下がった、反面王真は。

 

「まぁ仕方ないだろうさ、試験に遅刻した上にバーンで焼き殺したとなれば、そう評価も高くないだろう。ビートダウン主体のデッキが多い中でのバーンだ、気に食わんのだろうさ」

 

「王真はその評価で納得してるのか?」

 

「納得もなにも向こうの下した評価だ、それに納得できないからと言って、それを今覆すこともできんさ。それに確か月1でテストがあったはずだ、その時に評価を改めさせればいいだけだ」

 

「本当に面白い奴だな王真。君がラーイエローに上がってくるのを楽しみに待ってるよ」

 

 そう言って三沢は、自分の寮へ歩いていった。その時王真は口の両端を吊り上げニヤリと笑う。

 

「……その必要はないさ。待ったところでそちらに行くことはないからな……さて十代、翔俺たちも寮に行こう」

 

 ……相変わらずボロいというか、風情があるというか。まぁ俺は好きだぜ、少なくともあんな城みたいなダッセェブルー寮には入りたくないね。隣で十代はしゃいでるし眺めが良いのは同感だがな。

 

「俺は二人部屋を一人で使えるみたいだな、気が楽だよ」

 

 部屋に入ると段ボールが積まれている。王真がアカデミアの人たちに届けてもらった段ボール。表向きは水のペットボトルが大量入った段ボールとして。ちなみに嘘は言ってない、この中の二つ三つは実際水である。王真は清涼飲料水をあまり好まない、その為水ばかり飲んでいた。

 

 そんな事を思案していると、隣の部屋からデスコアラ~と叫び声が聞こえた……あぁ隼人との初対面の反応だったな、まぁコアラに見えるから仕方ないか……さてそろそろ現実逃避は止めようか、机のとなりのスペースに、白い甲冑の様な鎧を身に纏った男が立っているがもしや……

 

「お前、もしかしなくてもセイクリッド・プレアデスか?」

 

 白甲冑の男は頷く。そしておもむろに手を掲げると、セイクリッドのエクシーズモンスター達が現れ、王真の前で片膝をつき先頭のプレアデスが立ち上がる。

 

『私達が見えるのですねマイマスター』

 

「あぁ、はっきりとな。まさかお前達は、デュエルモンスターズの精霊か?」

 

『はい、今まで私はずっとマスターの側に』

 

「なぁプレアデス、俺の部屋に精霊はどれだけいる? まさかデッキの数だけいる訳じゃ……」

 

『いえ、現デッキの数だけ……ですマイマスター。しかしながら目視出来るほどの力を持った精霊は、あまりいないようです』

 

「ふむ……そうかあまりいないってことは、何人かはいるって事だな」

 

『はい、マイマスター』

 

「ん、ありがとうなプレアデス」

 

 しかし何故精霊が見える? 少なくとも今までは見えてなかったはずだ。神様にコールしてみよう、そうすれば解るかもしれない。

 

「王真、約束通りデュエルしようぜ!」

 

 取り出した携帯をしまい、急に入ってきた十代に目を向ける。プレアデスは気配を感じたのか、十代が入ってくる前に姿を消していた。

 

「十代、入ってくるなとは言わないが、せめてノック位はしてくれないか? いきなり音がするとビックリするんだ」

 

 入ってきた瞬間ビクリとしたのは内緒だ、だから十代を睨んでおこう。ほかの精霊も見えるのかな? うん、見える、しっかり羽の生えた茶色い毛玉が飛んでるね。

 

「悪かったって謝るからそう睨むなよ」

 

「それより王真君は部屋で何をしてたの? うわ、すごい量の段ボール」

 

「あぁすまんな、ちと荷物の確認をな」

 

「こんなに大量の段ボール、何が入ってるんだ?」

 

「全部水だよ。俺は水が好きなんでな……デュエルならデュエル場でやらないか? あっちの方がテンションが上がる。主に俺のな」

 

「そうだなせっかくだし、行こうぜ王真」

 

 エクシーズデッキを持って部屋を出る、デュエル場に行くときに、デュエルモンスターズの精霊についての話をしようと思ったが、寮を出てすぐに翔がついてくる。翔いわく、アニキについていかない弟分がいるもんか、だそうで若干落ち込み気味ではあるが。まぁ原作では十代と翔がデュエル場に行くはずだし。

 

「時に翔、暗い顔してるがどうかしたか? 大体見当はつくが、オシリスレッドが落第ギリギリの集まりだって、デスコアラさんにでも言われたからだろうと予想しよう」

 

「何でわかるのさ」

 

「さぁわからないでか、翔は感情の起伏が顔に出やすいみたいだからな。それにな……まだなにもやってないのに諦めるなよ」

 

「そうだぜ翔、王真の言う通りだ。だいたい、まだなにも始まってないだろ」

 

「始まってから考えりゃいいんだよ……っと十代待て、どこに行く」

 

「向こうからデュエルの音がするんだよ」

 

 王真は靴底にローラーブレードをつけて、十代を追いかける。実はこの靴は王真の自作であり、ローラーブレードをつけたり外したりできる靴なのだ!!

 

「たしかこっちの方から聞こえたんだ……匂うぞデュエルの匂いだ」

 

「デュエルの匂い……かわかるか翔?」

 

「そんな匂いしないよ王真君……」

 

「だよな。あいつはどんな鼻をしてんだよ、デュエルセンサーでも埋め込んでんじゃねぇのか」

 

「うぉ~スッゲー王真、早くデュエルしようぜ」

 

 十代がこっちを見て手招きしている、やれやれと思いながら十代のもとに行くが、十代の後ろの方に、いろんな意味で嫌なものが見えた。

 

「お前らここは、オベリスクブルーがデュエルする場所だ。オシリスレッドの来る場所じゃないぞ上を見ろ」

 

 言われた通り十代、俺、翔は上を見るとオベリスク顔を型どった紋章の様な物がはまっている。

 

 あぁ、そういえばそんな設定もあったなぁ。だがここ以外でデュエルしてる描写は一切見てない気がするな。気のせいかもしれんが。

 

「そうなのか。じゃあお前、俺とデュエルしようぜ」

 

 十代は万丈目の取り巻きの、青髪で眼鏡をかけた奴を指差して言う、すると二人の取り巻きは笑い出す。

 

「鬱陶しいクソッタレどもだな、その口縫い合わせて喋れなくすんぞコラ……だなんて口が裂けても言えないよ」

 

「王真君しっかり口に出てるッスよ!」

 

「なんだとお前!!……どこかで見たことがあると思ったらこいつら」

 

「万丈目さんクロノス教諭勝った110番と姑息なデッキで勝った111番ですよ」

 

 眼鏡と顎の二人が万丈目を呼ぶと階段から降りてくる万丈目、明らかにこちらを見下している目だなありゃ。そのエリート(笑)のプライドを粉々にして上げたいね。

 

「あ……えと俺、遊城十代よろしくな……んであいつは?」

 

 あ今ムッとした。イラッとしたんだろうね今、器が小せぇな。

 

「お前万丈目さんを知らないのか!? 同じ1ね……」

 

「つまるところ、中等部の猿山の大将が、高等部に上がっても一番だと信じて止まない、可哀想な蛙ちゃんよ」

 

 万丈目がこっちを睨んできた。おぉ怖い怖い、蛙に睨まれた蛇ってな。

 

「おい王真そいつはおかしいぞ……だってこの学園の一番は俺だろ」

 

「待てよ十代、まだ俺とやってないだろう? 一番とまではいかないが、まだ戦ってない相手を下に見るのは感心できんぞ」

 

「ハハハハハ。ドロップアウト組のオシリスレッドが身の程をし――」

 

「ビークワイエット。騒ぐな諸君……そいつはお前達よりやる、手を抜いたとはいえクロノス教諭を倒したんだ。そこのバーン小僧はともかくな」

 

「おぉっと、十代はともかくとして、俺に対する評価は低いね~別に構わんが」

 

 独り言の様に言っていると真横では十代が実力さ、とドヤ顔で言ってる確かにこいつの引きは運じゃないからな。

 

「あなた達、何してるの」

 

 おぉう、天上院さんのお出ましですね。最初の頃は万丈目を毛嫌いしてたねそういえば、まぁ理由も理由だからな~っと、万丈目が礼儀知らずどうこう言ってたが、気にする事もないさ、それに20も年下に礼儀がどうのと言われてもな……。

 

「あいつら、ろくでもない連中なんだから」

 

「みりゃわかるさ見当違いのプライドを持ち、それでいて相手を見下す。本当のエリートは相手を気遣う心と、けしてそれを自慢せず謙虚にするものさ」

 

 天上院さんが驚いた目で十代と俺を見ている、十代は確か自分に一目惚れがどうのとか言ってたな、しかし俺が見られるのはどういうことだ? 変にオッサン臭いこと言ったから、不思議がってるんだろきっと。

 

 笑った、もしくは笑われた。こいつなに言ってんだろ的に笑われた、普通なら十代のはずだけど、俺が笑われた感が半端じゃねえ。

 

「レッド寮の歓迎会も、もうすぐ始まるわよ」

 

「いっけね戻るぞ翔、王真……そういやあんた名前は?」

 

「天上院明日香」

 

「俺遊城十代よろしくな~」

 

 走る俺、翔、十代。俺の場合は滑ってるをだけどもね、そんな中もうすこしで寮に着く辺りで翔が話しかけてきた。

 

「その靴さ……寮を出る時ローラーなんか、ついてなかったよね、ハァハァ……」

 

「ローラーを取り外しできるように作ったんだよ、これの方が走るより早いからなっと」

 

 歓迎会が始まるまで、十代達の部屋にお邪魔して、デスコアラさんこと前田さんちの隼人くんに挨拶をした。確かにデスコアラに似てるな、と思いながら見てたせいで隼人くんに怒られたのは内緒だ。

 

 そして歓迎会……まぁ酷いとは思っていたが、実際に直面すると凄まじいな。白米と豆腐しか入ってない味噌汁、それにたくあんと焼きメザシ。栄養バランスがどうこうの問題じゃない、むしろカロリー事態が少ないと思う。まぁ晩飯はあまり食べないのが当たり前なんだがね。寮長の大徳寺教諭が来る前に、十代がもう食べ始めているこの子は本当にもう……。

「おい、十代まだ寮長の挨拶が済んでないだろう? もう少し待てないのか?」

 

「そうッスよまずいッスよ」

 

「そうか美味いぞ~」

 

「その不味いじゃねぇよ。上の人間が喋ってたらとりあえず聞く、常識だぞ」

 

「小さいことは、気にしないのにゃ」

 

 いつのまか後ろに、大徳寺教諭がいた気配がわかりにくいなこの教諭。

 

「寛大な人で良かったなじゅうだ……って聞いてねぇし」

 

 十代はやっぱり人の話を聞かずに、晩飯を食っていたのだった……。

 

………………

…………

……

 

「ふぅ……まぁ朝昼とまともな物を食って、足りない栄養を取っときゃ不摂生にはならんだろう」

 

 散々万丈目を挑発したが、挑戦状はどっちに来るのかねえ。まぁこっちに来てもいいように、こっちのデッキにしようか。

 

「すまんな、もしかしたら出ていくかもしれない、留守番を頼めるかい? プレアデス」

 

『仰せのままに、マイマスター』

 

 留守番をプレアデスまかせたところで、PDAがやかましい音をたてる。

 

『やぁドロップアウトボ……』

 

「うぜぇ」

 

 どうせ言いたいことはわかってるんだ、聞く必要は無いさ。アンティデュエルするんだったか、確か今夜0時だったな。

 

 そして時は過ぎて夜の0時。デュエル場の入り口に近づくと翔達の声が後ろから聞こえる。

 

「挑戦されたら、受けるのが男ってもんだろ」

 

「全くの同感だな十代、しかしお前も呼ばれたのか。てっきり俺一人呼ばれたのかと思っていた」

 

「よく来たな110番とバーン小僧」

 

「デュエルと聞いたら、来ない理由は無いぜ」

 

 そう言って、十代はリングの上に上がっていく。その対面には万丈目、この構図だと……。

 

「なぁ俺必要なくね? あいつらがデュエルするなら、俺の相手は誰がすんだよ、つまんねえ」

 

「心配無用だ。おい相手をしてやれ」

 

 出てきたのは眼鏡の方だ、てかこいつデュエルシーンが一度でもあったか? デッキが一切わからんのだが。

 

「まぁいいさ、相手にとって不足は無い、ブルーのエリートさんの実力を、見てみたいもんだね」

 

「ほざけ! 卑劣なデッキを使うドロップアウトのオシリスレッドなんかが、俺に勝てると思うなよ!」

 

「「デュエル!!」」

 

「荒野の女戦士を攻撃表示で召喚、更に手札抹殺を発動。俺は四枚捨て四枚ドローしてターンエンド」

 

眼鏡 ライフ4000

手札 四枚

モンスター 荒野の女戦士1

魔法・罠 無し

 

「俺のターンドロー」

 

 さて先ほどの手札抹殺で、良い感じに墓地が肥えたな。それに相手の伏せは無い、攻撃のチャンスだがなぁ……まぁいいや。

 

 墓地に落ちたカードは黒竜の雛、蘇生、真紅眼の飛竜が二枚と黒竜だ。

 

「手札から名推理を発動。このカードは相手がレベルを宣言し、俺はデッキを上からめくる。最初に出たモンスターのレベルが当たっていればそのまま墓地へ、外れれば特殊召喚だ、それ以外の魔法・罠は全て墓地へ送られる。さぁレベルを宣言しな」

 

「レベル8だ」

 

「いいだろうまずは一枚目リビングデッドの呼び声、二枚目サイクロン、三枚目……残念だったなレベルは7真紅眼の黒竜だ現れよ!」

 

「なっ……真紅眼だと何でそんな超レアカードをお前が! それにお前、バーンデッキじゃないのか!」

 

 お~お~驚いてる驚いてる、面白いな。そう言えばレアカードだったなこれ、バニラなのに。

 

「当たったんだよ、偶然ね。後デッキがあれだけと思うなんて……それがエリートさんの実力かい……ハハ浅はかだな。続けるぞ、ブリザード・ドラゴンを攻撃表示で召喚」

 

 青いつるつるしてそうな鱗と、爪が伸びて羽になっているトカゲみたいなドラゴンが現れる。こいつを見ると、某ハンティングゲームに出てきそうな気がするのは俺だけかな。

 

「バトルブリザード・ドラゴンで荒野の女戦士を攻撃」

 

眼鏡 ライフ4000→3300

 

「ぐっ……荒野の女戦士の効果発動。戦闘によって破壊され墓地に送られた時、デッキの攻撃力1500以下の地属性・戦士族モンスター一体を、攻撃表示で特殊召喚する。現れよ荒野の女戦士!」

 

「続けて真紅眼の黒竜で荒野の女戦士に攻撃、黒炎弾!」

 

眼鏡 ライフ3300→2000

 

「再び女戦士の効果発動、荒野の女戦士を特殊召喚!」

 

 さて半分は削れたが、まずいな。モンスターを残してしまった、恐らくは相手は地属性戦士族デッキだろう。

 

「俺はこのままターンエンドだ」

 

王真 ライフ4000

手札 五枚

モンスター 真紅眼の黒竜、ブリザード・ドラゴン

魔法・罠 なし

 

「俺のターンドロー、手札からマジックカード死者蘇生を発動、墓地の荒野の女戦士を蘇生、そして二体の女戦士を生け贄にギルフォード・ザ・レジェンドを生け贄召喚!」

 

「ギルフォードザレジェンドが召喚に成功した時、墓地の装備カードを任意の数をフィード上のモンスターに装備できる。ギルフォード・ザ・レジェンドに伝説の剣、神剣フェニックスブレード、団結の力を装備」

 

レジェンド 2600→4000

 

「行けギルフォードザレジェンド、ブリザード・ドラゴンを攻撃、レジェンドオブソード」

 

 ブリザード・ドラゴンに巨大な剣で切りかかるレジェンド、かわし続けるドラゴンだが次第に動きが遅くなりレジェンドに切り伏せられる。

 

王真 ライフ4000→1800

 

「ハハハハハ俺はリバースカード一枚セットして、ターンエンドだ」

 

眼鏡 ライフ2000

モンスター ギルフォードザレジェンド

魔法・罠 伏せ1伝説の剣、フェニックスブレード、団結の力

 

 ちっまずいな攻撃力4000か、このデッキは全体的に火力がそう高くはない。だが、突破口はある、アレが引ければいい。

 

 十代の方はどうなってる、フレイムウィングマンが奪われてスパークマンが地獄戦士を破壊したところか、もうすぐガードマンが来る、つか天上院さん、いつのまかいたのか。まぁ十代を見に来たんだろうけど。

 

「俺のターン、手札断殺を発動、お互いは手札を二枚墓地に送りデッキから二枚ドロー!」

 

 来た! これでいける!

 

「手札から竜の渓谷を発動、手札一枚を捨てデッキから、ドラゴン族モンスターを墓地に送る」

 

「なんだ? もう勝てないと知って、自暴自棄にでもなったか? ならばいっそ、サレンダーしたらどうだ」

 

「ハッ! 言ってろ。まだ俺のターンは終わっちゃいねぇ。手札からスタンピングクラッシュを発動、セットカードを破壊し500ポイントのダメージを与える!」

 

 

眼鏡 ライフ2000→1500

 

「更にフィールド上の真紅眼の黒竜をゲームから除外し、現れよ黒き鋼の龍レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを特殊召喚!」

 

「攻撃力2800か、なかなかだが俺のレジェンドには敵わないぜ」

 

「もちろんこれで終わりじゃねぇさ。ダークネスメタルドラゴンの効果により、墓地に存在する真紅眼の黒竜を特殊召喚」

 

「なんだって! さっき除外したはずじゃ」

 

「お前のありがたい手札抹殺のおかげさ! 俺は真紅眼の黒竜をリリースし、現れよ真紅眼の闇竜! このカードは墓地に存在するドラゴン族の数×300ポイントプラスされる。墓地のドラゴンは9枚よって攻撃力は……」

 

真紅眼の闇竜 2400→5100

 

「こっ攻撃力5100だと! そんな馬鹿な」

 

「さぁ派手に燃え尽きろ! 真紅眼の……」

 

「っ! ガードマンが来るわ、アンティルールは校則で禁止されてるし、時間外に施設を使ってるし、校則違反で退学かもよ!」

 

「ちっ命拾いしたな、エリートさん……おい十代、生徒手帳云々の前に、さっさと逃げっぞ。決着の前に退学になっちゃ元も子もねぇ」

 

 王真はリングに登って十代を引っ張りながら、運んで行くのだった。

 

………………

…………

……

 

「全く世話のやける人たちね」

 

「「ちっ余計なことを(しやがって)」」

 

「まぁまぁ二人とも。ありがとう明日香さん」

 

「どう? オベリスクブルーの洗礼を受けた感想は?」

 

「まあまあかな、もう少しやるかと思ったけどね。あのまま続けたら勝ってたぜ」

 

「そっちはどうだった」

 

「少し危なかったが、まだまだだな。あそこでアレが引けてなくともしのげたが、貫通付与の装備魔法があったら負けてたな……時に十代、最後何を引いた?」

 

「こいつさ、こいつでフレイムウィングマンを蘇生させて俺の勝ちさ」

 

 意気揚々と見せたるは、死者蘇生のカード。王真はそれを見て手で顔を覆った。

 

「十代、フレイムウィングマンは融合召喚以外では、特殊召喚できないぞ。テキストの最初の方を見てみろ」

 

「……あぁ! ほんとだ……じゃあ、俺さっきのデュエル負けてたのか」

 

「や、クレイマンを守備で蘇生しておけば、まだわからないが恐らくはまだ、決着は着かなかったろうさ」

 

「そっか、そうだよなやっぱりあのまま続けたら俺が勝ってたんだ。ハハハ寮に帰るぜ王真、翔」

 

「アニキ~待ってよ~」

 

「まったく、底抜けのデュエル馬鹿だなあいつは」

 

「待って、あの場合の十代から、どうやって勝算を導いたというの?」

 

「アイツの引き次第さ、今となってはわからんよ。想定するならばハネクリボーで凌ぎ、次のドローでバブルマン、二枚引き融合または融合を持ってくるカードか強欲な壷、戦士の生還でアイツの勝ちだよ」

 

 そう言い残して王真は走った。寮に着いたあと十代にさっきの続きを引いてもらったら、案の定その引きだった。つくづくふざけたチートドローにイラつく王真であった。

 

続く

 

荒野の女戦士 効果モンスター

星4/地属性/戦士族/攻1100/守1200

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキから攻撃力1500以下の戦士族・地属性モンスター1体を自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

手札抹殺 通常魔法(制限カード)

お互いの手札を全て捨て、それぞれ自分のデッキから捨てた枚数分のカードをドローする。

 

名推理 通常魔法(制限カード)

相手プレイヤーはモンスターのレベルを宣言する。通常召喚が可能なモンスターが出るまで自分のデッキからカードをめくる。出たモンスターが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地へ送る。違う場合、出たモンスターを特殊召喚し、それ以外のめくったカードは全て墓地へ送る。

 

ブリザード・ドラゴン 効果モンスター

星4/水属性/ドラゴン族/攻1800/守1000

相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターは次の相手のエンドフェイズ時まで攻撃宣言をする事ができず、表示形式を変更する事もできない。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

死者蘇生 通常魔法(制限カード)

自分または相手の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

 

ギルフォード・ザ・レジェンド 効果モンスター

星8/地属性/戦士族/攻2600/守2000

このカードは特殊召喚できない。このカードが召喚に成功した時、自分の墓地に存在する装備魔法カードを可能な限り自分フィールド上に表側表示で存在する戦士族モンスターに装備する事ができる。

 

神剣―フェニックスブレード 装備魔法

戦士族モンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。自分のメインフェイズ時、自分の墓地に存在する戦士族モンスター2体をゲームから除外する事で、このカードを自分の墓地から手札に加える。

 

伝説の剣 装備魔法

戦士族のみ装備可能。装備モンスター1体の攻撃力と守備力は300ポイントアップする。

 

団結の力 装備魔法

装備モンスターの攻撃力・守備力は、自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体につき800ポイントアップする。

 

手札断殺 速攻魔法

お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送り、デッキからカードを2枚ドローする。

 

竜の渓谷 フィールド魔法

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に手札を1枚捨てる事で以下の効果から1つを選択して発動する事ができる。

●自分のデッキからレベル4以下の「ドラグニティ」と名のついたモンスター1体を手札に加える。

●自分のデッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る。

 

スタンピング・クラッシュ 通常魔法

自分フィールド上にドラゴン族モンスターが表側表示で存在する場合のみ発動する事ができる。フィールド上に存在する魔法・罠カード1枚を選択して破壊し、そのコントローラーに500ポイントダメージを与える。

 

レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン 効果モンスター

星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400このカードは自分フィールド上に表側表示で存在するドラゴン族モンスター1体をゲームから除外し、手札から特殊召喚できる。1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に手札または自分の墓地から「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン」以外のドラゴン族モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚できる。

 

真紅眼の闇竜 効果モンスター

星9/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守2000このカードは通常召喚できない。自分フィールド上に存在する「真紅眼の黒竜」1体をリリースした場合のみ特殊召喚する事ができる。このカードの攻撃力は、自分の墓地に存在するドラゴン族モンスター1体につき300ポイントアップする。

 



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三話・覗きと痴漢はやってないなら堂々としてようぜ

王真side

 

 おはようございます、黄衣王真です。只今講堂にてクロノス教諭がカードの種類についての講義が行われています。明日香がおおまかな種類を説明したところで、フィールド魔法についての説明をせよとの事で。

 

 そういえば翔は上がり症だって言ってた気がする……あ、やべ欠伸出た。

 

「よろしい、引っ込みなさいーノ基本を答えられないとは流石はオシリスレッド、驚きでスーノ、それではシニョール黄衣、あなたーモフィールド魔法についての説明をしてみるノーネ」

 

「フィールド魔法は、発動中常にお互いのフィールドに干渉し続ける魔法カードであり、種族強化を行う「山」や「海」、属性強化を行う「シャインスパーク」や「デザートストーム」、発動していれば何度でも効果の使える「フュージョンゲート」や「死皇帝の陵墓」、そして前述とは異なり、自分にのみ恩恵を与える「竜の渓谷」や「暗黒界の門」などがあります。カードによっては相手を助長してしまう事もありますが、種族がバラバラでも属性が同じなら、採用の価値はあると思われます」

 

「わ、わかりまシータ、もういいでスーノ」

 

 うぉう、あからさまに嫌そうな顔してるよクロノス教諭、多分ドロップアウトの癖に生意気だ的な、事を思ってるんだろうな。俺は途中で寝ただけで、特に座学が悪いって訳じゃないんだがなぁ、まぁその点は神様に感謝だね……ここで「暗黒界の門」や「竜の渓谷」について突っ込まれなくてよかったよ、まだ存在していないカードだからね。さてもう一歩、クロノス教諭を煽っておくかな面白そうだしね。

 

「まぁどちらにせよ知識と実践は違うからな、なぁ十代?」

 

 と王真は十代に目配せする、何か言っとけと言わんばかりの目で、すると十代も乗り気のようだった様で。

 

「確かに実践とは違うよな、だって俺もオシリスレッドだけど先生には勝ってるし」

 

 始めてみたよ、悔しい時にハンカチ噛んで引っ張んのハハッ、セブンスターズ前のクロノス教諭は大嫌いなんでね、マトモになるまでとことんイライラさせてやるよ。

 

「クックックックッ」

 

「……なんか王真君が怖いッスよアニキ」

 

「そうか?いつもと変わらないと思うぞ」

 

 錬金術、体育の授業、今更だがデュエルアカデミアはデュエルの科目があるだけで、ほかは普通の高校だ。他の必修科目は勿論あるし、今みたいに体育の授業なんかもある、さっきの錬金術みたいに明らかにおかしい科目もあるにはあるけど……気にしなくてもいいだろう。何度か英語の授業もあった、生前では英語は壊滅的ではあったが、こちらの世界ではある程度はマシになってる……助かった。

 

「……翔がいねぇな、どうしたんだアイツ」

 

「おかしいな翔のやつ何やってんだ」

 

「心配だがそう大変な事にはなってないだろう、なんとなくそんな気がする。少ししたら急いで来るだろうさ」

 

 そんな話をしつつ、この前のデュエルの話をしていたら、翔が歩いてきた。急ぎもせずにしかもだらしない顔をしてきた。あぁん? 最近だらしねぇな! とか言って、ケツでも叩いてやろうかと思ったがやめた、このイベントは覚えがある。たしかラブレター事件だったな、まぁ帰ってきたあたりでしょんぼりしてるだろうね。

 

 王真は体育の授業後、空腹と水分補給の為に購買部に来ていた。とにかく眼を引くドローパンの籠にカードパックの販売コーナ、どれにどんなカードがどういう括りでパックに入ってるのか全くわからん売り場を通り過ぎる。

 

 ふむ……女生徒がブルー男子に囲まれてるように見えるな……多分気のせいだろう。さて、自分の明らかに酷いドローを拝むためにドローパンでも買ってみますかね。

 

 王真は適当に二つドローパンを掴み購入、チラリとさっきの場所を見てみる、さっきと変わりはないようだ単純に話してるだけにも見える。茶色っぽいセミショートの髪が横に揺れてる、首を横に振っているのは断っているのかなんなのか……。

 

 ……あぁ、あの子はたしか宮田さんちのゆまちゃんだったかな? タッグフォースの一般生徒として出てきてたね。……少し会話を聞いて芳しくない状況なら、助け船でも出してあげますかねドローパンも二つあるしね。

 

 断片的に聞こえる会話を整理すると、宮田さん誰かを待つ→ブルー男子(複数)がナンパ?をする→宮田さん断りつつ誰かを待つ→なお食い下がるブルー男子→宮田さん王真が見ていることに気付いてこっちを見ている→王真助け船をだそうとアイコンタクトを送る←今ここ。

 

 さて助け船でもだしますか、ドローパンを一つ片手に持ちてにこやかに近づきっと……。

 

「すまない待たせたドローパン選んでたら遅くなった」

 

「……? あ……いえ、そんなに待ってないので大丈夫ですっ」

 

 そう言ってドローパンを投げ渡す王真、ブルー男子がポカーンとしているが、我にかえったブルー男子が王真に突っかかってくる。

 

「おいお前行きなり出てきてなんなんだよ」

 

「なんなんだ、と言われてもなこの子の待ち人だが?」

 

 ブルー男子がこっちに詰め寄るしかも結構ご立腹のご様子で。

 

「ふざけるな! 彼女が待ってるのは、お前みたいなオシリスレッドなんかじゃないんだよ!」

 

「はぁ……事実なんだから仕方ないだろう?それとレッドだからってブルーの人間に、会っちゃいけないなんてことはないだろ」

 

「うるさいうるさいデュエルだ! お前みたいな屁理屈ばかりをこねるやつが大嫌いなんだ」

 

 ブチンと王真の中で何かが切れる音がした、名の無い? ブルー男子は王真の最も嫌いで、最も殺意を抱かせる屁理屈という言葉を言ってしまったからである。

 

「いいだろう、かかってこい。お前みたいな奴がぶち殺したくなるほど嫌いなんだよ」

 

「「デュエル」」

 

 王真sideout

 

 ゆまside

 

 あうぅ……私のせいで大変な事に……あうぅどうしようブルーの人とのデュエルが始まっちゃうよ止めなきゃでもでも……あうぅ

 

「「デュエル」」

 

「俺のターンサファイアドラゴンを攻撃表示で召喚、更にリバースカードを二枚セットしてターンエンドだ」

 

ブルー男子 ライフ4000

モンスター 1

魔法・罠 2

 

「お前のせいですこぶる機嫌が悪い。ただでは終わらせないから覚悟しろ。E-エマージェンシーコールを発動、デッキからE・HEROエアーマンを手札に加える」

 

 あのレッドの子HEROデッキ……もしかしたら、あの子がクロノス先生に勝ったって噂の遊城君なのかな?

 

「融合を発動、スパークマンと沼地の魔神王を融合しE・HEROアブソルートzeroを融合召喚」

 

「かかったな!リバースカードオープン奈落の落とし穴だ、このカードは相手が攻撃力1500以上のモンスターを出したとき、破壊し除外するんだぜ」

 

「……手札から速攻魔法マスク・チェンジを発動。アブソルートzeroをリリースし同じ属性のM・HEROアシッドを変身召喚、アブソルートzeroがいなくなったことにより奈落の落とし穴は不発に終わる、そしてアブソルートzeroとアシッドの効果発動、アブソルートzeroの効果により相手のモンスターを全て破壊、アシッドの効果により魔法・罠を全て破壊だ」

 

 フィールドに白いもやが広がりサファイアドラゴンが足下から凍り付きそのまま砕け散る、散らばった氷がセットカードに刺さり破壊される。

 

「さて、もう一押しだなミラクル・フュージョンを発動。墓地のアブソルートzeroとスパークマンをゲームから除外、E・HEROシャイニングを融合召喚、そしてエアーマンを召喚、バトルだ一斉攻撃」

 

「ウソダー! コンナコトー!」

 

ブルー男子 ライフ4000→-3600

 

 本当に嘘みたい。ワンターンキルなんて初めて見た、だけどあの子少し怖いかも。怒気……というかオーラが凄い。

 

「無様に這いつくばって、消え失せろ」

 

 そう言って歩いて行っちゃったあぅついていかなきゃ。

 

 ゆまsideout

 

 王真side

 

 イライラしていた、反省もしていないし後悔もしていない、むしろすっきりした。たまには一瞬で削りとるデッキを作ってもいいんじゃないかな、まぁ作るにしてもどいつを主点に置くかをきめる必要があるね。……何かを忘れてる気がする、なんだったか……あぁそうだ宮田さんに助け……しまった置いてきちまったどうしよ。

 

「ま……待ってください~ハァ……ハァ……追いついた」

 

「……すまないちょっと頭に血が上ってた、つかいらなかったか?」

 

「いえ、ありがとうございますあの人付きまとってきて……その……」

 

「まぁその……なんだ、ツレの人に連絡しといた方がいいんじゃないか、誰かを待ってたんじゃないか?」

 

「はい……大丈夫です連絡はしておきましたので」

 

「そうかい、ちなみに聞くが具なしパンは好きかい?」

 

「好き……ですけど?」

 

「どうぞ、ついでにあげるよ」

 

 王真は、自分が持っていたドローパンも投げ渡して走って行った。

 

 王真sideout

 

 明日香side

 

 ゆまったら購買部で待ってるって言ったのに、見当たらないじゃない……それにしてもこの人だかりは何?

 

「ちょっといいかしら? ここで何があったの?」

 

 明日香は近くにいた笑ってる女生徒に聞く事にする。

 

「明日香ちゃん、や~ここでレッドの子とブルーの子がデュエルしてたんですよ、凄いデュエルでしたよ。なんせワンキルですよワンキルしかもマイナス3600のオーバーキル、しかも最後に食らった攻撃できりもみ回転しながらぶっ飛んでいったのは抱腹絶倒の爆笑ものですよあれ」

 

 そう言ってブルーの女子はまた笑い出した、一区切り笑い終わるとまた話を切り出す。

 

「ところでゆまを見なかった?少し待ち合わせをしていたんだけど……」

 

「あ~ゆまちゃんなら、ここでデュエルしてたレッドの子を追いかけて行っちゃいましたよ。でもあの子の事だから連絡は来てるんじゃないかな?」

 

「そうね……あら? PDAにメッセージが……ゆまからだわ。今は正門前にいるみたいねちょっと行ってくるわありがとじゃあね」

 

 明日香sideout

 

 ???side

 

 忙しそうだな~明日香さん、だけどHEROデッキを使ってるのって十代君だけだよねそれにあれは漫画版HEROだったし……もしかしたら私以外にアレ(・・)がいるって事だねいや~早くも遭遇ですか。

 

「……確か日にち的にはあのイベントがあるはずちょっとカマをかけてみたりしようかな~さっきのレッドの子が、アレならデッキも……明日香ちゃんが興味を持つはず……」

 

 

 何やらブツブツと呟き、時々気味悪く笑う女生徒を、周りの生徒が引いていたのを少女は知らなかった。

 

 ???sideout

 

 明日香side

 

「ゆま、いったいどこにいたのよ? 購買部に行っても見当たらないどころか別の所にいるなんて……」

 

「あう……ごめんなさい明日香さん、それとすみません実は……相談したかった事も解決してしまって」

 

「解決したって購買部でのデュエルの事?」

 

「はい……そのをデュエルしてたのが問題の人で、デュエルの後私の所に来て、俺が悪かったもう二度と付きまとったりしないって謝罪に来てくれたんです」

 

「そう、なんにせよよかったじゃない」

 

 ゆまは、はいっと元気よく返事をしてブルー寮に戻っていった。

 

 明日香sideout

 

 王真side

 

 しまったな、結局ドローパンを二つともあげてしまったし……まぁでも寮の食事はもうすぐだし我慢するかな、そういえば神様に精霊の事とか聞いてなかったな。十代のせいですっかり忘れてたよ。寮についたら連絡するかな。夜までは特にイベントも無いし……ないよね?

 

「や~オシリスレッドのHERO使い君ハジメマシテ~」

 

 ……見たことの無いイベントが発生しました、どうしましょう……見なかった事にしよう、怪しいものはスルーにかぎる。

 

 王真、華麗にスルーして寮の階段を登る。何故かついてくるブルーの女生徒、自分の部屋に入るや否やドアを思いっきり閉める。ドアの向こうから、みぎゃっ! っとドアにぶつかった音と奇妙な泣き声をスルーして鍵をかける。すぐさま携帯を開いて神様にコールする。

 

「もしもし神様? 今すぐあんたを張り倒したいんだけどどうしたらいい?」

 

 ドアをドンドン叩く音がとても喧しいが、今はそれどころじゃない、少しするとどこからか子供用のラッパの音が増えた……天の岩戸に引きこもった神様かよ俺は。

 

「張り倒されたくないのう~それで本題はなんじゃ?」

 

「とりあえずは何故俺に精霊が見えるんだよ」

 

「ステイタスじゃろ?そっちの世界じゃ。わしも今見てるんじゃがな遊戯王GX、精霊が見えんとやってけんぞいだから見えるようにした」

 

「そうかい。わかったよ精霊が見えるからと言って困ることは出てこないしな、何か聞きたい事があったらまた連絡する」

 

 ドアを殴る音がなくなったし、こちらの用件も終わったので確認しよう。さっきの不審者もいなくなってくれただろうし、そろそろ鍵を開けてもいいかもな。

 

「や~っと開けてくれましたね~」

 

 すぐに閉める。だって目の前に居たんだもの、天の岩戸作戦に失敗して帰ったものだと思ったよ。

 

「帰れ不審者、お前のような知り合いはいない」

 

「ちょっち待ってよ、そんなつれない事言わないでよ。こんなに可愛い女の子が待ってるんですよ、男なら部屋に引っ張りこんであ~んな事やこ~……」

 

「帰れ変質者、白昼堂々と変態トークに付き合う気はない」

 

「厳しいな~……おい、デュエルしろよ」

 

 変質者の声が一瞬鋭くなった気がした……もしかしなくてもこいつ……招き入れてもいいかもしれないが、ネタの一つくらいは言ってやろうか。

 

 鍵を開けてドアを開いて開口一番で王真は言う。

 

「アナタハ、神ヲ信ジマスカ?」

 

「アッハハハハハ片言で……片言でっブッククククク」

 

「おいおいこんなの今時の中学生でも笑わんぞ、でお前は神様を信じるのか?」

 

「ククククク……ふぅ、そもそも神様ってどの神様?色々いるじゃない。三幻神? 三邪神? 地縛神? 機皇神? 神様なんてたくさんいるよ」

 

「あぁ、うん。もうお前さんが俺と同じ境遇だってことがわかった」

 

「そ~いう事ですよ」

 

「ちと携帯貸してくんね?」

 

 少女に携帯を操作して神様にコールしてもらう、王真も携帯を操作して神様にコールして、携帯を借り、丁度通話口と受話口を重ね合わせて待つ。

 

「まだなにか用なのかの?」

「なに仕事中なんだけど?」

 

「「………………」」

 

「なんじゃお主は、まさか死んだ命を蘇らせたのではあるまいな!」

 

「あなたこそ死んだ人を転生させたのね!」

 

 重ね合わせたまま放置する。まぁどうせそのうち話が終わるだろうが、とりあえずハンズフリーにでもしておこう。

 

「さてお互いの自己紹介でもするかね。俺は黄衣王真、生前での年齢は20だ」

 

「よろしく王くん、私は万花無有(ばんかむゆう)生前の歳は16だよ」

 

「むゆう……もしかして夢が遊ぶと書いてむゆうか? つか誰が王くんだこら馴れ馴れしいぞ」

 

「ん~残念。遊の字が入ったら主人公格になっちゃうじゃん、漢字は無いに有ると書いてむゆうだよ、もしかしたら「むあ」って読めちゃうかもよ。いいじゃん馴れ馴れしくても、王くんって呼ぶ代わりに私の事を有ちゃんって読んでもいいんだよ?」

 

「駄目だこいつ、思考がかっとビングしていやがる。ハァ……聞きたいんだが、今までシンクロやエクシーズは使ってないだろうな?」

 

「使ってな~いよ、第一に使ったらパニックになるじゃな~い」

 

「まぁな。だが月1のテストがあるだろうその時にシンクロ、エクシーズを解禁する」

 

「え~何でさ、さっき言ったじゃんパニックになるって」

 

「言った。だけどなここはデュエルアカデミアだぜ? 一番最初の反応は恐らく驚きと歓喜であって、パニックにはならないだろうと俺は予測するよ有ちゃん」

 

「……自分で呼んでもいいって言ったけどいざ呼ばれると少し恥ずかしいよ王くん……その言い分は間違ってないけどそう上手く行くかな?」

 

「ならそうやって呼ばせなければいいのさ、それにそうしなければこの先もう勝てなくなる。今でこそ勝てているものの、もうすぐ追い抜かれるだろう。アイツらの成長スピードには眼を張るものがある、シンクロエクシーズを使ってやっと対等と言ったくらいだ、もともと勝つためにやっている訳ではないが、学校にいるわけだそこそこの成績を納めておきたいからな」

 

「そ~いうもんですかね~。王くんは、やっぱり上の寮にあがっていきたいと思う?」

 

「や、あんなダッセェ寮になんざ入りたくもねぇよ、単純にそう思うだけさ。この世界は俺達以外ガチデッキを作ってるやつなんてそうはいない、だからこそ純粋にデュエルを楽しめるのさっと。神様たちの話も終わったみたいだぜ無有……どうした?こっちを見て呆けているようだが」

 

「え、あ~ちょっちね。そんな考え方をしてる王くんが面白いな~って思ってたのよ」

 

「喧しい、まぁゆっくりしていけ。茶も出さずにすまんかったな今入れてくる」

 

 レッド寮の個室にはコンロがあるお茶を入れるためなのか、料理のためなのかまぁそんな事はどうだっていいさ。料理をしたくても材料がないどこかから貰ってくるか自分で買うかのどちらかである。

 

「くんくんこのにおい……玄米茶ですね、私はコーヒーも好きなんですけどね」

 

「文句を言わないでくれ。聞かなかった俺も悪いんだがな」

 

「クッキーですねこれもお茶のにおい、お茶尽くしですね」

 

「昔、作ったのが意外と好評でね、こっちに来てからもたまに作ってるんだ」

 

「流石は35年は生きてるだけはありますね。三十路の貫禄ってやつですね」

 

「張り倒すぞお前、お前も精神は三十路だろうが」

 

「いいんですよ私は高校生だったんであなたは社会人でしょ?」

 

「うっせ、だからなんだっつんだよ。こっちでも向こうでも家事全般をやってんだよ神様はまんま家族をこっちの世界に投影しやがったからな」

 

「家族投影……ですかいいですね」

 

「……悪いな色々と」

 

「や~いいですよ美味しい玄米茶とクッキーを食べれた事ですし、そろそろお暇しますよ。それじゃあね王くん、夜のイベントで……あ、夜のイベントっていっても、卑猥な意味じゃないですよ」

 

「さっさと帰れいちいち余計なことを混ぜるな」

 

「じゃ~ね王くん」

 

 ……賑やかだったなアイツ。月1テストで当たらないといいな、当たったらまず間違いなく負ける、酷い程のネタじゃなければの話だが。

 

 王真sideout

 

 翔side

 

 もうすぐ時間だな女子寮の裏に行こっと、明日香さんが僕に……エヘヘヘ幸せ……

 

「この辺かな?」

 

「覗きよー!!」

 

 えっ嘘覗きもしかして僕も危ないんじゃ……あぁ囲まれちゃった。

 

「もう逃げられないわよこの痴漢」

 

 

 両手を縛られて女子寮の中に連行される翔、縄を握っているジュンコ、隣に明日香、ももえがいる。翔は自分がラブレターの事を説明する。しかしそれが偽物で十代宛であることに落ち込んでる翔、そこに何故か無有が通りかかる。

 

「ありり明日香さんこの子? さっきの覗き騒ぎの犯人って。駄目だぞ~覗きはやるならもっと大胆に、正面突破じゃないと」

 

「覗いてないってば」

 

「無有、訳のわからない事を言わないで。それよりも私にちょっと考えがあるの」

 

 そのときの翔は、ずっと無有に遊ばれていて話を聞いてはいなかった。

 

 翔sideout

 

 王真side

 

「王真、大変だ王真!」

 

「聞こえてるよ、でどうしたよ翔が誘拐でもされたか? まぁ俺のとこのPDAにもそれが来てるんだがね」

 

「行くよな王真」

 

「もちろんだとも、友人をほっとけやしないさ」

 

 とそういうわけで十代と王真が女子寮にたどり着く。予想通り手を縛られている翔、明日香ジュンコ、モモエそして無有までいる。

 

「どういうことなんだよ翔?」

 

「話せば長いような長くないような」

 

「つまり覗いて無いのに覗き扱いされてるってこったね」

 

「そうだよ~」

 

「まぁそれを見た人間がどう思うかはわからんやな、俺なら間違いなく捕まえるがな」

 

「王真君はどっちの味方なんスか!?」

 

「もちろん翔達の味方だよ、今のは俺の考えだよ気にするな」

 

「ねぇあなた達私とデュエルしない?私に勝ったら覗きの件は多目に見てあげる」

 

「だそうだ。十代デュエルしろってさ」

 

「え? 俺がやっていいの?」

 

「もちろんだともさ頑張りな」

 

「まったくもう王くんは自分がやりたくないからって十代君に押し付けて」

 

「押し付けたんじゃない譲ったんだよ、言葉を間違えるな」

 

「あれ? 王真君が仲良さげにブルーの人と喋ってるッス」

 

「「デュエル」」

 

 そして終盤サンダー・ジャイアントがサイバーブレイダーを破壊して攻撃を加えるところだ。

 

「サンダー・ジャイアントでダイレクトアタック、ヴェイパースパーク!!」

 

 さてこれで明日香のライフはゼロようやく帰れるな。ん? ……無有のやつがこっち見てニヤニヤしてやがるまさか……。

 

「さぁ次はあなたの番よ、黄衣王真」

 

「十代が勝っただろう? 俺がやる必要はないじゃあないか」

 

「ちなみに王くんが受けてくれないと、翔くんのやったことを王くんがやったって通報しちゃうよ」

 

「てめぇ……後で張り倒すからなクソッ! 明日香が相手だな……かかってこい」

 

「「デュエル」」

 

「私の先攻ドロー手札から融合を発動、エトワールサイバーとブレードスケーターを融合しサイバーブレイダーを融合召喚。カードをセットしてターンエンド」

 

明日香 ライフ4000

手札2

モンスター1

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー手札からフォトン・ベールを発動、手札の光属性モンスターを三枚をデッキに戻し、レベル四以下の光属性モンスターを手札に加える。二枚以上手札に加える場合、全て同じカードでなければならない、セイクリッド・シェラタン三枚を手札に加える」

 

「セイクリッド……聞いたことの無いカードね」

 

「ちょっと、王くんそのデッキはテストまで封印するんじゃないの」

 

「気が変わった。ここで解禁だッ! 手札からセイクリッド・シェラタンを攻撃表示で召喚、シェラタンの効果、発動このカードが召喚に成功したとき、デッキからセイクリッドと名のついたモンスターカードを手札に加える。デッキからセイクリッド・エスカを手札に加え、リバースカード二枚セットしてターンエンドだ」

 

 おひつじ座が輝き羊の角を模した兜を被り銃を持った少年が現れ、銃からこちらに向けてカードを射出してきてそれを受けとる。

 

王真 ライフ4000

手札3

モンスター1

魔法・罠2

 

「攻撃力700のモンスターを攻撃表示なんて舐めてるのかしら、普通なら守備表示で召喚するはずよ。私のターンドロー、バトルサイバーブレイダーでセイクリッド・シェラタンを攻撃!」

 

「トラップ発動光子化! 相手のモンスターの攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力分を俺のフィールド上の光属性モンスターに追加する。サイバーブレイダーの攻撃力2100をシェラタンに追加する」

 

シェラタン 700→2800

 

「地盤沈下を発動してターンエンドよ」

 

明日香 ライフ4000

手札2

モンスター1

魔法・罠2

 

「俺のターンドローセイクリッド・シェラタンを召喚、デッキからセイクリッド・スピカを手札に加えセットしてあった血の代償を発動、更にセイクリッドの星痕を発動しライフを500払い、シェラタンをリリースセイクリッド・スピカをアドバンス召喚」

 

王真 ライフ4000→3500

 

 空に乙女座が輝き白い甲冑と天使の羽を模した騎士が降り立ち、更に光の円を描く。

 

「セイクリッド・スピカの効果発動、このカードの召喚に成功したとき、手札からレベル5のセイクリッドを特殊召喚する事ができる。セイクリッド・エスカを特殊召喚、そして召喚または、特殊召喚に成功したときデッキからセイクリッドと名のついたモンスターを手札に加えることができるが……残念ながらサイバーブレーダ―の効果で発動はできないな」

 

 空に天秤座が輝き天秤のような手にマントをはためかせた機械が現れる。

 

「おぉ一気にモンスターを三体も並べるなんてスゲーぞ王真」

 

「驚くのはまだ早いぜ。ホントに驚くのはここからだぜレベル5のセイクリッド・スピカとエスカをオーバーレイ!!」

 

「「「「「オーバーレイ!?」」」」」

 

「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

 

 湖に現れた黒い穴にモンスターが黄色い光になって吸い込まれ光が爆散する。

 

「現れろセイクリッド・プレアデス! さらに星痕の効果発動、セイクリッドと名のついたエクシーズモンスターを特殊召喚したとき、デッキからカードを一枚ドローできる」

 

 爆散した光が収まったとき白い甲冑を身にまとい剣を持った戦士が現れるその周りには光の玉が回っている。

 

「だけどあなたのモンスターが2体になったとき、サイバーブレイダーの攻撃力は倍になる」

 

サイバーブレイダー 2100→4200

 

「悪いがここで終わらせるぜ! セイクリッド・プレアデスの効果発動、1ターンに一度オーバーレイユニットを一つ使い、フィールド上のカードを手札に戻す、セットカードを戻せライトリバース!」

 

 プレアデスは右手で球体を一つ握りつぶし、光を放射してセットカードが裏側のまま捲れ上がりそのまま消える。

 

「これで障害は消えた! 攻撃力の上がったシェラタンでサイバー・ブレイダーを攻撃!」

 

「攻撃力の低いモンスターで攻撃するなんて自滅する気!!」

 

「越えられないなら無理矢理突破だ!ダメージ計算時、手札のオネストを捨てて効果発動、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分を追加する」

 

シェラタン 2800→7000

 

「なんですって!!攻撃力7000ですって」

 

「さぁ終りだプレアデス、シェラタンでダイレクトアタック」

 

明日香 4000→-2000

 

 両手の拳を打ち付けた後右の拳を突き上げる。

 

「シャアッ!!」

 

「負けたわ。でもいいデュエルだったわ、エクシーズモンスター……変わったモンスターね」

 

「明日香さんがオシリスレッドに二回も負けるなんて……」

 

「王くんやり過ぎだよ……」

 

「結構辛かったんだぜ、初手が荒れすぎてな。フォトンベールが来てなかったら負けてたぞ。てか途中から煽りすら入れてなかったなあのお二人さん」

 

「十代君が勝っただけでも驚いてるのに王くんまで勝っちゃうし、果てにはエクシーズまでしちゃうからだよ」

 

「すっげぇよ王真なんだよあのエクシーズってモンスターはカッコイイ!」

 

「へぇ~じゃあ入学試験の時に言ってた面白い物ってのは」

 

「あぁこいつの事さどうだい面白かったかい?」

 

「あぁワクワクしたよ。まだ王真とはデュエルしてないし今か……」

 

 デュエルしようと言おうとする十代に、無有が止めに入る。

 

「駄目だよ十代君、王くんもデュエルしたんだしさ疲れてるよきっと、だからさ後日にしようよね?」

 

「そうだな……それでお前誰?」

 

「さっきから王真君と仲良さげに喋ってたよね誰なの?」

 

「あぁこいつは……」

 

「私はね~万花無有っていうの、よろしくね。王くんとは……ポッ……あう痛い、痛いですお願い止めて王くん許して。頭ガシガシ撫でるのやめて、もっとソフトに優しくしてくれたら私惚れちゃ痛い痛い痛い、更に強くなったなった」

 

「こいつはまぁ俺と同郷なんだわさ、んで出身が同じだからちと意気投合したわけよ」

 

 王真は無有の髪の毛をグッシャグシャに撫で回して、ボサボサになったロングヘアを更にボサボサにする。

 

「あぁ!やっと乾かして綺麗に整えたのに、王くんそれ以上やると王くんに梳いてもらうよ!」

 

「なら櫛を持ってこいそしたらやってやる」

 

「いいの?行くよ?ホントに櫛持ってそっちの寮にいっちゃうよ?」

 

「寮に来んな、ここでやってやるって言ってるだよ」

 

「ちょちょっち待ってジュンコ、モモエ明日香ちゃん櫛持ってない!? 櫛!! 今櫛があれば私の王くんに対する好感度が、右肩上がりどころか急上昇だよ!!」

 

 無有はジュンコ達をみるが首を振る。

 

「そんなぁ……せっかく王くんが……」

 

「残念だがまたいずれって事だな。じゃあな」

 

「ちょっと待ちなさい黄衣王真。あの時シェラタンを攻撃表示で出したのは光子化があったから出したの、それとも明日香さんを舐めてたの!?」

 

「あれは癖だよ、召喚するときは基本、表側攻撃表示ばかりなんでなそんだけだよ行くぞ十代、翔」

 

「お……おう最後になったけどあんた強かったぜ……待ってくれよ王真~」

 

 次の日、授業中も休み中もずっと無有が恨みがましく睨み続けられていたので、仕方なく髪の毛を梳いてやったのはまた別の話である。

 

続く

 

E-エマージェンシーコール

通常魔法

自分のデッキから「E・HERO」と名のついたモンスター1体を手札に加える。

 

奈落の落とし穴

通常罠(準制限カード)

相手が攻撃力1500以上のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚した時に発動する事ができる。

 

E・HERO アブソルートZero

融合・効果モンスター

星8/水属性/戦士族/攻2500/守2000

「HERO」と名のついたモンスター+水属性モンスターこのカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。このカードの攻撃力は、フィールド上に表側表示で存在する「E・HERO アブソルートZero」以外の水属性モンスターの数×500ポイントアップする。このカードがフィールド上から離れた時、相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。

 

マスク・チェンジ

速攻魔法

自分フィールド上の「HERO」と名のついたモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを墓地へ送り、選択したモンスターと同じ属性の「M・HERO」と名のついたモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。

 

M・HEROアシッド

融合・効果モンスター

星8/水属性/戦士族/攻2600/守2100

このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。このカードが特殊召喚に成功した時、相手フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊し、相手フィールド上の全てのモンスターの攻撃力は300ポイントダウンする。

 

E・HERO Theシャイニング

融合・効果モンスター

星8/光属性/戦士族/攻2600/守2100

「E・HERO」と名のついたモンスター+光属性モンスターこのカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。このカードの攻撃力は、ゲームから除外されている自分の「E・HERO」と名のついたモンスターの数×300ポイントアップする。このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、ゲームから除外されている自分の「E・HERO」と名のついたモンスターを2体まで選択し、手札に加える事ができる。

 

ミラクル・フュージョン

通常魔法

自分のフィールド上または墓地から、融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、「E・HERO」という名のついた融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

 

E・HERO エアーマン

効果モンスター(制限カード)

星4/風属性/戦士族/攻1800/守 300

このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、次の効果から1つを選択して発動する事ができる。●自分フィールド上に存在するこのカード以外の「HERO」と名のついたモンスターの数まで、フィールド上に存在する魔法または罠カードを破壊する事ができる。●自分のデッキから「HERO」と名のついたモンスター1体を手札に加える。

 

サイバー・ブレイダー

融合・効果モンスター

星7/地属性/戦士族/攻2100/守 800

「エトワール・サイバー」+「ブレード・スケーター」このモンスターの融合召喚は上記のカードでしか行えない。相手のコントロールするモンスターが1体のみの場合、このカードは戦闘によっては破壊されない。相手のコントロールするモンスターが2体のみの場合、このカードの攻撃力は倍になる。相手のコントロールするモンスターが3体のみの場合、このカードは相手の魔法・罠・効果モンスターの効果を無効にする。

 

フォトン・ベール

通常魔法

自分の手札から光属性モンスター3体をデッキに戻し、自分のデッキから光属性・レベル4以下のモンスターを3体まで手札に加える事ができる。2体以上手札に加える場合は、全て同名モンスターでなければならない。

 

セイクリッド・シェラタン

効果モンスター

星3/光属性/獣族/攻 700/守1900

このカードが召喚に成功した時、自分のデッキから「セイクリッド」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。

 

血の代償

永続罠

500ライフポイントを払う事で、モンスター1体を通常召喚する。この効果は自分のメインフェイズ時及び相手のバトルフェイズ時にのみ発動する事ができる。

 

光子化

通常罠

相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。相手モンスター1体の攻撃を無効にし、その相手モンスターの攻撃力分だけ、自分フィールド上に表側表示で存在する光属性モンスター1体の攻撃力を、次の自分のエンドフェイズ時までアップする。

 

地盤沈下

永続魔法

使用していないモンスターカードゾーンを2ヶ所指定して発動する。このカードがフィールド上に存在する限り、指定したモンスターカードゾーンは使用できない。

 

セイクリッド・スピカ

効果モンスター星5/光属性/天使族/攻2300/守1600

このカードが召喚に成功した時、手札から「セイクリッド」と名のついたレベル5モンスター1体を表側守備表示で特殊召喚する事ができる。

 

セイクリッド・エスカ

効果モンスター星5/光属性/機械族/攻2100/守1400

このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、自分のデッキから「セイクリッド」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。

 

セイクリッドの星痕

永続魔法

自分フィールド上に「セイクリッド」と名のついたエクシーズモンスターが特殊召喚された時、自分のデッキからカードを1枚ドローする事ができる。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

セイクリッド・プレアデス

エクシーズ・効果モンスターランク5/光属性/戦士族/攻2500/守1500

光属性レベル5モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、フィールド上に存在するカード1枚を選択して持ち主の手札に戻す。この効果は相手ターンでも発動する事ができる。

 

オネスト

効果モンスター星4/光属性/天使族/攻1100/守1900

自分のメインフェイズ時に、フィールド上に表側表示で存在するこのカードを手札に戻す事ができる。また、自分フィールド上に表側表示で存在する光属性モンスターが戦闘を行うダメージステップ時にこのカードを手札から墓地へ送る事で、エンドフェイズ時までそのモンスターの攻撃力は、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力の数値分アップする。

 



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四話・月1テスト、シンクロ覚醒!!

 王真side

 

 皆さんこんにちは、黄衣王真です。月1のテスト一週間前となりました。一週間前にも関わらず翔は熱心にオシリスのポスターに祈りを捧げてます……正直そのうち、いあ! いあ! とか言い出しそうな勢いで……祈る暇があるなら勉強したらいいのに、今日も拝んでるのかな。

 

「よう、十代俺だ入るぞ」

 

「おういらっしゃい、適当なとこに座ってくれよ」

 

 翔からの提案でみんなで勉強しようとの事だが、生前の記憶からすると多人数での勉強はまず間違いなく途中で諦めるだろう。だって自分がそうだったから。

 

「で、翔はまだ祈ってんのか? 困った時の神頼みとは言うがなぁ、あの姿を見ると邪神を崇拝してるやつにしか見えんぞ」

 

 とうの本人はというと、知っての通り鉢巻きを巻いて、その鉢巻きに死者蘇生のカードをさしてお祈りしている。

 

「王真君は頭が良いからいいッスよ、レッドの中じゃ次のテストで昇格確定なんて噂されてるんスよ」

 

「そんな噂があるのか知らなかったよ、どうりで周りから変な視線を感じるわけだ。ついでに言っとくが俺は頭は良くないぞ、テストまで覚えてるだけだそっから先はパーだ」

 

「テストまででも覚えてるだけ凄いッスよ」

 

「テストなんぞ一夜漬けで覚えりゃなんとかなる」

 

 珍しく勉強が脇道にそれず進行してそのままお開きになった……さて俺は自分の部屋に戻って来たはずだが違和感がある、ベッドの上に見覚えのない抱き枕がある、しかも不自然に膨らんでるしな。絵柄には見覚えはある無有だ、何故かやたら俺になついているブルーの同級生、さてやることは一つだ。

 

 王真はお湯を沸かし始めお茶の用意、湯飲みは二つ沸騰したら少し冷ます、飲みやすくするためだ。

 

「アーシマッタ、ツマズイテオユヲ、コボシテシマッタ」

 

「……アッ…………ンン!!」

 

 ヤカンのぬるくなったお湯を抱き枕の足にかけてみる、まだ少し熱かったせいかビクンビクンと抱き枕が跳ねる。声をあげまいとしてもそんなに動いてたらバレバレだろうに。

 

「はぁ……無有、今出てくるなら勝手に侵入して、なおかつ訳のわからん事をやったのを許してやる。だから出でこい、出てこなければ完全に沸騰したお湯を、足から徐々に頭に向かってかけていくぞ」

 

「実は私でした王くん」

 

 抱き枕のジッパーが開き満面のドヤ顔でこちらを見る無有、そのドヤ顔を即座に両手でロックそこで王真はニヤリとする。

 

「許してやると言ったなあれは嘘だ」

 

「ぎゃー! 痛い痛い今日のお仕置きはいつにも増して痛い、頭蓋が頭蓋骨がぁぁぁ!!」

 

「反省したか」

 

「はいずびまぜんでじだ」

 

「よろしい、んでいつから侵入してた」

 

「え~王くんが十代君の部屋に入って行ったあたりかな~」

 

「かなり前じゃねぇか。で何の用だそろそろ寮の食事が始まる頃だぞ?」

 

「会いに来たって理由じゃ駄目かな」

 

「駄目、そもそもブルーの連中に友達はいないのか」

 

「え~そんな事は……無い…………です……よ?」

 

「聞くな、つかホントに友達いないのな、ならこっち来てないで友達作ってこい」

 

「出来ればやってますよ友達は作るものじゃなくて出来るものですよ、つまり私のせいじゃないのですよ」

 

「わけがわからないよ……典型的な言い訳だな、まぁいいお前に友達が少ないのは俺に関係ないからな」

 

「酷い……友達としてそんな事言っていいと思ってるんですか? いいわけないですよね!」

 

「詰め寄ってくんな、お前が異常に俺になついてるだけだろ? つかブルーの同級生がいるだろ明日香達や宮田さんとか委員長とか藤原さんとかよ」

 

「藤原ってワカメの方?」

 

「ソッチじゃねぇよクソッタレ、遠分帰って来ねえよ。つかそろそろ帰れや飯食ってから来い」

 

「よしお許しがきましたねそれじゃあ、ご飯食べてきます。食べ終わったら来ますね開けてくださいよ絶対ですからね!」

 

 バタンと思い切り閉めて走って行った……あいつワケわからん抱き枕ほっぽって行きやがったよ、とりあえず戻って来た時これを持って帰らせんとな……布団の中に突っ込んどこう。

 

「王真いま凄い音がしたぞ、どうした?」

 

「気にするな。馬鹿がテンション上がって走ってっただけだ」

 

 ……抱き枕隠しといて良かったよ、そのまんまだったらあらぬ誤解を受けてたな危ない危ない。

 

 

「そりゃよかった。それより王真デュエルしようぜ」

 

「そうだないいだろう。だがその前に……飯にしよう腹が減った」

 

 相変わらずの焼きメザシと味噌汁、たくあんとご飯……今度メザシを唐揚げにしてみようかな。味噌汁には大根とか人参とか入れてみるか豚肉が無いのは残念だが。

 

「さぁデュエルしようぜ王真、結局今日まで約束はお預けだったからな、ワクワクしてきたぜ」

 

 オシリスレッド寮前でデュエルを始める、ギャラリーには翔と隼人がいる。世界的にもかなりマズイデッキだが、そんな事はどうでもいいぜ。

 

「熱いなぁ。まぁいいさ退屈はさせないぜ!」

 

「「デュエル」」

 

「俺のターンドロー! E・HEROフェザーマンを攻撃表示で召喚。カードをセットしてターンエンドだ」

 

十代 ライフ4000

手札4

モンスター1

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー。新作デッキのテストプレイだ、手札からフィールド魔法sin worldを発動。これでフィールドはsin worldに支配される、そしてデッキの青眼の白龍を除外してsin青眼の白龍を攻撃表示で特殊召喚!」

 

「世界に四枚しかない青眼の白龍を、何で持ってるんスか!! 全部あの伝説のデュエリスト海馬瀬人が、持ってるはずッスよ!」

 

「これは全部レプリカだよ。ちょっとした友人に貰ったんだよっと、いけsin青眼の白龍でフェザーマンを攻撃、贖罪の爆裂疾風弾(バーストストリーム)

 

 黒と白の仮面のような装飾を頭にして、羽も機械化されたブルーアイズがフェザーマンに光線を浴びせフェザーマンが跡形もなく吹き飛んでいる。

 

十代 ライフ4000→2000

 

「トラップ発動! ヒーローシグナル、デッキからレベル四以下のE・HEROを特殊召喚する、バーストレディを守備表示で特殊召喚召喚現れろバーストレディ!」

 

「むぅ……まずいなリバースカードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

王真 ライフ4000

手札3

モンスター1

魔法・罠1

フィールド sin world

 

 

「よっしゃいくぜ俺のターンだドロー! 戦士の生還を発動、墓地のフェザーマンを手札に加える、そして融合を発動バーストレディとフェザーマンをを融合してフレイムウィングマンを融合召喚!」

 

「フェイバリットヒーローが早くも登場か、そいつが来るってことはアレもあるって事だな」

 

「もちろんこんな気味の悪いフィールドじゃヒーローは全力を出せないぜ! フィールド魔法スカイスクレイパーを発動、バトルだフレイムウィングマンでsin青眼の白龍を攻撃、スカイスクレイパーシュート!」

 

 フレイムウィングマンがビルのてっぺんから炎を纏い、sin青眼の白龍を粉砕しその火の粉が王真をかすめる。

 

王真 ライフ4000→3900

 

「まだまだフレイムウィングマンの効果発動、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える」

 

 フレイムウィングマンが目の前に降り立ち、火炎を吐き出し王真を焼き尽くす。

 

王真 ライフ3900→900

 

「チィ! ライフを八割がた持っていかれたかクソッ」

 

 これが噂に聞く直火焼きか、始めて食らったがこいつは効くなぁ。

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

十代 ライフ2000

手札2

モンスター1

魔法・罠なし

フィールド スカイスクレイパー

 

「俺のターンドローよし、再びsin worldを発動これによりスカイスクレイパーを破壊する、そして機皇兵グランエル・アインを召喚」

 

 両腕が銃になっている茶色の機械人形が現れる。機械人形が両腕にエネルギーを溜め、フレイムウィングマンに打ち込む。

 

「どうしたフレイムウィングマン!」

 

「機皇兵グランエル・アインが召喚に成功したとき、相手モンスターの攻撃力をエンドフェイズまで半分にする。グラビティー・プレッシャー!」

 

フレイムウィングマン2100→1050

 

「お~王くんがデュエルしてる~機皇デッキですか……渋いですね」

 

 いきなりちゃちゃを入れてくる無有、隣にはブルーの女子が一人友達作りの成果だろうか。

 

「喧しい、機皇兵グランエル・アインでフレイムウィングマンを攻撃グラビティ・ブラスター」

 

十代 ライフ2000→1450

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

王真 ライフ900

手札2

モンスター1

魔法・罠1

フィールド sinworld

 

 

「俺のターンドロー、E・HEROバブルマンを守備表示で召喚、バブルマンが召喚に成功した時、自分のフィールドにカードが無いときカードを二枚ドローする、リバースカードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

十代 ライフ1450

手札3

モンスター1

魔法・罠1

フィールド sin world

 

「俺のターンsin worldの効果を発動、通常ドローを行わない代わりに、デッキからsinと名のつくカードをデッキから三枚選択し、ランダムに一枚を手札に加える、俺はsinパラレル・ギア三枚を選択、その内一枚を手札に加えるぞ。どれを選んでも変わらんからな」

 

「攻撃力0のモンスターを手札に加えて何をするんだ?」

 

「まぁちょっとした下準備ってやつだ。いくぜバトルだ、機皇兵グランエル・アインでバブルマンを攻撃、グラビティ・ブラスター」

 

 茶色の機械人形が両腕の銃から、重力弾をバブルマンに打ち込みバブルマンが押し潰れる。

 

「更にトラップ発動、デストラクト・ポーション! 自分フィールド上のモンスターを選択し破壊、その攻撃力分のライフを回復する。グランエル・アインを破壊し1600ポイントライフを回復する」

 

王真 ライフ900→2500

 

「王真君は自分フィールドのモンスターを何で破壊したんだろ?」

 

「翔君はあの行動がただのライフ回復の為だと思う?」

 

「え?だってそれだけの効果でしょ?」

 

「回復するだけなら神秘の中華鍋でいいじゃない? それじゃあ効果破壊される事で効果の発動するカードがあるとしたらどうする?」

 

「まさかぁそんなカードが都合よくあるわけ……」

 

「手札から機皇帝グランエル∞の効果発動、自分フィールド上のモンスターが効果によって破壊された時このカードを特殊召喚できる!」

 

「いたー! ていうかあのカード機皇兵じゃないの攻撃力も0だし?」

 

 王真のフィールドに五つの茶色の機械が次々に合体し、胸に∞のマークを持つ巨大なロボットになる。

 

「このモンスターの攻撃力は俺のライフと同じ数値になる」

 

グランエル∞ 0→2500

 

「攻撃力が一気に2500まで上がったんだな!」

 

「なるほどだから王真君はあのカードを使ったのか、ライフを回復してグランエル∞を特殊召喚すると同時に攻撃力をあげるために」

 

「いけ! 機皇帝グランエル∞で十代にダイレクトアタック、グランドスローターキャノン!」

 

「トラップ発動ヒーロー見参、相手は手札を一枚選択しそのカードがモンスターカードの場合フィールドに特殊召喚できる、さぁ王真! 手札を選べ」

 

「……真ん中のカードだ十代」

 

「ビンゴ、フレンドッグを守備表示で特殊召喚!」

 

「チィッ! グランエル∞でフレンドッグを攻撃グランドスローターキャノン!」

 

 グランエル∞の右腕から極太のビームを放ちフレンドッグを粉砕する。

 

「フレンドッグの効果発動、墓地の融合とフェザーマンを手札に加えるぜ」

 

「ターンエンドだ」

 

王真 ライフ2500

手札2

モンスター1

魔法・罠なし

フィールド sin world

 

「俺のターンドロー、強欲な壺を発動デッキからカードを二枚ドロー、融合を発動手札のクレイマンとスパークマンを融合し、E・HEROサンダー・ジャイアントを融合召喚。サンダー・ジャイアントのモンスター効果発動このモンスターより元々の攻撃力の低いモンスター一体を破壊する機皇帝グランエル∞を破壊、ヴェイパー・スパーク!」

 

「うまいぞ! グランエル∞の攻撃力は、カード効果で上がってるだけで元々は0なんだな!」

 

 雷の巨人が電気を放ちグランエルに直撃する、するとグランエルがバラバラに崩れ始め大爆発する。

 

 クソッ強欲な壺を引いたと思えば、次はサンダー・ジャイアントを正規融合かよ、相変わらずのチートドローだなおい。

 

「更にフェザーマンを攻撃表示で召喚してバトルだ、サンダー・ジャイアント王真にダイレクトアタック、ボルティック・サンダー」

 

「モンスターもリバースカードも無い、これでアニキの勝ちだ!」

 

「甘いよ翔くん。王くんが負けるわけない、だってまだ手札があるんだからね」

 

「え?どういうこと?」

 

「手札の速攻のかかしを捨てて効果発動、攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了する」

 

「なんだって!!」

 

「うそ! なにあのカード!?」

 

 背中にジェットを付けたかかしが勇猛果敢に雷に体当たりして雷を消滅させる。その瞬間にこちらを見てニヤリと笑う、かかしさんまじパネェっす。

 

「さ~て十代君が、迎撃カードを伏せない限り敗けは確定かな」

 

「ク……ターンエンドだ」

 

十代 ライフ1450

手札1

モンスター2

魔法・罠なし

フィールド sin world

 

「俺のターンドローの代わりにsin worldの効果を発動。デッキのsin青眼の白龍を二枚、sinスターダスト・ドラゴンを選択、さぁ十代一枚選びな」

 

「……真ん中のカードだ」

 

 

「流石は十代か、どれもハズレとはいえ、一番火力の低いのを選択するとはな……さて面白いものを見せる前に、ちょっとした算数の問題を出そうかね……2+8は何になると思う十代?」

 

「足し算か……十か?」

 

「では答え合わせと行こうか十代。sinパラレル・ギアを召喚、パラレル・ギアをシンクロ素材にする場合、他のシンクロ素材は手札のsinと名のついたモンスターでなければならない、さてこれがお前の選んだカードsinスターダスト・ドラゴン、レベルは8だそしてパラレルギアのレベルは……」

 

「2……レベルの合計が10だ」

 

「ご名答、ハハッさぁ面白いものをとくとご覧あれ。手札のレベル8sinスターダスト・ドラゴンにレベル2sinパラレルギアをチューニング!」

 

「「「チューニング!?」」」

 

「十の赤き星が漆黒に染まるとき、凄惨たる未来から、礎となる過去へと破滅の咆哮を轟かす、シンクロ召喚。幕を引けsinパラドクス・ドラゴン!!」

 

「こ……攻撃力4000だと!」

 

「さぁ派手に幕引きだ! sinパラドクス・ドラゴンでE・HEROサンダー・ジャイアントを攻撃、パラドクスエンドストリーム」

 

十代 ライフ1450→-150

 

 思い切り両の平手を打ち付け右拳を真上に掲げる。

 

「ガッチャ! なんつってな」

 

「くっそ~負けた~やっぱり王真は強いよ」

 

「ハハハ、お前のふざけたドローには負けるよ」

 

「いきなり攻撃力4000のモンスターが出てくるなんて、ビックリしたよ」

 

「言っとくが攻撃力4000はこのデッキでは普通の数値だぞ、手札に余裕があればそいつを持ってくる気だったんだがな、まぁパラレル・ギアもあったことだしな」

 

「あれで普通なんスか、そんなのがたくさん出てきたら……」

 

「それが無理なんだよね~sinには高火力の代わりに三つのデメリットがあるんだよ~」

 

「デメリット? そんなのあったのか」

 

「なんで王くんがsin達を出さなかったと思う? 出さなかったんじゃなく、出せなかったんだよ?」

 

「出せなかった? 手札に来てなかったんじゃないのか」

 

「勿体ぶるのは好きじゃあないsinには三つのデメリットがある、一つ目はフィールド魔法が無ければ自壊する効果、二つ目は他の自分のモンスターの攻撃を封じる効果、そして最後にsinと名のついたモンスターは一体しか存在できない、の三つだ」

 

「じゃあ複数出さなかったのは」

 

「そう、出せないんだよそれ故に効果破壊に弱いんだよ一体潰せば丸裸だ」

 

「丸裸ってそこだけ聞くとエロいですよ……痛い! ていうか、どこから出したんですかそのハリセン」

 

 無有が口を開いた瞬間にハリセンを振りかぶって後頭部張り倒した、スパァンと景気のいい音をたてる。

 

「実は足元に置いておいたのさ、後この前デュエルさせられたお返しだ、話は戻るが効果破壊に弱いからこそ、機皇帝達やダイレクトアタックを防ぐ速攻のかかしを採用してるんだ」

 

「そんな不安定なデッキをなんで作ったんスか」

 

「これでも最低限安定するように作ったんだがなぁ、事故を極力減らすためにトラップを必要最低限まで削り、手札入れ換えの為のカードをいれ、なおかつ40枚に仕上げる、全く一度の調整に軽く二時間はかかる手のかかるデッキだよほんと」

 

「王真のデュエルを見てて思ったんだけどさ強欲な壺は入ってないのか? どのデッキを見ても使った所を見たことがないんだ」

 

「強欲な壺は入ってないぞ、入れたいのはやまやまなんだが、どうもあのカードが好きになれないんだよ」

 

「好きじゃないだけでデッキに入れないの? 王真君絶対におかしいよ」

 

「喧しい、自分がおかしいなんぞ重々承知だよコンチクショウ。……疲れた俺は部屋に戻る、また明日な」

 

 部屋に行きちゃぶ台に三つの湯飲みと、お茶の用意をする最早定番の動き。

 

「さてとこんな時間に人の部屋に来るなんて非常識極まりないぞ」

 

「後で来いって言ったのは、何処の誰ですかって話ですよ。で、友達作り実践して来ましたよ友達さん第一号の」

 

「知ってる。名乗ってないが面識はあるよ……多分な」

 

「はい……あのこの前はありがとうございました、おかげで助かりました」

 

「あぁ……まぁそのなんだ解決したなら何よりだ」

 

「何ですか? 何があったんですかいたーい!」

 

 王真が片手間にハリセンで無有の後頭部をぶっ叩く。

 

「お前見てただろ、俺に最初にあったときの台詞は忘れてないぞ」

 

「むぐぐ……覚えてたんですねぶっちゃけ、そんな小さいことなんざすぐ忘れると思ってたのに」

 

「くっだらねぇことはやたら覚えてんだよ、突っ込んでくんなや」

 

 物凄く残念そうな目でこっちを見る無有、何故かオロオロしてる宮田さん。会話に入れないのか単に入ってこないだけなのかどっちなのだよ宮田さん。

 

「しかし月1テスト一週間前なんにお前さんらは勉強せんのか?」

 

「あぁ私は大丈夫ですよ、行き当たりばったりで何とかなるもんでして。それに女子は降格することはないですから気楽なもんですよ」

 

「私はちゃんと勉強してるので大丈夫ですっ、ここに来たのもお礼のついでに息抜きと言いますか……」

 

「まぁ息抜きは必要だな息抜きしかしてない奴もいるけどな、どこの誰とはいわないが」

 

 頭の中で十代を思い浮かべる。あいつは講義も聞いてなければ勉強してない、先ほどの勉強会では珍しく勉強してたけどな。

 

「誰の事を思い浮かべてんですか」

 

 これまた珍しく怒った様子の無有さん。こいつの怒りのツボが一切わからん、少なくともハリセンとかでひっぱたいても怒ってこない。叩かれても仕方がないことを言ってるという自覚はあるんだな。

 

「お前じゃねえよアホンダラ、反応するなバカだと認めてるぞ、まぁ俺も大概だがな」

 

「うっさいですよ悪いですかバカで」

 

「悪くはないさ少しバカな位が丁度いいさ。時と場所を考えてくれればな」

 

 程よく冷めた玄米茶をすすり、また新たにお茶を注ぎお茶うけをかじる。

 

「そんなこといっても機嫌は良くなりませんよ。あぁお茶のおかわりください、どもありがとうございます。宮ちゃんの分もないですねおかわりをあげてください」

 

「ありがとうございます」

 

「ん、どういたしましてデュエルの実技は、同じ寮の相手になるんだっけか? となると相手は、翔あたりとやりあうことになるのかな? クロノス教諭が企んでなければの話だけど」

 

「どうしてクロノス先生が出てくるんですか?」

 

 そりゃもちろんあの人がドロップアウトトリオって扱いして目の敵にしてるからよ、俺生意気だしさ。原作でも十代VS万丈目になるわけだし、もしかしたらと思うとねゾッとするよ。

 

「王くん先生に目の敵にされてるもんね」

 

「そうだよドロップアウトトリオってことで、目をつけられてるからな。お前達と当たるのは勘弁してほしいな」

 

「大丈夫ですよ同じ寮の人が相手ですから」

 

「だといいがなぁ」

 

 チラリと時計を見ると、随分と遅い時間になっていた。さっきのデュエルが原因みたいだ。

 

「さぁさよい子は帰って寝る時間だ早く寮に帰りなさい」

 

「すみません夜分遅くにお邪魔してしまって」

 

「それじゃね、王くんまた明日」

 

「あぁじゃあな気をつけて帰れよ」

 

 そしてあっという間に月1テスト当日となった。起きたのが少し遅かったのか、隣から俺のターンドローなどと聞こえたがおそらく十代の寝言だろう、王真は支度をして教室に向かう途中で翔が一人で走っていく、まだ間に合う時間だというのに。

 

 テストはつつがなく終了する、開始15分で全部終わったのでずっと寝てたんだけどね、十代に終わる10分前位に起こされたけど寝直したのは言うまでもないさ。テストが終わってすぐ他の生徒が一斉に走っていった音で目が覚めたのです。

 

「おい、起きろ二人ともテストはもうとっくに終わってるぞ」

 

 三沢がこちらの方まで来て、翔達を起こしに来てくれたみたいだ。

 

「はっ! やっちまったせっかく勉強したのに」

 

「気にすんなって午後の実技テストが本番よ」

 

「や、お前は少しは気にしろよ、ところで他の連中がいないんだがどうかしたのか?」

 

「あぁ昼休みに新しいカードが大量入荷をするんだ、皆新しいカードでデッキを補強しようと、それを買いに走っていったと言うわけだ」

 

「三沢君と王真君は?」

 

「俺は今のデッキを信頼している新しいカードなんか必要ないさ」

 

「俺は、新しくカードが加わっても調整するのに時間がかかる。なら加えない方がマシさね」

 

「アニキは?」

 

「俺は興味ある! どんなカードがあるのか見たくってしょうがねえ。行くぞ翔!」

 

「……行っちまったな、よう三沢お前と二人で話すのは始めてだな」

 

「黄衣か、俺が気付いた頃にはもう眠っていたがどうだった?」

 

「王真でいいよ、自己採点でだがおおよそ89点位だろう」

 

「なるほど王真はあの短時間でそこまでやったのか」

 

「短時間といっても大体15分程度で全ては埋めておいたがな」

 

「15分で全部解答したのか!? 最後の問題はどう答えた?」

 

「最後? あぁ任意効果のタイミングがどうのって問題か?」

 

「そうだチェーン2以降での任意効果はタイミングを逃すと解答しておいたが……」

 

「半分正解だなテキストに、~された場合とかかれている物はタイミングを逃さないものが多い、と補足を書いておけばなお良し、といったところかな」

 

「ク……なるほどその通りだしかし、そんな細かい事をよく覚えていたものだ」

 

「しょっちゅう友人と揉めてたんでな覚えたんだよ」

 

 王真sideout

 

 クロノスside

 

「ヌッフフフフ。予想通りドロップアウトトリオが自滅していたのーネ、後は実技の方を……笑いが止まらないのーネ」

 

 クロノスは学生服を身に纏い万丈目の元に向かう。

 

「しかしその相手が遊城十代だったらどうなのーカナ、今のデッキて十代に勝てるーのですかー」

 

「あぁ! お前はカードを買い占めた!」

 

「そのカードなら今ここにありますーノ。ニッヒヒヒヒまだわからないーノですかシニョール万丈目私の正体ーハ」

 

「遊城十代と黄衣王真に負けたクロノス教諭!」

 

 負けたは余計ですーノ。

 

「遊城十代や黄衣王真の様な、ドロップアウトボーイは早い内に、エリートである貴方が叩き潰さなければいけませーンノ。だから私は貴方に申し付けますーノ十代と戦いなさーイ」

 

「でも実技テストは同じ寮の相手と戦うんじゃ?」

 

「まかせなさーイですーノ。そして私たちエリートこそレアな存在だという事を、あのドロップアウトボーイズに思い知らせてやるーノです。ウフフフハハハハハ」

 

「なら黄衣王真の相手は俺が!」

 

「それには及びませんーノ。もう既に相手は決まっているのーですからハハハハハ」

 

 クロノスsideout

 

 王真side

 

 教室に三沢と共に話していると、十代達が残念そうに帰ってくる。あの様子だと買えなかったのだろうと想定する。

 

「よう十代、カードは買えたか?」

 

「あぁ一パックだけな、にしても参ったぜ。行ったらカードが買い占められててさ、トメさんがいなかったら一つも買えなかったよ」

 

「買えたのなら何よりさ、もうすぐ時間だ移動しようぜ」

 

 軽く歩きながら昼食をとりデュエル上に向う途中で無有に明日香達も加わってくる。

 

 王真sideout

 

 無有side

 

 さて実技テスト開始です……はいいんですけど。

 

「なんで相手が王くんじゃないんですかねちっと残念です、ねぇジュンコちゃん」

 

「そんな事で同意を求めないでくれないかしら、その王くんはオシリスレッドでしょ?当たるわけがないじゃないの」

 

「デスヨネー。でも今回から本調子ですよ、ですから勝たせてもらいますよ」

 

「ふふん。今日も勝たせてもらうわよ」

 

「「デュエル」」

 

「私の先攻ドロー。ハーピィ・レディ1を召喚、そしてハーピィ・クイーンを捨ててハーピィの狩場を手札に加えて発動。これで鳥獣族の攻撃力、守備力が200ずつアップする。ターンエンドよ」

 

ハーピィレディ1 1600→1800

 

ジュンコ

手札4

モンスター1

魔法・罠なし

フィールド ハーピィの狩場

 

「いっきますよ~私のターンドロー。甲虫装機ダンセルを召喚、ダンセルの効果発動1ターンに1度手札、墓地の甲虫装機一体を装備します、手札の甲虫装機ホーネットを装備します!」

 

ダンセル攻撃力1000→1500

守備力1800→2000

 

「攻撃力と守備力が上がっても私のハーピィには勝てないわよ」

 

「いえいえ攻撃力を上げる為じゃないんですよねこれが、装備状態のホーネットの効果発動、自身を墓地に送ることで、フィールド上のカードを一枚破壊しますよ。ハーピィ・レディ1を破壊、更にダンセルの効果発動このカードに装備されたカードが墓地に送られた場合、デッキからダンセル以外の甲虫装機を特殊召喚します。甲虫装機センチピードを攻撃表示で特殊召喚」

 

ダンセル攻撃力1500→1000

守備力2000→1800

 

「まだまだ、センチピードも装備効果がありますよ、ホーネットを装備してホーネットの効果発動、ハーピィの狩場を破壊してセンチピードの効果を発動、このカードに装備されたカードが墓地に送られた場合、デッキの甲虫装機を手札に加えます、甲虫装機ギガマンティスを手札に加えます。」

 

「う、うそっちょっと待って私のフィールドが真っ白じゃない」

 

「まぁそういうデッキですから諦めて下さい、ギガマンティスの効果で手札からフィールドの甲虫装機に装備出来ますダンセルに装備、ギガマンティスを装備したモンスターの元々の攻撃力を2400にします」

 

ダンセル1000→2400

 

「てことはダンセルが2400でセンチピードが1600だから……」

 

「ぴったり4000ですねダイレクトォォ!」

 

ジュンコ ライフ4000→0

 

「勝っちましたよジュンコちゃん」

 

 エッヘヘ勝ちましたよ勝ちました、王くん何て言ってくれるかな? 流石だよ有、最高だ。なんて言ってくれちゃったりしてきゃー。

 

「王くん、ぶい! 勝ちましたよ私を誉めてくれてもいいんですよむしろ褒め称えてくださいよ」

 

「お前がアレを使うのは予想外だ。まぁでも勝ちは勝ちだおめでとう」

 

 やっぱりこの反応が王くんですねわかってましたよ。私の妄想みたいな反応しないってねちくせう。

 

 無有sideout

 

 王真side

 

 無有のやつも勝ったんだ、もう少し誉めてやってもよかったんじゃないかな……ちっと反省か。さて、俺の出番はもうすぐだな、十代も向かったみたいだし俺も向かおう。

 

「えぇ~何で俺が万丈目とデュエルするんだよ」

「同じ寮の人間とやると聞いたが何故にあなたが相手なんだろうね藤原さん」

 

 王真と十代がほぼ同時に文句を言う。王真の場合はある程度は予想していたが、藤原さんが相手なのは驚いたようだ。

 

「入学試験であれほど優秀な成績を残した君たちと、オシリスレッドの生徒では釣り合いが取れないーノです。そこで遊城十代君にーハシニョール万丈目を、黄衣王真君にはシニョーラ藤原が相手に相応しいと判断致しましたーノです。勿論君達が勝てばラーイエローに昇格するってことになりますーノ。ですからいかがですーノ? 遊城十代君。黄衣王真君、この申し出受ける気になりますですかーノ?」

 

 じゃあむしろ俺と十代でやったほうが釣り合いがとるんじゃあないか? と思ったのは内緒だ、下手に突っ込むとややこしくなるし。

 

「十代はさておき、俺はあんまり強くないんだがなぁ。だがまぁここで相手を変えるって言ったら流石に相手に悪いしね。お受け致しましょうか」

 

「ボウヤが相手ね、楽しませてくれるのかしら?」

 

「ん~できる限り善処してみるけどね。でも全力で行くよ」

 

「「デュエル」」

 

「俺が先攻だドロー、俺は罪深き世界sin worldを発動、そしてエクストラデッキのサイバー・エンド・ドラゴンをゲームから除外し、sinサイバー・エンド・ドラゴンを特殊召喚。リバースカードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

王真 ライフ4000

手札3

モンスター1

魔法・罠1

フィールド sin world

 

 サイバー・エンドを出した瞬間会場がざわざわし始めた。それもそのはず、このカードはカイザー亮の切り札である。それをカイザー以外の人間が、しかも見たこともないカードまで使っているのだ無理もないだろう。

 

「ふふ私のターンドロー、手札から高等儀式術を発動するわデッキの甲虫装甲騎士を二枚墓地に送り終演の王デミスを降臨するわ」

 

「ぐ……そいつはマズイ。特殊召喚に成功したとき、リバースカードオープンデストラクト・ポーション! sinサイバー・エンド・ドラゴンを破壊してその攻撃力分を回復する」

 

王真 ライフ4000→8000

 

「あら、折角のモンスターを破壊してしまって勿体無いじゃない?」

 

「これは布石だよってね、自分フィールド上のモンスターが破壊された時このカードは手札から特殊召喚できる! 現れよ機皇帝グランエル∞!」

 

 茶色の五つのパーツが中に浮かび、それぞれが変形し合体し胸に∞のマークを持つ巨大なロボットが完成する。

 

「このモンスターの攻撃力は俺のライフと同じ数値になる」

 

グランエル∞ 0→8000

 

「効果破壊によって特殊召喚される特殊なモンスターね、攻撃力8000……ゾクゾクしちゃうわ、でも退場してもらおうかしら。デミスの効果発動私のライフを2000払うことで、デミス以外の全てのカードを破壊するわ。終焉の嘆き」

 

藤原さん 4000→2000

 

「そして墓地の甲虫装甲騎士二枚除外し、デビルドーザーを特殊召喚、さぁバトルよデミスとデビルドーザーでダイレクトアタック」

 

「グゥッ……!」

 

王真 ライフ8000→2800

 

「リバースカードを一枚セットしてターンエンドよ」

 

藤原さん ライフ2000

手札3

モンスター2

魔法・罠1

 

「クッ俺のターンドロー、再びsin worldを発動、エクストラデッキのサイバー・エンド・ドラゴンをゲームから除外し、sinサイバー・エンド・ドラゴンを特殊召喚、そしてブレイクドローをsinサイバー・エンドに装備! 終焉の王デミスを攻撃、断罪のエヴォリューションバースト」

 

「速攻魔法、神秘の中華鍋を発動するわ、デミスを生け贄に攻撃力分を回復するわ。攻撃対象がいなくなったことで巻き戻しが発生する、さぁ攻撃を続けるのかしら?」

 

藤原さん ライフ2000→4400

 

「続行だ! デビルドーザーに攻撃! 断罪のエヴォリューションバースト」

 

 巨大な気持ちの悪い百足のような生命体に、サイバーエンドが三発の火炎弾を放ち塵も残さないほどに燃やし尽くす。サイバーエンドも気持ち悪かったんだろうきっと。

 

藤原さん ライフ4400→ 3200

 

「ブレイクドローの効果発動、装備モンスターが相手モンスターを破壊し、墓地に送ったときデッキからカードを一枚ドローする。俺はこれでターンエンドだ、そしてブレイクドローは自分の三回目のエンドフェイズに破壊される」

 

王真 ライフ2800

手札1

モンスター1

魔法・罠1

フィールド sin world

 

「私のターンドローをマンジュゴッドを守備表示で召喚、マンジュ・ゴッドの効果発動デッキからエンド・オブ・ザ・ワールドを手札に加えてターンエンドよ」

 

藤原さん ライフ3200

手札4

モンスター1

魔法・罠なし

フィールドsin world

 

「俺のターンドロー、アームズホールを発動、デッキトップを墓地に送りデッキまたは墓地の装備魔法を手札に加える。そのかわりこのターン通常召喚できない。デッキからブレイクドローを手札に加える」

 

 デッキトップから墓地に送られたのはsin青眼の白龍だあまり問題はない。

 

「ブレイクドローをsinサイバーエンドに装備してバトル、マンジュゴッドを攻撃。断罪のエヴォリューションバースト!」

 

 サイバーエンドが三つの首から一斉に火炎を吐き出し、マンジュゴッドを焼き尽くす。サイバーエンドは神様にも容赦がないみたいだ。

 

「ブレイクドローの効果によりデッキからカードを二枚ドローしてターンエンドだ」

 

王真 ライフ2800

手札3

モンスター1

魔法・罠なし

フィールド sin world

 

「ふふ私のターンドロー、エンド・オブ・ザ・ワールドを発動よ。手札のマンジュ・ゴッドとネオバグを生け贄に終焉の王デミスを降臨。そしてライフを2000払うことでデミス以外の全てのカードを破壊する、終焉の嘆き」

 

藤原さん ライフ3200→1200

 

 デミスが斧を振りかぶって周囲を薙ぎ払うその余波でsinサイバーエンドとsin worldが脆くもバラバラと崩れ落ちる。

 

「バトルよ、終焉の王デミスでダイレクトアタック」

 

 ゆっくりと王真の元に歩みより斧を振りかざす、終焉の王と言うより死刑執行人、と言った方が今の状況下ではしっくりとくる。振りかざした斧を豪快に振り落とし、王真を斜めに切り裂く。

 

王真 ライフ2800→400

 

「グ……オォォォ! 痛ってぇなぁ真っ二つになったかと思った」

 

 フレイムウィングマンに焼かれた事もあったがこいつも同じくらいの衝撃だな。

 

「リバースカード一枚セットしてターンエンドよ」

 

藤原さん ライフ1200

手札0

モンスター1

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー! ターンエンド!」

 

王真 ライフ400

手札4

モンスターなし

魔法・罠なし

 

「私のターンドローふふ、楽しかったわバトル、デミスでダイレクトアタック」

 

「手札の速攻のかかしを捨てて効果発動。攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了する!」

 

「あら、珍しいカードね手札から効果なんてターンエンド」

 

藤原さん 1200

手札1

モンスター1

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー! よしテラ・フォーミングを発動。最後のsin worldを手札に加える。そして最後のsin worldを発動だ、そして手札からチューナーモンスター、sinパラレル・ギアを召喚」

 

「チューナーモンスター?……攻撃力0……そんなモンスターを出して何をするつもりなの?」

 

「見てりゃわかるさ、sinパラレル・ギアをシンクロ素材にする場合ほかのモンスターは手札のsinと名のついたモンスターでなければならない! 手札のレベル8sin青眼の白龍にレベル2のsinパラレルギアをチューニング!」

 

「チューニング!?」

 

「十の赤き星が漆黒に染まるとき、凄惨たる未来から、礎となる過去へと破滅の咆哮を轟かす、シンクロ召喚。幕を引けsinパラドクス・ドラゴン」

 

 sinパラレルギアが黒い光の輪になり、その輪をsin青眼の白龍が潜り黒い八つの光の球となり光の柱が立つ。光が収まると巨大なドラゴンが現れ会場を震えさせるほどの咆哮を放つ。

 

「これがお前ら攻撃力とレベルでしか価値を見いだせない者への牙の証シンクロ召喚だ!」

 

「攻撃力0から一気に4000になるなんて、恐ろしいわねシンクロ召喚」

 

「派手に幕引きと行こうぜ!バトルsinパラドクス・ドラゴンで終焉の王デミスを攻撃パラドクスエンドストリーム」

 

「させないわトラップ発動攻撃の無力化攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了する」

 

「むぅ……俺はターンエンドだ」

 

王真 ライフ400

手札0

モンスター1

魔法・罠なし

フィールド sin world

 

「私のターンドロー、デミスを守備表示に変更してターンエンドよ」

 

藤原さん ライフ1200

手札1

モンスター1

魔法・罠なし

 

「俺のターンドローsinパラドクス・ドラゴンでデミスに攻撃パラドクスエンドストリーム!」

 

 パラドクス・ドラゴンのブレスによって粉微塵にされるデミス。あっけない散り様だった、塵だけに。

 

「俺はこれでターンエンドだ

王真 ライフ400

手札1

モンスター1

魔法・罠なし

フィールド sin world

 

「私のターンドロー貪欲な壺を発動、墓地のデミス二枚、マンジュ・ゴッドを二枚ネオバグをデッキに加えてシャッフル、二枚ドローするわね」

 

 く……こんなところでドローソースを引くとは流石は原作の連中、チートドローだな。だが攻撃力は4000早々超えられるはずは……

 

「地砕きを発動、これでsinパラドクス・ドラゴンを破壊するわね」

 

「デスヨネー、だが俺のモンスターが効果によって破壊されたとき、手札からこのカードを特殊召喚できる、いでよ機皇帝ワイゼル∞」

 

 白い五つのパーツが変形し、右手は剣に左手は盾になり人形の巨大なロボットに合体する。

 

「さっき出てきた茶色のロボットとは違うみたいね、攻撃力も定まっているみたいだし。手札から儀式の準備を発動、デッキのレベル7以下の儀式モンスターを手札に加え、その後に墓地の儀式魔法を手札に加える」

 

「ならば機皇帝ワイゼル∞の効果発動! 1ターンに1度魔法の発動を無効にして破壊する」

 

「ッ……! リバースカードを一枚セットしてターンエンドよ」

 

藤原さん ライフ1200

手札0

モンスターなし

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー、さぁ派手にいくぜ! バトル機皇帝ワイゼル∞でダイレクトアタック!」

藤原さん ライフ1200→-1300

 

「シャア! 楽しかったぜゆきのん。こいつが来てなかったら負けてたよ」

 

 両手の拳を打ち付け右手を掲げる。

 

「やったな王真!」

 

 とっくに万丈目とのデュエルが終わっていたのか、後ろから十代が飛び付いてくる。咄嗟の事で若干ビックリしたが倒れずに持ちこたえた。

 

「うぉっ十代急に飛び付いてくんなビビっただろうが」

 

「良いデュエルだったわ楽しかったわボウヤ。またやりましょうね」

 

「おう、いつでも相手になるぜ。時に十代、お前はどれくらいから見てたよ?」

 

「王真が速攻のかかしを使った辺りから見てたぜ」

 

「勝ったんだろうな? 万丈目に」

 

「当ったり前だろ」

 

「二人揃ってイエロー入りになるのか、まぁ俺は――」

 

「見せてもらいましたよ遊城十代君、黄衣王真君君達のデッキへの信頼そして勝負を捨てないデュエル魂を、それはここにいる全てのものが認めることでしょう。よって勝者遊城君、黄衣君。君達はラーイエローに昇格です」

 

 一気に会場が歓声に包まれる、翔も十代に飛び付いて喜んでいる。まぁ俺にはそんなことやる奴はいないだろう、と思っていると後ろから無有が来る。

 

「王くん、おめでとう。ゆきのんにあたった時はどうなるかと思ったけど、王くんなら勝てるって信じてたよ」

 

「sinがデミス相手でよく勝てるなんて思ったなおい、相性云々の問題じゃないだろう」

 

「機皇帝達がいるじゃない、現にそれで勝ってる訳だしさ、流石私」

 

「喧しい、あぁ……後……その……さっきのお前の試合、よく頑張ったなお疲れさん」

 

「え……あ~いえ気にしなくてもいいのに。でも素直に言ってくれて、スッゴク嬉しいですよ」

 

「ふん、喧しい。有お前はちと黙っとれ」

 

 王真は十代の方に歩いていくと十代とハイタッチ、お互いニヤリと笑う。

 

「十代、王真おめでとう。そしてようこそラーイエローに」

 

 十代は三沢の握手に答えるが俺は答えない、理由はまぁ言わずもがなだ。

 

 そして終わった後、十代と共に校長室の扉をノックする、勿論レッドに残るためだ。校長も若干残念そうな顔をしたが、こちらの要望を受け入れてくれたし、俺の使ったシンクロ召喚に関しても何も聞いてこなかった。レッド寮に戻り十代の部屋に一緒にはいると、翔がかなり驚いていたな。

 

「俺はここが気に入ってるんだ離れる気はさらさらないぜ」

 

「同じくだ。まぁ引っ越しが面倒だっつう理由もあるがな」

 

「アニキ~僕嬉しいよ、またアニキと一緒だなんて」

 

「なぁ隼人。俺だけ蚊帳の外だから、後で言っといてくれよ、これからもよろしくなってさ」

 

「わかったんだな、こっちこそよろしくなんだな」

 

「じゃあな、俺は部屋に戻るよ。こいつらの熱い友情を邪魔しちゃ悪いからな」

 

「王真せめて翔を引き剥がしてから行ってくれよ」

 

 十代の言葉を無視して扉を閉める。ああいうスキンシップも友情に繋がるさそれに……。

 

「いつもの事さ……で、なんでお前らがここにいるんだ」

 

 自分の部屋の扉を開いたはずだ。なのにも関わらず、ちゃぶ台で茶をすすってる藤原さんと有。勝手にお湯沸かしてるし。

 

「あら、帰ってきたのね勝手にあがらせてもらってるわ」

 

「お帰りなさい王くん。ご飯にする? お風呂にする? それともわ・た……アガガガ、痛いです痛いですごめんなさい、すみませんでしたぁぁ! ギブですギブ!」

 

 入り口にきた無有の顔面を掴み、締め上げる五秒ぐらい締めた後で離してちゃぶ台に座る。

 

「お前はまた悪びれもせずにボケを重ねてきおって。まぁいい勝手に上がってるのも許そうじゃないか、さて何でここにいる? 有は言わなくてもいい」

 

「あら、有はよく来てるらしいじゃない。なら私が来てもおかしくないじゃない? それにいつでも相手をしてくれるのでしょう?」

 

「まぁそうは言ったがな……まぁいいだが今日はもうデュエルはやらんぞ? 疲れた」

 

 ちゃぶ台から離れてベッドに寝転がる、すると藤原さんまでついてきてベッドに腰掛けてくる。

 

「なに? 藤原さん?」

 

「ふふ、名字じゃなくても良いのよ? デュエルの後で私の事ゆきのんって呼んでたでしょう? アレ以外ならどんな呼び方でも構わないわよ王真」

 

「ん、じゃあ雪乃でいいか? しかしボウヤ扱いは止めたのか、して欲しくはないがな」

 

「ゆきのんがいうにまだまだ認めるには遠いけど、その素質は十分じゃないかしらってことらしいですよ」

 

「買い被りすぎだろう。俺なんぞ、そこいらの凡人と同じどころかそれよりも低い」

 

「王くんは自分を過小評価しすぎなんですよ」

 

「言ったでしょう? まだまだだってこれから大きくなれるって期待してるのよ? あと有、ゆきのんはやめなさい」

 

「はぁ……お前らは過大評価しすぎだ、俺は矮小で無力だよ……」

 

 ベッドに寝転がったまま、天井をジッと睨み付けて吐き捨てる様に言う。

 

 

「ま~王くんはそう思っていても、私たちはちゃんと評価してるって事はわかってね」

 

「善処しておくよ雪乃も有も、もう帰れ。相手ならまた明日な」

 

「また明日会いましょう王真」

 

「じゃ~ね~王くん」

 

 疲れた……今日のデュエルは神経張りすぎて想像以上に疲れた。もう勝ちに拘らなくても良いんじゃ……いや、ダメだな。後々に困る、困るというか死にかねない。二度目の人生が早々と幕を閉じちまうどころか、一度目の人生より早く死んじまうよ。だけど……

 

「まぁアレが始まるまで半年はある、スイッチを作って置けば大丈夫だろう…………スカー……スカー……zzzz」

 

 疲れが溜まっていたのか少し目を閉じただけで眠りこけてしまい、晩御飯を食べられなかった王真だった。

 

続く。

 

 

Sin  world

フィールド魔法

このカードがフィールド上に存在する限り、自分のドローフェイズ時に通常のドローを行う代わりに発動する事ができる。自分のデッキから「Sin」と名のついたカード3枚を選択し、相手はその中からランダムに1枚選択する。相手が選択したカード1枚を自分の手札に加え、残りのカードをデッキに戻してシャッフルする。

 

Sin青眼の白龍

効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

このカードは通常召喚できない。自分のデッキから「青眼の白龍」1体をゲームから除外した場合に特殊召喚できる。「Sin」と名のついたモンスターはフィールド上に1体しか表側表示で存在できない。このカードが表側表示で存在する限り、自分の他のモンスターは攻撃宣言できない。フィールド魔法カードが表側表示で存在しない場合このカードを破壊する。

 

ヒーロー・シグナル

通常罠

自分フィールド上のモンスターが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時に発動する事ができる。自分の手札またはデッキから「E・HERO」という名のついたレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。

 

E・HEROフレイムウィングマン

融合・効果モンスター

星6/風属性/戦士族/攻2100/守1200

「E・HERO フェザーマン」+「E・HERO バーストレディ」

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 

摩天楼 -スカイスクレイパー-

フィールド魔法

「E・HERO」と名のつくモンスターが攻撃する時、攻撃モンスターの攻撃力が攻撃対象モンスターの攻撃力よりも低い場合、攻撃モンスターの攻撃力はダメージ計算時のみ1000ポイントアップする。

 

機皇兵グランエル・アイン

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1600/守1200

このカードの攻撃力は、このカード以外のフィールド上に表側表示で存在する「機皇」と名のついたモンスターの数×100ポイントアップする。このカードが召喚に成功した時、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、そのモンスターの攻撃力をエンドフェイズ時まで半分にする事ができる。

 

 

E・HERO バブルマン

効果モンスター(アニメ効果)

星4/水属性/戦士族/攻 800/守1200

手札がこのカード1枚だけの場合、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に自分のフィールド上に他のカードが無い場合、デッキからカードを2枚ドローする事ができる。

 

Sinパラレルギア

チューナー(効果モンスター)

星2/闇属性/機械族/攻 0/守 0

このカードをシンクロ素材とする場合、他のシンクロ素材モンスターは手札の「Sin」と名のついたモンスター1体でなければならない。

 

デストラクト・ポーション

通常罠

自分フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する。

 

機皇帝グランエル∞

効果モンスター(効果調整あり)

星1/地属性/機械族/攻 0/守 0

このカードは通常召喚できない。自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターが効果によって破壊され墓地へ送られた時のみ手札から特殊召喚できる。このカードの攻撃力・守備力は自分のライフポイントの数値分アップする。1ターンに1度、相手のシンクロモンスター1体を装備カード扱いとしてこのカードに装備できる。このカードの攻撃力は、この効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。また、自分のメインフェイズ時に、このカードの効果で装備したモンスター1体を自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚できる。

 

ヒーロー見参

通常罠

相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。自分の手札から相手はカードをランダムに1枚選択する。選択したカードがモンスターカードだった場合、自分フィールド上に特殊召喚する。違う場合は墓地へ送る。

 

フレンドッグ

効果モンスター

星3/地属性/機械族/攻 800/守1200

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地から「E・HERO」と名のついたカード1枚と「融合」魔法カード1枚を手札に加える。

 

強欲な壺

通常魔法(禁止カード)

自分のデッキからカードを2枚ドローする。

E・HERO サンダー・ジャイアント

融合・効果モンスター(アニメ効果)

星6/光属性/戦士族/攻2400/守1500

「E・HERO スパークマン」+「E・HERO クレイマン」

このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。融合召喚に成功したとき、フィールド上に表側表示で存在する元々の攻撃力がこのカードの攻撃力よりも低いモンスター1体を選択して破壊する。

 

速攻のかかし

効果モンスター

星1/地属性/機械族/攻 0/守 0

相手モンスターの直接攻撃宣言時、このカードを手札から捨てて発動する。その攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。

 

 

Sinパラドクス・ドラゴン

シンクロ・効果モンスター

星10/闇属性/ドラゴン族/攻4000/守4000

「Sin パラレルギア」+チューナー以外の「Sin」と名のついたモンスター1体

このカードがシンクロ召喚に成功した時、自分または相手の墓地に存在するシンクロモンスター1体を選択して特殊召喚する事ができる。「Sin パラドクス・ドラゴン」はフィールド上に1体しか表側表示で存在できない。フィールド上に表側表示で「Sin World」が存在しない場合、このカードを破壊する。

 

Sin サイバー・エンド・ドラゴン

効果モンスター

星10/闇属性/機械族/攻4000/守2800

このカードは通常召喚できない。自分のエクストラデッキから「サイバー・エンド・ドラゴン」1体をゲームから除外した場合のみ特殊召喚できる。「Sin」と名のついたモンスターはフィールド上に1体しか表側表示で存在できない。このカードが表側表示で存在する限り、自分の他のモンスターは攻撃宣言できない。フィールド魔法カードが表側表示で存在しない場合このカードを破壊する。

 

高等儀式術

儀式魔法(制限カード)

手札の儀式モンスター1体を選択し、そのカードとレベルの合計が同じになるように自分のデッキから通常モンスターを墓地へ送る。選択した儀式モンスター1体を特殊召喚する。

 

終焉の王デミス

儀式・効果モンスター

星8/闇属性/悪魔族/攻2400/守2000

「エンド・オブ・ザ・ワールド」により降臨。フィールドか手札から、レベルの合計が8になるようカードを生け贄に捧げなければならない。2000ライフポイントを払う事で、このカードを除くフィールド上のカードを全て破壊する。

 

 

 

デビルドーザー

効果モンスター

星8/地属性/昆虫族/攻2800/守2600

このカードは通常召喚できない。自分の墓地の昆虫族モンスター2体をゲームから除外した場合のみ特殊召喚する事ができる。このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、相手のデッキの上からカードを1枚墓地へ送る。

 

神秘の中華なべ

速攻魔法

自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げる。生け贄に捧げたモンスターの攻撃力か守備力を選択し、その数値だけ自分のライフポイントを回復する。

 

ブレイク・ドロー

装備魔法

機械族モンスターにのみ装備可能。装備モンスターが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、自分のデッキからカードを1枚ドローする。このカードは発動後3回目の自分のエンドフェイズ時に破壊される。

 

 

マンジュ・ゴッド

効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻1400/守1000

このカードが召喚・反転召喚に成功した時、自分のデッキから儀式モンスターまたは儀式魔法カード1枚を手札に加える事ができる。

 

エンド・オブ・ザ・ワールド

儀式魔法

「破滅の女神ルイン」「終焉の王デミス」の降臨に使用する事ができる。フィールドか手札から、儀式召喚するモンスターと同じレベルになるように生け贄を捧げなければならない。

 

アームズ・ホール

通常魔法

自分のデッキの一番上のカード1枚を墓地へ送って発動する。自分のデッキ・墓地から装備魔法カード1枚を手札に加える。このカードを発動するターン、自分は通常召喚する事はできない。

 

攻撃の無力化

カウンター罠

相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。相手モンスター1体の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。

 

貪欲な壺

通常魔法(制限カード)

自分の墓地に存在するモンスター5体を選択し、デッキに加えてシャッフルする。その後、自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 

地砕き

通常魔法相手フィールド上に表側表示で存在する守備力が一番高いモンスター1体を破壊する。

 

機皇帝ワイゼル∞

効果モンスター

星1/闇属性/機械族/攻2500/守2500

このカードは通常召喚できない。自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターが効果によって破壊され墓地へ送られた時のみ手札から特殊召喚できる。1ターンに1度、相手のシンクロモンスター1体を装備カード扱いとしてこのカードに装備できる。このカードの攻撃力は、この効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、このカード以外の自分のモンスターは攻撃宣言できない。また、1ターンに1度、相手の魔法カードの発動を無効にし破壊する事ができる。

 

儀式の準備

通常魔法

自分のデッキからレベル7以下の儀式モンスター1体を手札に加える。その後、自分の墓地から儀式魔法カード1枚を手札に加える事ができる。

 

 



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五話・怪奇! 廃寮に響くステキヴォイス

王真side

 

 こんにちは、黄衣王真です。月1テストからおおよそ一週間、シンクロ召喚攻略のために我先にと挑戦してくるブルーやイエローの連中が一段落つきました。

 

 はぁ……アイツらしつこいな、外を歩く度デュエルだの勝負だの……まぁ、シンクロ特化デッキは持ち歩かないから適当にあしらっている、断られた連中が王真はシンクロデッキをいつも持ってない、と噂を流布してくれると助かるんだけど。

 

 正面玄関を抜けてレッド寮に向かおうとしていると、レッド寮の方角から眼鏡で緑の髪の女生徒がこちらに走ってくる。

 

「貴方が黄衣王真君ですね?」

 

「違います。人違いです」

 

 咄嗟に嘘をついてしまった。なぜだろう言わなきゃいけない気がした。だって物凄い剣幕で走って来るんだもの、嘘の一つもつきたくなるよ。

 

「そ、そうですか、すみませんでした。黄衣王真君はどちらに行ったかわかりますか?」

 

「あぁ彼なら、さっき購買部に走っていきましたよ」

 

 うわぁ、真顔でさらりと嘘をつけるなんて初めて知ったよ。

 

「そうですか、ありがとうございました。それでは」

 

 そういって緑の人は再び走っていった。何故かすぐに戻ってくる気がした。

 

 王真sideout

 

 緑の人side

 

 あの人、黄衣君が購買部に向かったと教えてくれて助かりました、先ほど遊城君達から話聞きましたが少々時間がたっていましたから、いなくなってしまったのでしょう。

 

「あれ~麗華ちゃん、そんなに急いでどったの?」

 

「えぇ、黄衣君を捜して購買部に向かっているのです」

 

「……? 王くんならさっき入り口近くにいた気がするんだけどな?」

 

 ……何かがおかしいですね、遊城君達は入り口付近で黄衣君を見たと聞き、入り口付近でレッドの男子が購買部に向かったと言い、今の万花さんの情報を総合すると……。

 

「つまりあのオシリスレッドの男子が黄衣君だったんですね! こうしてはいられません万花さんついてきてください」

 

「え? ……ちょちょちょ引っ張んないでくださいよ、転けますって、自分で走れますから放してくださいよ」

 

 緑の人sideout

 

 王真side

 

 ふぅ……戻ってこないねもうすぐ寮についてしまう、デッキを持ってないなんて言っても。寮は目の前です、取りにいってください。って言われそうだなぁ、まぁそうなったらそれでいいや。

 

「見つけましたよ黄衣君、さぁデュエルです。あなたのシンクロ召喚を攻略してみます」

 

「デッキを持ってな――」

 

「寮ならもうすぐです、取りにいきましょう」

 

 デスヨネー、言うと思ったよ。仕方ないこういう人は負かして黙らせる方が楽だからね。

 

「はぁ……わかったよ相手になるよ」

 

 程なくしてレッド寮に着くが何故か嫌な予感がする、気のせい……じゃないんだろうな。

 

 自分の部屋の扉を開くと雪乃がいました、嫌な予感が的中しました。

 

「やっぱりいるんだよな……お前さんは」

 

「帰ってきたのね……あら、麗華も一緒だったの?」

 

「な、ななな、黄衣君これは不純異性交遊です!」

 

「知らないし、不純な事してないしそもそどこからが不純異性交遊なんだよ」

 

「女性が同じ部屋にいるだけで、不純異性交遊と見なします」

 

「時代錯誤過ぎないか!? いつの時代だよ……あぁもう! 雪乃、悪いけど青いデッキケースをとってくれ、サンキュ。勝負原さん俺が勝ったら……まぁ見なかったことにしてくれ」

 

「許しません。ですがデュエルはします」

 

「「デュエル」」

 

「俺のターンドロー、愚かな埋葬を発動。デッキのモンスター一体を墓地へ送る、D-HEROディアボリックガイを墓地へ送る」

 

「モンスターを墓地に送るだけの魔法になんの意味もありません」

 

「あるんだよ、これが。手札からワン・フォー・ワンを発動、手札のドッペル・ウォリアーを墓地に送り、デッキ又は手札のレベル1のモンスター一体を特殊召喚する。デッキよりグローアップ・バルブを特殊召喚、更に墓地のディアボリックガイを除外することでデッキからディアボリックガイ一体を特殊召喚。レベル6のディアボリックガイにレベル1のグローアップ・バルブをチューニング! 世界の破滅を防ぐため、鋼鉄の鎧を携えて仲間の盾となれ。シンクロ召喚! 出撃せよパワー・ツール・ドラゴン」

 

 目玉の着いた不気味な球根が輪になり、ディアボリックガイを包み光の柱が立ち上る。光が収まると右手にドライバー、左手にシャベル尻尾がスコップになった黄色の装甲をもつ機械の竜が現れた。

 

「これがシンクロ召喚……素晴らしい、いくら攻撃力が低くともチューナーモンスターがいれば、新たなモンスターに生まれ変わる事ができる」

 

「そうやってモンスターの事を理解してくれる人が増えてくれると良いのにね、続けるぞ。墓地のグローアップ・バルブの効果発動、デッキトップを墓地に送りこのカードを特殊召喚する。復活せよグローアップ・バルブ。ただしこの効果はデュエル中に1度しか使用できないけどね。更にレベル7のパワー・ツール・ドラゴンにレベル1のグローアップ・バルブをチューニング!大いなる八つの星が輝くとき、鋼鉄の鎧を脱ぎ捨てて命の煌めきをここに示せ! シンクロ召喚!生命の奇跡ライフ・ストリーム・ドラゴン!」

 

 パワー・ツール・ドラゴンが身につけていた鎧が、次々に粉々に弾け黄土色の肌と薄い羽を羽ばたかせて現れる。顔は明らかに蜥蜴だが。

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

 

王真 ライフ4000

手札3

モンスター1

魔法・罠なし

 

「私のターンドロー、火炎地獄を発動相手に1000ダメージ与え、自分は500ダメージを受けます」

 

麗華 ライフ4000→3500

 

「何故、黄衣君のライフが減っていないのです!」

 

「あぁ言ってなかったなゴメン。ライフ・ストリーム・ドラゴンがいる限り俺に対する効果ダメージは0になるんだ」

 

「く……まさかそんな効果だなんて……モンスターとリバースカードを一枚セットしてターンエンドです」

 

麗華 ライフ3500

手札3

モンスター1

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー、死者蘇生を発動墓地のディアボリックガイを守備表示で特殊召喚、更にトラパートを召喚。レベル6のディアボリックガイにレベル2のトラパートをチューニング。気高き八つの星が輝くとき、戦場で散った魂が、新たな命の鼓動を刻む!シンクロ召喚!突き進めギカンテック・ファイター。ギカンテック・ファイターは墓地に存在する戦士族一枚につき攻撃力が100ポイントアップする墓地には三体よって300アップ」

 

ギガンテック・ファイター 2800→3100

 

「いくぜバトル、ギガンテック・ファイターでセットモンスターに攻撃、そしてシンクロ素材にされたトラパートの効果発動、トラパートを素材にしたシンクロモンスターが攻撃するとき、ダメージステップ終了時まで魔法・罠を発動できない!」

 

「く……デス・コアラの効果が発動しても意味はない」

 

「まぁそういうことよ、ライフ・ストリーム・ドラゴンでダイレクトアタック!」

 

「トラップ発動、魔法の筒。攻撃を無効にしてその攻撃力分のダメージを相手に与えます」

 

「むぅ……止められたか、リバースカード一枚セットしてターンエンドだ」

 

王真 ライフ4000

手札1

モンスター2

魔法・罠1

 

「く……私のターンドロー、リバースカードを二枚セットしてターンエンド」

 

麗華 ライフ3500

手札2

モンスターなし

魔法・罠2

 

「俺のターンドロー、バトルギガンテックでダイレクトアタック。メガトンアームハンマー」

 

麗華 ライフ3500→200

 

「ラストだ! 派手にぶっぱなせ。ライフ・ストリーム・ドラゴンでダイレクトアタック」

 

「させません。トラップ発動炸裂装甲、攻撃モンスターを破壊します」

 

「ではメイン2、ミラクルシンクロフュージョンを発動、墓地のライフ・ストリーム・ドラゴンとディアボリックガイをゲームから除外、波動竜騎士ドラゴエクィテスを召喚してターンエンド」

 

王真 ライフ4000

手札1

モンスター2

魔法・罠1

 

「いきます私のターンドロー、デスメ――」

 

「タンマ、エクィテスの効果は、俺の受ける効果ダメージを相手が受けるんだ、つまり……」

 

「なんにせよ私の負け。ということですね……なんという性能でしょう、私のデッキがたった一体のモンスターで……ん? 何故私のデッキの内容を知ってるのですか」

 

 やべぇ、バレたこれはマズイTFでクリア済みだぜ何て言えねぇよ。

 

「月1テストの時に偶然見えて覚えてたんだよ、バーンデッキって珍しいだろう?」

 

「それもそうですね失礼しました。それでは私はこれで……」

 

 そういって原さんは帰っていったやれやれだよホント、バーンデッキを相手にするのは心臓に悪い。

 

「王くんお疲れ、徹底的にメタりましたね。まさか初手でライフ・ストリームをだすなんて、ブラフェを使うのかと思ってたのに」

 

「ブラフェでもよかったんだが、殴り負ける事もよくあるし一番の問題は、初手が若干悪かった」

 

「王くんの初手が悪くない時がないよ」

 

「何でだろうな? 良くもなく悪くもないか酷いかの二択だからな」

 

「知らないですよ、少なくとも、そこまで酷い手札になりませんから。私のデッキは」

 

「やっぱり原因は構成か? それともドロー力が足りないのか……そういえばイライラしてるときは、やたらと手札が良いような気がするな……」

 

「覇王化とか止めてくださいよ? 私たちがなると主人公並みにたちが悪いですから」

 

「破滅の光とかに取り付かれるのも勘弁してほしいな。未来のカードはこの時代の連中には荷が重すぎる」

 

「シンクロやエクシーズだけじゃなくても、未来のカードは厄介なもんばっかですからね」

 

「まぁ、なんにせよお互い気を付けないとな、俺はお前の相手をするのはごめんだよ、めんどくさい」

 

 そういって王真は寮に戻っていき、雪乃に説教をするが雪乃は気にした様子もなくお茶を飲んでいるのだった。

 

 

 

 

 

 時間が少し飛びとある日の夜中、レッド寮の食堂で怪談をやっており、いつものレッド寮のメンバーにプラスして有が混じっている。

 

「さてじゃあ俺の番だな、ドロー。レベルは2か」

 

「まぁこれは俺の友人が体験した話なんだがな、理由は忘れたんだが入院してたんだわさ。で夜中に喉が乾いて自販機に飲み物を買いに行ったんだ。するとな自販機の前で誰か立ってたんだ、自分と同じ様に飲み物を買いに来たんだろうと思って近付いていったら、その人は――当直のせいで疲れてたのかは知らんが、自販機の前で立ったまま寝てたそうだ」

 

 オチを聞いた瞬間十代と有が笑いだし、翔は溜め息つき隼人は何故かガチビビりだった、この話にはまだ続きがあるのだが、それを話すとレベルが上がりそうだそんなとき。

 

「みなさ~ん何しているかにゃ~」

 

 大徳寺教諭がいつの間にか後ろにいた、一瞬ビクッとしたは内緒だ。

 

「ビックリした……脅かさないでくれよ大徳寺教諭。今ドローしたモンスターのレベルだけ怖い話をするゲームをやってるんだ」

 

「それは面白そうですにゃ。どれどれ私も」

 

 大徳寺教諭がカードを引くと順番的に、十代が引く筈であったレベル12のファイブ・ゴッド・ドラゴンを引いた。

 

「出た! レベル12!」

 

「取って置きのをお願いします」

 

「ホッホッホそういえば、この島の奥に使われていない寮があるのを、ご存知ですかにゃ?」

 

「使われていない寮だって?」

 

「えぇ、昔この学園の特待生達の寮だったらしいのですが……その寮では何人もの生徒が、行方不明になってるそうだにゃ……何でもその寮では、闇のゲームに関係する研究をしてたらしいのにゃ」

 

「闇のゲーム!」

 

 隼人が闇のゲームに興味を示したみたいだ、あんな物騒なゲームに興味を持つのは、やめた方が良いと思うよ隼人くん。

 

「伝説のアイテムによって発動する、恐ろしいゲームだって話ですにゃ」

 

「あ~私も聞いたことがありますよ、ダメージが現実になったり魂ひっこ抜かれたりするらしいですよ」

 

「闇のゲームなぁ……迷信だったとしても、あってほしくないな」

 

 まぁこの一年で、嫌でもやらなきゃならないんだろうね、そのための予行演習になるのかな今回のイベントは。

 

「真実は私も知らないのにゃ、私が来た時にはあの寮は立ち入り禁止になってたにゃ……そろそろ部屋に戻る時間だにゃ、万花さんも早く戻った方がいいですにゃ。ではお休み」

 

「ほんとにこの島に、そんな場所があるのかなぁ?」

 

「楽しそうじゃん。明日の晩に行ってみようぜ」

 

「怖いけど俺も行きたい」

 

「俺も付き合ってやるよ、お前達だけじゃ心配だからな」

 

「よし、けって~い!」

 

「じゃあ、十代俺はこいつを送ってくる。その足でそのまま戻って寝る。お休みな」

 

 後ろに向かってヒラヒラと手を振って歩いていく。

 

「闇のゲームですか……この世界ではよくあることですが、実際遭遇したくないですね」

 

「なんて、言ってられないんだよな現実はさ、俺だってやりたくないさ、人が死ぬゲームなんてよ。俺が死ぬのなんざどうだっていい、ただ俺のせいで誰かが死ぬ方が嫌だ」

 

 自分が死ぬのがどうでもいい訳はない、せっかくの二度目の人生ではあるが、どうしても強がりが出てしまう、勿論他人が犠牲になるのも嫌だ。

 

「王くん、強がりはいけませんよ。いくら一回死んでるからって自分の命を粗末に扱うのはメッ! ですよ」

 

「知ってるよ、おらもうすぐ寮に着くだろ。さっさと行け」

 

「え~こういう時は、入り口まで送ってくれるもんじゃ無いんですか」

 

「嫌だよ、またあいつらに難癖つけられる。じゃあな気を付けろよ」

 

「はいはい~また明日~」

 

 有を見送ってから、振り返り歩き始めるが直ぐに誰かに呼び止められる。

 

「おいお前、ここで何をしている」

 

「……なんだ蛙ちゃんか」

 

「万丈目さんだ!」

 

「叫ぶなよ蛙ちゃん。近所迷惑だろう?」

 

「ぐ……質問に答えろ。ここで、何をしている」

 

「レッド寮の食堂で怪談をしていてな、時間になったから有を送ってやってたのよ」

 

「ふん、オシリスレッドは気楽なことだな」

 

「まぁな、平和に楽しくが俺のモットーだからな。ところで万丈目はこんなとこで何やってんだ?」

 

「さんだ。何でもないただの散歩だ」

 

「ふ~ん女子寮の近くを散歩ねぇ、まぁどうでもいいや。万丈目今度デュエルしようぜ」

 

「なんだと? オシリスレッドの分際で何を言っている、身の程を知れ」

 

「や、そうじゃなくてさ。オシリスレッドとかの階級なんかその他諸々無しにして、楽しくデュエルしたいのよ俺個人としてはな」

 

「くだらん、デュエルは勝ってこそだ。楽しくデュエルなんてできるか……勝たなきゃ意味がないんだ」

 

「勝ちに拘らないデュエルもなかなか楽しいぜ、じゃあなまた今度デュエルしようや、約束だぜ万丈目」

 

「そんな一方的な約束認められるか!! あとさんだ!」

 

 王真は手を後ろにヒラヒラと振って、寮の方へ向かって歩いていった。

 

 王真sideout

 

 万丈目side

 

 俺はあのオシリスレッドの小僧に出会った後、すぐに自分の寮に戻った。

 

 全く何が楽しくデュエルだ、勝手なことを……勝ちに拘らず、純粋にデュエルを楽しむ……そんなことができるのか、できるわけがない俺には……。

 

「勝ち続けないといけないんだ!」

 

「どうしました万丈目さん?」

 

「……何でもない早く部屋にもどれ」

 

 ふぅ……あいつはいったい何を考えているのかさっぱりわからん。クロノス教諭を倒し、テストではブルー女子の中でも屈指の強さを誇る藤原くんをも突破し、挙げ句の果てには謎の召喚方法、シンクロ召喚を使うあの小僧……その全てのデュエルで勝ちを意識せず、全力で楽しむ事を考えていると言うのか、胸くそ悪い。だが一方的とは言え約束をした……いつかできるのか……楽しむデュエルを……。

 

 万丈目sideout

 

 クロノスside

 

 ヌッフフフフフフ。のゲームその手がありましたーノネ。噂話を利用してドロップアウトボーイズが消えるーノなーラ、誰にとっても問題ないーノネ。早速あの男に連絡をとってみるノーネ。

 

 そして翌日の夜。

 

「オゥ! アナタが自称闇のデュエリストね」

 

「早速ギャラの話だ、私のギャラは一律ぅ、依頼人にどんな事情があろうと関係ない。依頼人の給料三ヶ月分」

 

「めちゃめちゃ依頼人の事情と関係ある気がするーノ。まぁいいでしょうそれより本当に大丈夫なんでしょーネ」

 

「私はプロだぁ、決してぇ敵に背中を見せぬぅ」

 

 本当に背中を見せないノーカ試しに後ろに回ろうとしたけどーモ防がれましたーノ。

 

「私に任せろお前はデュエルが終わった頃に来るがいい……」

 

 白い煙で足元が見えないせいかスライドしているように見えた。

 

「背中見せねー。フップロフェッショナルーね」

 

 クロノスsideout

 

 王真side

 

 怪談をした翌日の夜、廃寮探検に出発した。そういえば隼人がレッド寮から離れるのは珍しいな、アカデミアの授業にも殆ど出てないし。

 

「しかし隼人が来たがるなんて意外だぜ」

 

「同意だ。てっきりめんどくさいお前達で勝手に行け、と言われるんじゃないかと思ってた」

 

「別に俺勉強が嫌いな訳でもないよ、ただ……」

 

「ただ?」

 

「嫌なんだ、デュエルで勝つ事だけの授業が」

 

「勝つ事方法以外にデュエルで勉強することなんてあるの?」

 

「あるよきっと、例えば闇のゲームとか」

 

「やめろよ、闇のゲームなんてあってほしくない」

 

「なんだ王真ビビってんのか?」

 

「そういう訳じゃないんだが、闇のゲームの噂をいくらか聞いててな。ゲームってのは楽しく、笑いながらやるもんだろ? そういうのが命のやり取りになるのは、ちっと悲しくてさ」

 

「王真はゲームに思い出があるのか?」

 

「ん~思い出というより思い入れだな、昔からゲームは俺に笑顔と考える知恵をくれたからな。だからこそゲームを汚されるのは我慢ならん」

 

「デュエルモンスターズもか?」

 

「おうよ、デュエルモンスターズに至ってはかなり長い間続けているな、こっちでは相手に困らないからな」

 

「こっちではって?」

 

「言葉の通りさ、地元では実力がかなり上下にブレてたせいか、あまり相手をしてくれなかったからな。だがこっちに来てからは、その心配はない。本気のデッキを使わせてもらってるからな」

 

「ふ~んそーなのか~」

 

 そんなこんなで廃寮の門の前にたどり着いた。門の近くに花が一輪おいてあった。

 

「……ふむ、まだ真新しいな」

 

 パキッ

 

「「ぎゃぁぁぁぁ出たぁぁぁぁ」」

 

 小さな音に過敏に反応して翔と隼人が絶叫する、俺は耳を塞ぎ十代は音がした方に懐中電灯を向けた。

 

「なる、花供えてたのはお前か明日香。そんでお前もいるのな有」

 

「もちろんですことよ、王くんが行くって聞いて行かない事がありますか」

 

「そんなことより、なんで明日香がいるんだよ」

 

「それはこっちの台詞。あなた達何してるの!?」

 

「有から……聞いて無さそうだな廃寮の探険だそうだ、俺はお目付け役だよ」

 

「あなた達知らないのここで何人もの生徒が、行方不明になってるって」

 

「そんな迷信信じないね」

 

「迷信かどうかはさておいて、現に行方不明のやつが続出してるのならば、その原因を探るのも一興だろう?」

 

「ここは立ち入り禁止のはず、学校に知られたら騒ぎになるわ。遊び半分で来る場所じゃないの」

 

 まぁどっかのキショイ教諭が、査問委員会にチクって退学を賭けたデュエルをさせられるのよな。……デュエルで退学が決定するとかホントにこの世界はどうかしてるよ。

 

「王くんここではよくある事ですよ」

 

「人の心を読むなブッ殺スぞ」

 

「フフフ、私も同じ様なことを考えてたんですよね。何でこんなことになってるんでしょうね? アッチとあんまり変わらないのに遊戯王だけやたら流行ってて、職業にまでなってるんですかね」

 

「知らねぇよ。海馬がソリッドヴィジョン作ったからじゃねぇのか? そもそも遊戯王って呼び方事態違うしな。こっちじゃデュエルモンスターズだし。まぁそういう世界だから仕方ないんだがな」

 

「お~い翔、王真~おいてくぞ~」

 

「はぁ……有、お前は明日香と一緒に帰れ。帰り道、気を付けろよ」

 

「はいはい……王くんはいつも私を邪険に扱ってもう……ブツブツ」

 

 何やら有が呟いてたが、声が小さくてうまく聞き取れなかった。なんつったあいつ? まぁいいや。

 

「コラ待て十代」

 

 王真sideout

 

 有side

 

 全く王くんはいつもいつも私を別のところに退けようと……まぁそんな所も良いんですけどね。しかし明日香ちゃんと一緒に帰らせるのはいったい……む? 王くん、さっき気を付けろって言ってた。明日香ちゃんってたしかこの後……。

 

「……ッ!!」

 

 有sideout

 

 王真side

 

 

「ふむ、流石は元特待生寮だな。埃が被っててもレッド寮より住みやすそうだ」

 

「だな、いっそのこと俺たちここに引っ越さないか?」

 

「フッ、ごめん被るよ引っ越しが面倒だ」

 

 玄関から入った両サイドに、千年アイテムの壁画が飾ってある。どっから持ってきたのよこれ。

 

「へぇ~千年アイテムは全部で七つあるのか」

 

「あぁ。パズル、リング、秤、杖、鍵、首飾り、眼の七種類らしい」

 

「詳しいんだね王真君」

 

「まぁな殆どの千年アイテムの実物を見たからな……む? こいつは……」

 

 壁画の近くにブルーの制服を着た、男性の写真が入った小さな写真立てがあった。その写真にはマジックで「FUBUKI 10 JOIN」とかかれていた。

 

「これってもしかしたら……」

 

「そのもしかしたら……だな回収しておこう十代」

 

「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」」

 

「アニキ今の声は明日香さんと有さんの!?」

 

「行こう!」

 

 クソッあの馬鹿、気を付けろつっただろ。過ぎたことを言っても仕方ねぇ。

 

 奥に走っていくと床に二枚のカードが落ちていた。一枚はエトワール・サイバー、もう一枚は甲虫装機ダンセル。

 

「十代、なにかを引きずった後があっちへ」

 

 更に奥へ奥へと進むと、儀式場のような場所に出た。目の前には二つの棺桶の様なもの、その中に有と明日香がいた。

 

「フフフ、この者達の魂はぁもはや深き闇に沈んでいるぅ」

 

 足元の煙の中から、渋い声と共に黒い服の男が這い出てきた。やべぇ生で聞くと惚れ惚れするほどのステキヴォイスだな、こんな奴を闇の中に閉じ込めておきたくはないな。

 

「ようこそ、遊城十代ぃ、黄衣王真ぁ我が名はぁタイタン……闇のデュエリストぉ……」

 

「闇のデュエリストだと? テメェ有に何しやがった」

 

 なぜだろう物凄くイライラする、どうしたんだ俺は。

 

「ふざけるな、闇のゲームなんてあるわけないだろう」

 

「試してみればわかるだろうよ小僧。ここは何人も踏み入れてはならない禁断の領域、我はその誓いを破るものに制裁を下す」

 

「ここでいなくなった人達も貴様のせいだな! 明日香達は返してもらうぜ!」

 

「私に闇のゲームで勝てるならなぁ遊城十代……」

 

「望むところだ!」

 

「後悔するなよ小僧ぅ……」

 

「「デュエル」」

 

 デュエルの序盤、タイタンのジェノサイドキングデーモンがフェザーマンを破壊した後、タイタンがどこか違和感のある千年パズルを取り出すとパズルのウィジャト眼が輝き始めた。

 

「消えてゆく……お前の体がぁライフポイントに従い……徐々に消えるぅ」

 

 輝き始めた千年パズルの光が収まる頃には、十代の胴体の一部が消えて無くなっていた。

 

「これでもう貴様らは闇のゲームからは逃げられない……」

 

「ホントだ……足が動かない」

 

「いいや俺は闇のゲームなんて信じない、聞いたことがあるぜ、闇のゲームをするには千年アイテムが必要だってな。お前はそれを――」

 

「フフフ、見ろぉこれこそが伝説のアイテム千年パズル、これが闇のゲームである証ぃ」

 

「ん? ……おい、タイタンそのパズルもっとよく見せてみろ」

 

 タイタンはそのまま千年パズルを掲げる。ふむビンゴってな知ってたけど。

 

「成る程な……十代! いまお前の体はどこが消えている?」

 

「肩の真下に一直線に消えてるけどそれがなんだよ」

 

「こういうことだよ!」

 

 王真は小石を拾い上げて、恐らく消えているであろう肩の真下辺りに、思いきり投げつける。

 

「痛っ! なにすんだよ王真!」

 

「十代! いまどこに当たった!」

 

「どこって肩の……そうか!」

 

「そういうことだ、本当に消えてんなら投げた石がすり抜けるはずだ。それにその千年パズルは偽物だ。実物を見たことのある俺にはわかる継ぎ目がない! つまりそいつは」

 

「偽物のインチキ野郎だってことだな!」

 

「ぐぅ……バレてしまってはもうお前とデュエルするなど無意味なこと!」

 

 タイタンが偽千年パズルを地面に叩き付けると、パズルが爆発して大量の煙が舞った。

 

「待て! 逃がすか!」

 

 マズイこの展開はガチの闇のデュエルが始まっちまう。

 

 タイタンの巻き上げた煙が中心に集まって一塊に集まっていく。

 

「待て十代! 危ないぞ」

 

 煙の中に走っていく十代を王真も追いかけていく。

 

「なっ! なんなんだこれは!」

 何故か周りが真っ暗になり周囲にあった柱や翔たちの姿も見えない。恐らくあの闇のドーム上の空間に、入ってしまったのだろうと王真は考えた。

 

「お前まだ性懲りもなく!」

 

「違う、これはあいつのせいじゃない」

 

「なんだ! アレ!」

 

 気持ち悪い黒いスライムみたいな物体が、タイタンに群がってゆく。

 

「マズイ! ヒアデス、ビーハイブはタイタンを守れ! プレアデス、オメガは俺たちの護衛、メシエはこの空間を破壊しろ!」

 

『『『『仰せのままに! マイマスター!』』』』

『キュォォォォォォォン!』

 

 王真が持参したデュエルディスクに、セイクリッドのエクシーズ達をセットする。

 

「なっ! なんだぁお前達はぁ?」

 

『マスターのご命令です、どうぞこちらへ』

 

 タイタンの両隣で光を放ちながら、王真の元へとつれていくセイクリッドの二人。

 

「タイタン、無事か? こいつら俺たちに群がって来てやがる……タイタン、デュエルディスクを貸せ!」

 

 素早くセイクリッド達を回収して別のデッキを、自分のデュエルディスクに装着しスライム状の物体に投げつける。

 

「王真なにやってるんだよ!」

 

「もしかしたらこいつら、俺たちのデッキを狙ってるのかもしれない。それに確信を持つための行動だ」

 

 案の定スライム状の物体は、俺投げたデュエルディスクに群がって、何故かタイタンの形をとり二人に分裂してデュエルディスクを展開して構えている。

 

「むっ……どうやら仕切り直してのタッグデュエルがご所望みたいだぜ十代、どうする」

 

「もちろん。受けるに決まってるさ」

 

「ボウズゥ……私のデュエルディスクを使えぃ」

 

 タイタンは上着を脱いで俺にに手渡してきた、どうやらタイタンのデュエルディスクは上着と同化したものみたいだ。

 

「ありがとう、少し借りるよタイタン……でもでかいなこれ」

 

 タイタンの丁度胸辺りにあったデュエルディスク、俺がつけるとやはり不恰好だな大きすぎるよタイタン。

 

「仕方がないだろう、そいつはオーダーメイドだ」

 

「まぁ予想はしてたよ。いくぞ十代!」

 

「おうよ王真!」

 

「「「デュエル」」」

 

 順番は王真→タイタンA→十代→タイタンBの順番。ライフは8000。ライフは共有だがフィールド、墓地は別々になる、パートナーのモンスターのリリースや融合、トラップ効果の付与等は可能。

 

「俺のターンドロー、手札のモンスターを捨てワン・フォー・ワンを発動、デッキからレベル1のモンスターを特殊召喚する。チューニング・サポーターを守備表示で特殊召喚。」

 

 小さな鍋をかぶり黄色いマントをきた小さな機械が現れた。

 

「更に手札からジャンク・シンクロンを召喚、ジャンク・シンクロンが召喚に成功したとき、墓地のレベル2以下のモンスターを効果を無効にして守備表示で特殊召喚出来る。チューニング・サポーターを特殊召喚、更に墓地のモンスターが特殊召喚に成功したとき手札からドッペル・ウォリアーを特殊召喚。」

 

 黄色い眼鏡をかけ、背中にエンジンを背負った戦士が現れ、そのとなりから先ほどの鍋を被った機械と、黒づくめでボウガンを持った戦士が飛び出す。

 

「スッゲー一ターンで一気にモンスターを四体も展開するなんて」

 

「だがこのモンスターは、一体のシンクロモンスターになっちまうのさ。チューニング・サポーターがシンクロ素材になるとき、レベルを2として扱うことが出来る。レベル2となったチューニング・サポーターと、レベル1のチューニング・サポーターと、レベル2のドッペル・ウォリアーに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング! 憎しみの八つの星が輝く時、新たなる種族の力が精神と共に目を醒ます。シンクロ召喚! 現れよ、メンタルスフィア・デーモン」

 

「シンクロ素材となったドッペル・ウォリアーとチューニング・サポーターの効果発動、チューニング・サポーターがシンクロ召喚に使用され墓地に送られたとき、デッキからカードを一枚ドローする。ドッペル・ウォリアーがシンクロ召喚に使用され墓地に送られたとき、フィールドにドッペルトークン二体を攻撃表示で特殊召喚出来る。現れよドッペルトークン、そして二枚ドロー。カード一枚セットしてターンエンドだ」

 

王真・十代 ライフ8000

手札3

モンスター3

魔法・罠1

 

「私のターンドローインフェルノクインデーモンを召喚、更に万魔殿-悪魔の巣窟-を発動、ターンエンドだ」

 

タイタンA、B ライフ8000

手札4

モンスター1

魔法・罠なし

 

「俺のターンドロー、E・HEROスパークマンを召喚、リバースカード二枚セットしてターンエンドだ」

 

王真・十代 ライフ8000

手札3

モンスター4

魔法・罠3

 

「私のターンドロー、私はジェノサイドキングデーモンを召喚、更に装備魔法、堕落を発動。自分フィールド上にデーモンと名のついたぁモンスターが存在しなければぁ、このカードを破壊するが、このカードを装備したモンスターのコントロールを得るぅ。私は貴様のメンタルスフィア・デーモンのコントロールを得るぅ!」

 

「十代、ライフを借りるぞ。メンタルスフィア・デーモンの効果発動、サイキック族一体を対象にする魔法・罠が発動した時、ライフを1000ポイント払うことでその効果を無効にして破壊する!」

 

王真・十代 ライフ8000→7000

 

「ぐっ……が……!」

 

「どうした王真」

 

 ライフコストを使った瞬間に、心臓を握り潰された様な鈍い痛みが来た。流石は闇のデュエル。ライフコストにもリアルダメージに反映されやがる。

 

「ハァ……ハァ……大事ない気にするな」

 

「リバースカードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

タイタンA、B ライフ8000

手札3

モンスター2

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー、ふぅ……手札から調律を発動、デッキからシンクロンと名のついたモンスターを手札に加え、その後デッキの一番の上のカードを墓地へ送る、俺はジャンク・シンクロンを手札に加え、デッキトップを墓地へ」

 

 何とか痛みは引いたか。しかし滅多にライフを使いたくないな、下手をしたらライフが無くなる前に俺の体が持たなくなる。

 

「ジャンク・シンクロンを召喚、効果によりチューニング・サポーターを蘇生、レベル1のチューニング・サポーターとレベル1ドッペルトークン二体にレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング! 燃え盛る六つの星が瞬く時、豪腕が全てを砕き燃え上がる。シンクロ召喚! 突き貫け、フレムベル・ウルキサス! そしてチューニング・サポーターの効果で一枚ドロー……よし、バトルフレムベル・ウルキサスでインフェルノクインデーモンを攻撃!」

 

「ならばリバースカードオゥプンヘイト・バスター、私の悪魔族モンスターが攻撃対象になったとき、発動できる。攻撃モンスターと攻撃対象モンスターを破壊しぃ、破壊した相手モンスターの攻撃力分のぉダメージを与えるぅ」

 

「させるか! トラップ発動トラップ・スタン、このカード以外のフィールド上のトラップの効果を無効にする。よってヘイト・バスターは無効となりバトルは続行される」

 

 フレムベル・ウルキサスが炎を纏った拳を斜め下に降り下ろしインフェルノクインデーモンを殴り砕く、それと同時に両腕の炎が勢いを増す。

 

タイタンA、Bライフ 8000→6800

 

「フレムベル・ウルキサスの効果発動、このカードが相手プレイヤーにダメージを与える度に、攻撃力を300ポイントアップする!」

 

ウルキサス 攻撃力2100→2400

 

「メンタルスフィア・デーモンでタイタンAにダイレクトアタック」

 

タイタンA、B ライフ6800→4100

 

「リバースカードを二枚セットしてターンエンドだ」

 

王真、十代 ライフ7000

手札2

モンスター3

魔法・罠4

 

「私のターンドロージェノサイドキングデーモンを召喚、更にぃデーモンの斧をジェノサイドキングデーモンに装備しバトル、スパークマンに攻撃、炸裂! 五臓六腑!」

 

「トラップ発動、パワー・フレーム、自分のモンスターの攻撃力が相手より低いモンスターが攻撃対象に選択されたときに発動できる、その攻撃を無効にした後装備カードとなり、その差分だけ攻撃力をアップする」

 

スパークマン 攻撃力1600→3000

 

「サンキュー王真!」

 

「いいって事よ、リアルダメージなんざお互いに受けたくねぇからなサポートは任せろ!」

 

「私はぁリバースカードを二枚セットしてターンエンドだ」

 

タイタンA、Bライフ4100

手札1

モンスター2

魔法・罠2

 

「俺のターンドロー、手札から融合を発動、手札のフェザーマンとバーストレディを融合、現れろマイフェイバリットヒーロー、フレイムウィングマン。バトルだスパークマンでデーモンの斧を装備したジェノサイドキングデーモンに攻撃、スパークフラッシュ!」

 

「トラップ発動、攻撃の無力化ぁ! モンスター一体の攻撃を無効にしぃ……バトルフェイズを終了するぅ」

 

「くっ……俺はこのままターンエンドだ」

 

王真、十代 ライフ7000

手札1

モンスター4

魔法・罠3

 

「私のターンドロー、ジェネラルデーモンを召喚、更にデーモンの斧をジェネラルデーモンに装備しバトル、ジェネラルデーモンでぇフレムベル・ウルキサスを攻撃!」

 

「トラップ発動、無力の証明! 自分フィールド上にレベル7以上のモンスターが存在するとき相手フィールド上のレベル5以下のモンスターを全て破壊する。貴様らのフィールド上のモンスターは全てレベル4、デーモンどもを全抹殺だ」

 

「むっ……リバースカードを二枚セットしてターンエンドだ」

 

タイタンA、B ライフ4100

手札0

モンスター0

魔法・罠3

 

「俺のターンドロー、シンクロキャンセルを発動、メンタルスフィア・デーモンをエクストラデッキへと戻し、そのシンクロ素材のモンスター一組を特殊召喚できる、蘇れジャンク・シンクロン、ドッペル・ウォリアー、チューニング・サポーター!」

 

 メンタルスフィア・デーモンが光に包まれ光が弾けるとそこに四体のモンスターが現れる。

 

「レベル2チューニング・サポーター、ドッペル・ウォリアー、レベル1チューニング・サポーターにレベル3、ジャンク・シンクロンをチューニング! 新たな八つの星が輝くとき、砕かれた残骸と共に全てを圧し殺せ。シンクロ召喚! 鉄の王! ジャンク・デストロイヤー!」

 

 刃の様な四枚の羽を背中につけ巨大な四本の腕を持った巨人が現れ、四つの拳が白く輝き始める。

 

「ジャンク・デストロイヤーの効果発動、シンクロ召喚に成功したとき、チューナー以外に使用したシンクロ素材の数だけフィールド上のカードを破壊できる、貴様らのセットカードを全て破壊する」

 

「「ならばぁトラップ発動! デーモンの雄叫び。ライフを500払い墓地のデーモン一体を特殊召喚する。甦れジェノサイドキングデーモン!」」

 

タイタンA、B ライフ4100→3100

 

 クソッ壁を残されたか、だが俺はまだ通常召喚を行っていない、悪いがここで決めさせてもらうぜ! つか伏せはミラフォかよ、超危ねぇ死ぬかと思ったわ、や冗談抜きで。

 

「チューニング・サポーターの効果によりデッキからカードを二枚ドロー、愚かな埋葬を発動、デッキのモンスター一体を墓地に送るD-HEROディアボリックガイを墓地に送り、墓地のディアボリックガイを除外、同名モンスターを特殊召喚する。現れよディアボリックガイ!そしてトラパートを召喚、レベル6のディアボリックガイにレベル2のトラパートをチューニング! 気高き八つの星が輝くとき、戦場で散った魂が新たな命の鼓動を刻む。シンクロ召喚! 突き進めギカンテック・ファイター! ギガンテックの効果により墓地の戦士一体につき攻撃力を100追加する。バトルだ、ジャンク・デストロイヤーでジェノサイドキングデーモンを攻撃!デストロイ・ナックル」

 

ギガンテック2800→3200

 

 ジャンク・デストロイヤーの拳が輝き、ジェノサイドキングデーモンを粉々に破壊する。

 

タイタンA、B ライフ3100→2500

 

「フレムベル・ウルキサスでジェノサイドキングデーモンを攻撃!」

 

タイタンA、B ライフ2500→2100

 

「これで終わりだギガンテック・ファイターでダイレクトアタック」

 

「「グオォォォォォォ!!」」

 

タイタンA、B ライフ2100→-1100

 

 ギガンテック・ファイターの一撃により、デュエルの勝敗が決定しタイタン二人が苦しみもがいて、元々の不思議生命体に戻ってこちらに襲いかかってくる。

 

「勝てなきゃ強行策かよ。クソッ! メシエはまだかよ!」

 

『キュォォォォォォォン!』

『クリクリ~』

 

「どうしたハネクリボー!」

 

 ハネクリボーとメシエの視線の先に闇の空間が裂けて光が見えた。

 

「よっしゃ! よくやったぞメシエ、セイクリッド達しんがりを頼むぞ!」

 

『『『『仰せのままに! マイマスター!』』』』

『キュォォォォォォォン!!』

 

 俺、十代、タイタンは空間の裂け目に向かって全力疾走し光に飛び込むと眼前に床が映る。

 

「アニキ! 王真君!」

 

「みんな無事か!」

 

「むっ……全員伏せろ!」

 

 王真が叫ぶと先程の闇の空間が急速に縮み始めて、パン! と破裂して紙吹雪が舞う。

 

「はぁ……やっと終わったか、気を張りすぎて疲れたよ」

 

「……何故私を助けたぁ、私はぁお前達を、貶めに着たのだぞ? それにこのような事態に巻き込んでしまった……なのにどうして」

 

「理由がいるか? 人を助けるのにさ。命に貴賤はないってどっかの偉い人が言ってた気がするからな、だから気にすんなや。んなことよりさっさと出ようぜ、こんな辛気くさいとこに長居してたら、死にたくなってくる十代は明日香をたのむ。俺はこのバカたれを運んでく」

 

「オッケー」

 

 眠っている有を背負って廃寮の外へと出ていった。外に出るともうすぐ夜明けだった。……明日はフケるかな今日一日寝て過ごすか。

 

「おっ気がついたか?」

 

「あなた達どうしてここに?」

 

「悪かったな変な目に合わせて」

 

「私からも謝罪しよう……本当にすまなかったぁ……」

 

「あっ、後これとこれ」

 

 十代が取り出したのはエトワール・サイバーと例の写真である。

 

「ごめんな。これしか手掛かりは見つからなかったんだ、兄さんの話を聞いて少しは役に立てるかなぁって思ったんだけどさ」

 

 するとどこからともなく鶏の鳴き声が響いてきた。

 

「やっば、おい皆が起き出す前に戻ろうぜ、またな」

 

「先に行ってろ。俺には野暮用がある」

 

 野暮用その一は有に話があるがまだ起きないこと、二つ目はタイタンの今後の事だ。まぁ後者については大丈夫そうだろうが一応な。

 

「タイタンはこれからどうする気だ? 闇のデュエリストを続けるのか」

 

「いや、闇のデュエリストは廃業だ。さすがにあんな事が起こった後だ、なにか別の道を考えさせてもらう」

 

「そうかい元気でな」

 

「なんだ? 意外とあっさりしているじゃあないか。てっきり根掘り葉堀り聞いてくるものだと思っていたが……」

 

「そんなことはしないさ、それにまた会いそうな気がするからな、気ぃつけて帰りな」

 

「じゃあなぁ、王真よ」

 

 タイタンが帰った後、とりあえず座り有が起きるのを待った、といっても数分たっても起きなかったから、軽く蹴ってやったのは言うまでもない。

 

「さて……なにか言うことがないか有?」

 

「……おはようございます王くん。良い朝ですね」

 

「よし、有歯を食いしばれ。しばいてやる」

 

「ちょちょちょ待ってくださいよマジで、王くんと別れてから記憶がプッツン途切れてて覚えてないんですってば。ですからその何処からともなく出したハリセンを下ろしてください!」

 

「はぁ……まぁ良いや闇のデュエルの予行練習も終わったしな。ライフ1000で心臓が潰れるかと思ったよ畜生」

 

「闇のデュエルしてきたんですか! 大丈夫なんですかリアルダメージの方は」

 

「とりあえずダメージは一も受けてない安心しろ、メンスフィの効果で1000払っただけだ。まぁ心臓を握り潰された様な痛みという、得難い体験をさせてもらった、後遺症はないさ」

 

「そうですか……すみません私のせいで」

 

「気にすんな。シュンとすんなよ別にお前のせいじゃない、やろうと思えば闇のデュエルが始まる前に、回避ができたはずだからな」

 

「でもですね……」

 

「いい、しつこいと張り倒すぞ」

 

「いっそ一回張り倒してください。そうしてくれないと私の罪悪感がハンパないです」

 

「……仕方ない。歯を食いしばって目ぇ瞑れ有」

 

「はい、どうぞ一思いに」

 

 目を固く瞑ってうつ向く有に思い切りデコピンを打ち込む。

 

「これで帳消しだいいな?」

 

「……はい、あの王くん? なんか怒ってません?」

 

「怒ってない、ただあれだけ気にするなと言っているのに、そこまで食い下がるから若干腹がたったのと眠いだけだ。俺はもう帰って寝る。お前もさっさと帰れ睡眠不足は肌が荒れるぞ」

 

 部屋に戻り寝る準備もせずに布団に潜り込むと、睡魔が襲いかかりそのまま意識を失った、一つのファイルとその上に乗っている紙の存在にも気付かずに、その紙が翌日、王真の睡眠不足に拍車をかけることになった。

 

続く……

 

 

おろかな埋葬

通常魔法(制限カード)

自分のデッキからモンスター1体を選択して墓地へ送る。

 

D-HERO ディアボリックガイ

効果モンスター(準制限カード)

星6/闇属性/戦士族/攻 800/守 800

自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動する。自分のデッキから「D-HERO ディアボリックガイ」1体を自分フィールド上に特殊召喚する。

 

ワン・フォー・ワン

通常魔法(制限カード)

手札からモンスター1体を墓地へ送って発動する。手札またはデッキからレベル1モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。

 

グローアップ・バルブ

チューナー(効果モンスター)(禁止カード)

星1/地属性/植物族/攻 100/守 100

自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送り、墓地に存在するこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。「グローアップ・バルブ」の効果はデュエル中に1度しか使用できない。

 

パワー・ツール・ドラゴン

シンクロ・効果モンスター

星7/地属性/機械族/攻2300/守2500チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動する事ができる。自分のデッキから装備魔法カードを3枚選択し、相手はその中からランダムに1枚選択する。相手が選択したカード1枚を自分の手札に加え、残りのカードをデッキに戻してシャッフルする。また、装備魔法カードを装備したこのカードが破壊される場合、代わりにこのカードに装備された装備魔法カード1枚を墓地へ送る事ができる。

 

ライフ・ストリーム・ドラゴン

シンクロ・チューナー(効果モンスター)

星8/地属性/ドラゴン族/攻2900/守2400チューナー+「パワー・ツール・ドラゴン」

このカードがシンクロ召喚に成功した時、自分のライフポイントを4000にする事ができる。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分が受ける効果ダメージは0になる。また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合、 代わりに自分の墓地に存在する装備魔法カード1枚をゲームから除外する事ができる。

 

火炎地獄

通常魔法

相手ライフに1000ポイントダメージを与え、自分は500ポイントダメージを受ける。

 

トラパート

チューナー(効果モンスター)

星2/闇属性/戦士族/攻 600/守 600

このカードをシンクロ素材としたシンクロモンスターが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで罠カードを発動する事ができない。このカードをシンクロ素材とする場合、戦士族モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。

 

ギガンテック・ファイター

シンクロ・効果モンスター

星8/闇属性/戦士族/攻2800/守1000チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードの攻撃力は墓地に存在する戦士族モンスターの数×100ポイントアップする。このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた時、墓地に存在する戦士族モンスター1体を選択し自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

 

デス・コアラ

効果モンスター

星3/闇属性/獣族/攻1100/守1800

リバース:相手の手札1枚につき400ポイントダメージを相手ライフに与える。

 

魔法の筒

通常罠(準制限カード)

相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。相手モンスター1体の攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 

炸裂装甲

通常罠

相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。その攻撃モンスター1体を破壊する。

 

ミラクルシンクロフュージョン

通常魔法

自分のフィールド上・墓地から、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターをゲームから除外し、シンクロモンスターを融合素材とするその融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。また、セットされたこのカードが相手のカードの効果によって破壊され墓地へ送られた時、自分はデッキからカードを1枚ドローする。

 

波動竜騎士ドラゴエクィテス

融合・効果モンスター

星10/風属性/ドラゴン族/攻3200/守2000ドラゴン族シンクロモンスター+戦士族モンスター

このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚する事ができる。1ターンに1度、墓地に存在するドラゴン族のシンクロモンスター1体をゲームから除外し、エンドフェイズ時までそのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る事ができる。また、このカードがフィールド上に表側攻撃表示で存在する限り、相手のカードの効果によって発生する自分への効果ダメージは代わりに相手が受ける。

 

チューニング・サポーター

効果モンスター

星1/光属性/機械族/攻 100/守 300

このカードをシンクロ召喚に使用する場合、このカードはレベル2モンスターとして扱う事ができる。このカードがシンクロモンスターのシンクロ召喚に使用され墓地へ送られた場合、自分はデッキからカードを1枚ドローする。

 

ジャンク・シンクロン

チューナー(効果モンスター)

星3/闇属性/戦士族/攻1300/守 500

このカードが召喚に成功した時、自分の墓地に存在するレベル2以下のモンスター1体を表側守備表示で特殊召喚する事ができる。この効果で特殊召喚した効果モンスターの効果は無効化される。

 

ドッペル・ウォリアー

効果モンスター

星2/闇属性/戦士族/攻 800/守 800

自分の墓地に存在するモンスターが特殊召喚に成功した時、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。このカードがシンクロ召喚の素材として墓地へ送られた場合、自分フィールド上に「ドッペル・トークン」(戦士族・闇・星1・攻/守400)2体を攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

 

 

メンタルスフィア・デーモン

シンクロ・効果モンスター

星8/闇属性/サイキック族/攻2700/守2300チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの元々の攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する。サイキック族モンスター1体を対象にする魔法または罠カードが発動された時、1000ライフポイントを払う事でその発動を無効にし破壊する。

 

インフェルノクインデーモン

効果モンスター

星4/炎属性/悪魔族/攻 900/守1500

このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に500ライフポイントを払う。このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、その処理を行う時にサイコロを1回振る。2・5が出た場合、その効果を無効にし破壊する。このカードがフィールド上に存在する限り、スタンバイフェイズ毎に「デーモン」という名のついたモンスターカード1体の攻撃力をエンドフェイズまで1000ポイントアップする。

 

 

万魔殿-悪魔の巣窟-

フィールド魔法

「デーモン」という名のついたモンスターはスタンバイフェイズにライフを払わなくてよい。戦闘以外で「デーモン」という名のついたモンスターカードが破壊されて墓地へ送られた時、そのカードのレベル未満の「デーモン」という名のついたモンスターカードをデッキから1枚選択して手札に加える事ができる。

 

ジェノサイドキングデーモン

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻2000/守1500

自分フィールド上に「デーモン」という名のついたモンスターカードが存在しなければこのカードは召喚・反転召喚できない。このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に800ライフポイントを払う。このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、その処理を行う時にサイコロを1回振る。2・5が出た場合、その効果を無効にし破壊する。このカードが戦闘で破壊した効果モンスターの効果は無効化される。

 

堕落

装備魔法

自分フィールド上に「デーモン」という名のついたカードが存在しなければこのカードを破壊する。このカードを装備した相手モンスターのコントロールを得る。相手のスタンバイフェイズ毎に、自分は800ポイントダメージを受ける。

 

 

調律

通常魔法

自分のデッキから「シンクロン」と名のついたチューナー1体を手札に加えてデッキをシャッフルする。その後、自分のデッキの上からカードを1枚墓地へ送る。

 

フレムベル・ウルキサス

シンクロ・効果モンスター

星6/炎属性/炎族/攻2100/守 400チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与える度に、このカードの攻撃力は300ポイントアップする。

 

ヘイト・バスター

通常罠

自分フィールド上に表側表示で存在する悪魔族モンスターが攻撃対象に選択された時に発動する事ができる。相手の攻撃モンスター1体と、攻撃対象となった自分モンスター1体を破壊し、破壊した相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 

トラップ・スタン

通常罠

このターンこのカード以外のフィールド上の罠カードの効果を無効にする。

 

デーモンの斧

装備魔法

装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースする事でこのカードをデッキの一番上に戻す。

 

パワー・フレーム

通常罠

自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターが、その攻撃力よりも高い攻撃力を持つモンスターの攻撃対象に選択された時に発動する事ができる。その攻撃を無効にし、このカードを攻撃対象モンスター1体に装備する。装備モンスターの攻撃力は、その時の攻撃モンスターと攻撃対象モンスターの攻撃力の差の数値分アップする。

 

攻撃の無力化

カウンター罠

相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。相手モンスター1体の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。

 

ジェネラルデーモン

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻2100/守 800

このカードを手札から墓地に捨てる。デッキから「万魔殿-悪魔の巣窟-」1枚を手札に加える。フィールド上に「万魔殿-悪魔の巣窟-」が存在しない場合、フィールド上のこのカードを破壊する。

 

無力の証明

通常罠

自分フィールド上にレベル7以上のモンスターが表側表示で存在する場合のみ発動する事ができる。相手フィールド上に表側表示で存在するレベル5以下のモンスターを全て破壊する。このカードを発動するターン、自分フィールド上に存在するモンスターは攻撃する事ができない。

 

シンクロキャンセル

通常魔法

フィールド上に表側表示で存在するシンクロモンスター1体をエクストラデッキに戻す。さらに、エクストラデッキに戻したこのモンスターのシンクロ召喚に使用したモンスター一組が自分の墓地に揃っていれば、この一組を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

 

ジャンク・デストロイヤー

シンクロ・効果モンスター

星8/地属性/戦士族/攻2600/守2500「ジャンク・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードがシンクロ召喚に成功した時、このカードのシンクロ素材としたチューナー以外のモンスターの数までフィールド上に存在するカードを選択して破壊する事ができる。

 

 



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六話・自信消失!? 絶望の兵士VSビークロイド

 十代side

 

 おっす、十代だ。廃寮から帰ってきた次の日の朝なんだけど、倫理委員会って奴らが来て俺と翔を、査問委員会に連行するって言ってきたんだ。それで王真の部屋にも、俺たちの時みたいに、ドアを爆破するって脅してたんだけど……。

 

「反応がないな、火薬は最小限、扉だけを破壊しろ」

 

 ドンッと火薬が炸裂して、王真の部屋の扉が、粉々に吹っ飛んでいったけど大丈夫なのか。

 

「スカー……スカー……zzz」

 

「扉を爆破しても、まだ寝ているのかこいつは……まぁ、いいつれていけ」

 

 王真が引きずられて連行される、あれで目が覚めない王真がすごいな。

 

「「退学!!」」

 

「……退学が、なんだって?」

 

 目を擦り、頭をガリガリ掻きながら、間抜けた返事をする王真。ちなみにさっきやっと目が覚めたから状況がいまいち理解できてないみたいだ。

 

 十代sideout

 

 王真side

 

 翔と十代の叫び声が聞こえて目を開けたら、周りがモニターで囲まれた部屋にいるみたいだな。

 

「本日未明、遊城十代以下三名は閉鎖され、立ち入り禁止となっている特別寮に入り込み、内部を荒らした。調べはついている」

 

 ……あぁ、査問委員会に連行されたのか。よく起きなかったな俺。

 

「なんでも言うこと聞くから、チャンスくれよ」

 

「ならば、別のペナルティの方法を提案するーノ。それは制裁タッグデュエル」

 

「制裁タッグデュエル?」

 

「そのとおーリ、遊城十代と丸藤翔君たち二人が、タッグを組みデュエルするーノネ、デュエルに勝利すれば無罪放免ーナノネ」

 

「タッグデュエルか、面白そうだな」

 

「……タッグデュエルか、面白そうはいいが、俺が余ってるんだが?」

 

「黄衣王真、あなたはパートナーを自分で探してくるのーネ。勿論アナタが負けたらパートナーも退学になるのーネ」

 

「ん。了解したクロノス教諭」

 

「校長、本人も納得したようでースが?」

 

「ならば仕方あるまい」

 

「負けたら即退学。制裁タッグデュエルの相手は、追って私から発表するーノネ!」

 

 査問委員会から解放されて、俺たち三人は、十代の部屋に集まっていた。十代はカードの確認、翔はソワソワしている。そこに隼人が戻ってきて、翔が隼人の元へ走って行く。

 

「僕なんかじゃ駄目だー絶対負けて退学だ~隼人くん、僕と変わってよ~王真君に頼んでも、首を縦に降ってくれないんだよ~」

 

「それはそうさ、お前達のタッグは、査問委員会で決まったことだし、俺は俺で、パートナーを探さなきゃならないんだ」

 

「心配すんなよ、勝ちゃいいんだろ勝ちゃ」

 

「アニキはそんな簡単に言うけど、タッグデュエルなんてやったことあるの?」

 

「王真と一回だけな。だからもう一回やりたいんじゃねぇか」

 

「そ、そんなぁねぇ王真君」

 

「さっきも言っただろ? 駄目だ。それに仮に変われたとしても、退学する可能性が倍になるだけだ」

 

「それに、本当に俺の弟分なら、弱気を出さずに頑張れるはずだぜ」

 

「……」

 

 翔が物凄く不服そうな顔でこちらを見てくる。

 

「ハッハッハ、そういう顔をするな……ふむ、良いことを思いついた翔、デュエルをしよう。俺に勝ったらペアを変わってやろう、お互いの実力を計れるし、翔のデッキの特性もわかる一石二鳥じゃあないか」

 

「やってやるッスよ!」

 

 レッド寮の崖の下にある海岸に移動し、デュエルディスクを起動する。俺の対面には翔、十代、崖の上に隼人がいる。

 

「さぁ、卑屈にならないで楽しくやろうぜ。あと十代、アドバイスは無しだぞ、わかってるな」

 

「勿論だ」

 

「「デュエル」」

 

「俺のターン、ドロー」

 

 ……うむ、なんとか行ける手札だ。

 

「機皇兵スキエル・アインを召喚、カードを二枚セットしてターンエンドだ」

 

王真 ライフ4000

手札 3

モンスター 1

魔法・罠 2

 

「僕のターン、ドロー」

 

 翔がドローした後手札を見ながら停止、そして薄ら笑いを浮かべ始めている。何か良いカードでも引いたのか。

 

「……そろそろ、ターンを進めてほしいんだが……」

 

「あっゴメン、僕はパトロイドを召喚。バトル、パトロイドで機皇兵スキエル・アインを攻撃! シグナルアタック」

 

「むっ……」

 

王真 ライフ 4000→3900

 

「よし、翔が先手をとったぜ!」

 

「機皇兵スキエル・アインのモンスター効果発動。戦闘によって破壊され墓地に送られたとき、デッキから機皇兵と名のつくモンスターを特殊召喚できる。機皇兵ワイゼル・アインを守備表示で特殊召喚!」

 

「よし! 手札からシールドクラッシュを発動、相手の守備表示モンスター一体を破壊する!」

 

「ふむ……トラップ発動、カオス・インフィニティ。フィールド上の守備表示モンスターを全て攻撃表示に変え、デッキから機皇と名のついたモンスターを一体特殊召喚する。場にいるワイゼル・アインを攻撃表示に変更し、機皇兵ワイゼル・アインを攻撃表示で特殊召喚、ただしモンスター効果は無効化されエンドフェイズに破壊される。そしてシールドクラッシュは対象を失い不発となる」

 

「そんなぁ……」

 

「時に翔、パトロイドの効果を何故使わなかった? どちらか一つを確認しておけばシールドクラッシュを無駄打ちしなくて、済んだはずだろう?」

 

「煩い! 僕よりも強いからって、お説教なんてしないでよ!」

 

「そいつはすまない。だが、いつものお前らしくないな」

 

 さっきまで憤慨していた翔が、いきなりシュンと項垂れた。

 

「ゴメン王真君、せっかく王真君がアドバイスをくれたのに……」

 

「なに気にするな、若干説教臭かったな、さぁ続けてくれ。勿論効果がわからなければ聞いてくれれば良い」

 

「うん! 僕はパトロイドのモンスター効果を発動、王真君のリバースカードを確認する」

 

「セットカードはカオス・インフィニティだ」

 

「僕はこれでターンエンド」

 

 このまま少しずつ成長してくれるだろうな。この子もどんどん強くなる、十代には及ばないものの、成長スピードは高いからな。

 

 翔がエンド宣言をした瞬間、ワイゼル・アインがバラバラになり爆発した。

 

翔 ライフ4000

手札4

モンスター1

魔法・罠なし

 

「行くぜ、俺のターンドロー。ワイゼル・アインを守備表示に変更しカオス・インフィニティを発動、ワイゼル・アインを攻撃表示に変えデッキからワイゼル・アインを攻撃表示で特殊召喚。更に闇の護封剣を発動、相手のモンスターを全て裏守備表示に変え、二回目の俺のスタンバイフェイズまで表示形式を変更できない」

 

「闇の護封剣、光の護封剣とは違うみたいだが……」

 

「どちらかといえばコンボ向きのカードだな。守りを固めるなら光の護封剣を使っているはずだからな」

 

「おや、三沢か。こんなところに来るとは珍しい、何か用事かい?」

 

「王真に話があってな。デュエルが終わったらでいい」

 

 俺に話とは、一体なんだろうか? まぁ今はデュエルに集中しよう。

 

「手札から機皇帝の賜与を発動、フィールド上に機皇と名のついたモンスターが二体のみの場合、バトルフェイズを行わない代わりにデッキからカードを二枚ドローする」

 

「でもなんで僕のパトロイドを裏守備にしたの?」

 

「こいつは相手をモンスターを含めて、機皇と名のついたモンスターが二体のみの場合に発動できる。つまり、相手の表側表示のモンスターがいるだけで、発動ができなくなるんだ」

 

「強欲な壷と効果が同じなら、強欲な壷を使えば……」

 

「言っただろう? これは俺なりのこだわりだ。さて続けるか、更に再機動を発動、手札の機皇と名のついたモンスターをデッキに戻し、墓地の機皇と名のついたカードを一枚手札に加える。機皇帝の賜与を手札に加え発動、更に二枚ドロー……ふむ機皇兵スキエル・アインを召喚、俺のフィールド上に機皇兵が増えたことにより他の機皇兵一体につき、ワイゼル・アインは100、スキエル・アインは200、攻撃力が上昇する」

 

ワイゼル・アイン1800→1900

 

スキエル・アイン1200→1400

 

「そして俺のフィールドに、機皇と名のついたモンスターが三体以上存在するとき、手札から機皇神竜アステリスクを特殊召喚」

 

「レベル10、攻撃力0。だけど王真君の事だ、特別な効果があるに違いない」

 

「そうだが、残念ながらこいつの効果はあまり使わないんだ、さらにもう一体アステリスクを特殊召喚し、レベル10のアステリスク二体をオーバーレイ。二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚。現れよ超弩級砲塔列車グスタフ・マックス」

 

「でかっ! それに攻撃力3000……」

 

「それだけじゃあないぜ、グスタフ・マックスのモンスター効果発動、一ターンに一度オーバーレイユニットを一つ使い、相手プレイヤーに2000ポイントのダメージを与える。ターゲット、ロック。ファイヤー!」

 

 グスタフ・マックスの銃口を翔に向け、巨大な弾丸が翔の足元に着弾、大量に砂ぼこりを巻き上げる。

 

翔 ライフ4000→2000

 

「ターンエンドだそしてカオス・インフィニティの効果で出したワイゼル・アインを破壊する」

 

「いきなり本気なんて、容赦ないッスね王真君」

 

 グスタフ・マックスの砲撃で尻餅をついて、やる気無さげな目でこちらを見上げる翔。そんな時に、崖の方から隼人の声が聞こえてくる。

 

「気張れー! そんなもんで落ち込んでたら、一年留年の俺なんかよりカッコ悪いぞー!」

 

「普段大声をあげないあの人が、あんなに一生懸命僕のために応援してくれてるんだ」

 

王真 ライフ3900

手札1

モンスター3

魔法・罠1

 

「その期待に答えなきゃ! 僕のターンドロー、強欲な壷を発動、デッキからカードを二枚ドロー」

 

 やる気を取り戻した翔は、勢いよくカードをドローする、引いたカード見ると驚いたような表情をした。

 

「どうした? 翔いきなり震えだして?」

 

 原作だと、ここでパワー・ボンドを引くんだったな、ここから展開が変わっていくのか見物だな。

 

「ううん、なんでもない僕は手札から融合を発動、手札のジャイロイドとスチームジャイロイドを融合しスチームジャイロイドを融合召喚、バトル! スチームジャイロイドでグスタフ・マックスに攻撃ハリケーンスモーク!」

 

「だが攻撃力はグスタフ・マックスの方が上だぜ」

 

 と、何気にフラグを立ててみる。

 

「速攻魔法リミッター解除を発動、自分フィールドの機械族の攻撃力を二倍にする!」

 

スチームジャイロイド2200→4400

 

 スチームジャイロイドが煙を巻き上げながら突進、グスタフ・マックスの砲台をへし折り、更に本体に大きな穴を開け、グスタフ・マックスはガラガラと崩れ落ちる。

 

「チィッ」

 

王真 ライフ3900→2500

 

「更に手札から融合解除を発動、スチームジャイロイドを融合デッキに戻し、スチームロイドとジャイロイドを守備表示で特殊召喚してターンエンド」

 

翔 ライフ2000

手札1

モンスター3

魔法・罠無し

 

「俺のターンドロー、……バトル機皇兵スキエル・アインでジャイロイドに攻撃!」

 

「ジャイロイドは一ターンに一度、戦闘では破壊されない!」

 

 スキエル・アインが両腕の銃を、真上からジャイロイド浴びせるが、ジャイロイドはそれを耐える。

 

「機皇兵ワイゼル・アインのモンスター効果、こいつ以外の機皇モンスターに一ターンに一度だけ貫通効果を付与できる、ダメージは受けてもらうぜ」

 

「うわぁ!」

 

翔 ライフ 2000→1600

 

「そしてワイゼル・アインでスチームロイドを攻撃! クォーク・カーブ!」

 

 ワイゼル・アインがスチームロイドを真っ二つに切り伏せる。

 

「ターンエンド」

 

王真 ライフ2500

手札2

モンスター2

魔法・罠1

 

「僕のターンドロー、リバースカード一枚セットターンエンド」

翔 ライフ1600

手札1

モンスター2

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー、このスタンバイフェイズ闇の護封剣を破壊する、強欲なカケラを発動、通常ドローをする度にこのカードに強欲カウンターを一つ乗せる、強欲カウンターが二つ以上乗ったこのカードを墓地に送り、デッキからカードを二枚ドローできる。バトル、機皇兵スキエル・アインでセットモンスターに攻撃」

 

「トラップ発動、聖なるバリアミラーフォース! 相手の攻撃表示モンスターを全て破壊する」

 

「クソッマジかよ! ターンエンド」

 

王真 ライフ2500

手札2

モンスター無し

魔法・罠無し

 

「僕のターンドロー、セット状態のパトロイドとジャイロイドを攻撃表示に変更、バトルパトロイドとジャイロイドで王真君にダイレクトアタック!」

 

「ヌオッ」

 

 普通にパトロイドとジャイロイドが体当たりしてきた、地味に痛い。ジャイロイドがプロペラで攻撃してこなかっただけでもありがたく思うか。

 

王真 ライフ2500→200

 

「ターンエンドだよ」

 

翔 ライフ1600

手札2

モンスター2

魔法・罠無し

 

「俺のターンドロー、このドローによりカケラに強欲カウンターを一つ乗せる、む……なんとかなりそうだ。悪夢再びを発動、墓地に存在する闇属性守備力0のモンスター二体を手札に加える、墓地のワイゼル・アイン二枚を手札に加える。手札のワイゼル・アイン二枚とアステリスクを墓地に送り、機皇神マシニクル∞を特殊召喚」

 

「……攻撃力4000……」

 

「これで終わりだ! バトル、機皇神マシニクル∞でジャイロイドに攻撃! ザ・キューブ・オブ・ディスペアー!」

 

「うわぁぁぁぁぁ!」

 

翔 ライフ1600→-1400

 

「はぁ……なんとか勝ったか」

 

「やっぱ僕駄目だ……タッグデュエルに勝つなんて無理だよ……」

 

「何を言ってるんだ、俺のライフを200まで削って、追い詰めたじゃあないか。それだけできれば十二分及第点だ、しかし、強欲な壷でドローした時に、おかしな顔をしていたな? 何を引いたんだ、見せてくれ」

 

 俺は翔の二枚の手札を奪い確認する、そこには、やはりと言うべきかパワー・ボンドのカードがあった。

 

「パワー・ボンド……こいつを使っていれば、あのターンで勝負がついたはずだ。どうして使わなかった?」

 

「使っちゃダメなんだ! お兄さんから封印されてるカードなんだ! やっぱり僕じゃアニキとタッグを組むなんて無理なんだよ~!」

 

「逃げるな翔! 挑戦する前から何故諦める、何故チャレンジしない? 全力を尽くさない?」

 

「僕はいつだって全力だ! 王真君にはわからないんだ!」

 

「わからねぇよ! 封印だのなんだのと、自分が弱いのを別の物のせいにしてるお前の事なんざ!」

 

「王真君もブルーの奴等と同じだ! 結局君だって、僕の事を見下してるんだ!」

 

 そう言って、翔はどこかへ走り去ってしまった。しかし俺は、翔に言われた言葉で固まっていた。

 

「なん……だと……」

 

「翔! ……なぁ王真気にすんなよ、翔だって悪気は無いんだよ」

 

 十代に声をかけられて我に帰ったが、まだショックが残ってた。

 

「十代、新しいデッキの構想が浮かんだ、新しく組んでくる。今日はこれでお開きにしよう。じゃあな……すまん三沢話は明日にしてくれないか」

 

 三沢の返事を聞きもせずに、そのまま走って寮の方に走っていく俺だった。

 

続く……

 

機皇兵スキエル・アイン

効果モンスター

星4/風属性/機械族/攻1200/守1000

このカードの攻撃力は、このカード以外のフィールド上に表側表示で存在する「機皇」と名のついたモンスターの数×200ポイントアップする。このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキから「機皇兵」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。

 

パトロイド

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1300/守1300

相手フィールド上にセットされているカードを1枚めくり、確認した後元に戻す。この効果は1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに発動する事ができる。

 

機皇兵ワイゼル・アイン

効果モンスター

星4/闇属性/機械族/攻1800/守 0

このカードの攻撃力は、このカード以外のフィールド上に表側表示で存在する「機皇」と名のついたモンスターの数×100ポイントアップする。1ターンに1度、相手フィールド上に守備表示で存在するモンスターを攻撃対象としたこのカード以外の自分の「機皇」と名のついたモンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。そのモンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

 

シールドクラッシュ

通常魔法

フィールド上に守備表示で存在するモンスター1体を選択して破壊する。

 

カオス・インフィニティ

通常罠

フィールド上に守備表示で存在するモンスターを全て表側攻撃表示にする。さらに、自分のデッキまたは墓地から「機皇」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズ時に破壊される。

 

闇の護封剣

永続魔法

このカードの発動時に相手フィールド上に存在する全てのモンスターを裏側守備表示にする。また、このカードがフィールド上に存在する限り、相手フィールド上モンスターは表示形式を変更する事ができない。2回目の自分のスタンバイフェイズ時にこのカードを破壊する。

 

機皇帝の賜与

通常魔法

フィールド上に表側表示で存在するモンスターが「機皇」と名のついたモンスター2体のみの場合に発動する事ができる。自分のデッキからカードを2枚ドローする。このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行う事ができない。

 

機皇神龍アステリスク

効果モンスター

星10/闇属性/機械族/攻 0/守 0

このカードは通常召喚できない。自分フィールド上に「機皇」と名のついたモンスターが表側表示で3体以上存在する場合に特殊召喚できる。このカードが特殊召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールド上に表側表示で存在する「機皇」と名のついたモンスターを任意の数だけ選択して墓地へ送る事ができる。このカードの攻撃力は、この効果で墓地へ送ったモンスターの元々の攻撃力を合計した数値になる。また、このカードがフィールド上に表側表示で存在し、自分または相手がシンクロモンスターの特殊召喚に成功した時、そのプレイヤーに1000ポイントダメージを与える。

 

超弩級砲塔列車グスタフ・マックス

エクシーズ・効果モンスター

ランク10/地属性/機械族/攻3000/守3000

レベル10モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。相手ライフに2000ポイントダメージを与える。

 

スチームジャイロイド

融合モンスター

星6/地属性/機械族/攻2200/守1600

「ジャイロイド」+「スチームロイド」

 

リミッター解除

速攻魔法(制限カード)

このカード発動時に、自分フィールド上に表側表示で存在する全ての機械族モンスターの攻撃力を倍にする。この効果を受けたモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。

 

融合解除

速攻魔法

フィールド上に表側表示で存在する融合モンスター1体を選択してエクストラデッキに戻す。さらに、エクストラデッキに戻したそのモンスターの融合召喚に使用した融合素材モンスター一組が自分の墓地に揃っていれば、その一組を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

 

スチームロイド

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1800/守1800

このカードは相手モンスターに攻撃する場合、ダメージステップの間攻撃力が500ポイントアップする。このカードは相手モンスターに攻撃された場合、ダメージステップの間攻撃力が500ポイントダウンする。

 

ジャイロイド

効果モンスター

星3/風属性/機械族/攻1000/守1000

このカードは1ターンに1度だけ、戦闘によっては破壊されない。(ダメージ計算は適用する)

 

強欲なカケラ

永続魔法

自分のドローフェイズ時に通常のドローをする度に、このカードに強欲カウンターを1つ置く。強欲カウンターが2つ以上乗っているこのカードを墓地へ送る事で、自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 

聖なるバリア-ミラーフォース-

通常罠(制限カード)

相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。相手フィールド上に存在する攻撃表示モンスターを全て破壊する。

 

悪夢再び

通常魔法

自分の墓地に存在する守備力0の闇属性モンスター2体を選択して手札に加える。

 

機皇神マシニクル∞

効果モンスター

星12/光属性/機械族/攻4000/守4000

このカードは通常召喚できない。手札から「機皇」と名のついたモンスター3体を墓地へ送った場合のみ特殊召喚する事ができる。1ターンに1度、相手のシンクロモンスター1体を装備カード扱いとしてこのカードに装備できる。このカードの攻撃力は、この効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。また、自分のスタンバイフェイズ時に1度だけ、このカードの効果で装備したモンスター1体を墓地へ送る事で、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。この効果を発動するターン、自分はバトルフェイズを行う事ができない。

 



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七話・払拭デュエル! サイバー流VS竜の結束!

 王真side

 

 翔の怒声から逃げてきて、いったいどのくらいの時間がたったのだろう。部屋に籠もってずっと翔に言われた事を考えていた。

 

 しかし答えは一向に見えてこない、それどころか更に真っ暗になっていく気がした。

 

「俺が……ブルーの奴等と同じ……今振り返ってみれば、確かにそうかもしれない……くっ」

 

 俺は言った。他人を見下す奴は大嫌いだと、しかし現実ではどうだ? 俺も他の人間を見下してるじゃないか……クソッ! どれだけ考えても考えがまとまらねぇ。

 

 そう思い俺はベッドから跳ね起きて、外へと出ていった。どこへ行こうかなんて一切考えてはいない、あてもなく歩いては悩み、歩いては悩みをしていたら、いつの間にかアカデミアの屋上に辿り着いていた。壁に背を預け、スッと遠い目で海を眺めてみる。正直自分でも何がしたいのかがさっぱりわからない。

 

「こんなところで何をしているの?」

 

 明日香が何故かやって来て、俺に声をかけてくる。

 

「……」

 

 俺は答えない、答える為の解答と気力が無かったからだ。

 

「私よりも、有の方が良かったかしら」

 

「……黙れ」

 

 そんなくたびれきった俺を見て、明日香はやれやれといった風に、溜め息をついて俺の真横に立ち話しかけてきた。

 

「本当にどうしたの? 翔君とのデュエルの後何があったの?」

 

「……答える必要がない、と言ったらどうする」

 

「そうね、あなたの居場所を有に連絡するわ」

 

「……遠回しに言えと脅してるだけじゃねぇか……ハァ……デュエルの後、翔と口論になった。んで翔は言った、王真君はブルーの連中と同じだってな」

 

 俺は観念して話し出した、勿論何も話さずに立ち去る事も考えたが、明日香が有に連絡するのが目に見えてわかったから選択肢から除外した。

 

「そんな事が……あなた、その自覚はあったの?」

 

「……翔に言われるまで一切無かった。恐らく無意識だったんだろうな」

 

「そう。それで最初の質問に戻るわ、ここで何をしているの?」

 

「……答えを見つけるために悩んでるんだよ……」

 

「そう、でもこんなところで一人でウジウジと、捨てられた飼い犬のような目をしてたら、見つかるものも見つからないわ」

 

 明日香はそう吐き捨てると、どこかへと行ってしまった。捨てられた飼い犬のような目か……どこかの元キンみたいな事を言っていきやがったな。

 

 そんなことを思案しているとPDAが音をたてた、発信者は十代みたいだ。

 

『翔があんな風になったのも、あいつの兄さんが関係あるのかもしれない。そいつはデュエルアカデミアのカイザーって呼ばれてるらしいんだ、だからそいつとデュエルしに行ってくる。王真も見に来いよな、きっと元気になるぜ』

 

……十代の奴場所ぐらいかけよ。だが、カイザーとデュエルするのは丁度日が沈んだあたりのはず、まだ昼間の三時過ぎだ、デュエルするのはまだ早い。だとすれば恐らくブルーの寮に、正面突破しに行くところなのだろう。

 

「……帰るか、答えはまだまだ浮かばんさ」

 

 ……む、ブルーの方が喧しいな……どうせ十代達だろう、すぐに寮に戻ってきて翔を追いかけるはずだ、そこに出会わずに、自分の部屋に戻らないとめんどくさい。

 

 さて、見つからずに帰ってこれたな、ここで翔と鉢合わせしなかったし、十代達が翔を見つけるまで寝ていようかな。本当は、このイベントには関与したくないんだけど、イベントへの招待状が来たのであれば仕方がない。しかし俺は、見てるだけでよさそうだと思いたい。……日が暮れてきたな、十代達が、翔の手紙を見た頃だろう。隣のドアがバタンと勢いよく閉めた音も聞こえた、それと同時に俺の所に隼人が走ってきた。

 

「王真! 翔を探すのを手伝って欲しいんだな!」

 

「……遠慮しておくよ、翔がそう決めたんだろう? なら彼の意思を尊重してあげないと」

 

「王真は翔の友達なんだろ! だったら見送りくらいはするんだな。行くぞ!」

 

「そうだな……せめて見送りはしてやらんとな……すまんね、隼人くん、行こう」

 

 俺は走って出ていき、手すりに足をかけて飛び降り、一階に着地して海岸に向かって走り出し、丁度十代とハネクリボーを発見した。

 

「十代、翔の居場所はわかったか?」

 

「あぁ、相棒が教えてくれたぜこっちだ」

 

 少し走ると、遠目からみても雑な作りのイカダと翔を発見する。翔がこちらに気づくと、作ってあったイカダに飛び乗る。それに合わせて、十代もイカダに向かって飛び乗ると、イカダがバラバラになる、あんな脆い作りでこの島から出る気だったのか。

 

「翔、十代。足が着くぐらい浅いぞ」

 

「あ、ホントだ……」

 

「……アニキこのままいかせておくれよ」

 

「つべこべ言うな俺は決めたんだパートナーはお前だ」

 

「でも今の僕じゃ勝てっこないよ……」

 

「……行くなら好きにするがいいさ。だがな、デュエルアカデミアからお前の住んでた所まで、どれぐらい距離があると思ってるんだ? 少なくともイカダで三日三晩漕ぎ続けたとしても、辿り着けるのは、お前が住んでた島ですらないのかもしれない、それでも行くのか? まぁ、俺は止めはしないが」

 

 翔は俯いて何も答えようとしない、俺と喧嘩したせいで、答える気が無いのかもしれない。俺はフッと溜め息をつくと後ろから声が聞こえた。

 

「不甲斐ないな、翔」

 

「あれがカイザー亮……」

 

「逃げ出すのか? ……それもいいだろう」

 

 カイザーが突き放すような言葉を聞いた翔は、また俯き、崩れたイカダの破片を集め出した。

 

「行っちまうってよ、アンタの弟」

 

「しかたないな」

 

 カイザーの態度からするに、しかたないなは、何とかしよう。という意味ではなく、どうしようもない。といった意味の方だった。

 

「だったらよ、せめて餞別でもあげてやらねえか? 俺とカイザー。アンタのデュエルで!」

 

「君とデュエル? 良いだろう上がってきたまえ遊城十代」

 

「そうこなくっちゃ、翔よく見ておけよ!」

 

 海岸から上がり倉庫の近くで十代とカイザーのデュエルが始まった、何故か明日香もいたが。原作通りパワーボンドによって召喚されたサイバーエンドに、マッドボールマンが破壊され十代の負けに終わった。

 

「楽しいデュエルだったぜ」

 

 翔も答えが出てきたようだ、これでカイザーが立ち去って行くはずだ。

 

「ちょっと待ってくれカイザー、一つ頼みを聞いてくれないか?」

 

「……なんだ?」

 

 ちょっと待て十代、凄く嫌な予感がするんだが……。

 

「王真とデュエルしてやってくれないか? まだ元気が無いみたいでさ」

 

 十ぅぅぅぅ代ぃぃぃぃ、何言っちゃってんのぉぉぉぉぉぉ!!

 

「フッ、良いだろう俺も彼にデュエルしてもらいたいと思っていたんだ」

 

「や、俺は今はデュエル出来る気分じゃ……」

 

「悩み事か? ならば尚更デュエルだ。答えが見つかるかもしれない」

 

 もうやだ……このデュエル脳ども、それで解決したら俺の悩んだ時間が無駄になるだろ。

 

「わかったよ、もう……」

 

「オシリスレッドのパンドラボックスの実力見させてもらうぞ」

 

「「デュエル」」

 

 え? あの人今何て言った? パンドラボックス? 何その厨二病全開の二つ名的な何かは、まさか、今朝三沢が言ってた話ってのはこれの事かよ。

 

「俺の先攻ドロー、リバースカード二枚セットしてターンエンドだ」

 

王真 ライフ4000

手札4

モンスター0

魔法・罠2

 

「俺のターンドロー」

 

 俺が伏せたのはくず鉄のかかし、これは一度だけ攻撃を無効にできるカード。これでなんとかこのターンは、防ぎきれるはずだ。

 

「サイバーフェニックスを召喚」

 

サイバーフェニックス攻/1200

 

 だよな。フラグを立てるからこうなるんだよチクショウ。

 

「サイバーフェニックスでダイレクトアタック」

 

「うぉっ!」

 

王真 ライフ4000→2800

 

「更にタイムカプセルを発動、デッキのカードを除外、二ターン後の俺のスタンバイフェイズにタイムカプセルを破壊し、そのカードを手札に加える。ターンエンドだ」

 

カイザー ライフ4000

手札4

モンスター1

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー、調和の宝札を発動、手札の攻撃力1000以下のドラゴン族チューナーを捨て、二枚ドローする。手札のドラグニティーアキュリスを捨て、二枚ドロー」

 

 よし、いいものを引いたぜ。

 

「ドラグニティーアキュリスを召喚、ドラグニティーアキュリスが召喚に成功した時、手札のドラグニティと名のついたモンスターを特殊召喚し、このカードを装備できる。手札のドラグニティミリトゥムを守備表示で特殊召喚し、アキュリスを装備。更にミリトゥムの効果発動、一ターンに一度フィールド上に存在する装備状態のドラグニティを特殊召喚できる、アキュリスを守備表示で特殊召喚。」

 

 槍のような角を持った赤い竜に乗り、二本の剣を持った女性の鳥人が飛び出し赤い竜から飛び降りて、別々の場所に降り立つ。

 

ドラグニティーアキュリス守/800

ドラグニティミリトゥム守/1200

 

「チューナーとチューナー以外のモンスターが一体、来るか! シンクロ召喚!」

 

「行くぜ! レベル4のドラグニティミリトゥムに、レベル2のドラグニティーアキュリスをチューニング! 速き六つの星が瞬く時、白銀の竜鱗よ旋風を纏いて刺し貫け! シンクロ召喚。加勢せよドラグニティナイトゲイボルグ」

 

 巨大な胴体と翼と腕を持ち、白い鱗を煌めかせた騎龍兵がフィールドに降りたった。

 

ドラグニティナイトゲイボルグ攻/2000

 

「バトル、ゲイボルグでサイバーフェニックスに攻撃! スパイラルジャベリン!」

 

 ゲイボルグがサイバーフェニックスに真正面から風を纏って突き刺さりサイバーフェニックスを粉砕した。

 

カイザー ライフ4000→ 3200

 

「ターンエンドだ」

 

王真 ライフ2800

手札3

モンスター1

魔法・罠2

 

「なるほど、だが攻撃力はあまり高くないようだな。俺のターンドロー、サイバードラゴンを攻撃表示で召喚。バトル、サイバードラゴンでドラグニティナイトゲイボルグを攻撃、エヴォリューションバースト」

 

サイバードラゴン攻/2100

 

「トラップ発動、くず鉄のかかし、相手モンスター一体の攻撃を無効にし、このカードを再セットする」

 

 ゲイボルグの目の前にガラクタを組み合わせて作られているかかしが、サイバードラゴンのビームを受け止めて、そのままカードへと戻って行く。

 

「つまり、一ターンに一度攻撃を無効にされるわけか厄介なカードだ」

 

「でも、なんでさっきのサイバーフェニックスの時に使わなかったのかな?」

 

「サイバーフェニックスには機械族一体を対象にする、魔法・罠を無効にする効果を持っているの。くず鉄のかかしは、恐らくモンスター一体を対象にする効果だから使わなかったのよ」

 

「なるほどそうだったんスね」

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

カイザー ライフ3200

手札5

モンスター1

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー、リバースカードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

王真 ライフ2800

手札3

モンスター1

魔法・罠3

 

「俺のターンドロー、このスタンバイフェイズにタイムカプセルを破壊しこのカードによって除外されているカードを手札に加える。強欲な壷を発動、デッキからカードを二枚ドロー。更にサイクロンを発動、真ん中のリバースカード、くず鉄のかかしを破壊」

 

 カイザーのフィールドから突然竜巻が現れ、くず鉄のかかしが巻き込まれ破壊されてしまった。

 

「君のシンクロ召喚に敬意を表して最大の力を出そう。パワーボンドを発動、フィールドのサイバードラゴンと手札にある二枚のサイバードラゴンを融合、現れろ! サイバーエンドドラゴン! パワーボンドによって融合召喚されたモンスターの攻撃力は倍になる」

 

サイバーエンド攻/4000→8000

 

「攻撃力8000か……でっけぇなぁ……」

 

「バトル、サイバーエンドドラゴンでドラグニティナイトゲイボルグに攻撃! エターナルエヴォリューションバーストォ!!」

 

「リバースカードオープン、エネミーコントローラー相手モンスター一体の表示形式を変更する、サイバーエンドを守備表示に変更!」

 

 三つの口にエネルギーを溜めていたサイバーエンドだが、エネミーコントローラーが胴体と接続され、徐々に口が閉じ最後には三つの首を丸めて防御体制を取る。

 

サイバーエンド守/2800

 

「ならば速攻魔法融合解除、サイバーエンドが存在しなくなったことにより、パワーボンドのリスクは受けない」

 

 クソッ! まさかのアニメ裁定かよ、そいつは予想外すぎんだろ!

 

 サイバーエンドが光に包まれて、三体のサイバードラゴンに分離した。

 

「まだバトルフェイズは終了していない。サイバードラゴンでドラグニティナイトゲイボルグに攻撃! エヴォリューションバースト!」

 

 その宣言を聞いた瞬間に俺はとても嬉しくなった、効果を知らないとはいえニヤリとしたくなるな。

 

「カイザーそれに十代達、この際だから言っておきたいことがあるんだ」

 

「なんだ?」

 

「俺さ、人が驚く顔を見るのが大好きなんだ……ドラグニティナイトゲイボルグの効果発動、このカードが戦闘を行うダメージステップに一度だけ墓地の鳥獣族モンスターを除外してその攻撃力をゲイボルグに追加する。墓地のドラグニティミリトゥムをゲームから除外し、1700ポイントアップするドラグーンエナジー!」

 

ゲイボルグ攻/2000→3700

 

「なにっ! 攻撃力3700だと!」

 

「迎撃しろ! ゲイボルグ。ドラグーンジャベリン!」

 

 ゲイボルグの攻撃時に纏う風が更に勢いが増し、サイバードラゴンの吐き出したビームを正面から弾きながら突破して、背中に乗っている騎兵がサイバードラゴンの胴体を半分に切り裂さいた。

 

カイザー ライフ3200→1600

 

「くっ! 死者蘇生を発動、墓地のサイバードラゴンを蘇生し融合を発動、サイバードラゴン三体を融合しサイバーエンドドラゴンを召喚。リバースカードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

サイバーエンド攻/4000

 

カイザー ライフ1600

手札0

モンスター1

魔法・罠1

 

 状況は最悪。モンスターはゲイボルグのみ、攻撃を防ぐ手立ても無し、このターンでサイバーエンドを潰さないと勝ち目はほぼなしか……引けるものさえ引ければどうにか、といった感じかな。まぁ引かないことには始まらない。

 

「俺のターンドロー……手札のドラグニティブランディストック捨て、調和の宝札を発動、二枚ドロー!!」

 

 引けたね。現状欲しいカードが二枚とも……俺のドローも、まだまだ捨てたもんじゃないなこりゃ。

 

「フィールド魔法竜の渓谷を発動、こいつは手札一枚を捨て、デッキのドラゴン族を一体墓地に送るか、デッキのレベル4以下のドラグニティと名のついたモンスターを手札に加えることができるカードだ。手札一枚をコストにデッキからドラグニティドゥクスを手札に加え召喚、ドゥクスが召喚に成功したとき墓地に存在するドラグニティと名のついたレベル3以下のドラゴン族を装備できる。墓地のドラグニティファランクスを装備」

 

「そんなカードいつの間に……まさかさっきのコストか!」

 

「ご名答、だがこれだけじゃ終わらねぇぜ。ドラグニティファランクスは他のカードの効果によって装備状態であるときこのカードをフィールド上に特殊召喚できる」

 

ドラグニティドゥクス攻/2100

 

ドラグニティファランクス守/1100

 

「更に俺が攻撃力1500以下のモンスターが特殊召喚に成功したとき、手札から地獄の暴走召喚を発動! 俺はその特殊召喚したモンスターをカイザーはフィールド上に存在するモンスター一体を選択しお互いそのモンスターを手札、デッキ、墓地から同名モンスターを全て特殊召喚する」

 

「サイバーエンドは一枚しか存在しない、それに融合デッキには対応していない……」

 

「よくお分かりで、俺は残りのファランクスをデッキから攻撃表示で特殊召喚」

 

ドラグニティファランクス攻/500×2

 

「ならば俺も最大の火力で勝負だ! カイザー、テンション上がってきたぜ。レベル4のドラグニティドゥクスにレベル2のドラグニティファランクスをチューニング! 速き六つの星が瞬く時、橙色の竜鱗よ雷雲を裂きその姿を昇華せよ! シンクロ召喚! 輝けドラグニティナイトヴァジュランダ!」

 

ドラグニティナイトヴァジュランダ攻/1900

 

 ファランクスが二つの輪になりその中心にドゥクスが飛び上がり、雲の上に昇って行き光の柱がたつ。すると急に空が曇りだし、羽が四枚でオレンジ色の鱗の竜が雷雲を切り裂いて現れる。

 

「攻撃力1900……それではシンクロする前の方が良かったのではないか?」

 

「まさか、これは経由だよ。ヴァジュランダはシンクロ召喚に成功したとき、墓地のドラグニティと名のついたドラゴン族を装備できる。ファランクスを装備して特殊召喚、レベル6のヴァジュランダにレベル2のファランクスをチューニング! 閻魔の胎動、紅き化身となりて破壊をもたらせ! シンクロ召喚、吼えろ! レッドデーモンズドラゴン」

 

レッドデーモンズ攻/3000

 

「一ターンで攻撃力3000のモンスターを召喚するなんて!」

 

「まだまだぁ! レベル8のレッドデーモンズドラゴンにレベル2のファランクス二体をダブルチューニング! 紅き全ての星が煌めくとき、新たなる紅の王者よ天地開闢の恐怖を顕現せよ! シンクロ召喚! 究極の紅スカーレッドノヴァドラゴン」

 

スカーレッドノヴァ攻/3500

 

 ファランクス二体が四つの炎の輪になりレッドデーモンズを包み、レッドデーモンズは羽と体を力を溜めるように丸め、炎の輪がレッドデーモンズの周りを回り始めやがて一つの巨大な火の玉になり、その炎を中から振り払うかのようにスカーレッドノヴァドラゴンが現れた。

 

「スカーレッドノヴァの攻撃力は、墓地に存在するチューナーモンスター一枚につき500ポイントアップする。墓地にはアキュリスが二体、ブランディストックが一体、ファランクスが三体の合計六体よって3000ポイントアップ!」

 

スカーレッド攻/6500

 

「攻撃力6500……サイバーエンドを上回っただと!!」

 

「これで仕舞いだ! スカーレッドノヴァドラゴンでサイバーエンドを攻撃!  クリムゾンハート!」

 

 

 スカーレッドノヴァが羽根や腕を内側に仕舞いこみ、赤いオーラのようなものを纏いサイバーエンドに体当たりする。なんでアイツらの進化体の攻撃方法は、体当たりばっかなんだろうな。

 

「だが、一歩甘かったようだなリバースカードオープン、トラップ発動聖なるバリアミラーフォース!」

 

 サイバーエンドの周りを包み込むようにバリアが二重に張られ、そこにスカーレッドノヴァが突っ込み一枚目のバリアが割る。しかしその破片がゲイボルグとスカーレッドに突き刺さりゲイボルグは破壊されたが、スカーレッドの体当たりは止まらず二枚目のバリアにヒビを入れる。

 

「何故だ! 何故スカーレッドノヴァドラゴンが破壊されない!」

 

「スカーレッドノヴァドラゴンは相手の魔法、罠、モンスター効果では破壊されない! 突き抜けろスカーレッドノヴァ」

 

 ヒビの入ったバリアに更に力を加え、ヒビが広がり二枚目のバリアが砕け散り、スカーレッドノヴァドラゴンに降り注ぐが、スカーレッドの咆哮によって破片を塵も残さない程に粉々にする。

 

「ウォォォォォォォ!!」

 

カイザー ライフ1600→-900

 

 サイバーエンドの真ん中を貫く、その穴から色々な配線が見えていてバチバチとショートしている。そしてスカーレッドは俺の真後ろに止まり、内にしまい込んだ腕と羽根を勢いよく開き体に纏っていたオーラを弾き飛ばした、その瞬間サイバーエンドが大爆発してブザーが鳴り響いた。

 

「サンキュ、カイザー吹っ切れたむしろ吹っ切った」

 

 恐るべし、デュエル脳。俺も半分感化され始めてないか? デュエルしたら吹っ切れちゃったんだもん。まぁ答えは至極単純な事だったんだけどね。

 

「あのさ……今朝はゴメンね、ブルーの奴等と同じだなんて言っちゃって……」

 

「なに、気にするな。おかげで色々と考えさせてもらった、礼を言う。これで答えも出たしな」

 

「答え?」

 

「あぁ! 俺がブルーの奴等と同じだって? 仕方ないさ人間だもの、人を見下したくなるときだってあるさ。まぁ、開き直っただけだがな、だから俺はこれからも、このスタンスのままだぜ」

 

 気付いたらいつの間にかカイザーと明日香がいなくなっていた、俺が何だかんだ喋ってたせいだろう。

 

「さて、帰るか十代、翔、パワーボンドを使えるように、デッキの調整の相手をしてやるぞ? 新しいデッキも作ったことだしな」

 

「うん、封印を解けるようなデッキを作るよ。て言うかもう新しいデッキ作ったの!?」

 

「……でも寮の食堂は封印されてしまったんだな……」

 

「アッチャー仕方ねぇ、四人分くらいなら材料さえ余っていれば俺が作ってやるよ。そもそも台所を貸してくれるかはわからんがな」

 

「王真、料理出来るのか!?」

 

「まぁ、たしなむ程度には出来る。だがあまり期待するなよ?」

 

 その後、大徳寺先生に四人で頼み込んだら、台所と材料と調味料を快く貸してくれた。これだけまともな材料があるのに、なんであんな酷い食事になるんだ……違ったあんな酷い食事だからこそ、まともな材料が残るんだろうきっと。

 

 十代達は()()()()貪る様に食った後、ごちそうさま旨かったぜ。と言って部屋に戻っていった……自分らの食った食器を放置して……泣いてないよ、うん……ゴメン嘘、ちょっと泣きそう。

 

続く……

 

サイバー・フェニックス

効果モンスター

星4/炎属性/機械族/攻1200/守1600

このカードが自分フィールド上に表側攻撃表示で存在する限り、自分フィールド上に存在する機械族モンスター1体を対象とする魔法・罠カードの効果を無効にする。フィールド上に表側表示で存在するこのカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキからカードを1枚ドローする事ができる。

 

タイムカプセル

通常魔法

自分のデッキからカードを1枚選択し、裏側表示でゲームから除外する。発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時にこのカードを破壊し、そのカードを手札に加える。

 

調和の宝札

通常魔法

手札から攻撃力1000以下のドラゴン族チューナー1体を捨てて発動する。自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 

ドラグニティ-アキュリス

チューナー(効果モンスター)

星2/風属性/ドラゴン族/攻1000/守 800

このカードが召喚に成功した時、手札から「ドラグニティ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚し、このカードを装備カード扱いとして装備する事ができる。モンスターに装備されているこのカードが墓地へ送られた時、フィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する。

 

ドラグニティ-ミリトゥム

効果モンスター

星4/風属性/鳥獣族/攻1700/守1200

自分の魔法&罠カードゾーンに存在する「ドラグニティ」と名のついたカード1枚を選択して発動する。選択したカードを自分フィールド上に特殊召喚する。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

サイバー・ドラゴン

効果モンスター

星5/光属性/機械族/攻2100/守1600

相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

 

ドラグニティナイト-ゲイボルグ

シンクロ・効果モンスター

星6/風属性/ドラゴン族/攻2000/守1100

ドラゴン族チューナー+チューナー以外の鳥獣族モンスター1体以上

このカードが戦闘を行うダメージステップ時に1度だけ、自分の墓地に存在する鳥獣族モンスター1体をゲームから除外して発動する事ができる。このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、ゲームから除外したそのモンスターの攻撃力分アップする。

 

くず鉄のかかし

通常罠

相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。相手モンスター1体の攻撃を無効にする。発動後このカードは墓地へ送らず、そのままセットする。

 

サイクロン

速攻魔法

フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。

 

パワー・ボンド

通常魔法

手札またはフィールド上から、融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地へ送り、機械族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。このカードによって特殊召喚したモンスターは、元々の攻撃力分だけ攻撃力がアップする。発動ターンのエンドフェイズ時、このカードを発動したプレイヤーは特殊召喚したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

 

サイバー・エンド・ドラゴン

融合・効果モンスター

星10/光属性/機械族/攻4000/守2800

「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」

このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

 

エネミーコントローラー

速攻魔法

次の効果から1つを選択して発動する。

●相手フィールド上に表側表示で存在する モンスター1体を選択し、表示形式を変更する。

●自分フィールド上のモンスター1体をリリースして発動する。 相手フィールド上に表側表示で存在する モンスター1体を選択し、エンドフェイズ時までコントロールを得る。

 

ドラグニティ-ドゥクス

効果モンスター

星4/風属性/鳥獣族/攻1500/守1000

このカードの攻撃力は、自分フィールド上に表側表示で存在する「ドラグニティ」と名のついたカードの数×200ポイントアップする。このカードが召喚に成功した時、自分の墓地に存在するレベル3以下の「ドラグニティ」と名のついたドラゴン族モンスター1体を選択し、装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。

 

ドラグニティ-ファランクス

チューナー(効果モンスター)

星2/風属性/ドラゴン族/攻 500/守1100

このカードがカードの効果によって装備カード扱いとして装備されている場合に発動する事ができる。装備されているこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

地獄の暴走召喚

速攻魔法

相手フィールド上に表側表示でモンスターが存在し、自分フィールド上に攻撃力1500以下のモンスター1体が特殊召喚に成功した時に発動する事ができる。その特殊召喚したモンスターと同名モンスターを自分の手札・デッキ・墓地から全て攻撃表示で特殊召喚する。相手は相手自身のフィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、そのモンスターと同名モンスターを相手自身の手札・デッキ・墓地から全て特殊召喚する。

 

ドラグニティナイト-ヴァジュランダ

シンクロ・効果モンスター

星6/風属性/ドラゴン族/攻1900/守1200

ドラゴン族チューナー+チューナー以外の鳥獣族モンスター1体以上

このカードがシンクロ召喚に成功した時、自分の墓地に存在するレベル3以下の「ドラグニティ」と名のついたドラゴン族モンスター1体を選択し、装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。1ターンに1度、このカードに装備された装備カード1枚を墓地へ送る事で、このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで倍になる。

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン

シンクロ・効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードが相手フィールド上に存在する守備表示モンスターを攻撃した場合、ダメージ計算後相手フィールド上に存在する守備表示モンスターを全て破壊する。このカードが自分のエンドフェイズ時に表側表示で存在する場合、このターン攻撃宣言をしていない自分フィールド上のこのカード以外のモンスターを全て破壊する。

 

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン

シンクロ・効果モンスター

星12/闇属性/ドラゴン族/攻3500/守3000

チューナー2体+「レッド・デーモンズ・ドラゴン」

このカードの攻撃力は自分の墓地に存在するチューナーの数×500ポイントアップする。このカードは相手の魔法・罠・効果モンスターの効果では破壊されない。また、相手モンスターの攻撃宣言時、このカードをゲームから除外し、相手モンスター1体の攻撃を無効にする事ができる。エンドフェイズ時、この効果で除外したこのカードを特殊召喚する。

 

 



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八話・パートナー決定! お前が俺の相棒だ!

無有side

 

 目を開くと、カーテンの隙間から差し込む光が目に入る。昨夜、中途半端にカーテンを閉めたせいですね。

 

「ん~清々しい朝ですね、こんな日はきっと、王くんの大好きな平和な一日になるでしょうそうでしょう」

 

 そんな事を独り言を言いながら私は、ブルー制服に袖を通す……つっても袖なんて無いんですけどね、なんで腕の露出が激しいんでしょうね? これで王くんが……無いでしょうね、それならとっくに私に襲いかかってきるはずですし、王くんは脇フェチではないですね。

 

 着替え終わって外に出ると興味深いどころか、今日の私の平和が崩れることを聞きました。

 

「ねぇ聞いた? オシリスレッドの三人組が、廃寮に入って査問委員会に連れていかれて、今度制裁デュエルやるらしいよ」

 

「オシリスレッドの三人組のうち二人はタッグ組むって聞いたけど、もう一人はシングルでデュエルするの?」

 

「違うみたい、この学園の中から一人選んでパートナーにするらしいわ、しかも負けたらパートナーも退学になるらしいわ」

 

「えー、それじゃあその子に、頼まれないようにしなきゃ退学したくないもの」

 

 これは不味い事どころか、大変な事を聞きましたね。これはもう行くしかないです。

 

「待っててくださいね王くん、あなたのパートナーが行きますよ~!!」

 

「ちょっと有どこに行くの!? あと廊下を走るのをやめなさい!」

 

 今一瞬、チラリと明日香ちゃんたちが見えたのはきっと気のせいでしょう。

 

無有sideout

 

王真side

 

「……コイツをこうしてコイツをこうすると……こいつもこうしないといかんくなるしな……おっ新しいのに面白いカードがあるじゃないか、コイツを混ぜて……」

 

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ

 

「なら、これを抜いてこいつを入れてっと」

 

ドンドンドン ドン ドンドンドンドンドン

 

「メインはこんな感じで、エクストラはこうするか……そういえばアニメ効果のヤツも半々であるんな、アニメ効果の方も一枚混ぜておくか……」

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 

「ウルッセェんだよ! ドンドンドンドンと、うちのドアは太○の達○じゃねぇんだよ! せっかくの直したドアが、ぶっ壊れたらどォすんだよ!」

 

 俺は、怒りに任せて思い切りドアを開いて怒鳴り散らす。こんなことやるのは奴しかいない。

 

「ど~も~タッグデュエルのパートナーどころか、人生のパートナーにしたい少女私ランキングナンバーワンの超絶美少女、万花無有ちゃんただいま参上!!」

 

 ビシィッ!! と、何かのポージングをとりながら相変わらずのどや顔、かなりイラッとした。どこかで見覚えあるポーズだな……なんだっけ? あぁそうだ、某青いロボットシリーズでどこか方向性を間違えたアニメ二期の、赤い方が変身した時のポーズだ、懐かしさとイラつきが混ざった、よくわからん感情が募るがイライラを優先した。

 

「……超絶微少女とは訳のわからん言葉だな、凄いのか凄くないのかわからん。後、ノックをしろとは言ったが、あれだけの勢いで叩けとは言っていない。貴様は加減っと言うものを知らんのか? んん?」

 

 有にアイアンクローで締め上げつつ質問する、これぐらいしてもこいつは反省しないからな。

 

「アガガガガ痛い! 今日もツッコミと言う名の説教がガチで痛い!! 新しい何かに目覚めそうですよ!」

 

 有が、俺の腕をぺちぺち叩きながら抗議をしてくるから、とりあえず離してあげよう。すると有の後ろから明日香、ももえ、ジュンコの三人がこっちを見ていた。

 

「あなた達、何してるの?」

 

「うえ~ん明日香ちゃ~ん王くんが苛めるよ~」

 

 一瞬ニヤリとしたかと思うと、すぐに明日香に抱き付いた。切り替えの早いヤツめ。

 

「女の子を苛めるなんてサイテーね」

 

「殿方の風上にも置けませんわ」

 

 ももえてジュンコが非難してきた、ドアを音ゲーばりに連打されたら誰でも怒ると思うんだがなぁ。

 

「へいへい悪ゥござんした」

 

「そんなことはどうでもよくて、あなたタッグデュエルのパートナーは決まったの?」

 

「あぁ~……忘れてた、そういやそうだったな、完全に忘れてたわ」

 

「もうすぐ制裁デュエルなのよ。なんでそう緊張感がないのよ!!」

 

「緊張してもなにも始まらんからさ、少しリラックスするのがいいんだよ。てかやけに突っかかってくるな、どうした?」

 

「別に。私が原因で退学になったら目覚めが悪いだけよ」

 

 目を細めて睨みつけ静かな声で言われた。怖いです、主に顔が。

 

「とげっちぃことで。しかしパートナーか……今から学園に行って探してみるかな。……っとその前に、すまないが下で待っててくれないか?」

 

 有が明日香から抱きつくのをやめて、こっちを向いて少し思案した後、手をポンと叩いてこちらに来る。

 

「私も手伝いますよ~」

 

 明日香達がなにやら複雑な表情をしながら、扉の前からいなくなって、階段を降りる音が聞こえる。

 

「助かる、第六期と書いてあるダンボールからPTDNと書いてあるファイルと、PCと書いてあるダンボールの中に入ってるファイルから…………を三枚ずつとってくれ。その間俺は、紙に文章サラサラ~っと」

 

「はい、王くん見つけましたよ~どうぞ」

 

「ん、さんきゅ。これでよし、さてじゃあ行くか」

 

「その事なんですが、私じゃダメなんですか? ソッコーバッサリ拒否されたんですが」

 

「や、ダメって訳じゃない。たとえ気の知れたお前でも、これ程の迷惑はかけられん。タッグパートナー無しの二対一でやる気だったからな……なんだ? 顔が近いぞ」

 

 いつの間にか有の顔が目の前にあって、ジッと俺の目を見つめている。

 

「たまには、私を頼ってくれても良いんじゃないですか? 少しは頼りなりますよ? 同じ立場同士一蓮托生、私には迷惑かけてくれてもいいんですよ? 退学になんてなりませんしさせもしません!」

 

 むふーと若干興奮した面持ちで口をω(こんな感じ)にして力説してきた。

 

「ん~頼りたいのはやぶさかでもないんだがな……いや、むしろ相手によってはお前の方がいいかもしれん。何度も言うが俺らはイレギュラーだ、本来は無いはずの第二戦がある、クロノス教諭が武藤遊戯に縁のある奴をつれてくるとは思うが、もしかしたら……」

 

「私たちと同じ、転生者を呼んでくる可能性もある……って事ですね」

 

「まぁ、あくまでお前と組むのは最終手段だ。パートナーが見つからなければやむ無しだ。さて、行くか。これ以上待たせると、明日香達が怒鳴り込んで来そうだ」

 

「はいはい~行きましょ~。パートナーが見付からないってのは無いと思いますよ、ゆきのんやゆまちゃんならきっと、ですよ」

 

「だといいがな……すまん待たせた。ちと用意するもんがあってな」

 

 仁王立ちの明日香、腕を組んで左右に立つももえ、ジュンコ、わぁちょっと待たせ過ぎたかな? スッゲ怒ってる。

 

「それでパートナーにアテはあるの? 無いなら、最悪私とタッグを組む事もあるけど?」

 

「相性的には悪くないんだが、あんたの使うドゥーブルパッセやサイバー・ブレーダーは、タッグには向いてないと思うんだ」

 

「どういう意味よそれ?」

 

 やっぱり喧嘩売られたと勘違いしてるよ、今にも手が飛んできそうだ。

 

「サイバー・ブレーダーの効果範囲は三体までだ、タッグってことは、モンスターの展開スピードはおよそ倍だ。三体なんてすぐに越えるし、ドゥーブルパッセの効果でダイレクトを与えてもライフは8000、4000とは違ってあまり決定打にはならない。そんなハイリスクローリターンじゃ、割りに合わないって俺は考えてるのさ」

 

 これで納得してくれるといいんだけどな、自分でもわりと無茶苦茶言ってる気がする。

 

「ちょっとあんた、そんな変な理屈をこねて、明日香さんのデッキを馬鹿にしてない?」

 

「してないしてない、そもそも馬鹿にすんなら根底から全否定するよ」

 

 あれ? これって弁解になってない気がする。変なスイッチ入んなきゃいいけど。

 

「そう、そこまで言うのね。なら、今からデュエルしましょうか」

 

 やっぱり変なスイッチ入ってたね、心の中でフラグたてるからだよ俺。

 

「はいはい、続きはアカデミアのデュエルフィールドでな」

 

 そう言って軽く受け流しつつ、アカデミアの方へと歩を進めた。

 

王真sideout

 

十代side

 

 校長先生に直談判し終わって、隼人が親父さんとのデュエルで勝つことを条件に、退学を取り消してくれるらしい。それでいまからデッキを組むんだけど……。

 

「ねぇアニキ、隼人くんのデッキを組むんだったら、王真君にも手伝ってもらったらどうッスか?」

 

「そうだな、ちょっと行ってくる。王真~ってあれ……誰もいないし鍵も開けっぱなしだ」

 

 王真の部屋を開けてみるが、もぬけの殻で鍵もかけてない。開けっぱなしなのは仕方ないか、査問委員会にドアを吹っ飛ばされたんだから、流石に鍵までは一日じゃ直せないよな、あれ? 机の上にカードと手紙みたいなもんがあるぞ、なになに。

 

【君がこの手紙を読んでるということは、勝手に俺の部屋に侵入したってことだな。まぁ、きっと十代だろうし勝手に入った理由も何となくわかる、この手紙の上に置いてあるカードを持っていくといい、きっと役立つはずだ】

 

 手紙の上に置いてあったカードを見ると、ラッコとコアラが混ざったようなモンスターが数枚あった。本当に役に立つのか? まぁいいや。

 

十代sideout

 

王真side

 

「さて、前回のリベンジになるのかな?」

 

「えぇ、今回は負けないわ」

 

「「デュエル」」

 

「私のターンドローサイバーチュチュを攻撃表示で召喚、リバースカードを一枚セットしてターンエンドよ」

 

サイバーチュチュ攻/1000

 

明日香 ライフ4000

手札4

モンスター1

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー、ゴブリンドバーグを召喚、ゴブリンドバーグが召喚に成功したとき、手札のレベル4以下のモンスターを特殊召喚できる。手札のH・Cダブルランスを守備表示で特殊召喚、この効果を使用したゴブリンドバーグは、守備表示になる。レベル4のゴブリンドバーグとダブルランスをオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! 現れよ大いなる剣を持つ英雄、H-Cエクスカリバー!」

 

H-Cエクスカリバー攻/2000

 

「更にエクスカリバーの効果発動、一ターンに一度オーバーレイユニットを二つ使いこのカードの元々の攻撃力を倍にする!」

 

エクスカリバー攻/2000→4000

 

「攻撃力4000ですって!!」

 

「更に、アサルトアーマーを装備! そしてこのカードを墓地に送ることで装備モンスターは二回攻撃できる! バトルエクスカリバーでサイバーチュチュに攻撃! 一刀両断必殺真剣!」

 

明日香 ライフ4000→1000

 

「あぁ!!」

 

「残念、またの御挑戦をってね。エクスカリバーでダイレクトアタック必殺真剣!」

 

明日香 ライフ1000→-3000

 

 明日香に向けてニヤリとしながら、指パッチンをしたと同時にデュエル終了のブザーが鳴り響く。

 

「また……負けた、相変わらず規格外のモンスターね。レベル4モンスター二体で、攻撃力4000が出てくるんだから」

 

「や、今のは偶然揃ってただけだって、それにあいつは戦士族でレベル4二体だ。それにこいつを規格外なんて言ってたら、あの白い悪魔(トリシュ)赤い権力(ゴヨウ)なんてただのチートだぞ」

 

「トリシュ? ゴヨウ? 何それ」

 

 明日香がキョトンとしながら、こっちみていた。

 

「や、後半は独り言だ聞き流してくれ」

 

「あら……こんなところにいたのね」

 

 声をした方へ視線を向けると雪乃、宮田さん、委員長が並んでこちらに歩いてきた、雪乃と委員長って仲悪いんじゃなかったかな?

 

「おや、雪乃達どうした?」

 

「どうした? じゃないわ。制裁タッグデュエルの話を聞いたわよ、あなたの事だから忘れてると思って」

 

「よくお分かりで、現に決めかねているんだよ」

 

「良いことを思い付きました王くん、私とデュエルです! フフフ、負けた方は勝った方の言うことを一つ聞くこれでどうです!!」

 

 ビシィッ!! と、またあの某青いロボットシリーズの交差融合後のポーズだ。しかも今度はご丁寧に青い方のポーズをしながら。

 

「……嫌だ。俺にメリットがほぼ無いじゃないか」

 

「そんなことは無いですよ。王くんが勝てば私にあんなことやこんなことが……スミマセン冗談ですからその振りかぶった握り拳を開いて下ろしてください! 流石にグーパンは辛いですって!!」

 

「たまにはグーで殴られるってことを教えとかないと、自重しないからな。それともなにか? フォークとか箸とかで刺した方がいいか?」

 

「フォークは勘弁してください、邪神じゃないですがわりと痛いんですよ!」

 

「わりと痛いってお前、どっかでくらった事があんのかよ、少なくとも俺はやったことはないぞ」

 

「それは……内緒です。女の子は秘密が多い方が可愛くなるんですよ」

 

 クルッとターンして人差し指を唇に当ててウィンク一つ、何故か顔を背けたくなった。

 

「知らねぇっつの……はぁ……わかったよ。若干癪だがお前の挑発に乗ってやるよ」

 

「えへへ~さ~行きますよ~」

 

「「デュエル」」

 

「私のターンドローですよ、手札からダークグレファーを召喚、更にダークグレファーの効果発動、手札の闇属性モンスターを捨て、デッキの闇属性モンスターを墓地に送ります。手札のインフェルニティネクロマンサーを捨て、デッキのインフェルニティリベンジャーを墓地に送ります。リバースカードを二枚伏せターンエンドです」

 

ダークグレファー攻/1700

 

有 ライフ4000

手札2

モンスター1

魔法・罠2

 

「俺のターンドロー、ガチインフェルかよまったく、ネクロガードナーを召喚、自分がレベル3のモンスターを召喚に成功したとき、このカードを特殊召喚できる、影無茶ナイトを守備表示で特殊召喚。レベル3のネクロガードナーと影無茶ナイトをオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワーク構築、エクシーズ召喚! 現れよNO.30破滅のアシッドゴーレム」

 

アシッドゴーレム攻/3000

 

 黒い穴からテトラポットの様な形で現れて変形し、人の形をとったアシッドゴーレムが紫色の酸を滴らせながら雄叫びを上げる。

 

「げっ! ナンバーズなんて使って大丈夫なんですか!? しかもやたら厄介なナンバーズを」

 

「大丈夫だ体に刻印はない、ちゃんと調整済みのカードだよ。バトル、破滅のアシッドゴーレムでダークグレファーを攻撃」

 

「ムムム……痛いですね」

 

 アシッドゴーレムがダークグレファーに掴みかかり、酸で溶かしながら握り潰す。物凄いエグい握り潰すだけならまだしも、溶かしながらっていうのが非情に……。

 

有 ライフ4000→2700

 

「リバースカードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

「このエンドフェイズにトラップ発動、インフェルニティ・インフェルノ! 手札を二枚まで捨てて、捨てた枚数だけデッキのインフェルニティと名のついたモンスターを墓地に送る。手札二枚を捨ててデッキのインフェルニティ・ミラージュと、インフェルニティ・デーモンを墓地に送りますよ~」

 

王真 ライフ4000

手札3

モンスター1

魔法・罠1

 

「私のターンドロー、手札が0枚でこのカードをドローしたときこのカードを相手に見せて手札から特殊召喚できる! インフェルニティ・デーモンを攻撃表示で特殊召喚、更にインフェルニティ・デーモンが特殊召喚に成功したとき、手札が0枚の場合デッキからインフェルニティと名のついたカードを手札に加える、インフェルニティ・ミラージュを手札に加え召喚」

 

「クソッ! もう回り出しやがった」

 

「フッフ~ンいっきますよ~インフェルニティ・ミラージュの効果発動、このカードをリリースして墓地のインフェルニティ二体を特殊召喚する。リベンジャー、ネクロマンサーを守備表示で特殊召喚!」

 

「さて、ここで一番警戒すべきはそのセットカードですね……ネクロマンサーの効果発動、手札が0枚のとき墓地のインフェルニティと名のついたモンスターを一体特殊召喚できます、墓地からデーモンを攻撃表示で特殊召喚。そして効果によりインフェルニティガンを手札に加えます」

 

「デーモンのサーチ効果にチェーンしてトラップ発動、激流葬フィールド上の全てのモンスターを破壊する! ここですべて流しきっちまうしかねぇ」

 

「いいタイミングね、あれだけ展開した後なら被害も大きいわ」

 

「何のための攻撃表示のインフェルニティですか! トラップ発動、インフェルニティバリア! 手札が0枚で攻撃表示のインフェルニティモンスターが存在するとき魔法・罠・モンスター効果を無効にして破壊します!」

 

 俺と有の間からから大量の水が噴き出すが、デーモンが波動のようなものを発して水を消し去った。

 

「やっぱり伏せてやがったか!」

 

「フッフ~ン。これでもう妨げるものはなにもなし! ですよ」

 

「手札が無いのにフィールドが埋まり始めるなんて、なんなのあの展開力!?」

 

「ま~だまだ序の口ですよ~インフェルニティガンを発動し、レベル4のデーモンとレベル3のネクロマンサーにレベル1のリベンジャーをチューニング! 漆黒の帳降りし時、冥府の瞳が開かれる、舞い降りろ闇よ~シンクロしょ~かん! ワンハンドレッドアイドラゴン」

 

 リベンジャーが飛び上がり一つの闇の球体になり、その中にデーモンとネクロマンサーが取り込まる。その球体がもぞもぞと蠢き、それが収まると幾つもの目玉が開き身体中に目玉のついた竜が出てきた。

 

「相も変わらず、きっしょい満足竜だなぁ」

 

「え~カッコイイじゃないですか、超COOLですよ。ワンハンドレッドアイドラゴンの効果発動、一ターンに一度墓地に存在するレベル6以下の闇属性モンスターをゲームから除外、そのモンスター効果を得ます、ミラージュを除外して効果を得てそのままリリース、ネクロマンサーとデーモンを攻撃表示で特殊召喚。デーモンの効果によってデッキからインフェルニティバリアを手札に加えてセット、ネクロマンサーの効果でもう一度、リベンジャーを特殊召喚、デーモンとネクロマンサーにリベンジャーをチューニング! 死者と生者零にて交わりし時、永劫の檻より魔の竜が放たれるシンクロしょ~かん! インフェルニティデスドラゴン~」

 

 はぁ……もう早くもうんざりしてきた、早くこのソリティアが終わらねぇかな……まぁ、待たないと回ってこないしな……ターンが。

 

「更にガンを墓地に送って効果発動、墓地のインフェルニティモンスターを二体を特殊召喚します墓地のデーモン、ネクロマンサーを特殊召喚。デーモンの効果でデッキからインフェルニティブレイクを手札に加えセット、リベンジャーを特殊召喚しシンクロしょ~かん! ワンハンドレッドアイドラゴン。墓地のネクロマンサーを除外その効果により、デーモンを特殊召喚効果は使いませんよ。そしてレベル4のデーモン二体をオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズしょ~かん! ラヴァルバル・チェイン! チェインの効果発動、オーバーレイユニットを一つ使いデッキのモンスターをデッキトップに置きます勿論置くのはデーモンです」

 

ワンハンドレッドアイドラゴン 攻/3000

 

ラヴァルバル・チェイン 攻/1800

 

インフェルニティデスドラゴン 攻/3000

 

 あれ……これ詰んでね? や、間違いなく詰んでるだろ。

 

「インフェルニティデスドラゴンの効果発動、一ターンに一度手札が0枚のとき、このモンスターの攻撃権を放棄することで、相手モンスター一体を破壊しその攻撃力の半分のダメージを与える! 破滅のアシッドゴーレムを破壊、攻撃力の半分、1500ポイントのダメージを与える!」

 

「……うん」

 

王真 ライフ4000→2500

 

 デスドラゴンがアシッドゴーレムを狙いをつけると、青白いブレスを吐きアシッドゴーレムを破壊する。そしてその勢い余ったブレスが俺に直撃する、痛い。前から思ってるけど、デュエルディスクの衝撃体感システムって思ったより痛いぜ、大袈裟だと思うがわりとガチで。

 

「バトル、ワンハンドレッドアイドラゴンでダイレクトアタック、インフィニティ・サイト・ストリーム!」

 

「墓地のネクロガードナーを除外して攻撃を無効にする」

 

「ならば~チェインでダイレクトアタック」

 

「……うん」

 

王真 ライフ2500→700

 

「ターンエンドですよ~」

 

有 ライフ2700

手札0

モンスター3

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー、モンスターをセットターンエンドよ」

 

王真 ライフ700

手札3

モンスター1

魔法・罠無し

 

「私のターンドロー、デーモンを攻撃表示で特殊召喚、効果を使わずトラップ発動、インフェルニティブレイク。墓地のインフェルニティを一体除外し、相手フィールド上のカード一枚を破壊する、デーモンを除外してセットモンスターを破壊。バトル、デーモンでダイレクトアタック! ヘ~ルプレッシャー」

 

王真 ライフ700→-1100

 

「あぁ……負けた、完敗だ完敗。ごっそり削がれた、約束だ何でも言え、一つなら言うこと聞いてやる」

 

「いいんですか? それでは……」

 

 もういい、こいつが何をいっても俺は驚かん、それなりに覚悟もした。

 

「私をタッグデュエルのパートナーにしてください」

 

「……それでいいのか、てっきり……私の初めてを貰ってください今すぐに! とか言ってくるんじゃないかと思ってたんだが」

 

「む~そんなこと言いませんよ~痴女じゃあないんですから。それに、初めてはこんな賭けの対象ではなく、好きな人と想いが一つになったときと、私は決めてるんです」

 

「はいはい、さいですか。思いの外、あっさり決まったもんだな。つかいつまで呆けてるんだお前ら」

 

 インフェルの一方的な数の暴力を受け慣れてる俺と違って、他の連中はアレを見て呆然としていた。

 

「……なんなの今の、一瞬であれだけ……まるで地獄のようだわ」

 

「インフェルニティだからな、語源は無限のインフィニティと、地獄のインフェルノを混ぜた造語らしい。手札の無い状態を地獄と称しているらしいが……寧ろ使われた相手の方が地獄だよ」

 

 そしてほぼ毎日相手をさせられてた、俺の身にもなってほしかったよ。このワンサイドゲームはいつ相手をしてもやる気を削がれる、まぁこういうデッキだからと割り切るしか無いんだがね。

 

「そう言えば、お前ら何しに来たんだ?」

 

「あ……えっとですね、王真さんが、まだパートナーを決めかねているんじゃないかなって気がしたので様子を見に来たんですっ!」

 

「それでもし決まってなかったら、私達から選んでもらおうとしてたの。でも……」

 

「その必要は無いようですね、今しがた決まってしまったようですし」

 

 三人が残念そうに溜め息をついた、下手したら退学になるのに、何故残念そうな顔をする。

 

「仕方ないんじゃないか? こいつに勝って奪い取るって方法もあるが……」

 

「無理です……」

「無理ね……」

「無理ですね……」

 

 これまた三人同時に諦めきった返答をしてきた。挑戦ぐらいしてみろよ……と言いたいがあれじゃあやる気も失せるわな。

 

「デュエルフィールドが騒がしいと思って来てみれば、そこで何をしているオシリスレッド!」

 

「ここはブルーのデュエルフィールドだと何度言えばわかるんだ!」

 

 あの子らは、万丈目の取り巻き君達じゃないか、てことは彼もいるみたいだね。

 

「お前達少し黙っていろ。王真、色々と噂は聞いている」

 

「おや、名前を覚えてくれてなによりだよ万丈目少年、それはそれとして、噂ってなんのだ? 嫌な予感しかしないんだが」

 

「万丈目さんだ。オシリスレッドの馬鹿三人が、廃寮に入ったから制裁デュエルをするそうじゃないか、そのうちの一人は貴様だろ?」

 

「ん、肯定しよう」

 

「それに貴様はブルーでは有名だからな、あのカイザーと同じ様に二つ名を持つデュエリスト、《パンドラボックス》……ブルーの生徒に敗北という災厄をばらまくとな」

 

「成る程、最近ブルーの連中がやたら勝負を仕掛けてくるのは、これのせいか。後パンドラボックスは止めてくれ、恥ずい」

 

「フン、知ったことか。じゃあなせいぜい頑張るんだな」

 

 そう言って万丈目とその取り巻き一団は去っていった、何しに来たんだあの子は、それともあの子なりの応援だろうか……まぁどちらでもいいか。

 

「パンドラボックスなぁ、誰がこんな噂を広めやがったよ、まったく……まぁいいやもう帰るかね」

 

「そうですね、帰りましょう。私もデッキを改める必要もありますし」

 

 正門で皆と別れてレッド寮に戻る。時間帯的には隼人くん達がデッキの作り直しをしているところだろう。

 

「……で、だ。なんでお前はこっち来てんだよ、デッキの改めんだろコラ」

 

「それが……私をこっちに連れてきた神様がやたらけちでして、王くんみたいにカードをくれなかったんですよ」

 

「……よしまぁ仕方ない。やるよ、なんのデッキ作るんだ?」

 

「【クイックダンディ】です」

 

「あ? 悪い、聞こえなかった。悪いがもう何も喋らずに土下座しろ」

 

「しどい、なんでそんなこと言うんですか!」

 

「うるせぇ! クイダンには嫌な思い出しかねえんだよ! 初っぱなクェーサーとかざけんなよ、超融合が無かったら即死だったよ。ヒーロー舐めんなよチクショウ」

 

 そうだよ逆怨みだよ、あのデッキには何度煮え湯を飲まされ苦汁を舐めさせられ、サレンダーすることを強いられてきたことか……。

 

「王くん、どこかの強いられてる人みたいな顔してますよ」

 

「おっと……わかったよもう、私怨でデッキを作らせないのはあれだからな」

 

 表情を戻そう、偉い人に怒られそうだそんなこと無いとは思うが。

 

 レッド寮に帰ってきて、有のデッキの改造が終わり次第十代の部屋に行く。

 

「ノックしてもしも~し。十代、隼人くんのデッキの作りは捗ってるかい」

 

「あ、王真君お帰り何処に行ってたの? それと有さんいらっしゃい」

 

「あぁちょっと制裁デュエルの事でな、シングルだと覚え違いをしていてな、タッグパートナーの事を忘れていたんだよ」

 

「少しお邪魔しますよ翔くん。勿論パートナーは私に決まりましたよ~。それでデッキの為に王くんにカードをわけてもらったのですよ」

 

 そういう有に、いの一番に反応したのは十代だ、その次は翔と隼人だ。

 

「王真にカードをわけて貰ったのか? いいな~俺もシンクロとかエクシーズとか使ってみてぇな~」

 

「僕もっス、シンクロ召喚のセリフとか堂々とかっこよく言ってみたいな~」

 

「そうなんだなそれに、シンクロモンスターやエクシーズモンスターのデザインもよく見ておきたいんだな」

 

 理由は様々だが、やはり新しいカードにはみな目がないようだ。無論、俺も新しいパックが出たときはイラストが見たくてまるで子供のように早く欲しいとワクワクしたものだ。

 

「流石に使えないと思うぞ? 俺たちのディスクだからこそ、反応するのかもしれん。が、試したことはないから試してみるのも一興か」

 

 実験結果だけを言うとできた、ただし三回目のシンクロ召喚時に煙を吹き出し始めたが、どうもディスクに負荷がかかりすぎてオーバーヒートしたようだ、エクシーズ召喚も同様に数回行うとオーバーヒートした。

 

 どうも海馬コーポレーションのデータに入っていないカードを使うと、そのカードをスキャンしてソリッドヴィジョンで映し出す仕組みらしく、スキャンしただけであれほど精巧な立体映像を作るにはかなりの負荷がかかるようだ。

 

 神様曰く、未来のディスクはデータベースになくともシンクロ召喚時、遊星粒子の加速でモーメントが爆発的なエネルギーを生み出す事で処理時の負荷を最大限に抑え処理速度を実現できてるとかなんとか。

 

 Dパッドについては、ソリッドヴィジョンシステムをDゲイザーのAR機能に任せているため、ソリッドヴィジョンの空いた分を処理速度強化に回しているらしい。

 

 そして俺達のデュエルディスクは神様が作った特別製でシンクロ、エクシーズの処理にも耐えられるように設計されているらしい、勿論モーメントなんて入っていない。

 

「全然できなかったよ、なんで王真君達はすらすら言えるのさ」

 

「私は元から決められた台詞を、言ってるだけですからねぇ」

 

「練習していれば、わりと普通にすらすら出てくるもんさ。後はノリだな」

 

 練習は嘘だが、ノリは本当だ。友人とやってた頃は普通に台詞言いながらやってたっけ……懐かしいな……それはそれとして。

 

「隼人くん、明日のデュエルは大丈夫かい?」

 

「なんで王真が知ってるんだ? 俺は話してないんだな」

 

「風の噂だよ……風のね、でどうなんだ?」

 

「それはわからないんだな、でも出来る限りの事はするつもりなんだな」

 

「そっか、俺も応援に行くから、頑張ってな」

 

 しかし、そのデュエルは原作どおり隼人くんの負けに終わった、最初にデスコアラをちゃんと裏守備にしたはいいけど、まさか酔いどれタイガーにリバース無効効果があるなんて知らなかった。

 

 最終局面にマスター・オブ・OZとコアラッコが出たときは、勝ったと思わずガッツポーズをとったが、まさか隼人くんのお父さんが、いまだ現実でもカード化されていないハーフ・アンブレイクを使ってくるとは予想にもしなかった。

 

 けど結局、俺達に免じて隼人くんの退学は無くなり、お父さんは一人で帰っていってしまった。隼人くんが嬉しそうにしていたのは言うまでもないがね。

 

 明日に制裁デュエルを控えた俺達は、一度だけタッグデュエルした。結果? そんなものわかるだろ? GX時代のカードが現代のガチデッキに勝てると思うか? 口にもしたくない地獄絵図だったよ。

 

 いよいよ明日は制裁デュエルの日十代達の相手はおそらく迷宮兄弟だろう、しかし俺達の相手は予想だにしない相手だった、いや、予想くらいはできたかもしれない。

 

 ……続く

 

ゴブリンドバーグ

効果モンスター

星4/地属性/戦士族/攻1400/守0

このカードが召喚に成功した時、手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚できる。この効果を使用した場合、このカードは守備表示になる。

 

H・Cダブル・ランス

効果モンスター

星4/地属性/戦士族/攻1700/守900

このカードが召喚に成功した時、自分の手札・墓地から「H・C ダブル・ランス」1体を選んで表側守備表示で特殊召喚できる。このカードはシンクロ素材にできない。また、このカードをエクシーズ素材とする場合、戦士族モンスターのエクシーズ召喚にしか使用できない。

 

サイバー・チュチュ

効果モンスター

星3/地属性/戦士族/攻1000/守 800

相手フィールド上に存在する全てのモンスターの攻撃力がこのカードの攻撃力よりも高い場合、このカードは相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。

 

H‐Cエクスカリバ―

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/戦士族/攻2000/守2000

戦士族レベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を2つ取り除いて発動できる。このカードの攻撃力は、次の相手のエンドフェイズ時まで元々の攻撃力の倍になる。

 

アサルト・アーマー

装備魔法

自分フィールド上に存在するモンスターが戦士族モンスター1体のみの場合、そのモンスターに装備する事ができる。装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。装備されているこのカードを墓地へ送る事で、このターン装備モンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。

 

ダーク・グレファー

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1700/守1600

このカードは手札からレベル5以上の闇属性モンスター1体を捨てて、手札から特殊召喚する事ができる。1ターンに1度、手札から闇属性モンスター1体を捨てる事で、自分のデッキから闇属性モンスター1体を墓地へ送る。

 

インフェルニティ・ネクロマンサー

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻 0/守2000

このカードは召喚に成功した時、守備表示になる。自分の手札が0枚の場合、以下の効果を得る。1ターンに1度、自分の墓地に存在する「インフェルニティ・ネクロマンサー」以外の「インフェルニティ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。

 

インフェルニティ・リベンジャー

チューナー(効果モンスター)

星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0

このカードが墓地に存在し、自分の手札が0枚の場合、「インフェルニティ・リベンジャー」以外の自分フィールド上に存在するモンスターが相手モンスターとの戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、このカードを墓地から特殊召喚する事ができる。この効果で特殊召喚したこのカードのレベルは、相手モンスターに破壊された自分のモンスターと同じレベルになる。

 

ネクロ・ガードナー

効果モンスター(準制限カード)

星3/闇属性/戦士族/攻 600/守1300

相手ターン中に、墓地のこのカードをゲームから除外して発動できる。このターン、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。

 

影無茶ナイト

効果モンスター

星3/闇属性/戦士族/攻 0/守 0

自分がレベル3モンスターの召喚に成功した時、このカードを手札から特殊召喚できる。このカードはシンクロ素材にできない。

 

No.30 破滅のアシッド・ゴーレム

エクシーズ・効果モンスター

ランク3/水属性/岩石族/攻3000/守3000

レベル3モンスター×2

自分のスタンバイフェイズ時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除くか、自分は2000ポイントダメージを受ける。このカードのエクシーズ素材が無い場合、このカードは攻撃できない。このカードがフィールド上に存在する限り、自分はモンスターを特殊召喚できない。

 

インフェルニティ・インフェルノ

通常罠自分の手札を2枚まで捨て、捨てた枚数分だけ自分のデッキから「インフェルニティ」と名のついたカードを墓地へ送る。

 

インフェルニティ・ミラージュ

効果モンスター

星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0

このカードは墓地からの特殊召喚はできない。自分の手札が0枚の場合、このカードをリリースし、自分の墓地に存在する「インフェルニティ」と名のついたモンスター2体を選択して発動する事ができる。選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

 

インフェルニティ・デーモン

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1800/守1200

自分の手札が0枚の場合にこのカードをドローした時、このカードを相手に見せて発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。また、このカードが特殊召喚に成功した時、自分の手札が0枚の場合、デッキから「インフェルニティ」と名のついたカード1枚を手札に加える事ができる。

 

インフェルニティ・ガン

永続魔法(制限カード)

1ターンに1度、手札から「インフェルニティ」と名のついたモンスター1体を墓地へ送る事ができる。また、自分の手札が0枚の場合、フィールド上に存在するこのカードを墓地へ送る事で、自分の墓地に存在する「インフェルニティ」と名のついたモンスターを2体まで選択して自分フィールド上に特殊召喚する。

 

激流葬

通常罠(準制限カード)

モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時に発動する事ができる。フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。

 

ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン

シンクロ・効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

闇属性チューナー+チューナー以外の悪魔族モンスター1体以上

1ターンに1度、自分の墓地に存在するレベル6以下の闇属性の効果モンスター1体をゲームから除外して発動する事ができる。このカードはこのターンのエンドフェイズ時まで、この効果を発動するためにゲームから除外した効果モンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る。また、このカードが破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキから「地縛神」と名のついたモンスター1体を手札に加える。

 

インフェルニティ・デス・ドラゴン

シンクロ・効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2400

闇属性チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

1ターンに1度、自分の手札が0枚の場合に相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する事ができる。選択した相手モンスターを破壊し、破壊したモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える。この効果を発動するターンこのカードは攻撃する事ができない。

 

ラヴァルバル・チェイン

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/炎属性/海竜族/攻1800/守1000

レベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、以下の効果から1つを選択して発動する事ができる。

●自分のデッキからカードを1枚選択して墓地へ送る。

●自分のデッキからモンスター1体を選択してデッキの一番上に置く。

 

インフェルニティ・ブレイク

通常罠

自分の手札が0枚の場合に発動する事ができる。自分の墓地に存在する「インフェルニティ」と名のついたカード1枚を選択してゲームから除外し、相手フィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する。

 

 




ちょっと心が折れそうですww
 ちなみに、デュエルディスクの設定は、作者のただの妄想です。


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九話・制裁タッグデュエル前編! 気になる相手は虫と龍!?

この話から、一番最後のカードの効果説明が無くなります。
そしてちょっと悪乗りしすぎましたすみません。ちなみに王真君は人をからかったり、驚かすのが大好きです。


 王真side

 

 みなさんおはようございます、黄衣王真です。今十代達がデュエルをしています、勿論相手は迷宮兄弟。進行は上々原作通り進んでいる、しかし終盤、迷宮兄弟がダーク・ガーディアンを特殊召喚後の十代のターン。

 

 十代のフィールドにはスパークマンのみ。翔のフィールドにはドリルロイドのみ。強欲な壷を使ったあと、本来ならばここで、フュージョンゲートを使ってテンペスターを出すのだが……。

 

「俺は手札から融合を発動、フィールドのスパークマンと、手札のネクロダークマンを融合! E・HEROダークブライトマンを守備表示で召喚」

 

E・HEROダークブライトマン守/1000

 

「このカードが破壊されたとき、相手フィールド上のカードを破壊する効果がある、こいつを破壊したらアンタらの切り札が消えちまうぜ? リバースカードをセットしてターンエンドだ」

 

十代、翔 ライフ1200

十代 手札1

翔 手札1

モンスター2

魔法・罠1

 

「十代のやつ、敵にモンスター効果を教えるなんて自殺行為としか思えないぞ!」

 

「いや一概にそうとは言えない、十代はダークブライトマンを残して、翔に何かを期待しているようだ。流石に俺でも予想がつかんが」

 

 三沢の憤慨を流して説明していると、迷宮兄弟の宮の方のターンが回ってくる。

 

「私のターンドロー、くっ……ターンエンドだ」

 

迷宮兄弟 ライフ3500

宮 手札2

迷 手札1

モンスター1

魔法・罠1

 

「どうやら迷宮兄弟は、ダークブライトマンを除去するカードが引けなかったようだな。ここが正念場だぞ翔」

 

「僕のターンドロー」

 

 翔が勢いよくデッキからドローする、引けたか? 逆転のカードを。

 

「僕は強欲な壷を発動、デッキからカードを二枚ドロー! ……ッ!? アニキ!」

 

「よっしゃ速攻魔法発動、速攻召喚! このカードが発動したとき、手札のモンスターを通常召喚できるE・HEROエッジマンを召喚」

 

E・HEROエッジマン攻/2600

 

「なに!? エッジマンはレベル7、二体の生け贄が必要なはずだ!」

 

「墓地にネクロダークマンが存在するとき一度だけ、E・HEROを生け贄無しで召喚できるのさ、行けぇ翔!」

 

「うん! チューナーモンスター、A・ジェネクス・バードマンを召喚!」

 

「チューナー?」

 

「モンスターだと?」

 

 翔のフィールドに小型の機械の鳥人が現れる、その瞬間俺が驚いた。

 

「バードマンだと!? 何であいつが持って……クソッ! まさか昨日回収し忘れたか!」

 

「だが、合計レベルは7か9か10。そんなシンクロモンスターがいるのか?」

 

「いる、とっておきのエグいヤツがな。しかも素材の条件までクリアしてやがる……まさか十代のやつ、こいつを狙って……」

 

「とっておきのエグいヤツ……いったいどんなモンスターなんだ?」

 

「見ていればわかる」

 

 そして俺達は翔に目を向ける。

 

「アニキモンスターをもらうよ! レベル6のダークブライトマンにレベル3のバードマンをチューニング! 黒き巨体を震わせて、全てを略奪する裏切りの魔笛を鳴らせ! シンクロ召喚! 吹き上げろレアル・ジェネクス・クロキシアン!!」

 

クロキシアン攻/2500

 

 デュエルフィールドに、蒸気機関車をモチーフにした黒光りする巨大な機械が現れ、汽笛を鳴らし煙を吹き上げる。攻撃力を見た迷宮兄弟が、ホッとしたように声をだした。

 

「見たことの無い召喚方法だと思って見ていたが……」

 

「派手な登場だが攻撃力2500、我らのダークガーディアンに敵いはしまい」

 

「アレが王真の言っていた、とっておきのエグいヤツか、しかしあの攻撃力では」

 

「攻撃力云々じゃない、あいつの恐ろしさはその効果さ」

 

「レアルジェネクスクロキシアンの効果発動、このカードがシンクロ召喚に成功したとき、相手フィールド上の最もレベルの高いモンスターのコントロールを得る。ダークガーディアンのコントロールを得る」

 

「「何だと!?」」

 

「更に手札から、パワーボンドを発動。手札のユーフォロイドとフィールドのエッジマンを融合し、ユーフォロイド・ファイターを召喚! ユーフォロイド・ファイターの攻撃力は融合素材の攻撃力の合計になる! そしてパワーボンドの効果によりその攻撃力は倍となる!」

 

ユーフォロイド・ファイター攻/?→3800→7600

 

「「攻撃力7600だと!!」」

 

 終わりだな、あのトラップは確か一騎打ち、攻撃反応型じゃない。

 

「これで終わりだユーフォロイド・ファイターでダイレクトアタック!」

 

「「ぐあぁぁぁぁぁ!!」」

 

迷宮兄弟 ライフ3500→-4100

 

「良かった、これで彼等はこの学園に残れる」

 

「そうだなこれであいつらは、在学決定だな。さて次は俺達の出番だが……あの阿呆はどこにいった?」

 

「あなた達嬉しいの? 強力なライバルになるのに? それと有ならさっきどこかに走っていったけど……」

 

「スミマセン、ちょっと遅れました、さぁ行きましょう。私達の愛の力を見せるために!」

 

「哀の力って、俺はそんなに哀しみにくれたことは無いんだが?」

 

「漢字と意味が間違ってますよ~もう」

 

 そう言って子供のように、腕をブンブン振って抗議してくる、もちろん聞く気もない。そして十代達が帰って来たのを見計らって話しかける。

 

「お疲れ二人とも、しかし最後のシンクロ召喚には度肝を抜かれた……」

 

「ごめんね、さっきまで気が付かなかったんス。はい、コレ」

 

「ん、確かに受け取った。十代、エッジマンがいたなら、プラズマヴァイスマンを出せばよかったんじゃないか」

 

 そう言たら、十代はキョトンとしてこっちを見た後、キラキラした目で見返してした。

 

「プラズマヴァイスマン? そんなHEROいるのか!?」

 

 知らなかったのか、ヴァイスマンをしかたない。

 

「ふぅ……後でやるよ。さて俺達の出番、ちゃんと見てろよ。てめぇら」

 

 いつものニヤリ笑いで十代達に指をさす、ふと隣を見ると、背中合わせで有も同じポーズをとっていた、いやはや恥ずかしい。

 

「おう、行ってこい、ちゃんと見てるぜ」

 

「王真君ならきっと勝てるよ! 頑張って」

 

 翔と十代が同時にサムズアップしてきた、コイツらは俺らの真似をしたいのか。

 

「それでーハ、第二回戦を始めるノーネ。次の選手はオシリスレッド、黄衣王真とそのパートナーナノーネ」

 

 なんで大会みたいな紹介なんだよ。まぁいいが、物凄いざわざわしてんな。

 

 なんだあいつ、ブルーの女子を連れてるぜ。

ブルーに頼らなきゃ勝てねぇのかよ。

パンドラボックスの災厄も、これで終わったも同然だな。

レッドのクズがどう無様に負けるか見物だなハハハハ。

 

「はぁ……そんで俺達の相手はだれなんですか? クロノス教諭」

 

「あ~それ私も気になってました。誰なんですか?」

 

「よろしいあなた達の相手は、あの武藤遊戯とデュエルしたことがあり、元全日本チャンプの……」

 

「おいおい、俺達の相手はオシリスレッドの雑魚みたいだぜ? ヒョヒョヒョ、こいつは楽勝だな」

 

「なんや、わいら呼んだんやからごっつ強い奴とデュエルできると思っとったが、正直期待はずれやな」

 

 一人はよくわからん笑い方で笑う、おかっぱ頭でカブトムシが書かれた緑一色の服装をした少年? とニット帽を被った関西風の少年? が揃って堂々とリングに上がってきた。

 

「なんだ、どんなのが来るかと思ったら、元チャンプ(笑)のインセクターHA☆GAと」

 

「そのHA☆GAに負けて西日本代表止まりで、恐竜デッキの癖にドラゴンを混ぜる、ダイナソー(笑)竜崎じゃないですか」

 

「なんか俺、そこはかとなく馬鹿にされてる気がするんだが」

 

「ええやんお前は、気がするだけなんやから。わいなんダイレクトに馬鹿にされとるで」

 

 気付いたか、もう少し静かにからかってやろうと思ってたのに……まぁいい、さっさと始めるか。

 

「行くぜい、全日本チャンプ(笑)さん西日本代表(笑)さん。まぁ楽しくやろうや」

 

「「「「デュエル!!」」」」

 

 ターンの順番は竜崎→俺→HA☆GA→有の順番、ルールは十代達と同じだ。

 

「わいのターン、ドロー。俊足のギラザウルスを特殊召喚、このカードは特殊召喚扱いで召喚できるんや、ギラザウルスを生け贄に大進化薬を発動」

 

 初手にコレだけ来るのも流石としか言えんな、一応原作キャラだしね。

 

「大進化薬、自分フィールドの恐竜族モンスターを生け贄にして、レベル5の恐竜族モンスターを3ターンの間だけ生け贄無しで召喚できるカードだな」

 

「へぇ、オシリスレッドのクセによう知っとるやないか。暗黒恐獣を召喚、リバースカードを一枚セットしターンエンドや」

 

暗黒恐獣攻/2600

 

竜崎、HA☆GAライフ8000

竜崎 手札2

HA☆GA 手札5

モンスター1

魔法・罠2

 

「俺のターンドロー、相手フィールド上にのみモンスターが存在するとき、このカードは特殊召喚することができる。セイクリッド・シェアトを攻撃表示で特殊召喚」

 

セイクリッド・シェアト攻/100

 

「おいおい、たかが攻撃力100のモンスターを攻撃表示だなんて、勝負を捨てるのは構わないが、それなら抗わずにサレンダーしたらどうだい? ヒョヒョヒョ」

 

 やかましい虫野郎だ、特殊召喚なんだから、リリースにも使えるだろうにまったく。

 

「勝手に、勝負を捨てたと勘違いしてもらっては困る、こいつは俺の大切な仲間だ」

 

 つっても、いつも朱光のコストにしてばっかなんだがな……ごめんよシェアト。

 

「セイクリッド・ポルクスを召喚、ポルクスが召喚に成功したターン、通常召喚に加え、もう一度だけセイクリッドと名のついたモンスター一体を召喚する事ができる。セイクリッド・グレディを召喚、グレディが召喚に成功したとき、手札のセイクリッドと名のついた、レベル4モンスターを特殊召喚する事ができる、セイクリッド・カウストを特殊召喚!」

 

王真sideout

 

十代side

 

「セイクリッド・カウストを特殊召喚!」

 

「あのモンスター、明日香とのデュエルだと出てこなかったよな? 新しいカードかぁ……カッコイイなぁ」

 

 天井に射手座を描いた円が現れ、そこから半人半馬で短弓を引くモンスターが現れた。カッコイイなやっぱ。

 

「新しいセイクリッド……どんな効果を持ってるの……」

 

「アレが天上院を破った王真のデッキか、しかしチューナーがいない。アレではシンクロができない」

 

「いえ、あのデッキはシンクロ召喚じゃない別の召喚方法、エクシーズ召喚を使うデッキよ」

 

「エクシーズ……召喚……」

 

 三沢も王真達に目を向けたみたいだ、どんなデュエルなるのかワクワクしてきたぜ。

 

十代sideout

 

王真side

 

「更にセイクリッドの星痕を発動、カウストの効果発動、一ターンに二度まで自分フィールドのセイクリッドモンスターのレベルを、一ずつ増減させる事ができる。カウストとグレディのレベルを一ずつ上昇! さぁ行くぜ! レベル5となったグレディとカウストをオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、輝く星々よ、今集まりて神聖なる騎士となれ、エクシーズ召喚! セイクリッド・プレアデス! そしてセイクリッドと名のついたエクシーズモンスターが特殊召喚されたとき、星痕の効果によりデッキからカードを一枚ドローできる」

 

 グレディとカウストが黄色の球体になり黒い穴に吸い込まれ光が爆散し、内側が黒いマントを羽織り白と金色の鎧を着た騎士が降り立ち、その周りを黄色の球体が浮かぶ。

 

プレアデス攻/2500

 

「なんや! そのけったいなモンスターは! 見たこともあらへん、せやけどわいの暗黒恐獣には敵わへんで!」

 

「ハッハッハ、まだまだ俺のターンは終わっていない、シェアトの効果発動、一ターンに一度自分フィールド上のセイクリッドと名のついたモンスターを選択し、そのモンスターと同じレベルになる! ポルクスを選択しレベルを4に。ただしこのカードをエクシーズ素材にする場合、セイクリッドと名のついたエクシーズモンスターでなければならない、レベル4のポルクスとシェアトをオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、集いし星よ、人馬となりて聖なる力を盾にせよ、エクシーズ召喚! 顕現せよセイクリッド・オメガ!」

 

 プレアデスと同様に黒い穴に吸い込まれ光が爆散、全体が機械的な半人半馬のモンスターが現れ、胸にはセイクリッドの紋章が刻まれている。

 

「有、モンスターは任せたぞ! カードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

王真、有 ライフ8000

王真 手札1

有 手札5

モンスター2

魔法・罠2

 

「ヒョヒョヒョ俺のターンドロー、代打バッターを召喚、更に魔法カードトゲトゲ神の殺虫剤を発動、フィールド上の全ての昆虫族モンスターを破壊する! そして代打バッターがフィールドから墓地に送られたとき、手札の昆虫族モンスターを特殊召喚できる。現れよ女王様! インセクト女王を攻撃表示て特殊召喚、女王様の攻撃力はフィールドの昆虫族一体につき200ポイントアップするぜ」

 

 

 インセクト女王攻/2200→2400

 

 お決まりのアド損コンボだなアレだけやって、たかが2400止まりでリリース無しじゃ攻撃できない、お世辞にも使いやすいとは言えないカードだね、それなら鋼鉄装甲虫(メタルアーマードバグ)の方がいい気がする。

 

「俺は永続魔法虫除けバリアーを発動し、リバースカードを一枚セットしてターンエンド」

 

竜崎、HA☆GA ライフ8000

竜崎 手札1

HA☆GA 手札1

モンスター2

魔法・罠4

 

「スゴイよぉ、上級モンスターをもう二体も出すなんて、君達はなんてすごいデュエリストなんでしょう」

 有が相手をおちょくり始めた、しかしなんでここにきてⅣネタなんだよ、面白いからいいけどさ。なぜ知っているかというと、ZEXAL最新話が俺の端末に届くたびに、俺とともに見ていたからだ。

 

「あなた達はデュエルは素晴らしかった、戦略もコンビネーションも、だが! しかし! まるでぜんぜん! 私達を倒すには程遠いんですよねぇ! 私のターンドロー! 手札から調律を発動、デッキからシンクロンと名のついたチューナーモンスターを手札に加えその後デッキトップを墓地に送ります。クイック・シンクロンを手札に加え、デッキトップを墓地へ。

更にワン・フォー・ワンを発動! 手札のモンスター、アンノウン・シンクロンを捨て、デッキ又は手札からレベル1のモンスターを特殊召喚します! デッキからチューニング・サポーターを特殊召喚! 更に機械複製術発動、フィールドの攻撃力500以下の機械族モンスターを選択し、デッキから同名モンスターを二体まで特殊召喚します!」

 

「そうはさせないぜ! トラップ発動DNA改造手術! このカードは種族を一つ宣言し、フィールド上のモンスターを全て、宣言した種族に変更するのさ。またエクシーズ召喚とやらをされるとめんどうなんでね……俺は昆虫族を宣言する!」

 

「王くん! お願いします!」

 

「任された! セイクリッド・プレアデスのモンスター効果発動! 一ターンに一度、オーバーレイユニットを一つ使いフィールド上のカード一枚を手札に戻す! DNA改造手術を手札に戻せ。ライトリバース!」

 

 プレアデスがオーバーレイユニットを握り潰し、ビームの様な光を発射する。DNA改造手術はそのまま吹き飛び、ソリッドヴィジョンから消える。

 

「そして機械複製術の効果によってデッキから、チューニング・サポーターを二体特殊召喚します……フフフ、ですが笑えますねぇ、してやったり顔でトラップを発動したかと思えば邪魔をされる……悔しいでしょうねぇ」

 

「お前! さっきからなんなんだ! 俺達を馬鹿にしてるのか!?」

 

「いや~、あなた達を見ていると、からかいたくなってくるんですよ~ハハハ、お茶目さん☆」

 

 有はぺろりと舌を出して右手を握り拳にしてコツンと頭をたたく。ウゼェ、そう思ったのは俺だけでなく相手もらしいが、あえて言おう。

 

「有、いい加減にしておけ。いくら本当の事とはいえ、もう少し言い方というものがあるだろう?」

 

「そっちの奴はフォローをするのか便乗したいのかどっちなんだよ!」

 

 おぉ、我らがネタキャラHA☆GAさんがお怒りの様だ。そんなとき俺が答えるべき解答はただ一つ! 俺はニコリと笑い高々と宣言する。

 

「勿論便乗したいに決まってるだろう!! こんなに楽しそうな事になっていて、黙って見ていられるか俺もおちょくりたいぞ有!」

 

「駄目ですよ、煽りフェイズはターンプレイヤーだけの特権なんですよ。

手札のモンスターを墓地に送り、クイック・シンクロンを特殊召喚! 行っきますよ~レベル1のチューニング・サポーター三体に、レベル5のクイック・シンクロンをチューニング! 集いし闘志が怒号の魔神を呼び覚ます! 光射す道となれ! シンクロしょ~かん。(くろがね)の王ジャンク・デストロイヤー!」

 

 前にも出したことのある、四枚の刃のような羽と四本の腕を持った、某ロボット大戦にでても違和感のない、どう見ても機械族な戦士が現れ、胸の赤い宝玉が光りはじめる。

 

「チューニング・サポーターの効果にチェーンをし、ジャンク・デストロイヤーの効果発動! シンクロしょ~かんに成功したとき、シンクロ素材となったチューナー以外のモンスターの数まで相手のカードを破壊します! 暗黒恐獣、インセクト女王、虫除けバリアーを破壊タイダルエナジー!!」

 

 胸の赤い宝玉から青白い波のようなものをだし、選択したカードを押し流して破壊した。

 

「そして、チューニング・サポーターの効果はこのカードがシンクロ素材として墓地に送られたとき、デッキからカードを一枚ドローします、よって三枚ドロー。

更にシンクロキャンセルを発動、フィールド上のシンクロモンスターをデッキへ戻し、そのシンクロ素材一組を特殊召喚します。三体のチューニング・サポーターとクイック・シンクロンを特殊召喚。レベル1のチューニング・サポーター三体にレベル5のクイック・シンクロンをチューニング! 集いし希望が新たな地平へいざなう。光射す道となれ! シンクロしょ~かん。駆け抜けろロード・ウォリアー!」

 

 クイック・シンクロンが五つの輪になり、鍋を被った三体の機械がその輪を潜り光に包まれる、そして光の中から一体の灰色の鎧と、爪のような籠手にマントをつけ背中にはバイクのマフラーの様なものをつけた戦士が、砂ぼこりを上げて呼び出される……砂なんてどこにもないのに何故? ソリッドヴィジョンの故の素晴らしさってやつだな。前世のテーブルデュエルじゃ味わえない臨場感とかっこよさだ、勿論例外もあるけど。

 

ロード・ウォリアー 攻/3000

 

「そして再びチューニング・サポーターの効果によりデッキからカードを三枚ドロー……残念、ここまでですねロード・ウォリアーの効果発動! 一ターンに一度デッキからレベル2以下の戦士または機械族モンスターを特殊召喚できます。

デッキからアンノウン・シンクロンを特殊召喚、さらにロード・ウォリアーのレベルを一つ下げレベル・スティーラーを守備表示で特殊召喚!」

 

ロード・ウォリアー 星8→7

 

「レベル1アンノウン・シンクロンとレベル1レベル・スティーラーをチューニング! 集いし願いが新たな速度の地平へ誘う、光射す道となれ! 希望の力シンクロチューナー、フォーミュラ・シンクロン! フォーミュラ・シンクロンがシンクロしょ~かんに成功したとき、デッキからカードを一枚ドローできます、よって一枚ドロー。ロード・ウォリアーのレベルを一つ下げレベル・スティーラーを守備表示で特殊召喚カードを一枚セットして、ターンエンドです」

 

ロード・ウォリアー 星7→6

 

レベル・スティーラー 守/0

 

フォーミュラ・シンクロン守/1500

 

王真、有 ライフ8000

王真 手札1

有 手札6

モンスター5

魔法・罠3

 

「ぐぬぬ、あんだけやっといて手札が一枚も減っとらんやないかい……わいのターンドロー!」

 

「ではドローフェイズ、プレアデスのモンスター効果発動、オーバーレイユニットを一つ使いフィールド上のカード一枚を手札に戻す。大進化薬を手札に戻してくれライトリバース!」

 

 最後の光の球を握り潰し大進化薬を吹き飛ばす、竜崎も相当イライラしているね。そりゃ、プレアデスは鬱陶しいからな、使ってるとわりと頼もしいが。

 

「わいはディノインフィニティを召喚! 手札のキラーザウルスを捨て、ジュラシックワールドを手札に加え発動、そしてトラップ発動、生存本能。墓地の恐竜族モンスターを任意の枚数ゲームから除外し、ライフを一枚につき400ポイント回復する! 墓地の俊足のギラザウルス、暗黒恐獣、キラーザウルスを除外しライフを1200ポイント回復。そしてディノインフィニティの攻撃力は除外されている恐竜族一体につき1000ポイントとなる、よって……」

 

竜崎、HA☆GA ライフ8000→9200

 

ディノインフィニティ 攻/?→3300

 

「攻撃力3300か、少し甘く見ていたようだ」

 

「バトル! ディノインフィニティでセイクリッド・オメガを攻撃! インフィニティファング」

 

 ディノインフィニティがゆっくり、ゆっくりとセイクリッド・オメガに近付き口を開きかぶりつこうとする。

 

「トラップ発動光子化! 相手の攻撃を無効にし、俺の光属性モンスターに攻撃モンスターの攻撃力分を俺のエンドフェイズまで追加する」

 

オメガ 攻/2400→5700

 

「攻撃力5700やて! 冗談も大概にせえよ!! リバースカードを一枚セットしターンエンドや」

 

竜崎、HA☆GA ライフ9200

竜崎 手札1

HA☆GA 手札1

モンスター1

魔法・罠1

フィールド ジュラシックワールド

 

「俺のターンドロー、ふむ……セイクリッドの星痕をもう一枚発動、セイクリッド・プレアデスをエクシーズ素材とし、エクシーズチェンジ! 七つの聖なる魂よ、今ひとつに交わりて、輝く神龍となれ! エクシーズ召喚輝けセイクリッド・トレミスM(メシエ)7!」

 

『キュォォォォォォォン!!』

 

 

 プレアデスが黒い穴に沈んでいき、新たな機械の龍になって穴の中から姿を現し、機械音に似た咆哮をあげる。その瞬間、デュエルフィールドの空気がビリビリと振動した。

 

「星痕の効果により、デッキからカードを二枚ドロー。死者蘇生を発動、墓地のカウストを攻撃表示で特殊召喚!」

 

「ならば死者蘇生にチェーンをしフォーミュラ・シンクロンの効果発動! 相手ターンのメインフェイズにこのカードをシンクロ素材としてシンクロ召喚できる! レベル6となったロード・ウォリアーにレベル2のフォーミュラ・シンクロンをチューニング! 集いし願いが新たに輝く星となる、光射す道となれ。シンクロしょ~かん! 煌めけスターダスト・ドラゴン!」

 

 星屑をキラキラと散らせ舞い降りる白銀の龍、前世では、とあるパックのお陰で入手が楽になり一枚およそ400円位で取引きされる、少し哀愁を誘わせるカードではあるが、その汎用性は極めて高いし、ある意味レベル8のシンクロモンスターを出す手段が豊富なためほとんどのデッキには投入されていた……そうエクシーズが出るまでは。

 

「これで安心だな、バトル! セイクリッド・オメガでディノインフィニティに攻撃、セイクリッドライト!」

 

「そう簡単にはいかへんで! トラップ発動、聖なるバリア-ミラーフォース-!」

 

「ま~そんなことだろうと思いましたよ、スターダスト・ドラゴンの効果発動! このカードをリリ……生け贄にする事で、フィールド上のカードを破壊する効果の発動を無効にし破壊します! それにチェーンをして速攻魔法サイクロン、ジュラシックワールドを破壊」

 

 オメガは全身からまばゆい光を放って攻撃するがディノインフィニティの手前でミラーフォースに塞き止められた。しかしスターダスト・ドラゴンがリリースされ、ミラーフォースにその星屑が降り注ぎバリアが消え去り、オメガの光がディノインフィニティを破壊した。ついでにジュラシックワールドもサイクロンによって破壊された。

 

竜崎、HA☆GA ライフ9200→6800

 

「クソッ! インチキ効果もええかげんにせぇや!!」

 

「インチキ? 聞こえんなぁ。メシエ7でダイレクトアタック! セブンスシャイン!」

 

 メシエ7が身体中から光を発し始めたのを見て、光ってばっかじゃね? とか思ったけど、その光を口にも集めブレスを発射した、機械とはいえ龍なんだからやっぱりブレスだよな。

 

竜崎、HA☆GA ライフ6800→4200

 

「ではメイン2、エクシーズギフトを発動、このカードは自分フィールド上にエクシーズモンスターが二体以上存在するときに発動できる。

自分フィールド上のエクシーズモンスターのオーバーレイユニットを二つ使う事で二枚ドローする、メシエとオメガのオーバーレイユニットを一つずつ使い二枚ドローリバースカードを一枚セットしターンエンドだ」

 

「そしてこのターンのエンドフェイズ、自身の効果で生け贄にされたスターダスト・ドラゴンが復活します、再び煌めけスターダスト!」

 

 光の粒が大まかなスターダスト・ドラゴンの形を形成しそこからスターダスト・ドラゴンが復活する

 

セイクリッド・オメガ 攻/5700→2400

 

王真、有 ライフ8000

王真 手札3

有 手札6

モンスター4

魔法・罠4

 

「ぐ……俺のターンドロー、強欲な壷を発動! デッキからカードを二枚ドローする……モンスターをセットリバースカードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

「ならばエンドフェイズ時トラップ発動、エクシーズリボーン。墓地のエクシーズモンスターを特殊召喚し。このカードをオーバーレイユニットとして重ねる、セイクリッド・プレアデスを特殊召喚し星痕の効果により二枚ドローだ」

 

竜崎、HA☆GA ライフ4200

竜崎 手札1

HA☆GA 手札3

モンスター1

魔法・罠1

 

「私のターンドロー、終わりも近付いて来ましたね。ジャンク・シンクロンを召喚、ジャンク・シンクロンが召喚に成功したとき、墓地に存在するレベル2以下のモンスターを守備表示で特殊召喚します、しかし特殊召喚されたモンスターの効果は無効になりますがね。フォーミュラ・シンクロンを特殊召喚。更に墓地からモンスターを特殊召喚したときこのカードは手札から特殊召喚できる、ドッペル・ウォリアーを守備表示で特殊召喚! レベル2ドッペル・ウォリアーにレベル3ジャンク・シンクロンをチューニング! リミッター解放、レベル5! レギュレーターオープン! スラスターウォームアップ、オーケー! アップリンク、オールクリアー! GOシンクロしょ~かん! 導けTGハイパー・ライブラリアン」

 

TGハイパー・ライブラリアン攻/2400

 

「揺るが無き愛の境地! クリアマイド! レベル8シンクロモンスタースターダスト・ドラゴンにレベル2シンクロチューナーフォーミュラ・シンクロンをチューニング! 集いし夢の結晶が、新たな進化の扉を開く! 光射す道となれ! アクセルシンクロォォォォ! 閃光と共に出でよシューティング・スター・ドラゴン」

 

シューティング・スター・ドラゴン攻/3300

 

 スターダスト・ドラゴンの目の前にフォーミュラ・シンクロンが浮き、有が叫んだ瞬間スターダストとフォーミュラが消えワンクッションおいた後、緑の輪が天井に現れそこから大量の光と共にシューティング・スター・ドラゴンが出現する。つか、揺るが無きと境地の間に余計な言葉が混じってたぞ。それなのに成功するとは恐るべし愛の力。

 

「そしてライブラリアンの効果発動! シンクロ召喚に成功したときデッキからカードを一枚ドローする。シューティングスターの効果発動! デッキの上から五枚めくりチューナーモンスターの数だけ攻撃できる! 一枚目レベル・スティーラー、二枚目チューナーモンスタージャンク・シンクロン、三枚目調律、四枚目ダンディライオン、五枚目チューナーモンスターデブリドラゴンよって二回攻撃が可能となる!」

 

「「なっ……ナンダッテー!」」

 

「バトル! ハイパー・ライブラリアンでセットモンスターに攻撃!」

 

「……攻撃宣言時セイクリッド・プレアデスの効果発動、オーバーレイユニットを一つ使いセットモンスターを手札に戻してくれ」

 

 プレアデスがセットモンスターを戻すとライブラリアンがその場で止まりこちらを睨んできた……様な気がした、いいじゃないかセットモンスターに攻撃するよりダイレクトアタック決めた方がカッコいいぞ。その考えを読みとったのかニヤリとした。もしかしてこいつ精霊じゃね? 有は気付いてないみたいだが。

 

「ならばライブラリアンの攻撃対象をダイレクトアタックに変更! いっけ~ライブラリアン」

 

 有の言葉と共にライブラリアンが眼鏡からビームを発射した。つかお前さんの攻撃方法は目からビームかよ、攻撃後こちらを見てドヤ顔のライブラリアンさん……うん、お前さんは有の精霊だわ、ドヤ顔がものっそい腹立つもん。

 

竜崎、HA☆GA ライフ4200→1800

 

「これで終わりですシューティング・スター・ドラゴンでダイレクトアタック! スターダストミラージュ!」

 

 シューティング・スター・ドラゴンが二体に分身する、一体は赤い光を纏い、もう一体はオレンジ色の光を纏いHA☆GAと竜崎に一発ずつ突っ込んでいった。

 

竜崎、HA☆GA ライフ1800→-4800

 

 マイナス4800のオーバーキルにより勝負がつき終了のブザーがなった、俺はチラリと十代を見てその後、有の方を見てアイコンタクトをおくる……有もわかったようだ。そして同時に動き出す。

 

「「ガッチャ、面白かったぜ」」

 

「ホッホッホ、これで全員終わりましたねそれではこれで制裁……」

 

「まて」

 

 ……この高圧的かつ、堂々とした物言いはまさか……やばい全身から冷や汗が吹き出てきた。

 

「オーナー……何故こちらに?」

 

 やっぱり海馬だ、戦いの儀からいっさいがっさい変わっていないあのお人だ。この世界でも新聞見ないから、あれから何年たったかわからんのだよな、そもそも戦いの儀すらいつの出来事かもわからんのに。

 

「ふぅん、ここにいる黄衣王真という男に用があるどこにいる?」

 

 ……逃げよう、今ならまだ間に合う。めんどくさい事になる前に……

 

「王真ならそこにいるレッドの制服のヤツだぜ!」

 

 十ぅぅぅぅぅぅ代ぃぃぃぃぃぃ! 裏切ったのか!? 俺を売ったのか!? 貴様には平和と言う言葉をみっちり叩き込む必要があるようだなぁぁぁぁぁ!! この裏切り者ぉぉぉぉぉ!

 

「貴様か、黄衣王真とかいう馬の骨は。ふぅん、貴様には色々と聞きたいことがある。あの黒いカードはなんだ、シンクロ召喚とはなんだ、貴様は何者だ」

 

 こんなフリをされたら、あの台詞言いたくなってくるじゃないか、言ったら絶対ブチキレそうだ。だが言うぞ、俺は言うぞ!

 

「ふん、質問が多いぞ小僧」

 

「貴様、誰に対して小僧とのたまっている。それは俺に対する挑戦と受け取ろう」

 

「挑戦で結構、あんたの質問に全て答えてもいい、だが一つ賭けをしないかい? 海馬」

 

「賭けだと?」

 

 海馬は、俺に対して物凄く胡乱気な目でこちらを見てきた。

 

「そう、賭け。俺が勝ったら俺の話を全て信じてもらう、あんたのことだ、非ィ科学的だの一言で一蹴されそうだからな、負けたら一蹴してもらっても構わんよ」

 

「それでは俺にメリットが無い、受ける価値のない賭けはしない」

 

「……わかった。では俺が負けたら青眼のサポートカードとシンクロ、エクシーズを数枚差し上げましょう。これで釣り合いはとれるか?」

 

 俺が青眼と言った瞬間、肩付近がピクンと反応した多分シンクロ、エクシーズの話は聞いてないんだろうな。

 

「ふぅん、いいだろう」

 

「では、取り出したるは二つのデッキ、一つは聖騎士のデッキ、一つは希望のデッキ。さぁあなたはどちらのデッキを選択する?」

 

「ならば俺は希望のデッキを選択する、貴様の希望とやらを粉砕してくれるわ!」

 

「「デュエル!!」」

 

後編へ続く

 

 



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十話・制裁タッグデュエル後編! 希望皇VS究極竜

 みなさん大変長らくお待たせしました、たぶん待ってなんかないと思うけど。
 ちっと後半部分を書き直してたり、仕事が忙しかったり、ポケモンやったり、レミニセンスやってたり、スカイウォードやらされてたり、エターナルダークネスやってたり、バルドスカイやってたりとで遅くなりましたテヘペロ。
 この話だけちっとカードが他のより新しくなるけど大目に見てや。この話からアニメ版とアニメオリカの説明がつくようになります。


王真side

 

「「デュエル!!」」

 

 制裁タッグデュエルでHA☆GAと竜崎を下した俺達だが、そこにあの粉砕☆玉砕☆大喝采でお馴染みの海馬瀬人に色々と追求され、苦し紛れにネタと賭けを口走ったらデュエルになったでゴザル。

 

「俺の先攻か、ドローゴブリンドバーグを召喚、このカードが召喚に成功したとき手札のレベル4以下のモンスターを特殊召喚し、このカードを守備表示にする。ガガガマジシャンを守備表示で特殊召喚」

 

ゴブリンドバーグ 守/0

 

ガガガマジシャン 守/1000

 

「ふぅん、雑魚モンスターを何体並べたところで、所詮は無意味なことだ」

 

「海馬、俺のデッキには雑魚モンスターなんていない。ただステータスが低いだけで雑魚扱いをするな、何度でも言う俺のデッキのモンスター達は全て大切な仲間だ! 雑魚扱いは絶対に許さない、レベル4のゴブリンドバーグとガガガマジシャンをオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! 新たなる世代の皇よ、希望と共にその剣を振るえ! エクシーズ召喚! 現れよNO.39希望皇ホープ!」

 

雑魚なんていない、大体素材になっちゃうけど、嘘は言ってないよね?

 

『ホォォォォォプ!』

 

【NO.39希望皇ホープ・アニメ版】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/戦士族/攻2500/守2000

レベル4モンスター×2

自分または相手のモンスターの攻撃宣言時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。そのモンスターの攻撃を無効にする。

このカードはNO.と名のついたモンスター以外での戦闘では破壊されない。

 

 お馴染みの黒い穴から剣の様な物体が出現し、その物体が徐々に開かれ人の形をとる。その瞬間、俺の右手の甲に39と数字の刻印が刻まれた。なるほど……これがNO.の欲望を増幅する力か、次から次へと欲望が沸き上がってくるな、だが!

 

「リバースカードを一枚セットしてターンエンドだ!」

 

 この程度なら十二分耐えられる!

 

王真 ライフ4000

手札3

モンスター1

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー、ブラッドヴォルスを攻撃表示で召喚、更にリバースカードを三枚セットしターンエンドだ」

 

海馬 ライフ4000

手札2

モンスター1

魔法・罠3

 

 あの攻撃的な海馬が、攻撃を仕掛けてこない。何か嫌な予感がするが逆にチャンスかもしれん。

 

「俺のターンドロー!」

 

「この瞬間速攻魔法発動、収縮! フィールド上のモンスターの攻撃力を、エンドフェイズまで半分にする。俺はブラッドヴォルスを選択!」

 

ブラッドヴォルス 攻/1900→950

 

 どういうことだ? 自分のモンスターの攻撃力を半減させるなんて。収縮でホープの攻撃力を下げて、攻撃して来た時に返り討ちにするのではないか? まさか、もうすでにホープの効果が見破られたのか。

 

 攻撃力を半分にしたブラッドヴォルス、残り二枚の伏せカード……闇属性、攻撃力950そして海馬の使ったカード……あ、マズイ。

 

「そして貴様のスタンバイフェイズ、ブラッドヴォルスを生け贄にトラップ発動、死のデッキ破壊ウィルス!」

 

 やはりそれか、現禁止カード。手札のピーピングにプラスしてドローカードのピーピング、そして攻撃力1500以上のモンスターのハンデスを持つ強力なカード。俺のデッキはあまり被害を受けないがこれはマズイ、NO.の破壊耐性は戦闘のみ、効果破壊は範疇外だ。

 

「トラップ発動、皇の波動! 自分フィールドのエクシーズモンスターのオーバーレイ・ユニットを一つ使いこのターンのエンドフェイズまで、エクシーズモンスターは効果によっては破壊されない!」

 

「だが、手札の攻撃力1500以上のモンスターは破壊させてもらう。手札を見せろ」

 

死者転生

召喚僧サモンプリースト

ナイト・ショット

H・Cダブルランス

 

「H・Cダブルランスを墓地に送れ、そして三ターンの間、ドローしたカードを確認させてもらう」

 

「わかっているさ、バトル! 希望皇ホープでダイレクトアタック、希望剣一閃!」

 

「トラップ発動、攻撃の無力化相手の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する、残念だったな」

 

 本当に残念だよ、死デッキに無力化なんてよくもまぁ手札にあったもんだよ。しかしここからホープだけで戦線維持は辛いかもしれない。伏せるカードも無い。

 

「ターンエンドだ」

 

王真 ライフ4000

手札3

モンスター1

魔法・罠無し

 

「俺のターンドロー、ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-を攻撃表示で召喚、更にカードを1枚セットし命削りの宝札を発動、手札が五枚になるようカードをドローし、五ターン目のスタンバイフェイズ時に手札を全てを捨てる」

 

【命削りの宝札・アニメオリジナル】

 

手札が五枚になるようにデッキからカードをドローする。発動から五ターン目のスタンバイフェイズ時に、手札を全て捨てる。

 

 でた! 海馬さんのマジックコンボだ! しかしこれはマズイ。命削りの宝札をもう引いてくるとは、手札ゼロから一気に五枚、それにロード・オブ・ドラゴンを出したって事は、伏せカードは恐らくドラゴンを呼ぶ笛だろう。まったくチートカードめ、天よりの宝札を見習えあの残念効果を……いや見習わなくてもいいか、どうせカード化されないし。

 

「更にリバースカードオープンドラゴンを呼ぶ笛、ロード・オブ・ドラゴンがフィールド上に存在するとき、手札のドラゴンを二体まで特殊召喚する。見るがいいそして恐れ慄くがいい! 現れよ我が最強のしもべ、青眼の白龍!」

 

青眼の白龍×2 攻/3000

 

ロード・オブ・ドラゴン 攻/1200

 

「ふぅん、これで終わりとは些か早すぎるな。バトル! 消えろ雑魚モンスター! 青眼で希望皇ホープを攻撃! 滅びの爆裂疾風弾(バーストストリーム)

 

 青眼が迸るエネルギーを口へと集中し、それを一点に集めホープに発射する。それがホープに直撃し大爆発、轟音と大量の煙――ソリッドヴィジョンの――が充満する。

 

「フフフ、ハハハハハハハ、アッハハハハハハ粉砕、玉砕、大喝采! 強靭、無敵、最強!」

 

王真 ライフ4000→3500

 

 海馬社長の喧しい高笑いを聞き流しながらあの台詞を準備する、この煙が晴れた後海馬社長の言う言葉は恐らく一つ。そして煙が晴れるとホープがなおもフィールド上に健在していた。

 

「何故だ! 何故ホープが破壊されない!」

 

「NO.は、NO.と名のついたモンスター以外での戦闘で破壊されることはない!」

 

「だがダメージは受けてもらう、二体目の青眼でホープを攻撃! そしてカードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

王真 ライフ3500→3000

 

海馬 ライフ4000

手札2

モンスター3

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー、俺の引いたカードは攻撃力1100のZW(ゼアル・ウェポン)不死鳥弩弓(フェニックス・ボウ)、よって手札に加える。バトル! 希望皇ホープでロード・オブ・ドラゴンに攻撃、希望剣一閃!」

 

 ホープはロード・オブ・ドラゴンに一直線に向かい、真っ二つに切り裂きロード・オブ・ドラゴンが無抵抗に破壊される。

 

海馬 ライフ4000→2700

 

「……ターンエンドだ」

 

王真 ライフ3000

手札4

モンスター1

魔法・罠無し

 

「俺のターンドロー、強欲な壷を発動、デッキからカードを二枚ドロー。ふぅん、馬の骨とはいえ、俺のライフを削るとはやるじゃないか、馬の骨から凡骨程度にでも格上げしてやろうじゃないか。だが、その程度だ。格の違いと言うものを見せてやる! 手札から融合を発動、手札の青眼とフィールドの二体の青眼を融合し、青眼の究極竜を召喚!」

 

青眼の究極竜 攻/4500

 

 青眼の究極竜、攻撃力は融合前の合計の半分だとかよく言われるが、目の前にすると威圧感がよくわかる。これが攻撃力4000台の威圧感か……ますます潰したくなってきた。

 

「巨大化を発動、俺のライフが貴様のライフよりも低い場合攻撃力が倍に、高い場合攻撃力が半分になる。青眼の究極竜に装備その攻撃力は倍となる!」

 

青眼の究極竜 攻/4500→9000

 

 巨大化を装備した究極竜が元の大きさより更に大きくなる、威圧感も、そして大きすぎる程の存在感も巨大化していた。

 

王真sideout

 

十代side

 

「攻撃力9000だって!」

 

「もしあれを食らったら……」

 

「王真の負けね」

 

 三沢が驚きの声を出して、翔と明日香が諦めムードになり始めている。

 

「いや、まだわからないぜ。なんせ、まだ王真の目は諦めてない、それに……」

 

「これで終わりだ! 青眼の究極竜で希望皇ホープを攻撃! アルティメット・バースト!」

 

 究極竜がそれぞれの口からブレスを出し、それが一つになり巨大なビームになり、ホープに襲いかかる。

 

「王真はまだ、ホープの効果を使ってない!」

 

「希望皇ホープのモンスター効果発動!」

 

十代sideout

王真side

 

「希望皇ホープのモンスター効果発動! オーバーレイ・ユニットを一つ使い、相手または自分のモンスターの攻撃を無効にする! 希望を繋げ! ムーンバリア!!」

 

 ホープの周りに浮いていたオーバーレイ・ユニットが、ホープの胸に吸い込まれホープの左の鎧が羽のように広がり、自身をを守るように覆い青眼のビームを受け流した。

 

「グッ……小賢しい真似を……!」

 

「賢しくて何が悪い!」

 

「だが、まだ俺のバトルフェイズは終了していない! リバースカードオープン、速攻魔法融合解除! 青眼の究極竜を融合デッキへと戻しその素材となったモンスター一組を特殊召喚できる。現れよ三体の青眼の白龍! そして三体の青眼で希望皇ホープに攻撃! 滅びの爆裂疾風弾(バーストストリーム)

 

 爆裂疾風弾が三発連続でホープに撃ち込まれる、いくらホープが戦闘では破壊されないとはいえ、ホープが辛そうだ……ごめんよ後でゆっくり休んでもらうから。

 

王真 ライフ3000→1500

 

「手札からもう一度融合を発動、三体の青眼を融合し再びこの地へ舞い降りよ、青眼の究極竜! ターンエンドだ」

 

海馬 ライフ2700

手札0

モンスター1

魔法・罠無し

 

 このターンで決めなければ俺の敗けか。勝負を決めるパーツはまだまだ不十分、どこから、そしてどうやってピースをかき集めるかだ。少なくとも通常ドローを含め3枚はドローできる、引けるカードにもよるが、それでどこまでいけるか……。

 

「俺のターンドロー、チッドローしたカードは攻撃力1900のZW(ゼアル・ウェポン)一角獣皇槍(ユニコーン・キング・スピア)、死デッキの効果で破壊される」

 

「最後のドローカードも破壊され、もう打つ手無しか」

 

「まだだ、召喚僧サモンプリーストを召喚、このカードは召喚・反転召喚に成功したとき守備表示になる。そして効果発動、手札の魔法カード、ナイト・ショットを捨てデッキからレベル4のモンスターを特殊召喚できる。現れよ聖鳥クレイン!」

 

袈裟のような法衣を着た坊さん? が現れ、謎の文字がいくつの帯になって上っていき、それが魔法陣のような文様を描きそこから白い鳥が現れる。

 

「聖鳥クレインの効果発動、このカードが特殊召喚に成功したとき、デッキからカードを一枚ドローする」

 

むぅ……こいつが来たが、まだパーツが足りない。

 

「レベル4のサモンプリーストとクレインでオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚、ダイガスタ・エメラル! エメラルの効果発動、1ターンに1度オーバレイ・ユニットを一つ使い! 墓地のモンスターを3体をデッキに戻し、デッキから一枚ドローする。H・Cダブルランス、ガガガマジシャン、ゴブリンドバーグをデッキへ戻し、一枚ドロー!」

 

よし、来た来た。流石三積み、なんとかうまく引けるもんだ。

 

「墓地の光属性モンスターを一体除外することで、このカードを特殊召喚できる霊魂の護送船(ソウル・コンヴォイ)を特殊召喚! 更にフィールド上にエクシーズモンスターが存在する場合、手札から表側守備表示で特殊召喚できる。フォトン・スレイヤーを特殊召喚!」

 

 地面に穴が開き、そこから白い鳥が飛びだし、俺の後ろの方へ飛んでいくとまるで幽霊船のようにボロボロになった船がおびただしい量の怨霊を連れてフィールドに留まる。折れかかったメインマストの上に、全身真っ白の鎧と片刃の剣を持った剣士が現れ、船の横に飛び降りる。かっこいいぜ。

 

「レベル5のフォトン・スレイヤーと霊魂の護送船(ソウル・コンヴォイ)をオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、熱き闘志を身に秘めて、常闇纏いし邪悪を砕く! エクシーズ召喚! ZW(ゼアル・ウェポン)獣王獅子武装(ライオ・アームズ)! 獣王獅子武装(ライオ・アームズ)の効果発動、1ターンに1度オーバレイ・ユニットを一つ使い、デッキからZW(ゼアル・ウェポン)と名の付いたカード1枚を手札に加える。ZW(ゼアル・ウェポン)風神雲龍剣(トルネード・ブリンガー)を手札に」

 

 ボロボロの船と真っ白な剣士が黄色の光の塊になり、天井に開いた黒い穴に吸い込まれ光の粒をまき散らす。赤と金の鎧のような装飾のライオンがフィールドに立ち、自分の周りに浮いた光の玉をかみ砕き雄叫びを上げる。ビリビリと空気が震えデッキから一枚のカードが抜きだされる。

 

「死者転生を発動、手札の不死鳥弩弓を捨て一角獣皇槍を手札に加える」

 

「更に、希望皇ホープをオーバーレイユニットとし、カオスエクシーズチェンジ!」

 

 ホープは変身前の剣の様な姿に戻り、黒い穴へと沈んでいく。

 

「混沌より生まれし希望の使者、現れよCNO.39希望皇ホープレイ!」

 

 CNO.39希望皇ホープレイ 攻/2500

 

「更に手札のZW-一角獣皇槍をホープレイに装備、このカードはホープレイ専用の装備モンスター。このカードの効果によって装備した時、攻撃力を1900ポイントアップする!」

 

 ホープレイ 攻/2500→4400

 

「更にフィールドの獣王獅子武装(ライオ・アームズ)、手札の風神雲龍剣(トルネード・ブリンガー)をホープレイに装備。攻撃力を合計4300アップ!」

 

 ホープレイ 攻/4400→8700

 

「バトルCNO.39希望皇ホープレイで青眼の究極竜を攻撃! カオス・レイ・ゼアル・インパクト!」

 

 一角獣皇槍は獣の姿から巨大な槍になり、ホープレイは背中に持った剣を槍に持ち替る。風神雲龍剣は槍の刃を覆いかぶさるように変形、獣王獅子武装は赤と白の部分はホープレイの新たな鎧となり金色の部分は槍の刃を更に強化する。ホープレイは究極竜に狙いを定め、背中から伸びた腕で思い切り振りかぶり勢いよく投げつける。強大な膂力によって投げられた槍はいともたやすく究極竜の胴体を貫き、海馬の足元に着弾、ものすごい風圧が海馬をふっ飛ばし、デュエル終了のブザーが鳴り響いた。

 

海馬 ライフ2700→-1500

 

「いよっしゃなんとか勝ったぜ!」

 

「ふぅん、賭けは賭けだ。貴様には洗いざらい吐いてもらう、鮫島! 誰にも話を聞かれない場所をすぐに用意しろ!」

 

「は……はい、ではこちらに」

 

 校長は海馬を案内するように前にくる。そこはほら磯野さんに任せればいいんじゃないかな、とか思ってしまうのは何でだろう。ついでに有もつれて行こうとした時、海馬が物凄い目で睨んできたのが無視して連れてきた。目的の場所に行く前にレッド寮に行かせてもらった。勿論カードを取りに行くと言う名目で、そして校長室の隣の応接室に入り椅子に座る。一つの質問、俺が何者なのかの顛末から話そうかな。

 

「じゃ最初に俺が何者かって質問から答えようかね、転生者って言ってね、別の世界で死ぬべきじゃない所で死んで、かわりにこっちの世界に生まれ返ったって感じかな。ところで海馬はパラレルワールドって信じるかい?」

 

「平行世界か下らん。第一、貴様のいう別の世界とやらで死んだのなら、なぜ生き返る事ができる?」

 

「まぁ特殊な事例ってやつだよ、さっきも言ったでしょ? 死ぬべき所でないところで死んだからって、まぁどの世界にも神様はいるのよ。そして神様は万能じゃない、その神様の失敗で俺が天に召されちゃった。だけどもその死自体がイレギュラーな訳ですよ、どうしましょうどうしましょう、でたどり着いたのが別世界のへそれは素晴らしい第二の人生歩んで来なさいよって事さ」

 

「そんな非ィ科学的な事が信じられるか!」

 

 海馬がブチギレた様で、応接室のテーブルを思いきり叩く。ここまでは完全に想定内だ。

 

「この世界じゃそうそう珍しくもないでしょう? 変なパズルに3000年前のファラオの魂が封印されてたり、カードゲームで世界が滅びかけたり、リアル生け贄で神を呼び出したり、カードを封印した場所の上に学校建てたり、挙げ句の果てには未来が救えないから、過去を滅ぼして未来を変えるなんて言う暴挙に出たりとやりたい放題じゃないか。常識が裸足で逃げ出すどころか呆けて立ち尽くすレベルだよ、全く。これらに比べたら別の世界から生き返って来たなんて可愛いもんじゃあないか」

 

カードを封印した、の部分で海馬の眉がピクリと動いたのを見逃さない。おそらくそこで納得してくれるだろうと思いたい。

 

「チッまあいい。次の質問だ。貴様の使っていたエクシーズモンスター、そしてお前のとなりの奴が使っていたシンクロモンスター、あれはなんだ?」

 

「シンクロモンスターはこれからおよそ数十年後に開発され進化した新たな召喚方法だ、そしてエクシーズモンスターは恐らく、その数十年後の未来とは別の未来に到達し進化した新たな召喚方法」

 

「……何故その未来のカードを貴様が持っている?」

 

 海馬が話に違和感を覚えた様子で訝しげにこちらを見た。

 

「ここでさっきのパラレルワールドの話題に戻る訳だ、ここでifの話。もしデュエルモンスターズが古代エジプトの儀式からヒントを得て、作られたカードゲームではなく、とある漫画をカードゲーム化した物だった、という世界だったらどうする?」

 

「わかるように説明しろ!」

 

 海馬もかなりご立腹の様だ、仕方ない単刀直入に言うか。

 

「つまり俺達が元居た世界は、そういう世界なのさ。今いるこの世界はアニメーションの世界だってことさ」

 

「アニメーションだと?」

 

「さっき言ってたようにこの世界……じゃあ現世としようか、君達が存在している現世は俺達が生きてきた世界……じゃあこちらを前世としよう、前世で放送されていたアニメの世界なんだ。ある程度なら予言できるよ、まぁ予言できたところで回避はできないだろうけどね」

 

「……それで? 質問の答えになってないぞ」

 

「そうだね、なんで未来のカードを持ってるかだったね。前世で死んだときに神様のからのお詫びとして、前世で発売しているカードをこちらに持ち込ませてもらってるのよ、最新カードもね。これで答えになったかな?」

 

「ふぅん、説明としては不十分だがよしとしよう。次はシンクロ、エクシーズとやらについてだ」

 

「シンクロは、フィールドのチューナーモンスターとチューナー以外のモンスターを墓地に送り、その条件にあったレベルの等しいシンクロモンスターをエクストラ……融合デッキから特殊召喚する、これがシンクロ召喚の概要ですねシンクロモンスターが出てきた事によって、ステータスよりもレベルに着目するようになりましたね。

次にエクシーズ。フィールドの同じレベルのモンスターを指定枚数を重ね、素材のレベルと同じランクのエクシーズモンスターを融合デッキから特殊召喚する、ここで注意がいくつか、エクシーズモンスターにはレベルが存在せずランクで表記されます。問題としてレベルに関係する効果を一切受けず対象にもできないのと、素材として使われたカードはオーバーレイ・ユニットとしてエクシーズモンスターをサポートしますが、これはフィールド上のカードとして扱いませんので。

仮にクリッターとダンディライオンを素材としてランク3のエクシーズモンスターを出し効果を使ってクリッターを墓地へ送ってもフィールドから墓地に送られた扱いにはならないので効果が発動されません。

それとシンクロ素材、エクシーズ素材にするモンスターは必ず表表示でなければなりません。ここまでで何か質問はありますか?」

 

 シンクロとエクシーズについては有が説明してくれた。助かった、台詞の量が多いからな。少し思案顔をした後すぐに立ち上がり踵を返した。

 

「なるほど、そうか。もう行く俺は暇じゃない」

 

「ちょい待ち、これをあんたにあげるよ」

 

 俺は先ほど寮に帰って、とってきたカードを机に並べたその内容はこんな感じだ。

 

伝説の白石

インフルーエンス・ドラゴン

炎龍

蒼眼の銀竜

トライデント・ドラギオン

オリエントドラゴン

カチコチドラゴン

聖刻神龍-エネアード

竜魔神クイーンドラグーン

 

「どういつもりだ? 賭けは貴様が勝ったはずだが?」

 

「……そうだね、ただの気まぐれと見本かな。それにわざわざ急がしいなか、時間を割いてこっちに来てくれたわけだし、これくらいは渡してもバチは当たらないんじゃないかってね、とりあえずドラゴン族だけを持ってきた」

 

 海馬は無言で机に並べたカード取って応接室を出ていった。ともあれこれで一連のイベントは終了した、と思う。レッド寮に戻ると十代と翔がデュエル戦略レポートを死ぬ気で書いているのを見て、若干かわいそうに見えた。何故かは知らないが俺の分は無かったそうで。それから二日後、急に携帯が鳴り出した神様からではない現世の人からだ。

 

「王真君久しぶり、元気にしてた?」

 

「……お久し振りです、()()

 

続く……

 

 



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十一話・師匠登場! ついでに万丈目の降格デュエル

王真side

 

 あの電話の翌日、俺はいつものように不法侵入してくる雪乃や有、時々宮田さんと、委員長こと原さん達と共に、茶菓子や茶葉を持ち寄ってのお茶会の様なことをやっていた。今回の参加者は雪乃と有だけ。

 

「~~♪」

 

「あら、王真が鼻歌なんて珍しい。何か良いことでもあったの?」

 

「や、近々師匠が、デュエルアカデミアに来るらしい。久しぶりに会えるとなると嬉しくてな」

 

「へぇ~、そのシショーってどんな人なんですか?」

 

「どんな人か……俺が持つ全てのスキルを師匠から教えてもらった、と言っても過言じゃないくらいのハイスペック超人だな、とある一部分を除いて」

 

「とある?」

 

「一部分ですか?」

 

 それは……と話そうとしたら、外から邪魔……もとい十代の声が聞こえた。

 

「王真ー! なんか学園に迷子がいるらしいぞー! 面白そうだから見に行こうぜ!」

 

 ……なんか若干引っ掛かる言葉が聞こえた、もしかしたら師匠かもしれない、部屋から出て十代を探すと丁度真下くらいに居た。

 

「十代! その迷子とやらはどんなのだ!?」

 

「真っ赤な髪で噴水みたいな頭してる子供だ!」

 

「十代そいつのとこに行くなら、俺も連れていけ恐らく俺の知り合いだ……っと」

 

 普通に階段から飛び降りて十代の元の走っていく、ついでに有達が俺の部屋から出て降りてきた。

 

「どこに行くの? 迷子が何かって聞こえたけど?」

 

「たぶん師匠だ、最後にあって以来、髪型と身長が変わってないのなら……だけどな」

 

 十代と一緒に学園に向かうと、教室の近くに人だかりができていて、本当に噴水みたいな髪型をした女の子の声が聞こえる。

 

「だから私はI2社からペガサス会長の使者で鮫島校長先生に会いに来たんです、どこにいるか教えて下さい!」

 

「師匠、こんなところで何をしてんですか」

 

 女の子に話しかける。因みにI2社とはインダストリアル・イリュージョン社であるため念のため。

 

「あっ! 王真君、久しぶり。もーこの子達に何か言ってあげてよ。私がいくらペガサス会長からのお使いだって言っても信じてくれないんだよ~」

 

「あぁ……うんそれより、あれからI2社に就職したんだ、連絡してくれたら何かお祝い物を送ったのに」

 

「いえいえ、大事な教え子に連絡せずに会ったら話して驚かせる、それが私の楽しみなんですから」

 

「そう言えばそうだったね、忘れてたよハハハハ」

 

 二人して笑いあう、それにイライラしてるブルー男子が喧嘩を吹っ掛けてきた。

 

「お前ら、グルなんじゃないのか! こんな子供が――」

 

「おい、師匠がいくらチンマイからと言って――痛い! 師匠ふくらはぎ蹴らないで、爪先踏まないで謝るからさ。でも仕方無いじゃんホントにチンマ……痛い痛い痛い、グリグリすんの止めて謝るからさ」

 

 とある一部分以外は、と言ったのはこの事だ。ちんまい、とにかくちんまい。数字で表すならば大体123センチくらいだ、それ以外はほぼパーフェクトなんだけどね。

 

「とにかくこの人は正真正銘、俺の師匠だ」

 

「信じられるか! それならデュエ――」

 

「私、今日デッキ持ってきてないよお仕事の為にこっちにきたから」

 

「なら俺の不戦勝だ!」

 

 うわー態度が悪いな、本当に子供が嘘ついてるとしても、もう少し言い方ってのがないか? てか嘘か本当かをデュエルで決めるってのも、もういつもの光景だよな。

 

「王真君、デッキを貸してください。ちょっとあれをボコボコにしてきます」

 

 あぁ目がマジで据わってる、殺る気満々だよ。でもどうしよう今持ってるのはこれ(・・)だけだし……俺の事情を()()()()から問題ないけど、このデッキ作ったばかりであまり調整もしてなければバランスも……はぁ、仕方ない。

 

「どうぞ。エクストラデッキは渡しておきますから、好きに使ってください」

 

「ありがとう王真君。先に中身の確認をするから……」

 

「ならその間にデュエルフィールドに移動するぞ、ここじゃあ狭すぎる」

 

 ブルー男子はニヤニヤとしながら、デュエルフィールドに向かって行った、見せ物にでもする気だろうか? そんなことしたら恥をかくのは彼の方なのになぁ。

 

「王真君、相変わらずね。ちゃんとしたデッキ作らないと負けちゃうよ? このデッキも確かに面白いけどもう少し制圧力がないと」

 

 そんなこんなで、師匠からのありがたいガチデッキ構築のすすめを聞き流し、カードの細かい効果を教えてデュエルフィールドに向かった。師匠はフィールドに俺は観客席の十代達の元へたどり着く。

 

「あの子大丈夫なんスかね?」

 

「大丈夫だろ、王真の師匠で王真のデッキなんだろ? 面白いデュエルが見れそうだぜ」

 

「ん、師匠の本来のデッキなら、ヨユーでボッコボコなんだが……いかんせん俺の作ったばかりの試験デッキだからな、ある程度なら普通に戦えるとは思うが……始まるな」

 

 いつの間にか師匠とブルー男子――十代達に聞いたら高田と言う人物らしい――が既にデュエルディスクを構えて始めようとしていた。

 

「「デュエル!!」」

 

「私の先攻ドロー、H・Cスパルタスを攻撃表示で召喚、リバースカードを一枚セットしてターンエンドよ」

 

 H・Cスパルタス 攻/1600

 

 楕円形の盾と一本の槍を持ち、兜にはモヒカンみたいな毛の飾りがついた、かなり古い鎧を付けた戦士が現れる。

 

師匠 ライフ4000

手札4

モンスター1

魔法・罠1

 

「俺のターン、デュエルが子供のお遊びじゃないって事を思い知らせてやるぜ。ドロージェネシック・ワーウルフを攻撃表示で召喚」

 

 筋骨隆々で腕が四本あり、白い体毛に覆われた獣人が姿を表して雄叫びをあげる。

 

ジェネシック・ワーウルフ 攻/2000

 

 高田と言う人物はブルー女子曰く、性格が破綻してる位酷いらしい。傲慢で、他人を見下して、リアルファイト上等で、ブルー女子に手当たり次第声をかけている人物らしい……どこかで見たことがあると思ったら、宮田さんにナンパ紛いの事をやってたやつじゃないか! あの時にHEROでオーバーキルしてやったのに未だ懲りてないのか。

 

「ジェネシック・ワーウルフでスパルタスを攻撃! ワイルドナックル」

 

「フフフ……手札のH・Cソード・シールドの効果発動! フィールドにヒロイックと名のついたモンスターが存在する場合、手札のこのカードを墓地に送ることで、このターン私が受ける戦闘ダメージは0になり、ヒロイックと名のついたモンスターは戦闘では破壊されないの。残念ね」

 

「リバースカードを一枚セット、更に凡骨の意地を発動しターンエンドだ」

 

 

高田 ライフ4000

手札3

モンスター1

魔法・罠2

 

「私のターンドロー、ゴブリンドバーグを召喚ゴブリンドバーグの効果にチェーンしコピーナイトを発動、コピーナイトはレベル4以下のモンスターを召喚したときに発動、召喚したモンスターと同名モンスターとして扱い攻守共に0、同じレベルで特殊召喚されるトラップモンスターだよ。

更にゴブリンドバーグの効果でH・Cエクストラ・ソードを攻撃表示で特殊召喚」

 

 飛行機乗ったゴブリンが現れ、その後方から同じ三機の飛行機が、コンテナを運んで来て隣に落下させる。そのコンテナを切り開き長短二本の剣をもった剣士が堂々と登場し、そのとなりに銀色の西洋甲冑が現れる。がその甲冑はピクリとも動かない。

 

「行っくよー! レベル4ゴブリンドバーグ、コピーナイト、H・Cエクストラ・ソードをオーバーレイ! 三体の戦士族モンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚お願い! H-Cクサナギ!」

 

 日本風の茶色の鎧に片手に刀……と思ったらビームソードだった。鎧は古風なのに武器は現代風な、武将の様なモンスターが現れ、ジェネシックワーウルフにビームソードの切っ先を向ける。

 

「そいつが噂のエクシーズモンスターか、チッ攻撃力は2500俺のワーウルフより上じゃねえか(なーんてな俺の伏せたカードは、聖なるバリア-ミラーフォース-これで確実に迎撃できる!)」

 

「H・Cエクストラ・ソードのモンスター効果発動! このカードをエクシーズ素材にしたエクシーズモンスターがエクシーズ召喚に成功したとき、そのモンスターの攻撃力は1000ポイントアップ!」

 

H-Cクサナギ 攻/2500→3500

 

「……あの伏せカードがトラップなら、高田のライフは残り400か。次のターンで巻き返すか一矢報いて終わるかのどちらかだな」

 

「おや? 残り400とは、どう計算しても残り900にしかならないのですが?」

 

「H-Cクサナギには一ターンに一度オーバーレイユニットを一つ使い、トラップの発動を無効にして破壊、その後攻撃力を500ポイントあげる効果がある。だけど魔法か何かでワンプッシュしたら、このターンで彼の敗け……って鮫島校長! いつの間に。なんでこんな所にいるんですか?」

 

「お昼前くらいには、ペガサス会長のお使いが来ると連絡を受けたのですが、待てど暮らせど一行に来ない。もしかしたら学園の中で迷ってるのではないか? と思いまして、探していたら、何やらデュエルフィールドが騒がしいではありませんか、見に来てみたら、どうやらしらない子がデュエルしていました、あの子のデッキもエクシーズ召喚を使うようなので、王真君の所に来たら解説をしてくれるのではないか? と思いたったのです」

 

「さいですか。ところでペガサス会長からは、なんと言う名前の人が来る予定なんですか? ついでに、あのデッキ師匠のデッキじゃないですよ、俺の試作品デッキです、エクシーズも一通り渡してあります」

 

 師匠に目を向けると、向こうもこちらを見てニコリと笑い、声を出さずに口だけを動かした、言葉に表すとおそらくこう言ったのだろう。殺っ・ちゃ・う・よ、と……うん相変わらずだね師匠も。

 

「えぇ、実はそのお使いの方の名前である場所には、何かの暗号のように漢数字が六文字羅列されているのですよ。一二三一一六と」

 

「……やっぱりそう思いますよね、実はそれ暗号じゃなくて師匠の名前なんですよ」

 

 俺の周りに居た人間全てがポカンとした顔で、こちらを見てきたので一言、デュエルを見ろと言っておいた。

 

「バトル! H-Cクサナギでジェネシック・ワーウルフを攻撃、英雄の太刀!」

 

「かかったな! トラップ発動、聖なるバリア-ミラーフォース-! お前の攻撃表示モンスターは全て破壊だ」

 

「残念でした、H-Cクサナギの効果発動! 一ターンに一度トラップが発動したときオーバーレイユニットを一つ使い、その発動を無効にし破壊する! その後攻撃力を500ポイントアップすることができる」

 

H-Cクサナギ 攻/3500→4000

 

 伏せてあったカードが開いた瞬間、クサナギが刀を振るいそのトラップを真っ二つに切り裂く、するとクサナギの纏うオーラが更に勢いを増し、上段からの袈裟斬りでワーウルフを両断した。

 

「んなっ! グァァァァァァ!」

 

高田 ライフ4000→2000

 

「更にスパルタスでダイレクトアタック!」

 

「グッ! クソッ! 調子にノリやがって」

 

高田 ライフ2000→400

 

「リバースカードを一枚セットしてターンエンド」

 

師匠ライフ 4000

手札1

モンスター2

魔法・罠2

 

「俺のターンドロー! 凡骨の意地の効果発動! ドローフェイズにドローしたカードが通常モンスターの場合、そのカードを相手に見せる事でもう一度ドローできる! 俺の引いたカードはサファイア・ドラゴン、よってもう一枚ドロー、ブラッドヴォルス、ドローメカ・ハンター、ドローモリンフェン、ドローカクタス、ドローレオ・ウィザード、ドロー……チッこれで打ち止めかサファイア・ドラゴンを攻撃表示で召喚! バトルだ! サファイアドラゴンでH・Cスパルタスを攻撃」

 

 最後の最後で自害とは、残念だね効果を知らないだけなんだがね。

 

「それでおねーさんに勝とうと思うなんて、20年早いよ? スパルタスは攻撃宣言時、このカード以外のヒロイックモンスターを選択して発動、選択したモンスターの元々の攻撃力を追加するの、クサナギの元々の攻撃力は2500だから……」

 

スパルタス 攻/1600→4100

 

「攻撃力4100だと!」

 

「結束と誇りを持つ英雄の力は神をも越えるの、覚えておきなさい、迎撃しなさいスパルタス! ストレートスピア!」

 

 サファイアドラゴンの攻撃を盾でかわし、脇をすり抜けると同時に渾身の一撃を叩き込みサファイア・ドラゴンを粉砕。その爆風の余波で高田がぶっ飛んでいきデュエル終了のブザーが鳴る。てかまたぶっ飛んでんのな、前もエアーマンの攻撃できりもみ回転しながらぶっ飛んでいたよな。

 

「ウソダァァァァァァァ!!」

 

高田 ライフ400→-2200

 

「ニャッハハハ、ブイニャのだ」

 

 そして俺達は校長について、デュエルフィールドに行き師匠の元につく。

 

「素晴らしいデュエルでした、ところでなぜデュエルをしているのですか?」

 

「そうです、ここの子達が私の言う事を信じてくれなかったのですよ!」

 

「おやおや、スミマセン前もって連絡しておけばよかったのですが……えっと」

 

「フフフ……スミマセンマイクあります?」

 

「え? えぇ、少しお待ちください」

 

 鮫島校長がマイクをもって線も引っ張ってきて、師匠に手渡す。

 

「では、問題です。答えれたらおねーさんがご褒美あげますよ。私の名前はなんでしょう漢字は全て漢数字で名字は一二三、名前は一一六、さぁ読み方はなんでしょう!」

 

 そして数分間、沈黙が支配し俺も無理だろうなと普通に諦め、無言で師匠にマイクを渡せとジェスチャーをする。す明らかに不貞腐れながら師匠はマイクをこちらに渡す。

 

「つう訳で答えは、ひとふさ、ひいろ。ぶっちゃければ名字の数字と身長の数字が同……痛い! 脇腹に膝蹴りはマジで痛いって!」

 

「なんで王くんは、蹴られたり殴られたりするのに人をおちょくろうとするんでしょう?」

 

「王真のさがなんじゃない? 誰でもからかったりおちょくったりしてるから」

 

「さて、報復も終わったところで、鮫島校長。早速ですけどもテレビ電話の使える場所ってあったりします?」

 

「それなら校長室に使えますよ、行きましょうか」

 

「あ、王真君を連れてってもいい? この子にも、色々と話をしたいしね」

 

「えぇ、いいですよ」

 

 師匠が俺を連れて行こうとする、そしてペガサス会長からのお使い……海馬がなんかチクったか、まぁペガサス会長なら話しても問題ないか、海馬も含めあの人らなら秘密を守り通してくれそうだ、校長にも聞かれるが是非もなし……か、そんな事を考えていたら、いつの間にか校長室についていた。

 

「と、言うわけでそちら様の学校で、シンクロ召喚、エクシーズ召喚なる召喚方法を使っていたとの事で、ペガサス会長が大変興味を持ったそうです、それでその中心となる人物にお話を伺いたいとの事で」

 

「それでその中心となる人物が……」

 

「です、我が不肖の弟子でもある王真君です。ですので、ペガサス会長との電話に彼を呼んだのです……あっ繋がった」

 

『やっと繋がりましたね、ご苦労様デースヒイロガール。いつも時間にきっちりしているあなたが遅れるのは珍しいので、心配していたのデース』

 

「スミマセン、ちょっと色々とありまして。この子が学園にいるシンクロ召喚、エクシーズ召喚を使う決闘者、黄衣王真君です」

 

『初めまして、王真ボーイ。話はいくつか海馬ボーイから聞きました、シンクロ召喚とエクシーズ召喚。これらの方法の基本構想は私の中にもありました、しかしまだ実用化の目処もたっておらず、カードとして販売もしていないカードを所持している……あなたは何者なのですか?』

 

「それこそ、海馬社長からなにも聞いていないのですか?」

 

質問に質問で返すなと怒られそうだったけど、一応聞いておく。

 

『一度聞いてみたのですが、本人に聴け! と怒鳴られてしまったのデース』

 

 HAHAHA、とペガサス会長が軽快で、コミカルに笑う。相変わらずキャラクターが読めない。

 

「……そうですか、あの人のオカルト嫌いも相当ですからね、信じたくないのも無理はありません。自分でも荒唐無稽で常識はずれだと思いますし……」

 

           少年説明中

 

『確かに、海馬ボーイが毛嫌いするのもわかりマース、別の世界もさることながら、別の世界で一度亡くなり、こちらの世界に蘇るとは……到底信じられまセーン』

 

「仕方ありませんよ、これを信じてくれと言う方が無理な話です。ですがあの人にも言ったように、変なパズルに古代エジプトのファラオの魂が封印されてたり、カードゲームで世界がやばかったり、俺とお前を超融合したり、バイクに乗ってデュエルを始めたり、果てにはバイクと合☆体してたら、生き返って来たなんて可愛いものですよ」

 

『他の方がインパクトがありすぎデース、それに今あなたが話したことが現実に起こるのですか?』

 

「はい、未来が変われば起きませんが、変わらなければ確実に起きます」

 

『そうですか……王真ボーイ、いきなりですみませんが、聞きたいことがありマース』

 

急に、ペガサス会長の声が低く、そして重たくなった。

 

「なんでしょう? 私の答えられる事ならば、お答えします」

 

『先程も言ったように、シンクロ召喚もエクシーズ召喚も私の中にアイデアとして浮かんでました。ですが急に、しかも同時に二つの召喚方法を出してしまったら、どちらか片方は栄え、片方は衰退の一途をたどる……そうならないためにも、どちらか片方を選択した方が良いと思うのデース。未来から来たと言っても過言ではないあなたに聞きマース、どちらを公式としてだしたらいいのでしょう?』

 

 なるほど、ここが5D'Sに向かうかZEXALに向かうかの分岐点になるわけか……ここでシンクロをおせば5D'Sに、エクシーズをおせばZEXALにか。

 

 しかしシンクロをおしたら秘密結社イリアステルの高性能お爺ちゃんことホセとみんなのしたっぱプラシドに殺☆害という名の修正をくらうかもしれない。どちらかを選択する、シンクロかそれともエクシーズか、個人的な話であればシンクロよりはエクシーズだが、個人の好き嫌いで未来を変えたとなれば後味がかなり悪いし、シンクロに一方的な怨み(例えば六武とかインフェルとかラヴァルとかクイックダンディなど)があってもそれを蔑ろにして貶めていい理由にはならない、なら選ぶべき選択はこれしかない。

 

 それと今の時点で新たに分かった事だが、この世界はアニメそのものの世界ではなく、アニメの流れを基調とした、()()()()()()()()()()()()()()()だって事だ。

 

「どちらがいいか、なんて私にはわかりません。確かにどちらも使っている身としては、メリットもデメリットもわかっています、ですが世界の根底を覆しかねない選択を、齢16歳の人間には荷が重たすぎます。なので、私からはノーコメントとします」

 

 人はこの回答を逃げと捉えるだろうが、俺という下らない存在が世界の未来を自由にして良い訳はない。それに二つのうち一つを選べと言われたら、両方を選ぶ為に努力をするかどちらも選ばないという解答も存在するわけで……。

 

『HAHAHA、あなたは面白い人デース。スミマセン、おかしな事を聞いてしまって』

 

「いえ、いいですよ。よくある事ですからなんなら、チューナー、シンクロ、エクシーズのカードを師匠に数枚わたしておきましょうか?」

 

 俺がそう言った瞬間、ペガサス会長が子供の様に笑顔を作り、キラキラした目で声をあげた。

 

『ワァオ! それは本当ですか!? 是非ともお願いしマース。それと、ヒイロガールは次の定期便で帰ってきてくだサーイ、それまでの期間は私から有給をさしあげマース、いつも頑張ってくれているヒイロガールへのご褒美デース』

 

「ホントに!? ありがと~ペガサス会長~」

 

『それでは、私はそろそろ仕事に戻りマース』

 

 その言葉を最後に、プツンとテレビ電話の回線と映像が途切れた、鮫島校長にもこの事は他言無用にしてもらわなきゃね、因みに師匠はこの事を知っている、意識が目覚めた一週間の間に師匠が来ていろいろとボロを出してしまった結果、話してしまったのだ。

 

「校長、この事は誰にも言わないでくれませんか?」

 

「勿論ですとも、生徒の秘密を口外する様なことはいたしません。それに、あなたは転生者である前に、わが校の大事な生徒です。それくらいの秘密なら私の胸の奥にしまっておきます。十代君達はこの事を知っているのですか?」

 

「いえ、知らないでしょう。……こんなのだって知られたら、今の楽しい日常が送れなくなるかもしれない……」

 

 そんなことをボソリと呟くと、聞こえていたのか校長が話題を変えてくれる。

 

「それよりも、ヒイロさんの泊まる場所をどうしましょうか? ブルーの女子寮に空き部屋があるといいのですが……」

 

 師匠は平手を前に突き出して、校長の言葉を止めた。

 

「いいですよ、わざわざ部屋をとってもらわなくても。私は王真君の部屋に泊まらせて頂きますので」

 

 校長がいいのですか? と言いたげな目でチラリとこちらに目を向けてきた、答えは決まってるけどね。

 

「わかったよ、二人部屋を一人で使ってるんだし、それくらいはいいけど、着替えとかはどうするの?」

 

「王真君に借りる。これで解決です、さぁ行きましょう、鮫島校長今日はありがとうございました、失礼します」

 

 校長室を後にしてレッド寮に向かう、その途中で十代、翔、隼人くんの三人がこちらに歩いてきた。

 

「あ、王真君。校長室で何を話してたの?」

 

「こっちに来てからの生活や、あったことなんかの世間話をしつつ、師匠にお目玉食らってただけさ」

 

「そんなことよりデュエルしようぜ一一六さん!」

 

 でた! 十代のデュエル病だ、いつもの通常運転だからそう気にしてないけどね。それに十代はしょっちゅう俺のとこにデュエルしに来やがる、最近こいつとのデュエルの勝率が六割くらいに減ってきた。毎回ピンチ時に強欲な泡男→強欲な壷→天使の施しとかいう積み込みレベルの事を平然とやってのける、ヴェーラー、カカシ、フェーダーを握ってなければ即死だったと言わんばかりにな。

 

「ごめんね、えっと十代君だっけ? 今日はちょっと疲れちゃったからさ、また今度にしてくれるかな? 次の定期便が来るまではこっちに居る予定だし、王真君の部屋に泊まらせてもらうからさ」

 

「わかった約束だぜ!」

 

 十代は購買の方へと走っていった、相変わらずテンション高いな。

 

「昔の王真君を見てるみたいだね、懐かしい」

 

「王真君ってアニキみたいだったんスか?」

 

「や、あんなのでは無かったと思うが……」

 

 むしろ、あれほどのテンションとやる気に満ちた俺が全く想像つかない、というか想像したら予想外にウザい。それからは嬉し恥ずかしのハプニング等もなく、普通に有給を満喫して師匠は帰っていった。十代とのデュエルはというと、俺の使ってないカードから次元剣闘獣を作り出し十代を何度も負かしていた、俺も何度かやったが十代は10戦4勝6敗、俺は10戦7勝2敗1分けだ。

 

 最初の方は融合することすら許してもらえず、万一出てきてもすぐに除去されボロッボロに負けていたが、後半に師匠のやり方を、本能的に理解したのとチートドローでこの結果だ。反面俺は、8000ルールでやっていたからガンガン警告や宣告が飛んできたが、なんとか勝った。ホントに旧ガチデッキでも相手にしたくない。

 

 

 

 

 時は進んでとある日の事、オシリスレッドとラーイエローが体育の授業で野球の試合をしていた。俺は補欠、もちろん自分から志願したが。前世でも運動能力がそう高くなかったから球技全般が大の苦手だった、こちらに来て運動能力がある程度向上しても、てんでダメだった、なので俺を入れるより別の人を入れた方がいいと言って少し呆けながら試合を見ていた。

 

 そしてゲームの終盤、オシリスレッドの若干のリードで最終回の攻撃、1アウト1、2塁の十代の打席に遅れてきた三沢が登場し、何やら十代と喋っている様子そして次の打順の翔がこちらに走ってきてヘルメットを差し出してきた。

 

「なんだこれは?」

 

「何ってヘルメットだけど」

 

「そうじゃあない。何で俺にヘルメットを渡そうとしているのかを聞いているんだ」

 

「なんか三沢くんがアニキと王真君と勝負したいらしいス」

 

「なんでそこで俺を指名するんだよ三沢め、俺に怨みでもあるのか……まぁいい俺を指名した事を後悔させてやる」

 

 十代が三振したのを確認して、ヘルメットを被り意気揚々とバッターボックスへ向かうそして……。

 

 見事三振して帰ってきました、だからいったじゃん無理だって。

 

 終わりは原作通り十代が変な意地を張って、2アウト満塁にして三沢を出しホームランを打たれて負けとなった。もちろんクロノス教諭の顔面に、三沢のホームランボールが正真正銘のダイレクトアタックしていたのは言うまでもない。

 

 その後十代が負けたため、三沢から罰ゲームを受けることとなった、十代だけじゃかわいそうだから俺と翔も一緒だ。三沢に連れられ彼の部屋に案内され、部屋の中で大袈裟に手を広げ三沢が叫ぶ。

 

「お前たちには、この星々のビッグバンを頼みたいんだ!」

 

「「ビッグバン?」」

 

「そう、ビッグバン」

 

 三沢は刷毛と白いペンキを十代たちに見せる、二人とも理解したようだ。しかし風が吹けば桶屋が儲かる格率式とはいかがなものか? 今時桶屋なんかあるのだろうか? と思ってしまった、アボカドロの分子式? しらんそんなこと俺の管轄外だよ。最初に家具一式を外に放ってから作業スタートだが、一つ三沢に聞く。

 

「すまん三沢、机の中に俺のデッキを入れてもいいか? 無いとは思うがペンキで汚れないようにな」

 

「あぁもちろん構わない、さぁ始めるぞ!」

 

 三沢の部屋のペンキ塗り――三沢曰くビッグバン――は概ね順調に進んで行ったが、十代がバランスを崩しかけて足元のペンキを、翔の頭の上に盛大にぶちまけたところで、第一次ペンキ戦争が勃発したがつつがなく? ビッグバンは終了した。その後ペンキを落とすために俺以外はみなシャワーを浴びていた、何で俺がペンキまみれじゃないのか聞かれたが、ペンキがかからないように避難しながら作業してたんだよと言っておいた。

 

 罰ゲームとはいえ手伝ってくれた礼と言うことで、少し早いがラーイエローで晩飯をもらった。

 

「当たり前だが美味いな、オシリスレッドの数倍は美味い、バリエーションもある……席だけでもラーイエローに置いておいてもよかったかもしれん……」

 

「ハハハ、遠慮せずに食ってくれ俺の奢りだ」

 

 それを聞くや否や、十代が大量に食い物を頼む……遠慮するなと言われたがもう少し遠慮しろ色んな意味で、そんな時十代が三沢に聞いた。

 

「そう言えばあの時クロノス先生と何を話してたんだ?」

 

「あぁ、明日寮の入れ換えテストをやるらしい」

 

「それじゃあ三沢くん、ブルーに上がるんスね!」

 

「あ……あぁ」

 

ほんの一瞬だが三沢の表情が暗くなった。

 

「どうした三沢? 浮かない顔をしているぞ?」

 

「そう見えるか?」

 

「気のせいだったかな、なんにせよお前がブルーに上がりたければ上がればいいさ、俺はお前が何を目標にしているかを知らないからな」

 

「フッ……そうだな……俺には俺の目標がある、達成すべき事がある」

 

「そんなことよりお前今晩どうするんだ? 部屋がペンキ塗り立てじゃ寝れないだろ?」

 

「なに、他の奴の部屋にでも泊めてもらうさ」

 

「それなら俺の部屋に来ないか? もちろんお前が嫌じゃなければだが」

 

「ありがたい限りだよ」

 

 レッド寮に向かう途中で俺は思い出した。

 

「デッキ忘れた……すまんとってくる」

 

王真sideout

 

万丈目side

 

 俺は何故こんなところにいる、エリートたる俺がラーイエローなんかに……だが俺にはもう後がない、ここで負ければ俺は役立たずの……落ちこぼれの烙印を押されてしまう……それを避ける為には……。

 

「……っ! デッキが二つ!? どっちが本物だ!」

 

 俺が片方のデッキを掴もうとした時、邪魔が入った。

 

「おや、君は誰だ?」

 

「貴様こそ誰だっ!?」

 

「むっ……この声は万丈目少年ではないか、こんなところで何をしている? これから住む寮の下見かい?」

 

「なんだと!? 王真、貴様この俺が奴に負けるとでも思ってるのか!」

 

 怒鳴った俺に王真は穏やかで諭すような口調で言った。

 

「師匠が言っていた、自分に自信を持っている時こそ油断をするな、ってね覚えておくといい。そろそろ俺のデッキを回収したいんだが?」

 

 片方は王真のデッキだったのか……クソッ! だがもう片方は奴のデッキに違いない。

 

「そうそう万丈目少年、ついでだから言っておくけど、そこにあるもう一つのデッキは三沢の調整用のデッキだよ、取っていってもなんの利点にもならないし、むしろ自分の未来を潰すよ?」

 

 調整用の……デッキ……だとまさか……この俺がそんな……クッ! こんな事が知られたら……こうなったら!

 

「王真! デュエルだ! 俺が勝ったらこの事は見なかったことにしてもらう!」

 

「いいよ、元より口外なんかするきは毛頭ないし。そうだな、誰もいない浜辺に移動しようか? 君としては見られてない方がいいだろう? 後怒鳴らない方がいいよ、誰かが聞いてるかも」

 

万丈目sideout

 

王真side

 

 少し遠めの浜辺に移動してお互いにデュエルディスクを構えた。

 

「いくぜ万丈目少年」

 

「万丈目さんだ!」

 

「「デュエル!!」」

 

「俺の先攻、ドロー……」

 

ジェネクス・ウンディーネ

ジェネクス・ウンディーネ

ジェネクス・ウンディーネ

ジェネクス・コントローラー

ジェネクス・コントローラー

貪欲な壷

 

 ……なぁにこれぇ! 今までで一番酷い事故かもしれない、デッキの回転為にコントローラーを二枚しかいれてないのが原因なの? それにしても酷い。だがやることもないとにかく凌ごう。

 

「俺はモンスターをセットしターンエンドだ」

 

王真 ライフ4000

手札5

モンスター1

魔法・罠無し

 

「俺のターンドロー! 地獄戦士を召喚バトルだ! 地獄戦士でセットモンスターを攻撃! ヘルアタック!」

 

 地獄戦士 攻/1200

 

「セットモンスターはジェネクス・コントローラーだ」

 

ジェネクス・コントローラー 守/1200

 

 ラジコンのリモコンのみたいな頭をした小人が、筋骨隆々の剣士に斬りかかられるが、予想外に固かったのか地獄戦士の剣が弾かれた。

 

「ぐっカードを一枚セットしてターンエンドだ!」

 

万丈目 ライフ4000

手札4

モンスター1

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー、手札からジェネクス・ウンディーネを召喚、レベル3のジェネクス・ウンディーネにレベル3のジェネクス・コントローラーをチューニング! シンクロ召喚、現れよハイドロ・ジェネクス!」

 

 機械の翼と、背中に水のような何かが入ったタンクを背負た女性型のモンスターが現れた。

 

ハイドロ・ジェネクス 攻/2300

 

「バトル! ハイドロ・ジェネクスで地獄戦士を攻撃! ハイドロプレッシャーショット!」

 

 槍を叩きつけるように地獄戦士に投げつけ、丁度みぞおち辺りを貫き地獄戦士が爆発する、しかし地獄戦士が爆発した後、持っていた剣が真上に飛んでいった。

 

「グッ! だが地獄戦士が戦闘によって破壊されダメージを受けたとき、相手にも同じ数値分のダメージを与える 」

 

万丈目 ライフ4000→2900

 

宙を舞っていた剣が真上から落ちてきて腕にぶっ刺さった。

 

王真 ライフ4000→2900

 

「ふん、ハイドロ・ジェネクスが相手モンスターを破壊し墓地へ送ったとき、その攻撃力分ライフを回復する」

 

王真 ライフ2900→4100

 

「ターンエンドだ」

 

王真 ライフ4100

手札5

モンスター1

魔法・罠無し

 

「俺のターンドロー! トラップ発動、リビングデッドの呼び声! 墓地の地獄戦士を復活させる! 更に地獄戦士を生け贄に地獄詩人ヘルポエマーを召喚、更にヘル・アライランスをヘルポエマーに装備! このカードはフィールドに装備モンスターと同名モンスターが存在するとき一体につき800ポイント増加する!」

 

ヘルポエマー 攻/2000→2800

 

 おや、一体しかいないヘルポエマーの攻撃力が上がったぞ? 確か装備モンスター以外の同名モンスターがいないと上がらなかったような……あっアニメ裁定か。

 

「バトル! 行けヘルポエマー! 地獄讃歌!」

 

 ヘルポエマーが明らかに言葉になっていないような名状しがたい歌を歌うとハイドロ・ジェネクスが急に苦しみだし背中のタンクが割れボロボロと朽ち果てていった。

 

王真 ライフ4100→3600

 

「ターンエンドだ!」

 

万丈目 ライフ2900

手札3

モンスター1

魔法・罠1

 

「俺のターンドロー、モンスターをセットしターンエンドだ」

 

王真 ライフ3600

手札5

モンスター1

魔法・罠無し

 

「ふん、守るばかりじゃデュエルには勝てん俺のターンドロー! バトルだヘルポエマーでセットモンスターに攻撃!」

 

 ヘルポエマーはゾンビの様なうめき声をあげセットモンスターに攻撃するが、セットモンスターが表になった瞬間、真っ白な犬がヘルポエマーの喉笛を食いちぎって破壊する。

 

「グッなんだっ今の犬は!」

 

「ライトロードハンターライコウのリバース効果発動、相手フィールド上のカードを破壊しデッキトップを三枚墓地へ送る」

 

 墓地へ送られたのは海皇の重装兵、海皇の狙撃兵、サルベージの三枚だ。サルベージが落ちたのが軽く痛いな。

 

「カードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

万丈目 ライフ2900

手札3

モンスター無し

魔法・罠2

 

「俺のターンドロー、貪欲な壷を発動! 墓地のモンスター五体をデッキへ戻し二枚ドローする。墓地のジェネクス・ウンディーネ、コントローラー、ハイドロ・ジェネクス、重装兵、狙撃兵をデッキへ戻し二枚ドロー。更に闇の誘惑を発動、デッキからカードを二枚ドローしその後手札の闇属性モンスターをゲームから除外する、二枚ドローし手札のジェネクス・コントローラーを除外するぜ」

 

 よし、いい感じに手札が変わったこれなら行ける!

 

「ジャンク・シンクロンを召喚、このカードが召喚に成功したとき墓地のレベル2以下のモンスターを守備表示で特殊召喚できる! こいライコウ!」

 

 毎度お馴染み皆の便利なチューナーさんジャンク・シンクロン、真横に手を伸ばすとそこからさっきの白い犬が地面から現れた。

 

「レベル3闇属性のジャンク・シンクロンにレベル2獣族のライコウをチューニング! 漆黒の氷河よ、光を遮り闇へと誘う帳を下ろせ! シンクロ召喚、舞い降りろ! 氷結のフィッツジェラルド!」

 

 十字架のような体の両端と足が巨大な氷で覆われている、言葉で表すことの難しいなんとも不気味な悪魔が姿を現す。

 

氷結のフィッツジェラルド 攻/2500

 

「バトル! 氷結のフィッツジェラルドでダイレクトアタック! ブリザード・ストライク!」

 

 フィッツジェラルドの頭付近から垂れ下がった氷で出来た両腕? からふぶきと鋭い氷の塊をいくつも発射する、だがそれを甘んじて受けるほど万丈目少年も甘くはない、しかし。

 

「トラップ発……何故だ何故トラップが発動しない」

 

「氷結のフィッツジェラルドが攻撃するとき、ダメージステップ終了時まで魔法・罠は発動出来ない!」

 

「なにっ! グァァァァァァ!!」

 

万丈目 ライフ2900→400

 

「ターンエンドだ」

 

王真 ライフ3600

手札6

モンスター1

魔法・罠無し

 

「俺のターンドロー! 死者蘇生を発動墓地の地獄戦士を特殊召喚、更に地獄戦士に二枚目のヘル・アライランスを装備し手札の全てと攻撃力2000となった地獄戦士を生け贄に炎獄魔人ヘル・バーナーを召喚! このカードは相手モンスター一体につき攻撃力が200ポイントアップする!」

 

 黒い頭に人間の上半身が生え後ろは蜘蛛の様な胴体が繋がりトゲトゲとした尻尾が生えた、まさに魔人と呼ぶに相応しい姿ともいえる悪魔が姿を現した。

 

炎獄魔人ヘル・バーナー 攻/3000

 

「バトル! いけヘル・バーナーでフィッツジェラルドを攻撃!」

 

王真 ライフ3600→3100

 

 ヘル・バーナーという名の通り口から炎の塊が打ち出されフィッツジェラルドに直撃し、燃やし尽くされる……だが。

 

「フィッツジェラルドの効果発動! このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られたとき自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、手札を一枚捨てる事で墓地のこのカードを守備表示で特殊召喚できる。再び氷塊となれフィッツジェラルド!」

 

 フィッツジェラルドの凍ってなかった部分が地面を割って復活しまたその両端と足に氷を纏う。

 

氷結のフィッツジェラルド 守/2500

 

「クソッ! ターンエンドだ!」

 

万丈目 ライフ900

手札0

モンスター1

魔法・罠2

 

「俺のターンドロー、速攻魔法サイクロン発動、セットカードを破壊しろ」

 

 発生した竜巻が万丈目のセットカードを捲り上げて破壊する。破壊されたのはミラフォか相変わらず添えるだけだな。

 

「更にアビス・ソルジャーを召喚! そして効果発動、一ターンに一度、手札の水属性モンスターを捨てることでフィールド上のカード一枚を手札に戻す! 手札のジェネクス・ウンディーネを捨て、ヘル・バーナーを手札へ!」

 

 手足が生え手に小さな銛を持った鯨の様なモンスターが現れ、ヘル・バーナーの足元に銛を投げ付けそこから大量の水が吹き出しヘル・バーナーが吹き飛んでいった。

 

「フィッツジェラルドを攻撃表示に変え、バトル! フィッツジェラルドでダイレクトアタック! ブリザード・ストライク」

 

「グァァァァァァ!」

 

万丈目 ライフ900→-1600

 

「楽しかったぜ! 万丈目少年」

 

 初期手札のせいで、戦々恐々としたのは内緒だがね。

 

「クソッ! クソッ! まただ何故勝てない! 俺は負けてはいけないのに!」

 

 orz←こんな感じで砂浜を殴り付ける万丈目少年、ちょっと声がかけづらいな。

 

「ん~君の事情は知らないんだがな? 勝つことが全てじゃないと思うのだよ」

 

「黙れ! 負けたことの無い貴様に何がわかる! 勝手な事を言うな!」

 

 おっと、不用意なことを言うもんじゃないね、余計怒らせてしまったよ。

 

「むっ、負けたことがない訳ではないぞ? こちらに来てからはほぼ負けてないだけで、昔は負けてばかりだよ。俺は勝ち負けにはあまりこだわってはいないからね、勿論勝てるよう努力はしているがね」

 

「知った事か! 俺には負けは許されない! 勝ち続けるしかないんだ!」

 

 そう怒鳴って走り去っていった、むぅ……有能な兄に囲まれたプレッシャーというものだな、彼の事情と似通った部分もわりとある。兄弟以外は同じかもしれない、あそこまで執拗に結果だけを求められたらなぁ……同情するよ……俺は真逆だがな。

 

「さて……戻るとするか……十代達を待たせるのも悪い」

 

 ……まだまだ調整が必要かな、さっきほどの事故は無いとは思うが、もう少し安定性がほしい、神様から聞いた最近の現実の環境についていく気は更々無いが。

 

 そんな感じで調整に頭を働かせている内にレッド寮に辿り着き自分の部屋をあけた、するとどうだろう、神様から送られてきた段ボールの中のファイルを三沢が見ていた。段ボールのことを完全に失念していた。

 

「おい、何してる。人のカードさばくるなよ三沢」

 

 少し怒った様な口調で言ってみた、神様ってすごいな、生前に無かったスキルを自動で持たせてくれたんだから。

 

「いや、すまない。見る前に聞こうと思ったのだがなかなか帰ってこなくてな……」

 

 軽くため息を吐き、動かした形跡のある段ボールを見ると大体4~6期辺りのようだ。

 

「はぁ……いいか? 今まで見たカードは全て忘れろ、もしくは俺が許可をするまで一切口外するな、頼む」

 

 元より命令する気はない、三沢も口の軽い方ではないと記憶している。

 

「分かった、約束しよう。人に知られたくない秘密の一つや二つ、あって当然だからな」

 

 すまんな三沢、その秘密もいずれ話すときが来るかもしれない。バレそうなところと言えば、デュエルマッスルのじいちゃん位だなうん。

 

「すまないね怒った様な声を出してしまって、上のベッドを使ってくれ……どうしたキョロキョロしてまだカードが見足りないのか?」

 

「いや、そうじゃない。かなりの種類のデッキを持っていると十代から聞いて、俺と似たものを感じてな」

 

「似たもの……なぁ……そうそうデッキと言えば、引き出しの中にこれが入れっぱなしだったぞ、ほらよ、お前さんのデッキ」

 

 ポケットから三沢のデッキを渡す、しかし少し迂闊過ぎないかい? この世界でカードを置いて行くって事はどうぞ盗んでくださいと言っている様なものではないか。勿論攻撃力が低かったら見向きもされないと思うけどね。だってこの世界は攻撃力のほぼ一点のみで値段が決まるらしい、あの紅い目の黒竜ですらこの世界じゃ数十万で取引されるらしい、もしネットオークションで爆走特急ロケット・アローを出したら、いくらまで入札されるか気になるところもある。今度出品してみるかな。

 

「ありがとう、俺としたことが……少々迂闊だったな」

 

「なに、次から気を付ければ良いだけさ」

 

 そうそうに会話を打ち切り寝ることにしたペンキ塗りで疲れたし、三沢は明日のテストがあるわけだし早く寝ることに越したことはない。

 

 翌日、万丈目は正々堂々と三沢とデュエルし僅差で敗北し、三沢はブルー行きを拒否しこのイベントは幕を閉じた。

 

続く……




にじファンにて掲載されていたのはここまでとなります。ここから今以上に更新が遅くなると思いますがそこんとこご了承ください。

ついでに言うと今回の高田君のデッキは、ライカンスロープを主軸にしたデッキなのですが、友人が作ったのを参考にしてなおかつ相手にしたときに、友人が大事故を起こした時のデュエルを模倣しました。だからなんだって話ですけど。


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十二話・邂逅、イリアステルの三皇帝

今回はかなり短いです。なぜかって? そりゃあフフフ…………


王真side

 

 まだ鶏すら目を覚まさないほど朝早く、とあるものを作る。そうしている内にいつのまか日が上っていた。急いでアカデミアの正門に行くと、一つの人影が見えた。

 

「さらば、デュエルアカデミア」

 

「やぁ、万丈目少年どこに行くんだい?」

 

「王真か、俺はトップでいなければならない、だがラーイエローに降格してしまった今、ここに残る理由はなにもない」

 

「どうしても、出ていくつもりかい?」

 

「くどい、何度も言わせるな。俺の決意は揺るぎはしない」

 

「そうかい、じゃあこれをあげるよ余裕があったら食べてくれ、俺が作った弁当だ」

 

「……もらっておく。余裕があったら頂く」

 

 万丈目を見送って教室で授業が始まるまで寝る俺だった。

 

 十代達が、万丈目少年が行方不明になったこと(出ていっただけだが)を知り探しに行こうと話し合っていた時に、携帯にメールの着信音が鳴る、開いてみると。

 

『これから二時間後、アカデミアの火山の火口付近にて待つ』

 

 とだけ書いてあった、正直こんなイベントは無かったはずだし十中八九罠だろう、しかしながら、行かなければならない使命感の様なものを感じていた。普通に教室から抜け出すと後ろから有がついてくる。

 

「王くんにも来たんですね? 謎のメールが……でも……」

 

「あぁ、もちろん原作には無い展開だ。ちゃんと身構えておけよ?」

 

「はい……」

 

 早めに火山の火口付近に移動する。アカデミアから火山まではやたらと距離がある、相手を待たせるのは流石に忍びないからな。

 

 火口付近に辿り着くと白装束の三人がいた、一人目の少年はこちらを見て口の両端を吊り上げニタニタと笑っている、二人目の青年はこちらを確認するや否や、イライラしたような顔で睨み付けてくる、三人目のご老人は他の二人とは違いほぼ無表情でこちらを見つめていた。三者三様だが共通点として、仮面のようなものをそれぞれ右目、左目、口につけていた。

 

「……あんたらだったのか……」

 

「ほう? 二時間後と設定したが……一時間も早くきたか……いい心がけだ……」

 

 口に仮面をつけた巨体のご老人がくぐくもっていて、しゃがれた声でそう言った。

 

「それはそうさ、相手が誰にせよ設定時間よりかは早く来なくちゃ、ねぇホセ」

 

 別段、俺がご老人の名前を呼んでも眉ひとつ動かさなかった、まぁ俺らの事はほぼ知ってるみたいだしね。

 

「ふ~ん、でもさ罠だとは思わなかったの? もしかしたらここで僕たちに殺されちゃうかもよ、ヒャハハハハ」

 

 左目に仮面をつけた少年、ルチアーノが笑いながらそう言ってくる、笑っていたのは最後だけではなく話してる最中もだ。

 

「そりゃ、こんな露骨なもの罠だって思うに決まってんじゃないですか、あえて来たんですよ。あえて」

 

「ふん、舐められたものだな。今すぐこの場で俺の剣の錆びにしてやってもいいんだぜ?」

 

 右目に仮面を付けた青年プラシドが帯刀している剣の柄を握るが、ホセに止められる。

 

「よせ、プラシド今のこやつらを有害だと断定するのはまだ早すぎる」

 

 うんアニメでも知ってたけど、ホセが一番の良識人だ、ホセが良識人じゃなかったら死んでたかもしれない。わりとマジで。今のこやつらは、って言ってたけど未来でなんかやらかしたのか? もちろんやらかす気満々だけど。

 

「そうだな、破滅の未来に向かわなければいいのかい?」

 

「僕たちでもできなかったことが、お前なんかにできるわけがないだろ!」

 

 ルチアーノが半笑いの声が金切り声へとかわり、ホセが目を細めプラシドが剣を持つ手に更に力を込めたように見えた。

 

「シンクロ召喚があるから、破滅の未来に進むことになるんでしょう? だったらシンクロ召喚を発展させなければいいじゃないですか」

 

 俺は有が話終わった後、デッキケースから真っ黒なカード……エクシーズモンスターを取り出す。

 

「なんだ……そのカードは!」

 

「エクシーズモンスター……アンタらの来た世界とは、全く別の進化を遂げたモンスターだ。未来に俺がいるならば、知らない訳ではあるまいて」

 

「なるほど……シンクロ召喚による遊星粒子の加速が、モーメントの爆発なエネルギーを生み出す……即ち、シンクロ召喚が開発されなければ遊星粒子も発見できず、モーメント自体も消滅する……」

 

「Exactly、まぁ俺の勝手な憶測だから、信じられるとは限られないけどね」

 

 持っててよかったエクシーズモンスター、はったりはこれでいいだろう。未来を変える気なんてさらさら無い。

 

「だが、貴様らが本当にそのエクシーズモンスターとやらを、シンクロモンスターの代わりとしてちゃんと普及させるのか?」

 

「知らん、そんなこと俺の管轄外だ。世界の未来は世界が決める、俺が世界の未来を決めるなんて興味ないよ」

 

「なんだよそれ、それこそ他力本願ってやつじゃないのかよ」

 

「なんとでも言え、俺は俺だ。興味の無いことには一切口を出さない主義なんでな」

 

「よかろう、未来が変わらなければまた修正するだけだ」

 

 ホセはもういいだろう、と言わんばかりに目配せをする、プラシドが剣を抜き空間を切り次元の狭間を作る。

 

「いいか、俺たちの邪魔をしたら、すぐに貴様をこの歴史から抹消してくれる」

 

 うん、その言い方はかませ犬っぽいよプラシド君。イリアステルの三人が消えるとどっと疲れが出てきて、フッと息を吐く。

 

 さて、今頃十代たちはSALとご対面したところだろうか、あまり気にはならんが、取り合えず見に行ってみるとしようか。

 

「しっかしこっから眺めて見ると、どんだけ広いんだっつのこの島は、PDAに地図機能がなかったらとっくの昔に遭難してるぞ」

 

「まあまあ、PDAの地図機能に感謝をこめて、十代君達のところに行かないと、あのおさるのデュエルが終わってしまいますよ」

 

むしろ俺としてはもう終わって帰るところで遭遇したいんだけどな、あんなガチムチの黒服を相手になんかしたくないぞ。

 

………………

…………

……

 

「クレイマンでダイレクトアタック! さらに捨て身の突進の効果により、クレイマンの守備力分のダメージを受けてもらうぜ」

 

SAL ライフ1900→1100

 

【捨て身の突進・アニメオリジナル】

通常魔法

自分のライフを1000ポイント払って発動する。

自分フィールド上に表側攻撃表示で存在する攻撃力1000以下のモンスターを1体選択する。

選択したモンスターが戦闘で相手プレイヤーにダメージを与えた場合、そのモンスターの守備力の数値分のダメージを相手に与える。

 

SAL ライフ1100→-900

 

 ちょうどよくデュエルが終わったところで、負けたであろうロボットのようなおかしなヘルメットをつけたお猿が残念そう(表情は見えないが)に、こうべを垂れそして人質? になっているらしいジュンコをお姫様だっこで、安全な場所に下ろしたところで顔を出す。

 

「よう、十代こんなとこでなんでデュエルなんかしてるんだ? ついでにあのメカチックなお猿はなんだ?」

 

「王真か、なんかどこかの研究所から逃げ出したんだって、そんでジュンコがさらわれて、デュエルで勝ったら返してくれるってことでデュエルしてたのさ。それよりお前こそどこ行ってたんだ? せっかく一緒に万丈目を探そうと思ってたのに」

 

「万丈目? 彼なら――――」

 

「よくやったあとは、我々に任せろ!」

 

 タイミング悪くライフルの様な銃を持った黒服たちが、ロボットチックなお猿に銃口を向ける。……黒服たちを相手にせにゃならんのか、でも確かもうすぐ大徳寺教諭が来てくれる気がするし頑張っておちょくって、とどめておこう。

 

しかしおちょくる暇もなく大徳寺先生とファラオ(猫)が来て助けてくれた、お猿も無事仲間のところに帰れたようだ。

 

「んで? さっき万丈目を探すとか言ってたけど、彼なら朝日が出たくらいの早朝にこの島を出て行ったよ。彼なりのけじめなんじゃないかな? なんのけじめかは知らんけど」

 

「そっか……でも大丈夫あいつはきっと戻ってくるって」

 

「そうですよ、彼は結構根に持つタイプみたいですし」

 

 そんな有の冗談を締めとしてこのイベントは終了した。

 

 

 

 

 

 お猿イベントが終わってからおよそ一月、アカデミア内では来来るべき長期休暇。通称冬休みに思いをはせている生徒ばかりである、そんな中王真の部屋にも通用する。いつも通り、十代、翔、隼人、有、雪乃、ゆま、委員長が冬休みの予定について話している……しかし恐ろしい人口密度だ、この人数が普通には入れるのも、ひとえに二人部屋を独占しているせいだろう。話を聞いていると、どうやら俺以外のオシリスレッドはみな休みを寮で過ごし、ブルー女子組は委員長と有以外帰省のようだ。

 

「王真はどうするんだ? 冬休み」

 

「俺か? 俺は帰省組だな。兄さんらが心配だ」

 

 おもに兄さんの胃腸付近が……。

 

「なんだ、王真はいなくなるのかよ。せっかくリベンジしようと思ったのに」

 

 口をとがらせてぼやく十代に俺は苦笑で返す。

 

「そうぼやくな、帰るといっても正月明けには帰ってくるんだ。およそ2週間くらい我慢しろよ」

 

「そうですよ、私も一日だって離れたくない王君から、一日千秋の思いの末に送り出すんですから」

 

「なぁ王真、一日千秋ってなんだ?」

 

「1日が非常に長く感じられることまたは、待ちこがれる気持ちが著しく強いことだ。詰まるところ、姿を見られない日が一日でもあってほしくないってことだな」

 

「それほどに私の王君への愛が強いってことです!!」

 

「やかまうっとおしい、まったく一日千秋の思いなら一度くらい私も一緒に行きますと言ってこないのか?」

 

 うんざりしながら俺は有に聞く。すると有は指先を弄りながら頬を赤らめて。

 

「言いませんよ。まだ早いじゃあないですか、ご両親に御挨拶だなんて」

 

 殴りたい全力でこいつの頭を殴りたい、そして後ろ二人(主に雪乃とゆま)の視線が恐ろしいんだが。俺この二人にフラグ建設したか? いや無い! 断じてそんなことはしていないそもそも現地の人達に転生者バレなんかしたくない、……とか思ったけど、もう師匠にバレてるじゃん。だけども自分から話すなんてしないぜ、めんどくさいしいろいろと。

 

「おまえは何阿呆なことを言ってるんだ、まったく何故にお前を紹介せにゃならんのだ。冬の長期休み中遊びに来たでいいじゃあないか」

 

「それなら!!」

 

「わたしたちも!!」

 

 ここぞとばかりに雪乃とゆまが言う、おいお前ら帰省はどうしたよ。

 

「お断りだ、あくまでたとえだ。来なくていい来るなめんどくさい、世話する人間が3人から、更に増えるとか勘弁してください死んでしまいます」

 

 姉3人プラス1~4とかマジで死ねる、仕事でいなければ、ある程度楽だけど。そういや半年近くになるな、家にいないの。大丈夫かな、ゴミやしきになってなきゃいいけど。

 

 こうして今日という平和な一日が過ぎていく。

 




というわけで今回はデュエル無しの回でした。新しいデッキを作ろうにも、調整に付き合ってくれていた友人は遊戯王をやめてしまったし、アイデアがわかないから作る気も起らずです。

そんなら大会に出ろとかADS入れればいいとか思いますけど、大会でてもガチしかいないし、ADSはパソコンに疎いからまったくわかんないしといったところです。
次回更新は未定。ネタとノリとアイデアが交差したとき物語が始まります。


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